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熱膨張性マイクロカプセルおよびその利用
説明

熱膨張性マイクロカプセルおよびその利用

【課題】高温度域で安定発泡、高発泡倍率を有し、得られた発泡体は高弾性体として振る舞い、柔らかいマトリックス樹脂や厚いマトリックス樹脂中で安定な熱可塑性の弾性体を提供することができる熱膨張性マイクロカプセルおよびその利用を提供することである。
【解決手段】熱膨張性マイクロカプセルは、ニトリル系単量体(I)、分子内に1つの不飽和二重結合とカルボキシル基を有する単量体(II)、分子内に2以上の重合性二重結合を有する単量体(III)および、必要により、単量体(I)、(II)、(III)と異なり且つ共重合可能な単量体(IV)からなり、且つ単量体(II)の有するカルボキシル基と反応する官能基を持つ単量体を1重量%以上は含有しない単量体混合物を重合して得られた重合体からなる外殻および該外殼内に封入された発泡剤からなる熱膨張性マイクロカプセルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱膨張性マイクロカプセルおよびその利用に関する。さらに詳しくは、広範囲な温度領域において優れた発泡性能を示す熱膨張性マイクロカプセルおよびその利用に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性重合体を壁材とし、内包物に低沸点溶剤を封じ込めた熱膨張性マイクロカプセルは従来多く検討がなされてきた。特許文献1には熱膨張性マイクロカプセルの全般的な製造方法が開示されている。特許文献2および特許文献3に開示された技術は、耐熱性熱膨張性マイクロカプセルの製造方法であり、壁材重合体に、アクリロニトリル系単量体を80%以上あるいはガラス転移温度の高い単独重合体を形成し得る単量体を使用して壁材の膨張開始温度を上げ、さらに少量のラジカル重合性多官能性単量体を併用してマイクロカプセルが発泡時に壁材を熱重合し硬化させて耐熱性を向上させる方法である。これらの方法では加熱時に架橋が瞬時に起こりかつ架橋密度もかなり高くならなければ期待すべき効果は得られない。
特許文献4は、高温で使用可能な熱膨張性マイクロカプセルを開示している。このマイクロカプセルは、熱膨張をすると同時に壁材に含まれるカルボキシル基と反応する官能基を持つ熱硬化性樹脂を硬化させて耐熱性を発現させるものであり、得られる膨張体(発泡体)はガラス状の脆性の外殻(シェル)を有することが特徴である。従って発泡体は弾性を有するマイクロカプセルとは全く異なっている。使用できるマトリックスが非常に硬いものや弾性を有しないものに使用されるが、形状変化のある多孔体を作成するときには樹脂の特性を失うことがあり好ましくない。
従来、上記の如き熱膨張性マイクロカプセルはニトリル系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体を主成分としたアクリル系共重合体を壁材として開発が進行してきた。しかしながら、これらの単量体による共重合体を壁材に有する熱膨張性マイクロカプセルでは発泡温度領域の可変領域が狭く、特に高温領域において限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭42−26524号公報
【特許文献2】特開昭62−286534号公報
【特許文献3】特開平5−285376号公報(対応米国特許第5536756号明細書)
【特許文献4】国際公開第99/43758号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは広範囲な発泡温度領域、特に高温領域(160℃以上)において良好な発泡性能を有する熱膨張性マイクロカプセルの必要性について検討し、鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の目的は、高温度域で安定発泡、高発泡倍率を有し、得られた発泡体は高弾性体として振る舞い、柔らかいマトリックス樹脂や厚いマトリックス樹脂中で安定な熱可塑性の弾性体を提供することができる熱膨張性マイクロカプセル、その熱膨張性マイクロカプセルを含む樹脂組成物およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、ニトリル系単量体(I)、分子内に1つの不飽和二重結合とカルボキシル基を有する単量体(II)、分子内に2以上の重合性二重結合を有する単量体(III)および、必要により、単量体(I)、(II)、(III)と異なり且つ共重合可能な単量体(IV)からなり、且つ単量体(II)の有するカルボキシル基と反応する官能基を持つ単量体を1重量%以上は含有しない単量体混合物を重合して得られた重合体からなる外殻および該外殼内に封入された発泡剤からなる熱膨張性マイクロカプセルであって、前記ニトリル系単量体(I)がメタクリロニトリルを必須とし、前記単量体混合物が単量体(IV)を含む場合には、前記単量体(IV)が塩化ビニリデン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル、スチレン系モノマー、アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミドおよび置換メタクリルアミドから選ばれる少なくとも1種である。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、以下の(A)〜(D)に示す構成要件の少なくとも1つを満たすと好ましい。
(A)前記単量体混合物中の単量体(II)の割合が4.74〜60重量%である。
(B)加熱膨張させた膨張体に荷重15MPaを付与したとき、荷重付与後の膨張体の体積保持率が50%以上である。
(C)単量体混合物の重合時の重合開始剤が油溶性の過酸化物、アゾ化合物または反応温度で1〜25時間の半減期を有するものである。
(D)最大膨張温度が170℃以上である。
本発明の樹脂組成物は、上記熱膨張性マイクロカプセルまたはその膨張体と、樹脂とからなる。
本発明の樹脂組成物の製造方法は、上記熱膨張性マイクロカプセルまたはその膨張体を樹脂に練り込み成形する製造方法である。前記練り込み成形を、カレンダ加工、押出し成形、ブロー成形および射出成形から選ばれる方法で行うと好ましい。
【発明の効果】
【0006】
以下のとおり、本発明の熱膨張性マイクロカプセルは使用可能温度域、特に高温領域において良好な発泡性能を示し、発泡開始温度も調節可能であるため、様々な種類の樹脂の押出加工、射出成型加工に用いることができ、樹脂の軽量化、耐久性能向上、断熱性能、防音性能を付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明に用いられるニトリル系単量体(I)としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリルまたはこれらの任意の混合物等が挙げられる。これらのうち、アクリロニトリルおよび/またはメタクリロニトリルが特に好ましい。
ニトリル系単量体の使用量は、重合性単量体混合物に対し、好ましくは40〜95重量%、特に好ましくは50〜90重量%である。40重量%未満では本発明の目的を達成することは難しい。
分子内に1つの不飽和二重結合とカルボキシル基を有する単量体(II)としては、例えば、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、イタコン酸、スチレンスルホン酸またはナトリウム塩、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、およびそれらの混合物を挙げることができる。
分子内に1つの不飽和二重結合とカルボキシル基を有する単量体(II)の使用量は、重合性単量体混合物に対し、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは7〜50重量%である。60重量%を超えると本発明の目的を達成することは難しい。5重量%未満では高温領域における発泡性が低下する。
【0008】
分子内に2以上の重合性二重結合を有する単量体(III)としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、などの芳香族ジビニル化合物、メタクリル酸アリル、トリアクリルホルマール、トリアリルイソシアネート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、PEG#200ジ(メタ)アクリレート、PEG#400ジ(メタ)アクリレート、PEG#600ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールヘキサ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステル、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、フェニルグリシジルエーテルアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、フェニルグリシジルエーテルアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー等およびそれらの混合物が含まれる。
【0009】
分子内に2以上の重合性二重結合を有するモノマー(III)の使用量は、重合性単量体混合物に対し、好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.2〜1.5重量%である。0.01重量%未満あるいは、5重量%を超えると高温度領域における発泡性能が不良になり、本発明の目的を達成することは難しいことがある。
単量体(IV)は、前記単量体(I)、(II)、(III)と異なり且つ共重合可能である。
単量体(IV)は、外殻の重合体の膨張特性を調整するために用いられる。単量体(IV)としては、例えば、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、スチレンスルホン酸またはそのナトリウム塩、α−メチルスチレン、クロロスチレンなどスチレン系モノマー、アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミド、置換メタクリルアミドなどのラジカル開始剤により重合反応が進行するモノマー、およびそれらの混合物である。
単量体(IV)の使用量は、重合性単量体混合物に対し、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0〜15重量%である。20重量%を超えると本発明の目的を達成することは難しい。
【0010】
また、本発明は、単量体(II)の有するカルボキシル基と反応する官能基を持つ単量体、例えばN−メチロールアクリルアマイドなどを実質的に含有しないことが好ましい。
かかる単量体を重合単量体混合物が1重量%以上で含有すると得られる膨張体が非常に硬く脆いものになるので好ましくない。
重合開始剤としては、好ましくは、例えば油溶性の過酸化物である過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、ペルオキシ酸エステル、ペルオキシジカーボネートおよびアゾ化合物、または反応温度で1〜25時間の半減期を有するものを挙げることができる。このような重合開始剤を単独であるいは組合せて使用して前記単量体を懸濁重合することによって外殻重合体を製造する。
【0011】
発泡剤としては、好ましくは、熱膨張性マイクロカプセルの外殻重合体の軟化温度以下の温度の沸点を有する液体が使用される。その例としては、例えば炭素数3から8の直鎖状の脂肪族炭化水素およびそのフルオロ化物、炭素数3から8の分岐状の脂肪族炭化水素およびそのフルオロ化物、炭素数3から8の直鎖状の脂環族炭化水素およびそのフルオロ化物、炭素数が2から8の炭化水素基を有するエーテル化合物、または該炭化水素基の水素原子の1部が弗素原子によって置換された化合物などがある。具体的にはプロパン、シクロプロパン、ブタン、シクロブタン、イソブタン、ペンタン、シクロペンタン、ネオペンタン、イソペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、ヘプタン、シクロヘプタン、オクタン、シクロオクタン、メチルヘプタン類、トリメチルペンタン類、COCH、COCH、COCなどのハイドロフルオロエーテル類を挙げることができる。これらは1種あるいはそれ以上の混合物として用いられる。
熱膨張性マイクロカプセルの製造にあたっては、従来方法である懸濁重合法を用いることができる。懸濁重合は、通常、分散剤を含有する水系分散媒体中に重合性単量体混合物および発泡剤を分散させ発泡剤の存在下に単量体混合物を重合させて行う。水系分散媒体中における分散安定剤としては、例えばシリカ、水酸化マグネシウム、リン酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどの無機微粒子が用いられる。その他に、分散安定補助剤として、例えばジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸の縮合生成物、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、各種乳化剤などが用いられる。
このような方法を採用することにより、最大膨張温度が、好ましくは160℃以上、より好ましくは170℃以上、特に好ましくは190℃以上である熱膨張性マイクロカプセルを得ることができる。そして得られた熱膨張性マイクロカプセルは、好ましくは160℃以上の高温度域で安定発泡、高発泡倍率を有し、得られた発泡体は高弾性体として振る舞う。
【0012】
本発明で得られる熱膨張性マイクロカプセルは、加熱膨張させた膨張体に荷重15MPaを負荷したとき、荷重付与後の体積保持率が50%以上であるのが好ましい。さらに好ましくは70%以上であり、特に好ましくは80%以上である。
本発明により得られた熱膨張性マイクロカプセル、あるいはその膨張体を用いて、各種樹脂へ練り込み成形を行うことができる。これにより軽量化された樹脂組成物を得ることができる。成形方法としては、例えばカレンダ加工、押出し成形、ブロー成形、射出成形など、従来既知の方法を用いることができる。
用いることができる樹脂としては、例えばゴムあるいはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどといった熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などといった熱硬化性樹脂を挙げることができる。
【実施例】
【0013】
次に、本発明の具体例を説明する。
〔実施例1〕
固形分40重量%のコロイダルシリカ40g、ジエタノールアミン−アジピン酸縮合物1g、塩化ナトリウム150gおよびイオン交換水500gを加え混合後、pH3.5に調整し水系分散媒体を調製した。
アクリロニトリル100g、メタクリロニトリル100g、メタクリル酸10g、エチレングリコールジメタクリレート1g、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1gを混合して均一溶液の単量体混合物とし、これをイソブタン、イソペンタンとともにオートクレーブ中に仕込み混合した。その後、水系分散媒体をオートクレーブ中に仕込み、5分間700rpmで攪拌後、窒素置換し、反応温度60℃で8時間反応させた。反応圧力は0.5MPa、攪拌は350rpmで行った。
【0014】
この反応により作成された熱膨張性マイクロカプセルの熱膨張特性分析を行った。パーキンエルマー社製のTMA−7型を用いて、特開平11−002615号公報に記載の方法で膨張特性の分析を行った。その結果、発泡開始温度が105℃、最大膨張温度が175℃であった。
次にSBS樹脂中での発泡性能の評価を行った。SBS樹脂(スチレン・ブタジエンブロックコポリマー)に実施例1で得られた熱膨張性カプセル1重量%を混合し、シート化した後、160℃で加熱をしたところSBSの比重が0.9から0.45まで下がった。
また、SBS樹脂(JSR製TR2787、比重0.94g/cm、メルトフローレート6.0g/10分、200℃/49.0N)97.5重量%、熱膨張性マイクロカプセル2.5重量%を混合し、続いて型締力約80トン、スクリュー径32mmを有する射出成形機を用いて、射出圧力約1000kg/cm、シリンダー温度150〜190℃にて射出成形を行い、直径98mm×厚み3mmの円盤状の成形物を得た。結果を表1に示す。
【0015】
〔比較例1〕
メタクリル酸を用いない以外、実施例1の処方と同様にして熱膨張性マイクロカプセルを作成した。
得られた熱膨張性マイクロカプセルをパーキンエルマー社製のTMA−7型を用いて膨張特性の分析を行ったところ、発泡開始温度が105℃、最大膨張温度が155℃であった。
次にSBS樹脂中での発泡性能の評価を行った。SBS樹脂と比較例1で得られた熱膨張性カプセル1重量%を混合し、シート化後160℃で加熱をしたところSBSの比重が0.9から0.7まで下がった。
つづいて実施例1と同様に射出成型を行った。結果を表1に示す。
【0016】
【表1】

【0017】
〔実施例2〕
固形分40重量%のコロイダルシリカ40g、ジエタノールアミン−アジピン酸縮合物1g、塩化ナトリウム160g、イオン交換水500gを加え混合後、pH3.5に調整し水系分散媒体を調製した。
アクリロニトリル50g、メタクリロニトリル50g、メタクリル酸120g、エチレングリコールジメタクリレート3gおよびアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1gを混合して均一溶液の単量体混合物とし、これを2−メチルペンタン20g、2,2,4−トリメチルペンタン15gとともにオートクレーブ中に仕込み混合した。その後、水系分散媒体をオートクレーブ中に仕込み、5分間700rpmで攪拌後、窒素置換し、反応温度60℃で8時間反応させた。反応圧力は0.5MPa、攪拌は350rpmで行った。
この反応により作成された熱膨張性マイクロカプセルの熱膨張特性分析を行った。パーキンエルマー社製のTMA−7型を用いて膨張特性の分析を行ったところ、発泡開始温度が190℃、最大膨張温度が260℃であった。
つづいて実施例1と同様に射出成型を行った。温度条件は190〜250℃で行った。結果を表2に示す。
【0018】
〔比較例2〕
メタクリル酸を用いない以外、実施例2の処方と同様にして熱膨張性マイクロカプセルを作成した。
得られた熱膨張性マイクロカプセルをパーキンエルマー社製のTMA−7型を用いて膨張特性の分析を行ったところ、発泡開始温度が182℃、最大膨張温度が206℃であった。
つづいて実施例2と同様に射出成型を行った。結果を表2に示す。
【0019】
【表2】

【0020】
〔実施例3〕
固形分40重量%のコロイダルシリカ45g、ジエタノールアミン−アジピン酸縮合物1g、塩化ナトリウム140gおよびイオン交換水500gを加え混合後、pH3.5に調整し水系分散媒体を調製した。
アクリロニトリル70g、メタクリロニトリル70g、メタクリル酸70g、エチレングリコールジメタクリレート3g、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1gを混合して均一溶液の単量体混合物とし、これをイソペンタン20g、2−メチルペンタン30gとともにオートクレーブ中に仕込み混合した。その後、水系分散媒体をオートクレーブ中に仕込み、5分間700rpmで攪拌後、窒素置換し、反応温度60℃で8時間反応させた。反応圧力は0.5MPa、攪拌は350rpmで行った。
この反応により作成された熱膨張性マイクロカプセルの熱膨張特性分析を行った。パーキンエルマー社製のTMA−7型を用いて膨張特性の分析を行ったところ、発泡開始温度が160℃、最大膨張温度が200℃であった。
つづいて実施例1と同様に射出成型を行った。温度条件は150〜210℃で行った。結果を表3に示す。
【0021】
〔比較例3〕
メタクリル酸を用いない以外、実施例3の処方と同様にして熱膨張性マイクロカプセルを作成した。
得られた熱膨張性マイクロカプセルをパーキンエルマー社製のTMA−7型を用いて膨張特性の分析を行ったところ、発泡開始温度が153℃、最大膨張温度が175℃であった。
つづいて実施例3と同様に射出成型を行った。結果を表3に示す。
【0022】
【表3】

【0023】
〔実施例4〕
固形分40重量%のコロイダルシリカ45g、ジエタノールアミン−アジピン酸縮合物を1g、塩化ナトリウムを140g、イオン交換水500gを加え混合後、pH3.5に調整し水系分散媒体を調製した。
アクリロニトリル70g、メタクリロニトリル70g、イタコン酸70g、エチレングリコールジメタクリレート3g、α−メチルスチレン10g、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1gを混合して均一溶液の単量体混合物とし、これをイソペンタン20g、2−メチルペンタン30gとともにオートクレーブ中に仕込み混合した。その後、水系分散媒体をオートクレーブ中に仕込み、5分間700rpmで攪拌後、窒素置換し、反応温度60℃で8時間反応させた。反応圧力は0.5MPa、攪拌は350rpmで行った。
この反応により作成された熱膨張性マイクロカプセルの熱膨張特性分析を行った。パーキンエルマー社製のTMA−7型を用いて膨張特性の分析を行ったところ、発泡開始温度が163℃、最大膨張温度が210℃であった。
つづいて実施例1と同様に射出成型を行った。結果を表4に示す。
【0024】
〔比較例4〕
イタコン酸を用いない以外、実施例4の処方と同様にして熱膨張性マイクロカプセルを作成した。
得られた熱膨張性マイクロカプセルをパーキンエルマー社製のTMA−7型を用いて膨張特性の分析を行ったところ、発泡開始温度が160℃、最大膨張温度が183℃であった。
つづいて実施例1と同様に射出成型を行った。結果を表4に示す。
【0025】
【表4】

【0026】
〔実施例5〕
固形分40重量%のコロイダルシリカ40g、ジエタノールアミン−アジピン酸縮合物1g、塩化ナトリウム150gおよびイオン交換水500gを加え混合後、pH3.5に調整し水系分散媒体を調製した。
アクリロニトリル100g、メタクリロニトリル100g、メタクリル酸10g、エチレングリコールジメタクリレート1g、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1gを混合して均一溶液の単量体混合物とし、これをイソペンタン64gとともにオートクレーブ中に仕込み混合した。その後、水系分散媒体をオートクレーブ中に仕込み、5分間700rpmで攪拌後、窒素置換し、反応温度60℃で8時間反応させた。反応圧力は0.5MPa、攪拌は350rpmで行った。
この反応により作成された熱膨張性マイクロカプセルの熱膨張特性分析を行った。パーキンエルマー社製のTMA−7型を用いて膨張特性の分析を行ったところ、発泡開始温度が140℃、最大膨張温度が197℃であった。
【0027】
〔比較例5〕
固形分40重量%のコロイダルシリカ25g、ジエタノールアミン−アジピン酸縮合物0.6g、塩化ナトリウム55gおよびイオン交換水160gを加え混合後、pH3.5に調整し水系分散媒体を調製した。
アクリロニトリル45g、N,N−ジメチルアクリルアミド16g、N−メチロールアクリルアミド5g、メタクリル酸23g、エチレングリコールジメタクリレート0.1gおよびアゾビスイソブチロニトリル0.3gを混合して均一溶液の単量体混合物とし、これをイソペンタン15gとともにオートクレーブ中に仕込み混合した。その後、水系分散媒体をオートクレーブ中に仕込み、5分間700rpmで攪拌後、窒素置換し、反応温度70℃で20時間反応させた。反応圧力は0.5MPa、攪拌は350rpmで行った。
この反応により作成された熱膨張性マイクロカプセルの熱膨張特性分析を行った。パーキンエルマー社製のTMA−7型を用いて膨張特性の分析を行ったところ、発泡開始温度が141℃、最大膨張温度が200℃であった。
【0028】
次に実施例1と比較例1、および実施例5と比較例5で得られた熱膨張性マイクロカプセルの膨張体の荷重付与前後での体積保持率(%)を評価した。実施例1と比較例1との比較により熱膨張性マイクロカプセルにカルボキシル基を有する単量体(II)を用いた場合と用いない場合の体積保持率の比較を実施した。実施例5と比較例5で熱膨張性マイクロカプセルに単量体(II)のカルボキシル基と反応する官能基を有する単量体を用いない場合と用いた場合の比較を実施した。
体積保持率とは、発泡体の荷重付与前真比重(D1)、荷重付与後真比重(D2)を測定し、下式より求める。
体積保持率(%)={1−(D2−D1)/D1}×100
体積保持率は、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。体積保持率が、50%未満では、形状変化のない多孔体を作成するときに有効であるが、形状変化を伴う樹脂中での発泡において樹脂の特性を失うことがあり、好ましくない。
荷重付与方法は、25℃においてステンレス製のシリンダー内(内径12.5mm)に発泡体を充填した後、上方からピストンにより任意の荷重を0.5時間付与することによる。
評価結果を表5に示す。
【0029】
【表5】

【0030】
上記結果より、本発明で得られた熱膨張性マイクロカプセルは高温下での発泡性能と発泡体の高弾性率による加重付与後の体積保持率において、従来発見されている熱膨張性マイクロカプセルをはるかに上回る性能を発現するマイクロカプセルであると言える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニトリル系単量体(I)、分子内に1つの不飽和二重結合とカルボキシル基を有する単量体(II)、分子内に2以上の重合性二重結合を有する単量体(III)および、必要により、単量体(I)、(II)、(III)と異なり且つ共重合可能な単量体(IV)からなり、且つ単量体(II)の有するカルボキシル基と反応する官能基を持つ単量体を1重量%以上は含有しない単量体混合物を重合して得られた重合体からなる外殻および該外殼内に封入された発泡剤からなる熱膨張性マイクロカプセルであって、
前記ニトリル系単量体(I)がメタクリロニトリルを必須とし、
前記単量体混合物が単量体(IV)を含む場合には、前記単量体(IV)が塩化ビニリデン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル、スチレン系モノマー、アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミドおよび置換メタクリルアミドから選ばれる少なくとも1種である、
熱膨張性マイクロカプセル。
【請求項2】
前記単量体混合物中の単量体(II)の割合が4.74〜60重量%である、請求項1に記載の熱膨張性マイクロカプセル。
【請求項3】
加熱膨張させた膨張体に荷重15MPaを付与したとき、荷重付与後の膨張体の体積保持率が50%以上である、請求項1または2に記載の熱膨張性マイクロカプセル。
【請求項4】
単量体混合物の重合時の重合開始剤が油溶性の過酸化物、アゾ化合物または反応温度で1〜25時間の半減期を有するものである、請求項1〜3のいずれかに記載の熱膨張性マイクロカプセル。
【請求項5】
最大膨張温度が170℃以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の熱膨張性マイクロカプセル。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の熱膨張性マイクロカプセルまたはその膨張体と、樹脂とからなる、樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の熱膨張性マイクロカプセルまたはその膨張体を樹脂に練り込み成形する、樹脂組成物の製造方法。
【請求項8】
前記練り込み成形を、カレンダ加工、押出し成形、ブロー成形および射出成形から選ばれる方法で行う、請求項7に記載の樹脂組成物の製造方法。

【公開番号】特開2013−28818(P2013−28818A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−236853(P2012−236853)
【出願日】平成24年10月26日(2012.10.26)
【分割の表示】特願2009−197763(P2009−197763)の分割
【原出願日】平成15年5月22日(2003.5.22)
【出願人】(000188951)松本油脂製薬株式会社 (137)
【Fターム(参考)】