説明

熱電対

半導体処理リアクタ内で使用される熱電対について記載される。熱電対は、端部に測定先端と、他端に開口部と、を有する、シースを含む。長さに沿って形成されるボアを有する支持部材は、シース内に配置される。異種金属から形成される一対のワイヤは、ボア内に配置され、ワイヤの端部は、融合され、接点を形成する。ワイヤは、ボアの長さに沿って延在する。ワイヤが、ボアから延出するにつれて、空間的または物理的に分離され、その間の短絡を防止する。また、ボアから延出するワイヤの両端は、長手方向に自由に熱膨張し、それによって、ワイヤが微量の滑動によって故障する潜在性を低減または排除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、温度センサに関し、より具体的には、半導体処理装置における温度制御の精度を高めるように構成される温度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
高温半導体処理チャンバは、種々の材料層を基材表面または複数の表面上に蒸着するために使用される。シリコンウエハ等の、1つ以上の基材または工作物が、処理チャンバ内の工作物支持材上に配置される。基材および工作物支持材の両方は、所望の温度まで加熱される。典型的処理ステップでは、反応ガスが、各加熱された基材に上を通過することよって、化学蒸着法(CVD)反応により、反応ガス中の反応材料の薄層を基材表面上に蒸着させる。後続の処理を通して、これらの層は、集積回路、ならびに、基材のサイズおよび回路の複雑性に応じて、数千または数百万もの集積デバイスにされる。
【0003】
結果として生じる蒸着層の高品質を確保するように、種々の処理パラメータが慎重に制御されなければならない。1つのそのような重要パラメータは、各処理ステップ中の基材の温度である。CVD中に、例えば、蒸着ガスが特定の温度で反応して、基材上に薄層を蒸着させる。温度が基材の表面にわたって大きく変動する場合は、蒸着層が不均等である可能性があり、それは、完成した基材の表面上の使用不可能な領域をもたらす場合がある。したがって、反応性ガスが処理チャンバに導入される前に、基材温度が安定しており、所望の温度で均一であることが重要である。
【0004】
同様に、他の熱処理中の基材にわたる温度の不均一性または不安定性は、基材の表面上の結果として生じる構造の均一性に影響を及ぼし得る。温度制御が重要となり得る他の処理は、酸化、窒化物形成、ドーパント拡散、スパッタ蒸着、フォトリソグラフィ、乾式エッチング、プラズマ法、および高温アニールを含むが、それらに限定されない。
【0005】
処理されている基材の付近にあり、および直接隣接する種々の場所で、温度を測定するための方法およびシステムが公知である。典型的には、熱電対が処理されている基材の付近の種々の場所に配置され、これらの熱電対は、基材の表面全体にわたってより均一な温度を提供するのを支援するように、制御器に動作可能に接続される。例えば、Van Bilsenに発行された特許文献1は、基材の前縁付近に配置される熱電対、後縁付近の別の熱電対、および基材の中心より下の別の熱電対を含む、基材を包囲する種々の点で温度を測定する、複数の温度センサを教示している。
【0006】
しかしながら、高温処理チャンバ内の温度を測定する際に採用される熱電対は、熱電対内で使用されるワイヤの微量の滑動による故障が認められている。熱電対は、典型的には、その中に長手方向ボアを有する、細長いセラミック部材を含む。一対のワイヤが、ボアの長さにわたって延在し、ワイヤの端部は、融合され、温度測定目的のために、基材に隣接して位置付けられ、対向するワイヤの両端は、コントローラに接続される。典型的には、温度測定端の反対側のワイヤの両端は、セラミック部材のボアから延出し、屈曲または圧着され、略固定されるように、セラミック部材を囲繞するシースに固着される。蒸着処理ステップが行なわれる場合、処理リアクタが加熱され、それによって、熱電対のセラミック部材およびワイヤを加熱する。加熱されると、ワイヤは、セラミックと異なる速度で長手方向に膨張し、それによって、ワイヤ内に長手方向応力を生じさせる。ワイヤの両端は、加熱および冷却の反復サイクル後、略固定されるため、ワイヤ内の長手方向応力によって、ワイヤ内に微量の滑動が生じ、熱電対の故障をもたらす。故に、セラミック部材の長手方向膨張に対して、セラミック部材内に位置決定されるワイヤを自由に膨張させる熱電対設計が、必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,121,061号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面では、半導体処理リアクタ内で使用される熱電対が、提供される。熱電対は、その端部に測定先端を有する、シース含む。熱電対は、シース内に配置される支持部材であって、それを通して形成される少なくとも2つのボアを有する、支持部材をさらに含む。一対のワイヤは、異種金属から形成され、別個のボア内に配置される。接点は、ワイヤそれぞれの端部間に形成され、接点は、支持部材の端部に隣接して位置決定される。対のワイヤは、支持部材に対して、自由に熱膨張または収縮可能である。
【0009】
本発明の別の局面では、半導体処理リアクタ内で使用される熱電対が、提供される。熱電対は、シースと、少なくとも部分的に内シースに配置される支持部材と、を含む。支持部材は、第1のボアと、第2のボアと、を含み、第1および第2のボアは、支持部材の長手方向軸と略平行に形成される。熱電対は、第1のボア内に配置される、第1のワイヤと、第2のボア内に配置される第2のワイヤと、をさらに含む。第1および第2のワイヤは、異種金属から形成される。接点は、第1のワイヤの端部と、第2のワイヤの端部との間に形成され、接点は、支持部材の端部に隣接して位置決定される。第1のループは、第1のワイヤが、接点の反対側の支持部材の端部に隣接する、第1のボアから延出する位置に隣接する、第1のワイヤの一部によって形成される。第2のループは、第2のワイヤが、接点の反対側の支持部材の端部に隣接する、第2のボアから延出する位置に隣接する、第2のワイヤの一部によって形成される。第1および第2のループは、支持部材内において、第1および第2のワイヤを長手方向に自由に熱膨張させるように構成される。
【0010】
本発明のさらに別の局面では、半導体処理リアクタ内で使用される熱電対が、提供される。熱電対は、その中に形成される少なくとも1つのボアを有する、支持部材を含む。第1のワイヤは、第1のボア内に配置され、第2のワイヤは、離間するように、第1のワイヤに隣接して配置される。第1および第2のワイヤは、異種金属から形成される。また、熱電対は、第1のワイヤの端部と、第2のワイヤの端部との間に形成される、接点を含み、接点は、支持部材の端部に隣接して位置決定される。第1のループは、接点の反対側の支持部材の端部に隣接する、第1のワイヤの一部によって形成され、第2のループは、第1のループに隣接する第2のワイヤの一部によって形成される。第1および第2のループは、第1および第2のループは、支持部材に対して、第1および第2のワイヤを自由に熱膨張または収縮させるように構成される。
【0011】
本発明の利点は、例証として示され、説明されている、本発明の実施形態の以下の説明から、当業者にとってより明白となるであろう。認識されるように、本発明は、他の実施形態および異なる実施形態が可能であり、その詳細は、種々の点で修正が可能である。したがって、図面および説明は、本来、制限的ではなく例証的として見なされるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、化学蒸着法リアクタのある実施形態の断面図である。
【図2】図2は、温度制御システムのある実施形態の概略図である。
【図3】図3は、本発明の熱電対のある実施形態の斜視図である。
【図4】図4は、図3の熱電対の分断された断面図である。
【図5A】図5Aは、支持部材のある実施形態である。
【図5B】図5Bは、支持部材の別の実施形態である。
【図5C】図5Cは、支持部材のさらに別の実施形態である。
【図5D】図5Dは、支持部材のさらなる実施形態である。
【図5E】図5Eは、支持部材の別の実施形態である。
【図6】図6は、シースのある実施形態である。
【図7A】図7Aは、単一接合熱電対の拡張斜視図である。
【図7B】図7Bは、二重接合熱電対の拡張斜視図である。
【図7C】図7Cは、二重接合熱電対の代替実施形態の側面図である。
【図8A】図8Aは、リテーナアセンブリおよび支持部材のある実施形態の拡大断面図である。
【図8B】図8Bは、リテーナアセンブリおよび支持部材の別の実施形態の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照すると、化学蒸着法(「CVD」)リアクタ10の例示的実施形態が示されている。図示した実施形態は単一基材、水平流、冷水壁リアクタであるが、本明細書で説明される熱電対技術は、他の種類の半導体処理リアクタ、ならびに正確な温度センサを必要とする他の用途で使用されてもよいことが、当業者によって理解されるはずである。リアクタ10は、反応空間14を画定する反応チャンバ12と、反応チャンバ12の対向側に位置する発熱体16と、基材支持機構18とを含む。反応チャンバ12は、反応性ガスが反応空間14に流入することを可能にするための入口20と、それを通して反応性ガスおよびプロセス副生成物が反応空間14から退出する出口22とを有する、細長い部材である。実施形態では、反応チャンバ12は、透明な水晶で形成される。反応チャンバ12は、反応チャンバ12中に導入される反応ガスおよび処理反応から生じる処理副産物に対して、十分に略無反応性である任意の他の材料から形成されてもよいことが、当業者によって理解されるはずである。
【0014】
発熱体16は、図1に示されるように、上バンクおよび下バンクを形成する。発熱体16は、同じバンク内で隣接する発熱体16に対して離間するように配向される。実施形態では、上バンクの発熱体16は、下バンクの発熱体16に対して略垂直に配向される。発熱体16は、反応チャンバ12の壁によって大量に吸収されることなく、放射エネルギーを反応チャンバ12に提供する。発熱体16は、処理されている基材24ならびに基材支持機構18の複数部分によって吸収される波長の放射熱を提供するように構成される。ある実施形態では、複数のスポットランプ26は、基材支持機構18の裏面に集中熱を提供し、反応チャンバ12の底壁を通して上方に延在する冷温基材支持構造によって生じる放熱板効果に対処する。
【0015】
基材支持機構18は、図1に示されるように、基材24が配置され得る、基材ホルダ28と、支持スパイダ30と、を含む。支持スパイダ30は、反応チャンバ12の下壁から垂下するチューブ34を通して下方に延在する、シャフト32に接続される。モータ(図示せず)は、シャフト32を回転させるように構成され、それによって、スパイダ30、基材ホルダ28、および基材24を蒸着プロセス中に同様に回転させる。
【0016】
図1〜2に例証されるように、化学蒸着法リアクタ10のための温度制御システム36は、処理される基材24に隣接して位置決定される、複数の温度センサを含み、温度センサは、特定の位置における温度データを温度コントローラ38に提供するために、温度コントローラ38に動作可能に接続される。温度コントローラ38は、基材24に隣接して配置される、少なくとも1つの発熱体16、26に動作可能に接続される。温度コントローラ38は、温度センサによって提供されるデータに応答して、発熱体16、26から放出されるエネルギーを選択的に調節し、処理される基材24全体にわたって、略均一温度分布を維持するように構成される。温度制御システム36は、データを温度コントローラ38に提供するために、異なる位置に配置される、任意の数の温度センサを含んでもよいことが、当業者によって理解されるはずである。例証される実施形態では、温度制御システム36は、基材ホルダ28の下表面に隣接して位置決定される、中心温度センサ40と、前縁温度センサ42と、後縁温度センサ44と、少なくとも1つの側縁温度センサ46と、を含む。前縁および後縁温度センサ42、44は、反応空間14内の反応性ガスの流れの方向Aに対して、基材24の前後縁に隣接して位置する。温度センサは、温度センサの位置を直囲繞する局所面積内の温度を測定するように構成される。
【0017】
ある実施形態では、温度センサ40、42、44、46のうちの少なくとも1つは、図3〜8に例証されるように、熱電対50である。他の温度センサは、光高温計、当技術分野において既に周知の熱電対、またはそれらの任意の組み合わせとして形成されてもよいことが、当業者によって理解されるはずである。ある実施形態では、熱電対50は、図3〜8に示されるように、シース52と、支持部材54と、第1のワイヤ56と、第2のワイヤ58と、カラー60と、偏向機構62と、リテーナアセンブリ64と、コネクタ66と、を含む。ある実施形態では、支持部材54は、図5A〜5Cに例証されるように、長手方向軸Bを有する、略細長い円筒形部材である。支持部材54は、第1の遠位端68と、対向する第2の遠位端70と、を含む。支持部材54は、第1の遠位端68から延在する支持部材54の略全長に沿って延在する、略円形断面を有する。
【0018】
図6を参照すると、支持部材54の一部を保護および封入するためのシース52のある実施形態が、示される。シース52は、開口部86と、測定先端78と、を有する、細長い部材である。支持部材54は、支持部材54の第1の遠位端68が、測定先端78に隣接して位置決定され、支持部材54の第2の遠位端70が、シース52の開口部86を越えて延在し得るように、開口部86内に挿入される。ある実施形態では、シース52は、略線形部材として形成されてもよいが、また、シース52は、非線形部材として形成されてもよいことが、当業者によって理解されるはずである。
【0019】
ある実施形態では、支持部材54は、図5Aに示されるように、一対の対向する切り欠き72を含む。切り欠き72は、第2の遠位端70近傍に、支持部材54の略矩形断面を形成する。各切り欠き72は、第2の遠位端70から離間される位置間と、第2の遠位端70との間の距離全体にわたって延在する。各切り欠き72は、支持部材54の外側表面から、その長手方向軸Bに向かって延在する、湾曲部分74を含む。各切り欠き72は、湾曲部分74から第2の遠位端70まで延在する、略平面表面76をさらに含む。代替実施形態では、切り欠き72は、略線形テーパとして形成され、テーパ表面全体は、第2の遠位端70から離間される位置と、第2の遠位端70との間において、略平面である。切り欠き72によって、第1および第2のワイヤ56、58は、離間関係のまま残され、第1および第2のワイヤ56、58は、対向する切り欠き72間に位置決定される、支持部材54の一部によって離間される。
【0020】
別の実施形態では、支持部材54は、図5Bに例証されるように、単一切り欠き72を含む。切り欠き72は、第2の遠位端70の近傍に、支持部材54の略半円形断面形状を形成する。切り欠き72は、第2の遠位端70から離間される位置と、第2の遠位端70との間の距離全体にわたって延在する。切り欠き72は、支持部材54の外側表面から、その長手方向軸Bに向かって延在する、湾曲部分74を含む。切り欠き72は、湾曲部分74から第2の遠位端70まで延在する、略平面表面76をさらに含む。切り欠き72によって、第1および第2のワイヤ56、58は、離間関係のまま残され、ワイヤが短絡するのを防止する。
【0021】
さらに別の実施形態では、支持部材54は、図5Cに例証されるように、一対の対向する切り欠き72を含む。各切り欠き72は、第2の遠位端70の近傍の支持部材54内に、戻り止めを形成する。各切り欠き72は、支持部材54の外側表面から、その長手方向軸Bに向かって延在する、一対の湾曲部分74を含む。各切り欠き72は、湾曲部分74間に延在する、略平面表面76をさらに含む。切り欠き72によって、第1および第2のワイヤ56、58は、離間関係のまま残され、第1および第2のワイヤ56、58は、対向する切り欠き72間に位置決定される、支持部材54の一部によって分離される。切り欠き72は、任意の形状として形成可能であるが、但し、第1および第2のワイヤ56、58は、分離されたまま残されることが、当業者によって理解されるはずである。
【0022】
さらなる実施形態では、支持部材54は、図5Dに例証されるように、その中に形成される、一対の層状切り欠き72を有する、細長い部材である。第1の対の切り欠き72は、図5Aに例証される対の切り欠き72に類似し、第1の対の切り欠き72は、支持部材54の第2の遠位端70まで延在する。第2の対の切り欠き72’は、第1の対の切り欠き72の平面表面76中に形成される。第2の対の切り欠き72’は、支持部材54の第2の遠位端70まで延在する。第1の対の切り欠き72は、支持部材54の中心部分によって分離され、第2の対の切り欠き72’は、支持部材54の中心部分のより薄い区分によって分離される。図5Eに例証される別の実施形態では、支持部材54は、その中に形成される、任意の切り欠きを含まない。支持部材54は、支持部材54の長さに沿って、またはその遠位端に隣接する、任意の位置に位置決定される、任意の数の切り欠きを含んでもよいことが、当業者によって理解されるはずである。
【0023】
ある実施形態では、支持部材54は、セラミックから形成される。支持部材54は、循環温度変動ならびに熱電対50が曝露される温度範囲に耐えるために十分な任意の種類の材料から形成されてもよいことが、当業者によって理解されるはずである。また、例証される熱電対50は、略線形であるが、熱電対50は、熱電対50の測定先端78が、局所温度測定のために、所定の位置に配置されるために十分な任意の形状から形成されてもよいことが、当業者によって理解されるはずである。
【0024】
ある実施形態では、支持部材54は、図5Aに示されるように、第1のボア80と、第2のボア82と、をさらに含む。第1および第2のボア80、82は、第1の遠位端68内に形成され、支持部材54を通して、長手方向軸Bと略平行に延在する。第1および第2のボア80、82はそれぞれ、第1の遠位端68から切り欠き72まで延在する。第1および第2のワイヤ56、58は、第1および第2のワイヤ56、58が、第2の遠位端70から離間される位置において、支持部材54の対応するボア80、82から延出し、対向する切り欠き72間の支持部材54の一部によって、離間関係に維持されるように、第1および第2のボア80、82が、切り欠き72と交差する位置において、第1および第2のボア80、82から延出する。
【0025】
図5Bに例証される実施形態では、支持部材54は、第1のボア80と、第2のボア82と、を含む。第2のボア82は、第1の遠位端68と第2の遠位端70との間の支持部材54の全長にわたって延在し、第1のボア80は、支持部材54の長手方向距離の一部のみにわたって延在し、第1のボア80は、支持部材54の第1の遠位端68から、第1のボア80が、切り欠き72と交差する位置まで延在する。第1のボア80は、第1のワイヤ56を受容するように構成され、第2のボア82は、第2のワイヤ58を受容するように構成される。第1のワイヤ56は、支持部材の第2の遠位端70に対して、離間された位置において、第1のボア80から延出し、第2のワイヤ58は、第2のボア82から延出する。第1および第2のワイヤ56、58が、対応するボア80、82から延出する離間関係は、ワイヤ56、58間の短絡の可能性の低減または排除を補助すうr。
【0026】
図5Cは、第1のボア80と、それを通して形成される、第2のボア82と、を含む、支持部材54の別の実施形態を例証する。各ボア80、82は、支持部材54の第1の遠位端68から、第2の遠位端70から離間される位置まで延在し、第1および第2のボア80、82は、支持部材54中に形成される、対応する切り欠き72と交差する。ボア80、82は、切り欠き72間の支持部材54の中心部分によって離間される。各ボア80、82は、第1または第2のワイヤ56、58のうちの一方を受容するように構成され、ワイヤは、ボア80、82が、切り欠き72と交差する位置において、対応するボア80、82から延出する。
【0027】
図5Dに例証されるさらに別の実施形態では、支持部材54は、その長手方向軸に沿って形成される、第1のボア80と、第2のボア82と、第3のボア81と、第4のボア83と、を含む。各ボア80、82、81、83は、その中にワイヤ56、58、57、59を受容するように構成される(図7C)。例えば、図7Bに示される実施形態では、第1のボア80は、第1のワイヤ56を受容するように構成され、第2のボア82は、第2のワイヤ58を受容するように構成され、第3のボア81は、第3のワイヤ57を受容するように構成され、第4のボア83は、第4のワイヤ59を受容するように構成される。ボア80、82、81、83はそれぞれ、支持部材54の第1の遠位端68から延在する。第1および第4のボア80、83は、第1の遠位端68から、ボア80、83と対応する第1の切り欠き72との間の交点まで延在し、第2および第3のボア82、81は、第1の遠位端68から、ボア82、81と対応する第2の切り欠き72’との間の交点まで延在する。第1および第4のワイヤ56、59は、支持部材54の第2の遠位端70から離間される位置において、ボア80、83から延出し、第1の対の切り欠き72間の支持部材54の一部によって、離間関係に維持され、第2および第3のワイヤ58、57は、第1および第4のワイヤ56、59が、その対応するボアから延出し、ワイヤ56、59が、第2の対の切り欠き72’間の支持部材54の一部によって分離される位置より短距離にわたって、第2の遠位端70から離間される位置において、ボア82、81から延出する。
【0028】
図5Eに例証される別の実施形態では、その長手方向軸に沿って形成される、単一ボア80を含む。ボア80は、その中に単一ワイヤを受容するように構成され、少なくとも1つの他のワイヤは、ボア80内の第1のワイヤと略平行に整合される、支持部材54の外側表面に隣接して位置決定可能である。ボア80内に受容されるワイヤと、外部から支持部材54まで延在するワイヤは、支持部材54の第1の遠位端68に隣接して融合され、その間に接点84を形成可能である。
【0029】
図7Aに例証される実施形態では、支持部材54の第1のボア80は、第1のワイヤ56を受容するように構成され、第2のボア82は、第2のワイヤ58を受容するように構成される。ある実施形態では、第1および第2のワイヤ56、58の一部は、支持部材54の第1の遠位端68を越えて延在する。第1の遠位端68を越えて延在する第1および第2のワイヤ56、58の一部は、融合され、その間に電気接続または接点84を形成する。
【0030】
図5Dおよび7Bに例証される実施形態では、支持部材54は、その中に形成される、4つのボア80、82、81、83を含み、各ボアは、ワイヤ56、58、57、59を受容するように構成される。第1の対のワイヤ56、58は、支持部材54の第1の遠位端68に隣接して融合され、第1の接点84を形成し、第2の対のワイヤ57、59は、支持部材54の第1の遠位端68に隣接して融合され、第1の接点84から離間され、その間の短絡を防止する、第2の接点84’を形成する。ある実施形態では、ワイヤの両端56、58(および、57、59)は、溶融合される。第1および第2のワイヤ56、58および/または第3および第4のワイヤ57、59の両端を融合し、その間に電気接続を使用する任意の方法が、使用可能であることが、当業者によって理解されるはずである。任意の数の接点84が、支持部材54の第1の遠位端68に隣接して形成可能であるが、但し、接点84は、離間されたまま残され、その間の短絡を防止することが、当業者によって理解されるはずである。
【0031】
図7Cに例証される別の実施形態では、支持部材54は、その長さに沿って位置決定される、切り欠き72を含んでもよい。切り欠き72は、支持部材54を通して形成される、2つのボアのみと交差するように構成される。例えば、例証される切り欠き72は、第3および第4のワイヤ57、59が、ボア81、83が、切り欠き72と交差する位置において、ボア81、83から延出するように、第3および第4のボア81、83と交差する。例証される実施形態では、第1および第2のワイヤ56、58は、融合され、支持部材54の第1の遠位端68に隣接して配置される、第1の接点84を形成し、第3および第4のワイヤ57、59は、融合され、支持部材54の長さに沿って形成される、切り欠き72に隣接して位置決定される、第2の接点84’を形成する。第2の接点84’は、相互から離間された2つの異なる局所温度を測定するために、または二重接合熱電対を形成するために、熱電対50に第2の接点を提供する。第2の接点84’は、支持部材54の第1の遠位端68に隣接して(図7B)、あるいは支持部材54の長さに沿った任意の位置において(図7Cまたはそれに類似)、形成可能であることが、当業者によって理解されるはずである。また、任意の数の接点が、支持部材54の長さに沿って形成され、熱電対50の長さに沿った異なる位置における局所温度測定を提供可能であることが、当業者によって理解されるはずである。
【0032】
図7Aに示されるように、結合されたワイヤは、支持部材54の第1の遠位端68に直隣接して位置決定される、接点84を形成する。ある実施形態では、第1および第2のワイヤ56、58は、異種金属から形成され、その間に熱電対を形成する。ある実施形態では、第1のワイヤ56は、白金から形成され、第2のワイヤ58は、13%ロジウムを有する、白金合金から形成される。第1および第2のワイヤ56、58は、その間に熱電対を形成するために十分な任意の異種金属から形成可能であることが、当業者によって理解されるはずである。別の実施形態では、3つのワイヤは、支持部材54の長さにわたって延在し、接点は、3つのワイヤ間に形成される。第1および第2のワイヤは、白金または白金−ロジウム合金の一方から形成され、第3のワイヤ(図示せず)は、白金または白金−ロジウム合金の他方から形成される。接点は、同一材料から形成される2つのワイヤの一方が故障する場合に備えて、熱電対が、冗長ワイヤを含むように、3つのワイヤ間に形成される。第3のワイヤは、支持部材54を通して形成される第3のボア(図示せず)によって受容されてもよく、または第3のワイヤは、支持部材54の外側表面に隣接して位置決定され、第3のワイヤは、第1および第2のワイヤ56、58から離間されたまま残される。また、熱電対は、その間に任意の数の接点を形成可能な任意の数のワイヤを含んでもよいことが、当業者によって理解されるはずである。
【0033】
ある実施形態では、第1と第2のワイヤ56、58との間の接点84は、離間関係において、かつ測定先端78において、シース52の内側表面に隣接して、配置される。ある実施形態では、接点84は、測定先端78において、シース52の内側表面と接触する。接点84が、測定される特定の位置に配置される測定先端78から離間される距離が大きいほど、特定の位置における温度測定の精度は低くなることが、当業者によって理解されるはずである。
【0034】
ある実施形態では、第1および第2のワイヤ56、58それぞれの直径は、約0.010インチである。別の実施形態では、第1および第2のワイヤ56、58それぞれの直径は、約0.014インチある。第1および第2のワイヤ56、58は、任意の直径から形成可能であることが、当業者によって理解されるはずである。また、第1のワイヤ56および第2のワイヤ58は、異なる直径を有してもよいことが、当業者によって理解されるはずである。第1および第2のボア80、82は、それぞれ、第1および第2のワイヤ56、58を受容する一方、第1および第2のワイヤ56、58をその中で半径方向および軸方向に熱膨張または収縮させるように、定寸ならびに成形される。故に、第1および第2のボア80、82は、第1および第2のワイヤ56、58の断面積より若干大きい断面積を有する。
【0035】
支持チューブ54は、図3〜4に示されるように、少なくとも部分的に保護シース52内に配置される。支持部材54の第2の遠位端70は、シース52の開口部86を越えて、外向きに延在する。ある実施形態では、シース52は、透明石英材料から形成される。シース52は、その中に配置される支持部材54と同一全体断面形状を有するが、シース52は、若干大きい断面形状を有し、シース52の内側表面と支持部材54の外側表面との間に空隙を提供する。シース52は、その端部に測定先端78と、その対向端に開口部86と、を含む。別の実施形態では、シース52は、窒化ケイ素(SiN)によって塗膜される、それに塗布される他の表面処理を有し、反応チャンバ12内での化学蒸着法(「CVD」)処理の間、シースの寿命を延長させてもよい。さらに別の実施形態では、炭化ケイ素(SiC)キャップ等のキャップ(図示せず)が、シース52の測定先端78に塗布され、周囲環境と第1および第2のワイヤ56、58との間に、良好な熱伝達を提供する。
【0036】
第1および第2のワイヤ56、58は、図4、7、および8A〜8Bに示されるように、接点84から、支持部材54内に形成される離間ボア80、82を通して延在し、支持部材54の切り欠き72または第2の遠位端70との第1および第2のボア80、82の交点に隣接する、第1および第2のボア80、82から延出する。図3〜4に示されるように、カラー60は、支持部材54の第2の遠位端70から離間された距離において、支持部材54の外側表面に動作可能に接続される。ある実施形態では、カラー60は、支持部材54から別個に形成され、後に、支持部材54に着設される。別の実施形態では、支持部材54およびカラー60は、単一部材として形成される。ある実施形態では、カラー60の少なくとも一部は、シース52の内側表面に接触し、支持部材54が、例えあったとしても、シース52内で側方にほとんど移動しないことを確実にする。
【0037】
リテーナアセンブリ64は、図3〜4および8A〜8Bに示されるように、シース52の開口部86内に配置され、第1および第2のワイヤ56、58の一部を固着するように構成される。ある実施形態では、リテーナアセンブリ64は、プラグ88と、リング90と、を含む。プラグ88は、シース52の開口部86中に挿入されるように構成されるが、プラグ88の一部は、シース52の端部を越えて延在する。プラグ88は、支持部材54を受容するように適合される、開口91を含む。シース52の開口部86中に挿入される、プラグ88の一部の厚さは、支持部材54の外側表面とシース52の内側表面との間の距離より若干短く、それによって、支持部材54の長手方向軸Bに沿って、支持部材54を自由にプラグ88内で平行移動させる。
【0038】
ある実施形態では、リテーナアセンブリ64のリング90は、図4および8A〜8Bに示されるように、プラグ88ならびに開口部86に隣接するシース52の端部を封入するように構成される。リング90は、収縮リング92によって、プラグ88およびシース52に固着される。収縮リング92は、リング90の外側表面に圧縮力を提供し、それによって、リング90内のシース52およびプラグ88を圧搾する。同様に、収縮リング92によって印加される圧縮力は、プラグ88をシース52内に固着し、それによって、シース52内のプラグ88の一部が、シース52の開口部86から係脱するのを防止するが、依然として、支持部材54を自由にプラグ88内で平行移動させる。別の実施形態では、熱電対50は、リテーナアセンブリ64または偏向機構62(後述のような)を含まないが、代わりに、支持部材54は、略固定されるように(図示せず)、シース52に動作可能に固着され、支持部材54が、シース52に対して、偏移または除去されるのを防止する一方、支持部材54に対して、ワイヤ56、58を自由に熱膨張または収縮させる。リテーナアセンブリ64は、シース52に対して、支持部材54を支持部材54の実質的除去を防止するように固着可能な方法の例示的実施形態として、図示および記載されていることが、当業者によって理解されるはずである。
【0039】
図4に例証されるように、バネ等の偏向機構62は、シース52内に位置決定され、支持部材54の一部を囲繞する。偏向機構62は、シース52内に位置決定されるカラー60と、プラグ88の一部の端部との間に延在する。プラグ88は、シース52の端部に固着され、支持部材54は、プラグ88に対して、自由に平行移動可能であるため、偏向機構62は、支持部材54に固着されるカラー60に抗する偏向力を提供する。偏向機構62の偏向力は、支持部材54の第1の遠位端68に隣接する第1および第2のワイヤ56、58の接点84が、測定先端78において、シース52の内側表面に接触するまで、支持部材をシース52の測定先端78に向かって偏向させる。偏向機構62は、十分な量の偏向力を提供し、測定先端78において、接点84をシース52の内側表面と接触したまま維持する。リテーナアセンブリ64の上述の説明は、プラグ88およびリング90のみ含むが、リテーナアセンブリ64は、単一部材または3つ以上の部材から形成されてもよいことが、当業者によって理解されるはずである。リテーナアセンブリ64は、シース52に固着され、測定先端78において、シース52の内側表面に抗する接点84の偏向を補助する一方、また、支持部材54から延出するにつれて、熱電対のワイヤの露出された部分間の分離の維持を補助するように構成されることが、当業者によって理解されるはずである。
【0040】
第1および第2のワイヤ56、58の端部は、融合され、支持部材の第1の遠位端68に隣接する接点84を形成するが、第1および第2のワイヤ56、58は、第1および第2のワイヤ56、58の対向端が、コネクタ66(図3)に接続されるように、支持部材54の第2の遠位端70に隣接する支持部材54の第1および第2のボア80、82から延出する。図8Aに示される実施形態に例証されるように、第1のワイヤ56は、第1のボア80と切り欠き72との間の交点において、第1のボア80から延出し、第2のワイヤ58は、第2のボア82と対向する切り欠き72との間の交点において、第2のボア82から延出する。図8Bに示される実施形態に例証されるように、第1のワイヤ56は、第1のボア80と切り欠き72との間の交点において、第1のボア80から延出し、第2のワイヤ58は、支持部材54の第2の遠位端70において、第2のボアから延出する。
【0041】
Teflon(登録商標)チューブ94は、支持部材54とコネクタ66との間に位置決定される、第1および第2のワイヤ56、58両方の露出された部分の略全体にわたって配置される。チューブ94は、その中に配置されるワイヤの保護および/または絶縁被覆を提供するために十分な任意の材料から形成可能であることが、当業者によって理解されるはずである。チューブ94は、第1および第2のボア80、82外に位置決定される第1および第2のワイヤ56、58の一部を露出されたまま残す。第1および第2のワイヤ56、58は、支持部材54の長手方向軸Bに沿って、熱膨張および収縮するため、露出されたワイヤの一部は、チューブ94がその膨張および収縮に干渉することなく、ワイヤを膨張ならびに収縮させる。露出されたまま残される第1および第2のワイヤ56、58の量は、可変であってもよいが、露出されたまま残される量は、第1および第2のワイヤ56、58の露出された部分が接触し、短絡を生じさせる可能性を低減または排除するように、最小限にされるべきである。
【0042】
図8Aは、組み立てられた熱電対50の一実施形態を例証し、支持部材54は、支持部材54の第2の遠位端70から離間される位置において、第1および第2のボア80、82と交差する、対向する切り欠き72を含む。Teflon(登録商標)チューブ94は、ワイヤが、第1および第2のボア80、82から延出するにつれて、第1および第2のワイヤ56、58を囲繞するが、第1および第2のワイヤ56、58の一部は、露出されたまま残される。第1および第2のワイヤ56、58それぞれの露出された部分は、対向する切り欠き72間に延在する支持部材54を介して、他方から分離されたまま残される。切り欠き72間の本支持部材54の一部は、第1および第2のワイヤ56、58それぞれの露出された部分が、相互に接触不可能であって、それによって、短絡を防止することを確実にする。さらに、チューブ94は、第1および第2のワイヤ56、58の一部を露出させたまま残し、それによって、半径方向ならびに長手方向に、第1および第2のワイヤ56、58を自由に熱膨張および収縮させる。第1および第2のワイヤ56、58が、支持部材54から延在するにつれて、第1および第2のワイヤ56、58は、収縮リング92を介して、リング90の外側表面上の同一位置に固着され、それによって、パッケージングのため、ならびにワイヤ56、58を自由に熱膨張させるために、ワイヤ56、58を固着する。第1および第2のワイヤ56、58はそれぞれ、第1および第2のボア80、82から延出する位置と、リング90に固着される位置との間に、ループ96を形成する。両ループ96は、略類似曲率半径を有する。ある実施形態では、ループ96の曲率半径は、約2〜25mmである。ループ96の曲率半径は、より大きい、またはより小さくてもよいことが、当業者によって理解されるはずである。また、第1のワイヤ56によって形成されるループ96の曲率半径は、第2のワイヤ58によって形成されるループ96の曲率半径と異なってもよいことが、当業者によって理解されるはずである。
【0043】
図8Bは、組み立てられた熱電対50の別の実施形態を例証し、支持部材54は、支持部材54の第2の遠位端70から離間される位置において、第2のボア82と交差する、単一切り欠き72を含む。Teflon(登録商標)チューブ94は、ワイヤが、第1および第2のボア80、82から延出するにつれて、第1および第2のワイヤ56、58を囲繞するが、第1および第2のワイヤ56、58の一部は、露出されたまま残される。第1および第2のワイヤ56、58それぞれの露出された部分は、支持部材54を介して、かつ第1および第2のワイヤ56、58が、第1および第2のボア80、82から延出する位置間の距離にわたって、他方から分離されたまま残される。第1および第2のワイヤ56、58の露出された部分間の距離は、第1および第2のワイヤ56、58それぞれの露出された部分が、相互に接触不可能であって、それによって、短絡を防止することを確実にする。さらに、チューブ94は、第1および第2のワイヤ56、58の一部を露出されたまま残し、それによって、半径方向ならびに長手方向に、第1および第2のワイヤ56、58を自由に熱膨張および収縮させる。第1および第2のワイヤ56、58が、支持部材54から延在するにつれて、第1および第2のワイヤ56、58は、リング90の外側表面上の対向する位置に固着され、それによって、第1および第2のワイヤ56、58それぞれの露出された部分を離間するように維持する。第1および第2のワイヤ56、58はそれぞれ、第1および第2のボア80、82から延出する位置と、リング90に固着される位置との間に、ループ96を形成する。両ループ96は、略類似曲率半径を有する。ある実施形態では、ループ96の曲率半径は、約2〜25mmである。ループ96の曲率半径は、より大きくてもよいことが、当業者によって理解されるはずである。また、第1のワイヤ56によって形成されるループ96の曲率半径は、第2のワイヤ58によって形成されるループ96の曲率半径と異なってもよいことが、当業者によって理解されるはずである。
【0044】
第1および第2のワイヤ56、58は、ワイヤが、熱膨張および収縮の結果、半径および軸の両方向に、自由に膨張および収縮可能であるように、支持部材54のボア内に受容される。従来、第1および第2のワイヤ56、58は、支持部材54のボアから延出直後に屈曲および固着され、それによって、ワイヤが、長手方向に膨張可能となることを防止していた。ワイヤは、長手方向に適度に膨張不可能であったため、熱電対50の反復加熱および冷却は、支持部材54内のワイヤ中の微量の滑動を生じさせ、それによって、熱電対50の故障をもたらしていた。ワイヤが支持部材内のボアから延出するにつれて形成される、ループ96は、ワイヤが、軸方向および長手方向の両方向に、自由に膨張および収縮可能であることを確実にし、支持部材54内の両端に固定されるワイヤによる微量の滑動が排除される。さらに、各ワイヤの露出された部分は、ワイヤが、支持部材54から延出するにつれて、支持部材54(図8A)等の物理的障壁によって、露出された部分間の偏移等(図8B)、空間的に、または任意の他の手段によって、他方のワイヤの露出された部分から分離され、それによって、露出された部分は、熱電対50の動作の間、分離されたまま残される。
【0045】
本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明がそのように限定されず、本発明から逸脱することなく修正が行われ得ることを理解されたい。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義され、文字通りに、または均等に、特許請求の範囲の意義の範囲内となる全てのデバイス、プロセス、および方法は、その中に包含されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理リアクタ内で使用される熱電対であって、
シースであって、該シースの端部に測定先端を有する、シースと、
該シース内に配置される支持部材であって、該支持部材は、該支持部材を通って形成される少なくとも2つのボアを有する、支持部材と、
異種金属から形成される一対のワイヤであって、該一対のワイヤの各ワイヤは、別個のボア内に配置される、一対のワイヤと、
各ワイヤの端部において該一対のワイヤの間に形成される接点であって、該接点は、該支持部材の端部に隣接して位置決定される、接点と
を備え、該一対のワイヤは、該支持部材に対して、自由に熱膨張可能または熱収縮可能である、熱電対。
【請求項2】
前記一対のワイヤが、前記対応するボアから延出するにつれて、該一対のワイヤの各ワイヤによって形成されるループをさらに備える、請求項1に記載の熱電対。
【請求項3】
前記ループは、2mmより大きい曲率半径を有する、請求項2に記載の熱電対。
【請求項4】
前記一対のワイヤの各ワイヤは、該一対のワイヤの各ワイヤが前記対応するボアから延出するにつれて、保護チューブによって被覆される、請求項1に記載の熱電対。
【請求項5】
前記一対のワイヤの各ワイヤが前記対応するボアから延出するにつれて、該一対のワイヤの各ワイヤの一部は、露出されたまま残される、請求項4に記載の熱電対。
【請求項6】
前記複数のワイヤの各ワイヤの前記露出された部分は、該複数のワイヤの各ワイヤの該露出された部分のもう一方から、空間的または物理的に分離されたまま残される、請求項5に記載の熱電対。
【請求項7】
前記対応するボアから延出する前記ワイヤは、前記一対のワイヤ間に位置決定される前記支持部材の一部によって分離される、請求項1に記載の熱電対。
【請求項8】
前記ワイヤは、前記支持部材の端部に対して、異なる距離で前記対応するボアから延出する、請求項1に記載の熱電対。
【請求項9】
半導体処理リアクタ内で使用される熱電対であって、該熱電対は、
シースと、
少なくとも部分的に該シース内に配置される支持部材であって、該支持部材は、第1のボアと第2のボアとを有し、該第1のボアおよび該第2のボアは、該支持部材の長手方向軸に実質的に平行に形成される、支持部材と、
該第1のボア内に配置される第1のワイヤと、
該第2のボア内に配置される第2のワイヤであって、該第2のワイヤは、該第1のワイヤの異種金属から形成される、第2のワイヤと、
該第1のワイヤの端部と、該第2のワイヤの端部との間に形成される接点であって、該接点は、該支持部材の端部に隣接して位置決定される、接点と、
該第1のワイヤが、該接点の反対側の該支持部材の端部に隣接する該第1のボアから延出する位置に隣接する、該第1のワイヤの一部によって形成される、第1のループと、
該第2のワイヤが、該接点の反対側の該支持部材の端部に隣接する、該第2のボアから延出する位置に隣接する、該第2のワイヤの一部によって形成される、第2のループと
を備え、該第1のループおよび該第2のループは、該支持部材内において、該第1のワイヤおよび該第2のワイヤが長手方向に自由に熱膨張可能であるように構成される、熱電対。
【請求項10】
前記第1のループは、前記第2のループの曲率半径と実質的に等しい曲率半径を有する、請求項9に記載の熱電対。
【請求項11】
前記第1のループは、前記第2のループの曲率半径と異なる曲率半径を有する、請求項9に記載の熱電対。
【請求項12】
前記第1のループおよび前記第2のループの曲率半径は、少なくとも2mmである、請求項9に記載の熱電対。
【請求項13】
前記第1のループおよび前記第2のループの曲率半径は、2mm〜25mmである、請求項12に記載の熱電対。
【請求項14】
前記支持部材内に形成される互いに対向する切り欠きをさらに備え、前記第1のワイヤは、前記第1のボアと該切り欠きの一方との間の交点において、該第1のボアから延出し、前記第2のワイヤは、前記第2のボアと該切り欠きのもう一方との間の交点において、該第2のボアから延出する、請求項9に記載の熱電対。
【請求項15】
前記第1のボアと前記切り欠きの一方との間の前記交点は、前記第2のボアと該切り欠きのもう一方との間の前記交点と実質的に等しい距離だけ、前記支持部材の端部から間隔を空けられる、請求項14に記載の熱電対。
【請求項16】
前記第1のボアと前記切り欠きの一方との間の前記交点は、前記第2のボアと該切り欠きの他方との間の前記交点と異なる距離だけ、前記支持部材の端部から間隔を空けられる、請求項14に記載の熱電対。
【請求項17】
前記第1のワイヤは、前記第2のワイヤが、前記支持部材の端部に対して、前記第2のボアから延出するにつれて、前記支持部材の端部から実質的に同一の距離にわたって、前記第1のボアから延出する、請求項9に記載の熱電対。
【請求項18】
前記第1のワイヤは、前記第2のワイヤが、前記支持部材の端部に対して、前記第2のボアから延出するにつれて、前記支持部材の端部から異なる距離にわたって、前記第1のボアから延出する、請求項9に記載の熱電対。
【請求項19】
前記支持部材中に形成される切り欠きをさらに備え、該切り欠きは、前記第1のボアが、該支持部材の全長より短い距離だけ延在し、前記第2のボアが、該支持部材の全長にわたって延在するように、該支持部材の端部から間隔を空けられる位置において、該第1のボアと交差する、請求項9に記載の熱電対。
【請求項20】
前記第1のワイヤは、第1の位置において、前記第1のボアから延出し、前記第2のワイヤは、第2の位置において、前記第2のボアから延出し、該第1の位置は、該第2の位置から空間的または物理的に分離されることにより、該第1のワイヤと該第2のワイヤとの間の短絡を防止する、請求項9に記載の熱電対。
【請求項21】
半導体処理リアクタ内で使用される熱電対であって、
支持部材であって、該支持部材は、該支持部材内に形成される少なくとも1つのボアを有する、支持部材と、
該第1のボア内に配置される第1のワイヤと、
該第1のワイヤから間隔を空けるように、該第1のワイヤに隣接して配置される第2のワイヤであって、該第2のワイヤは、該第1のワイヤと異種金属から形成される、第2のワイヤと、
該第1のワイヤと該第2のワイヤとの間に形成される接点と、
該シースから延在する該支持部材の端部に隣接する該第1のワイヤの一部によって形成される第1のループと、
該第1のループに隣接する該第2のワイヤの一部によって形成される第2のループと
を備え、該第1のループおよび該第2のループは、該支持部材に対して、該第1のワイヤおよび該第2のワイヤが自由に熱膨張または熱収縮可能であるように構成される、熱電対。
【請求項22】
前記支持部材は、該支持部材の中に形成される、単一のボアを含む、請求項21に記載の熱電対。
【請求項23】
前記第2のワイヤは、前記第1のワイヤに対して、間隔を空ける関係で、前記支持部材の外側表面に隣接して配置される、請求項22に記載の熱電対。
【請求項24】
前記支持部材は、該支持部材の中に形成される、2つのボアを含む、請求項21に記載の熱電対。
【請求項25】
前記支持部材は、該支持部材の中に形成される、4つのボアを含む、請求項21に記載の熱電対。
【請求項26】
第3のワイヤと第4のワイヤとをさらに備え、前記第1のワイヤ、前記第2のワイヤ、該第3のワイヤおよび該第4のワイヤは、それぞれ、別個のボア内に受容され、第2の接点が、該第3のワイヤおよび該第4のワイヤのそれぞれの端部の間に形成される、請求項25に記載の熱電対。
【請求項27】
前記支持部材を通して形成されるボア内に受容される少なくとも3つのワイヤをさらに備える、請求項21に記載の熱電対。
【請求項28】
前記少なくとも3つのワイヤのうちの少なくとも2つのワイヤの間に形成される、2つ以上の接点をさらに備える、請求項27に記載の熱電対。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【公表番号】特表2011−524535(P2011−524535A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514650(P2011−514650)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2009/043454
【国際公開番号】WO2009/154896
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(500019890)エーエスエム アメリカ インコーポレイテッド (60)
【Fターム(参考)】