説明

熱記録媒体の記録装置

【課題】レーザ光が漏れ出ることなく安全性を向上できる小型化を実現する。
【解決手段】熱記録媒体の記録装置は、搬送機構と、光照射源とを具備する。搬送機構は、無端に形成された少なくとも2つのベルトを一対のローラ間に掛けて成り、各ベルトに面接触する熱記録媒体を搬送する。光照射源は、一対のローラとこれらローラ間に掛けられた各ベルトとにより囲われる開口部内に設けられ、搬送機構により各ベルトに面接触して搬送される熱記録媒体に対してレーザ照射部からレーザ光を照射し、熱記録媒体に対してデータの書き込み、消去を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱記録媒体に対してレーザ光を照射してデータの書き込み、消去を行う熱記録媒体の記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リライタブルな熱記録媒体に対してレーザ光を照射することによりデータの記録、消去を可能とする熱記録媒体の記録装置がある。このような熱記録媒体の記録装置は、例えば特許文献1、2等に開示されている。このうち特許文献1は、可逆性感熱記録媒体にレーザ光を照射するレーザ光照射手段を所定範囲の単位描画領域内で平面走査機構によって平面走査し、描画情報に基づいて平面走査機構を平面移動させながらレーザ光を選択的に照射することを開示する。又、特許文献1は、搬送される可逆性感熱記録媒体の上方からレーザ光を照射することを開示する。
【0003】
特許文献2は、レーザ光の照射により可逆性感熱記録領域に可視情報を書き込むときと、不可逆性感熱記録領域に可視情報を書き込むときとでそれぞれレーザ光の出力の大きさを制御することを開示する。又、特許文献2も搬送される可逆性感熱記録媒体の上方からレーザ光を照射することを開示する。
【0004】
又、ラインヘッドを用いたレーザプリンタの技術は、例えば特許文献3等に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−88333号公報
【特許文献2】特開2002−59575号公報
【特許文献3】特開平6−198952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2は、いずれも搬送される可逆性感熱記録媒体の上方からレーザ光を照射し、データの書き込み、消去を行っている。しかしながら、特許文献1、2は、可逆性感熱記録媒体に対して照射したレーザ光や可逆性感熱記録媒体からの反射レーザの外部への漏れを防止する機構等を特に設けた構造を有するものとなっていない。このため、例えば外装カバーを外した場合、可逆性感熱記録媒体の上方からレーザ光を照射し、データの書き込み、消去を行っている。
【0007】
しかしながら、特許文献1、2は、可逆性感熱記録媒体の上方から照射したレーザ光が可逆性感熱記録媒体から反射して装置外部に漏れ出るおそれがある。又、可逆性感熱記録媒体の上方にレーザ光の光源等を設ける必要があるので、装置上部にレーザ光源等を設けるためのスペースが必要になる。このため、装置全体が大型化する。
又、熱記録媒体の搬送機構は、熱記録媒体を例えばローラ上に載置し、このローラの駆動によって熱記録媒体を搬送する方式が公知である。このような搬送機構を用いた場合でもローラ上に載置された熱記録媒体の上方からレーザ光を照射するために、可逆性感熱記録媒体からの反射レーザが装置外部に漏れ出るおそれがある。
本発明の目的は、レーザ光が漏れ出ることなく安全性を向上できる小型化を実現した熱記録媒体の記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の主要な局面に係る熱記録媒体の記録装置は、無端に形成された少なくとも2つのベルトを一対のローラ間に掛けて成り、各ベルトに面接触する熱記録媒体を搬送する搬送機構と、一対のローラとこれらローラ間に掛けられた各ベルトとにより囲われる開口部内に設けられ、搬送機構により各ベルトに面接触して搬送される熱記録媒体に対してレーザ照射部からレーザ光を照射し、熱記録媒体に対してデータの書き込み、消去を行う光照射源とを具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、レーザ光が漏れ出ることなく安全性を向上できる小型化を実現した熱記録媒体の記録装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る熱記録媒体の記録装置の第1の実施の形態を示す構成図。
【図2】同装置における搬送機構を上側ローラ部と下側ローラ部とに分けて示す分解構成図。
【図3】本発明に係る熱記録媒体の記録装置の第2の実施の形態を示す構成図。
【図4】同装置における搬送機構の下側ローラ部のみを示す構成図。
【図5】本発明に係る熱記録媒体の記録装置の第3の実施の形態を示す分解構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は熱記録媒体の記録装置の構成図を示す。搬送機構1は、第1のベルト機構である上側ローラ部2と、第2のベルト機構である下側ローラ部3とから成る。これら上側ローラ部2と下側ローラ部3とは、装置内で上下方向に互いに対峙し合わせて設けられている。図2は搬送機構1を上側ローラ部2と下側ローラ部3とに分けた分解構成図を示す。
【0012】
上側ローラ部2は、一対のローラ4、5を備える。これらローラ4、5は、それぞれ円柱状に形成され、かつ予め設定された間隔に設けられている。これらローラ4、5の間には、無端でかつ帯状に形成された第1のベルト6が掛けられている。この第1のベルト6の幅すなわち熱記録媒体Hの搬送方向Sに対して垂直方向の長さは、各ローラ4、5の長手方向の長さと同一か又は長く形成されている。このような幅に形成された第1のベルト6を各ローラ4、5間に掛けることにより各ローラ4、5は、第1のベルト6により覆われる。この第1のベルト6は、レーザ光等の光を吸収する光吸収部材、例えば黒色に形成された弾性部材、例えばゴム等の樹脂により形成されている。
【0013】
この第1のベルト6の両縁部には、それぞれ第1のベルト6の平面本体6aに対して垂直方向に立ち上げられた各立ち上げ部7、8が設けられている。これら立ち上げ部7、8は、それぞれ第2のベルト機構3との間を覆うために設けられている。これら立ち上げ部7、8には、それぞれ複数の切り込み7a、8aが例えば等間隔で形成されている。これら切り込み7a、8aは、各立ち上げ部7、8が各ローラ4、5間で直線方向に移動する直線移動領域で互いに密着して隙間を形成することがなく、かつ各ローラ4、5の外周面に沿ってカーブして移動するカーブ移動領域で第1のベルト6が伸ばされるのを防止するための互いに離れる。
【0014】
各ローラ4、5のうち例えばローラ4には、モータ9が連結されている。このモータ9は、例えばローラ4を矢印A方向に回転駆動する。これによりローラ4は主動ローラとなり、ローラ5は従動ローラとなる。
【0015】
一方、下側ローラ部3は、一対のローラ10、11を備える。これらローラ10、11は、それぞれ円柱状に形成され、かつ予め設定された間隔に設けられている。これらローラ10、11の間隔は、上側ローラ部2における各ローラ4、5の間隔と同一である。又、これらローラ10、11の長手方向の長さは、上側ローラ部2における各ローラ4、5の長さよりも若干短く形成されている。すなわち、各ローラ10、11は、上側ローラ部2と組み合わされた場合、第1のベルト6の各立ち上げ部7、8の間に入ることを可能とする長さに形成されている。
【0016】
又、これらローラ10、11の間でかつその両端部には、それぞれ無端でかつ帯状に形成された2本の第2のベルト12、13が掛けられている。これら第2のベルト12、13の間隔すなわち熱記録媒体Hの搬送方向Sに対して垂直方向の間隔Fは、熱記録媒体Hの幅Hwよりも短く設定されている。例えば、第2のベルト12、13の間隔Fは、当該各第2のベルト12、13上に熱記録媒体Hを載置し、かつ各第2のベルト12、13の間に光照射ユニット14を配置するに必要な間隔である。
【0017】
各第2のベルト12、13の各幅は、上側ローラ部2における第1のベルト6の幅よりも短く形成されている。これら第2のベルト12、13は、それぞれレーザ光等の光を吸収する光吸収部材、例えば黒色に形成された弾性部材、例えばゴム等の樹脂により形成されている。なお、各ローラ10、11の両端部に各第2のベルト12、13を掛けることにより当該各ローラ10、11と各第2のベルト12、13とにより囲まれる開口部15が形成される。又、ローラ11には、モータ9を連結してもよい。
【0018】
上側ローラ部2と下側ローラ部3とは、上側ローラ部2の第1のベルト6と下側ローラ部3の各第2のベルト12、13とを互いに面接触させることにより上下方向に互いに対峙し合わせて設けられる。上側ローラ部2と下側ローラ部3とを互いに対峙すると、下側ローラ部3は、上側ローラ部2のベルト6の両縁部に設けられている各立ち上げ部7、8の間に入り込む。これにより、上側ローラ部2と下側ローラ部3と間の両側面は、それぞれ各立ち上げ部7、8により覆われ、上側ローラ部2と下側ローラ部3との隙間から外部へのレーザ光等の光の漏れが遮光される。
【0019】
又、上側ローラ部2の第1のベルト6と下側ローラ部3の各第2のベルト12、13とを互いに面接触させる構造により例えばモータ9の回転駆動によりローラ4が例えば矢印A方向に回転すると、このローラ4の回転に応動して第1のベルト6が矢印B方向に移動する。このときローラ5も矢印A方向に回転する。第1のベルト6の矢印B方向に移動に応動して当該第1のベルト6に面接触する各第2のベルト12、13が矢印C方向に移動する。そして、各第2のベルト12、13の矢印C方向への移動により各ローラ10、11がそれぞれ矢印D方向に回転する。
【0020】
光照射ユニット14が開口部15内に設けられている。この光照射ユニット14は、例えばレーザ光を下方側から上方側に向けて照射するためにレーザ照射部16を設けた上面14aを上方に向けて開口部15内に設けられている。そして、この光照射ユニット14の上面14aは、各第2のベルト12、13の高さ位置よりも若干低い位置に設けられている。すなわち、光照射ユニット14の上面14aが搬送される熱記録媒体Hに接触しない程度の間隔だけ光照射ユニット14の上面14aは、各第2のベルト12、13の高さ位置よりも若干低い位置に設けられる。これにより、光照射源15は、熱記録媒体Hに対してレーザ光を下方側から照射する。
【0021】
この光照射ユニット14の上面14aには、レーザ照射部16が設けられると共に、熱記録媒体センサ17が設けられている。レーザ照射部16は、ラインレーザ光源であって、レーザ光を出力する複数のレーザ素子をライン状に配列して成る。これらレーザ素子を配列するライン方向は、熱記録媒体Hの搬送方向Sに対して垂直方向である。熱記録媒体センサ17は、搬送機構1により矢印A方向に搬送される熱記録媒体Hの搬送方向Aの先端部を検出してその検出信号Kを出力する。
【0022】
制御部18は、熱記録媒体センサ17から出力される検出信号Kを入力し、熱記録媒体Hの先端部の検出タイミングに基づいてレーザ照射部16の各レーザ素子から出力される各レーザ光の出力タイミングを制御する出力タイミング制御信号Lをレーザ照射部16に送る。すなわち、制御部18は、熱記録媒体センサ17によって熱記録媒体Hの先端部が検出されると、この熱記録媒体Hの先端部の検出時から一定時間、例えば熱記録媒体Hの先端部が熱記録媒体センサ17の上方位置を通過し、熱記録媒体H上の記録開始位置がレーザ照射部16の上方位置に到達するに要する時間経過後にレーザ照射部16の各レーザ素子から各レーザ光を出力させる。なお、熱記録媒体Hの先端部の検出時からレーザ照射部16から各レーザ光を出力開始するまでの時間は、搬送機構1による熱記録媒体Hの搬送速度に応じて変化する。
【0023】
次に、上記の如く構成された装置の動作・作用について説明する。
図2に示すように搬送機構1は、上側ローラ部2と下側ローラ部3とを第1のベルト6と各第2のベルト12、13とを互いに面接触させて互いに対峙し合わせて設けられる。これにより、下側ローラ部3は、上側ローラ部2のベルト6の両縁部に設けられている各立ち上げ部7、8の間に入り込む。これにより、上側ローラ部2と下側ローラ部3と間の両側面すなわち第1のベルト6と各第2のベルト12、13と間は、それぞれ各立ち上げ部7、8により覆われる。
【0024】
又、上側ローラ部2と下側ローラ部3とを互いに対峙して合わせるので、これら上側ローラ部2と下側ローラ部3とから成る搬送機構1の上面側は、完全に遮光される。これと共に、下側ローラ部3は、上側ローラ部2の第1のベルト6の各立ち上げ部7、8の間に入り込むので、上側ローラ部2と下側ローラ部3と両側面は、第1のベルト6の各立ち上げ部7、8によって例えば壁のように覆われ、完全に遮光される。
【0025】
一方、光照射ユニット14が開口部15内に設けられる。この光照射ユニット14は、レーザ照射部16を設けた上面14aを上方に向けて開口部15内に設けられている。この場合、光照射ユニット14の上面14aは、各第2のベルト12、13の高さ位置よりも若干低い位置に設けられている。これにより、光照射ユニット14は、レーザ光を下方側から上方側に向けて照射するものとなる。
【0026】
熱記録媒体Hにデータの書き込み又は消去を行う場合、搬送機構1における例えばモータ9が回転駆動する。このモータ9の回転によりローラ4が例えば矢印A方向に回転し、このローラ4の回転に応動して第1のベルト6が矢印B方向に移動する。
【0027】
この状態で、熱記録媒体Hが搬送機構1の上側ローラ部2の第1のベルト6と下側ローラ部3の各第2のベルト12、13との間に入り込むと、この熱記録媒体Hは、第1のベルト6に面接触し、第1のベルト6の矢印B方向への移動と共に搬送方向Sに搬送される。この熱記録媒体Hは、下側ローラ部3の各第2のベルト12、13に面接触するので、当該熱記録媒体Hの搬送方向Sへの搬送に伴って下側ローラ部3の各第2のベルト12、13が矢印C方向に移動する。そして、これら第2のベルト12、13の矢印C方向への移動により各ローラ10、11がそれぞれ矢印D方向に回転する。このように熱記録媒体Hは、上側ローラ部2の第1のベルト6と下側ローラ部3の各第2のベルト12、13との間に挟まれた状態で搬送方向Sに搬送される。
【0028】
このとき、第1のベルト6における各立ち上げ部7、8の各切り込み7a、8aは、各ローラ4、5間で直線方向に移動する直線移動領域で互いに密着して隙間を形成することがない。又、各切り込み7a、8aは、各ローラ4、5の外周面に沿ってカーブして移動するカーブ移動領域で第1のベルト6が伸ばされるのを防止するための互いに離れる。
【0029】
熱記録媒体センサ17は、搬送機構1により搬送方向Aに搬送される熱記録媒体Hの搬送方向Aの先端部を検出してその検出信号Kを出力する。
制御部18は、熱記録媒体センサ17から出力される検出信号Kを入力し、熱記録媒体Hの先端部の検出時から一定時間、例えば熱記録媒体Hの先端部が熱記録媒体センサ17の上方位置を通過し、熱記録媒体H上の記録開始位置がレーザ照射部16の上方位置に到達するに要する時間経過後にレーザ照射部16の各レーザ素子から各レーザ光を出力させる。これらレーザ光は、レーザ照射部16から上方に向かって出力され、搬送されている熱記録媒体Hに照射される。これにより熱記録媒体Hに対してデータの書き込み、又は消去が行われる。
【0030】
しかるに、上記第1の実施の形態によれば、搬送機構1の上側ローラ部2と下側ローラ部3とをその第1のベルト6と各第2のベルト12、13とを互いに面接触させて互いに対峙し合わせて設け、かつ搬送機構1における各ローラ10、11と各第2のベルト12、13とにより囲まれる開口部15内に、光照射ユニット14をそのレーザ光を下方側から上方側に向けて照射するように設け、さらに第1のベルト6の両縁部に各立ち上げ部7、8を設けた。
【0031】
これにより、レーザ照射部16から各レーザ光が出力されて熱記録媒体Hに対してデータの書き込み、又は消去が行われているとき、上側ローラ部2と下側ローラ部3とから成る搬送機構1の上面側が完全に遮光され、さらに上側ローラ部2と下側ローラ部3と両側面が第1のベルト6の各立ち上げ部7、8によって完全に遮光されるので、レーザ照射部16から出力された各レーザ光や熱記録媒体Hで反射したレーザ光が搬送機構1における上側ローラ部2と下側ローラ部3との隙間等から外部へ漏れ出ることがない。
【0032】
又、光照射ユニット14は、レーザ照射部16を設けた上面14aを上方に向けて開口部15内に設けられるので、レーザ照射部16から出力された各レーザ光は、熱記録媒体Hで下方に向かって反射する。例えばユーザは、熱記録媒体Hに対するデータの書き込み又は消去等を行う場合、本装置よりも上方に視点を置いて本装置を取り扱うことになる。従って、各レーザ光は、熱記録媒体Hで反射して下方に向かうので、本装置よりも上方に視点を置くユーザにとっては安全性を向上できる。
さらに、実際の記録装置において搬送機構1の下方には、使用されていない空スペースがあることが多い。従って、この空スペース内に光照射ユニット14を設けることで、空スペースを有効利用することができ、装置全体の小型化を実現できる。
【0033】
熱記録媒体Hは、搬送機構1における上側ローラ部2と下側ローラ部3との間に挟まれて直線方向に搬送されるので、搬送中に湾曲されることがなく、データの書き込み又は消去等を行うために複数回搬送機構1により搬送されても変形することがない。
【0034】
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1及び図2と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
図3は熱記録媒体の記録装置の構成図を示し、図4は搬送機構1の下側ローラ部3のみの構成図を示す。下側ローラ部3の両側面には、それぞれ遮光部材としての各遮光板20、21が設けられている。これら遮光板20、21は、それぞれ遮光板20、21自身と各第2のベルト12、13との間の隙間すなわち下側ローラ部3の両側面を遮光する。なお、これら遮光板20、21は、それぞれ各ローラ10、11を回転可能に設けている。
【0035】
このような本装置の構造であれば、上記第1の実施の形態と同様に、上側ローラ部2と下側ローラ部3とから成る搬送機構1の上面側を完全に遮光し、かつ上側ローラ部2と下側ローラ部3と両側面を各立ち上げ部7、8によって完全に遮光することができ、これに加えて各遮光板20、21により下側ローラ部3の両側面を遮光するので、下側ローラ部3の両側面に対するレーザ光の遮光性をさらに向上できる。
【0036】
次に、本発明の第3の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1及び図2と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
図5は熱記録媒体の記録装置の分解構成図を示す。光照射ユニット30は、直方体の形状に形成され、その一側面30a上の一端部側にレーザ照射部16と熱記録媒体センサ17とが設けられている。この光照射ユニット30は、例えば各ローラ10、11に掛けられている第2のベルト12の間を通して各ローラ10、11の間に並設されている。そして、光照射ユニット30上のレーザ照射部16と熱記録媒体センサ17とが開口部15内に配置されている。
【0037】
このような本装置の構造であっても、上記第1の実施の形態と同様に、上側ローラ部2と下側ローラ部3とから成る搬送機構1の上面側を完全に遮光し、かつ上側ローラ部2と下側ローラ部3と両側面を各立ち上げ部7、8によって完全に遮光できる。
【0038】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、各ローラ4、5や各ローラ10、11は、各ベルト6、12、13と同様に、レーザ光等の光を吸収する光吸収部材、例えば黒色に形成された弾性部材、例えばゴム等の樹脂により形成してもよい。
又、各光照射ユニット14、30も例えば黒色に色付けしてもよい。
【0039】
又、搬送機構1は、モータ9の回転駆動によって搬送動作しているが、これに限らず、例えば、上側ローラ部2における第1のベルト6の慣性による移動と、下側ローラ部3における各第2のベルト12、13の慣性による移動とによって熱記録媒体Hを搬送するようにしてもよい。この場合、熱記録媒体Hが搬送機構1の上側ローラ部2の第1のベルト6と下側ローラ部3の各第2のベルト12、13との間に入り込むと、この入り込むときの熱記録媒体Hの押圧力を受けて第1のベルト6が矢印B方向に移動と共に、各第2のベルト12、13が矢印C方向に移動する。第1のベルト6は、熱記録媒体Hの押圧力を受けたときの慣性により矢印B方向に移動し続け、各第2のベルト12、13も熱記録媒体Hの押圧力を受けたときの慣性により矢印C方向に移動し続ける。これにより熱記録媒体Hは、上側ローラ部2の第1のベルト6と下側ローラ部3の各第2のベルト12、13との間に挟まれた状態で搬送方向Sに搬送される。
【符号の説明】
【0040】
1:搬送機構、2:上側ローラ部、3:下側ローラ部、4,5:ローラ、6:第1のベルト、H:熱記録媒体、7,8:立ち上げ部、7a,8a:切り込み、9:モータ、10,11:ローラ、12,13:第2のベルト、14:光照射ユニット、15:開口部、16:レーザ照射部、17:熱記録媒体センサ、18:制御部、20,21:遮光板、30:光照射ユニット、30a:光照射ユニットの一側面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端に形成された少なくとも2つのベルトを一対のローラ間に掛けて成り、前記各ベルトに面接触する熱記録媒体を搬送する搬送機構と、
前記一対のローラとこれらローラ間に掛けられた前記各ベルトとにより囲われる開口部内に設けられ、前記搬送機構により前記各ベルトに面接触して搬送される前記熱記録媒体に対してレーザ照射部からレーザ光を照射し、前記熱記録媒体に対してデータの書き込み、消去を行う光照射源と、
を具備することを特徴とする熱記録媒体の記録装置。
【請求項2】
前記光照射源のレーザ照射部を設けた面は、前記各ベルトの前記熱記録媒体が面接触する高さ位置よりも低いことを特徴とする請求項1記載の熱記録媒体の記録装置。
【請求項3】
前記光照射源のレーザ照射部を設けた面に、前記各ベルトに面接触して搬送される前記熱記録媒体を検出する熱記録媒体センサを設けたことを特徴とする請求項1または2記載の熱記録媒体の記録装置。
【請求項4】
前記各ベルトは、前記レーザ光を吸収する光吸収部材により形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1記載の熱記録媒体の記録装置。
【請求項5】
前記ローラは、前記レーザ光を吸収する光吸収部材により形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1記載の熱記録媒体の記録装置。
【請求項6】
前記光吸収部材は、黒色の弾性部材であることを特徴とする請求項4または5記載の熱記録媒体の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−152802(P2011−152802A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101993(P2011−101993)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【分割の表示】特願2008−107226(P2008−107226)の分割
【原出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】