熱量計
熱量計は、試料分析前に温度平衡を実現し、その後、分析中に一定体積の水を規定するための等温水リザーバを再構成するために使用されるバケットカバーを有し、分析中に、高精度の温度測定値を記録することができる。装置は、カバーを密封し制御すると共に、燃焼容器をカバーに、それらの間の熱接触を最小にして結合する機構を有する。また、一定体積の水と周囲環境との間の熱的分離を改善する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年5月3日に出願された「CALORIMETER」と題する米国特許出願第11/416,970号の一部継続出願であり、この出願の開示全体を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0002】
本発明は、燃焼容器と一体型等温流体リザーバとを有する熱量計に関する。
【背景技術】
【0003】
過去において、固体及び液体物質の発熱量を標準的な方法(ASTM/ISO規格)により決定するためにある程度複雑な装置が使用されてきた。そのような装置の動作は、十分に理解されており、例えば非特許文献1に記載されている。
【0004】
従来の熱量計は、装置の動作に必要な水を収容し管理するために複数の内部リザーバと外部リザーバを使用しなければならなかった。特許文献1と特許文献2は、熱量計の燃焼容器を保持するためのタンクと、導管と弁によって結合され水を燃焼容器に供給するための個別の水タンクとを備えた熱量計を開示している。特許文献2に開示された別の熱量計では、内部ジャケットリザーバと永久内側バケットリザーバを含む2個の別個のリザーバが使用されている。特許文献3に開示された別の熱量計では、次のような4個の別個の水リザーバが使用されている。
【0005】
1)等温環境を実現するために使用される一般にジャケットと呼ばれる第1の内部リザーバ。
【0006】
2)外部ビュレットを満たすバラスト容積(ballast volume)の水を提供するために使用される第2の内部リザーバ。
【0007】
3)再現可能な量の分析水を送出するために使用される一般にビュレットと呼ばれる第3の外部リザーバ。
【0008】
4)ビュレットから送出された水を受け取り且つ燃焼容器を収容するために使用される一般にバケットと呼ばれる第4の可搬式リザーバ。バケットは分析器に設置され、分析中にバケットの温度測定値が記録される。
【0009】
熱量計に個別のリザーバを使用する一欠点は、定常操作中に、システムが、試料の燃焼によって生じた熱エネルギーを除去するために冷却水の外部供給源を必要とすることである。また、そのような先行技術のシステムで複数のリザーバを使用するには、リザーバに水を導いたりリザーバから水を導いたりするために多数の弁と導管が必要である。
【0010】
更に、先行技術の等温熱量計の操作は、分析ごとに全てのリザーバ内の水の温度を実質的に一定に維持するという要件によって更に複雑になる。更に、分析が終わったとき、試料の燃焼から生じた熱は除去されなければならない。
【0011】
更に、先行技術の設計では、完全に個別のバケットリザーバを使用することが必要であった。これは、バケットリザーバに収容された水の体積が分析ごとに実質的に一定に維持されることを確実にするためである。この要件は、この体積の変動が、得られる結果の不正確さに比例するという事実によるものである。他の誤差要因がないと仮定すると、水の体積が1000分の1変動すると、これに対じて装置の精度が1000分の1に制限される。
【0012】
この誤差要因を少なくするために、様々な機器設計手法が使用されてきた。一般的に、そのような手法は、水の体積を制限するためにセンサ又はオーバフローポートを使用する。そのような手法は、とりわけ、水の表面張力又はセンサの感度と再現性に依存する。試料の燃焼から生じる熱を除去するために、これらの手法は、バケット内の水が各分析前に実質的に排出され再び満たされることを必要とする。場合によって、オペレータは、適正体積の水が存在していることを確実にするために、バケットと燃焼容器を乾燥させなければならないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第4,398,836号
【特許文献2】米国特許第4,616,938号
【特許文献3】米国特許第5,322,360号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】American National Standard Institute ANSI/ ASTM D5865
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、燃焼性物質の発熱量を決定するための改善された装置及び方法が開発された。この装置は、単一の等温リザーバを外側ジャケットと熱量計容器を収容するための内側バケットとに区分するために使用することができるカバーを使用する。装置は、より正確な結果を得るために燃焼容器と周囲環境の間の熱的分離を改善する。
【0016】
本発明の一実施形態では、等温リザーバを有する熱量計システムは、燃焼容器と、壁、流体入口及び上側端の近くに配置されたオーバフロー出口を有する外側ジャケットと、前記流体入口からの流体を循環させて、前記ジャケット内の流体の温度を一定にするためのシステムと、前記ジャケット内に前記ジャケットの壁から離間して位置決めされ、熱量計燃焼容器を収容するためのバケットを定義する内部容積を有する断熱されたバケットであって、前記ジャケット内の流体が前記バケットを満たすように前記ジャケットの高さより低い高さを有するバケットと、前記熱量計燃焼容器に結合されており、前記燃焼容器内の試料の燃焼中に前記ジャケットから前記バケットを密封するために前記バケットと係合する封止部材を有する移動可能なバケットカバーとを有する。
【0017】
本発明の別の実施形態では、燃焼容器と前記燃焼容器を収容するための等温リザーバとを有する熱量計が提供され、熱量計は、バケットカバーと前記燃焼容器に結合されて前記燃焼容器を上昇させたりバケット内に下降させたりするためのアームを有する。
【0018】
本発明の一実施形態では、バケットカバーは、試料の燃焼中にバケットの内壁と係合してバケットを周囲の等温ジャケットの残りの部分から断熱する膨張可能な周囲封止部材を有する。
【0019】
一実施形態ではまた、バケットカバーは、燃焼容器カバーと協働してバケットカバーと燃焼容器との間の熱連通を最小にする迅速分離継手を備えた下側部分を有する。
【0020】
一実施形態においてバケットと等温リザーバ又はジャケットとを更に熱的に分離するために、攪拌装置がバケットに含まれ、この攪拌装置は、回転軸の両側に取り付けられた2個の永久磁石を有する。この永久磁石は、バケットとジャケットの間で熱的分離を実現するために等温ジャケットの外部に位置決めされた第2の回転電磁石駆動に磁気的に結合されている。
【0021】
バケットカバーと燃焼容器を保持するアームを上昇させ下降させるために、アームは、ローラ継手によって垂直方向に固定された支柱上に案内可能且つ移動可能に支持された垂直可動柱に取り付けられている。この可動柱は、ねじ駆動機構のスラストナット上に乗った支持ブラケットを有し、それにより、ねじ駆動機構は、可動柱、バケットカバー、及び燃焼容器を、完全に下降した浸漬位置から中間位置及び燃焼容器にアクセスするための上昇位置まで上方に付勢する。ねじ駆動機構が逆転されたとき、可動柱は、支持ブラケットがスラストナット組立体に乗った状態で重力で下降する。可動柱が下降運動中にスラストナットに追従せず、ブラケットとスラストナット組立体が離れた場合、ばねによって付勢された爪のロック端が支柱上の歯付きラックと係合して燃焼容器支持アームを固定位置に保持し、それによりバケット内に制御不能に落下するのが防止される。
【0022】
本発明の以上その他の特徴、目的及び利点は、添付図面を参照して以下の説明を読むことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明を実施する熱量計の正面右側から見た斜視図である。
【図2】本発明を実施する熱量計の部分的に垂直方向に断面した左側面図であり、熱量計燃焼容器が上昇位置にある状態を示す。
【図3】本発明を実施する熱量計の正面から見た垂直断面図であり、熱量計燃焼容器が等温リザーバのバケット内に沈められた状態を示す。
【図4】熱量計容器が等温リザーバから上昇した状態の熱量計の垂直断面右側面図である。
【図5】分析中に沈められた燃焼容器とバケットカバーへの燃焼容器の結合を示す拡大した部分正面垂直断面図である。
【図6】図5に示した構造の部分的に想像線で示した部分斜視図であり、熱量計容器がアクセスのための上昇位置にある状態を示す。
【図7A】燃焼容器とバケットカバーを結合する構造の拡大部分斜視図である。
【図7B】燃焼容器とバケットカバーを結合する構造の拡大部分斜視図である。
【図7C】燃焼容器とバケットカバーを結合する構造の拡大部分斜視図である。
【図8A】熱量計容器のための上昇下降機構の部分斜視図である。
【図8B】熱量計容器のための上昇下降機構の部分斜視図である。
【図8C】熱量計容器のための上昇下降機構の部分斜視図である。
【図9】熱量計の流体部品の流れ図を含む熱量計の概略図である。
【図10】本発明の熱量計の操作シーケンスの段階を示す流れ図である。
【図11】熱量計の制御システムのブロック電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
最初に図1〜図4を参照すると、本発明を実施する熱量計10が示されている。熱量計は、図1、図2及び図4では、試料を導入し、点火ヒューズを取り付け、容器を燃焼酸素で満たすために燃焼容器20を装填し取り外すための開位置で示されている。図3では、熱量計は、分析中に燃焼容器20が等温リザーバに沈められた状態となる閉位置で示されている。熱量計の燃焼容器20は、厚さ約0.25インチのステンレス鋼で作成され、頂部25が、弾丸状に湾曲した丸みを帯びた閉じた下端28と密閉可能に係合しており、ねじ付きの密閉リング26によって保持されている。
【0025】
熱量計10は、図1で分かるように、図9に示され後述するような流体接続を含む熱量計の部品を支持するフレーム部材を取り囲むキャビネット12を有する。キャビネット12は、また、熱量計の内部部品、電気部品、及び図11に示したような外部のマイクロプロセッサ、表示装置及びプリンタに対する結合部を収容する。燃焼容器20は、バケットカバー30に結合されており、バケットカバー30は中空円筒管16と連通経路とを介してアーム14に結合されている。中空円筒管16を通して燃焼容器20のヒューズを発火させるための電気接続が行われる。連通経路は、後述するようにカバー組立体30と接続された密封部材を膨張させるための空気圧と水循環のためのものである。アーム14は、垂直方向に動くことができる柱40にアーム14を結合するための従来の内部支持フレームを有し、柱40は、図8A〜図8Cで後述するローラ機構によって固定支柱50に結合されている。
【0026】
柱40は、図8A〜図8Cで最もよく分かるように、ねじ付きスクリュージャッキ44によって駆動されるスラストナット組立体46に乗るフランジ43(図4及び図8A〜図8C)を備えた概略L形の支持ブラケット42を有する。スクリュージャッキ44は、駆動モータ48によって回転されて、柱40と、バケットカバー30を介してアーム14に結合された熱量計容器20とを上昇させる。スクリュージャッキ44を逆転させるとスラストナット組立体46が下降し、熱量計容器を保持する柱40とアーム14が、重力の働きによって中間位置まで下降することができ、熱量計容器は、中間段階で等温バケット60内に部分的に沈められる。或いは、分析中に図3と図5に示したようにバケット60内に完全に沈められる。柱40が、何らかの理由のために、下降するスラストナット組立体46に滑らかに追従しない場合は、燃焼容器がバケット60内に落下するのを防ぐために、図8A〜図8Cに示しこれらの図と関連して後で述べる保護ラチェット機構が使用される。
【0027】
熱量計10の等温リザーバは、外側ジャケット70(図3、図4及び図9)を有し、外側ジャケット70内には、断熱ブロック72(図3)によって、燃焼容器20を収容する等温バケット60が取り付けられている。ジャケット70には、図面に水線57で示したレベルまで水が満たされる。バケット60は、内側ステンレス鋼壁62、外側ステンレス鋼壁64、及び底66、66’を有する。温度平衡に達した後、試料の燃焼中に、ジャケット70の内部容積71によって画定された周囲等温リザーバからバケットを断熱するために、壁62及び64と底部分66’及び66との間の空間が、気泡断熱材63で満たされる。図5で最もよく分かるように、気泡断熱材63は、バケット60の内壁62と外壁64の間に収容されている。底面66及び66’は、密封ガスケット67及び67’によって壁62及び64に対して封止される。バケット60は、概略円筒形で内方にテーパの付いた下側壁82を有する内部バッフル80を有し、下側壁82は、試料の燃焼中にバケット60内の燃焼容器20のまわりに水を循環させてバケット60内の水温を迅速に平衡させるためのインペラ84に密封可能に結合される。
【0028】
インペラ84は、バケット60内の回転永久磁石85に結合された駆動軸83を有する。永久磁石85は、バケット60の外の永久磁石86に磁気的に結合されており、永久磁石86は、軸・軸受組立体75によってジャケット70の底部74(図3)に回転可能に取り付けられている。磁石86は、駆動ベルト77によって駆動スプロケット78に結合されたスプロケット76によって駆動される。スプロケット78は、ジャケット70内においてたわみ継手96(図3)を介して垂直方向下方に延在する垂直方向で回転可能なシャフト81によって駆動され、シャフト81は、適切な軸受によってキャビネット12内のフレームに回転可能に取り付けられた駆動スプロケット88に結合されている。スプロケット88は、第2のスプロケット92と駆動ベルト93によってモータ90(図3と図9)に結合されている。モータ90は、バケットモータ制御回路91(図9)によって制御される。
【0029】
燃焼容器20とバケット60内で試料を燃焼させている間、インペラ84は、バケット60内においてバッフル80のまわりで水を循環させて均一に且つ迅速に平衡を実現し、その結果、バケットサーミスタ95(図9)によって測定される温度の上昇を利用して、分析中の試料の発熱量を決定することができる。ジャケット内部71には、循環ポンプ100と導管102に結合された入口87と出口89(図9に概略的に示した)を介して循環水が供給され、導管102は、水を約25℃の所定温度に加熱するように制御される電気予熱器104を有する。分析中にジャケット温度を望みの平衡温度に制御するために、図10と図11に示した制御システムと関連してジャケットサーミスタ105が使用される。
【0030】
図9で分かるように、アーム14は、必要に応じて、等温リザーバ71と同じ温度の水をバケットカバー30に提供するための水路112及び114も有する。バケットカバー30に対するこの独特な等温平衡水供給システムに加えて、バケットカバー30は、主に図5〜図7Cと関連して次に説明する他の独特な特徴も備える。
【0031】
バケットカバー30は、図5と図6に示されており、僅かなテーパの付いたステンレス鋼製の下側部材32を有する概略円盤状本体を有し、この下側部材32は、図5に示した位置にあるときに空気圧管31によって膨張される環状の膨張可能なポリマー製密封部材33を保持する環状周囲くぼみ34(図5)を有する。管31は、結合部材36内の通路35と膨張可能密封部材33上の適切なニップルとの間に延在する。密封用の空気は、導管122と三方向弁121により空気供給源120(図9)に管16を介し結合された通路を介して供給される。弁121の選択的動作は、分析前、分析中及び分析後に膨張可能密封部材33を選択的に加圧してバケットカバー30をバケット60の内壁62の内側面に対して封止し、また、空気を排出して密封部材33を収縮させて、取り外しのために図1に示した位置まで熱量計容器を上昇できるようにする。カバー30は、また、従来の方式で適切な固定ねじによって下側部材32に密封可能に固定される上側閉鎖部材38を有する。部材38と32間の内部空間は、分析中にジャケット容積71からバケット60の内部容積61を断熱するためにポリマー製の絶縁材料39で満たされている。
【0032】
図5で分かるように、燃焼容器20は、第1の電極21と第2の電極22を有し、これらの電極の間に、綿糸23’を取り付けて試料に点火することができるワイヤフィラメント23が配置される。容器20は、また、分析前に充填マニホールド116(図9)を介して燃焼酸素を入れるための弁110を有する。燃焼容器20は、また、試料を入れたるつぼ37を保持するためのるつぼ保持アーム24(図6にも示した)を有する。図5で最もよく分かるように、電極22との接触は、容器20の頂部25の絶縁された接続部品27(図5)を介して行われ、絶縁された接続部品27は、バケットカバー30の下側部材32を通る絶縁電気ばね接点29と係合するばね接点を有する。ばね接点29は、点火回路107に結合され、点火回路107は、接点29を通し、燃焼容器20内の正(positive)の導体22を介してヒューズ23に点火電圧を提供するために、従来の方式で端部結合部材36と絶縁されて管16内を通る導体108及び109(図9)を有する。点火回路は、糸ヒューズ23又は綿糸23’(図5と図9)を燃焼させる手段を提供するために電流と電圧が最適になるように選択的に構成することができる。
【0033】
燃焼容器20のバケットカバー30への結合は、分析中における2個の要素間の熱接触が最小になるように行われる。そのような目的のために、カバー30の下側部材32は、図7A〜図7Cで最もよく分かるように、燃焼容器20のカバー25上のフランジ付き柱140を受け入れるためのスロット132を備えた概略円筒形のソケット130を有する。柱140は、円筒状首部142と、スロット132に嵌りソケット130の内方に突出するフランジ134上に乗る拡大頭部144を有する。従って、燃焼容器20は、この切り離し可能な相互接続によってバケットカバー30の下側部材32からぶら下がっている。燃焼容器20がバケット60に入ったり、バケット60から出たりする際と分析中に相互接続が適所に留まるようにするために、ソケット130は、フランジ144の上面を押してフランジ144をソケット130の内方に突出するフランジ134と係合させるばねによって付勢されたキーパーボール136を有する。図7Cは、カバー組立体30内の取り付けソケット130から切り離された燃焼容器20を示し、図7Aと7Bは、燃焼容器20がバケットカバー30に取り付けられた後の相互接続の詳細を示す。このソケットと柱の相互接続によって、バケットカバー30と燃焼容器20間の熱接触が最小になり、より良好な熱的分離が実現され、分析中にバケット60の内部容積61内の水の温度上昇の分析精度が高くなる。
【0034】
燃焼容器20のカバー25は、従来通り、容器の本体28へのねじ又は差し込み(bayonet)ねじ構造によってねじ込まれた密封リング26によって保持される。カバー25は圧力作動弁110(図5)を有する。図9で分かるように、圧力作動弁110は、酸素充填組立体と関連して使用され、この酸素充填組立体は、弁110に結合された充填マニホールド116に酸素マニホールド114を介して結合された約450ポンド/平方インチの加圧酸素供給源112を含む。この酸素充填組立体は、るつぼ内の試料がるつぼ保持アーム24内に取り付けられると共に、電極21と22の間にヒューズ23が位置決めされた後で容器に酸素を充填するために使用される。要素112〜116を使用した容器の充填は、実質的に従来通りであり、分析前に容器20に充填するために使用される。分析の後、容器内のガス圧力は、弁110を手で押すことによって開放される。
【0035】
等温ジャケット容積71は、最初に、マニホールド組立体126(図9)を介して水供給源からの水によって満たされる。マニホールド組立体126は、水温が高すぎる場合には外部冷却器128を備えた水供給源127から約15℃の温度で制御された水を受け取る。マニホールド組立体126は、ジャケット70に水を充填し且つジャケット内で水を循環させる働きをするポンプ100に逆止め弁129を介して結合される。ジャケット70は、図9で分かるように、外部冷却器128の入力79に再循環ループで結合されたオーバフロー排出口78を有する。バケットカバー30及びそれに結合された容器20は、図4と図9に示した駆動モータ48によって、図1と図2に示した上昇位置と、図3と図5に示した分析用の下側動作位置との間で移動される。次に、図8A〜図8Cと関連して、この動きを実現するための固定支柱50に対する可動柱40の相互接続について説明する。
【0036】
駆動モータ48は、モータ制御部47(図9)によって駆動される。モータ48は、図4に示したように、スラストナット46に結合されたねじ付きスクリュージャッキ44を駆動し、スラストナット46は、可動柱40に固定されたブラケット42を上昇させる。柱40は、支柱50内のチャネル52によって支柱50に結合されており、チャネル52は、柱40の側面に形成された拡張部41を滑らかに動き得るように収容する。側面ローラ54は、拡張部41の両側面に沿って垂直方向に離間され、両側面の間に画定されたチャネル45内で移動する。前側及び後側ローラ56は、柱40に前方向と後方向に安定性を提供する。スラストナット46は、ブラケット42の下側面と係合する板49に取り付けられ、スクリュージャッキ44が第1の方向に回転されたときに、板49が上昇し、それにより、板49に取り付けられたブラケット42と柱40が、図1と図4に示した完全に上昇した位置まで持ち上げられる。シャフトエンコーダ51(図4)は、回路47に結合され、スクリュージャッキ44の回転数を決定し、それにより、上昇位置と、実質的に浸漬される位置(図示せず)と、完全に浸漬される位置(図3と図5)との間で燃焼容器20が動く際に、燃焼容器20の垂直位置に関する情報をシステムに提供する。
【0037】
板49がスラストナット46によって上昇される際の物理的接触以外、板49とブラケット42の間には、ロックされた機械的接触はない。スクリュージャッキ44の回転方向を逆転することによって、容器20を保持し柱40に取り付けられたアーム14が下降されるとき、ブラケット42上のフランジ43は板49の上側面に乗っており、板49が下降するときに板49に追従する。板49とフランジ43が接触している限り、ブラケット42に取り付けられると共にばねによって付勢された爪143は、ギヤ歯付きラック146に対して非ロック位置にある。爪143は、ピン141によってブラケット42に旋回可能に取り付けられ、フランジ43と板49が離れた場合に、ラック146の切欠き147と係合するロック端148を有する。柱40が板49の下降に滑らかに追従する場合、ばね145を圧縮する爪143に対抗して板49とフランジ43が接触することによって、爪143が非ロック位置に保持される。これらの板が、図8Cに示されたように離れた場合、ばね145が爪143のロック端148を回転させ、このロック端148がラック146と係合し、それにより、オペレータが、アームが下方に急速に加速しないように保持すると共にばね145の付勢に対抗して爪143を解放することによりアーム14を手動で下降させるまで、アーム14と燃焼容器20は固定垂直位置に保持される。スクリュージャッキ44と柱40の間のこの相互接続により、燃焼容器20の上昇と下降の比較的静かな動作が可能になり、且つ燃焼容器の不慮の急速な下降を防ぐ安全機能が提供される。
【0038】
分析サイクルの操作シーケンスが図10の流れ図と関連して示されている。図10では、図9に示した様々なモータと温度センサが、制御盤150(図11)に収容されたマイクロコントローラ152と関連して使用される。図10で分かるように、分析シーケンスは、開始スイッチ171(図9と図10)の操作によって開始され、シャフトエンコーダ51によって測定されたモータ48の位置が検出される。テスト172によって示されたように、燃焼容器とアーム14が、図1と図2に示したような上昇開位置にない場合、マイクロコントローラ152は、ブロック174によって示されたように、モータ48を上昇開位置まで駆動する。そのとき、あらかじめ充填され装填された燃焼容器20は、図7A〜図7Cに示したように、柱140によってバケットカバー30の下側部材32のソケット130に取り付けられ、ブロック176によって部分的に示されたように、ジャケット水と熱的に平衡させるために下降される。次に、ブロック178によって示されたように、スイッチ171を再び操作して分析シーケンスを開始する。マイクロコントローラは、ブロック180によって示されたように、ヒューズ23(図5)の導通を検査し、ブロック182によって示されたように、供給源120からの空気の圧力を検査する。次に、ブロック184によって示されたように、モータ90は、駆動軸81を介してインペラ84の攪拌速度を高めるように駆動され、ジャケット容積71内の水の温度が、サーミスタ105(図9)によって測定され、それにより定義された等温リザーバが約25℃の平衡温度に達したどうか判定される。平衡温度に近づいたとき、ブロック188によって示されたように、攪拌速度が減速され、ブロック190によって示されたように、モータ48は、燃焼容器20をバケット60内に下降させるように駆動される。次に、ブロック192によって示されたように、弁121の作動によって膨張可能密封部材133(図5と図9)が膨張されて、バケット60が周囲リザーバ71から密封される。
【0039】
ブロック194によって示されたように、タイマが、バケットを密封した後で平衡温度に達するまで点火を遅らせ、またブロック196によって示されたように、次に、ヒューズが点火され、容器20内の酸素と容器20に収容されたるつぼに収容された試料とを燃焼させる。次に、ブロック198及び200によって示されたように、標準のサーモグラフ方法を利用してサーミスタ95からの温度信号を監視し、試料の燃焼時の水温の上昇により燃焼試料の発熱量を決定する。次に、三方向弁121を開くことによって密封部材33が収縮され、ブロック202によって示されたように、モータ48が駆動されて燃焼容器がバケット60から持ち上げられる。次に、ブロック204によって示されたように、攪拌速度がモータ90によって高められ、その後の分析に備えて、等温リザーバ71全体をその時の高いバケット水温と再び平衡させる。必要に応じて、ジャケット水を補充し冷却するために、外部冷却器128からの冷水をジャケットに流すことができる。
【0040】
次に、ブロック206によって示されたように、容器20を切り離し、排気し、洗浄し、排水し、すすぎ、そして、攪拌装置85は、ブロック208によって示されたように、バケット60内の水とジャケット容積71内の水とが平衡温度に達したときに遅くされる。テスト210によって示されたように、測定すべき更なる試料がある場合は、ブロック170で始まる手順が繰り返される。そうでない場合は、ブロック212によって示されたように、ジャケット温度をスタンバイモードまで下げ、ブロック214によって示されたように、ポンプ100、攪拌装置90、ジャケット温度制御104を無効にする。また、バケットカバー30が降下されて、燃焼容器20を追加することなく、熱量計が図5に示した位置で密閉される。ブロック216によって示されたように、スイッチ171(図9)の操作によって、後で新しい分析を始めることでき、スイッチ171は、ブロック218によって示されたように、制御部104を始動させる。ブロック220によって示されたように、カバー30は、燃焼容器20を取り付けるためにアクセス用の開位置に動かされる。次に、熱量計を作動させるためのシーケンスがブロック170に戻るかどうかを判定するためにブロック210のテストが行われる。
【0041】
制御要素は、図11に示したように、インタフェース回路154によってマイクロコントローラ152に結合され、マイクロコントローラ152は、イーサネット(登録商標)インタフェース156によってパーソナルコンピュータ160に結合されている。コンピュータ160は、従来通り、図10の流れ図に示したステップに対応する一連の操作を表示するモニタ162を有し、分析結果の印刷出力を得ることができるようにプリンタ164にも結合されている。
【0042】
従って、本発明の熱量計により、熱量計バケットとその周囲の部品の間の熱的分離が改善される。また、バケットに対するバケットカバーの封止は、バケットカバーが燃焼容器に結合される際に改善される。また、燃焼容器を上昇させたりバケット内に下降させたりするための静かで高信頼性で更に安価な駆動システムが提供される。
【0043】
当業者であれば、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された本発明の好ましい実施形態に対して様々な変形を加え得ることは明らかであろう。
【符号の説明】
【0044】
10 熱量計
20 燃焼容器
30 バケットカバー
33 密封部材
60 バケット
70 外側ジャケット
100 ポンプ
104 ヒータ
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年5月3日に出願された「CALORIMETER」と題する米国特許出願第11/416,970号の一部継続出願であり、この出願の開示全体を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0002】
本発明は、燃焼容器と一体型等温流体リザーバとを有する熱量計に関する。
【背景技術】
【0003】
過去において、固体及び液体物質の発熱量を標準的な方法(ASTM/ISO規格)により決定するためにある程度複雑な装置が使用されてきた。そのような装置の動作は、十分に理解されており、例えば非特許文献1に記載されている。
【0004】
従来の熱量計は、装置の動作に必要な水を収容し管理するために複数の内部リザーバと外部リザーバを使用しなければならなかった。特許文献1と特許文献2は、熱量計の燃焼容器を保持するためのタンクと、導管と弁によって結合され水を燃焼容器に供給するための個別の水タンクとを備えた熱量計を開示している。特許文献2に開示された別の熱量計では、内部ジャケットリザーバと永久内側バケットリザーバを含む2個の別個のリザーバが使用されている。特許文献3に開示された別の熱量計では、次のような4個の別個の水リザーバが使用されている。
【0005】
1)等温環境を実現するために使用される一般にジャケットと呼ばれる第1の内部リザーバ。
【0006】
2)外部ビュレットを満たすバラスト容積(ballast volume)の水を提供するために使用される第2の内部リザーバ。
【0007】
3)再現可能な量の分析水を送出するために使用される一般にビュレットと呼ばれる第3の外部リザーバ。
【0008】
4)ビュレットから送出された水を受け取り且つ燃焼容器を収容するために使用される一般にバケットと呼ばれる第4の可搬式リザーバ。バケットは分析器に設置され、分析中にバケットの温度測定値が記録される。
【0009】
熱量計に個別のリザーバを使用する一欠点は、定常操作中に、システムが、試料の燃焼によって生じた熱エネルギーを除去するために冷却水の外部供給源を必要とすることである。また、そのような先行技術のシステムで複数のリザーバを使用するには、リザーバに水を導いたりリザーバから水を導いたりするために多数の弁と導管が必要である。
【0010】
更に、先行技術の等温熱量計の操作は、分析ごとに全てのリザーバ内の水の温度を実質的に一定に維持するという要件によって更に複雑になる。更に、分析が終わったとき、試料の燃焼から生じた熱は除去されなければならない。
【0011】
更に、先行技術の設計では、完全に個別のバケットリザーバを使用することが必要であった。これは、バケットリザーバに収容された水の体積が分析ごとに実質的に一定に維持されることを確実にするためである。この要件は、この体積の変動が、得られる結果の不正確さに比例するという事実によるものである。他の誤差要因がないと仮定すると、水の体積が1000分の1変動すると、これに対じて装置の精度が1000分の1に制限される。
【0012】
この誤差要因を少なくするために、様々な機器設計手法が使用されてきた。一般的に、そのような手法は、水の体積を制限するためにセンサ又はオーバフローポートを使用する。そのような手法は、とりわけ、水の表面張力又はセンサの感度と再現性に依存する。試料の燃焼から生じる熱を除去するために、これらの手法は、バケット内の水が各分析前に実質的に排出され再び満たされることを必要とする。場合によって、オペレータは、適正体積の水が存在していることを確実にするために、バケットと燃焼容器を乾燥させなければならないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第4,398,836号
【特許文献2】米国特許第4,616,938号
【特許文献3】米国特許第5,322,360号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】American National Standard Institute ANSI/ ASTM D5865
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、燃焼性物質の発熱量を決定するための改善された装置及び方法が開発された。この装置は、単一の等温リザーバを外側ジャケットと熱量計容器を収容するための内側バケットとに区分するために使用することができるカバーを使用する。装置は、より正確な結果を得るために燃焼容器と周囲環境の間の熱的分離を改善する。
【0016】
本発明の一実施形態では、等温リザーバを有する熱量計システムは、燃焼容器と、壁、流体入口及び上側端の近くに配置されたオーバフロー出口を有する外側ジャケットと、前記流体入口からの流体を循環させて、前記ジャケット内の流体の温度を一定にするためのシステムと、前記ジャケット内に前記ジャケットの壁から離間して位置決めされ、熱量計燃焼容器を収容するためのバケットを定義する内部容積を有する断熱されたバケットであって、前記ジャケット内の流体が前記バケットを満たすように前記ジャケットの高さより低い高さを有するバケットと、前記熱量計燃焼容器に結合されており、前記燃焼容器内の試料の燃焼中に前記ジャケットから前記バケットを密封するために前記バケットと係合する封止部材を有する移動可能なバケットカバーとを有する。
【0017】
本発明の別の実施形態では、燃焼容器と前記燃焼容器を収容するための等温リザーバとを有する熱量計が提供され、熱量計は、バケットカバーと前記燃焼容器に結合されて前記燃焼容器を上昇させたりバケット内に下降させたりするためのアームを有する。
【0018】
本発明の一実施形態では、バケットカバーは、試料の燃焼中にバケットの内壁と係合してバケットを周囲の等温ジャケットの残りの部分から断熱する膨張可能な周囲封止部材を有する。
【0019】
一実施形態ではまた、バケットカバーは、燃焼容器カバーと協働してバケットカバーと燃焼容器との間の熱連通を最小にする迅速分離継手を備えた下側部分を有する。
【0020】
一実施形態においてバケットと等温リザーバ又はジャケットとを更に熱的に分離するために、攪拌装置がバケットに含まれ、この攪拌装置は、回転軸の両側に取り付けられた2個の永久磁石を有する。この永久磁石は、バケットとジャケットの間で熱的分離を実現するために等温ジャケットの外部に位置決めされた第2の回転電磁石駆動に磁気的に結合されている。
【0021】
バケットカバーと燃焼容器を保持するアームを上昇させ下降させるために、アームは、ローラ継手によって垂直方向に固定された支柱上に案内可能且つ移動可能に支持された垂直可動柱に取り付けられている。この可動柱は、ねじ駆動機構のスラストナット上に乗った支持ブラケットを有し、それにより、ねじ駆動機構は、可動柱、バケットカバー、及び燃焼容器を、完全に下降した浸漬位置から中間位置及び燃焼容器にアクセスするための上昇位置まで上方に付勢する。ねじ駆動機構が逆転されたとき、可動柱は、支持ブラケットがスラストナット組立体に乗った状態で重力で下降する。可動柱が下降運動中にスラストナットに追従せず、ブラケットとスラストナット組立体が離れた場合、ばねによって付勢された爪のロック端が支柱上の歯付きラックと係合して燃焼容器支持アームを固定位置に保持し、それによりバケット内に制御不能に落下するのが防止される。
【0022】
本発明の以上その他の特徴、目的及び利点は、添付図面を参照して以下の説明を読むことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明を実施する熱量計の正面右側から見た斜視図である。
【図2】本発明を実施する熱量計の部分的に垂直方向に断面した左側面図であり、熱量計燃焼容器が上昇位置にある状態を示す。
【図3】本発明を実施する熱量計の正面から見た垂直断面図であり、熱量計燃焼容器が等温リザーバのバケット内に沈められた状態を示す。
【図4】熱量計容器が等温リザーバから上昇した状態の熱量計の垂直断面右側面図である。
【図5】分析中に沈められた燃焼容器とバケットカバーへの燃焼容器の結合を示す拡大した部分正面垂直断面図である。
【図6】図5に示した構造の部分的に想像線で示した部分斜視図であり、熱量計容器がアクセスのための上昇位置にある状態を示す。
【図7A】燃焼容器とバケットカバーを結合する構造の拡大部分斜視図である。
【図7B】燃焼容器とバケットカバーを結合する構造の拡大部分斜視図である。
【図7C】燃焼容器とバケットカバーを結合する構造の拡大部分斜視図である。
【図8A】熱量計容器のための上昇下降機構の部分斜視図である。
【図8B】熱量計容器のための上昇下降機構の部分斜視図である。
【図8C】熱量計容器のための上昇下降機構の部分斜視図である。
【図9】熱量計の流体部品の流れ図を含む熱量計の概略図である。
【図10】本発明の熱量計の操作シーケンスの段階を示す流れ図である。
【図11】熱量計の制御システムのブロック電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
最初に図1〜図4を参照すると、本発明を実施する熱量計10が示されている。熱量計は、図1、図2及び図4では、試料を導入し、点火ヒューズを取り付け、容器を燃焼酸素で満たすために燃焼容器20を装填し取り外すための開位置で示されている。図3では、熱量計は、分析中に燃焼容器20が等温リザーバに沈められた状態となる閉位置で示されている。熱量計の燃焼容器20は、厚さ約0.25インチのステンレス鋼で作成され、頂部25が、弾丸状に湾曲した丸みを帯びた閉じた下端28と密閉可能に係合しており、ねじ付きの密閉リング26によって保持されている。
【0025】
熱量計10は、図1で分かるように、図9に示され後述するような流体接続を含む熱量計の部品を支持するフレーム部材を取り囲むキャビネット12を有する。キャビネット12は、また、熱量計の内部部品、電気部品、及び図11に示したような外部のマイクロプロセッサ、表示装置及びプリンタに対する結合部を収容する。燃焼容器20は、バケットカバー30に結合されており、バケットカバー30は中空円筒管16と連通経路とを介してアーム14に結合されている。中空円筒管16を通して燃焼容器20のヒューズを発火させるための電気接続が行われる。連通経路は、後述するようにカバー組立体30と接続された密封部材を膨張させるための空気圧と水循環のためのものである。アーム14は、垂直方向に動くことができる柱40にアーム14を結合するための従来の内部支持フレームを有し、柱40は、図8A〜図8Cで後述するローラ機構によって固定支柱50に結合されている。
【0026】
柱40は、図8A〜図8Cで最もよく分かるように、ねじ付きスクリュージャッキ44によって駆動されるスラストナット組立体46に乗るフランジ43(図4及び図8A〜図8C)を備えた概略L形の支持ブラケット42を有する。スクリュージャッキ44は、駆動モータ48によって回転されて、柱40と、バケットカバー30を介してアーム14に結合された熱量計容器20とを上昇させる。スクリュージャッキ44を逆転させるとスラストナット組立体46が下降し、熱量計容器を保持する柱40とアーム14が、重力の働きによって中間位置まで下降することができ、熱量計容器は、中間段階で等温バケット60内に部分的に沈められる。或いは、分析中に図3と図5に示したようにバケット60内に完全に沈められる。柱40が、何らかの理由のために、下降するスラストナット組立体46に滑らかに追従しない場合は、燃焼容器がバケット60内に落下するのを防ぐために、図8A〜図8Cに示しこれらの図と関連して後で述べる保護ラチェット機構が使用される。
【0027】
熱量計10の等温リザーバは、外側ジャケット70(図3、図4及び図9)を有し、外側ジャケット70内には、断熱ブロック72(図3)によって、燃焼容器20を収容する等温バケット60が取り付けられている。ジャケット70には、図面に水線57で示したレベルまで水が満たされる。バケット60は、内側ステンレス鋼壁62、外側ステンレス鋼壁64、及び底66、66’を有する。温度平衡に達した後、試料の燃焼中に、ジャケット70の内部容積71によって画定された周囲等温リザーバからバケットを断熱するために、壁62及び64と底部分66’及び66との間の空間が、気泡断熱材63で満たされる。図5で最もよく分かるように、気泡断熱材63は、バケット60の内壁62と外壁64の間に収容されている。底面66及び66’は、密封ガスケット67及び67’によって壁62及び64に対して封止される。バケット60は、概略円筒形で内方にテーパの付いた下側壁82を有する内部バッフル80を有し、下側壁82は、試料の燃焼中にバケット60内の燃焼容器20のまわりに水を循環させてバケット60内の水温を迅速に平衡させるためのインペラ84に密封可能に結合される。
【0028】
インペラ84は、バケット60内の回転永久磁石85に結合された駆動軸83を有する。永久磁石85は、バケット60の外の永久磁石86に磁気的に結合されており、永久磁石86は、軸・軸受組立体75によってジャケット70の底部74(図3)に回転可能に取り付けられている。磁石86は、駆動ベルト77によって駆動スプロケット78に結合されたスプロケット76によって駆動される。スプロケット78は、ジャケット70内においてたわみ継手96(図3)を介して垂直方向下方に延在する垂直方向で回転可能なシャフト81によって駆動され、シャフト81は、適切な軸受によってキャビネット12内のフレームに回転可能に取り付けられた駆動スプロケット88に結合されている。スプロケット88は、第2のスプロケット92と駆動ベルト93によってモータ90(図3と図9)に結合されている。モータ90は、バケットモータ制御回路91(図9)によって制御される。
【0029】
燃焼容器20とバケット60内で試料を燃焼させている間、インペラ84は、バケット60内においてバッフル80のまわりで水を循環させて均一に且つ迅速に平衡を実現し、その結果、バケットサーミスタ95(図9)によって測定される温度の上昇を利用して、分析中の試料の発熱量を決定することができる。ジャケット内部71には、循環ポンプ100と導管102に結合された入口87と出口89(図9に概略的に示した)を介して循環水が供給され、導管102は、水を約25℃の所定温度に加熱するように制御される電気予熱器104を有する。分析中にジャケット温度を望みの平衡温度に制御するために、図10と図11に示した制御システムと関連してジャケットサーミスタ105が使用される。
【0030】
図9で分かるように、アーム14は、必要に応じて、等温リザーバ71と同じ温度の水をバケットカバー30に提供するための水路112及び114も有する。バケットカバー30に対するこの独特な等温平衡水供給システムに加えて、バケットカバー30は、主に図5〜図7Cと関連して次に説明する他の独特な特徴も備える。
【0031】
バケットカバー30は、図5と図6に示されており、僅かなテーパの付いたステンレス鋼製の下側部材32を有する概略円盤状本体を有し、この下側部材32は、図5に示した位置にあるときに空気圧管31によって膨張される環状の膨張可能なポリマー製密封部材33を保持する環状周囲くぼみ34(図5)を有する。管31は、結合部材36内の通路35と膨張可能密封部材33上の適切なニップルとの間に延在する。密封用の空気は、導管122と三方向弁121により空気供給源120(図9)に管16を介し結合された通路を介して供給される。弁121の選択的動作は、分析前、分析中及び分析後に膨張可能密封部材33を選択的に加圧してバケットカバー30をバケット60の内壁62の内側面に対して封止し、また、空気を排出して密封部材33を収縮させて、取り外しのために図1に示した位置まで熱量計容器を上昇できるようにする。カバー30は、また、従来の方式で適切な固定ねじによって下側部材32に密封可能に固定される上側閉鎖部材38を有する。部材38と32間の内部空間は、分析中にジャケット容積71からバケット60の内部容積61を断熱するためにポリマー製の絶縁材料39で満たされている。
【0032】
図5で分かるように、燃焼容器20は、第1の電極21と第2の電極22を有し、これらの電極の間に、綿糸23’を取り付けて試料に点火することができるワイヤフィラメント23が配置される。容器20は、また、分析前に充填マニホールド116(図9)を介して燃焼酸素を入れるための弁110を有する。燃焼容器20は、また、試料を入れたるつぼ37を保持するためのるつぼ保持アーム24(図6にも示した)を有する。図5で最もよく分かるように、電極22との接触は、容器20の頂部25の絶縁された接続部品27(図5)を介して行われ、絶縁された接続部品27は、バケットカバー30の下側部材32を通る絶縁電気ばね接点29と係合するばね接点を有する。ばね接点29は、点火回路107に結合され、点火回路107は、接点29を通し、燃焼容器20内の正(positive)の導体22を介してヒューズ23に点火電圧を提供するために、従来の方式で端部結合部材36と絶縁されて管16内を通る導体108及び109(図9)を有する。点火回路は、糸ヒューズ23又は綿糸23’(図5と図9)を燃焼させる手段を提供するために電流と電圧が最適になるように選択的に構成することができる。
【0033】
燃焼容器20のバケットカバー30への結合は、分析中における2個の要素間の熱接触が最小になるように行われる。そのような目的のために、カバー30の下側部材32は、図7A〜図7Cで最もよく分かるように、燃焼容器20のカバー25上のフランジ付き柱140を受け入れるためのスロット132を備えた概略円筒形のソケット130を有する。柱140は、円筒状首部142と、スロット132に嵌りソケット130の内方に突出するフランジ134上に乗る拡大頭部144を有する。従って、燃焼容器20は、この切り離し可能な相互接続によってバケットカバー30の下側部材32からぶら下がっている。燃焼容器20がバケット60に入ったり、バケット60から出たりする際と分析中に相互接続が適所に留まるようにするために、ソケット130は、フランジ144の上面を押してフランジ144をソケット130の内方に突出するフランジ134と係合させるばねによって付勢されたキーパーボール136を有する。図7Cは、カバー組立体30内の取り付けソケット130から切り離された燃焼容器20を示し、図7Aと7Bは、燃焼容器20がバケットカバー30に取り付けられた後の相互接続の詳細を示す。このソケットと柱の相互接続によって、バケットカバー30と燃焼容器20間の熱接触が最小になり、より良好な熱的分離が実現され、分析中にバケット60の内部容積61内の水の温度上昇の分析精度が高くなる。
【0034】
燃焼容器20のカバー25は、従来通り、容器の本体28へのねじ又は差し込み(bayonet)ねじ構造によってねじ込まれた密封リング26によって保持される。カバー25は圧力作動弁110(図5)を有する。図9で分かるように、圧力作動弁110は、酸素充填組立体と関連して使用され、この酸素充填組立体は、弁110に結合された充填マニホールド116に酸素マニホールド114を介して結合された約450ポンド/平方インチの加圧酸素供給源112を含む。この酸素充填組立体は、るつぼ内の試料がるつぼ保持アーム24内に取り付けられると共に、電極21と22の間にヒューズ23が位置決めされた後で容器に酸素を充填するために使用される。要素112〜116を使用した容器の充填は、実質的に従来通りであり、分析前に容器20に充填するために使用される。分析の後、容器内のガス圧力は、弁110を手で押すことによって開放される。
【0035】
等温ジャケット容積71は、最初に、マニホールド組立体126(図9)を介して水供給源からの水によって満たされる。マニホールド組立体126は、水温が高すぎる場合には外部冷却器128を備えた水供給源127から約15℃の温度で制御された水を受け取る。マニホールド組立体126は、ジャケット70に水を充填し且つジャケット内で水を循環させる働きをするポンプ100に逆止め弁129を介して結合される。ジャケット70は、図9で分かるように、外部冷却器128の入力79に再循環ループで結合されたオーバフロー排出口78を有する。バケットカバー30及びそれに結合された容器20は、図4と図9に示した駆動モータ48によって、図1と図2に示した上昇位置と、図3と図5に示した分析用の下側動作位置との間で移動される。次に、図8A〜図8Cと関連して、この動きを実現するための固定支柱50に対する可動柱40の相互接続について説明する。
【0036】
駆動モータ48は、モータ制御部47(図9)によって駆動される。モータ48は、図4に示したように、スラストナット46に結合されたねじ付きスクリュージャッキ44を駆動し、スラストナット46は、可動柱40に固定されたブラケット42を上昇させる。柱40は、支柱50内のチャネル52によって支柱50に結合されており、チャネル52は、柱40の側面に形成された拡張部41を滑らかに動き得るように収容する。側面ローラ54は、拡張部41の両側面に沿って垂直方向に離間され、両側面の間に画定されたチャネル45内で移動する。前側及び後側ローラ56は、柱40に前方向と後方向に安定性を提供する。スラストナット46は、ブラケット42の下側面と係合する板49に取り付けられ、スクリュージャッキ44が第1の方向に回転されたときに、板49が上昇し、それにより、板49に取り付けられたブラケット42と柱40が、図1と図4に示した完全に上昇した位置まで持ち上げられる。シャフトエンコーダ51(図4)は、回路47に結合され、スクリュージャッキ44の回転数を決定し、それにより、上昇位置と、実質的に浸漬される位置(図示せず)と、完全に浸漬される位置(図3と図5)との間で燃焼容器20が動く際に、燃焼容器20の垂直位置に関する情報をシステムに提供する。
【0037】
板49がスラストナット46によって上昇される際の物理的接触以外、板49とブラケット42の間には、ロックされた機械的接触はない。スクリュージャッキ44の回転方向を逆転することによって、容器20を保持し柱40に取り付けられたアーム14が下降されるとき、ブラケット42上のフランジ43は板49の上側面に乗っており、板49が下降するときに板49に追従する。板49とフランジ43が接触している限り、ブラケット42に取り付けられると共にばねによって付勢された爪143は、ギヤ歯付きラック146に対して非ロック位置にある。爪143は、ピン141によってブラケット42に旋回可能に取り付けられ、フランジ43と板49が離れた場合に、ラック146の切欠き147と係合するロック端148を有する。柱40が板49の下降に滑らかに追従する場合、ばね145を圧縮する爪143に対抗して板49とフランジ43が接触することによって、爪143が非ロック位置に保持される。これらの板が、図8Cに示されたように離れた場合、ばね145が爪143のロック端148を回転させ、このロック端148がラック146と係合し、それにより、オペレータが、アームが下方に急速に加速しないように保持すると共にばね145の付勢に対抗して爪143を解放することによりアーム14を手動で下降させるまで、アーム14と燃焼容器20は固定垂直位置に保持される。スクリュージャッキ44と柱40の間のこの相互接続により、燃焼容器20の上昇と下降の比較的静かな動作が可能になり、且つ燃焼容器の不慮の急速な下降を防ぐ安全機能が提供される。
【0038】
分析サイクルの操作シーケンスが図10の流れ図と関連して示されている。図10では、図9に示した様々なモータと温度センサが、制御盤150(図11)に収容されたマイクロコントローラ152と関連して使用される。図10で分かるように、分析シーケンスは、開始スイッチ171(図9と図10)の操作によって開始され、シャフトエンコーダ51によって測定されたモータ48の位置が検出される。テスト172によって示されたように、燃焼容器とアーム14が、図1と図2に示したような上昇開位置にない場合、マイクロコントローラ152は、ブロック174によって示されたように、モータ48を上昇開位置まで駆動する。そのとき、あらかじめ充填され装填された燃焼容器20は、図7A〜図7Cに示したように、柱140によってバケットカバー30の下側部材32のソケット130に取り付けられ、ブロック176によって部分的に示されたように、ジャケット水と熱的に平衡させるために下降される。次に、ブロック178によって示されたように、スイッチ171を再び操作して分析シーケンスを開始する。マイクロコントローラは、ブロック180によって示されたように、ヒューズ23(図5)の導通を検査し、ブロック182によって示されたように、供給源120からの空気の圧力を検査する。次に、ブロック184によって示されたように、モータ90は、駆動軸81を介してインペラ84の攪拌速度を高めるように駆動され、ジャケット容積71内の水の温度が、サーミスタ105(図9)によって測定され、それにより定義された等温リザーバが約25℃の平衡温度に達したどうか判定される。平衡温度に近づいたとき、ブロック188によって示されたように、攪拌速度が減速され、ブロック190によって示されたように、モータ48は、燃焼容器20をバケット60内に下降させるように駆動される。次に、ブロック192によって示されたように、弁121の作動によって膨張可能密封部材133(図5と図9)が膨張されて、バケット60が周囲リザーバ71から密封される。
【0039】
ブロック194によって示されたように、タイマが、バケットを密封した後で平衡温度に達するまで点火を遅らせ、またブロック196によって示されたように、次に、ヒューズが点火され、容器20内の酸素と容器20に収容されたるつぼに収容された試料とを燃焼させる。次に、ブロック198及び200によって示されたように、標準のサーモグラフ方法を利用してサーミスタ95からの温度信号を監視し、試料の燃焼時の水温の上昇により燃焼試料の発熱量を決定する。次に、三方向弁121を開くことによって密封部材33が収縮され、ブロック202によって示されたように、モータ48が駆動されて燃焼容器がバケット60から持ち上げられる。次に、ブロック204によって示されたように、攪拌速度がモータ90によって高められ、その後の分析に備えて、等温リザーバ71全体をその時の高いバケット水温と再び平衡させる。必要に応じて、ジャケット水を補充し冷却するために、外部冷却器128からの冷水をジャケットに流すことができる。
【0040】
次に、ブロック206によって示されたように、容器20を切り離し、排気し、洗浄し、排水し、すすぎ、そして、攪拌装置85は、ブロック208によって示されたように、バケット60内の水とジャケット容積71内の水とが平衡温度に達したときに遅くされる。テスト210によって示されたように、測定すべき更なる試料がある場合は、ブロック170で始まる手順が繰り返される。そうでない場合は、ブロック212によって示されたように、ジャケット温度をスタンバイモードまで下げ、ブロック214によって示されたように、ポンプ100、攪拌装置90、ジャケット温度制御104を無効にする。また、バケットカバー30が降下されて、燃焼容器20を追加することなく、熱量計が図5に示した位置で密閉される。ブロック216によって示されたように、スイッチ171(図9)の操作によって、後で新しい分析を始めることでき、スイッチ171は、ブロック218によって示されたように、制御部104を始動させる。ブロック220によって示されたように、カバー30は、燃焼容器20を取り付けるためにアクセス用の開位置に動かされる。次に、熱量計を作動させるためのシーケンスがブロック170に戻るかどうかを判定するためにブロック210のテストが行われる。
【0041】
制御要素は、図11に示したように、インタフェース回路154によってマイクロコントローラ152に結合され、マイクロコントローラ152は、イーサネット(登録商標)インタフェース156によってパーソナルコンピュータ160に結合されている。コンピュータ160は、従来通り、図10の流れ図に示したステップに対応する一連の操作を表示するモニタ162を有し、分析結果の印刷出力を得ることができるようにプリンタ164にも結合されている。
【0042】
従って、本発明の熱量計により、熱量計バケットとその周囲の部品の間の熱的分離が改善される。また、バケットに対するバケットカバーの封止は、バケットカバーが燃焼容器に結合される際に改善される。また、燃焼容器を上昇させたりバケット内に下降させたりするための静かで高信頼性で更に安価な駆動システムが提供される。
【0043】
当業者であれば、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された本発明の好ましい実施形態に対して様々な変形を加え得ることは明らかであろう。
【符号の説明】
【0044】
10 熱量計
20 燃焼容器
30 バケットカバー
33 密封部材
60 バケット
70 外側ジャケット
100 ポンプ
104 ヒータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
等温リザーバを有する熱量計システムであって、
燃焼容器と、
壁、流体入口、及び流体出口を有する外側ジャケットと、
前記ジャケットと関連付けられたヒータ及びポンプであって、前記流体出口から前記ヒータを介して前記入口まで流体を循環させて、前記ジャケット内に一定温度の流体を提供するためのヒータ及びポンプと、
前記ジャケット内に配置されており、熱量計燃焼容器を収容するための内部容積を有する断熱バケットであって、前記ジャケット内の流体が前記バケットを満たすように前記ジャケットの高さより低い高さを有するバケットと、
前記熱量計燃焼容器に選択的に結合され、前記燃焼容器内の試料の燃焼中に前記ジャケットから前記バケットを密封するために前記バケットと係合する密封部材を有する移動可能なカバーとを有する熱量計システム。
【請求項2】
前記バケットが、バッフルと、前記バッフルの両側で前記バケット内の前記燃焼容器のまわりに流体を循環させて前記バケット内に収容された流体の温度を均一にするためのインペラを備えた底面とを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ジャケットが、前記ポンプの吐出端に結合された上側流体入口を有し、一方の入口が、前記断熱部材を取り囲む前記ジャケット容積の方に向けられ、別の入口が、前記バケットに流体を導入して前記バケット及びジャケット内の流体温度を迅速に均一化するために、前記バケットの上側端の上の領域に向けられた、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記バケットが概略円筒状部材を有し、前記燃焼容器が前記バケット内に下降されたときに前記カバーが前記バケットと係合して前記バケットを密封する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記インペラには磁極が埋め込まれており、前記ジャケットが、更に、前記インペラを回転させるための回転永久磁石を有する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ジャケットが温度検出部材を有し、前記システムが、更に前記温度検出部材と前記ヒータに結合されて、前記ジャケットと前記バケット内の流体の温度を制御するための制御回路を有する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記システムが、更に、前記バケット内に配置されて、試料の燃焼前と燃焼後に前記燃焼容器を取り囲む流体の温度を検出するための測定温度センサを有する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
熱量計であって、
燃焼容器と、
前記燃焼容器を収容するための内部容積を有する断熱されたバケットであって、所定の温度の流体で満たすことができるバケットと、
前記燃焼容器に選択的に結合されると共に膨張可能密封部材を有する移動可能なカバーであって、膨張可能密封部材が、前記燃焼容器内の試料の燃焼を含む分析中に前記バケットと密封可能に係合して前記バケットを密閉するために加圧流体源に選択的に結合されるカバーとを有する熱量計。
【請求項9】
前記カバーがソケットと柱の一方を有し、前記燃焼容器が柱とソケットの他方を有し、前記柱を前記ソケットに挿入することによって前記燃焼容器を前記カバーに取り外し可能に取り付けることができる、請求項8に記載の熱量計。
【請求項10】
前記ソケットが、前記柱と係合して前記柱を前記ソケット内に固定するためのばねによって付勢されたボールを有する、請求項9に記載の熱量計。
【請求項11】
熱量計であって、
燃焼容器と、
前記燃焼容器を収容するための内部容積を有し、所定の温度の流体で満たすことができる断熱されたバケットと、
前記燃焼容器に選択的に結合される移動可能なカバーであって、前記カバーが、ソケットと柱の一方を有し、前記燃焼容器が、柱とソケットの他方を有し、前記柱を前記ソケットに挿入することによって前記燃焼容器を前記カバーに取り外し可能に取り付けることができるカバーとを有する熱量計。
【請求項12】
前記ソケットが、前記カバー上に形成され、前記燃焼容器上に形成された前記柱と係合するために内側に延在するフランジを備えたスロットを有する、請求項11に記載の熱量計。
【請求項13】
前記ソケットが、前記ソケット内に前記柱を固定するために前記柱と係合するばねによって付勢されたボールを有する、請求項12に記載の熱量計。
【請求項14】
等温リザーバを有する熱量計であって、
燃焼容器と、
外壁を有する流体ジャケットと、
前記ジャケット内に配置された断熱バケットであって、前記燃焼容器を収容するための内部容積を有し、分析中に前記燃焼容器が配置されるバッフルを有するバケットと、
前記バッフルの下側端に回転可能に配置され、分析中に前記燃焼容器のまわりに流体を循環させるためのインペラであって、前記バケット内に配置された永久磁石に結合されたインペラと、
前記バケットの外部の前記ジャケット内に配置された永久磁石を有し、それぞれの永久磁石の間の電磁結合によって前記インペラを動作させるための電磁撹拌機とを有する熱量計。
【請求項15】
前記電磁撹拌機が、前記ジャケットに対して外部に取り付けられた駆動モータと、前記ジャケットを貫通して延在し一端が駆動スプロケットと前記スプロケット間の結合部材とによって前記駆動モータに結合された駆動軸とを有し、前記駆動軸の他端が、第2組の駆動スプロケットと第2の結合部材によって前記バケットの外部の永久磁石に結合された、請求項14に定義された熱量計。
【請求項16】
前記駆動軸が、前記一端と前記他端の間にたわみ継手を有する、請求項15に記載の熱量計。
【請求項17】
等温リザーバを有する熱量計であって、
燃焼容器と、
外壁を有する流体ジャケットと、
前記ジャケット内に配置され、前記燃焼容器を収容するための内部容積を有する断熱されたバケットと、
前記燃焼容器を保持し、前記燃焼容器が前記バケット内に配置されたときに前記バケットを密閉するためのカバーと、
前記カバーに結合されており、固定された垂直支柱に摺動可能に結合された垂直可動柱に結合されたアームと、
前記垂直可動柱と係合して前記アームを上昇させる駆動ねじ及びスラストナットとを有する熱量計。
【請求項18】
熱量計であって、
燃焼容器と、
前記燃焼容器を収容するための内部容積を有する断熱されたバケットであって、所定の温度の流体を満たすことができ、分析中に前記燃焼容器が配置されるバッフルを有するバケットと、
前記バッフルの下側端に回転可能に配置されて分析中に前記燃焼容器のまわりに流体を循環させるためのインペラであって、前記バケット内に配置された永久磁石に結合されたインペラと、
前記バケットの外部の前記ジャケット内に配置された永久磁石を有し、それぞれの永久磁石間の電磁結合によって前記インペラを作動させるための電磁撹拌機と、
前記燃焼容器に選択的に結合されると共に膨張可能密封部材を有する移動可能なカバーであって、膨張可能密封部材が、前記燃焼容器内の試料の燃焼を含む分析中に前記バケットと密封可能に係合して前記バケットを密閉するために加圧流体源に選択的に結合されるカバーとを有し、
前記カバーがソケットと柱の一方を有し、前記燃焼容器が柱とソケットの他方を有し、前記柱を前記ソケットに挿入することによって前記燃焼容器を前記カバーに取り外し可能に取り付けることができる熱量計。
【請求項19】
前記カバーが概略円盤状であり、前記密封部材が前記カバーの周囲に延在する、請求項8又は18に記載の熱量計。
【請求項20】
前記流体源が圧縮空気を含む、請求項19に記載の熱量計。
【請求項21】
前記流体源が、前記密封部材を選択的に膨張させ収縮させるための三方向弁を更に有する、請求項20に記載の熱量計。
【請求項22】
前記ソケットが前記カバー上に形成されると共に、前記燃焼容器上に形成された前記柱と係合するために内方に延在するフランジを備えたスロットを有する、請求項21に記載の熱量計。
【請求項23】
前記ソケットが、前記柱と係合して前記ソケット内に前記柱を固定するためのばねによって付勢されたボールを有する、請求項22に記載の熱量計。
【請求項24】
前記カバーに結合されたアームであって、固定された垂直支柱に摺動可能に結合された垂直可動柱に結合されたアームと、前記垂直可動柱と係合して前記アームを上昇させるための駆動ねじ及びスラストナットとを有する、請求項18に記載の熱量計。
【請求項25】
前記柱が外方に延在するブラケットを有し、前記スラストナットが前記ブラケットと接触する、請求項17又は24に記載の熱量計。
【請求項26】
前記ブラケットが、前記支柱の方に延在するロック端を備えた、ばねによって付勢された爪を有し、前記支柱は、前記スラストナットと前記ブラケットが離された場合に前記爪の前記ロック端を選択的に受けるための歯付きラックを有する、請求項25に記載の熱量計。
【請求項1】
等温リザーバを有する熱量計システムであって、
燃焼容器と、
壁、流体入口、及び流体出口を有する外側ジャケットと、
前記ジャケットと関連付けられたヒータ及びポンプであって、前記流体出口から前記ヒータを介して前記入口まで流体を循環させて、前記ジャケット内に一定温度の流体を提供するためのヒータ及びポンプと、
前記ジャケット内に配置されており、熱量計燃焼容器を収容するための内部容積を有する断熱バケットであって、前記ジャケット内の流体が前記バケットを満たすように前記ジャケットの高さより低い高さを有するバケットと、
前記熱量計燃焼容器に選択的に結合され、前記燃焼容器内の試料の燃焼中に前記ジャケットから前記バケットを密封するために前記バケットと係合する密封部材を有する移動可能なカバーとを有する熱量計システム。
【請求項2】
前記バケットが、バッフルと、前記バッフルの両側で前記バケット内の前記燃焼容器のまわりに流体を循環させて前記バケット内に収容された流体の温度を均一にするためのインペラを備えた底面とを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ジャケットが、前記ポンプの吐出端に結合された上側流体入口を有し、一方の入口が、前記断熱部材を取り囲む前記ジャケット容積の方に向けられ、別の入口が、前記バケットに流体を導入して前記バケット及びジャケット内の流体温度を迅速に均一化するために、前記バケットの上側端の上の領域に向けられた、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記バケットが概略円筒状部材を有し、前記燃焼容器が前記バケット内に下降されたときに前記カバーが前記バケットと係合して前記バケットを密封する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記インペラには磁極が埋め込まれており、前記ジャケットが、更に、前記インペラを回転させるための回転永久磁石を有する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ジャケットが温度検出部材を有し、前記システムが、更に前記温度検出部材と前記ヒータに結合されて、前記ジャケットと前記バケット内の流体の温度を制御するための制御回路を有する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記システムが、更に、前記バケット内に配置されて、試料の燃焼前と燃焼後に前記燃焼容器を取り囲む流体の温度を検出するための測定温度センサを有する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
熱量計であって、
燃焼容器と、
前記燃焼容器を収容するための内部容積を有する断熱されたバケットであって、所定の温度の流体で満たすことができるバケットと、
前記燃焼容器に選択的に結合されると共に膨張可能密封部材を有する移動可能なカバーであって、膨張可能密封部材が、前記燃焼容器内の試料の燃焼を含む分析中に前記バケットと密封可能に係合して前記バケットを密閉するために加圧流体源に選択的に結合されるカバーとを有する熱量計。
【請求項9】
前記カバーがソケットと柱の一方を有し、前記燃焼容器が柱とソケットの他方を有し、前記柱を前記ソケットに挿入することによって前記燃焼容器を前記カバーに取り外し可能に取り付けることができる、請求項8に記載の熱量計。
【請求項10】
前記ソケットが、前記柱と係合して前記柱を前記ソケット内に固定するためのばねによって付勢されたボールを有する、請求項9に記載の熱量計。
【請求項11】
熱量計であって、
燃焼容器と、
前記燃焼容器を収容するための内部容積を有し、所定の温度の流体で満たすことができる断熱されたバケットと、
前記燃焼容器に選択的に結合される移動可能なカバーであって、前記カバーが、ソケットと柱の一方を有し、前記燃焼容器が、柱とソケットの他方を有し、前記柱を前記ソケットに挿入することによって前記燃焼容器を前記カバーに取り外し可能に取り付けることができるカバーとを有する熱量計。
【請求項12】
前記ソケットが、前記カバー上に形成され、前記燃焼容器上に形成された前記柱と係合するために内側に延在するフランジを備えたスロットを有する、請求項11に記載の熱量計。
【請求項13】
前記ソケットが、前記ソケット内に前記柱を固定するために前記柱と係合するばねによって付勢されたボールを有する、請求項12に記載の熱量計。
【請求項14】
等温リザーバを有する熱量計であって、
燃焼容器と、
外壁を有する流体ジャケットと、
前記ジャケット内に配置された断熱バケットであって、前記燃焼容器を収容するための内部容積を有し、分析中に前記燃焼容器が配置されるバッフルを有するバケットと、
前記バッフルの下側端に回転可能に配置され、分析中に前記燃焼容器のまわりに流体を循環させるためのインペラであって、前記バケット内に配置された永久磁石に結合されたインペラと、
前記バケットの外部の前記ジャケット内に配置された永久磁石を有し、それぞれの永久磁石の間の電磁結合によって前記インペラを動作させるための電磁撹拌機とを有する熱量計。
【請求項15】
前記電磁撹拌機が、前記ジャケットに対して外部に取り付けられた駆動モータと、前記ジャケットを貫通して延在し一端が駆動スプロケットと前記スプロケット間の結合部材とによって前記駆動モータに結合された駆動軸とを有し、前記駆動軸の他端が、第2組の駆動スプロケットと第2の結合部材によって前記バケットの外部の永久磁石に結合された、請求項14に定義された熱量計。
【請求項16】
前記駆動軸が、前記一端と前記他端の間にたわみ継手を有する、請求項15に記載の熱量計。
【請求項17】
等温リザーバを有する熱量計であって、
燃焼容器と、
外壁を有する流体ジャケットと、
前記ジャケット内に配置され、前記燃焼容器を収容するための内部容積を有する断熱されたバケットと、
前記燃焼容器を保持し、前記燃焼容器が前記バケット内に配置されたときに前記バケットを密閉するためのカバーと、
前記カバーに結合されており、固定された垂直支柱に摺動可能に結合された垂直可動柱に結合されたアームと、
前記垂直可動柱と係合して前記アームを上昇させる駆動ねじ及びスラストナットとを有する熱量計。
【請求項18】
熱量計であって、
燃焼容器と、
前記燃焼容器を収容するための内部容積を有する断熱されたバケットであって、所定の温度の流体を満たすことができ、分析中に前記燃焼容器が配置されるバッフルを有するバケットと、
前記バッフルの下側端に回転可能に配置されて分析中に前記燃焼容器のまわりに流体を循環させるためのインペラであって、前記バケット内に配置された永久磁石に結合されたインペラと、
前記バケットの外部の前記ジャケット内に配置された永久磁石を有し、それぞれの永久磁石間の電磁結合によって前記インペラを作動させるための電磁撹拌機と、
前記燃焼容器に選択的に結合されると共に膨張可能密封部材を有する移動可能なカバーであって、膨張可能密封部材が、前記燃焼容器内の試料の燃焼を含む分析中に前記バケットと密封可能に係合して前記バケットを密閉するために加圧流体源に選択的に結合されるカバーとを有し、
前記カバーがソケットと柱の一方を有し、前記燃焼容器が柱とソケットの他方を有し、前記柱を前記ソケットに挿入することによって前記燃焼容器を前記カバーに取り外し可能に取り付けることができる熱量計。
【請求項19】
前記カバーが概略円盤状であり、前記密封部材が前記カバーの周囲に延在する、請求項8又は18に記載の熱量計。
【請求項20】
前記流体源が圧縮空気を含む、請求項19に記載の熱量計。
【請求項21】
前記流体源が、前記密封部材を選択的に膨張させ収縮させるための三方向弁を更に有する、請求項20に記載の熱量計。
【請求項22】
前記ソケットが前記カバー上に形成されると共に、前記燃焼容器上に形成された前記柱と係合するために内方に延在するフランジを備えたスロットを有する、請求項21に記載の熱量計。
【請求項23】
前記ソケットが、前記柱と係合して前記ソケット内に前記柱を固定するためのばねによって付勢されたボールを有する、請求項22に記載の熱量計。
【請求項24】
前記カバーに結合されたアームであって、固定された垂直支柱に摺動可能に結合された垂直可動柱に結合されたアームと、前記垂直可動柱と係合して前記アームを上昇させるための駆動ねじ及びスラストナットとを有する、請求項18に記載の熱量計。
【請求項25】
前記柱が外方に延在するブラケットを有し、前記スラストナットが前記ブラケットと接触する、請求項17又は24に記載の熱量計。
【請求項26】
前記ブラケットが、前記支柱の方に延在するロック端を備えた、ばねによって付勢された爪を有し、前記支柱は、前記スラストナットと前記ブラケットが離された場合に前記爪の前記ロック端を選択的に受けるための歯付きラックを有する、請求項25に記載の熱量計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2010−530537(P2010−530537A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513179(P2010−513179)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/083770
【国際公開番号】WO2008/156497
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(592071853)レコ コーポレイション (19)
【氏名又は名称原語表記】LECO CORPORATION
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/083770
【国際公開番号】WO2008/156497
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(592071853)レコ コーポレイション (19)
【氏名又は名称原語表記】LECO CORPORATION
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