説明

熱電モジュール及びその製造方法

【課題】、シート形態の熱電素子からなる熱電モジュール及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明によると、N型熱電材料からなるN型熱電シートとP型熱電材料からなるP型熱電シートとが上下方向に交互に複数個配置され、それぞれのN型熱電シートとP型熱電シートとの間に絶縁シート113が備えられた熱電積層体110と、熱電積層体110の左右側端に設けられた金属電極120と、金属電極120の外側面に設けられた基板130と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電モジュールに関し、より詳細には、シート形態の熱電素子からなる熱電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
熱電素子(Thermoelectric device)とは、熱電変換を利用して、自然界及び機械、建物などの人工物に存在する温度差により起電力が発生する現象であるゼーベック効果(Seebeck effect)を利用した素子である。一般的に、熱電素子は、米国特許出願公開第2009−0025773号明細書に開示されているように、熱電体の内部の熱またはキャリアの移動方向が、低温領域及び高温領域の対向面の間に垂直方向に形成される。
【0003】
熱電変換(Thermoelectric conversion)とは、熱エネルギーと電気エネルギーとの間のエネルギー変換である。このような熱電素子は、熱電材料の両端に温度差があるときに、電気が発生するゼーベック効果(Seebeck effect)を利用した発電、または、熱電材料に電流を流すと、その両端の間に温度勾配が発生するペルチェ効果(Peltier effect)を利用した冷却の二つの方式に、主に応用されている。
【0004】
ゼーベック効果(Seebeck effect)を利用すると、コンピュータや自動車エンジンなどで発生した熱を電気エネルギーに変換することができ、ペルチェ効果(Peltier effect)を利用すると、冷媒を必要としない各種冷却システムを実現することができる。従って、最近は新しいエネルギーの開発、廃エネルギーの回収、環境保護などに対する関心が高まるにつれて、熱電素子に対する関心も高まっている。
【0005】
図1は従来の一般的な熱電素子モジュールを概略的に図示した部分切開斜視図である。図1を参照すると、従来の熱電モジュール1は、P型熱電材料3とN型熱電材料5とを備える。セラミックまたは窒化ケイ素で製造された一対の絶縁基板7には,それぞれ所定パターンで電極9が付着されており、前記熱電材料3、5は前記電極9によって電気的に直列連結される。
【0006】
従来の熱電素子モジュール1において、端子2に連結されたリード線4を介して、電極9に直流電圧を印加すると、ペルチェ効果により、P型熱電材料3からN型熱電材料5に電流が流れる側では熱が発生し、反対にN型熱電材料5からP型熱電材料3に電流が流れる側では熱を吸収するようになる。従って、発熱側に接合された絶縁基板7は加熱され、吸熱側に接合された絶縁基板7は冷却される。
【0007】
このように、従来の熱電モジュールは、P型熱電素子とN型熱電素子とにより構成された単一モジュールが、使用条件に応じて直列に繰り返される構造を成している。また、各単一モジュールは金属電極で連結され、金属電極はセラミック基板と連結されている。
【0008】
このような従来の直列型熱電モジュール構造は、回路断線に対する問題点を有しており、構成する単一モジュールのうち一つでも故障が発生すると、全体複合モジュールが作動しなくなるという致命的な問題を有している。
【0009】
また、製造においても多くの工程を経なければならないため、製造コストが増加し、かつ、製品の信頼性が劣るという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009−0025773号明細書
【特許文献2】特開2004−281928号公報
【特許文献3】特開2009−016495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はこのような問題を解決するために導き出されたものであり、シート形態の熱電素子からなる熱電モジュールを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明によれば、N型熱電材料からなるN型熱電シートとP型熱電材料からなるP型熱電シートとが上下方向に交互に複数個配置され、前記それぞれのN型熱電シートとP型熱電シートとの間に絶縁シートが設けられた熱電積層体と、前記熱電積層体の左右側端に配設さられた金属電極と、前記金属電極の外側面に設けられた基板と、を含む熱電モジュールが提供される。
【0013】
また、本発明によれば、以下のような発明が提供される。
前記N型熱電シート及びP型熱電シートの上下面を粗面に形成した
熱電モジュールが提供される。
【0014】
前記N型熱電シート及びP型熱電シートの上下面に接合剤を配した熱電モジュールが提供される。
【0015】
前記N型及びP型熱電材料が、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、及びセレン(Se)から選択される少なくとも一つまたは二つの混合物であり、また、前記絶縁シートが、エポキシ(Epoxy)、ポリイミド(Poly Imide)、ポリアミド(Poly Amide)から選択される少なくとも一つまたは二つの混合物である熱電モジュールが提供される。
【0016】
前記N型及びP型熱電シートの厚さが、1〜100μmである熱電モジュールが提供される。
【0017】
前記絶縁シートの厚さが、0.1〜10μmである熱電モジュールが提供される。
【0018】
前記絶縁シートは、前記N型及びP型熱電シートの外側に一部が突出して形成される突出部を備え、この突出部は、熱電シートを基準に互いに反対方向に位置した熱電モジュールが提供される。
【0019】
一方、本発明によれば、(a)N型熱電シート、P型熱電シート及び絶縁シートを提供する段階と、(b)前記N型熱電シートとP型熱電シートとが上下方向に交互に複数個配置され、前記N型熱電シートとP型熱電シートとの間に絶縁シートを備えた熱電積層体を形成する段階と、(c)前記熱電積層体の左、右側端に金属電極を形成する段階と、(d)前記金属電極の外側面に基板を備える段階と、を含む熱電モジュールの製造方法が提供される。
【0020】
前記(a)段階で提供される前記N型熱電シート、P型熱電シート及び絶縁シートは、N型熱電材料からなるN型熱電スラリー及びP型熱電材料からなるP型熱電スラリー、及び絶縁性物質からなる絶縁材スラリーを用いてそれぞれ形成され、このような熱電モジュールの製造方法が提供される。
【0021】
前記N型及びP型熱電材料は、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、及びセレン(Se)から選択される少なくとも一つまたは二つの混合物であり、前記絶縁性物質は、エポキシ(Epoxy)、ポリイミド(Poly Imide)、ポリアミド(Poly Amide)から選択される少なくとも一つまたは二つの混合物であり、このような熱電モジュールの製造方法が提供される。
【0022】
前記(b)段階で形成された熱電積層体を加圧及び焼成する段階をさらに含む熱電モジュールの製造方法が提供される。
【0023】
前記(a)段階で提供される前記絶縁シートは、前記N型及びP型熱電シートの外側に一部が突出して形成される突出部を備え、前記突出部は熱電シートを基準に互いに反対方向に位置する熱電モジュールの製造方法が提供される。
【0024】
前記N型及びP型熱電シートの端部から前記金属電極の他面までの距離が、前記N型及びP型熱電シートの端部から前記突出部の端部までの距離以上に長い熱電モジュールの製造方法が提供される。
【0025】
前記(c)段階で金属電極が形成された後、前記絶縁シートの突出部が露出するように、前記熱電積層体の左右側端に形成された金属電極の外側面を切断する段階をさらに含む熱電モジュールの製造方法が提供される。
【0026】
前記(c)段階は、前記熱電積層体の左右側端に金属性スラリーを塗布する段階と、前記熱電積層体に塗布された金属性スラリーを硬化させる段階と、からなる熱電モジュールの製造方法が提供される。
【0027】
前記(c)段階は、前記熱電積層体の左側端を、金属性ペーストが収容された容器に浸漬させた後に抽出する段階と、前記熱電積層体の右側端を金属性ペーストが収容された容器に浸漬させた後に抽出する段階と、前記抽出された熱電積層体の金属性ペーストを硬化させる段階と、からなる熱電モジュールの製造方法が提供される。
【0028】
前記(a)段階の後、前記N型熱電シート及びP型熱電シートの上下面を粗面に形成する段階をさらに含む熱電モジュールの製造方法が提供される。
【0029】
前記(a)段階の後、前記N型熱電シート及びP型熱電シートの上下面に、接合剤を配する段階をさらに含む熱電モジュールの製造方法が提供される。
【0030】
前記(a)段階で提供される前記N型及びP型熱電シートの厚さは、1〜100μmである熱電モジュールの製造方法が提供される。
【0031】
前記(a)段階で提供される前記絶縁シートの厚さは、0.1〜10μmである熱電モジュールの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0032】
本発明による熱電モジュールによると、シート形態の積層型構造を有する熱電モジュールを実現することにより、従来の熱電モジュールに比べ、製品の生産性及び信頼性を向上させることができる。
【0033】
また、本発明による熱電モジュールの製造方法によると、熱電積層体を金属性ペーストが収容された容器に浸漬した後に抽出する段階を経て、金属電極を形成することにより、金属電極の製造工程を単純化することができ、これにより製品の生産コストを低減させることができる。また、熱電モジュールを製造する際に、金属電極を半田付けする従来の方式に比べ、より精密な金属電極を形成することができ、製品の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】従来の一般的な熱電素子モジュールを概略的に図示した部分切開斜視図である。
【図2】本発明による熱電モジュールの正面図である。
【図3】本発明による熱電モジュールの斜視図である。
【図4a】突出部が形成される位置を例示した図面である。
【図4b】突出部が形成される位置を例示した図面である。
【図5a】本発明による熱電モジュールを製造する工程を順に図示した工程図である。
【図5b】本発明による熱電モジュールを製造する工程を順に図示した工程図である。
【図5c】本発明による熱電モジュールを製造する工程を順に図示した工程図である。
【図5d】本発明による熱電モジュールを製造する工程を順に図示した工程図である。
【図5e】本発明による熱電モジュールを製造する工程を順に図示した工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを果たす方法は、添付図面とともに詳細に後述される実施形態を参照すると明確になるであろう。しかし、本発明は以下に開示される実施形態に限定されず、相異なる多様な形態で具現することができる。本実施形態は、本発明の開示が完全になるようにするとともに、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に、発明の範疇を完全に伝達するために提供されることができる。明細書全体において、同一参照符号は同一構成要素を示す。
【0036】
本明細書で用いられる用語は、実施形態を説明するためのものであり、本発明を限定しようとするものではない。本明細書で、単数型は特別に言及しない限り複数型も含む。明細書で用いられる「含む(comprise)」及び/または「含んでいる(comprising)」は、言及された構成要素、段階、動作及び/または素子は一つ以上の他の構成要素、段階、動作及び/または素子の存在または追加を排除しない。
【0037】
以下、添付図面を参照して本発明の構成及び作用効果をより詳細に説明する。
【0038】
図2は本発明による熱電モジュール100の正面図であり、図3は本発明による熱電モジュール100の斜視図である。
【0039】
図2及び図3を参照すると、本発明による熱電モジュール100は、熱電積層体110、金属電極120、及び基板130を含むことができる。熱電積層体110は、N型熱電材料からなるN型熱電シート111とP型熱電材料からなるP型熱電シート112とが上下方向に交互に複数個配置され、これらのN型熱電シート111とP型熱電シート112との間に絶縁シート113を備えている。また、金属電極120は、前記熱電積層体110の左右側端に設けられている。さらに、基板130は、前記金属電極120の外側面に配設されている。
【0040】
ここで、N型熱電シート111、P型熱電シート112及び絶縁シート113は、N型熱電材料からなるN型熱電スラリー、P型熱電材料からなるP型熱電スラリー及び絶縁性物質からなる絶縁材スラリーを用いて、シート形態にそれぞれ形成することができる。
【0041】
前記N型及びP型熱電材料は、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、及びセレン(Se)から選択される少なくとも一つまたは二つの混合物で構成することができ、この他にも、当技術分野において熱電効果を示す他の物質で構成することも可能である。
【0042】
また、前記絶縁性物質は、エポキシ(Epoxy)、ポリイミド(Poly Imide)、ポリアミド(Poly Amide)から選択される少なくとも一つまたは二つの混合物で構成することができる。
【0043】
前記絶縁シート113は、前記N型及びP型熱電シート111、112の外側まで、その一部が突出して形成される突出部113aを備えることができ、この突出部113aは、前記N型及びP型熱電シート111、112を基準に、交互に反対方向に突出するように位置することができる。
【0044】
図4a及び図4bは、突出部113aが形成される位置を例示した図である。例えば、図4aに示すように、N型熱電シート211と、このN型熱電シート211の直上に位置するP型熱電シート212との間に設けられる絶縁シート213の左側部に突出部213aを形成し、他方、前記P型熱電シート212と前記P型熱電シート212の直上に位置するN型熱電シート214との間に設けられる絶縁シート215の右側部に突出部215aを形成することができる。
【0045】
または、図4bに示すように、N型熱電シート311と、このN型熱電シート311の直上に位置するP型熱電シート312との間に設けられる絶縁シート313の右側部に突出部313aを形成し、前記P型熱電シート312と、このP型熱電シート312の直上に位置するN型熱電シート314との間に設けられる絶縁シート315の左側部に突出部315aを形成することができる。
【0046】
これにより、前記絶縁シート213、215、313及び315は、N型熱電シートとP型熱電シートとが直接、短絡されることを防止するとともに、図4aに示すように、前記絶縁シート213の左側部に設けられた突出部213aにより、前記N型熱電シート211の左側部と、このN型熱電シート211の直上に位置するP型熱電シート212の左側部とが金属電極によって電気的に短絡されることを防止する。また、前記絶縁シート215の右側部に設けられた突出部215aにより、前記P型熱電シート212の右側部と、このP型熱電シート212の直上に位置するN型熱電シート214の右側部とが金属電極によって電気的に短絡されることを防止することができる。
【0047】
または、図4bに示すように、前記絶縁シート313の右側部に設けられた突出部313aにより、前記N型熱電シート311の右側部と、このN型熱電シート311の直上に位置するP型熱電シート312の右側部とが金属電極によって電気的に短絡されることを防止する。また、前記絶縁シート315の左側部に設けられた突出部315aにより、前記P型熱電シート312の左側部と、このP型熱電シート312の直上に位置するN型熱電シート314の左側部とが金属電極によって電気的に短絡されることを防止することができる。
【0048】
一方、前記N型熱電シート111と絶縁シート113との間、また前記P型熱電シート112と絶縁シート113との間のそれぞれの接合力を向上させるため、前記N型熱電シート111及びP型熱電シート112の上下面を粗面に(不図示)に加工しり、または、前記N型熱電シート111及びP型熱電シート112の上下面に接合剤(不図示)を配することができる。
【0049】
前記絶縁シート113は、最小限の絶縁機能のみを発揮するように、その厚さを0.1〜10μm範囲内とすることが好ましく、前記N型及びP型熱電シート111、112は、熱電特性を示すとともにシート形態に形成されて製品の生産性を向上させるように、その厚さを1〜100μm範囲内とすることが好ましい。
【0050】
以下、本発明による熱電モジュール100を製造する方法について説明する。
【0051】
図5aから図5eは本発明による熱電モジュールの製造工程を順に図示した工程図である。
【0052】
図5aから図5eを参照すると、本発明による熱電モジュール100の製造方法は、まず、図5aに図示すように、N型熱電シート111、P型熱電シート112及び絶縁シート113を提供する段階を行うことができる。
【0053】
ここで、前記提供されるN型熱電シート111、N型熱電シート111及び絶縁シート113は、N型熱電材料からなるN型熱電スラリー、P型熱電材料からなるP型熱電スラリー及び絶縁性物質からなる絶縁材スラリーを用いてそれぞれ形成することができる。
【0054】
前記N型及びP型熱電材料は、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、及びセレン(Se)から選択される少なくとも一つまたは二つの混合物とすることができ、前記絶縁性物質は、エポキシ(Epoxy)、ポリイミド(Poly Imide)、ポリアミド(Poly Amide)から選択される少なくとも一つまたは二つの混合物とすることができる。
【0055】
上述のようにして提供される絶縁シート113には、前記N型及びP型熱電シート111、112の外側に、一部が突出されて形成される突出部を備え、前記突出部を熱電シートを基準に互いに反対方向に位置させることができる。このような構成についての具体的な例示は上述のとおりであるので、詳細な説明を省略する。
【0056】
また、前記絶縁シート113は、最小限の絶縁機能のみを発揮するように、その厚さを0.1〜10μm範囲内とすることが好ましく、前記N型及びP型熱電シート111、112は、熱電特性を示すとともにシート形態に形成されて製品の生産性を向上させるように、その厚さを1〜100μm範囲内とすることが好ましい。
【0057】
次に、図5bに示されるように、前記N型熱電シート111とP型熱電シート112とが上下方向に交互に複数個配置され、前記N型熱電シート111とP型熱電シート112との間に絶縁シート113を備えた熱電積層体110を形成する段階とすることができる。
【0058】
この際、前記熱電積層体110を加圧及び焼成して、前記N型熱電シート111、P型熱電シート112及び絶縁シート113を接合する段階をさらに実施することができる。
【0059】
また、前記N型熱電シート111と絶縁シート113との間、また前記P型熱電シート112と絶縁シート113との間の接合力を向上させるために、前記N型熱電シート111及びP型熱電シート112の上下面を粗面に形成する段階をさらに加え、または前記N型熱電シート111及びP型熱電シート112の上下面に接合剤を配する段階をさらに行うことができる。
【0060】
次に、図5cに図示されるように、前記熱電積層体110の左右側端に金属電極120を形成する段階を行うことができる。
【0061】
前記金属電極120は、前記熱電積層体110の左右側端に金属性スラリーを塗布する段階を実行した後、熱電積層体110に塗布された前記金属性スラリーを硬化させる段階を実行することにより形成することができる。
【0062】
または、前記金属電極120は、前記熱電積層体110の左側端を金属性ペーストが収容された容器に浸漬させた後に抽出する段階と、前記熱電積層体110の右側端を金属性ペーストが収容された容器に浸漬させた後に抽出する段階と、を経た後、前記抽出された熱電積層体110の金属性ペーストを硬化させる段階を実行することにより形成することができる。この際、前記熱電積層体110を抽出する際に、前記金属性ペーストが流下しないように、前記熱電積層体110をカバーで覆うことができる。
【0063】
シート形態の積層構造からなる本発明による熱電モジュール100において、上記のような段階を経て前記金属電極120を形成すると、金属電極120の製造工程を単純化することができ、これによって製品の生産コストを低減させることができる。
【0064】
また、熱電モジュールを製造する際に金属電極を半田付けする従来の方式に比べ、より精密に前記金属電極120を形成することができ、製品の信頼性を向上させることができる。
【0065】
一方、上記のような段階に経て前記金属電極120を形成する場合、前記N型及びP型熱電シート111、112の端部から前記金属電極120の外側面までの距離a(図5c)を、前記N型及びP型熱電シート111、112の端部から前記突出部113aの端部までの距離b以上とすることができる。従って、金属電極120が形成された後、図5dに示されたように、前記絶縁シート113の突出部113aが露出するように、前記熱電積層体110の左右側端に形成された金属電極120の外側面について、所定の厚み分を切断する段階をさらに行うことができる。
【0066】
次に、図5eに図示されたように、前記金属電極120の外側面に基板130を設ける段階を実行することにより、本発明による熱電モジュール100を製造することができる。
【0067】
以上の詳細な説明は本発明を例示するものである。また、上述の内容は本発明の好ましい実施形態を示して説明するものに過ぎず、本発明は多様な他の組合、変更及び環境で用いることができる。即ち、本明細書に開示された発明の概念の範囲、述べた開示内容と均等な範囲及び/または当業界の技術または知識の範囲内で変更または修正が可能である。上述の実施形態は本発明を実施するにおいて最善の状態を説明するためのものであり、本発明のような他の発明を用いるにおいて当業界に公知された他の状態での実施、そして発明の具体的な適用分野及び用途で要求される多様な変更も可能である。従って、以上の発明の詳細な説明は開示された実施状態に本発明を制限しようとする意図ではない。また、添付された請求範囲は他の実施状態も含むと解釈されるべきであろう。
【符号の説明】
【0068】
100 本発明による熱電モジュール
110 熱電積層体
111、211、214、311、314 N型熱電素子
112、212、312 P型熱電素子
113、213、215、313、315 絶縁シート
113a、213a、215a、313a、315a 突出部
120 金属電極
130 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N型熱電材料からなるN型熱電シートとP型熱電材料からなるP型熱電シートとが上下方向に交互に複数個配置され、前記それぞれのN型熱電シートとP型熱電シートとの間に絶縁シートが設けられた熱電積層体と、
前記熱電積層体の左、右側端に配設された金属電極と、
前記金属電極の外側面に設けられた基板と、
を含む熱電モジュール。
【請求項2】
前記N型熱電シート及びP型熱電シートの上下面を粗面に形成した請求項1に記載の熱電モジュール。
【請求項3】
前記N型熱電シート及びP型熱電シートの上下面に接合剤を配した請求項1に記載の熱電モジュール。
【請求項4】
前記N型及びP型熱電材料は、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、及びセレン(Se)から選択される少なくとも一つまたは二つの混合物であり、
前記絶縁シートは、エポキシ(Epoxy)、ポリイミド(Poly Imide)、ポリアミド(Poly Amide)から選択される少なくとも一つまたは二つの混合物である、請求項1に記載の熱電モジュール。
【請求項5】
前記N型及びP型熱電シートの厚さが、1〜100μmである請求項1に記載の熱電モジュール。
【請求項6】
前記絶縁シートの厚さが、0.1〜10μmである請求項1に記載の熱電モジュール。
【請求項7】
前記絶縁シートには、前記N型及びP型熱電シートの外側に一部が突出されて形成される突出部を備え、前記突出部は、N型及びP型熱電シートを基準に互いに反対方向に位置する請求項1に記載の熱電モジュール。
【請求項8】
(a)N型熱電シート、P型熱電シート及び絶縁シートを提供する段階と、
(b)前記N型熱電シートとP型熱電シートとが上下方向に交互に複数個配置され、前記N型熱電シートとP型熱電シートとの間に絶縁シートが備えられた熱電積層体を形成する段階と、
(c)前記熱電積層体の左右側端に金属電極を形成する段階と、
(d)前記金属電極の外側面に基板を備える段階と、
を含む熱電モジュールの製造方法。
【請求項9】
前記(a)段階で提供される前記N型熱電シート、P型熱電シート及び絶縁シートは、N型熱電材料からなるN型熱電スラリー及びP型熱電材料からなるP型熱電スラリー、及び絶縁性物質からなる絶縁材スラリーを用いてそれぞれ形成される、請求項8に記載の熱電モジュールの製造方法。
【請求項10】
前記N型及びP型熱電材料は、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、及びセレン(Se)から選択される少なくとも一つまたは二つの混合物であり、
前記絶縁性物質は、エポキシ(Epoxy)、ポリイミド(Poly Imide)、ポリアミド(Poly Amide)から選択される少なくとも一つまたは二つの混合物である、請求項9に記載の熱電モジュールの製造方法。
【請求項11】
前記(b)段階で形成された熱電積層体を加圧及び焼成する段階をさらに含む請求項8に記載の熱電モジュールの製造方法。
【請求項12】
前記(c)段階は、
前記熱電積層体の左右側端に金属性スラリーを塗布する段階と、
前記熱電積層体に塗布された金属性スラリーを硬化させる段階と、からなる請求項8に記載の熱電モジュールの製造方法。
【請求項13】
前記(c)段階は、
前記熱電積層体の左側端を、金属性ペーストが収容された容器に浸漬させる段階と、
前記熱電積層体の右側端を、金属性ペーストが収容された容器に浸漬させる段階と、
前記熱電積層体の金属性ペーストを硬化させる段階と、からなる請求項8に記載の熱電モジュールの製造方法。
【請求項14】
前記(a)段階で提供される前記絶縁シートには、前記N型及びP型熱電シートの外側に一部が突出して形成される突出部が設けられ、前記突出部はN型及びP型熱電シートを基準に互いに反対方向に位置する請求項8に記載の熱電モジュールの製造方法。
【請求項15】
前記N型及びP型熱電シートの端部から前記金属電極の他面までの距離が、前記N型及びP型熱電シートの端部から前記突出部の端部までの距離以上に長く設定されている請求項14に記載の熱電モジュールの製造方法。
【請求項16】
前記(c)段階で金属電極が形成された後、前記絶縁シートの突出部が露出するように、前記熱電積層体の左右側端に形成された金属電極の外側面を切断する段階をさらに含む請求項15に記載の熱電モジュールの製造方法。
【請求項17】
前記(a)段階の後、前記N型熱電シート及びP型熱電シートの上下面を粗面に形成する段階をさらに含む請求項8に記載の熱電モジュールの製造方法。
【請求項18】
前記(a)段階の後、前記N型熱電シート及びP型熱電シートの上下面に接合剤を配する段階をさらに含む請求項8に記載の熱電モジュールの製造方法。
【請求項19】
前記(a)段階で提供される前記N型及びP型熱電シートの厚さは、1〜100μmである請求項8に記載の熱電モジュールの製造方法。
【請求項20】
前記(a)段階で提供される前記絶縁シートの厚さは、0.1〜10μmである請求項8に記載の熱電モジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図5e】
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【公開番号】特開2013−106043(P2013−106043A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−247212(P2012−247212)
【出願日】平成24年11月9日(2012.11.9)
【出願人】(512255804)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (21)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electro−Mechanics Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】150, Maeyeong−ro, Yeongtong−gu, Suwon−si, Gyeonggi−do, Republic of Korea