説明

熱硬化性組成物

【課題】1回のジェッティングで比較的厚い膜(2μm以上)を形成することができる、ポリイミド形成成分を高濃度で含有するインクジェット用インクを提供すること。
【解決手段】酸無水物基を有する化合物(a1)と、該化合物(a1)以外の、下記一般式(1)で表されるモノアミン化合物(a2)とを用いて得られるアミド酸(A)、およびアミノ基を有する化合物(b1)と、該化合物(b1)以外の、下記一般式(2)で表される、酸無水物基を1つ有する化合物(b2)とを用いて得られるアミド酸(B)からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミド酸を含む熱硬化性組成物:

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特定のアミド酸を含む熱硬化性組成物、該熱硬化性組成物を含む、例えば、電子部品製作において絶縁膜層を形成するために用いられるインクジェット用インク、該インクジェット用インクを用いて形成されるポリイミド膜、および該ポリイミド膜を形成したフィルム基板、ならびに該フィルム基板を有する電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドは耐熱性および電気絶縁性に優れるため、電子通信分野で広く用いられている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
ポリイミドを所望のパターン膜として使用する場合、従来はエッチングや感光性ポリイミドを用いてパターンを形成することが一般的であったが、パターンの形成にはフォトレジスト、現像液、エッチング液、剥離液などの多種大量の薬液が必要であり、さらに煩雑な工程を要するものであった。そこで、近年、インクジェットにより所望のポリイミドパターン膜を形成する方法が検討されている。
【0003】
インクジェット用インクは各種提案されているが(例えば、特許文献4〜5参照。)、インクジェットインクとして吐出・印刷するためには、インクの粘度、表面張力、溶媒の沸点等の様々なパラメータを最適化しなくてはならない。例えば、粘度に関しては、一般的には吐出温度(吐出時のインクの温度)において、1〜50mPa・s程度の低粘度であることが求められ、特にピエゾ方式のインクジェット印刷の場合は圧電素子の吐出圧力が小さいため、粘度が大きくなると、場合によってはインクが吐出不能となることがある。
【0004】
表面張力については、好ましくは20〜70mN/mの範囲、より好ましくは20〜40mN/mの範囲に調整することが望ましい。表面張力が小さいと、インクがプリンターヘッドのノズルから吐出された直後に広がってしまい、良好な液滴が形成できなくなる。反対に表面張力が大きすぎると、メニスカスを形成できなくなるため吐出不能になることがある。
【0005】
さらに、溶媒の沸点は、好ましくは100〜300℃、より好ましくは150〜250℃の範囲であることが望ましい。沸点が低すぎると、プリンターヘッドのノズル部のインク中の溶媒が、特にインクを加温して吐出する場合に蒸発してしまう。それによってインクの粘度が変化し、インクが吐出できなくなったり、あるいはインクの成分が固化してしまうことがある。逆に沸点が高すぎると、印刷後のインクの乾燥が遅すぎて、印刷パターンが悪化することがある。
【0006】
ポリイミド系のインクジェット用インクは、加熱処理することによりポリイミドとなるポリアミド酸を含有している。このポリアミド酸は、分子量が高い高分子であるため、インクジェット用インクとして最適な粘度のインクを調製するためには、溶媒の割合を増やしてインク中のポリアミド酸含有量を少なくする必要がある。
【0007】
しかし、これによって、1回のインクジェッティングで得られるポリイミド膜の厚さが薄くなってしまう。ポリイミド膜の用途によっては10μm以上の厚みが求められる場合がある。この場合、インクジェットで重ね塗りすることによりこの厚みの膜を形成することはできる。しかしながら、前記の1回のインクジェッティングで得られるポリイミド膜の厚さが薄くなるというのは、重ね塗りする回数が増える、すなわち絶縁膜の形成工程が多くなるという点で問題である。
【0008】
ここで、ポリアミド酸の含有量を大きくするために、例えば、ポリアミド酸の重量平均分子量を低くして、インクの低粘度化を図ることが提案されている(例えば、特許文献6参照)。しかしながら、重量平均分子量が10,000より小さくなると、そのインクからは十分な機械的強度のポリイミド膜が得られない。そのため、重量平均分子量は10,000〜50,000に制御され、そのような重量平均分子量で、インクジェット用インクとして可能なポリアミド酸濃度は15〜20重量%程度と小さいものであった。
【0009】
また、熱架橋剤と、該熱架橋剤と反応可能な基を有する重量平均分子量300〜9,000のポリイミドまたはポリベンゾオキサゾールとを含有するインクジェット用熱硬化性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献7参照)。特許文献7に記載の発明は、熱架橋剤と反応可能なフェノール性水酸基、カルボキシル、スルホンアミドなどの基を有するポリイミドまたはポリベンゾオキサゾールを含有する組成物に関するものであり、該組成物はエポキシ化合物、メチロール化合物、アルコキシメチロール化合物、ビスマレイミド、不飽和結合を有するビスイミド化合物、アセチレン化合物などの熱架橋剤を必須成分とするため、保存安定性や熱硬化時の残存未反応物等が問題である。
【0010】
その他、ポリマーの重量平均分子量を制御したインクジェット用組成物が各種提案されているが、重量平均分子量が非常に幅広い範囲で規定されていたり、溶解性に問題のある可溶性ポリイミドやポリイミド膜とは異なる膜を形成するポリマーであった(例えば、特許文献8〜12参照)。しかしながら、重量平均分子量を10,000以下に制御したポリアミド酸を用いたインクジェット用インクは提案されていない。
【0011】
一方、テトラカルボン酸二無水物とジアミンと末端架橋剤とを反応させて得られ、分子末端に架橋性基を有するポリアミック酸またはポリイミドのオリゴマーが提案されている(例えば、特許文献13〜15参照)。しかしながら、これらのオリゴマーは耐熱性の良好なポリイミド樹脂を生成するプリプレグを提供するものであり、前記プリプレグは、特にガラス繊維、アラミド繊維、カーボン繊維、アルミナ繊維、シリコンカーバイト繊維等を補強材とした繊維強化複合材のマトリックス樹脂として用いるものである。したがってプリプレグは、インクジェット用インクとはその設計思想および使用法が全く異なる。
【0012】
また、特許文献16には、末端に熱硬化可能な官能基を有するイミド化合物が開示されている。しかし、この化合物についても、インクジェット用インクとしての使用を想定されているものでなく、インクジェット用インクとして必要な粘度や表面張力の最適化については、特許文献16では何ら考慮されていない。
【0013】
特許文献17には、特定構造の繰り返し単位と分子末端の5〜99モル%に架橋性基を有することを特徴とする架橋性基含有ポリイミド前駆体が提案されている。そして、末端架橋剤として炭素−炭素二重結合等の不飽和基を有する化合物を用いること、分子末端にアミノ基を残存させることによりポリアミド酸の保存安定性が良好になることが、特許文献17に開示されている。
【0014】
しかしながら、特許文献17に記載の技術はポリイミド系の耐熱性接着剤に関するものである。該接着剤は、流延・キャスト、混錬押し出し等の方法で高粘度のポリイミド前駆体溶液を基板上に塗布した後、加熱して使用されるため、インクジェット用インクとして使用可能な粘度範囲からは明らかに外れるものである。
【0015】
また一方、ポリアミド酸の末端に分子架橋基を反応させて分子量の制御を行った、低粘度で25重量%程度という高濃度の熱硬化性インクジェット用インクが提案(特許文献18、19参照)されている。しかしながら、1回のインクジェッティングで充分な厚みのポリイミド膜を得るという観点からは、まだインクジェット用インク中の濃度が不充分である。
【0016】
また、特許文献18および19では、分子架橋性基としてトリエトキシシリル基などのシリコン含有官能基が開示されているのみであり、分子架橋性基として不飽和結合については、何ら記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2000−039714号公報
【特許文献2】特開2003−238683号公報
【特許文献3】特開2004−094118号公報
【特許文献4】特開2003−213165号公報
【特許文献5】特開2006−131730号公報
【特許文献6】特開2005−187596号公報
【特許文献7】特開2007−314647号公報
【特許文献8】特開2000−101206号公報
【特許文献9】特開2000−101240号公報
【特許文献10】特開2000−129181号公報
【特許文献11】特開2007−297480号公報
【特許文献12】特開2006−124650号公報
【特許文献13】特開昭59−167569号公報
【特許文献14】特開昭64−542029号公報
【特許文献15】特開2004−331801号公報
【特許文献16】特開昭62−29584号公報
【特許文献17】特開2001−323065号公報
【特許文献18】特開2009−035700号公報
【特許文献19】特開2009−035702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
以上説明したように、1回のインクジェッティングで充分な厚みのポリイミド膜を得ることができるインクジェット用インクは提供されていないのが現状である。そこで本発明は、1回のジェッティングで比較的厚い膜(2μm以上)を形成することができる、ポリイミド形成成分を高濃度で含有するインクジェット用インクを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者等は、上記課題を解決するために、鋭意検討を行った。その結果、従来の技術のように、ポリアミド酸といったポリマーではなく、下記構成の特定のアミド酸(A)またはアミド酸(B)、すなわち特定のモノマーを含む熱硬化性組成物をインクジェット用インクに用いることで、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0020】
すなわち本発明は、以下の通りである。
[1] 酸無水物基を有する化合物(a1)と、該化合物(a1)以外の、下記一般式(1)で表されるモノアミン化合物(a2)とを用いて得られるアミド酸(A)、および
アミノ基を有する化合物(b1)と、該化合物(b1)以外の、下記一般式(2)で表される、酸無水物基を1つ有する化合物(b2)とを用いて得られるアミド酸(B)
からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミド酸を含む熱硬化性組成物:
【0021】
【化1】

【0022】
【化2】

(式(1)において、R1は架橋性不飽和結合を有する炭素数2〜100の1価の有機基であり、
式(2)において、R2は架橋性不飽和結合を有する炭素数2〜100の2価の有機基である。)。
【0023】
[2] 前記化合物(a1)のモル数をna1とし、前記モノアミン化合物(a2)のモル数をna2としたとき、前記アミド酸(A)が、前記化合物(a1)と前記モノアミン化合物(a2)とを、0.5≦na1/na2≦1.0となるように用いて得られることを特徴とする[1]に記載の熱硬化性組成物。
【0024】
[3] 前記化合物(b1)のモル数をnb1とし、前記化合物(b2)のモル数をnb2としたとき、前記アミド酸(B)が、前記化合物(b1)と前記化合物(b2)とを、0.5≦nb1/nb2≦1.0となるように用いて得られることを特徴とする[1]に記載の熱硬化性組成物。
【0025】
[4] 前記式(1)中のR1における1価の有機基が、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキル、置換基を有していてもよい炭素数8〜30のアリール、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルコキシ、置換基を有していてもよい炭素数8〜22のアリールオキシ、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキルチオ、置換基を有していてもよい炭素数8〜20のアリールチオ、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキルスルホニルまたは置換基を有していてもよい炭素数8〜20のアリールスルホニルであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【0026】
[5] 前記式(2)中のR2における2価の有機基が、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキレン、置換基を有していてもよい炭素数8〜30のアリーレン、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキレンオキシ、置換基を有していてもよい炭素数8〜22のアリーレンオキシ、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキレンチオ、置換基を有していてもよい炭素数8〜20のアリーレンチオ、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキレンスルホニルまたは置換基を有していてもよい炭素数8〜20のアリーレンスルホニルであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【0027】
[6] 前記モノアミン化合物(a2)が、4−エチニルアニリン、3−エチニルアニリン、プロパルギルアミン、3−アミノブチン、4−アミノブチン、5−アミノペンチン、4−アミノペンチン、アリルアミン、7−アミノヘプチン、m−アミノスチレン、p−アミノスチレン、m−アミノ−α−メチルスチレン、3−アミノフェニルアセチレンおよび4−アミノフェニルアセチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノアミン化合物であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【0028】
[7] 前記化合物(b2)が、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アリルナジック酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、4−エチニルフタル酸無水物、4−フェニルエチニルフタル酸無水物、シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、exo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物およびアリルこはく酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【0029】
[8] 前記化合物(a1)が、酸無水物基を1つまたは2つ有する化合物であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
[9] 前記化合物(b1)が、アミノ基を1つまたは2つ有する化合物であることを特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【0030】
[10] 前記化合物(a1)が、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4ージカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン酸二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、エタンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4’−[(イソプロピリデン)ビス(p−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、3,3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン琥珀酸二無水物、コハク酸無水物、フタル酸無水物、オクタデセニルコハク酸無水物、テトラデセニルコハク酸無水物、テトラプロペニルコハク酸無水物、1,3−シクロへキサンジカルボン酸無水物、4−フルオロフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、グルタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、2−ドデセン−1−イルコハク酸無水物、cis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−tert−ブチルフタル酸無水物およびcis−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする[8]に記載の熱硬化性組成物。
【0031】
[11] 前記化合物(b1)が、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,2’−ジアミノジフェニルプロパン、ベンジジン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]メタン、
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−メチルシクロヘキサン、
ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,4−ブタンジオールビス(3−アミノプロピル)エーテル、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,6−ビス(4−((4−アミノフェニル)メチル)フェニル)ヘキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン,N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ネオペンチルグリコールビス(4−アミノフェニル)エーテル、
下記一般式(VIII)で表わされる化合物、下記一般式(3)で表わされる化合物、
2−(2−アミノエトキシ)エタノール、1−アミノ−2−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノエタノール、5−アミノ−1−ペンタノール、2−(4−アミノフェニル)エチルアルコール、4−(2−アミノエチル)フェノール、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジメトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルトリエトキシシランおよびm−アミノフェニルメチルジエトキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする[9]に記載の熱硬化性組成物:
【0032】
【化3】

(式中、A4は、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−または−(CH2p−(pは1〜6の整数である)であり、
6は、ステロイド骨格を有する基、または、シクロヘキサン環およびベンゼン環からなる群より選ばれる少なくとも1種の環構造を有する基であり、
ベンゼン環に結合している2つのアミノ基の位置関係がパラ位のときは、R6は炭素数1〜30のアルキルであってもよく、
前記位置関係がメタ位のときは、R6は炭素数1〜10のアルキル、または−F、−CH3、−OCH3、−OCH2F、−OCHF2もしくは−OCF3で置換されていてもよいフェニルであってもよく、
前記炭素数1〜30のアルキルおよび炭素数1〜10のアルキルにおいては、任意の−CH2−が−CF2−、−CHF−、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、任意の−CH3が−CH2F、−CHF2または−CF3で置き換えられていてもよい。);
【0033】
【化4】

(式中、R3およびR4は独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり、
5はメチレンまたはフェニレンであり、該フェニレンの任意の水素は炭素数1〜10のアルキルで置き換えられていてもよく、
2つのxは独立して1〜6の整数であり、
yは1〜70の整数であり、
複数存在するR3、R4およびR5は、それぞれ互いに同じであっても異なっていてもよい。)。
【0034】
[12] 前記アミド酸(A)およびアミド酸(B)の分子量が、210〜2,000であることを特徴とする[1]〜[11]のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
[13] 高分子化合物(C)をさらに含むことを特徴とする[1]〜[12]のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【0035】
[14] 前記高分子化合物(C)が、ポリアミド酸およびポリイミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の高分子化合物であることを特徴とする[13]に記載の熱硬化性組成物。
【0036】
[15] 前記高分子化合物(C)の重量平均分子量が、1,000〜7,500であることを特徴とする[13]又は[14]に記載の熱硬化性組成物。
[16] [1]〜[15]のいずれかに記載の熱硬化性組成物を含むインクジェット用インク。
【0037】
[17] 前記インクジェット用インク100重量%中の前記アミド酸(A)およびアミド酸(B)の含有量が、合計で30〜80重量%であることを特徴とする[16]に記載のインクジェット用インク。
【0038】
[18] さらに溶媒(D)を含むことを特徴とする[16]または[17]に記載のインクジェット用インク。
[19] 前記溶媒(D)が、乳酸エチル、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アニソール、エチルラクテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル(1−ブトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(1−エトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラメチレングリコールモノビニルエーテル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、1−ビニル−2−ピロリドン、1−ブチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチル−ε−カプロラクタム、1.3−ジメチル−2−イミダゾリジノンおよびγ−ブチロラクトンからなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒であることを特徴とする[18]に記載のインクジェット用インク。
【0039】
[20] [16]〜[19]のいずれかに記載のインクジェット用インクを、インクジェット塗布方法によって基板上に塗布してアミド酸膜を形成する工程と、前記アミド酸膜を加熱処理してポリイミド膜を形成する工程とを経て得られたポリイミド膜またはパターン状ポリイミド膜。
【0040】
[21] [16]〜[19]のいずれかに記載のインクジェット用インクを、インクジェット塗布方法によって基板上に塗布し、塗膜を乾燥させてアミド酸膜を形成する工程と、前記アミド酸膜を加熱処理してポリイミド膜を形成する工程とを有するポリイミド膜形成方法。
【0041】
[22] [21]に記載のポリイミド膜形成方法により、基板上にポリイミド膜が形成されてなるフィルム基板。
[23] [22]に記載のフィルム基板を有する電子部品。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、特定のアミド酸を、例えば、30重量%以上という高濃度で含有し、1回のジェッティングで比較的厚い膜厚(2μm以上)を有するポリイミド膜を形成することができるインクジェット用インクに使用することができる熱硬化性組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の各構成について説明する。
[熱硬化性組成物]
本発明の熱硬化性組成物は、上記の特定のアミド酸(A)およびアミド酸(B)からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミド酸を含む。
【0044】
〔アミド酸(A)〕
前記アミド酸(A)は、酸無水物基を有する化合物(a1)(以下単に「化合物(a1)」とも言う)と、該化合物(a1)以外の、上記一般式(1)で表されるモノアミン化合物(a2)(以下単に「モノアミン化合物(a2)とも言う」)とを用いて得られる。以下、化合物(a1)およびモノアミン化合物(a2)について説明する。
【0045】
<酸無水物基を有する化合物(a1)>
化合物(a1)は、酸無水物基を有する限り特に限定されない。
酸無水物基を複数有する化合物(a1)の具体例としては、テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
本発明においては、低粘度かつアミド酸濃度の高い熱硬化性組成物を得る観点から、化合物(a1)中の酸無水物基の数は、1つまたは2つであることが好ましい。
【0046】
(酸無水物基を2つ有する化合物)
酸無水物基を2つ有する化合物の例としては、前記のテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。その具体的な例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4ージカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン酸二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、エタンテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4’−[(イソプロピリデン)ビス(p−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、3,3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン琥珀酸二無水物および下記式a1−1〜a1−61で表わされる化合物が挙げられる。
【0047】
【化5】

【0048】
【化6】

【0049】
【化7】

【0050】
【化8】

【0051】
【化9】

【0052】
【化10】

【0053】
【化11】

【0054】
【化12】

【0055】
【化13】

【0056】
【化14】

【0057】
【化15】

【0058】
【化16】

【0059】
【化17】

酸無水物基を2つ有する化合物の上記具体例の中でも、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、 ブタンテトラカルボン酸二無水物および式a1−4の化合物が、溶媒への溶解性が高く、アミド酸(A)の濃度が高い熱硬化性組成物(該組成物はインクジェット用インクとして好適に使用することができる。)を調製できるので好ましい。また、インクジェット用インクの用途によっては高い透明性が必要とされるが、このような場合には、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物およびブタンテトラカルボン酸二無水物等を用いることが特に好ましい。
【0060】
(酸無水物基を1つ有する化合物)
次に、上記の酸無水物基を1つ有する化合物の具体例としては、コハク酸無水物、フタル酸無水物、オクタデセニルコハク酸無水物、テトラデセニルコハク酸無水物、テトラプロペニルコハク酸無水物、1,3−シクロへキサンジカルボン酸無水物、4−フルオロフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、グルタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、2−ドデセン−1−イルコハク酸無水物、cis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−tert−ブチルフタル酸無水物およびcis−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物が挙げられる。
以上説明した化合物(a1)は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
【0061】
<モノアミン化合物(a2)>
上記化合物(a1)と反応させるモノアミン化合物(a2)は、下記一般式(1)で表わされる、アミノ基を一つ有する化合物である。アミノ基を複数有すると、化合物(a1)との間で重合反応が進行することがあり、モノマーのアミド酸が得られない。
【0062】
【化18】

一般式(1)において、R1は架橋性不飽和結合を有する炭素数2〜100の1価の有機基である。
【0063】
本発明において架橋性不飽和結合とは、アルケニル、アルキニルなどの不飽和結合のことである。架橋性不飽和結合は、通常モノアミン化合物(a2)中に1〜5個、好ましくは1〜3個存在する。
【0064】
このような架橋性不飽和結合を有する炭素数2〜100の1価の有機基の例としては、少なくとも一つの架橋性不飽和結合を有する、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキル、置換基を有していてもよい炭素数8〜30のアリール、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルコキシ、置換基を有していてもよい炭素数8〜22のアリールオキシ、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキルチオ、置換基を有していてもよい炭素数8〜20のアリールチオ、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキルスルホニルおよび置換基を有していてもよい炭素数8〜20のアリールスルホニルが挙げられる。
【0065】
前記置換基としては、例えば、カルボキシル、アルキン、トリメチルシリル、アミノ、ホスホニル、チオ、カルボニル、ニトロ、スルホ、イミノ、ハロゲノおよびアルコキシなどを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上、置換可能な最大数まで導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0066】
上記の置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキルであって、少なくとも一つの架橋性不飽和結合を有する基としては、例えば、置換基を有していてもよい、炭素数2〜20のアルケニル、炭素数2〜20のアルキニル、炭素数4〜20のアルキルジエニルおよび炭素数4〜20のシクロアルケニルが挙げられる。
【0067】
本発明において、「炭素数2〜20のアルケニル」は、炭素数2〜10のアルケニルであることが好ましく、炭素数2〜6のアルケニルであることが更に好ましい。炭素数2〜20のアルケニルの例としては、制限するわけではないが、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチルアリル、2−ブテニル等を挙げることができる。
【0068】
本発明において、「炭素数2〜20のアルキニル」は、炭素数2〜10のアルキニルであることが好ましく、炭素数2〜6のアルキニルであることが更に好ましい。炭素数2〜20のアルキニルの例としては、制限するわけではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル等を挙げることができる。
【0069】
本発明において、「炭素数4〜20のアルキルジエニル」は、炭素数4〜10のアルキルジエニルであることが好ましく、炭素数4〜6のアルキルジエニルであることが更に好ましい。炭素数4〜20のアルキルジエニルの例としては、制限するわけではないが、1,3−ブタジエニル等を挙げることができる。
【0070】
本発明において、「炭素数4〜20のシクロアルケニル」は、炭素数4〜10のシクロアルケニルであることが好ましい。炭素数4〜20のシクロアルケニルの例としては、制限するわけではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等を挙げることができる。
【0071】
本発明において、置換基を有していてもよい炭素数8〜30のアリールであって、少なくとも一つの架橋性不飽和結合を有する基においては、炭素数は8〜20であることが好ましい。前記アリールの例としては、制限するわけではないが、4−アルケニルフェニル、4−アルケニルビフェニル等を挙げることができる。
【0072】
本発明において、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルコキシであって、少なくとも一つの架橋性不飽和結合を有する基においては、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数が2〜6であることが更に好ましい。
【0073】
本発明において、置換基を有していてもよい炭素数8〜22のアリールオキシであって、少なくとも一つの架橋性不飽和結合を有する基においては、炭素数は8〜12であることが好ましい。
【0074】
本発明において、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキルチオであって、少なくとも一つの架橋性不飽和結合を有する基においては、炭素数は2〜10であることが好ましく、2〜6であることが更に好ましい。
【0075】
本発明において、置換基を有していてもよい炭素数8〜20のアリールチオであって、少なくとも一つの架橋性不飽和結合を有する基においては、炭素数は8〜12であることが好ましい。
【0076】
本発明において、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキルスルホニルであって、少なくとも一つの架橋性不飽和結合を有する基においては、炭素数は2〜10であることが好ましく、2〜6であることが更に好ましい。
【0077】
本発明において、置換基を有していてもよい炭素数8〜20のアリールスルホニルであって、少なくとも一つの架橋性不飽和結合を有する基においては、炭素数は8〜12であることが好ましい。
【0078】
上記一般式(1)で表わされるモノアミン化合物(a2)の具体例としては、4−エチニルアニリン、3−エチニルアニリン、プロパルギルアミン、3−アミノブチン、4−アミノブチン、5−アミノペンチン、4−アミノペンチン、アリルアミン、7−アミノヘプチン、m−アミノスチレン、p−アミノスチレン、m−アミノ−α−メチルスチレン、3−アミノフェニルアセチレンおよび4−アミノフェニルアセチレンを挙げることができる。これらの中でも、本発明の熱硬化性組成物をインクジェット用インクに適用した場合に、該インクから得られるポリイミド膜の耐久性が優れるという点から、4−エチニルアニリン、3−エチニルアニリン、m−アミノスチレンおよびp−アミノスチレンが好ましい。
以上説明したモノアミン化合物(a2)は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
【0079】
<アミド酸(A)を合成するための反応条件>
本発明では、前記モノアミン化合物(a2)のアミノ基と前記化合物(a1)の酸無水物基とが反応してアミド酸を形成する、穏やかな反応条件で、前記化合物(a1)とモノアミン化合物(a2)とが反応させられる。
【0080】
この穏やかな反応条件とは、例えば、常圧下、温度20〜60℃、反応時間0.2〜20時間で、触媒を使用することなく、反応により化合物(a1)の酸無水物基が開環して生じたカルボキシル基を活性化させることなく反応させる、という条件である。カルボキシル基の活性化とは、例えば、酸クロリドへの変換である。
【0081】
前記の穏やかな反応条件では、前記化合物(a1)とモノアミン化合物(a2)とが反応して生じたカルボキシル基が、モノアミン化合物(a2)のアミノ基と反応することがないため、遊離のカルボキシル基を有するアミド酸(A)が得られる。
【0082】
このような反応により、ポリマーではなく、モノマーの状態のアミド酸が得られる。化合物(a1)およびモノアミン化合物(a2)の反応において、化合物(a1)またはモノアミン化合物(a2)と反応し得るその他の化合物が存在すると、ポリマーが形成される恐れがあるので、化合物(a1)とモノアミン化合物(a2)とのみを反応させることが好ましい。
【0083】
前記化合物(a1)とモノアミン化合物(a2)とを反応させてアミド酸(A)を得るに際しては、反応に用いる、化合物(a1)のモル数をna1、モノアミン化合物(a2)のモル数をna2としたとき、モル数の比が、0.5≦na1/na2≦1.0の関係になるようにすることが好ましい。
【0084】
前記の関係を満たして合成されたアミド酸(A)は、本発明の熱硬化性組成物およびインクジェット用インクに特に高濃度で含有させることができ、かつそのような熱硬化性組成物およびインクジェット用インクは低粘度であり、1回のジェッティングで比較的厚いポリイミド膜(2μm以上)を形成することができる。
【0085】
以上説明したアミド酸(A)は、分子末端に、モノアミン化合物(a2)に由来する架橋性基(架橋性不飽和結合)を有し、後述するように、加熱処理することにより架橋硬化して、ポリイミドを形成する。
【0086】
また、ポリマーではなくモノマーの状態であるため、アミド酸(A)の分子量は通常210〜2,000、好ましくは210〜1,500、より好ましくは210〜1,000と低く、低粘度で高濃度のポリイミド形成成分(すなわちアミド酸(A))を含む熱硬化性組成物およびインクジェット用インクが得られる。
【0087】
(反応溶媒)
上記化合物(a1)とモノアミン化合物(a2)とを反応させてアミド酸(A)を合成するために用いられる反応溶媒は、アミド酸(A)が合成できれば特に限定されるものではない。
【0088】
反応溶媒の具体例としては、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アニソール、エチルラクテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル(1−ブトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(1−エトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラメチレングリコールモノビニルエーテル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、1−ビニル−2−ピロリドン、1−ブチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチル−ε−カプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンおよびγ−ブチロラクトンを挙げることができる。
【0089】
これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルおよびγ−ブチロラクトンを用いると、インクジェットヘッドへのダメージが少ないインクに適用することができる熱硬化性組成物とすることができるので好ましい。
【0090】
これらの反応溶媒は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記反応溶媒以外の他の溶媒を、反応溶媒に混合して用いることもできる。
反応溶媒は、化合物(a1)とモノアミン化合物(a2)との合計100重量部に対し、100重量部以上使用すると、反応がスムーズに進行するので好ましい。
【0091】
(反応系への添加順序)
また、反応原料の反応系への添加順序は、特に限定されない。すなわち、化合物(a1)とモノアミン化合物(a2)とを同時に反応溶媒に加える方法、モノアミン化合物(a2)を反応溶媒中に溶解させた後に化合物(a1)を添加する方法および化合物(a1)を反応溶媒中に溶解させた後にモノアミン化合物(a2)を添加する方法などいずれの方法も用いることができる。
【0092】
〔アミド酸(B)〕
本発明の熱硬化性組成物に含まれるアミド酸(B)は、アミノ基を有する化合物(b1)(以下単に「化合物(b1)」とも言う)と、該化合物(b1)以外の、上記一般式(2)で表される、酸無水物基を1つ有する化合物(b2)(以下単に「化合物(b2)」とも言う)とを用いて得ることができる。以下、これら二つの成分について説明する。
【0093】
<アミノ基を有する化合物(b1)>
化合物(b1)は、アミノ基を有する限り特に限定されない。化合物(b1)中のアミノ基の数は、通常1〜3個である。
本発明においては、低粘度かつアミド酸濃度の高い熱硬化性組成物を得る観点から、化合物(b1)中のアミノ基の数は、1つまたは2つであることが好ましい。
【0094】
(アミノ基を2つ有する化合物)
まず、アミノ基を2つ有する化合物について説明する。アミノ基を2つ有する化合物の具体例としては、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,2’−ジアミノジフェニルプロパン、ベンジジン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]メタンおよび下記一般式(I)〜(VII)で表される化合物が挙げられる。
【0095】
【化19】

式(I)中、A1は、−(CH2m−であり、ここでmは1〜6の整数である。
【0096】
式(III)、(V)および(VII)中、A2は、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO2−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH32−、−C(CF32−、−(CH2n−、−O−(CH2n−O−または−S−(CH2n−S−であり、ここでnは1〜6の整数である。
【0097】
式(VI)および(VII)中、2つ存在するA3は、独立に単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH32−、−C(CF32−または炭素数1〜3のアルキレンである。
以上の式(I)〜(VII)において、シクロヘキサン環またはベンゼン環は、−Fまたは−CH3で置換されていてもよい。
【0098】
式(I)で表される化合物としては、例えば、下記式(I−1)〜(I−3)で表される化合物が挙げられる。
【0099】
【化20】

式(II)で表される化合物としては、例えば、下記式(II−1)、(II−2)で表される化合物が挙げられる。
【0100】
【化21】

式(III)で表される化合物としては、例えば、下記式(III−1)〜(III−3)で表される化合物が挙げられる。
【0101】
【化22】

式(IV)で表される化合物としては、例えば、下記式(IV−1)〜(IV−5)で表される化合物が挙げられる。
【0102】
【化23】

式(V)で表される化合物としては、例えば、下記式(V−1)〜(V−30)で表される化合物が挙げられる。
【0103】
【化24】

【0104】
【化25】

【0105】
【化26】

【0106】
【化27】

【0107】
【化28】

【0108】
【化29】

【0109】
【化30】

【0110】
【化31】

【0111】
【化32】

式(VI)で表される化合物としては、例えば、下記式(VI−1)〜(VI−6)で表される化合物が挙げられる。
【0112】
【化33】

【0113】
【化34】

【0114】
【化35】

式(VII)で表される化合物としては、例えば、下記式(VII−1)〜(VII−11)で表される化合物が挙げられる。
【0115】
【化36】

【0116】
【化37】

【0117】
【化38】

【0118】
【化39】

【0119】
【化40】

【0120】
【化41】

式(I)〜(VII)で表される化合物の上記具体例の中でも、好ましくは、式(IV−1)〜(IV−5)、式(V−1)〜(V−12)、式(V−26)、式(V−27)、式(VI−1)、式(VI−2)、式(VI−6)および式(VII−1)〜(VII−5)で表される化合物であり、より好ましくは式(V−1)〜(V−12)で表される化合物である。
【0121】
これらの中でも、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,2’−ジアミノジフェニルプロパン、ベンジジン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]メタン等が好ましく利用できる。
【0122】
本発明において、上記アミノ基を2つ有する化合物としては、さらに下記一般式(VIII)で表される化合物が挙げられる。
【0123】
【化42】

式(VIII)中、A4は、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−または−(CH2p−であり、ここで、pは1〜6の整数である。
【0124】
式(VIII)中、R6は、ステロイド骨格を有する基、または、シクロヘキサン環およびベンゼン環とからなる群より選ばれる少なくとも1種の環構造を有する基である。
なお、ベンゼン環に結合している2つのアミノ基の位置関係がパラ位のときは、R6は炭素数1〜30のアルキルであってもよく、前記位置関係がメタ位のときは、R6は炭素数1〜10のアルキル、または−F、−CH3、−OCH3、−OCH2F、−OCHF2または−OCF3で置換されていてもよいフェニルであってもよい。
【0125】
前記炭素数1〜30のアルキルおよび炭素数1〜10のアルキルは、直鎖状であっても分岐を有してもよく、これらのアルキルにおいては、任意の−CH2−が−CF2−、−CHF−、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、任意の−CH3が−CH2F、−CHF2または−CF3で置き換えられていてもよい。
【0126】
式(VIII)において、2つのアミノ基はフェニル環炭素に結合しているが、2つのアミノ基の結合位置関係は、メタ位またはパラ位であることが好ましい。さらに2つのアミノ基はそれぞれ、「R6−A4−」のベンゼン環への結合位置を1位としたときに、3位および5位、または2位および5位に結合していることが好ましい。
【0127】
式(VIII)で表される化合物としては、例えば、下記式(VIII−1)〜(VIII−11)で表される化合物が挙げられる。
【0128】
【化43】

【0129】
【化44】

式(VIII−1)、(VIII−2)、(VIII−7)および(VIII−8)中、R7は炭素数1〜30の有機基であり、炭素数3〜12のアルキルまたは炭素数3〜12のアルコキシであることが好ましく、炭素数5〜12のアルキルまたは炭素数5〜12のアルコキシであることがさらに好ましい。
【0130】
また、上記式(VIII−3)〜(VIII−6)および(VIII−9)〜(VIII−11)中、R8は炭素数1〜30の有機基であり、炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数1〜10のアルコキシであることが好ましく、炭素数3〜10のアルキルまたは炭素数3〜10のアルコキシであることがさらに好ましい。
【0131】
式(VIII)で表される化合物としては、さらに、例えば、下記式(VIII−12)〜(VIII−17)で表される化合物が挙げられる。
【0132】
【化45】

式(VIII−12)〜(VIII−15)において、R9は炭素数1〜30の有機基であり、炭素数4〜16のアルキルであることが好ましく、炭素数6〜16のアルキルであることがさらに好ましい。
【0133】
式(VIII−16)および式(VIII−17)において、R10は炭素数1〜30の有機基であり、炭素数6〜20のアルキルであることが好ましく、炭素数8〜20のアルキルであることがさらに好ましい。
【0134】
式(VIII)で表される化合物としては、さらに、例えば、下記式(VIII−18)〜(VIII−38)で表される化合物が挙げられる。
【0135】
【化46】

【0136】
【化47】

【0137】
【化48】

上記式(VIII−18)、(VIII−19)、(VIII−22)、(VIII−24)、(VIII−25)、(VIII−28)、(VIII−30)、(VIII−31)、(VIII−36)および(VIII−37)において、R11は炭素数1〜30の有機基であり、炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜12のアルコキシであることが好ましく、炭素数3〜12のアルキルまたは炭素数3〜12のアルコキシであることがさらに好ましい。
【0138】
また、上記式(VIII−20)、(VIII−21)、(VIII−23)、(VIII−26)、(VIII−27)、(VIII−29)、(VIII−32)〜(VIII−35)および(VIII−38)において、R12は水素、−F、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、−CN、−OCH2F、−OCHF2または−OCF3であり、炭素数3〜12のアルキルまたは炭素数3〜12のアルコキシであることが好ましい。
【0139】
上記式(VIII−33)と(VIII−34)において、A5は炭素数1〜12のアルキレンである。
式(VIII)で表される化合物としては、さらに、例えば、下記式(VIII−39)〜(VIII−48)で表される化合物が挙げられる。
【0140】
【化49】

【0141】
【化50】

式(VIII)で表される化合物のうち式(VIII−1)〜式(VIII−11)で表される化合物が好ましく、式(VIII−2)、式(VIII−4)、式(VIII−5)および式(VIII−6)で表される化合物がさらに好ましい。
【0142】
本発明において、アミノ基を2つ有する化合物としては、さらに下記式(IX)〜(X)で表される化合物が挙げられる。
【0143】
【化51】

【0144】
【化52】

式(IX)および(X)中、R13は水素または−CH3であり、2つ存在するR14は独立して、水素、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数2〜20アルケニルであり、2つ存在するA6は独立して、単結合、−C(=O)−または−CH2−である。
【0145】
式(X)中、R15およびR16はそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜20のアルキルまたはフェニルである。
前記式(IX)において、ステロイド核のB環に結合した「NH2−Ph−A6−O−」(−Ph−は、フェニレンを示す)は、ステロイド核の6位の炭素に結合していることが好ましい。また、2つのアミノ基は、それぞれフェニル環炭素に結合しているが、A6のフェニル環への結合位置に対して、メタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。
【0146】
また、式(X)において、2つの「NH2−(R16−)Ph−A6−O−」(−Ph−は、フェニレンを示す)は、それぞれフェニル環炭素に結合しているが、該フェニル環にステロイド核および「NH2−(R16−)Ph−A6−O−」が結合していると考えた場合、ステロイド核と「NH2−(R16−)Ph−A6−O−」との位置関係は、メタ位またはパラ位であることが好ましい。また、2つのアミノ基はそれぞれフェニル環炭素に結合しているが、A6に対してメタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。
【0147】
前記式(IX)で表される化合物としては、例えば、下記式(IX−1)〜(IX−4)で表される化合物が挙げられる。
【0148】
【化53】

次に、式(X)で表される化合物としては、例えば、下記式(X−1)〜(X−8)で表される化合物が挙げられる。
【0149】
【化54】

【0150】
【化55】

本発明において、アミノ基を2つ有する化合物としては、さらに下記一般式(XI)および(XII)で表される化合物が挙げられる。
【0151】
【化56】

式(XI)中、R17は水素または炭素数1〜20のアルキルであり、該アルキルにおいて、任意の−CH2−は、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、2つ存在するA7は独立して−O−または炭素数1〜6のアルキレンであり、A8は単結合または炭素数1〜3のアルキレンであり、環Tは、1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり、hは0または1である。
【0152】
【化57】

式(XII)中、R18は炭素数2〜30のアルキルであり、これらの中でも炭素6〜20のアルキルが好ましい。R19は水素または炭素数1〜30のアルキルであり、これらの中でも炭素1〜10のアルキルが好ましい。2つ存在するA9はそれぞれ独立して−O−または炭素数1〜6のアルキレンである。
【0153】
前記式(XI)において、2つのアミノ基はそれぞれフェニル環炭素に結合しているが、A7に対してメタ位またはパラに結合していることが好ましい。
また、前記式(XII)において、2つのアミノ基はそれぞれフェニル環炭素に結合しているが、A9に対してメタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。
【0154】
式(XI)で表される化合物としては、例えば、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]4−メチルシクロヘキサン、式(XI−1)〜(XI−9)で表される化合物が挙げられる。
【0155】
【化58】

【0156】
【化59】

上記式(XI−1)〜(XI−3)において、R20は水素または炭素数1〜20のアルキルである。
【0157】
上記式(XI−4)〜(XI−9)において、R21は水素または炭素数1〜20のアルキルであり、水素または炭素数1〜10のアルキルであることが好ましい。
次に、式(XII)で表される化合物としては、例えば、式(XII−1)〜(XII−3)で表される化合物が挙げられる。
【0158】
【化60】

式(XII−1)〜(XII−3)中、R22は炭素数2〜30のアルキルであり、これらの中でも炭素数6〜20のアルキルが好ましく、R23は水素または炭素数1〜30のアルキルであり、これらの中でも水素または炭素数1〜10のアルキルが好ましい。
【0159】
さらに、アミノ基を2つ有する化合物の例として、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,4−ブタンジオールビス(3−アミノプロピル)エーテル、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,6−ビス(4−((4−アミノフェニル)メチル)フェニル)ヘキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン,N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンおよびネオペンチルグリコールビス(4−アミノフェニル)エーテルも挙げられる。
【0160】
上述のとおり、本発明において、アミド酸(B)の合成に用いられる、アミノ基を2つ有する化合物としては、例えば、上記式(I)〜(XII)で表される化合物を用いることができるが、これらの化合物以外の、アミノ基を2つ有する化合物も用いることができる。例えば、ナフタレン構造を有するナフタレン系ジアミン、フルオレン構造を有するフルオレン系ジアミン、またはシロキサン結合を有するシロキサン系ジアミンなどを単独で、または他のアミノ基を2つ有する化合物として挙げた化合物と混合して用いることができる。
【0161】
前記シロキサン系ジアミンは特に限定されるものではないが、下記一般式(3)で表される化合物が、本発明において好ましく使用され得る。
【0162】
【化61】

式中、R3およびR4は独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり、R5はメチレンまたはフェニレンであり、該フェニレンの任意の水素は炭素数1〜10のアルキルで置き換えられていてもよく、2つのxは独立して1〜6の整数であり、yは1〜70の整数である。
【0163】
上記式(3)において、複数存在するR3、R4およびR5は、それぞれ互いに同じでも異なっていてもよい。
さらに好ましくは、本発明において、アミド酸(B)の合成に用いられるアミノ基を2つ有する化合物として、下記式(11)〜(18)で表される化合物が挙げられる。下記式中、R24およびR25は独立して炭素数3〜20のアルキルである。
【0164】
【化62】

【0165】
【化63】

【0166】
【化64】

なお、本発明の熱硬化性組成物に含まれるアミド酸(B)を合成するために用いることができる、アミノ基を2つ有する化合物は、本明細書に記載された化合物に限定されることなく、本発明の目的が達成される範囲内で、他にも種々の形態のアミノ基を2つ有する化合物を用いることができる。
【0167】
また、本発明の熱硬化性組成物をインクジェット用インクに用いる場合に、該インクの用途によっては高い透明性が必要とされるが、そのような場合には、上記一般式(3)において、y=1〜15の整数である化合物を用いることが特に好ましい。
【0168】
(アミノ基を1つ有する化合物)
次に、アミノ基を有する化合物(b1)の一例である、アミノ基を1つ有する化合物について説明する。
【0169】
アミノ基を1つ有する化合物の具体例としては、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、1−アミノ−2−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノエタノール、5−アミノ−1−ペンタノール、2−(4−アミノフェニル)エチルアルコール、4−(2−アミノエチル)フェノール、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジメトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルトリエトキシシランおよびm−アミノフェニルメチルジエトキシシランを挙げることができる。
以上、説明した、本発明でアミド酸(B)の合成に用いられる、アミノ基を有する化合物(b1)は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
【0170】
<酸無水物基を1つ有する化合物(b2)>
上記化合物(b1)と反応させる化合物(b2)は、下記一般式(2)で表される、酸無水物基を一つ有する化合物である。酸無水物基を複数有すると、化合物(b1)との間で重合反応が進行することがあり、モノマーのアミド酸が得られない。
【0171】
【化65】

式中、R2は架橋性不飽和結合を有する炭素数2〜100の2価の有機基である。
【0172】
本発明において架橋性不飽和結合とは、アルケニル、アルキニルなどの不飽和結合のことである。架橋性不飽和結合は、通常化合物(b2)中に1〜5個、好ましくは1〜3個存在する。
【0173】
前記架橋性不飽和結合を有する炭素数2〜100の2価の有機基としては、例えば、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキレンであって、少なくとも一つの架橋性不飽和結合を有する基、置換基を有していてもよい炭素数8〜30のアリーレンであって、少なくとも一つの架橋性不飽和結合を有する基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキレンオキシであって、少なくとも一つの架橋性不飽和結合を有する基、置換基を有していてもよい炭素数8〜22のアリーレンオキシであって、少なくとも一つの架橋性不飽和結合を有する基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキレンチオであって、少なくとも一つの架橋性不飽和結合を有する基、置換基を有していてもよい炭素数8〜20のアリーレンチオであって、少なくとも一つの架橋性不飽和結合を有する基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキレンスルホニルであって、少なくとも一つの架橋性不飽和結合を有する基、置換基を有していてもよい炭素数8〜20のアリーレンスルホニルであって、少なくとも一つの架橋性不飽和結合を有する基が挙げられる。
【0174】
以上、説明した化合物(b2)の具体例としては、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アリルナジック酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、4−エチニルフタル酸無水物、4−フェニルエチニルフタル酸無水物、シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、exo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物およびアリルこはく酸無水物を挙げることができる。
【0175】
これらの中でも、得られるポリイミド膜の耐久性が優れるという点から、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、アリルナジック酸無水物およびexo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物が好ましい。
【0176】
化合物(b2)は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよいが、ポリイミドの架橋密度を均一に制御するという観点からすると、1種のみを使用することが好ましい。
【0177】
<アミド酸(B)を合成するための反応条件>
本発明では、アミド酸(B)を合成するため、前記化合物(b1)のアミノ基と化合物(b2)の酸無水物基とが反応してアミド酸を形成する、穏やかな反応条件で、前記化合物(b1)と化合物(b2)とが反応させられる。
【0178】
この穏やかな反応条件とは、例えば、常圧下、温度20〜60℃、反応時間0.2〜20時間で、触媒を使用することなく、反応により化合物(b2)の酸無水物基が開環して生じたカルボキシル基を活性化させることなく反応させる、という条件である。カルボキシル基の活性化とは、例えば、酸クロリドへの変換である。
【0179】
前記の穏やかな反応条件では、前記化合物(b1)と化合物(b2)とが反応して生じたカルボキシル基が、化合物(b1)のアミノ基と反応することがないため、遊離のカルボキシル基を有するアミド酸(B)が得られる。
【0180】
このような反応により、ポリマーではなく、モノマーの状態のアミド酸が得られる。化合物(b1)および化合物(b2)の反応において、化合物(b1)または化合物(b2)と反応し得るその他の化合物が存在すると、ポリマーが形成される恐れがあるので、化合物(b1)と化合物(b2)とのみを反応させることが好ましい。
【0181】
前記化合物(b1)と化合物(b2)とを反応させてアミド酸(B)を得るに際しては、反応に用いる、化合物(b1)のモル数をnb1、化合物(b2)のモル数をnb2としたとき、モル数の比が、0.5≦nb1/nb2≦1.0の関係になるようにすることが好ましい。
【0182】
前記の関係を満たして合成されたアミド酸(B)は、本発明の熱硬化性組成物およびインクジェット用インクに特に高濃度で含有させることができ、かつそのような熱硬化性組成物およびインクジェット用インクは低粘度であり、1回のジェッティングで比較的厚いポリイミド膜(2μm以上)を形成することができる。
【0183】
以上説明したアミド酸(B)は、分子末端に、化合物(b2)由来の架橋性基(架橋性不飽和結合)を有し、後述するように、加熱処理することにより架橋硬化して、ポリイミドを形成する。
【0184】
また、ポリマーではなくモノマーの状態であるため、アミド酸(B)の分子量は通常210〜2,000、好ましくは210〜1,500、より好ましくは210〜1,000と低く、低粘度で高濃度のポリイミド形成成分(すなわちアミド酸(B))を含む熱硬化性組成物およびインクジェット用インクが得られる。
【0185】
(反応溶媒)
アミド酸(B)の合成反応に使用することのできる反応溶媒としては、前述のアミド酸(A)の合成反応に用いられる反応溶媒と同様のものが挙げられる。反応溶媒の使用量も同様であり、アミド酸(B)の合成反応において、反応溶媒は、化合物(b1)と化合物(b2)との合計100重量部に対し、100重量部以上使用すると、反応がスムーズに進行するので好ましい。
【0186】
(反応系への添加順序)
また、反応原料の反応系への添加順序は、特に限定されない。すなわち、化合物(b1)と化合物(b2)とを同時に反応溶媒に加える方法、化合物(b2)を反応溶媒中に溶解させた後に化合物(b1)を添加する方法および化合物(b1)を反応溶媒中に溶解させた後に化合物(b2)を添加する方法などいずれの方法も用いることができる。
【0187】
〔熱硬化性組成物中のアミド酸(A)およびアミド酸(B)の濃度〕
本発明の熱硬化性組成物は、以上、説明したアミド酸(A)およびアミド酸(B)からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミド酸を含む。該熱硬化性組成物中のアミド酸(A)およびアミド酸(B)の濃度は、合計で、30〜80重量%であることが好ましく、30〜70重量%であることがより好ましく、40〜60重量%であることがさらに好ましい。この濃度範囲であると、本発明の熱硬化性組成物をインクジェット用インク用途に用いた場合に、一回のジェッティングで比較的厚いポリイミド膜(2μm以上)を形成することが可能であり、しかも、該インクの粘度を、インクジェット印刷可能な粘度範囲に調整することができる。
【0188】
<高分子化合物(C)>
本発明の熱硬化性組成物は、インクジェット用インクに適用した場合の、柔軟性と耐熱性付与のため、高分子化合物(C)を含んでもよい。高分子化合物(C)とは、構成単位を有する化合物のことを指す。特に、重量平均分子量が1,000〜10,000である高分子化合物が、後述する溶媒(D)に対する溶解性が優れており、インクジェット用インクに適用した場合の本発明の熱硬化性組成物の含有成分として好ましい。溶媒(D)に対する溶解性の観点からは、高分子化合物(C)の重量平均分子量は、より好ましくは1,000〜7,500であり、さらに好ましくは1,000〜5,000であり、特に好ましくは1,000〜2,000である。
【0189】
重量平均分子量が1,000以上であると、加熱処理によって蒸発することがなく、化学的・機械的に安定である。また重量平均分子量が2,000以下であると、高分子化合物(C)の溶媒に対する溶解性が特に高いので、本発明の熱硬化性組成物中の高分子化合物(C)の濃度を高くすることができるため、前記熱硬化性組成物をインクジェット用インクに適用した場合の、インクを塗布して得られる塗膜の柔軟性と耐熱性を向上させることができる。
【0190】
高分子化合物(C)の重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法により測定することができる。具体的には、高分子化合物(C)をテトラヒドロフラン(THF)等で濃度が約1重量%になるように希釈し、東ソー株式会社製カラムG4000HXL、G3000HXL、G2500HXLおよびG2000HXLを用いて、THFを展開剤としてゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めることができる。
【0191】
以上、説明した高分子化合物(C)の例としては、ポリアミド酸、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル等が挙げられる。これらの中でも、柔軟性と耐熱性を付与する観点から、ポリアミド酸およびポリイミドが好ましい。
【0192】
また、本発明の熱硬化性組成物中の高分子化合物(C)の濃度は、通常0〜20重量%であり、好ましくは0〜10重量%である。このような濃度範囲であると、絶縁膜として良好な特性が付与できることがあり好ましい。
【0193】
[本発明のインクジェット用インク]
本発明のインクジェット用インク(以下単に「本発明のインク」とも言う)は、本発明の熱硬化性組成物を含む。したがって本発明のインクは、上記アミド酸(A)およびアミド酸(B)からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミド酸を含み、さらに、以下に説明する溶媒(D)およびその他の添加剤を含んでもよい。なお、本発明でいうインクとは、有色または無色のインクのどちらであっても構わない。
【0194】
本発明のインク中のアミド酸(A)およびアミド酸(B)の濃度は、合計で、30〜80重量%であることが好ましく、30〜70重量%であることがさらに好ましい。この濃度範囲であると、本発明のインクについて、一回のジェッティングによって、比較的厚いポリイミド膜(2μm以上)の形成が可能であり、しかも、該インクの粘度を、インクジェット印刷可能な粘度範囲に調整することができる。
【0195】
アミド酸(A)およびアミド酸(B)の濃度が高いほど、本発明のインクから得られるポリイミド膜の膜厚が厚くなるため好ましいが、その一方で粘度も高くなる傾向にあるため、場合によってはインクジェット印刷機でインクが吐出できなくなるという問題が生じる。本発明者らが鋭意検討した結果、特に上記の濃度範囲であれば、膜厚の大きなポリイミド膜を形成可能で、問題なく吐出できるインクジェット用インクが得られることを見出した。
次に、以下において、前記溶媒(D)およびその他の添加剤について説明する。
【0196】
<溶媒(D)>
本発明のインクジェット用インクは、溶媒(D)を含んでもよい。前記溶媒(D)は、アミド酸(A)およびアミド酸(B)のうち、本発明のインクの構成成分とする化合物を溶解することができる(すなわち、本発明のインクがアミド酸(A)のみを含む場合は、アミド酸(A)を溶解することができ、アミド酸(B)のみを含む場合には、アミド酸(B)を溶解することができ、アミド酸(A)およびアミド酸(B)を含む場合には、その両者を溶解することができる)溶媒であれば、特に制限されない。
【0197】
また、単独ではアミド酸(A)またはアミド酸(B)を溶解しない溶媒であっても、他の溶媒と混合することによってアミド酸(A)またはアミド酸(B)を溶解するようになるのであれば、そのような混合溶媒を、上記溶媒(D)として用いることが可能である。
【0198】
また溶媒(D)の沸点は通常150〜300℃であり、好ましくは150〜250℃である。
溶媒(D)の具体例としては、乳酸エチル、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アニソール、エチルラクテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル(1−ブトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(1−エトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラメチレングリコールモノビニルエーテル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、1−ビニル−2−ピロリドン、1−ブチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチル−ε−カプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンおよびγ−ブチロラクトンを挙げることができる。
【0199】
これらの溶媒の中でも、インクジェットヘッドの耐久性向上の点で、本発明のインクが、乳酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンまたはγ−ブチロラクトンを、溶媒(D)として含むことが好ましい。
【0200】
なお、以上例示した溶媒の中で、インクジェットヘッドの耐久性の点から、1−ビニル−2−ピロリドン、1−ブチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチル−ε−カプロラクタムなどのアミド系溶媒は、溶媒(D)全重量に対して、20重量%以上含まないことが好ましく、全く含まない、すなわち溶媒(D)が非アミド系の溶媒であることがより好ましい。
【0201】
ところで、前述で説明したように、アミド酸(A)およびアミド酸(B)の合成には、反応溶媒を使用するので、アミド酸(A)およびアミド酸(B)の合成が完了したときに前記反応溶媒が残存している場合には、その反応溶媒を溶媒(D)として使用することもできる。
【0202】
以上、説明した溶媒(D)は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。また、溶媒は、インクジェット用インクにおける固形分濃度が30〜80重量%となるように添加されて用いられることが好ましい。
【0203】
<その他の添加剤>
目的とする特性によっては、本発明のインクジェット用インクは、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、エポキシ硬化剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、水溶性ポリマー、顔料、染料などの添加剤を含んでもよい。
【0204】
(エポキシ樹脂)
前記エポキシ樹脂は、オキシランやオキセタンを有する化合物であれば特に限定されないが、オキシランを2つ以上有する化合物が好ましい。
【0205】
本発明のインク中のエポキシ樹脂の濃度は特に限定されないが、0.1〜20重量%が好ましく、1〜10重量%がさらに好ましい。この濃度範囲であると、本発明のインクから形成されたポリイミド膜の耐熱性、耐薬品性、平坦性が良好である。
【0206】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、オキシランを有するモノマーの重合体、及び、オキシランを有するモノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
【0207】
オキシランを有するモノマーの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びメチルグリシジル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0208】
また、オキシランを有するモノマーと共重合を行う他のモノマーとの具体例としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミド及びN−フェニルマレイミドを挙げることができる。
【0209】
オキシランを有するモノマーの重合体及びオキシランを有するモノマーと他のモノマーとの共重合体の好ましい具体例としては、ポリグリシジルメタクリレート、メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、ベンジルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、n−ブチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、またはスチレン−グリシジルメタクリレート共重合体を挙げることができる。インクジェット用インクがこれらのエポキシ樹脂を含有すると、インクジェット用インクから形成されたポリイミド膜の耐熱性が良好となるため好ましい。
【0210】
エポキシ樹脂の具体例としては、商品名「エピコート807」、「エピコート815」、「エピコート825」、「エピコート827」、「エピコート828」、「エピコート190P」、「エピコート191P」(以上、油化シェルエポキシ(株)製)、商品名「エピコート1004」、「エピコート1256」(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、商品名「アラルダイトCY177」、商品名「アラルダイトCY184」(日本チバガイギー(株)製)、商品名「セロキサイド2021P」、「セロキサイド3000」、「EHPE−3150」(ダイセル化学工業(株)製)、商品名「テクモアVG3101L」(三井化学(株)製)、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを挙げることができる。これらの中でも、商品名「アラルダイトCY184」、商品名「セロキサイド2021P」、商品名「テクモアVG3101L」、商品名「エピコート828」は、得られるポリイミド膜の平坦性が特に良好であるため好ましい。
エポキシ樹脂は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
【0211】
(アクリル樹脂)
上記アクリル樹脂は、アクリル基またはメタクリル基を有する樹脂であれば特に限定されない。
【0212】
本発明のインク中のアクリル樹脂の濃度は特に限定されないが、0.1〜20重量%が好ましく、1〜10重量%がさらに好ましい。この濃度範囲であると、本発明のインクから形成された塗膜の耐熱性、耐薬品性、平坦性が良好である。
【0213】
前記アクリル樹脂としては、例えば、ヒドロキシルを有する単官能重合性モノマー、ヒドロキシルを有しない単官能重合性モノマー、二官能(メタ)アクリレート、または三官能以上の多官能(メタ)アクリレートの単独重合体、あるいはこれらのモノマーの共重合体が挙げられる。
【0214】
前記ヒドロキシルを有する単官能重合性モノマーの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、または1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらの中でも、形成される膜を柔軟にできる点から、4−ヒドロキシブチルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレートが好ましい。
【0215】
前記ヒドロキシルを有しない単官能重合性モノマーの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、p−ビニルフェニル−3−エチルオキセタ−3−イルメチルエーテル、2−フェニル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、2−トリフロロメチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、4−トリフロロメチル−2−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、ビニルトルエン、(メタ)アクリルアミド、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、N−アクリロイルモルホリン、5−テトラヒドロフルフリルオキシカルボニルペンチル(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、コハク酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、マレイン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、およびシクロヘキセン−3,4−ジカルボン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]を挙げることができる。
【0216】
前記二官能(メタ)アクリレートの具体例としては、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、およびジペンタエリスリトールジアクリレートを挙げることができる。
【0217】
前記三官能以上の多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、およびウレタン(メタ)アクリレートを挙げることができる。
以上説明したアクリル樹脂は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
【0218】
(界面活性剤)
上記界面活性剤は、本発明のインクの下地基板への濡れ性、レベリング性、又は塗布性を向上させるために使用するものであり、本発明のインク100重量%中、0.01〜1重量%の量で用いられることが好ましい。
【0219】
前記界面活性剤としては、本発明のインクの塗布性を向上できる点から、例えば、商品名「Byk−300」、「Byk−306」、「Byk−335」、「Byk−310」、「Byk−341」、「Byk−344」、「Byk−370」(ビック・ケミー(株)製)等のシリコン系界面活性剤;商品名「Byk−354」、「ByK−358」、「Byk−361」(ビック・ケミー(株)製)等のアクリル系界面活性剤;商品名「DFX−18」、「フタージェント250」、「フタージェント251」(ネオス(株)製)等のフッ素系界面活性剤を挙げることができる。
これらの界面活性剤は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
【0220】
(帯電防止剤)
上記帯電防止剤は、本発明のインクの帯電を防止するために使用するものであり、本発明のインク100重量%中、0.01〜1重量%の量で用いられることが好ましい。
【0221】
前記帯電防止剤としては、特に限定されるものではなく、公知の帯電防止剤を用いることができる。具体的には、酸化錫、酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物、酸化錫・酸化インジウム複合酸化物等の金属酸化物や四級アンモニウム塩が挙げられる。
これらの帯電防止剤は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
【0222】
(カップリング剤)
上記カップリング剤は、特に限定されるものではなく、公知のカップリング剤を用いることができる。
【0223】
カップリング剤としてはシランカップリング剤が好ましく、シランカップリング剤として具体的には、トリアルコキシシラン化合物又はジアルコキシシラン化合物などを挙げることができる。
【0224】
トリアルコキシシラン化合物又はジアルコキシシラン化合物としては、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノエチル−γ−イミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシランを挙げることができる。これらの中でも、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシランおよびγ−イソシアナートプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
【0225】
これらのカップリング剤は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。カップリング剤は、本発明のインク100重量%中、0.01〜3重量%の量で用いられることが好ましい。
【0226】
(エポキシ硬化剤)
上記エポキシ硬化剤は、特に限定されるものではなく、公知のエポキシ硬化剤を用いることができる。具体的には、有機酸ジヒドラジド化合物、イミダゾール及びその誘導体、ジシアンジアミド、芳香族アミン、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物などが挙げられる。
【0227】
さらに具体的には、ジシアンジアミド等のジシアンジアミド類、アジピン酸ジヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン等の有機酸ジヒドラジド、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチルイミダゾリル−(1’)]−エチルトリアジン、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、無水フタル酸、無水トリメリット酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物などの酸無水物、またはトリメリット酸が挙げられる。
【0228】
中でも透明性が良好なトリメリット酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物が好ましい。
これらのエポキシ硬化剤は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
エポキシ硬化剤は、本発明のインク100重量%中、0.2〜5重量%の量で用いられることが好ましい。
【0229】
<インクジェット用インクの粘度>
本発明のインクジェット用インクの、インクジェットヘッドから吐出するときの温度(吐出温度)における粘度は、1〜50mPa・sであると、インクジェット塗布方法によるジェッティング精度が向上する点で好ましい。また、吐出温度における本発明のインクの粘度は、より好ましくは5〜20mPa・s、さらに好ましくは8〜15mPa・sである。粘度が15mPa・sより小さいと、インクジェット吐出不良が生じることがない。
【0230】
また常温(25℃)でジェッティングを行う場合も多いため、本発明のインクの25℃における粘度は、1〜50mPa・sであることが好ましく、5〜20mPa・sであればさらに好ましく、8〜15mPa・sであることが特に好ましい。25℃における粘度が15mPa・sより小さいと、インクジェット吐出不良が生じることがない。
【0231】
<インクジェット用インクの表面張力>
本発明のインクジェット用インクの表面張力は、通常20〜70mN/mであり、好ましくは20〜40mN/mである。
表面張力がこのような範囲にあると、ジェッティングにより良好な液滴が形成でき、かつメニスカスを形成することができる
【0232】
<インクジェット用インクの調製方法>
本発明のインクジェット用インクは、アミド酸(A)およびアミド酸(B)からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミド酸、さらに必要に応じて高分子化合物(C)やその他の添加剤を溶媒(D)に均一に溶解することによって、得ることができる。
【0233】
〔インクジェット塗布方法によるインクジェット用インクの塗布〕
本発明のインクジェット用インクをインクジェット塗布方法により塗布する場合に、その方法としては、インクの吐出方法により各種のタイプがある。吐出方法としては、例えば、圧電素子型、バブルジェット(登録商標)型、連続噴射型、または静電誘導型が挙げられる。本発明のインクは、インクに含まれる各成分を適正に選択することにより、様々な方法で吐出が可能であり、インクジェット塗布方法によれば、本発明のインクを予め定められたパターン状に塗布することができる。
【0234】
本発明のインクを用いて塗布を行うのに好ましい吐出方法は、圧電素子型である。この圧電素子型のヘッドは、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクとを備えた、オンデマンドインクジェット塗布ヘッドであり、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させる。
【0235】
インクジェット塗布装置は、塗布ヘッドとインク収容部とが別体となった構成に限らず、それらが分離不能に一体になった構成であってもよい。また、インク収容部は、塗布ヘッドに対して、分離可能または分離不能に一体化されてキャリッジに搭載されるもののほか、装置の固定部位に設けられて、インク供給部材、例えば、チューブを介して塗布ヘッドにインクを供給する形態のものでもよい。
【0236】
また、塗布ヘッドに対して、好ましい負圧を作用させるための構成をインクタンクに設ける場合には、インクタンクのインク収納部に吸収体を配置した形態、あるいは可撓性のインク収容袋とこれに対しその内容積を拡張する方向の付勢力を作用させるバネ部とを有した形態などを採用することができる。塗布装置は、シリアル塗布方式を採るもののほか、塗布媒体の全幅に対応した範囲にわたって塗布素子を整列させてなるラインプリンタの形態をとるものであってもよい。
【0237】
<アミド酸の膜の形成>
インクジェット塗布方法によって、本発明のインクジェット用インクを基板上に塗布した後、ホットプレート、またはオーブンなどで加熱することにより乾燥(溶媒を除去)し、アミド酸の膜を形成することができる。なお、本発明のインクの粘度が高い場合には、インクジェットヘッドを加熱(好ましくは40〜120℃)することでインクを加熱し、インクの粘度を下げたうえで塗布を行う。
【0238】
インクジェット塗布方式では、必要な部分のみにインクを吐出(描画)するため、従来の絶縁膜(ポリイミド膜)の形成に採用されていたフォトリソグラフィーに比べて、材料使用量は圧倒的に少なく、フォトマスクを使用する必要がないので、多品種の絶縁膜の大量生産が可能であり、また、製造に要する工程数が少ない。
【0239】
前記の、基板上に塗布された本発明のインクを乾燥させる際の加熱の条件は、本発明のインクに含まれる各成分の種類および配合割合によって異なるが、通常70〜120℃で、オーブンを用いた場合には、通常5〜15分間、ホットプレートを用いた場合には、通常1〜5分間である。このような加熱乾燥により、基板上にアミド酸の膜が形成される。
【0240】
<ポリイミド膜の形成>
アミド酸の膜を形成後、アミド酸をイミド化させるために、通常180〜350℃、好ましくは200〜300℃で加熱処理する。このとき、オーブンを用いた場合では、通常30〜90分間、ホットプレートを用いた場合では、通常5〜30分間加熱処理することによってポリイミド膜を得ることができる。なお、イミド化のためには、加熱処理に限定されず、UV処理、イオンビーム、電子線またはガンマ線照射などの処理を行ってもよい。
【0241】
前記加熱処理等をすることでポリイミド膜が形成されるが、アミド酸の膜がパターン状に形成されている場合には、パターン状のポリイミド膜が形成される。アミド酸の膜がベタ膜として形成されている場合には、ポリイミドのベタ膜が形成される。本明細書では、特に言及のない限り、ポリイミド膜は、前記ポリイミドのベタ膜およびパターン状のポリイミド膜の双方を含む。
【0242】
このようにして得られたポリイミド膜は、本発明のインクが、ポリマーではなくモノマーの状態のアミド酸(A)および/またはアミド酸(B)を高濃度で含んでいることから、従来のインクジェット用インクの塗布、加熱により形成されていたポリイミド膜よりも厚く、その厚みは通常2μm以上であり、好ましくは2〜5μmである。
【0243】
このように本発明のインクからは、1回のジェッティングで厚いポリイミド膜を得ることができるので、例えば、10μm程度の厚い絶縁膜を形成する場合には、従来のインクジェット用インクよりも、重ね塗りの回数を減らすことができ、絶縁膜の製造工程を短縮することができる。
また、本発明のインクから得られるポリイミド膜は、耐熱性、電気絶縁性に優れ、電子部品の信頼性、歩留まりを向上させることができる。
【0244】
〔フィルム基板〕
本発明のフィルム基板は、例えば、インクジェット等の方法により配線が形成されたポリイミドフィルム等の基板上に、本発明のインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって全面または所定のパターン状(ライン状等)に塗布し、その後、上記で説明したようにアミド酸膜を乾燥し、さらに加熱してポリイミド膜を形成させて得られる。
【0245】
本発明のインクから形成されるポリイミド膜は、好ましくは上述したポリイミドフィルム基板の上に形成されるが、基板の種類は特にこれに限定されるものではなく、公知の基板をフィルム基板の基板として用いることができる。
【0246】
本発明に適用可能な基板としては、例えば、FR−1、FR−3、FR−4、CEM−3、又はE668等の各種規格に適合する、ガラスエポキシ基板、ガラスコンポジット基板、紙フェノール基板、紙エポキシ基板、グリーンエポキシ基板、およびBTレジン基板が挙げられる。
【0247】
また、本発明に適用可能な他の基板としては、例えば、銅、黄銅、リン青銅、ベリリウム銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、スズ、クロム、又はステンレス等の金属からなる基板(それらの金属を表面に有する基板であってもよい);酸化アルミニウム(アルミナ)、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、ジルコニウムのケイ酸塩(ジルコン)、酸化マグネシウム(マグネシア)、チタン酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛(PT)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、硫化カドニウム、硫化モリブデン、酸化ベリリウム(ベリリア)、酸化ケイ素(シリカ)、炭化ケイ素(シリコンカーバイト)、窒化ケイ素(シリコンナイトライド)、窒化ホウ素(ボロンナイトライド)、酸化亜鉛、ムライト、フェライト、ステアタイト、ホルステライト、スピネル、又はスポジュメン等のセラミックスからなる基板(それらのセラミックスを表面に有する基板であってもよい);PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂、PCT(ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、テフロン(登録商標)、熱可塑性エラストマー、又は液晶ポリマー等の樹脂からなる基板(それらの樹脂を表面に有する基板であってもよい);シリコン、ゲルマニウム、又はガリウム砒素等の半導体基板;ガラス基板;酸化スズ、酸化亜鉛、ITO、又はATO等の電極材料が表面に形成された基板;αGEL(アルファゲル)、βGEL(ベータゲル)、θGEL(シータゲル)、又はγGEL(ガンマゲル)(以上、株式会社タイカの登録商標)等のゲルシートが挙げられる。
【0248】
〔電子部品〕
本発明のフィルム基板を利用して、フレキシブルな電子部品が得られる。
【実施例】
【0249】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例で用いる、酸無水物基を有する化合物(a1)、モノアミン化合物(a2)、アミノ基を有する化合物(b1)、化合物(b2)および溶媒(D)の名称およびその略号を示す。以下の記述にはこの略号を使用する。
【0250】
<酸無水物基を有する化合物(a1)>
ODPA:3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物
BSAA:4,4’−[(イソプロピリデン)ビス(p−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物
C18SA:オクタデセニルコハク酸無水物
C14SA:テトラデセニルコハク酸無水物
<モノアミン化合物(a2)>
4−EA:4−エチニルアニリン
<アミノ基を有する化合物(b1)>
DDE :4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
BAPP:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
3o2o2o3DA: ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル
ATU:3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン
AEE :2−(2−アミノエトキシ)エタノール
5AP :5−アミノ−1−ペンタノール
APSE :3−アミノプロピルトリメトキシシラン
APMES :3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン
S330 :3−アミノプロピルトリエトキシシラン
<化合物(b2)>
MA:マレイン酸無水物
ETHPA:exo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物
<溶媒(D)>
EDM:ジエチレングリコールメチルエチルエーテル
GBL:γ−ブチロラクトン
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
【0251】
[合成例1]アミド酸(A−1)の合成
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口および窒素ガス導入口を備えた300mlの四つ口フラスコに、表1に示すとおりに原料を仕込み、乾燥窒素気流下、常圧下40℃で5hr攪拌したところ、淡黄色透明なアミド酸(分子量544)の30重量%溶液を得た。
溶液の粘度は、E型粘度計(TOKYO KEIKI製 VISCONIC ELD)で測定し、この溶液の粘度は38.4mPa・s(25℃)であった。
【0252】
[合成例2〜4]アミド酸(A−2〜A−4)の合成
表1に示すとおりに原料を仕込むこと以外は合成例1と同じ条件でアミド酸溶液を調製し、それぞれをアミド酸(A−2)〜(A−4)とした。これらのアミド酸の25℃における粘度を、合成例1と同じ条件で測定した。
【0253】
[合成例5〜16]アミド酸(B−1〜B−12)の合成
表2に示すとおりに原料を仕込むこと以外は合成例1と同じ条件でアミド酸溶液を調製し、それぞれをアミド酸(B−1)〜(B−12)とした。これらのアミド酸の25℃における粘度を、合成例1と同じ条件で測定した。
【0254】
以上の結果を表1および2に併せて示す。なお、各合成例で得たアミド酸溶液中のアミド酸の濃度は、アミド酸の合成に用いた原料の重量の和を、原料全体の重量で割ることによって求められる。
【0255】
【表1】

【0256】
【表2】

*合成例11〜16で得られたアミド酸の分子量は、生成するアミド酸(化合物(b1)を2種類使用しているので、生成するアミド酸は複数種類である)の分子量を各々算出し、2種類の化合物(b1)の混合比に合わせて平均化して求めた値(平均分子量)である。
*合成例5〜16で得られたアミド酸溶液の表面張力は、溶媒としてEDMのみを用いたものはすべて26.5mN/m前後、溶媒としてEDMおよびNMPを用いたものはすべて27.5mN/m前後であった。
【0257】
また、反応に用いた化合物(a1)のモル数をna1、モノアミン化合物(a1)のモル数をna2、化合物(b1)のモル数をnb1、化合物(b2)のモル数をnb2としたときの、モル数の比を以下の表3に示す。
【0258】
【表3】

[実施例1]ポリイミド膜(1)の形成
合成例1で合成されたアミド酸(A−1)(30重量%溶液)をそのままインクジェット用インク(1)として使用した。
【0259】
FUJIFILM Dimatix社製インクジェット塗布装置DMP−2831(形番)で1滴の吐出量が10plのインクジェットヘッドを使用し、1.5mm厚のガラスエポキシ樹脂両面銅張り板上に、1ドット幅でドットピッチ30ミクロンに設定し、長さ5cmのライン塗布を加温(55℃)しながら行った。ピエゾ電圧は18V、駆動周波数は5kHzとした。本条件で吐出を行うと、1滴の量が9.0〜9.5plで吐出できる。
【0260】
インクジェット塗布を完了した後、基板上に形成されたライン状の塗膜のライン幅を光学顕微鏡で観察した。次に、該基板を80℃のホットプレートで5分間乾燥し、その後230℃のオーブンで30分間加熱し、ライン状に形成された絶縁性のポリイミド膜(1)を得た。
【0261】
得られたポリイミド膜(1)のライン幅、エッジの直線性を光学顕微鏡で観察し、膜厚を測定した。膜厚は、触針式膜厚計(αステップ200(商品名)、KLA−Tencor Japan株式会社製)を使用し、3箇所の測定値の平均値を膜厚とした。その結果を下記表4に示す。ライン幅はほぼ塗布したときの幅を維持しており、ラインのエッジの直線性も良好であり、ラインは十分な厚みを有していた(2.25μm)。
【0262】
[実施例2〜16]ポリイミド膜(2)〜(16)の形成
実施例1と同じ条件で、アミド酸(A−2)〜(A−4)およびアミド酸(B−1)〜(B−12)(これらは溶媒に溶解した溶液の状態で得ている)をそのまま、それぞれインクジェット用インク(2)〜(16)(アミド酸(A−2)〜(A−4)がそれぞれインクジェット用インク(2)〜(4)に、アミド酸(B−1)〜(B−12)がそれぞれインクジェット用インク(5)〜(16)に対応する)として使用した。
【0263】
インクジェット用インク(2)〜(16)を使用して、ヘッド加温温度のみ下記表4に示すように条件を変え、その他の条件は実施例1と同じ条件でポリイミド膜(2)〜(16)を得た。
【0264】
得られたポリイミド膜について、実施例1と同じ条件で評価を行った。その結果を下記表4に示す。すべてのインクジェット用インクにおいて、ライン幅はほぼ塗布したときの幅を維持しており、ラインのエッジの直線性も良好であり、ラインは十分な厚みを有していた。
【0265】
[比較合成例1]ポリアミド酸(C1)
合成例1で用いた300mlの四つ口フラスコに、以下に示すとおりに原料を仕込み、乾燥窒素気流下、常圧下40℃で5時間攪拌して、淡黄色透明なポリアミド酸(C1)の25重量%溶液を得た。
【0266】
この溶液の粘度を、E型粘度計(TOKYO KEIKI製 VISCONIC ELD)で測定したところ、この溶液の粘度は18.6mPa・s(25℃)であった。
またポリアミド酸(C1)の重量平均分子量は1,550であった。ポリアミド酸(C1)の重量平均分子量は、得られたポリアミド酸(C1)の溶液を、テトラヒドロフラン(THF)でポリアミド酸(C1)の濃度が約1重量%になるように希釈し、GPC装置として、日本分光株式会社製、JASCO GULLIVER 1500 (インテリジェント示差屈折率計 RI−1530)を用いて、上記希釈液を展開剤としてGPC法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めた。カラムは、東ソー株式会社製カラムG4000HXL、G3000HXL、G2500HXLおよびG2000HXLの4本をこの順序に接続して使用し、カラム温度40℃、流速1.0ml/minの条件で測定した。
ODPA 3.31g
BAPP 17.51g
MA 4.18g
EDM 37.5g
GBL 37.5g
【0267】
[比較合成例2]ポリアミド酸(C2)
合成例1で用いた300mlの四つ口フラスコに、以下に示すとおりに原料を仕込み、乾燥窒素気流下、常圧下40℃で5時間攪拌して、淡黄色透明なポリアミド酸(C2)の25重量%溶液を得た。この溶液の、比較合成例1における方法と同様の方法で測定した粘度は10.2mPa・s(25℃)であり、比較合成例1における方法と同様の方法で測定したポリアミド酸(C2)の重量平均分子量は3,900であった。
ODPA 10.8g
BAPP 3.4g
S330 10.9g
EDM 75.0g
【0268】
[比較合成例3]ポリアミド酸(C3)
合成例1で用いた300mlの四つ口フラスコに、以下に示すとおりに原料を仕込み、乾燥窒素気流下、常圧下40℃で5時間攪拌して、ポリアミド酸(C3)の30重量%溶液の作製を試みた。ポリアミド酸(C3)は一度溶媒に溶解したが、数分後には析出してしまい、この溶液はインクジェット用インクとして利用できなかった。
ODPA 3.97g
BAPP 21.01g
MA 5.02g
EDM 35.00g
GBL 35.00g
【0269】
[比較合成例4]ポリアミド酸(C4)
合成例1で用いた300mlの四つ口フラスコに、以下に示すとおりに原料を仕込み、乾燥窒素気流下、常圧下40℃で5時間攪拌して、淡黄色透明なポリアミド酸(C4)の30重量%溶液を得た。この溶液の、比較合成例1における方法と同様の方法で測定した粘度は43.4mPa・s(25℃)であり、比較合成例1における方法と同様の方法で測定したポリアミド酸(C4)の重量平均分子量は1,850であった。前記溶液は数時間後にはゲル化してしまい、インクジェット用インクとして利用できなかった。
ODPA 12.94g
BAPP 4.03g
S330 13.03g
EDM 70.00g
【0270】
[比較例1]ポリイミド膜(C1)
ポリアミド酸(C1)の溶液をそのままインクジェット用インク(C1)として使用した。
インクジェット用インク(C1)をインクジェット用インクとして使用した以外は、実施例1と同じ条件でポリイミド膜(C1)を得た。
【0271】
得られたポリイミド膜(C1)について、実施例1と同じ条件で評価を行った。その結果、ポリイミド膜(C1)のライン幅は60μmであった。また、ポリイミド膜(C1)のラインの膜厚は1.20μmであった。
【0272】
[比較例2]ポリイミド膜(C2)の形成
ポリアミド酸(C2)の溶液をそのままインクジェット用インク(C2)として使用した。
【0273】
インクジェット用インク(C2)をインクジェット用インクとして使用した以外は、実施例1と同じ条件でポリイミド膜(C2)を得た。
得られたポリイミド膜(C2)について、実施例1と同じ条件で評価を行った。その結果、ポリイミド膜(C2)のライン幅は65μmであった。また、ポリイミド膜(C2)のラインの膜厚は1.25μmであった。
【0274】
下記表4に、実施例1〜16ならびに比較例1および2の結果をまとめる。
【0275】
【表4】

以上の結果から明らかなように、ポリマー(ポリアミド酸)を構成成分として含む従来のインクジェット用インクからは、2μmを超えるような厚みのポリイミド膜は得られず、ポリマーではなく、モノマーのアミド酸を含む本発明のインクジェット用インクからは、2μmを超える厚みのポリイミド膜が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0276】
本発明の活用法として、例えば、フレキシブル配線基板用絶縁膜、それを用いた電子部品を挙げることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸無水物基を有する化合物(a1)と、該化合物(a1)以外の、下記一般式(1)で表されるモノアミン化合物(a2)とを用いて得られるアミド酸(A)、および
アミノ基を有する化合物(b1)と、該化合物(b1)以外の、下記一般式(2)で表される、酸無水物基を1つ有する化合物(b2)とを用いて得られるアミド酸(B)
からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミド酸を含む熱硬化性組成物:
【化1】

【化2】

(式(1)において、R1は架橋性不飽和結合を有する炭素数2〜100の1価の有機基であり、
式(2)において、R2は架橋性不飽和結合を有する炭素数2〜100の2価の有機基である。)。
【請求項2】
前記化合物(a1)のモル数をna1とし、前記モノアミン化合物(a2)のモル数をna2としたとき、前記アミド酸(A)が、前記化合物(a1)と前記モノアミン化合物(a2)とを、0.5≦na1/na2≦1.0となるように用いて得られることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性組成物。
【請求項3】
前記化合物(b1)のモル数をnb1とし、前記化合物(b2)のモル数をnb2としたとき、前記アミド酸(B)が、前記化合物(b1)と前記化合物(b2)とを、0.5≦nb1/nb2≦1.0となるように用いて得られることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性組成物。
【請求項4】
前記式(1)中のR1における1価の有機基が、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキル、置換基を有していてもよい炭素数8〜30のアリール、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルコキシ、置換基を有していてもよい炭素数8〜22のアリールオキシ、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキルチオ、置換基を有していてもよい炭素数8〜20のアリールチオ、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキルスルホニルまたは置換基を有していてもよい炭素数8〜20のアリールスルホニルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【請求項5】
前記式(2)中のR2における2価の有機基が、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキレン、置換基を有していてもよい炭素数8〜30のアリーレン、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキレンオキシ、置換基を有していてもよい炭素数8〜22のアリーレンオキシ、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキレンチオ、置換基を有していてもよい炭素数8〜20のアリーレンチオ、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキレンスルホニルまたは置換基を有していてもよい炭素数8〜20のアリーレンスルホニルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【請求項6】
前記モノアミン化合物(a2)が、4−エチニルアニリン、3−エチニルアニリン、プロパルギルアミン、3−アミノブチン、4−アミノブチン、5−アミノペンチン、4−アミノペンチン、アリルアミン、7−アミノヘプチン、m−アミノスチレン、p−アミノスチレン、m−アミノ−α−メチルスチレン、3−アミノフェニルアセチレンおよび4−アミノフェニルアセチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノアミン化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【請求項7】
前記化合物(b2)が、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アリルナジック酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、4−エチニルフタル酸無水物、4−フェニルエチニルフタル酸無水物、シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、exo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物およびアリルこはく酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【請求項8】
前記化合物(a1)が、酸無水物基を1つまたは2つ有する化合物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【請求項9】
前記化合物(b1)が、アミノ基を1つまたは2つ有する化合物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【請求項10】
前記化合物(a1)が、
ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4ージカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン酸二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、エタンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4’−[(イソプロピリデン)ビス(p−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、3,3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン琥珀酸二無水物、コハク酸無水物、フタル酸無水物、オクタデセニルコハク酸無水物、テトラデセニルコハク酸無水物、テトラプロペニルコハク酸無水物、1,3−シクロへキサンジカルボン酸無水物、4−フルオロフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、グルタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、2−ドデセン−1−イルコハク酸無水物、cis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−tert−ブチルフタル酸無水物およびcis−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項8に記載の熱硬化性組成物。
【請求項11】
前記化合物(b1)が、
3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,2’−ジアミノジフェニルプロパン、ベンジジン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]メタン、
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−メチルシクロヘキサン、
ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,4−ブタンジオールビス(3−アミノプロピル)エーテル、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,6−ビス(4−((4−アミノフェニル)メチル)フェニル)ヘキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン,N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ネオペンチルグリコールビス(4−アミノフェニル)エーテル、
下記一般式(VIII)で表わされる化合物、下記一般式(3)で表わされる化合物、
2−(2−アミノエトキシ)エタノール、1−アミノ−2−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノエタノール、5−アミノ−1−ペンタノール、2−(4−アミノフェニル)エチルアルコール、4−(2−アミノエチル)フェノール、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジメトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルトリエトキシシランおよびm−アミノフェニルメチルジエトキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項9に記載の熱硬化性組成物:
【化3】

(式中、A4は、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−または−(CH2p−(pは1〜6の整数である)であり、
6は、ステロイド骨格を有する基、または、シクロヘキサン環およびベンゼン環からなる群より選ばれる少なくとも1種の環構造を有する基であり、
ベンゼン環に結合している2つのアミノ基の位置関係がパラ位のときは、R6は炭素数1〜30のアルキルであってもよく、
前記位置関係がメタ位のときは、R6は炭素数1〜10のアルキル、または−F、−CH3、−OCH3、−OCH2F、−OCHF2もしくは−OCF3で置換されていてもよいフェニルであってもよく、
前記炭素数1〜30のアルキルおよび炭素数1〜10のアルキルにおいては、任意の−CH2−が−CF2−、−CHF−、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、任意の−CH3が−CH2F、−CHF2または−CF3で置き換えられていてもよい。);
【化4】

(式中、R3およびR4は独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり、
5はメチレンまたはフェニレンであり、該フェニレンの任意の水素は炭素数1〜10のアルキルで置き換えられていてもよく、
2つのxは独立して1〜6の整数であり、
yは1〜70の整数であり、
複数存在するR3、R4およびR5は、それぞれ互いに同じであっても異なっていてもよい。)。
【請求項12】
前記アミド酸(A)およびアミド酸(B)の分子量が、210〜2,000であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【請求項13】
高分子化合物(C)をさらに含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【請求項14】
前記高分子化合物(C)が、ポリアミド酸およびポリイミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の高分子化合物であることを特徴とする請求項13に記載の熱硬化性組成物。
【請求項15】
前記高分子化合物(C)の重量平均分子量が、1,000〜7,500であることを特徴とする請求項13又は14に記載の熱硬化性組成物。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載の熱硬化性組成物を含むインクジェット用インク。
【請求項17】
前記インクジェット用インク100重量%中の前記アミド酸(A)およびアミド酸(B)の含有量が、合計で30〜80重量%であることを特徴とする請求項16に記載のインクジェット用インク。
【請求項18】
さらに溶媒(D)を含むことを特徴とする請求項16または17に記載のインクジェット用インク。
【請求項19】
前記溶媒(D)が、乳酸エチル、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アニソール、エチルラクテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル(1−ブトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(1−エトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラメチレングリコールモノビニルエーテル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、1−ビニル−2−ピロリドン、1−ブチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチル−ε−カプロラクタム、1.3−ジメチル−2−イミダゾリジノンおよびγ−ブチロラクトンからなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒であることを特徴とする請求項18に記載のインクジェット用インク。
【請求項20】
請求項16〜19のいずれかに記載のインクジェット用インクを、インクジェット塗布方法によって基板上に塗布してアミド酸膜を形成する工程と、
前記アミド酸膜を加熱処理してポリイミド膜を形成する工程と
を経て得られたポリイミド膜またはパターン状ポリイミド膜。
【請求項21】
請求項16〜19のいずれかに記載のインクジェット用インクを、インクジェット塗布方法によって基板上に塗布し、塗膜を乾燥させてアミド酸膜を形成する工程と、
前記アミド酸膜を加熱処理してポリイミド膜を形成する工程と
を有するポリイミド膜形成方法。
【請求項22】
請求項21に記載のポリイミド膜形成方法により、基板上にポリイミド膜が形成されてなるフィルム基板。
【請求項23】
請求項22に記載のフィルム基板を有する電子部品。

【公開番号】特開2011−144217(P2011−144217A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3844(P2010−3844)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(311002067)JNC株式会社 (208)
【Fターム(参考)】