説明

熱画像撮像方法および熱画像撮像装置

【課題】赤外線撮像素子の熱応答速度によらず高い応答速度で熱画像を表示することの出来る熱画像撮像方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の熱画像撮像方法によれば、『「第一検出値と第二検出値との差」と、「赤外線撮像素子の熱応答速度」とから赤外線検出値を推定すること』とのことから、1スキャンタイム前と現スキャンタイムとの赤外線撮像素子の検出値の変化速度から現スキャンタイム時の赤外線撮像素子の赤外線検出値を推定し、現スキャンタイム時の対象物の温度を推定することが出来る。よって、赤外線撮像素子の熱応答速度によらずスキャンタイム毎に対象物の温度を推定することが出来、熱画像を高い応答速度で撮像することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線を用いて熱画像を撮像する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
7〜14μmの波長域の赤外線は室温に近い物体から強く放射されている。そこで、赤外線を用いて非接触で温度計測を行い、熱画像を得ること(サーモグラフィー)が行われている。サーモグラフィーは非接触で温度分布を得ることが出来ることから、温度検知が必要な広範な分野で活用されている。例えば、医療分野では、新型インフルエンザの感染者発見・感染拡大防止の手段として用いることが期待されている。
【0003】
例えば、物体から放射された赤外線を、赤外線撮像素子を用いて一定時間間隔(以下、スキャンタイムという)毎に検出し、熱画像を表示する熱画像撮像装置において、対象物の温度決定に当たり、赤外線撮像素子からの検出値と対象物の温度との対応校正表を作成することが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
一方、電磁波を検出する素子としてボロメータが知られている。ボロメータは、「アブソーバー」が放熱器(温度一定の部分)に絶縁性の接続で繋がっている構造をしている。電磁波がアブソーバーで吸収されるとアブソーバーの温度が上昇し、放熱器の温度より高くなることから、アブソーバーと放熱器との温度差から電磁波を検出することが出来る。このとき、ボロメータの温度差は電位差など電気的に検出することが出来る。近年、MEMS技術の進展から、マイクロサイズの構造のボロメータ(マイクロボロメータ)が作成されており、非冷却型の赤外線撮像素子として活用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−292283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
赤外線撮像素子にボロメータなどの熱型センサを用いた熱画像撮像装置の場合、赤外線の検出にあたり、赤外線撮像素子の温度が一定になるまで赤外線のエネルギー量を正確に定量できない。このため、赤外線撮像素子の熱応答速度よりも温度変化速度が大きいとボロメータの温度が一定となるまで正確に赤外線のエネルギー量を定量できず、正確に赤外線のエネルギー量を定量するためには、熱応答時間より長い時間待つ必要があった。よって、熱画像表示が遅れる問題があった。
【0007】
これは、温度差が大きい対象物をスキャンする場合、赤外線撮像素子の温度が一定になるまでの時間が大きくなることから、特に顕著に問題となる。
【0008】
そこで、本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、赤外線撮像素子の熱応答速度によらず高い応答速度で熱画像を表示することの出来る熱画像撮像方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態は、対象物からの赤外線を赤外線撮像素子により検出し、赤外線検出値を得る赤外線検出工程と、前記赤外線検出値と前記対象物の温度との対応校正表を用いて、前記対象物の温度を決定する校正表対照工程と、前記対象物の温度分布から熱画像を描写する工程と、を備えた熱画像撮像方法において、前記赤外線検出工程は、対象物からの赤外線を赤外線撮像素子により検出し、第一検出値を検出値として取得する第1スキャンタイムステップと、第1スキャンタイムステップからスキャンタイム経過後、対象物からの赤外線を赤外線撮像素子により検出し、第二検出値を検出値として取得する第2スキャンタイムステップと、「第一検出値と第二検出値との差」と、「赤外線撮像素子の熱応答速度」とから赤外線検出値を推定し、第2スキャンタイムステップ時における赤外線検出値を取得する推定赤外線検出値取得ステップと、を備える工程であることを特徴とする熱画像撮像方法である。
【0010】
また、前記赤外線検出工程は、更に、n回、対象物からの赤外線を赤外線撮像素子により検出し、第(n+2)スキャンタイム工程時における赤外線検出値は、第(n+1)検出値と第(n+2)検出値との差と、赤外線撮像素子の熱応答速度と、から赤外線検出値を推定した赤外線検出値であることであってもよい。
なお、ここで、nは1以上の自然数とする。
【0011】
また、前記赤外線撮像素子はボロメータであり、前記検出値は、前記ボロメータの温度であってもよい。
【0012】
また、前記「赤外線撮像素子の熱応答速度」は、経過時間を変数とする指数関数の微分であらわしてもよい。
【0013】
また、「第一検出値と第二検出値との差」と推定される赤外線検出値との対応校正表を作成し、「第一検出値と第二検出値との差」を引数として赤外線検出値を推定してもよい。
【0014】
本発明の一実施形態は、赤外線を検出する赤外線撮像素子と、前記赤外線撮像素子から検出値を読み出す読み出し回路と、前記検出値を保持する記録用メモリと、前記検出値から、赤外線撮像素子が検出した赤外線検出値を推定する演算回路と、前記赤外線検出値から熱画像を表示する熱画像出力回路と、を備え、前記赤外線撮像素子はボロメータであり、前記演算回路は、対象物からの赤外線を赤外線撮像素子により検出し、第一検出値を検出値として取得する第1スキャンタイムステップにあって取得した第一検出値を前記記録用メモリから読み出すステップと、対象物からの赤外線を赤外線撮像素子により検出し、第二検出値を検出値として取得する第2スキャンタイムステップにあって取得した第二検出値から、「第一検出値と第二検出値との差」を取得するステップと、「第一検出値と第二検出値との差」と、「赤外線撮像素子の熱応答速度」とから赤外線検出値を推定し、第2スキャンタイム時における赤外線検出値を取得する推定赤外線検出値取得ステップと、を少なくとも実行する演算回路であることを特徴とする熱画像撮像装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の熱画像撮像方法によれば、『「第一検出値と第二検出値との差」と、「赤外線撮像素子の熱応答速度」とから赤外線検出値を推定する』とのことから、1スキャンタイム前と現スキャンタイムとの赤外線撮像素子の検出値の変化速度から現スキャンタイム時の赤外線撮像素子の赤外線検出値を推定し、現スキャンタイム時の対象物の温度を推定することが出来る。よって、赤外線撮像素子の熱応答速度によらずスキャンタイム毎に対象物の温度を推定することが出来、熱画像を高い応答速度で撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の熱画像撮像方法における赤外線撮像素子の検出値と推定される推定被写体温度との関係を説明する図である。
【図2】本発明の熱画像撮像方法における赤外線撮像素子の検出値と推定される推定被写体温度との関係を説明する図である。
【図3】本発明の熱画像撮像装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の熱画像撮像方法について説明を行う。
本発明の熱画像撮像方法は、対象物からの赤外線を赤外線撮像素子により検出し、赤外線検出値を得る赤外線検出工程と、
前記赤外線検出値と前記対象物の温度との対応校正表を用いて、前記対象物の温度を決定する校正表対照工程と、
前記対象物の温度分布から熱画像を描写する工程と、を備えた熱画像撮像方法において、
前記赤外線検出工程は、
対象物からの赤外線を赤外線撮像素子により検出し、第一検出値を検出値として取得する第1スキャンタイムステップと、
対象物からの赤外線を赤外線撮像素子により検出し、第二検出値を検出値として取得する第2スキャンタイムステップと、
「第一検出値と第二検出値との差」と、「赤外線撮像素子の熱応答速度」とから赤外線検出値を推定し、第2スキャンタイムステップ時における赤外線検出値を取得する推定赤外線検出値取得ステップと、
を備える工程である。
【0018】
本発明の熱画像撮像方法によれば、『「第一検出値と第二検出値との差」と、「赤外線撮像素子の熱応答速度」とから赤外線検出値を推定すること』とのことから、1スキャンタイム前と現スキャンタイムとの赤外線撮像素子の検出値の変化速度から現スキャンタイム時の赤外線撮像素子の赤外線検出値を推定し、現スキャンタイム時の対象物の温度を推定することが出来る。よって、赤外線撮像素子の熱応答速度によらずスキャンタイム毎に対象物の温度を推定することが出来、熱画像を高い応答速度で撮像することができる。
【0019】
各スキャンタイム間の時間が十分に短い場合、1スキャンタイム前と現スキャンタイムとの赤外線撮像素子の検出値の変化速度は、1スキャンタイム前の検出値と現スキャンタイムの検出値との差として扱ってよい。このとき、赤外線撮像素子の検出値の変化速度は「赤外線撮像素子の熱応答速度」と同等である。よって、「第一検出値と第二検出値との差」と「赤外線撮像素子の熱応答速度」との両者の関係から現スキャンタイムにおける被写体の温度を推定することが出来る。
【0020】
また、前記赤外線検出工程は、更に、n回、対象物からの赤外線を赤外線撮像素子により検出し、第(n+2)スキャンタイム工程時における赤外線検出値は、第(n+1)検出値と第(n+2)検出値との差と、赤外線撮像素子の熱応答速度と、から赤外線検出値を推定した赤外線検出値であってもよい。本発明の赤外線撮像方法では、1スキャンタイム前の検出値と現スキャンタイムの検出値との差が取得できればよく、スキャンを繰り返すことで、広範な部位の温度分布および時間経過による温度変化を取得することが出来る。
【0021】
また、本発明の熱画像撮像方法は、他の熱画像撮像方法と組み合わせて用いてもよく、熱画像の描写にあたり中途で他の熱画像撮像方法と切り替えてもよい。例えば、温度差が高いと予想される部位をスキャンするにあたり一時的に本発明の熱画像撮像方法に切り替えてもよい。
【0022】
以下、赤外線撮像素子として熱型センサを用いた場合について具体的に説明を行う。なお、赤外線検出値と被写体の温度とは相関があり1対1で対応することから、以下、上述した赤外線検出値および推定した赤外線検出値を、被写体温度および推定被写体温度として扱い記載する。
【0023】
図1を用いて本発明の熱画像撮像方法における赤外線撮像素子の検出値と推定される推定被写体温度との関係を説明する。
図1(a)に示すように、被写体温度20が時刻t=0においてT0からTに変化した場合を想定する。
図1(b)は、図1(a)の環境下における赤外線撮像素子の検出値21をスキャンタイムΔt毎にプロットしたものである。また、図1(b)に、検出値のプロット間を補完した軌跡を、「スキャンタイム毎の検出値プロット軌跡22」に示す。また、図1(b)より、被写体温度20の変化は赤外線撮像素子のスキャンタイムΔtより十分高速であることがわかる。
図1(c)は、図1(b)において、推定被写体温度23を重ねて記載した図であり、過渡応答中における検出値24として、(時刻t=0、検出値:T0)、(時刻t=Δt、検出値:T1)、(時刻t=2Δt、検出値:T2)、を示す。
【0024】
被写体温度が時刻t=0においてT0からTに変化した場合、赤外線撮像素子に当たる赤外線強度も遅延無く変化し、赤外線撮像素子の温度も変化する。このため、赤外線撮像素子の熱容量をkとしたとき、熱力学的見地から、「スキャンタイム毎の検出値プロット軌跡22」は、T+(T0−T)*exp(−k*t)とみなすことが出来る。
【0025】
「T+(T0−T)*exp(−k*t)」をtで微分すると、−k*(T0−T)*exp(−k*t)となる。よって、時間軸での赤外線撮像素子の温度勾配は−k*(T0−T)*exp(−k*t)となる。このため、t=0における温度勾配は−k*(T0−T)となる。また、スキャンタイムが高速であれば、赤外線撮像素子の温度勾配は、(T1−T0)/Δtと置くことが出来る。よって、(T1−T0)/Δt=−k*(T0−T)と置くことができ、T=T0+{(T1−T0)/Δt}/kとなる。
以上より、検出値:T0および検出値:T1から、t=0における推定被写体温度Tを取得することが出来る。演算にT1を使用していることからリアルタイムに被写体温度20を知ることは出来ないが、素子の熱応答速度によらず、1スキャンタイム後にはt=0における被写体温度20を推定することができる。
【0026】
図2を用いて本発明の熱画像撮像方法における赤外線撮像素子の検出値と推定される推定被写体温度との関係を説明する。
図2(a)に示すように、被写体温度30が時刻t=ΔtにおいてT1からTに変化した場合を想定する。
図2(b)は、図2(a)の環境下における赤外線撮像素子の検出値31をスキャンタイムΔt毎にプロットしたものである。また、図2(b)に、検出値のプロット間を補完した軌跡を、「スキャンタイム毎の検出値プロット軌跡32」に示す。また、図2(b)より、被写体温度30の変化は赤外線撮像素子のスキャンタイムΔtより十分高速であることがわかる。
図2(c)は、図2(b)において、推定被写体温度を重ねて記載した図であり、平衡状態における検出値34として(時刻t=0、検出値:T1)、(時刻t=Δt、検出値:T1)、(時刻t=2Δt、検出値:T2)、を示す。
【0027】
図2に示すように、時刻t=Δtにおいて被写体温度が赤外線撮像素子のスキャンタイムΔtより十分高速にT1からTに変化した場合、「スキャンタイム毎の検出値プロット軌跡32」はT+(T1−T)*exp(−k*(t−Δt))のように経過時間tの関数として置くことができる。
【0028】
このとき、検出値31は(t→∞、検出値:T)、(t=Δt、検出値:T1)という拘束条件からt=Δt以降においては、図1にて示した関数と同じとなる。このため、平衡状態における検出値であっても、過渡応答中における検出値と同様に、推定被写体温度を演算してよい。
【0029】
以上より、過渡応答中に再度温度変化が生じた場合でも上述の指数関数を用いて以降の温度変化を演算してもよい。よって、任意の温度変動に対し上述の指数関数を適用することが可能である。
【0030】
また、「第一検出値と第二検出値との差」と「赤外線撮像素子の熱応答速度」との関係から、「第一検出値と第二検出値との差」と推定される赤外線検出値との対応校正表を作成し、「第一検出値と第二検出値との差」を引数として赤外線検出値を推定してもよい。これにより、赤外線撮像素子の熱挙動が指数関数的でない場合であっても、経験的に赤外線撮像素子の検出値から被写体の温度を推定することが出来る。
【0031】
以下、本発明の熱画像撮像装置について説明を行う。
本発明の熱画像装置は、赤外線を検出する赤外線撮像素子と、
前記赤外線撮像素子から検出値を読み出す読み出し回路と、
前記検出値を保持する記録用メモリと、
前記検出値から、赤外線撮像素子が検出した赤外線検出値を推定する演算回路と、
前記赤外線検出値から熱画像を表示する熱画像出力回路と、を備え、
前記赤外線撮像素子はボロメータであり、
前記演算回路は、
対象物からの赤外線を赤外線撮像素子により検出し、第一検出値を検出値として取得する第1スキャンタイムステップにあって取得した第一検出値を前記記録用メモリから読み出すステップと、
対象物からの赤外線を赤外線撮像素子により検出し、第二検出値を検出値として取得する第2スキャンタイムステップにあって取得した第二検出値から、「第一検出値と第二検出値との差」を取得するステップと、
「第一検出値と第二検出値との差」と、「赤外線撮像素子の熱応答速度」とから赤外線検出値を推定し、第2スキャンタイム工程時における赤外線検出値を取得する推定赤外線検出値取得ステップと、
を少なくとも実行する演算回路である。
【0032】
赤外線撮像素子は、熱容量定数kが把握されたボロメータを用いてもよい。ボロメータの熱容量定数kは、例えば被写体の温度変化を接触式温度計等別手段で測定して求めておくことができる。このとき、ボロメータの各ピクセルはできるだけ均一の熱容量を持つように作られているので全ピクセルの代表値として熱容量定数kを1つだけ求めて使用することも可能だが、ばらつきによる誤差を極小化するため熱容量定数kの値をピクセルごとに求めるのが望ましい。
【0033】
また、本発明の熱画像撮像装置は、更に、赤外線撮像素子上に熱画像を結像させるレンズ、上記構成部品を固定する筐体、上記構成部品に与える電源、熱画像を表示するモニタ、を備えていてもよい。
【0034】
また、本発明の熱画像撮像装置では、記録用メモリ、演算回路、熱画像出力回路をPC(パーソナルコンピュータ)のメインメモリ、ソフトウエア、モニタ出力として構成しても良い。これにより、一般に市販されているPC接続型サーモグラフィーカメラを用いて、本発明の熱画像撮像方法を実施することが出来る。
【0035】
図3に、本発明の熱画像撮像装置の一例を示す。図3では、赤外線を検出する赤外線撮像素子10、赤外線撮像素子10から検出値を読み出す読み出し回路11、前記検出値を保持する記録用メモリ12、記録用メモリ12に保持した検出値からスキャンタイム時の赤外線検出値を推定する演算回路13、前記赤外線検出値から熱画像を表示する熱画像出力回路14、を概略図にて示している。
【0036】
図3に記載の熱画像撮像装置を用いて、本発明の熱画像撮像方法を実施した一例を下記に示す。
まず、起動直後の最初のスキャンにて赤外線撮像素子10で得られた検出値を記録用メモリ12に保存し、熱画像出力回路14への出力は行わずに次のスキャンを行う。
次に、読み出し回路11により、赤外線撮像素子10から、スキャンタイム毎に順次各撮像画素の検出値を読み出し、順次検出値を記録用メモリ12に保存する。
次に、演算回路13により、各撮像画素ごとに現スキャンタイムの検出値と記録用メモリ12に保存された1スキャンタイム前における検出値との差を入力として演算することにより、被写体の1スキャンタイム前との温度差を得る。
次に、上述の「被写体の1スキャンタイム前との温度差」に記録用メモリ12に保存された1スキャンタイム前の当該画素の検出値を加えることで現在の推定被写体温度を得る。
次に、得られた推定被写体温度を熱画像出力回路14に出力する。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、温度検知が必要な広範な分野で活用が期待される。例えば、医療分野(体温検知など)、防衛・軍事分野(監視用カメラ、暗視表示など)、建築・建材分野(構造解析、災害感知など)、などの分野に活用が期待される。
【符号の説明】
【0038】
10……赤外線撮像素子
11……読み出し回路
12……記録用メモリ
13……演算回路
14……熱画像出力回路
20……被写体温度
21……検出値
22……スキャンタイム毎の検出値プロット軌跡
23……推定被写体温度
24……過渡応答中における検出値
30……被写体温度
31……検出値
32……スキャンタイム毎の検出値プロット軌跡
34……平衡状態における検出値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物からの赤外線を赤外線撮像素子により検出し、赤外線検出値を得る赤外線検出工程と、
前記赤外線検出値と前記対象物の温度との対応校正表を用いて、前記対象物の温度を決定する校正表対照工程と、
前記対象物の温度分布から熱画像を描写する工程と、
を備えた熱画像撮像方法において、
前記赤外線検出工程は、
対象物からの赤外線を赤外線撮像素子により検出し、第一検出値を検出値として取得する第1スキャンタイムステップと、
第1スキャンタイムステップからスキャンタイム経過後、対象物からの赤外線を赤外線撮像素子により検出し、第二検出値を検出値として取得する第2スキャンタイムステップと、
「第一検出値と第二検出値との差」と、「赤外線撮像素子の熱応答速度」とから赤外線検出値を推定し、第2スキャンタイムステップ時における赤外線検出値を取得する推定赤外線検出値取得ステップと、
を備える工程であること
を特徴とする熱画像撮像方法。
【請求項2】
前記赤外線検出工程は、
更に、n回、対象物からの赤外線を赤外線撮像素子により検出し、
第(n+2)スキャンタイム工程時における赤外線検出値は、第(n+1)検出値と第(n+2)検出値との差と、赤外線撮像素子の熱応答速度と、から赤外線検出値を推定した赤外線検出値であること
を特徴とする請求項1に記載の熱画像撮像方法。
【請求項3】
前記赤外線撮像素子はボロメータであり、
前記検出値は、前記ボロメータの温度であること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱画像撮像方法。
【請求項4】
前記「赤外線撮像素子の熱応答速度」は、
経過時間を変数とする指数関数の微分であらわすこと
を特徴とする請求項3に記載の熱画像撮像方法。
【請求項5】
「第一検出値と第二検出値との差」と推定される赤外線検出値との対応校正表を作成し、「第一検出値と第二検出値との差」を引数として赤外線検出値を推定すること
を特徴とする請求項3に記載の熱画像撮像方法。
【請求項6】
赤外線を検出する赤外線撮像素子と、
前記赤外線撮像素子から検出値を読み出す読み出し回路と、
前記検出値を保持する記録用メモリと、
前記検出値から、赤外線撮像素子が検出した赤外線検出値を推定する演算回路と、
前記赤外線検出値から熱画像を表示する熱画像出力回路と、を備え、
前記赤外線撮像素子はボロメータであり、
前記演算回路は、
対象物からの赤外線を赤外線撮像素子により検出し、第一検出値を検出値として取得する第1スキャンタイムステップにあって取得した第一検出値を前記記録用メモリから読み出すステップと、
対象物からの赤外線を赤外線撮像素子により検出し、第二検出値を検出値として取得する第2スキャンタイムステップにあって取得した第二検出値から、「第一検出値と第二検出値との差」を取得するステップと、
「第一検出値と第二検出値との差」と、「赤外線撮像素子の熱応答速度」とから赤外線検出値を推定し、第2スキャンタイム時における赤外線検出値を取得する推定赤外線検出値取得ステップと、
を少なくとも実行する演算回路であること
を特徴とする熱画像撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−202934(P2012−202934A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70089(P2011−70089)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】