熱拡散シート
【課題】厚さ方向の熱伝導率がよく、粘着力の低下が少なく、かつグラファイトシートの端面を封止することにより信頼性の高い安価な熱拡散シートを提供する。
【解決手段】本発明の熱拡散シート(21)は、グラファイトシート(11)と熱伝導性粘着層(12,14)が積層されている熱拡散シートであって、グラファイトシート(21)の主表面の両面に直接前記熱伝導性粘着層(14)が貼り合わされており、前記両面の熱伝導性粘着層(14)の硬度は、ASTM D2240 タイプCの測定で60以下であり、前記熱伝導性粘着層のタック力が40℃で168時間以上暴露した後でもタック減少率が20%以下であり、前記グラファイトシートの端面は封止されている。これにより、厚さ方向の熱伝導率がよく、粘着力の低下が少なく、かつ信頼性の高い安価な熱拡散シートを提供できる。
【解決手段】本発明の熱拡散シート(21)は、グラファイトシート(11)と熱伝導性粘着層(12,14)が積層されている熱拡散シートであって、グラファイトシート(21)の主表面の両面に直接前記熱伝導性粘着層(14)が貼り合わされており、前記両面の熱伝導性粘着層(14)の硬度は、ASTM D2240 タイプCの測定で60以下であり、前記熱伝導性粘着層のタック力が40℃で168時間以上暴露した後でもタック減少率が20%以下であり、前記グラファイトシートの端面は封止されている。これにより、厚さ方向の熱伝導率がよく、粘着力の低下が少なく、かつ信頼性の高い安価な熱拡散シートを提供できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)などの半導体部品の熱伝導部品、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶表示装置(LCD)などの画像表示装置の発熱部からの熱を拡散させる熱拡散シートに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ(CPU)、トランジスタ、発光ダイオード(LED)などの半導体、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶表示装置(LCD)などは使用中に発熱し、その熱のため電子部品の性能が低下することがある。そのため発熱するような電子部品には放熱体が取り付けられる。グラファイトシートは横の熱伝導率が非常によいことが知られている。この熱伝導率を利用して放熱材料として活用することは従来から知られている。グラファイトシート単独ではもろく扱いにくいためフィルムで補強し、同時に電気絶縁性も付与している。実際に放熱シートを実装するには発熱体あるいは放熱体に仮固定する必要があり、その必要性から両面テープあるいはグラファイトシートに直接、粘着剤を載せて粘着層を設けることが提案されている(特許文献1)。グラファイトシートを発光ダイオードや液晶表示装置(LCD)に適用した例は特許文献2〜3で提案されている。
【0003】
一方、グラファイトシートは導電性があり、もろい性質があり、半導体などは電気回路上に実装される場合、導電性であるグラファイトシートから剥離したグラファイト粉が電気回路上に落ちて短絡する可能性もある。このような問題を解決するため、特許文献4では、グラファイトシートの両面に支持フィルムを配置し、端面にスペーサーを入れて一体化することが提案されている。
【0004】
しかし、特許文献4では、粘着層自体は熱絶縁性であるため、熱伝導に関して更なる改良が必要である。一般的に両面テープは薄いフィルムが芯としてあり、その両面に粘着層が設けられているものが使われる場合が多い。グラファイトシートを補強するという意味が大きいが、フィルムが芯として挿入されていないとグラファイトシートが粘着層を構成している物質を吸収してしまうため経時変化で粘着力が低下する問題がある。とくにグラファイトシートに粘着層を直接設ける場合は、経時変化で粘着力が低下する減少が目立つ。また、両面テープ、粘着剤は熱伝導率が低いものが多く、せっかく横の熱伝導率が大きなグラファイトシートを用いてもグラファイトシートに達するまでの材料の熱伝導率が低くては「熱を伝える」という効率からいえば好ましいことではなかった。
【特許文献1】特開平11−317480号公報
【特許文献2】特開2007−108547号公報
【特許文献3】特開2008−028352号公報
【特許文献4】特開2007−044994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、厚さ方向の熱伝導率がよく、粘着力の低下が少なく、かつグラファイトシートの端面を封止することにより信頼性の高い安価な熱拡散シートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の熱拡散シートは、グラファイトシートと熱伝導性粘着層が積層されている熱拡散シートであって、前記グラファイトシートの主表面の両面に直接前記熱伝導性粘着層が貼り合わされており、前記両面の熱伝導性粘着層の硬度は、ASTM D2240 タイプCの測定で60以下であり、前記熱伝導性粘着層のタック力が40℃で168時間以上暴露した後でもタック減少率が20%以下であり、前記グラファイトシートの端面は封止されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、厚さ方向の熱伝導率がよく、粘着力の低下が少なく、かつ信頼性の高い安価な熱拡散シートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は本発明の実施例1〜4における熱拡散シートの製造工程を示す断面図。
【図2】図2は同実施例における熱拡散シートの製造工程で使用する打ち抜き型を示す平面図。
【図3】図3Aは同実施例における熱拡散シートの製造工程を示す平面図、図3Bは同断面図。
【図4】図4は同実施例における熱拡散シートの製造工程を示す断面図。
【図5】図5は同実施例における熱拡散シートの製造工程を示す断面図。
【図6】図6Aは同実施例における熱拡散シートの製造工程を示す平面図、図6Bは同断面図。
【図7】図7は同実施例における熱拡散シートの製造工程を示す平面図。
【図8】図8Aは同実施例における熱拡散シートの製造工程を示す平面図、図8Bは同断面図。
【図9】図9は比較例1〜4における熱拡散シートの製造工程を示す断面図。
【図10】図10Aは本発明の実施例5〜6における熱拡散シートの製造工程を示す平面図、図10Bは同断面図。
【図11】図11は同実施例における熱拡散シートの製造工程を示す平面図。
【図12】図12Aは同実施例における熱拡散シートの製造工程を示す平面図、図12Bは同断面図。
【図13】図13Aは本発明の一応用例における放熱装置を示す平面図、図13Bは同断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
グラファイトシートは高分子フィルムをグラファイト化する方法と天然黒鉛、膨張黒鉛を粉末にし、圧延によってシート化する方法等によって製造される。高分子フィルムをグラファイト化する方法は横方向の熱伝導率が高いという特徴がある。天然黒鉛、膨張黒鉛を粉末にし、圧延によってシート化する方法は安価であることが特徴である。熱拡散の用途の場合、ある程度の熱伝導率があればよいので天然黒鉛、膨張黒鉛を粉末にし、圧延によってシート化する方法によるグラファイトシートを使うのが好ましい。好ましいグラファイトシートの厚さは60〜500μmである。また、グラファイトシートの横方向の熱伝導率は120W/m・K以上1200W/m・K以下である。
【0010】
熱伝導性粘着層のポリマー分は、ポリシロキサン、ポリアクリル、又はポリオレフィンであることが好ましい。この中でも耐熱性、フィラーの充填しやすさの点からポリシロキサンであることが好ましい。しかし、用途によってはポリアクリル、又はポリオレフィンを選択してもよい。ポリマーは硬化後ゴム弾性を有するものが好ましいが、粘着剤のようなものでもよい。特にシリコーン粘着剤は、ポリシロキサンの一種であるレジンとガムと呼ばれるもので構成され、耐熱性はポリアクリル、ポリオレフィンよりも高いことから、好ましい。
【0011】
ポリマーに添加するフィラーは金属酸化物、セラミックス粉体などがあり、フィラー自体は電気絶縁性であることが好ましい。金属酸化物、セラミックス粉体にはさまざまな種類、形状などがあり公知のものが使用できる。さらにこれらには表面処理をしてもよい。また、電気絶縁性のないフィラーに絶縁膜を生させ電気絶縁性を付与したフィラーとして使用することもできる。ポリマーに添加するフィラー量はポリマー分100重量部に対してフィラー100〜3000重量部であることが好ましい。フィラーを添加しすぎると熱伝導性粘着層の粘着性が低下するので熱伝導率とのバランスが大事である。
【0012】
ポリマーには必要に応じて可塑剤を添加してもよい。しかし、グラファイトシートはオイル分を吸収しやすいためグラファイトシートに貼り合わせた熱伝導性粘着層の組成が変化し粘着性が低下しやすくなるので極略避ける必要がある。ポリマーにはフィラー以外に難燃剤、耐熱剤、顔料、加硫剤、硬化剤を添加することができる。
【0013】
熱伝導性粘着層の厚みは20〜300μmであることが好ましい。グラファイトシート片面を封止する片面粘着付きフィルムあるいは両面テープの厚みは8〜110μmであることが好ましい。片面粘着付きフィルムあるいは両面テープには着色されたものを使用してもよい。また、両面テープの代わりに別の熱伝導性粘着層を載せる場合もある。その厚みも20〜300μmであることが好ましい。よって製品の総厚は90〜1100μmの範囲になるが、より好ましい厚みは90〜250μmである。
【0014】
グラファイトシートの両面に熱伝導性粘着層を貼り合わせる場合は、同じ材料を貼り合わせても良いが、別な材料を貼り合せても良い。別な材料を貼り合せる場合は、少なくとも片面に粘着性は必要であるが他方の面は粘着性がないことが好ましい。粘着力の強い熱伝導性粘着層をタック(粘着)面と定義すると、タック面とタック面でない粘着力は15%以上の差があることが好ましい。
【0015】
タック面でない熱伝導性粘着層材料はタック面である熱伝導性粘着層材料よりも熱伝導性が低いのが好ましい。好ましい熱伝導性の差は、1W/m・K以上である。また、タック面でない熱伝導性粘着層材料はタック面である熱伝導性粘着層材料よりも硬度が高いのが好ましい。これはタック面でない熱伝導性粘着層材料でグラファイトシート端面を封止する場合があり、ゴム成分が多いほど、ゴム硬度が低いほどグラファイトシートとの密着力が大きくなりグラファイトシートから熱伝導性粘着層材料が剥がれにくくなるためである。タック面とタック面でない熱伝導性粘着層材料の硬度は10以上違うことが好ましい。すなわちタック面でない熱伝導性粘着層材料の硬度はタック面である熱伝導性粘着層材料の硬度よりも10以上高いことが好ましい。なお硬度はASTM D2240 タイプCで測定したものと定義する。なお、前記の理由から、グラファイトシート端面も同じことがいえる。
【0016】
グラファイトシートの熱放射率はグラファイトシートの製造方法によって違ってくる。圧延など方法は表面が鏡面上になり放射率が低くなる。テープなどの高分子品は放射率が0.5以上になる。近年は熱対策にサーモグラフを用いる場合が多い。そのサーモグラフを使う際に放射率を設定しないと精密な熱分析ができない。そのため放射率を明記することによって熱分析の手助けとなる。
【0017】
グラファイトシートに片面粘着付きフィルムあるいは両面テープを貼る方法はラミネートであることが好ましい。グラファイトシートのロール巻き品を用意すれば連続的に片面粘着付きフィルムあるいは両面テープとグラファイトシートの貼り合わせ作業ができるからである。また、グラファイトシートに片面粘着付きフィルムあるいは両面テープを貼った一体品は市販されているのでこれらを用いてもよい。
【0018】
グラファイトシートに熱伝導性粘着層を載せる方法にはナイフコーター、圧延、プレス、ラミネート、スクリーン印刷などがありどれを用いてもよい。場合によっては熱伝導性粘着層材料を溶剤などで希釈し、インク又はペースト化してグラファイトシートに載せてもよい。
【0019】
グラファイトシートに熱伝導性粘着層あるいは片面粘着付きフィルムあるいは両面テープを載せて接着を強固にするため必要に応じてプライマー処理をしてもよい。プライマー処理剤は選択するポリマーの種類によって選択ができる。
【0020】
グラファイトシートの端面は封止されている。好ましい封止の例は、グラファイトシートの片面には片面粘着付きフィルムあるいは両面テープがグラファイトシートよりも一回り大きく貼り合わせてあり、その反対面である熱伝導性粘着層はグラファイトシートと同じ大きさで貼り合わせてあり、熱伝導性粘着層の一部に重なるように片面粘着付きフィルムあるいは両面テープの大きさに片面粘着付きフィルムが貼られている。なお、グラファイトシートの片面に貼る片面粘着付きフィルムあるいは両面テープはグラファイトシートよりも一辺に対して2〜5mm大きいことが好ましい。さらに、熱伝導性粘着層の一部に重なるよう貼る片面粘着付きフィルムは熱伝導性粘着層の一辺に対し1〜5mm重なるように貼るがグラファイトシートの片面に貼る片面粘着付きフィルムあるいは両面テープと外周の大きさは同じであることが好ましい。上から見ると額縁状になっていることが好ましい。ネジ穴あるいは取り出し口をつける場合はこの限りでない。
【0021】
グラファイトシートの端面は熱伝導性粘着材料で封止もできる。この場合は、グラファイトシートの片面にグラファイトシートと同じ大きさの熱伝導性粘着材料が貼り合わせてありその反対面である熱伝導性粘着層はグラファイトシートより大きく貼り合わせる。グラファイトシートの端面を封止するため、封止する熱伝導性粘着層の大きさはグラファイトシートよりも一辺に対して2〜5mm大きいことが好ましい。
【0022】
前記熱伝導性粘着層の熱伝導率は、0.7W/m・K以上20W/m・K以下であることが好ましい。この範囲であれば発熱部からの熱の移動及び拡散が実用的に十分である。また、前記グラファイトシートの熱放射率は0.3〜0.95であり、前記グラファイトシート以外の部分の熱放射率は0.50以上であることが好ましい。この範囲であれば同様に発熱部からの熱の移動及び拡散が実用的に十分である。
【0023】
熱拡散シートは、リール巻きされていてもよい。リール巻き仕様とは長尺フィルム上に熱拡散シートが整然と並んだ仕様のことをいう。さまざまな仕様形態があるが長尺フィルム上に熱拡散シートが自己の粘着性で保持され、熱拡散シートが規則的にカットあるいは打ち抜きされているなど規則的に並んでおり最終的には巻物形態になるのが好ましい。これによって熱拡散シートを貼る作業が自動化できる。
【0024】
本発明の熱拡散シートは、直接グラファイトシートに熱伝導性粘着層を設けており、タック力減少も少なく安価でもある。さらに、グラファイトシートの端面が封止されているので、グラファイト粉がグラファイトシートから剥離せず、電気回路上の実装においても短絡の心配がなく信頼性がある熱拡散シートが提供できる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。本発明は下記の実施例に限定されない。
熱伝導性粘着層は以下のように用意した。
【0026】
(熱伝導性粘着材料1)
シリコーンポリマー(XE14−C2068:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)100重量部に対してアルミナ(AS20:昭和電工社)を200重量部、酸化鉄を5重量部添加し、プラネタリーミキサーで10分間脱泡しながら撹拌し、コンパウンド(混合物)とした。
【0027】
(熱伝導性粘着材料2)
ポリイソブチレンポリマ−(EP200A:カネカ社)100重量部に対してアルミナ(AS20:昭和電工社)を200重量部、架橋剤(CR300:カネカ社)を1.2重量部、白金触媒:PT−VTSC−3.0IPA(ユミコアプレシャスメタルズ・ジャパン社)を0.3重量部、遅延剤:サーフィノール61(日信化学工業)を0.1重量部、酸化鉄を5重量部添加し、プラネタリーミキサーで10分間脱泡しながら撹拌し、コンパウンドとした。
【0028】
(熱伝導性粘着材料3)
シリコーン粘着材(TSR1510:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)110重量部に対して、アルミナ(AS20:昭和電工社)を100重量部、酸化鉄を5重量部、キシレン80重量部添加しプラネタリーミキサーで10分間撹拌し、塗工液とした。
【0029】
(熱伝導性粘着材料4)
シリコーンポリマー(XE14−C2068:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)100重量部に対して、アルミナ(AS20:昭和電工社)を100重量部、架橋剤(TSF484:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)を0.1重量部、酸化鉄を5重量部添加し、プラネタリーミキサーで10分間脱泡しながら撹拌し、コンパウンドとした。
【0030】
(粘着材料)
シリコーン粘着材(TSR1510:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)110重量部に対してキシレン50重量部添加し、塗工液とした。
【0031】
粘着材料と熱伝導粘着材料1〜4の物性を表1にまとめて示す。
【0032】
【表1】
【0033】
硬度 :ASTM D2240 タイプCで測定。
熱伝導率:ASTM D5470
粘着力 :JIS Z0237(被接着体 アルミ板)
粘着力測定のための試験サンプルは以下のように作成した。
(材料AとB)
フッ素離型処理をしたポリエステルフィルムと、厚み100μmの無処理のポリエステルフィルムに熱伝導性粘着材料を挟み、無処理のポリエステルフィルム面にプレスで120℃、60分間加熱した。冷却後、フッ素離型処理をしたポリエステルフィルムを剥がすことにより、0.1mmの厚さで熱伝導性粘着層を貼り合わせた。
(材料CとD)
塗工液をナイフコートで厚み100μmの無処理のポリエステルフィルムに塗工した。これを30分間風乾し、さらに120℃、10分間硬化させた。なお粘着厚みは50μmとした。
【0034】
上記、熱伝導性粘着材料A〜D、及び粘着材料Eの他、以下を用意し、熱拡散シートを作成した。
(1)グラファイトシート(TYKグラファイトシート:明智セラミックス社)厚み80μm、250μm、熱伝導率400W/m・K、放射率0.40
(2)両面テープ(厚み30μm:日東電工社)
(3)片面粘着付きフィルム(厚み30μm:日東電工社)
(実施例1〜4)
フッ素離型処理をしたポリエステルフィルム(3a,3b)を使用して、各厚みのグラファイトシート(1)及び熱伝導性粘着材層A又はB(2)を上下から挟み、グラファイトシート(1)の片面のみプレスで120℃、60分間加熱することにより0.1mmの厚さで熱伝導性粘着材層(2)を一体化した(図1)。次に、グラファイトシート(1)面側のポリエステルフィルム(3a)を除去し、図2に示す打ち抜き型(9)で熱伝導性粘着材料側のポリエステルフィルムを離型台紙にして打ち抜いた。続いてバリの部分は除去した(図3)。
【0035】
バリを取り除いた後、上から両面テープあるいは片面粘着フィルム(4)を空気が混入しないようにラミネートした。次に、熱伝導性粘着材層(2)側のポリエステルフィルム(3b)を剥がした(図5)。次に、数ミリ幅にスリットした片面粘着フィルム(5)を使用して、グラファイトシート(1)の端面部を埋めるよう、かつ熱伝導性粘着材層(2)の一部に重なるように貼り付けた(図6A)。図6Bは図6AのI−I線断面図である。
【0036】
次に、グラファイトシート(1)の端面部分を埋めるように貼った片面粘着付きフィルム(5)の中間部をカット線(8)に示すようにフルカットした(図7)。最後に熱伝導性粘着材層(2)に保護カバー(6)を載せ、グラファイトシート(1)の端面が封止された熱拡散シート製品(10)を得た(図8A)。図8Bは図8AのII−II線断面図である。
【0037】
上記はフルカット品の作成方法であるが、台紙上に熱拡散シートが並んだ仕様も作成可能である。
【0038】
(比較例1〜4)
実施例1で使用したのと同一のグラファイトシートに粘着材料あるいは熱伝導性粘着材料Cをナイフコートで塗工した。これを30分間風乾し、さらに120℃、10分間硬化させた。なお粘着厚みは50μmである。その粘着面にフッ素離型フィルムを貼った(図9)。これ以外は実施例1〜4と同様に熱拡散シートを作成した。これらの方法で得た熱拡散シートの実験結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
測定方法は以下のとおりである。
(熱抵抗値)
ASTM D5470に準じた。
(LEDの温度)
5Wの出力のあるLEDと電源(電流0.6A 電圧10V)で回路を作った。厚さ5mmのステンレス板の上に熱拡散シートを幅25mm、長さ100mmに切り出して置いた。LED1個を熱拡散シートの粘着を利用して固定した。固定場所は幅25mm、長さ100mmの先端とした。電源を入れて2時間後にLEDの発熱温度をサーモグラフ(アピステ社製)で測定した。
(絶縁性)
オームメータにて熱拡散シートの端面に端子をあてそのときの電気抵抗値を測定した。
(粘着力)
測定方法はJIS Z0237に準じた。被接着体はアルミ板とした。暴露は熱拡散シートを幅25mm、長さ100mmに切り出して粘着面を剥き出し、かつ上面にして100℃、168時間、熱風循環式オーブンで暴露した。
【0041】
以上の結果から、本発明の実施例1〜4は、熱抵抗値が低く熱伝導性が良く、熱風に曝露したときの粘着力の低下も少なかった。これに対して比較例1〜2は、熱伝導性粘着材料のフィラーが無いため熱抵抗値が高く、LEDの温度も高く、好ましくなかった。また、比較例3〜4は熱風に曝露したときの粘着力の低下が大きく好ましくなかった。
【0042】
さらにグラファイトシートの片面は熱伝導性粘着材料が貼り合わせてありかつ、もう片面は別の熱伝導性粘着材料が貼り合わせてあり、熱伝導性粘着材料自体でグラファイトシートの端面が封止してある熱拡散シートを作成した。
【0043】
(実施例5〜6)
フッ素離型処理をしたポリエステルフィルム(13)に、所定厚みのグラファイトシート(11)と熱伝導性粘着材層(12)を上下に挟み、グラファイトシート(11)面の片面のみプレスで120℃、60分間加熱することにより0.1mmの厚さで熱伝導性粘着材層(12)を設けた。これのグラファイトシート(11)面側のポリエステルフィルムを除去し、図2に示す打ち抜き型(9)で熱伝導性粘着材料側のポリエステルフィルム13を離型台紙にして打ち抜いた。続いてバリの部分は除去した。次にグラファイトシート面に熱伝導性粘着材料を流し込み、フッ素離型処理をしたポリエステルフィルムを被せ、プレスで120℃、60分間加熱することにより、0.1mmの厚さで熱伝導性材料Dの熱伝導性粘着材層(14)を設けた。このとき、熱伝導性粘着材層(14)により、グラファイトシート(11)の端面を封止した。次に熱伝導性粘着層(14)側のフッ素離型処理をしたポリエステルフィルムを剥がした(図10A)。図10Bは図10AのIII−III線断面図である。
【0044】
次に溝部分に刃を入れてカットした(図11)。15はカット線である。
【0045】
最後に熱伝導性粘着材層(14)に保護カバー(16)を載せ、グラファイトシート(11)の端面が封止された熱拡散シート製品(20)を得ることができた(図12A)。図12Bは図12AのIV−IV線断面図である。図12Bにおいて、21は実際に使用する際の熱拡散シート部分である。
【0046】
(比較例7〜8)
比較例7〜8は、グラファイトシート片面のみ両面テープで貼った熱拡散シートの例である。フッ素離型処理をしたポリエステルフィルムに、所定厚みのグラファイトシートを載せ、厚さ30μmの両面テープを貼り、もう一枚の両面テープの離型紙を剥がし、その面にフッ素離型処理をしたポリエステルフィルムを貼り、離型台紙にしてカットした。
【0047】
以上の実施例1〜2、5〜6、比較例5〜8を表3にまとめて示す。
【0048】
【表3】
【0049】
表2〜3から、次のことがわかった。
(1)比較例1と2は、市販のシリコーン粘着材を直接グラファイトシートに貼り合わせたため、グラファイトシートがシリコーン粘着材に含有される可塑剤を吸収するため粘着力が経時的に低下することがわかる。
(2)比較例3、4のようにシリコーン粘着材にフィラーを添加すると顕著に粘着力が経時的に低下する。
(3)比較例1と2の熱抵抗値は、熱伝導率が低い粘着層があるため熱抵抗値は高くなった。それに伴いLEDの温度も実施例1〜6と比較すると高く、好ましくなかった。
(4)比較例3、4は熱伝導性を有する粘着材料であることと、厚みが薄いことから熱抵抗値は実施例1、2と変わらなく、LEDの温度も実施例1、2と同じ程度になった。
(5)比較例5、6はグラファイトシートの片面には熱伝導性粘着材料1が載っておりその反対面はグラファイトシート面が剥き出しになっている。グラファイトシート端面も封止していない。実施例1、2との違いはグラファイトシート端面も封止していないことと、片面に30μmの片面粘着付きフィルムがないことである。そのため、熱伝達の邪魔になる30μmの片面粘着付きフィルムがないことがグラファイトシートのとの接触熱抵抗値が増大しているにもかかわらず熱抵抗値増大を帳消しにしている。そのため実施例1、2よりもLEDの温度が低い。しかし、端面を封止していないため電気が流れる問題と、グラファイトシートカット面からグラファイト粉が発生し触ると落ちる問題があった。
(6)比較例7、8はグラファイトシートの片面には30μmの両面テープが貼ってあり、その反対面はグラファイトシート面が剥き出しになっている。グラファイトシート端面も封止していない。実施例1、2との違いはグラファイトシート端面も封止していないことと、片面に30μmの片面粘着付きフィルムがないことである。熱伝導性粘着材料の代わりに単なる両面テープが貼ってある。そのため熱伝達の邪魔になる30μmの片面粘着付きフィルムがないことがグラファイトシートのとの接触熱抵抗値が増大しているにもかかわらず熱抵抗値増大を帳消しにしている。そのため実施例1、2よりも低い。しかし、端面も封止していないため電気が流れる。グラファイトシートカット面からグラファイト粉が発生し触ると落ちてくる。これは比較例3、4と同様である。
(7)それに対して実施例1〜6は、端面封止しており電気が流れなかった。しかも、グラファイト粉は発生しなかった。そのうえ、目的であるLEDの発熱温度も低い傾向にあった。
【0050】
(応用例)
実施例5〜6で得られた熱拡散シート製品(20)を放熱装置(30)に応用した例を図13A−Bを使用して説明する。図13AはLEDからなるライトバー(31)と放熱器(32)との間に熱拡散シート部分(21)を介在させたときの平面図で、図13Bは同断面図である。熱拡散シート部分(21)は、図12Bに示す熱拡散シート製品(20)から離型紙(13)と保護カバー(16)を取り除いたものである。ライトバー(31)から発生する熱は、熱拡散シート部分(21)を通過して放熱器(32)に効率よく移動した。とくに熱拡散シート部分(21)は均熱化に優れていた。
【符号の説明】
【0051】
1,11 グラファイトシート
2,12,14 熱伝導性粘着材層
3a,3b フッ素離型処理をしたポリエステルフィルム
4 両面テープあるいは片面粘着フィルム
5 片面粘着フィルム
6,16 保護カバー
8,15 カット線
9 打ち抜き型
10,20 熱拡散シート製品
13 離型紙
21 熱拡散シート部分
30 放熱装置
31 ライトバー(LED)
32 放熱器
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)などの半導体部品の熱伝導部品、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶表示装置(LCD)などの画像表示装置の発熱部からの熱を拡散させる熱拡散シートに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ(CPU)、トランジスタ、発光ダイオード(LED)などの半導体、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶表示装置(LCD)などは使用中に発熱し、その熱のため電子部品の性能が低下することがある。そのため発熱するような電子部品には放熱体が取り付けられる。グラファイトシートは横の熱伝導率が非常によいことが知られている。この熱伝導率を利用して放熱材料として活用することは従来から知られている。グラファイトシート単独ではもろく扱いにくいためフィルムで補強し、同時に電気絶縁性も付与している。実際に放熱シートを実装するには発熱体あるいは放熱体に仮固定する必要があり、その必要性から両面テープあるいはグラファイトシートに直接、粘着剤を載せて粘着層を設けることが提案されている(特許文献1)。グラファイトシートを発光ダイオードや液晶表示装置(LCD)に適用した例は特許文献2〜3で提案されている。
【0003】
一方、グラファイトシートは導電性があり、もろい性質があり、半導体などは電気回路上に実装される場合、導電性であるグラファイトシートから剥離したグラファイト粉が電気回路上に落ちて短絡する可能性もある。このような問題を解決するため、特許文献4では、グラファイトシートの両面に支持フィルムを配置し、端面にスペーサーを入れて一体化することが提案されている。
【0004】
しかし、特許文献4では、粘着層自体は熱絶縁性であるため、熱伝導に関して更なる改良が必要である。一般的に両面テープは薄いフィルムが芯としてあり、その両面に粘着層が設けられているものが使われる場合が多い。グラファイトシートを補強するという意味が大きいが、フィルムが芯として挿入されていないとグラファイトシートが粘着層を構成している物質を吸収してしまうため経時変化で粘着力が低下する問題がある。とくにグラファイトシートに粘着層を直接設ける場合は、経時変化で粘着力が低下する減少が目立つ。また、両面テープ、粘着剤は熱伝導率が低いものが多く、せっかく横の熱伝導率が大きなグラファイトシートを用いてもグラファイトシートに達するまでの材料の熱伝導率が低くては「熱を伝える」という効率からいえば好ましいことではなかった。
【特許文献1】特開平11−317480号公報
【特許文献2】特開2007−108547号公報
【特許文献3】特開2008−028352号公報
【特許文献4】特開2007−044994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、厚さ方向の熱伝導率がよく、粘着力の低下が少なく、かつグラファイトシートの端面を封止することにより信頼性の高い安価な熱拡散シートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の熱拡散シートは、グラファイトシートと熱伝導性粘着層が積層されている熱拡散シートであって、前記グラファイトシートの主表面の両面に直接前記熱伝導性粘着層が貼り合わされており、前記両面の熱伝導性粘着層の硬度は、ASTM D2240 タイプCの測定で60以下であり、前記熱伝導性粘着層のタック力が40℃で168時間以上暴露した後でもタック減少率が20%以下であり、前記グラファイトシートの端面は封止されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、厚さ方向の熱伝導率がよく、粘着力の低下が少なく、かつ信頼性の高い安価な熱拡散シートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は本発明の実施例1〜4における熱拡散シートの製造工程を示す断面図。
【図2】図2は同実施例における熱拡散シートの製造工程で使用する打ち抜き型を示す平面図。
【図3】図3Aは同実施例における熱拡散シートの製造工程を示す平面図、図3Bは同断面図。
【図4】図4は同実施例における熱拡散シートの製造工程を示す断面図。
【図5】図5は同実施例における熱拡散シートの製造工程を示す断面図。
【図6】図6Aは同実施例における熱拡散シートの製造工程を示す平面図、図6Bは同断面図。
【図7】図7は同実施例における熱拡散シートの製造工程を示す平面図。
【図8】図8Aは同実施例における熱拡散シートの製造工程を示す平面図、図8Bは同断面図。
【図9】図9は比較例1〜4における熱拡散シートの製造工程を示す断面図。
【図10】図10Aは本発明の実施例5〜6における熱拡散シートの製造工程を示す平面図、図10Bは同断面図。
【図11】図11は同実施例における熱拡散シートの製造工程を示す平面図。
【図12】図12Aは同実施例における熱拡散シートの製造工程を示す平面図、図12Bは同断面図。
【図13】図13Aは本発明の一応用例における放熱装置を示す平面図、図13Bは同断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
グラファイトシートは高分子フィルムをグラファイト化する方法と天然黒鉛、膨張黒鉛を粉末にし、圧延によってシート化する方法等によって製造される。高分子フィルムをグラファイト化する方法は横方向の熱伝導率が高いという特徴がある。天然黒鉛、膨張黒鉛を粉末にし、圧延によってシート化する方法は安価であることが特徴である。熱拡散の用途の場合、ある程度の熱伝導率があればよいので天然黒鉛、膨張黒鉛を粉末にし、圧延によってシート化する方法によるグラファイトシートを使うのが好ましい。好ましいグラファイトシートの厚さは60〜500μmである。また、グラファイトシートの横方向の熱伝導率は120W/m・K以上1200W/m・K以下である。
【0010】
熱伝導性粘着層のポリマー分は、ポリシロキサン、ポリアクリル、又はポリオレフィンであることが好ましい。この中でも耐熱性、フィラーの充填しやすさの点からポリシロキサンであることが好ましい。しかし、用途によってはポリアクリル、又はポリオレフィンを選択してもよい。ポリマーは硬化後ゴム弾性を有するものが好ましいが、粘着剤のようなものでもよい。特にシリコーン粘着剤は、ポリシロキサンの一種であるレジンとガムと呼ばれるもので構成され、耐熱性はポリアクリル、ポリオレフィンよりも高いことから、好ましい。
【0011】
ポリマーに添加するフィラーは金属酸化物、セラミックス粉体などがあり、フィラー自体は電気絶縁性であることが好ましい。金属酸化物、セラミックス粉体にはさまざまな種類、形状などがあり公知のものが使用できる。さらにこれらには表面処理をしてもよい。また、電気絶縁性のないフィラーに絶縁膜を生させ電気絶縁性を付与したフィラーとして使用することもできる。ポリマーに添加するフィラー量はポリマー分100重量部に対してフィラー100〜3000重量部であることが好ましい。フィラーを添加しすぎると熱伝導性粘着層の粘着性が低下するので熱伝導率とのバランスが大事である。
【0012】
ポリマーには必要に応じて可塑剤を添加してもよい。しかし、グラファイトシートはオイル分を吸収しやすいためグラファイトシートに貼り合わせた熱伝導性粘着層の組成が変化し粘着性が低下しやすくなるので極略避ける必要がある。ポリマーにはフィラー以外に難燃剤、耐熱剤、顔料、加硫剤、硬化剤を添加することができる。
【0013】
熱伝導性粘着層の厚みは20〜300μmであることが好ましい。グラファイトシート片面を封止する片面粘着付きフィルムあるいは両面テープの厚みは8〜110μmであることが好ましい。片面粘着付きフィルムあるいは両面テープには着色されたものを使用してもよい。また、両面テープの代わりに別の熱伝導性粘着層を載せる場合もある。その厚みも20〜300μmであることが好ましい。よって製品の総厚は90〜1100μmの範囲になるが、より好ましい厚みは90〜250μmである。
【0014】
グラファイトシートの両面に熱伝導性粘着層を貼り合わせる場合は、同じ材料を貼り合わせても良いが、別な材料を貼り合せても良い。別な材料を貼り合せる場合は、少なくとも片面に粘着性は必要であるが他方の面は粘着性がないことが好ましい。粘着力の強い熱伝導性粘着層をタック(粘着)面と定義すると、タック面とタック面でない粘着力は15%以上の差があることが好ましい。
【0015】
タック面でない熱伝導性粘着層材料はタック面である熱伝導性粘着層材料よりも熱伝導性が低いのが好ましい。好ましい熱伝導性の差は、1W/m・K以上である。また、タック面でない熱伝導性粘着層材料はタック面である熱伝導性粘着層材料よりも硬度が高いのが好ましい。これはタック面でない熱伝導性粘着層材料でグラファイトシート端面を封止する場合があり、ゴム成分が多いほど、ゴム硬度が低いほどグラファイトシートとの密着力が大きくなりグラファイトシートから熱伝導性粘着層材料が剥がれにくくなるためである。タック面とタック面でない熱伝導性粘着層材料の硬度は10以上違うことが好ましい。すなわちタック面でない熱伝導性粘着層材料の硬度はタック面である熱伝導性粘着層材料の硬度よりも10以上高いことが好ましい。なお硬度はASTM D2240 タイプCで測定したものと定義する。なお、前記の理由から、グラファイトシート端面も同じことがいえる。
【0016】
グラファイトシートの熱放射率はグラファイトシートの製造方法によって違ってくる。圧延など方法は表面が鏡面上になり放射率が低くなる。テープなどの高分子品は放射率が0.5以上になる。近年は熱対策にサーモグラフを用いる場合が多い。そのサーモグラフを使う際に放射率を設定しないと精密な熱分析ができない。そのため放射率を明記することによって熱分析の手助けとなる。
【0017】
グラファイトシートに片面粘着付きフィルムあるいは両面テープを貼る方法はラミネートであることが好ましい。グラファイトシートのロール巻き品を用意すれば連続的に片面粘着付きフィルムあるいは両面テープとグラファイトシートの貼り合わせ作業ができるからである。また、グラファイトシートに片面粘着付きフィルムあるいは両面テープを貼った一体品は市販されているのでこれらを用いてもよい。
【0018】
グラファイトシートに熱伝導性粘着層を載せる方法にはナイフコーター、圧延、プレス、ラミネート、スクリーン印刷などがありどれを用いてもよい。場合によっては熱伝導性粘着層材料を溶剤などで希釈し、インク又はペースト化してグラファイトシートに載せてもよい。
【0019】
グラファイトシートに熱伝導性粘着層あるいは片面粘着付きフィルムあるいは両面テープを載せて接着を強固にするため必要に応じてプライマー処理をしてもよい。プライマー処理剤は選択するポリマーの種類によって選択ができる。
【0020】
グラファイトシートの端面は封止されている。好ましい封止の例は、グラファイトシートの片面には片面粘着付きフィルムあるいは両面テープがグラファイトシートよりも一回り大きく貼り合わせてあり、その反対面である熱伝導性粘着層はグラファイトシートと同じ大きさで貼り合わせてあり、熱伝導性粘着層の一部に重なるように片面粘着付きフィルムあるいは両面テープの大きさに片面粘着付きフィルムが貼られている。なお、グラファイトシートの片面に貼る片面粘着付きフィルムあるいは両面テープはグラファイトシートよりも一辺に対して2〜5mm大きいことが好ましい。さらに、熱伝導性粘着層の一部に重なるよう貼る片面粘着付きフィルムは熱伝導性粘着層の一辺に対し1〜5mm重なるように貼るがグラファイトシートの片面に貼る片面粘着付きフィルムあるいは両面テープと外周の大きさは同じであることが好ましい。上から見ると額縁状になっていることが好ましい。ネジ穴あるいは取り出し口をつける場合はこの限りでない。
【0021】
グラファイトシートの端面は熱伝導性粘着材料で封止もできる。この場合は、グラファイトシートの片面にグラファイトシートと同じ大きさの熱伝導性粘着材料が貼り合わせてありその反対面である熱伝導性粘着層はグラファイトシートより大きく貼り合わせる。グラファイトシートの端面を封止するため、封止する熱伝導性粘着層の大きさはグラファイトシートよりも一辺に対して2〜5mm大きいことが好ましい。
【0022】
前記熱伝導性粘着層の熱伝導率は、0.7W/m・K以上20W/m・K以下であることが好ましい。この範囲であれば発熱部からの熱の移動及び拡散が実用的に十分である。また、前記グラファイトシートの熱放射率は0.3〜0.95であり、前記グラファイトシート以外の部分の熱放射率は0.50以上であることが好ましい。この範囲であれば同様に発熱部からの熱の移動及び拡散が実用的に十分である。
【0023】
熱拡散シートは、リール巻きされていてもよい。リール巻き仕様とは長尺フィルム上に熱拡散シートが整然と並んだ仕様のことをいう。さまざまな仕様形態があるが長尺フィルム上に熱拡散シートが自己の粘着性で保持され、熱拡散シートが規則的にカットあるいは打ち抜きされているなど規則的に並んでおり最終的には巻物形態になるのが好ましい。これによって熱拡散シートを貼る作業が自動化できる。
【0024】
本発明の熱拡散シートは、直接グラファイトシートに熱伝導性粘着層を設けており、タック力減少も少なく安価でもある。さらに、グラファイトシートの端面が封止されているので、グラファイト粉がグラファイトシートから剥離せず、電気回路上の実装においても短絡の心配がなく信頼性がある熱拡散シートが提供できる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。本発明は下記の実施例に限定されない。
熱伝導性粘着層は以下のように用意した。
【0026】
(熱伝導性粘着材料1)
シリコーンポリマー(XE14−C2068:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)100重量部に対してアルミナ(AS20:昭和電工社)を200重量部、酸化鉄を5重量部添加し、プラネタリーミキサーで10分間脱泡しながら撹拌し、コンパウンド(混合物)とした。
【0027】
(熱伝導性粘着材料2)
ポリイソブチレンポリマ−(EP200A:カネカ社)100重量部に対してアルミナ(AS20:昭和電工社)を200重量部、架橋剤(CR300:カネカ社)を1.2重量部、白金触媒:PT−VTSC−3.0IPA(ユミコアプレシャスメタルズ・ジャパン社)を0.3重量部、遅延剤:サーフィノール61(日信化学工業)を0.1重量部、酸化鉄を5重量部添加し、プラネタリーミキサーで10分間脱泡しながら撹拌し、コンパウンドとした。
【0028】
(熱伝導性粘着材料3)
シリコーン粘着材(TSR1510:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)110重量部に対して、アルミナ(AS20:昭和電工社)を100重量部、酸化鉄を5重量部、キシレン80重量部添加しプラネタリーミキサーで10分間撹拌し、塗工液とした。
【0029】
(熱伝導性粘着材料4)
シリコーンポリマー(XE14−C2068:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)100重量部に対して、アルミナ(AS20:昭和電工社)を100重量部、架橋剤(TSF484:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)を0.1重量部、酸化鉄を5重量部添加し、プラネタリーミキサーで10分間脱泡しながら撹拌し、コンパウンドとした。
【0030】
(粘着材料)
シリコーン粘着材(TSR1510:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)110重量部に対してキシレン50重量部添加し、塗工液とした。
【0031】
粘着材料と熱伝導粘着材料1〜4の物性を表1にまとめて示す。
【0032】
【表1】
【0033】
硬度 :ASTM D2240 タイプCで測定。
熱伝導率:ASTM D5470
粘着力 :JIS Z0237(被接着体 アルミ板)
粘着力測定のための試験サンプルは以下のように作成した。
(材料AとB)
フッ素離型処理をしたポリエステルフィルムと、厚み100μmの無処理のポリエステルフィルムに熱伝導性粘着材料を挟み、無処理のポリエステルフィルム面にプレスで120℃、60分間加熱した。冷却後、フッ素離型処理をしたポリエステルフィルムを剥がすことにより、0.1mmの厚さで熱伝導性粘着層を貼り合わせた。
(材料CとD)
塗工液をナイフコートで厚み100μmの無処理のポリエステルフィルムに塗工した。これを30分間風乾し、さらに120℃、10分間硬化させた。なお粘着厚みは50μmとした。
【0034】
上記、熱伝導性粘着材料A〜D、及び粘着材料Eの他、以下を用意し、熱拡散シートを作成した。
(1)グラファイトシート(TYKグラファイトシート:明智セラミックス社)厚み80μm、250μm、熱伝導率400W/m・K、放射率0.40
(2)両面テープ(厚み30μm:日東電工社)
(3)片面粘着付きフィルム(厚み30μm:日東電工社)
(実施例1〜4)
フッ素離型処理をしたポリエステルフィルム(3a,3b)を使用して、各厚みのグラファイトシート(1)及び熱伝導性粘着材層A又はB(2)を上下から挟み、グラファイトシート(1)の片面のみプレスで120℃、60分間加熱することにより0.1mmの厚さで熱伝導性粘着材層(2)を一体化した(図1)。次に、グラファイトシート(1)面側のポリエステルフィルム(3a)を除去し、図2に示す打ち抜き型(9)で熱伝導性粘着材料側のポリエステルフィルムを離型台紙にして打ち抜いた。続いてバリの部分は除去した(図3)。
【0035】
バリを取り除いた後、上から両面テープあるいは片面粘着フィルム(4)を空気が混入しないようにラミネートした。次に、熱伝導性粘着材層(2)側のポリエステルフィルム(3b)を剥がした(図5)。次に、数ミリ幅にスリットした片面粘着フィルム(5)を使用して、グラファイトシート(1)の端面部を埋めるよう、かつ熱伝導性粘着材層(2)の一部に重なるように貼り付けた(図6A)。図6Bは図6AのI−I線断面図である。
【0036】
次に、グラファイトシート(1)の端面部分を埋めるように貼った片面粘着付きフィルム(5)の中間部をカット線(8)に示すようにフルカットした(図7)。最後に熱伝導性粘着材層(2)に保護カバー(6)を載せ、グラファイトシート(1)の端面が封止された熱拡散シート製品(10)を得た(図8A)。図8Bは図8AのII−II線断面図である。
【0037】
上記はフルカット品の作成方法であるが、台紙上に熱拡散シートが並んだ仕様も作成可能である。
【0038】
(比較例1〜4)
実施例1で使用したのと同一のグラファイトシートに粘着材料あるいは熱伝導性粘着材料Cをナイフコートで塗工した。これを30分間風乾し、さらに120℃、10分間硬化させた。なお粘着厚みは50μmである。その粘着面にフッ素離型フィルムを貼った(図9)。これ以外は実施例1〜4と同様に熱拡散シートを作成した。これらの方法で得た熱拡散シートの実験結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
測定方法は以下のとおりである。
(熱抵抗値)
ASTM D5470に準じた。
(LEDの温度)
5Wの出力のあるLEDと電源(電流0.6A 電圧10V)で回路を作った。厚さ5mmのステンレス板の上に熱拡散シートを幅25mm、長さ100mmに切り出して置いた。LED1個を熱拡散シートの粘着を利用して固定した。固定場所は幅25mm、長さ100mmの先端とした。電源を入れて2時間後にLEDの発熱温度をサーモグラフ(アピステ社製)で測定した。
(絶縁性)
オームメータにて熱拡散シートの端面に端子をあてそのときの電気抵抗値を測定した。
(粘着力)
測定方法はJIS Z0237に準じた。被接着体はアルミ板とした。暴露は熱拡散シートを幅25mm、長さ100mmに切り出して粘着面を剥き出し、かつ上面にして100℃、168時間、熱風循環式オーブンで暴露した。
【0041】
以上の結果から、本発明の実施例1〜4は、熱抵抗値が低く熱伝導性が良く、熱風に曝露したときの粘着力の低下も少なかった。これに対して比較例1〜2は、熱伝導性粘着材料のフィラーが無いため熱抵抗値が高く、LEDの温度も高く、好ましくなかった。また、比較例3〜4は熱風に曝露したときの粘着力の低下が大きく好ましくなかった。
【0042】
さらにグラファイトシートの片面は熱伝導性粘着材料が貼り合わせてありかつ、もう片面は別の熱伝導性粘着材料が貼り合わせてあり、熱伝導性粘着材料自体でグラファイトシートの端面が封止してある熱拡散シートを作成した。
【0043】
(実施例5〜6)
フッ素離型処理をしたポリエステルフィルム(13)に、所定厚みのグラファイトシート(11)と熱伝導性粘着材層(12)を上下に挟み、グラファイトシート(11)面の片面のみプレスで120℃、60分間加熱することにより0.1mmの厚さで熱伝導性粘着材層(12)を設けた。これのグラファイトシート(11)面側のポリエステルフィルムを除去し、図2に示す打ち抜き型(9)で熱伝導性粘着材料側のポリエステルフィルム13を離型台紙にして打ち抜いた。続いてバリの部分は除去した。次にグラファイトシート面に熱伝導性粘着材料を流し込み、フッ素離型処理をしたポリエステルフィルムを被せ、プレスで120℃、60分間加熱することにより、0.1mmの厚さで熱伝導性材料Dの熱伝導性粘着材層(14)を設けた。このとき、熱伝導性粘着材層(14)により、グラファイトシート(11)の端面を封止した。次に熱伝導性粘着層(14)側のフッ素離型処理をしたポリエステルフィルムを剥がした(図10A)。図10Bは図10AのIII−III線断面図である。
【0044】
次に溝部分に刃を入れてカットした(図11)。15はカット線である。
【0045】
最後に熱伝導性粘着材層(14)に保護カバー(16)を載せ、グラファイトシート(11)の端面が封止された熱拡散シート製品(20)を得ることができた(図12A)。図12Bは図12AのIV−IV線断面図である。図12Bにおいて、21は実際に使用する際の熱拡散シート部分である。
【0046】
(比較例7〜8)
比較例7〜8は、グラファイトシート片面のみ両面テープで貼った熱拡散シートの例である。フッ素離型処理をしたポリエステルフィルムに、所定厚みのグラファイトシートを載せ、厚さ30μmの両面テープを貼り、もう一枚の両面テープの離型紙を剥がし、その面にフッ素離型処理をしたポリエステルフィルムを貼り、離型台紙にしてカットした。
【0047】
以上の実施例1〜2、5〜6、比較例5〜8を表3にまとめて示す。
【0048】
【表3】
【0049】
表2〜3から、次のことがわかった。
(1)比較例1と2は、市販のシリコーン粘着材を直接グラファイトシートに貼り合わせたため、グラファイトシートがシリコーン粘着材に含有される可塑剤を吸収するため粘着力が経時的に低下することがわかる。
(2)比較例3、4のようにシリコーン粘着材にフィラーを添加すると顕著に粘着力が経時的に低下する。
(3)比較例1と2の熱抵抗値は、熱伝導率が低い粘着層があるため熱抵抗値は高くなった。それに伴いLEDの温度も実施例1〜6と比較すると高く、好ましくなかった。
(4)比較例3、4は熱伝導性を有する粘着材料であることと、厚みが薄いことから熱抵抗値は実施例1、2と変わらなく、LEDの温度も実施例1、2と同じ程度になった。
(5)比較例5、6はグラファイトシートの片面には熱伝導性粘着材料1が載っておりその反対面はグラファイトシート面が剥き出しになっている。グラファイトシート端面も封止していない。実施例1、2との違いはグラファイトシート端面も封止していないことと、片面に30μmの片面粘着付きフィルムがないことである。そのため、熱伝達の邪魔になる30μmの片面粘着付きフィルムがないことがグラファイトシートのとの接触熱抵抗値が増大しているにもかかわらず熱抵抗値増大を帳消しにしている。そのため実施例1、2よりもLEDの温度が低い。しかし、端面を封止していないため電気が流れる問題と、グラファイトシートカット面からグラファイト粉が発生し触ると落ちる問題があった。
(6)比較例7、8はグラファイトシートの片面には30μmの両面テープが貼ってあり、その反対面はグラファイトシート面が剥き出しになっている。グラファイトシート端面も封止していない。実施例1、2との違いはグラファイトシート端面も封止していないことと、片面に30μmの片面粘着付きフィルムがないことである。熱伝導性粘着材料の代わりに単なる両面テープが貼ってある。そのため熱伝達の邪魔になる30μmの片面粘着付きフィルムがないことがグラファイトシートのとの接触熱抵抗値が増大しているにもかかわらず熱抵抗値増大を帳消しにしている。そのため実施例1、2よりも低い。しかし、端面も封止していないため電気が流れる。グラファイトシートカット面からグラファイト粉が発生し触ると落ちてくる。これは比較例3、4と同様である。
(7)それに対して実施例1〜6は、端面封止しており電気が流れなかった。しかも、グラファイト粉は発生しなかった。そのうえ、目的であるLEDの発熱温度も低い傾向にあった。
【0050】
(応用例)
実施例5〜6で得られた熱拡散シート製品(20)を放熱装置(30)に応用した例を図13A−Bを使用して説明する。図13AはLEDからなるライトバー(31)と放熱器(32)との間に熱拡散シート部分(21)を介在させたときの平面図で、図13Bは同断面図である。熱拡散シート部分(21)は、図12Bに示す熱拡散シート製品(20)から離型紙(13)と保護カバー(16)を取り除いたものである。ライトバー(31)から発生する熱は、熱拡散シート部分(21)を通過して放熱器(32)に効率よく移動した。とくに熱拡散シート部分(21)は均熱化に優れていた。
【符号の説明】
【0051】
1,11 グラファイトシート
2,12,14 熱伝導性粘着材層
3a,3b フッ素離型処理をしたポリエステルフィルム
4 両面テープあるいは片面粘着フィルム
5 片面粘着フィルム
6,16 保護カバー
8,15 カット線
9 打ち抜き型
10,20 熱拡散シート製品
13 離型紙
21 熱拡散シート部分
30 放熱装置
31 ライトバー(LED)
32 放熱器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラファイトシートと熱伝導性粘着層が積層されている熱拡散シートであって、
前記グラファイトシートの主表面の両面に直接前記熱伝導性粘着層が貼り合わされており、
前記両面の熱伝導性粘着層の硬度は、ASTM D2240 タイプCの測定で60以下であり、
前記熱伝導性粘着層のタック力が40℃で168時間以上暴露した後でもタック減少率が20%以下であり、
前記グラファイトシートの端面は封止されていることを特徴とする熱拡散シート。
【請求項2】
前記グラファイトシートの主表面の両面に直接貼り合わされた熱伝導性粘着層のいずれか一方の面積は他方に比べて広く、前記広い面積の熱伝導性粘着層で前記グラファイトシートの端面は覆われて封止されている請求項1に記載の熱拡散シート。
【請求項3】
前記一方の面の熱伝導性粘着層の粘着力と、他方の面の熱伝導性粘着層の粘着力とは、JIS Z0237(被接着体アルミ板)の測定により15%以上の差がある請求項1又は2に記載の熱拡散シート。
【請求項4】
前記一方の面の熱伝導性粘着層の硬度と、他方の面の熱伝導性粘着層の硬度とは差がある請求項1〜3のいずれかに記載の熱拡散シート。
【請求項5】
前記グラファイトシートの少なくとも端面を含む面に非粘着フィルム又は粘着フィルムを貼り付けることにより、前記グラファイトシートの端面を封止している請求項1に記載の熱拡散シート。
【請求項6】
前記熱伝導性粘着層を構成するポリマーが、ポリシロキサン、ポリアクリル、又はポリオレフィンであり、前記ポリマーに熱伝導性フィラーが分散されている請求項1に記載の熱拡散シート。
【請求項7】
前記熱伝導性粘着層の熱伝導率が、0.7W/m・K以上20W/m・K以下である請求項1又は6に記載の熱拡散シート。
【請求項8】
前記グラファイトシートの横方向の熱伝導率が120W/m・K以上1200W/m・K以下である請求項1に記載の熱拡散シート。
【請求項9】
前記グラファイトシートの熱放射率が0.3〜0.95であり、前記グラファイトシート以外の部分の熱放射率が0.50以上である請求項1に記載の熱拡散シート。
【請求項10】
前記熱拡散シートは、リール巻きされている請求項1に記載の熱拡散シート。
【請求項1】
グラファイトシートと熱伝導性粘着層が積層されている熱拡散シートであって、
前記グラファイトシートの主表面の両面に直接前記熱伝導性粘着層が貼り合わされており、
前記両面の熱伝導性粘着層の硬度は、ASTM D2240 タイプCの測定で60以下であり、
前記熱伝導性粘着層のタック力が40℃で168時間以上暴露した後でもタック減少率が20%以下であり、
前記グラファイトシートの端面は封止されていることを特徴とする熱拡散シート。
【請求項2】
前記グラファイトシートの主表面の両面に直接貼り合わされた熱伝導性粘着層のいずれか一方の面積は他方に比べて広く、前記広い面積の熱伝導性粘着層で前記グラファイトシートの端面は覆われて封止されている請求項1に記載の熱拡散シート。
【請求項3】
前記一方の面の熱伝導性粘着層の粘着力と、他方の面の熱伝導性粘着層の粘着力とは、JIS Z0237(被接着体アルミ板)の測定により15%以上の差がある請求項1又は2に記載の熱拡散シート。
【請求項4】
前記一方の面の熱伝導性粘着層の硬度と、他方の面の熱伝導性粘着層の硬度とは差がある請求項1〜3のいずれかに記載の熱拡散シート。
【請求項5】
前記グラファイトシートの少なくとも端面を含む面に非粘着フィルム又は粘着フィルムを貼り付けることにより、前記グラファイトシートの端面を封止している請求項1に記載の熱拡散シート。
【請求項6】
前記熱伝導性粘着層を構成するポリマーが、ポリシロキサン、ポリアクリル、又はポリオレフィンであり、前記ポリマーに熱伝導性フィラーが分散されている請求項1に記載の熱拡散シート。
【請求項7】
前記熱伝導性粘着層の熱伝導率が、0.7W/m・K以上20W/m・K以下である請求項1又は6に記載の熱拡散シート。
【請求項8】
前記グラファイトシートの横方向の熱伝導率が120W/m・K以上1200W/m・K以下である請求項1に記載の熱拡散シート。
【請求項9】
前記グラファイトシートの熱放射率が0.3〜0.95であり、前記グラファイトシート以外の部分の熱放射率が0.50以上である請求項1に記載の熱拡散シート。
【請求項10】
前記熱拡散シートは、リール巻きされている請求項1に記載の熱拡散シート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−102180(P2013−102180A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−287557(P2012−287557)
【出願日】平成24年12月28日(2012.12.28)
【分割の表示】特願2008−171054(P2008−171054)の分割
【原出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000237422)富士高分子工業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月28日(2012.12.28)
【分割の表示】特願2008−171054(P2008−171054)の分割
【原出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000237422)富士高分子工業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】
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