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熱硬化性樹脂組成物、その製造方法およびその硬化物
説明

熱硬化性樹脂組成物、その製造方法およびその硬化物

【課題】本発明は、改善された機械的特性、特に靱性が改善されたベンゾオキサジン化合物に基づく熱硬化性樹脂組成物提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも1種のラジカル重合可能なモノマーを含むモノマー成分(a1)をラジカル重合した成分(a2)、ベンゾオキサジン化合物と共に、またはその存在下で硬化可能な共硬化性樹脂成分(b)、およびベンゾオキサジン成分(c)を含有する硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンゾオキサジンを含有する熱硬化性樹脂組成物に関し、詳しくは改良された靱性を有するベンゾオキサジン系熱硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ベンゾオキサジン化合物は、揮発成分をほとんど発生せずに熱硬化し、一般に、良好な電気的特性(たとえば、誘電率)、優れた耐熱性(高いガラス転移温度)、低い可燃性を有する。このため、繊維強化複合材料におけるマトリックス材、接着剤、封止剤等として航空宇宙産業や電子部品用途で有用である。
【0003】
ベンゾオキサジン化合物とその他の樹脂とのブレンドは公知であり、例えば、エポキシ樹脂とベンゾオキサジンのブレンド、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン及びフェノール樹脂の3元系ブレンド等が知られている{特許文献1(特開平9−59333)の特許請求の範囲;特許文献2(特表2007−524728)および特許文献3(特表2009−518465)の背景技術参照}。
【0004】
さらに、特許文献2および3には、ベンゾオキサジンと、例えばアクリロニトリル−ブタジエンコポリマーのような強化材とを含む組成物が開示されており、靱性の改善が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−59333号公報
【特許文献2】特表2007−524728号公報(WO2005/000955)
【特許文献3】特表2009−518465号公報(WO2007/064801)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、省エネルギー化、低燃費実現のために、飛行機、自動車等の構造材料として、例えば炭素繊維強化樹脂が活用されつつある。信頼性向上のためにはマトリックス樹脂の高強度化および強靱化が必要である。そこで、構造材料としての信頼性を向上させるためには、より一層の機械的特性の向上、特に、ガラス転移温度を大きく損なうことなく靱性を向上させたベンゾオキサジン化合物に基づく熱硬化性樹脂組成物が求められている。即ち、本発明は、改善された機械的特性、特に靱性が改善されたベンゾオキサジン化合物に基づく熱硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の事項に関する。
【0008】
1. 少なくとも1種のラジカル重合可能なモノマーを含むモノマー成分(a1)をラジカル重合した成分(a2)、
ベンゾオキサジン化合物と共に、またはその存在下で硬化可能な共硬化性樹脂成分(b)、および
ベンゾオキサジン成分(c)
を含有する硬化性樹脂組成物。
【0009】
2. 前記ラジカル重合した成分(a2)は、ホモポリマーまたは、ブロックコポリマーでないコポリマーを含むことを特徴とする上記1記載の組成物。
【0010】
3. 前記ラジカル重合した成分(a2)は、モノマー成分(a1)を前記共硬化性樹脂成分(b)との混合物中で、ラジカル重合して得られることを特徴とする上記1または2記載の組成物。
【0011】
4. 前記共硬化性樹脂成分(b)が、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂及びユリア樹脂からなる群より選ばれる樹脂を含有することを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の組成物。
【0012】
5. 前記モノマー成分(a1)が、スチレン系モノマー、マレイミド系モノマー、(メタ)アクリレート、共役ジエン、およびこれらの少なくとも2種以上の混合物からなる群より選ばれるモノマーを含有することを特徴とする上記1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【0013】
6. 前記モノマー成分(a1)が、分子内に、ラジカル重合可能な官能基と共に、ラジカル重合に関与しない第2の官能基を有するモノマーを含有することを特徴とする上記1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【0014】
7. 前記第2の官能基が、ポリオキシアルキレン基、エポキシ基、カルボキシル基、シアネート基、ヒドロキシル基およびフェノール基からなる群より選ばれることを特徴とする上記6記載の組成物。
【0015】
8. 前記ベンゾオキサジン化合物(c)が、
【0016】
【化1】

(式中、oは、1から4であり、Xは、直接結合(oが2のとき)、アルキル(oが1のとき)、アルキレン(oが2から4のとき)、カルボニル(oが2のとき)、チオール(oが1のとき)、チオエーテル(oが2のとき)、スルホキシド(oが2のとき)、及びスルホン(oが2のとき)からなる群より選択され、Rは、水素、アルキル、及びアリールからなる群より選択され、及びRは、水素、ハロゲン、アルキル、及びアルケニルから選択される)、
または
【0017】
【化2】

(式中、pは、2であり、Yは、ビフェニル(pが2のとき)、ジフェニルメタン(pが2のとき)、ジフェニルイソプロパン(pが2のとき)、ジフェニルスルフィド(pが2のとき)、ジフェニルスルホキシド(pが2のとき)、ジフェニルスルホン(pが2のとき)、及びジフェニルケトン(pが2のとき)からなる群より選択され、及びRは、水素、ハロゲン、アルキル及びアルケニルからなる群より選択される)
の1種以上を含むことを特徴とする上記1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【0018】
9. 少なくとも1種のラジカル重合可能なモノマーを含むモノマー成分(a1)と、ベンゾオキサジン化合物と共に、またはその存在下で硬化可能な共硬化性樹脂成分(b)とを混合し、ラジカル重合する工程、および
ラジカル重合後の混合物と、ベンゾオキサジン成分(c)を混合する工程
を有することを特徴とする、硬化性樹脂組成物の製造方法。
【0019】
10. 前記共硬化性樹脂成分(b)が、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂及びユリア樹脂からなる群より選ばれる樹脂を含有することを特徴とする上記9記載の方法。
【0020】
11. 前記モノマー成分(a1)が、スチレン系モノマー、マレイミド系モノマー、(メタ)アクリレート、共役ジエン、およびこれらの少なくとも2種以上の混合物からなる群より選ばれるモノマーを含有することを特徴とする上記9または10に記載の方法。
【0021】
12. 前記モノマー成分(a1)が、分子内に、ラジカル重合可能な官能基と共に、ラジカル重合に関与しない第2の官能基を有するモノマーを含有することを特徴とする上記9〜11のいずれか1項に記載の方法。
【0022】
13. 前記第2の官能基が、ポリオキシアルキレン基、エポキシ基および、カルボキシル基、シアネート基、ヒドロキシル基およびフェノール基からなる群より選ばれることを特徴とする上記12記載の方法。
【0023】
14. 前記ベンゾオキサジン化合物(c)が、
【0024】
【化3】

(式中、oは、1から4であり、Xは、直接結合(oが2のとき)、アルキル(oが1のとき)、アルキレン(oが2から4のとき)、カルボニル(oが2のとき)、チオール(oが1のとき)、チオエーテル(oが2のとき)、スルホキシド(oが2のとき)、及びスルホン(oが2のとき)からなる群より選択され、Rは、水素、アルキル、及びアリールからなる群より選択され、及びRは、水素、ハロゲン、アルキル、及びアルケニルから選択される)、
または
【0025】
【化4】

(式中、pは、2であり、Yは、ビフェニル(pが2のとき)、ジフェニルメタン(pが2のとき)、ジフェニルイソプロパン(pが2のとき)、ジフェニルスルフィド(pが2のとき)、ジフェニルスルホキシド(pが2のとき)、ジフェニルスルホン(pが2のとき)、及びジフェニルケトン(pが2のとき)からなる群より選択され、及びRは、水素、ハロゲン、アルキル及びアルケニルからなる群より選択される)
の1種以上を含むことを特徴とする上記9〜13のいずれか1項に記載の方法。
【0026】
15. 上記1〜8の組成物、または上記9〜14の製造方法で製造された組成物を硬化させた硬化物。
【0027】
16. 上記1〜8の組成物、または上記9〜14の製造方法で製造された組成物を、加熱硬化する工程を有することを特徴とする、硬化物の製造方法。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、機械的特性の向上、特に、ガラス転移温度を大きく損なうことなく靱性を向上させたベンゾオキサジン化合物に基づく熱硬化性樹脂組成物が得られる。従って、飛行機や自動車の構造材料として適しており、また、電子部品の封止材としても有用である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の硬化性樹脂組成物は、前述のとおり、ラジカル重合した成分(a2)、共硬化性樹脂成分(b)、およびベンゾオキサジン成分(c)を含有する。
【0030】
ラジカル重合した成分(a2)は、少なくとも1種のラジカル重合可能なモノマーを含むモノマー成分(a1)を重合して得られる成分である。ラジカル重合した成分(a2)は、硬化物中で靱性の向上に寄与する改質剤として機能すると考えられるが、そのためには、硬化性樹脂組成物中に、均一に存在していること、特にポリマー鎖ができるだけ広がった状態で硬化前の組成物中に存在していることが好ましいと考えられる。
【0031】
ポリマーの望ましい存在状態をもたらす方法としては、硬化性樹脂組成物の他の成分の存在下で、モノマー成分(a1)の重合を行う方法が好ましい。特に、本発明の製造方法で規定されるように、好ましくは、少なくとも1種のラジカル重合可能なモノマーを含むモノマー成分(a1)と、共硬化性樹脂成分(b)とを混合し、ラジカル重合を行う第1の工程、およびラジカル重合後の混合物と、ベンゾオキサジン成分(c)を混合する第2の工程を有する製造方法により硬化性樹脂組成物が製造されることが好ましい。以下、好ましい製造方法と共に本発明の硬化性樹脂組成物を説明する。
【0032】
第1の工程で使用されるモノマー成分(a1)は、少なくとも1種のラジカル重合可能なモノマーを含む。ラジカル重合可能なモノマーは、第1の工程のラジカル重合条件下において、ラジカル連鎖重合を行う官能基(ここで、官能基には原子団も含まれる)を1つ、好ましくは1つのみ有する。より詳細には、第1の工程のラジカル重合条件下において、架橋構造を生成しないか、またはほとんど生成しないモノマーである。通常、ラジカル重合可能な官能基、例えば炭素炭素二重結合を、分子内に1つのみ有するモノマーが好ましいが、ラジカル重合可能な官能基が2つあっても、1つのみが重合反応に関与すことが可能であったり、また例えば共役ジエンの1,4付加重合のように2つ以上の官能基がラジカル連鎖重合を行う1つの原子団として機能するモノマーも使用することができる。
【0033】
本発明に使用可能なラジカル重合可能なモノマーとしては以下のモノマー、即ち、
スチレン系モノマー、例えばスチレン;α−メチルスチレン等のα−アルキルスチレン(アルキルの炭素数は、好ましくは1〜4である);クロロスチレンおよびビニルトルエン等のハロゲン置換、アルキル置換、アルコキシ置換またはオキサアルキル置換スチレン(アルキル、アルコキシおよびオキサルキルの炭素数は、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜4である);ビニルベンジル−ω−メチルポリオキシエチレンオキサイド等のスチレン−ポリオキシアルキレン付加体;ヒドロキシスチレン等のヒドロキシル基置換スチレン;その他、ラジカル反応に関与しない基で置換されたスチレン誘導体等;
【0034】
マレイミド系モノマー、例えばマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド基を1つ有するマレイミド(好ましくは、フェニルマレイミド等の芳香環を有するマレイミド)、及びこれらの誘導体等;
【0035】
(メタ)アクリルモノマー、特に(メタ)アクリレート、例えば(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、γ−(メタアクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸−エチレンオキシド付加体、トリフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2−トリフルオロメチルエチル(メタ)アクリレート、2−ペルフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2−ペルフルオロエチル−2−ペルフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−ペルフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペルフルオロメチル(メタ)アクリレート、ジペルフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2−ペルフルオロメチル−2−ペルフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、2−ペルフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2−ペルフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、2−ペルフルオロヘキサデシルエチル(メタ)アクリレート等;
【0036】
フッ素含有ビニルモノマー、例えばペルフルオロエチレン、ペルフルオロプロピレン、ビニリデンフルオリド等;
ケイ素含有ビニルモノマー、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等;
無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル;
フマル酸、ならびにフマル酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル;
ニトリル含有ビニルモノマー、例えばアクリロニトリル、メタアクリロニトリル等;
アミド含有ビニルモノマー、例えばアクリルアミド、メタアクリルアミド等;
ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル、ケイ皮酸ビニル等;
アルケン、例えばエチレン、プロピレン等;
共役ジエン、例えばブタジエン、イソプレン等;
塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリルおよびアリルアルコール
等を挙げることができる。
【0037】
これらのモノマーはそれぞれ単独で用いても、その複数のモノマーを共重合させることもできる。本発明の組成物に係わる態様の1実施形態において、ラジカル重合した成分(a2)は、好ましくは、ホモポリマーまたは、ブロックコポリマーでないコポリマーを含み、特に好ましくはラジカル重合した成分(a2)が、実質的にホモポリマーまたは、ブロックコポリマーでないコポリマーからなる。本発明の組成物に係わる態様の異なる1実施形態において、ラジカル重合した成分(a2)が、モノマー成分(a1)を共硬化性樹脂成分(b)との混合物中で、ラジカル重合して得られるならば、どのような形態のポリマーが生成されてもよく、ホモポリマー、ブロックコポリマーでないコポリマー、またはブロックポリマーを含むことができる。好ましくはホモポリマーまたは、ブロックコポリマーでないコポリマーである。ここで、「ブロックコポリマーでないコポリマー」とは、ランダムコポリマー、交互共重合体、その他複数の種類のモノマーを同時に重合した場合に得られる全てのコポリマーを含む。
【0038】
尚、上記および下記において、「(メタ)アクリル」および「(メタ)アクリレート」等の記載は、慣用されるように「メタクリルまたはアクリル」および「メタクリレートまたはアクリレート」等を意味する。
【0039】
これらの中でも、特に耐熱性に優れるポリマーを与えるモノマーが好ましく、例えばスチレンモノマー、マレイミドモノマー、(メタ)アクリルモノマー、ニトリル含有ビニルモノマー、アミド含有ビニルモノマー等およびこれらの混合物が好ましく、特には芳香族環を分子内に有するモノマーおよびそれを含む混合物が好ましい。好ましい具体的な化合物として、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、フェニルマレイミド、ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルメタクリレート、フェニルアクリレートおよびこれらの混合物が好ましい。
【0040】
好ましい1実施形態では、スチレンモノマーとマレイミドモノマーの混合物が使用される。スチレンモノマーとマレイミドモノマーの混合物の混合割合は、モル比で例えば、1:0.1〜1:10の範囲、好ましくは1:0.1〜1:2の範囲である。特に、交互共重合体を与えるモル比1:1は好ましい。
【0041】
本発明の1態様において、モノマー成分(a1)は、ラジカル重合可能な官能基に加えて、第1の工程でラジカル重合に関与しない第2の官能基を有するモノマーを含有することも好ましい(そのようなモノマーの一部は上で例示済みである)。第2の官能基は、共硬化性樹脂成分(b)に対して親和性の高い基または部分構造であるか、および/または組成物の硬化反応時に反応可能な基が好ましい。
【0042】
本発明において、モノマー成分(a1)が、ラジカル重合可能な官能基と第1の工程でラジカル重合に関与しない第2の官能基を有するモノマー(以下、簡単のために「第2の官能基を有するモノマー」という)を含有することは必須ではない。モノマー成分(a1)が第2の官能基を有するモノマーを含有しない場合でも、従来に比べて、優れた特性を有する硬化物を得ることができるが、第2の官能基を有するモノマーを含有することでさらに改善された物性を有する硬化物を得ることができる。
【0043】
第2の官能基を有するモノマーは、後述する共硬化性樹脂成分(b)の選択によっても適宜選ぶことができるが、第2の官能基として例えばエポキシ基、ポリオキシアルキレン基、シアネート基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、フェノール基、アミノ基、イミノ基等を有するモノマー、好ましくは、エポキシ基、ポリオキシアルキレン基、シアネート基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、およびフェノール基を有するモノマーを挙げることができる。具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸−エチレンオキシド付加体、ビニルベンジル−ω−メチルポリオキシエチレンオキサイド、グリシジルオキシフェニルマレイミド、ヒドロキシフェニルマレイミド、等が挙げられる。代表的な構造を以下に示す。
【0044】
【化5】

上記式中、nは1〜100程度、好ましく2〜50程度の数である。
【0045】
第2の官能基を有するモノマーは、モノマー成分(a1)の100%を構成してもよいが、通常は、モノマー成分(a1)の70重量%以下、好ましくは50重量%以下、ある特定の形態では30重量%以下の量で含有される。モノマー成分(a1)中の第2の官能基を有するモノマーの含有量は、前述のとおり0%であってもよいが、添加する場合には、例えば0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1.0重量%以上である。
【0046】
第2の官能基を有するモノマー以外のモノマーとしては、好ましくは前述の使用可能なラジカル重合可能なモノマーから選ばれる。
【0047】
次に、共硬化性樹脂成分(b)は、ベンゾオキサジン化合物と反応して共硬化可能であるか、ベンゾオキサジン化合物との間で反応はしなくても、相溶した状態で別々に硬化する樹脂が使用される。共硬化性樹脂成分(b)は、第1の工程においてラジカル重合反応に実質的に関与せず、従って、第1の工程では硬化しない。また、共硬化性樹脂成分(b)としては、第1の工程におけるラジカル重合を阻害しない樹脂が好ましい。
【0048】
共硬化性樹脂成分(b)としては、例えば、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン等が挙げられる。これらの中でも、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂及びユリア樹脂が好ましい。これらの熱硬化性樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0049】
エポキシ樹脂としては、芳香環を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、その他種々のエポキシ樹脂を使用することができる。エポキシ樹脂は、1種類を使用してもよく、また2種類以上を使用してもよい。また、エポキシ樹脂は、少なくとも1つの芳香環を有するのが、硬化物の機械的強度および耐熱性に優れる点から好ましい。
【0050】
芳香環を有するエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂およびビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂およびクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン(株)製商品名YX4000といったビフェニル型エポキシ樹脂;ナフタレンやアントラセン、ターフェニルのような多環芳香族基を基本骨格に有するエポキシ樹脂;その他にテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)トリグリシジルパラアミノフェノール、トリグリシジルメタアミノフェノール等を挙げることができる。芳香環を有するエポキシ樹脂は、通常分子内に1個以上、好ましくは2個以上のエポキシ基を有し、エポキシ当量は、適宜選ぶことができる。
【0051】
脂環式エポキシ樹脂としては、分子内にシクロヘキセンオキサイド構造およびシクロペンテンオキサイド構造のような環ひずみのあるエポキシ基を有するものを挙げることができる。特にこのようなエポキシ基を1分子内に2個以上有するものが好ましい。脂環式エポキシ樹脂の代表的な例として、次の式(1)〜(5)で示される化合物を挙げることができる。脂環式エポキシ樹脂は、それのみで使用しても、また他のエポキシ樹脂、特に芳香環を有するエポキシ樹脂と併用することも好ましい。
【0052】
【化6】

【0053】
さらに本発明においては、エポキシ樹脂として、水素化ビスフェノール型エポキシ樹脂およびジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂からなる群より選ばれるエポキシ樹脂の少なくとも1種を使用してもよい。これらのエポキシ樹脂は、それのみで使用しても、また他のエポキシ樹脂、特に芳香環を有するエポキシ樹脂と併用することも好ましい。
【0054】
水素化ビスフェノール樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂およびビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂のベンゼン環が水素化されたものであり、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂は次の構造を有する。
【0055】
【化7】

【0056】
これは、通常nが異なる化合物の混合物として得られ、平均のnは0〜5程度、0〜2程度、特に0〜1の間である。
【0057】
また、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂は、次式:
【0058】
【化8】

【0059】
で表され、通常nが異なる化合物の混合物として得られ、平均のnは0〜5程度、0〜2程度、特に0〜1の間である。
【0060】
シアネート樹脂としては、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等があげられる。
【0061】
また、フェノール樹脂として、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂が挙げられる。メラミン樹脂としては、通常メチロールメラミンが用いられる。
【0062】
また、モノマー成分(a1)をラジカル重合するために、通常は、ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。ラジカル重合開始剤として、熱ラジカル発生剤、光開始剤、レドックス型開始剤等の種々のラジカル開始剤を使用することができるが、熱ラジカル発生剤を使用することが簡便で好ましい。具体的には、過酸化ベンゾイル、ジクミルパーオキサイドのような有機過酸化物、および2,2’−アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ化合物が好ましい。添加されるラジカル重合開始剤の量は、適宜設定することができ、例えば、モノマー成分(a1)100重量部に対して、0.01〜10重量部の範囲で使用する。
【0063】
モノマー成分(a1)、共硬化性樹脂成分(b)および必要によりラジカル重合開始剤を混合し、混合物をラジカル重合開始剤がラジカルを発生する条件に曝すことでラジカル重合を開始する。ラジカル重合開始剤が過酸化物またはアゾ化合物の場合、ラジカル開始剤の分解温度(即ち、ラジカル発生温度)以上に加熱することで、ラジカル重合を開始する。共硬化性樹脂成分(b)は、ラジカル重合することなく、モノマー成分(a1)のみが重合し、モノマー成分(a1)が重合した成分(a2)と共硬化性樹脂成分(b)の混合物が得られる。モノマー成分(a1)を別途重合して、共硬化性樹脂成分(b)と混合した場合と比べて、本発明の第1の工程で得られた混合物では、ポリマーがはるかに均一に分散している。
【0064】
第1の工程におけるラジカル重合可能なモノマー成分(a1)と共硬化性樹脂成分(b)の割合は、共硬化性樹脂成分(b)100重量部に対して、モノマー成分(a1)10〜100重量部、好ましくは20〜60重量部である。
【0065】
次に、硬化性樹脂組成物の製造方法における第2の工程において、ラジカル重合した成分(a2)と共硬化性樹脂成分(b)との混合物と、ベンゾオキサジン成分(c)を混合して、本発明の硬化性樹脂組成物を得る。混合の方法は特に限定されず、一般に硬化開始温度以下の温度範囲内で加温し、流動性を向上させて、必要により撹拌すればよい。また、このとき第1の工程で使用した共硬化性樹脂成分(b)と同一または異なる共硬化性樹脂成分を配合することもできる。
【0066】
各成分の混合割合ついては、ベンゾオキサジン成分(c)100重量部に対して、共硬化性樹脂成分(b)は0.1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは5〜50重量部である。共硬化性樹脂成分(b)がエポキシ樹脂のときはベンゾオキサジン基に対するエポキシ基当量比で約0.05〜約0.7、好ましくは約0.1〜約0.5としてもよい。
【0067】
ラジカル重合した成分(a2)の量{即ち、ラジカル可能なモノマー成分(a1)の量}は、ベンゾオキサジン成分(c)と共硬化性樹脂成分(b)との合計量100重量部(その他の共硬化性樹脂成分を含むときはその量も含む)に対して、0.1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは5〜50重量部である。
【0068】
ベンゾオキサジン成分(c)に含有されるベンゾオキサジン化合物の例は、下記の構造:
【0069】
【化9】

(式中、oは、1から4、Xは、直接結合(oが2のとき)、アルキル(oが1のとき)、アルキレン(oが2から4のとき)、カルボニル(oが2のとき)、チオール(oが1のとき)、チオエーテル(oが2のとき)、スルホキシド(oが2のとき)、及びスルホン(oが2のとき)から選択され、Rは、水素、アルキル、アルケニル及びアリールから選択され、及びRは、水素、ハロゲン、アルキル及びアルケニルから選択される)
が挙げられる。
【0070】
より具体的には、構造Iでベンゾオキサジンは下記の構造:
【0071】
【化10】

(式中、Xは、直接結合、CH、C(CH、C=O、S、S=O及びO=S=Oから選択され、R及びRは、同じであっても又は異なっていてもよく、かつ、水素、例えば、メチル、エチル、プロピル及びブチルのようなアルキル、例えば、アリル、及びアリールのようなアルケニルから選択され、及びRは、同じであっても又は異なっていてもよく、かつ、水素又は、例えば、アリルのようなアルケニルから選択される)
が挙げられる。
【0072】
構造IIの代表的なベンゾオキサジンとしては、
【0073】
【化11】

(式中、R、R及びRは、上記で定義されているとおりである)が挙げられる。
【0074】
あるいは、ベンゾオキサジン成分(c)に含有されるベンゾオキサジン化合物の例として、下記の構造:
【0075】
【化12】

(式中、pは、2であり、Yは、ビフェニル(pが2のとき)、ジフェニルメタン(pが2のとき)、ジフェニルイソプロパン(pが2のとき)、ジフェニルスルフィド(pが2のとき)、ジフェニルスルホキシド(pが2のとき)、ジフェニルスルホン(pが2のとき)、及びジフェニルケトン(pが2のとき)から選択され、及びRは、水素、ハロゲン、アルキル及びアルケニルから選択される)
が挙げられる。
【0076】
構造I又はVIIに包含されないが、追加のベンゾオキサジンとしては、下記の構造:
【0077】
【化13】

【0078】
【化14】

(式中、R、R及びRは、上記で定義されているとおりであり、及びRは、R、R又はRと同じ定義である)が挙げられる。
【0079】
これらのベンゾオキサジンの具体例としては:
【0080】
【化15】

【0081】
【化16】

【0082】
【化17】

が挙げられる。
【0083】
ベンゾオキサジン成分としては、多官能ベンゾオキサジンと単官能ベンゾオキサジンの組合せを挙げることができ、又は1種以上の多官能ベンゾオキサジンもしくは1種以上の単官能ベンゾオキサジンの組合せを挙げることができる。通常は多官能ベンゾオキサジンを含むことが好ましい。
【0084】
単官能ベンゾオキサジンの例として、下記の構造:
【0085】
【化18】

(式中、Rは、1か所、数ヶ所、又はすべての置換可能なサイトで置換されていても、又は置換されていなくてもよく、例えば、メチル、エチル、プロピル及びブチルのようなアルキル、又はアリールであり、及びRは、水素、ハロゲン、アルキル及びアルケニルから選択される)
の化合物が挙げられる。
【0086】
例えば、単官能ベンゾオキサジンは、構造:
【0087】
【化19】

(式中、Rは、アルキル、アルケニル(これらの各々は、任意に1種又はこれ以上のO、N、S、C=O、COO、及びNHC=Oによって置換もしくは骨格とRとの間に割込まれている)、及びアリールから選択され;mは0から4であり;及びRからRは、独立して、水素、アルキル、アルケニル(これらの各々は、任意に1種又はこれ以上のO、N、S、C=O、COO、及びNHC=Oによって置換もしくは骨格とRからRの各々の間に割込まれている)、及びアリールから選択される)
を有するものが挙げられる。
【0088】
このような単官能ベンゾオキサジンの具体例は:
【0089】
【化20】

(式中、Rは、上記で定義されているとおりである);又は
【0090】
【化21】

である。
【0091】
本発明の硬化性樹脂組成物は、必要によりベンゾオキサジン化合物の硬化促進剤および/または共硬化性樹脂成分のための硬化剤または硬化促進剤を含有することができる。
【0092】
本発明の硬化性樹脂組成物は、一般に、80〜250℃の範囲、例えば100〜220℃の範囲で、例えば約30分〜約24時間加熱することで硬化する。また所望であれば、例えば、硬化工程を中断することや、硬化性組成物を低い温度で部分的に硬化させるなどにより、2段階で硬化を実施することができる。これにより得られる部分的に硬化したものは、B−ステージ樹脂と称され、例えばプリプレグ用途に適している。
【0093】
さらに、硬化性樹脂組成物は、必要により本発明の目的を損なわない範囲で、例えば可塑剤、増量剤、充填材及び増強剤(例えば、ガラス繊維、アスベスト繊維、ボロン繊維、炭素繊維、鉱物ケイ酸塩、雲母、粉末石英、水和酸化アルミニウム、ベントナイト、珪灰石、カオリン、シリカ、アエロジル又は金属粉末)、顔料及び色素(例えば、カーボンブラック、酸化物染料及び二酸化チタン)、難燃剤、チクソ剤、流動制御剤、離型剤、接着促進剤、抗酸化剤及び光安定剤等の用途に適合した種々の添加剤を含有することができる。
【0094】
本発明の硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合した成分(a2)、共硬化性樹脂成分(b)およびベンゾオキサジン成分(c)が混合された状態で製品として市場に流通させることができるが、ラジカル重合した成分(a2)と共硬化性樹脂成分(b)とを含むAパートとベンゾオキサジン成分(c)を含むBパートの2パート型のセットの製品として市場に流通させることもできる。
【0095】
本発明の硬化性樹脂組成物は、プリプレグまたはトウプレグ用のマトリックス樹脂として有用である。プリプレグまたはトウプレグ用の繊維としては、炭素、ガラス、アラミド、ボロン、ポリアルキレン、石英、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリp−フェニレンベンゾビスオキサゾール、シリコンカーバイド、フェノールホルムアルデヒド、フタル酸及びナフテノエートから選択することができる。これらの繊維は、一方向繊維、織物繊維、短繊維、不織布繊維又は長い不連続繊維等のいずれでもよい。
【0096】
本発明の組成物(およびこれらから製造されるプリプレグ及びトウプレグ)は、特に、航空宇宙産業及び産業最終用途のための複合部品の製造及び組立、複合体部品と金属部品の結合、サンドイッチ構造のためのコア及びコア充填材、及び複合体の表面仕上げに有用である。
【0097】
本発明の組成物は、接着剤の形態であってもよく、この場合、1種又はこれ以上の接着促進剤、難燃剤、充填材(例えば、上記の無機充填材、又は異なった充填材)、熱可塑性添加物、反応性又は非反応性希釈剤、及びチクソ剤を含んでいてもよい。さらに、接着剤の形態である本発明の組成物をフィルム状にすることができ、この場合、支持体としては、ナイロン、ガラス、炭素、ポリエステル、ポリアルキレン、石英、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリp−フェニレンベンゾビスオキサゾール、シリコンカーバイド、フェノールホルムアルデヒド、フタレート及びナフテノエートから構成されたものが挙げられる。
【0098】
本発明の組成物は、当該技術分野において公知である任意の技術、例えば、機械的塗布方法、例えば、コーキング銃を用いてロボットから基体上にビーズ形態で塗布したり、又はポンプ、制御システム、噴射銃組立品、遠隔噴射デバイス又は塗布銃を用いたスワール状塗布技術を使って、又は流動方法を使って任意の他の手動塗布手段で塗布することができ、この場合、ビーズは、ノズルから基体まで約3から約10mmの距離を置いて噴霧され、圧力は約50から約300bar、速度は約200から約500mm/s、塗布温度は約20℃から約65℃及びノズルの直径は約0.5から約1.5mmである。
【実施例】
【0099】
以下に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0100】
<硬化物の評価方法>
・曲げ強度および曲げ弾性率
2mm×10mm×41.5mmのサンプルを、島津製作所社製オートグラフAGS-500Bを使用して、支点間20mm、曲げ速度2mm/分の条件で、3点曲げ試験により行った。
【0101】
・破壊靱性値(K1c
7mm×14mm×83mmのサンプルを、島津製作所社製オートグラフAGS−500B を使用して、ASTM E399に準じて測定した。
【0102】
・Tg
動的粘弾性測定(DMA)装置SIIナノテクノロジー社製DMS−6100を用いて、昇温速度5℃/min、周波数1Hzの条件で測定した。
【0103】
<実施例1>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DGEBA:ビスフェノールAジグリシジルエーテル)26重量部に、N−フェニルマレイミド(PMI)8.7重量部、スチレン(St)5.3重量部、ジクミルパーオキサイド0.55重量部を添加し、50℃〜80℃程度で溶融混合した後、昇温して120℃にて1時間、次いで150℃にて3時間加熱した。尚、この反応の間、120℃1時間後、150℃1時間後、150℃2時間および150℃3時間後に反応物を抜き出し、GPC測定によりN−フェニルマレイミドとスチレンの共重合体の分子量変化を追跡し、ラジカル重合の進行を確認した。また、150℃3時間加熱後でも、反応混合物は流動性があり、ゲル化していなかった。
【0104】
この反応混合物を120℃まで冷却し、ベンゾオキサジン化合物{式XVの化合物:3,3’-(methylene di-4,1-phenylene)bis(3,4-dihydro-2H-1,3-benzoxazine)}100重量部を加えた。混合物を十分に撹拌した後、脱気し、8mm×15mm×84mmの金型に注入した。樹脂が充填された金型を段階的に、120℃にて1時間、150℃にて10時間、180℃にて1時間、最後に200℃にて3時間加熱して、樹脂を硬化させて、硬化物サンプルを得た。組成および物性の評価結果を表1に示す。
【0105】
尚、実施例1の配合は、ベンゾオキサジン化合物に対して、エポキシ樹脂が0.3当量であり、N−フェニルマレイミドとスチレンの混合比がモル比で1:1であり、N−フェニルマレイミドとスチレンの量が、ベンゾオキサジン化合物とエポキシ樹脂の合計重量に対して、10重量%となる量である。
【0106】
<実施例2〜4>
ジクミルパーオキサイドの量を表1に示す量に変更した以外は、実施例1と同様にして硬化物サンプルを得た。
【0107】
<実施例5>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DGEBA:ビスフェノールAジグリシジルエーテル)26重量部に、N−フェニルマレイミド(PMI)8.7重量部、スチレン(St)5.3重量部、ジクミルパーオキサイド0.55重量部を添加し、50℃〜80℃程度で溶融混合した後、昇温して120℃にて1時間、次いで150℃にて3時間加熱した。尚、この反応の間、120℃1時間後、150℃1時間後、150℃2時間および150℃3時間後に反応物を抜き出し、ラジカル重合の進行を確認した。また、150℃3時間加熱後でも、反応混合物は流動性があり、ゲル化していなかった。
【0108】
この反応混合物を120℃まで冷却し、ベンゾオキサジン化合物{式XIVの化合物:2,2’-bis(3,4-dihydro-2H-3-phenyl-1,3-benzoxazinyl)methane100重量部を加えた。混合物を十分に撹拌した後、脱気し、8mm×15mm×84mmの金型に注入した。樹脂が充填された金型を段階的に、120℃にて1時間、150℃にて10時間、180℃にて4時間加熱して、樹脂を硬化させて、硬化物サンプルを得た。組成および物性の評価結果を表1に示す。
【0109】
<比較例1>
ベンゾオキサジン化合物{式XVの化合物:3,3’-(methylene di-4,1-phenylene)bis(3,4-dihydro-2H-1,3-benzoxazine)}を、120℃に脱気し、8mm×15mm×84mmの金型に注入した。樹脂が充填された金型を、120℃にて1時間、150℃にて10時間、180℃にて1時間、最後に200℃にて3時間加熱して、樹脂を硬化させて、硬化物サンプルを得た。物性の評価結果を表1に示す。
【0110】
<比較例2>
ベンゾオキサジン化合物{式XVの化合物:3,3’-(methylene di-4,1-phenylene)bis(3,4-dihydro-2H-1,3-benzoxazine)}100重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DGEBA:ビスフェノールAジグリシジルエーテル)26重量部を、120℃に脱気し、8mm×15mm×84mmの金型に注入した。樹脂が充填された金型を、120℃にて1時間、150℃にて10時間、180℃にて1時間、最後に200℃にて3時間加熱して、樹脂を硬化させて、硬化物サンプルを得た。物性の評価結果を表1に示す。
【0111】
<比較例3>
ベンゾオキサジン化合物{式XIVの化合物:2,2’-bis(3,4-dihydro-2H-3-phenyl-1,3-benzoxazinyl)methane100重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DGEBA:ビスフェノールAジグリシジルエーテル)26重量部を、120℃に脱気し、8mm×15mm×84mmの金型に注入した。樹脂が充填された金型を、120℃にて1時間、150℃にて10時間、180℃にて1時間、最後に200℃にて3時間加熱して、樹脂を硬化させて、硬化物サンプルを得た。物性の評価結果を表1に示す。
【0112】
【表1】

【0113】
表から明らかなように、本発明による組成物の硬化物は、K1cの値が向上しており、靱性が改善している。
【0114】
<実施例6>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DGEBA:ビスフェノールAジグリシジルエーテル)26重量部に、改質剤N−フェニルマレイミド(PMI)とスチレン(St)とビニルベンジルポリエチレンオキサイド(VBPEO2000、オキシエチレンの繰り返し数n=約46)を合計14重量部、改質剤に対してジクミルパーオキサイド2mol%を添加し、50℃〜80℃程度で溶融混合した後、昇温して120℃にて1時間、次いで150℃にて3時間加熱した。反応混合物は流動性があり、ゲル化していなかった。
【0115】
この反応混合物を120℃まで冷却し、ベンゾオキサジン化合物{式XVの化合物:3,3’-(methylene di-4,1-phenylene)bis(3,4-dihydro-2H-1,3-benzoxazine)}100重量部を加えた。その後、実施例1と同様に硬化して、硬化物サンプルを得た。組成および物性の評価結果を表2に示す。
【0116】
<実施例7、8>
N−フェニルマレイミド、スチレンおよびビニルベンジルポリエチレンオキサイドの量を表2に示す量に変更した以外は、実施例6と同様にして硬化物を得た。組成および物性の評価結果を表2に示す。
【0117】
<実施例9>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DGEBA:ビスフェノールAジグリシジルエーテル)26重量部に、改質剤N−フェニルマレイミド(PMI)とスチレン(St)とグリシジルメタクリレート(GMA)を合計14重量部、改質剤に対してジクミルパーオキサイド2mol%を添加し、50℃〜80℃程度で溶融混合した後、昇温して120℃にて1時間、次いで150℃にて3時間加熱した。反応混合物は流動性があり、ゲル化していなかった。
【0118】
この反応混合物を120℃まで冷却し、ベンゾオキサジン化合物{式XVの化合物:3,3’-(methylene di-4,1-phenylene)bis(3,4-dihydro-2H-1,3-benzoxazine)}100重量部を加えた。その後、実施例1と同様に硬化して、硬化物サンプルを得た。組成および物性の評価結果を表2に示す。
【0119】
<実施例10〜12>
N−フェニルマレイミド、スチレンおよびグリシジルメタクリレートの量を表2に示す量に変更した以外は、実施例9と同様にして硬化物を得た。組成および物性の評価結果を表2に示す。
【0120】
【表2】

【0121】
<熱水浸漬試験>
次に、硬化物の耐熱耐湿を評価するために、熱水浸漬試験を行った。試験条件は、95℃の熱水に3日間浸漬し、その後取り出して室温空気中に24時間放置した後、Tgを測定し、試験前のTgを比較した。尚、Tg測定条件は、昇温速度2℃/min、周波数1Hzの条件で測定した。
【0122】
【表3】

【0123】
表3より、本発明の組成物の硬化物は、熱水浸漬後でもTgの低下がなく、耐水性、耐湿性に優れていることが示された。
【0124】
<実施例13>
改質剤としてスチレンとベンジルメタクリレートを10wt%用いた以外は、実施例1と全く同様にしてサンプルを作製した。破壊靭性値K1cは1.09MN/m3/2を示した。曲げ強度は166MPa、弾性率が4.41GPa、伸びが6.8%、Tgが201℃を示した。
【0125】
<実施例14>
改質剤としてベンジルメタクリレートとフェニルマレイミドを10wt%用いた以外は、実施例1と全く同様にしてサンプルを作製した。破壊靭性値K1cは0.91MN/m3/2を示した。曲げ強度は180MPa、弾性率が4.64GPa、伸びが6.8%、Tgが197℃を示した。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明のベンゾオキサジン化合物に基づく熱硬化性樹脂組成物は、機械的特性に優れ、飛行機や自動車の構造材料、および電子部品の封止材として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のラジカル重合可能なモノマーを含むモノマー成分(a1)をラジカル重合した成分(a2)、
ベンゾオキサジン化合物と共に、またはその存在下で硬化可能な共硬化性樹脂成分(b)、および
ベンゾオキサジン成分(c)
を含有する硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記ラジカル重合した成分(a2)は、ホモポリマーまたは、ブロックコポリマーでないコポリマーを含むことを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記ラジカル重合した成分(a2)は、モノマー成分(a1)を前記共硬化性樹脂成分(b)との混合物中で、ラジカル重合して得られることを特徴とする請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
前記共硬化性樹脂成分(b)が、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂及びユリア樹脂からなる群より選ばれる樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記モノマー成分(a1)が、スチレン系モノマー、マレイミド系モノマー、(メタ)アクリレート、共役ジエン、およびこれらの少なくとも2種以上の混合物からなる群より選ばれるモノマーを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記モノマー成分(a1)が、分子内に、ラジカル重合可能な官能基と共に、ラジカル重合に関与しない第2の官能基を有するモノマーを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記第2の官能基が、ポリオキシアルキレン基、エポキシ基、カルボキシル基、シアネート基、ヒドロキシル基およびフェノール基からなる群より選ばれることを特徴とする請求項6記載の組成物。
【請求項8】
前記ベンゾオキサジン化合物(c)が、
【化1】

(式中、oは、1から4であり、Xは、直接結合(oが2のとき)、アルキル(oが1のとき)、アルキレン(oが2から4のとき)、カルボニル(oが2のとき)、チオール(oが1のとき)、チオエーテル(oが2のとき)、スルホキシド(oが2のとき)、及びスルホン(oが2のとき)からなる群より選択され、Rは、水素、アルキル、及びアリールからなる群より選択され、及びRは、水素、ハロゲン、アルキル、及びアルケニルから選択される)、
または
【化2】

(式中、pは、2であり、Yは、ビフェニル(pが2のとき)、ジフェニルメタン(pが2のとき)、ジフェニルイソプロパン(pが2のとき)、ジフェニルスルフィド(pが2のとき)、ジフェニルスルホキシド(pが2のとき)、ジフェニルスルホン(pが2のとき)、及びジフェニルケトン(pが2のとき)からなる群より選択され、及びRは、水素、ハロゲン、アルキル及びアルケニルからなる群より選択される)
の1種以上を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも1種のラジカル重合可能なモノマーを含むモノマー成分(a1)と、ベンゾオキサジン化合物と共に、またはその存在下で硬化可能な共硬化性樹脂成分(b)とを混合し、ラジカル重合する工程、および
ラジカル重合後の混合物と、ベンゾオキサジン成分(c)を混合する工程
を有することを特徴とする、硬化性樹脂組成物の製造方法。
【請求項10】
前記共硬化性樹脂成分(b)が、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂及びユリア樹脂からなる群より選ばれる樹脂を含有することを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記モノマー成分(a1)が、スチレン系モノマー、マレイミド系モノマー、(メタ)アクリレート、共役ジエン、およびこれらの少なくとも2種以上の混合物からなる群より選ばれるモノマーを含有することを特徴とする請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記モノマー成分(a1)が、分子内に、ラジカル重合可能な官能基と共に、ラジカル重合に関与しない第2の官能基を有するモノマーを含有することを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の官能基が、ポリオキシアルキレン基、エポキシ基および、カルボキシル基、シアネート基、ヒドロキシル基およびフェノール基からなる群より選ばれることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記ベンゾオキサジン化合物(c)が、
【化3】

(式中、oは、1から4であり、Xは、直接結合(oが2のとき)、アルキル(oが1のとき)、アルキレン(oが2から4のとき)、カルボニル(oが2のとき)、チオール(oが1のとき)、チオエーテル(oが2のとき)、スルホキシド(oが2のとき)、及びスルホン(oが2のとき)からなる群より選択され、Rは、水素、アルキル、及びアリールからなる群より選択され、及びRは、水素、ハロゲン、アルキル、及びアルケニルから選択される)、
または
【化4】

(式中、pは、2であり、Yは、ビフェニル(pが2のとき)、ジフェニルメタン(pが2のとき)、ジフェニルイソプロパン(pが2のとき)、ジフェニルスルフィド(pが2のとき)、ジフェニルスルホキシド(pが2のとき)、ジフェニルスルホン(pが2のとき)、及びジフェニルケトン(pが2のとき)からなる群より選択され、及びRは、水素、ハロゲン、アルキル及びアルケニルからなる群より選択される)
の1種以上を含むことを特徴とする請求項9〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜8の組成物、または請求項9〜14の製造方法で製造された組成物を硬化させた硬化物。
【請求項16】
請求項1〜8の組成物、または請求項9〜14の製造方法で製造された組成物を、加熱硬化する工程を有することを特徴とする、硬化物の製造方法。

【公開番号】特開2012−82342(P2012−82342A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230750(P2010−230750)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【出願人】(504182255)国立大学法人横浜国立大学 (429)
【Fターム(参考)】