説明

熱源検出装置

【課題】 小型で熱源と赤外線検出部との間の距離を正確に検出する赤外線物体検出器を提供すること。
【解決手段】 熱源が所定の検出領域に入ったとき、熱源の一部のみを視野に含むよう構成した第1の赤外線検出部と、熱源の全てを視野に含むよう構成した第2の赤外線検出部を備え、第1の赤外線検出部の出力と第2の赤外線検出部の出力により、熱源の接近を検出する熱源検出装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線を発する熱源を検出する熱源検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、2つの赤外線検出部の視野を交差させ、対象物の位置を判別する赤外線物体検出器の構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−148569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の熱源検出装置は、2つの赤外線検出部の視野が交差する領域を設けるために、2つの赤外線検出部の互いの距離を離さざるを得ず、小型化が困難であるという課題があった。
【0005】
また、赤外線検出部の出力は、熱源及び周囲の温度変化の影響を受けるため、熱源と赤外線検出部との間の距離を正確に検出できないという課題があった。
【0006】
従って本発明の目的は、小型で熱源と赤外線検出部との間の距離を正確に検出する赤外線物体検出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、熱源が所定の検出領域に入ったとき、熱源の一部のみを視野に含むよう構成した第1の赤外線検出部と、熱源の全てを視野に含むよう構成した第2の赤外線検出部と、第1の赤外線検出部の出力と第2の赤外線検出部の出力を演算する演算処理部を備えている熱源検出装置により解決することができる。
【0008】
なお、演算処理部を、第1の赤外線検出部の出力と第2の赤外線検出部の出力を除算する演算処理を行うことにより、前記熱源との距離を検出するよう構成してもよい。
【0009】
また、熱源は人体の顔部であってもよい。
【0010】
また、第1の赤外線検出部の視野の中央部の高さは顔部の中央部の平均的な高さと一致し、第1の赤外線検出部の視野は人体の上下方向よりも左右方向に長くてもよい。
【0011】
また、第1の赤外線検出部の出力と第2の赤外線検出部の出力より求めた熱源との距離情報と、周囲温度の情報を基に、第2の赤外線検出部の出力から熱源の温度を検出する熱源検出装置であってもよい。
【0012】
また、第1の赤外線検出部と、第2の赤外線検出部を備え、熱源が所定の検出領域に入ったとき、第1の赤外線検出部の視野に入る熱源表面の面積が、第2の赤外線検出部の視野に入る熱源表面の面積と異なり、かつ、第1の赤外線検出部か、第2の赤外線検出部のいずれか一方の視野にのみ熱源表面の縁部が入り、第1の赤外線検出部の出力と第2の赤外線検出部の出力により、熱源の接近を検出する熱源検出装置であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、熱源検出装置を小型化することができる。また、熱源の接近を正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明における熱源検出装置の一例を示す正面図である。
【図2】本発明における熱源検出装置の一例を示す図1の断面図である。
【図3】本発明における熱源検出装置から見た熱源を表す図である。
【図4】本発明における熱源検出装置から見た熱源を示す図である。
【図5】本発明における熱源検出装置から見た熱源を表す図である。
【図6】本発明における熱源検出装置から見た人体の顔部を表す図である。
【図7】本発明における熱源検出装置から見た人体の顔部を表す図である。
【図8】本発明における熱源検出装置の一例を示す正面図である。
【図9】本発明における熱源検出装置から見た熱源を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施の形態1>
本発明は、例えば、熱源が所定の検出領域に入ったとき、熱源の一部のみを視野に含むよう構成した第1の赤外線検出部と、熱源の全てを視野に含むよう構成した第2の赤外線検出部を備え、第1の赤外線検出部の出力と第2の赤外線検出部の出力により、熱源の接近を検出する熱源検出装置の実施形態を取り得る。
【0016】
第1、第2の赤外線検出部の出力は、どちらも熱源より入射する赤外線量と、熱源と赤外線検出部の間の距離の双方に依存する。その一方で、第1の赤外線検出部の視野に熱源の一部のみが入り、第2の赤外線検出部の視野に熱源の全てが入るよう構成しておくことで、第1、第2の赤外線検出部間で熱源より入射する赤外線量を異ならせることができる。従って、第1の赤外線検出部の出力と第2の赤外線検出部の出力を基に、熱源から放射する赤外線量と、熱源と赤外線検出部の間の距離の情報を分離することが可能となり、熱源の接近を検出することができる。
【0017】
なお、赤外線検出部の出力が周囲温度や周囲の赤外線量によって影響を受ける場合には、温度センサや、熱源を除く周囲の赤外線量を検出する赤外線検出部などの出力により補正することが望ましい。
【0018】
図1は、本発明における熱源検出装置の一例を示す正面図である。図1における熱源検出装置は、熱源側から見た遮蔽板2の背面に第1の赤外線検出部11と、第2の赤外線検出部12を配置している。遮蔽板2には、孔部21、22が設けられ、第1の赤外線検出部11と、第2の赤外線検出部12の視野を制限している。
【0019】
図2は、本発明における熱源検出装置の一例を示す図1の断面図である。すなわち、図2は、図1におけるAA面の断面図となる。第1の赤外線検出部11は遮蔽板2に設けた孔部21により視野が視野限界線110V、120Vの間に制限され、第2の赤外線検出部12は遮蔽板2に設けた孔部22により視野が視野限界線210V、220Vの間に制限されている。
【0020】
熱源3が所定の検出領域に入ると、第1の赤外線検出部11側に対面し、視野限界線110V、120Vの間に入る熱源3表面より放射する赤外線が第1の赤外線検出部11に入射する。一方、第2の赤外線検出部12の視野限界線210V、220Vに熱源3が全て含まれるため、第2の赤外線検出部側に対面する熱源3表面より放射する赤外線が第2の赤外線検出部12に入射する。
【0021】
すなわち、第1の赤外線検出部11の視野全体より熱源3からの赤外線が入射されることから、熱源3から放射される赤外線量は、第1の赤外線検出部11の出力によって推定することができる。一方、第2の赤外線検出部12の視野に熱源3の全体が入ることから、第2の赤外線検出部12に入射する赤外線量は熱源3との間の距離と、熱源3より放射される赤外線量の双方に依存する。従って、第1の赤外線検出部の出力により第2の赤外線検出部12の出力を補正することで、熱源3の接近を検出することが可能となる。
【0022】
もし、熱源の温度分布がある場合は、第1の赤外線検出部出力と第2の赤外線検出部出力と、熱源との間の距離の関係について学習機能を取り入れてもよい。
【0023】
また、第2の赤外線検出部の出力により第1の赤外線検出部の増幅率を制御してもよい。
【0024】
赤外線検出部としては、ボロメータ、焦電センサ、サーモパイル、量子型赤外線検出部等を用いることが出来るが、本発明で使用できる赤外線検出部は、これに限られない。
【0025】
なお、1つの赤外線検出部を、遮蔽板に設けた孔部により視野を制限し、さらにシャッターにより視野を切り替える構成とした場合でも、熱源との間の距離の検出が可能となる。すなわち、赤外線検出部の視野をシャッターで切り替えることにより、第1の赤外線検出部11と孔部21による構成と、第2の赤外線検出部12と孔部22による構成を一つの赤外線検出部で時間分割で実現してもよい。
【0026】
<実施の形態2>
本発明は、実施の形態1に加え、例えば、第1の赤外線検出部の出力と第2の赤外線検出部の出力を除算した値により、熱源との距離を検出する実施形態も取り得る。
【0027】
第1の赤外線検出部の出力と第2の赤外線検出部の出力は共に熱源より放射される赤外線量に比例する場合が多く、第1の赤外線検出部の出力と第2の赤外線検出部の出力を除算することにより、熱源より放射される赤外線量の情報を除くことができるため、熱源と赤外線検出部の間の距離を検出することが可能となる。
【0028】
なお、第1、第2の赤外線検出部と熱源との間の距離が等しければ、第1、第2の赤外線検出部の出力に含まれる距離の情報が共通となるため、除算による距離の検出を行い易くなる。第1、第2の赤外線検出部と熱源との間の距離を等しくするためには、第1、第2の赤外線検出部を可能な限り近接させれば良い。また、第1、第2の赤外線検出部を近接させることで、熱源検出装置全体として小型化することにも繋がる。
【0029】
図3は、本発明における熱源検出装置から見た熱源を表す図である。実施の形態1における図1、図2の配置の場合、熱源検出装置から見た熱源3のうち、第1の赤外線検出部には視野限界線100Vの範囲内の熱源3の表面から放射される赤外線が入射する。また、第2の赤外線検出部の視野限界線200Vの中に熱源3全体が入るため、熱源検出装置に対面する熱源3の表面全体から放射される赤外線が第2の赤外線検出部に入射する。
【0030】
ここで、図2における第1の赤外線検出部11の視野限界線110V、120Vにより定まる視野角の半分の角度をθhとすると、2・θhは図1における第1の赤外線検出部11の視野のXZ平面、すなわち水平面における視野角となる。同様に、第1の赤外線検出部11の視野のYZ平面、すなわち垂直面における視野角を2・θvとする。
【0031】
また、図3における熱源3のX軸方向の幅をw、Y軸方向の幅をhとする。第1、第2の赤外線検出部と熱源との間の距離をLとすると、第1の赤外線検出部の視野限界線100VのX軸方法の幅は2・L・tanθh、Y軸方向の幅は2・L・tanθvとなる。
【0032】
一方、熱源の放射率をε、シュテファン・ボルツマン定数をσ、熱源3の温度をT、周囲温度をTo、赤外線検出部と熱源との間の距離をL、視野内の熱源の面積をAとした場合、赤外線検出部の出力Vは近似的に以下の数式で表される。
【0033】
(数1)
V∝{ε・A・σ・(T−To)}/L
【0034】
従って、第1の赤外線検出部の視野内の熱源の面積Aは4・L・tanθh・tanθvとなり、第2の赤外線検出部の視野内の熱源の面積Aはw・hとなるため、第1の赤外線検出部の出力V1、第2の赤外線検出部の出力V2は近似的に以下の数式で表される。 なお、以下の第1の赤外線検出部の出力V1を表す数式2は赤外線検出部と熱源との間の距離Lを含んでいないため、距離Lの影響を受けずに熱源より放射する赤外線量を検出することができる。
【0035】
(数2)
V1∝4・ε・tanθh・tanθv・σ・(T−To
【0036】
(数3)
V2∝{ε・w・h・σ・(T−To)}/L
【0037】
第1の赤外線検出部の出力V1を、第2の赤外線検出部の出力V2で除算すると、以下の数式となり、熱源の温度や放射率、周辺温度に依存しない結果が得られる。
【0038】
(数4)
V1/V2∝{4・tanθh・tanθv・L}/(w・h)
【0039】
従って、第1の赤外線検出部の視野角2・θh、2・θv、熱源の大きさw、hを予め把握しておけば、第1、第2の赤外線検出部と熱源との間の距離Lを求めることができる。
【0040】
また、V1/V2の除算に除算回路を用いると、赤外線検出部2つと除算回路の簡単な構成によって熱源との間の距離検出が可能であるため、小型で、消費電力が少なく、誤動作の可能性を抑えた熱源検出装置とすることができる。
【0041】
除算回路としてデジタル回路を用いても良いが、アナログ回路で構成する場合には、例えば、バイポーラトランジスタのコレクタ電流とエミッタ電流の関係が対数関数で表されることを利用し、バイポーラトランジスタ増幅回路により第1の赤外線検出部の出力V1と前記第2の赤外線検出部の出力V2をそれぞれ対数出力に変換し、各々の対数出力電圧を差動増幅することで除算した出力Log(V1/V2)を得ることが出来る。さらに、バイポーラトランジスタ増幅回路により除算した出力Log(V1/V2)をV1/V2に変換してもよい。
【0042】
<実施の形態3>
図4は、本発明における熱源検出装置から見た熱源を示す図である。実施の形態2とは遮蔽板2に設けた孔部21の形状が異なり、孔部21はY軸方向に細長いスリット状となっている。
【0043】
図5は、本発明における熱源検出装置から見た熱源を表す図である。図4における第1の赤外線検出部11の視野は、実施の形態2と比較すると、熱源の縁部を越えてY軸方向に拡張されている。
【0044】
本実施形態の場合、第1の赤外線検出部の視野内の熱源の面積Aは4・L・tanθh・tanθvとなり、第2の赤外線検出部の視野内の熱源の面積Aは2・L・w・tanθvとなるため、第1の赤外線検出部の出力V1、第2の赤外線検出部の出力V2は近似的に以下の数式で表される。
【0045】
(数5)
V1∝{2・ε・w・tanθv・σ・(T−To)}/L
【0046】
(数6)
V2∝{ε・w・h・σ・(T−To)}/L
【0047】
第1の赤外線検出部の出力V1を、第2の赤外線検出部の出力V2で除算すると、以下の数式となり、熱源の温度や放射率、周辺温度に依存しない結果が得られる。
【0048】
(数7)
V1/V2∝{2・tanθv・L}/h
【0049】
従って、実施の形態3の構成であっても、第1の赤外線検出部の視野角2・θv熱源の大きさhを予め把握しておけば、第1、第2の赤外線検出部と熱源との間の距離Lを求めることができる。
【0050】
なお、本実施形態の構成では、図5における熱源3のX軸方向の幅wが不明であっても、第1、第2の赤外線検出部と熱源との間の距離Lを求めることができる。
【0051】
<実施の形態4>
本発明はさらに、熱源が人体の顔部であり、第1の赤外線検出部の視野の中央部の高さが顔部の中央部の平均的な高さと一致し、視野が人体の左右方向に細長い実施形態も取り得る。
【0052】
人体は、着衣などによっても顔部は露出するため、熱源検出装置は表面温度の均一な顔部を熱源として検出することが望ましい。
【0053】
また、人体の顔部を検出する熱源検出装置を構成する場合、顔部は人体の左右方向に動きやすいが、上下方向には動きにくい特性を持つ。特にこの特性は、人体が着席した場合に顕著となる。
【0054】
図6は、本発明における熱源検出装置から見た人体の顔部を表す図である。図6のX軸方向が人体の上下方向、Y軸が人体の左右方向に対応している。熱源検出装置から見た熱源となる人体の顔部31のうち、第1の赤外線検出部には視野限界線100Vの範囲内の顔部31の表面から放射される赤外線が入射する。また、第2の赤外線検出部の視野限界線200Vの中に顔部31全体が入るため、熱源検出装置に対面する顔部3の表面全体から放射される赤外線が第2の赤外線検出部に入射する。
【0055】
人体の顔部との距離は実施の形態3の数式7により求めることができるが、人体の顔部は方形ではない場合が多いことから、数式7における熱源の幅hは実際に人体の顔部を検出した第1、第2の赤外線検出部の出力を基に設定する。
【0056】
図7は、本発明における熱源検出装置から見た人体の顔部を表す図である。実施の形態2の構成とする場合には、人体の顔部との距離は実施の形態2の数式4により求めることができるが、人体の顔部は方形ではない場合が多いことから、数式7における熱源の幅h、wは実際に人体の顔部を検出した第1、第2の赤外線検出部の出力を基に設定する。
【0057】
<実施の形態5>
本発明はさらに、第1の赤外線検出部の出力と第2の赤外線検出部の出力より求めた熱源との距離情報と、周囲温度の情報を基に、第2の赤外線検出部の出力から熱源の温度を検出する実施形態も取り得る。
【0058】
実施の形態2の構成とする場合は、数式4により熱源との距離Lを特定し、温度センサ等により周囲温度Toを求めることで、数式2もしくは数式3により熱源の温度Tを求めることが可能である。
【0059】
実施の形態3の構成とする場合にも、数式7により熱源との距離Lを特定し、温度センサ等により周囲温度Toを求めることで、数式5もしくは数式6により熱源の温度Tを求めることが可能である。
【0060】
実施の形態4の場合であれば、人体の顔部の温度を求めることができるため、風邪による発熱等を検出することも可能である。
【0061】
なお、人体の顔部を熱源として検出する場合には、顔部の大きさに合わせるため、赤外線検出部の視野角2・θh、2・θvは30度以上、60度以下の範囲にあることが望ましい。
【0062】
<実施の形態6>
本発明はさらに、第1の赤外線検出部と、第2の赤外線検出部を備え、熱源が所定の検出領域に入ったとき、第1の赤外線検出部の視野に入る熱源表面の面積が、第2の赤外線検出部の視野に入る熱源表面の面積と異なり、かつ、第1の赤外線検出部か、第2の赤外線検出部のいずれか一方の視野にのみ熱源表面の縁部が入り、第1の赤外線検出部の出力と第2の赤外線検出部の出力により、熱源の接近を検出する熱源検出装置の実施形態も取り得る。
【0063】
実施の形態1のように第2の赤外線検出部が熱源の全てを視野に含むよう構成しなくとも、第1の赤外線検出部か、第2の赤外線検出部のいずれか一方の視野にのみ熱源表面の縁部が入れば熱源の接近を検出することが可能である。
【0064】
図8は、本発明における熱源検出装置の一例を示す正面図である。実施の形態1における図1とは、第2の赤外線検出部の視野を制限する孔部22がY軸方向に細長いスリット状である点が異なる。第1の赤外線検出部11の視野のXZ平面、すなわち水平面における視野角を2・θh1、第1の赤外線検出部11の視野のYZ平面、すなわち垂直面における視野角を2・θv1、とする。また、第2の赤外線検出部12の視野のXZ平面、すなわち水平面における視野角を2・θh2とする。
【0065】
図9は、本発明における熱源検出装置から見た熱源を表す図である。熱源3のX軸方向の幅をw、Y軸方向の幅をhとする。第1、第2の赤外線検出部と熱源との間の距離をLとすると、第1の赤外線検出部の視野限界線100VのX軸方法の幅は2・L・tanθh1、Y軸方向の幅は2・L・tanθv1、第1の赤外線検出部の視野限界線200VのX軸方法の幅は2・L・tanθh2となる。
【0066】
第1の赤外線検出部の視野内の熱源の面積Aは4・L・tanθh・tanθvとなり、第2の赤外線検出部の視野内の熱源の面積Aはw・hとなるため、第1の赤外線検出部の出力V1、第2の赤外線検出部の出力V2は近似的に以下の数式で表される。
【0067】
(数8)
V1∝4・ε・tanθh1・tanθv1・σ・(T−To
【0068】
(数9)
V2∝{2・ε・w・tanθv2・σ・(T−To)}/L
【0069】
第1の赤外線検出部の出力V1を、第2の赤外線検出部の出力V2で除算すると、以下の数式となり、熱源の温度や放射率、周辺温度に依存しない結果が得られる。
【0070】
(数10)
V1/V2∝{2・tanθh1・tanθv1・L}/(w・tanθv2)
【0071】
従って、第1の赤外線検出部の視野角2・θh1、2・θv1、第2の赤外線検出部の視野角2・θh2、熱源の幅wを予め把握しておけば、第1、第2の赤外線検出部と熱源との間の距離Lを求めることができる。
【0072】
なお、本実施形態の構成では、図9における熱源3のY軸方向の幅hが不明であっても、第1、第2の赤外線検出部と熱源との間の距離Lを求めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は人の存在の有無によってPC、TV、自動販売機、ATM等を制御する用途に適用することもできる。
【符号の説明】
【0074】
2 遮蔽板
3 熱源
11 第1の赤外線検出部
12 第2の赤外線検出部
21、22 孔部
31 顔部
100V、110V、120V、200V、210V、220V 視野限界線
θh 視野角
h、w 幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源が所定の検出領域に入ったとき、
前記熱源の一部のみを視野に含むよう構成した第1の赤外線検出部と、
前記熱源の全てを視野に含むよう構成した第2の赤外線検出部と、
前記第1の赤外線検出部の出力と前記第2の赤外線検出部の出力を演算する演算処理部を備えていることを特徴とする熱源検出装置。
【請求項2】
前記演算処理部は、前記第1の赤外線検出部の出力と前記第2の赤外線検出部の出力を除算する演算処理を行うことにより、
前記熱源との距離を検出することを特徴とする請求項1記載の熱源検出装置。
【請求項3】
前記熱源は人体の顔部であることを特徴とする請求項1、請求項2のいずれかに記載の熱源検出装置。
【請求項4】
前記第1の赤外線検出部の視野の中央部の高さは前記顔部の中央部の平均的な高さと一致し、前記第1の赤外線検出部の視野は前記人体の上下方向よりも左右方向に長いことを特徴とする請求項3記載の赤外線検出装置。
【請求項5】
前記第1の赤外線検出部の出力と前記第2の赤外線検出部の出力より求めた熱源との距離情報と、周囲温度の情報を基に、前記第2の赤外線検出部の出力から前記熱源の温度を検出することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の熱源検出装置。
【請求項6】
第1の赤外線検出部と、
第2の赤外線検出部を備え、
熱源が所定の検出領域に入ったとき、
前記第1の赤外線検出部の視野に入る前記熱源表面の面積が、前記第2の赤外線検出部の視野に入る前記熱源表面の面積と異なり、
かつ、前記第1の赤外線検出部か、前記第2の赤外線検出部のいずれか一方の視野にのみ前記熱源表面の縁部が入り、
前記第1の赤外線検出部の出力と前記第2の赤外線検出部の出力により、
前記熱源の接近を検出することを特徴とする熱源検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−88142(P2013−88142A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226056(P2011−226056)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】