説明

熱硬化性パウダーコーティング組成物




本発明は、反応性不飽和を含有する樹脂であって、全ての前記反応性不飽和が電子吸引性基に直接結合した炭素炭素二重結合である樹脂と、式(1)(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、1〜30個のC原子の場合により置換されていてもよいアルキルであって、前記1〜30個のC原子が置換基のC原子を含まないアルキルを表わすか、または6〜18個のC原子の場合により置換されていてもよいアリールであって、前記6〜18個のC原子が置換基のC原子を含まないアリールを表す)で表される化合物の群から選択される過酸化物を含む熱開始系と、ビニルエーテル、ビニルエーテルウレタン、ビニルエステル、ビニルアミド、イタコネート、エナミン、ビニルウレアおよびそれらの混合物の群から選択される共架橋剤とを含む1成分熱硬化性パウダーコーティング組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、熱硬化性パウダーコーティング組成物、その調製方法、基材をコートするためのパウダーコーティング組成物の使用、パウダーコーティング組成物でコートされた基材およびパウダーコーティング組成物を使用する基材のコート方法に関する。
【0002】
Pitture e Vernice Europe 1/92,pp.15−22でのG.Maggioreによる論文「Overview of the powder coatings market worldwide」によっておよびD.Richartによる講演「Powder Coating:Current Developments,Future Trends」(Waterborne,High−Solids and Powder Coatings Symposium、1995年2月22−24日)によって示されているように、基材の熱応力がほとんどなく硬化させることができる、およびその結果として、例えば、木材およびプラスチックなどの熱に敏感な基材での使用に好適であるパウダーコーティング組成物への探究は依然として継続中である。
【0003】
低温で硬化させることができるパウダーコーティング組成物への要望に加えて、かかるパウダーコーティング組成物は押出機で依然として加工できることがまた望ましい。
【0004】
それ故、例えば60〜130℃の低温で硬化するその能力を押出機での良好な加工性と両立させるパウダーコーティング組成物が必要とされている。
【0005】
さらに、1成分パウダーコーティング組成物は、例えば表面外観、耐アセトン性、耐衝撃性などの、より良好な特性を有するコーティングを提供する可能性があるので、2成分パウダーコーティング組成物とは対照的なものとして1成分パウダーコーティング組成物を所有することが望まれる。
【0006】
1K系とも言われる、本明細書で用いられるような「1成分系」とは、パウダーコーティング組成物の全ての(反応性)成分が1パウダーの部分を形成することを意味する。これは、パウダーコーティング組成物が、反応性成分を物理的に別々に保つ、異なる化学組成の少なくとも2つの異なるパウダーからなる、2K系とも言われる、2成分系とは対照的である。少なくとも2つの異なるパウダーは、パウダーコーティング組成物が貯蔵容器に入れられる前に物理的ブレンドに混合されてもよいし、または硬化反応を起こらせるために2K系を基材に塗布する直前に混合されてもよい。2K系での少なくとも2つの異なるパウダーの組成物は通常、各パウダーが、硬化のために必要とされる原料を含有するが、他のパウダーには存在しないように選択される。この分離は、硬化反応の開始なしに(溶融混合によってなど)加熱状態で個々のパウダー組成物の調製を可能にする。
【0007】
さらに、これらのパウダーコーティング組成物が貯蔵安定であることもまた重要である。「貯蔵安定な」とは、パウダーコーティング組成物が、貯蔵後に、例えば20℃で2カ月間の貯蔵後に、流動性を含む、その硬化特性を保持することを意味する。
【0008】
基材上のパウダーコーティング組成物の流動特性(流動性)は、コーティングの流動性を、おおよそ60μmのコーティング厚さでPCI Powder Coating Flowパネル(ACT Test Panels Inc.)と比較することによって測定することができる。流動性の格付けは、1が最も粗いコーティングを表し、10が最良の流動性のコーティングを表して、1〜10である。
【0009】
貯蔵安定な組成物を得るために、最も明らかな選択は、2成分パウダーコーティング組成物であろう。しかしながら、生じたコーティングの最良の特性を得るためには、1成分パウダーコーティング組成物が望ましいかもしれない。
【0010】
それ故、押出機で容易に加工可能であり、かつ、低温、例えば60〜130℃で部分的にまたは完全に熱硬化させることができ、それを、熱に敏感ではない基材のためのみならず、特にまた熱に敏感な基材のための使用に好適なものにする1成分熱硬化性パウダーコーティング組成物であって、また貯蔵安定である組成物を提供することが本発明の目的である。
【0011】
この目的は、反応性不飽和を含有する樹脂であって、全ての前記反応性不飽和が電子吸引性基に直接結合した炭素炭素二重結合である樹脂と、式(1)
【化1】



(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、1〜30個のC原子の場合により置換されていてもよいアルキルであって、前記1〜30個のC原子が置換基のC原子を含まないアルキルを表わすかまたは6〜18個のC原子の場合により置換されていてもよいアリールであって、前記6〜18個のC原子が置換基のC原子を含まないアリールを表す)で表される化合物の群から選択される過酸化物を含む熱開始系と、ビニルエーテル、ビニルエステル、ビニルアミド、イタコネート、エナミンおよびそれらの混合物の群から選択される共架橋剤とを含む1成分熱硬化性パウダーコーティング組成物によって達成される。
【0012】
押出機で容易に加工可能なとは、パウダーコーティング組成物がゲル粒子を形成することなく、好ましくはゲルを形成することなく押し出されて押出物を形成し得ることを意味する。
【0013】
熱硬化性とは、本発明の枠組み内ではパウダーコーティング組成物の硬化が熱を用いることによって達成できることを意味する。
【0014】
熱開始系がこの熱硬化を可能にするために本発明の組成物中に存在する。熱硬化は、追加の装置、例えばUV光または加速電子を発生させる装置の使用なしにパウダーコーティング組成物を加熱する1工程プロセスで、パウダーコーティング組成物を溶融させ、基材上へ硬化させることができるという利点を有するのに対して、基材上へのパウダーコーティング組成物の放射線硬化では、基材上でパウダーコーティングを溶融させ、硬化させるために2工程が必要とされる。かかる2工程の放射線硬化では、先ずパウダーコーティング組成物は熱を用いて基材上へ溶融され、その後それは、UVまたは電子ビーム放射線を用いて硬化される。熱硬化は、3D物体をコートするためにとりわけ望ましい。
【0015】
好ましくは、本発明のパウダーコーティング組成物は、60〜130℃の温度で硬化する。より好ましくは、硬化温度は少なくとも65℃、さらにより好ましくは少なくとも70℃、例えば少なくとも75℃、例えば少なくとも80℃である。より好ましくは、硬化温度は、高くても125℃、さらにより好ましくは高くても120℃、特に高くても115℃、特に高くても110℃、例えば高くても105℃または例えば高くても100℃である。特別な場合には、例えばより熱に敏感である基材については、パウダーコーティング組成物をさらにより低い温度で、例えば100℃より低い、95℃より低い、90℃より低いまたはさらに85℃より低い温度で硬化させることが有利であるかもしれない。
【0016】
本発明の目的のためには1回のアセトンダブル摩擦(ADR)とは、アセトンに浸した綿布を使用しておおよそ60μmの厚さを有するコーティングの表面上の1回の前後の動きを意味し、その綿布は、980グラムの重量および2cmのコーティングとの接触表面積を有するハンマーヘッドを覆っている。20回の摩擦毎に布はアセトンに浸される。測定は、コーティングが除去されるまで(そして得られたADR数が書き留められる)かまたは100回のADRに達するまで続けられる。
【0017】
好ましくは、本発明のパウダーコーティング組成物から製造されたコーティングは、コーティング組成物が基材、例えばアルミニウム基材(ALQパネル)に塗布され、そして130℃の温度で、好ましくは多くとも20分の時間、より好ましくは多くとも15分の時間硬化されるときに、少なくとも60回のADR、例えば少なくとも70回のADR、少なくとも80回のADR、少なくとも90回のADRまたは少なくとも100回のADRに耐える。
【0018】
「パウダーコーティング組成物」とは、乾燥した(溶剤または他のキャリアなしの)細分された固体として基材に塗布することができ、溶融または融解されたときに、基材に接着する連続フィルムを形成する組成物を意味する。
【0019】
本明細書で用いられるような用語「熱開始系」とは、ラジカル重合の引き金を引く系を意味する。
【0020】
過酸化物の量は、パウダーコーティング組成物中の樹脂および共架橋剤(樹脂系)の量を基準として本明細書では計算される。言い換えれば、過酸化物の量を計算するためには、樹脂系は、顔料、フィラーなどのような、通常のパウダーコーティング組成物添加剤を除いて、反応性不飽和を含有する樹脂プラス共架橋剤と定義される。
【0021】
本発明によるパウダーコーティング組成物の硬化は熱を用いて行うことができる;すなわち、パウダーコーティング組成物は熱硬化性である。熱開始系中の過酸化物は加熱すると、共架橋剤中の不飽和基と組み合わせて樹脂中の反応性不飽和の重合または樹脂中の反応性不飽和の重合を開始させることができるラジカルを発生させる。固体開始剤が液体のものよりも好ましい。
【0022】
本発明のパウダーコーティング組成物中の過酸化物は、式(1)
【化2】



(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、1〜30個のC原子の場合より置換されていてもよいアルキルであって、前記1〜30個のC原子が置換基のC原子を含まないアルキルを表わすか、または6〜18個のC原子の場合により置換されていてもよいアリールであって、前記6〜18個のC原子が置換基のC原子を含まないアリールを表す)
で表される化合物の群から選択される過酸化物である。好ましくは、過酸化物は、RおよびRがそれぞれ独立して、1〜20個のC原子のアルキルを、より好ましくは6〜20個のC原子のアルキルをまたは6〜12個のC原子のアリールを表す、式1で表される化合物である。より好ましくは、過酸化物は、Rおよび/またはRがフェニルを表すかまたはRおよび/またはRが6〜20個のC原子のアルキルを表す、式(1)で表される化合物である。最も好ましくは、RおよびRの両方はフェニルを表し(式(1)の化合物はベンゾイルペルオキシドである)またはRおよびRの両方はドデカンを表す(式(1)の化合物はラウロイルペルオキシドである)。それ故、好ましい実施形態では、過酸化物はベンゾイルペルオキシドまたはラウロイルペルオキシド(時々ラウリルペルオキシドまたはジラウロイルペルオキシドとも呼ばれる)である。
【0023】
過酸化物の量は好ましくは、パウダーコーティング組成物が基材に塗布され、130℃の温度で20分間硬化されたときに、生じたコーティングが少なくとも50回のアセトンダブル摩擦に耐えるように選択される。
【0024】
式(1)の過酸化物化合物の混合物もまた本発明のパウダーコーティング組成物に用いられてもよいことは当業者に明らかである。
【0025】
樹脂は、全ての前記反応性不飽和が電子求引基に直接結合した炭素炭素二重結合である反応性不飽和を含有する。反応性不飽和とは、電子求引基に直接結合した炭素炭素二重結合が過酸化物によって発生したラジカルに対して反応性であることを意味する。誤解を避けるために、反応性不飽和は芳香環を含まない。
【0026】
好適な樹脂の例には、ポリエステル、ポリアクリレート(=アクリル樹脂)、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリカーボネート、ポリウレアなど、ならびにそれらの混合物が挙げられる。好ましくは樹脂はポリエステルである。
【0027】
反応性不飽和(電子吸引性基に直接結合した炭素炭素二重結合)は、樹脂の主鎖、樹脂(の主鎖)上のペンダント中に、樹脂の終端にまたはこれらの場所の組み合わせに存在してもよい。
【0028】
好ましくはフマル酸、マレイン酸イタコン酸、アクリル酸、および/またはメタクリルル酸をベースとする反応性不飽和を有する樹脂、より好ましくはフマル酸および/またはマレイン酸をベースとする反応性不飽和を有する樹脂が、本発明のパウダーコーティング組成物に使用される。反応性不飽和を樹脂に導入する方法の例は、以下に記載される。
【0029】
ポリエステルは一般にポリアルコールとポリカルボン酸との重縮合生成物である。
【0030】
ポリエステルの製造に使用されてもよいポリカルボン酸の例には、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸および4,4’−オキシビス安息香酸、3,6−ジクロロフタル酸、テトラクロロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサクロロエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、フタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸およびトリメリット酸が挙げられる。これらの例示的な酸は、それらの酸形で、または入手可能な場合、それらの酸無水物、アシルクロリドもしくは低級アルキルエステルの形で使用することができる。酸の混合物もまた使用することができる。加えて、ヒドロキシカルボン酸およびラクトンも使用することができる。例には、ヒドロキシピバリン酸およびε−カプロラクトンが挙げられる。
【0031】
ポリアルコール、特にジオールは、ポリエステルを製造するために上記のようなカルボン酸またはそれらの類似体と反応させることができる。ポリアルコールの例には、脂肪族ジオール、例えば、エチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール(ネオペンチルグリコール)、ヘキサン−2,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン(水素化ビスフェノール−A)、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよび2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]プロパン、ネオペンチルグリコールおよび4,8−ビス−(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5,2,1,0]デカン(=トリシクロデカンジメチロール)のヒドロキシピバリン酸エステルならびに2,3−ブテンジオールが挙げられる。
【0032】
三官能性またはより多い官能性アルコール(一緒にポリオール)または酸を、分岐ポリエステルを得るために使用することができる。好適なポリオールおよびポリ酸の例は、グリセロール、ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールおよびトリメリット酸である。
【0033】
一官能性酸、例えばパラ−第三ブチル安息香酸、安息香酸、メタ−トルイル酸、桂皮酸、クロトン酸がポリマー鎖を遮断するために使用されてもよい。
【0034】
好ましくは、本発明のパウダーコーティング組成物中の樹脂は、少なくとも次のモノマーから製造されたポリエステルである:テレフタル酸、ネオペンチルグリコールおよび/またはプロピレングリコール。分岐のためにポリエステル中にトリメチロールプロパンが存在してもよい。
【0035】
ポリエステルは、エステル化および/またはエステル交換によるまたは酵素を使用するエステル化および/またはエステル交換による通例の、一般に公知の重合法によって製造することができる。例えば、必要に応じて、例えば、ブチルクロロスズジヒドロキシド、酸化ジブチルスズ、チタン酸テトラブチルまたはスズ酸ブチルなどの通例のエステル化触媒を使用することができる。使用されるこれらのエステル化触媒の量の例は、ポリエステルの総重量を基準として通常約0.1重量%である。
【0036】
ポリエステルの製造の条件およびCOOH/OH比は、意図される範囲の値内にある酸価またはヒドロキシル価を有する最終生成物が得られるように選択することができる。
【0037】
好ましくは、ポリエステル樹脂の粘度は、本明細書に記載されるような方法を用いて160℃で測定されるとき2〜30Pa.sの範囲にある。
【0038】
樹脂はまた、アクリル樹脂としても知られる、ポリアクリレートであることができる。一般に、アクリル樹脂は、場合によりスチレンと組み合わせて(メタ)アクリル酸のアルキルエステルをベースとする。(メタ)アクリル酸のこれらのアルキルエステルは、ヒドロキシルまたはグリシジル官能性(メタ)アクリル酸で置き換えられてもよい。(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの例には、例えばエチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0039】
ヒドロキシル官能性を有するアクリル樹脂を得るために、アクリル樹脂は、好ましくは(メタ)アクリル酸のアルキルエステルと組み合わせて、ヒドロキシル官能性(メタ)アクリル酸を含有する。ヒドロキシル官能性(メタ)アクリル酸エステルの例には、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、およびヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0040】
グリシジル官能性を有するアクリル樹脂を得るために、アクリル樹脂は、好ましくは(メタ)アクリル酸のアルキルエステルと組み合わせて、グリシジル官能性(メタ)アクリル酸エステルを含有する。グリシジル官能性(メタ)アクリル酸エステルの例には、グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。
【0041】
明らかに、ヒドロキシルおよびグリシジル官能性の両方を持ったアクリル樹脂を合成することもまた可能である。
【0042】
ポリウレタンは例えば、必要に応じて、触媒および他の添加剤の存在下に(ポリ)イソシアネートと(ポリ)アルコールとの通例の、一般に公知の重付加反応を用いて製造することができる。
【0043】
例えば、必要に応じて、例えば第三級アミンまたは、例えばモノブチルスズトリス(2−エチルヘキサノエート)、チタン酸テトラブチルもしくはジブチルスズジラウレートなどの、有機金属化合物などの通例の触媒を使用することができる。使用されるこれらの触媒の量の例は、樹脂の総重量を基準として通常約0.01重量%である。
【0044】
ポリウレタンの製造に使用されてもよい(ポリ)アルコールの例は、ポリエステルの製造に使用することができるものと同じものである。
【0045】
ポリウレタンの製造に使用されてもよいイソシアネートの例には、ジイソシアネート、例えばトルエン2,4−ジイソシアネート、トルエン2,6−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、5−イソシアバト−1−(イソシアナトメチル)−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、m−テトラメチルキシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネート、ナフタレン1,5−ジイソシアネートまたは1,4−ジイソシアナトベンゼン;およびトリイソシアネート、例えばトリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネートが挙げられるが、それらに限定されない。
【0046】
樹脂はまた、エポキシ樹脂としても知られる、ポリエポキシドであってもよい。エポキシ樹脂は例えば、EpicoteTM1001またはNovolacエポキシドとして商業的に入手可能であるものなどの例えばビスフェノールAジグリシジルエーテルのようなエポキシ樹脂をもたらすエピクロロヒドリンと組み合わせてフェノール化合物から製造されてもよい。
【0047】
ポリアミドは例えば、ジアミンとジカルボン酸との重縮合反応によって製造することができる。
【0048】
ジカルボン酸は、分岐、非線状または線状であってもよい。好適なジカルボン酸の例は例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、シクロヘキサン二酢酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、フェニレンジ(オキシ酢酸)、セバシン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸および/またはアゼライン酸である。
【0049】
好適な脂肪族ジアミンの例には例えば、イソホロンジアミン、1,2−エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,12−ドデシレンジアミン、1,4 シクロヘキサンビスメチルアミン、ピペラジン、p−キシリレンジアミンおよび/またはm−キシリレンジアミンが挙げられる。ポリアミドはまた、分岐成分を使用して分岐であってもよい。分岐成分の好適な例には、アミン、例えばジ−エチレン−トリアミンまたはジ−ヘキサメチレン−トリアミンなどの、ジ−アルキレン−トリアミン;ジ−アルキレン−テトラミンまたはジ−アルキレン−ペンタミン;酸、例えば1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、トリメリット酸無水物またはピロメリット酸無水物;および、例えばアスパラギン酸またはグルタミン酸などの多官能性アミノ酸が挙げられる。
【0050】
ポリエステルアミドは、エステル結合(ポリエステルにおけるような)およびアミド結合(ポリアミドにおけるような)の両方を含有する樹脂であり、カルボン酸官能性を持ったモノマー、ヒドロキシル官能性を持ったモノマー、アミン官能性を持ったモノマーおよび/またはこれらの官能性のいずれかの組み合わせを有するモノマーなどの、モノ−、ジ−、トリ−、またはポリ官能性モノマーから例えば製造されてもよい。
【0051】
原則として任意の固体ヒドロキシル官能性ポリカーボネートが使用されてもよい。ヒドロキシ官能性ポリカーボネートは、様々な製造業者から商業的に入手可能である。
【0052】
ポリウレアは例えば、必要に応じてポリウレタンについて上に記載されているものに類似の触媒および他の添加剤の存在下に(ポリ)イソシアネートと(ポリ)アミンとの通例の、一般に公知の重付加反応を用いて製造することができる。ポリウレアの製造のための好適な(ポリ)アミンには、ポリアミドについて上に例示されているものが含まれる。ポリウレアの製造のための好適な(ポリ)イソシアネートには、ポリウレタンについて上に例示されているようなものが含まれる。
【0053】
反応性不飽和は、例えばヒドロキシル官能性モノマー(前述のポリアルコールなどの)を、例えばフマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸またはメサコン酸などの、不飽和カルボン酸または酸無水物と反応させることによって、樹脂主鎖中へ組み込まれてもよい。
【0054】
ヒドロキシル官能性モノマーを不飽和カルボン酸と反応させることによって反応性不飽和を主鎖中へ組み込むことが可能である樹脂は、例えばポリエステルである。
【0055】
また、反応性不飽和は、樹脂中のエポキシド官能性ペンダント基、例えばグリシジル官能性アクリレートを、例えばメタクリル酸もしくはアクリル酸またはフマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸もしくはメサコン酸のモノエステルなどの、不飽和カルボン酸と反応させることによって樹脂上の側基に連結されてもよい。
【0056】
また、反応性不飽和は、樹脂中のヒドロキシル官能性ペンダント基、例えばヒドロキシル官能性アクリレートを、例えばメタクリル酸もしくはアクリル酸またはイタコン酸、マレイン酸もしくはシトラコン酸の無水物などの、不飽和カルボン酸無水物と反応させることによって樹脂上の側基に連結されてもよい。
【0057】
例えば、ヒドロキシル官能性、エポキシド官能性またはアミン官能性末端基を、例えばフマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、メサコン酸もしくはそれらのモノエステル、メタクリル酸またはアクリル酸などの、不飽和カルボン酸と反応させることによって、樹脂の終端(または複数の終端)に反応性不飽和を連結することもまた可能である。そのようにして、ヒドロキシル、アミンまたはグリシジル末端基を有する樹脂が、かかるカルボン酸と反応させられてもよい。
【0058】
また、またはあるいはまた、ヒドロキシルもしくはアミン官能性樹脂は、ウレタンおよび/またはウレア結合を形成するジイソシアネートとの反応により反応性不飽和を含有するヒドロキシル官能性化合物で変性されてもよい。この変性は、ペンダントヒドロキシル基でおよび末端ヒドロキシル基での両方で行われてもよい。
【0059】
時々また、少量の阻害剤が、グリコール中の過酸化物の可能な存在による不飽和の損失およびエステル化温度による不安定性を防ぐためにエステル化の間に存在する。
【0060】
H−NMRを用いて測定されるような樹脂の1不飽和当たりの重量(WPU)は、通常7500未満、好ましくは1500未満、例えば1150未満もしくは1100未満もしくは1000g/モルおよび/または好ましくは100超、より好ましくは250g/モル超、例えば500g/モル超である。
【0061】
WPUは例えば、その完全な開示が参照により本明細書によって援用される、例えばJournal of Applied Polymer Science,Vol.23,1979,pp 25−38に記載されているように、H−NMRを用いて、または実験の部で本明細書に記載されるような方法によって測定することができる。実験の部の方法では、1不飽和当たりの重量(WPU)は、内部標準としてピラジンを使用する300MHz Varian NMRスペクトロメーターでのH−NMRによって測定された、またはWPUは、樹脂および/または共架橋剤の合成中に加えられたような不飽和の量でMnを割ることによって理論的に求められた。
【0062】
非晶質樹脂の場合には、樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは少なくとも20℃、より好ましくは少なくとも25℃である。好ましくは、樹脂は、少なくとも40、好ましくは少なくとも45℃のTgおよび/または高くても65℃、好ましくは高くても60℃、例えば高くても55℃、または高くても50℃のTgを有するポリエステルである。
【0063】
樹脂中の酸基の量は、KOHでの酸/酸無水物基の滴定によって測定される。酸基の量は、1g樹脂当たりのmg KOHの単位での酸価(AV)として表される。
【0064】
樹脂中のヒドロキシル基の量は、無水酢酸でのヒドロキシル基の滴定およびKOHでの逆滴定によって測定される。ヒドロキシル基の量は、1g樹脂当たりの使用されるmg KOHの単位でのヒドロキシル価(OH価またはOHV)として表される。
【0065】
樹脂は、ヒドロキシル価が酸価より低い場合には酸官能性と分類される。カルボン酸官能性樹脂が望ましい場合には、樹脂のヒドロキシル価は通常、1g樹脂当たり10mg KOHより下である。
【0066】
樹脂は、酸価がヒドロキシル価より低い場合にはヒドロキシル官能性と分類される。ヒドロキシル官能性樹脂が望ましい場合には、樹脂の酸価は通常、1g樹脂当たり10mg KOHより下である。
【0067】
本発明のパウダーコーティング組成物中の樹脂のヒドロキシル価は通常、1g樹脂当たり0〜70mg KOHの範囲にある。
【0068】
ビニルエーテルまたはビニルエステル共架橋剤が本発明のパウダーコーティング組成物に使用される場合には1g樹脂当たり10mg KOH未満の、好ましくは5mg KOH未満の酸価の、樹脂、好ましくはポリエステルを有することが望ましい。ビニルエーテルまたはビニルエステル以外の共架橋剤が使用される場合、樹脂、好ましくはポリエステルの酸価は、1g樹脂当たり0〜250、例えば0〜60mg KOHの範囲であってもよい。
【0069】
樹脂の数平均分子量(Mn)は原則として決定的に重要であるわけではなく、例えば1,000〜20,000Daであることができる。好ましくは、樹脂のMnは少なくとも1,500Da、例えば少なくとも2,000Daおよび/または非晶質樹脂の場合には好ましくは多くとも8,000、例えば多くとも4,000Daであり、および/または結晶性樹脂の場合には好ましくは多くとも15,000Daである。好ましくは、樹脂は、1,500〜8,000の範囲の、例えば2,100〜4,000Daの範囲の数平均分子量(Mn)を有するポリエステルである。
【0070】
パウダーコーティング組成物中に共架橋剤もまた存在する。共架橋剤とは、樹脂中の反応性不飽和(電子吸引性基に直接結合した炭素炭素二重結合)と反応することができる炭素炭素二重結合を有する化合物を意味する。
【0071】
本発明の組成物での使用のための共架橋剤は、ビニルエーテル、ビニルエステル、ビニルアミド、イタコネート、エナミン、およびそれらの混合物の群から、好ましくはビニルエーテル、ビニルエステルおよびそれらの混合物の群から選択される。
【0072】
ビニルエーテルは、ビニルエーテル部分(表1の式(2)を参照されたい)を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーである。本発明のパウダーコーティング組成物中の共架橋剤は、例えばビニルエーテルである。液体ビニルエーテルの例には、モノ(アルコール)官能化ビニルエーテル、例えばエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルまたは4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチルビニルエーテル(1,4−シクロヘキサンジメタノールビニルエーテル);例えばブタンジオールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ポリ−THFTM290−ジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルなどの、ジアルコール官能化ビニルエーテル;トリアルコール官能化ビニルエーテル、例えばトリメチロールプロパントリビニルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン;ならびにモノアミノ官能性ビニルエーテル、例えば3−アミノプロピルビニルエーテルが挙げられる。
【0073】
例えば、ビニルエーテルは、ビニルエーテルエステルの形成下にジメチルエステルとヒドロキシ官能性ビニルエーテルとから製造されてもよい。
【0074】
非晶質または半結晶性ビニルエーテルの例には、ビニルエーテルウレタン、ビニルエーテルポリエステルウレタン、ビニルエーテルウレアおよびビニルエーテルポリエステルウレアが挙げられる。ビニルエーテルポリエステルウレタンのポリエステル部分は一般に、ポリアルコールとポリカルボン酸との重縮合生成物であり、同じモノマーを有してもよく、上に記載されたようなポリエステルの合成に類似して合成されてもよい。ビニルエーテルポリエステルウレタンのポリエステル部分は、飽和であっても不飽和であってもよく、樹脂と類似であってもよい。
【0075】
ビニルエーテルウレタンを製造するために、イソシアネートが、ヒドロキシ官能性ビニルエーテルおよび/またはポリアルコールと反応させられてもよい。ビニルエーテルポリエステルウレタンを製造するために、イソシアネートが、ヒドロキシ官能性ビニルエーテルおよびヒドロキシ官能性ポリエステル(例えば上に記載されるようなポリエステル)と反応させられてもよい。これらの反応は、必要ならば、触媒および他の添加剤の存在下に(ポリ)イソシアネートと(ポリ)アルコールとの通例の、一般に公知の重付加反応である。触媒、他の添加剤、ポリアルコールおよびイソシアネートの幾つかの例が本明細書で示される(例えばポリウレタンに関する部を参照されたい)。
【0076】
ビニルエーテルの例にはまた、例えば酸官能性ポリエステル(例えば本明細書に例示されるような)とヒドロキシ官能性ビニルエーテル(例えば本明細書に例示されるような)とから製造することができる、ビニルエーテルポリエステルが挙げられる。勿論、ヒドロキシ官能性またはアルキル官能性ポリエステルとヒドロキシ官能性ビニルエーテルとのエステル交換によってビニルエーテルポリエステルを製造することもまた可能である。
【0077】
ビニルエステルは、ビニルエステル部分(表1の式(3)を参照されたい)を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーである。ビニルエステルの例には、一官能性ビニルエステル、例えばステアリン酸ビニルエステル、パルミチン酸ビニルエステル、安息香酸ビニルエステル、ラウリン酸ビニルエステル、ヘキサン酸ビニルエステル、ピバリン酸ビニルエステル、オレイン酸ビニルエステル、メタクリル酸ビニルエステル、デカン酸ビニルエステル、ブロモ酢酸ビニルエステル、ミリスチン酸ビニルエステル、吉草酸ビニルエステル、ノナン酸ビニルエステル、ヘプタン酸ビニルエステル、フェニル酢酸ビニルエステル、マレイン酸(ジ)ビニルエステル、ウンデカン酸ビニルエステル、ヨード酢酸ビニルエステル、2−ナフトエ酸ビニルエステル、3−クロロ−酪酸ビニルエステル、4−クロロ−酪酸ビニルエステルおよび2−クロロ酪酸ビニルエステル;例えばアジピン酸ジビニルエステル、フマル酸ジビニルエステル、セバシン酸ジビニルエステル、フタル酸ジビニルエステルおよびテレフタル酸ジビニルエステルなどの、二官能性ビニルエステル;ならびに多官能性ビニルエステル、例えばトリメリット酸トリビニルエステルが挙げられる。
【0078】
ビニルアミドは、ビニルアミド部分(表1の式(4)を参照されたい)を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーである。
【0079】
イタコネートは、イタコネート部分(表1の式(5)を参照されたい)を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーである。液体イタコネートの例には、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネートなどが挙げられる。固体イタコネートの例には、ジメチルイタコネートが挙げられる。非晶質イタコネートの例は、上に示される通りである(例えばイタコン酸のモノエステルまたはイタコン酸で変性された樹脂に関する部を参照されたい)。イタコン酸をベースとする不飽和を含有する樹脂は単独重合することができるので、イタコン酸ベースの不飽和を含有する樹脂は、共架橋剤としてイタコン酸ベースの不飽和を含有するオリゴマーまたはポリマーと組み合わせて使用されてもよい。
【0080】
エナミンは、エナミン部分(表1の式(6)を参照されたい)を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーである。
【0081】
本明細書で定義されるように、モノマーは500Daより下のMnを有し、オリゴマーは1,500Daより下のMnを有し、ポリマーは少なくとも1,500DaのMnを有する。
【0082】
【表1】



【0083】
樹脂中の電子吸引性基に直接結合した炭素炭素二重結合が、イタコネート部分を含有する幾つかの樹脂についてそうかもしれないように、樹脂それ自体と反応することができる(すなわち、樹脂が単独重合可能である)場合には、樹脂および共架橋剤は同じ部分を含有してもよく、特別な実施形態では、別個の共架橋剤の存在はそれ故随意であり、樹脂および共架橋剤は同じものであってもよい。
【0084】
樹脂が単独重合することができない場合には、別個の共架橋剤が硬化を獲得するために存在する必要がある。誤解を避けるために、本発明の枠組み内では、樹脂は、樹脂中の反応性不飽和がラジカル開始剤によるラジカル開始後に互いに反応することができる場合には単独重合することができる。
【0085】
別個の共架橋剤は(半)結晶性または非晶質であってもよい。また、液体共架橋剤が使用されてもよい。好ましくは、共架橋剤は、パウダーコーティング組成物を加工、塗布および貯蔵するときに用いられる温度および圧力で不揮発性である。
【0086】
H NMRを用いて測定されるような共架橋剤の1不飽和当たりの重量は、好ましくは870g/モルより低く、例えば650g/モルより低く、例えば630g/モルより低くおよび/または好ましくは70より高く、より好ましくは100より高く、例えば150g/モルより高い。共架橋剤のMnは決定的に重要であるわけではなく、広範囲で変わってもよく、例えばMnは100〜20,000Daであってもよい。
【0087】
パウダーコーティング組成物中に使用される共架橋剤の量は、とりわけ単独重合可能な樹脂が使用される場合には、原則として決定的に重要であるわけではない。樹脂が単独重合することができない場合には、例えば、共架橋剤中の不飽和および樹脂中の不飽和のモル比は、9:1〜1:9、好ましくは2:1〜1:2であってもよい。例えば、共架橋剤および樹脂中の約等モル量の不飽和が用いられてもよい。
【0088】
本発明のパウダーコーティング組成物の貯蔵安定性をさらに高めるために、1つ以上の阻害剤が開始系に添加されてもよいしまたは、例えば樹脂合成中に、樹脂に添加されてもよい。それ故、本発明はまた、阻害剤をさらに含む本発明によるパウダーコーティング組成物に関する。
【0089】
阻害剤の例には、フェノール化合物、安定なラジカル、カテコール類、フェノチアジン類、ヒドロキノン類、ベンゾキノン類またはそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、安定なラジカル、カテコール類、フェノチアジン類、ヒドロキノン類、ベンゾキノン類またはそれらの混合物が本発明のパウダーコーティング中に存在する。
【0090】
フェノール化合物の例には、2−メトキシフェノール、4−メトキシフェノール、2,6−ジ−6−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4,6−トリメチル−フェノール、2,4,6−トリス−ジメチルアミノメチルフェノール、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノールおよび6,6’−ジ−t−ブチル−2,2’−メチレンジ−p−クレゾールが挙げられる。
【0091】
安定なラジカルの例には、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール(TEMPOLとも言われる化合物)、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン(TEMPONとも言われる化合物)、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチル−4−カルボキシル−ピペリジン(4−カルボキシ−TEMPOとも言われる化合物)、1−オキシル−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン、1−オキシル−2,2,5,5−テトラメチル−3−カルボキシルピロリジン(3−カルボキシ−PROXYLとも言われるおよびガルビノキシル(2,6−ジ−t−ブチル−α−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキソ−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン)−p−トリルオキシ)が挙げられる。
【0092】
カテコール類の例には、カテコール、4−t−ブチルカテコール、および3,5−ジ−t−ブチルカテコールが挙げられる。
【0093】
ヒドロキノン類の例には、ヒドロキノン、2−メチルヒドロキノン、2−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,6−ジメチルヒドロキノンおよび2,3,5−トリメチルヒドロキノンが挙げられる。
【0094】
ベンゾキノン類の例には、ベンゾキノン、2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン、メチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、およびナフトキノンが挙げられる。
【0095】
他の好適な阻害剤は、例えばアルミニウム−N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミンおよびフェノチアジンの群から選択されてもよい。
【0096】
(上述の)阻害剤の混合物を使用することもまた可能である。好ましくは、阻害剤は、ヒドロキノン、好ましくは置換ヒドロキノン、より好ましくは2−アルキル置換ヒドロキノン;またはカテコールであり、より好ましくは阻害剤はヒドロキノンである。
【0097】
パウダーコーティング組成物の調製は、参照により本明細書によって援用される「Powder Coatings,Chemistry and Technology」(pp.224−300;1991年、John Willey)にMisevによって記載されている。
【0098】
パウダーコーティング組成物の一般的な調製方法は、別々に量り分けられた成分をプレミキサーで混合し、得られたプレミックスを、例えば混練機で、好ましくは押出機で加熱して押出物を得て、得られた押出物をそれが固化するまで冷却し、そしてそれを顆粒またはフレークへ破砕し、それらが粒径を下げるためにさらにすりつぶされ、妥当な粒径のパウダーコーティング組成物を得るための適切な分級がこれに続くことである。それ故、本発明はまた、本発明によるパウダーコーティング組成物の調製方法であって、
a.パウダーコーティング組成物の成分を混合してプレミックスを得る工程と、
b.得られたプレミックスを、好ましくは押出機で、加熱して押出物を得る工程と、
c.得られた押出物を冷却して固化押出物を得る工程と、
d.得られた固化押出物をより小さい粒子に砕いてパウダーコーティング組成物を得る工程と
を含む方法に関する。
【0099】
好ましくは、プレミックスは、パウダーコーティング組成物を硬化させることを意図される温度より少なくとも5℃、より好ましくは少なくとも10℃下の温度に加熱される。プレミックスが押出機で加熱される場合、押出機中でのパウダーコーティング組成物の硬化につながる可能性がある余りにも高い温度を避けるために温度制御を用いることが好ましい。
【0100】
別の態様では、本発明は、次の工程:
1)(基材がコーティングで部分的にまたは完全にコートされるように)本発明によるパウダーコーティング組成物を基材に塗布する工程
2)(得られた部分的にまたは完全にコートされた)基材を(コーティングが少なくとも部分的に硬化するような時間および温度に)加熱する工程
を含む基材のコーティング方法に関する。
【0101】
本発明のパウダーコーティング組成物は、当業者に公知の技法を用いて、例えば静電スプレーまたは静電的流動床を用いて塗布されてもよい。
【0102】
コートされた基材の加熱は、対流オーブンでおよび/または(N)IRランプでなどの、従来法を用いて行われてもよい。マイクロ波装置でさえも基材を加熱するために用いられてもよい。
【0103】
コーティングが少なくとも部分的に硬化する時間は、対流オーブンがコーティングを加熱するために用いられる場合には好ましくは60分未満、通常は1分超である。より好ましくは、硬化時間は、対流オーブンがコーティングを加熱するために用いられる場合には40分未満である。
【0104】
コーティングが硬化される温度は好ましくは130℃より下、通常は60℃超である。好ましくは、硬化温度は、120℃より低く、より好ましくは110℃より低く、最も好ましくは100℃より低く、最も好ましくは95℃より低い。好ましくは、硬化温度は少なくとも65℃、より好ましくは70℃、さらにより好ましくは少なくとも75℃である。
【0105】
本発明のパウダーコーティング組成物は、例えばフィラー/顔料、脱ガス剤、フロー剤、または(光)安定剤などの、通常の添加剤を場合により含有してもよい。フロー剤の例には、BykTM 361Nが挙げられる。好適なフィラー/顔料の例には、金属酸化物、シリケート、炭酸塩または硫酸塩が挙げられる。好適な安定剤の例には、例えばホスホナイト、チオエーテルまたはHALS(ヒンダードアミン光安定剤)などの、UV安定剤が挙げられる。脱ガス剤の例には、ベンゾインおよびシクロヘキサンジメタノールビスベンゾエートが挙げられる。摩擦帯電性(tribo−chargeability)を改善するための添加剤などの、他の添加剤もまた添加されてもよい。
【0106】
別の態様では、本発明は、本発明による熱硬化性パウダーコーティング組成物をベースとするパウダーコーティングで完全にまたは部分的にコートされている基材に関する。
【0107】
本発明の一実施形態では、基材は熱に敏感でない基材、例えばガラス、セラミック、繊維セメント板、または金属、例えばアルミニウム、銅もしくは鋼である。本発明の別の実施形態では、基材は熱に敏感な基材である。それ故、本発明はまた、熱に敏感な基材、好ましくは木材をコートするための本発明のパウダーコーティング組成物の使用に関する。
【0108】
熱に敏感な基材には、プラスチック基材、木材基材、例えば、硬材、軟材、合板;ベニヤ板、パーチクル・ボード、低密度繊維板、中密度繊維板および高密度繊維板、OSB(配向性ストランドボード)木材ラミネート、チップボードならびに、例えば、箔で覆われた木材基材、加工木材、プラスチック変性木材、プラスチック基材または木材プラスチック・コンパウンド(WPC)などの、木材が重要な構成要素である他の基材などの、例えば中実の木材;セルロース繊維の基材、例えばボール紙または紙基材;織物および皮革基材が含まれる。
【0109】
他の熱に敏感な基材には、金属基材と、プラスチックホースなどの、熱に敏感な部品、重金属部品、ストリップ、例えばヒートストリップ付きアルミ枠などとの組み合わせである物体が含まれる。
【0110】
プラスチック基材の例には、不飽和ポリエステルベースの組成物、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDM)、熱可塑性オレフィン(TPO)、ポリウレタン(PU)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレンテレフタレートおよびナイロン、例えばポリアミド6,6ならびにそれらの組み合わせ、例えばポリカーボネート−ABSが挙げられる。
【0111】
本発明のパウダーコーティングでコートするために特に好適である他の基材は、重金属部品などの、低温硬化が効率的な生産のために望ましいものである。
【0112】
別の態様では、本発明は、基材を完全にまたは部分的にコートするための本発明による組成物の使用に関する。
【0113】
また、本発明は、汚れ、プライマーまたはトップコート層としての本発明によるパウダーコーティング組成物の使用に関する。
【0114】
本発明のパウダーコーティング組成物が使用されてもよい具体的な木材コーティング市場には、テーブル、椅子、キャビネットなどの、家庭家具、寝室および浴室家具、オフィス家具、学校および子供家具などの別注家具、病院家具、レストランおよびホテル家具、食器棚および台所家具、インテリアデザイン向け(フラット)パネル、内部および外部窓およびドア、内部および外部窓枠およびドア枠、外部および内部羽目板および木材床張りが含まれる。
【0115】
本発明のパウダーコーティング組成物が使用されてもよい具体的なプラスチックコーティング市場には、インテリア・カー部品、ホイール・カバー、バンパー、ボンネット下部品などの、自動車用途、可撓性床張り、スポーツ用品、化粧品、TVセット、コンピューターハウジング、電話などの、オーディオビジュアル用途、家庭電化製品および衛星放送受信アンテナが含まれる。
【0116】
特別な実施形態では、本発明は、熱に敏感な基材、好ましくは木材をコートするための本発明のパウダーコーティング組成物の使用に関する。
【0117】
[実施例]
本発明は、以下の非限定的な実施例に関してさらに詳細に説明される。
【0118】
[実験の部]
[パウダーコーティングの合成および塗布]
【0119】
【表2】



【0120】
[樹脂の合成:一般的な手順]
以下の実施例に使用される化学薬品を表2に記載する。
【0121】
[樹脂合成(樹脂A)]
温度計、攪拌機および蒸留デバイスを備えた反応容器を、スズ触媒および表3にリストされるような第1工程用のモノマー((ポリ)アルコールおよびテレフタル酸全て)で満たした。撹拌を次に適用し、軽い窒素流れを、温度を220℃に上げながら反応混合物の上方に通した。その後、第2工程のために少量のラジカル阻害剤と一緒にフマル酸を180℃の温度で加え、220℃でのエステル化がこれに続いた。1g樹脂当たりおおよそ15mg KOH未満の酸価に達したとき、反応混合物を205℃に冷却した。ポリエステル製造の第3段階は、1g樹脂当たりおおよそ5mg KOHの酸価に達するまで205℃で減圧下に実施した。樹脂の酸価を、樹脂の残った酸基とエチレンカーボネートとの反応によってさらに低下させた。使用量は、添加前の酸価に依存した。
【0122】
[樹脂および共架橋剤分析:]
ガラス転移温度(Tg)測定(変曲点)および溶融温度測定は、N雰囲気で5℃/分の加熱速度で、Mettler Toledo,TA DSC821での示差走査熱量測定法(DSC)によって実施した。粘度測定は、Rheometric Scientific CT 5(Rm 265)装置(Mettler Toledo)で、160℃で実施した。30mmスピンドルを使用した。かけられた剪断速度は70秒−1であった。樹脂の酸価およびヒドロキシル価は、それぞれ、ISO 2114−2000およびISO 4629−1978に従って滴定により測定した。
【0123】
1不飽和当たりの重量(WPU)は、ピラジンを内部標準として使用する300MHz Varian NMRスペクトロメーターでのH−NMRによって測定した。記録されたスペクトルをACDソフトウェアで十分に解析し、全ピークのピーク面積を計算した。
【0124】
1モル不飽和当たりの重量樹脂は、次式:
【数1】



で計算した。
pyrおよびWresinは、同じ単位で表される、それぞれ、(内部標準である)ピラジンおよび樹脂の重量である。MWpyrは、ピラジンの分子量(=80g/モル)である。AC=Cは、樹脂中の反応性不飽和の炭素炭素二重結合(C=C構成要素)に結合した水素についてのピーク面積であり;NC=Cは、当該特定C=C構成要素の水素の数である。Apyrはピラジンについてのピーク面積であり、Npyrは水素の数(=4)である。
【0125】
[パウダーコーティング組成物分析]
初期および貯蔵した(25℃で2カ月または40℃で72時間)パウダーコーティング組成物の熱分析測定は、N雰囲気中TA Instruments製のDSC Q2000装置での示差走査熱量測定法(DSC)によって実施した。おおよそ5〜10mgのパウダーコーティング組成物サンプルを使用した。サンプルを先ず0℃で(2分)安定化させ、次に200℃まで5℃/分で加熱した。TA Instrumentsからの付随分析ソフトウェアで、DSCトレースの開始温度およびピーク温度を計算した。
【0126】
【表3】



【0127】
[ビニルエーテルベースの共架橋剤の合成:一般的な手順]
[遊離−NCOの存在の測定方法]
FT−IRスペクトルは、ATR(Golden Gate)付属品を備えたVarian Excalibur装置で記録した。遊離NCOについての特徴的なピークは、2250cm−1に見いだすことができる。この位置でのピークの存在は、遊離NCO基を意味する。
【0128】
[共架橋剤合成(I)]
温度計、攪拌機および蒸留デバイスを備えた反応容器を、スズ触媒および表4にリストされるような第1工程用のモノマー((ポリ)アルコール、イソフタル酸全て)で満たした。撹拌を次に適用し、軽い窒素流れを、温度を220℃に上げながら反応混合物の上方に通した。その後、第2工程のために表3にリストされるようなビニルエーテルおよびスズ触媒を120℃の温度で加えた。その後、表3にリストされるようなイソシアネートを、反応混合物が添加の間じゅう120℃より下に保たれるように投与した。全てのイソシアネートを投与した後、温度を120℃に保つかまたは設定し、この温度におおよそ半時間維持した。次に、n−ブタノールを、全ての遊離のNCOが反応してしまうまで(上に記載されたようにFT−IRを用いて測定した)加えた。温度を120℃に保ち、減圧(0.1バール)を全ての揮発分を除去するために適用した。減圧後に容器の内容物を排出させた。
【0129】
【表4】



【0130】
[パウダーコーティング組成物の調製、塗布および分析:]
試験されるパウダーコーティング組成物の組成を下の表に示す。成分を、Prism Twin Screw押出機(200rpm、トルク>90%)を用いて60℃で押し出した。押出物をすりつぶし、篩にかけ;90ミクロンより小さい篩わけ画分をパウダーコーティング組成物として使用した。パウダーコーティング組成物を、アルミニウムALQパネル上にコロナパウダー塗布スプレーガンで塗布し、対流オーブン(Heraeus UT 6120)中で15分間様々な温度で硬化させた。塗布されたコーティング層の厚さは、おおよそ60μmであった。
【0131】
[パウダーコーティング組成物の調製]
樹脂:共架橋剤の比は、モル不飽和に基づいて3:2を選択する。熱開始系中の開始剤の量は、樹脂系の総重量を基準としている(例えば1kg樹脂系当たりxモル開始剤)。開始系中の阻害剤の量は、樹脂系の総重量を基準としている。開始系中の促進剤の量は、樹脂系の総重量を基準としている(例えば1kg樹脂系当たりxモル促進剤)。フロー剤の量は、全パウダーコーティング組成物の重量%単位で計算する。全てのパウダーコーティング組成物に、それとは違うことが示されない限り、0.8重量%のフロー剤を使用した。
【0132】
[パウダーコーティング組成物の流動性]
基材上のパウダーコーティング組成物の流動特性(流動性)は、コーティングの流動性を、おおよそ60μmのコーティング厚さでPCI Powser Coating Flowパネル(ACT Test Panels Inc.)と比較することによって測定することができる。流動性の格付けは、1が最も粗いコーティングを表し、10が最良の流動性のコーティングを表して、1〜10である。
【0133】
[実施例1および比較実験A]
【0134】
【表5】



【0135】
実施例1.1および1.2ならびに比較例A.1は、パウダーコーティング組成物の貯蔵後の流動性の減少から理解できるようにそれらの化学的貯蔵安定性に関して本発明による過酸化物の有益な使用を明らかに実証する。
【0136】
さらにこれらの実験は、DSCが貯蔵安定性および流動性を容易に評価するために使用できることを示す。硬化の開始/ピーク温度が同じもののままであるかまたは増加する場合には流動性が同じもののままであるが、開始/ピーク温度が低下する場合には流動性もまた低下する。
【0137】
最小量のパウダーコーティング調合物を使用して流動特性への影響を評価するために、このDSC方法論を、表6および7に示されるような40℃で貯蔵されたサンプルに関して用いた。
【0138】
[実施例2]
【0139】
【表6】



【0140】
表6のデータから明らかに観察できるように、40℃で貯蔵すると本発明による過酸化物を用いる流動性はDSCデータによって示されるように良好なままであるが、40℃で流動特性のもっとさらなる劣化が観察される。この目的のために実施例2.1および2.2(DSC開始/ピーク温度は同じもののままであるかまたは増加する)を比較実験A2(DSC開始/ピークは低下する)と比較されたい。
【0141】
[実施例3]
【0142】
【表7】



【0143】
これらの実施例は、遷移金属触媒(促進剤)の存在が硬化時に流動特性に影響を及ぼさないことを明らかに示す(ピーク/開始温度が同じもののままである実施例3.4対3.2)。さらに、これらの実施例は、ヒドロキノン型阻害剤を用いるときに流動特性へのプラス効果を実証する(より高いピーク/開始温度はより良好な流動性を示すように3.1対3.2および3.3対3.4)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 反応性不飽和を含有する樹脂であって、全ての前記反応性不飽和が電子吸引性基に直接結合した炭素炭素二重結合である樹脂と、
− 式(1)
【化1】



(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、1〜30個のC原子の場合により置換されていてもよいアルキルであって、前記1〜30個のC原子が置換基のC原子を含まないアルキルを表わすか、または6〜18個のC原子の場合により置換されていてもよいアリールであって、前記6〜18個のC原子が置換基のC原子を含まないアリールを表す)
で表される化合物の群から選択される過酸化物を含む熱開始系と、
− ビニルエーテル、ビニルエーテルウレタン、ビニルエステル、ビニルアミド、イタコネート、エナミン、ビニルウレアおよびそれらの混合物の群から選択される共架橋剤と
を含む1成分熱硬化性パウダーコーティング組成物。
【請求項2】
前記過酸化物がベンゾイルペルオキシドまたはラウロイルペルオキシドである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記共架橋剤が、ビニルエーテル、ビニルエステルおよびそれらの混合物の群から選択される、請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
阻害剤をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記阻害剤がヒドロキノンまたはカテコールである、好ましくは前記阻害剤がヒドロキノンである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記過酸化物の量が、前記パウダーコーティング組成物が基材に塗布され、130℃の温度で20分間硬化されたときに、生じたコーティングが少なくとも50回のアセトンダブル摩擦に耐えるように選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記樹脂がポリエステルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記樹脂の前記反応性不飽和が、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸および/またはメタクリル酸をベースとする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のパウダーコーティング組成物の調製方法であって、
a.前記パウダーコーティング組成物の成分を混合してプレミックスを得る工程と、
b.前記プレミックスを、好ましくは押出機で、加熱して押出物を得る工程と、
c.前記押出物を冷却して固化押出物を得る工程と、
d.前記固化押出物をより小さい粒子に砕いて前記パウダーコーティング組成物を得る工程と
を含む方法。
【請求項10】
次の工程:
1)請求項1〜8のいずれか一項に記載のパウダーコーティング組成物を基材に塗布する工程
2)前記基材を加熱する工程
を含む基材のコーティング方法。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のパウダーコーティング組成物で完全にまたは部分的にコートされている基材。
【請求項12】
熱に敏感な基材をコートするための請求項1〜8のいずれか一項に記載のパウダーコーティング組成物の使用。
【請求項13】
前記熱に敏感な基材が木材である、請求項8に記載の使用。

【公表番号】特表2012−508281(P2012−508281A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533769(P2011−533769)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【国際出願番号】PCT/EP2009/064730
【国際公開番号】WO2010/052293
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】