説明

熱硬化性ポリウレタンエラストマー組成物

【課題】 本発明の課題は、注型性に優れ、JISA硬度が80以上と大きく、強度、耐水性、耐圧縮性に優れた成形用二液注型熱硬化性ポリウレタンエラストマー組成物を提供することにある。
【解決手段】 ポリイソシアネート(a1)とポリオール(a2)とから得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)と硬化剤(B)とを含有する熱硬化性ポリウレタンエラストマー組成物において、前記ポリオール(a2)が、ポリテトラメチレングリコール(a2−1)とネオペンチルグリコールとテトラヒドロフランとから誘導される側鎖を有するポリアルキレンエーテルグリコール(a2−2)とを含有するものであり、硬化剤(B)が芳香族ジアミンであることを特徴とする熱硬化性ポリウレタンエラストマー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注型性、強度、耐水性、耐圧縮性に優れた二液注型熱硬化性ポリウレタンエラストマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
熱硬化性ポリウレタンエラストマーは、成形品とされ、電気電子部品、自動車部品等の産業機器部品として様々な分野で使用されている。
【0003】
こうした産業機器部品用の熱硬化性ポリウレタンエラストマーとしては、引張強度、伸び等の諸性能を具備し、硬度クリープを小さく、脱型時間を短縮し、触媒のブルームによる汚染が小さいものが知られている。(特許文献1参照)
【0004】
しかしながら、前記のものは、硬度が低く、耐水性、耐圧縮性に問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−150339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、注型性に優れ、JISA硬度が80以上と大きく、強度、耐水性、耐圧縮性に優れた成形用二液注型熱硬化性ポリウレタンエラストマー組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、前記課題を解決すべく研究を進める中で、特定の硬化剤と特定のポリオール混合物とを用いるウレタンプレポリマーを使用することにより、解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ポリイソシアネート(a1)とポリオール(a2)とから得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)と硬化剤(B)とを含有する熱硬化性ポリウレタンエラストマー組成物において、前記ポリオール(a2)が、ポリテトラメチレングリコール(a2−1)とネオペンチルグリコールとテトラヒドロフランとから誘導される側鎖を有するポリアルキレンエーテルグリコール(a2−2)とを含有するものであり、硬化剤(B)が芳香族ジアミンであることを特徴とする熱硬化性ポリウレタンエラストマー組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、特定の硬化剤(B)と、特定のポリオール混合物(a2)によるウレタンプレポリマー(A)とにより、注型性に優れ、JISA硬度80以上で、強度、耐水性、耐圧縮性に優れることから、成形用二液注型熱硬化性ポリウレタンエラストマー組成物を提供できる。
また、本発明の組成物を使用すれば、耐水性、耐圧縮性の良好な機械部品、電気電子部品、自動車部品、事務機器部品、ロボット部品、土木建築部品、医療部品等広範囲の分野で熱硬化性ポリウレタンエラストマー注型成形品を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明で使用するポリイソシアネート(a1)とは、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートまたはこれらの混合物、m−もしくはp−フェニレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、ジフエニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチル−ジフェニルメタン−4,4−ビフェニレンジイソシアネート、3,3−ジクロル−4,4−ビフェニレンジイソシアネート、4,4−ビフェニレンジイソシアネートまたは1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンシイソシアネート、イホソロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート、及びジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートおよびこれらの各種誘導体が挙げられる。好ましくは、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートまたはこれらの混合物である。
【0010】
本発明で使用するポリオール(a2)とは、ポリテトラメチレングリコール(a2−1)とネオペンチルグリコールとテトラヒドロフランとから誘導される側鎖を有するポリアルキレンエーテルグリコール(a2−2)とを含有するものであり、GPCによるポリスチレン換算での数平均分子量500〜5000、好ましくは500〜3000のもので、
【0011】
前記ポリテトラメチレングリコール(a2−1)(以下「PTMG」ともいう。)は、テトラヒドロフラン(THF)を原料として、活性を示す触媒の存在下、開環重合して得られる常温で液体のものであり、且つ、数平均分子量(Mn)が500〜5000のものであり、好ましくは1000〜3000のものである。前記PTMGのMnがかかる範囲であるならば、比較的低粘度で取り扱いやすく、耐水性のエラストマーが得られ、好ましい。前記PTMGのMnが、500未満の場合には、得られるエラストマーの柔軟性や伸びが損なわれることになり、好ましくない。また、Mnが、5000を超える場合には、非常に高粘度な樹脂となり、エラストマーを形成するための加工作業面で様々な制約をともなうことになり、好ましくない。
【0012】
前記側鎖を有するポリアルキレンエーテルグリコール(a2−2)とは、水和数を制御したヘテロポリ酸などの活性を示す触媒の存在下、好ましくはネオペンチルグリコールとテトラヒドロフランとのモル比が5〜45/95〜55となるように共重合反応により製造するものである。そのポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、好ましくは500〜3000であり、より好ましくは1000〜2500のものである。
【0013】
前記ポリテトラメチレングリコール(a2−1)と前記側鎖を有するポリアルキレンエーテルグリコール(a2−2)との質量割合は、(a2−1)/(a2−2)=75/25〜0/100であることが好ましく、より好ましくは(a2−1)/(a2−2)=50/50〜0/100である。前記(a2−2)が25質量部より少ないと、強度、耐水性、耐圧縮性が十分得られないので好ましくない。
【0014】
前記ポリオール(a2)は、前記(a2−1)及び(a2−2)以外の他のポリオール、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等から選択される1種以上を、本発明の効果を損なわない範囲で含んでもよい。次に、これらポリオールを説明する。
【0015】
前記ポリエーテルポリオールとは、多価アルコールとして水酸基を3個以上、好ましくは3〜6個有する化合物、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等にアルキレンオキサイド、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等を単独又は2種以上、好ましくは2〜9モル付加重合して得られるポリオールである。その数平均分子量は、好ましくは1200〜3000で、水酸基価は好ましくは250〜750である。
【0016】
前記ポリエステルポリオールとは、多価アルコール成分と多価カルボン酸成分とを縮合反応してなり、且つ好ましくは数平均分子量が1000〜3000のものである。
【0017】
上記多価アルコール成分としては、好ましくは主鎖炭素数2〜15の直鎖グリコール、具体的にはエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタメチルグリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼンもしくはp−キシレングリコールなどのグリコール類の炭化水素を主鎖にするものである。炭素原子総数が好ましくは3〜34、より好ましくは3〜17のもので、例えば1,2−プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジ−1,2−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3,5−ペンタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロパネート、ネオペンチルグリコール、2−ノルマルブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−1,5−ペンタンジオール、3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3−オクチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、3−ミリスチル−1,5−ペンタンジオール、3−ステアリル−1,5−ペンタンジオール、3−フエニル−1,5−ペンタンジオール、3−(4−ノニルフエニル)−1,5−ペンタンジオール、3,3−ビス(4−ノニルフェニル)−1,5−ペンタンジオール、1,2−ビス(ヒドロキシメチル)シクロプロパン、1,3−ビス(ヒドロキシエチル)シクロブタン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロペンタン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシプロピル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘブタン、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシメトキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシエドキシシクロヘキシル)プロパン、トリメチロールプロパンなどが挙げられ、これらを単独、または2種以上で用いることができる。
【0018】
アルコール成分としては、水酸基数3以上の化合物を併用できる。併用し得る化合物としては、一般にポリエステルポリオールに使用されるものであればよく、例えば、グリセリン、ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミンなどの多官能ポリヒドロキシ化合物が挙げられる。
【0019】
上記多価カルボン酸成分とは、例えばコハク酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナメチレンジカルボン酸、1,10−デカメチレンジカルボン酸、1,11−ウンデカメチレンジカルボン酸、1,12−ドデカメチレンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、又芳香族系ジカルボン酸としては例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸又はそれらの無水物等を単独あるいは2種以上併用して用いることができる。工業的見地からは主にアジピン酸が使用される。トール油脂肪酸の重合によって得られるダイマー酸等も使用できる。トール油脂肪酸としてはオレイン酸、リノール酸等の不飽和酸とパルチミン酸、ステアリン酸等の混合物である。
【0020】
以上のような諸原料を用いて前記ポリエステルポリオールを得るには、従来公知のエステル化技術が採用できる。
【0021】
前記ポリカプロラクトンポリエステルポリオールとは、ε−カプロラクトン等のラクトン類を開環重合して得られるラクトン系ポリエステルジオール類である。このラクトン系ポリエステルジオール類としては、先に述べた多価アルコール類にε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン等の一種又は二種以上を付加重合させたものがいずれも使用出来る。
【0022】
前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、低分子ポリオールとジアルキルカーボネートとを縮合反応させ得られるものである。前記低分子ポリオールとしては、例えば1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール等が挙げられる。また、ジアルキルカーボネートとしては、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられる。
【0023】
また、ポリカーボネートポリオールとしては、例えばポリカーボネートポリオールに更にラクトンを開環付加重合して得られるラクトン変性ポリカーボネートポリオールや、他のポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオール等とポリカーボネートポリオールとを共縮合させた共縮合ポリカーボネートポリオールが挙げられる。
本発明で使用するポリオール(a2)は、ポリイソシアネート(a1)と相溶し、常温(25℃)で液状のもの、あるいは常温(25℃)で固体であっても80℃以下の温度で溶融すると液状を示すものである。前記(a2−1)とポリオール(a2−2)は、前記分子量のものから選択されるが、ポリウレタンエラストマー成形品を使用する用途に合わせて適宜決定される。なお、前記数平均分子量は、ポリスチレンを分子量標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により求める分子量を示す。
【0024】
なお、本願明細書においては、流動性を示すものを液状という。
【0025】
前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)は、前記ポリオール(a2)とポリイソシアネート(a1)とを、好ましくはNCO/OH比で1/1〜3/1、より好ましくは1.2/1〜2.5/1で反応することにより製造されるものである。1より少ない場合或いは3より大きい場合は、末端イソシアネート基のポリウレタンプレポリマーにならなかったり、或いはポットライフ(作業時間)が悪化、ポリウレタンエラストマーの物性が大幅に低下する等の問題があるため好ましくない。該(A)のイソシアネート基当量は、好ましくは800〜2000である。
【0026】
前記ウレタンプレポリマー(A)の数平均分子量は、好ましくは1000〜5000、より好ましくは1000〜2500である。又、前記硬化剤(B)/ウレタンプレポリマー(A)との当量比が、0.70/1〜0.95/1であることが好ましい。
【0027】
また、前記ウレタンプレポリマー(A)の粘度は、ポリウレタンエラストマーを安定に製造できる観点から、700〜3000mPa・s(80℃)であることが好ましい。より好ましくは700〜2000mPa・s(80℃)である。
【0028】
本発明で使用する硬化剤(B)は、芳香族ジアミンで、好ましくは下記化1の式で表される二核体のアミノクロロフェニルメタン化合物を80〜100重量%含有するポリアミノクロロフェニルメタン混合物(以下、MBOCAと称する)が使用される。この混合物(B)は、クロロアニリンとホルマリンとを原料として製造され、二核体及びその生成物として三核体及び四核体以上のポリアミノクロロフェニルメタン化合物を含む混合物として得られるものである。また、下記化1の式のXは、少なくとも1つは塩素原子である。この硬化剤(B)は、好ましくは約110℃の融点を示すものである。
【0029】
【化1】

【0030】
前記(A)と(B)との組成範囲を外れるものを使用すると、ポリウレタンエラストマー成形品として十分な機械物性が得られない。また、ポリウレタンエラストマーの機械物性をより向上できる観点から、前記硬化剤(B)における二核体のポリアミノクロロフェニルメタン化合物の重量割合は85〜99重量%がより好ましく、90〜95重量%が特に好ましい。
【0031】
次に、本願発明の組成物を用いて製造されるポリウレタンエラストマーについて説明する。
【0032】
本発明の組成物には、硬化剤(B)に必要に応じて他の活性水素含有低分子化合物を併用し、前記プレポリマー(A)と反応させることもできる。
【0033】
前記活性水素含有低分子化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール)、2−イソプロピル−1,4−ブタンジオール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、3,5−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等の脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノール(例えば1,4−シクロヘキサンジメタノール)、シクロヘキサンジオール(例えば1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール)、2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン等の脂環式ジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキシトール類、ペンチトール類、グリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、テトラメチロールプロパン等の三価以上のポリオールが挙げられる。
【0034】
前記他の活性水素含有低分子化合物としては、例えば、水、ヒドラジン、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルへキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、メチルジアミノシクロヘキサン、ビペラジン、ノルボルネンジアミン等が挙げられ、これらの化合物は単独で、あるいは混合して用いてもよい。さらに必要により、一価の低分子アルコール、低分子ジアミンなどを変性剤として用いることもできる。
【0035】
前記プレポリマー(A)の製造は、前記ポリイソシアネート(a1)と、前記ポリオール(a2)と、必要に応じて他の活性水素含有低分子化合物と、を従来公知の方法に従い、反応させて得られるものである。前記プレポリマーを得る際の反応方法は特に限定はない。
【0036】
また、前記プレポリマー(A)を製造する際には、必要に応じて三級アミン触媒や有機金属系触媒等を使用して反応を促進することができる。
【0037】
本発明の組成物には、必要に応じてその他の添加剤を適宜添加してもよい。前記その他の添加剤としては、例えば、ウレタン化触媒、整泡剤、充填剤、顔料、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、砥粒等が挙げられる。
【0038】
本発明の組成物は、必要により80〜100℃に加熱溶融したウレタンプレポリマー(A)と硬化剤(B)とを好ましくは当量比:硬化剤当量/ウレタンプレポリマー当量=0.70〜0.95で攪拌混合し、型に流し込み、型を80〜100℃で放置し、更に、100〜120℃で、後硬化する注型法で行われる。この成型方法により成形品(フィルム、シート等含む)として製造され、医療器具およびその部品、自動車部品、電気電子機器部品、事務器具またはその他多種の用途成形品に用いられる。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を実施例により、具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例のみに限定されるものではない。
また、本発明では、特に断りのない限り、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」である。
なお、本発明で用いた測定方法及び評価方法は、以下の通りである。
【0040】
[実施例1]
窒素導入管、冷却用コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた2リットル4つ口丸底フラスコに、コスモネートT−100(トルエンジイソシアネート、三井化学(株)社製品)136部入れ攪拌した。ついで、PTMG2000(ポリテトラメチレングリコール、三菱化学(株)社製品)432部及びPTXG1800(テトラヒドロフラン/ネオペンチルグリコール共重合ポリオール、旭化成(株)社製品)432部を投入混合し、窒素気流下70℃で約5時間反応を行い、イソシアネート基当量1550のウレタンプレポリマーを得た。
次いでアミン硬化剤:3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MBOCA)を溶融し、容器に前記ウレタンプレポリマーと硬化剤を当量比:NH/NCO=0.90で攪拌混合し、80℃に加熱した型に該混合物を注入した。直ちに型の蓋をした後、乾燥機(80℃雰囲気)中にて1時間放置、その後、更に110℃で16時間アフタキュアを行うことで、JIS A硬度83を示す直径29mm、厚み12.5mmの円柱状成形品を得た。
【0041】
[実施例2]
窒素導入管、冷却用コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた2リットル4つ口丸底フラスコに、コスモネートT−100(トルエンジイソシアネート、三井化学(株)社製品)147部入れ攪拌した。ついでPTXG1800(テトラヒドロフラン/ネオペンチルグリコール共重合ポリオール、旭化成(株)社製品)852部を投入混合し、窒素気流下70℃で約5時間反応を行い、イソシアネート基当量1350のウレタンプレポリマーを得た。
成形方法は、実施例1と同様にして円柱状成形品を得た。 結果を表1に示した。
【0042】
[比較例1]
窒素導入管、冷却用コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた2リットル4つ口丸底フラスコに、コスモネートT−100(トルエンジイソシアネート、三井化学(株)社製品)132部入れ攪拌した。ついで、PTMG2000(ポリテトラメチレングリコール、三菱化学(株)社製品)868部を投入混合し、窒素気流下70℃で約5時間反応を行い、イソシアネート基当量1550のウレタンプレポリマーを得た。
成形方法は実施例1と同様にして円柱状成形品を得た。 結果を表1に示した。
【0043】
[比較例2]
窒素導入管、冷却用コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた2リットル4つ口丸底フラスコに、コスモネートT−100(トルエンジイソシアネート、三井化学(株)社製品)160部入れ攪拌した。ついで、PTMG2000(ポリテトラメチレングリコール、三菱化学(株)社製品)420部及びEXCENOL2020(エクセノール2020、ポリプロピレングリコール、旭硝子(株)社製品)420部を投入混合し、窒素気流下70℃で約5時間反応を行い、イソシアネート基当量1000のウレタンプレポリマーを得た。
成形方法は実施例1と同様にして円柱状成形品を得た。 結果を表1に示した。
【0044】
[比較例3]
窒素導入管、冷却用コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた2リットル4つ口丸底フラスコに、コスモネートT−100(トルエンジイソシアネート、三井化学(株)社製品)169部入れ攪拌した。ついでEXCENOL2020(エクセノール2020、ポリプロピレングリコール、旭硝子(株)社製品)831部を投入混合し、窒素気流下70℃で約5時間反応を行い、イソシアネート基当量900のウレタンプレポリマーを得た。
成形方法は実施例1と同様にして円柱状成形品を得た。 結果を表1に示した。
【0045】
<試験方法>
(粘度、ポットライフ)
JISK 7301に記載の方法に準拠して、80℃、60℃に保温した場合の粘度、ならびにポットライフを測定した。
(引張試験、硬さ、圧縮試験、ヒステリシス損失、反発弾性率、圧縮永久歪み)
JISK 7312に記載の方法に準拠して、引張試験、硬さ( JIS A 型を使用)、圧縮試験、ヒステリシス損失、反発弾性率、圧縮永久歪み(70℃、22時間後)試験を実施した。
(耐水性試験)
70℃の温水に1ヶ月間浸した試験片をJISK 7312に記載の方法に準拠して、引張試験を行い、70℃の温水に浸す前後の引張物性値の変化率を計算した。
(耐水性試験変化率)
変化率(%)= [(浸した後の引張物性値/浸す前の引張物性値)−1]×100
【0046】
[注型性の評価]
実施例1〜2、及び比較例1〜3で得られた組成物を成形品型に注入する際、粘度、注入するのに要する時間で、以下のように評価した。
「○」;粘度が2000mPa.s未満であり、ポットライフが30分以上。
「×」;粘度が2000mPa.s以上であり、ポットライフが30分未満。
【0047】
[耐圧縮性の評価]
実施例1〜2、及び比較例1〜3で得られた成形品を、ヒステリシス損失試験(JISK 7312)を実施し、以下のように評価した。
「○」;ヒステリシス損失(%)が32%未満
「×」;ヒステリシス損失(%)が32%以上
【0048】
[耐水性の評価]
実施例1〜2、及び比較例1〜3で得られた成形品の耐水性試験を行い、その引張試験物性値から変化率を計算し、以下のように評価した。
「○」;抗張力変化率0%〜-5%、伸び変化率0〜50%、引裂強度変化率5%〜‐5%
「×」;抗張力変化率 -5%未満、伸び変化率50%より大きく、引裂強度変化率 -5%未満
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネート(a1)とポリオール(a2)とから得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(A)と硬化剤(B)とを含有する熱硬化性ポリウレタンエラストマー組成物において、
前記ポリオール(a2)が、ポリテトラメチレングリコール(a2−1)とネオペンチルグリコールとテトラヒドロフランとから誘導される側鎖を有するポリアルキレンエーテルグリコール(a2−2)とを含有するものであり、硬化剤(B)が芳香族ジアミンであることを特徴とする熱硬化性ポリウレタンエラストマー組成物。
【請求項2】
前記ポリテトラメチレングリコール(a2−1)の数平均分子量が、500〜3000である請求項1に記載の熱硬化性ポリウレタンエラストマー組成物。
【請求項3】
前記側鎖を有するポリアルキレンエーテルグリコール(a2−2)のネオペンチルグリコールとテトラヒドロフランとのモル比が、5〜45/95〜55である請求項1に記載の熱硬化性ポリウレタンエラストマー組成物。
【請求項4】
前記側鎖を有するポリアルキレンエーテルグリコール(a2−2)の数平均分子量が、500〜3000である請求項1に記載の熱硬化性ポリウレタンエラストマー組成物。
【請求項5】
前記(a2−1)/(a2−2)の質量割合が、75/25〜0/100であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱硬化性ポリウレタンエラストマー組成物。
【請求項6】
前記ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基当量が、800〜2000である請求項1に記載の熱硬化性ポリウレタンエラストマー組成物。
【請求項7】
前記ウレタンプレポリマー(A)の粘度が、80℃において2000mPa・S以下である請求項1に記載の熱硬化性ポリウレタンエラストマー組成物。

【公開番号】特開2012−224756(P2012−224756A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93973(P2011−93973)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】