説明

熱遮蔽用フィルム

【課題】近赤外から遠赤外にいたる熱線を高度に遮蔽できる熱遮蔽用フィルムを提供する。
【解決手段】平均粒径が0.5μm以上5μm以下である酸化チタン粒子を含有し、800nm〜2200nmの波長の入射光線に対する全光線反射率がいずれの波長においても55%以上であり、かつ2500nm〜8000nmの波長域の入射光線に対する平均光線透過率が45%未満である熱遮蔽用フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱遮蔽用フィルムに関する。さらに詳しくは、熱線反射による高い遮蔽効果を備える熱遮蔽用フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護、省エネルギーなどの観点から、各種機器類の熱制御の要求が厳しくなってきている。また、各種機器の精密化に伴う熱制御の要求も大きくなっている。
熱制御の手法としては、発熱抑制のための機器設計、放熱促進のための形状設計や素材選択、入射・出射する熱の遮蔽などがあり、特に熱遮蔽は、重要な技術の一つである。
【0003】
熱遮蔽の手法としては、断熱、吸熱、熱線反射などの効果を機器の外壁や筐体に持たせることが有効な手法のひとつであり、各種手段が提案されている。
例えば熱線反射膜として金属や金属酸化膜等を用いることが数多く提案されている(特許文献1など)。また、熱線反射効果に優れかつ光線透過率が高い熱線遮断板として、板状体酸化チタンで被覆したマイカを含む熱線反射板状体(特許文献2、3など)や、熱線遮蔽機能を有する粒子としてタングステン酸化物微粒子などを含む熱線遮蔽ポリエステルフィルム(特許文献4)が提案されている。
【0004】
最近は自動車や建造物などにおいて、内部の空調の効率を高めるために、自動車の車体や建材など大型の部材に対して、近赤外から遠赤外にいたる熱線を高度に遮蔽できるフィルムが求められるようになってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−277437号公報
【特許文献2】特開平2−173060号公報
【特許文献3】特開平5−78544号公報
【特許文献4】特開2008−274054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、近赤外から遠赤外にいたる熱線を高度に遮蔽できる熱遮蔽用フィルムを提供することにある。
また本発明の第二の目的は、近赤外から遠赤外にいたる熱線を高度に遮蔽でき、しかも自動車の車体や建材など大型の部材に適した高い成形性も備える熱遮蔽用フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、粒子径の大きな酸化チタン粒子をフィルムに含有させることにより、800〜2200nmの近赤外光線および2500〜8000nmの遠赤外光線に対する高度な熱遮蔽効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明の目的は、平均粒径が0.5μm以上5μm以下である酸化チタン粒子を含有し、800nm〜2200nmの波長の入射光線に対する全光線反射率がいずれの波長においても55%以上であり、かつ2500nm〜8000nmの波長域の入射光線に対する平均光線透過率が45%未満である熱遮蔽用フィルムによって達成される。
【0009】
また、本発明の熱遮蔽用フィルムは、その好ましい態様として、該酸化チタン粒子の含有量がフィルムの重量を基準として5重量%以上35重量%以下であり、かつフィルム厚みが10μm以上250μm以下であること、該熱遮蔽用フィルムがエチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂(I)およびブチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂(II)を含有すること、100℃における100%伸長時のフィルムの応力がフィルム長手方向、フィルム幅方向のいずれにおいても10MPa以上150MPa以下であり、かつそれらの方向の応力差が0MPa以上45MPa以下であって、100℃における100%伸長時のフィルム破断伸度がフィルム長手方向、フィルム幅方向のいずれにおいても250%以上であること、成形加工用途に用いられること、車体断熱用複合材、断熱建材または電気・電子機器の断熱部材の構成材として用いられること、の少なくともいずれか一つを具備するものを包含する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、本発明の熱遮蔽用フィルムは、近赤外から遠赤外にいたる熱線を高度に遮蔽できることから、自動車の車体や建材などといった外部の太陽光に対する高い遮熱効果が求められる用途に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】フィルムの遮熱性評価に用いられる、断熱性材料で作成した箱(a)および箱内部の上下底面中央部に設置する熱電対タイプ温度センサー(b)、(c)に関する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の熱遮蔽用フィルムは、平均粒径が0.5μm以上5μm以下である酸化チタン粒子を含有し、800nm〜2200nmの波長の入射光線に対する全光線反射率がいずれの波長においても55%以上であり、かつ2500nm〜8000nmの波長域の入射光線に対する平均光線透過率が45%未満である。
【0013】
(赤外光遮蔽性能)
本発明の熱遮蔽用フィルムは、800nm〜2200nmの波長の入射光線に対する全光線反射率がいずれの波長においても55%以上であり、かつ2500nm〜8000nmの波長域の入射光線に対する平均光線透過率が45%未満である。
【0014】
800nm〜2200nmの波長の入射光線に対する全光線反射率は、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは65%以上、特に好ましくは70%以上である。
800nm〜2200nmの波長域の光は、いわゆる近赤外線であり、入射する太陽光線などの光の中で、エネルギー分布の大きい領域である。該波長域の入射光線に対する全光線反射率が下限値に満たない場合、例えば車体や建材などの熱遮蔽用フィルムとして用いたときに、外部の太陽光に対する高い遮熱効果が得られない。
【0015】
かかる全光線反射率は、分光光度計に積分球を取り付け、BaSO白板の全光線反射率を100%とし、得られたフィルムの全光線反射率を800nm〜2200nmの波長範囲で測定して求めることができる。
【0016】
また、2500nm〜8000nmの波長域の入射光線に対する光線透過率の平均値は、より好ましくは40%未満、さらに好ましくは37%未満である。
2500nm〜8000nmの波長域の光はいわゆる遠赤外線であり、人体に達することで大きな暑熱感を生じさせ、また、高温物体から発せられる輻射熱線の波長域でもある。該波長域の入射光線に対する光線透過率が上限値を超える場合も、例えば車体や建材などの熱遮蔽用フィルムとして用いたときに、外部の太陽光に対する高い遮熱効果が得られない。
【0017】
該波長域における平均光線透過率は、得られたフィルムをFT−IRなどの赤外分光光度計による透過率測定に供することで求めることができる。
これらの波長域における全光線反射率特性および平均光線透過率は、平均粒径の大きな酸化チタン粒子をフィルム中に多量に含有させることによって得ることができる。
【0018】
(酸化チタン粒子)
本発明の熱線遮蔽フィルムは、平均粒径が0.5μm以上5μm以下の酸化チタン粒子を含有することを特徴としている。
酸化チタン粒子は高い屈折率を有しており、かつこのように平均粒径の大きなものであることにより、2200nm近くの長波長の赤外光をも効率的に反射することが可能となる。酸化チタン粒子の平均粒径が下限値に満たない場合、長波長の近赤外光が前方散乱されてしまう度合いが高くなり、十分な熱遮蔽性が得られない。一方、酸化チタン粒子の平均粒径が上限値を超える場合は、きわめて大きな粒子がフィルム中に存在するため、成形時に破断したりフィルム生産時に破断が生じる。
【0019】
酸化チタン粒子の平均粒径は、好ましくは1.0μm以上4.5μm以下、さらに好ましくは1.5μm以上4.0μm以下である。
かかる酸化チタン粒子の含有量は、フィルム重量を基準として2重量%以上50重量%以下であることが好ましい。酸化チタン粒子の含有量の下限値は、より好ましくは5重量%、さらに好ましくは8重量%、特に好ましくは10重量%である。また酸化チタン粒子の含有量の上限値は、より好ましくは35重量%、さらに好ましくは30重量%、特に好ましくは25重量%である。
平均粒径の大きな酸化チタン粒子をフィルム中に多量に含有させることによって本発明の赤外光遮蔽性能が発現する。
また、酸化チタン粒子がフィルム中に含有されていることにより、酸化チタン粒子を含むコーティング層をフィルム上に設ける手法に較べて熱遮蔽性の耐久性に優れている。
【0020】
(フィルム厚み)
本発明の赤外光遮蔽性能を得るにあたり、さらにフィルム厚みが10μm以上250μm以下であることが好ましい。本発明の大きさの酸化チタンを高濃度含有し、さらにそのフィルム厚みが厚いことにより、赤外光遮蔽性能を高めることができる。
具体的には、酸化チタン粒子濃度とフィルム厚みを掛け合わせた値で表わされる、フィルム面積あたりの酸化チタン含有量が高いことにより、赤外光遮蔽性能を高めることができる。
【0021】
かかるフィルム厚みは、20μm以上200μm以下であることがより好ましく、30μm以上150μm以下であることがさらに好ましい。
フィルム厚みが下限値に満たない場合は、十分な熱遮蔽性を得るために酸化チタン粒子を大量に添加せざるを得ず、成形時に破断したり、フィルム生産時に破断が生じることがある。一方、上限値を超える厚みのフィルムは、成形加工性に乏しくなることがある。
【0022】
(樹脂)
本発明の熱線遮蔽フィルムは、フィルムを構成する樹脂として熱可塑性樹脂を広く用いることができるが、中でも成形性の観点から、ポリエステルやポリカーボネート樹脂などが好ましく、さらにポリエステルとして、エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂(I)およびブチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂(II)を含有することが好ましい。熱線遮蔽フィルムがかかる樹脂成分によって構成されることにより、本発明のような平均粒径の大きな酸化チタン粒子が含まれていても大型成形に適した高い成形性を得ることができる。
【0023】
エチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂(I)とは、ポリエステル樹脂(I)の全繰り返し単位を基準としてエチレンテレフタレート単位を75モル%以上含む樹脂であり、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは85モル%以上含む樹脂である。
ブチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂(II)とは、ポリエステル樹脂(II)の全繰り返し単位を基準としてブチレンテレフタレート単位を75モル%以上含む樹脂であり、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは85モル%以上含む樹脂である。
【0024】
これらポリエステル樹脂(I)およびポリエステル樹脂(II)は、以下の従たる成分を用いて共重合化した共重合ポリエステルであることが成形性向上の観点から好ましい。
共重合成分、すなわち従たる成分として、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸成分、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸成分、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸成分などのジカルボン酸成分が例示される。
また、好ましいジオール成分として、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールなどの脂肪族ジオール成分のうちの主たる成分以外のもの、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールなどの脂環族ジオール成分、ビスフェノールAなどの芳香族ジオール成分、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのエーテル縮合型ジオール成分などが挙げられる。
また、好ましいジカルボン酸およびジオール成分以外の成分として、p−ヒドロキシ安息香酸、ω−ヒドロキシ酪酸、ω−ヒドロキシ吉草酸、乳酸などのヒドロキシカルボン酸成分、ポリカーボネートに見られるような炭酸成分、さらに、トリメリット酸、ピロメリット酸やグリセリンなどの3官能以上の成分が挙げられる。
これらの中でも、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸またはジエチレングリコールが特に好ましい。これらの共重合成分の割合は、共重合ポリエステルの融点が後述する範囲になるように調整することが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレートにイソフタル酸を共重合する場合は、全ジカルボン酸成分中に占めるイソフタル酸の割合を、おおよそ5.5〜18モル%の範囲にするのが好ましい。
【0025】
また、これらのポリエステル樹脂(I)および(II)は、ポリエステル樹脂(I)とポリエステル樹脂(II)の合計量を基準として、ポリエステル樹脂(I)が40〜85重量%、ポリエステル樹脂(II)が15〜60重量%であることが好ましい。
ポリエステル樹脂(I)が40重量%に満たないか、ポリエステル樹脂(II)が60重量%を超えるものは、成形加工性に乏しくなることがある。
また、ポリエステル樹脂(I)が85重量%を超えるか、ポリエステル樹脂(II)が15重量%に満たないものは変形応力が高くなる場合が多く、成形加工性に乏しくなることがある。
【0026】
本発明のこれらポリエステルは、従来公知の方法、例えばジカルボン酸とグリコールの反応で直接低重合度ポリエステルを得る方法や、ジカルボン酸の低級アルキルエステルとグリコールとを従来公知のエステル交換触媒で反応させた後、重縮合触媒の存在下で重合反応を行う方法で得ることができる。これらエステル交換触媒や重縮合触媒は従来公知のものを用いることができる。
【0027】
本発明におけるこれらポリエステルの固有粘度は、o−クロロフェノール中、35℃において、0.40dl/g以上であることが好ましく、0.40〜0.90dl/gであることがさらに好ましい。これらポリエステルの固有粘度が0.40dl/g未満では、低分子量のため結晶化速度が著しく速くなり、成形時に破断したり、フィルム生産時に破断が生じることがある。また、これらポリエステルの固有粘度が0.9dl/gより高いと溶融粘度が高いため溶融押出性に乏しくなることがある。
【0028】
これらのポリエステルを用いて得られたフィルムの融点は、210〜245℃であることが成形加工性を高める観点から好ましい。さらに好ましいフィルムの融点の範囲は、212〜235℃である。フィルムの融点が下限値に満たない場合は成形加工安定性が乏しくなることがある。一方、フィルムの融点が上限値を超える場合、変形応力が高くなることがあり、成形加工性に乏しくなることがある。
【0029】
さらに、フィルムを構成する樹脂がポリエステルである場合、ポリエステルを主成分とし、得られたフィルムの特性が本発明の範囲を超えない限り、ポリエステル以外の樹脂との混合物を原材料としてもよい。ここで、「ポリエステルを主成分とする」とは、フィルムを構成する樹脂の合計重量を基準として、50重量%以上であればよく、さらに好ましくは75重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
また、本発明の熱遮蔽用フィルムには、本発明の目的を損なわない範囲で、各種添加剤、例えば紫外線吸収剤、安定剤、帯電防止剤、染料、顔料、滑剤などを含有させてもよい。
【0030】
(機械特性)
本発明の熱遮蔽用フィルムは、100℃における100%伸長時の応力がフィルム長手方向(以下、連続製膜方向、縦方向、MD方向と称することがある)、フィルム幅方向(以下、横方向、TD方向と称することがある)のいずれの方向においても10MPa以上150MPa以下であり、かつそれらの方向の応力差が0MPa以上45MPa以下であることが好ましい。
かかる伸長時応力は、より好ましくはフィルム長手方向、フィルム幅方向のいずれの方向においても20MPa以上100MPa以下であり、さらに好ましくは20MPa以上70MPa以下である。
【0031】
フィルムを絞りプレスなどの成形に供する場合に受ける変形の主たるものは引張変形であり、100℃における100%伸長時の応力がフィルム面内の一方向だけでなく、少なくとも二方向、さらにはフィルム面内の様々な方向において適正な範囲にあることで、変形度の高い成形加工において、さらに高い成形加工性を得ることができる。かかる伸長時応力が下限値に満たない場合、フィルム中の変形し始めた極所部分がそのまま伸び続けてしまい、厚みのばらつきによる遮熱性能の不均一化が生じたり、成形時に破断が生じることがある。一方、かかる伸長時応力が上限値を超える場合、フィルム中の厚みの少ない部分に変形が集中するため、同様に厚みのばらつきによる遮熱性能の不均一化が生じたり、成形時に破断が生じることがある。
【0032】
また、フィルム長手方向およびフィルム幅方向の応力差が45MPa以下、より好ましくは40MPa以下、さらに好ましくは30MPa以下であることにより、フィルム面内においてより均一な成形加工性を得られるため好ましい。
また本発明の熱遮蔽用フィルムは、100℃における100%伸長時の破断伸度がフィルム長手方向、フィルム幅方向のいずれの方向においても250%以上であることが好ましい。かかる伸長時破断伸度はより高い方が好ましいが、非常に高い成形加工性を求められる場合でも1000%あれば十分であり、さらには700%以下でも十分である。かかる伸長時破断伸度が下限値に満たない場合、変形度の大きな成形においてはフィルムが破断してしまうことがある。
これらの伸長時応力特性、および伸長時破断伸度特性を得る方法として、上述のポリエステル樹脂(I)とポリエステル樹脂(II)を所定量ずつ用いることが挙げられる。
【0033】
(フィルムの製造方法)
本発明のフィルムを構成する樹脂組成物は、あらかじめ酸化チタン粒子を所望する濃度に溶融混練などの方法で樹脂と混合したものを用いてもよく、また酸化チタン粒子を高濃度に含有せしめたマスターバッチを用いて溶融混合により希釈したものを用いてもよい。あるいは、酸化チタン粒子を直接樹脂ペレットと混合した樹脂組成物を押出機内で溶融混合する方法であってもよい。
また樹脂組成物としてポリエステル樹脂(I)、(II)をその構成成分とすることが好ましいが、これらの構成成分をあらかじめ溶融混練などの方法で混合して製造したものを用いてもよく、ポリエステル樹脂(I)、(II)の単独のペレットを混合して供給し、押出機内で溶融混合してもよい。
【0034】
本発明の熱遮蔽用フィルムを製造する方法として、公知の製膜方法を用いて製造することができ、かかる樹脂組成物を押出機で溶融押出し、冷却用ロール上でキャストして固化成形したシートを少なくとも一方向に延伸するフィルム製造方法が挙げられ、二方向に延伸した二軸配向フィルムであることが好ましい。二方向に延伸する場合、逐次二軸延伸または同時二軸延伸法で製造することができる。
例えば逐次二軸延伸により製膜する場合、未延伸フィルムを樹脂のガラス転移温度(以下Tgと称することがある)以上(Tg+80)℃以下の温度範囲で、縦方向および横方向に延伸することが好ましい。延伸温度のより好ましい範囲は(Tg+20)〜(Tg+60)℃である。
【0035】
またフィルムの延伸倍率については、該未延伸フィルムを縦方向に2.5〜4.5倍および横方向に2.5〜5.0倍となる範囲で延伸処理を行うことが好ましい。縦方向の延伸倍率はさらに好ましくは3.0〜4.0倍、横方向の延伸倍率はさらに好ましくは3.0〜4.5倍である。かかる範囲の延伸倍率で延伸を行うことにより、得られる延伸フィルムの分子配向を適正なものとすることができ、フィルムに良好な成形性を具備させることができる。
かかる延伸方法によって得られたフィルムに、さらに樹脂のガラス転移温度以上、樹脂の融点Tmより5℃以上低い温度の範囲(Tg〜(Tm−5℃))で熱固定処理を行うことで、熱寸法安定性などの更なる特性を付与することもできる。ポリエステル樹脂の場合は150〜230℃の範囲で熱固定処理を行うことが好ましい。
【0036】
さらに本発明のフィルムは、その特性が本発明の範囲を超えない限り、共押出法、溶融樹脂コーティング法などにより積層構造としてもよい。
また、本発明におけるフィルムは、他部材との貼合時の接着性向上などの目的で、必要に応じて、コーティング、コロナ放電、プラズマ処理などの表面活性化処理を施してもよい。この後加工は、フィルム延伸工程中に行ってもよく、また別工程で行ってもよい。
【0037】
(用途)
本発明の熱遮蔽用フィルムは熱遮蔽性が求められる用途に使用され、さらに成形加工を伴う用途に好ましく使用される。中でも熱遮蔽性が求められ、さらに成形加工性も求められる用途として、車体断熱用複合材、断熱建材、電気・電子機器などの断熱部材に好適に使用される。
例えば車体断熱用複合材として使用される場合、硬質ポリウレタンフォームなどの部材とともに本発明の熱遮蔽用フィルムを用いることが好ましい。その場合、硬質ポリウレタンフォーム上に直接本発明のフィルムを積層させてもよく、また接着剤や接着層を介して積層させてもよく、さらにその他の部材を介して積層させてもよい。
【実施例】
【0038】
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各特性値は以下の方法で測定した。また、実施例中の部および%は、特に断らない限り、それぞれ重量部および重量%を意味する。
【0039】
(1)光線反射率、光線透過率
<i>800nm〜2200nmの波長の入射光線に対する全光線反射率
分光光度計(島津製作所株式会社製、製品名「UV−3101PC」)に積分球を取り付け、BaSO白板の全光線反射率を100%としたときの、得られたフィルムの全光線反射率を800nm〜2200nmの波長範囲で測定(サンプリングピッチ=2.0nm)し、この区間の最低値をもって評価した。
<ii>2500nm〜8000nmの波長域の入射光線に対する平均光線透過率
分光光度計(パーキンエルマー社製、製品名「Spectrum100」)を用い、透過法にて得られたフィルムの透過率を2500nm〜8000nmの波長範囲(サンプリングピッチ=1cm−1)で測定し、この区間の平均値をもって評価した。
【0040】
(2)粒子の平均粒径および濃度
包埋樹脂でフィルムを固定し断面をミクロトームで切断し、2%オスミウム酸で60℃、2時間染色して、透過型電子顕微鏡(日本電子製JEM2010)を用いて測定した。測定は、20個の粒子を対象として行、その平均値を平均粒径とした。ただし、粒子が真球状でない場合には各粒子について観測された形状の(長径+短径)/2をその粒子の平均粒径とした。
また、ポリエステルフィルム中の酸化チタン粒子の濃度は、樹脂を溶解させる溶媒を選択し、遠心分離により粒子を抽出し、乾燥した後、ポリエステルフィルムの重量を基準として求めた。
【0041】
(3)フィルム厚み
フィルムサンプルをスピンドル検出器(安立電気(株)製K107C)にはさみ、デジタル差動電子マイクロメーター(安立電気(株)製K351)にて、異なる位置で厚みを10点測定し、平均値を求めフィルム厚みとした。
【0042】
(4)樹脂組成
H−NMR測定、13C−NMR測定により樹脂組成を特定した。
【0043】
(5)樹脂の融点
サンプル約20mgを測定用のアルミニウム製パンに封入して示差熱量計(TA Instruments社製、DSCQ100)に装着し、25℃から20℃/分の速度で290℃まで昇温させ、290℃で3分間保持した後取り出し、直ちに氷の上に移して急冷した。このパンを再度示差熱量計に装着し、25℃から20℃/分の速度で昇温させて、融点Tm(単位:℃)を測定した。
【0044】
(6)100℃における100%伸長時の応力(F100)、100℃における100%伸長時の破断伸度
測定装置としてチャック部を加熱チャンバーで覆った引張試験機(SHIMADZU製 Autograph AG−X)を用いた。サンプルフィルムを幅10mm、長さ100mmに切り出し、チャック間50mmにサンプルを装着し、JIS−C2151に従って引張速度50mm/minの条件で引張試験を行った。その際、引張試験機のチャック部分に設置されている加熱チャンバーにより、サンプルの存在する雰囲気下は100℃に保った。測定は5回行い、平均値を結果とした。100%伸長時応力は荷伸曲線の100%伸張時の荷重を引張前のサンプル断面積で割って算出(MPa)、破断伸度は破断時の伸度を引張前のサンプル長を100とした時の%として算出した。
なお、測定用サンプルを切り出すにあたり、測定方向(長片)がフィルム長手方向であるサンプルと測定方向(長片)がフィルム幅方向であるサンプルを準備し、それぞれの方向について測定を5回ずつ行った。
【0045】
(7)フィルムの遮熱性
図1の概略図に示すとおり、内法10cm(W)×10cm(D)×5cm(H)の断熱性材料で作成した箱(a)の内部の上下底面中央部に熱電対タイプ温度センサー(b)、(c)を取付け、それぞれ温度B、温度Cの測定に供した。箱の上面および下面の厚みはそれぞれ10mm、側面の厚みは25mmのものを用いた。箱(a)の上底面上外側に15cm×15cmに切出したフィルム(d)を載せ、6.5cm上方から100Wのレフ電球で照射した。照射中のフィルム面の温度Aを放射温度計で測定し、測定ごとに同じ温度となるよう電球位置の微調整などを行った。照射開始後約1時間で温度上昇は飽和に達するので、その時の測定温度から、箱の上にフィルムをおかない比較測定と比べ、以下の指標により評価した。
○:比較測定対比、温度Bは15℃以上、Cは10℃以上、それぞれ低い。
△:比較測定対比の温度上昇防止効果が、温度Bは7℃以上15℃未満、Cは5℃以上10℃未満。
×:比較測定対比の温度上昇防止効果が、温度Bは7℃未満、Cは5℃未満。
【0046】
(8)成形加工性
350mm×350mmサイズのフィルムをプレヒート温度170℃、プレヒート時間1minでフィルムを予熱した後、長さ180mm、幅140mm、深さ100mmの金型で成形圧力3kg/cmでプレス成形し、下記の基準で判断した。
○:ポケットの形状は金型通りであり、ポケット間のフィルムにしわの発生もない
△:ポケットにしわがあり、また角の部分の形状が金型通りでない
×:フィルム破れが発生するか、側面または底部の形状が金型通りでない
【0047】
(9)耐溶剤削れ性
メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン=1/1/1混合溶媒にフィルムを室温で1週間浸漬し、浸漬後のフィルムの表面をスチールウールで擦過した。該処理後のフィルムについて上記(1)<i>の光線反射率測定を行い、以下の基準で評価した。
○:反射率の低下率が処理前の5%以下
△:反射率の低下率が処理前の5%を越え25%以下
×:反射率の低下率が処理前の25%より大きい
【0048】
(10)車体断熱用複合材評価
(10−1)成形性
フィルムとポリウレタンフォームを貼り付けたものに接着スパンボンドシートと表皮材を重ねて150℃に設定したプレス機中で厚さ10mmのスペーサーを用いて180秒間プレスして表皮材/基材/裏面材が積層一体化された車両用内装材を作製した。なお、フィルム面を内側にした状態で160℃、180秒間熱絞り加工し、内径60mm×高さ20mm×厚み5mmのケースに成形した。このケースの胴部におけるフィルム外観を観察し、以下の基準で評価した。
○:外観上に変化が見られない。
△:フィルムの剥離が若干見られる、および/または、フィルムは剥離しないものの、フィルムに白化が見られる。
×:フィルムの著しい剥離が見られる。
【0049】
(10−2)遮熱性
上記(10−1)で得られた内装材を晴天の屋外に1時間放置し、内装材の下の温度を測定し、内装材外の温度に対する温度上昇防止効果を測定し、別途作成したフィルムを貼り付けない内装材で同様の測定をしたケースと比較し、以下の基準で評価した。
○:温度差が5℃以上
△:温度差が2℃以上5℃未満
×:温度差が2℃未満
【0050】
(10−3)総合評価
上記の評価結果から、以下の指標により車体断熱用複合材としての評価を行った。
○:(10−1)(10−2)ともに○評価
△:(10−1)(10−2)ともに×評価がない
×:(10−1)(10−2)のどちらかで×評価がある
【0051】
[実施例1]
固有粘度0.65dl/g(35℃のo−クロロフェノール中で測定、以下同じ)で、テレフタル酸成分/イソフタル酸成分モル比が88/12であるポリエチレン(テレフタレート−イソフタレート)共重合体と、平均粒径2.0μmの酸化チタン粒子を樹脂組成物Iの組成物重量に対して24.3重量%含有する樹脂組成物Iからなるペレットと、固有粘度0.9dl/gのポリブチレンテレフタレート(樹脂組成物II)からなるペレットとをI/IIで表わされる重量比が62/38となるように混合した組成物(「(PET/IA12)//PBT」と表す。組成物中の酸化チタン粒子の含有量は15重量%、樹脂成分の(PET/IA12)とPBTの重量比は、55/45である)を用いた。
樹脂Iと樹脂IIとからなる組成物を160℃ドライヤーで4時間乾燥後、押出機に供給し、280℃で溶融混練して280℃のダイスよりシート状に成形した。この溶融物を表面温度20℃に維持した回転冷却ドラム上に溶融押出して、厚み480μmの未延伸フィルムを製膜した。次に、得られた未延伸フィルムを55℃に予熱し、低速ローラーと高速ローラーの間で15mm上方より800℃の表面温度の赤外線ヒーター1本にて加熱しながらフィルム製膜方向(MD方向)に3.0倍延伸し、さらに、MD方向に延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き、90℃に加熱された雰囲気中で製膜方向に垂直な方向(TD方向)に3.2倍延伸し、さらにTD方向に固定したまま全幅の3%の弛緩を与えながら180℃で熱処理し、厚み50μmの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
【0052】
[実施例2]
樹脂Iと樹脂IIとを合計した全体の組成物中の酸化チタン粒子の含有量が5重量%となるよう、樹脂組成物Iにおける酸化チタン粒子の含有量を変更した以外は、実施例1と同様の方法によって二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
【0053】
[実施例3]
樹脂Iと樹脂IIの構成比を表1に示すとおりに変更し、さらに樹脂Iと樹脂IIとを合計した全体の組成物中の酸化チタン粒子の含有量が15重量%となるよう、樹脂組成物Iにおける酸化チタン粒子の含有量を変更した以外は、実施例1と同様の方法によって二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
【0054】
[実施例4]
樹脂Iと樹脂IIの構成比を表1に示すとおりに変更し、さらに樹脂Iと樹脂IIとを合計した全体の組成物中の酸化チタン粒子の含有量が15重量%となるよう、樹脂組成物Iにおける酸化チタン粒子の含有量を変更した以外は、実施例1と同様の方法によって二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
【0055】
[実施例5]
未延伸フィルムの厚みを1200μmとし、二軸延伸後のフィルムの厚みを125μmとした以外は、実施例1と同様の方法によって二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
【0056】
[実施例6]
未延伸フィルムの厚みを2880μmとし、二軸延伸後のフィルムの厚みを300μmとした以外は、実施例1と同様の方法によって二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。遮熱効果は高いものの、成形加工性が若干乏しかった。
【0057】
[実施例7]
原料樹脂として、組成物(PET/IA12)//PBTに代えて固有粘度0.65dl/gのポリエチレン−2,6−ナフタレートを用い、組成物中の酸化チタン粒子の含有量が15重量%となるよう酸化チタン粒子を配合し、MD方向延伸時の予熱温度を125℃、TD方向延伸温度を145℃とした以外は、実施例1と同様の方法によって二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。PET/PBTブレンド系と比較して引張変形に対する応力が高く、また引張破断伸度が低いため、成形加工性が若干乏しかった。
【0058】
[実施例8]
原料樹脂として、組成物(PET/IA12)//PBTに代えて固有粘度0.65dl/gのポリエチレンテレフタレートを用い、組成物中の酸化チタン粒子の含有量が15重量%となるよう酸化チタン粒子を配合し、MD方向延伸時の予熱温度を75℃、TD方向延伸温度を115℃とした以外は、実施例1と同様の方法によって二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。PET/PBTブレンド系と比較して引張変形に対する応力が高く引張破断伸度が低いため、成形加工性が若干乏しかった。
【0059】
[実施例9]
原料樹脂として、組成物(PET/IA12)//PBTに代えて固有粘度0.9dl/gのポリブチレンテレフタレートを用い、組成物中の酸化チタン粒子の含有量が15重量%となるよう酸化チタン粒子を配合し、MD方向延伸時の予熱温度を25℃、TD方向延伸温度を45℃とした以外は、実施例1と同様の方法によって二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。PET/PBTブレンド系と比較して結晶化速度が極めて高いためMD方向,TD方向の引張変形応力に差が生じ、成形の均一性が若干劣っていた。
【0060】
[実施例10]
MD方向の延伸倍率を5.1倍、TD方向延伸倍率を1.9倍に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。MD方向における引張変形に対する応力が高く、また引張破断伸度が低いうえ、MD方向、TD方向の引張変形応力に大きな差があり、実施例1に較べて成形加工性が低下した。
【0061】
[実施例11]
MD方向の延伸倍率を1.9倍、TD方向延伸倍率を5.1倍に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。TD方向における引張変形に対する応力が高く、また引張破断伸度が低いうえ、MD方向、TD方向の引張変形応力に大きな差があり、実施例1に較べて成形加工性が低下した。
【0062】
[比較例1]
酸化チタン粒子の平均粒径を0.27μmとし、樹脂Iと樹脂IIとを合計した全体の組成物中の酸化チタン粒子の含有量が1.2重量%となるよう、樹脂組成物Iにおける酸化チタン粒子の含有量を変更した以外は、実施例1と同様の方法によって二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
800nm〜2200nmの波長域の入射光線に対する十分な光線反射率が得られていないうえ、2500nm〜8000nmの波長域の入射光線に対する光線透過率が抑制できていないため、十分な遮熱効果が得られなかった。
【0063】
[比較例2]
酸化チタン粒子の平均粒径を0.27μmとした以外は、実施例1と同様の方法によって二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。800nm〜2200nmの波長域の入射光線に対する十分な光線反射率が得られず、十分な遮熱効果が得られなかった。
【0064】
[比較例3]
酸化チタン粒子の平均粒径を8μmとした以外は、実施例1と同様の方法によって二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。引張破断伸度が高くなく、また、粒子1個あたりのポリマーとの界面面積が大きいため粒子周囲を基点に破れるケースがあり、成形性が低下した。
【0065】
[比較例4]
樹脂Iと樹脂IIとを合計した全体の組成物中の酸化チタン粒子の含有量が1.2重量%となるよう、樹脂組成物Iにおける酸化チタン粒子の含有量を変更した以外は、実施例1と同様の方法によって二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
2500nm〜8000nmの波長域の入射光線に対する光線透過率が抑制できていないため、十分な遮熱効果が得られなかった。
【0066】
[比較例5]
酸化チタン粒子を添加せず、(PET/IA12)とPBTの重量比が55/45となるように樹脂組成物を変更した以外は、実施例1と同様の方法によって二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの片面に平均粒径2.0μmの酸化チタン粒子を含む塗布層をマイヤーバー#60を用いたコーティングにより25μm厚みの塗布層を有する熱遮蔽フィルムを形成した。酸化チタン粒子は塗布層の重量を基準として15重量%となるよう添加し、塗布層を構成する塗布成分として以下の組成のものを用いた。
得られたフィルムの特性を表1に示す。フィルム中に酸化チタン粒子を含む構成ではないため、耐溶剤削れ性が十分ではなかった。
【0067】
(塗布成分)
下記に示す成分を配合し、ペイントコンディショナー中でφ1.5mmのガラスビーズとともに1時間分散させ、塗布成分液を得た。
JR−1000 ・・・ 8g
47−712(固形分50%)(大日本インキ化学工業(株)製) ・・・ 16g
トルエン/キシレン/酢酸エチル/ブチルセロソルブ=5/2/2/1 ・・・ 24g
【0068】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の熱遮蔽用フィルムは、近赤外から遠赤外にいたる熱線を高度に遮蔽できることから、自動車の車体や建材などといった外部の太陽光に対する遮熱効果が求められる用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0070】
a 断熱性材料で作成した箱
b 箱内部の上底面中央部に設置する熱電対タイプ温度センサー
c 箱内部の下底面中央部に設置する熱電対タイプ温度センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径が0.5μm以上5μm以下である酸化チタン粒子を含有し、800nm〜2200nmの波長の入射光線に対する全光線反射率がいずれの波長においても55%以上であり、かつ2500nm〜8000nmの波長域の入射光線に対する平均光線透過率が45%未満であることを特徴とする熱遮蔽用フィルム。
【請求項2】
該酸化チタン粒子の含有量がフィルムの重量を基準として5重量%以上35重量%以下であり、かつフィルム厚みが10μm以上250μm以下である請求項1記載の熱遮蔽用フィルム。
【請求項3】
該熱遮蔽用フィルムがエチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂(I)およびブチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂(II)を含有する、請求項1または2記載の熱遮蔽用フィルム。
【請求項4】
100℃における100%伸長時のフィルムの応力がフィルム長手方向、フィルム幅方向のいずれにおいても10MPa以上150MPa以下であり、かつそれらの方向の応力差が0MPa以上45MPa以下であって、100℃における100%伸長時のフィルム破断伸度がフィルム長手方向、フィルム幅方向のいずれにおいても250%以上である請求項1〜3のいずれかに記載の熱遮蔽用フィルム。
【請求項5】
成形加工用途に用いられる、請求項1〜4のいずれかに記載の熱遮蔽用フィルム。
【請求項6】
車体断熱用複合材、断熱建材または電気・電子機器の断熱部材の構成材として用いられる、請求項1〜5のいずれかに記載の熱遮蔽用フィルム。

【図1】
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【公開番号】特開2012−219168(P2012−219168A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85496(P2011−85496)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(301020226)帝人デュポンフィルム株式会社 (517)
【Fターム(参考)】