説明

熱弾性冷却

【課題】費用効率が高く、高効率で、環境にやさしい新たな冷却技術を適用した、熱交換システムの再生器、並びに熱弾性原理に基づく冷却システム及び熱交換システムを提供する。
【解決手段】熱弾性効果に基づく冷却システムが提供される。システムは、ヒートシンク、冷凍空間、及び冷凍空間からヒートシンクへと熱をくみ上げるために冷凍空間とヒートシンクとに接続される再生器とを備える。再生器は、熱を吸収または放出できる固体熱弾性冷却材料を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体熱力学ヒートポンプサイクルまたは冷凍サイクルに使用されるシステム及び材料に関する。特に、本発明は、熱弾性効果に基づく固体熱力学ヒートポンプサイクルまたは冷凍サイクルに関する。
【背景技術】
【0002】
2008 Buildings Energy Dataによれば、2030年には、建物の空間冷却および商業用・住宅用冷蔵は、7.46[quad]の一次電力を消費し、447ミリオンメートルトン(MMT)のCO放出を生み出す(Buildings Energy Data Book, 2009の表1.1.7及び表1.4.5)。これは、米国における一次エネルギ消費の〜5%及びCO放出の〜5%に等しい。現在、米国における空間冷却の90%以上が、蒸気圧縮(Vapor Compression:VC)ベースのシステムによって提供されている(D. Westphalen and S. Koszalinski, Energy Consumption Characteristics of Commercial Building HVAC Systems, Vol. 1: Chillers, Refrigerant Compressors and Heating Systems; Arthur D. Little, Report For Office of Building Technology State and Community Programs, Department of Energy)。VCで使用される冷媒は、温室効果ガス(greenhouse gas:GHG)の大きな排出源である。ハイドロクロロフルオロカーボン(hydrochloroflurocarbon:HCFC)またはハロフルオロカーボン(halofluorocarbon:HFC)等の冷媒の地球温暖化係数(Global Warming Potential:GWP)は、COの1000倍である(Buildings Energy Data Book, 2009参照)。このように、空間冷却及び冷凍において、全体のエネルギ効率を向上させ、GHG排出を削減する新規で安価な冷却技術の開発が急務となっている。
【0003】
建物空間の冷却・冷凍に加え、輸送空間の冷却・冷凍、および機器温度制御においても、全体のエネルギ効率を向上させ、GHG排出を削減する新規で安価な冷却技術が必要とされている。
【0004】
多くの冷凍技術が存在している。現在、蒸気圧縮が主要な技術である。米国において、冷却の90%以上は、蒸気圧縮ベースのシステムによるものである(D. Westphalen and S. Koszalinski, Energy Consumption Characteristics of Commercial Building HVAC Systems, Vol. 1, supra参照)。蒸気圧縮技術に代わる、エネルギ効率がよりよく、環境にやさしい新たな技術が、早急に求められている。候補技術として、誘電熱量、磁気熱量、熱音響、熱電及び熱弾性技術があげられる。表1は、簡単に、これらの冷却技術を比較したものである。
【表1】

【0005】
蒸気圧縮冷凍は、現在に至るまで、そして現在も、空調装置及び冷蔵庫で最も広く使用されている方法である。本方法は、圧力誘起による気液転移の間に放出または吸収される潜熱を利用する。1805年にオリバー・エバンズによって発明されてから、本技術の効率は、著しく改善されてきた。1970年代に製造された冷蔵庫と比較して、現在エネルギースターが付けられた冷蔵庫の使用電力は、約3分の1である。圧縮機は、たびたび、製造元が自社製品の中で消費電力を改善しようと最初に手をつける部分となっている。何十年にも及ぶ努力の結果、現在の圧縮機は、極めて効率がよく(〜60%)、費用効率が高い。シール、バルブ、マフラー、熱交換器及び断熱等の他のシステム改良を加えて、現代の冷蔵庫の効率は、45%程度になりうる。しかしながら、効率においてより多くの進歩を達成するためには、根本的な変更が研究されなければならない。効率の頭打ちに加えて、蒸気圧縮技術は、地球温暖化係数が一般的にCOの1000倍以上であるハイドロクロロフルオロカーボンまたはハロフルオロカーボン冷媒を利用しているため、不利な環境状況にも直面している(http://www.whitehouse.gov/administration/eop/nec/StrategyforAmericanInnovation; 及びBuildings Energy Data Book,2009参照)。たとえ、蒸気圧縮ベースの空調装置および冷蔵庫の製造コストが低くても、効率の限界及び環境問題により、本技術は好ましくないものとなっている。
【0006】
誘電熱量効果は、その効果が実用的応用に不十分であるため、商業的に利用されていない。サイエンス誌(Science journal)で発表され、巨大な誘電熱量効果を実証した二つの論文により、本技術は最近再び脚光を浴びている(A.S.Mischenko, Q.Zhang et al., Science, Vol. 311, pp. 1270-71, n5765 (2006); Neese, Chu, et al., Science, Vol. 321, p. 821, n5890 (2008))。一方の論文において、ミシェンコは薄膜Pb(Zr0.95Ti0.05)Oが、499Kで480kV/cmの電場をかけると、12KのΔTおよび8J/(kg−K)のΔSを示すことを示している。もう一方の論文において、ニーズは、共重合体P(VDF−TrFE)膜が、343Kで300kV/cmの電場をかけると、12KのΔT及び55J/(kg−K)のΔSを示すことを示している。これらの研究結果が刺激的で、新たな研究分野を開く可能性を持つ一方で、薄膜が冷却能力における現在の限界を形成しており(セラミックで350nmおよび共重合体で2000nm)、セラミック及びポリマー材料の低熱伝導率は、熱交換効率を著しく妨げるため、その商業的可能性は低いままである。能力限界を克服するために、様々な構造が提案されてきている。しかし、装置の特性を考えると、本技術は、空間が重要であり、高効率は二の次であるスポット冷却によりふさわしいものである。
【0007】
磁気熱量冷凍は、最近、かなりの関心を集めている。本領域における研究論文の数は、過去10年間で急激に増加している。磁気熱量冷凍は、可逆温度変化が磁場の印加及び除去によって引き起こされる磁気熱量効果を利用する。本効果は、1881年にエミール・ウォーバーグにより発見された。その理論上のカルノー効率は、68%に迫る。しかし、本技術が作業物質及び磁場に対して大量の希土類元素を基本的に必要とすることによる高コストが原因で、現在の磁気冷凍技術を商業化するための努力は無駄となっている。研究者達は、現在の磁気冷凍技術の商業的実行可能性を調査し、商業的実現可能性を達成するには、コストを最低10分の1にする必要があると結論づけている。ほとんどの研究者が、コストの問題に気付いている。研究者達は、高価な元素の含有が少ない新規材料を発見しようとしたり、冷却能力を高めてドル/ワット比を改善しようとしたりするのではなく、材料開発に集中している。基本的に研究では、大きな磁場が必要であることに関連したコスト問題に、一般に取り組まない。これは、磁気熱量効果の物理的性質により、冷却能力が印加磁場に比例するからである。最低限必要な磁場を供給するために、レアアースベースの冷却材料1kg毎に、レアアースベースの永久磁石6kgが必要だと推定される。したがって、レアアース材料への強い依存が、本技術の商業的実行可能性を制限している。
【0008】
熱音響冷凍は、ロード・レイリーが音による熱のくみ上げの可能性を論じた1887年にさかのぼることができる。本方法は、理想気体の法則を使用し、高振幅音波を圧縮気体に印加して、熱をくみ上げる。今までに製造された最も効率的な装置の効率は、カルノー限界の40%、または、システム全体の効率の約20〜30%に迫るものである。過去数十年間で達成された著しい進歩にもかかわらず、現在の熱音響技術の商業的実行可能性は低いままである。
【0009】
熱電冷凍は、一般にキャンプ用及びポータブルクーラーで用いられたり、電子部品及び小規模機器の冷却に用いられている。本方法は、異なる二種類の金属の接合点における電流の熱効果であるペルティエ効果を利用する。熱電効果は、ジャン=シャルル・ペルティエによって1834年に発見された。熱電接点の効率は5〜10%と低い。小型であるにも関わらず、低効率であるため、適用は小規模のものに限られている。現代のエネルギ不足及び地球温暖化への影響は小さい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、費用効率が高く、高効率で、環境にやさしい新たな冷却技術の必要性に取り組む、熱交換システムの再生器、並びに熱弾性原理に基づく冷却システム及び熱交換システムを対象とする。本発明は、作業物質の冷却能力の全てが利用されるよう冷凍空間内の作業物質を弛緩させる過程を配置するシステムを開示し、かつ、本発明は、冷媒のCOPを2倍にするかもしれない解放エネルギを利用するシステムを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記及び他の効果を達成するため、および、本発明の目的に関連して、具体化され広く記述されるように、実施例は、ヒートシンクと、冷凍空間と、熱を前記冷凍空間から前記ヒートシンクへくみ上げるように、前記冷凍空間および前記ヒートシンクと接続された再生器と、を備え、前記再生器は、熱弾性効果を示すことが可能な固体冷却材料から構成される熱弾性冷却システムである。本発明の一実施形態において、再生器は、直接接触によって、前記冷凍空間および前記ヒートシンクに接続されている。本発明の他の実施形態において、本発明は、循環熱交換媒体によって、前記冷凍空間および前記ヒートシンクに接続されている。他の形態において、本発明は、ヒートシンクと、冷凍空間と、前記冷凍空間及び前記ヒートシンクと接続する再生器とを備え、前記再生器は、オーステナイト相及びマルテンサイト相を有する熱弾性材料を含み、前記熱弾性材料は、機械的に応力を加えられた場合、オーステナイト相からマルテンサイト相への相転移を受け潜熱を放出し、機械的に応力を加えられた状態から弛緩されると、マルテンサイト相からオーステナイト相への相転移を受け潜熱を吸収し、前記再生器は、前記熱弾性材料が機械的に応力を加えられて潜熱を放出している場合、前記熱弾性材料を前記ヒートシンクに熱的に接続し、その結果、ヒートシンクは暖められ、前記熱弾性材料が弛緩され潜熱を吸収している場合、前記熱弾性材料を前記冷凍空間に熱的に接続し、その結果、冷凍空間を冷却する冷却システムを提供する。
また、他の形態において、本発明は、ヒートシンクと、冷凍空間と、オーステナイト相及びマルテンサイト相を有し、機械的に応力を加えられた場合、オーステナイト相からマルテンサイト相への相転移を受け潜熱を放出し、機械的に応力を加えられた状態から弛緩されると、マルテンサイト相からオーステナイト相への相転移を受け潜熱を吸収する熱弾性材料と、オーステナイト相からマルテンサイト相への相転移を引き起こし前記ヒートシンクに潜熱を放出するように、前記熱弾性材料に機械的に応力を加え、マルテンサイト相からオーステナイト相への相転移を引き起こし前記冷凍空間から潜熱を吸収するように、機械的に応力を加えられた前記熱弾性材料を弛緩する応力弛緩手段と、を有する再生器と、を備える冷却システムを提供する。
他の形態において、本発明は、冷凍空間から熱を取り出し、ヒートシンクに熱を放出するために熱交換システムで用いられる再生器であって、オーステナイト相及びマルテンサイト相を有し、機械的に応力を加えられた場合、オーステナイト相からマルテンサイト相への相転移を受け潜熱を放出し、機械的に応力を加えられた状態から弛緩されると、マルテンサイト相からオーステナイト相への相転移を受け潜熱を吸収する熱弾性材料と、前記熱弾性材料から潜熱を放出するためのオーステナイト相からマルテンサイト相への相転移を引き起こすために前記熱弾性材料に機械的に応力を加え、潜熱を吸収するためのマルテンサイト相からオーステナイト相への相転移を引き起こすために機械的に応力が加えられた熱弾性材料を弛緩する応力弛緩手段と、を備える再生器を提供する。
【0012】
他の特徴及び効果は、以後の明細書に記述され、一部は明細書から明らかであるか、当業者による発明の実施によって学ぶことができる。装置及び方法によって実現及び達成される本発明の目的及び他の効果は、添付の図面同様に、明細書及び請求項の記載において具体的に示される。前記の要約及び以下の詳細な説明は、例であって、本発明の特徴の基本的な理解を提供するためのものであり、発明の広範な要旨でもなく、発明の範囲を具体的に線引きすることを意図したものでもない。むしろ、請求項に記載された発明の更なる説明として、発明のコンセプトを簡潔に提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、Cu−Al−Ni合金の応力−歪み関係を表す図である。
【図2】図2は、NiTi合金のDSC曲線を表す図である。
【図3】図3は、熱弾性冷却サイクルの概略図である。
【図4】図4は、熱弾性冷媒ブロックで構成される冷媒ベルトを備えるシステムの概略図である。
【図5】図5は、様々な速度で回転する複数のセクションを有する二つのドラムを備えるシステムの概略図である。
【図6】図6は、熱弾性再生器プレート及び応力印加装置を備えるシステムの概略図である。
【図7】図7(A)〜7(B)は、NiTi合金の応力歪み曲線を表す図である。
【図8】図8(A)〜8(B)は、二重圧縮熱弾性冷却システムを備えるシステムの概略図である。
【図9】図9(A)〜9(B)は、運転中の二重圧縮熱弾性システムを表す図である。
【図10】図10(A)〜10(B)は、ピストン圧縮構造を用いた熱弾性冷却システムを示す図である。
【図11】図11(A)〜11(B)は、鳥かご構造を用いた熱弾性冷却システムを示す図である。
【図12】図12は、35ワット人力鳥かご型熱弾性冷却器の図である。
【図13】図13(A)は、回転鳥かご型二重リング引張構造を用いた熱弾性冷却システムを表す。図13(B)は、初期状態の機械的部分を表す断面図である。図13(C)は、かごの一部分が運転中に伸長された状態の断面図である。
【図14】図14(A)は、回転鳥かご型二重リング引張構造の空気の流れを示す概略図である。図14(B)は、高温側及び低温側の空気の流れを示す上面図である。
【図15】図15は、ドラム構造を用いた熱弾性冷却システムを表す図である。
【図16】図16(A)〜16(C)は、回転圧縮構造を用いた熱弾性冷却システムを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
蒸気圧縮冷却技術と同じように、熱弾性方式は、応力誘起固相−固相転移の間に放出または吸収される潜熱を利用する。熱弾性冷媒の試験は、冷却効率が11.8程度であると明らかにしている。この技術のコストの低さ及び高い製造可能性は、冷凍産業を一辺させ、エネルギ効率及び環境に大きな影響をもたらす可能性を有している。本発明は、熱弾性効果に基づく冷却システムのシステム構造及び作業物質(冷媒)の両方に取り組む。
【0015】
熱弾性冷却効果は、可逆固相−固相マルテンサイト相変態に直接的に関係する。相変態を誘起するために応力を用い、冷却を実現するために潜熱を利用するので、多くの点で、このコンセプトは従来の蒸気圧縮技術に類似している。違いは冷媒の形態にある。蒸気圧縮では、液相/気相であり、熱弾性冷却では固相/固相である。
【0016】
可逆マルテンサイト相変態は、無拡散固相−固相変態であり、結晶のせん断変形を引き起こす。高温度相(オーステナイト)は、低温度相(マルテンサイト)よりも高い対称性を有する。変態中に対称性が低下すると、それぞれが固有の形態変化をもつ多種変異体が形成される。材料が冷却され変形すると、変異体は全て同程度に生じる。不規則に分散した変異体は、材料の全体の形をほとんど変えない。この変異体の混合物に応力が印加されると、特定の変異体がエネルギ的に有利となり、他の変異体よりも多く現れる。この結果、形状が10%程度、大きく変化する。変形マルテンサイトが温められた場合、材料はオーステナイト形態へと戻り、まるで記憶しているかのように、すなわち、記憶形状合金(shape memory alloy:SMA)の名のように、合金を元の形にも戻す。
【0017】
温度の他に、マルテンサイト変態は応力によっても直接的に誘起されうる。図1は、CuAlNi合金における応力誘起マルテンサイト相変態の過程を示している。相変態を上回る温度では、材料はオーステナイト状態(A)にあり、比較的高い弾性定数を反映して、応力−歪み曲線は急になっている。応力が特定の大きさに達すると、マルテンサイト(M)が現れ始め、材料はやわらかくなる。この点では、応力の小さな増加が、大きな変形(歪み)をもたらす。ほとんどのオーステナイトが変態するまで材料はやわらかいままで、その後、剛性を取り戻し始め、応力−歪み曲線は再び急となる。応力の少しの増加による大きな変形は、超弾性として知られている。
【0018】
現在、最も広く使用されている形状記憶合金は、ニチノール(Nitinol:Nickel Titanium Navy Ordnance Laboratory)である。ニチノールは、1961年に偶然に発見された二元合金であり(G.B.Kauffman, I.Mayo, Chemical Educator, Vol. 2, No. 2, pp. 1-21 (1997); W.J.Buehler, Letter to Amy Axt Hanson, 15 June 1991)、後にF・E・ワングの研究を通して理解された。ニチノールのオーステナイト相は、規則立方晶(B2)結晶構造を有しており、そのマルテンサイトは規則単斜晶(B19’)結晶構造を有しており、R相としばしば呼ばれる他の中間菱面体晶相(B2’)を有する。各変態の潜熱を図2に示す(J.A.Shaw, et.al., Experimental Techniques, Sep./Oct.pp. 55-62 (2008))。
【0019】
形状記憶合金のほかに、相変態中に潜熱を吸収または放出しながら、ある固相から別の固相へと変態可能な熱弾性ポリマーが存在する。変態は、温度、応力、磁場、電場、光、溶体または他の形態のエネルギ入力によって誘起されうる。熱弾性ポリマーの例としては、ポリウレタン、プレポリマー法により製造されたイオン又はメソゲン成分を有するポリウレタン、ポリエチレン・テレフタレート(PET)とポリエチレン・オキシド(PEO)とのブロック共重合体、ポリスチレンとポリ(1,4−ブタジエン)とを含有するブロック共重合体、及びポリ(2−メチル−2−オキサゾリン)とポリテトラヒドロフランとからなるABAトリブロック共重合体があげられるが、これらに限られるものではない。冷媒としての熱弾性金属と比較して、熱弾性ポリマーは費用効率がよく、耐用年数が長く、限界応力が小さいが、熱伝導率が低く、出力密度が低い。
【0020】
熱弾性冷却効果は、形状記憶合金からなるワイヤーを使用して説明しうる。両手で応力を加えられると、ワイヤーはマルテンサイト相へと変態させられ、19.7kJ/kgの潜熱を放出する。この熱量は、皮膚にしゃく熱感を残すのに十分である。応力が取り除かれると、ワイヤーは母相へと戻り、結果として同じ熱量を吸収する。SMAワイヤーを引っ張ることにより材料が加熱されるという本例の負荷経路を図3に示す。ワイヤーはA点からB点へと応力を加えられる。本過程において、ワイヤーは6.7kJ/kgの熱量を放出しながらR相へと変態し、その後、更に、6.9kJ/kgの熱量を放出しながらマルテンサイト相へと変態する。ワイヤーは熱くなる。次のステップで、ワイヤーは、温度が比較的低い人の皮膚に置かれる。応力は一定のままである。本過程の経路が、B点からC点までである。最後のステップで、応力が取り除かれ、この過程で19.7kJ/kgの熱量を吸収する。前に軽いしゃく熱感を感じた人物は、今度は、凍結感を感じる。本過程の経路は、C点からD点までである。
【0021】
6つの主要な冷凍技術のうち、磁気熱量及び熱弾性方式だけが、エネルギ効率及び環境に大きな影響を示す。これら2方式のうち、熱弾性冷却は、より高い費用効率を約束する。さらに、他の5つの冷凍技術と比較して、熱弾性冷却技術には、作動流体を必要とせず(したがって、漏出、毒性及び燃焼の問題がなく、手がかからない)、作業物質及び応用製品の寿命が無限であるという事実を含むいくつかの独自の長所がある。本技術は、防爆性もあり重力非依存でもあり、いかなる温度動作に対しても運営されることができる。熱弾性冷却は、20K以上の温度上昇が可能であり(したがって、実用にかなう冷却を可能にする)、COPが潜在的に高い。これらの長所により、熱弾性冷却技術は、以下の利用:室内除湿機、小型の個人用冷却器(ホテルの部屋の冷蔵庫、ワインクーラー、及び車の飲料用クーラー)、人力(手回し)冷却システム(ピクニッククーラー、エクササイズバイク、飲料用缶冷却器)、蒸気圧縮システムにおける熱弾性段階、トッピングまたはボトミングサイクル、冷却用の振動の生成(冷却用に車のショック・アブソーバに組み込まれる)、機械的ヒートパイプ、及び電子機器の冷却にとりわけ適したものとなっている。空調及び冷凍以外に、熱弾性効果は、冷却とは直接的に関係ない、例えば発電、廃熱利用、ORCの代替、センサー用環境発電、及び電源内蔵装置(冷却ファンを駆動するのにΔTを使用)等にも応用されうる。
【0022】
熱弾性冷却の性能係数(COP)は、以下の条件に基づいて推定される:1)マルテンサイトからオーステナイトへの変態中に吸収される潜熱が温度に依存しない;2)一般的なVCシステムのシステムエネルギ損失が、相変態を誘起するために必要なエネルギの約40%である。システムの総COPは、冷媒のCOPの約71%である。システムのエネルギ損失は、熱交換、応力印加、ファン、機械的摩擦、電気機械変換及び漏熱等へのエネルギ損失を含む。推定のため、熱弾性冷却システムのシステムエネルギ損失が、一般的なVCシステムのエネルギ損失と同じである仮定する;3)冷凍空間の温度はオーステナイト終了温度よりも高い。これは、冷媒が、一度応力印加から解放され、オーステナイト状態に完全に回復することを保証するためである。冷媒は、マルテンサイト変態が最も進んだマルテンサイト状態からオーステナイト変態が最も進んだオーステナイト状態へと変態する場合に、潜熱の大部分を吸収できる。
【0023】
計算のため、冷媒の形状が正方形のプレート(0.1×0.01×0.01m)であると仮定する。ニチノールの密度は、6450kg/mである。マルテンサイトからオーステナイトへの転移中に吸収される潜熱は、19.7kJ/kgである。正方形のプレートにおいて、プレートが十分に変態されるとすると、吸収される総熱量は、
L=19.7kJ/kg×6450kg/m×0.01m
×0.1m×0.1m=12.71kJとなる。正方形プレートに応力を加えてマルテンサイトにするのに必要とされるエネルギを推定するために、平均応力を270Mpa、平均歪みを6%と仮定する。正方形プレートの相変態を完了するために必要とされる総機械エネルギは、
W=270×6%×10N/m×0.01m
×0.1m×0.1m=1.62kJ
である。相変態を誘起するのに必要なエネルギによって除算される吸収潜熱として定義される冷媒のCOPは、COP=L/W=12.71/1.62=7.84となる。第2の条件(システムのCOPが冷媒のCOPの70%)を適用した場合、最終的なシステムのCOPは5.5である。現在の最先端の蒸気圧縮技術(COP=4.5)と比較して、本結果は22%の改善を表す。
【0024】
熱弾性効果は、数十年にわたって研究されてきた周知の効果である。研究のほとんどが、検出・駆動分野における応用に集中している一方、冷却または冷凍に熱弾性効果を使用する可能性についても調査されている。例えば,Hugenrothに発行された米国特許第6367281号明細書では、熱弾性冷却のコンセプトについて記述し、熱弾性効果に基づく冷凍システムを開示しようと試みている。しかしながら、本技術で開示されるシステムは、作業物質が弛緩され熱弾性効果が既に生じている場所に冷凍空間を設置するため、低効率であるか、正常に動作しない可能性がある。作業物質が潜熱を効率的に吸収または放出できるのは相変態中だけであり、相変態前後ではない。したがって、本発明で記述され請求されるように、潜熱を放出するためのシステムのヒートシンクは、好ましくは作業物質が応力を受けるところに設置され、冷凍空間は、好ましくは作業物質が弛緩される前後ではなく作業物質が弛緩されている最中であるところに設置される。もし、米国特許6367281号明細書で開示されるように、冷凍空間が、作業物質が弛緩された後に設置されるならば、相変態中に作業物質のギブズ自由エネルギ変化が、環境によって、すなわち、環境から熱を吸収することによって相殺されないように、作業物質が応力を加えられた状態から弛緩されている熱環境は断熱環境でなければならない。むしろ、ギブズ自由エネルギ変化は作業物質そのものの温度を下げることによって相殺される。この点において、低温の作業物質がその後冷凍空間と接触する場合、作業物質と冷凍空間との間で熱交換が起き、冷凍空間の温度が作業物質の温度増加を犠牲にしてさらに下げられるように、作業物質の温度は目的とする冷凍空間の温度よりも低くなっている。このように、米国特許6367281号明細書のクレームに記載された材料は、潜熱交換を伴う相転移を示す形状記憶合金を用いる本発明と対照的に、相転移において断熱温度変化を示さなければならない。このような(相転移において断熱温度変化を示す)材料は、現在のところ存在しない。米国特許6367281号明細書で開示されるシステムが低効率である別の理由は、該システムが、本発明の実施例とは異なり、固体の冷却材料に蓄えられている機械エネルギ(解放エネルギ)を利用しないからである。
【0025】
上述したように、本発明の実施例は、ヒートシンク、冷凍空間、および、冷凍空間およびヒートシンクに直接接触あるいは冷凍空間からヒートシンクへと熱をくみ上げるような熱交換媒体の循環によって接続された再生器とを備え、再生器は熱弾性効果を示すことができる固体冷却材料から構成される熱弾性冷却システムを対象としている。特に、図4に示すように、本発明の一実施例は、固体冷媒に直接的に、あるいは固体冷媒が取り付けられたベルトを用いて応力を印加するギア集合を使用する熱弾性冷却システムである。図4に示すように、ギア1、2、3および4は、低温側(冷凍空間)から高温側(周囲またはヒートシンク)へ熱をくみ上げる冷媒プレート5を備える駆動ベルト6を用いて応力を印加する。本実施例において、ギアの使用は、プーリーまたはドラムとは著しく異なる。なぜならば、プーリーまたはドラムは、ギアの歯がなく、応力の大きさが、変態する冷媒からなるブロック及びプレートに対して相変態を誘起するのに十分ではないからである。
【0026】
図5は、本発明の他の実施例に係る熱弾性冷却システムを示す。図5に示す熱弾性冷却システムでは、複数のドラムを用いて、作業物質が連続して循環できる。各ドラムは、数個のセクションで構成される。ドラムのセクション間の速度差によってワイヤーがドラム上に巻きつけられるにつれて冷媒ワイヤーが応力を受けたり弛緩されたりするよう、ドラムの各セクションは異なる速度で回転する。例えば、ワイヤーがドラム上に巻き付けられるにつれてドラムのセクションの回転速度が増加する場合、ワイヤーは応力を受ける。一方、ワイヤーがドラム上に巻き付けられるにつれてドラムのセクションの回転速度が減少する場合、ワイヤーは弛緩される。ドラムの大きな表面積により、効率的な熱交換が可能となる。本実施例では、複数のセクションを備える2つのドラムが使用される。一方は、周囲環境との熱交換が発生する高温側に配置され、もう一方は、目的とする冷却空間との熱交換が発生する低温側に配置される。本実施例の重要な特徴は、ドラム1箇所において応力印加と熱交換機能とを統合したことである。
【0027】
本発明の他の実施例では、再生器プレート及び応力印加装置を備える熱弾性冷却システムが開示される。図6は、再生器の概略図である。再生器は、主として、NiTi合金からなる再生器プレート7、捻転ストレス付与器の集合、回転熱流オルタネータ8およびファンを備える。本明細書において適当であると記述される他の材料を再生器プレート7に使用してもよい。熱弾性冷却システムの本実施例では、ねじり力を用いて1または複数のプレートに応力を加えることができる。完全な冷却サイクルは、以下のように4つのステップからなる:(1)潜熱を放出しながらせん断応力が再生器プレート7に印加される;(2)再生器プレートから高温空気に熱を放出し空気を外部へと排出するために、高温空気が再生器プレートに吸入される;(3)温度が平衡化されると、高温側ループは閉じて、低温側の空気が吸入される;(4)応力は取り除かれ、プレートは低温側の空気から熱を吸収しながら、オーステナイトに戻ることができる。より好適な実施例においては、エネルギ消費及び冷却負荷を監視するためにセンサーが使用される。図6に示されるシステムは、同じ相変態を誘起するのに必要なエネルギが少なくなるため、より高いエネルギ効率を約束する。
【0028】
本発明の他の実施例は、図8(A)及び8Bに示すように、冷媒の圧縮に使用したエネルギの一部を回復できる、二重圧縮構造を利用した熱弾性冷却システムを開示する。図8(A)は、付勢されていない組み立て前の熱弾性冷却システムの断面図であり、端板9、冷媒集合A10及び集合B13、保持ロッド11、負荷十字部材12、及び緩められているように見えるバイアスナット14を示す。図8(B)は、図8(A)と同じ部品で組み立てられた状態を示す断面図であるが、締められたバイアスナット14によって圧縮されている。本システムの冷媒集合A10及び冷媒集合B13は、上述した合金の誘導体と同様に、調整された熱処理プロファイルを持つ、または、C、Hまたは他の転移金属等の添加物を有するNiTi合金、CuAlNi、CuZnNi、CuZnAl、FePd、AuCd、NiMnGaおよびFeMn合金等の材料から構成されている。このような二重圧縮構造において、冷媒Aが圧縮されている場合、冷媒Bは弛緩されており、逆もまた同様である。システムの目的は、解放エネルギを利用して、全体のエネルギ効率を改善することである。このような二重圧縮構造システムは図7(A)及び7(B)に示す応力‐歪み曲線に基づく。最初の段階において、冷媒集合A10および冷媒集合B13は、両集合が相変態の途中にある点まで圧縮される。応力レベルは、図7(A)において点線で示される。図9(A)のシステム断面図で示されるように負荷十字部材12が冷媒集合A10に押し付けられると、冷媒集合A10が、潜熱を放出しながらマルテンサイトへと完全に変態する一方、冷媒集合B13は、吸収潜熱を伴って完全にオーステナイト状態に戻る。負荷十字部材が冷媒集合B13に向かって押されると、図9(B)の断面図で示すように、冷媒集合A10は弛緩され、潜熱を吸収しながらオーステナイトへと変態し、冷媒集合B13は潜熱を放出しながらマルテンサイトへと応力を加えられる。熱交換媒体は、負荷十字部材12の動きに同期され、発生した熱をその後に周囲に排出する媒体に排出する、または、その後に目的の空間を冷却する熱交換媒体を冷却する。二重圧縮システムで使われる全体エネルギは、図7(A)及び7(B)において網掛けされた、応力−歪みヒステリシスループによって囲まれた面積である。試験結果は、二重圧縮システムを作動させるのに必要なエネルギは、一重圧縮システムのたった30%であることを示している。さらに、二重圧縮システムを作動させるのに必要なエネルギは、二重引張システムのたった25%である。
【0029】
図10(A)及び10(B)は、ピストンによって駆動される簡易化した二重圧縮システムの断面図である。図10(A)及び10(B)に示すように、ピストン圧縮構造の主要部分は、同じ体積を有する熱弾性材料ユニット15、端保持板16、圧縮プリロードネジ17、外壁18、外壁18を用いて空気を密閉する2方向運動ピストン19、動輪20及び駆動軸21である。運転の前に、熱弾性材料ユニット15のいずれも、端保持板16及び圧縮プリロードネジ17によって最大設計変形の50%まで予め圧縮される。両材料ユニットからの平衡力により、ピストンは中間位置にとどまり、このとき、両材料は2つの固体相を有する。運転中、動輪20の最初の90°回転において、ピストンは、駆動軸21を介し動輪20によって上げ下げされる。ピストンが最高点、または、移動距離の半分に達すると、上側の熱弾性材料ユニット15は、100%圧縮されて完全に誘起され、部分潜熱(Q_heat)を作業媒体に放出しながら1つの固体相(マルテンサイト)へと変態する。同時に、下側の熱弾性材料ユニット15は100%解放され、部分潜熱(Q_in)を吸収しながらもう一方の相(オーステナイト)へと完全に変態する。そして、続く180°回転位置において、ピストンが最下点、または、全移動距離に到達すると、上側の熱弾性材料ユニット15は完全に解放され、相はオーステナイトへ変態し、その結果、熱が吸収され、そして、下側の熱弾性材料ユニット15は完全に圧縮され、相はマルテンサイトへと変態し、その結果、潜熱が放出される。この後360°回転ごとに、両熱弾性材料ユニット15は、潜熱を1回放出し、1回潜熱を吸収する。材料が圧縮されている間、材料は、圧縮が解放されるようにピストンを押し返す位置エネルギを有する。したがって、熱弾性材料に負荷をかける、または熱弾性材料を圧縮するのに使用される機械エネルギは、今度は、各材料の各サイクル内の解放過程中に機械エネルギを回復させる機構を駆動させるのに使用される。ピストン圧縮構造に適した熱弾性材料は、三次元SMA材料である。よりよい熱交換を保証するために、オープンセル多孔質材または束状のワイヤーが、熱弾性材料ユニット15と同じ体積の熱弾性材料ユニットに対して使用されるべきである。
【0030】
発明の他の実施例は、図11(A)及び11(B)に示す鳥かご構造を使用する熱弾性冷却システムである。図11(A)及び11(B)に示すように、2つの車輪に取り付けられ再生器の室内に含まれる駆動軸23を使用して、上部トルク板24及び下部トルク板25を反対方向に回転させることによって、熱弾性冷媒ワイヤー22が引き伸ばされる。2つの板24及び25にトルクがかけられると、熱弾性冷媒ワイヤー22は、励起され、または応力を受け、潜熱が発生する。発生した熱は、高温側の熱交換媒体を再生器室とヒートシンク(周囲)との間で循環させることによって除去される。冷却ステップの間、板24及び25に印加されたトルクが解放される;熱弾性冷媒ワイヤー22は弛緩され、非励起状態へと戻る。ワイヤーは、低温側の熱交換媒体から熱を吸収し冷却する。好適な実施例では、熱弾性冷媒ワイヤー22はNiTiからなる。図12は、35ワット人力鳥かご型熱弾性冷却器を表す。写真中の冷媒ワイヤーは、非励起状態にある。ヒートシンクおよび熱交換媒体回路は示されていない。
【0031】
発明の他の実施例は、回転鳥かご型二重リング引張構造を使用する熱弾性冷却システム開示する。図13(A)は、全体のシステム構造を表し、主要部は同じ長さの熱弾性ワイヤー26、引っ張り及び解放用の二重引張リング27、上部リングを支持する上部プレート28、設計応力をかけるための高さ調整可能な長ネジ29、設計した頻度で、順にワイヤーを引っ張ったり緩めたりするリング回転駆動のための駆動モーター30、プーリー及びベルト31、並びに軸32、下部リング用の下部プレート33及び他の支持部品である。リングが回転する間の摩擦を最小にするために、二重引張リング27と支持プレート28及び33との間にはベアリングが存在する。図13(B)は、初期(静的)状態の機械的部分を表す断面図であり、図13(C)は、運転中のシステムを示し、かごの一領域にあるワイヤーが伸長され、他の領域にあるワイヤーが弛緩されている。図13(B)で示されるように、初期状態では、いずれのワイヤーも応力を加えられておらず、したがって、応力誘起相転移及び熱弾性挙動はない。図13(C)で図示されるように、運転中、ひとたび上部のワイヤー負荷リングの右側が高さ調整可能長ネジ29によって持ち上げられると、この領域に回転された冷媒ワイヤーは伸長されて、熱を放出しながらマルテンサイトへ変態する。これらのワイヤーがこの領域から離れるように回転すると、その応力は解放され、ワイヤーは弛緩され潜熱を吸収しながらオーステナイト状態へと変態し、その結果、媒体を冷却する。言い換えれば、高さ調整可能長ネジ29が延伸されると、上部プレート28及び下部プレート33はもはや平行ではなく、延伸された高さ調整可能長ネジ29に近いワイヤーは伸長される一方、反対側の領域にあるワイヤーは弛緩されて、高温領域と低温領域とを生成する。本構造の重要な特徴は、ワイヤーが張力を受けている間、ワイヤーはその張力が解放されるようにリングを回転させる位置エネルギを有し、ワイヤーを引っ張るのに使用される機械エネルギは、今度は、機構を駆動するのに使用される点にある。言い換えれば、伸長されたワイヤーに蓄えられた機械エネルギは、リングを回転させ続けるのに必要とされる総エネルギの一つとなる。これにより、各ワイヤーの各サイクル内の解放過程中に解放機械エネルギが回復する。図14(A)は、回転鳥かご型二重リング引張構造システムにおいて、ワイヤーと作動媒体との間の熱交換を促す熱交換サブシステムを表す。図14(A)は、リング及びワイヤー34、高温側の空気が低温側の空気と混ざるのを防ぐ、断熱壁35及びブラシ分離体36を表す。図14(B)は、同システムの上面図であり、加熱及び冷却側の空気の流れを示している。本構造により、高温空気側及び低温空気側は、分離されたままとなり、媒体における不必要な熱損失を回避できる。
【0032】
本発明の他の実施例は、図15で図示されるように、回転ドラム構造を使用する熱弾性冷却システムである。図15は、ドラムシステムの全体を図示し、主要部は、主動輪37、第2動輪38、外側遊動輪39、内側遊動輪40、初期長さ(図15の右部分の最も短いワイヤーと等しい)が同一の熱弾性ワイヤー41、外側保持シェル42および内側保持シェル43である。運転中、主動輪37及び第2動輪38は、同じ回転数で時計回りに回転して、熱弾性ワイヤー41を保持する外側保持シェル42および内側保持シェル43を駆動する。冷媒ワイヤーを保持する二つのドラムの回転軸は、ワイヤー長さの10%までオフセットされる。シェルが回転している間、回転中心がオフセットされているので、ドラムが回転すると、二つのドラムの間にある熱弾性ワイヤー41は、周期的に伸長されたり解放されたりする。外側遊動輪39及び内側遊動輪40はシェル(42及び43)の位置を保持し、伸長された熱弾性ワイヤー41に力を加える。いずれのワイヤーも最も短い状態(サイクルの右端にある場合)から最も長い状態(サイクルの左端にある場合)まで伸長され、張力によって誘起されると、一固体相から別の固体相に変態し、高温タンク中の作動媒体に潜熱(Q_out)を放出する。そして、ワイヤーが最も長い状態の領域を過ぎ、解放されると、元の相へと戻り、相変態の潜熱に等しい潜熱(Q_in)を冷温タンクから吸収する。ワイヤーに張力が加えられている間、ワイヤーは、その張力が解放されるようリングを回転させる位置エネルギを有する。したがって、ワイヤーに負荷をかける(伸長する)ために使用される機械エネルギは、今度は、機構を駆動するのに使用され、各ワイヤーの各サイクル内の解放過程中に機械エネルギを回復させる。図15に示されるドラム構造の熱弾性ワイヤーおよびプレートに適した材料は、それぞれ、一次元作業SMA材料及び二次元SMA材料である。さらに、熱弾性ワイヤー(1次元SMA材料)を二次元SMA材料からなる熱弾性片及び熱弾性シートに置換してもよい。
【0033】
本発明の他の実施例は、図16(A)、16(B)および16(C)に図示されるように、回転圧縮構造を使用する熱弾性冷却システムである。図16(A)、16(B)および16(C)に示される回転圧縮構造の主要部は、外壁44、上部圧縮負荷プレート45、中心駆動軸46および体積が同一の冷媒ユニット47である。図16(A)に示すように、上部圧縮負荷プレート45は、設計角度傾いて駆動軸46に取り付けられている。運転中、駆動軸46は、設計回転数で回転する。上部圧縮負荷プレート45が、壁44の内側に予め設置されている場合、上部圧縮負荷プレート45の低い方の側にある冷媒ユニット47は、完全に圧縮され他相へと変態し、上部圧縮負荷プレート45の高い方の側にある冷媒ユニット47は、元の相に維持される。運転中、駆動軸46は、設計回転数で回転する。上部圧縮負荷プレート45の低い方の側が、冷媒ユニット47に向かって回転すると、ユニットは圧縮及び相変態を経て、その結果、ユニットが完全に変態する、すなわち、潜熱の放出が止まる点まで、潜熱を放出する。言い換えれば、冷媒ユニット47が圧縮されると熱が生成され、周囲またはヒートシンクに放出することによって、システムから熱が除去されなければならない。低い方の側が冷媒ユニット47から遠ざかるように回転すると、冷媒の圧縮は解放され、冷媒ユニット47がオーステナイトに戻る結果、熱を吸収する。冷媒ユニット47が圧縮されている間、冷媒ユニット47は、その圧縮を解放するように上部圧縮負荷プレート45を押し返す位置エネルギを有する。したがって、冷媒に負荷をかける(圧縮する)のに使用される機械エネルギは、今度は、機構を駆動するのに使用される。これにより、各冷媒の各サイクル内の解放過程中に機械エネルギが回復する。回転圧縮システムに適した冷媒材料は、三次元SMA材料である。
【0034】
さまざまな材料または冷媒が、熱弾性冷却システムの実施例で使用されうる。材料は、12J/gよりも大きい潜熱を伴う可逆応力誘起固相−固相変態を示し、相変態を誘起するのに250MPaよりも小さい応力を必要とするのが好ましい。一旦応力印加から取り除かれた冷媒が、応力誘起マルテンサイトからオーステナイト状態へ完全に回復することを保証するよう、冷凍空間の温度は、材料のオーステナイト終了温度よりも高くなっている。冷媒は、最もマルテンサイトへの変態が進んだマルテンサイト状態から最もオーステナイトへの変態が進んだオーステナイト状態へと変態する場合、潜熱のほとんどを吸収できる。例えば、NiTi、CuAlNi、CuZnAl、FePd、NiMnGa、FeMn、CuZnNi、AuCd等の既存の合金、及び調整された熱処理プロファイルを持つ、または、C、Hまたは他の遷移金属等の添加物を有するNiTi、CuAlNi、CuZnNi、FePd、AuCd、及びNiMnGaの派生合金が好ましい材料である。
【0035】
非金属材料も熱弾性冷却システムに使用できる。金属熱弾性材料に加え、特定のポリマーも熱弾性冷媒として使用できる。
【0036】
本発明において、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能であることは、当業者にとって明らかである。したがって、本発明は、添付の請求項及びそれと同等の範囲内において、種々の変形に及ぶものである。例えば、明細書中で開示された再生器のいずれか一つを適切にヒートシンク及び冷凍空間(すなわち、冷凍対象の空間)に接続するため、当業者は、本発明の再生器の熱放出及び吸収特性が、冷却システムを構築するのに効果的に利用されるように、周知の熱的結合配置及び構造を、(上述した新たな構造の代わりに、または、新たな構造に加えて)容易に適用または適切に変形することができる。したがって、本発明の再生器と周知の熱的結合配置及び構造との組み合わせにより構築される冷却システム及び熱交換システムは、本発明の要旨の範囲内にあり、したがって、このようなシステムは、添付の請求項及びそれと同等の範囲内となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートシンクと、
冷凍空間と、
熱を前記冷凍空間から前記ヒートシンクへくみ上げるように、前記冷凍空間および前記ヒートシンクと接続された再生器と、を備え、
前記再生器は、熱弾性効果を示すことが可能な複数の固体冷却材料から構成される冷却システム。
【請求項2】
前記再生器は、直接接触によって、前記冷凍空間および前記ヒートシンクに接続されている請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記再生器は、循環熱交換媒体によって、前記冷凍空間および前記ヒートシンクに接続されている請求項1に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記固体冷却材料が応力を加えられている間に、前記固体冷却材料が前記ヒートシンクと熱的に接触する場合、前記固体冷却材料は熱を前記ヒートシンクへ放出し、
前記固体冷却材料があらかじめ応力を加えられた状態から弛緩されている間に、前記固体冷却材料が前記冷凍空間と熱的に接触する場合、前記固体冷却材料は前記冷凍空間から熱を吸収する請求項1に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記固体冷却材料は、張力、圧縮、またはねじりの印加によって、応力を加えられている請求項4に記載の冷却システム。
【請求項6】
一方の固体冷却材料集合が応力を加えられている場合、他方の固体冷却材料集合は弛緩されるように、2つの固体冷却材料集合が接続される請求項4に記載の冷却システム。
【請求項7】
前記固体冷却材料は、応力、電界、磁場、温度、光または溶体の使用によって、可逆オーステナイト−マルテンサイト相転移を受ける請求項1に記載の冷却システム。
【請求項8】
前記固体冷却材料が可逆オーステナイト−マルテンサイト相転移を受けると、熱が放出され、前記熱は1J/gよりも大きい請求項7に記載の冷却システム。
【請求項9】
前記固体冷却材料は、前記冷凍空間の設計温度以下の温度でマルテンサイトからオーステナイト相に完全に変態する請求項7の冷却システム。
【請求項10】
前記固体冷却材料は、ニッケルチタン合金、銅・アルミ・ニッケル、ニッケル黄銅、銅・亜鉛・アルミニウム、鉄・パラジウム、金・カドミウム、ニッケル・マンガン・ガリウム、鉄・マンガン、及び、ニッケルチタン合金、銅・アルミ・ニッケル、ニッケル黄銅、鉄・パラジウム、金・カドミウム、鉄・マンガン及びニッケル・マンガン・ガリウムの派生合金のうちの少なくとも一つの合成物から構成される請求項1の冷却システム。
【請求項11】
前記固体冷却材料は、熱の吸収または放出を伴う可逆固相−固相転移を示すポリマーの合成物から構成される請求項7の冷却システム。
【請求項12】
前記冷媒は、少なくとも1つの熱弾性材料と、鎖、ベルト、ワイヤー、泡、板、紐、薄膜、シート、棒、チューブまたは管状の構造材料との組み合わせからなる請求項1の冷却システム。
【請求項13】
第1の固体冷却材料集合を弛緩することによって機械エネルギが生成され、前記機械エネルギは、第2の固体冷却材料集合に応力を加えるのに使用されることができる請求項6の冷却システム。
【請求項14】
前記再生器は、二つのギア集合と、複数の固体熱弾性冷媒を備えるベルトとを備え、
前記ベルト上の前記固体熱弾性冷媒は、第1のギア集合によって応力を加えられて熱を放出し、第2のギア集合によって弛緩されて熱を吸収する請求項1に記載の冷却システム。
【請求項15】
前記再生器は、二つのドラムと、ドラムに巻かれた複数の固体冷媒ワイヤーとを備え、
各ドラムは、複数のセクションからなり、
前進するドラムセクションが速く回転するにつれて前記固体冷媒ワイヤーが前記ドラム上に巻かれると、前記固体冷媒ワイヤーが応力を加えられ前記ドラムに熱を放出し、前進するドラムセクションが遅く回転するにつれて前記固体冷媒ワイヤーが前記ドラム上に巻かれると、前記固体冷媒ワイヤーは弛緩され前記ドラムから熱を吸収するように、前記ドラムの各セクションは異なる速度で回転する請求項1の冷却システム。
【請求項16】
前記再生器は、プレートの集合を備え、
前記プレートは、トルクをかけられて熱を放出し、弛緩されて熱を吸収する請求項1記載の冷却システム。
【請求項17】
前記再生器は、いずれも可逆相変態の途中にあるように圧縮される2つの固体冷媒集合を備え、
一方の固体冷媒集合は応力を加えられ、熱を放出しながらマルテンサイトへと完全に変態し、もう一方の固体冷媒集合は弛緩され、熱を吸収しながらオーステナイトへと完全に変態する請求項1の冷却システム。
【請求項18】
前記再生器は、固体冷媒ワイヤーを有する1組の端板を備え、
前記固体冷媒ワイヤーは、初期位置で前記端板の間で、前記端板に取り付けられており、
前記二つの端板がそれぞれ反対方向に回転すると、前記固体冷媒ワイヤーは応力を加えられて熱を放出し、前記二つの端板が元の位置に戻ると、前記固体冷媒ワイヤーは弛緩されて熱を吸収する請求項1に記載の冷却システム。
【請求項19】
前記再生器は、固体冷媒ワイヤーを有する二つの端板を備え、
前記固体冷媒ワイヤーは、前記二つの端板の間に取り付けられており、
第1の端板は、前記第1の端板と非平行の傾いた位置に取り付けられ、
傾けられた板の高い方の端にある固体冷媒ワイヤーは、常に応力が加えられた状態にあり熱を放出し、傾けられた板の低い方の端にある固体冷媒ワイヤーは、常に弛緩された状態にあり熱を吸収する請求項1に記載の冷却システム。
【請求項20】
前記再生器は、二つの回転ドラムと、前記二つのドラムの間で前記二つのドラムに取り付けられた複数の固体冷媒ワイヤーとを備え、
前記固体冷媒ワイヤーは、ドラムの回転に基づいて、完全に応力が加えられてから完全に弛緩されるまで変化する請求項1に記載の冷却システム。
【請求項21】
ヒートシンクと、
冷凍空間と、
オーステナイト相及びマルテンサイト相を有し、機械的に応力を加えられた場合、オーステナイト相からマルテンサイト相への相転移を受け潜熱を放出し、機械的に応力を加えられた状態から弛緩された場合、マルテンサイト相からオーステナイト相への相転移を受け潜熱を吸収する熱弾性材料と、
前記ヒートシンクに潜熱を放出するためのオーステナイト相からマルテンサイト相への相転移を引き起こすために前記熱弾性材料に機械的に応力を加え、前記冷凍空間から潜熱を吸収するためのマルテンサイト相からオーステナイト相への相転移を引き起こすために機械的に応力を加えられた前記熱弾性材料を弛緩する応力弛緩手段と、を有する再生器と、
を備える冷却システム。
【請求項22】
冷凍空間から熱を取り出し、ヒートシンクに熱を放出するために熱交換システムで用いられる再生器であって、
オーステナイト相及びマルテンサイト相を有し、機械的に応力を加えられた場合、オーステナイト相からマルテンサイト相への相転移を受け潜熱を放出し、機械的に応力を加えられた状態から弛緩されると、マルテンサイト相からオーステナイト相への相転移を受け潜熱を吸収する熱弾性材料と、
前記熱弾性材料から潜熱を放出するためのオーステナイト相からマルテンサイト相への相転移を引き起こすために前記熱弾性材料に機械的に応力を加え、潜熱を吸収するためのマルテンサイト相からオーステナイト相への相転移を引き起こすために機械的に応力が加えられた前記熱弾性材料を弛緩する応力弛緩手段と、
を備える再生器。
【請求項23】
前記応力弛緩手段は、前記熱弾性材料に機械的に応力を加えるために、張力、圧縮、ねじり力のうちの少なくとも1つを印加する請求項22に記載の再生器。
【請求項24】
前記熱弾性材料として、少なくとも二つの熱弾性部材集合を備え、
前記応力弛緩手段は、前記熱弾性部材集合の一方に機械的に応力を加え、同時に、前記少なくとも二つの前記熱弾性部材集合のうち少なくとも一方を弛緩する請求項22に記載の再生器。
【請求項25】
前記熱弾性材料は、ニッケルチタン合金、銅・アルミ・ニッケル、ニッケル黄銅、銅・亜鉛・アルミニウム、鉄・パラジウム、金・カドミウム、ニッケル・マンガン・ガリウム、鉄・マンガン、および、ニッケルチタン合金、銅・アルミ・ニッケル、ニッケル黄銅、鉄・パラジウム、金・カドミウム、鉄・マンガン及びニッケル・マンガン・ガリウムの派生合金のうちの少なくとも一つの合成物から構成される請求項22に記載の再生器。
【請求項26】
前記熱弾性材料は、熱の吸収または放出を伴う可逆固相−固相転移を示すポリマーの合成物を含む請求項22に記載の再生器。
【請求項27】
前記熱弾性材料は、鎖、ベルト、ワイヤー、泡、板、紐、薄膜、シート、棒、チューブまたは管状の少なくとも一部に成形されている請求項22に記載の再生器。
【請求項28】
前記熱弾性材料として、複数の固体熱弾性部材を備え、
前記応力弛緩手段は、機械エネルギが前記複数の固体熱弾性部材のうち少なくとも一つを弛緩することによって生成され、前記機械エネルギが前記複数の固体熱弾性部材の少なくとも他の一つに応力を加えるのに使用されるように、前記複数の固体熱弾性部材に接続される請求項22に記載の再生器。
【請求項29】
前記応力弛緩手段は、第1及び第2のギア集合と、前記熱弾性材料としての複数の熱弾性部材を備えるベルトと、を備え、
前記ベルト上の前記熱弾性部材は、前記第1のギア集合によって応力を加えられて熱を放出し、前記ベルト上の前記熱弾性部材は前記第2のギア集合によって弛緩されて熱を吸収する請求項22に記載の再生器。
【請求項30】
前記熱弾性材料として複数の熱弾性ワイヤーを備え、
前記応力弛緩手段は、前記複数の熱弾性ワイヤーが巻きつけられた二つのドラムを含み、
各ドラムは複数のセクションを含み、
前進するドラムのセクションが速く回転するにつれて前記熱弾性ワイヤーが前記ドラムに巻きつけられると、前記熱弾性ワイヤーが応力を加えられ前記ドラムに熱を放出し、前進するドラムのセクションが遅く回転するにつれて前記熱弾性ワイヤーがドラムに巻きつけられると、前記熱弾性ワイヤーが弛緩され前記ドラムから熱を吸収するように、前記ドラムの各セクションは異なる速度で回転する請求項22に記載の再生器。
【請求項31】
前記熱弾性材料として熱弾性プレートを備え、
前記応力弛緩手段は、熱を放出するために前記熱弾性プレートにトルクをかけ、熱を吸収するために前記熱弾性プレートからトルクを解放する請求項22に記載の再生器。
【請求項32】
前記熱弾性材料として、二つの固体熱弾性部材集合を備え、
前記応力弛緩手段は、前記応力弛緩手段が中立位置にある場合、前記二つの固体熱弾性部材集合がいずれも可逆相変態の途中にあり、一方の固体熱弾性部材集合が応力を加えられて熱を放出する場合、他方の固体熱弾性部材集合は弛緩されて熱を吸収するように、前記二つの固体熱弾性部材集合に接続される請求項22に記載の再生器。
【請求項33】
前記熱弾性材料として固体冷媒ワイヤーを備え、
前記応力弛緩手段は、固体冷媒ワイヤーを有する1組の端板を含み、
前記固体冷媒ワイヤーは、初期位置で前記端板の間に取り付けられ、
前記固体冷媒ワイヤーは、前記二つの端板がそれぞれ反対の方向に回転した場合、応力を受けて熱を放出し、前記二つの端板が初期位置に戻る場合、弛緩されて熱を吸収する請求項22の再生器。
【請求項34】
前記熱弾性材料として固体冷媒ワイヤーを備え、
前記応力弛緩手段は、前記固体冷媒ワイヤーを有する第1及び第2の端板を含み、
前記固体冷媒ワイヤーは、前記第1及び第2の端板の間に取り付けられ、
前記第1の端板は、前記第2の端板から非平行に傾けられた位置に設置され、
傾いた前記板の高い方の端の固体冷媒ワイヤーは常に応力を受けている状態で熱を放出し、傾いた前記板の低い方の端の固体冷媒ワイヤーは常に弛緩された状態で熱を吸収する請求項22に記載の再生器
【請求項35】
二つの回転ドラムと、前記二つの回転ドラムの間で前記二つの回転ドラムに取り付けられる複数の固体冷媒ワイヤーとを備え、
前記固体冷媒ワイヤーは、前記ドラムの回転に基づいて、完全に応力を加えられてから完全に弛緩されるまで変化する請求項22に記載の再生器。
【請求項36】
前記熱弾性材料として複数の円柱状の熱弾性部材を備え、
前記応力弛緩手段は、中央駆動軸と、前記中央駆動軸に斜めに取り付けられた上部圧縮負荷プレートとを備え、
駆動軸が前記上部圧縮負荷プレートを回転させるように駆動された場合、前記複数の円柱状の熱弾性部材が連続的に応力を受けたり弛緩されたりするように、前記複数の円柱状の熱弾性部材は、それぞれの上面が前記上部圧縮負荷プレートに隣接して前記中央駆動軸の回りに配置される請求項22に記載の再生器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−220184(P2012−220184A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−86194(P2012−86194)
【出願日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【出願人】(512089416)
【氏名又は名称原語表記】Jun Cui
【出願人】(511140390)ザ ユニバーシティ オブ メリーランド (2)