説明

熱硬化性ポリエステル粉末塗料組成物

本発明は、
(A)少なくとも1種のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂結合剤、および
(B)ブロックトイソシアネート基を含有する架橋剤としての少なくとも1種のポリウレタン樹脂
を含む粉末塗料組成物であって、前記少なくとも1種のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂結合剤(A)と前記少なくとも1種のポリウレタン樹脂(B)の両方が60〜180℃、特に60〜160℃の溶融温度を有する粉末塗料組成物を提供する。本発明による粉末塗料組成物は、所望の技術的特性、特に、塗料の優れた機械的特性と併せて薄いフィルムおよび高い耐屈曲性を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料の高い耐屈曲性および優れた機械的特性ならびに粉末塗料組成物の加工性を提供する特定のポリエステル樹脂/ポリウレタン樹脂に基づく粉末塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂結合剤、ポリエステル樹脂結合剤およびアクリル樹脂結合剤は、熱硬化性粉末塗料組成物中での使用に関して公知である。例えば、ヒドロキシル官能性ポリエステルは、ポリウレタン粉末塗料をもたらすためにイソシアネートによる硬化性である。D.Bates、The Science of Powder Coatings、Volume 1、London、1990年、56ページ、276〜277、282参照。
【0003】
様々な樹脂結合剤と硬化剤の組み合わせは、様々な基材表面上の被膜の特定の所望特性を受け入れるために研究されている。
【0004】
欧州特許第1209182号明細書、欧州特許第1323757号明細書、国際公開第02/50147号パンフレットおよび国際公開第2006/082080号パンフレットは、特定のポリマー、例えば、様々なウレタンアクリレートに基づく塗料組成物であって、紫外(UV)線によって硬化される塗料組成物に言及している。
【0005】
ウレタン(メタ)アクリレートまたは特定のポリエステルウレタンに基づく熱硬化性粉末塗料組成物は、国際公開第01/25306号パンフレット、欧州特許第702040号明細書、欧州特許第410242号明細書および国際公開第95/35332号パンフレットにおいて開示されており、塗料の良好な貯蔵安定性および向上した耐候性に言及している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在の従来技術が良好な技術的特性を有する粉末塗料組成物を開示している一方で、こうした粉末塗料組成物は、薄いフィルムをつくる可能性と併せて高い耐屈曲性レベルを特には提供しない。従って、これらの要件を満たす粉末塗料組成物および粉末塗料組成物の被着の方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
(A)少なくとも1種のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂結合剤、および
(B)ブロックトイソシアネート基を含有する架橋剤としての少なくとも1種のポリウレタン樹脂
を含む粉末塗料組成物であって、前記少なくとも1種のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂結合剤(A)と前記少なくとも1種のポリウレタン樹脂(B)の両方が60〜180℃、特に60〜160℃の溶融温度を有する粉末塗料組成物を提供する。
【0008】
特定の種類のポリエステル樹脂と特定の種類のブロックトイソシアネート基を有するポリウレタン樹脂の組み合わせを含む本発明による粉末塗料組成物は、良好な貯蔵安定性に加えて低い溶融粘度を達成することを可能にする。本発明による粉末塗料組成物は、所望の技術的特性、特に、塗料の優れた機械的特性と併せて薄いフィルムおよび高い耐屈曲性を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の特徴および利点は、以下の詳細な説明を読むことから当業者によってより容易に理解されるであろう。別々の実施形態の文脈において上下で分かりやすくするために記載されている本発明の特定の特徴を単一の実施形態における組み合わせでも提供してよいことを理解されたい。逆に、単一の実施形態の文脈において簡潔のために記載されている本発明の種々の特徴を別々に、またはあらゆる下位組み合わせにおいても提供してよい。更に、文脈により明確に別段に指定がないかぎり、単数における言及は複数も含んでよい(例えば、「a」および「an」は、1または1以上を意味してもよい)。
【0010】
数値の指定範囲より上下の僅かな違いを用いて当該範囲内の値と実質的に同じ結果を達成することが可能である。また、これらの範囲の開示は、最小値と最大値との間のあらゆる値を含む連続範囲として意図されている。
【0011】
本明細書において用いられる「(環式)脂肪族」という用語は、脂環式、線状脂肪族、分岐脂肪族および脂肪族残基を有する脂環式を包含する。芳香族ジオールまたは芳香脂肪族ジオールは、芳香族および/または脂肪族で結合されたヒドロキシル基を有するジオールを含む。
【0012】
本明細書および特許請求の範囲の中で記載されたすべての数平均分子量データは、ゲル透過グロマトグラフィ(GPC;不動層としてジビニルベンゼン架橋ポリスチレン、液相としてテトラヒドロフラン、ポリスチレン標準)によって決定されたか、または決定されるべき数平均分子量である。
【0013】
上述した溶融範囲ひいては溶融温度は、10K/分の加熱速度でDSC(示差走査熱分析)によって決定してもよい。
【0014】
特に、本発明は、(A)および(B)の合計重量を基準にして5〜95重量%、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%の少なくとも1種のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂結合剤(A)、および、95〜5重量%、好ましくは80〜20重量%、より好ましくは70〜30重量%の少なくとも1種のポリウレタン樹脂(B)を含む粉末塗料組成物に言及する。
【0015】
各成分(A)と(B)の両方は、60〜180℃、特に60〜160℃の溶融温度を有する。溶融温度は、一般に明確な融点ではなく、逆に溶融範囲の上限は、例えば、30〜150℃の幅を有する。
【0016】
樹脂(A)と(B)の両方は、塗料において従来用いられた有機溶媒および/または水中であったとしてもごく僅かに可溶性であり、溶解度は、例えば、20℃で酢酸ブチルまたは水リットル当たり10g未満、特に5g未満という値である。
【0017】
ポリエステル樹脂(A)はヒドロキシル官能性樹脂であり、例えば、30〜300mg KOH/gのヒドロキシル価を有する。数平均分子量は500〜10000の間、好ましくは500〜5000、最も好ましくは1000〜5000である。
【0018】
ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂の製造は当業者に知られている。特に、ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂は、一般に、一官能性酸および多官能性酸および/または酸無水物を過剰のジオールおよびポリオールと反応させることにより製造してもよい。
【0019】
ポリエステル樹脂(A)の製造のために適するジオールおよびポリオールは、実験式および構造式によって規定された低分子量化合物の形態を取ったジオールおよびポリオールのみでなく、例えば、800以下の数平均分子量を有する低分子量または高分子量のジオールまたはポリオール、例えば、対応するヒドロキシル官能性のポリエーテル、ポリエステルまたはポリカーボネートでもある。しかし、実験式および構造式によって規定された低分子量ポリオールが好ましい。
【0020】
当業者は、上述した溶融温度を有するポリエステル樹脂(A)が得られるような方式でポリエステル樹脂(A)の製造のための一官能性酸および多官能性酸および/または酸無水物とポリオールの性質および比率を選択する。
【0021】
ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂(A)は、好適な有機溶媒(混合物)(ただし、得られた樹脂から溶媒を除去することが必要になる)の存在下で製造してもよい。好ましくは、ポリエステル樹脂(A)の製造は、溶媒なしで且つ後続の精製操作なしで行われる。
【0022】
ポリエステル(A)の製造のために適するポリオールの例は、エチレングリコール、異性体プロパンジオールおよびブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAおよび二量体脂肪アルコールのようなジオールである。前記溶融温度が得られるような方式でポリオールを用いることも可能である。適するポリオールの例は、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリス−2−ヒドロキシエチル−イソシアヌレートおよびペンタエリトリトールである。好ましくは、(A)のポリエステルは、ジオールとしてヘキサンジオールまたは1,4−ブタンジオールおよびポリオールとしてグリセロールまたはトリス−2−ヒドロキシエチル−イソシアヌレートに基づく。
【0023】
ポリエステル(A)の調製において使用できる一官能性酸および多官能性酸は、アジピン酸、セバシン酸、スクシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、デカン−1,10−二酸のような二酸である。前記溶融温度が得られるように多酸を用いることも可能である。多酸の例は、トリメリット酸およびピロメリット酸である。好ましくは、ポリエステルは、テレフタル酸、ドデカン二酸またはアジピン酸に基づく。
【0024】
得られたポリエステル樹脂は、分子量分布を示す混合物の形態を取り、処理を必要とせず、ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂(A)として直接用いてもよい。
【0025】
本発明による粉末塗料組成物は、架橋剤として少なくとも1種のポリウレタン樹脂(B)を含む。ポリウレタン樹脂(B)はブロックトイソシアネート基を有する。特に、ブロックトイソシアネート基を遮断剤の排除により高温で元の遊離イソシアネート基に変換して戻してもよく、その後、少なくとも1種の樹脂結合剤(A)の対応する官能性基のための反応相手として利用できる。
【0026】
ポリウレタン樹脂(B)の潜在的な(latent)イソシアネート含有率は、例えば、NCOとして且つ遮断剤のない対応する基本ポリウレタン樹脂(underlying polyurethane resins)を基準として計算して2〜21.2重量%である。
【0027】
ブロックトイソシアネート基を有するポリウレタン樹脂の製造は当業者に知られている。特に、このポリウレタン樹脂は、ポリオールを過剰のポリイソシアネートと反応させ、そして過剰の遊離イソシアネート基を1種以上の遮断剤と反応させることにより製造してもよい。
【0028】
ポリウレタン樹脂(B)の製造のために適するポリオールは、一般にポリウレタン樹脂(A)の製造のために記載されたポリオールとしてのポリオールである。当業者は、上述した溶融温度を有するポリウレタン樹脂(B)が得られるように、ポリウレタン樹脂Bの製造のためのポリイソシアネート、ポリオールおよび遮断剤の性質および比率を選択する。
【0029】
ポリウレタン樹脂(B)は、好適な有機溶媒(混合物)(ただし、得られた樹脂から溶媒を除去することが必要になる)の存在下で製造してもよい。好ましくは、ポリウレタン樹脂(B)の製造は、溶媒なしで且つ後続の精製操作なしで行われる。
【0030】
好ましい第1の変形において、ポリウレタン樹脂(B)は、xモルの1,6−ヘキサンジイソシアネート:x−1モルのジオール成分:2モルの遮断剤(xは2〜6、好ましくは2〜4の所望のいずれかの値を意味する)のモル比での、1,6−ヘキサンジイソシアネートと、ジオール成分と、少なくとも1種の遮断剤との反応によって調製され得る分子当たり2個のブロックトイソシアネート基を有するポリウレタンである。
【0031】
ジオール成分は、1種の単一ジオールまたはジオール、好ましくは2種〜4種、特に2種〜3種のジオールの組み合わせであることが可能である。ここで、ジオールの組み合わせの場合、ジオールの各々は、好ましくは、ジオール成分のジオールの少なくとも10モル%を構成する。ジオール成分は、(環式)脂肪族ジオール、芳香族ジオールまたは芳香脂肪族ジオールであることが可能である。特に、1種の単一ジオールは、62〜600の分子量を有する(環式)脂肪族ジオールである。ジオールの組み合わせの場合、ジオールの少なくとも70モル%、特に100モル%は62〜600の分子量を各々が有する(環式)脂肪族ジオールである。
【0032】
ジオールは、上述した通り例えば800以下の数平均分子量を有する低分子量ジオールまたは高分子量ジオールを更に含んでもよい。
【0033】
ジオール成分の1つの単一ジオールとして可能であるジオールの例は、エチレングリコール、異性体のプロパンジオールおよびブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAおよび二量体脂肪アルコールである。ジオール成分の構成成分として可能であるジオールの例は、低分子ジオールまたは高分子ジオールの代表として例えば800以下の数平均分子量を各々が有するテレケリック(メタ)アクリルポリマージオール、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール、経験的構造式によって規定された低分子量非(シクロ)脂肪族ジオールの代表としてのビスフェノールA、およびエチレングリコール、異性体のプロパンジオールおよびブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、異性体のシクロヘキサンジオール、異性体のシクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、トリシクロデカンジメタノール、ならびに62〜600の低分子量を有する経験的構造式によって規定された(シクロ)脂肪族ジオールの代表としての二量体脂肪アルコールである。
【0034】
単独でまたは組み合わせで用いてもよい遮断剤の例は、この目的のために知られているCH−酸性化合物、NH−官能性化合物、SH−官能性化合物またはOH−官能性化合物などのイソシアネートを遮断するために知られている一官能性化合物である。例は、アセチルアセトンなどのCH−酸性化合物またはアセト酢酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステルなどのCH−酸性エステル、n−ブタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノールなどの脂肪族アルコールまたは脂環式アルコール、ブチルグリコール、ブチルジグリコールなどのグリコールエーテル、フェノール、メチルエチルケトキシム、アセトンオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム、カプロラクタムなどのラクタム、イミダゾール型、ピラゾール型、トリアゾール型またはテトラゾール型のアゾール遮断剤である。
【0035】
1,6−ヘキサンジイソシアネート、ジオール成分のジオールおよび少なくとも1種の遮断剤は、好ましくは、溶媒の存在しない状態で一緒に反応させる。反応物は、同時にまたは2つ以上の合成段階で一緒に反応させてもよい。合成が多段階で行われるとき、反応物は様々な順序で添加してもよい。1,6−ヘキサンジイソシアネートは、例えば、最初に遮断剤と、次にジオール成分のジオールと、または最初にジオール成分のジオールと、次に遮断剤と反応させてもよい。しかし、ジオール成分は、例えば、2つ以上の部分にも分割してよく、例えば、1,6−ヘキサンジイソシアネートを最初にジオール成分の一部と反応させた後、遮断剤と更に反応させ、最後にジオール成分の残りの比率と反応させるように例えば個々のジオールにも分割してよい。個々の反応物は、各場合、個々の反応物全体で、または2回以上に分けて添加してもよい。反応は発熱であり、反応混合物の溶融温度より高い温度で進行する。反応温度は、例えば60〜200℃である。溶融反応混合物は、加熱または冷却によって所望の温度範囲内に維持してもよい。
【0036】
溶媒の存在しない状態で行われた反応が一旦完了し、反応混合物が冷えると、分子当たり2個のブロックトイソシアネート基を有する固体ポリウレタンが得られる。実験式および構造式によって規定された低分子量ジオールを分子当たり2個のブロックトイソシアネート基を有するポリウレタンの合成のために用いるとき、それらの計算分子量は、572以上、例えば2000以下の範囲内である。
【0037】
分子当たり2個のブロックトイソシアネート基を有するポリウレタンは、分子量分布を示す混合物の形態を取る。しかし、分子当たり2個のブロックトイソシアネート基を有するポリウレタンは処理を必要とせず、ポリウレタン樹脂(B)として直接用いてもよい。
【0038】
好ましい第2の変形において、ポリウレタン樹脂(B)は、xモルのジイソシアネート成分:(x−1)モルのジオール成分:2モルの遮断剤(xは2〜6、好ましくは2〜4の所望のいずれかの値を意味する)のモル比での、ジイソシアネート成分と、ジオール成分と、少なくとも1種の遮断剤との反応によって調製できる分子当たり2個のブロックトイソシアネート基を有するポリウレタンであり、前記ジイソシアネート成分の50〜80モル%が1,6−ヘキサンジイソシアネートによって構成され、20〜50モル%が1種または2種のジイソシアネートによって構成され、前記1種または2種のジイソシアネートの各々が、ジイソシアネート成分の少なくとも10モル%を構成し、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジメチレンジイソシアネートおよびテトラメチレンキシリレンジイソシアネートからなる群から選択される。
【0039】
それぞれのジイソシアネートのモル%は合計して100モル%になる。
【0040】
好ましくは、ジイソシアネートまたはジイソシアネート成分の合計で20〜50モル%を形成させる2種のジイソシアネートは、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジメチレンジイソシアネートおよびテトラメチレンキシリレンジイソシアネートから選択される。
【0041】
ジオール成分の20〜100モル%、好ましくは80〜100モル%は、少なくとも1種の線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールによって構成され、0〜80モル%、好ましくは0〜20モル%は、線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールとは異なる、好ましくは12個を上回る炭素原子を有するアルファ,オメガ−ジオールとも異なる少なくとも1種のジオールによって構成される。ジオール成分の各ジオールは、好ましくは、ジオール成分内で少なくとも10モル%を構成し、それぞれのジオールのモル%は合計してジオール成分の100モル%になる。ジオール成分は、好ましくは、4種以下の異なるジオール、特に1〜3種のジオールからのみなる。唯一のジオールの場合、ジオールは、従って、線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールを含む。線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールおよび好ましくは12個を上回る炭素原子を有するアルファ,オメガ−ジオールとも異なる少なくとも1種のジオールは、経験的構造式によって規定されるとともに76〜600の低い分子量を有する特に(シクロ)脂肪族ジオールを含む。
【0042】
可能な非(シクロ)脂肪族ジオールの割合は、好ましくはジオール成分のジオールの30モル%以下になる。好ましくは、ジオール成分は非(シクロ)脂肪族ジオールを全く含まない。最も好ましくは、ジオール成分は、線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールとは異なるジオールを全く含まないが、むしろ、1種〜4種、好ましくは1種〜3種、特に唯一の線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールからなる。
【0043】
1種の単一ジオールまたはジオール成分の構成成分として用いてもよい線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールの例は、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオールおよび1,12ドデカンジオールである。
【0044】
線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールとは異なるとともにジオール成分中で用いてもよいジオールの例は、低分子ジオールまたは高分子ジオールの代表として例えば、800以下の数平均分子量を各々が有するテレケリック(メタ)アクリルポリマージオール、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール;、経験的構造式によって規定された低分子量非(シクロ)脂肪族ジオールの代表としてのビスフェノールA、および先のパラグラフで指定されたプロパンジオールおよびブタンジオールの異性体とは異なるプロパンジオールおよびブタンジオールの異性体、ならびにネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、異性体のシクロヘキサンジオール、異性体のシクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、トリシクロデカンジメタノールおよび76〜600の低分子量を有する経験的構造式によって規定された(シクロ)脂肪族ジオールの代表としての二量体脂肪アルコールである。
【0045】
少なくとも1種の遮断剤の例は上で記載された遮断剤と同じである。
【0046】
ジイソシアネート成分のジイソシアネート、ジオール成分のジオールおよび少なくとも1種の遮断剤は、好ましくは、一般に上で記載されたのと同じ方法で溶媒の存在しない状態で一緒に反応させる。例えば、ジイソシアネート成分のジイソシアネートは、最初に遮断剤と、次にジオール成分のジオールと、または最初にジオール成分のジオールと、次に遮断剤と反応させてもよい。しかし、ジオール成分は、例えば、2つ以上の部分にも分割してよく、例えば、ジイソシアネート成分のジイソシアネートをジオール成分の一部と最初に反応させた後、遮断剤と更に反応させ、最後にジオール成分の残りの比率と反応させるように個々のジオールにも分割してよい。しかし、非常に似た方式で、ジイソシアネート成分は、例えば、2つ以上の部分にも分割してよく、例えば、ジオール成分および遮断剤を最初にジイソシアネート成分の一部と、最後にジイソシアネート成分の残りの比率と反応させるように個々のジイソシアネートにも分割してよい。
【0047】
溶媒の存在しない状態で行われた反応が一旦完了し、反応混合物が冷えると、分子当たり2個のブロックトイソシアネート基を有する固体ポリウレタンが得られる。実験式および構造式によって規定された低分子量ジオールを分子当たり2個のブロックトイソシアネート基を有するポリウレタンの合成のために用いるとき、それらの計算分子量は、570以上、例えば2000以下の範囲内である。
【0048】
分子当たり2個のブロックトイソシアネート基を有するポリウレタンは、分子量分布を示す混合物の形態を取る。しかし、分子当たり2個のブロックトイソシアネート基を有するポリウレタンは処理を必要とせず、ポリウレタン樹脂(B)として直接用いてもよい。
【0049】
好ましい第3の変形において、ポリウレタン樹脂(B)は、1モルの(環式)脂肪族ジイソシアネートの三量体:xモルの1,6−ヘキサンジイソシアネート:xモルのジオール成分:3モルの遮断剤(xは1〜6、好ましくは1〜3の所望の値のいずれかを意味する)のモル比での、(環式)脂肪族ジイソシアネートの三量体と、1,6−ヘキサンジイソシアネートと、ジオール成分と、少なくとも1種の遮断剤との反応によって調製され得るブロックトイソシアネート基を有するポリウレタンである。
【0050】
ジオール成分は、1種の単一線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12ジオールまたは2種〜4種、好ましくは2種〜3種の(環式)脂肪族ジオールの組み合わせである。ここで、ジオールの組み合わせの場合、ジオールの各々は、ジオールの組み合わせの少なくとも10モル%のジオールを構成し、ジオール成分の組み合わせは、少なくとも1種の線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12ジオールの少なくとも80モル%からなる。
【0051】
(シクロ)脂肪族ジイソシアネートの三量体は、(シクロ)脂肪族ジイソシアネートの三量体化によって調製されるイソシアヌレートタイプのポリイソシアネートである。例えば、1,4−シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、特にイソホロンジイソシアネート、より特に1,6−ヘキサンジイソシアネートから誘導された適切な三量体化製品は適する。工業的に得ることができるイソシアヌレートポリイソシアネートは、一般に、純三量体、すなわち、3個のジイソシアネート分子から構成され3個のNCO官能基を含むイソシアヌレートに加えて、比較的高い分子量を有するイソシアネート官能性二次製品を含有する。好ましくは、可能な最高の純度を有する製品が用いられる。各場合、工業品質で得ることができる(シクロ)脂肪族ジイソシアネートの三量体は、モル比1モルの(シクロ)脂肪族ジイソシアネートの三量体、xモルの1,6−ヘキサンジイソシアネート、xモルのジオール、3モルの遮断剤を基準にして前記イソシアネート官能性二次製品の三量体含有率に無関係に純三量体とみなされる。
【0052】
ジオールの組み合わせ内で使用できる1種の単一線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12ジオールまたは線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12ジオールの例は、上で記載されたのと同じであることが可能である。
【0053】
ジオールの組み合わせの少なくとも80モル%を構成する少なくとも1種の線状脂肪族アルファ,オメガ−C2−C12−ジオールに加えてジオールの組み合わせ内で用いることが可能である(シクロ)脂肪族ジオールの例は、先のパラグラフで列挙したプロパンジオールおよびブタンジオールの異性体とは異なるプロパンジオールおよびブタンジオールの更なる異性体、およびネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、異性体のシクロヘキサンジオール、異性体のシクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAおよびトリシクロデカンジメタノールである。
【0054】
ジオールの組み合わせの場合、各場合に合計で100モルになる好ましいジオールの組み合わせは、10〜90モル%の1,3−プロパンジオールと90〜10モル%の1,5−ペンタンジオール、10〜90モル%の1,3−ペンタンジオールと90〜10モル%の1,6−ヘキサンジオールおよび10〜90モル%の1,5−ペンタンジオールと90〜10モル%の1,6−ヘキサンジオールである。
【0055】
少なくとも1種の遮断剤の例は上で記載された遮断剤と同じである。
【0056】
(環式)脂肪族ジイソシアネートの三量体、1,6−ヘキサンジイソシアネート、ジオール成分および少なくとも1種の一官能性遮断剤は、好ましくは、一般に上で記載されたのと同じ方法で溶媒の存在しない状態で一緒に反応させる。例えば、1,6−ヘキサンジイソシアネートは、最初にジオール成分と遮断剤の混合物、次に(環式)脂肪族ジイソシアネートの三量体と、もしくはイソシアネート官能性成分の混合物とジオール成分および遮断剤と反応させてよいか、またはイソシアネート官能性成分の混合物は、最初に遮断剤、次にジオール成分と反応させてもよい。ジオールの組み合わせの場合、ジオール成分は、例えば、2つ以上の部分にも、例えば、個々の(環式)脂肪族ジオールにも分割してよい。
【0057】
溶媒の存在しない状態で行われた反応が一旦完了し、反応混合物が冷えると、ブロックトイソシアネート基および1,500〜4,000の数平均分子量を有する固体ポリウレタンが得られる。ブロックトイソシアネート基を有するポリウレタンは、処理を必要とせず、ポリウレタン樹脂(B)として直接用いてもよい。
【0058】
本発明による塗料組成物は、(A)および(B)の官能基と反応性の官能基を有する少なくとも1種の結合剤(C)を含有してもよい。結合剤(C)は(A)および(B)とは異なり、特に、当業者に知られている従来の結合剤を含む。例は、ポリウレタン樹脂および(メタ)アクリルコポリマー樹脂ならびに例えば60〜300mg KOH/gのヒドロキシル価および例えば500〜10000の数平均分子量を有するこれらの種類の結合剤から誘導された混成結合剤である。本発明による塗料組成物は、(A)、(B)および(C)の全重量を基準にして30重量%までの範囲、場合により1〜30重量%の量でこの結合剤(C)を含有してもよい。
【0059】
本発明の塗料組成物は、1種以上の顔料、充填剤および/または;染料、充填剤、流れ調整剤、分散剤、チキソトロープ剤、定着剤、酸化防止剤、光安定剤、腐蝕防止剤、抑制剤、触媒、平滑化剤、湿潤剤、窪み防止剤およびそれらの混合物に限定されないが、それらを含む塗料添加剤を更に含んでよい。
【0060】
添加剤は、当業者に知られている従来の量で用いられる。二重硬化塗料組成物の場合、一般に用いられる光抑制剤は前記塗料組成物に含有されている。
【0061】
塗料組成物は、透明顔料および例えば、0:1〜2:1の顔料+充填剤:樹脂固体分の重量比に対応する色付与性および/または特殊効果付与性の顔料および/または充填剤も含有してよい。適する色付与性顔料は、有機的または無機的な性質の従来のあらゆる塗料顔料である。無機または有機の色付与性顔料の例は、二酸化チタン、酸化鉄顔料、カーボンブラック、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料およびピロロピロール顔料である。特殊効果顔料の例は、例えば、アルミニウム、銅または他の金属の金属顔料、例えば、金属酸化物−被覆金属顔料、例えば、酸化鉄−被覆アルミニウムなどの干渉顔料、例えば、二酸化チタン被覆マイカなどの被覆マイカ、グラファイト効果付与性顔料、フレーク形態を取った酸化鉄、液晶顔料、被覆酸化アルミニウム顔料および被覆二酸化珪素顔料である。充填剤の例は、二酸化珪素、珪酸アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムおよびタルクである。
【0062】
熱下で、本発明による塗料組成物は、その成分の溶融範囲において粘度の急激な減少を示す。粉末塗料組成物の粘度は温度を上げることにより更に、ほんの僅かに減少する。本発明による粉末塗料組成物の溶融粘度は非常に低い。回転レオメータで測定すると、最少溶融粘度は30Pas未満である。10Pas未満、特に5Pas未満の溶融粘度を有する本発明の粉末塗料組成物が好ましい。
【0063】
本発明は、好ましくは、
(A)5〜80重量%の少なくとも1種のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂結合剤、
(B)ブロックトイソシアネート基を含有する架橋剤としての95〜20重量%の少なくとも1種のポリウレタン樹脂、
(C)(A)および(B)の官能基と反応性の官能基を有する、(A)および(B)とは異なる0〜30重量%、および場合により1〜30重量%の少なくとも1種の結合剤、および
(D)0.1〜60重量%の顔料、充填剤および/または塗料添加剤
を含む粉末塗料組成物を提供し、ここで、重量%の量は、粉末塗料組成物(A)〜(D)の全重量を基準にしており、少なくとも1種のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂結合剤(A)と少なくとも1種のポリウレタン樹脂(B)の両方は、60〜180℃、特に60〜160℃の溶融温度を有する。
【0064】
(A)15〜60重量%の少なくとも1種のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂結合剤、
(B)ブロックトイソシアネート基を含有する架橋剤としての85〜40重量%の少なくとも1種のポリウレタン樹脂、
(C)(A)および(B)の官能基と反応性の官能基を有する、(A)および(B)とは異なる0〜20重量%、および場合により1〜20重量%の少なくとも1種の結合剤、および
(D)1〜40重量%の顔料、充填剤および/または塗料添加剤
を含む粉末塗料組成物は特に好ましい。ここで、重量%の量は、粉末塗料組成物(A)〜(D)の全重量を基準にしており、少なくとも1種のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂結合剤(A)と少なくとも1種のポリウレタン樹脂(B)の両方は、60〜180℃、特に60〜160℃の溶融温度を有する。
【0065】
本発明の成分は、当業者に周知の粉末塗料において用いられる従来の技術によって混合され、押し出され、粉砕される。典型的には、本粉末塗料配合物の成分のすべては、混合容器に添加され、一緒に混合される。その後、ブレンドされた混合物は、例えば溶融押出機内で溶融ブレンドされる。その後、押し出された組成物は冷却され、崩され、粉末に粉砕される。その後、粉砕された粉末を篩粉して所望の粒度、例えば、レーザー回折によって決定して20〜200μmの平均粒度(平均粒径)を達成する。
【0066】
粉末塗料組成物の成分の所定量を例えばポリウレタン樹脂(A)および本発明による組成物の更なる成分に添加し、その後、プレミックスすることが可能である。その後、プレミックスを押し出し、冷却し、その後、粉砕し、分級することが可能である。
【0067】
本発明による組成物は、超臨界溶液プロセス、NAD「非水分散」プロセスまたは超音波定常波噴霧プロセスから噴霧することによっても調製してよい。
【0068】
更に、押出後、そして衝撃融解を用いる「ボンディング」プロセスによる粉砕後、本発明による粉末塗料組成物の特定の成分、例えば、添加剤、顔料、充填剤を最終粉末塗料粒子で処理してもよい。この目的のために、特定の成分を粉末塗料粒子と混合してもよい。ブレンド中に、成分が粉末塗料粒子に接着するとともに粉末塗料粒子の表面に均質に結合されるように個々の粉末塗料粒子を処理して粉末塗料粒子表面を軟化させる。粉末粒子の表面の軟化は、粉末粒子の溶融挙動に応じて例えば40〜100℃の温度に粒子を加熱処理することによって行ってもよい。混合物を冷却した後、得られた粒子の所望の粒度は篩粉プロセスによって加工し得る。
【0069】
本発明の粉末塗料組成物は、金属基材および非金属基材に容易に被着させることが可能である。本発明の組成物は、限定はされないが、スチール、真鍮、アルミニウム、クロムおよびそれらの混合物を含む金属基材ならびに例えば木材、プラスチックおよび紙に基づく基材などの感熱性基材を含む他の基材も、ならびに例えばガラスおよびセラミックに基づく他の基材を被覆するために用いることが可能である。
【0070】
被覆された基材に課される要件に応じて、吹き付け、その後の金属基材の場合に酸リンスなどの機械的処理、または洗浄、その後の化学的処理に基材の表面を供してもよい。
【0071】
本発明の粉末塗料組成物は、例えば、静電吹付、静電ブラッシング、熱吹付または溶射、流動層被覆方法、フロック加工、摩擦静電気吹付被着などによって被着させてもよく、コイル被覆技術によっても被着させてよい。それらのすべては当業者に知られている。
【0072】
本発明の塗料組成物を被着させる前に、基材を研削してもよいが、予熱せずに基材が約25℃の周囲温度であるようにする。
【0073】
特定の用途において、被覆されるべき基材は、本発明による粉末組成物の被着前に予熱してもよく、その後、粉末組成物の被着後に加熱しても加熱しなくてもよい。例えば、ガスが種々の加熱工程のために一般に用いられるが、他の方法、例えば、高周波、赤外線(IR)、近赤外線(NIR)および/または紫外線(UV)も知られている。予熱は、当業者に周知の手段を用いて60〜260℃の温度に向けて行うことが可能である。
【0074】
被着後、当該技術分野において知られている対流加熱、ガス加熱および/または放射加熱、例えば、IR線および/またはNIR線によって例えば、各場合の目的温度である100℃〜300℃、好ましくは140〜200℃の温度に、例えば予熱基材の場合に例えば2〜20分、非予熱基材の場合に例えば、4〜30分にわたりさらすことにより塗料を硬化またはポスト硬化させることが可能である。
【0075】
硬化された後、被覆された基材を典型的には例えば、空気冷却または水冷却のいずれかにさらして、例えば、35〜90℃の温度に下げてもよい。
【0076】
非常に薄いフィルム被膜のために例えば10〜300μm、好ましくは20〜100μm、特に10〜50μmである乾燥フィルム厚さをもたらすように基材は有効量の本粉末塗料組成物で被覆される。
【0077】
本発明による粉末塗料組成物は、液体系プライマまたは粉末系プライマであることが可能であるプライマ被膜として基材表面上にまたはプライマの層上に直接被着させることが可能である。本発明による粉末塗料組成物は、液体塗料または粉末塗料に基づく多層塗料系の被膜層として、例えば、色付与および/または特殊効果付与下塗層上に被着された透明塗料層として、または前の被膜上に被着される顔料入り1層被膜として被着させることも可能である。
【0078】
本発明は以下の実施例において更に規定される。これらの実施例があくまでも例示として与えられていることが理解されるべきである。本発明は、以下で記載される例示的な実施例によって限定されないが、逆に、以下に含まれる特許請求の範囲によって規定される。
【実施例】
【0079】
実施例1
先行技術による粉末塗料組成物(比較例)および本発明による粉末塗料組成物の製造ならびに被着
【0080】
【表1】

【0081】
30〜35℃の混合温度で3分および1500U/分でヘンシェルミキサーによって各配合物の成分を混合する。得られた混合物を104〜106℃の温度で押し出す。
【0082】
その後、押し出された生産物を室温で冷却し、崩し、約75μmの粒度に粉砕する。得られた粉末塗料組成物の被着を40〜50μmの乾燥フィルム厚さで金属シート上に既知のコロナプロセス下で進め、加熱下で硬化させる。
【0083】
実施例2
試験結果
【0084】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも1種のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂結合剤、および
(B)ブロックトイソシアネート基を含有する架橋剤としての少なくとも1種のポリウレタン樹脂
を含む粉末塗料組成物であって、前記少なくとも1種のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂結合剤(A)と前記少なくとも1種のポリウレタン樹脂(B)の両方が60〜180℃の溶融温度を有する粉末塗料組成物。
【請求項2】
(A)5〜80重量%の少なくとも1種のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂結合剤、
(B)ブロックトイソシアネート基を含有する架橋剤としての、95〜20重量%の少なくとも1種のポリウレタン樹脂、
(C)(A)および(B)の官能基と反応性の官能基を有する、(A)および(B)とは異なる0〜30重量%、および場合により1〜30重量%の少なくとも1種の結合剤、
(D)0.1〜60重量%の顔料、充填剤および/または塗料添加剤
を含み、重量%の量が粉末塗料組成物(A)〜(D)の全重量を基準にしており、前記少なくとも1種のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂結合剤(A)と前記少なくとも1種のポリウレタン樹脂(B)の両方が60〜180℃、特に60〜160℃の溶融温度を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリエステル樹脂結合剤(A)が30〜300mg KOH/gのヒドロキシル価および500〜5000の数平均分子量を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリエステル樹脂結合剤(A)が、ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセロールおよびトリス−2−ヒドロキシエチル−イソシアヌレートからなる群から選択されるジオールおよび/またはポリオールに基づき、且つテレフタル酸、ドデカン二酸およびアジピン酸からなる群から選択される一官能性酸および/または多官能性酸に基づく請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリウレタン樹脂(B)の潜在的なイソシアネート含有率が、NCOとして且つ遮断剤のない対応する基本ポリウレタン樹脂を基準として計算して2〜21.2重量%である請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリウレタン樹脂(B)が、xモルの1,6−ヘキサンジイソシアネート:x−1モルのジオール成分:2モルの遮断剤(xは2〜6の値を意味する)のモル比での、1,6−ヘキサンジイソシアネートと、ジオール成分と、少なくとも1種の遮断剤との反応生成物である分子当たり2個のブロックトイソシアネート基を有するポリウレタンである請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリウレタン樹脂(B)が、xモルのジイソシアネート成分:(x−1)モルのジオール成分:2モルの遮断剤(xは2〜6の所望のいずれかの値を意味する)のモル比での、ジイソシアネート成分と、ジオール成分と、少なくとも1種の遮断剤との反応生成物である分子当たり2個のブロックトイソシアネート基を有するポリウレタンであり、前記ジイソシアネート成分の50〜80モル%が1,6ヘキサンジイソシアネートによって構成され、20〜50モル%が1種または2種のジイソシアネートによって構成され、前記1種または2種のジイソシアネートの各々が、ジイソシアネート成分の少なくとも10モル%を構成し、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジメチレンジイソシアネートおよびテトラメチレンキシリレンジイソシアネートからなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリウレタン樹脂(B)が、1モルの(環式)脂肪族ジイソシアネートの三量体:xモルの1,6−ヘキサンジイソシアネート:xモルのジオール成分:3モルの遮断剤(xは1〜6の値を意味する)のモル比での、(環式)脂肪族ジイソシアネートの三量体と、1,6−ヘキサンジイソシアネートと、ジオール成分と、少なくとも1種の遮断剤との反応生成物であるブロックトイソシアネート基を有するポリウレタンである請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
10Pas未満の溶融粘度を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
基材を被覆する方法であって、
(a)前記基材上に請求項1に記載の粉末塗料組成物を被着させる工程、および
(b)被着させた組成物を硬化させる工程
を含む方法。
【請求項11】
請求項1に記載の粉末塗料組成物で被覆された基材。

【公表番号】特表2011−506754(P2011−506754A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539725(P2010−539725)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/087097
【国際公開番号】WO2009/079536
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】