説明

熱線反射性電線・ケーブル被覆材料

【課題】 電線やケーブルの被覆材料にはポリ塩化ビニル、ポリエチレン、フッ素樹脂、ポリエステルなどが広く利用されている。屋外の電線に用いる被覆材料に関しては、太陽光の赤外線による劣化が安全性およびコストの両面から問題となっており、優れた材料の提供が望まれている。以上の事実を鑑みて、本発明は熱反射性機能を付与した電線被覆材料を提供することを課題とする。
【解決手段】 上記課題を解決するために、本発明者は電線やケーブルの被覆材料の表面の少なくとも一面側に真球度の高い球状金属酸化物粒子を含有する層を付与することで熱反射効果を実現できることを見いだした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱線反射性に優れた電線およびケーブルの被覆材料を提供することに関する。
【背景技術】
【0002】
電線やケーブルの被覆材料にはポリ塩化ビニル、ポリエチレン、フッ素樹脂、ポリエステルなどが広く利用されている。一般に、被覆材料としてはその安全性や施工容易性などから電気絶縁性、柔軟性、耐摩耗性、耐傷つき性に優れていることが求められる。特に、屋外の電線に用いる被覆材料に関しては、太陽光の赤外線による劣化が安全性およびコストの両面から問題となっており、優れた材料の提供が望まれている。
【0003】
ところで、粒径0.2μm〜10μm程度の真球度高い球状金属酸化物粒子を含有する塗料は赤外線反射率が高く、熱遮蔽性が優れているということが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献】WO2006/104290
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、以上の事実を鑑み、熱反射性機能を付与した電線・ケーブル被覆材料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明者は電線やケーブルの被覆材料の表面の少なくとも一面側に真球度の高い球状金属酸化物粒子を含有する層を付与することで熱反射効果を実現できることを見いだした。
【発明の効果】
【0006】
本発明の電線・ケーブル被覆材料は、表面に真球度の高い球状金属酸化物粒子からなる熱線反射層を有している。熱線反射性に優れてことから、熱による絶縁体の劣化を防ぎ、長寿命の電線およびケーブルを提供することができる。よって保守管理コストの改善に大きく貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】 本発明の実施形態における被覆材料と電線の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて詳述する。図1は本実施形態における被覆材料と電線・ケーブルの断面を示したものである。
【0009】
図1において1は被覆材料の断面図であり、熱反射層3と基材4から構成され、2の電線またはケーブルを覆っている。
【0010】
上記基材4は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、フッ素樹脂、ポリエステルなど一般的に被覆材料として用いられる組成物を適宜採用できる。
【0011】
上記熱反射層3は、少なくとも基材の一面側に形成されており、球状金属酸化物粒子が配合されている水系塗料組成物からなる。球状金属酸化物粒子は熱線反射層の質量を基準として20%以上含有していることが望ましい。
【0012】
前記の球状金属酸化物粒子の組成は特に限定しないが、含有する金属としてはケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウムなどが挙げられる。コストや性能などの観点からケイ素を用いたシリカが望ましい。
【0013】
前記の球状金属酸化物粒子の粒径は0.05μmから20μm程度、より好ましくは0.2μmから10μm程度のものが望まれる。また、粒径のばらつきができるだけ小さいものが望まれる。
【0014】
前記の球状金属酸化物粒子は真球度が0.7以上であることが望ましい。ここで、本明細書中における「真球度」とは、SEMで写真を撮り、その観察される粒子の面積と周囲長から、(真球度)={4π×(面積)÷(周囲長)2}で算出される値とする。1に近づくほど真球に近い。
【0015】
熱反射層を形成する水系塗料組成物は、水系アクリル塗料、水系アルキド−ポリエステル塗料、水系ポリウレタン塗料、水系フッ素樹脂塗料、水系エポキシ塗料、シリコーン変性アクリル塗料などの水系塗料組成物中に含有される組成物を適宜、含有することができる。
【符号の説明】
【0016】
1 被覆材料
2 電線またはケーブル
3 熱反射層
4 基材
5 球状金属酸化物粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱線反射性電線・ケーブル被覆材料は、基材と球状金属酸化物粒子が配合された水系塗料組成物中からなる熱線反射層が、少なくとも該基材の一面側に形成されていることを特徴とする熱線反射性電線・ケーブル被覆材料。
【請求項2】
前記基材はポリ塩化ビニル、ポリエチレン、フッ素樹脂、ポリエステルなど一般的に被覆材料として用いられる組成物を適宜採用できることを特徴とする請求項1の熱線反射性電線・ケーブル被覆材料。
【請求項3】
請求項1の熱線反射層を形成する水系塗料組成物は、水系アクリル塗料、水系アルキド−ポリエステル塗料、水系ポリウレタン塗料、水系フッ素樹脂塗料、水系エポキシ塗料、シリコーン変性アクリル塗料など一般的に水系塗料組成物中に含有される組成物を適宜、含有することができることを特徴とする請求項1から2のいずれかの熱反射性電線・ケーブル被覆材料。
【請求項4】
前記熱線反射層の水系塗料組成物に配合される球状金属酸化物粒子の組成がシリカであることを特徴とする請求項1から3のいずれかの電線・ケーブル被覆材料。
【請求項5】
請求項1の球状金属酸化物粒子の真球度が0.7以上である請求項1から4のいずれかの電線・ケーブル被覆材料。

【図1】
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【公開番号】特開2011−9181(P2011−9181A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169478(P2009−169478)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(509192547)
【出願人】(509192558)
【Fターム(参考)】