説明

熱電併給システム

【課題】施工後、またはメンテナンス後等に、単に電気機器が受電する電力を変動させ、商用電力の変動の有無を検知する方法を実施した場合、電気機器の種類によって、例えば、冷却水や温水を循環させる循環ポンプなどでは空運転することにより機器が損傷したり、空運転による騒音が発生するなどの課題があった。
【解決手段】燃料ガスが供給されて発電を行う分散型発電装置と、少なくとも前記分散型発電装置の起動および停止を制御する制御器と、前記制御器により起動および停止が制御され、水を圧送するためのポンプと、商用電力系統から前記ポンプへ供給される電流を測定する電流測定器とを設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用電力系統から電力負荷へ供給される電流を測定する電流測定器を診断する機能を有した熱電併給システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の熱電併給システムは、図8に示すように、熱電併給システムの利用率を高めつつ熱電併給システムに異常が発生した場合においてもすみやかに対応し得る熱電併給システムの運転方法及び熱電併給システムを提供することができるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図10は特許文献1に記載された従来の熱電併給システムの運転方法を示すものである。
【0004】
図10において、熱電併給システム10は、商用電源Pwと連系し、燃料電池12と電気機器24(21a、22、23、25)とを有する。熱電併給システム10は、商用電源Pwから電力負荷Ld及び電気機器24(21a、22、23、25)に供給される商用電力Cfを計測する工程(St0)と、計測した商用電力Cfの値が第1の所定範囲内に収束するように燃料電池12の発電電力を調整する工程(St1)と、計測した商用電力Cfの値が継続して第2の所定範囲内にある時間を計測する工程(St3〜St5)と、計測した時間が所定時間になった時に、電気機器24(21a、22、23、25)が受電する電力を変動させる工程(St6、St8)とを備えた運転方法を有している。これにより、計測した商用電力の値が第1の所定範囲内に収束するように燃料電池の発電電力を調整し、かつ、計測した商用電力の値が継続して第2の所定範囲内にある時間を計測しその時間が所定時間になった時に電気機器が受電する電力を変動させるので、商用電力の変動の有無を検知することにより、商用電力を計測する手段の異常や配線の断線の有無等を把握するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−338994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の構成では、計測した商用電力の値が継続して第2の所定範囲内にある時間を計測しその時間が所定時間になった時に電気機器が受電する電力を変動させ、商用電力の変動の有無を検知することにより、商用電力を計測する手段の異常や配線の断線の有無等を把握する。そのため、熱電併給システムの施工後の施工検証時やメンテナンスのために水抜きした後のメンテナンス完了確認においては、発電状態になるまで商用電力を計測する手段の異常や配線の断線の有無等を把握できない。また、施工後、またはメンテナンス後等に、単に電気機器が受電する電力を変動させ、商用電力の変動の有無を検知する方法を実施した場合、電気機器の種類によって、例えば、冷却水や温水を循環させる循環ポンプなどでは空運転することにより機器が損傷したり、空運転による騒音が発生するなどの課題があった。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、商用電力を計測する電流測定器の故障や脱着の判定、電流測定器の配線の断線等の異常判定を、判定手段としての電気負荷(ポンプ、ブースター等)を無負荷運転(空運転)による機器損傷や騒音を発生させることなく
、安全かつ確実に実現できる熱電併給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための、本発明に係る熱電併給システムは、燃料ガスが供給されて発電を行う分散型発電装置と、分散型発電装置の起動および停止を制御する制御器と、制御器により起動および停止が制御され、水を圧送するためのポンプと、商用電力系統から前記ポンプへ供給される電流を測定する電流測定器とを有しており、制御器は、ポンプが配置される水経路に水を供給する水張りステップを行い、水張りステップの後にポンプを動作させることにより、ポンプのエア噛み検知と、ポンプがエア噛みしていないと判定した場合に電流測定器が測定するポンプへの供給電力に基づいて行う電流測定器の診断と、を実行する診断ステップを行うことを特徴としたものである。
【0009】
かかる構成によれば、ポンプが配置される水経路に水を供給する水張りステップを行い、水張りステップの後にポンプを動作させることにより、ポンプのエア噛み検知と、ポンプがエア噛みしていないと判定した場合に電流測定器が測定するポンプへの供給電力に基づいて行う電流測定器の診断と、を実行する診断ステップを行うので、空運転によるポンプ損傷や騒音発生を防止する電流測定器の診断が可能な熱電併給システムを提供できる。
【0010】
また、制御器は、ポンプを動作させた場合にポンプに供給される電流量に対応する第1電流量を記憶しており、診断ステップにおいてポンプを動作させた場合に、電流測定器が第1電流量を検知した場合に電流測定器は正常であると判定することを特徴としたものである。
【0011】
かかる構成によれば、ポンプが配置される水経路に水を供給する水張りステップを行い、水張りステップの後にポンプを動作させることにより、ポンプのエア噛み検知と、ポンプがエア噛みしていないと判定した場合に電流測定器が測定するポンプへの供給電力に基づいて行う電流測定器の診断と、を実行する診断ステップを行い、かつ、診断ステップにおいてポンプを動作させた場合に、電流測定器が第1電流量を検知した場合に電流測定器は正常であると判定するので、空運転によるポンプ損傷や騒音発生を確実に防止し、電流測定器の診断も確実に行うことが可能となる。
【0012】
また、分散型発電装置の発電により発生した熱を回収する水が循環する第1循環経路を備え、
ポンプは、第1循環経路に配置され第1循環経路内の水を圧送する第1ポンプであることを特徴としたものである。
【0013】
かかる構成によれば、分散型発電装置の排熱を回収した湯を蓄える貯湯タンクと、分散型発電装置と貯湯タンクとの間の排熱回収配管である第1循環経路の水張りが終了すれば、第1循環経路に配置され第1循環経路内の水を圧送する第1ポンプを動作させ商用電力系統から第1ポンプに電力を供給した場合に電流測定器が測定する電流値に基づいて電流測定器の診断を実行するので、電流測定器の診断時に第1ポンプの空運転による機器損傷や騒音発生を確実に防止することが可能となる。
【0014】
また、第1循環経路内の水の圧力を検知する第1圧力センサを備え、制御器は、診断ステップにおいて、第1ポンプを動作させることにより第1圧力センサが水圧の上昇を検知した場合に第1ポンプがエア噛みをしていないと判定することを特徴としたものである。
【0015】
かかる構成によれば、電流測定器の診断ステップにおいて、第1ポンプを動作させることにより第1圧力センサが水圧の上昇を検知した場合に第1ポンプがエア噛みをしていないと判定するので、電流測定器の診断時のエア噛み判定が確実に行うことが可能となる。
【0016】
また、第1循環経路内の水の水位を検知する第1水位検知器を備え、制御器は、診断ステップにおいて、第1ポンプを動作させることにより第1水位検知器が水位の上昇を検知した場合に第1ポンプがエア噛みをしていないと判定することを特徴としたものである。
【0017】
かかる構成によれば、電流測定器の診断ステップにおいて、第1ポンプを動作させることにより第1水位検知器が水位の上昇を検知した場合に第1ポンプがエア噛みをしていないと判定するので、電流測定器の診断時のエア噛み判定が確実に行うことが可能となる。
【0018】
また、制御器により起動および停止が制御され、第2循環経路を介して熱負荷に供給される水を加熱する加熱器を備え、ポンプは、第2循環経路に配置され第2循環経路内の水を圧送する第2ポンプであることを特徴としたものである。
【0019】
かかる構成によれば、熱負荷と加熱器とを結ぶ第2循環経路内の水張りが完了した後に、商用電力系統から第2ポンプに電力を供給した場合に電流測定器が測定する電流値に基づいて電流測定器の診断を実行するので、第2ポンプの運転動作において空運転等による機器損傷や騒音発生をすることなく電流測定器の診断が可能となる。
【0020】
また、第2循環経路内の水の温度を検知する温度検知器を備えたことを特徴としたものである。
【0021】
かかる構成によれば、制御器は、エア噛み確認ステップにおいて、ポンプおよび加熱器を動作させることにより温度検知器が水温の上昇を検知した場合にポンプがエア噛みをしていないと判定することができ、エア噛み確認終了後、系統からポンプに電力を供給した場合に電流測定器が測定する電流値に基づいて電流測定器の診断を実行するので、ポンプの空運転による機器損傷や騒音発生をすることなく電流測定器の診断が可能となる。
【0022】
また、第2循環経路内の水の圧力を検知する第2圧力センサを備えたことを特徴としたものである。
【0023】
かかる構成によれば、制御器は、診断ステップにおいて、第2ポンプを動作させることにより第2圧力センサが水圧の上昇を検知した場合に第2ポンプがエア噛みをしていないと判定することができ、商用電力系統から第2ポンプに電力を供給した場合に電流測定器が測定する電流値に基づいて電流測定器の診断を実行するので、第2ポンプの空運転による機器損傷や騒音発生をすることなく電流測定器の診断が可能となる。
【0024】
また、第2循環経路内の水の水位を検知する第2水位検知器を備えたことを特徴としたものである。
【0025】
かかる構成によれば、制御器は、診断ステップにおいて、第2ポンプを動作させることにより第2水位検知器が水位の上昇を検知した場合に第2ポンプがエア噛みをしていないと判定することができ、商用電力系統から第2ポンプに電力を供給した場合に電流測定器が測定する電流値に基づいて電流測定器の診断を実行するので、第2ポンプの空運転による機器損傷や騒音発生をすることなく電流測定器の診断が可能となる。
【0026】
また、制御器は、分散型発電装置を設置後に初めて起動する場合に、水張りステップと診断ステップとを実行することを特徴としたものである。
【0027】
かかる構成によれば、制御器は、分散型発電装置を設置後に初めて起動する場合に、水張りステップと診断ステップとを実行するので、水張り後のエア噛み確認と電流測定器の
診断が同時に行うので、ポンプの空運転による機器損傷や騒音発生をすることなく効率的な電流測定器の診断が可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の熱電併給システムは、熱電併給システムを発電する前に商用電力を計測する手段の異常や配線の断線等の異常を極めて効率的に把握できる。また、商用電力を計測する電流測定器の異常や脱着の判定、配線の断線等の異常判定を、ポンプの運転動作を空運転等による機器損傷や騒音を発生させることなく安全かつ確実に実現できる熱電併給システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態1における熱電併給システムの構成図
【図2】同熱電併給システムの操作手段の構成図
【図3】同熱電併給システムの電流測定器の診断フローチャート
【図4】本発明の実施の形態2における熱電併給システムの構成図
【図5】同熱電併給システムの電流測定器の診断フローチャート
【図6】本発明の実施の形態3における熱電併給システムの構成図
【図7】同熱電併給システムの電流測定器の診断フローチャート
【図8】本発明の実施の形態4における熱電併給システムの構成図
【図9】同熱電併給システムの電流測定器の診断フローチャート
【図10】従来の熱電併給システムの構成図
【発明を実施するための形態】
【0030】
第1の発明は、燃料ガスが供給されて発電を行う分散型発電装置と、分散型発電装置の起動および停止を制御する制御器と、制御器により起動および停止が制御され、水を圧送するためのポンプと、商用電力系統から前記ポンプへ供給される電流を測定する電流測定器とを有しており、制御器は、ポンプが配置される水経路に水を供給する水張りステップを行い、前記水張りステップの後に前記ポンプを動作させることにより、前記ポンプのエア噛み検知と、前記ポンプがエア噛みしていないと判定した場合に前記電流測定器が測定する前記ポンプへの供給電力に基づいて行う前記電流測定器の診断と、を実行する診断ステップを行うものである。
【0031】
この構成により、貯湯タンクに水を供給する水張りステップを行い、ポンプがエア噛みをしていないと判定した場合に、商用電力系統からポンプに電力を供給して電流測定器が測定する電流値に基づいて電流測定器の診断を実行する。そのため、空運転によるポンプ損傷や騒音発生を防止する電流測定器の診断が可能な熱電併給システムを提供することが可能となる。
【0032】
第2の発明は、ポンプを動作させた場合にポンプに供給される電流量に対応する第1電流量を記憶し、診断ステップにおいてポンプを動作させた場合に、電流測定器が第1電流量を検知した場合に電流測定器は正常であると判定する制御器を備えたものである。
【0033】
この構成により、制御器が、診断ステップにおいてポンプを動作させた場合に、電流測定器が第1電流量を検知した場合に電流測定器は正常であると判定するので、ポンプを動作させた場合の電流測定器による電流検知量が第1電流量を超えた場合にエア噛みのない場合の電流値と判断し、かつ電流測定器も正常であると判断するため、エア噛み検知と同時に電流測定器の正常な装着診断が可能になり、ポンプの空運転による機器損傷や騒音発生を確実に防止することが可能となる。
【0034】
第3の発明は、分散型発電装置の発電により発生した熱を回収する水が循環する第1循
環経路を備え、ポンプは、第1循環経路に配置され第1循環経路内の水を圧送する第1ポンプを備えたものである。
【0035】
この構成により、分散型発電装置の排熱を回収した湯を蓄える貯湯タンクと、分散型発電装置と貯湯タンクとの間の排熱回収配管の水張りが終了すれば、第1ポンプを動作させ商用電力系統から第1ポンプに電力を供給した場合に電流測定器が測定する電流値に基づいて電流測定器の診断を実行するので、電流測定器の診断時に第1ポンプの空運転による機器損傷や騒音発生を確実に防止することが可能となる。
【0036】
第4の発明は、第1循環経路内の水の圧力を検知する第1圧力センサを備えたものである。
【0037】
この構成により、制御器が診断ステップにおいて、第1ポンプを動作させることにより第1圧力センサが水圧の上昇を検知した場合に第1ポンプがエア噛みをしていないと判定、かつ電流測定器も正常であると判断するため、エア噛み検知と同時に電流測定器の正常な装着診断が可能になり、電流測定器の診断時に第1ポンプの空運転による機器損傷や騒音発生を確実に防止することが可能となる。
【0038】
第5の発明は、第1循環経路内の水の水位を検知する第1水位検知器を備えたものである。
【0039】
この構成により、制御器が診断ステップにおいて、第1ポンプを動作させることにより第1水位検知器が水位の上昇を検知した場合に第1ポンプがエア噛みをしていないと判定、かつ電流測定器も正常であると判断するため、エア噛み検知と同時に電流測定器の正常な装着診断が可能になり、電流測定器の診断時に第1ポンプの空運転による機器損傷や騒音発生を確実に防止することが可能となる。
【0040】
第6の発明は、制御器により起動および停止が制御され、熱負荷に第2循環経路を介して供給される水を加熱する加熱器を備え、ポンプは、第2循環経路に配置され第2循環経路内の水を圧送する第2ポンプを備えたものである。
【0041】
この構成により、熱負荷と加熱器とを結ぶ第2循環経路内の水張りが完了した後に、商用電力系統から第2ポンプに電力を供給した場合に電流測定器が測定する電流値に基づいて電流測定器の診断を実行するので、第2ポンプの運転動作において空運転等による機器損傷や騒音発生をすることなく電流測定器の診断が可能となる。
【0042】
第7の発明は、第2循環経路内の水の温度を検知する温度検知器を備えたものである。
【0043】
この構成により、制御器は、エア噛み確認ステップにおいて、第2ポンプおよび加熱器を動作させることにより温度検知器が水温の上昇を検知した場合に第2ポンプがエア噛みをしていないと判定することができ、エア噛み確認を確実に終了させた後に、系統から第2ポンプに電力を供給した場合に電流測定器が測定する電流値に基づいて電流測定器の診断を実行するので、第2ポンプの空運転による機器損傷や騒音発生をすることのない電流測定器の診断が可能となる。
【0044】
第8の発明は、第2循環経路内の水の圧力を検知する第2圧力センサを備えたものである。
【0045】
この構成により、制御器は、エア噛み確認ステップにおいて、第2ポンプを動作させることにより第2圧力センサが水圧の上昇を検知した場合に第2ポンプがエア噛みをしてい
ないと判定することができ、エア噛み確認を確実に終了させた後に、商用電力系統からポンプに電力を供給した場合に電流測定器が測定する電流値に基づいて電流測定器の診断を実行するので、第2ポンプの空運転による機器損傷や騒音発生をすることのない電流測定器の診断が可能となる。
【0046】
第9の発明は、第2循環経路内の水の水位を検知する第2水位検知器を備えたものである。
【0047】
この構成により、制御器は、エア噛み確認ステップにおいて、第2ポンプを動作させることにより第2水位検知器が水位の上昇を検知した場合に第2ポンプがエア噛みをしていないと判定することができ、エア噛み確認を確実に終了させた後に、商用電力系統から第2ポンプに電力を供給した場合に電流測定器が測定する電流値に基づいて電流測定器の診断を実行するので、第2ポンプの空運転による機器損傷や騒音発生をすることのない電流測定器の診断が可能となる。
【0048】
第10の発明は、制御器は、分散型発電装置を設置後に初めて起動する場合に、水張りステップと診断ステップとを実行するものである。
【0049】
この構成により、制御器は、分散型発電装置を設置後に初めて起動する場合に、水張りステップと診断ステップとを実行するので、水張り、エア噛み確認と商用電力系統からポンプに電力を供給することを電流測定器が測定する電流値に基づいて診断を実行するので、ポンプの空運転による機器損傷や騒音発生をすることのない電流測定器の診断が可能となる。
【0050】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0051】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る熱電併給システムの構成図である。
【0052】
図1において、系統電源100と電力を消費する電力負荷101とをつなぐ電力線102上に第1の接続点103があり、さらに、この接続点103の系統電源側に配置され、少なくとも系統電源100から電力負荷101に供給される電力を検知する電流測定器104としてのCT(電流センサ)が接続されている。
【0053】
また、第1の接続点103には、燃料ガスと酸化剤ガスとを電気化学的に反応させて発電を行う分散型発電装置である燃料電池105が接続されている。燃料電池105内部には、燃料電池105の起動および停止を制御する信号を出力するとともに、電流測定器104が測定した電流値に基づいて電流測定器の診断を実行する制御器106が接続されている。制御器106には、施工時やメンテナンス時に、燃料電池105の試運転や電流測定器104の診断を行う操作をするための操作手段107が接続されている。
【0054】
また、燃料電池105には、排熱回収配管108を介して排熱回収手段としての貯湯タンク109が接続されている。排熱回収配管108の水を循環させるポンプ110が排熱回収配管108の経路上に配置されている。さらに、貯湯タンク109に排熱回収された湯を利用するための制御を行う排熱回収制御器111が接続され、貯湯タンク109内に残湯が有る場合は残湯を利用し、残湯がない場合は、加熱器112を介して追い焚き加熱して、設定温度の湯を給湯端末としての給湯カラン113に供給するように接続されている。また、貯湯タンク109と排熱回収制御器111と加熱器112は互いに接続して入るとともに、これらをまとめて排熱回収装置114として構成される。排熱回収制御器1
11は、燃料電池105内蔵の制御器106と制御情報を通信し、熱電併給システム115の発電と排熱回収運転とを制御するように構成されている。
【0055】
図2に示すように、操作手段107には、スイッチなどの操作部107aとLCD画面等の表示部107bとが備わっている。
【0056】
以上のように構成された熱電併給システムについて、以下その動作、作用を説明する。
【0057】
本実施の形態では、分散発電装置として、燃料電池105を用いた例として説明する。
【0058】
まず、熱電併給システム115を設置、施工完了したときに、図3に示す電流測定器の診断フローチャートに従って診断を行う。
【0059】
まず、操作手段107を用いて、下記の排熱回収装置114の試運転を行う。
【0060】
<ステップ1>排熱回収装置114の試運転が完了しているかの確認。
完了の場合;ステップ7(燃料電池105の試運転)へ。
未完了の場合;ステップ2へ。
【0061】
<ステップ2>貯湯タンク109の水張りが完了しているかの確認。
完了の場合;ステップ4へ。
未完了の場合;ステップ3(貯湯タンク109へ水張りをする)へ。
【0062】
<ステップ4>給湯試運転が完了しているかの確認。
完了の場合;ステップ6(排熱回収装置114の試運転が完了)へ。
未完了の場合;ステップ5(給湯端末(カラン)113から出湯を行いエア噛みを解消させ給湯することを確認する)へ。
【0063】
次に、操作手段107を用いて、下記の燃料電池105の試運転を行う。
【0064】
<ステップ7>燃料電池105の水張りが完了しているかの確認。
完了の場合;ステップ8へ。
未完了の場合;ステップ9(燃料電池105の水張りをする)へ。
【0065】
<ステップ8>電流測定器104の診断が完了しているかの確認。
完了の場合;ステップ10(電流測定器104の診断完了)へ。
未完了の場合;ステップ11(電流測定器104の診断をする)へ。
【0066】
よって、排熱回収装置114の試運転によって、貯湯タンク109の水張りが完了し、続いて燃料電池105の水張り(燃料電池スタック(図示せず)の発電に伴う排熱を熱交換器(図示せず)を介して回収するための排熱回収配管108に水張りすること)が完了することになる。排熱回収装置の試運転の後に燃料電池の試運転を行うことにより、燃料電池105の水張り時のポンプ110の運転動作によって、貯湯タンク109内の水が排熱回収配管108を介して燃料電池側に供給されるため、燃料電池の試運転を終了すれば、排熱回収配管108の配管内のエア噛みは解消される。このあと、電流測定器104の診断をステップ11によって行う。すなわち、操作手段107より、電流測定器104の診断を操作することにより、制御器106に電流測定器104の診断指令信号が出力される。制御器106は、通信線により排熱回収制御器111にポンプ110を一定時間間隔(数(10〜30)秒毎に)で運転させる。このとき、制御器106は、ポンプ110運転時の電流測定器104の電流測定値とポンプ110非運転時の電流測定器104の電流
測定値を入力する。ポンプ110運転時と非運転時の電流測定値の差を所定の判定値(ポンプ110の運転動作時の電流値)と比較した結果、電流値、電流値の極性(電流の向き)に間違いがなれれば診断完了(正常動作確認)となる。 以降、冷蔵庫、照明器具、テレビ等の家電製品などの電力負荷101が使用されると系統電源100から電力線102を介して、電力供給事業者から電力供給された場合、この電力負荷101への供給電力を制御器106は、CT等の電流センサで構成された電流測定器104によって負荷電力(PL)として検知することが可能になる。
【0067】
そして、制御器106は、電力負荷101へ燃料電池105から発電電力を供給するべく燃料電池105を起動させ、発電状態になったところで、接続点103から電力負荷101へ発電電力(PF)供給を行う。
【0068】
ここで、負荷電力(PL)と燃料電池105の発電電力(PF)の大小関係によって、PL>PFの場合は、電力負荷101への電力不足分(PX=PL−PF)は、系統電源100から電力供給されることになる。
【0069】
以上のように、本実施の形態においては、排熱回収装置114の試運転によって、貯湯タンク109の水張りが完了し、続いて燃料電池105の水張りが完了することになり、燃料電池105の水張り時のポンプ110の運転動作によって、排熱回収配管108の配管内のエア噛みは解消された後に、電流測定器104の診断を行うことになる。よって、制御器106から排熱回収制御器111にポンプ110の運転動作信号を出力することにより、ポンプ110運転時の電流測定器104の電流測定値とポンプ110非運転時の電流測定器104の電流測定値を入力し、ポンプ110運転時と非運転時の電流測定値の判定することにより電流測定器の診断を実行することが可能となる。
【0070】
なお、本実施の形態1では、燃料電池の試運転の後に電流測定器104の診断を操作手段107の介して実施する例を説明したが、燃料電池105の試運転の工程における燃料電池105の水張り時のポンプ110の運転動作中に電流測定器104の診断を兼ねても良いことは言うまでもない。この場合、電流測定器104でポンプ110運転時の電流測定器104の電流測定値が、エア噛み時の電流測定値(A)(水の抵抗がない軽負荷(若しくは無負荷)運転時の電流測定値)からエア噛み解消時の電流測定値(B)(水の抵抗がある有負荷運転時の電流測定値)に変化したときにエア噛み解消状態となる。そして、燃料電池105の試運転(水張り)完了すると共に電流測定器の診断完了となる。
【0071】
また、本実施の形態1では、分散型発電装置として燃料電池105を設置した場合を記載しているが、燃料ガスが供給されて発電を行う発生手段(ガスエンジン発電装置、スターリングエンジン発電装置など)のいずれかであれば同様の効果があることは言うまでもない。
【0072】
さらに、本実施の形態1で説明した手段は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバー等のハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムであれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録したりインターネットなどの通信回線を用いて配信したりすることでプログラムの配布・更新やインストール作業が簡単にできる。
【0073】
なお、本発明の熱電併給システムは家庭用に限らずオフィスや工場などの業務用であっても良い。
【0074】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2に係る熱電併給システムの構成図である。
【0075】
図4において、熱負荷として浴槽116へのふろ(湯張り、追い焚き)熱供給を第2循環経路としてふろ循環配管117を介して加熱器112より行うように接続されている。また、ふろ循環配管117に配置されふろ循環配管117経路内の水を圧送する第2ポンプとしてのふろ循環ポンプ118を接続している。
【0076】
また、図4において、熱負荷として暖房端末119(パネルヒータ)への暖房熱供給を第2循環経路として暖房循環配管120を介して加熱器112より行うように接続されている。暖房循環配管120には、暖房循環配管120経路内の循環水(不凍液など)を圧送する第2ポンプとしての暖房循環ポンプ121を接続している。
【0077】
つまり、第2循環経路がふろ循環配管117で第2ポンプがふろ循環ポンプ118の場合と、第2循環経路が暖房循環配管120で第2ポンプが暖房循環ポンプ121の場合と、の両方の場合のそれぞれについて説明を行う。
【0078】
以上のように構成された熱電併給システムについて、以下その動作、作用を説明する。
【0079】
まず、熱電併給システム115を設置、施工完了したときに、図5に示す電流測定器の診断フローチャートに従って診断を行う。
【0080】
まず、操作手段107を用いて、下記の排熱回収装置114の試運転を行う。
【0081】
<ステップ1>排熱回収装置114の試運転が完了しているかの確認。
完了の場合;ステップ7(燃料電池105の試運転)へ。
未完了の場合;ステップ2へ。
【0082】
<ステップ2>貯湯タンク109の水張りが完了しているかの確認。
完了の場合;ステップ4へ。
未完了の場合;ステップ3(貯湯タンク109へ水張りをする)へ。
【0083】
<ステップ4B>給湯・暖房・ふろ試運転が完了しているかの確認。
完了の場合;ステップ6(排熱回収装置114の試運転が完了)へ。
未完了の場合;ステップ5B(1.給湯端末(カラン)から出湯をする(給湯試運転)2.暖房試運転をする3.ふろ試運転をする)へ。
【0084】
次に、操作手段107を用いて、下記の燃料電池105の試運転を行う。
【0085】
<ステップ7>燃料電池105の水張りが完了しているかの確認。
完了の場合;ステップ8へ。
未完了の場合;ステップ9(燃料電池105の水張りをする)へ。
【0086】
<ステップ8>電流測定器104の診断が完了しているかの確認。
完了の場合;ステップ10(電流測定器104の診断完了)へ。
未完了の場合;ステップ11(電流測定器104の診断をする)へ。
【0087】
よって、排熱回収装置114の試運転によって、貯湯タンク109の水張りが完了し、給湯端末(カラン)から出湯をする給湯試運転と暖房試運転とふろ試運転が完了することになる。排熱回収装置114の暖房試運転とふろ試運転が完了することによって、第2循環経路(暖房循環配管120、ふろ循環配管117)の配管内のエア噛みは解消される。
【0088】
続いて燃料電池105の水張り(燃料電池スタック(図示せず)の発電に伴う排熱を熱交換器(図示せず)を介して回収するための排熱回収配管108に水張りすること)が完了する。
【0089】
このあと、電流測定器104の診断をステップ11によって行う。すなわち、操作手段107より、電流測定器104の診断を操作することにより、制御器106に電流測定器104の診断指令信号が出力される。制御器106は、排熱回収制御器111に暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118を一定時間間隔(数(10〜30)秒毎に)で運転させる。このとき、制御器106は、暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118運転時の電流測定器104の電流測定値と暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118非運転時の電流測定器104の電流測定値を入力する。暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118運転時と非運転時の電流測定値の差を所定の判定値(暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118の運転動作時の電流値)と比較した結果、電流値、電流値の極性(電流の向き)に間違いがなれれば診断完了(正常動作確認)となる。
【0090】
以降、冷蔵庫、照明器具、テレビ等の家電製品などの電力負荷101が使用されると系統電源100から電力線102を介して、電力供給事業者から電力供給された場合、この電力負荷101への供給電力を制御器106は、CT等の電流センサで構成された電流測定器104によって負荷電力(PL)として検知することが可能になる。
【0091】
そして、制御器106は、電力負荷101へ燃料電池105から発電電力を供給するべく燃料電池105を起動させ、発電状態になったところで、接続点103から電力負荷101へ発電電力(PF)供給を行う。
【0092】
ここで、負荷電力(PL)と燃料電池105の発電電力(PF)の大小関係によって、PL>PFの場合は、電力負荷101への電力不足分(PX=PL−PF)は、系統電源100から電力供給されることになる。
【0093】
以上のように、本実施の形態においては、排熱回収装置114の試運転によって、第2の循環経路に接続された暖房回路とふろ回路の試運転が完了することになり、暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118の運転動作によって、第2循環経路の配管内のエア噛みは解消された後に、電流測定器104の診断を行うことになる。よって、制御器106から排熱回収制御器111に暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118の運転動作信号を出力することにより、暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118運転時の電流測定器104の電流測定値と暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118非運転時の電流測定器104の電流測定値を入力し、暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118運転時と非運転時の電流測定値の判定することにより電流測定器の診断を実行することが可能となる。
【0094】
なお、本実施の形態2では、分散型発電装置として燃料電池105を設置した場合を記載しているが、燃料ガスが供給されて発電を行う発生手段(ガスエンジン発電装置、スターリングエンジン発電装置など)のいずれかであれば同様の効果があることは言うまでもない。
【0095】
なお、本実施の形態で説明した手段は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバー等のハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムであれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録したりインターネットなどの通信回線を用いて配信したりすることでプログラムの配布・更新やインストール作業が簡単にできる。
【0096】
なお、本発明の熱電併給システムは家庭用に限らずオフィスや工場などの業務用であっても良い。
【0097】
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3に係る熱電併給システムの構成図である。
【0098】
図6において、浴槽116への第2循環経路としてのふろ循環配管117にふろ循環水の温度を検知するサーミスタ等の温度検知器122が接続されている。また、暖房端末119(パネルヒータ)への第2循環経路としての暖房循環配管120に暖房循環水の温度を検知するサーミスタ等の温度検知器123が接続されている。
【0099】
以上のように構成された熱電併給システムについて、以下その動作、作用を説明する。
【0100】
まず、熱電併給システム115を設置、施工完了したときに、図7に示す電流測定器の診断フローチャートに従って診断を行う。
【0101】
まず、操作手段107を用いて、下記の排熱回収装置114の試運転を行う。
【0102】
<ステップ1>排熱回収装置114の試運転が完了しているかの確認。
完了の場合;ステップ7(燃料電池105の試運転)へ。
未完了の場合;ステップ2へ。
【0103】
<ステップ2>貯湯タンク109の水張りが完了しているかの確認。
完了の場合;ステップ4Cへ。
未完了の場合;ステップ3(貯湯タンク109へ水張りをする)へ。
【0104】
<ステップ4C>給湯・暖房・ふろ試運転が完了しているかの確認。
完了の場合;ステップ6(排熱回収装置114の試運転が完了)へ。
未完了の場合;ステップ5C(1.給湯端末(カラン)から出湯をする(給湯試運転)2.暖房試運転をする3.ふろ試運転をする)へ。
ステップ5Cの2.暖房試運転では、暖房循環ポンプ121動作と加熱器112の加熱動作を行ったときに温度検知器123の温度上昇と一定時間の温度上昇状態が継続したことを確認することによってエア噛みをしていないと判定した場合に暖房試運転完了となる。3.ふろ試運転では、ふろ循環ポンプ118動作と加熱器112の加熱動作を行ったときに温度検知器122の温度上昇と一定時間の温度上昇状態が継続したことを確認することによってエア噛みをしていないと判定した場合にふろ試運転完了となる。
【0105】
次に、操作手段107を用いて、下記の燃料電池105の試運転を行う。
【0106】
<ステップ7>燃料電池105の水張りが完了しているかの確認。
完了の場合;ステップ8へ。
未完了の場合;ステップ9(燃料電池105の水張りをする)へ。
【0107】
<ステップ8>電流測定器104の診断が完了しているかの確認。
完了の場合;ステップ10(電流測定器104の診断完了)へ。
未完了の場合;ステップ11(電流測定器104の診断をする)へ。
【0108】
よって、排熱回収装置114の試運転によって、貯湯タンク109の水張りが完了し、給湯端末(カラン)から出湯をする給湯試運転と暖房試運転とふろ試運転が完了すること
になる。排熱回収装置114の暖房試運転とふろ試運転が完了することによって、第2循環経路(暖房循環配管120、ふろ循環配管117)の配管内のエア噛みは解消される。
【0109】
続いて燃料電池105の水張り(燃料電池スタック(図示せず)の発電に伴う排熱を熱交換器(図示せず)を介して回収するための排熱回収配管108に水張りすること)が完了する。
【0110】
このあと、電流測定器104の診断をステップ11Bによって行う。すなわち、操作手段107より、電流測定器104の診断を操作することにより、制御器106に電流測定器104の診断指令信号が出力される。制御器106は、排熱回収制御器111に暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118を一定時間間隔(数(10〜30)秒毎に)で運転させる。このとき、制御器106は、暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118運転時の電流測定器104の電流測定値と暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118非運転時の電流測定器104の電流測定値を入力する。暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118運転時と非運転時の電流測定値の差を所定の判定値(暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118の運転動作時の電流値)と比較した結果、電流値、電流値の極性(電流の向き)に間違いがなれれば診断完了(正常動作確認)となる。
【0111】
以降、冷蔵庫、照明器具、テレビ等の家電製品などの電力負荷101が使用されると系統電源100から電力線102を介して、電力供給事業者から電力供給された場合、この電力負荷101への供給電力を制御器106は、CT等の電流センサで構成された電流測定器104によって負荷電力(PL)として検知することが可能になる。
【0112】
そして、制御器106は、電力負荷101へ燃料電池105から発電電力を供給するべく燃料電池105を起動させ、発電状態になったところで、接続点103から電力負荷101へ発電電力(PF)供給を行う。
【0113】
ここで、負荷電力(PL)と燃料電池105の発電電力(PF)の大小関係によって、PL>PFの場合は、電力負荷101への電力不足分(PX=PL−PF)は、系統電源100から電力供給されることになる。
【0114】
以上のように、本実施の形態3においては、排熱回収装置114の試運転によって、第2の循環経路に接続された暖房回路とふろ回路の試運転が完了することになり、暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118の運転動作によって、第2循環経路の配管内のエア噛みは解消された後に、電流測定器104の診断を行うことになる。よって、制御器106から排熱回収制御器111に暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118の運転動作信号を出力することにより、暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118運転時の電流測定器104の電流測定値と暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118非運転時の電流測定器104の電流測定値を入力し、暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118運転時と非運転時の電流測定値の判定することにより電流測定器の診断を実行することが可能となる。
【0115】
以上のように、本実施の形態においては、制御器106は、エア噛み確認ステップ(ステップ5B)において、ポンプ(暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118)および加熱器112を動作させることにより温度検知器122、123が水温の上昇を検知した場合にポンプ(暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118)がエア噛みをしていないと判定することができ、エア噛み確認終了後、系統からポンプ(暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118)に電力を供給した場合に電流測定器104が測定する電流値に基づいて電流測定器104の診断を実行するので、ポンプ(暖房循環ポンプ1
21またはふろ循環ポンプ118)の空運転による機器損傷や騒音発生をすることなく電流測定器の診断が可能となる。
【0116】
なお、本実施の形態2では、分散型発電装置として燃料電池105を設置した場合を記載しているが、燃料ガスが供給されて発電を行う発生手段(ガスエンジン発電装置、スターリングエンジン発電装置など)のいずれかであれば同様の効果があることは言うまでもない。
【0117】
なお、本実施の形態で説明した手段は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバー等のハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムであれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録したりインターネットなどの通信回線を用いて配信したりすることでプログラムの配布・更新やインストール作業が簡単にできる。
【0118】
なお、本発明の燃料電池は家庭用に限らずオフィスや工場などの業務用であっても良い。
【0119】
(実施の形態4)
図8は、本発明の実施の形態4に係る熱電併給システムの構成図である。
【0120】
図8において、浴槽116への第2循環経路としてのふろ循環配管117にふろ循環水経路内の水の圧力を検知する圧力センサ124が接続されている。また、暖房端末(パネルヒータ)119への第2循環経路としての暖房循環配管120に暖房循環水の圧力を検知する圧力センサ125が接続されている。
【0121】
以上のように構成された熱電併給システムについて、以下その動作、作用を説明する。
【0122】
まず、熱電併給システム115を設置、施工完了したときに、図9に示す電流測定器の診断フローチャートに従って診断を行う。
【0123】
まず、操作手段107を用いて、下記の排熱回収装置114の試運転を行う。
【0124】
<ステップ1>排熱回収装置114の試運転が完了しているかの確認。
完了の場合;ステップ7(燃料電池105の試運転)へ。
未完了の場合;ステップ2へ。
【0125】
<ステップ2>貯湯タンク109の水張りが完了しているかの確認。
完了の場合;ステップ4Dへ。
未完了の場合;ステップ3(貯湯タンク109へ水張りをする)へ。
【0126】
<ステップ4D>給湯・暖房・ふろ試運転が完了しているかの確認。
完了の場合;ステップ6(排熱回収装置114の試運転が完了)へ。
未完了の場合;ステップ5D(1.給湯端末(カラン)から出湯をする(給湯試運転)2.暖房試運転をする3.ふろ試運転をする)へ。
ステップ5Dの2.暖房試運転では、暖房循環ポンプ121動作を行ったときに圧力センサ125の圧力上昇と一定時間の圧力上昇状態が継続したことによってエア噛みをしていないと判定した場合に暖房試運転完了となる。
3.ふろ試運転では、ふろ循環ポンプ118動作を行ったときに圧力センサ124の圧力上昇と一定時間の圧力上昇状態が継続したことを確認することによってエア噛みをしていないと判定した場合にふろ試運転完了となる。
【0127】
次に、操作手段107を用いて、下記の燃料電池105の試運転を行う。
【0128】
<ステップ7>燃料電池105の水張りが完了しているかの確認。
完了の場合;ステップ8へ。
未完了の場合;ステップ9(燃料電池105の水張りをする)へ。
【0129】
<ステップ8>電流測定器104の診断が完了しているかの確認。
完了の場合;ステップ10(電流測定器104の診断完了)へ。
未完了の場合;ステップ11(電流測定器104の診断をする)へ。
【0130】
よって、排熱回収装置114の試運転によって、貯湯タンク109の水張りが完了し、給湯端末(カラン)から出湯をする給湯試運転と暖房試運転とふろ試運転が完了することになる。排熱回収装置114の暖房試運転とふろ試運転が完了することによって、第2循環経路(暖房循環配管120、ふろ循環配管117)の配管内のエア噛みは解消される。
【0131】
続いて燃料電池105の水張り(燃料電池スタック(図示せず)の発電に伴う排熱を熱交換器(図示せず)を介して回収するための排熱回収配管108に水張りすること)が完了する。
【0132】
このあと、電流測定器104の診断をステップ11Bによって行う。すなわち、操作手段107より、電流測定器104の診断を操作することにより、制御器106に電流測定器104の診断指令信号が出力される。制御器106は、排熱回収制御器111に暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118を一定時間間隔(数(10〜30)秒毎に)で運転させる。このとき、制御器106は、暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118運転時の電流測定器104の電流測定値と暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118非運転時の電流測定器104の電流測定値を入力する。暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118運転時と非運転時の電流測定値の差を所定の判定値(暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118の運転動作時の電流値)と比較した結果、電流値、電流値の極性(電流の向き)に間違いがなれれば診断完了(正常動作確認)となる。
【0133】
以降、冷蔵庫、照明器具、テレビ等の家電製品などの電力負荷101が使用されると系統電源100から電力線102を介して、電力供給事業者から電力供給された場合、この電力負荷101への供給電力を制御器106は、CT等の電流センサで構成された電流測定器104によって負荷電力(PL)として検知することが可能になる。
【0134】
そして、制御器106は、電力負荷101へ燃料電池105から発電電力を供給するべく燃料電池105を起動させ、発電状態になったところで、接続点103から電力負荷101へ発電電力(PF)供給を行う。
【0135】
ここで、負荷電力(PL)と燃料電池105の発電電力(PF)の大小関係によって、PL>PFの場合は、電力負荷101への電力不足分(PX=PL−PF)は、系統電源100から電力供給されることになる。
【0136】
以上のように、本実施の形態3においては、排熱回収装置114の試運転によって、第2の循環経路に接続された暖房回路とふろ回路の試運転が完了することになり、暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118の運転動作によって、第2循環経路の配管内のエア噛みは解消された後に、電流測定器104の診断を行うことになる。よって、制御器106から排熱回収制御器111に暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118の
運転動作信号を出力することにより、暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118運転時の電流測定器104の電流測定値と暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118非運転時の電流測定器104の電流測定値を入力し、暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118運転時と非運転時の電流測定値の判定することにより電流測定器の診断を実行することが可能となる。
【0137】
以上のように、本実施の形態においては、制御器106は、エア噛み確認ステップ(ステップ5B)において、ポンプ(暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118)を動作させることにより圧力センサ(124、125)が圧力の上昇を検知した場合にポンプ(暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118)がエア噛みをしていないと判定することができ、エア噛み確認終了後、系統からポンプ(暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118)に電力を供給した場合に電流測定器104が測定する電流値に基づいて電流測定器104の診断を実行するので、ポンプ(暖房循環ポンプ121またはふろ循環ポンプ118)の空運転による機器損傷や騒音発生をすることなく電流測定器の診断が可能となる。
【0138】
なお、本実施の形態4では、分散型発電装置として燃料電池105を設置した場合を記載しているが、燃料ガスが供給されて発電を行う発生手段(ガスエンジン発電装置、スターリングエンジン発電装置など)のいずれかであれば同様の効果があることは言うまでもない。
【0139】
なお、本実施の形態で説明した手段は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバー等のハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムであれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録したりインターネットなどの通信回線を用いて配信したりすることでプログラムの配布・更新やインストール作業が簡単にできる。
【0140】
なお、本発明の燃料電池は家庭用に限らずオフィスや工場などの業務用であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0141】
以上のように、本発明にかかる熱電併給システムは、施工後の施工検証時やメンテナンスのために水抜きした後のメンテナンス完了確認等において、貯湯タンクに水を供給する水張りステップとポンプを動作させてポンプがエア噛みをしていないことを確認するエア噛み確認ステップとを行った後に、商用電力系統からポンプに電力を供給した場合に電流測定器が測定する電流値に基づいて電流測定器の診断を実行することができるので、熱電併給システムを発電する前に商用電力を計測する手段の異常や配線の断線等の異常を把握できる。また、施工後、またはメンテナンス後等に、商用電力を計測する電流測定器の異常や脱着の判定、配線の断線等の異常判定を、電気負荷としてポンプを用い商用電力の変動の有無を検知することにより実施し、かつ、ポンプの運転動作を空運転等による機器損傷や騒音を発生させることなく電流測定器の診断を行うことができる。そのため、燃料電池発装置、ガスエンジン発電装置、スターリングエンジン発電装置などの分散型発電装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0142】
115 熱電併給システム
105 燃料電池
100 系統電源
101 電力負荷
102 電力線
103 接続点
104 電流測定器
106 制御器
107 操作手段
108 排熱回収配管
109 貯湯タンク
110 ポンプ
111 排熱回収制御器
112 加熱器
113 給湯カラン
114 排熱回収装置
116 浴槽
117 循環配管
118 ふろ循環ポンプ
119 暖房端末
120 暖房循環配管
121 暖房循環ポンプ
122、123 温度検知器
124、125 圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスが供給されて発電を行う分散型発電装置と、
少なくとも前記分散型発電装置の起動および停止を制御する制御器と、
前記制御器により起動および停止が制御され、水を圧送するためのポンプと、
商用電力系統から前記ポンプへ供給される電流を測定する電流測定器と、
を備え、
前記制御器は、
前記ポンプが配置される水経路に水を供給する水張りステップを行い、
前記水張りステップの後に前記ポンプを動作させることにより、前記ポンプのエア噛み検知と、前記ポンプがエア噛みしていないと判定した場合に前記電流測定器が測定する前記ポンプへの供給電力に基づいて行う前記電流測定器の診断と、を実行する診断ステップを行う、
熱電併給システム。
【請求項2】
前記制御器は、
前記ポンプを動作させた場合に前記ポンプに供給される電流量に対応する第1電流量を記憶しており、
前記診断ステップにおいて前記ポンプを動作させた場合に、前記電流測定器が前記第1電流量を検知した場合に前記電流測定器は正常であると判定する、
請求項1に記載の熱電併給システム。
【請求項3】
前記分散型発電装置の発電により発生した熱を回収する水が循環する第1循環経路を備え、
前記ポンプは、前記第1循環経路に配置され前記第1循環経路内の水を圧送する第1ポンプを有している、
請求項1又は2に記載の熱電併給システム。
【請求項4】
前記第1循環経路内の水の圧力を検知する第1圧力センサを備え、
前記制御器は、前記診断ステップにおいて、前記第1ポンプを動作させることにより前記第1圧力センサが水圧の上昇を検知した場合に前記第1ポンプがエア噛みをしていないと判定する、
請求項3に記載の熱電併給システム。
【請求項5】
前記第1循環経路内の水の水位を検知する第1水位検知器を備え、
前記制御器は、前記診断ステップにおいて、前記第1ポンプを動作させることにより前記第1水位検知器が水位の上昇を検知した場合に前記第1ポンプがエア噛みをしていないと判定する、
請求項3に記載の熱電併給システム。
【請求項6】
前記制御器により起動および停止が制御され、第2循環経路を介して熱負荷に供給される水を加熱する加熱器を備え、
前記ポンプは、前記第2循環経路に配置され前記第2循環経路内の水を圧送する第2ポンプを有している、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱電併給システム。
【請求項7】
前記第2循環経路内の水の温度を検知する温度検知器と、
を備え、
前記制御器は、前記診断ステップにおいて、前記第2ポンプおよび前記加熱器を動作させることにより前記温度検知器が水温の上昇を検知した場合に前記第2ポンプがエア噛み
をしていないと判定する、
請求項6に記載の熱電併給システム。
【請求項8】
前記第2循環経路内の水の圧力を検知する第2圧力センサを備え、
前記制御器は、前記診断ステップにおいて、前記第2ポンプを動作させることにより前記第2圧力センサが水圧の上昇を検知した場合に前記ポンプがエア噛みをしていないと判定する、
請求項6に記載の熱電併給システム。
【請求項9】
前記第2循環経路内の水の水位を検知する第2水位検知器を備え、
前記制御器は、前記診断ステップにおいて、前記第2ポンプを動作させることにより前記第2水位検知器が水位の上昇を検知した場合に前記第2ポンプがエア噛みをしていないと判定する、
請求項6に記載の熱電併給システム。
【請求項10】
前記制御器は、前記分散型発電装置を設置後に初めて起動する場合に、前記水張りステップと前記診断ステップとを実行する、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱電併給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−79746(P2013−79746A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219002(P2011−219002)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】