説明

熱硬化性樹脂組成物

【課題】基材との密着性、低反り性、耐腐食性、絶縁信頼性に優れ、且つ、基材へのタック性低減を可能にする優れた硬化物を形成可能な熱硬化性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(A)(a)ジイソシアネート化合物及び(b)カルボキシル基を有するジヒドロキシ化合物を用いて得られるポリウレタン樹脂と、(B)エポキシ樹脂と、(C)硫酸バリウム微粒子と、(D)(d1)ハイドロタルサイト微粒子、及び/又は(d2)有機シラン化合物で処理したシリカ微粒子と、を含有する熱硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボキシル基含有ポリウレタンおよびそれを用いた熱硬化性樹脂組成物に関し、さらに詳しくは基材との密着性、低反り性、耐腐食性、絶縁信頼性に優れた硬化物を与え、その硬化物はポリイミドフィルムへのタック性低減を可能とする優れた硬化物を形成可能なカルボキシル基含有ポリウレタン、及びそれを用いた熱硬化性樹脂組成物および皮膜材料形成用ペーストに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フレキシブル配線回路の表面保護膜は、カバーレイフィルムと呼ばれるポリイミドフィルムをパターンに合わせた金型をつくり打ち抜いたのち、接着剤を用いて張り付けるタイプや、可とう性を持たせた紫外線硬化型、または熱硬化型の樹脂組成物ペーストをスクリーン印刷法により塗布するタイプのものであり、特に後者は作業性の点で有用であった。
【0003】
これら硬化タイプの樹脂組成物ペーストとしては、主にエポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、あるいはこれらの複合系よりなるものが知られている。
【0004】
これらは、特にブタジエン骨格、シロキサン骨格、ポリカーボネートジオール骨格、長鎖脂肪族骨格等の導入などの変性を行った樹脂を主成分とすることが多く、これにより、表面保護膜が本来備える耐熱性や、耐薬品性、電気絶縁性の低下を押さえながら、柔軟性の向上や、硬化収縮による反りの発生の抑制を行ってきた。
【0005】
しかしながら、近年、電子機器の軽量小型化に伴いフレキシブル基板も軽薄化が進み、これに伴い、フレキシブル基板の表面保護膜は、高柔軟性及び低収縮のものが求められている。
【0006】
このため、従来の硬化タイプの樹脂組成物ペーストでは、柔軟性や硬化収縮による反りの点で、要求性能を満足できなくなっているのが現状である。
【0007】
例えば、特許文献1には、ポリブタジエンのブロックイソシアネートとポリオールを用いる樹脂組成物が開示されているが、その硬化物は柔軟性や収縮率の点で優れているものの、耐熱性が十分ではない。
【0008】
特許文献2には、ポリカーボネートジオールとジイソシアネート化合物とを反応させて得られた両末端ジイソシアネートポリウレタンとトリメリット酸とを反応させたポリアミドイミド樹脂が知られているが、その硬化物の電気特性の長期信頼性が十分でないという欠点があった。
【0009】
また、特許文献3にはオルガノシロキサン骨格を備えたポリアミドイミド樹脂が開示されているが、その硬化物と基材との密着性が良くない上に、N−メチル−2−ピロリドンのような特殊な溶媒を使用する必要があり、特にスクリーン印刷時に乳剤を溶解させることがあるので、問題となることがあった。
【0010】
また、特許文献4には、カルボキシル基含有ポリウレタン、該カルボキシル基含有ポリウレタンを含有する溶液、および該溶液を含有するソルダーレジストインキについて開示されているが、その硬化物の耐腐食性、絶縁信頼性、ポリイミドフィルムと重ねた際に張り付き性に問題があった。
【特許文献1】特開平11−61038号公報
【特許文献2】特開2004−137370号公報
【特許文献3】特開2004−182792号公報
【特許文献4】特開2006−348278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであり、基材との密着性、低反り性、耐腐食性、絶縁信頼性に優れ、且つ、基材へのタック性低減を可能にする優れた硬化物を形成可能な熱硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0012】
さらに本発明は、ポリイミド基材との密着性、低反り性、耐腐食性、絶縁信頼性に優れた硬化物を与え、その硬化物はポリイミドフィルム基材へのタック性低減を可能とする優れた硬化物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、前記の課題を解決するため鋭意研究した結果、特定の構造を有するポリブタジエンポリオールに由来する構造を有するカルボキシル基含有ポリウレタン、または少なくとも該ポリオールと、ポリイソシアネート化合物と、カルボキシル基を含有するヒドロキシ化合物とを反応させてなるカルボキシル基含有ポリウレタンと高充填が可能な無機粒子または、有機粒子を含有してなるソルダーレジストインキを硬化してなる硬化物が、基材との密着性、耐腐食性、高温高湿時の長期絶縁信頼性に優れた硬化物を与え、その硬化物はフレキシブル配線板の基材であるポリイミドフィルムへのタック性低減に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、(A)(a)ジイソシアネート化合物及び(b)カルボキシル基を有するジヒドロキシ化合物を用いて得られるウレタン樹脂と、(B)エポキシ樹脂と、(C)硫酸バリウム微粒子と、(D)(d1)ハイドロタルサイト微粒子、及び/又は(d2)有機シラン化合物で処理したシリカ微粒子と、を含有する熱硬化性樹脂組成物である。
【0015】
ポリウレタン樹脂(A)は、(a)ジイソシアネート化合物と、(b)カルボキシル基を有するジヒドロキシ化合物と、(c)ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水素化ポリブタジエンポリオール及び水素化ポリイソプレンポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むポリオールと、を用いて得られるものであることが好ましい。
【0016】
ジイソシアネート化合物(a)は、脂環式骨格を有するものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、基材との密着性、低反り性、耐腐食性、高温高湿時の長期絶縁信頼性に優れた硬化物を与え、その硬化物はポリイミドフィルムへのタック性低減に優れた硬化物、たとえば硬化膜の原料として好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0019】
以下、ポリウレタン樹脂(A)について説明する。本実施形態のポリウレタン樹脂(A)は、(a)ジイソシアネート化合物と、(b)カルボキシル基を有するジヒドロキシ化合物と、(c)(b)成分以外のポリオールとを用いて得られる。
このポリウレタン樹脂(A)は、数平均分子量が1000〜200,000であり、1分子当たり1〜10個の水酸基を有することが好ましい。
【0020】
本実施形態に係る(c)ポリオールは、2以上の水酸基を有し、カルボキシル基を有しない化合物から構成される。好ましくは、(c)ポリオールは、(c1)ポリカーボネートジオールと、(c2)ポリブタジエンポリオールポリイソプレンポリオール、水素化ポリブタジエンポリオールおよび水素化ポリイソプレンポリオール)からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含む。(c)ポリオールとしては、低反り性及び張り付き性を抑制できる観点から、(c1)ポリカーボネートジオール及び(c2)ポリブタジエンポリオールを併用することが好ましい。
【0021】
以下、各成分について具体的な説明をする。
【0022】
(a)ジイソシアネート化合物;
(a)ジイソシアネート化合物としては、例えば、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3,2’−又は3,3’−又は4,2’−又は4,3’−又は5,2’−又は5,3’−又は6,2’−又は6,3’−ジメチルジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3,2’−又は3,3’−又は4,2’−又は4,3’−又は5,2’−又は5,3’−又は6,2’−又は6,3’−ジエチルジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3,2’−又は3,3’−又は4,2’−又は4,3’−又は5,2’−又は5,3’−又は6,2’−又は6,3’−ジメトキシジフェニルメタン−2,4’ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネ^ト、p−キシリレンジイソシアネート、ナフタレン−2,6−ジイソシアネート、4,4’−{2,2ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン}ジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネートを使用することが好ましい。これらは、単独で又は2種類以上を組合せて使用することができる。
【0023】
また、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネーロ、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、水添m−キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式イソシアネート及び3官能以上のポリイソシアネートを用いてもよく、経日変化を避けるために必要なブロック剤で安定化したものを使用してもよい。ブロック剤としては、アルコール、フェノール、オキシム等があるが、特に制限はない。
【0024】
これらの中でも特にイソシアネート基(NCO基)中の炭素原子以外の炭素原子数が6〜30である脂環式化合物を用いた場合に、本発明の硬化物は、特に高温高湿時の長期絶縁信頼性について優れた性能を発現する。
【0025】
上記脂環式化合物は、ジイソシアネート化合物(a)の総量(100mol%)に対して、10mol%以上、好ましくは20mol%、さらに好ましくは30mol%以上含まれることが望ましい。
【0026】
(b)カルボキシル基を含有するジヒドロキシ化合物;
本発明で用いられるカルボキシル基を含有するジヒドロキシ化合物(b)としては、具体的には2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、N,N−ビスヒドロキシエチルグリシン及びN,N−ビスヒドロキシエチルアラニンから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。この中でも溶媒への溶解度から2,2−ジメチロールプロピオン酸及び2,2−ジメチロールブタン酸が特に好ましい。
【0027】
これらのカルボキシル基を含有するジヒドロキシ化合物は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
(c)ポリオール;
ポリオール(c1)としては、例えば、ダイセル化学(株)製の商品名PLACCEL、CD−205、205PL、205HL、210PL、210HL、220、220PL、220HL、旭化成ケミカルズ(株)製の商品名PCDL、グレードT-6002、T-6001、T-5652、T-5651、T-5650J、T-4671、T-4692、T-4691のものが挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0029】
ポリオール(c1)の含有量としては、ポリウレタン樹脂(A)100mol%に対して、5〜50mol%が好ましく、10〜45mol%がより好ましく、15〜40mol%が特に好ましい。
【0030】
ポリオール(c2)としては、1,4−繰り返し単位を主に有する水酸基化ポリブタジエン(例えば、Poly bd R-45HT、Poly bd R-15HT(出光興産(株)製))、水酸基化水素化ポリブタジエン(例えば、ポリテールH、ポリテールHA(三菱化学(株)製))、1,2−繰り返し単位を主に有する水酸基化ポリブタジエン(例えば、G−1000、G−2000,G−3000(日本曹達(株)製))、水酸基化水素化ポリブタジエン(例えば、GI−1000、GI−2000、GI−3000(日本曹達(株)製))、水酸基末端ポリイソプレン(例えば、Poly IP(出光興産(株)製))、水素化水酸基末端ポリイソプレン(例えば、エポール(出光興産(株)製))が挙げられる。
【0031】
また、多価の水酸基を持つポリオール(c1)は、前記のポリブタジエンまたはポリイソプレンを、水和またはエポキシ化した後に、加水分解することにより得ることが出来る。
【0032】
特に生成したポリウレタン樹脂(A)の溶媒への溶解性を考慮すると、分岐骨格を有するポリオールが好ましく、このようなポリオールとしては、1,2−繰り返し単位を主に有する水酸基化ポリブタジエン、水酸基化水素化ポリブタジエン、水酸基末端ポリイソプレン、水素化水酸基末端ポリイソプレンが挙げられる。
【0033】
ポリオール(c2)の含有量としては、ポリウレタン樹脂(A)100mol%に対して、0.1〜10mol%が好ましく、0.5〜7.5mol%がより好ましく、1〜5mol%が特に好ましい。
【0034】
ポリウレタン樹脂(A)の溶媒への溶解性や他の樹脂系への相溶性の点では、水素化されていないポリオールが、本発明の硬化物の耐候性、電気絶縁特性の点では、水素化されたポリオールが好ましい。
【0035】
またウレタン化の際のゲル化、生成物の耐熱性等を考慮すると、両末端に水酸基を有するポリオールが特に好ましい。したがって、ポリオール(c2)の数平均分子量の範囲は好ましくは500〜5,000、さらに好ましくは1,000〜4,000である。
【0036】
また、1分子当たりの水酸基数は1〜10個、好ましくは2〜4個、特に好ましくは2個である。上記ポリオール(c2)としては、数平均分子量が500〜5,000であり、1分子当たり2〜4個の水酸基を有するポリブタジエンポリオール及び/又は水素化ポリブタジエンポリオールが特に好ましい。
【0037】
カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂(A);
本発明のカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂(A)の数平均分子量は1,000〜200,000であることが好ましく、2,000〜60,000が更に好ましい。分子量が1,000未満では、硬化膜の伸度、可撓性、強度を損なう可能性があり、200,000を超えると溶媒への溶解性が低くなる上に、溶解しても粘度が高くなりすぎ、使用面で制約が大きくなることがある。
【0038】
本発明のカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂(A)としては、数平均分子量が1,000〜200,000であり、かつ酸価が5〜120mgKOH/gであるカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂が好ましく、数平均分子量が2,000〜60,000であり、かつ酸価が10〜70mgKOH/gであるカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂がさらに好ましい。
【0039】
なお、本明細書において、樹脂の酸価は以下の方法により測定した値である。
100ml三角フラスコに試料約0.2g程度を精密天秤にて精秤し、これにアセトン溶媒10mlを加えて溶解する。
更に、この容器に指示薬としてフェノールフタレインエタノール溶液を1〜3滴添加し、試料が均一になるまで十分に攪拌する。
これを、0.1N水酸化カリウム−エタノール溶液で滴定し、指示薬の微紅色が30秒間続いたときを、中和の終点とする。
その結果から下記の計算式を用いて得た値を、樹脂の酸価とする。
【0040】
酸価(mgKOH/g)=〔B×f×5.611〕/S
B:0.05N水酸化カリウム−エタノール溶液の使用量(ml)
f:0.05N水酸化カリウム−エタノール溶液のファクター
S:試料の採取量(g)
【0041】
前記有機溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン、ニトロベンゼン、シクロヘキサン、イソホロン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ブチルジグリコールアセテート、メトキシプロピオン酸メチル、メトキシプロピオン酸エチル、エトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、クロロホルム及び塩化メチレン等を挙げることができる。これらの中でも、ポリウレタン樹脂への溶解性の観点から、γ−ブチロラクトン、ブチルジグリコールアセテート等が好ましい。
【0042】
有機溶剤の使用量については、生成するポリウレタン樹脂(A)の0.8〜5.0倍(重量比)とすることが好ましい。0.8倍未満では、合成時の粘度が高すぎて、攪拌不能により合成が困難となる傾向があり、5.0倍を超えると、反応速度が低下する傾向がある。
【0043】
原料の仕込み方としては、特に制約はないが、通常はカルボキシル基を含有するジヒドロキシ化合物(b)およびポリオール化合物(c)を先に仕込み、溶媒に溶解させた後、20〜150℃、より好ましくは60〜120℃で、前記ジイソシアネート化合物(a)を滴下しながら加え、その後、50〜160℃、より好ましくは60℃〜130℃でこれらを反応させる。
【0044】
反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件により適宜選択することができる。また、必要に応じて、三級アミン類、アルカリ金属、アルカリ土類金属、錫、亜鉛、チタニウム、コバルト等の金属又は半金属化合物等の触媒存在下に反応を行っても良い。また、合成終了後に樹脂末端のイソシアネート基をアルコール類、ラクタム類、オキシム類等のブロック剤でブロックすることもできる。
【0045】
次に、エポキシ樹脂(B)について説明する。本発明に用いられるエポキシ樹脂(B)としては、例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製の商品名エピコート828、1002、1004等のビスフェノールA型エポキシ樹脂; ジャパンエポキシレジン(株)製の商品名エピコート806、807、4005P、東都化成(株)製の商品名YDF−170等のビスフェノールF型エポキシ樹脂; ジャパンエポキシレジン(株)製の商品名エピコート152、154、日本化薬(株)製の商品名EPPN−201、ダウケミカル社製の商品名DEN−438等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂; 日本化薬(株)製の商品名EOCN−125S、103S、104S等のo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂; ジャパンエポキシレジン(株)製の商品名エピコートYX−4000,YL−6640、エピコートYL-6121H等のビフェニル型エポキシ樹脂; ジャパンエポキシレジン(株)製の商品名エピコート1031S、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の商品名アラルダイト0163、ナガセケミテックス(株)製の商品名デナコールEX−611、EX−614、EX−614B、EX−622、EX−512、EX−521、EX−421、E−411、EX−321等の多官能エポキシ樹脂; ジャパンエポキシレジン(株)製の商品名エピコート604、東都化成(株)製の商品名YH−434、三菱ガス化学(株)製の商品名TETRAD−X、TETRAD−C、日本化薬(株)製の商品名GAN、住友化学(株)製の商品名ELM−120等のアミン型エポキシ樹脂; チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の商品名アラルダイトPT810等の複素環含有エポキシ樹脂; UCC社製のERL4234、4299、4221、4206、ダイセル化学(株)製のエポリードGT−401等の脂環式エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエンなどが挙げられ、これらは1種単独で又は2種類以上組み合わせて使用することができる。
【0046】
これらのエポキシ樹脂のうち、機械的特性、密着性及び耐屈曲性の点でビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アミン型エポキシ樹脂が好ましい。
【0047】
また、エポキシ当量は155〜20,000、更に好ましくは155〜1,000であることが望ましい。
【0048】
前記エポキシ樹脂(B)の含有量は、前記カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂(A)100質量部に対して、1〜100質量部が好ましく、2〜50質量部がより好ましく、3〜30質量部が特に好ましい。
【0049】
エポキシ樹脂(B)の含有量が1質量部未満では、硬化物の耐熱性、密着性及び耐屈曲性が低下する場合があり、100質量部を超えると硬化物の低反り性や機械強度が低下する場合がある。
【0050】
前記カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂(A)中のカルボキシル基と前記エポキシ樹脂(B)中のエポキシ基の当量比〔(エポキシ樹脂(B)中のエポキシ基の数)/(ポリウレタン樹脂(A)中のカルボキシル基の数)〕は、0.3〜2.0が好ましく、更に好ましくは0.5〜1.8であり、最も好ましくは、0.8〜1.5である。
【0051】
前記当量比が0.3よりも少ないと熱硬化性樹脂組成物の硬化性が低下することがあり、当量比が2.0よりも多いと保存安定性が低下することがある。
【0052】
エポキシ樹脂の添加方法としては、添加するエポキシ樹脂を予めポリウレタン樹脂に含まれる溶媒と同一の溶媒に溶解してから添加することが好ましい。
【0053】
(C)成分
本発明の(C)成分は硫酸バリウム微粒子であり、高充填効果による平滑性の向上の理由から腐食性を向上できる効果がある。
【0054】
本発明の(C)成分は硫酸バリウム微粒子としては、例えば、堺化学(株)製の商品名B-30、B-31、B-32、B-33、B-34、B-35、B-35T、B-55などとして商業的に入手可能である。
【0055】
硫酸バリウム微粒子の含有量は、(A)成分100重量部に対して10〜60重量部であることが好ましく、15〜45重量部とすることがより好ましく、20〜30重量部とすることが特に好ましい。硫酸バリウム微粒子の含有量が5重量部未満となると、平滑性向上の効果が不十分になる傾向があり、60重量部以上では(A)成分と混ざり合わないと言った不具合などの影響がでてくる傾向がある。
【0056】
(D)成分
本発明の(D)成分は、微粒子による平滑性の向上と熱安定性の向上ならびに、炭酸イオンの置換作用の理由から腐食性と絶縁信頼性を向上できる効果がある。
【0057】
以下に、本発明の(D)成分について説明する。
(d1)成分(ハイドロタルサイト)
ハイドロタルサイトは、下記の化学組成式で表されるマグネシウムとアルミニウムの化合物であり、層状構造を有する。
MgAl(OH)2x+4CO・nH
ハイドロタルサイトとしては、例えば、堺化学(株)のSTABIACE HT-1、STABIACE HT-7、STABIACE HT-P等が挙げられる。
【0058】
本発明の熱硬化性樹脂に含有させるハイドロタルサイトは、制酸剤の作用があり、カルボキシル基を有する樹脂を含む樹脂組成物の増粘を軽減できる効果がある。また、ハイドロタルサイトは、炭酸基が解離して炭酸イオン(CO2−)を生成し、この炭酸イオンが樹脂組成物中に含まれる塩化物イオン(Cl)及び/又は硫酸イオン(SO)と置換する作用を有している。塩化物イオン(Cl)及び/又は硫酸イオン(SO)が硬化被膜中に存在すると絶縁信頼性に悪影響を及ぼすが、前記炭酸イオンとの置換作用により絶縁信頼性を向上することができる。しかし、過剰な含有量は印刷外観上不具合を生じ、好ましくない。さらに、本発明の樹脂組成物にハイドロタルサイトを配合することにより、本発明の樹脂組成物の硬化被膜により保護した配線板において、腐食を抑制することができるという効果が得られる。
【0059】
ハイドロタルサイトを用いる場合の含有量は、(A)成分100重量部に対して1〜50重量部未満であり、5〜40重量部とすることがより好ましく、10〜20重量部とすることが特に好ましい。ハイドロタルサイトの含有量が1重量部未満となると、微粒子による平滑性の向上と熱安定性の向上ならびに、炭酸イオンの置換効果が不十分になる傾向があり、50重量部以上では加温時に発泡する不具合などの影響がでてくる傾向がある。
【0060】
(d2)成分(有機シラン化合物で処理したシリカ)
本発明の熱硬化性樹脂に含有させる有機シラン化合物で処理したシリカは、耐水性を付与することができるという効果が得られる。
【0061】
有機シラン化合物で処理していないシリカでは、耐水性が劣る傾向にある。有機シラン化合物で処理したシリカとしては、例えば、日本アエロジル(株)のAEROSIL R 104、AEROSIL R 106、AEROSIL R 805、AEROSIL R 812(商品名)等が挙げられる。
【0062】
前記有機シラン化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、ジメルジクロロシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、メタクリロキシシラン等が挙げられる。有機シラン化合物で処理したシリカの含有量は、(A)成分100重量部に対して0.01〜2.5重量部であることが好ましく、0.1〜1.0重量部とすることがより好ましく、0.2〜0.6重量部とすることが特に好ましい。有機シラン化合物で処理したシリカの含有量が0.01重量部未満となると、耐水性の効果が不十分になる傾向があり、2.5重量部以上では、はじき等の不具合などの影響がでてくる傾向がある。
【0063】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、前記(C)成分及び(D)成分以外の無機微粒子を含有させることができる。前記(C)成分及び(D)成分以外の無機微粒子としては、例えば、有機シラン化合物で処理していないシリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)、チタニア(TiO2)、酸化タンタル(Ta25)、ジルコニア(ZrO2)、窒化ケイ素(Si34)、チタン酸バリウム(BaO・TiO2)、炭酸バリウム(BaCO3)、チタン酸鉛(PbO・TiO2)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、酸化ガリウム(Ga23)、スピネル(MgO・Al23)、ムライト(3Al23・2SiO2)、コーディエライト(2MgO・2Al23/5SiO2)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、チタン酸アルミニウム(TiO2−Al23)、イットリア含有ジルコニア(Y23−ZrO2)、ケイ酸バリウム(BaO・8SiO2)、窒化ホウ素(BN)、炭酸カルシウム(CaCO3)、硫酸カルシウム(CaSO4)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸マグネシウム(MgO・TiO2)、有機ベントナイト、カーボン(C)等を使用することができ、これらの1種又は2種以上を使用することもできる。
【0064】
本発明の樹脂組成物に用いる(C)成分、(D)成分及びそれ以外の無機微粒子は、平均粒子径50μm以下、最大粒子径100μm以下の粒子径であることが好ましく用いられる。平均粒子径が50μmを超えると、後述するチキソトロピー係数が1.1以上の樹脂組成物ペーストが得られにくくなり、最大粒子径が100μmを超えると、樹脂組成物の塗膜の外観、密着性が不十分となる傾向がある。この(C)成分の平均粒子径は、より好ましくは、30μm以下、さらに好ましくは10μm以下、特に好ましくは1μm以下である。また、この(C)成分の最大粒子径は、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下、特に好ましくは40μm以下である。
【0065】
また有機微粒子としては、上記したカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂(A)又はその溶液と(B)成分のエポキシ樹脂又はその溶液中に分散してペーストを形成するものであれば、特に制限はない。
【0066】
このような有機の微粒子としては、アミド結合、イミド結合、エステル結合又はエーテル結合を有する耐熱性樹脂の微粒子が好ましい。これの樹脂としては、耐熱性および機械特性の観点から、好ましくはポリイミド樹脂若しくはその前駆体、ポリアミドイミド樹脂若しくはその前駆体、又はポリアミド樹脂が挙げられる。
【0067】
これらの無機及び/又は有機微粒子(C)の平均粒子径は、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.1〜5μmである。また、無機及び/又は有機微粒子(C)の配合量は、前記熱硬化性樹脂組成物100質量部に対して、1〜100質量部、好ましくは1〜30質量部である。
【0068】
皮膜形成材料用ペースト
本発明の皮覆形成材料用ペーストは、上記した本発明の熱硬化性樹脂組成物と非含窒素系極性溶媒とを含有してなる。
【0069】
上記熱硬化性樹脂組成物は、適当な有機溶媒に溶解または分散させて皮膜形成材料用のペーストすることが出来る。これらの有機溶媒としては、非含窒素系極性溶媒が望ましく、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒; ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホランなどの含硫黄系溶媒; γ−ブチロラクトン、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル系溶媒; シクロヘキサノン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒; トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒; 石油ナフサ等が挙げられ、これらは単独で又は2種類以上組み合わせて使用することができる。
【0070】
これらの中でも、熱硬化性樹脂組成物の低温硬化性、γ−ブチロラクトン、ブチルジグリコールアセテーテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートが特に好ましい。これらの溶媒はカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂(A)の合成溶媒として用いたものをそのまま使用することも出来る。
【0071】
他の成分
本発明の熱硬化性樹脂組成物およびそのペーストには、塗工時の作業性及び被膜形成前後の膜特性を向上させるため、消泡剤、レベリング剤等の界面活性剤類、染料又は顔料等の着色剤類、硬化促進剤、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、滑剤を添加することもできる。
【実施例】
【0072】
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0073】
[合成例1]
攪拌装置、温度計、コンデンサーを備えた反応容器に、ポリカーボネートジオールとして〔PLACCEL CD220(ダイセル化学工業株式会社製)〕628gと〔T-6001(旭化成ケミカルズ株式会社製)〕400g、カルボキシル基を有するジヒドロキシル化合物として2,2−ジメチロールプロピオン酸(日本化成株式会社製)41gと、ポリイソシアネートとしてデスモジュール−W(住化バイエルウレタン株式会社製)565g(2.16mol)と、溶媒としてガンマーブチロラクトン(三菱化学株式会社製)1090gとを仕込み、150℃ですべての原料を溶解させ、4時間反応させた。
【0074】
この反応液の温度を80℃まで下げ、滴下ロートにより、ポリマーポリオールとして1,2-繰り返し単位を有するポリブタジエンポリオール〔G−1000(日本曹達製)〕183g(0.11mol)、溶媒としてガンマーブチロラクトン656gを30分かけて滴下した。滴下終了後、140℃で2時間反応させた。
【0075】
この反応液の温度を90℃まで下げ、滴下ロートにより、2,2−ジメチロールプロピオン酸122g、溶媒としてガンマーブチロラクトン194gを30分かけて滴下した。
【0076】
110℃で6.5時間反応させた後、メチルエチルケトオキシム(和光純薬株式会社製)20gを加え、反応を終了させた。
【0077】
得られたカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂の数平均分子量は10,800、固形分の酸価は36.2mgKOH/gであった。
【0078】
[合成例2]
ポリカーボネートジオールとして〔PLACCEL CD220PL(ダイセル化学工業株式会社製)〕1668g、カルボキシル基を有するジヒドロキシル化合物として2,2−ジメチロールプロピオン酸(日本化成株式会社製)48gと、ポリイソシアネートとしてデスモジュール−W(住化バイエルウレタン株式会社製)660g(2.52mol)と、溶媒としてガンマーブチロラクトン(三菱化学株式会社製)1584gとを仕込み、150℃ですべての原料を溶解させ、4時間反応させた。
【0079】
この反応液の温度を80℃まで下げ、滴下ロートにより、2,2−ジメチロールプロピオン酸63g、溶媒としてγ―ブチロラクトン343gを30分かけて滴下した。110℃で11時間反応させた後、メチルエチルケトオキシム(和光純薬株式会社製)11gを加え、反応を終了させた。
【0080】
得られたカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂の数平均分子量は13,700、固形分の酸価は36.8mgKOH/gであった。
【0081】
[熱硬化性組成物の調製]
〔実施例1〕
表1に示すように、合成例1で得られたカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂100質量部、硫酸バリウムB-31(堺化学(株)製)50質量部、ハイドロタルサイトSTABIACE HT-P(堺化学(株)製)20質量部及び有機シラン化合物で処理されたシリカAEROSIL R 812(日本アエロジル(株)製)0.5質量部、エポキシ樹脂としてEP-1009(油化シェルエポキシ(株)製)10質量部、エポトート YH434L(東都化成(株)製)を5質量部、さらには、有機溶媒として、γ―ブチロラクトン(三菱化学(株)製)100質量部、ブチルグリコールアセテート(山一化学工業(株))60質量部になるよう調整し、ミルを用いて混練し、熱硬化性樹脂組成物を調製した。
【0082】
〔実施例2〜4、比較例1〜2〕
実施例1と同様にして、表1に示す割合で各成分を配合し、熱硬化性樹脂組成物を調製した。
【0083】
〔比較例5〕
合成例2で得られたカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂を用い、実施例1と同様にして、表1に示す割合で各成分を配合し、熱硬化性樹脂組成物を調製した。
【0084】
<硬化物の評価>
各熱硬化性樹脂組成物について、以下のようにしてその硬化物の密着性、反り性、絶縁信頼性、腐食性、タック性を評価した。結果を表2示した。
【0085】
〔密着性〕
実施例1から4及び比較例1から2の熱硬化性樹脂組成物を、#200メッシュステンレス版で、ポリイミドフィルムにスクリーン印刷により乾燥膜厚が10μm、縦15mm×横40mmになるように塗布した。
【0086】
印刷後のフィルムを120℃で1時間熱硬化した。熱硬化後のフィルムについてクロスカット試験を行いポリイミドフィルムからの硬化膜の剥離がどのくらい生じるかを以下の基準で評価した。
【0087】
A:0/100(剥離なし)、B:1〜30/100、C:31〜60/100、D:61〜100/100
【0088】
〔反り性〕
熱硬化性樹脂組成物を、#200メッシュステンレス版を用いて、縦15mm×横40mmのポリイミドフィルムに、スクリーン印刷により乾燥膜厚が10μmになるように塗布した。印刷後のフィルムを120℃で1時間熱硬化した。熱硬化後のポリイミドフィルムの印刷面を下にして置いて、水平面から以下の基準で評価した。
【0089】
A:最大の反り高さが5mm未満 D:最大の反り高さが5mm以上
〔絶縁信頼性〕
熱硬化性樹脂組成物を、フレキシブル銅張り積層板の櫛形基板(銅配線幅/銅配線間幅=10μm/20μm)に、#200メッシュステンレス版を用いてスクリーン印刷により乾燥膜厚が10μmになるように塗布し、120℃で1時間熱硬化した。その基板を120℃、相対湿度85%の雰囲気下において60Vのバイアス電圧を印加して100時間放置し、以下の基準で電気絶縁性を評価した。
【0090】
A:マイグレーション、絶縁抵抗値の低下ともになし
B:マイグレーションなし、絶縁抵抗値の低下あり
C:マイグレーションあり、絶縁抵抗値の低下なし
D:マイグレーション、絶縁抵抗値の低下あり
【0091】
〔腐食性〕
上記〔絶縁信頼性〕試験後、熱硬化性樹脂組成物を塗布した基板の配線を顕微鏡〔製品名:BX-51、オリンパス(株)製〕の倍率100倍・反射光で観察し、以下の基準で評価した。
【0092】
A:配線上に腐食なし、B:配線上に僅かな腐食有り、C:配線上に腐食有り
【0093】
〔タック性〕
熱硬化性樹脂組成物を、#200メッシュステンレス版で、幅50mmポリイミドフィルムにスクリーン印刷により乾燥膜厚が10μm、塗膜が縦15mm×横40mmになるように塗膜間隔が5cmで連続印した。印刷後のフィルムを120℃で1時間熱硬化した。前記連続印刷したポリイミドフィルムを、500gの荷重を加えながら、ロールで巻き取った。25℃、相対湿度60%の雰囲気下において、48時間放置し、熱硬化性樹脂組成物の印刷面とポリイミドフィルムの裏面との接触面の張り付き荷重と転写について以下の基準で評価した。張り付き荷重は、熱硬化性樹脂組成物の印刷面からポリイミドフィルムが剥がれる荷重を測定した。
【0094】
〔張り付き荷重〕
A:0.00g、B:0.01〜0.50g、C:0.51g〜1.00g、D:1.00g以上
〔転写痕〕
A:転写痕なし、B:極薄転写痕一部あり、C:極薄転写痕全面あり、D:濃い転写痕あり
【0095】
【表1】

【0096】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(a)ジイソシアネート化合物及び(b)カルボキシル基を有するジヒドロキシ化合物を用いて得られるポリウレタン樹脂と、
(B)エポキシ樹脂と、
(C)硫酸バリウム微粒子と、
(D)(d1)ハイドロタルサイト微粒子、及び/又は(d2)有機シラン化合物で処理したシリカ微粒子と、を含有する熱硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリウレタン樹脂(A)が、
(a)ジイソシアネート化合物と、
(b)カルボキシル基を有するジヒドロキシ化合物と、
(c)ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水素化ポリブタジエンポリオール及び水素化ポリイソプレンポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むポリオールと、を用いて得られるものである、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記ジイソシアネート化合物(a)が、脂環式骨格を有する、請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。

【公開番号】特開2009−280686(P2009−280686A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−133469(P2008−133469)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】