説明

熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物および、熱硬化性ポリウレタンエラストマーの製造方法

【課題】 熱硬化性ポリウレタンエラストマーの形成に供されるイソシアネート基末端プレポリマー組成、水酸基含有硬化剤組成、触媒組成、これらからなる産業機器の部品として使用される熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成製品の成形サイクル短縮が可能な形成性組成物、及び、硬度クリープが極めて小さく、ブルーム、ブリード等による他部品への汚染が極めて小さい熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成製品の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、水酸基含有硬化剤(B)と、触媒(C)とを混合した液状物からなる熱硬化性ポリウレタンエラストマー用の形成性組成物において、水酸基含有硬化剤(B)が、数平均分子量270〜1,200のトリオール(B1)と数平均分子量470〜3,000のジオール(B2)からなり、触媒(C)として少なくともチタントリエタノールアミネート(C1)を用い、組成物全体に対する触媒(C1)の含有量が50〜200ppmである熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物を用いることにより、解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性ポリウレタンエラストマーの形成に供されるイソシアネート基末端プレポリマー組成、水酸基含有硬化剤組成、触媒組成、これらからなる産業機器の部品として使用される熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成製品の成形サイクル短縮に関するものであり、得られる形成製品は透明で硬度クリープが極めて小さく、また、ブルーム、ブリード等による他部品への汚染が極めて小さい熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高物性が要求される産業機器のエラストマー部品として、熱硬化性ポリウレタンエラストマーの成形物が好適に使用される。
【0003】
熱硬化性ポリウレタンエラストマーを成形するための形成性組成物をなす成分として、主に、トリレンジイソシアネートと水酸基含有ポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーが用いられ、活性水素基含有硬化剤成分としては、4,4’−メチレンビス(2−クロロアニリン)(MOCA)が用いられる。
【0004】
一般に、産業機器のエラストマー部品は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと水酸基含有硬化剤とを、注型機のミキシングヘッドで均一混合することにより、形成性組成物(混合液)を成形する直前に得た後、該組成物を予め加熱した型内に直ちに注入し、この型内で該組成物を加熱硬化させることにより製造することができる。
【0005】
しかし、所望される諸性能を具備した熱硬化性ポリウレタンエラストマー成形物を効率的に製造するには、型内での該組成物の加熱硬化を瞬時に行わなければならない。このため、一般に、水酸基含有硬化剤に予め触媒を添加し、加熱硬化を促進させることで、型の占有時間を短くし、効率よく製造することができる。
【0006】
一般に、触媒としてトリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン等のアミン系触媒又はジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート等の金属系触媒が用いられる事が多い。しかし、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと水酸基含有硬化剤の混合開始と同時にウレタン化反応が促進され粘度の上昇が見られるため、特に細かな部品に使用される産業機器の部品型内にこの混合液(ウレタン樹脂)が十分に流れない場合がある。
【0007】
この様な一連の問題を解決する手段として、トリアジン系トリマー化触媒、4級アンモニウム塩系トリマー化触媒、酢酸金属系トリマー化触媒を主触媒とする成形方法が提案されている。
【0008】
この場合、これらの導入により、混合初期粘度の低減や型の占有時間(以後、脱型可能時間と呼ぶ)の短縮は行えるが、トリマー化触媒効果により、該組成物中に占めるイソシアヌレート結合が占める割合が大きくなり、成形物に硬度クリープ現象が見られ所望する諸性能を具備できなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3513956号公報
【特許文献2】特許第3632277号公報
【特許文献3】特開2009−227875号公報
【特許文献4】特開2010−150339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものである。
本発明の第1の目的は、従来公知の熱硬化性ポリウレタンエラストマーの所望される諸性能を具備し、脱型可能時間が短縮可能で、硬度クリープが小さく、構成成分である水酸基含有硬化剤(B)と触媒(C)とを予め混合して例えば70℃で5日間保温して液状のまま貯蔵し続けた場合でも濁りが発生しないといった優れた液の貯蔵安定性を、全て併せ有する熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物を提供することにある。
【0011】
本発明の第2の目的は、従来公知の熱硬化性ポリウレタンエラストマーに所望される諸性能を具備し、脱型後の養生時間が短く硬度発現性の高い(換言すれば、最終的な硬度が速い時間で得られる)熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物を提供することにある。
【0012】
本発明の第3の目的は、従来公知の熱硬化性ポリウレタンエラストマーの所望される諸性能を具備し、他部品への低汚染性に優れた熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物を提供することにある。
【0013】
本発明の第4の目的は、前記第1から第3の目的を解決するに至った熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物を用いた、産業機器のエラストマー部品としての性能を備えた、生産性に優れた熱硬化性ポリウレタンエラストマーの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、これらの目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のポリオールからなる水酸基含有硬化剤と特定の触媒を用いることにより、前述の一連の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明は以下の(1)〜(4)に示されるものである。
【0016】
(1) イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、水酸基含有硬化剤(B)と、触媒(C)とを混合した液状物からなり、型内に注入して加熱硬化させ、その後、硬化物を20〜90秒内に脱型して得られる、水酸基含有硬化剤(B)と触媒(C)との混合物の貯蔵安定性に優れた、熱硬化性ポリウレタンエラストマー用の形成性組成物において、
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)におけるイソシアネート基(NCO基)と水酸基含有硬化剤(B)における水酸基(OH基)の混合比(官能基比)がOH基(mol)/NCO基(mol)=0.85〜1.05の範囲内であり、
水酸基含有硬化剤(B)が、数平均分子量270〜1,200のトリオール(B1)と数平均分子量470〜3,000のジオール(B2)からなり、
触媒(C)として少なくともチタントリエタノールアミネート(C1)
Ti(OC〔OCN(COH)
を用い、かつ、組成物全体に対する触媒(C1)の含有量が50〜200ppm
であることを特徴とする、熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物。
【0017】
(2) イソシアネート基含有プレポリマー(A)が、少なくともジフェニルメタンジイソシアネート(A1)と、数平均分子量500〜3,000のポリオール(A2)との反応により得られるものであることを特徴とする、(1)記載の熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物。
【0018】
(3) チタントリエタノールアミネート(C1)
Ti(OC〔OCN(COH)
と併用する触媒(C)として、アミノアルコール系触媒(C2)を用い、
組成物全体に対する触媒(C2)の含有量が100〜500ppmであることを特徴とする、(1)または(2)のいずれかに記載の熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物。
【0019】
(4) (1)〜(3)のいずれかに記載のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、水酸基含有硬化剤(B)と、触媒(C)からなる熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物を混合した液状物を100〜150℃に予熱した型内に注入して硬化させ、硬化物を20〜90秒内に硬化させて得られることを特徴とする、熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成物の製造方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明にて得られる、熱硬化性ポリウレタンエラストマーは、脱型可能時間を短縮しつつ、得られる成形物の硬度クリープが小さい、熱硬化性ポリウレタン成形物の生産性を向上させる熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物及び熱硬化性ポリウレタンエラストマーの製造方法を提供することが可能となった。
また、本発明の熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物の構成成分である水酸基含有硬化剤(B)は、触媒(C)と予め混合して例えば70℃で5日間保温して液状として貯蔵し続けた場合でも濁りが発生しないといった優れた液の貯蔵安定性も得られることが可能となった。このことは、濁りの発生により生ずる反応性の遅延化または混合液状物における反応性のぶれが生じる心配が無く、また、得られる熱硬化性ポリウレタンエラストマー自体、濁りがなくクリアな物を得ることができるという効果をもたらす。
また、本発明においては、養生時間の短縮による生産サイクル性にも優れ、かつ、産業機器の部品として所望される、低汚染性等の諸物性を具備した熱硬化性ポリウレタン成形物の生産性を向上させる熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物及び熱硬化性ポリウレタンエラストマーの製造方法を提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物は、イソシアネート基(以下「NCO基」と略記。)含有ウレタンプレポリマー(A)と、水酸基(以下「OH基」と略記。)含有硬化剤(B)と、触媒(C)とを混合した液状物を型内に注入して加熱硬化させ、その後、硬化物を脱型するエラストマーの製造方法において、硬度クリープを悪化させるイソシアヌレート結合を極力生じさせないとの観点から、NCO基含有ウレタンプレポリマー(A)とOH基含有硬化剤(B)の混合比(官能基比)がOH基(mol)/NCO基(mol)=0.85〜1.05の範囲内からなり、OH基含有硬化剤(B)が、数平均分子量270〜1,200のトリオール(B1)と数平均分子量470〜3,000のジオール(B2)からなり、触媒(C)として少なくともチタントリエタノールアミネート(C1)
Ti(OC〔OCN(COH)
を用い、組成物全体に対する触媒(C1)の含有量が50〜200ppmであること、を特徴とする。
【0022】
<NCO基含有ウレタンプレポリマー(A)>
本発明に使用されるNCO基含有ウレタンプレポリマー(A)は、少なくともジフェニルメタンジイソシアネート(A1)と数平均分子量500〜3,000のポリオール(A2)及び必要に応じて鎖延長剤とを、反応温度:50〜100℃、反応時間:1〜5時間という反応条件による製造方法によって得られる。NCO基含有ウレタンプレポリマー(A)のNCO含有量は、5.0〜25.0質量%が好ましい。NCO含有量が5.0%より低い場合には、主にプレポリマーの粘度が高くなり、注型時にウレタン樹脂の流れ性が著しく悪くなる。25.0%より高い場合は、保存時の貯蔵安定性及び使用時の性状安定性が著しく悪くなり、安定した産業機器部品を得にくく、成形不良につながるなどの問題が起こるため、産業機器部品用の注型用ウレタンプレポリマーとして適さないものとなってしまう。
【0023】
NCO基含有ウレタンプレポリマー(A)に供されるジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(A1)としては、4,4’−MDI、2,4’−MDI等が挙げられ、カルボジイミド化、ウレトンイミン化されたMDI等も使用できる。この中で、4,4’−MDIが好ましい。併用使用可能なその他イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)等が挙げられ、各種異性体も使用できる。
【0024】
NCO基含有ウレタンプレポリマー(A)に供されるポリオール(A2)としては、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール等が挙げられる。このポリオール(A2)の数平均分子量としては、500〜3,000が好ましく、750〜2,600が特に好ましい。官能基数としては、2〜3が好ましく、特に2が好ましい。
【0025】
ポリエーテル系ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール等の短鎖ジオール、又は、グリセリン、トリメチロールプロパン等の短鎖トリオールと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、トリメチレンオキシド及びテトラヒドロフラン等の環式エーテルとを開環重合して製造される、ポリ(エチレンエーテル)グリコール、ポリ(プロピレンエーテル)グリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。また、これらのポリエーテル系ポリオールの混合物も使用できる。
【0026】
ポリエステルポリオールとしては、特に制限されるものではないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール等の短鎖ジオールとアジピン酸を重縮合させることによって製造されるアジペート系ポリエステルポリール、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリペンタンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ジエチレンアジペート等が挙げられる。必要に応じて、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオールも導入し、多官能化した物も使用出来る。この他、2種類以上の短鎖ジオールとアジピン酸を重縮合させる事によって製造されるコポリエステルポリオール、例えばポリエチレンブチレンアジペート、ポリエチレンヘキシレンアジペート、ポリジエチレンブチレンアジペート、ポリジエチレンキシレンアジペート、ポリンブチレンヘキシレンアジペート、ポリエチレンブチレンヘキシレンアジペート等を挙げるが、短鎖ジオールの組み合わせが制限されるものではない。その他のポリエステルポリオールの例としては、ポリカプロラクトンポリオール及び/又はジカルボン酸例えば中でもコハク酸、マロン酸、ピメリン酸、セバシン酸及びスベリン酸と、上記、短鎖グリコール、短鎖トリオール等との重縮合によって製造されるものも含む。また、上記ポリエステル系ポリオールの混合物も使用できる。
【0027】
ポリカーボネート系ポリオールとしては、上述した短鎖ジオールと、ジフェニルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート等の低分子カーボネートからの縮重合によって得られるものが挙げられる。また、上記ポリカーボネート系ポリオールの混合物も使用できる。
【0028】
<OH基含有硬化剤(B)>
本発明に用いるOH基含有硬化剤(B)は、数平均分子量270〜1,200のトリオール(B1)と数平均分子量470〜3,000のジオール(B2)を併用する。ここで、トリオール(B1)として、グリセリン、トリメチロールプロパン等のような数平均分子量270未満のトリオール、ジオール(B2)として、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のような数平均分子量470未満のジオールを鎖延長剤として併用した場合、本発明の触媒(C)として用いられるチタントリエタノールアミネート(C1)との相溶性が悪く、加温して液状のまま貯蔵し続けた場合に、時間の経過とともにOH基含有硬化剤を濁らせるため、好ましくない。一方、トリオール(B1)として数平均分子量1,200を越えるトリオール、ジオール(B2)として数平均分子量3,000を越えるジオールを,鎖延長剤として併用した場合、OH基含有硬化剤(B)の粘度が過度に高くなり、特に注型性(金型温度を100〜150℃とした場合の成形型への液の流れ性)において不具合が生じる。
【0029】
数平均分子量270〜1,200のトリオール(B1)としては、前述のNCO基含有ウレタンプレポリマー(A)に供されるポリオール(A2)において挙げた、グリセリン、トリメチロールプロパン等で多官能化したトリオールが使用できる。本発明では、ポリカプロラクトントリオールが特に好ましい。
【0030】
数平均分子量470〜3,000の2官能ポリオール(B2)としては、前述のNCO基含有ウレタンプレポリマー(A)に供されるポリオール(A2)において挙げた、ジオールが使用できる。
【0031】
本発明で、数平均分子量270〜1,200のトリオール(B1)と数平均分子量470〜3,000のジオール(B2)との好ましい質量比率は、(B1)/(B2)として10/90〜60/40の範囲のものである。
【0032】
<触媒(C)>
本発明に使用される触媒(C)は、少なくともチタントリエタノールアミネート(C1)を用いる。チタントリエタノールアミネート(C1)は、触媒活性の温度依存性が高く、80℃以下の低温では反応が穏やかであるが、100℃以上の高温では急激に反応が進行し、脱型に至るまでの硬化を促進することを見出した。即ち、当該熱硬化性ポリウレタン組成物を80℃以下で混合し、速やかに100℃以上の金型内で加熱することにより20〜90秒内で脱型することができる。しかしながら、150℃を越える高温になると、ウレタン結合の分解が起こりやすくなり、得られる成形品の物性低下に繋がるため、100〜150℃で加熱キュアを行うことが好ましい。
【0033】
チタントリエタノールアミネート(C1)は、下記化学式(1)で表され、例えば、市販されているチタントリエタノールアミネート/2−プロパノール溶液、商品名オルガチックス「TC−400(マツモトファインケミカル製)」等が挙げられる。
【0034】
Ti(OC〔OCN(COH) (1)
【0035】
この他、チタントリエタノールアミネート(C1)と併用することにより、脱型後からの硬度上昇を促進し最終硬度に至るまでの時間を短縮することができる触媒(C)として、アミノアルコール系触媒(C2)を用いることができる。一般的な触媒、トリエチレンジアミン、ジメチルイミダゾール等のアミン系触媒は、他部品への汚染に繋がるので好ましくない。
【0036】
アミノアルコール系触媒(C2)としては、市販されているN,N,N’−トリメチル−2−ヒドロキシルエチルプロピレンジアミン、N,N−ジメチルアミノエトキシエトキシエタノール、N,N−ジメチルアミノヘキサノール、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシルエチル)ピペラジン、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン等が挙げられる。
【0037】
本発明において、触媒成分(C1)と(C2)の使用量は各々、形成性組成物全体に対して、(C1)が50〜200ppm、(C2)が100〜500ppmであることが好ましく、特に、(C1)は60〜150ppm、(C2)は200〜400ppmであることが好ましい。(C1)と(C2)の添加割合は、1:1〜1:10であることが好ましい。
【0038】
触媒(C1)の添加量が下限未満の場合は、硬化速度が不十分であり、20〜90秒内で脱型することが難しい。逆に上限を超える場合は、硬化反応が過大と成り、急激な粘度増加が見られ成形型への流れ性が悪くなり成形不良が生じ易くなる。
【0039】
触媒(C2)の添加量が下限未満の場合は、脱型後からの硬度上昇速度が遅くなり、反応を完結させるに至るまでの養生時間が長くなってしまう。逆に上限を超える場合は、硬化反応が過大となり、急激な粘度増加が見られ成形型への流れ性が悪くなり成形不良が生じ易くなる。
【0040】
<熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物>
本発明において、NCO基含有ウレタンプレポリマー(A)とOH基含有硬化剤(B)の混合比(官能基比)は、OH基(mol)/NCO基(mol)は0.85〜1.05の範囲内であり、特に0.85〜0.95の範囲内であることが好ましい。
【0041】
NCO基含有ウレタンプレポリマー(A)とOH基含有硬化剤(B)の混合比(官能基比)、OH基(mol)/NCO基(mol)が下限未満の場合は、脱型時に充分な硬度が得られず、成形品の変形が多く見られる。逆に上限を超える場合は、十分な機械強度、特に初期モジュラスの低下に繋がり産業機器部品用の熱硬化性ポリウレタンエラストマーとして適さないものとなってしまう。
【0042】
なお、本発明の熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物は、必要に応じて、添加剤として、酸化防止剤、脱泡剤、紫外線吸収剤、反応調整剤、着色剤、加水分解防止剤等を併せて用いることができる。
【0043】
<熱硬化性ポリウレタンエラストマー成形物の製造方法>
次に、本発明の熱硬化性ポリウレタンエラストマー成形物の製造方法について述べる。
【0044】
本発明により得ることのできる熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成物は、一つの例として例示すれば、以下の第一工程〜第四工程のようにして製造される。
第一工程:
2成分ウレタン注型機のA系タンクにNCO基含有プレポリマー(A)を投入し20〜80℃で保温を行う。2成分ウレタン注型機のB系タンクにOH基含有硬化剤(B)と触媒(C)とを所定比率で投入し均一に混合し20〜80℃で保温を行う。その後、内容液の真空脱泡を行い、A系、B系の吐出量を調整し注型の準備を行う。
第二工程;
注型機から所定比率で混合吐出される混合液を100〜150℃に温調した成形型に注入する。
第三工程;
注入物が、脱型可能なグリーン強度が得られたら硬化物を成形型から取り出す。一般的には、5〜30分程度で脱型する場合が多いが、本発明では、注入から脱型に至るまでの時間は、20〜90秒程度である。
第四工程;
脱型した成形物は、従来は室温下で一週間程度養生し、産業機器部品として更に加工され、産業機器に部品として組み込まれる場合が多いが、本発明では、半日程度の室温下の養生で次の工程に移る事ができる。
【実施例】
【0045】
本発明について、実施例及び比較例により、更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定して解釈されるものではない。なお、実施例及び比較例において、「部」は全て「質量部」を意味し、「%」は全て「質量%」を意味する。
【0046】
実施例1〜8:
表1に示す配合比で、各種イソシアネートと各種ポリオールを混合し、75℃で3時間反応させて、各種のNCO基含有ウレタンプレポリマー(A)を得た。合成結果を表1に示す。
【0047】
表1に示す配合比で、各種ポリオールを75℃で1時間混合しOH基含有硬化剤(B)を調製した。その後、表1に示すシステム中の含有量(樹脂全体に対する濃度)になるように各種触媒(C)を添加し、75℃で1時間混合することで、触媒添加した触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)を得た。
【0048】
次いで、表1に示す処方(配合比)に従って、80℃に温調したNCO基含有ウレタンプレポリマー(A)と、60℃に温調した触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)とを2液混合ウレタン注型機により混合することにより、本発明のポリウレタンエラストマー形成性組成物を調製した。この組成物を、130℃に予熱されている2mm厚の平板シート形成用の金型に注入し、所定の脱型時間の間、金型内で加熱硬化させ、速やかに、この成形物を金型から取り出すことにより、本発明のポリウレタンエラストマー成形物を得た。
【0049】
比較例1〜2:
表1に示す配合比にて実施例1〜8と同様に、各種NCO基含有ウレタンプレポリマー(A)と触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)を得た。次いで、実施例1〜8と同様に、80℃に温調したNCO基含有ウレタンプレポリマー(A)と、60℃に温調した触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)とを2液混合ウレタン注型機により混合することにより、ポリウレタンエラストマー成形物を得た。これは、OH基含有硬化剤(B)として数平均分子量300以下のトリオールであるTMPを用いた場合の比較例であり、触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)における5日間70℃経時での貯蔵安定性が悪く濁りが発生し、長期使用が困難であった。
【0050】
比較例3〜4:
表1に示す配合比にて実施例1〜8と同様に、各種NCO基含有ウレタンプレポリマー(A)と触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)を得た。次いで、実施例1〜8と同様に、80℃に温調したNCO基末端含有ウレタンプレポリマー(A)と、60℃に温調した触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)とを2液混合ウレタン注型機により混合することにより、ポリウレタンエラストマー成形物を得た。これは、OH基含有硬化剤(B)として数平均分子量500以下のジオールである1,4−BGを用いた場合の比較例であり、触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)における5日間70℃経時での貯蔵安定性が悪く濁りが発生し、長期使用が困難であった。
【0051】
比較例5〜6:
表1に示す配合比にて実施例1〜8と同様に、各種NCO基含有ウレタンプレポリマー(A)と触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)を得た。次いで、実施例1〜8と同様に、80℃に温調したNCO基含有ウレタンプレポリマー(A)と、60℃に温調した触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)とを2液混合ウレタン注型機により混合することにより、ポリウレタンエラストマー成形物を得たが、触媒(C1)の添加量が下限を下回った場合の例であり、脱型時間が600秒もかかり生産性が悪い結果となった。
【0052】
比較例7〜8:
表1に示す配合比にて実施例1〜8と同様に、各種NCO基含有ウレタンプレポリマー(A)と触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)を得た。次いで、実施例1〜8と同様に、80℃に温調したNCO基含有ウレタンプレポリマー(A)と、60℃に温調した触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)とを2液混合ウレタン注型機により混合することにより、ポリウレタンエラストマー成形物を得たが、触媒(C1)の添加量が上限を上回った場合の例であり、反応が著しく速く、金型に樹脂が1/3程度しか流れておらず注型性が悪い結果となった。このため、物性確認は行わなかった。
【0053】
実施例9:
表2に示す配合比にて実施例1〜8と同様に、各種NCO基含有ウレタンプレポリマー(A)と触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)を得た。次いで、実施例1〜8と同様に、80℃に温調したNCO基含有ウレタンプレポリマー(A)と、60℃に温調した触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)とを2液混合ウレタン注型機により混合することにより、ポリウレタンエラストマー成形物を得た。これは、触媒(C1)のみを用いて触媒(C2)を用いない場合の例である。他の性能についてはいずれも良好であったが、硬度発現性が遅くなる。
【0054】
実施例10:
表2に示す配合比にて実施例1〜8と同様に、各種NCO基含有ウレタンプレポリマー(A)と触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)を得た。次いで、実施例1〜8と同様に、80℃に温調したNCO基含有ウレタンプレポリマー(A)と、60℃に温調した触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)とを2液混合ウレタン注型機により混合することにより、ポリウレタンエラストマー成形物を得た。これは、触媒(C2)の添加量が70ppmしかなく、100ppmを下回った場合の例である。他の性能についてはいずれも良好であったが、前記の実施例9と同様、硬度発現性が遅くなる。
【0055】
実施例11:
表2に示す配合比にて実施例1〜8と同様に、各種NCO基含有ウレタンプレポリマー(A)と触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)を得た。次いで、実施例1〜8と同様に、80℃に温調したNCO基含有ウレタンプレポリマー(A)と、60℃に温調した触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)とを2液混合ウレタン注型機により混合することにより、ポリウレタンエラストマー成形物を得た。これは、触媒(C2)の添加量が600ppmと多く、500ppmを上回った場合の例である。他の性能についてはいずれも良好であったが、注型性や汚染性がやや劣る。
【0056】
比較例9:
表2に示す配合比にて実施例1〜8と同様に、各種NCO基含有ウレタンプレポリマー(A)と触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)を得た。次いで、実施例1〜8と同様に、80℃に温調したNCO基含有ウレタンプレポリマー(A)と、60℃に温調した触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)とを2液混合ウレタン注型機により混合することにより、ポリウレタンエラストマー成形物を得たが、触媒(C1)を用いずにイソシアヌレート化触媒であるキャタリストP−15を用いた場合の例であり、硬度クリープ率が高い結果となった。
【0057】
実施例12:
表2に示す配合比にて実施例1〜8と同様に、各種NCO基含有ウレタンプレポリマー(A)と触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)を得た。次いで、実施例1〜8と同様に、80℃に温調したNCO基含有ウレタンプレポリマー(A)と、60℃に温調した触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)とを2液混合ウレタン注型機により混合することにより、ポリウレタンエラストマー成形物を得た。これは、触媒(C2)を用いずに一般的なウレタン化触媒であるTEDA(トリエチレンジアミン)を用いた場合の例である。他の性能についてはいずれも良好であったが、汚染性が劣る。
【0058】
実施例13:
表2に示す配合比にて実施例1〜8と同様に、各種NCO基含有ウレタンプレポリマー(A)と触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)を得た。次いで、実施例1〜8と同様に、80℃に温調したNCO基含有ウレタンプレポリマー(A)と、60℃に温調した触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)とを2液混合ウレタン注型機により混合することにより、ポリウレタンエラストマー成形物を得た。これは、金型温度を100〜150℃とせずに80℃と低温とした場合の例である。金型温度が低いため、他の性能についてはいずれも良好であったが、脱型時間が600秒と遅い。
【0059】
実施例14:
表2に示す配合比にて実施例1〜8と同様に、各種NCO基含有ウレタンプレポリマー(A)と触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)を得た。次いで、実施例1〜8と同様に、80℃に温調したNCO基含有ウレタンプレポリマー(A)と、60℃に温調した触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)とを2液混合ウレタン注型機により混合することにより、ポリウレタンエラストマー成形物を得た。これは、金型温度を100〜150℃とせずに170℃と高温とした場合の例である。金型温度が必要以上に高いために反応が著しく速まり、金型に樹脂が2/3程度しか流れず注型性が劣り、また、得られる成形品の物性も低下する。
【0060】
比較例10:
表2に示す配合比にて実施例1〜8と同様に、各種NCO基含有ウレタンプレポリマー(A)と触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)を得た。次いで、実施例1〜8と同様に、80℃に温調したNCO基含有ウレタンプレポリマー(A)と、60℃に温調した触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)とを2液混合ウレタン注型機により混合することにより、ポリウレタンエラストマー成形物を得た。これは、触媒(C1)とイソシアヌレート化触媒であるキャタリストP−15を併せ用いた場合の例であるが、触媒(C1)が50ppmを下回るため、イソシアヌレート化反応が主体となり、硬度クリープ率が高い結果となった。
【0061】
比較例11:
表2に示す配合比にて実施例1〜8と同様に、各種NCO基含有ウレタンプレポリマー(A)と触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)を得た。次いで、実施例1〜8と同様に、80℃に温調したNCO基含有ウレタンプレポリマー(A)と、60℃に温調した触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)とを2液混合ウレタン注型機により混合することにより、ポリウレタンエラストマー成形物を得たが、配合比(α:官能基比)が0.80と低い場合の例であり、グリーン強度が達せず、脱型時において成形物の変形が生じる結果となった。
【0062】
比較例12:
表2に示す配合比にて実施例1〜8と同様に、各種NCO基含有ウレタンプレポリマー(A)と触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)を得た。次いで、実施例1〜8と同様に、80℃に温調したNCO基含有ウレタンプレポリマー(A)と、60℃に温調した触媒入りOH基含有硬化剤(B)+(C)とを2液混合ウレタン注型機により混合することにより、ポリウレタンエラストマー成形物を得たが、配合比(α:官能基比)が1.10と高い場合の例であり、反応が速過ぎて注型性が悪化し、かつ、所望設定硬度および初期モジュラスが低下する結果となった。
【0063】
表1並びに表2に示す配合により成形して得られた、実施例1〜14並びに比較例1〜12示すポリウレタンエラストマー成形物(2mm厚シート)を用いて、各種測定を以下の要領で実施した。結果を表1並びに表2に併せて示す。
【0064】
貯蔵安定性(配合液の安定性):
表1並びに表2に示す配合でOH基含有硬化剤(B)と触媒(C)を予め混合調整した配合液を、200mlのサンプル瓶に採取し試験液を準備した。これを5日間、70℃保温し、液の濁りの有無を目視にて確認し、以下の基準により上記配合液の安定性を評価した。
「○」透明である。
「×」濁りが見られる。
【0065】
注型性(成形型への液の流れ性):
2液混合ウレタン注型機により混合吐出されたポリウレタンエラストマー形成性組成物を130℃(実施例5〜8、13、14を除く)に予熱されている2mm厚の平板シート形成用の金型に注入し、金型内に十分に流れ込んだかを得られた成形物の形状から以下の基準により判断を行った。
「○」金型形状通り全域に流れ込んでいる。
「△」2/3程度流れている。
「×」1/3程度流れている。
【0066】
脱型可能時間:
2液混合ウレタン注型機により混合吐出されたポリウレタンエラストマー形成性組成物を130℃に予熱されている2mm厚の平板シート形成用の金型に注入した後、30、60、90、120秒・・・・と30秒間隔で脱型を試み、IRHD硬度計(デジテスト;ドイツH.バーレイス社製)にて脱型硬度の測定を行い、脱型時におけるIRHD硬度が40以上となる最小時間を示す。この際に得られたポリウレタンエラストマー成形物に付いて以下の項目の試験を実施した。
【0067】
脱型時硬度:
所定時間に加熱硬化させたポリウレタンエラストマー成形物を脱型した後、得られた成形物を速やかに(約3分程度)23℃、湿度60%の恒温恒湿下の部屋に移し、IRHD硬度計にて脱型硬度の測定を行った。
【0068】
養生時間(硬度の発現性):
上記で得られた成形物を室温23℃、湿度60%の恒温恒湿下の部屋で養生した。12時間後、24時間後、3日後、7日後(最終測定)毎に、IRHD硬度の測定を行い、最終硬度に至るまでの期間が短いものほど反応完結が速く、生産性に優れているとし、硬度の発現性を養生時間の指標とした。
【0069】
初期モジュラス、引張強度、伸張率:
室温23℃、湿度60%の恒温恒湿下の部屋にて7日間養生を行った2mm厚平板シートにて、初期モジュラス、引張強度、伸張率についてJIS K7312に準拠して測定を行った。
【0070】
硬度クリープ:
室温23℃、湿度60%の恒温恒湿下の部屋にて7日間養生を行った2mm厚平板シートにて、硬度クリープの測定を実施した。測定にはIRHD硬度計を用い、硬度初期値と99秒後の硬度変化率について次式より求めた。
硬度クリープ(%)=(初期硬度−99秒後硬度)/初期硬度×100
【0071】
汚染性:
室温23℃、湿度60%の恒温恒湿下の部屋にて7日間養生を行った2mm厚平板シートにて、汚染性の試験を実施した。試験は、同シートから50×50の正方形に試験片を切り出し、清浄なガラス板2枚に挟み、同試験片に対して1kg/cmの加重がかかるよう重りで調整し、温度60℃、湿度80%の条件下で1週間放置した。その後同試験片を剥がし、目視にてガラスの汚れを確認し、以下の基準により判断した。
「○」汚れ無し
「△」やや汚れ有り
「×」汚れ有り
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】

【0074】
表1並びに表2における各原料の詳細は、以下のとおり。
「MDI」;4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート。
「TDI」;2,4−トルエンジイソシアネート。
「PBA−750」;ポリ(1,4−)ブチレンアジペート、数平均分子量=750、平均官能基数=2。
「PBA−2500」;ポリ(1,4−)ブチレンアジペート、数平均分子量=2,500、平均官能基数=2。
「PEA−1000」;ポリエチレンアジペート、数平均分子量=1000、平均官能基数=2。
「PCL−300」;ポリカプロラクトンポリオール、数平均分子量=300、平均官能基数=3。
「PCL−850」;ポリカプロラクトンポリオール、数平均分子量=850、平均官能基数=3。
「GP−700」;ポリオキシプロピレントリオール、数平均分子量=700、平均官能基数=3。
「PPG−1000」;ポリオキシプロピレングリコール、数平均分子量=1000、平均官能基数=2。
「PTG−650」;ポリオキシテトラメチレングリコール、数平均分子量=650、平均官能基数=2。
「1,4−BG」;1,4−ブタンジオール。
「TMP」;トリメチロールプロパン。
「オルガチックスTC−400」(本発明の(C1)に相当);チタントリエタノールアミネート(マツモトファインケミカル製)。
「キャタリストP−15」(イソシアヌレート化触媒);酢酸カリウム/エチレングリコール溶液(日本乳化剤製)。
「POLYCAT−17」(本発明の(C2)に相当);N,N,N’−トリメチル−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン(エアープロダクツ製)。
「DABCO−T」(本発明の(C2)に相当);N,N,N’−トリメチル−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン(エアープロダクツ製)。
「TEDA」(一般的なウレタン化触媒);トリエチレンジアミン(東ソー製)。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明に係る熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物を用いることにより、従来公知の熱硬化性ポリウレタンエラストマーよりも、更なる成形サイクルの短縮・養生時間の短縮が行える。この熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物からなる熱硬化性ポリウレタンエラストマー成形物は、従来公知の産業機器の部品として所望される諸性能を具備しているので、ブルーム、ブリード汚染の低減や硬度クリープの低減が求められる分野に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、水酸基含有硬化剤(B)と、触媒(C)とを混合した液状物からなり、型内に注入して加熱硬化させ、その後、硬化物を20〜90秒内に脱型して得られる、水酸基含有硬化剤(B)と触媒(C)との混合物の貯蔵安定性に優れた、熱硬化性ポリウレタンエラストマー用の形成性組成物において、
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)におけるイソシアネート基(NCO基)と水酸基含有硬化剤(B)における水酸基(OH基)の混合比(官能基比)がOH基(mol)/NCO基(mol)=0.85〜1.05の範囲内であり、
水酸基含有硬化剤(B)が、数平均分子量270〜1,200のトリオール(B1)と数平均分子量470〜3,000のジオール(B2)からなり、
触媒(C)として少なくともチタントリエタノールアミネート(C1)
〔Ti(OC(C14N)
を用い、かつ、組成物全体に対する触媒(C1)の含有量が50〜200ppm
であることを特徴とする、熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物。
【請求項2】
イソシアネート基含有プレポリマー(A)が、少なくともジフェニルメタンジイソシアネート(A1)と、数平均分子量500〜3,000のポリオール(A2)との反応により得られるものであることを特徴とする、請求項1記載の熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物。
【請求項3】
チタントリエタノールアミネート(C1)
Ti(OC〔OCN(COH)
と併用する触媒(C)として、アミノアルコール系触媒(C2)を用い、組成物全体に対する触媒(C2)の含有量が100〜500ppmであることを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、水酸基含有硬化剤(B)と、触媒(C)からなる熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成性組成物を混合した液状物を100〜150℃に予熱した型内に注入して硬化させ、硬化物を20〜90秒内に硬化させて得られることを特徴とする、熱硬化性ポリウレタンエラストマー形成物の製造方法。

【公開番号】特開2012−241117(P2012−241117A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113111(P2011−113111)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000230135)日本ポリウレタン工業株式会社 (222)
【Fターム(参考)】