説明

熱線遮蔽能を備えた成形体

【課題】ヘイズが低く透明性に優れ、かつ、日射透過率が低く十分な熱線遮蔽の機能を有し、さらに機械的強度、溶融熱安定性にも優れ、一般建築物の窓ガラス、自動車の窓ガラス等に好適なポリカーボネート樹脂組成物及びこれを用いた熱線遮蔽能を備えた成形体を提供すること。
【解決手段】
末端水酸基濃度が100〜1800ppmの範囲内である芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、La、Ce、Pr、Nd、Tb、Dy、Ho、Y、Sm、Eu、Er、Tm、Yb、Lu、Sr及びCaからなる群より選択された少なくとも1種の金属のホウ化物微粒子0.0001〜5重量部配合したことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物及び該組成物を成形してなる熱線遮蔽能を備えた成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日射透過率が低く十分な熱線遮蔽の機能を有し、かつ特にヘイズが低く透明性に優れ、さらには機械的強度、溶融熱安定性にも優れ、一般建築物の窓ガラス、自動車の窓ガラス等に好適なポリカーボネート樹脂組成物及びこれを用いた熱線遮蔽能を備えた成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般建築物の窓ガラス、自動車の窓ガラスを透過して室内に進入する近赤外線は、室内の温度を過度に上昇させる原因になっている。これを防止するため、日射透過率が低く十分な熱線遮蔽の機能を有し、かつ特にヘイズが低く透明性に優れた熱線遮蔽性樹脂組成物及び熱線遮蔽能を備えた成形体の提供が強く求められている。このような要求に対し、特許文献1及び2には、ポリカーボネート樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂又は塩化ビニル樹脂に、フタロシアニン化合物を配合した熱線遮蔽材が開示されているが、十分な熱線遮蔽性を付与するには多量のフタロシアニン化合物を配合しなければならず、多量に配合するとヘイズが高くなり透明性が低下し、耐候性も不十分であった。
また、特許文献3及び4には、金属や金属酸化物を蒸着した熱線反射フィルムを透明樹脂板に積層した熱線遮蔽性樹脂板も開示されているが、熱線反射フィルムが高価で、煩雑な積層工程があり、実用性の低いものであった。
さらに、特許文献5には、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、飽和ポリエステル樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルスルフォン系樹脂およびフッ素系樹脂から選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂に、6ホウ化物を配合した熱線遮蔽樹脂成形体が開示されているが、ヘイズが高く、透明性が不十分で、一般建築物の窓ガラスや自動車の窓ガラスとして満足できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−240146号公報
【特許文献2】特開平06−264050号公報
【特許文献3】特開平10−146919号公報
【特許文献4】特開2001−179887号公報
【特許文献5】特開2004−162020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、特にヘイズが低く透明性に優れ、かつ日射透過率が低く十分な熱線遮蔽性(特に、可視光には透過性で選択的に赤外線を遮蔽する機能)を有し、さらに機械的強度、溶融熱安定性にも優れ、一般建築物の窓ガラス、自動車の窓ガラス等に好適なポリカーボネート樹脂組成物及びこれを用いた熱線遮蔽能を備えた成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の末端水酸基濃度を有する、又は、特定の方法で製造された芳香族ポリカーボネート樹脂に微量のホウ化物を配合することにより、上記課題を解決できることを見出した。すなわち、末端水酸基濃度が100〜1800の範囲内である芳香族ポリカーボネート樹脂、特に芳香族ジヒドロオキシ化合物と炭酸ジエステルからエステル交換法により製造された芳香族ポリカーボネート樹脂、100重量部に対し、La、Ce、Pr、Nd、Tb、Dy、Ho、Y、Sm、Eu、Er、Tm、Yb、Lu、Sr及びCaからなる群より選択された少なくとも1種の金属のホウ化物を0.0001〜5重量部配合した場合に限り、特にヘイズが低く透明性に優れ、かつ日射透過率が低く十分な熱線遮蔽性(特に、可視光には透過性で選択的に赤外線を遮蔽する機能)を有し、さらに機械的強度や溶融熱安定性にも優れたポリカーボネート樹脂組成物、及び該樹脂組成物からなる熱線遮蔽能を備えた成形体が得られことを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0006】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物及びこれを用いた熱線遮蔽能を備えた成形体は、特にヘイズが低く透明性に優れ、かつ日射透過率が低く十分な熱線遮蔽性(特に、可視光には透過性で選択的に赤外線を遮蔽する機能)を有し、さらに機械的強度や溶融熱安定性にも優れているので、一般建築物や自動車の窓ガラス、アーケードやカーポート等の屋根材、赤外線カットフィルター等の光学材、農業用フィルム等として使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
芳香族ポリカーボネート樹脂
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、末端水酸基濃度が100〜1800ppm(重量基準)の芳香族ポリカーボネート樹脂であり、好ましくは、末端水酸基濃度が300〜1500ppmの、特に好ましくは、末端水酸基濃度が400〜1200ppmの芳香族ポリカーボネート樹脂である、これを本発明に用いることにより、特にヘイズが低く、透明性に優れたポリカーボネート樹脂組成物を得ることができる。芳香族ポリカーボネート樹脂の製造法には、界面重合法、ピリジン法、エステル交換法があるが、本発明に使用される芳香族ポリカーボネート樹脂の製造法は、特に制限はないが、エステル交換法が好ましい。すなわち、本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、好ましくは、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを原料として、エステル交換触媒の存在下、溶融状態でエステル交換、重合することにより製造されるものである。以下、本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂について、具体的に説明する。
【0008】
本発明に使用される芳香族ポリカーボネート樹脂の原料の一つである芳香族ジヒドロキシ化合物の代表的なものとして、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。さらに、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシルフェニル)エタン(THPE)、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン等の分子中に3個以上のヒドロキシ基を有する多価フェノール等を分岐化剤として少量併用することもできる。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物のなかでも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」とも言い、「BPA」と略記することもある。)が好ましい。
【0009】
本発明に使用される芳香族ポリカーボネート樹脂の他の原料の一つである炭酸ジエステルは、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等に代表されるジアリールカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等に代表されるジアルキルカーボネートが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。これらのなかでも、ジフェニルカーボネート(以下、「DPC」と略記することもある。)、置換ジフェニルカーボネートが好ましい。
【0010】
また、上記の炭酸ジエステルは、好ましくはその50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下の量を、ジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換してもよい。代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。このようなジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換した場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。
【0011】
本発明に使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、末端水酸基濃度が100〜1800ppm(重量基準)であり、好ましくは300〜1500ppm、さらに好ましくは400〜1200ppmである。かかる芳香族ポリカーボネート樹脂を得るためには、これら炭酸ジエステル(上記の置換したジカルボン酸又はジカルボン酸のエステルを含む。以下同じ。)を芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常、過剰に用いる。すなわち、炭酸ジエステルは、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して1.001〜1.3、好ましくは1.01〜1.2の範囲内のモル比で用いられる。モル比が1.001より小さくなると、製造されたポリカーボネートの末端水酸基が増加して、特に1800ppmを超えると熱安定性、耐加水分解性が悪化する。また、モル比が1.3より大きくなると、芳香族ポリカーボネート樹脂の末端水酸基は減少するが、同一条件下ではエステル交換反応の速度が低下し、所望の分子量のポリカーボネートポリマー及びオリゴマーの製造が困難となる傾向があり、さらに末端水酸基濃度が100ppm未満では、ポリカーボネート樹脂組成物のヘイズが高くなり、透明性が低下するので好ましくない。なお、末端水酸基濃度の単位は、芳香族ポリカーボネート樹脂重量に対する、末端水酸基の重量をppmで表示したものである。末端水酸基の測定方法は特に制限は無いが、四塩化チタン/酢酸法(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)が一般的である。
【0012】
エステル交換法芳香族ポリカーボネート樹脂が、いかなる理由でヘイズが良好となるのか定かではないが、エステル交換反応に伴って生成する異種骨格構造は、構造単位中にOH基、COOH基等の官能基を有し、これらの官能基が末端OH基と類似の作用をすることに起因すると推定される。本発明においては、下記式(1)で表される正常な構造単位モル数に対する、下記式(2)及び(3)で表される異種構造単位の合計モル数の百分率(モル%)で、異種骨格構造の量(以下、「異種構造量」という。)を表示するが、エステル交換法芳香族ポリカーボネート樹脂の異種構造量は、通常、0.01〜1モル%であり、好ましくは、0.1〜0.5モル%である。異種構造量が、少なすぎるとヘイズの改善効果が不十分であり、多すぎると架橋反応によるゲル生成、色相悪化を招き好ましくない。
【0013】
【化1】

(式中、Xは、単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、又は、−O−、−S−、−CO−、−SO−及び−SO2−からなる群から選ばれる2価の基である。)
【0014】
上記異種骨格構造の分析方法は、芳香族ポリカーボネート樹脂を塩化メチレンに溶解し、ナトリウムメトキシドメタノール溶液と純水の混合液で、室温で加水分解を行い、液体クロマトグラフ法で、検出波長280nmのUV検出器による。定量は、各成分の吸光係数より求める。簡便法としては、ビスフェノールAのピーク面積に対する各成分のピーク面積の比率から算出することもできる。
【0015】
芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを、溶融状態でエステル交換反応させて芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂の製造においては、使用するエステル交換触媒種に制限はないが、一般的にはアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物が使用される。これらは、1種類で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。触媒の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して0.05〜200μモル、好ましくは0.08〜10μモル、さらに好ましくは0.1〜2μモルの範囲内で用いられる。触媒の使用量が上記量より少なければ、所望の分子量の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するのに必要な重合活性が得られず、この量より多い場合は、ポリマー色相が悪化する傾向がある。
上記エステル交換触媒は、通常、溶媒に溶解した触媒溶液の形態で用いることが好ましい。溶媒としては、例えば、水、アセトン、アルコール、トルエン、フェノールの他、原料芳香族ジヒドロキシ化合物や炭酸ジエステル等を溶解する溶媒が挙げられる。これらの溶媒のなかでは水が好ましく、特にアルカリ金属化合物を触媒とする場合には、水溶液とすることが好適である。
【0016】
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂の製法は、エステル交換法であれば、特に限定されるものではなく、公知の種々の方法が採用されるが、例えば、以下のような方法で製造できる。すなわち、通常、原料混合槽等で、両原料を均一に撹拌した後、触媒を添加して重合を行い、芳香族ポリカーボネート樹脂が生産される。反応の形式は、バッチ式、連続式、あるいはバッチ式と連続式を組み合わせた何れの形式でも良い。
【0017】
芳香族ポリカーボネート樹脂の重合反応(エステル交換反応)は、一般的には2以上の重合槽を用いて、2段階以上、通常3〜7段の多段工程で連続的に実施されることが好ましい。具体的な反応条件としては、温度150〜320℃、圧力常圧〜2Pa、平均滞留時間5〜150分の範囲とし、各重合槽においては、反応の進行とともに副生するフェノールの排出をより効果的なものとするために、上記反応条件内で、段階的により高温、より高真空に設定する。なお、得られる芳香族ポリカーボネート樹脂の色相等の品質低下を防止するためには、できるだけ低温、できるだけ短い滞留時間の設定が好ましい。
【0018】
上記エステル交換反応において使用する装置は、竪型、横型、管型又は塔型のいずれの形式であってもよい。通常、タービン翼、パドル翼、アンカー翼、フルゾーン翼(神鋼パンテック(株)製)、サンメラー翼(三菱重工業(株)製)、マックスブレンド翼(住友重機械工業(株)製)、ヘリカルリボン翼、ねじり格子翼((株)日立製作所製)等を具備した1以上の竪型重合槽に引き続き、円盤型、かご型等の横型一軸タイプの重合槽やHVR、SCR、N−SCR(三菱重工業(株)製)、バイボラック(住友重機械工業(株)製)、メガネ翼、格子翼((株)日立製作所製)、又はメガネ翼とポリマーの送り機能を持たせた、例えばねじりやひねり等の入った翼及び/又は傾斜がついている翼等を組み合わせたもの等を具備した、横型二軸タイプの重合槽を用いることができる。
【0019】
エステル交換法で製造した芳香族ポリカーボネート樹脂中には、通常、原料モノマー、触媒、エステル交換反応で副生する芳香族ヒドロキシ化合物等の低分子量化合物が残存している。なかでも、原料モノマーと芳香族ヒドロキシ化合物は、残留量が多く、耐熱老化性、耐加水分解性等の物性に悪影響を与えるので、製品化に際して除去されることが好ましい。ポリカーボネート樹脂中の残存モノマー量としては、芳香族ジヒドロキシ化合物が150重量ppm以下、好ましくは100重量ppm以下、さらに好ましくは重量50ppm以下であり、芳香族モノヒドロキシ化合物は重量100ppm以下である。さらに炭酸ジエステル残存量は300重量ppm以下、好ましくは200重量ppm以下、さらに好ましくは150重量ppm以下である。
【0020】
それらを除去する方法は、特に制限はなく、例えば、ベント式の押出機により連続的に脱気することにより除去してもよい。その際、樹脂中に残留している塩基性エステル交換触媒を、あらかじめ酸性化合物又はその前駆体を添加し、失活させておくことにより、脱気中の副反応を抑え、効率よく原料モノマー及び芳香族ヒドロキシ化合物を除去することができる。
添加する酸性化合物又はその前駆体には特に制限はなく、重縮合反応に使用する塩基性エステル交換触媒を中和する効果のあるものであれば、いずれも使用できる。具体的には、塩酸、硝酸、ホウ酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、アゼライン酸、アデノシンリン酸、安息香酸、ギ酸、吉草酸、クエン酸、グリコール酸、グルタミン酸、グルタル酸、ケイ皮酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、シュウ酸、p−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、ピクリン酸、ピコリン酸、フタル酸、テレフタル酸、プロピオン酸、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルホン酸、マロン酸、マレイン酸等のブレンステッド酸及びそのエステル類が挙げられる。これらは、単独で使用しても、また、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの酸性化合物又はその前駆体のうち、スルホン酸化合物又はそのエステル化合物、例えば、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸ブチル等が特に好ましい。
【0021】
これらの酸性化合物又はその前駆体の添加量は、重縮合反応に使用した塩基性エステル交換触媒の中和量に対して、0.1〜50倍モル、好ましくは0.5〜30倍モルの範囲で添加する。酸性化合物又はその前駆体を添加する時期としては、重縮合反応後であれば、いつでもよく、添加方法にも特別な制限はなく、酸性化合物又はその前駆体の性状や所望の条件に応じて、直接添加する方法、適当な溶媒に溶解して添加する方法、ペレットやフレーク状のマスターバッチを使用する方法等のいずれの方法でもよい。
【0022】
脱気に用いられる押出機は、単軸でも二軸でもよい。また、二軸押出機としては、噛み合い型二軸押出機で、回転方向は同方向回転でも異方向回転でもよい。脱気の目的には、酸性化合物添加部の後にベント部を有するものが好ましい。ベント数に制限は無いが、通常は2段から10段の多段ベントが用いられる。また、該押出機では、必要に応じて、安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤等の添加剤を添加し、樹脂と混練することもできる。
【0023】
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量で、12,000〜50,000であることが好ましく、さらに好ましくは15,000〜40,000、特に好ましくは17,000〜32,000である。粘度平均分子量が12,000未満では機械的強度が低く、50,000を超えると成形性が低下する傾向にある。
【0024】
ホウ化物微粒子
本発明で用いられるホウ化物は、La、Ce、Pr、Nd、Tb、Dy、Ho、Y、Sm、Eu、Er、Tm、Yb、Lu、Sr及びCaからなる群より選択された少なくとも1種の金属のホウ化物で、微粒子状のものであることが必要である。ホウ化物微粒子は、表面が酸化されていないものが好ましいが、多少酸化されていても熱線遮蔽効果の有効性に変わりはなく用いることができる。これらのホウ化物微粒子は、灰黒色、茶黒色、緑黒色等有色の粉末であるが、粒径を可視光波長に比べて十分小さくして熱線遮蔽能を備えた成形体中に分散させた状態とすれば、熱線遮蔽能を備えた成形体に可視光透過性が生じ、かつ赤外光遮蔽能は十分強く保持できる。また、ホウ化物微粒子の粒径は、1000nm以下、好ましくは200nm以下である。粒子径が1000nmよりも大きい、微粒子若しくは微粒子が凝集した粗大粒子の存在する樹脂成形体は、ヘイズが高くなり、透明性が低下するので好ましない。ホウ化物微粒子としては、好ましくは6ホウ化物微粒子が挙げられる。
【0025】
本発明において、ホウ化物微粒子は、その表面をシラン化合物、チタン化合物、ジルコニア化合物等によって被覆処理されているものを使用することができ、これ等化合物で微粒子表面を被覆処理することで、ホウ化物微粒子の耐水性を向上させることが可能となる。
【0026】
また、本発明において、ホウ化物微粒子は、均一な分散性と作業性を向上させるために、高分子系分散剤中に分散させることが好ましい。このような高分子系分散剤は、透明性が高く可視光領域の光線透過率が高いものが使用できる。具体的な高分子系分散剤として、ポリアクリレート系分散剤、ポリウレタン系分散剤、ポリエーテル系分散剤、ポリエステル系分散剤、ポリエステルウレタン系分散剤等が挙げられ、好ましくはポリアクリレート系分散剤、ポリエーテル系分散剤、ポリエステル系分散剤である。高分子系分散剤のホウ化物微粒子に対する配合割合は、ホウ化物微粒子1重量部に対して、0.3重量部以上50重量部未満であり、好ましくは1重量部以上15重量部未満である。
ホウ化物微粒子を高分子系分散剤中に分散させる方法は、例えば、ホウ化物微粒子、有機溶剤及び高分子系分散剤を適量混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを用いて5時間ビーズミル混合し、ホウ化物微粒子分散液(ホウ化物微粒子濃度:6.5重量%)を調製する。さらに、上記分散液に高分子系分散剤を適量添加し、撹拌しながら60℃減圧下で有機溶剤を除去して、ホウ化物微粒子分散体を得ることができる。
【0027】
芳香族ポリカーボネート樹脂とホウ化物との配合割合は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、ホウ化物0.0001〜5重量部であり、さらに好ましくは0.0005〜1重量部、さらに好ましくは0.001〜0.1重量部である。ホウ化物の配合割合が0.0001重量部未満では熱線遮蔽効果が小さく、5重量部を超えるとヘイズが高くなって透明性が低下し、コスト的にも不利になるので好ましくない。
【0028】
さらに、本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、耐候性改良剤、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、染顔料を配合することが、成形時、又は窓若しくは窓部品として使用する上で、色相安定性が向上するので好ましい。
耐候性改良剤
耐候性改良剤としては、酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛等の無機紫外線吸収剤の他、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物等の有機紫外線吸収剤が挙げられる。本発明では、これらのうち有機紫外線吸収剤が好ましく、特にベンゾトリアゾール化合物、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾキサジン−4−オン]、[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−プロパンジオイックアシッド−ジメチルエステルが挙げられる。
【0029】
ベンゾトリアゾール化合物としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタアクリロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、メチル−3−〔3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネートとポリエチレングリコールとの縮合物等を挙げることができる。
【0030】
耐候性改良剤として特に好ましいものは、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕が挙げられる。
【0031】
耐候性改良剤の配合率は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部である。5重量部を超えるとモールドデボジット等の問題があり、0.01重量部未満では耐候性の改良効果が不十分である。耐候性改良剤は1種でも使用可能であるが、複数種併せて使用することもできる。
【0032】
熱安定剤
本発明で好ましく使用される熱安定剤は、分子中の少なくとも1つのエステルが、フェノール及び/又は炭素数1〜25のアルキル基を少なくとも1つ有するフェノールでエステル化された亜リン酸エステル化合物、亜リン酸及びテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスホナイトから選ばれた少なくとも1種である。亜リン酸エステル化合物の具体例としては、トリオクチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジノリルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(オクチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジラウリルフェニルホスファイト、ジイソデシルフェニルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)フェニルホスファイト、ジイソオクチルフェニルホスファイオト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ジラウリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、(フェニル)(1,3−プロパンジオール)ホスファイト、(4−メチルフェニル)(1,3−プロパンジオール)ホスファイト、(2,6−ジメチルフェニル)(1,3−プロパンジオール)ホスファイト、(4−tert−ブチルフェニル)(1,3−プロパンジオール)ホスファイト、(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)(1,3−プロパンジオール)ホスファイト、(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(1,3−プロパンジオール)ホスファイト、(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)(1,3−プロパンジオール)ホスファイト、(フェニル)(1,2−エタンジオール)ホスファイト、(4−メチルフェニル)(1,2−エタンジオール)ホスファイト、(2,6−ジメチルフェニル)(1,2−エタンジオール)ホスファイト、(4−tert−ブチルフェニル)(1,2−エタンジオール)ホスファイト、(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)(1,2−エタンジオール)ホスファイト、(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(1,2−エタンジオール)ホスファイト、(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)(1,2−エタンジオール)ホスファイト、(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)(1,4−ブタンジオール)ホスファイト等、ジフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(3−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジメチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジメチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,3,6−トリメチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(3−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ビフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジナフチルペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
【0033】
熱安定剤の配合率は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.001〜1重量部であり、好ましくは0.001〜0.4重量部である。1重量部を超えると耐加水分解性が悪化する等の問題がある。
【0034】
酸化防止剤
本発明で好ましく使用される酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。具体例としては、ペンタエリスリト−ルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3',3",5,5',5"−ヘキサ−tert−ブチル−a,a',a"−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられる。上記のうちで,特にペンタエリスリト−ルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。これら2つのフェノール系酸化防止剤は,チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社よりイルガノックス1010及びイルガノックス1076の名称で市販されている。
【0035】
フェノール系酸化防止剤の配合率は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01〜1重量部である。フェノール系酸化防止剤の配合量は0.01重量部未満であると、抗酸化剤としての効果が不十分であり、1重量部を超えても抗酸化剤として更なる効果は得られない。
【0036】
離型剤
本発明で好ましく使用される離型剤としては、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素化合物及びポリシロキサン系シリコーンオイルから選ばれる少なくとも1種の化合物である。
【0037】
脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の脂肪族1価、2価若しくは3価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。このうち好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6〜36の1価又は2価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和1価カルボン酸がさらに好ましい。このような脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸アジピン酸、アゼライン酸等を挙げることができる。
【0038】
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。この脂肪族カルボン酸と反応しエステルを形成するアルコールとしては、飽和又は不飽和の1価アルコール、飽和又は不飽和の多価アルコール等を挙げることができる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基等の置換基を有していてもよい。これらのアルコールのうち、炭素数30以下の1価又は多価の飽和アルコールが好ましく、さらに炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコール、又は多価アルコールが好ましい。ここで脂肪族とは、脂環式化合物も含有する。これらのアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等を挙げることができる。これらの脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル化合物は、不純物として脂肪族カルボン酸及び/又はアルコールを含有していてもよく、複数の化合物の混合物であってもよい。
【0039】
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレートを挙げることができる。
【0040】
数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素としては、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス又は炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等を挙げることができる。ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、これらの炭化水素化合物は部分酸化されていてもよい。これらの中で好ましいものは、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリエチレンワックスの部分酸化物であり、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。数平均分子量は200〜15000であるが、好ましくは200〜5000である。これらの脂肪族炭化水素は単一物質であっても、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記範囲内であればよい。
【0041】
また、ポリシロキサン系シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル、フッ素化アルキルシリコーン等が挙げられる。これらは、単独で使用しても二種以上を混合して使用してもよい。
【0042】
離型剤の配合率は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.01〜1重量部である。離型剤の配合率が1重量部を超えると耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染等の問題がある。離型剤は1種でも使用可能であるが、複数併用して使用することもできる。
【0043】
染顔料
本発明で使用される染顔料としては、無機顔料、有機顔料、有機染料等が挙げられる。無機顔料としては、例えばカーボンブラック、カドミウムレッド、カドミウムイエロー等の硫化物系顔料、群青等の珪酸塩系顔料、酸化チタン、亜鉛華、弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、チタンコバルト系グリーン、コバルトグリーン、コバルトブルー、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料、黄鉛、モリブデートオレンジ等のクロム酸系顔料、紺青等のフェロシアン系等が挙げられる。有機顔料及び有機染料としては、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系染顔料、ニッケルアゾイエロー等のアゾ系、チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系等の縮合多環染顔料、アンスラキノン系、複素環系、メチル系の染顔料等が挙げられる。中でも熱安定性の点から酸化チタン、カーボンブラック、シアニン系、キノリン系、アンスラキノン系、フタロシアニン系化合物等が好ましく、カーボンブラック、アンスラキノン系化合物、フタロシアニン系化合物がさらに好ましい。それらの具体例としては、MACROLEX Blue RR、MACROLEX Violet 3R、MACROLEX Violet B(バイエル社製)、Sumiplast Violet RR、Sumiplast Violet B、Sumiplast Blue OR(住友化学工業(株)製)、Diaresin Violet D、Diaresin Blue G、Diaresin Blue N(三菱化学(株)製)等が挙げられる。
【0044】
染顔料の配合率は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、1重量部以下であり、好ましくは0.3重量部以下、さらに好ましくは0.1重量部以下である。該着色剤は1種でも使用可能であるが、複数種併用することもできる。
本発明において、染顔料の配合は、本来、透過光による視認性を調整する目的で行われる。すなわち、金属ホウ化物微粒子の配合量が増加すると、成形体の色相が変化し視認性を低下させる(具体的には、L値を低下させ、a値及びb値の絶対値を増大させる)傾向があるので、配合する染顔料の種類及び/又は配合率を選定して適正な色相にすることにより、透過光による視認性が改善される。もちろん、成形体の用途によっては、例えば、サンルーフ等では、熱線遮蔽性を損なわない範囲で、カーボンブラック等の黒色顔料を配合して、意図的にL値を低下させることもできる。
【0045】
赤外線吸収剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、熱線遮蔽性能をさらに改善する目的で必要に応じて、さらにアンチモンドープ酸化錫微粒子、In、Ga、Al及びSbよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含有する酸化亜鉛微粒子、錫ドープ酸化インジウム微粒子、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、硫化銅、銅イオン等の他の有機、無機系赤外線吸収剤を配合することもできる。
【0046】
その他の添加剤
本発明ポリカーボネート樹脂組成物には、さらに、本発明の目的を損なわない範囲で、ABS、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の他の熱可塑性樹脂、リン系、金属塩系、シリコン系等の難燃剤、耐衝撃性改良剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、滑剤、防曇剤、天然油、合成油、ワックス、有機系充填剤、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維状強化材、マイカ、タルク、ガラスフレーク等の板状強化材あるいはチタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、ワラストナイト等のウィスカー等無機系充填剤等の添加剤を配合することができる。
【0047】
ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法は、特に制限はなく、例えば、(1)香族ポリカーボネート樹脂の重合反応の途中又は重合反応終了時に、ホウ化物やその他の添加剤を混合する方法、(2)混練途中等、芳香族ポリカーボネート樹脂が溶融した状態で、ホウ化物やその他の添加剤を混合する方法、(3)ペレット等、芳香族ポリカーボネート樹脂固体状態にあるものに、ホウ化物やその他の添加剤を混合後、押出機等で溶融・混練する方法等が挙げられる。
【0048】
熱線遮蔽能を備えた成形体
本発明のポリカーボネート樹脂組成物から熱線遮蔽能を備えた成形体を成形する方法は、特に限定されるものでなく、熱可塑性樹脂について一般的に用いられている成形法、例えば、射出成形、射出ブロー成形、射出圧縮成形、ブロー成形、フィルムやシート等の押出成形、異型押出成形、熱成形、回転成形等の何れをも適用できる。さらに、ガス又は水等の流体アシスト成形、超臨界又は亜臨界ガスを使用した成形、各種印刷等の機能化処理されたフィルム又はシートのインサート成形、2色成形、インモールド成形、他樹脂又は紫外線吸収層等の共押し出し、ラミネート等も可能である。成形可能な形状の自由度から、好ましくは射出成形又は射出圧縮成形がよい。さらに射出成形又は射出圧縮成形ではホットランナーを使用することもできる。成形体の形状は、必要に応じて任意の形状に成形可能であるが、平面状又は曲面状の板状部分を有することが好ましい。板状部分の厚みは特に制限は無いが、本発明の熱線遮蔽能を備えた成形体は、0.2mm以上10mm以下の板状部分が存在するものである。板状部分の厚みは好ましくは1mm以上10mm以下、もっとも好ましくは3mm以上8mm以下である。板状部分の厚みが0.2mm以下では、十分な熱線遮蔽性能を得るために、ホウ化物を高濃度で配合する必要があり透明性が得難い。このような熱線遮蔽能を備えた成形体は必要に応じてさらにアニール処理等を行い、他部品と接着することも可能である。接着方法も特に制限は無いが、溶剤による接着のほか、振動溶着、レーザー溶着等公知の方法を使用することができる。
【0049】
また、本発明の熱線遮蔽能を備えた成形体は、厚み0.2〜10mmの板状部分を有する芳香族ポリカーボネート樹脂成形体であって、該熱線遮蔽能を備えた成形体中の板状部分における、ヘイズが5%未満であり、好ましくは3%未満、より好ましくは2.5%以下であり、かつ、日射透過率が70%以下、好ましくは60%以下であるのが好ましく、全光線透過率と日射透過率の比(全光線透過率/日射透過率)が好ましくは1.1以上、さらに好ましくは1.2以上、特に好ましくは1.3以上である。全光線透過率と日射透過率の比が大きいことは、可視光に比べて熱線を選択的に吸収することを示し、この値が大きいことが好ましい。また、窓若しくは窓部品として要求される性能を付与するため、該板状部分の片面もしくは両面にハードコート層、反射防止層から選択された少なくとも1種の機能化層を1層以上有する熱線遮蔽能を備えた成形体であるのが好ましい。さらに好ましくは、該板状部分の色相が、L値が92〜35、a値が5〜−15、b値が15〜−5の範囲内にあるものである。一般には、L値は大きいほど可視光透過性が良好であり、a値及びb値はゼロに近いほど着色が少ない。
【0050】
厚み0.2〜10mmの板状部分を有する成形体の片面又は両面にハードコート層及び反射防止層から選択された少なくとも1種の機能化層を1層以上積層する方法は、特に限定されるものでなく、従来公知の種々の方法が用いられる。
【0051】
反射防止層は、例えば、(A)電子ビーム加熱法、抵抗加熱法、フラッシュ蒸着法等の各種真空蒸着法;(B)プラズマ蒸着法;(C)2極スパッタリング法、直流スパッタリング法、高周波スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、バイアススパッタリング法等の各種スパッタリング法;(D)DC法、RF法、多陰極法、活性化反応法、HCD法、電界蒸着法、高周波イオンプレーティング法、反応性イオンプレーティング法等の各種イオンプレーティング法;(E)CVD法等によって形成することができる。さらに、反射防止層は、ZrO2ゾル、TiO2ゾル、Sb25ゾル、WO3ゾルのような高屈折率を有する金属酸化物ゾルをシリコン系ハードコート剤やプライマー中に分散させ、塗布・熱硬化させることによって形成することもできる。
【0052】
ハードコート層の形成には、所望によりアンダーコート層を設けた上に、エポキシ系、アクリル系、アミノ樹脂系、ポリシロキサン系、コロイダルシリカ系、有機・無機ハイブリッド系等等のハードコート剤を、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、フローコート法等の各種塗布法により塗布し、熱又は紫外線等の手段により硬化する方法を用いることができる。これらのハードコート層は、ポリカーボネート基材上に1層以上設けることができる。例えば、ポリカーボネート基材上に直接ハードコート剤を塗付することも可能であるが、基材上に予め形成されたアンダーコート層の上に塗布してもよい。さらに、ハードコート層の表面を、プラズマ重合等によりSiO2等の無機化合物処理の他、防曇処理、反射防止膜塗布等を行うことも可能である。また、ハードコート層は、成形品表面にハードコート剤を塗付して形成するだけではなく、ハードコート層を有するシート又はフィルムを金型内にセットし、そこへポリカーボネート組成物を射出成形することでハードコート層を有する一体成形体を作成することも可能である。これらハードコート層中には、諸種の処理剤、例えばトリアゾール系、トリアジン系化合物等の紫外線吸収剤や、ホウ化物、ITO、ATO,ZnO、アンチモン酸亜鉛等の金属・金属酸化物微粒子系熱線遮蔽剤、銅系化合物、有機錯体系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、ジイモニウム系、アンスラキノン系、アミニウム系、シアニン系、アゾ化合物系、キノン系、ポリメチン系、ジフェニルメタン系等の有機系熱線遮蔽剤等の各種熱線遮蔽剤を含有させることもできる。これらの添加剤は、ハードコート層及び/又はアンダーコート層のいずれに添加してもよい。反射防止層やハードコート層の厚さは1μm〜20μm、好ましくは2μm〜10μmである。1μm未満では反射防止層やハードコート層の耐久性が不足し、20μmを超えると反射防止層やハードコート層にクラックが発生し易くなる。本発明の熱線遮蔽能を備えた成形体の表面機能化層としては、窓若しくは窓部品としての観点から、ハードコート層であることが好ましい。
【0053】
本発明に関わる熱線遮蔽能を備えた成形体が有する厚み0.2〜10mmの板状部分は、ヘイズが5%未満であり、好ましくは3%未満、より好ましくは2.5%以下であり、かつ、日射透過率が70%以下であることが好ましく、60%以下が特に好ましい。ヘイズが5%以上では透明性が低下し、一般建築物や車両の窓ガラスとして不適である。また、日射透過率が70%を超えると、一般建築物や車両の室内温度が過度に上昇することがあるので本発明から除外される。
【0054】
本発明に関わる熱線遮蔽能を備えた成形体は、機能化層上又はポリカーボネート樹脂上に任意の部分加飾を施すことが可能であり、ブラックアウト、各種マーク、キャラクター等により意匠性を付与することができるが、熱線遮蔽能を備えた成形体中の板状部分であってこれら加飾が施されていない部分の色相は、L値が92〜35、a値が5〜−15、b値が15〜−5であることが好ましい。L値が35未満であると、a値及びb値が、それぞれ、5〜−15及び15〜−5の所定範囲内であっても、黒ずんで透明感が低下する。また、L値が80以上であっても、a値及びb値が、それぞれ、−15及び−5より小さいと緑〜青味の強い色になり、5及び15より大きいと赤〜黄味の強い色となり好ましくない。さらに、L値、a値及びb値が上記範囲から外れる場合には、ポリカーボネート樹脂組成物の色相熱安定性も低くなる傾向にある。
【実施例】
【0055】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、使用した原材料の詳細は、以下のとおりである。
〔原材料〕
(1) 芳香族ポリカーボネート
*PC−1: エステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量=21,000、末端水酸基濃度=1000ppm、異種構造量=0.30モル%)
*PC−2: エステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量=21,000、末端水酸基濃度=150ppm、異種構造量=0.35モル%)
*PC−3: 界面法で製造されたポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名ユーピロンS−3000、粘度平均分子量=21,000、末端水酸基濃度=150ppm、異種構造量=0モル%)
*PC−4: 界面法で製造されたポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名ノバレックス7022pj、粘度平均分子量=21,000、末端水酸基濃度=50ppm、異種構造量=0モル%)
(2)ホウ化物1: 6ホウ化ランタン微粒子分散物(住友金属鉱山(株)製、商品名KHDS−02)、6ホウ化ランタン微粒子含量10.5重量%
(3)耐候性改良剤: 2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、シプロ化成(株)製、商品名シーソーブ709(以下、「紫外線吸収剤1」と略記)
(4)熱安定剤: トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、旭電化工業(株)製、商品名アデカスタブAS2112(以下、「リン系安定剤1」と略記)
(5)酸化防止剤: ペンタエリスリト−ルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チバスペシャリティーケミカルズ社製、商品名イルガノックス1010(以下、「フェノール系安定剤1」と略記)
(6)離型剤1: ペンタエリスリトールテトラステアレート(日本油脂(株)製、商品名ユニスターH476)
(7)染料1: マクロレックスブルーRR(バイエル社製)
(8)染料2: ダイアレジンレッドHS(三菱化学(株)製)
(9)カーボンブラック: 三菱化学(株)製、商品名カーボンブラック#1000(以下、「CB1」と略記)
【0056】
また、以下の実施例において、得られた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる、熱線遮蔽能を備えた成形体の評価法の詳細は、以下のとおりである。
〔評価法〕
(1)ヘイズ・全光線透過率: JIS K−7105に準じ、3mm厚の平板を試験片とし、日本電色工業(株)製、NDH−2000型ヘイズメーターで測定した。
(2)日射透過率: 3mm厚の平板を試験片とし、(株)島津製作所製のU−3100PC型分光光度計を使用して測定した波長域300〜2500nmの光線の透過率の値から、JIS R−3106に従って日射透過率を算出した。
(3)L値、a値、b値: 3mm厚の平板を試験片とし、日本電色工業(株)製のSE2000型分光式色彩計で、透過法により測定した。
【0057】
〔実施例1〜6、比較例1〜2〕
表−1の処方記載の原料及び添加剤を混合後、混合物を40mm単軸押出機に供給し、280℃で混練、ペレット化した。
得られたペレットを120℃、5時間乾燥後、名機製作所製のM150AII−SJ型射出成形機を用いて、シリンダー温度290℃、金型温度80℃、成形サイクル40秒の条件で、3mm厚の平板を成形した。この平板表面上に、アクリル系アンダーコート、シリコン系ハードコートの順に、それぞれ塗付・UV硬化を行い、10μm厚のアンダーコート層及び5μm厚のハードコート層を形成したものを、上記評価法(1)〜(3)用試験片とした。評価結果を表−1に示した。
【0058】
【表1】

【0059】
上記の表において、(1)実施例2〜4と比較例1;実施例5と比較例2の間では、ホウ化物の配合量が同一で比較するとき、所定の末端水酸基濃度を有するポリカーボネート樹脂を使用する方がヘイズが低く透明性に優れていることが明らかである。
(2)実施例2〜4の間では、使用したポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度によっても、ヘイズの低下効果に差があることが明らかである。
(3)実施例5と実施例6の間では、ホウ化物の配合量がやや多い(0.08重量部)と、日射透過率は低く抑えることが可能だが、色相が、特にb値において認められる著しい着色を、染料1及び染料2の添加によって改善できることが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
末端水酸基濃度が100〜1800ppmの範囲内である芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、La、Ce、Pr、Nd、Tb、Dy、Ho、Y、Sm、Eu、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、及びCaからなる群より選択された少なくとも1種の金属のホウ化物微粒子を0.0001〜5重量部配合したことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項2】
芳香族ポリカーボネート樹脂が、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルからエステル交換反応により重合されたものであることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項3】
芳香族ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度が300〜1500ppmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる熱線遮蔽能を備えた成形体であって、厚み0.2〜10mmの板状部分を有し、かつ、該板状部分における、ヘイズが5%未満であり、日射透過率が70%以下であることを特徴とする熱線遮蔽能を備えた成形体。
【請求項5】
上記板状部分が、その片面又は両面に、ハードコート層及び反射防止層から選択された少なくとも1種の機能化層を1層以上有することを特徴とする請求項4に記載の熱線遮蔽能を備えた成形体。
【請求項6】
上記板状部分の色相が、L値=92〜35、a値=5〜−15及びb値=15〜−5で表される範囲内にあることを特徴とする請求項4又は5に記載の熱線遮蔽能を備えた成形体。
【請求項7】
上記成形体が一般建築物用又は車両用の窓若しくは窓部品であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の熱線遮蔽能を備えた成形体。

【公開番号】特開2012−180533(P2012−180533A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−141947(P2012−141947)
【出願日】平成24年6月25日(2012.6.25)
【分割の表示】特願2006−65928(P2006−65928)の分割
【原出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(594137579)三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 (609)
【Fターム(参考)】