説明

熱転写記録材料及び熱転写記録方法

【課題】 熱転写シートから転写して形成される熱転写受像シートによる印画物で、ニオイ発生の持続時間を長くすることができ、また臭気発生する箇所や、臭気発生の強さを適宜変更できる熱転写シートと、熱転写受像シートからなる熱転写記録材料を提供する。
【解決手段】 基材シート4上に、少なくともバインダーと可塑剤を含有する転写層5を設けた熱転写シート2と、基材6上に、少なくともバインダーと、臭気成分を吸着した無機酸化物を内包したマイクロカプセルを含有する受容層7を設けた熱転写受像シート3からなる熱転写記録材料1である。これにより、熱転写受像シート3の受容層7の任意の位置に、転写層5を転写することで、受容層7に含有するマイクロカプセルは、転写層5から転写した可塑剤の作用により、マイクロカプセル内から無機酸化物に吸着されていた臭気成分が放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱転写記録材料に関し、特に基材シート上に、転写層を設けた熱転写シートと、基材上に、臭気成分を含有する受容層を設けた熱転写受像シートからなる熱転写記録材料及びその記録材料を用いた熱転写記録方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ニオイ(香り)は、大別すると、2種類に分類でき、一つは心地良いと感じられるニオイで、例えば花や香水のようなニオイであり、もう一つは不快と感じるニオイ(香り)である。また、そのニオイ(香り)を感じる対象が、人間だけではなく、動物も対象となるものである。
【0003】
このように私たちの周りには、香りが多く存在している。例えば、特許文献1には、視覚的に表現された触感を有する印刷物を、使用者が指で触れることにより、自発的に香りを発する印刷物として、香料マイクロカプセルを練り込んだインキを用いた層を表面に露出させたものが開示されている。この印刷物は、木材柄の絵柄上にヒノキの香りを発生させたり、畳柄の絵柄上にイグサの香りを発生させたり、皮革柄の絵柄上にレザーの香りを発生させた化粧材などが例示されている。
【0004】
また、特許文献2には、昇華型熱転写受像シートにおいて、受容層上に、マイクロカプセル化した香料の芳香成分を含有する印刷層を設けることが記載されている。この熱転写受像シートは、転写圧により、また手で圧力を加えることにより、マイクロカプセルから花や果物などの芳香が発散することが示されている。
【0005】
また、特許文献3には、カプサイシンのような動物用忌避剤をマイクロカプセルに内包したものを、配合した液体を粉体に吸油させた忌避粉剤として散粉したり、そのマイクロカプセルを混合した乳剤や塗料を噴霧、塗布したり、また、そのマイクロカプセルを配合した乳化液を不織布テープに浸漬塗布させて、忌避テープとして利用することが開示されている。
【0006】
しかし、上記のいずれにおいても、ニオイを発する臭気発生物質が表面に存在し、ニオイを発生しやすい状態にはあるが、マイクロカプセル化した香料が破壊されて、瞬く間にニオイが発生し、そのニオイの持続する時間が短い問題がある。また、臭気発生する部分、あるいは臭気発生の強度を適宜変更させるような使用時の選択性を高くすることが困難であるという問題がある。
【特許文献1】特開2005−186389号公報
【特許文献2】特開2002−187368号公報
【特許文献3】特開平7−76502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は上記のような問題点を解決し、熱転写シートから転写して形成される熱転写受像シートによる印画物で、ニオイ発生の持続時間を長くすることができ、また臭気発生する箇所や、臭気発生の強さを適宜変更できる熱転写シートと、熱転写受像シートからなる熱転写記録材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の状況を鑑み、鋭意研究開発を進め、本発明の請求項1は、基材シート上に、少なくともバインダーと可塑剤を含有する転写層を設けた熱転写シートと、基材上に、少なくともバインダーと、臭気成分を吸着した無機酸化物を内包したマイクロカプセルを含有する受容層を設けた熱転写受像シートからなることを特徴とする熱転写記録材料の構成である。これにより、熱転写受像シートの受容層の任意の位置に、転写層を転写することで、受容層に含有するマイクロカプセルは、転写層から転写した可塑剤の作用により、マイクロカプセル内から無機酸化物に吸着されていた臭気成分が放出される。したがって、転写層を転写する位置、及び転写する大きさを適宜変化させることにより、臭気発生する箇所や、臭気発生の強さを変更することができる。また、転写層からの可塑剤のマイクロカプセルへの作用(浸透)が徐々に進行するので、マイクロカプセルからのニオイ発生の持続時間を長くすることができる。
【0009】
本発明の請求項2は、前記の無機酸化物が、シリカであることを特徴とする請求項1に記載する熱転写記録材料である。これにより、臭気成分を吸着したシリカを内包したマイクロカプセルとなり、安定した臭気の発生をすることができる。また、本発明の請求項3は、前記の熱転写シートの転写層が保護層であり、保護層と着色転写層とが、基材シート上に、面順次に設けられたことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載する熱転写記録材料である。これにより、熱転写受像シートに、着色転写層による熱転写画像と、保護層を形成できる。
【0010】
本発明の請求項4の熱転写記録方法は、請求項1〜3のいずれかに記載された熱転写シートと、熱転写受像シートを準備する工程と、前記熱転写シートを熱転写受像シートと重ねて、熱転写シートの転写層が形成された面と反対の面から加熱し、転写層を熱転写受像シートの受容層上に転写する工程、を含むことを特徴とするものである。これにより、熱転写受像シートの受容層の任意の位置に、転写層を転写できる。受容層に含有するマイクロカプセルは、転写層から転写した可塑剤により、マイクロカプセル内から無機酸化物に吸着されていた臭気成分が放出される。したがって、転写層を転写する位置、及び転写する大きさを適宜変化させることにより、臭気発生する箇所や、臭気発生の強さを変更することができる。また、転写層からの可塑剤のマイクロカプセルへの作用(浸透)が徐々に進行するので、マイクロカプセルからのニオイ発生の持続時間を長くすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上記の構成の熱転写記録材料は、熱転写シートから転写して形成される熱転写受像シートによる印画物において、ニオイ発生の持続時間が長く、また臭気発生する箇所や、臭気発生の強さを適宜変更できるものである。また、上記の熱転写記録方法によれば、ニオイ発生の持続時間が長く、また臭気発生する箇所や、臭気発生の強さを適宜変更できる印画物を簡単に作製できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の熱転写記録材料の一つの実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明の熱転写シートの実施形態を示す概略図である。
【図3】本発明の熱転写記録材料により、形成された印画物の例を示す概略図である。
【図4】本発明の熱転写記録材料により、形成された印画物の例を示す概略図である。
【図5】本発明の熱転写記録材料により、形成された印画物の例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、発明の実施の形態について、詳述する。
図1は、本発明の熱転写記録材料1の一つの実施形態を示す概略図であり、熱転写シート2と、熱転写受像シート3の組み合わせからなる熱転写記録材料1である。その熱転写シートは、基材シート4の上に、少なくともバインダーと可塑剤を含有する転写層5を設けた構成であり、熱転写受像シート3は、基材6の上に、少なくともバインダーと、臭気成分を吸着した無機酸化物を内包したマイクロカプセルを含有する受容層7を設けた構成である。この熱転写記録材料1は、熱転写シート2の転写層5と、熱転写受像シート3の受容層7が接するように重ねて、熱転写受像シート3の受容層7に、保護層5をサーマルヘッド等の加熱手段により、熱転写するものである。
【0014】
図2は、本発明の熱転写記録材料における熱転写シートの一つの実施形態を示し、基材シート上に、着色転写層8と、転写層5である保護層が面順次に繰り返し設けられたもので、その着色転写層8は、イエロー(Y)転写層81、マゼンタ(M)転写層82、シアン(C)転写層83の3色の転写層を、基材シート上に、面順次に形成されている。この熱転写シートを用いれば、熱転写受像シートの受容層に、イエロー、マゼンタ、シアンの3色によるカラーの熱転写画像を形成でき、その熱転写画像を覆うように保護層が転写された、ニオイを発生する印画物を形成することができる。
【0015】
図1に図示した熱転写シートに限らず、基材シートの一方の面に、剥離層等の中間層を介して、転写層を設ける、あるいは基材シートの他方の面に、サーマルヘッド等の加熱手段における耐熱性、滑性などを付与させるために、耐熱滑性層を設けることができる。また、図1に図示した熱転写受像シートに限らず、基材の一方の面に、中間層を介して、受容層を設ける、あるいは基材の他方の面に、裏面層を設け、サーマルヘッド等の熱転写手段における搬送性をもたせることができる。
【0016】
図2に示した熱転写シートに限らずに、イエロー、マゼンタ、シアンの3つの着色転写層に、ブラックの着色転写層を追加して、4つの着色転写層を面順次に配置して形成する、あるいは保護層と、ブラックなどの着色転写層を1種のみを面順次に形成することも可能である。
【0017】
図3は、基材6の上に、少なくともバインダーと、臭気成分を吸着した無機酸化物を内包したマイクロカプセルを含有する受容層7を設けた熱転写受像シートに、図1に示したような熱転写シートを使用して、転写層5が転写されて得られた印画物10を示す概略図である。この印画物10は、受容層7の上に、転写層5が着色された画像や、透明な層として部分的に形成したものである。
【0018】
図4は、受容層に予め熱転写による印字がされた熱転写受像シートに、図1に示したような熱転写シートを使用して、転写層の保護層が転写されて得られた印画物10を示す概略図である。基材6の上に、受容層7を設けた熱転写受像シートで、その受容層7に熱転写により、印字部9を形成しておき、その印字部9を覆うように、熱転写シートから保護層5が転写された印画物10である。この図示した印画物10では、熱転写受像シートの受容層7の全面に保護層を有するものではなく、印字部9の上で、受容層7の一部の領域に保護層5が転写されている。図4に示した印画物に限らずに、受容層に印字部を有していなく、受容層に直接、転写層の保護層を転写して形成することも可能である。
【0019】
図5は、基材6上に、受容層7を設けた熱転写受像シートにおける受容層7に、図2に示したような熱転写シートを使用して、イエロー(Y)転写層により、イエロー画像11を転写して形成する。また、マゼンタ(M)転写層により、マゼンタ画像12を転写して形成する。更に、シアン(C)転写層により、シアン画像13を転写して形成する。それらの画像の全てを含み、受容層7の全面を覆うように、転写層の保護層5が熱転写シートから転写されて形成された印画物10が形成される。
【0020】
図3〜5に示したような印画物において、受容層に含有するマイクロカプセルは、転写層から転写した可塑剤の作用により、マイクロカプセル内から無機酸化物に吸着されていた臭気成分が放出される。したがって、転写層の転写する位置、及び転写する大きさを適宜変化させることにより、臭気発生する箇所や、臭気発生の強さを変更することができる。具体的には、図3に示す印画物10では、受容層7の一部分に、転写層5が転写され、また図4に示す印画物10では、受容層7の一部分に、転写層の保護層5が転写されていて、図3と図4に示す印画物は、図5に示す印画物10の受容層7の全面に、転写層の保護層5が転写して形成されたものに比べると、転写層と受容層との接触する部分が少ないので、臭気発生の強度は弱まったものとなる。また、臭気発生は、受容層のマイクロカプセルと、転写層の可塑剤との反応によるため、受容層の上に形成する熱転写画像が、上記反応の抑制するものであれば、その熱転写画像の大きさを変化させて、臭気発生の強度を調整することも可能である。
【0021】
以下に、本発明の熱転写記録材料の熱転写シート及び熱転写受像シートを構成する各層について、詳細に説明する。
[熱転写シート]
(基材シート)
本発明における熱転写シートで用いられる基材シート4としては、転写層、着色転写層を保持できるものであれば、特に制限されない。好ましい基材シートの具体例としては、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、セロハン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド等のプラスチックフィルム、あるいはポリ乳酸、ポリカプロラクトン等の生分解性プラスチックフィルム等があり、又、これらのいずれかを複合したものであってもよい。この基材シートの厚さは、その強度及び柔軟性が適切になるように材料に応じて適宜変更することが出来るが、10〜200μm程度が好ましい。
【0022】
(転写層)
本発明の熱転写シートにおける転写層5は、少なくともバインダーと可塑剤を含有するもので、転写層で保持するバインダーは耐水性を有することが好ましく、つまり疎水性を有する熱可塑性樹脂をバインダーとして用いることが望ましい。
【0023】
その熱可塑性樹脂として、例えば、ウレタン樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルもしくはポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはポリアクリル酸エステル等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂など、又は、これらをディスパージョン化、若しくはエマルジョン化した樹脂、が挙げられる。
【0024】
上記の可塑剤は、液体可塑剤が使用でき、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸−2−エチルヘキシル、フタル酸ブチルヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジオクチル等が挙げられる。これら液体可塑剤は、マイクロカプセルに内包させて用いられるのが一般的である。このマイクロカプセル化した液体可塑剤を含有する転写層が、熱転写受像シートの受容層に転写されて、その際の熱転写による加熱及び加圧により、マイクロカプセルが破壊して、液体可塑剤が受容層に浸透する。
【0025】
また、可塑剤として、固体可塑剤が使用でき、例えば、フタル酸ジシクロヘキシル(融点65℃)、フタル酸ジフェニル(融点73℃)、N−シクロへキシル−p−トルエンスルホンアミド(融点86℃)、安息香酸スクロース(融点98℃)、二安息香酸エチレングリコール(融点70℃)、三安息香酸トリメチロールエタン(融点73℃)、四安息香酸ペンタエリトリット(融点95℃)、八酢酸スクロース(融点89℃)、カテコールジベンゾエート(融点86℃)等、更には、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕(融点77℃)、1,6−ヘキサンジオールビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(融点103℃)等のヒンダードフェノール系化合物、2−[5′−(1″,1″,3″,3″−テトラメチルブチル)−2′−ヒドロキシフェニル]ベンゾトリアゾール(融点103℃)、2−[3′,5′−ジ−(2″,2″−ジメチルプロピル)−2′−ヒドロキシフェニル]ベンゾトリアゾール(融点80℃)、2−(3、5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(融点80℃)等のトリアゾール系化合物等が挙げられる。
【0026】
上記の固体可塑剤は、熱転写シートの保護層を受容層に転写する際のサーマルヘッド等の加熱により、液化して、受容層に浸透し、その受容層に含有する臭気成分を吸着した無機酸化物を内包したマイクロカプセルの外殻をアモルファス化(アモルファス状態に変化させること、以下の記載でも同様)して、その可塑剤が多孔の無機酸化物に作用して、無機酸化物に吸着されていた臭気成分を放出させるものである。この受容層のマイクロカプセルの外殻のアモルファス化を維持させ、長く持続させるために、上記可塑剤の複数を組み合わせて用いてもよい。これらの可塑剤および化合物は、ボールミル、サンドミル、ペイントシェイカー、ダイノミル、アトライター、ヘンチェルミキサー等の湿式もしくは乾式の粉砕機により微粒化され水分散液等として用いることができるが、従来公知の方法でマイクロカプセル化して使用することも可能である。固体可塑剤の粒径は10μm以下が好ましく、より好ましくは0.7〜2μmである。
【0027】
本発明の転写層は、少なくともバインダーと可塑剤を含有するもので、着色させるために着色剤を加えても良い。また、転写層を透明性を有した層とする、あるいは印字部などの保護層として機能させることもでき、その場合は透明性を維持させることが重要であり、着色剤は添加する必要はない。転写層の形成は、上記のようなバインダーと可塑剤と、必要に応じて、添加剤と、さらに、これに有機溶剤等の溶媒成分を配合調整した塗工液を、従来公知のグラビアダイレクトコート、グラビアリバースコート、ナイフコート、エアコート、ロールコート等の方法により、基材シート上に、乾燥状態で塗布量が2〜20g/m2程度で、形成することができる。
【0028】
(着色転写層)
着色転写層8は、バインダーと着色剤を主体に構成することができる。その着色剤としては、公知の有機または無機の顔料、あるいは染料の中から適宜選択することができ、例えば、十分な着色濃度を有し、光、熱等により変色、退色しないものが好ましい。また、加熱により発色する物質や、被転写体の表面に塗布されている成分と接触することにより発色するような物質であってもよい。さらに、着色剤の色としては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックに限定されるものではなく、種々の色の着色剤を使用することができる。
【0029】
着色転写層のバインダーは、熱可塑性樹脂を用いることが望ましい。その熱可塑性樹脂として、例えば、ウレタン樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルもしくはポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル− 酢酸ビニル系共重合体、エチレン− 酢酸ビニル共重合体もしくはポリアクリル酸エステル等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂など、又は、これらをディスパージョン化、若しくはエマルジョン化した樹脂、が挙げられる。
【0030】
着色転写層は、上記のようなバインダーと着色剤と、必要に応じて、添加剤と、さらに、これに有機溶剤等の溶媒成分を配合調整した塗工液を、従来公知のグラビアダイレクトコート、グラビアリバースコート、ナイフコート、エアコート、ロールコート等の方法により、基材シート上に、乾燥状態で塗布量が2〜20g/m2程度で、形成することができる。
【0031】
[熱転写受像シート]
(基材)
本発明の熱転写記録材料における熱転写受像シートの基材6は、受容層を保持するという役割を有するとともに、熱転写時には熱が加えられるため、加熱された状態でも取り扱い上、支障がない程度の機械的強度を有することが好ましい。このような基材の材料は特に限定されず、例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、またはサイズ度の高い、すなわち水溶液の浸透性の高い紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打ち用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロース繊維紙、レジンコート紙、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等の各種プラスチックフィルム又はシートが使用でき、またこれら合成樹脂に白色顔料や、充填剤を加えて成膜し、基材内部に微細空隙(ミクロボイド)を有するフィルム(多孔質フィルム)も使用でき、特に限定されない。
【0032】
また、上記基材の任意の組み合わせによる積層体も使用できる。基材の厚みは任意でよく、通常10〜300μm程度の厚さが一般的である。また、上記の如き基材は、その表面に形成する層との密着力が乏しい場合には、その表面に各種プライマー処理やコロナ放電処理を施すことが好ましい。
【0033】
(受容層)
本発明の熱転写記録材料における熱転写受像シートの受容層7は、少なくともバインダーと、臭気成分を吸着した無機酸化物を内包したマイクロカプセルを含有するものである。受容層は、基材の上に直接または、プライマー層を介して、形成することができる。受容層を構成するバインダーは、適用される熱転写法の種類に応じて適切なものを使用する。例えば、昇華熱転写を行ないたい場合には、昇華性染料の染着性が良いバインダー樹脂を使用し、熱溶融転写を行ないたい場合には、熱溶融性インキの移行性、定着性が良いバインダー樹脂を使用する。
【0034】
受容層は、上記のいずれの熱転写法でも、一般に熱可塑性樹脂を主体としたバインダーで構成することができる。受容層を形成するバインダーとしては、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル等のビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられ、中でも特に好ましいものはポリエステル系樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及びそれらの混合物である。
【0035】
受容層に含有する、臭気成分を吸着した無機酸化物を内包したマイクロカプセルについて、説明する。その無機酸化物はシリカ、酸化アルミニウム(アルミナ)等の微細な多孔質構造を有する物質(多孔物質)が挙げられ、特にシリカが臭気成分の吸着性が高く、かつ転写層からの可塑剤が、マイクロカプセルの外殻に作用して、その吸着していた臭気成分をマイクロカプセルから外に放出しやすいので、好ましく用いられる。上記のマイクロカプセルに内包されている無機酸化物の多数の細孔に吸着している臭気成分は、水溶液として存在していることが好ましい。それはマイクロカプセル内で、臭気成分が水分として溶解していた状態から、転写層からの可塑剤が作用して、(可塑剤がマイクロカプセルの外殻を構成する樹脂を、アモルファス状態にして、)マイクロカプセルの外に、その臭気成分を水分とともに放出させるようにするからである。
【0036】
上記の多孔質シリカの作製方法は、大きく分けて、(1)湿潤ゲルを得る工程と、(2)この湿潤ゲルを乾燥する工程からなる。湿潤ゲルを得る方法としては、シリカの原料を溶媒中でのゾル−ゲル反応によって合成して、湿潤ゲルを得る方法が挙げられる。この合成の際には、必要に応じて触媒を用いる。この合成過程において、溶媒中で原料が反応しながらシリカの微粒子を形成し、その微粒子が集まって網目状骨格を形成して、湿潤ゲルが得られる。湿潤ゲルから乾燥ゲルを得る乾燥方法としては、自然乾燥、加熱乾燥、および減圧乾燥等の通常の乾燥方法、あるいは超臨界乾燥法または凍結乾燥法などを用いることができる。
【0037】
上記の臭気成分は、その種類は特に限定されるものではないが、上記の理由により、水溶性の物質が好ましく用いられる。例えば、人に快感を与えるものを香料として用いることができる。この香料の場合は、動物性香料、あるいは植物性香料の天然香料や、合成香料が挙げられる。合成香料としては、例えば、アルコール類、フェノール類の水酸化合物及びそれらの誘導体、アルデヒド類、ケトン類のカルボニル化合物などが挙げられる。これらの香料を単独で用いる、あるいは複数を組み合わせて用いてもよい。
また農作物を食い荒らすネズミ、ノウサギやイノシシなどの有害動物の忌避剤を、本発明の香料として利用することができる。例えば、不飽和アルコール及びアルデヒド、グアサジン、カプサイシンなどが、有害動物の忌避剤として、使用することができる。
【0038】
臭気成分を吸着した無機酸化物を内包したマイクロカプセルは、揮散して臭気を発する化合物である香料を、従来公知のマイクロカプセル製造方法を適宜選択して、マイクロカプセル化して製造することができる。例えば、芯物質(臭気成分を吸着した無機酸化物)及び水に不溶性の高分子膜を界面重合法により、マイクロカプセル化することができる。また、マイクロカプセルの殻を形成する溶質を溶解した溶液に、芯物質(臭気成分を吸着した無機酸化物)を懸濁し、次いで噴霧乾燥させるスプレードライ法により、マイクロカプセル化して製造することができる。上記の臭気成分を吸着した無機酸化物を内包したマイクロカプセルの大きさは、限定するものではないが、平均粒径で1μm〜50μm程度であれば、その機能を果たしやすく好ましい。
【0039】
但し、本発明の熱転写記録材料は、熱転写受像シートの受容層に、熱転写シートの保護層が転写されて、受容層に含有するマイクロカプセルは、保護層から転写した可塑剤の作用により、マイクロカプセルから、無機酸化物に吸着されていた臭気成分を放出しやすくするために、マイクロカプセルの外殻を構成する高分子材料は、可塑剤によりアモルファス化しやすいものが選定される。例えば、ポリ塩化ビニルもしくはポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル− 酢酸ビニル系共重合体、エチレン− 酢酸ビニル共重合体もしくはポリアクリル酸エステル等のビニル系樹脂、また天然有機高分子化合物として、例えばセルロースおよびセルロース誘導体、タンパク質などであって、ゼラチン、アラビアゴム、パラフィンワックスなどを挙げることができる。
【0040】
受容層に、熱転写シートの着色転写層から染料を昇華転写する場合は、着色転写層と受容層との融着、若しくは印画感度の低下等を防ぐ目的で、受容層に離型剤を混合することができる。混合して使用する好ましい離型剤としては、シリコーンオイル、リン酸エステル系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられるが、中でもシリコーンオイルが望ましい。そのシリコーンオイルとしては、エポキシ変性、ビニル変性、アルキル変性、アミノ変性、カルボキシル変性、アルコール変性、フッ素変性、アルキルアラルキルポリエーテル変性、エポキシ・ポリエーテル変性、ポリエーテル変性等の変性シリコーンオイルが望ましい。
【0041】
離型剤は1種若しくは2種以上のものが使用される。また、離型剤の添加量は受容層形成用樹脂100質量部に対し、0.5〜30質量部が好ましい。この添加量の範囲を満たさない場合は、昇華型熱転写シートと熱転写受像シートの受容層との融着若しくは印画感度の低下等の問題が生じる場合がある。このような離型剤を受容層に添加することによって、転写後の受容層の表面に離型剤がブリードアウトして離型層が形成される。また、これらの離型剤は受容層に添加せず、受容層上に別途塗工してもよい。受容層は、基材の上に上記の如きバインダーに、臭気成分を吸着した無機酸化物を内包したマイクロカプセルを混合し、離型剤等の必要な添加剤を加えたものを適当な有機溶剤に溶解する、或いは有機溶剤や水に分散した分散体を、従来公知のグラビアダイレクトコート、グラビアリバースコート、ナイフコート、エアコート、ロールコート等の方法により、基材上に、乾燥状態で塗布量が2〜50g/m2程度で、形成することができる。
【0042】
(熱転写記録方法)
本発明の記録方法は、上記に説明した熱転写シートと、熱転写受像シートを準備する工程と、前記熱転写シートを熱転写受像シートと重ねて、熱転写シートの保護層が形成された面と反対の面から加熱し、保護層を熱転写受像シートの受容層上に転写する工程、を含むものである。この場合は、熱転写受像シートの受容層に、熱転写画像を有することなく、保護層が受容層に転写していれば充分である。熱転写シートの加熱条件を調節することで、保護層の転写する大きさ及び箇所を適宜変化させることができ、臭気発生する箇所や、臭気発生の強さを変更することが可能となる。
【実施例】
【0043】
次に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。尚、文中、部または%とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
(実施例1)
基材シート4として、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、ルミラー)の一方の面に、下記組成の耐熱滑性層用塗工液で、グラビア印刷により、乾燥時で厚さ1μmの耐熱滑性層を形成した。その基材シートの他方の面に、下記組成の離型層用塗工液をグラビア印刷により、乾燥時の塗布量が0.5g/m2になるように塗布し、乾燥して離型層を形成した。
【0044】
(耐熱滑性層用塗工液)
ポリビニルブチラール樹脂 13.6部
(エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)
ポリイソシアネート硬化剤 0.6部
(タケネートD218、三井化学ポリウレタン(株)製)
リン酸エステル(プライサーフA208N、第一工業製薬(株)製) 0.8部
メチルエチルケトン 42.5部
トルエン 42.5部
【0045】
(離型層用塗工液の組成)
コロイダルシリカ(日産化学(株)スノーテックス50) 1.5部
ポリビニルアルコール 4.0部
イオン交換水 3.0部
変性エタノール 10部
【0046】
上記の離型層上に、下記の組成の転写層用塗工液をグラビア印刷により、図1に示すように、乾燥時の塗布量が5.0g/m2になるように塗布し、乾燥して転写層5を形成して、熱転写シートを作製した。
(転写層用塗工液の組成)
スチレン−アクリル系樹脂(三井化学(株)製、ミューティクルPP320P)15部
ポリビニルアルコール((株)ザ・インクテック製、C−318) 10部
フタル酸ジメチル(可塑剤)を封じ込めたマイクロカプセル* 3部
カーボンブラック 5部
水/エタノール(質量比1/2) 7部
【0047】
*;スチレン−無水マレイン酸共重合体の無水マレイン酸の部分加水分解による開環物(重量平均分子量:350,000、無水マレイン酸の開環率:70%)15質量部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1質量部とを、水284質量部に溶解し、これに、フタル酸ジメチル200質量部を混合し、ホモミキサーにより、乳化した。得られた乳化液にトリメチロールメラミン初期重合物(住友化学社製、商品名:スミレーズレジン607)65質量部を混合し、攪拌機を用いて、カプセル化反応を行い、フタル酸ジメチル(可塑剤)を封じ込めたマイクロカプセルを作製した。
【0048】
基材6として、コート紙(王子製紙(株)製OKトップコート;127.9g/m2)の表裏に厚さ50μmの白色PET(東レ(株)製ルミラーE63S)をウレタン系接着剤(三井武田ケミカル(株)製タケラックA−969V/タケネートA−5=3/1、塗布量:4g/m2(乾燥後))で貼合した基材を用いた。該基材の一方の面に下記組成の受容層用塗布液をバーコーターにより、塗布量5.0g/m2(乾燥後)となるように塗布、乾燥して受容層を形成して、熱転写受像シートを作製した。
【0049】
(受容層用塗工液の組成)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体((株)ザ・インクテック製、HND#7) 15部
食品香料(レモン香料)の臭気成分を吸着したシリカゲルを内包したマイクロカプセル(平均粒径5μm) 10部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 6部
【0050】
上記の熱転写受像シートの受容層上に、上記の作製した熱転写シートを用いて、以下の条件にて、図3に示すように、転写層を転写して、印画物を作製した。熱転写プリンタとして記録密度が300dpiのサーマルヘッドを搭載した256階調制御が可能であり、印字条件は、印字スピードが3msec/lineで、印加電圧18.5Vである。
得られた印画物は、レモン臭気が2、3日持続するものであった。
【0051】
(実施例2)
実施例1で作製した熱転写シートの作製条件と同様に、基材シート4の一方の面に、耐熱滑性層を形成し、その基材シートの他方の面に、離型層を形成した。その離型層の上に、下記組成の転写層用塗工液を用いて、図1に示すように、乾燥時の塗布量が5.0g/m2になるように塗布し、乾燥して転写層5を形成して、熱転写シートを作製した。尚、熱転写受像シートは実施例1で作製した条件で、受容層用塗工液を下記組成のものに変更した以外は、実施例1と同様にして熱転写受像シートを作製した。
【0052】
(転写層用塗工液の組成)
スチレン−アクリル系樹脂(三井化学(株)製、ミューティクルPP320P)15部
ポリビニルアルコール((株)ザ・インクテック製、C−318) 10部
フタル酸ジメチル(可塑剤)を封じ込めたマイクロカプセル* 3部
水/エタノール(質量比1/2) 7部
【0053】
(受容層用塗工液の組成)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体((株)ザ・インクテック製、HND#7) 15部
食品香料(レモン香料)の臭気成分を吸着したシリカゲルを内包したマイクロカプセル(平均粒径5μm) 10部
エポキシ変性シリコーンオイル(信越化学工業(株)製、KP−1800U)
0.2部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 6部
【0054】
上記の熱転写受像シートの受容層上に、市販の昇華用熱転写シートを用いて、以下の条件にて、図4に示すように、単色による印字部を形成した。昇華転写プリンタとして記録密度が300dpiのサーマルヘッドを搭載した256階調制御が可能であり、写真画像を色分解して得た電気信号に連結したプリンタを使用し、印字条件は、印字スピードが5msec/lineで、その最大階調時の印加エネルギーが0.65mJ/dotである。さらに、上記の転写層を有する熱転写シートにより、上記プリンタで、サーマルヘッドとプラテンロールとの間に圧接し、印加エネルギー160mJ/mm2、送りピッチ6line/mm、印字スピード5msec/lineの条件で、熱転写シートの背面から加熱し、熱転写受像シートの受容層の熱転写画像上に、上記の転写層である保護層を図4に示すように、転写して印画物を作製した。
【0055】
得られた印画物は、レモン臭気が2、3日持続するもので、また熱転写画像を保護層で被覆され、耐久性を有するものであった。
【0056】

(実施例3)
実施例2で作製した熱転写シートの作製条件と同様に、基材シート4の一方の面に、耐熱滑性層を形成し、その基材シートの他方の面に、離型層を形成した。その離型層の上に、実施例2で使用した転写層用塗工液を用いて、図2に示す配置で、乾燥時の塗布量が5.0g/m2になるように塗布し、乾燥して転写層5を形成した。さらに、下記のイエロー転写層塗工液、マゼンタ転写層塗工液、シアン転写層塗工液を用いて、それぞれ塗布量1.0g/m2(乾燥後)となるように塗布、乾燥して、図2に示す配置で、3色の着色転写層と、上記の転写層を面順次に設けた熱転写シートを作製した。尚、熱転写受像シートは実施例2と同様に用意した。
【0057】
(イエロー転写層塗工液)
イエロー分散染料 5部
(Macrolex Yellow 6G、バイエル社製)
ポリビニルアセトアセタール(エスレックKS−5、積水化学工業(株)製)4.5部
メチルエチルケトン 45部
トルエン 45部
【0058】
マゼンタ転写層塗工液は、マゼンタ分散染料として、C.I.Disperse Red 60、バイエル社製を使用した以外は上記のイエロー転写層塗工液と同様の組成である。また、シアン転写層塗工液は、シアン分散染料として、カヤセットブルー714、日本化薬(株)製を使用した以外は、上記のイエロー転写層塗工液と同様の組成である。
【0059】
上記の熱転写受像シートの受容層に、実施例2と同様の印字条件にて、図5に示すようなイエロー、マゼンタ、シアンの各画像(一部にイエロー画像とシアン画像が重なったグリーン画像がある)を形成した。さらに、実施例2と同様の印字条件で、熱転写画像の全てを含み、受容層の全面を覆うように、転写層である保護層を図5に示すように、転写して印画物を作製した。
【0060】
得られた印画物は、レモン臭気が2、3日持続するもので、また熱転写画像は保護層で被覆され、耐久性を有するものであった。さらに、熱転写画像の全てを含み、受容層の全面を覆うように、保護層が転写された印画物であり、実施例1、2で得られた印画物よりも、レモンの臭気発生の強度が高いものであった。
【符号の説明】
【0061】
1 熱転写記録材料
2 熱転写シート
3 熱転写受像シート
4 基材シート
5 転写層(保護層)
6 基材
7 受容層
8 着色転写層
9 印字部
10 印画物
11 イエロー画像
12 マゼンタ画像
13 シアン画像


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シート上に、少なくともバインダーと可塑剤を含有する転写層を設けた熱転写シートと、基材上に、少なくともバインダーと、臭気成分を吸着した無機酸化物を内包したマイクロカプセルを含有する受容層を設けた熱転写受像シートからなることを特徴とする熱転写記録材料。
【請求項2】
前記の無機酸化物が、シリカであることを特徴とする請求項1に記載する熱転写記録材料。
【請求項3】
前記の熱転写シートの転写層が保護層であり、保護層と着色転写層とが、基材シート上に、面順次に設けられたことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載する熱転写記録材料。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載された熱転写シートと、熱転写受像シートを準備する工程と、
前記熱転写シートを熱転写受像シートと重ねて、熱転写シートの転写層が形成された面と反対の面から加熱し、転写層を熱転写受像シートの受容層上に転写する工程、
を含むことを特徴とする熱転写記録方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−103446(P2013−103446A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249882(P2011−249882)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】