説明

熱硬化性成形材料を加熱硬化した成形品

【課題】絶縁性を有しながら、熱伝導率が高く、機械的強度に優れた成形品を提供する。
【解決手段】本発明の成形品は、ヒドロキシフェニル基を二つ有するフェノール類と、ジアミン類と、アルデヒド類とを原料として用い製造したポリベンゾオキサジン樹脂と、絶縁性を有する熱伝導性フィラーとを、質量比5/95〜50/50の範囲で含有する成形材料を加熱硬化することにより得られる。また本発明では、ヒドロキシフェニル基を二つ有するフェノール類の50モル%以上が4,4’−ビフェノールであること好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリベンゾオキサジン樹脂及び絶縁性を有する熱伝導性フィラーを含有する熱硬化性成形材料を加熱硬化したことを特徴とする成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、電子製品の小型化や高性能化、高機能化が急速に進んでいる。それに伴い、半導体等が実装された回路基板や、各種のチップ、デバイス等が搭載された電子部品の放熱対策が重要となってきている。
具体例として、LED照明、ノートPC、液晶テレビ、PDPテレビ、携帯電話、デジタルカメラ、ゲーム機、DVDプレーヤー、DVDレコーダー、ブルーレイプレーヤー、ブルーレイレコーダー、カーナビゲーションシステム、ハイブリッドカー、電気自動車等の部品の放熱対策である。
【0003】
従来、熱伝導性フィラーを含有したエポキシ樹脂組成物の成形品は、耐熱性や機械的強度、寸法安定性などに優れていることから、上記に示すような用途に使用される放熱材料部品として使用されている。こうした分野では、部品自体の発熱や高温雰囲気での使用によって部品そのものの性能が低下するという問題があり、材料の熱伝導率を高くすることが求められていた。
こうした問題に対し、フィラーとしてグラファイトやカーボン繊維を用いることで材料の熱伝導率を向上させるという方法が検討されていたが、これらの基材は導電性を有するため絶縁抵抗が大幅に低下してしまい絶縁性の必要な電気電子部品には適用しにくいという問題があった。
【0004】
また、フィラーとしてシリカ粉末やアルミナ粉末等の絶縁性を有する熱伝導率の高いフィラーを用いる場合もあるが(例えば、特許文献1参照。)、熱伝導率を高めるためにこれらのフィラーを多量に配合する必要があり、機械的強度が低下する、材料の流動性が低下し、混練作業性、成形性を損なうという問題もあったため、従来の一般的なフェノール樹脂に比べ硬化前の溶融粘度が低く流動性が優れているベンゾオキサジン樹脂を用い、材料の流動性を確保する試みがなされてきた(例えば、特許文献2及び特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−220507号公報
【特許文献2】特開平11−71498号公報
【特許文献3】特開2001−64480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2及び特許文献3に記載のベンゾオキサジン樹脂では、機械的強度が不十分であった。また、絶縁性を有し熱伝導率が2.5W/m・Kを超えることはフィラーの高含有のみでは困難であった。
本発明では、熱伝導率が高く、機械的強度に優れた成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意検討を行なった結果、特定の化学構造を有するポリベンゾオキサジン樹脂と絶縁性を有する熱伝導性フィラーを特定の割合で含有する熱硬化性成形材料を加熱硬化した成形品が前記目的を達成し得ることの知見を得た。
【0008】
[1]ヒドロキシフェニル基を二つ有するフェノール類と、ジアミン類と、アルデヒド類とを原料として用いて製造した、下記式(1)で示される、ベンゾオキサジン環構造を主鎖中に有するポリベンゾオキサジン樹脂(式(1)において、Arは芳香族基を示し、Rは有機基を示し、nは2以上の整数を示す。)と、絶縁性を有する熱伝導性フィラーを、質量比5/95〜50/50の範囲で含有する成形材料を加熱硬化することを特徴とする成形品。
【0009】
【化1】

【0010】
[2]上記ヒドロキシフェニル基を二つ有するフェノール類の50モル%以上が、4,4’−ビフェノールであることを特徴とする[1]記載の成形品。
【0011】
[3]上記絶縁性を有する熱伝導性フィラーがアルミナ化合物、酸化マグネシウム、及び窒化ホウ素を含有することを特徴とする[1]または[2]記載の成形品。
【0012】
[4]上記アルミナ化合物が、球状であることを特徴とする[3]記載の成形品。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、熱伝導率が高く、機械的強度に優れた成形品を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の成形品は、上記式(1)に記載のポリベンゾオキサジン樹脂と絶縁性を有する熱伝導性フィラーを含有する成形材料を加熱硬化することにより得られる。
まずは、上記式(1)記載のポリベンゾオキサジン樹脂について説明する。
上記式(1)記載のポリベンゾオキサジン樹脂は、ヒドロキシフェニル基を二つ有するフェノール類とジアミン類とアルデヒド類とを有機溶剤中において反応させ、製造するものである。
上記ヒドロキシフェニル基を二つ有するフェノール類は、下記式(2)で表され、ヒドロキシフェニル基の水酸基と結合する炭素に対して、少なくとも一方のオルソ位に置換可能な水素を有するものであれば、特に限定されない。(式(2)において、Arは芳香族基を示す。)
ヒドロキシフェニル基を二つ有するフェノール類としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールE、ビスフェノールZ、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ビフェノール、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスフェノール(三井化学ファイン製「ビスフェノールM」)、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスフェノール(三井化学ファイン製「ビスフェノールP」)等が挙げられ、これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、ヒドロキシフェニル基を二つ有するフェノール類として、50モル%以上が4,4’−ビフェノールであることが、熱伝導率が向上するため好ましい。
【0015】
【化2】

【0016】
上記ジアミン類は、下記式(3)で表され、芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン等、両末端にアミノ基を有するものであれば、特に限定されない。(式(3)において、Rは有機基を示す。)
芳香族ジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチル−エチリデン)]ビスアニリン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン等が挙げられ、中でも、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが安価であることから好ましい。
また、脂肪族ジアミンとしては、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,18−オクタデカンジアミン等が挙げられ、中でも、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサンジアミンが安価であることから好ましい。
さらに、その他のジアミン類として、脂環式ジアミン、不飽和や分岐した炭化水素基を持つジアミン等も使用することができる。脂環式ジアミンとしては、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、イソホロンジアミン、1,3−ジアミノアダマンタン、ノルボルナンジアミン等が挙げられる。
これらジアミン類は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0017】
【化3】

【0018】
上記アルデヒド類としては、特に限定されるものではないが、例えば、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド等が挙げられ、これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。該ホルムアルデヒドとしては、パラホルムアルデヒドやホルムアルデヒドの水溶液が挙げられるが、合成のしやすさから、ホルムアルデヒドの水溶液が好ましい。
【0019】
上記反応工程における、反応温度、反応時間については特に限定されないが、通常、有機溶剤中、室温〜120℃の範囲で数十分〜数時間反応させ、有機溶剤除去工程を行うことによりポリベンゾオキサジン樹脂を得ることができる。
【0020】
使用する有機溶剤についても特に限定されるものではないが、原料のヒドロキシフェニル基を二つ有するフェノール類やジアミン類および反応生成物であるポリベンゾオキサジン樹脂に対して溶解性の良好なものが好ましい。このような溶剤として、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、キシレン、トルエン等の芳香族系溶剤、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤等が挙げられる。
【0021】
このようにして得られた上記式(1)のポリベンゾオキサジン樹脂は、従来のフェノール樹脂やベンゾオキサジン樹脂に比べて硬化前に線状構造を有するため、高フィラー充填にもかかわらず、その成形品は高い機械的強度を有することがわかった。
また、上記式(1)においてnは2以上であるが、機械的強度が充分に得られることから、nが5以上であることが好ましい。
【0022】
次に成形材料に含まれる、絶縁性を有する熱伝導性フィラーについて説明する。絶縁性を有する熱伝導性フィラーとしては、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、アルミナ化合物(アルミナ化合物としては、アルミナをはじめとして、カオリン、クレー、マイカ、ホウ酸アルミニウム、バーミキュライト、スメクタイト等のAl成分を含有するもの)が挙げられる。
これらの中でも本発明においてはアルミナ化合物、酸化マグネシウム、及び窒化ホウ素の3種をすべて含有することが、熱伝導率が向上するため好ましい。さらに、充填性が向上するため、アルミナ化合物が球状であることが特に好ましい。
【0023】
熱硬化性成形材料は、上記式(1)で表されるポリベンゾオキサジン樹脂と絶縁性を有する熱伝導性フィラーの質量比を5/95〜50/50の範囲で含有させることが好ましい。ポリベンゾオキサジン樹脂が5質量部以上であれば充分な強度が得られ、50質量部以下であれば熱伝導率を向上させることが可能である。
【0024】
また、本発明の成形品を得るための成形材料には所望により従来のエポキシ樹脂組成物の成形材料において用いられている各種添加剤、例えば、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛のような離型剤もしくは滑剤、シランカップリング剤、およびカーボンブラック等の着色剤などを添加することができる。また炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、シリカ、パーライト、シラスバルーン、珪藻土、ケイ酸カルシウム、タルク、ガラス繊維、チタン酸カリウム繊維等の無機充填材を併用しても良い。
【0025】
本発明にあってはポリベンゾオキサジン樹脂と絶縁性を有する熱伝導性フィラー、さらに目的に応じて各種添加剤等を所定量配合し、それらを加圧ニーダー、二軸押出機、ヘンシェルミキサー、ミキシング熱ロール等で加熱混練したあと、粉砕あるいはペレット化することによって本発明の成形品に使用する熱硬化性樹脂成形材料を製造することができる。
こうして得られた熱硬化性樹脂成形材料は、圧縮成形、トランスファー成形など各種の成形方法を用いて所望の成形品を製造することができる。
【0026】
本発明で得られた成形品は、絶縁性を有しながら熱伝導率が高く、機械的強度が優れているため、LED照明、ノートPC、液晶テレビ、PDPテレビ、携帯電話、デジタルカメラ、ゲーム機、DVDプレーヤー、DVDレコーダー、ブルーレイプレーヤー、ブルーレイレコーダー、カーナビゲーションシステム、ハイブリッドカー、電気自動車等の部品に使用可能である。
【実施例】
【0027】
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、得られた成形品の特性は以下に示す方法によって評価した。
(1)熱伝導率
アルバック理工製GH−1迅速熱伝導率計により測定した。
(2)曲げ強度(機械的強度)
JIS K 6911に準拠し測定した。
【0028】
[樹脂例1]
(熱硬化性樹脂(A−1)の合成)
メチルイソブチルケトン中に、ビスフェノールA 34.2g(0.15mol)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン 29.7g(0.15mol)を投入し、80℃に昇温した。50%ホルムアルデヒド水溶液 36.0g(0.60mol)を滴下した後、30分間攪拌した。その後、さらに昇温して還流下で3時間反応させた。反応終了後、反応溶液をエバポレーターにて溶剤を揮発させ反応物を得た。その後、80℃で減圧乾燥することにより重量平均分子量が4000のポリベンゾオキサジン樹脂(A−1)を得た。
【0029】
[樹脂例2]
(熱硬化性樹脂(A−2)の合成)
メチルイソブチルケトン中に、ビスフェノールA 34.2g(0.15mol)、1,6−ヘキサンジアミン 17.4g(0.15mol)を投入し、80℃に昇温した。50%ホルムアルデヒド水溶液 36.0g(0.60mol)を滴下した後、30分間攪拌した。その後、さらに昇温して還流下で3時間反応させた。反応終了後、反応溶液をエバポレーターにて溶剤を揮発させ反応物を得た。その後、80℃で減圧乾燥することにより重量平均分子量が10000のポリベンゾオキサジン樹脂(A−2)を得た。
【0030】
[樹脂例3]
(熱硬化性樹脂(A−3)の合成)
ジオキサン中に、4,4’−ビフェノール 22.3g(0.12mol)、ビスフェノールA 18.2g(0.08mol)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン 39.6g(0.20mol)を投入し、60℃に昇温して溶解させた後、30℃に温度を下げたところで92%ホルムアルデヒド 26.1g(0.80mol)を投入し、90℃で攪拌した。その後、更に昇温して還流下で7時間反応させた。反応終了後、反応溶液をエバポレーターにて溶剤を揮発させ反応物を得た。その後80℃で減圧乾燥することにより重量平均分子量が4500のポリベンゾオキサジン樹脂(A−3)を得た。
【0031】
[比較樹脂例1]
(熱硬化性樹脂(B−1)の合成)
メチルイソブチルケトン中に、ビスフェノールA 22.8g(0.1mol)を投入し完全に溶解させた後、アニリン 18.6g(0.2mol)、92%ホルムアルデヒド13.0g(0.4mol)を投入し85℃〜90℃で攪拌した。その後、更に昇温して還流下で2時間反応させた。反応終了後、−93.3kPa以下で真空脱溶剤脱水工程の後、取り出し、ベンゾオキサジン樹脂(B−1)を得た。
【0032】
[比較樹脂例2]
(熱硬化性樹脂(B−2)の配合)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製、1001)と、硬化剤としてノボラック型フェノール樹脂(群栄化学工業製、PSM−4324)とを、ヘンシェルミキサーで常温混練し、熱硬化性樹脂(B−2)を得た。
【0033】
[実施例1]
熱硬化性樹脂(A−1)15質量部、非球状アルミナ(日本軽金属製)85質量部、をヘンシェルミキサーで常温混練し、熱硬化性樹脂成形材料を得た。
得られた熱硬化性樹脂成形材料を、トランスファー成形機にて金型温度200℃、硬化時間5分、プレス圧力70kg/cmの成形条件でトランスファー成形し、熱伝導率測定用試験片及び曲げ強度測定用試験片を作成した。測定結果を表1に示す。
【0034】
[実施例2]
熱硬化性樹脂(A−1)15質量部、非球状アルミナ(日本軽金属製)60質量部、酸化マグネシウム(協和化学製)25質量部、をヘンシェルミキサーで常温混練し、熱硬化性樹脂成形材料を得た。
得られた熱硬化性樹脂成形材料を、トランスファー成形機にて金型温度200℃、硬化時間5分、プレス圧力70kg/cmの成形条件でトランスファー成形し、熱伝導率測定用試験片及び曲げ強度測定用試験片を作成した。測定結果を表1に示す。
【0035】
[実施例3]
熱硬化性樹脂(A−1)15質量部、球状アルミナ(電気化学製)45質量部、非球状アルミナ(日本軽金属製)15質量部、酸化マグネシウム(協和化学製)18質量部、六方晶窒化ホウ素(hBN:台湾製)7質量部をヘンシェルミキサーで常温混練し、熱硬化性樹脂成形材料を得た。
得られた熱硬化性樹脂成形材料を、トランスファー成形機にて金型温度200℃、硬化時間5分、プレス圧力70kg/cmの成形条件でトランスファー成形し、熱伝導率測定用試験片及び曲げ強度測定用試験片を作成した。測定結果を表1に示す。
【0036】
[実施例4]
実施例3において熱硬化性樹脂(A−1)を熱硬化性樹脂(A−2)に変更した他は同様にして、熱伝導率測定用試験片及び曲げ強度測定用試験片を作成した。測定結果を表1に示す。
【0037】
[実施例5]
実施例3において熱硬化性樹脂(A−1)を熱硬化性樹脂(A−3)に変更した他は同様にして、熱伝導率測定用試験片及び曲げ強度測定用試験片を作成した。測定結果を表1に示す。
【0038】
[比較例1]
実施例3において熱硬化性樹脂(A−1)を熱硬化性樹脂(B−1)に変更した他は同様にして、熱伝導率測定用試験片及び曲げ強度測定用試験片を作成した。測定結果を表1に示す。
【0039】
[比較例2]
熱硬化性樹脂(A−1)60質量部、球状アルミナ(電気化学製)21.2質量部、非球状アルミナ(日本軽金属製)7.0質量部、酸化マグネシウム(協和化学製)8.5質量部、六方晶窒化ホウ素(hBN:台湾製)3.3質量部をヘンシェルミキサーで常温混練し、熱硬化性樹脂成形材料を得た。
得られた熱硬化性樹脂成形材料を、トランスファー成形機にて金型温度200℃、硬化時間5分、プレス圧力70kg/cmの成形条件でトランスファー成形し、熱伝導率測定用試験片及び曲げ強度測定用試験片を作成した。測定結果を表1に示す。
【0040】
[比較例3]
熱硬化性樹脂(A−1)3質量部、球状アルミナ(電気化学製)51.4質量部、非球状アルミナ(日本軽金属製)17.1質量部、酸化マグネシウム(協和化学製)20.5質量部、六方晶窒化ホウ素(hBN:台湾製)8.0質量部をヘンシェルミキサーで常温混練し、熱硬化性樹脂成形材料を得た。
得られた熱硬化性樹脂成形材料を、トランスファー成形機にて金型温度200℃、硬化時間5分、プレス圧力70kg/cmの成形条件でトランスファー成形し、熱伝導率測定用試験片及び曲げ強度測定用試験片を作成した。測定結果を表1に示す。
【0041】
[比較例4]
実施例3において熱硬化性樹脂(A−1)を熱硬化性樹脂(B−2)に変更した他は同様にして、熱伝導率測定用試験片及び曲げ強度測定用試験片を作成した。測定結果を表1に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
表1より、本発明の成形品である実施例1〜5は、熱伝導率がすべて2.5W/m・Kを超えかつ、曲げ強度が80MPa以上であった。
また、実施例3、実施例4及び5において、ポリベンゾオキサジン樹脂の合成に使用されるヒドロキシフェニル基を二つ有するフェノール類の60モル%が4,4’−ビフェノールである実施例4が、熱伝導率が高く、曲げ強度が大きい。
さらに、実施例1〜3において、絶縁性を有する熱導電性フィラーとしてアルミナ化合物、酸化マグネシウム及び窒化ホウ素を含む実施例3が、熱伝導率が高く、曲げ強度が大きい。
一方、比較例1〜4において、熱伝導率、曲げ強度共に良好な結果が得られたものはなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシフェニル基を二つ有するフェノール類と、ジアミン類と、アルデヒド類とを原料として用いて製造した、下記式(1)で示される、ベンゾオキサジン環構造を主鎖中に有するポリベンゾオキサジン樹脂(式(1)において、Arは芳香族基を示し、Rは有機基を示し、nは2以上の整数を示す。)と、絶縁性を有する熱伝導性フィラーを、質量比5/95〜50/50の範囲で含有する成形材料を加熱硬化することを特徴とする成形品。
【化1】

【請求項2】
上記ヒドロキシフェニル基を二つ有するフェノール類の50モル%以上が、4,4’−ビフェノールであることを特徴とする請求項1記載の成形品。
【請求項3】
上記絶縁性を有する熱伝導性フィラーがアルミナ化合物、酸化マグネシウム、及び窒化ホウ素を含有することを特徴とする請求項1または2記載の成形品。
【請求項4】
上記アルミナ化合物が、球状であることを特徴とする請求項3記載の成形品。

【公開番号】特開2012−21084(P2012−21084A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160311(P2010−160311)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(000165000)群栄化学工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】