説明

熱成形用ポリエチレン系樹脂多層発泡シート

【課題】 本発明は、多数個取りの連続成形法により深絞り形状の成形体を製造することが可能な、熱成形用ポリエチレン系樹脂多層発泡シートを提供することを、その課題とするものである。

【解決手段】 本発明の熱成形用ポリエチレン系樹脂多層発泡シートは、分岐状低密度ポリエチレン(a1)60〜85重量%と直鎖状低密度ポリエチレン(b1)15〜40重量%との混合樹脂(ただし、両者の合計が100重量%である。)を基材樹脂とするポリエチレン系樹脂発泡層の両面に、共押出によりポリエチレン系樹脂層を積層してなる、見掛け密度15〜460kg/m、厚み1〜7mmの多層発泡シートであって、該ポリエチレン系樹脂層の片面あたりの坪量が10〜80g/mであり、該ポリエチレン系樹脂層は、脂肪酸エステル、脂肪族アミンおよび脂肪酸アミドから選択される1以上の収縮防止剤を含み、該樹脂層中の収縮防止剤の配合量が、該樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂100重量部に対して0.7重量部以上であり、該ポリエチレン系樹脂発泡層は、脂肪酸エステル、脂肪族アミンおよび脂肪酸アミドから選択される1以上の収縮防止剤を実質的に含まないことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無架橋の熱成形用ポリエチレン系樹脂多層発泡シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
押出法により得られる無架橋のポリエチレン系樹脂発泡シートは、緩衝性と機械的強度とのバランスに優れ、かつ安価に製造することができ、しかも回収原料をリサイクルできることから、包装材用途等に広く使用されている。
【0003】
しかし、無架橋のポリエチレン系樹脂発泡シートは、熱成形する際に、ポリエチレン系樹脂の結晶が加熱により融解して急激な粘度変化を起こすため、熱成形可能な成形条件範囲が非常に狭く、深絞り形状の成形体を得ることは容易ではなかった。この問題を解決するために、特許文献1に記載の技術が提案されている。
【0004】
前記特許文献1においては、分岐状低密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンとを含む混合物を基材樹脂とし、特定の融解熱量を示すポリエチレン系樹脂押出発泡体が提案されている(特許文献1)。この技術により、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡体では従来不可能であった、深絞り形状の成形体を熱成形により製造することが可能となった。
【0005】
一方、ポリエチレン系樹脂の押出発泡には、ブタンなどの炭化水素化合物が発泡性に優れることから発泡剤として使用されてきた。しかし、ブタンは空気に比べるとポリエチレン系樹脂に対する透過速度が速いため、発泡体内に空気が流入してくるよりも早く、発泡体からブタンが放散する。その結果、発泡体の内圧(気泡内の圧力)が低下して、発泡シートが収縮してしまう。発泡シートが、押出発泡後に大きく収縮すると、空気が流入しても、所望の発泡倍率まで回復することができなくなる。また、たとえある程度回復したとしても一度収縮してしまった発泡シートは熱成形性に劣るものである。
【0006】
この押出直後の発泡シートの収縮を防ぐための方法として、ポリエチレン系樹脂発泡シートを押出発泡する際に、脂肪酸化合物などを添加する技術が広く行なわれてきた(特許文献3〜7)。特に、熱成形に用いられるような厚手のポリエチレン系樹脂押出発泡シートの製造には、脂肪酸化合物などの収縮防止剤の使用が必須であった。
【0007】
また、このような収縮防止剤の配合下で、特許文献1の押出発泡体の熱成形性をさらに改良するために、分岐状低密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンとを含む基材樹脂に、特定の組み合わせの脂肪酸化合物を配合することにより、発泡シートの成形時の加熱伸びが改善されたポリエチレン系樹脂押出発泡体が提案されている(特許文献7)。
【0008】
【特許文献1】特開2005−154729号公報
【特許文献2】特開昭54−81370号公報
【特許文献3】特開昭54−111573号公報
【特許文献4】特開昭54−127473号公報
【特許文献5】特開平3−215534号公報
【特許文献6】特開平8−090626号公報
【特許文献7】特開2006−274038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記特許文献1および7の技術により、ポリエチレン系樹脂発泡シートの熱成形が可能となった。
しかし、該発泡シートを用いて、深絞り形状の成形体を多数個取りの連続成形法により製造しようとすると、発泡シートの一部が破断してしまったり、または溶融してしまったりすることがあった。
【0010】
即ち、一般的な連続成形方法においては、発泡シートは、その両端が固定された状態で加熱ゾーンに送られて上下面側から加熱され、さらに下流側の成形ゾーンに送られて多数個の成形体が一度に成形される。このとき、発泡シートは両端のみが固定されているため、発泡シートが加熱により軟化すると、その自重によりシート中央部が垂れ下がる現象(ドローダウン)が生じやすくなる。
このドローダウンは発泡シートの加熱ムラの原因となり、加熱の不均一な状態の発泡シートが成形ゾーンに移送され成形されると、加熱不十分な部分が破断してしまったり、加熱されすぎた部分が溶融してしまったりして、成形不良が起きてしまう。
【0011】
特に、結晶性の熱可塑性樹脂を基材樹脂とする発泡シートでは、加熱による樹脂の粘度変化が大きいためにドローダウンが発生しやすく、その中でもポリエチレン系樹脂押出発泡シートの場合、特に大きなドローダウンが発生しやすかった。
【0012】
一方、特許文献7の方法により発泡シートの加熱伸びを改善することが可能となった。しかし、特許文献7の発泡シートは、熱成形時に適正加熱よりも加熱されると、発泡シートが極度に伸びてしまうことがあり、連続成形により深絞りの成形体を得るためには、やはり熱成形性を改善する必要があった。
【0013】
以上説明したように、前記引用文献1及び7の技術により、ポリエチレン系樹脂発泡シートの熱成形性は改良はされたが、更に深絞り形状の成形体を連続成形法で成形しようとすると、良好な成形体を製造することができなかった。従って、深絞り形状の成形体を連続成形法で製造するためには、発泡シートの熱成形性をさらに改良し、成形可能範囲をさらに広げる必要があった。
【0014】
本発明は、多数個取りの連続成形法により深絞り形状の成形体を製造することが可能な、熱成形用ポリエチレン系樹脂多層発泡シートを提供することを、その課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、以下に示す熱成形用ポリエチレン系樹脂多層発泡シートが提供される。
[1] 分岐状低密度ポリエチレン(a1)60〜85重量%と直鎖状低密度ポリエチレン(b1)15〜40重量%との混合樹脂(ただし、両者の合計が100重量%である。)を基材樹脂とするポリエチレン系樹脂発泡層の両面に、共押出によりポリエチレン系樹脂層を積層してなる、見掛け密度15〜460kg/m、厚み1〜7mmの多層発泡シートであって、該ポリエチレン系樹脂層の片面あたりの坪量が10〜80g/mであり、該ポリエチレン系樹脂層は、脂肪酸エステル、脂肪族アミンおよび脂肪酸アミドから選択される1以上の収縮防止剤を含み、該樹脂層中の収縮防止剤の配合量が、該樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂100重量部に対して0.7重量部以上であり、該ポリエチレン系樹脂発泡層は、脂肪酸エステル、脂肪族アミンおよび脂肪酸アミドから選択される1以上の収縮防止剤を実質的に含まないことを特徴とする熱成形用ポリエチレン系樹脂多層発泡シート。
[2] 前記ポリエチレン系樹脂発泡層中の前記収縮防止剤の配合量が、該発泡層を構成する基材樹脂100重量部に対して0.3重量部以下(ただし、0を含む。)であることを特徴とする前記1に記載の熱成形用ポリエチレン系樹脂多層発泡シート。
[3] 前記多層発泡シート全体の厚み(t)[mm]に対するポリエチレン系樹脂層の片面あたりの坪量(m)[g/m]の比(m/t)[g/m・mm]が3〜15であることを特徴とする前記1または2に記載の熱成形用ポリエチレン系樹脂多層発泡シート。
[4] 前記ポリエチレン系樹脂層を構成する基材樹脂が、直鎖状ポリエチレン(b2)であるか、または直鎖状低密度ポリエチレン(b2)と分岐状低密度ポリエチレン(a2)との混合樹脂であり、該樹脂層中の直鎖状低密度ポリエチレン(b2)と分岐状低密度ポリエチレン(a2)との重量比が100:0〜30:70であることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の熱成形用ポリエチレン系樹脂多層発泡シート。
[5] 前記ポリエチレン系樹脂層が非発泡樹脂層であることを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載の熱成形用ポリエチレン系樹脂多層発泡シート。
[6] 前記ポリエチレン系樹脂発泡層の示差走査熱量測定により得られるDSC曲線において、全融解熱量Xが50〜150J/gであり、かつ全融解熱量X[J/g]に対する分岐状低密度ポリエチレン(a1)の結晶の融解に由来する融解ピークの頂点温度以上の融解熱量Y[J/g]の比Y/Xが0.20〜0.50であることを特徴とする前記1〜5のいずれかに記載の熱成形用ポリエチレン系樹脂多層発泡シート。
【発明の効果】
【0016】
本発明のポリエチレン系樹脂多層発泡シート(以下、単に多層発泡シートともいう。)は、特定のポリエチレン系樹脂を基材樹脂とし、実質的に収縮防止剤を含まないポリエチレン系樹脂発泡層(以下、単に発泡層ともいう。)の両面に、十分量の収縮防止剤を含むポリエチレン系樹脂層(以下、単に樹脂層ともいう。)が共押出により積層されてなることにより、押出発泡後の多層発泡シートの収縮が防止され、さらに熱成形時にドローダウンが抑制されると共に樹脂層の伸びが向上しているものである。従って、本発明の多層発泡シートを用いると、従来のポリエチレン系樹脂発泡シートでは不可能であった多数取りの連続成形による深絞り成形が可能となる。更に、生産性が向上し、難度の高い深絞り成形を行っても、シワやヤケのない外観良好な成形品を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の多層発泡シートを構成する発泡層についての熱流束示差走査熱量測定によって得たDSC曲線の一例を示す概念図である。
【図2】本発明の多層発泡シートを構成する樹脂層についての熱流束示差走査熱量測定によって得たDSC曲線の一例を示す概念図である。
【図3】本発明の製造方法の1例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の熱成形用ポリエチレン系樹脂多層発泡シートについて詳細に説明する。
本発明のポリエチレン系樹脂多層発泡シート(以下、単に多層発泡シートともいう。)は、ポリエチレン系樹脂発泡層(以下、単に発泡層ともいう。)と、該発泡層の両面に共押出により積層されたポリエチレン系樹脂層(以下、単に樹脂層ともいう。)を有する多層発泡シートである。
【0019】
先ず、本発明の多層発泡シートを構成するポリエチレン系樹脂発泡層について説明する。
該発泡層を構成する基材樹脂は、分岐状低密度ポリエチレン(a1)と直鎖状低密度ポリエチレン(b1)との特定比率の混合樹脂である。該基材樹脂が上記混合樹脂であることにより、見掛け密度が小さい発泡層が形成可能となると共に、発泡シートの熱成形が可能となる。
【0020】
なお、直鎖状低密度ポリエチレンとは、エチレンとα−オレフィンとの共重合体からなり、直鎖状のポリエチレン主鎖と炭素数2〜6程度の短鎖分岐とを有する、密度915〜940kg/m程度のポリエチレン(PE−LLD)であり、その融点は120℃を超え130℃以下であることが好ましい。また、該直鎖状低密度ポリエチレンとしては、メタロセン重合触媒により重合されたものが、樹脂の引張り破断伸びが大きく、加熱が少なくても裂けを生じ難く、成形可能な温度範囲を広げることができるので、好ましく用いられる。
【0021】
また、該直鎖状低密度ポリエチレンのメルトフローレイト(以下、MFRともいう。)は、押出性や発泡性、発泡シートの熱成形性の観点から、好ましくは0.1〜30g/10分であり、より好ましくは1〜20g/10分、更に好ましくは2〜10g/10分である。
尚、本明細書におけるポリエチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、JIS K7210(1999)A法に準拠して、試験温度190℃、荷重21.18Nで測定される値である。
【0022】
本明細書でいう分岐状低密度ポリエチレンとは、一般に低密度ポリエチレン(PE−LD)と呼ばれる、長鎖分岐を有する、密度910kg/mを超え930kg/m以下のポリエチレンであり、その融点は好ましくは95〜120℃である。
【0023】
また、該分岐状低密度ポリエチレンのMFRは、押出性や発泡性、発泡シートの熱成形性の観点から、好ましくは0.1〜10g/10分であり、より好ましくは0.2〜8g/10分である。
【0024】
本発明の発泡層を構成する混合樹脂においては、分岐状低密度ポリエチレン(a1)の配合量が60〜85重量%であり、直鎖状低密度ポリエチレン(b1)の配合量が15〜40重量%(ただし、両者の合計が100重量%である。)である。該範囲内であれば、基材樹脂の発泡性を維持しつつ、熱成形性にも優れる発泡層が形成される。分岐状低密度ポリエチレン(a1)の配合量が少なすぎると、基材樹脂の発泡性が低下し、見掛け密度が低く、独立気泡率が高い発泡層を得ることができなくなる。一方、直鎖状低密度ポリエチレン(b1)の配合量が少なすぎると、熱成形する際の成形温度範囲が狭くなる。
【0025】
かかる観点から、分岐状低密度ポリエチレン(a1)の配合量は、好ましくは65〜80重量%であり、より好ましくは65〜75重量%である。一方、直鎖状低密度ポリエチレン(b1)の配合量は、好ましくは20〜35重量%であり、より好ましくは25〜35重量%である。ただし、両者の合計は100重量%である。
【0026】
本発明の発泡層について示差走査熱量測定を行うと、得られるDSC曲線には、図1に一例を示すように、分岐状低密度ポリエチレン(a1)の結晶の融解に由来する融解ピークa1が現れ、さらに、該融解ピークa1の頂点よりも高温側に、直鎖状低密度ポリエチレン(b1)の結晶の融解に伴う吸熱b1が加わる。その結果、分岐状低密度ポリエチレン(a1)と直鎖状低密度ポリエチレン(b1)との混合樹脂を基材樹脂とする発泡層のDSC曲線における該融解ピークa1の頂点よりも高温側の融解熱量は、分岐状低密度ポリエチレン(a1)単独を基材樹脂とする発泡層のDSC曲線における該融解ピークの頂点よりも高温側の融解熱量より大きくなる。
【0027】
該発泡層の全融解熱量Xは、好ましくは50〜150J/gであり、より好ましくは70〜130J/gであり、さらに好ましくは80〜120J/gである。該全融解熱量Xがこの範囲内であれば、結晶性ポリエチレン系樹脂として好ましい物性を有する発泡層となる。
更に、該発泡層のDSC曲線において、分岐状低密度ポリエチレン(a1)の結晶の融解に由来する前記融解ピークa1の頂点温度T℃を基準として、該頂点温度T℃以上の融解熱量Y[J/g]の全融解熱量X[J/g]に対する比Y/Xは、好ましくは0.20〜0.50である。該比Y/Xが上記範囲であることにより、多層発泡シートが特に熱成形性に優れたものとなる。かかる観点から、前記比Y/Xは、より好ましくは0.23〜0.40である。
なお、前記融解ピークa1の頂点温度T℃は、分岐状低密度ポリエチレン(a1)の原料ペレットをDSC測定した際の頂点温度から見分けることもできる。
【0028】
本明細書において、全融解熱量X[J/g]、融解ピークa1の頂点温度T℃、該頂点温度T℃以上の融解熱量Y[J/g]は、以下の方法で測定した値を採用する。
融解熱量は、JIS K7122(1987年)に準拠する方法により、「(1)標準状態で調整し転移熱を測定する場合」を採用し、熱流束示差走査熱量計を用いて、多層発泡シートの発泡層から切出した試験片2〜4mgを、加熱速度10℃/分で室温から200℃まで昇温させることにより得たDSC曲線から求める。融解ピークの頂点温度T℃についても、JIS K7121(1987年)に準拠し、同DSC曲線から求める。
【0029】
前記発泡層を構成する基材樹脂の190℃における溶融張力(MT)は、低見掛け密度の発泡層を得るために、好ましくは3〜30cNであり、より好ましくは3.5〜25cNである。
【0030】
上記溶融張力(MT)は、ASTM D1238に準じて測定された値であり、例えば、(株)東洋精機製作所製のキャピログラフ1Dによって測定することができる。具体的には、シリンダー径9.55mm、長さ350mmのシリンダーと、ノズル径2.095mm、長さ8.0mmのオリフィスを用い、シリンダー及びオリフィスの設定温度を190℃とし、試料の必要量を該シリンダー内に入れ、4分間放置して試料を溶融させる。ピストン速度を10mm/分として溶融樹脂をオリフィスから紐状に押出して、この紐状物を直径45mmの張力検出用プーリーに掛け、4分で引き取り速度が0m/分から200m/分に達するように一定の増速で引取り速度を増加させながら引取りローラーで紐状物を引取る。紐状物が破断した際の直前の張力の極大値を溶融張力(cN)とする。
【0031】
但し、上記した方法で溶融張力の測定を行い、引取り速度が200m/分に達しても紐状物が切れない場合には、引取り速度を200m/分の一定速度にして得られる溶融張力(cN)の値を採用する。詳しくは、上記測定と同様にして、引取り速度が200m/分に到達してから溶融張力のデータの取り込みを開始し、30秒後にデータの取り込みを終了する。この30秒の間に得られた縦軸にメルトテンションを、横軸に時間を取ったテンション荷重曲線から得られたテンション最大値(Tmax)とテンション最小値(Tmin)の平均値(Tave)を溶融張力(cN)とする。ここで、上記Tmaxとは、上記テンション荷重曲線において、検出されたピーク(山)値の合計値を検出された個数で除した値であり、上記Tminとは、上記テンション荷重曲線において、検出されたディップ(谷)値の合計値を検出された個数で除した値である。
なお、当然のことながら上記測定において溶融樹脂をオリフィスから紐状に押出す際には該紐状物に、できるだけ気泡が入らないようにする。
【0032】
従来のポリエチレン系樹脂発泡シートにおいては、単層の場合には発泡層に収縮防止剤が配合されることにより、発泡層表面に樹脂層を有する多層発泡シートの場合には発泡層と樹脂層との両方に収縮防止剤が配合されることにより、押出発泡後の発泡シートの収縮抑制または防止が図られていた。しかし、収縮防止剤が発泡シート全体に配合されていることが、発泡シートを加熱した際に著しいドローダウンが発生する原因となっていた。
【0033】
それに対して、本発明の多層発泡シートにおいては、ポリエチレン系樹脂発泡層の両面に十分量の収縮防止剤が配合されたポリエチレン系樹脂層が共押出により積層されており、発泡層には収縮防止剤が実質的に含まれていない。発泡層に収縮防止剤が含まれていなくても、樹脂層に収縮防止剤が含まれていれば、押出発泡後の発泡層の収縮が抑制または防止される。この現象及び効果は、本発明者等により見出された知見である。
本発明の多層発泡シートは、その発泡層には収縮防止剤が含まれていないことにより、熱成形時のドローダウンが小さくなり、連続成形法による熱成形性が著しく向上する。
【0034】
なお、本明細書において、「収縮防止剤を実質的に含まない」とは、収縮防止剤を含まない発泡層と同等のドローダウン性を示す量の収縮防止剤が発泡層に含まれることを排除しない意味であり、通常その配合量は、発泡層を構成する基材樹脂100重量部に対して好ましくは0.3重量部以下(0を含む)、より好ましくは0.1重量部以下(0を含む)であり、特に収縮防止剤は無配合であることが好ましい。
【0035】
前記収縮防止剤として、脂肪酸エステル、脂肪族アミン、脂肪酸アミドなどの従来周知のものが使用できる。
前記脂肪酸エステルとしては、炭素数8〜30の脂肪酸と水酸基を3〜7個有する多価アルコールとのエステルが好ましい。炭素数8以上の脂肪酸としては、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコ酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などが挙げられる。水酸基を3〜7個有する多価アルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エリトリットアラビット、キシリマアット、マンニット、ソルビット、ソルビタンなどが挙げられる。
これらのエステル化合物の中でも、これらの完全エステル化物よりは部分エステル化物、特にモノエステル化物がより顕著な収縮防止効果が得られるため好ましく、ステアリン酸モノグリセライド、ベヘン酸モノグリセライド、又はステアリン酸モノグリセライドとベヘン酸モノグリセライドの混合物が更に好ましい。
【0036】
また、前記脂肪族アミンとしては、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、エイコシルアミン、ドコシルアミン、N−メチルオクタデシルアミン、N−エチルオクタデシルアミン、ヘキサデシルプロピレンジアミン、オクタデシルプロピレンジアミンなどが挙げられる。
【0037】
また、前記脂肪酸アミドとしては、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、N−メチルステアリン酸アミド、N−エチルステアリン酸アミド、N,N−ジメチルステアリン酸アミド、N,N−ジエチルステアリン酸アミド、ジラウリン酸アミド、ジステアリン酸アミド、トリラウリン酸アミド、トリステアリン酸アミドなどが挙げられる。
【0038】
前記収縮防止剤の樹脂層中への配合量は、樹脂層を構成する基材樹脂100重量部に対して0.7重量部以上である。該配合量が少なすぎると収縮防止効果が不充分となる。一方、配合量が多すぎると収縮防止効果が頭打ちとなるためコスト的にメリットがない。該配合量の上限は、概ね3重量部であり、好ましくは2重量部である。
【0039】
該樹脂層は、非発泡であることが好ましいが、発泡させることもできる。ただし、その場合でも、熱成形性を考慮すると、見掛け密度は、好ましくは300kg/m以上であり、より好ましくは450kg/m以上である。
【0040】
該樹脂層を構成する基材樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン(b2)で構成するか、または直鎖状低密度ポリエチレン(b2)と分岐状低密度ポリエチレン(a2)とからなる混合樹脂で構成することが好ましい。
本発明の多層発泡シートは、樹脂層に耐熱性に優れる直鎖状低密度ポリエチレンを含有することにより、熱成形時の耐熱性に優れるものとなり連続成形、且つ深絞り成形が可能なものとなる。
【0041】
前記樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂の中でも、分岐状低密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンとの混合樹脂がより好ましい。樹脂層の基材樹脂が該混合樹脂であることによって、樹脂層の熱成形時における伸張性が良好となることから、熱成形時における樹脂層の伸びが発泡層の伸びに追従するので、得られる成形体の外観が良好となる。但し、直鎖状低密度ポリエチレンの含有量が少なすぎると、多層発泡シートの耐熱性が低下しすぎるので、直鎖状低密度ポリエチレン(b2)の配合量は、好ましくは30重量%以上であり、より好ましくは40重量%以上である。一方、成形時の伸長性の観点からは、直鎖状低密度ポリエチレンの配合量の上限は、好ましくは90重量%であり、より好ましくは80重量%であり、さらに好ましくは70重量%である。
【0042】
前記樹脂層について示差走査熱量測定を行うと、例えば、該樹脂層が分岐状低密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンとを含む場合、得られるDSC曲線には、図2に一例を示すように、分岐状低密度ポリエチレン(a2)の結晶の融解に由来する融解ピークa2が現れ、該融解ピークa2より高温側に、直鎖状低密度ポリエチレン(b2)の結晶の融解に由来する吸熱b2が見られる。
【0043】
該樹脂層の全融解熱量Aは、好ましくは50〜150J/gであり、より好ましくは70〜130J/g、更に好ましくは80〜120J/gである。全融解熱量Aが上記範囲内であれば、樹脂層を構成する結晶性ポリエチレン系樹脂として好ましい物性を有するものとなる。
【0044】
更に、樹脂層のDSC曲線において、発泡層を構成する分岐状低密度ポリエチレン(a1)の結晶の融解に由来する前記融解ピークa1の頂点温度T℃を基準として、該頂点温度以上の融解熱量Bの全融解熱量A[J/g]に対する比B/Aは、好ましくは0.20〜0.50である。
該比B/Aが上記範囲内であることにより、特に熱成形性に優れた多層発泡シートとなる。かかる観点から、比B/Aの範囲は、より好ましくは0.23〜0.48であり、さらに好ましくは0.25〜0.46である。さらに、熱成形性をより向上させるためには、比B/Aの値は前記比Y/Xの値よりも大きいことが好ましく、比B/Aの値は、より好ましくは比Y/Xの値の1.1以上であり、さらに好ましくは1.2倍以上である。
【0045】
樹脂層の全融解熱量A[J/g]、発泡層の融解ピークa1の頂点温度T℃以上の融解熱量B[J/g]の熱流束示差走査熱量計による測定は、前記発泡層についての全融解熱量X[J/g]、融解ピークa1の頂点温度、該頂点温度以上の融解熱量Y[J/g]の測定と同様に行なうものとする。なお、測定用試料は、多層発泡シートから発泡層が含まれないように樹脂層を切り出して調製する。
【0046】
なお、前記発泡層および樹脂層を構成する基材樹脂には、本発明の目的及び効果を阻害しない範囲で、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の分岐状低密度ポリエチレンおよび直鎖状低密度ポリエチレン以外のその他のポリエチレン系樹脂、また、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、エチレンプロピレンゴム等のゴム、エチレン−オクテン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のエラストマーなどが含まれていてもよい。その場合、前記その他のポリエチレン系樹脂などの添加量は、基材樹脂中、好ましくは40重量%以下、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下とする。
【0047】
なお、樹脂層には、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、導電性付与剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃剤等の機能性添加剤、無機充填剤等の各種添加剤を含有することができる。具体的には、樹脂層に帯電防止剤を含有させれば、該樹脂層が帯電防止性能を有することにより、埃がつかず、食品用及び機械部品用に好適な成形体を得ることができる。
【0048】
本発明の多層発泡シートの厚みは、1〜7mmである。該厚みが1mm未満の場合、深絞り成形により得られる成形体の肉厚が不十分となり、緩衝性が低下するとともに成形体の保型性が不十分となり、製品を収納した際に成形体が型くずれする等の問題が生じる。一方、厚みが7mmを超える場合には多層発泡シートの肉厚が不均一となり易く、成形する際に内部まで均一に加熱することが困難となるため成形性が悪くなり、得られる成形体の外観も悪化する。上記観点から、多層発泡シートの厚みは、好ましくは1.5〜6mm、より好ましくは2〜5mmである。
【0049】
尚、本明細書でいう多層発泡シートの厚みは、樹脂層と発泡層を含む多層発泡シート全体のシート厚みをいう。なお、多層発泡シート、発泡層、樹脂層それぞれの厚みは次のようにして測定する。
多層発泡シートを押出方向に直行する方向に垂直に切断し、該切断面の厚みを顕微鏡により等間隔に幅方向に10点撮影を行い、撮影した各点における多層発泡シート、発泡層、樹脂層の厚みを測定し、得られた値の算術平均値を夫々の厚みとする。
【0050】
該多層発泡シートの坪量は、好ましくは80〜360g/m、より好ましくは100〜250g/mである。該多層発泡シートの坪量がこの範囲内であれば、得られる深絞り成形容器が、機械的強度と軽量性とのバランスに優れたものとなる。
【0051】
本発明における樹脂層の片面あたりの坪量は10〜80g/mである。
該樹脂層の坪量が小さすぎる場合には、樹脂層に十分量の収縮防止剤が配合されていても、押出発泡後の著しい収縮を抑制することができないため、発泡シートの熱成形性が悪くなる。一方、該樹脂層の坪量が大きすぎる場合には、樹脂層を過度に加熱しないと熱成形できなくなり、その結果、発泡層の連続気泡率が上昇しやすく、十分な緩衝性やコシ強度が得られなくなる虞がある。かかる観点から、該樹脂層の片面あたりの坪量は、好ましくは15g/m〜60g/m、より好ましくは20g/m〜40g/mである。
【0052】
本発明書において、多層発泡シートの坪量は、発泡シート全幅に亘って幅250mmの試験片を切り出し、試験片の重量(g)を該試験片の面積(シート幅(mm)×250mm)で割り算し、1m当たりの重量に換算した値(g/m)を採用する。
【0053】
また、各樹脂層の坪量は、樹脂層の厚みをシート全幅に亘り等間隔に幅方向に10点測定し、得られた値の算術平均値を樹脂層の平均厚みとし、該平均厚みに樹脂層を構成している樹脂の密度を乗じ、単位換算した値(g/m2)を採用する。また、製造時の樹脂層の吐出量が分かっている場合には、吐出量から求めても良い。
【0054】
本発明の多層発泡シートの見掛け密度は15〜460kg/mである。
多層発泡シートの見掛け密度が低すぎる場合、熱成形性が低下し、また熱成形により得られた成形体の圧縮強度等の剛性が不十分となる虞がある。一方、多層発泡シートの見掛け密度が高すぎる場合、熱成形により得られる成形体の緩衝性が不十分となるおそれがある。上記観点から多層発泡シートの見掛け密度は、好ましくは20〜200kg/m、より好ましくは30〜100kg/m、更に好ましくは40〜90kg/mである。
【0055】
なお、多層発泡シートの見掛け密度は、前記のようにして求めた多層発泡シートの坪量(g/m)を、多層発泡シートの厚み(mm)で除した値を単位換算(kg/m)して求めた値を採用する。
【0056】
本発明の多層発泡シートにおいては、該多層発泡シート全体の厚み(t)[mm]に対する前記樹脂層の片面あたりの坪量(m)[g/m]の比(m/t)(g/m・mm)は、好ましくは3〜15である。
該比(m/t)がこの範囲となるように共押出発泡された多層発泡シートは、押出発泡後の急激な収縮が抑制される。さらに、発泡後の収縮を抑制するのに十分な収縮防止剤が配合された発泡層のみからなる単層の発泡シートに比べて発泡剤放散速度が速くなり、養生期間も短縮される。すなわち、発泡剤の散逸を防止し、収縮を防止し、且つ発泡剤と空気とのガス置換が早い多層発泡シートを得ることは、樹脂層のガス透過速度をコントロールすることにより可能になる。その場合、樹脂層に加えられる収縮防止剤の配合量とともに、樹脂層の樹脂量も大きな要因となる。具体的には、積層発泡シートを製造する際に、押出直後の積層発泡シート全体の厚みt[mm]に対する片面当たりの表面層の坪量m[g/m]の比(m/t)を上記範囲内としておけばよい。
【0057】
かかる観点から、該比(m/t)は、より好ましくは4〜12、さらに好ましくは4〜10である。
【0058】
本発明の多層発泡シートの連続気泡率は、好ましくは40%以下である。多層発泡シートの連続気泡率が40%を超えると、熱成形性が低下する虞があり、さらに熱成形により得られる成形体の圧縮強度等の剛性が低下する虞がある。また、多層発泡シートの剛性が低下することから、成形した際に、金型通りの形状の成形体が得られなくなるおそれがある。上記観点から前記多層発泡シートの連続気泡率は、より好ましくは30%以下であり、更に好ましくは20%以下、特に好ましくは15%以下である。
【0059】
多層発泡シートの連続気泡率:S(%)は、ASTM D2856−70に記載されている手順Cに準拠し、東芝ベックマン株式会社製の空気比較式比重計930型を使用して測定される多層発泡シートの実容積(独立気泡の容積と樹脂部分の容積との和):Vx(L)から、下記(1)式により算出される値であり、全気泡中に連続気泡が占める割合である。
S(%)=(Va−Vx)×100/(Va−W/ρ) (1)
【0060】
但し、上記(3)式中の、Va、W、ρは以下の通りである。
Va:測定に使用した発泡シート試験片の外寸法から計算される見掛け容積(cm
W :試験片の重量(g)
ρ :試験片を構成する樹脂の密度(g/cm
【0061】
なお、連続気泡率の測定は、多層発泡シートの気泡中の発泡剤と空気との置換が完了した後に行うこととする。また、試験片を構成する樹脂の密度ρ(g/cm)及び試験片の重量W(g)は、多層発泡シートから採取した試験片を加熱プレスにより気泡を脱泡させてから冷却する操作を行い、得られた試験片から求めることができる。
【0062】
本発明の多層発泡シートの発泡層の平均気泡径は(押出方向の平均気泡径:x(mm)及び幅方向の平均気泡径:y(mm))、好ましくは各々0.5〜1.5mmである。該平均気泡径がこの範囲内であれば、強度、成形性、外観に優れる多層発泡シートとなる。
【0063】
また、厚み方向の平均気泡径をz(mm)としたとき、上記押出方向の平均気泡径xに対する厚み方向の平均気泡径zの比z/xは、好ましくは0.6〜1.1であり、上記幅方向の平均気泡径yに対する厚み方向の平均気泡径zの比z/yは、好ましくは0.6〜1.1である。z/x、z/yの値が上記範囲であれば、多層発泡シートは圧縮強度に優れ、熱成形時の伸展性が良好なものとなり、z/x、z/yの値が1.0に近いほど、即ち気泡形状が球形に近いほど圧縮強度が特に良好なものとなり、熱成形時の発泡体の伸展性も特に良好となる。
【0064】
上記押出方向の平均気泡径x、幅方向の平均気泡径y、厚み方向の平均気泡径zは、それぞれ以下のようにして測定したものである。
幅方向の平均気泡径:多層発泡シートの押出方向に対して直交する垂直断面の中央部付近に幅方向に長さ30mmの線分を引き、この線分上にある気泡の数を測定し、線分の長さを気泡数で割った値を幅方向の平均気泡径:x(mm)として採用する。
押出方向の平均気泡径:多層発泡シートの幅方向中央部を、押出方向に沿って垂直に切断し、その断面の中央部付近に押出方向に長さ30mmの線分を引き、この線分上にある気泡の数を測定し、線分の長さを気泡数で割った値を押出方向の平均気泡径:y(mm)として採用する。
厚み方向の平均気泡径:切り取った多層発泡シート試験片の幅方向中央部を、押出方向に沿って垂直に切断し、その試験片断面における中央部付近に発泡層の全厚みに線分を引き、この線分上にある気泡の数を測定し、線分の長さを気泡数で割った値を厚み方向の平均気泡径:z(mm)として採用する。
なお、これらの線分の始点は気泡壁の外側の端から引くこととする。
【0065】
次に、本発明の熱成形用ポリエチレン系樹脂多層発泡シートの製造方法について説明する。
本発明の多層発泡シートを構成する発泡層は、押出発泡により製造され、樹脂層は共押出により積層される。
【0066】
共押出法により多層発泡シートを製造する方法には、共押出用フラットダイを用いてシート状に共押出発泡させて積層する方法と、共押出用環状ダイを用いて筒状多層発泡体を共押出発泡し、次いで筒状多層発泡体を切り開いてシート状の多層発泡シートとする方法等がある。これらの中では、共押出用環状ダイを用いる方法が、コルゲートと呼ばれる波状模様の発生を抑えることや、幅が1000mm以上の幅広の多層発泡シートを容易に製造することができるので、好ましい方法である。
【0067】
以下、共押出用環状ダイを用いる多層発泡シートの製造方法について説明する。
前記環状ダイを用いて共押出しする場合、図3に示すように、まず、直鎖状低密度ポリエチレン(A1)と必要に応じて添加する分岐状低密度ポリエチレン(B1)、収縮防止剤(C1)を樹脂層形成用押出機11に供給し、加熱溶融し混練して、樹脂層形成用樹脂溶融物(E1)とする。
【0068】
同時に、直鎖状低密度ポリエチレン(A2)、分岐状低密度ポリエチレン(B2)と、必要に応じて添加される添加剤(G)とを発泡層形成用押出機12に供給し、加熱溶融し混練してから物理発泡剤(K)を圧入し、さらに混練し、発泡可能な樹脂温度T2に調整して発泡層形成用樹脂溶融物(E2)とする。
【0069】
尚、本発明の共押出方法においては、環状ダイの出口内で樹脂層形成用樹脂溶融物(E1)と発泡層形成用樹脂溶融物(E2)とを積層することが好ましい。また、前記環状ダイ、押出機、円柱状冷却装置、筒状多層発泡シートを切開く装置等は、従来押出発泡の分野で用いられてきた公知のものを用いることができる。
【0070】
前記物理発泡剤(K)としては、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン等の脂肪族炭化水素が挙げられる。これら脂肪族炭化水素のほかに、塩化メチル、塩化エチル等の塩化炭化水素、1,1,1,2−テトラフロロエタン、1,1−ジフロロエタン等のフッ化炭化水素等の有機系物理発泡剤、酸素、窒素、二酸化炭素、空気等の無機系発泡剤、アゾジカルボンアミド等の分解型発泡剤を併用することもできる。上記した発泡剤は、2種以上を混合して使用することが可能である。これらのうち、特に発泡性に優れることからノルマルブタン、イソブタン、又はこれらの混合物を主成分とするものが好適である。
【0071】
また、発泡層形成用樹脂組成物には、気泡調整剤として有機系のもの、無機系のもののいずれも添加することができる。無機系気泡調整剤としては、ホウ酸亜鉛、ホウ酸マグネシウム、硼砂等のホウ酸金属塩、塩化ナトリウム、水酸化アルミニウム、タルク、ゼオライト、シリカ、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。また有機系気泡調整剤としては、リン酸−2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム等が挙げられる。またクエン酸と炭酸水素ナトリウム、クエン酸のアルカリ塩と炭酸水素ナトリウム等を組み合わせたもの等も気泡調整剤として用いることができる。これらの気泡調整剤は2種以上を混合して用いることができる。
【0072】
上記発泡剤の添加量は、発泡剤の種類、目的とする見掛け密度に応じて調整することができる。例えば、発泡剤としてブタンを用いた場合には、ブタンの添加量は発泡層の基材樹脂100重量部当たり好ましくは1.0〜15.0重量部、1.より好ましくは5〜12.0重量部、更に好ましくは2.0〜10.0重量部である。
【0073】
また気泡調整剤の添加量は、目的とする気泡径に応じて調節することができる。気泡調整剤としてクエン酸モノナトリウムと炭酸水素ナトリウムとの混合物(大日精化工業株式会社製「ファインセルマスターSSC−PO208K」を用いた場合には、その添加量は発泡層の基材樹脂100重量部当たり好ましくは0.1〜2.0重量部、より好ましくは0.2〜1.5重量部である。気泡調整剤としてタルクを用いた場合も前記と同様な添加量である。
【0074】
発泡層形成用樹脂溶融物には、気泡調整剤の他に更に造核剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、導電性付与剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃剤等の機能性添加剤、無機充填剤等を添加することができる。
【0075】
なお、樹脂層形成用樹脂溶融物(E1)には、揮発性可塑剤(D)を添加して、樹脂溶融物(E1)の溶融粘度を低下させる方法を用いることもできる。揮発性可塑剤(D)は樹脂層形成後に、該樹脂層より揮発して樹脂層中に存在しなくなるものが用いられる。揮発性可塑剤(D)を樹脂溶融物(E1)中に添加することにより、多層発泡シートを共押出しする際に、溶融状態の樹脂層(J)の溶融伸びを著しく向上させることができる。そうすると、該樹脂層(J)の伸びが、発泡層(I)の発泡時の伸びに追随するので、樹脂層(J)の伸び不足による亀裂発生が防止される。
【0076】
揮発性可塑剤(D)は、炭素数3〜6の脂肪族炭化水素、炭素数4〜7の脂環式炭化水素、炭素数1〜4の脂肪族アルコール、又は炭素数2〜8の脂肪族エーテルから選択される1種、或いは2種以上のものが好ましく用いられる。滑剤のように揮発性の低いものを可塑剤として用いた場合、滑剤等は樹脂層(J)に残存し、成形体の収容物を汚染することがある。これに対し揮発性可塑剤(D)は、樹脂層(J)の樹脂を効率よく可塑化させ、得られる樹脂層(J)に揮発性可塑剤自体が残り難いという点から好ましいものである。
【0077】
前記炭素数3〜6の脂肪族炭化水素としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサンなどが挙げられる。
【0078】
前記炭素数4〜7の脂環式炭化水素としては、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンなどが挙げられる。
【0079】
前記炭素数1〜4の脂肪族アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ノルマルブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどが挙げられる。
【0080】
前記炭素数2〜8の脂肪族エーテルとしては、例えば、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテルなどが挙げられる。
【0081】
揮発性可塑剤(D)の沸点は、樹脂層(J)から揮発し易いことから、120℃以下が好ましく、より好ましくは80℃以下である。揮発性可塑剤(D)の沸点がこの範囲であれば、共押出しした後、得られた多層発泡シート(H)を放置しておけば、共押出し直後の熱により、更に後の室温下でのガス透過により、揮発性可塑剤(D)は多層発泡シートの樹脂層(J)から自然に揮散して、自然に除去される。該沸点の下限値は、概ね−50℃である。
【0082】
揮発性可塑剤(D)の添加量は、樹脂層の基材樹脂100重量部に対して3重量部〜50重量部が好ましい。上記範囲内であれば、混練時のせん断による樹脂層形成用樹脂溶融物の発熱が抑えられるので、共押出時に発泡層形成用樹脂溶融物(E2)の樹脂温度の上昇が抑えられ(温度低下効果)、発泡層の気泡が破泡する等の弊害が防止される。さらに、揮発性可塑剤(D)は、共押出時に発泡層形成用樹脂溶融物(E2)の発泡に追随する樹脂層形成用樹脂溶融物(E1)の伸張性を向上させる効果(伸張性改善効果)も有する。揮発性可塑剤(D)の添加量が前記範囲内であれば、ダイリップから揮発性可塑剤が噴き出したりすることがなく、樹脂層(J)に穴が開いたり、表面が凹凸状となり表面平滑性が低下したりすることが防止される。
【0083】
本発明の多層発泡シートは熱成形用のものであり、該多層発泡シートを加熱軟化させた後、雄型及び/又は雌型からなる金型を使用して成形する熱成形法によって成形体を得ることができる。本発明の成形体としては、例えば、桃、梨、トマト等の果菜用容器や、電子部品トレー等が挙げられる。
【0084】
多層発泡シートの熱成形法としては、例えば、真空成形や圧空成形、更にこれらの応用としてフリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースドロー成形等やこれらを組み合わせた熱成形方法等が挙げられる。このような熱成形法は、短時間に連続して成形体を得ることができるので好ましい方法である。
【0085】
本発明の多層発泡シートを用いると、成形容器等を連続成形する場合、長尺な多層発泡シートの両側縁をクランプして加熱ゾーンに搬送し、該加熱ゾーンでシートの両面をヒーター加熱してシートを成形可能な状態に軟化させた後、成形ゾーンに移送して所定形状に成形する工程を連続して行なう際に、加熱ゾーンにおいて加熱された際のシートの自重による垂れ下がり(ドローダウン)が抑制されることから、多層発泡シートを均一に加熱することが可能となり、多数個取りの深絞り成形を行なうことが可能となる。
【0086】
本発明の多層発泡シートから連続成形により得られた深絞り成形体は、破れや、表面ヤケと呼ばれる凹凸がなく、外観良好であるとともに、圧縮強度等の剛性に優れるため、果菜等を収納して輸送した場合でも成形体が型くずれしたり収納品がこぼれたりする虞がない成形体である。
【0087】
なお、本明細書において、深絞り成形体とは、展開倍率が2以上、好ましくは2.5以上の成形体をいう。ここで展開倍率とは、成形体の投影面積に対する該成形体の片面あたりの表面積の比:(表面積)/(投影面積)をいう。
【0088】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は実施例により限定されるものではない。
【0089】
以下の実施例、比較例において用いた樹脂は、次の通りである。
(1)LD1:分岐状低密度ポリエチレン「F102」(住友化学工業株式会社製、密度922kg/m、MFR0.3g/10分、溶融張力18cN、融点109℃、結晶化温度95℃)
(2)LL1:直鎖状低密度ポリエチレン「AM630A」(日本ポリエチレン株式会社製、密度924kg/m、MFR8.0g/10分、融点125℃)
(3)LL2:直鎖状低密度ポリエチレン「NM664N」(日本ポリエチレン株式会社製、密度919kg/m、MFR8.0g/10分、融点124℃)
【0090】
気泡調整剤として、タルク(松村産業株式会社製商品名「ハイフィラー#12」)を用いた。
【0091】
収縮防止剤として、ステアリン酸モノグリセライドを用いた。
【0092】
実施例1〜11、比較例1〜8
発泡層形成用の押出機として、発泡剤注入口を備えた内径90mmの第一押出機と、内径120mmの第二押出機とからなるタンデム押出機を用いた。樹脂層形成用の押出機として、揮発性可塑剤注入口を備えた内径115mm、L/D=46の第三押出機を用いた。更に、直径104mmのダイリップを備える共押出用環状ダイに、第二押出機と第三押出機の夫々の出口を連結し、夫々の溶融樹脂を環状ダイ中で積層可能にした。
【0093】
前記装置を用いて、表1に示す配合のポリエチレン原料と、気泡調整剤としてポリエチレン原料100重量部に対して 重量部のタルクとを、タンデム押出機の第一押出機の原料投入口に供給し、約200℃で加熱混練し、発泡剤注入口から表1に示す量の発泡剤(ノルマルブタン70重量%とイソブタン30重量%とからなる混合ブタン)を圧入した。なお、発泡剤の添加量は、発泡層の基材樹脂100重量部に対する値である。次いで該溶融樹脂混合物を第二押出機にて、表1に示す押出樹脂温度に温調して発泡層形成用樹脂溶融物とし、表1に示す吐出量で共押出用環状ダイに導入した。なお、実施例の中では、実施例6のみ収縮防止剤を発泡層の基材樹脂100重量部に対して0.2重量部配合した。
【0094】
同時に、表2に示す配合のポリエチレン原料と、表2に示す量の収縮防止剤とを第三押出機に供給して、加熱、溶融、混練し、次いで、揮発性可塑剤注入口から揮発性可塑剤(ノルマルブタン70重量%とイソブタン30重量%とからなる混合ブタン)を表2に示す量圧入した。なお、収縮防止剤及び揮発性可塑剤の添加量は、発泡層の基材樹脂100重量部に対する値である。更に該溶融樹脂混合物を混練し、表2に示す押出樹脂温度に温調して樹脂層形成用樹脂溶融物とし、表2に示す吐出量で共押出用環状ダイに導入した。
【0095】
【表1】

【0096】
【表2】

【0097】
共押出用環状ダイに導入された発泡層形成用樹脂溶融物の外側と内側に、樹脂層形成用樹脂溶融物を積層し、該積層体をダイから大気中に押出して、非発泡樹脂層/発泡層/非発泡樹脂層からなる3層構成の筒状積層発泡体を形成した。押出された筒状積層発泡体を円柱状の冷却装置(直径350mm)に沿わせて、引き取りながら押出方向に切開いて、多層発泡シートを得た。
【0098】
得られた多層発泡シートについての見掛け密度、厚み、坪量、連続気泡率等の諸物性を測定した。更に、多層発泡シートを構成する発泡層について熱流束示差走査熱量測定を用いてDSC曲線を測定し、全融解熱量X、融解熱量Yを測定した。同様に樹脂層について、全融解熱量A、融解熱量Bを測定した。測定結果を表3に示す。
【0099】
多層発泡シート全体の見掛け密度、厚み、坪量は、前記方法により測定した。樹脂層の坪量は、樹脂層の吐出量から求めた。
多層発泡シートの連続気泡率は、多層発泡シートを幅方向に等間隔に5等分し、両端を除く3点の幅方向中央部付近について前記方法により求め、3点の平均値を連続気泡率とした。
【0100】
多層発泡シートの発泡層および樹脂層のDSC曲線は、多層発泡シートを幅方向に等間隔に5等分し、両端を除く3点の幅方向中央部付近について前記方法により測定し、3点のそれぞれの平均値を、全融解熱量X、融解熱量Y、全融解熱量A、融解熱量Bとした。
【0101】
【表3】

【0102】
単発成形評価
得られた発泡シートを、単発成形機を用い、外寸が290mm×290mmの矩形で、開口部直径95mm、深さ45mm、壁面傾斜7°のカップ形状(展開倍率2.6)を7つ配置した金型を用いて、金型表面温度を45℃に温調し、該シートの表面温度118〜124℃にて加熱成形を行なった。その際、多層発泡シートの成形性の評価を、裂け、厚みの偏り、表面ヤケの無い美麗な成形品が得られる加熱成形時間の幅(最短加熱時間と最長加熱時間との差)により行なった。成形時間範囲が0秒の場合には、美麗な成形体が得られなかったことを意味し、成形時間範囲が広いほど成形性に優れることを意味する。結果を表3に示す。
【0103】
連続成形性評価
得られた多層発泡シートを連続成形機を用いて熱成形(プラグ真空成形)することにより、桃用容器を得て、以下の基準にて評価した。
実施例1〜10および比較例1〜7の発泡シートの成形には、桃用容器成形用金型として、桃収容部(開口部直径61.5mm、深さ36mm、壁面傾斜7°)を28個有する外寸480mm×330mmの矩形状の容器(展開倍率2.8)が6面(シート幅方向3面×流れ方向2面)配置されている金型を使用した。
実施例11および比較例8の発泡シートの成形には、桃用容器成形用金型として、収容部(開口部直径73mm、深さ44mm、壁面傾斜7°)を20個有する外寸480mm×330mmの矩形状の容器(展開倍率2.6)が6面(シート幅方向3面×流れ方向2面)配置されている金型を使用した。
【0104】
評価基準
○・・・多層発泡シート全面において、裂け、偏肉および表面ヤケのない良好な成形体が得られた。
×・・・多層発泡シートの場所によっては、裂け、偏肉または表面ヤケが発生し、多層発泡シート全面において良好な成形体が得られなかった。



【符号の説明】
【0105】
11 樹脂層形成用押出機
12 発泡層形成押出機
13 共押出用環状ダイ
A1 直鎖状低密度ポリエチレン
A2 直鎖状低密度ポリエチレン
B1 分岐状低密度ポリエチレン
B2 分岐状低密度ポリエチレン
C1 収縮防止剤
D 揮発性可塑剤
E1 樹脂層形成用樹脂溶融物
E2 発泡層形成用樹脂溶融物
G 添加剤
H 多層発泡シート
I 発泡層
J 樹脂層
K 物理発泡剤




















【特許請求の範囲】
【請求項1】
分岐状低密度ポリエチレン(a1)60〜85重量%と直鎖状低密度ポリエチレン(b1)15〜40重量%との混合樹脂(ただし、両者の合計が100重量%である。)を基材樹脂とするポリエチレン系樹脂発泡層の両面に、共押出によりポリエチレン系樹脂層を積層してなる、見掛け密度15〜460kg/m、厚み1〜7mmの多層発泡シートであって、該ポリエチレン系樹脂層の片面あたりの坪量が10〜80g/mであり、該ポリエチレン系樹脂層は、脂肪酸エステル、脂肪族アミンおよび脂肪酸アミドから選択される1以上の収縮防止剤を含み、該樹脂層中の収縮防止剤の配合量が、該樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂100重量部に対して0.7重量部以上であり、該ポリエチレン系樹脂発泡層は、脂肪酸エステル、脂肪族アミンおよび脂肪酸アミドから選択される1以上の収縮防止剤を実質的に含まないことを特徴とする熱成形用ポリエチレン系樹脂多層発泡シート。
【請求項2】
前記ポリエチレン系樹脂発泡層中の前記収縮防止剤の配合量が、該発泡層を構成する基材樹脂100重量部に対して0.3重量部以下(ただし、0を含む。)であることを特徴とする請求項1に記載の熱成形用ポリエチレン系樹脂多層発泡シート。
【請求項3】
前記多層発泡シート全体の厚み(t)[mm]に対するポリエチレン系樹脂層の片面あたりの坪量(m)[g/m]の比(m/t)[g/m・mm]が3〜15であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱成形用ポリエチレン系樹脂多層発泡シート。
【請求項4】
前記ポリエチレン系樹脂層を構成する基材樹脂が、直鎖状低密度ポリエチレン(b2)であるか、または直鎖状低密度ポリエチレン(b2)と分岐状低密度ポリエチレン(a2)との混合樹脂であり、該樹脂層中の直鎖状低密度ポリエチレン(b2)と分岐状低密度ポリエチレン(a2)との重量比が100:0〜30:70であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱成形用ポリエチレン系樹脂多層発泡シート。
【請求項5】
前記ポリエチレン系樹脂層が非発泡樹脂層であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱成形用ポリエチレン系樹脂多層発泡シート。
【請求項6】
前記ポリエチレン系樹脂発泡層の示差走査熱量測定により得られるDSC曲線において、全融解熱量Xが50〜150J/gであり、かつ全融解熱量X[J/g]に対する分岐状低密度ポリエチレン(a1)の結晶の融解に由来する融解ピークの頂点温度以上の融解熱量Y[J/g]の比Y/Xが0.20〜0.50であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱成形用ポリエチレン系樹脂多層発泡シート。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−35176(P2013−35176A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171693(P2011−171693)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000131810)株式会社ジェイエスピー (245)
【Fターム(参考)】