説明

熱硬化性樹脂組成物、カラーフィルタの保護膜の製造方法およびカラーフィルタの保護膜

【課題】表面硬度が高く、透明性、耐熱性、密着性などの各種の耐性に優れたカラーフィルタ用保護膜を製造するために好適に用いられる熱硬化性組成物を提供すること。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、カラーフィルタの保護膜を製造するために好適に使用することができる。
【解決手段】熱硬化性樹脂組成物は、〔A〕オキシラニル基またはオキセタニル基を有する重合性不飽和化合物に由来する繰り返し単位を有する重合体、および〔B〕特定の構造を有するカリックスアレーン系化合物を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂組成物、その組成物を用いたカラーフィルタの保護膜の形成方法およびカラーフィルタの保護膜に関する。さらに詳しくは、液晶表示素子(LCD)用カラーフィルタおよび電荷結合素子(CCD)用カラーフィルタに用いられる保護膜を形成するための材料として好適な組成物、その組成物を使用した保護膜の形成方法、ならびにその組成物から形成された保護膜に関する。
【背景技術】
【0002】
LCDやCCDなどの放射線デバイスは、その製造工程中に、溶剤、酸またはアルカリ溶液などによる表示素子の浸漬処理が行なわれ、また、スパッタリングにより配線電極層を形成する際には、素子表面が局部的に高温に曝される。従って、このような処理によって素子が劣化あるいは損傷することを防止するために、これらの処理に対して耐性を有する薄膜からなる保護膜を素子の表面に設けることが行なわれている。
このような保護膜は、当該保護膜を形成すべき基体または下層、さらに保護膜上に形成される層に対して密着性が高いものであること、膜自体が平滑で強靭であること、透明性を有するものであること、耐熱性および耐光性が高く、長期間にわたって着色、黄変、白化などの変質を起こさないものであること、耐水性、耐溶剤性、耐酸性および耐アルカリ性に優れたものであることなどの性能が要求される。これらの諸特性を満たす保護膜を形成するための材料としては、例えばグリシジル基を有する重合体を含む熱硬化性組成物が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平5−78453号公報
【特許文献2】特開2001−91732号公報
【0004】
また、近年ではスパッタリングによりカラーフィルタの保護膜上に配線電極(インジウムチンオキサイド:ITO、あるいはインジウム亜鉛オキサイド:IZO)を成膜し、強酸や強アルカリ等でITOまたはIZOをパターニングする方式も採られている。このため、カラーフィルタ保護膜はスパッタリング時に表面が局部的に高温に曝されたり、数々の薬品処理がなされる。したがって、これらの高温処理に耐えること、および薬品処理時にITOまたはIZOが保護膜上から剥がれないように配線電極との密着性も要求されている。
【0005】
さらに、モバイル用端末の普及によりタッチパネル用ディスプレイの需要が急増している。タッチパネル用ディスプレイ用の場合、通常のディスプレイに比較してパネル表面の強度が必要であるため、保護膜の表面硬度のさらなる強化が望まれている。
【0006】
本発明者らは、鋭意検討の結果、熱硬化性組成物中に特定の構造を有するカリックスアレーン系化合物を含有せしめることによって、上記課題を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、表面硬度が高く、透明性、耐熱性、密着性などの各種の耐性に優れたカラーフィルタ用保護膜を形成するために好適に用いられる熱硬化性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、本発明の上記課題および利点は、第一に、
〔A〕オキシラニル基またはオキセタニル基を有する重合性不飽和化合物に由来する繰り返し単位を有する重合体および〔B〕下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物によって達成される。
【0009】
【化1】

(一般式(1)において、Rは相互に独立に水素原子、炭素数1〜15のアルキル基、重合性官能基を有する基、炭素数1〜6のアルコキシ基を有する基またはカルボキシル基を有する基である。但し、Rはその少なくとも一つが炭素数1〜15のアルキル基、重合性官能基を有する基、炭素数1〜6のアルコキシ基を有する基またはカルボキシル基を有する基である。Xは相互に独立にメチレン基または炭素数2〜8の置換もしくは非置換のアルキレン基であり、Yは相互に独立に炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル基、炭素数2〜10の置換もしくは非置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換もしくは非置換のアルキニル基、炭素数7〜10の置換もしくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルコキシ基、または置換もしくは非置換のフェノキシ基である。qは相互に独立に0または1である。)
【0010】
本発明の上記目的および利点は、第二に、
上記樹脂組成物から製造されたカラーフィルタの保護膜によって達成される。
本発明の上記目的および利点は、第三に、
上記樹脂組成物を用いて塗膜を形成し、次いで加熱処理することを特徴とする、カラーフィルタの保護膜の製造方法によって達成される。
本発明の上記目的および利点は、第四に、
上記保護膜を具備してなる液晶表示素子によって達成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の熱硬化性樹脂組成物によれば、表面硬度が高く、透明性、耐熱性、密着性などの各種の耐性に優れた保護膜を容易に形成することができる。本発明の硬化性樹脂組成物は、カラーフィルタの保護膜を形成するために特に好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の熱硬化性樹脂組成物について詳述する。
〔A〕重合体
本発明の〔A〕重合体は、オキシラニル基またはオキセタニル基を有する重合性不飽和化合物に由来する繰り返し単位を有する重合体である。
〔A〕重合体は、上記条件を満たす限り限定されるものではなく、付加重合体、重付加重合体、重縮合重合体のいずれでもよい。
【0013】
本発明における好ましい〔A〕重合体としては、例えば、
[A1](a)オキシラニル基またはオキセタニル基含有重合性不飽和化合物(以下、「不飽和化合物(a)」という。)と(b1)重合性不飽和カルボン酸および/または重合性不飽和多価カルボン酸無水物(以下、これらをまとめて「不飽和化合物(b1)」という。)と(b2)不飽和化合物(a)および不飽和化合物(b1)と異なる他の重合性不飽和化合物(以下、「不飽和化合物(b2)」という。)との共重合体(以下、「共重合体[A1]」という。);
[A2]分子中に、2個以上のオキシラニル基またはオキセタニル基と、カルボン酸のアセタールエステル構造、カルボン酸のケタールエステル構造、カルボン酸の1−アルキルシクロアルキルエステル構造およびカルボン酸のt−ブチルエステル構造よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造とを有する重合体(以下、「重合体[A2]」という。);
[A3]不飽和化合物(a)と、(b5)不飽和化合物(a)と異なる他の重合性不飽和化合物(以下、「不飽和化合物(b5)」という。)との共重合体であって、分子中にカルボキシル基、カルボン酸無水物基、カルボン酸のアセタールエステル構造、カルボン酸のケタールエステル構造、カルボン酸の1−アルキルシクロアルキルエステル構造およびカルボン酸のt−ブチルエステル構造のいずれをも持たない共重合体(以下、「共重合体[A3]」という。)
などを挙げることができる。
また、重合体[A2]としては、[A2−1]不飽和化合物(a)と、(b3)カルボン酸のアセタールエステル構造、カルボン酸のケタールエステル構造、カルボン酸の1−アルキルシクロアルキルエステル構造およびカルボン酸のt−ブチルエステル構造よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を有する重合性不飽和化合物(以下、「不飽和化合物(b3)」という。)と、(b4)不飽和化合物(a)および不飽和化合物(b3)と異なる他の重合性不飽和化合物(以下、「不飽和化合物(b4)」という。)との共重合体(以下、「共重合体[A2−1]」という。)がさらに好ましい。
なお、共重合体[A1]は、カルボン酸のアセタールエステル構造、カルボン酸のケタールエステル構造、カルボン酸の1−アルキルシクロアルキルエステル構造およびカルボン酸のt−ブチルエステル構造をさらに有することができ、重合体[A2]は、カルボキシル基あるいはカルボン酸無水物基をさらに含有することができる。
【0014】
共重合体[A1]、共重合体〔A2−1〕および共重合体[A3]において、不飽和化合物(a)としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシブチル、α−エチルアクリル酸3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシヘプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタンなどを挙げることができる。
これらの不飽和化合物(a)のうち、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸6,7−エポキシヘプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタンなどが好ましい。これらの好ましい不飽和化合物(a)は、共重合反応性が高く、また得られる保護膜の耐熱性や表面硬度を高めるのに有効である。
上記不飽和化合物(a)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0015】
共重合体[A1]において、不飽和化合物(b1)としては、例えば、
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−エチルアクリル酸、α−n−プロピルアクリル酸、α−n−ブチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸の如き不飽和カルボン酸;
無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、シス−1,2,3,4−テトラヒドロフタル酸無水物の如き不飽和多価カルボン酸無水物
などを挙げることができる。
これらの不飽和化合物(b1)のうち、不飽和カルボン酸としては、特に、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、不飽和多価カルボン酸無水物としては、特に、無水マレイン酸が好ましい。これらの好ましい不飽和化合物(b1)は、共重合反応性が高く、また得られる保護膜の耐熱性や表面硬度を高めるのに有効である。
上記不飽和化合物(b1)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0016】
また、共重合体[A1]において、不飽和化合物(b2)としては、例えば、
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルの如き(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルの如き(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(以下、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルを「ジシクロペンタニル」という。)、(メタ)アクリル酸2−ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボロニルの如き(メタ)アクリル酸脂環式エステル;
(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルの如き(メタ)アクリル酸アリールエステル;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチルの如き不飽和ジカルボン酸ジエステル;
N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(9−アクリジル)マレイミドの如き不飽和ジカルボニルイミド誘導体;
(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデンの如きシアン化ビニル化合物;
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドの如き不飽和アミド化合物;
スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレンの如き芳香族ビニル化合物;
インデン、1−メチルインデンの如きインデン誘導体;
1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンの如き共役ジエン系化合物のほか、
塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸アリル
などを挙げることができる。
これらの不飽和化合物(b2)のうち、メタクリル酸メチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸2−メチルシクロヘキシル、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、スチレン、p−メトキシスチレン、1,3−ブタジエン、メタクリル酸アリルなどが好ましい。これらの好ましい不飽和化合物(b2)は、共重合反応性が高く、また得られる保護膜の耐熱性(ただし、1,3−ブタジエンの場合を除く。)や表面硬度(ただし、1,3−ブタジエンの場合を除く。)を高めるのに有効である。
上記不飽和化合物(b2)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0017】
共重合体[A1]の好ましい具体例としては、
アクリル酸グリシジル/アクリル酸/アクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸/メタクリル酸メチル/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸/アクリル酸シクロヘキシル/p−メトキシスチレン共重合体、
アクリル酸グリシジル/アクリル酸/N−フェニルマレイミド/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸/N−フェニルマレイミド/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸/メタクリル酸ジシクロペンタニル/1,3−ブタジエン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸/アリルメタクリレート/スチレン共重合体、
メタクリル酸6,7−エポキシヘプチル/メタクリル酸/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン/1,3−ブタジエン共重合体、
メタクリル酸6,7−エポキシヘプチル/アクリル酸/無水マレイン酸/スチレン共重合体、
メタクリル酸6,7−エポキシヘプチル/アクリル酸/無水マレイン酸/メタクリル酸t−ブチル共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/アクリル酸/アクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸/アリルメタクリレートスチレン/共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸/メタクリル酸メチル/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸/アクリル酸シクロヘキシル/p−メトキシスチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/アクリル酸/N−フェニルマレイミド/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸/N−フェニルマレイミド/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸/メタクリル酸ジシクロペンタニル/1,3−ブタジエン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン/1,3−ブタジエン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/アクリル酸/無水マレイン酸/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/アクリル酸/無水マレイン酸/メタクリル酸t−ブチル共重合体
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/アクリル酸/アクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸/メタクリル酸メチル/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸/アクリル酸シクロヘキシル/p−メトキシスチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/アクリル酸/N−フェニルマレイミド/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸/N−フェニルマレイミド/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸/メタクリル酸ジシクロペンタニル/1,3−ブタジエン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタンン/メタクリル酸/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン/1,3−ブタジエン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/アクリル酸/無水マレイン酸/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/アクリル酸/無水マレイン酸/メタクリル酸t−ブチル共重合体
などを挙げることができる。
【0018】
共重合体[A1]において、不飽和化合物(a)に由来する繰り返し単位の含有率は、好ましくは10〜70重量%、特に好ましくは20〜60重量%である。(b1)重合性不飽和カルボン酸および重合性不飽和多価カルボン酸無水物に由来する繰り返し単位の合計含有率は、好ましくは5〜40重量%、特に好ましくは10〜30重量%である。(b2)他の重合性不飽和化合物に由来する繰り返し単位の含有率は、好ましくは10〜70重量%、特に好ましくは20〜50重量%である。
ここで、不飽和化合物(a)に由来する繰り返し単位+不飽和化合物(b1)に由来する繰り返し単位+不飽和化合物(b2)に由来する繰り返し単位=100重量%とする。
不飽和化合物(a)に由来する繰り返し単位の含有率が10重量%未満では、保護膜の耐熱性や表面硬度が低下する傾向があり、一方70重量%を超えると、組成物の保存安定性が低下する傾向がある。また、(b1)重合性不飽和カルボン酸および重合性不飽和多価カルボン酸無水物に由来する繰り返し単位の合計含有率が5重量%未満では、保護膜の耐熱性、表面硬度や耐薬品性が低下する傾向があり、一方40重量%を超えると、組成物の保存安定性が低下する傾向がある。また、(b2)他の重合性不飽和化合物に由来する繰り返し単位の含有率が10重量%未満では、組成物の保存安定性が低下する傾向があり、一方70重量%を超えると、保護膜の耐熱性や表面硬度が低下する傾向がある。
【0019】
次に、重合体[A2]は、カルボン酸のアセタールエステル構造、カルボン酸のケタールエステル構造、カルボン酸の1−アルキルシクロアルキルエステル構造およびカルボン酸のt−ブチルエステル構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種の構造を有する。重合体[A2]は、上記要件を満たす限り特に限定されるものではなく、付加重合体、重付加重合体、重縮合重合体などのいずれでもよい。
【0020】
カルボキシル基と結合してカルボン酸のアセタールエステル構造を形成する基としては、例えば、1−メトキシエトキシ基、1−エトキシエトキシ基、1−n−プロポキシエトキシ基、1−i−プロポキシエトキシ基、1−n−ブトキシエトキシ基、1−i−ブトキシエトキシ基、1−sec−ブトキシエトキシ基、1−t−ブトキシエトキシ基、1−シクロペンチルオキシエトキシ基、1−シクロヘキシルオキシエトキシ基、1−ノルボルニルオキシエトキシ基、1−ボルニルオキシエトキシ基、1−フェノキシエトキシ基、1−(1−ナフチルオキシ)エトキシ基、1−ベンジルオキシエトキシ基、1−フェネチルオキシエトキシ基、
(シクロヘキシル)(メトキシ)メトキシ基、(シクロヘキシル)(エトキシ)メトキシ基、(シクロヘキシル)(n−プロポキシ)メトキシ基、(シクロヘキシル)(i−プロポキシ)メトキシ基、(シクロヘキシル)(シクロヘキシルオキシ)メトキシ基、(シクロヘキシル)(フェノキシ)メトキシ基、(シクロヘキシル)(ベンジルオキシ)メトキシ基、(フェニル)(メトキシ)メトキシ基、(フェニル)(エトキシ)メトキシ基、(フェニル)(n−プロポキシ)メトキシ基、(フェニル)(i−プロポキシ)メトキシ基、(フェニル)(シクロヘキシルオキシ)メトキシ基、(フェニル)(フェノキシ)メトキシ基、(フェニル)(ベンジルオキシ)メトキシ基、(ベンジル)(メトキシ)メトキシ基、(ベンジル)(エトキシ)メトキシ基、(ベンジル)(n−プロポキシ)メトキシ基、(ベンジル)(i−プロポキシ)メトキシ基、(ベンジル)(シクロヘキシルオキシ)メトキシ基、(ベンジル)(フェノキシ)メトキシ基、(ベンジル)(ベンジルオキシ)メトキシ基、2−テトラヒドロフラニルオキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基
などを挙げることができる。
これらのうち、1−エトキシエトキシ基、1−n−プロポキシエトキシ基、1−シクロヘキシルオキシエトキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基などが好ましい。
【0021】
カルボキシル基と結合してカルボン酸のケタールエステル構造を形成する基としては、例えば1−メチル−1−メトキシエトキシ基、1−メチル−1−エトキシエトキシ基、1−メチル−1−n−プロポキシエトキシ基、1−メチル−1−i−プロポキシエトキシ基、1−メチル−1−n−ブトキシエトキシ基、1−メチル−1−i−ブトキシエトキシ基、1−メチル−1−sec−ブトキシエトキシ基、1−メチル−1−t−ブトキシエトキシ基、1−メチル−1−シクロペンチルオキシエトキシ基、1−メチル−1−シクロヘキシルオキシエトキシ基、1−メチル−1−ノルボルニルオキシエトキシ基、1−メチル−1−ボルニルオキシエトキシ基、1−メチル−1−フェノキシエトキシ基、1−メチル−1−(1−ナフチルオキシ)エトキシ基、1−メチル−1−ベンジルオキシエトキシ基、1−メチル−1−フェネチルオキシエトキシ基、1−シクロヘキシル−1−メトキシエトキシ基、1−シクロヘキシル−1−エトキシエトキシ基、1−シクロヘキシル−1−n−プロポキシエトキシ基、1−シクロヘキシル−1−i−プロポキシエトキシ基、1−シクロヘキシル−1−シクロヘキシルオキシエトキシ基、1−シクロヘキシル−1−フェノキシエトキシ基、1−シクロヘキシル−1−ベンジルオキシエトキシ基、1−フェニル−1−メトキシエトキシ基、1−フェニル−1−エトキシエトキシ基、1−フェニル−1−n−プロポキシエトキシ基、1−フェニル−1−i−プロポキシエトキシ基、1−フェニル−1−シクロヘキシルオキシエトキシ基、1−フェニル−1−フェノキシエトキシ基、1−フェニル−1−ベンジルオキシエトキシ基、1−ベンジル−1−メトキシエトキシ基、1−ベンジル−1−エトキシエトキシ基、1−ベンジル−1−n−プロポキシエトキシ基、1−ベンジル−1−i−プロポキシエトキシ基、1−ベンジル−1−シクロヘキシルオキシエトキシ基、1−ベンジル−1−フェノキシエトキシ基、1−ベンジル−1−ベンジルオキシエトキシ基、1−メトキシシクロペンチルオキシ基、1−メトキシシクロヘキシルオキシ基、2−(2−メチルテトラヒドロフラニル)オキシ基、2−(2−メチルテトラヒドロピラニル)オキシ基などを挙げることができる。
これらのうち、1−メチル−1−メトキシエトキシ基、1−メチル−1−シクロヘキシルオキシエトキシ基などが好ましい。
【0022】
カルボン酸の1−アルキルシクロアルキルエステル構造を形成する基としては、例えば、1−メチルシクロプロピル基、1−メチルシクロブチル基、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロへキシル基、1−メチルシクロヘプチル基、1−メチルシクロオクチル基、1−メチルシクロノニル基、1−メチルシクロデシル基、1−エチルシクロプロピル基、1−エチルシクロブチル基、1−エチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロヘプチル基、1−エチルシクロオクチル基、1−エチルシクロノニル基、1−エチルシクロデシル基、1−(イソ)プロピルシクロプロピル基、1−(イソ)プロピルシクロブチル基、1−(イソ)プロピルシクロペンチル基、1−(イソ)プロピルシクロヘキシル基、1−(イソ)プロピルシクロヘプチル基、1−(イソ)プロピルシクロオクチル基、1−(イソ)プロピルシクロノニル基、1−(イソ)プロピルシクロデシル基、1−(イソ)ブチルシクロプロピル基、1−(イソ)ブチルシクロブチル基、1−(イソ)ブチルシクロペンチル基、1−(イソ)ブチルシクロヘキシル基、1−(イソ)ブチルシクロヘプチル基、1−(イソ)ブチルシクロオクチル基、1−(イソ)ブチルシクロノニル基、1−(イソ)ブチルシクロデシル基、1−(イソ)ペンチルシクロプロピル基、1−(イソ)ペンチルシクロブチル基、1−(イソ)ペンチルシクロペンチル基、1−(イソ)ペンチルシクロヘキシル基、1−(イソ)ペンチルシクロヘプチル基、1−(イソ)ペンチルシクロオクチル基、1−(イソ)ペンチルシクロノニル基、1−(イソ)ペンチルシクロデシル基、1−(イソ)ヘキシルシクロプロピル基、1−(イソ)ヘキシルシクロブチル基、1−(イソ)ヘキシルシクロペンチル基、1−(イソ)ヘキシルシクロヘキシル基、1−(イソ)ヘキシルシクロヘプチル基、1−(イソ)ヘキシルシクロオクチル基、1−(イソ)ヘキシルシクロノニル基、1−(イソ)ヘキシルシクロデシル基、1−(イソ)ヘプチルシクロプロピル基、1−(イソ)ヘプチルシクロブチル基、1−(イソ)ヘプチルシクロペンチル基、1−(イソ)ヘプチルシクロヘキシル基、1−(イソ)ヘプチルシクロヘプチル基、1−(イソ)ヘプチルシクロオクチル基、1−(イソ)ヘプチルシクロノニル基、1−(イソ)ヘプチルシクロデシル基、1−(イソ)オクチルシクロプロピル基、1−(イソ)オクチルシクロブチル基、1−(イソ)オクチルシクロペンチル基、1−(イソ)オクチルシクロヘキシル基、1−(イソ)オクチルシクロヘプチル基、1−(イソ)オクチルシクロオクチル基、1−(イソ)オクチルシクロノニル基および1−(イソ)オクチルシクロデシル基等を挙げることができる。
重合体[A2]は、共重合体[A1]を用いる場合に比べて、保存安定性が良好で、かつ得られる保護膜の平坦化能にも優れた、硬化性樹脂組成物をもたらすことができる。
【0023】
共重合体[A2−1]において、不飽和化合物(b3)としては、例えば、アセタール構造、ケタール構造、環状シクロアルカン構造およびt−ブトキシカルボニル構造よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を有するノルボルネン系化合物(以下、「特定ノルボルネン系化合物」という。);アセタール構造および/またはケタール構造および/または環状シクロアルカン構造を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物(以下、「特定(メタ)アクリル酸エステル化合物」という。)や、(メタ)アクリル酸t−ブチルなどを挙げることができる。
【0024】
特定ノルボルネン系化合物の具体例としては、
2,3−ジ(1−メトキシエトキシカルボニル)−5−ノルボルネン、
2,3−ジ(1−t−ブトキシエトキシカルボニル)−5−ノルボルネン、
2,3−ジ(1−ベンジルオキシエトキシカルボニル)−5−ノルボルネン、
2,3−ジ(1−メチル−1−メトキシエトキシカルボニル)−5−ノルボルネン、
2,3−ジ(1−メチル−1−i−ブトキシエトキシカルボニル)−5−ノルボルネン、
2,3−ジ((シクロヘキシル)(エトキシ)メトキシカルボニル)−5−ノルボルネン、
2,3−ジ((ベンジル)(エトキシ)メトキシカルボニル)−5−ノルボルネン、
2,3−ジ(テトラヒドロフラン−2−イルオキシカルボニル)−5−ノルボルネン、
2,3−ジ(テトラヒドロピラン−2−イルオキシカルボニル)−5−ノルボルネン、
2,3−ジ(t−ブトキシカルボニル)−5−ノルボルネン
などを挙げることができる。
【0025】
特定(メタ)アクリル酸エステル化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸1−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸1−n−プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸1−n−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸1−i−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸1−(シクロペンチルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸1−(1,1−ジメチルエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル、1−エチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−(イソ)プロピルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−(イソ)プロピルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−(イソ)ブチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−(イソ)ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0026】
これらの不飽和化合物(b3)のうち、特定(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸t−ブチルが好ましく、特に、メタクリル酸1−エトキシエチル、メタクリル酸1−i−ブトキシエチル、メタクリル酸1−(シクロペンチルオキシ)エチル、メタクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル、メタクリル酸1−(1,1−ジメチルエトキシ)エチル、メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル、1−エチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メタクリル酸t−ブチルなどがとりわけ好ましい。これらの好ましい不飽和化合物(b3)は、共重合反応性が高く、また、保護膜の平坦化能に優れるともに、得られる保護膜の耐熱性や表面硬度を高めるのに有効である。
上記不飽和化合物(b3)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0027】
また、共重合体[A2−1]において、不飽和化合物(b4)としては、例えば、上記不飽和化合物(b1)および不飽和化合物(b2)について例示した化合物と同様のものを挙げることができる。
これらの不飽和化合物(b4)のうち、メタクリル酸メチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸2−メチルシクロヘキシル、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、スチレン、p−メトキシスチレン、1,3−ブタジエン、メタクリル酸アリルなどが好ましい。これらの好ましい不飽和化合物(b4)は、共重合反応性が高く、また得られる保護膜の耐熱性(ただし、1,3−ブタジエンの場合を除く。)や表面硬度(ただし、1,3−ブタジエンの場合を除く。)を高めるのに有効である。
上記不飽和化合物(b4)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0028】
共重合体[A2−1]の好ましい具体例としては、
メタクリル酸グリシジル/アクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/アクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/N−フェニルマレイミド/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/N−フェニルマレイミド/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/アクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/アクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/アクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/2,3−ジ(テトラヒドロピラン−2−イルオキシカルボニル)−5−ノルボルネン/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/2,3−ジ(テトラヒドロピラン−2−イルオキシカルボニル)−5−ノルボルネン/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/アクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸ジシクロペンタニル/1,3−ブタジエン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸ジシクロペンタニル/1,3−ブタジエン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/アクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸メチル/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸メチル/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/アクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/アクリル酸シクロヘキシル/p−メトキシスチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/アクリル酸シクロヘキシル/p−メトキシスチレン共重合体、
アクリル酸グリシジル/メタクリル酸t−ブチル/N−フェニルマレイミド/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸t−ブチル/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレン共重合体、
メタクリル酸6,7−エポキシヘプチル/アクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸t−ブチル/無水マレイン酸共重合体、
メタクリル酸6,7−エポキシヘプチル/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸t−ブチル/無水マレイン酸共重合体、
メタクリル酸6,7−エポキシヘプチル/メタクリル酸t−ブチル/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
メタクリル酸6,7−エポキシヘプチル/メタクリル酸t−ブチル/無水マレイン酸/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/アクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン/1,3−ブタジエン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン/1,3−ブタジエン共重合体
メタクリル酸グリシジル/1−エチルシクロペンチルアクリレート/N−フェニルマレイミド/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/1−エチルシクロヘキシルアクリレート/N−フェニルマレイミド/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/1−エチルシクロペンチルアクリレート/N−フェニルマレイミド/スチレン/メタクリル酸共重合体、
メタクリル酸グリシジル/アリルメタクリレート/N−フェニルマレイミド/スチレン/メタクリル酸共重合体、
メタクリル酸グリシジル/1−エチルシクロペンチルアクリレート/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/1−エチルシクロヘキシルアクリレート/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/アクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/アクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/N−フェニルマレイミド/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/N−フェニルマレイミド/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/アクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/アクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/アクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/2,3−ジ(テトラヒドロピラン−2−イルオキシカルボニル)−5−ノルボルネン/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/2,3−ジ(テトラヒドロピラン−2−イルオキシカルボニル)−5−ノルボルネン/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/アクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸ジシクロペンタニル/1,3−ブタジエン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸ジシクロペンタニル/1,3−ブタジエン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/アクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸メチル/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸メチル/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/アクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/アクリル酸シクロヘキシル/p−メトキシスチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/アクリル酸シクロヘキシル/p−メトキシスチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸t−ブチル/N−フェニルマレイミド/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸t−ブチル/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/アクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸t−ブチル/無水マレイン酸共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸t−ブチル/無水マレイン酸共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸t−ブチル/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸t−ブチル/無水マレイン酸/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/アクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン/1,3−ブタジエン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン/1,3−ブタジエン共重合体
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/1−エチルシクロペンチルアクリレート/N−フェニルマレイミド/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/1−エチルシクロヘキシルアクリレート/N−フェニルマレイミド/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/1−エチルシクロペンチルアクリレート/N−フェニルマレイミド/スチレン/メタクリル酸共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/1−エチルシクロペンチルアクリレート/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/1−エチルシクロヘキシルアクリレート/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、

3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/アクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/アクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/N−フェニルマレイミド/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/N−フェニルマレイミド/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/アクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/アクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/アクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/2,3−ジ(テトラヒドロピラン−2−イルオキシカルボニル)−5−ノルボルネン/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/2,3−ジ(テトラヒドロピラン−2−イルオキシカルボニル)−5−ノルボルネン/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/アクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸ジシクロペンタニル/1,3−ブタジエン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸ジシクロペンタニル/1,3−ブタジエン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/アクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸メチル/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸メチル/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/アクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/アクリル酸シクロヘキシル/p−メトキシスチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/アクリル酸シクロヘキシル/p−メトキシスチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸t−ブチル/N−フェニルマレイミド/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸t−ブチル/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/アクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸t−ブチル/無水マレイン酸共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル/メタクリル酸t−ブチル/無水マレイン酸共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸t−ブチル/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸t−ブチル/無水マレイン酸/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/アクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン/1,3−ブタジエン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸1−(シクロヘキシルオキシ)エチル/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン/1,3−ブタジエン共重合体
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/1−エチルシクロペンチルアクリレート/N−フェニルマレイミド/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/1−エチルシクロヘキシルアクリレート/N−フェニルマレイミド/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/1−エチルシクロペンチルアクリレート/N−フェニルマレイミド/スチレン/メタクリル酸共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/1−エチルシクロペンチルアクリレート/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/1−エチルシクロヘキシルアクリレート/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体
などを挙げることができる。
【0029】
共重合体[A2−1]において、不飽和化合物(a)に由来する繰り返し単位の含有率は、全繰り返し単位に対して、好ましくは10〜70重量%、特に好ましくは20〜60重量%である。不飽和化合物(a)に由来する繰り返し単位の含有率が10重量%未満では、保護膜の耐熱性や表面硬度が低下する傾向があり、一方70重量%を超えると、組成物の保存安定性が低下する傾向がある。
また、不飽和化合物(b3)に由来する繰り返し単位の含有率は、好ましくは5〜60重量%、特に好ましくは10〜50重量%である。不飽和化合物(b3)に由来する繰り返し単位の含有率をこの範囲内とすることにより、保護膜の良好な耐熱性および表面硬度を実現することができる。
さらに、不飽和化合物(b4)に由来する繰り返し単位の含有率は、不飽和化合物(a)および不飽和化合物(b3)に由来する繰り返し単位の合計含有率を100重量%から減じた量となるが、不飽和化合物(b4)として不飽和カルボン酸や不飽和多価カルボン酸無水物を用いる場合は、これらに由来する繰り返し単位の合計含有率が40重量%を超えると、組成物の保存安定性が損なわれるおそれがあるため、この値を超えないことが好ましい。
【0030】
次に、共重合体[A3]において、不飽和化合物(b5)としては、例えば、上記不飽和化合物(b2)について例示した化合物と同様のものを挙げることができる。
これらの不飽和化合物(b5)のうち、メタクリル酸メチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸2−メチルシクロヘキシル、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、スチレン、p−メトキシスチレン、1,3−ブタジエン、メタクリル酸アリルなどが好ましい。これらの好ましい不飽和化合物(b5)は、共重合反応性が高く、また得られる保護膜の耐熱性(ただし、1,3−ブタジエンの場合を除く。)や表面硬度(ただし、1,3−ブタジエンの場合を除く。)を高めるのに有効である。
上記不飽和化合物(b5)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0031】
共重合体[A3]の好ましい具体例としては、
アクリル酸グリシジル/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/スチレン共重合体、
アクリル酸グリシジル/メタクリル酸ジシクロペンタニル共重合体、
メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸ジシクロペンタニル共重合体、
メタクリル酸6,7−エポキシヘプチル/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/アリルメタクリレート/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/N−フェニルマレイミド/スチレン共重合体、
メタクリル酸グリシジル/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレン共重合体、メタクリル酸6,7−エポキシヘプチル/メタクリル酸ジシクロペンタニル共重合体、
メタクリル酸6,7−エポキシヘプチル/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸ジシクロペンタニル共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/N−フェニルマレイミド/スチレン共重合体、
3−メチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸ジシクロペンタニル共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/メタクリル酸ジシクロペンタニル/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/N−フェニルマレイミド/スチレン共重合体、
3−エチル−3−(メタ)アクロイロキシメチルオキセタン/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレン共重合体
などを挙げることができる。
【0032】
共重合体[A3]において、不飽和化合物(a)に由来する繰り返し単位の含有率は、全繰り返し単位に対して、好ましくは1〜90重量%、特に好ましくは40〜90重量%である。不飽和化合物(a)に由来する繰り返し単位の含有率が1重量%未満では、保護膜の耐熱性や表面硬度が低下する傾向があり、一方90重量%を超えると、耐熱性や組成物の保存安定性が低下する傾向がある。
なお、共重合体[A3]において、不飽和化合物(b5)に由来する繰り返し単位の含有率は、不飽和化合物(a)に由来する繰り返し単位の含有率を100重量%から減じた量となる。
【0033】
以上の〔A〕重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(溶出溶媒テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」ということがある。)が好ましくは1,000〜100,000であり、さらに好ましくは2,000〜50,000であり、特に好ましくは3,000〜40,000である。Mnが1,000未満であると、組成物の塗布性が不十分となり、あるいは形成される保護膜の耐熱性が不足する場合があり、一方Mnが100,000を超えると、平坦化性能が不十分となる場合がある。
また、〔A〕重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは5.0以下であり、さらに好ましくは3.0以下である。
【0034】
このような〔A〕重合体は、共重合体〔A1〕においては上記重合性不飽和化合物(a1)と不飽和化合物(b1)および不飽和化合物(b2)を、共重合体[A2−1]においては、不飽和化合物(a)、不飽和化合物(b3)および不飽和化合物(b4)を、共重合体[A3]においては、不飽和化合物(a)および不飽和化合物(b5)を、それぞれ、適当な溶媒および適当な重合開始剤の存在下、公知の方法、例えばラジカル重合によって合成することができる。
例えば、本発明の〔A〕重合体は、上記単量体成分100重量部を、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどの重合溶媒100〜400重量部に混合し、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのラジカル重合開始剤を単量体成分の合計量100重量部に対し、例えば0.5〜15重量部添加し、70〜100℃で、3〜10時間、重合させることで得られる。
【0035】
〔B〕成分
本発明の感放射線性樹脂組成物に含有される〔B〕成分は、上記一般式(1)で表される化合物(以下、「化合物(B)」という場合がある。)である。かかる成分を含有せしめることにより、諸特性に優れた保護膜を形成することができる。
【0036】
なお、上記一般式(1)は、下記一般式(1−1)のように示すこともできる。
【0037】
【化2】

【0038】
(一般式(1−1)において、R、X、Yおよびqはそれぞれ一般式(1)におけるR、X、Yおよびqと同義である。)
一般式(1)で表される化合物の中でも、下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。即ち、一般式(1)において、Xがプロピレン基であり、qが0であることが好ましい。下記一般式(2)で表される化合物は、一般式(1)で表される化合物の中でも、収率良く製造することができる化合物である。
【0039】
【化3】

(一般式(2)において、Rは一般式(1)におけるRと同義である。)
【0040】
上記一般式(1)中のRは、相互に独立に水素原子、炭素数1〜15のアルキル基、重合性官能基を有する基、炭素数1〜6のアルコキシ基を有する基またはカルボキシル基を有する基である。但し、Rはその少なくとも一つが炭素数1〜15のアルキル基、重合性官能基を有する基、炭素数1〜6のアルコキシ基を有する基またはカルボキシル基を有する基である。
重合性官能基としては、重合性不飽和結合を有する基、環状エーテル構造を有する基等を挙げることができる。具体的には、ビニル基、ビニリデン基、(メタ)アクリロイル基、置換または非置換のオキシラニル基、置換または非置換のオキセタニル基、置換または非置換のスピロオルトエステル基等を挙げることができる
【0041】
上記一般式(1)中のRは、その少なくとも一つが炭素数1〜15のアルキル基、重合性官能基を有する基、炭素数1〜6のアルコキシ基を有する基またはカルボキシル基を有する基であることに加え、更に、その少なくとも一つが水素原子であることが好ましい。上記一般式(1)中のRが全て水素原子以外の基であると、得られる感放射線性組成物溶液の保存安定性が低下する傾向にある。
【0042】
本発明においては、上記一般式(1)で表される化合物中の全てのRのうち、炭素数1〜15のアルキル基、重合性官能基を有する基、炭素数1〜6のアルコキシ基を有する基またはカルボキシル基を有する基の割合が、10〜90モル%であることが特に好ましく、20〜80モル%であることが最も好ましい。上記割合が10モル%未満であると、感放射線性組成物溶液への溶解性が低下する傾向にある。一方、90モル%超であると、得られる感放射線性組成物溶液の保存安定性が低下する傾向にある。ここで、一般式(1)で表される化合物中の水素原子以外の基の割合は、H−NMR分析の結果から算出した値である。
【0043】
上記一般式(1)におけるRとしては、炭素数1〜15の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数3〜8の環状のアルキル基、(メタ)アクリロイル基または下記一般式(2−1)〜(2−4)で表される基であることが好ましい。なお、上記一般式(1)中のRは「相互に独立」するものであるため、上記一般式(1)中に複数の基が存在する場合、例えば、全てのRが下記一般式(2−1)、(2−2)、(2−3)または(2−4)で表される基であってもよく、下記一般式(2−1)、(2−2)、(2−3)または(2−4)で表される基がそれぞれ存在していてもよい。
【0044】
【化4】

(一般式(2−1)において、Rはカルボキシル基、置換もしくは非置換のオキシラニル基、置換もしくは非置換のオキセタニル基またはビニル基であり、nは1〜3の整数である。一般式(2−2)において、Rはエチレン基またはプロピレン基であり、Rはエチル基またはプロピル基であり、lは0〜3の整数であり、mは1〜3の整数である。一般式(2−3)において、Rは水素原子またはメチル基であり、iは2〜5の整数であり、jは0〜10の整数である。一般式(2−4)にいて、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは単結合、メチレン基、炭素数2〜6のアルキレン基、シクロヘキサン−1,2−ジイル基または1,2−フェニレン基であり、hは1〜3の整数である。「*」は結合手であることを示す。)
【0045】
上記一般式(1)におけるRの炭素数1〜15の直鎖状のアルキル基としては、例えば、n−プロピル基等を挙げることができる。
また、Rの炭素数1〜15の分岐状のアルキル基としては、例えば、i−プロピル基等を挙げることができる。
また、Rの炭素数3〜8の環状のアルキル基としては、例えば、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
【0046】
また、上記一般式(2−1)で表される基としては、例えば、カルボキシルメチル基、グリシジル基、2−メチルグリシジル基、(3−メチル−3−オキセタニル)メチル基、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル基、アリル基等を挙げることができる。
また、上記一般式(2−2)で表される基としては、例えば、エトキシエチル基、プロポキシプロピル基等を挙げることができる。
【0047】
これらのうち、上記一般式(1)におけるRとしては、感放射線性組成物溶液の溶解性、感放射線性組成物から得られる保護膜の表面硬度、耐熱性、現像性等の観点から、(メタ)アクリロイル基、一般式(2−1)においてRがカルボキシル基もしくは非置換のオキシラニル基である基、一般式(2−3)においてRが水素原子であり且つj=0である基、一般式(2−3)においてRが水素原子でありi=5でありj=2〜5である基、または一般式(2−4)においてRが水素原子であり且つRがエチレン基である基が好ましく、特に(メタ)アクリロイル基、カルボキシルメチル基、グリシジル基、一般式(2−3)においてRが水素原子でありj=0であり且つk=1である基が好ましい。
【0048】
本発明の感放射線性樹脂組成物において、化合物(B)の使用割合は、後述する〔A〕重合体100重量部に対して、好ましくは0.1〜50重量部、さらに好ましくは1〜40重量部、特に好ましくは2〜30重量部である。この場合、化合物(B)の使用割合が0.1重量部未満であると所望の効果が得られないおそれがあり、一方50重量部を超えると熱硬化性樹脂組成物溶液に溶解し切らず、異物の発生を招くおそれがある。
【0049】
化合物(B)は、例えば、下記一般式(1−2)で表される化合物と下記一般式(1−3)で表される化合物とを縮合反応させて下記一般式(1−4)で表される前駆体を得た後、この下記一般式(1−4)で表される前駆体に、上記Rを少なくとも一つ導入することにより得ることができる。
【0050】
【化5】


(一般式(1−2)において、Yは、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルキニル基、炭素数7〜10の置換若しくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルコキシ基、または置換若しくは非置換のフェノキシ基であり、qは0または1である。)
【0051】
【化6】

(一般式(1−3)において、Xはメチレン基または炭素数2〜8の置換または非置換のアルキレン基である。)
【0052】
【化7】

(一般式(1−4)において、Xは相互に独立にメチレン基または炭素数2〜8の置換または非置換のアルキレン基であり、Yは相互に独立に炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルキニル基、炭素数7〜10の置換若しくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルコキシ基、または置換若しくは非置換のフェノキシ基である。qは相互に独立に0または1である。)
【0053】
縮合反応の条件(方法)は、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができるが、例えば、酸触媒等の触媒の存在下、60〜90℃で12〜50時間反応させる方法を挙げることができる。
【0054】
上記一般式(1−4)で表される前駆体に、Rとして炭素数1〜15のアルキル基、(メタ)アクリロイル基、上記一般式(2−1)表される基または上記一般式(2−2)で表される基の少なくとも一つを導入する条件(方法)としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができるが、例えば、上記一般式(1−4)で表される前駆体と、ハロゲン化アルカン、ハロゲン化アルキルアルキルエーテル、エピクロロヒドリン、β―メチルエピクロロヒドリン、3−エチル−3−クロロメチルオキセタン、アリルクロライド、アクリロイルクロライド、メタクリロイルクロライド等のハロゲン化物とを適当な溶媒中、酸または塩基の存在下、−20〜100℃の条件で1〜20時間反応させる方法を挙げることができる。
【0055】
また、一般式(2−1)においてRがカルボキシル基である基を有する化合物(B)としては、例えば、上記一般式(1−4)で表される前駆体とt−ブチルブロモアセテートを反応させた後、得られた反応物を酸またはアルカリで処理しt−ブチル基を脱離させることにより、一般式(2−1)においてRがカルボキシル基であり且つn=1である基を有する化合物(B)を得ることができる。
【0056】
一般式(2−3)で表される基を有する化合物(B)としては、例えば、上記一般式(1−4)で表される前駆体とエピクロロヒドリンとを反応させた後、得られた反応物を(メタ)アクリル酸と三級アミンの存在下で反応させることにより、一般式(2−3)においてj=0であり且つk=1である基を有する化合物(B)を得ることができる。
【0057】
一般式(2−4)で表される基を有する化合物(B)としては、例えば、上記一般式(1−4)で表される前駆体とエピクロロヒドリンとを反応させた後、得られた反応物を2−(メタ)アクリロイロキシエチルこはく酸と三級アミンの存在下で反応することにより、一般式(2−4)においてRがエチレン基であり且つh=1である基を有する化合物(B)を得ることができる。
【0058】
導入量、すなわち、一般式(1)で表される化合物中の全てのRのうち、水素原子以外の割合は、上記一般式(1−4)で表される前駆体に対して添加する、上記一般式(2−1)等で表される基を導入するための化合物の合計量を調節することによって調整することができる。
【0059】
また、上記一般式(2)で表される化合物を製造する方法としては、まず、下記式(5)で表される化合物と下記式(6)で表される化合物とを溶媒中、触媒の存在下、60〜90℃の条件で12〜50時間脱水縮合させることにより前駆体(一般式(1−4)においてXがプロピレン基であり、qが0である前駆体(以下、「前駆体(1−4)」と記す場合がある))を得る。上記触媒としては、例えば、酸触媒等を挙げることができる。前駆体(1−4)に上記一般式(2−1)等で表されるRを導入する条件(方法)は、前述のとおりである。
【0060】
【化8】

【0061】
【化9】

【0062】
上記式(5)で表される化合物(以下、「化合物(5)」ということがある)と、上記一般式(6)で表される化合物(以下、「化合物(6)」ということがある)の混合比(モル比)は、特に制限はないが、得られる前駆体(1−4)の収率が高くなるという観点から、化合物(6)1.00モルに対して、化合物(5)が、1.00〜8.00モルであることが好ましく、2.00〜6.00モルであることが更に好ましく、3.00〜5.00モルであることが特に好ましい。化合物(5)の混合比が1.00未満であると、得られる前駆体(1−4)の化合物の収率が低下するおそれがある。一方、8.00超であると、得られる本前駆体(1−4)の収率が低下するおそれがある。
【0063】
反応溶液中の基質濃度(化合物(5)と化合物(6)の合計の濃度)は、特に制限はないが、得られる前駆体(1−4)の収率が高くなるという観点から、2mol/L以上であることが好ましく、4mol/L以上であることが更に好ましく、4〜10mol/Lであることが特に好ましい。基質濃度が、2mol/L未満であると、得られる前駆体(1−4)の収率が低下するおそれがある。
【0064】
また、上記前駆体(1−4)と、上記一般式(2−1)等で表されるRを導入するための化合物(これらの混合物を用いる場合には、これらの総量)との混合比(モル比)は、特に制限はないが、得られる化合物(B)の収率が高いという観点から、前駆体(1−4)1モルに対して、一般式(2−1)等で表されるRを導入するための化合物(これらの混合物を用いる場合には、これらの総量)が、1モル以上であることが好ましく、5〜40モルであることが更に好ましく、5〜20モルであることが特に好ましい。一般式(2−1)等で表されるRを導入するための化合物(これらの混合物を用いる場合には、これらの総量)が、1モル以上であると、目的の化合物(B)を収率良く合成することができるという利点がある。一方、1モル未満であると、目的の化合物(B)の収率が低下するおそれがある。
【0065】
〔C〕硬化剤
本発明の〔C〕硬化剤は、〔A〕重合体中のオキシラニル基またはオキセタニル基と反応しうる官能基を1種以上有する化合物からなり、硬化膜の表面硬度、耐熱性、耐酸性、耐アルカリ性を向上させる役割を果たす。
〔C〕硬化剤としては、例えば、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、上記不飽和多価カルボン酸無水物と他のオレフィン系不飽和化合物との共重合体(以下、「カルボン酸無水物基含有共重合体」という。)などを挙げることができる。
【0066】
上記多価カルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸などの脂肪族多価カルボン酸類;ヘキサヒドロフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などの脂環族多価カルボン酸類;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸類などを挙げることができる。
これらの多価カルボン酸のうち、硬化性樹脂組成物の反応性、形成される保護膜の耐熱性などの観点から、芳香族多価カルボン酸類が好ましい。
【0067】
上記多価カルボン酸無水物としては、例えば、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバニル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸などの脂肪族ジカルボン酸無水物類;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂環族多価カルボン酸二無水物類;無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸無水物類;エチレングリコールビス無水トリメリテート、グリセリントリス無水トリメリテートなどのエステル基含有酸無水物類などを挙げることができる。
これらの多価カルボン酸無水物のうち、芳香族多価カルボン酸無水物が好ましく、特に、無水トリメリット酸が耐熱性の高い保護膜が得られる点で好ましい。
【0068】
カルボン酸無水物基含有共重合体において、不飽和多価カルボン酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、シス−1,2,3,4−テトラヒドロフタル酸無水物などを挙げることができる。これらの不飽和多価カルボン酸無水物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0069】
また、他のオレフィン系不飽和化合物としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル、、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどを挙げることができる。これらの他のオレフィン系不飽和化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0070】
カルボン酸無水物基含有共重合体の好ましい具体例としては、無水マレイン酸/スチレン共重合体、無水シトラコン酸/メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル共重合体などを挙げることができる。
カルボン酸無水物基含有共重合体中の不飽和多価カルボン酸無水物の共重合割合は、通常、1〜80重量%、好ましくは10〜60重量%である。このような共重合割合の共重合体を使用することにより、平坦化能に優れた保護膜を得ることができる。
カルボン酸無水物基含有共重合体の数平均分子量(Mn)は、通常、500〜50,000、好ましくは500〜10,000である。このような分子量範囲の共重合体を使用することにより、平坦化能に優れた保護膜を得ることができる。
上記〔B〕硬化剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0071】
〔C〕硬化剤の使用割合は、〔A〕重合体100重量部に対し、好ましくは1〜200重量部、さらに好ましくは10〜100重量部である。1重量部未満では、耐熱性が悪化する可能性がある。一方、200重量部を超えると、基板との密着性が低下するおそれがある。
【0072】
〔D〕硬化促進剤
本発明の樹脂組成物には、形成した保護膜の耐熱性や硬度を向上するために、さらに〔D〕硬化促進剤を添加することができる。〔D〕硬化促進剤の具体例としては、
1−メチル−2−フェニルイミダゾール、1−エチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−エチルイミダゾール、2,4−ジフェニルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物,2−フェニル−1(H)−ベンゾイミダゾール、2−フェニル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1(H)−ベンゾイミダゾール、2−フェニル−1,4,5,6−テトラヒドロ−シクロペンタイミダゾール、2−フェニル−1,4,5,6、7,8−ヘキサヒドロ−シクロヘプタイミダゾール,2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−エチル−4’−メチルイミダゾリルウンデシルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−S−トリアジン、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−S−トリアジンイソシアヌル酸付加物,6−[2−(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾイミダゾール−1−イル)−エチル]−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミン、6−[2−(2−フェニル−ベンゾイミダゾール−1−イル)−エチル]−[1,3,5]トリアジン−2,4−ジアミンなどを挙げることができる。
【0073】
これらの〔D〕硬化促進剤のうち、得られる保護膜の硬度を向上させる観点から、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−1(H)−ベンゾイミダゾールが好ましい。〔D〕硬化促進剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
〔D〕硬化促進剤の添加量としては〔A〕重合体100重量部に対し、0.0001〜10重量部添加することが好ましい。耐熱性や保存安定性の観点から0.001〜1重量部添加するのがさらに好ましい。
【0074】
〔E〕多官能性化合物
本発明に使用される〔E〕多官能性化合物としてカチオン重合性化合物および/または多官能性(メタ)アクリレート化合物が用いられる。カチオン重合性化合物は分子内に2個以上のオキシラニル基またはオキセタニル基を有する化合物(ただし前述の〔A〕重合体を除く。)である。上記分子内に2個以上のオキシラニル基またはオキセタニル基を有する化合物としては、例えば、分子内に2個以上のオキシラニル基を有する化合物、あるいは3,4−エポキシシクロヘキシル基を有する化合物が挙げられる。
上記分子内に2個以上のオキシラニル基を有する化合物としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールADジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル等のビスフェノール化合物のジグリシジルエーテル類;
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル類;
エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;
フェノールノボラック型エポキシ樹脂;
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;
ポリフェノール型エポキシ樹脂;
脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;
高級脂肪酸のグリシジルエステル類;
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等を挙げることができる。
上記分子内に2個以上のオキシラニル基を有する化合物の市販品としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂として、エピコート1001、同1002、同1003、同1004、同1007、同1009、同1010、同828(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)等;
ビスフェノールF型エポキシ樹脂として、エピコート807(ジャパンエポキシレジン(株)製)等;
フェノールノボラック型エポキシ樹脂として、エピコート152、同154、同157S65(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPPN201、同202(以上、日本化薬(株)製)等;
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂として、EOCN102、同103S、同104S、1020、1025、1027(以上、日本化薬(株)製)、エピコート180S75(ジャパンエポキシレジン(株)製)等;
ポリフェノール型エポキシ樹脂として、エピコート1032H60、同XY−4000(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)等;
環状脂肪族エポキシ樹脂として、CY−175、同177、同179、アラルダイトCY−182、同192、184(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、ERL−4234、4299、4221、4206(以上、U.C.C社製)、ショーダイン509(昭和電工(株)製)、エピクロン200、同400(以上、大日本インキ(株)製)、エピコート871、同872(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、ED−5661、同5662(以上、セラニーズコーティング(株)製)等;
脂肪族ポリグリシジルエーテルとしてエポライト100MF(共栄社化学(株)製)、エピオールTMP(日本油脂(株)製)等が挙げられる。
上記分子内に2個以上の3,4−エポキシシクロヘキシル基を有する化合物としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等を挙げることができる。
このようなカチオン重合性化合物のうち、フェノールノボラック型エポキシ樹脂およびポリフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。
一方、多官能性(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイロキシエチル)フォスフェート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアクリロイロキシペンタエリスリトールコハク酸{別名:3−アクリロイルオキシ−2,2−ビスアクリロイルオキシメチル-プロピル)エステル}、ジアクリロイロキシペンタエリスリトールコハク酸{別名:3−アクリロイルオキシ−2−アクリロイルオキシメチル-プロピル)エステル}、ペンタアクリオイロキシジペンタエリスリトールコハク酸{別名:[3−(3−アクリロイロキシ−2,2−ビス-アクリロイロキシメチル-プロピル)−2,2−ビス-アクリロイロキシメチル-プロピル]エステル}、テトラアクリオイロキシジペンタエリスリトールコハク酸{別名:[3−(3−アクリロイロキシ−2,2−ビス-アクリロイロキシメチル-プロピル)−2−アクリロイロキシメチル-プロピル]エステル}などが挙げられる。その市販品としては、例えば、アロニックスM−210、同M−240、同M−6200、同M−309、同M−400、同M−402、同M−405、同M−450、同M−7100、同M−8030、同M−8060(東亞合成工業(株)製)、KAYARAD HDDA、同HX−220、同R−604、同TMPTA、同DPHA、同DPCA−20、同DPCA−30、同DPCA−60、同DPCA−120(日本化薬(株)製)、ビスコート260、同312、同335HP、同295、同300、同360、同GPT、同3PA、同400(大阪有機工業(株)製)などが挙げられる。
これらは単独であるいは組み合わせて用いられる。
【0075】
〔F〕界面活性剤
上記界面活性剤は、本発明の樹脂組成物の塗布性能を向上させるために添加することができる。
このような界面活性剤としては例えば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、その他の界面活性剤を挙げることができる。
上記フッ素系界面活性剤としては、例えば、BM CHIMIE社製 商品名:BM−1000、BM−1100、大日本インキ化学工業(株)社製 商品名:メガファックF142D、同F172、同F173、同F183、住友スリーエム(株)社製 商品名:フロラードFC−135、同FC−170C、同FC−430、同FC−431、(株)ネオス社製 商品名:フタージェント250、同251、同222F、FTX−218、旭硝子(株)社製 商品名:サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141,同S−145、同S−382,同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106等の市販品を挙げることができる。
上記シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)社製 商品名:SH−28PA、SH−190、SH−193、SZ−6032、SF−8428、DC−57、DC−190、PAINTAD19、FZ−2101、同77、同2118、L−7001、L−7002、ビックケミー・ジャパン(株)製、Byk−300、同306、同310、同335、同341、同344、同370、信越化学工業(株)社製 商品名:KP341、新秋田化成(株)社製 商品名:エフトップEF301、同EF303、同EF352等の市販品を挙げることができる。
上記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアリールエーテル類、ポリオキシエチレンジアルキルエステル類などが挙げられる。
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテル類としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等が挙げられ、ポリオキシエチレンアリールエーテル類としては、例えば、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルが挙げられ、ポリオキシエチレンジアルキルエステル類としては、例えば、ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレート等が挙げられる。
上記その他の界面活性剤として、共栄社化学(株)社製 商品名:(メタ)アクリル酸系共重合体ポリフローNo.57、同No.90等を挙げることができる。
これらの〔F〕界面活性剤の添加量は、〔A〕重合体100重量部当たり、好ましくは5重量部以下、より好ましくは2重量部以下で使用される。界面活性剤の量が5重量部を越える場合は、塗布工程において塗膜の膜荒れが生じやすくなる場合がある。
【0076】
〔G〕感熱性酸発生剤
本発明の組成物には〔G〕感熱性酸発生剤を添加することができる。感熱酸発生剤としては、スルホニウム塩類、ベンゾチアゾニウム塩類、アンモニウム塩類、ホスホニウム塩類等、公知の化合物が挙げられ、これらのうちでもスルホニウム塩類、ベンゾチアゾニウム塩類が好ましく用いられる。
【0077】
本発明の樹脂組成物は、上記の各成分を、好ましくは適当な溶媒中に均一に溶解または分散することにより調製される。使用される溶媒としては、組成物の各成分を溶解または分散し、各成分と反応しないものが好ましく用いられる。
このような溶媒としては、アルコール類、エーテル類、グリコールエーテル類、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールアルキルエーテルプロピオネート類、芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類等を挙げることができる。
これらの具体例としては、例えば、アルコール類として、メタノール、エタノール、ベンジルアルコールなど;
エーテル類として、テトラヒドロフランなど;
グリコールエーテル類として、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなど;
エチレングリコールアルキルエーテルアセテート類として、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなど;
ジエチレングリコールモノアルキルエーテル類として、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなど;
ジエチレングリコールジアルキルエーテル類として、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルなど;
プロピレングリコールモノアルキルエーテル類として、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテルなど;
プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類として、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテートなど;
プロピレングリコールアルキルエーテルプロピオネート類として、プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールブチルエーテルプロピオネートなど;
芳香族炭化水素類として、トルエン、キシレンなど;
ケトン類として、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、メチルイソアミルケトンなど;
エステル類として、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−ヒドロキシプロピオン酸プロピル、3−ヒドロキシプロピオン酸ブチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸プロピル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸プロピル、エトキシ酢酸ブチル、プロポキシ酢酸メチル、プロポキシ酢酸エチル、プロポキシ酢酸プロピル、プロポキシ酢酸ブチル、ブトキシ酢酸メチル、ブトキシ酢酸エチル、ブトキシ酢酸プロピル、ブトキシ酢酸ブチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸ブチル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−エトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸ブチル、2−ブトキシプロピオン酸メチル、2−ブトキシプロピオン酸エチル、2−ブトキシプロピオン酸プロピル、2−ブトキシプロピオン酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸プロピル、3−エトキシプロピオン酸ブチル、3−プロポキシプロピオン酸メチル、3−プロポキシプロピオン酸エチル、3−プロポキシプロピオン酸プロピル、3−プロポキシプロピオン酸ブチル、3−ブトキシプロピオン酸メチル、3−ブトキシプロピオン酸エチル、3−ブトキシプロピオン酸プロピル、3−ブトキシプロピオン酸ブチルなどが、それぞれ挙げられる。
これらのうち、アルコール類、ジエチレングリコール類、プロピレングリコールアルキルアセテート類、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類が好ましく、特に、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチルが好ましい。
溶媒の使用量としては、本発明の組成物中の全固形分(溶媒を含む組成物の総量から溶媒の量を除いた量)の含有量が好ましくは1〜50重量%、より好ましくは5〜40重量%となるような範囲である。
前記の溶媒とともに高沸点溶媒を併用することができる。ここで併用できる高沸点溶媒としては、例えばN−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテートなどが挙げられる。
高沸点溶媒を併用する際の使用量としては、全溶媒量に対して好ましくは90重量%以下、さらに好ましくは80重量%以下である。
上記のようにして調製された組成物は、孔径0.2〜3.0μm、好ましくは孔径0.2〜0.5μm程度のミリポアフィルタなどを用いて濾別した後、使用に供することもできる。
【0078】
カラーフィルタの保護膜の製造
次に、本発明の組成物を用いてカラーフィルタの保護膜を製造する方法について説明する。
本発明の樹脂組成物溶液を基板表面に塗布し、プレベークして溶媒を除去することにより塗膜を形成したのち、加熱処理をすることにより目的とするカラーフィルタの保護膜を製造することができる。
上記基板として使用できるものとしては、例えばガラス、石英、シリコン、樹脂等の基板が使用することができる。樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド、ならびに環状オレフィンの開環重合体およびその水素添加物の如き樹脂を挙げることができる。
塗布方法としては、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法、バー塗布法、インクジェット法などの適宜の方法を採用することができ、特にスピンコーター、スピンレスコーター、スリットダイコーターを用いた塗布が好適に使用できる。
【0079】
上記プレベークの条件としては、各成分の種類や配合割合などによっても異なるが、通常70〜90℃で1〜15分間程度の条件を採用できる。塗膜の厚さとしては好ましくは0.15〜8.5μm、より好ましくは0.15〜6.5μm、さらに好ましくは0.15〜4.5μmとすることができる。なお、ここでいう塗膜の厚さは、溶媒除去後の厚さとして理解されるべきである。
塗膜形成後の加熱処理は、ホットプレートやクリーンオーブンなどの適宜の加熱装置により実施することができる。処理温度としては、150〜250℃程度が好ましく、加熱時間は、ホットプレート使用の場合は5〜30分間、オーブン使用の場合は、30〜90分間の処理時間を採用することができる。
【0080】
カラーフィルタの保護膜
このように製造された保護膜は、その膜厚が好ましくは0.1〜8μm、より好ましくは0.1〜6μm、さらに好ましくは0.1〜4μmである。なお、本発明の保護膜がカラーフィルタの段差を有する基板上に形成される場合には、上記の膜厚は、カラーフィルタの最上部からの厚さとして理解されるべきである。
本発明の保護膜は、下記する実施例から明らかなように、密着性、表面硬度、透明性、耐熱性、耐光性、耐溶剤性などの諸性能に優れた光デバイス用保護膜として好適である。
【実施例】
【0081】
化合物(B)の合成例
下記化合物(B−1)、(B−2)、(B−3)を合成した。
【0082】
合成例1
レゾルシノール22.0g(200mmol)をエタノール45mLに溶解させ塩酸15mL加えた。この溶液を撹拌しながら5℃まで氷冷し、グルタルアルデヒドの50%水溶液10.0g(50mmol)をゆっくりと滴下した。その後、80℃で48時間加熱し、濁った黄色の溶液が得られた。この懸濁液をメタノール中に注いだ後、ろ過し、沈殿物を得た。その後、得られた沈殿物をメタノールで3回洗浄した。洗浄した沈殿物は室温で24時間減圧乾燥し、粉末状の淡黄色固体(n)を得た(収量:11.2g(収率:79%))。
【0083】
得られた淡黄色固体(n)の構造確認は、MALDI−TOF−MS(型番SHIMAZU/KRATOSマトリックス支援レーザーイオン化飛行時間型質量分析装置 KOMPACT MALDI IV tDE、島津製作所社製)、IR(型番FT−IR 420型、日本分光社製)、及びH−NMR(型番JNM−ECA−500型、日本電子社製)で行った。これらの結果を以下に示す。
【0084】
MALDI−TOF−MS:分子量1705の化合物のみが得られたことが示された。
【0085】
IR(film法):(cm−1
3406(νOH);2931(νC−H);1621、1505、1436(νC=C(aromatic)
【0086】
H−NMR(500MHz、溶媒DMSO−d、内部標準TMS):δ(ppm)=0.86〜2.35(b,12.0H)、3.98〜4.22(m,4.0H)、6.09〜7.42(m,8.0H)、8.65〜9.56(m,8.0H)
【0087】
得られた淡黄色固体(n)3.5g(2.05mmol、OH当量49.2mmol)を1−メチル−2−ピロリドン40gに加えた後、更にテトラブチルアンモニウムブロマイド0.8gを加え、70℃で4時間攪拌し溶解させた。溶解後、炭酸カリウム3.3gを加え、70℃で1時間撹拌した。
塩形成後、エピクロロヒドリン2.73g(29.5mmol)更に加え、80℃で48時間撹拌した。反応終了後、酢酸エチルで希釈し、蒸留水で3回洗浄後、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥剤をろ別後濃縮し、良溶媒にクロロホルム、貧溶媒にn−ヘキサンを用いて再沈殿を行い、化合物(B−1)を得た。
【0088】
得られた化合物(B−1)の構造確認を、IR、H−NMR、及びMALDI−TOF−MSで行ったところ、化合物(B−1)は、全てのRのうち40モル%がグリシジル基であり、残りのRが水素原子である一般式(2)で表される化合物であった。
【0089】
合成例2
上記合成例1で得られた化合物(B−1)を2.0g塩化メチレン溶液に溶解させ、更にテトラブチルアンモニウムブロマイド0.8gを加え、アクリル酸2.18g(29.5mmol)を徐々に加え、50℃で4時間攪拌し反応させた。
反応終了後、反応液を希塩酸水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、蒸留水で洗浄し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥剤をろ別後濃縮し、化合物(B−2)を得た。
【0090】
得られた化合物(B−2)の構造確認を、IR、H−NMRで行ったところ、アクリル酸は化合物(B−1)の全てのグリシジル基と反応しており、化合物(B−2)は、全てのRのうち40モル%が上記式(2−3)においてRが水素原子であり、j=0であり、k=1である基であり、残りのRが水素原子である一般式(2)で表される化合物であった。
【0091】
合成例3
実施例1と同様に合成した淡黄色固体(n)3.5g(2.05mmol、OH当量49.2mmol)を1−メチル−2−ピロリドン40gに加えた後、更にテトラブチルアンモニウムブロマイド0.8gを加え、70℃で4時間攪拌し溶解させた。その後、炭酸カリウム3.3gを加え、70℃で1時間撹拌した。
次いで、1−ブロモオクタン5.70g(29.5mmol)更に加え、80℃で48時間撹拌した。反応終了後、酢酸エチルで希釈し、蒸留水で3回洗浄後、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥剤をろ別後濃縮し、良溶媒にクロロホルム、貧溶媒にn−ヘキサンを用いて再沈殿を行い、化合物(B−3)を得た。
【0092】
得られた化合物(B−3)の構造確認を、IR、H−NMR、及びMALDI−TOF−MSで行ったところ、化合物(B−3)は、全てのRのうち43モル%がオクチル基であり、残りのRが水素原子である一般式(2)で表される化合物であった。
【0093】
〔A〕重合体の合成例
合成例4
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル5重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200重量部を仕込んだ。引き続きメタクリル酸グリシジル70重量部、スチレン30重量部を仕込み窒素置換した後ゆるやかに攪拌を始めた。溶液温度を95℃に上昇させ、この温度を5時間保持し共重合体(A−1)を含む共重合体溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度は32.8%であった。
【0094】
合成例5
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル5重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200重量部を仕込んだ。引き続き3−エチル−3−メタアクリロイロキシメチルオキセタン80重量部、スチレン20重量部を仕込み窒素置換した後ゆるやかに攪拌を始めた。溶液温度を95℃に上昇させ、この温度を5時間保持し共重合体(A−2)を含む重合体溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度は、33.0%であった。
【0095】
合成例6
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル5重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200重量部を仕込んだ。引き続きメタクリル酸グリシジル70重量部、スチレン15重量部、およびN−シクロヘキシルマレイミド15重量部を仕込み窒素置換した後ゆるやかに攪拌を始めた。溶液温度を95℃に上昇させ、この温度を5時間保持し共重合体(A−3)を含む共重合体溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度は、33.1%であった。
【0096】
合成例7
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル5重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200重量部を仕込んだ。引き続きメタクリル酸グリシジル60重量部、スチレン10重量部、およびトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルメタクリレート30重量部を仕込み窒素置換した後ゆるやかに攪拌を始めた。溶液温度を95℃に上昇させ、この温度を5時間保持し共重合体(A−4)を含む共重合体溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度は、32.9%であった。
【0097】
合成例8
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200重量部を仕込んだ。引き続きメタクリル酸グリシジル50重量部、スチレン15重量部、およびN−シクロヘキシルマレイミド15重量部、メタクリル酸20重量部を仕込み窒素置換した後ゆるやかに攪拌を始めた。溶液温度を95℃に上昇させ、この温度を5時間保持し共重合体(A−5)を含む重合体溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度は、33.0%であった。
【0098】
合成例9
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200重量部を仕込んだ。引き続きメタクリル酸グリシジル50重量部、スチレン10重量部、およびアリルメタクリレート40重量部を仕込み窒素置換した後ゆるやかに攪拌を始めた。溶液温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持し共重合体(A−6)を含む重合体溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度は、32.6%であった。
【0099】
合成例10
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200重量部を仕込んだ。引き続き3−エチル−3−メタアクリロイロキシメチルオキセタン60重量部、スチレン10重量部、およびアリルメタクリレート30重量部を仕込み窒素置換した後ゆるやかに攪拌を始めた。溶液温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持し共重合体(A−7)を含む重合体溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度は、32.7%であった。
【0100】
合成例11
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル5重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200重量部を仕込んだ。引き続きメタクリル酸グリシジル45重量部、3−エチル−3−メタアクリロイロキシメチルオキセタン40重量部、スチレン15重量部を仕込み窒素置換した後ゆるやかに攪拌を始めた。溶液温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持し共重合体(A−8)を含む重合体溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度は、33.3%であった。
【0101】
合成例12
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200重量部を仕込んだ。引き続きスチレン20重量部、およびN−ヒクロヘキシルマレイミド20重量部、メタクリル酸20重量部、メタクリル酸グリシジル20重量部、1−エチルシクロヘキシルメタクリレート20重量部を仕込み窒素置換した後ゆるやかに攪拌を始めた。溶液温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持し共重合体(A−9)を含む重合体溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度は、32.6%であった。
【0102】
合成例13
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200重量部を仕込んだ。引き続きスチレン20重量部、およびN−シクロヘキシルマレイミド20重量部、メタクリル酸20重量部、メタクリル酸グリシジル20重量部、1−エチルシクロペンチルメタクリレート20重量部を仕込み窒素置換した後ゆるやかに攪拌を始めた。溶液温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持し共重合体(A−10)を含む重合体溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度は、32.7%であった。
【0103】
合成例14
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200重量部を仕込んだ。引き続きスチレン20重量部、およびN−シクロヘキシルマレイミド20重量部、メタクリル酸20重量部、メタクリル酸グリシジル20重量部、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルエステル20重量部を仕込み窒素置換した後ゆるやかに攪拌を始めた。溶液温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持し共重合体(A−11)を含む重合体溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度は、32.4%であった。
【0104】
実施例1
組成物溶液の調製
上記合成例4で得られた共重合体(A−1)100重量部(固形分換算)、B成分として化合物(B−2)10重量部、硬化剤としてヘキサヒドロ無水フタル酸40重量部、硬化促進剤として2−フェニル−4−メチルイミダゾール0.1重量部、界面活性剤としてSH−28PA(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)0.1重量部を加え、さらに固形分濃度が20%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートおよびジエチレングリコールエチルメチルエーテルを8対2の比率で添加した後、孔径0.5μmのミリポアフィルタで濾過して樹脂組成物を調製した。
スピンナーを用いて上記組成物を、SiOディップガラス基板上に塗布した後、ホットプレート上で80℃、5分間プレベークして塗膜を形成し、さらにオーブン中で230℃にて60分間加熱処理して膜厚1.5μmの保護膜を形成した。
【0105】
保護膜の評価
(1)透明性の評価
上記のようにして形成した保護膜を有する基盤について、分光光度計(150−20型ダブルビーム(日立製作所(株)製))を用いて400〜800nm能登か率を測定した。400〜800nmの透過率の最小値を表1に示した。この値が95%以上のとき、保護膜の透明性は良好といえる。
【0106】
(2)耐熱寸法安定性の評価
上記のようにして形成した保護膜を有する基板について、オーブン中250℃で1時間の条件で加熱し、加熱前後の膜厚を測定した。下記式にしたがって算出した耐熱寸法安定性を表1に示した。この値が95%以上のとき、耐熱寸法安定性は良好といえる。
耐熱寸法安定性=(加熱後の膜厚)/(加熱前の膜厚)×100(%)
【0107】
(3)耐熱変色性の評価
上記のようにして形成した保護膜を有する基板について、オーブン中250℃で1時間加熱し、加熱前後の透明性を、上記(1)と同様にして測定した。下記式にしたがって算出した耐熱変色性を表1に示した。この値が5%以下のとき、耐熱変色性は良好といえる。
耐熱変色性=加熱前の透過率−加熱後の透過率(%)
【0108】
(4)鉛筆硬度の測定
上記のようにして形成した保護膜を有する基板について、JIS K−5400−1990の8.4.1鉛筆引っかき試験により保護膜の表面硬度を測定した。この値を表1に示す。この値が6Hまたはそれより硬いとき、表面硬度は良好といえる。
【0109】
(5)密着性の評価
上記のようにして形成した保護膜を有する基板について、JIS K−5400−1990の8.5.3付着性碁盤目テープ法により保護膜の密着性(SiOに対する密着性)を評価した。碁盤目100個中、残った碁盤目の数を表2に示した。
また、Crに対する密着性の評価として、SiOディップガラス基板の代わりにCr基板を用いた他は上記と同様にして膜厚1.5μmの保護膜を形成し、上記の碁盤目テープ法により同様に評価した。結果は表1に示した。
【0110】
(6)昇華物の評価
スピンナーを用いて上記組成物を、SiO2ディップガラス基板上にプレベーク後膜厚が2.0μmになるように塗布した後、プレベークする基板の1〜2cm上にガラスウエハーをセットして、ホットプレート上で80℃、5分間プレベークすることによって昇華物をガラスウエハー上に付着させた。その後、ヘイズメーターを用いて昇華物の付着した基板のヘイズ値を測定することにより昇華物の有無を評価した。昇華物が多い(アウトガスが多い)場合、ヘイズ値は高く(ヘイズ値>1)観測され、昇華物が無い(アウトガスが無い)場合にはヘイズ値はほとんど0に近い値を示す。
【0111】
実施例2〜12および比較例1〜5
組成物の各成分の種類および量を表1に記載の通りとし、表1に記載の溶媒を使用して表1記載の固形分濃度に合わせた他は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製した。
上記のように調製した保護膜形成用の趣旨組成物を使用し、実施例1と同様に保護膜を
形成し、評価した。結果を表1に示した。
【0112】
【表1】

【0113】
なお、表1において、B成分、硬化剤(C成分)、硬化促進剤(D成分)、多官能性化合物(E成分)、界面活性剤(F成分)および溶媒の略称は、それぞれ以下のものを表す。
表1中、−印は、該成分が添加されていないことを示す。
B−1〜B−3:上記合成例に記載
C−1:ヘキサヒドロ無水フタル酸
C−2:トリメリット酸無水物
C−3:スチレン/無水マレイン酸共重合体
C−4:スチレン/シクロヘキシルマレイミド/無水マレイン酸共重合体
D−1:2−フェニル−4−メチルイミダゾール
D−2:2−フェニル−4−メチルイミダゾール−5−ヒドロキシメチルイミダゾール
D−3:2−フェニル−1−ベンジルイミダゾール
D−4:1−ベンジル−2−メチルイミダゾール
E−1:ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製 商品名:エピコート828)
E−2:ノボラック型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製 商品名:エピコート154)
E−3:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製 商品名:KAYARAD DPHA)
E−4:ペンタアクリオイロキシジペンタエリスリトールコハク酸{別名:[3−(3−アクリロイロキシ−2,2−ビス-アクリロイロキシメチル-プロピル)−2,2−ビス-アクリロイロキシメチル-プロピル]エステル、略称:PADPS}
F−1:シリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製商品名:SH−28PA)
F−2:シリコーン系界面活性剤(ビックケミー・ジャパン(株)製 商品名:Byk−344)
F−3:フッ素系界面活性剤 ((株)ネオス社製 商品名:フタージェントFTX−218)
F−4:シリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製商品名:PAINTAD19)
S−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
S−2:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル
【0114】
評価結果を、表1に示す。
表1中、−印は、評価未実施であることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
〔A〕オキシラニル基またはオキセタニル基を有する重合性不飽和化合物に由来する繰り返し単位を有する重合体、および〔B〕下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
【化1】

(一般式(1)において、Rは相互に独立に水素原子、炭素数1〜15のアルキル基、重合性官能基を有する基、炭素数1〜6のアルコキシ基を有する基またはカルボキシル基を有する基である。但し、Rはその少なくとも一つが炭素数1〜15のアルキル基、重合性官能基を有する基、炭素数1〜6のアルコキシ基を有する基またはカルボキシル基を有する基である。Xは相互に独立にメチレン基または炭素数2〜8の置換もしくは非置換のアルキレン基であり、Yは相互に独立に炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル基、炭素数2〜10の置換もしくは非置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換もしくは非置換のアルキニル基、炭素数7〜10の置換もしくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルコキシ基、または置換もしくは非置換のフェノキシ基である。qは相互に独立に0または1である。)
【請求項2】
一般式(1)において、Xがプロピレン基、qが0である請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
一般式(1)において、Rが炭素数1〜15の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数3〜8の環状のアルキル基、(メタ)アクリロイル基または下記一般式(2−1)〜(2−4)で表される基である請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【化2】

(一般式(2−1)において、Rはカルボキシル基、置換もしくは非置換のオキシラニル基、置換もしくは非置換のオキセタニル基またはビニル基であり、nは1〜3の整数である。一般式(2−2)において、Rはエチレン基またはプロピレン基であり、Rはエチル基またはプロピル基であり、lは0〜3の整数であり、mは1〜3の整数である。一般式(2−3)において、Rは水素原子またはメチル基であり、iは2〜5の整数であり、jは0〜10の整数である。一般式(2−4)にいて、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは単結合、メチレン基、炭素数2〜6のアルキレン基、シクロヘキサン−1,2−ジイル基または1,2−フェニレン基であり、hは1〜3の整数である。「*」は結合手であることを示す。)
【請求項4】
カラーフィルタの保護膜製造用である請求項1〜3に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の熱硬化性樹脂組成物から製造されたカラーフィルタの保護膜。
【請求項6】
基板上に、請求項4に記載の熱硬化性樹脂組成物を用いて塗膜を形成し、次いで加熱処理することを特徴とする、カラーフィルタの保護膜の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の保護膜を具備してなる液晶表示素子。

【公開番号】特開2009−203344(P2009−203344A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46787(P2008−46787)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】