説明

熱療法用スリーブ

可撓性熱療法用スリーブ(50)が開示される。このスリーブは、約−10℃から約40℃までの転移温度を有する第1の相変化材料(56)を含む第1の層(52)と、約35℃から約65℃までの転移温度を有する第2の相変化材料を含む第2の層(58)とを含む。第1の層は第2の層に接合されて、熱活性化材料を出し入れすることができる開口部を有する少なくとも部分的な囲いを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱療法用スリーブに関する。
【背景技術】
【0002】
寒冷療法又は温熱療法の使用は、医療分野においては長らく知られている。寒冷療法は、腕又は脚の捻挫或いは筋肉痛、或いは関節の負傷といった特定の四肢の負傷の治療に用いることができる。一般にこうした種類の負傷に対して寒冷を与えて血流を遅らせ、腫れ、痛み、及び更なる損傷を減らすことができる。温熱療法は、血流を増加させることにより、筋肉を温めるか又は柔軟にするのに用いることができる。例えば、運動選手は運動競技に先立って、腿又はふくらはぎの筋肉に熱を与えることができる。別の適用例においては、新生児の採決前に、一般に「かかとウォーマー」と呼ばれる小型の化学的温湿布を活性化して乳児の足にあてがい、血流を増加させるようにする。
【0003】
多数の製品を用いて温熱又は寒冷療法を提供することができる。例えば、化学的温熱製品又は寒冷製品は、膜によって隔てられた2つ又はそれ以上の試薬を収容する袋又は湿布を含む。使用者が膜を破砕すると、試薬が混合され、発熱又は吸熱反応が起きる。この種の製品は使用者に即座に温熱又は寒冷を与える。温熱又は寒冷効果が止むと、製品は廃棄される。例えば、ゲルベースの温湿布又は冷湿布のような他の熱療法用製品は再利用可能ではあるが、使用前に、使用者が、例えば電子レンジからの温熱、又は冷蔵庫からの寒冷といった外部エネルギーを供給することを必要とする。望ましい最高温度又は最低温度を維持できないことから、これらの製品は即効性温湿布又は冷湿布に比べて効果が少ない場合が多い。
【0004】
従来技術の熱療法技術は2つの課題を提示する。第一に、多くの使い捨て熱療法用製品は、便利ではあるが、長期にわたって熱を供給又は吸収することができない。第二に、多くの既存の熱療法用製品が使用者にとって不快となりうる温度の急上昇を招くのに対し、他の製品は望ましい治療温度に達することができない。従って、望ましくない温度の上昇をなくす一方で、望ましい温度における治療上の便益の拡大を供与する装置の必要性が存在する。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、熱活性化材料の治療持続時間を延ばす可撓性熱療法用スリーブに関する。このスリーブは、約−10℃から約40℃までの転移温度を有する第1の相変化材料を含む第1の層と、約35℃から約65℃までの転移温度を有する第2の相変化材料を含む第2の層を含むことができる。第1の層は第2の層に接合して、熱活性化材料を出し入れすることができる開口部を有する少なくとも部分的な囲いを形成することができる。幾つかの実施形態においては、第1の相変化材料は、n−エイコサン、n−ヘンエイコサン、n−ドコサン、n−トリコサン、n−テトラコサン、n−ペンタコサン、n−ヘキサコサン、n−ヘプタコサン、n−オクタコサン、及びこれらの組み合わせとすることができる。幾つかの実施形態においては、第2の相変化材料は、n−トリデカン、n−テトラデカン、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン、n−ノナデカン、n−エイコサン、及びこれらの組み合わせとすることができる。
【0006】
本発明はさらに、約−10℃から約40℃までの転移温度を有する第1の相変化材料と、約35℃から約65℃までの転移温度を有する第2の相変化材料とを含む第1の層を含むことができる可撓性熱療法用スリーブに関する。このスリーブは、さらに、第1の層に接合されて、熱活性化材料を出し入れすることができる開口部を有する少なくとも部分的な囲いを形成することができる第2の層を含むことができる。幾つかの実施形態においては、第2の層は、第3の相変化材料を含むことができる。
【0007】
本発明はまた、延長された治療持続時間を有する熱療法用システムに関する。このシステムは、第1の相変化材料、溶質、及び溶媒を含むことができる化学的湿布のような熱活性化材料を含むことができる。幾つかの実施形態においては、溶質及び溶媒は、膜で隔てられており、この膜を破砕することにより、該溶質及び該溶媒の混合が引き起こされて、発熱反応又は吸熱反応を生じる。このシステムは、さらに、約−10℃から約40℃までの転移温度を有する第2の相変化材料、及び、約35℃から約65℃までの転移温度を有する第3の相変化材料を含む第1の層と、第2の層とを含むことができる。第2の層は、第1の層に接合されて、熱活性化材料を出し入れすることができる開口部を有する少なくとも部分的な囲いを形成する。いずれの好適な溶質及び溶媒も用いることができ、幾つかの実施形態においては、溶質を硝酸アンモニウム又は塩化カルシウムとすることができる。
【0008】
最後に、本発明は、化学的湿布のような熱活性化材料を含むことができる、延長した治療持続時間を有する熱療法用システムを考慮する。湿布は、第1の相変化材料、溶質、及び溶媒を含むことができ、該溶質及び該溶媒は、膜で隔てられており、この膜を破砕することにより、該溶質及び該溶媒の混合が引き起こされて、発熱反応又は吸熱反応を生じる。このシステムは、さらに、約−10℃から約40℃までの転移温度を有する第2の相変化材料を含むことができる第1の層と、約35℃から約65℃までの転移温度を有する第3の相変化材料を含むことができる第2の層とを有する可撓性スリーブを含むことができる。第1の層は、第2の層に接合されて、熱活性化材料を出し入れすることができる開口部を有する少なくとも部分的な囲いを形成する。いずれの好適な相変化材料も用いることができ、幾つかの実施形態においては、第1の相変化材料、第2の相変化材料、及び第3の相変化材料は、n−エイコサン、n−ヘンエイコサン、n−ドコサン、n−トリコサン、n−テトラコサン、n−ペンタコサン、n−ヘキサコサン、n−ヘプタコサン、n−オクタコサン、n−トリデカン、n−テトラデカン、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン、n−ノナデカン、n−エイコサン、及びこれらの組み合わせとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、延長された治療寿命を有することを特徴とする熱療法用システムに関する。延長された寿命は、少なくとも1つの相変化材料(PCM)を従来型の熱療法技術に組み合わせて用いることに帰せられる。具体的には、PCMは、熱活性化材料が挿入される熱療法用スリーブに組み入れられる。「熱活性化材料」とは、室温において熱を供与するか又は吸収することができる物質のいずれか、又は、例えば、組み合わされた時に、発熱反応又は吸熱反応により熱を生成し又は熱を吸収する多数の物質である。熱活性化材料は、例えば氷、ゲル、塩及び水のような化学的試薬などを含む。熱活性化材料は、パッケージ又は使用者が使いやすいような他の形で収容して供与することができる。例えば、多くの熱活性化材料は、ここでは「熱療法用製品」とも呼ばれる即効性化学的温湿布又は冷湿布、市販のゲル湿布、金属酸化生成物などに組み入れられている。より具体的には、「寒冷療法用製品」は熱を吸って冷却効果を与える製品を指し、「温熱療法用製品」は熱を生成即ち放熱して加温効果を与える製品を指す。
【0010】
本発明の熱療法用システムは、熱活性化材料を受け入れる寸法にされた可撓性の再利用可能な熱療法用スリーブを供与することにより、従来技術の欠点を克服する。スリーブはPCMを収容するが、これは単に、使用済みの熱活性化材料、例えば、化学的又はゲルベースの温湿布又は冷湿布のような熱療法用製品を交換することにより再生することができる。こうすることで、熱療法の持続時間が延ばされる。このことは、再利用前に、かなり長い時間に渡って冷たい環境(例えば冷凍庫)又は温かい環境(例えば電子レンジ)内に置くような、独立のエネルギー源を用いた不便で時間のかかる外的再生を要する現行の製品に勝る顕著な利点を提供する。
【0011】
PCMは、例えば、スリーブの層内の中空チャンバに含める、スリーブの層を形成する繊維と共押出しする、又はカプセル形態のPCMをスリーブの層の繊維性マトリックスと一体化させるなどの種々の方法でスリーブに組み入れることができる。
【0012】
本発明はまた、熱療法用製品の治療寿命を延ばす方法に関する。一般には、従来型の熱療法用製品を本発明の熱療法用スリーブと併せて用いて、従来型製品の温度を調整すると共に該製品の治療持続時間を延ばすことができる。
【0013】
本発明により想定されていることをより良く理解されるようにするために、より詳細な説明が以下で与えられる。
【0014】
材料は通例、その温度の関数として変動する熱容量に比例して、熱エネルギーを消費又は解放する。熱容量のばらつきは、その材料が関心ある温度範囲内で相転移しない場合には小さい。しかしながら、相変化温度において、又はその近辺において、即ち転移温度においては、通例、材料が溶融する際により大量の熱エネルギーを消費すること又は材料が凍結する際により大量の熱エネルギーを放出することを可能にする非線形的な熱容量の変化が存在する。
【0015】
相変化材料(PCM)は、精密な温度において、可逆的な相転移をする能力のある材料である。一般的なPCMは、例えば、低分子量の脂肪族炭化水素、パラフィン蝋、及び天然油及び蝋の酸を含む。炭化水素中の炭素原子の数とその融点との間にはかなり強い相関関係があることから、パラフィン系炭化水素は、所定の熱療法用途に望ましい温度を得るのに非常に適している。従って、所定の用途に望ましい治療温度は、適切なPCM又はPCMの組み合わせを選択することによって容易に得られよう。種々の例示的なパラフィン系炭化水素を以下に列挙する。



【0016】
天然油、アルコール、及び蝋の脂肪酸を代替的に用いることができる。包括的であることを意図するものではないが、本発明と併せて用いることができる種々の非パラフィン系PCMを以下に示す。

相変化材料(PCM)を用いて、いずれかの熱活性化材料の治療寿命を延ばすことにより熱療法を向上させることができる。詳細には、PCMを用いて、熱療法用製品により生成される熱、放出される熱、又は消費される熱を制御することができる。
【0017】
即効性化学的熱療法用湿布においては、塩と水が膜で隔てられている。使用者は湿布をねじるか、絞るか、又は引っ張ることにより2つの試薬を隔てる膜を破るよう指示される。通常は塩と水が混合されると即座に化学反応が起こり、局所温度の急激な上昇又は低下がもたらされる。例えば、即効性温湿布においては、塩化カルシウムのような塩を水に溶解させることにより、熱を生成することが可能である。この反応は215cal/gの発熱反応熱を有する。同様に、即効性冷湿布においては、硝酸アンモニウムのような塩を水に溶解させることにより、熱を消費することが可能である。この反応は77cal/gの吸熱反応熱を有する。典型的な化学的熱療法用製品において放出又は消費される熱は、それらを形成する材料が与える最小限の断熱材を通して、急激に拡散する。
【0018】
即効性温湿布又は冷湿布と併せてPCMを用いる利点は、典型的な市販の化学的冷湿布を調べることにより、見出すことができる。上述のように、化学的冷湿布は通常、2つ又はそれ以上の試薬を隔てる膜を破砕することにより活性化された時に周囲から熱を消費する。熱療法用製品の内部又はその周囲領域内に配置された適切なPCMは、温度の上昇又は低下を調節する。湿布が冷却されるにつれて、熱が液体PCMから奪われて、その結果、相変化即ち固化又は凍結する。PCMが液体状態に戻るように相変化するには熱が必要なことから、固化したPCMは長期間に渡って低下した温度を保つ。PCMを溶融させるのに必要な熱は、固化したPCMの全てが溶融するまで、温度の上昇に寄与することはない。従って、使用者によって経験される温度は、それほど急激に上昇することはない。このようにして、熱流を管理して快適な治療温度を与え、且つ、治療持続時間を延ばすという便益を与えることが可能である。
【0019】
他にも、従来型の熱療法用製品と併せてPCMを用いる利点が存在する。第一に、望ましくない温度のピークを顧慮することなしに、より幅広く選択された化学的試薬を化学的湿布に用いることができる。熱が迅速に吸収又は放出される際に、PCMは使用者によって実際に経験される温度を調節する。このことは、所定の溶質濃度において特定の量の熱をある程度の期間に渡って生成するか又は消費するという特定の反応をもつ化学物質に限定された従来型の熱療法用製品に勝る顕著な利点を供する。さらに、同量の試薬に対して、より長い治療期間を供与することができ、幾つかの実施例においては試薬の量を減らして、嵩高さが少ない製品を製造することができる。
【0020】
所定の用途に用いられるのに適当なPCM及び相変化材料の質量を選択するに当たっては様々な検討が行われる。第一に、使用者によって経験される最低又は最高の温度を決めなければならない。例えば、乳児用かかとウォーマー用途においては、最高許容温度は約104°F(40°C)とすることができる。
【0021】
短期間局部治療などの幾つかの成人用加温用途においては、最高経験温度は約130°F(54°C)とすることができる。長期間患者加温などの幾つかの成人用用途においては、最高経験温度は約108°F(42°C)とすることができる。他の成人用加温用途においては、最低経験温度は約99°F(37°C)とすることができる。
【0022】
短期間局部治療などの幾つかの成人用冷却用途においては、最低経験温度は約33°F(0°C)とすることができる。他の成人用冷却用途においては、最低経験温度は約39°F(4°C)とすることができる。他の幾つかの成人用冷却用途においては、最高経験温度は約99°F(37°C)とすることができる。
【0023】
所定の用途に望ましい温度が確立されると、その温度に近い転移温度を有する少なくとも1つのPCMが選択され、それによりそのPCMは、望ましい治療温度において、又はその近辺で、相転移することになる。所定の用途に用いられるPCMの量は、用いられる熱活性化材料の量及び種類によって決まる。一般には、熱活性化材料によって放出又は吸収される全ての熱がPCMの相変化を起こすのに十分に利用されるように、十分な量のPCMが用いられるべきである。
【0024】
幾つかの実施形態においては、本発明を用いて寒冷療法用製品の治療上の便益を拡大することができる。そのような実施例においては、PCMは約−10°Cから約40°Cまでの転移温度を有することになろう。より詳細には、幾つかの実施形態においては、PCMは約0°Cから約37°Cまでの転移温度を有することができる。用いることができるPCMの例は、例えばn−トリデカン、n−テトラデカン、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン、n−ノナデカン、n−エイコサン、及びその組み合わせを含む。しかしながら、他の好適なPCMを用いることもできることが理解されるべきである。
【0025】
或いは、本発明を用いて温熱療法用製品の治療上の便益を拡大することができる。そのような実施例においては、PCMは約35°Cから約65°Cまでの転移温度を有することになろう。より詳細には、幾つかの実施形態においては、PCMは約37°Cから約54°Cまでの転移温度を有することができる。用いることができるPCMの例は、例えばn−エイコサン、n−ヘンエイコサン、n−ドコサン、n−トリコサン、n−テトラコサン、n−ペンタコサン、n−ヘキサコサン、n−ヘプタコサン、n−オクタコサン、及びその組み合わせを含む。しかしながら、他の好適なPCMを用いることもできることを理解すべきである。
【0026】
幾つかの用途については、多数のPCMを用いて、熱活性化材料の治療持続時間をさらに延ばすことが望ましいとすることができる。幾つかの実施形態においては、存在する全てのPCMが所望の治療温度において、又はその近辺で相転移するようにPCMの組み合わせを選ぶことができる。他の実施形態においては、2つ又はそれ以上の温度レベルにおいて治療を供するようにPCMを選ぶことができる。上記のPCMのいずれも、付加的なPCMとして用いることができる。しかしながら、他のPCMも利用可能であり、あらゆる好適なPCMも用いることができることを理解すべきである。
【0027】
PCMを熱療法用スリーブに組み入れることは、独自の課題を提示する。多くのPCMは液体であるか又は転移温度で液体となるため、PCMが組み入れられる製品からの漏出を防ぐように何らかの方法で収容されていなければならない。液体PCMを収容するための1つの手段は、或る量のPCMを製品内の個別のポケット領域即ち中空チャンバに閉じ込めることである。PCMは、液体になった時には与えられた空間内に収容され、他の領域又は製品の外に移動することはできない。
【0028】
或いは、例えばシリカのような温度安定性材料を外側シェルとして用いて、転移温度で液体になるPCMをマイクロ粒子形態でカプセル化することができる。次いで、カプセル化PCMは、可逆的に、融点より高い温度に曝された時には熱を消費し、融点より低い温度に曝された時には熱を放出することが可能になる。Phase Change Laboratories, Inc.(92131 カリフォルニア州サンディエゴ、キャロル・キャニオン・ロード10109)から入手可能なもののように、PCMがシリカ粒子に吸収されている場合には、シリカ粒子は、転移温度より高い温度においても乾燥した粉末状特性を保つ。
【0029】
カプセル化PCMは、多くの技術を用いて種々の基体に組み入れることができる。そのような技術の例は、カプセル化PCMのコーティングを繊維又はフィルムの表面に塗布して、粒子を繊維又はフィルムの表面に接着させること、カプセル化PCMをポリマー性繊維と一体化すること、カプセル化PCMのスラリーと混合したポリマー水溶液から繊維を共押し出しすること、カプセル化PCMをプリスターパック形式のラミネートの膨らみの中に封じ込めること、カプセル化PCMをポリマー性発泡体の中に含浸させること、カプセル化CPMをポリマー性樹脂中に分散させて、その後、該樹脂を架橋して、ポリマー・マトリックスの中に粒子を取り込むこと、製造工程中に、カプセル化PCMを微細繊維不織材料構造体内に交絡すること、及びカプセル化PCMを基体にプリントすることを含む。
【0030】
好適な技術のいずれか又は複数の技術を用いて、PCMを本発明の熱療法用スリーブに組み入れることができ、選択される技術は、該PCMが組み入れられる製品の設計によって決まるであろう。
【0031】
スリーブの設計は所定の用途に応じて異なることができる。身体の特定の部分が露出されるか、或いは身体が完全に覆われるような寸法又は形状にすることができる。製品を使用者の身体又は衣服に締結する接着剤、ひも、又は他の手段を含むことができる。使用者の快適さを向上させるために綿又は不織布の外側カバーなどの美的特徴を含むことができる。熱活性化材料を容易に出し入れすることができるようにシール可能としてもよいし、1つ又はそれ以上の縁が開くようにしてもよい。性能及び快適さを向上させるために、1つ又はそれ以上の断熱材を含むことができる。
【0032】
図1に示す1つの実施形態においては、熱療法用スリーブ50は、第1のPCM56を収容する非連通チャンバ54即ちポケットのアレイを含んだ第1の層52を含むことができる。さらに第1の層に接合され、熱活性化材料(図示せず)を出し入れすることができる開口部60を有する少なくとも部分的な囲いを形成する第2の層58を含むことができる。幾つかの実施形態においては、第2の層は、第2のPCMを収容する非連通チャンバのアレイを含むことができる。幾つかの実施例においては、第1のPCMは第2のPCMと化学的に同一とすることができる。
【0033】
図2に示す別の実施形態においては、PCMをポリマー性材料と共に共押出しすることにより、PCMをスリーブ50の層52を形成する繊維に組み入れることができる。この工程は、PCMコア64を有するポリマー性繊維シース62をもたらすことができる。或いは、ポリマー部分とPCM部分とが存在する並列構成を有する繊維をもたらすこともできる。他の可能性ある構成は当業者に公知であろう。あらゆるポリマーを用いることができ、幾つかの実施形態においては、ポリマー繊維はポリプロピレン又はポリエチレンのようなポリオレフィンから形成される。幾つかの実施形態においては、結果得られる繊維は約1質量%から約50質量%までのPCMを含むことができる。他の実施形態においては、繊維は約5質量%から約30質量%までのPCMを含むことができる。さらに他の実施形態においては、繊維は約10質量%から約20質量%までのPCMを含むことができる。
【0034】
そのような実施形態においては、熱療法用スリーブ50は、ポリマー62及び少なくとも1つのPCM64を含むことができる繊維のマトリックスから形成された第1の層52を含むことができる。スリーブは、第1の層に接合され、熱活性化材料(図示せず)を出し入れすることができる開口部60を有する少なくとも部分的な囲いを形成する第2の層58を含むことができる。幾つかの実施形態においては、第2の層もまた、ポリマー及び少なくとも1つのPCMから形成されうる繊維のマトリックスを含むことができる。このような複合繊維を熱療法用スリーブに用いる利点は、より高い質量パーセントのPCMを得ることができる点である。さらに、PCMは構造体と一体化され、そのことにより、PCMが動員してスリーブから漏れ出す危険性が殆どなくなる。
【0035】
図3に示すさらに別の実施形態においては、カプセル化PCMを繊維の形成中又は形成後に、ポリマー性繊維マトリックス内で物理的に交絡することにより、PCMをスリーブに組み入れることができる。粒子の質量は低いため、これらは静電気力によって繊維に付着できる。種々の基体、特に不織材料又は空気堆積材料への粒子の添加は、当該技術分野において周知である。幾つかの実施形態においては、結果得られるマトリックスは、約1質量%から約70質量%までのカプセル化PCMを含むことができる。他の実施形態においては、マトリックスは約25質量%から約50質量%までのカプセル化PCMを含むことができる。さらに他の実施形態においては、マトリックスは約30質量%から約40質量%までのカプセル化PCMを含むことができる。
【0036】
この手法が用いられた場合には、熱療法用スリーブ50は、ポリマー性繊維のマトリックス66及びカプセル化PCM68から形成された第1の層、及び、該第1の層に接合され、熱活性化材料(図示せず)を出し入れすることができる開口部60を有する少なくとも部分的な囲いを形成する第2の層58を含むことができる。幾つかの実施形態においては、第2の層はまた、ポリマー性繊維のマトリックス及び第2のカプセル化PCMを含むことができる。第2のカプセル化PCMは、所望であれば、第1のカプセル化PCMと化学的に同一とすることができる。
【0037】
PCMを本発明に組み入れるあらゆる好適な方法も同様に用いて、多数のPCMを有するスリーブを形成することができ、PCMは同じ層に組み入れることも別々の層に組み入れることもできる。このようなスリーブは、2つの治療温度が望まれる場合に用いることができる。このような二重機能を供するスリーブは、使用者に対して製品汎用性及び使いやすさといった有用性を与えることができる。例えば、本発明は、温熱療法と寒冷療法の両方に用いることができるスリーブを考慮する。こうしたスリーブの1つは、寒冷療法用製品が熱活性化材料として用いられる場合に使用者に接触して配置される第1の側部又は層と、温熱療法用製品が熱活性化材料として用いられる場合に使用者に接触して配置される第2の側部又は層を含むことができる。或いはスリーブは、スリーブの同じ層内又は同じ側部において、寒冷上の便益と温熱上の便益の両方を拡大するのに必要なPCMを含んで、使用者が、スリーブの片側において又はスリーブの両側において同時に、拡大された温熱又は寒冷療法上の便益を受けられるようにすることができる。
【0038】
例えば、1つの実施形態においては、熱療法用スリーブは第1のPCMが組み入れられた第1の層と、第2のPCMが組み入れられた第2の層とを含むことができる。上述したように、PCMは、用途及び所望の治療温度並びに持続期間によって、化学的に同一であってもよいし、同様であってもよいし、又は区別できるものであってもよい。1つの実施形態においては、第1のPCMは約−10°Cから約40°Cまでの転移温度を有することができ、第2のPCMは約35°Cから65°Cまでの転移温度を有することができる。別の実施形態においては、第1のPCMは約0°Cから約37°Cまでの転移温度を有することができ、第2のPCMは約37°Cから54°Cの転移温度を有することができる。
【0039】
別の実施形態においては、スリーブは、第1のPCMと第2のPCMとが組み入れられた第1の層を含むことができる。1つのこのような実施形態においては、第1のPCMは約−10°Cから約40°Cまでの転移温度を有することができ、第2のPCMは約35°Cから65°Cまでの転移温度を有することができる。別のこのような実施形態においては、第1のPCMは約0°Cから約37°Cまでの転移温度を有することができ、第2のPCMは約37°Cから54°Cまでの転移温度を有することができる。幾つかの実施形態においては、このようなスリーブは、第3のPCMが組み入れられる第2の層を含むことができる。第3のPCMは、第1及び第2のPCMと化学的に同一であってもよいし、同様であってもよいし、又は区別できるものであってもよい。ここでは3つのPCMを持つスリーブが説明されたが、用途及び所望の治療温度並びに持続期間によって、PCMを追加して用いることができることを理解すべきである。
【0040】
スリーブの層は、例えば再利用可能な織成布、及び使い捨て不織布又はウェブを含む広域に渡る材料から製造することができる。本発明と併せて用いるのに適した不織材料は、例えば、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド(「SMS」)材料のような多層ラミネートを含む。このような布の実施例は、米国特許第4,041,203号に開示されており、引用によりここに組み入れられる。
【0041】
ここで用いられる「不織布又はウェブ」という用語は、相互に織り込まれているが、編成布におけるように識別可能な様式でない個々の繊維又はスレッドの構造を持つウェブのことを意味する。不織布又はウェブは、例えばメルトブローン工程、スパンボンド工程、ボンデッド・カーデッド・ウェブ工程のような多くの工程から形成されている。
【0042】
ここで用いられる「スパンボンド繊維」又は「スパンボンデッド繊維」という用語は、溶融した熱可塑性材料を、円形又はその他の形状を有する紡糸口金の複数の微細な毛細管からフィラメントして押し出し、次いで、押し出されたフィラメントの直径を、例えばAppel他に付与された米国特許第4,340,563号、Dorschner他に付与された米国特許第3,692,618号、Matsuki他に付与された米国特許第3,802,817号、Kinneyに付与された米国特許第3,338,992号及び第3,341,394号、Hartmanに付与された米国特許第3,502,763号、及びDobo他に付与された米国特許第3,542,615号におけるように、急速に縮小することにより形成される小直径の繊維を指す。スパンボンド繊維は、集積面に堆積される際に、通常は粘着性がない。スパンボンド繊維は、ほぼ連続しており、7ミクロンより大きい、より具体的には約10から20ミクロンの間の平均直径(少なくとも10個のサンプルより)を有する。
【0043】
ここで用いられる「メルトブローン繊維」という用語は、溶融熱可塑性材料を、複数の微細な、通常は円形のダイ毛細管を通じて、溶融スレッド又はフィラメントとして高速の収束するガス(例えば、空気)流の中に押し出し、溶融熱可塑性材料の繊維がガス流によって細められ、直径をマイクロファイバーの直径にまで減少させることにより形成される繊維のことを言う。その後、メルトブローン繊維は、高速ガス流により運ばれ、集積面に堆積されて、不規則に分散されたメルトブローン繊維のウェブを形成する。このような工程は、例えば、Butin他に付与された米国特許第3,849,241号に開示されている。一般に、メルトブローン繊維は、連続的又は非連続的となり得るマイクロファイバーであり、通常は平均直径が10ミクロンより小さく、集積面に堆積されるときには、通常は粘着性がある。
【0044】
ここで用いられる「多層ラミネート」という用語は、層の一部がスパンボンドであり一部がメルトブローンであるスパンボンド/メルトブローン/スパンボンド(SMS)ラミネート、及びBrockらの米国特許第4,041,203号、Collierらの米国特許第5,169,706号、Pottsらの米国特許第5,145,727号、Perkinsらの米国特許第5,178,931号及びTimmonsらの米国特許第5,188,885号に開示されるその他のもののようなラミネートを意味する。このようなラミネートは、可動性の形成ベルト上にまずスパンボンド布層、次いでメルトブローン布層、そして最後に別のスパンボンド層を連続して堆積させ、次いで以下に記載される様式でラミネートを結合させることによって製造できる。或いは布層は、個々に製造し、ロールに回収し、別の結合工程で組み合わせることもできる。このような例示的な布地は普通、約0.1〜12osy(6〜400gsm)、より詳細には約0.75〜約3osyの坪量を有する。多層ラミネートはまた、様々な数のメルトブローン層又は多数のスパンボンド層を多くの様々な構成で有することもでき、それにはフィルム又はコフォーム材料のような他の材料、例えばSMMS、SM、SFSなどが含まれる。
【0045】
ここで用いられる「コフォーム」という用語は、シュートの近くに少なくとも1つのメルトブローン・ダイヘッドが配置され、該ダイヘッドを通じて他の材料が成形中のウェブに添加されるような製法を意味する。このような他の材料は、例えば、パルプ、超吸収性粒子、セルロース又はステープル繊維とすることができる。コフォーム工程は、ラウに付与され本出願人に譲渡された米国特許第4,818,464号と、アンダーソン他に付与された米国特許第4,100,324号に記載されている。コフォーム工程によって作成されたウェブは、一般に「コフォーム材料」と呼ばれる。
【0046】
スリーブはまた、金属化フィルム、ホイルなどを含むことができる。本発明と併せて用いるのに適するであろう1つの材料は、例えばミネソタ州ミネアポリス所在のKapak Corporationから入手可能なSilverPAK(登録商標)ポリエステル障壁材のような金属化プラスチックフィルムである。
【0047】
スリーブの部材を別々に製造して、例えば熱結合、接着剤結合、超音波結合、又は縫製を用いて組み立てることができる。他の組み立て手段は当業者には容易に知られるであろう。或いは、スリーブの各層を単一の多層ユニットとして構成し、その後、ダイ切断その他の何らかの手段を用いて層を接合することができる。要望通りに、いずれかの好適な位置においてスリーブの層を接合することができる。よって層は、本発明の目的を達成するために、要望通りに又は必要に応じて、単一の縁部又はその近辺において接合することができ、又は複数の縁部又はその近辺において接合することができる。
【0048】
スリーブの部材を化学的に、機械的に、静電気的に、又は他の方法により処理して、柔らかさ、延伸性、吸収性、撥水性、消臭、スキンケアなどの付加的な機能属性又は美的属性を与えることができる。
【0049】
本発明はさらに、治療持続時間が延びた熱療法用システムを考慮する。システムは、熱療法用スリーブ内に嵌まるような寸法にされた化学的湿布を含むことができる熱活性化材料を含む。湿布は少なくとも第1のコンパートメントと第2のコンパートメントとに膜により分割することができ、ここでは第1のコンパートメントには溶質が入れられ、第2のコンパートメントには溶媒が入れられており、膜を破砕することで溶質と溶媒の混合が引き起こされて、吸熱反応又は発熱反応が生じる。このシステムはさらに、第1のPCMが組み入れられる第1の層と、該第1の層に接合され、熱活性化材料を出し入れすることができる開口部を有する少なくとも部分的な囲いを形成する第2の層とを含んだ可撓性スリーブを含むことができる。幾つかの実施形態においては、第2の層は、所望であれば第1のPCMと化学的に同一とすることができる第2のPCMを含むことができる。
【0050】
いずれかの好適な技術を用いてPCMをスリーブに組み入れることができる。幾つかの実施形態においては、第1の層は、第1のPCMを収容する非連通チャンバのアレイを含むことができる。他の実施形態においては、第1の層は、ポリマー及び第1のPCMから形成された繊維のマトリックスを含むことができる。さらに他の実施形態においては、第1の層は、ポリマー性繊維のマトリックス及び第1のPCMを含むことができる。このような実施形態においては、PCMはカプセル化することができる。上述の全てのこのような実施形態においては、付加的なPCMを有する付加的な層を組み入れることができ、いずれかの好適な技術を用いて、第2のPCMを第2の層に組み入れることができる。
【0051】
さらに他の実施形態においては、スリーブ内にPCMを含めることに加えて、熱療法用製品内に同じ又は別のPCMを含めることができる。1つの実施形態においては、熱療法用製品は1つ又はそれ以上のPCMを含んだ化学的湿布とすることができる。PCMは、膜で隔てられた別々の部材として湿布に組み入れることができ、又は、要望通りに、溶質又は溶媒と混合することもできる。別の実施形態においては、熱療法用製品は1つ又はそれ以上のPCMを含んだゲルベース製品とすることができる。さらに別の実施形態においては、熱療法用製品は1つ又はそれ以上のPCMを含んだ金属酸化生成物とすることができる。
【0052】
本発明はさらに、熱療法用製品の治療寿命を延ばす方法を考慮する。この方法は、一般に、使用者に便益を与える熱療法用製品を選択すること、PCMを選択すること、熱療法用スリーブにPCMを組み入れること、及び該熱療法用スリーブの内部に熱療法用製品を設置することを含む。スリーブは、本発明により考慮されるいずれかのスリーブとすることができ、第1の層及び第2の層を含むことができ、ここでは、該第1の層は該第2の層に接合されており、熱活性化材料を出し入れすることができる開口部を有する少なくとも部分的な囲いを形成する。熱療法用製品は使用者に温熱上の便益を与えるように選択することができる。或いは、熱療法用製品は使用者に寒冷上の便益を与えるように選択することができる。ここで説明されるあらゆる好適なPCM又はPCMの組み合わせを用いることができる。
【0053】
また、この方法は熱療法用製品を活性化することを含むことができる。製品が活性化される技術は、使用者によって選択された製品の種類によって決まる。1つの実施形態においては、熱療法用製品は、2つの試薬を隔てている膜を破ることによって活性化される化学的湿布を含むことができる。例えば、化学的温湿布は、膜で隔てられた、溶質を含む第1のコンパートメントと、溶媒を含む第2のコンパートメントとを含むことができる。温湿布の膜を破砕することが溶質と溶媒の混合を引き起こし、発熱反応を生成する。同様に、化学的冷湿布は、膜で隔てられた、溶質を含む第1のコンパートメントと、溶媒を含む第2のコンパートメントとを含むことができる。冷湿布中の膜を破砕することが溶質と溶媒の混合を引き起こし、吸熱反応を生成する。こうした化学的湿布は通常使い捨てである。幾つかの加温用途については、塩化カルシウムと水との発熱反応を用いることができる。幾つかの冷却用途については、硝酸アンモニウムと水との吸熱反応を用いることができる。しかしながら、他の発熱反応及び吸熱反応をもつ化学物質も本発明により考慮されることを理解すべきである。このような製品は、要望通りに、スリーブに挿入する前に活性化させることができ、又は、挿入後に活性化させることもできる。
【0054】
別の実施形態においては、製品はエネルギー源に曝すことで活性化されるゲルベースの製品である。1つのそのような製品は、冷蔵庫のような冷たい環境に置くことで活性化されて寒冷療法を与えることができる。さらに別の実施形態においては、製品は電子レンジのような温かい環境に置くことで活性化されて温熱療法を与えるゲルベースの製品である。こうしたゲルベースの製品は、再生、即ち適切なエネルギー源又は温度環境に繰り返し曝すことで、再利用可能となりうる。
【0055】
さらに別の実施形態においては、熱療法用製品は、製品を空気に曝すことで活性化される、例えば鉄酸化生成物のような金属酸化生成物製品である。こうした製品は使い捨てであることが多い。
【0056】
本発明の方法はさらに、スリーブから熱療法用製品を取り出して、廃棄するか、再生するか、又は製品を交換することを含む。このようにして、スリーブを複数回に渡って温熱又は寒冷療法に用いることができ、又は、再生して特定の温熱又は寒冷療法セッションの治療上の便益を続行することもできる。
【0057】
本発明はさらに、治療寿命が延びた熱療法用システムを作成する方法を考慮する。この方法は、混合することで吸熱又は発熱反応がもたらされるように溶質と溶媒を選択すること、及び溶質及び溶媒を湿布に入れることを含む。湿布は、膜によって少なくとも第1のコンパートメントと第2のコンパートメントに分割することができ、ここでは該第1のコンパートメントには溶質が収容され、第2のコンパートメントには溶媒が収容される。膜を破砕することで溶質と溶媒の混合が引き起こされる。上述のあらゆる好適な化学的試薬を用いることができる。
【0058】
この方法はさらに、PCMを選択すること、及び、該PCMを熱療法用スリーブに組み入れることを含む。スリーブは、本発明によって考慮されるあらゆるスリーブであってよく、第1の層及び第2の層を含むことができ、ここでは該第1の層は該第2の層に接合されており、湿布を出し入れすることができる開口部を有する少なくとも部分的な囲いを形成する。この方法はさらに、湿布を熱療法用スリーブに設置すること、及び湿布を活性化させることを含む。
【0059】
本発明はまた、治療寿命が延びた熱療法用システムを作成する方法を考慮する。この方法は、再利用可能な温熱療法用製品又は寒冷療法用製品を準備すること、PCMを選択すること、該PCMを熱療法用スリーブに組み入れること、製品を熱療法用スリーブに設置する前にエネルギー源を供与して該製品を活性化することを含む。スリーブは、本発明により考慮されるあらゆるスリーブであってよく、第1の層及び第2の層を含むことができ、ここでは該第1の層は該第2の層に接合されており、湿布を出し入れすることができる開口部を有する少なくとも部分的な囲いを形成する。
【0060】
本発明がより容易に理解されるように、以下の実施例を参照する。実施例は本発明の範囲を制限することを意図するものではなく、本発明を説明することを意図する。
【実施例1】
【0061】
PCMを用いて化学的温熱製品の温度を調節する能力が明示された。本実施例においては、以下に説明されるように、スリーブは不織材料から構成された。
【0062】
対照スリーブの準備
1平方ヤード当たり2.0オンス(osy)の微細繊維ポリプロピレン・メルトブローン不織材料2片が互いにラミネートされて、対照スリーブの第1の層が準備された。12インチ(304mm)×12インチ(304mm)のCarverホットプレス機(Carver model 1523)を用いて、145°Cの温度で、12,000psiの圧力を2分間かけて、材料が互いにラミネートされた。同じ材料の別の2片が同様に互いにラミネートされ、対照スリーブの第2の層が準備された。次いで超音波ボンダを用い、2つのラミネートが3つの側部で結合されて、対照スリーブが形成された。得られたスリーブは約7.0gの質量であった。
【0063】
実験用スリーブの準備
1平方ヤード当たり2.0オンス(osy)の微細繊維ポリプロピレン・メルトブローン不織材料2片が互いにラミネートされて、実験用スリーブの第1の層が準備された。12インチ(304mm)×12インチ(304mm)のCarverホットプレス機(Carver model 1523)を用いて、145°Cの温度で、10,000psiの圧力を2分間かけて、材料が互いにラミネートされた。ラミネートに先立って、転移温度127°F(53°C)のPCM(カリフォルニア州サンディエゴ所在のPhase Change Laboratories, Inc.から入手可能)約7.2gが層の間に置かれた。得られた第1の層の質量は約10.7gであった。
【0064】
同じ材料の別の2片が同様に互いにラミネートされ、実験用スリーブの第2の層が準備された。ラミネートに先立って、転移温度127°F(53°C)のPCM(カリフォルニア州サンディエゴ所在のPhase Change Laboratories, Inc.から入手可能)約6.9gが層の間に置かれた。得られた第2の層の質量は約10.1gであった。
【0065】
次いで超音波ボンダを用い、2つのラミネートが3つの側部で結合されて、実験用スリーブが形成された。得られたスリーブは約67.8質量%のPCMを含んでいた。
【0066】
化学的湿布の準備
金属蒸着プラスチックフィルム・ラミネート(ミネソタ州ミネアポリス所在のKapak Corporationより入手のSilverPAK(登録商標)2.5ミル(0.025インチ)厚さのポリエステル障壁材)を用いて、ほぼ10gの塩化カルシウム(CaCl2)粉末(VWRカタログ番号EM−CX0156−1)を保持するためのパウチが製造された。4.5インチ(114mm)×4.5インチ(114mm)のパウチは、超音波ボンダを用いて、ラミネートを3つの側部で結合することにより製造された。CaCl2粉末でパウチを満たした後で、感圧式接着テープを用いて、パウチの第4の側部が密封された。
【0067】
実験用設計
図4に示す実験装置を用いて、脱イオン水10mlを導入した際のCaCl2温湿布の温度特性が測定された。ポリスチレン発泡体断熱材20を用いてサンプル22が覆われた。均一な表面温度を得るために、対照スリーブ及び試験スリーブは別のSilverPAK(登録商標)の層に封入された。一定温度を与えるために、サンプル22は、アルミニウムプレート24の上に、循環水槽26の表面に接触して置かれた。2つの温度測定値、即ちサンプルの底面と金属プレートとの間の温度T1、及びサンプルの上面と断熱材との間の温度T2が取られた。
【0068】
結果
図5は、評価された3つの例、即ち塩化カルシウムを収容するホイルパウチ(曲線Aとして示す)、対照スリーブに挿入された塩化カルシウムを伴うホイルパウチ(曲線Bとして示す)、及び試験スリーブに挿入された塩化カルシウムを伴うホイルパウチのT2(曲線Cとして示す)について、T2の温度特性を時間の関数として示す。曲線Cはピーク温度の減少と持続時間が延びたことを示している。よって、結果は、試験スリーブ中のPCMの存在が、ピーク温度、及び、塩化カルシウム湿布からの放熱の持続時間の両方を調節することを示す。
【実施例2】
【0069】
PCMを用いて化学的湿布の温度を調節する能力が明示された。この実施例においては、以下に説明されるように、スリーブは金属蒸着フィルムから構成された。
【0070】
対照スリーブDの準備
金属蒸着プラスチックフィルム・ラミネート・バッグ(ミネソタ州ミネアポリス所在のKapak Corporationより入手のSilverPAK(登録商標)2.5ミル(0.025インチ厚さ)のポリエステル障壁材)2片がエポキシ系接着剤を用いてシールされた。このスリーブは対照スリーブE及び実験用スリーブFが持つ、ポケット状ラミネート構造を持たない。
【0071】
対照スリーブEの準備
同じ金属蒸着プラスチックフィルム・ラミネート・バッグ2片が互いにラミネートされて、対照スリーブの第1の層が準備された。これらの片は12インチ(304mm)×12インチ(304mm)のCarverホットプレス機(Carver model 1523)を用いて、約135°Cの温度で、約10,000psiの圧力を約1分間かけてラミネートされた。同じ材料の別の2片が同様に互いにラミネートされて、対照スリーブの第2の層が準備された。次いで高強度のエポキシ系接着剤を用いて2つの層が3つの側部で結合され、対照スリーブが形成された。得られたスリーブの質量は約9.0gであった。
【0072】
実験用スリーブFの準備
金属蒸着プラスチックフィルム・ラミネート・バッグ(ミネソタ州ミネアポリス所在のKapak Corporationより入手のSilverPAK(登録商標)2.5ミル(0.025インチ厚さ)のポリエステル障壁材)2片が互いにラミネートされ、実験用スリーブの第1の層が準備された。ラミネートに先立って、転移温度127°F(53°C)のPCM(カリフォルニア州サンディエゴ所在のPhase Change Laboratories, Inc.から入手可能)約10.7gが2つの片の間に置かれた。片は12インチ(304mm)×12インチ(304mm)のCarverホットプレス機(Carver model 1523)を用い、約135°Cの温度で、10,000psiの圧力を約1分間かけてラミネートされた。得られた第1の層の質量は約15.3gであった。
【0073】
同じ材料の別の2片が同様に互いにラミネートされて、実験用スリーブの第2の層が準備された。ラミネートに先立って、転移温度127°F(53°C)のPCM(カリフォルニア州サンディエゴ所在のPhase Change Laboratories, Inc.から入手可能)約9.8gが層の間に置かれた。得られた第2の層の質量は約14.5gであった。
【0074】
次いで高強度のエポキシ系接着剤を用いて2つの層が3つの側部で結合されて、実験用スリーブが形成された。
【0075】
サンプルD、E、及びFの準備
次いで、10gのCaCl2を対照スリーブDに置き、開放端に接着テープを用いてスリーブを閉鎖することにより、サンプルDが形成された。サンプルEは、10gのCaCl2を対照スリーブEに置き、開放端に接着テープを用いてスリーブを閉鎖することにより形成された。サンプルFは、10gのCaCl2を実験用スリーブFに置き、開放端に接着テープを用いてスリーブを閉鎖することにより形成された。サンプルFは約68.8質量%のPCMを含んでいた。
【0076】
実験的設計
次いで、サンプルは実施例1で用いられた実験装置を用いて評価された。ポリスチレン発泡体断熱材が各サンプルの上部に置かれて、これを空気から遮断した。注射器を用いて脱イオン化水10mlが各サンプルに注入された。得られたT1及びT2の温度特性は、時間の関数として測定された。
【0077】
結果
図6はT1の特性を時間の関数として示し、図7はT2の特性を時間の関数として示し、図8は(T1−T2)の特性を時間の関数として示す。図6に見られるように、PCMを収容する実験用サンプルFのピーク温度は、対照サンプルD、Eと比較して、減少した。実験用サンプルFは、時間に伴う温度の減衰において僅かな遅れを呈したが、生成された熱の殆どは、湿布の下側を通して循環水槽へと迅速に除去された。
【0078】
図7は、実験用サンプルFのT2を、2つの対照サンプルD及びEと比較した、広範囲の水平状態を示す。ポリスチレン発泡体断熱材のために、スリーブ上側における熱伝達は限られていることから、この表面には或る期間にわたり顕著な熱の蓄積が存在した。対照サンプルD及びEの場合においては、PCMを収容する実験用サンプルFのそれよりも、蓄積された熱の減衰は遙かに急速であった。
【0079】
図8においては、3つの温度特性間において遙かに目立った違いが見られる。T1とT2との間の差は初めは正であって(T1はT2より大きい)、その後急激に負の値(T1はT2より低い)へ転じる。このことは、一旦化学反応が開始されると、T2側に顕著な熱の蓄積が存在したことを示している。この蓄積された熱は、サンプルの厚さを通して循環水槽へ向かう熱伝達により、次第に拡散された。この減衰は対照D及びEについてより、実験用サンプルFについての方が、遥かに緩やかであった。実験用サンプルFにおけるPCMの付加的な蓄熱能力が、より緩やかな熱の拡散を生じさせたのである。
【実施例3】
【0080】
多数のPCMを用いて熱療法用温湿布の治療持続時間を延ばし、経験される温度を調節する能力が明示された。
【0081】
熱療法用スリーブ内で多数のPCMを組み合わせる効果を理解するために、PCMは、個々に、及び、組み合わせて評価された。選択された第1のPCMはオクタコサン(転移温度約61°C、Aldrich Chemicalからカタログ番号O−50−4で入手可能)であった。選択された第2のPCMはエイコサン(転移温度約37°C、Aldrich Chemicalからカタログ番号21,927−4で入手可能)であった。
【0082】
金属蒸着プラスチックフィルム・ラミネート・バッグ(ミネソタ州ミネアポリス所在のKapak Corporationより入手のSilverPAK(登録商標)2.5ミル(0.025インチ厚さ)のポリエステル障壁材)2片を用いて、小型のパウチ(約4インチ(102mm)×約2インチ(51mm))が製造された。各々は約10gの液体状態のPCMで満たされた。第1のパウチはオクタコサンを収容し(パウチH)、第2のパウチはエイコサンを収容していた(パウチI)。パウチは熱インパルス・シーラを用いて密封され、PCMを固化するために冷却することが可能になった。第3のパウチはオクタコサンとエイコサンの50/50混合物から製造された(パウチJ)。
【0083】
実施例2と同じくKapak材料を用いて4つの化学的温湿布が形成された。各湿布は約75gの脱イオン水で満たされた。測定の直前に、約50gのCaCl2が湿布に加えられた。1つの湿布は対照として形成された(サンプルG)。
【0084】
図9で用いられた実験装置を用いて、サンプルの各々について時間−温度データを収集した。サンプルパウチ28は試験表面30の上に置かれた。化学的温湿布32はサンプルパウチ28の上に設置された。ポリスチレン発泡体断熱材20を用いてシステムが覆われた。2つの温度測定値、即ちサンプルパウチの底面と試験表面との間の温度T1、及びサンプルパウチの上面と化学的湿布の底面との間の温度T2が取られた。データはDT9805 A/Dボード(データ変換)及びLab Tech Data Aquisitionソフトウェアを用いて収集された。分析の結果は図10、図11、図12、及び図13に示される。
【0085】
図10はオクタコサンを収容するサンプルHの結果を示す。オクタコサンの存在は、治療側(PCMを伴い、皮膚に接触する側)で感じられることになるピーク温度を低下させた。しかしながら、温湿布の活性化によって生成された熱の量は、相変化材料の全質量を溶融させるほど十分ではなかった。従って、ここでは熱調節は最適化されなかった。
【0086】
図11はエイコサンを収容するサンプルIの結果を示す。生成された熱の量はPCMの全質量を溶融させるのに十分であったことから、エイコサンの存在はピーク温度を低下させ、熱流を調節した。
【0087】
図12はオクタコサンとエイコサンの50/50混合物を収容するサンプルJの結果を示す。このように混合された場合には、オクタコサンとエイコサンの両方が化学的湿布の時間−温度特性に影響を与えた。融点の高いオクタコサンの存在のために、より高いピーク温度が観察された。しかしながら、エイコサンのみがその転移温度である35°Cで完全に溶融して、熱流を調節した。結果のまとめが以下に提示される。

【0088】
図13に見られるように、オクタコサンと組み合わせてエイコサンを用いると(曲線J)、温度は35°Cで調節され、熱供給の持続時間は、対照サンプル(曲線G)、オクタコサンのサンプル(曲線H)、及びエイコサンのサンプル(曲線I)と比較すると、ほぼ45%増加した。曲線Kは、参照目的のための周辺温度のベースラインを示す。結果は、PCMの組み合わせを用いることによって、試験表面により経験されるピーク温度を上昇できることを示す。熱供給の持続時間の合計には僅かな減少があったが、特定の療法においては、2つのレベルの温度は有用となろう。
【実施例4】
【0089】
多数のPCMを用いて熱療法用冷湿布の治療持続時間を延ばし、経験される温度を調節する能力が明示された。
【0090】
冷湿布が用いられたことを除き、実施例3と同じ手順が行われた。以下のPCM即ち、ペンタデカン(転移温度約10°C、Aldrichカタログ番号P−340−6)、テトラデカン(サンプルM、転移温度約6°C、Aldrichカタログ番号17,245−6)、及びヘキサデカン(サンプルN、転移温度約18°C、Aldrichカタログ番号29,631−7)が用いられた。サンプルOはペンタデカンとテトラデカンの50/50混合物を収容していた。化学的湿布は85gの脱イオン水を含み、測定の直前に、100gの硝酸アンモニウム(NH4NO3)が加えられた。
【0091】
図14は結果のまとめを示す。周辺温度のベースラインは曲線Sとして提示されている。PCMの組み合わせを用いると(曲線O)、対照(曲線P)に比べて、ピーク温度の顕著な調節が存在した。再加温段階中の温度特性は極めて浅いことから、治療持続時間の増加はそれほど明白ではなかった。水への塩の溶解が緩やかで継続的であるために、こうした効果が観察された可能性が最も高い。塩の可溶性は低温では減少することから、全ての塩が直ちに水に溶けたわけではなかった。化学的湿布が再加温し始めると、より多くの塩が溶解して、再加温の遅延を生じさせた。結果として、相変化効果は即効性熱湿布の場合ほどには顕著ではなかった。しかしながら、このような効果を最小にすることができる用途も存在するであろう。
【実施例5】
【0092】
熱療法用スリーブを多数のPCMと併せて用いて、化学的温湿布と化学的冷湿布の両方の治療持続時間を延ばす能力が明示された。
【0093】
金属蒸着プラスチックフィルム・ラミネート・バッグ(ミネソタ州ミネアポリス所在のKapak Corporationより入手のSilverPAK(登録商標)2.5ミル(0.025インチ厚さ)のポリエステル障壁材)2片を用いて、小型のパウチ(約4インチ(102mm)×約2インチ(51mm))が製造された。パウチの2つ(パウチU及びパウチY)はエイコサンとペンタデカンの50/50混合物約10gで満たされた。
【0094】
実施例2と同じくKapak材料を用いて4つの化学的湿布が形成された。各湿布は約75gの脱イオン水で満たされた。測定の直前に、約50gの化学的試薬が湿布に加えられた。湿布Tは対照湿布として指定され、CaCl2が加えられた。湿布Uは実験用湿布として指定され、CaCl2が加えられた。湿布Xは対照湿布として指定され、NH4NO3が加えられた。湿布Yは実験用湿布であり、NH4NO3が加えられた。
【0095】
図9で用いられた実験装置を用いて、サンプルの各々について時間−温度データを収集した。サンプルパウチ28は試験表面30の上に置かれた。化学的温湿布32はサンプルパウチ28の上に置かれた。ポリスチレン発泡体断熱材20を用いてシステムが覆われた。2つの温度測定値、即ちサンプルパウチの底面と試験表面との間の温度T1、及びサンプルパウチの上面と化学的湿布の底面との間の温度T2が取られた。データはDT9805 A/Dボード(データ変換)及びLab Tech Data Aquisitionソフトウェアを用いて収集された。分析の結果は図15に示される。時間の経過に伴う室温は曲線Zとして示される。
【0096】
図15に示されるように、PCM混合物は、対照システム(それぞれ曲線T及び曲線X)と比較して、化学的温湿布(曲線U)と化学的冷湿布(曲線Y)の両方の温度を調節することができ、より穏やかでより長く継続する温度特性をもたらした。PCMの量及び種類は、異なる温度範囲内での調節を最適化するように修正することができる。
【0097】
要約すると、本発明は、望ましい治療温度に達し、望ましくない温度急上昇をなくし、治療持続時間延ばす熱療法用システムに対する必要性を対処する。1つ又はそれ以上のPCMを熱療法用スリーブに組み入れることにより、従来の形態の熱療法の便益を向上し、拡大することができる。さらに、本発明の熱療法用システムを用いて、化学的湿布、ゲルベースの湿布、又は金属酸化生成物のような熱活性化材料と、該材料を入れるスリーブとを供与することにより、使用者に有益な製品の組み合わせを与えることができる。この組み合わせは有効であると共に使いやすくもあり、現行で入手可能な製品に勝る顕著な便益を提供する。さらに、本発明により考慮された方法は、種々の用途に関して、幾つもの熱療法上の可能性を提供する。
【0098】
本発明は、その発明特徴の範囲及び精神から逸脱することなく、他の特定の形態で実施することができる。従って、本実施形態は、全ての観点において、制限的なものではなく、説明的であると見なされるべきであり、本発明の範囲は上記の説明ではなく添付の特許請求の範囲によって示されており、従って、特許請求の範囲の均等技術の意味及び範囲内の変更は全てその中に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】スリーブの層が相変化材料を収容する中空チャンバを含む、本発明と併せて用いるための例示的な熱療法用スリーブを示す。
【図2】共押出しされたポリマー及び相変化材料からスリーブの層が形成された、本発明と併せて用いるための例示的な熱療法用スリーブを示す。
【図3】繊維のマトリックス及びカプセル化相変化材料からスリーブの層が形成された、本発明と併せて用いるための例示的な熱療法用スリーブを示す。
【図4】実施例1及び実施例2において評価される種々の熱療法用システムの時間−温度データを測定するために用いられる実験装置を示す。
【図5】評価される3つの例示的な塩化カルシウム化学的湿布システムの時間−温度特性の比較を示す。
【図6】3つの例示的な塩化カルシウム化学的湿布システムのサンプルの底面と金属プレートとの間の温度を時間の関数として示す。
【図7】3つの例示的な塩化カルシウム化学的湿布システムのサンプルの上面と断熱材との間の温度を時間の関数として示す。
【図8】3つの例示的な塩化カルシウム化学的湿布システムのサンプルの底面と金属プレートの間の温度と、サンプルの上面と断熱材との間の温度差を時間の関数として示す。
【図9】実施例3、実施例4、及び実施例5において評価される種々の熱療法用システムの時間−温度データを測定するために用いられる実験装置を示す。
【図10】オクタコサンを含む例示的なシステムの温度を時間の関数として示す。
【図11】エイコサンを含む例示的なシステムの温度を時間の関数として示す。
【図12】オクタコサンとエイコサンの50/50混合物を含む例示的なシステムの温度を時間の関数として示す。
【図13】図10ないし図12のデータの比較を示す。
【図14】非相変化材料、テトラデカン、ヘキサデカン、及びペンタデカンとテトラデカンの50/50混合物を含む種々の例示的なシステムの時間−温度データの比較を示す。
【図15】非相変化材料、及びエイコサンとペンタデカンの50/50混合物を含む種々の例示的な温湿布システム及び冷湿布システムの温度を時間の関数として示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約−10℃から約40℃までの転移温度を有する第1の相変化材料を含む第1の層と、
約35℃から約65℃までの転移温度を有する第2の相変化材料を含む第2の層と、
を備え、
前記第1の層が前記第2の層に接合されて、熱活性化材料を出し入れすることができる開口部を有する少なくとも部分的な囲いを形成するようになったことを特徴とする可撓性熱療法用スリーブ。
【請求項2】
前記第1の相変化材料が、n−エイコサン、n−ヘンエイコサン、n−ドコサン、n−トリコサン、n−テトラコサン、n−ペンタコサン、n−ヘキサコサン、n−ヘプタコサン、n−オクタコサン、及びこれらの組み合わせから成るグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載のスリーブ。
【請求項3】
前記第2の相変化材料が、n−トリデカン、n−テトラデカン、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン、n−ノナデカン、n−エイコサン、及びこれらの組み合わせから成るグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載のスリーブ。
【請求項4】
約−10℃から約40℃までの転移温度を有する第1の相変化材料、及び、約35℃から約65℃までの転移温度を有する第2の相変化材料を含む第1の層と、
前記第1の層に接合されて、熱活性化材料を出し入れすることができる開口部を有する少なくとも部分的な囲いを形成する第2の層と、
を備えることを特徴とする可撓性熱療法用スリーブ。
【請求項5】
前記第1の相変化材料が、n−エイコサン、n−ヘンエイコサン、n−ドコサン、n−トリコサン、n−テトラコサン、n−ペンタコサン、n−ヘキサコサン、n−ヘプタコサン、n−オクタコサン、及びこれらの組み合わせから成るグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載のスリーブ。
【請求項6】
前記第2の相変化材料が、n−トリデカン、n−テトラデカン、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン、n−ノナデカン、n−エイコサン、及びこれらの組み合わせから成るグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載のスリーブ。
【請求項7】
前記第2の層が、第3の相変化材料を含むことを特徴とする請求項4に記載のスリーブ。
【請求項8】
前記第3の相変化材料が、約−10℃から約40℃までの転移温度を有することを特徴とする請求項7に記載のスリーブ。
【請求項9】
前記第3の相変化材料が、約35℃から約65℃までの転移温度を有することを特徴とする請求項7に記載のスリーブ。
【請求項10】
延長された治療持続時間を有する熱療法用システムであって、
第1の相変化材料、溶質、及び溶媒を含む化学的湿布からなる熱活性化材料を含み、
前記溶質及び前記溶媒が膜で隔てられており、前記膜を破砕することにより該溶質及び該溶媒の混合が引き起こされて、発熱反応又は吸熱反応を生じ、
約−10℃から約40℃までの転移温度を有する第2の相変化材料、及び、約35℃から約65℃までの転移温度を有する第3の相変化材料を含む第1の層と、第2の層とを含む可撓性スリーブ、
を含み、
前記第1の層が前記第2の層に接合されて、前記熱活性化材料を出し入れすることができる開口部を有する少なくとも部分的な囲いを形成するようになったことを特徴とする可撓性熱療法用システム。
【請求項11】
前記溶質が硝酸アンモニウムからなることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
第1の相変化材料が約−10℃か約40℃までの転移温度を有することを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の相変化材料が、n−トリデカン、n−テトラデカン、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン、n−ノナデカン、n−エイコサン、及びこれらの組み合わせから成るグループから選択されることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記溶質が塩化カルシウムからなることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の相変化材料が約35℃から約65℃までの転移温度を有することを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1の相変化材料がn−エイコサン、n−ヘンエイコサン、n−ドコサン、n−トリコサン、n−テトラコサン、n−ペンタコサン、n−ヘキサコサン、n−ヘプタコサン、n−オクタコサン、及びこれらの組み合わせから成るグループから選択されることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
延長された治療持続時間を有する熱療法システムであって、
第1の相変化材料、溶質、及び溶媒を含む湿布からなる熱活性化材料を含み、
前記溶質及び前記溶媒が膜で隔てられており、前記膜を破砕することにより該溶質及び該溶媒の混合が引き起こされて、発熱反応又は吸熱反応を生じ、
約−10℃から約40℃までの転移温度を有する第2の相変化材料を含む第1の層と、約35℃から約65℃までの転移温度を有する第3の相変化材料を含む第2の層とを含む可撓性スリーブ、
を含み、
前記第1の層が前記第2の層に接合されて、前記熱活性化材料を出し入れすることができる開口部を有する少なくとも部分的な囲いを形成するようになったことを特徴とする可撓性熱療法用システム。
【請求項18】
前記第1の相変化材料が約−10℃から約40℃までの転移温度を有することを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1の相変化材料が約35℃から約65℃までの転移温度を有することを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の相変化材料、前記第2の相変化材料、及び前記第3の相変化材料が、n−エイコサン、n−ヘンエイコサン、n−ドコサン、n−トリコサン、n−テトラコサン、n−ペンタコサン、n−ヘキサコサン、n−ヘプタコサン、n−オクタコサン、n−トリデカン、n−テトラデカン、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン、n−ノナデカン、n−エイコサン、及びこれらの組み合わせから成るグループから選択されることを特徴とする請求項17に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2006−523222(P2006−523222A)
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508718(P2006−508718)
【出願日】平成16年2月11日(2004.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2004/004065
【国際公開番号】WO2004/093759
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】