熱風処理不織布加工装置および加工方法
【課題】ウェブおよびシート状物の点在領域に熱風を貫通し、その貫通部位の繊維が熱接着したポイントスルーエア不織布を製作できる加工装置および加工方法を提供する。
【解決手段】回転走行する穴あき無端ベルトと、該穴あき無端ベルトの内面側から外側に向かって熱風を吹き出す熱風噴出装置と、前記穴あき無端ベルトを挟んで前記熱風噴出装置の熱風吹き出し面と対面する側に前記穴あき無端ベルトと所定間隔を設けて配置され、前記熱風を通過させながら回転走行する繊維搬送用無端ベルトとを備える熱風処理不織布加工装置とする。
【解決手段】回転走行する穴あき無端ベルトと、該穴あき無端ベルトの内面側から外側に向かって熱風を吹き出す熱風噴出装置と、前記穴あき無端ベルトを挟んで前記熱風噴出装置の熱風吹き出し面と対面する側に前記穴あき無端ベルトと所定間隔を設けて配置され、前記熱風を通過させながら回転走行する繊維搬送用無端ベルトとを備える熱風処理不織布加工装置とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布を製作するための該不織布を構成する繊維の熱風処理加工装置および加工方法に関し、より詳しくは、いわゆる合成繊維からなるウェブまたはシート状物の点在領域に熱風を貫通させ、その貫通部位の繊維が熱処理もしくは熱接着したポイントスルーエア不織布を製作するための加工装置および加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不織布製法の繊維間結合方法は、一般的にサーマルボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法および水流絞絡法などが周知である。一般的なサーマルボンド法の加工方式としては、熱風スルーエア加工方式、熱ロール圧着加工方式が知られている。
【0003】
熱風スルーエア加工方式は、低融点成分と高融点成分からなる熱接着性複合繊維をウェブとし、その全面に低融点以上かつ高融点以下の温度の熱風を貫通する方法である。この方法で得られた不織布は、嵩高性と強力を兼ね備えているが、繊維絞絡点が全面的に熱接着するため、柔軟性が損なわれる欠点がある。
【0004】
熱ロール圧着加工方式は、2ケ1対の熱ロールで押圧加工する方法である。この方法で得られた不織布は、高強力となるが、嵩高性と柔軟性が損なわれる欠点がある。この欠点を補うため、一方のロールを彫刻エンボスロールにしたポイントボンド熱圧着加工方式がある。しかしこの方法でも十分な嵩高性を得ることは困難である。
【0005】
そこで、不織布に十分な強度を持たせつつ、嵩高性と柔軟性を備えるために、熱風スルーエア加工方式を用いて、熱接着性複合繊維ウェブに熱風を貫通させる領域と熱風に接触させない領域を混在させて加工するポイントスルーエア加工方式が用いられている。特許文献1に記載されているように、ポイントスルーエア不織布の加工方式は、熱風加工機(サクションバンドドライヤー)を利用した加工方法である。具体的には、熱風加工機のコンベアネットの上に熱接着性複合繊維ウェブを乗せ、ウェブの嵩をできるだけ潰さないためのスペーサーを入れてパンチングボードで挟み、低風速の熱風で処理する方法、熱風加工機のコンベアを多孔タイプにして、その上に繊維ウェブをのせて熱風で処理する方法、および多孔タイプコンベアを上下に配した熱風加工機とし、ウェブを挟んで熱風で処理する方法が例示されている。
【0006】
このようなポイントスルーエア加工方式で不織布を作成した場合、熱風がパンチングボードを通過して熱接着性複合繊維ウェブを貫通し、繊維同士が熱により接着した熱接着部が不織布に点在する。この熱接着部領域は熱接着性複合繊維が互いに接着しているので不織布に強度を持たせることができ、一方、熱風が当たらなかった非熱接着部領域により、嵩高性と柔軟性を備えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4206570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の熱風加工機は、いわゆるサクションバンドドライヤーであり、コンベアが熱処理室で囲まれた構造をしている。従って、必然的に熱処理室が大きくなるため、処理時間も長くなる。処理時間が長い場合や熱風温度が繊維の融点温度に対して高すぎる場合、図6および図7に示すように、熱風による影響とパンチングボードからの熱により、熱接着部11と非熱接着部12との境界に互いが混在する混在部15が発生する。熱風吹き出し速度が小さい場合、また加工する繊維ウェブの繊維密度が高い場合は、熱風の直進性が損なわれ、拡散することになる。つまり、図8および図9に示すように、熱風が拡散した状態でコンベアネットに到達し、コンベアネットに近接する部位は全面的に熱処理された状態になる。逆に、拡散した熱風がコンベアネットまで到達しない場合は、該コンベアネットに近接する部位は全面的に熱処理がされていない状態になる。さらにまた、過度に高温の場合は、図10および図11に示すように、コンベアネット側の不織布面が全面に亘って接着した状態になり、非熱接着部12が無くなる可能性がある。逆に熱風温度が合成繊維の融点温度とほぼ同じ場合は、コンベアネット側の不織布面が全面に亘って未接着の状態になりやすく、繊維の熱接着部が形成されたポイントスルーエア不織布を得ることが出来ないことがある。
【0009】
また、熱処理室が大きい場合、全面に亘って熱風の貫通速度を均一に保つことが困難であるため、これを生産機として使用した場合、品質を均一に保つことができないことがある。
【0010】
更に、従来のポイントスルーエア加工方式では、熱風加工の際に、コンベアネットの移動に合わせてパンチングボードを順次セットしなければならないため、手間がかかっていた。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑み、繊維が部分的に熱接着し、嵩高性と柔軟性を兼ね備え、熱接着部以外の繊維がその機能を損なうことのない不織布が製作可能であり、且つ生産機として利用できる熱風処理不織布加工装置および加工方法を提供することにある。さらに熱風を貫通する装置がコンパクトでありながら、得られる不織布の品質が安定的に連続して生産可能な装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、前記課題を解消するものであり、下記(1)〜(11)の手段により達成される。
(1)回転走行する穴あき無端ベルトと、該穴あき無端ベルトの内面側から外側に向かって熱風を吹き出す熱風噴出装置と、前記穴あき無端ベルトを挟んで前記熱風噴出装置の熱風吹き出し面と対面する側に前記穴あき無端ベルトと所定間隔を設けて配置され、前記熱風を通過させながら回転走行する繊維搬送用無端ベルトとを備えることを特徴とする熱風処理不織布加工装置。
(2)前記繊維搬送用無端ベルトの内面側に、前記熱風噴出装置から吹き出された熱風の一部または全量を吸引する熱風吸引装置が設けられていることを特徴とする上記(1)に記載の熱風処理不織布加工装置。
(3)前記穴あき無端ベルトと前記繊維搬送用無端ベルトとの間隔が、0.1〜20mmの間隔で自在に調整可能であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の熱風処理不織布加工装置。
(4)前記穴あき無端ベルトの開口率が、60%以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱風処理不織布加工装置。
(5)前記穴あき無端ベルトの開口率が、10〜40%であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱風処理不織布加工装置。
(6)前記熱風噴出装置の熱風吹き出し速度のCV値が12%以下であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の熱風処理不織布加工装置。
(7)前記穴あき無端ベルトを冷却する冷却装置が備えられることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の熱風処理不織布加工装置。
(8)少なくとも1種の合成繊維からなる、少なくとも1層のウェブまたはシート状物を、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の熱風処理不織布加工装置を用いて、熱風を部分的に貫通させて熱処理することを特徴とするポイントスルーエア不織布の加工方法。
(9)前記合成繊維のうち最も低い融点以上の熱風を、前記ウェブまたはシート状物に部分的に貫通させて熱処理することを特徴とする上記(8)に記載のポイントスルーエア不織布の加工方法。
(10)前記合成繊維の少なくとも1種が、融点差の異なる2成分以上からなる複合繊維であることを特徴とする上記(8)または(9)に記載のポイントスルーエア不織布の加工方法。
(11)前記ウェブまたはシート状物の熱風貫通処理時間が、0.1〜10秒であることを特徴とする上記(8)〜(10)のいずれかに記載のポイントスルーエア不織布加工方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の熱風処理不織布加工装置によれば、穴あき無端ベルトと繊維搬送用無端ベルトが合成繊維で構成されるウェブまたはシート状物を挟んで搬送し、熱風噴出装置からの熱風が穴あき無端ベルトの穴を通ってウェブまたはシート状物を貫通するので、繊維が部分的に熱接着したポイントスルーエア不織布が容易に製造できる。そして、穴あき無端ベルトと繊維搬送用無端ベルトは回転走行するので、連続的な生産が可能である。また、穴のあいた無端ベルトを用いることにより、パンチングボードを順次セットする必要がなく、作業効率を向上させることができる。更に、穴あき無端ベルトの内側面に熱風噴出装置を配置するので、コンベア全体を熱処理室で覆う必要がないため、熱風処理不織布加工装置をコンパクトにすることができる。
【0014】
また、穴あき無端ベルトと繊維搬送用無端ベルトのベルト面の間隔を任意に調整できるので、製造する不織布の厚みの調整が可能である。
【0015】
また、本発明の熱風処理不織布加工装置によれば、ウェブまたはシート状物を構成する合成繊維の融点以上の熱風を貫通させることにより、熱風が貫通した部分の合成繊維が当該貫通部の周辺に筒形フィルム状もしくは微小な塊状となって熱接着したポイントスルーエア不織布および繊維の交点が熱接着したポイントスルーエア不織布が製造可能である。
【0016】
また、本発明の熱風処理不織布加工装置は、ウェブまたはシート状物を構成する合成繊維の融点未満の熱風を貫通もしくは吹き当てることにより、アニーリングなどの熱処理機としての使用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の熱風処理不織布加工装置全体の側面概略図である。
【図2】実施例1または実施例2の加工方法で得られた不織布の全体平面図である。
【図3】図2の部分拡大図である。
【図4】図3の実施例1のX1−X1´断面図である。
【図5】図3の実施例2のX1−X1´断面図である。
【図6】不織布の接着状態を示す一例である。
【図7】図6のX2−X2´断面図である。
【図8】不織布の接着状態を示す一例である。
【図9】図8のX3−X3´断面図である。
【図10】不織布の接着状態を示す一例である。
【図11】図10のX4−X4´断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の熱風処理不織布加工装置を説明するために例示した装置全体の側面概略図である。本例の熱風処理不織布加工装置は、穴あき無端ベルト1、熱風吹き出しダクト(熱風噴出装置)2、繊維搬送用無端ベルト3、熱風吸引ダクト(熱風吸引装置)4、冷却エア吸引ダクト(冷却装置)5、熱風循環ファン8、エア加熱器9、排気ファン10で構成されている。
【0019】
図1に示したように、回転ロールに装着された穴あき無端ベルト1の内側面に熱風吹き出しダクト2が配置され、穴あき無端ベルト1を挟んで熱風吹き出しダクト2の熱風吹き出し面と対面する側に、回転ロールに装着された繊維搬送用無端ベルト3が前記穴あき無端ベルト1と所定間隔を設けて配置されている。そして、繊維搬送用無端ベルト3の内側面に、熱風吹き出しダクト2と対向する位置に熱風吸引ダクト4が配置され、この熱風吸引ダクト4の下流側、すなわちベルトの回転方向側に冷却エア吸引ダクト5が配置されている。そして、熱風循環ファン8とエア加熱器9が接続ダクトにより、熱風吸引ダクト4と熱風吹き出しダクト2に接続され、排気ファン10が接続ダクトにより冷却エア吸引ダクト5に接続されている。
【0020】
図1において、繊維ウェブ(熱接着性複合繊維ウェブ)6が左側から供給され、同じ速度で回転走行する穴あき無端ベルト1と繊維搬送用無端ベルト3に挟まれて右側に搬送され、搬送途中で熱風処理されてポイントスルーエア不織布7が形成される。つまり、熱風吹き出しダクト2から吹き出された熱風が穴あき無端ベルト1の穴を通して繊維ウェブ6に吹き付けられ、それを構成する合成繊維が、主に穴あき無端ベルト1の穴の位置で溶融し(熱風処理部のウェブA)、冷却エア吸引ダクト5において冷却され、冷却エア吸引ダクト5を通過するウェブ(冷却処理部のウェブB)は、その走行に従って溶融接着している繊維同士の交点が徐々に固化し、出口付近に達したウェブ(部分的に熱接着されたウェブC)は該繊維溶融部が完全に固化して、部分的に熱接着したポイントスルーエア不織布7となる。
【0021】
本発明の熱風処理不織布加工装置において、熱風処理部のウェブAを貫通した熱風は、熱風循環ファン8により、熱風吸引ダクト4から吸引され、連続的に熱風吹き出しダクト2に送られ、熱風が循環する仕組みになっている。さらに熱風の循環経路の途中にエア加熱器9が備えられており、熱風の温度を合成繊維の融点以上の温度に調整する。
【0022】
そして、熱風吸引ダクト4の下流側部位に備えられた冷却エア吸引ダクト5は、排気ファン10と接続しており、雰囲気エアが穴あき無端ベルト1、冷却処理部のウェブB、繊維搬送用無端ベルト3を貫通することによって各々の部位部材を強制冷却し、該吸引口から吸引され、外部に排気される仕組みになっている。
【0023】
次に各々の設備的条件とその作用について詳細に述べる。
穴あき無端ベルト1および繊維搬送用無端ベルト3は、各々回転ロールに装着されて連続的に回転走行するものである。各々の走行速度は、ほぼ同一にするものであって、同一に走行することによって、繊維ウェブ6を構成する繊維の横ズレが無く、また熱風処理部の位置ズレが無くなるため、安定的に熱風処理加工が可能である。更にまたポイントスルーエア不織布7を構成する熱接着部以外の繊維の品質変化を抑制できる。駆動源は、各々のベルトを装着しているロールに連結していてもよく、いずれか一方の駆動源から伝達してもよい。
【0024】
(穴あき無端ベルト)
穴あき無端ベルト1は、必要長さの板材が環状になったもの、もしくは両端部が接続加工され走行方向(以下、MDという)が無端状になったものに、ほぼ満遍なく小穴加工が施されたものである。該ベルトのMDの長さおよび幅方向(以下、CDという)の長さは特に限定されない。基本的には、本明細書で説明する機能を満足できれば、本発明の熱風処理不織布加工装置のコンパクト化を図る意味から小さい方が好ましい。すなわち、MDの長さは、本願で説明する個々の装置が組み込まれていればよく、CDの幅は、求める製品の最大幅が問題なく加工できればよい。
【0025】
本発明において、穴あき無端ベルト1の穴の開口率は60%以下であることが好ましく、より好ましくは10〜40%である。該開口率が60%以下である場合、ポイントスルーエア不織布7に占める繊維同士が接着した熱接着部の割合は多すぎず、逆に非熱接着部が少なすぎず、これらの割合が適度な範囲に保たれるため、ポイントスルーエア不織布7は柔軟性に富んだものとなる。また非熱接着部、すなわち熱接着部以外の繊維がその機能を十分に発揮できる。したがって、開口率を60%以下にすることによって、嵩高性と柔軟性および熱接着部以外の繊維の機能維持をバランス良く備えたポイントスルーエア不織布7とすることができる。
【0026】
また、機械的要素からも穴あき無端ベルト1の開口率は60%以下にすることが好ましい。該開口率が60%以下であると、ベルトの機能として必要な強力、耐久歪性を十分に備え、製造装置として長時間の使用に耐えうる装置にすることができる。
【0027】
本発明において、穴あき無端ベルト1の厚みは、特に限定はされないが、0.3〜2mmとすることが好ましい。穴あき無端ベルト1の厚みが0.3mm以上であれば、耐久歪性に優れ、該厚みが2mm以下であれば回転ロールに沿うための柔軟性を十分に備えることができる。
【0028】
また、本発明において、穴あき無端ベルト1の材質は、特に限定されないが、製造装置として機械的見地および不織布加工性見地から、強力、耐久歪性と併せ耐熱性、耐熱歪性、防錆性を備えている必要がある。またできる限り平滑性を備えている方が好ましい。代表されるベルト材料として、例えば、ステンレススチール板、ハードクロムメッキ処理を施した鉄板などが好適に使用できる。
【0029】
さらに、本発明において、穴あき無端ベルト1の穴の形状および一穴あたりの面積は特に限定されず、加工する繊維のウェブの厚さを考慮して適宜選択すればよい。また、穴の配置も特に限定されない。但し、一穴あたりの面積が極端に大きくなれば部分的熱接着という範疇から外れる。また、穴と穴の距離が大きい領域が存在すれば、その領域はウェブのまま残るため不織布にすることができない。すなわち、穴あき無端ベルト1の穴は、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、六角形、無定形など、またそれらが入り混じったものでよく、且つできるだけベルトの全面に亘ってほぼ均一に配されることが好ましい。
【0030】
(熱風吹き出しダクト)
熱風吹き出しダクト2は、本発明で言う熱風噴出装置である。熱風吹き出しダクト2は前記穴あき無端ベルト1の内面側に近接して配設され、熱風吹き出しダクト2の熱風吹き出し面が熱風処理部のウェブA側に位置している。穴あき無端ベルト1と熱風吹き出しダクト2の熱風吹き出し面との距離は5mm以内とするのが好ましい。この距離を5mm以内とすることにより、熱風処理部のウェブAに対して確実に熱風を貫通させることができる。尚、熱風吹き出しダクト2の熱風吹き出し面と穴あき無端ベルト1の内側面の距離は、穴あき無端ベルト1とそれを装着した回転ロール群を一体として支える躯体に熱風吹き出しダクト2を装着し、装着部と該躯体の距離が調整可能となる機構を設けることにより、任意に設定できる。また、熱風貫通の効率を高めるために、熱風吹き出し面の外枠に摩擦抵抗の小さい枠材を熱風噴出装置の一部として取り付け、且つ穴あき無端ベルト1の内側面に接触するように設置してもよい。
【0031】
熱風吹き出しダクト2の熱風吹き出し面のMDの長さは、特に限定するものではなく、熱風吹き出し速度の均一性や装置そのもののコンパクト性および生産性を考慮する必要がある。例えば、製造するポイントスルーエア不織布7の目付けが薄い場合は、穴あき無端ベルト1の走行速度を速くし、熱風処理部のウェブAが熱風吹き出しダクト2を通過する通過時間を短時間の処理とすればよい。逆に、製造するポイントスルーエア不織布7の目付けが厚い場合は、処理時間を長くし、穴あき無端ベルト1の走行速度を遅く設定すればよい。
【0032】
但し、繊維ウェブ6を構成する合成繊維の成分および求めるポイントスルーエア不織布7の目付、厚み、熱接着度合、強力、風合いなどの品質との関係で、前述したベルト走行速度、穴あき無端ベルト1と繊維搬送用無端ベルト3の間隔および後述する熱風噴出速度、熱風温度といった調整可能な加工条件に加え、該熱風吹き出し面のMDの長さも調整可能なようにするほうが好ましい。その方法は、例えば、熱風吹き出しダクト2の熱風吹き出し面の部位を分離可能に構成し、MDの長さの違う該部位を取り揃え、その都度必要な長さのものを取り付ける方法、または、熱風吹き出し面に上下流側もしくはその一方からスライド式ダンパーを取り付け、必要な任意の長さに調整する方法等がある。
【0033】
熱風吹き出しダクト2の熱風吹き出し面のCDの長さも特に限定するものではない。基本的には、製造するポイントスルーエア不織布7の最大幅に相当する長さとすればよい。但し、製造するポイントスルーエア不織布7の幅が小さい場合は、その幅にCD長さを合わせることが重要である。すなわち、熱風吹き出し面のCDの長さがその部位を通過する熱風処理部のウェブAの幅に対して大きすぎる場合、熱風はウェブAの存在しない両サイド側へ流れ易くなる。ひいてはウェブAを貫通する熱風速度に斑が生じる。この斑の発生は、製造するポイントスルーエア不織布7の目付や嵩密度が大きくなった場合に顕著になる。尚、CDの幅の調整方法は、前記したMDの長さ調整の方法をCDに応用展開した方法等で行えばよい。
【0034】
熱風吹き出しダクト2の熱風吹き出し面の熱風噴出速度は特に限定しないが、該速度のバラツキ範囲はCV値で12%以下に設定するのが好ましく、8%以下となるように設定するのがより好ましい。該CV値の定義は、風速の変動係数である。吹き出し面の全面に対し、中央部からMDとCDに10cm間隔の升目状に区切った交点部位の各風速の標準偏差を、その平均速度で除して百分率で現した値である。該CV値を12%以下にすることにより、品質的に安定した不織布の製造が可能となる。
【0035】
本発明において、熱風吹き出しダクト2のエア入口と熱風吹き出し面の間に、CDの熱風噴出速度の均一性を高めるためのエア流路調整装置およびエア内圧昇圧装置等を備えてもよい。前記エア流路調整装置およびエア内圧昇圧装置等はCV値を小さくするのに有効であり、製造する不織布のCDの長さが小さい場合や、嵩密度が小さい場合、および穴あき無端ベルト1の穴の開口率が小さい場合は、特に必要としないが、不織布のCDの長さが大きい場合や、嵩密度が大きい場合、および穴あき無端ベルト1の穴の開口率が大きい場合は、有効に作用する。
【0036】
(繊維搬送用無端ベルト3)
繊維搬送用無端ベルト3は、必要長さの板材が環状になったもの、もしくは両端部が接続加工されMDが無端状になったものに、熱風吹き出しダクト2から吹き出された熱風を通過させることのできる開口部を備えたものである。繊維搬送用無端ベルト3のMDの長さおよびCDの長さは特に限定されず、基本的には、本願で説明する機能を満足できれば、本発明の熱風処理不織布加工装置のコンパクト化を図る意味から小さい方がよい。
【0037】
本発明で例示する繊維搬送用無端ベルト3は、繊維状のものを織り加工または編み加工によって網状ベルトにしたものである。その開口部は、繊維ウェブ6を載置して搬送することができ、かつ、熱風吹き出しダクト2から吹き出された熱風を噴出方向、すなわち、熱風吹き出しダクト2を通過する熱風処理部のウェブAの厚み方向にその流路を遮ることなく貫通させることができれば、開口部の形状、大きさ、等は特に限定されない。
【0038】
繊維搬送用無端ベルト3に用いられる繊維状物は、材質、線径を特に限定しない。また、網状態は、織編の型式、開口率等を特に限定するものではない。但し、使用に耐えうる強力と耐熱性、ロール回転に沿う柔軟性、および熱風を効率よく通気する通気性等の性能が要求される。よって、これらを満足できるように前記繊維状物および網状態を選択する必要がある。
【0039】
例えば、繊維状物の材質は、使用温度が150℃程度までならポリエステル、150℃を超える高温の場合には芳香族ポリアミド、さらにはステンレス等が用いられる。線径および織編の型式は、強力、柔軟性、通気性の面から、直径0.5〜1.5mm程度を使用して、平織、綾織を施したものが好ましい。開口率は、熱風の通気性を確保する上で大きい方がよく、穴あき無端ベルト1の開口率とのバランスおよびベルト材の直径や織編の型式を考慮すると30〜80%が好適である。
【0040】
繊維搬送用無端ベルト3は、前記穴あき無端ベルト1を挟んで前記熱風吹き出しダクト2の熱風吹き出し面と対面する側に所定間隔を設けて配置される。穴あき無端ベルト1と繊維搬送用無端ベルト3の間隔は、搬送する繊維ウェブ6の厚みよりも小さい間隔とすればよい。例えば、該間隔は、0.1〜20mmの間隔で自在に調整ができるようにすることが好ましい。穴あき無端ベルト1と繊維搬送用無端ベルト3の間隔が0.1mm以上であれば、不織布の嵩高性が十分に得られるため好ましい。また、ベルトの間隔が20mm以下であれば、熱風が部分的に貫通するので、部分的な繊維ウェブの熱接着を行うことができる。
【0041】
このベルト同士の間隔の調整により、出来上がりのポイントスルーエア不織布7の厚みを任意に且つ容易に設定できる。調整方法としては、例えば、穴あき無端ベルト1とそれを装着した回転ロール群を一体として支える躯体と対面する繊維搬送用無端ベルト3とそれを装着した回転ロール群を一体として支える躯体を別々にし、双方の躯体もしくは一方の躯体が、各々対峙するベルト面に対して距離調整移動できる機構とし、且つその躯体の間隔を調整する機構とすることで実現できる。該距離調整移動の機構は、ジャッキモータ、油圧シリンダ、エアシリンダ方式等がある。間隔調整の機構は、長さの調整が自在になるセットピンストッパー方式、リミッター、光センサー等による位置制御方式等が考えられる。
【0042】
(熱風吸引ダクト)
熱風吸引ダクト4は、本願で言う熱風吸引装置である。熱風吸引ダクト4は前記繊維搬送用無端ベルト3の内面側に、熱風吸引ダクト4の熱風吸引面が熱風処理部のウェブAに向かい、且つ該熱風吸引面が繊維搬送用無端ベルト3の内側面に近接または接触するようにして配設されている。また、熱風吸引ダクト4は、その熱風吸引面が前記熱風吹き出しダクト2の吹き出し面とウェブAを挟んで対峙するように配置される。従って、熱風吸引ダクト4は、熱風吹き出しダクト2から吹き出され、且つ穴あき無端ベルト1、ウェブA、繊維搬送用無端ベルト3を貫通した熱風を吸引するものである。
【0043】
熱風吸引ダクト4の熱風吸引面のMDおよびCDの長さは、特に限定するものではない。後述するように、本発明で例示する熱風処理不織布加工装置は、熱風が循環する機構である。該熱風を効率的に使用するには、熱風風速と熱風温度の微調整に必要となる装置外エアの取り入れは最小限に留める方が好ましく、通常は熱風吹き出しダクト2の熱風吹き出し面の長さと同等かもしくは若干大きくする程度でよい。尚、MDおよびCDの長さの調整方法は、前記した熱風吹き出しダクト2熱風吹き出し面のMDおよびCDの長さ調整の方法を応用展開した方法でよい。
【0044】
(熱風循環ファン8およびエア加熱器9)
また、本発明で例示する熱風処理不織布加工装置は、熱風循環ファン8とエア加熱器9備えている。熱風循環ファン8は、熱風吹き出しダクト(熱風噴出装置)2の吹き出しエアの供給と熱風吸引ダクト(熱風吸引装置)4の吸引エアの強制吸引を行うものである。また、エア加熱器9は、吸引された熱風を加熱する装置である。熱風循環ファン8のエア吹き出し口と熱風吹き出しダクト2のエア入口は、途中にエア加熱器9を介して、専用の接続ダクトで繋がっている。また、熱風吸引ダクト4のエア出口と熱風循環ファン8のエア吸引口も専用の接続ダクトで繋がっている。
【0045】
熱風循環ファン8によって供給されるエアは、エア加熱器9によって所定の温度に加熱され、熱風吹き出しダクト2に供給される。次いで前記したように熱風エアは、熱風吹き出しダクト2の吹き出し面から吹き出し、熱風処理部のウェブAを貫通して熱風吸引ダクト4の吸引口から吸引される。その後、熱風吸引ダクト4のエア出口から熱風循環ファン8のエア吸引口に吸引され、この繰り返しによって該熱風エアは所定の温度を保ったまま循環する機構になっている。ここに繊維ウェブ6を連続的に供給することによって、部分的に繊維が熱接着したポイントスルーエア不織布7が生産可能となる。
【0046】
該熱風循環ファン8は、ファンの回転数を制御することにより、単位時間当たりの循環量が調整可能であり、必然的に熱風処理部のウェブAを通過する熱風通過量が調整できる。また、エア加熱器9は所定の温度に設定可能であり、繊維ウェブ6を構成する合成繊維の融点に応じて設定することが可能である。
【0047】
本発明の例示においては、熱風が循環するように接続ダクトを配しているが、必ずしも前記したような循環機構でなくてもよい。すなわち、熱風吹き出し専用ファンがエア加熱器を介して熱風吹き出しダクトに接続している熱風噴出機構と熱風吸引専用ファンが熱風吸引ダクトと接続している熱風吸引機構が各々独立していてもよい。また、該ウェブAに対して熱風を貫通する能力があれば、熱風噴出機構のみでよく、熱風吸引機構は無くてもよい。
【0048】
熱風の効率的使用という見地からは、熱風循環機構を用いることが望ましい。しかし、前記のように熱風噴出機構を独立させることにより、熱風エアの発生源である熱風吹き出し専用ファンをコンプレッサーなどによる圧縮エアにすることが可能である。場合によっては加圧蒸気などの使用も可能になる。これらの場合の熱風噴出速度は、エアの圧力調整、流量調整などで調整可能である。但し、これらの場合においても、エア加熱器9は温度調整、品質維持および安定製造の意味から必要である。
【0049】
(冷却エア吸引ダクト)
また、本発明で例示する熱風処理不織布加工装置は、熱風吹き出しダクト(熱風噴出装置)2の下流側に冷却エア吸引ダクト5を備えている。冷却エア吸引ダクト5は、上流側の熱風吹き出しダクト2により加熱された穴あき無端ベルト1を冷却する。穴あき無端ベルト1の冷却が不足した場合、該穴あき無端ベルト1そのものの余熱が、熱風吹き出しダクト2の熱風処理部のウェブAを構成する合成繊維の溶融状態の安定性に影響し、連続的に均一なポイントスルーエア加工ができなくなる。
【0050】
(排気ファン)
冷却エア吸引ダクト5のエア出口には、排気ファン10のエア吸引口が専用の接続ダクトで繋がっている。排気ファン10の運転により、冷却エアが、穴あき無端ベルト1の穴、冷却処理部のウェブB、および繊維搬送用無端ベルト3の開口部を貫通して、冷却エア吸引ダクト5の冷却エア吸引口より吸引され、排気ファン10の排気口より排気される。排気ファンの回転数を変更することにより、冷却風の速度を調整できる。
【0051】
本発明で例示する冷却エアは、強制的に冷却したものではなく、冷却エア吸引ダクト5の冷却エア吸引口の対面側、穴あき無端ベルト1のベルト面付近に存在する雰囲気エアである。該目的が達成できるのであれば、冷却エア吸引口のMDの長さは特に限定しない。また冷却箇所は穴あき無端ベルト1に近接したところであれば何処でもよい。尚、本例の冷却方式は冷却エア吸引方式であるが、冷却エア噴出方式でもあってもよい。
【0052】
尚、本発明において、ポイントスルーエア不織布7の生産に何ら影響が無ければ、本冷却装置は必ずしも必要ではない。例えば、ベルトの長さを長くすることによって、自然に冷却する方法を採用してもよい。しかし、装置のコンパクト化を図るため、より冷却効果を高めるために、雰囲気温度よりも低温のエアを供給するエア強制冷却装置を備えていることが望ましい。
【0053】
本例のように、冷却エア吸引ダクト5が熱風処理部の直近下流部に、かつ繊維搬送用無端ベルト3の内側に設置することにより、穴あき無端ベルト1の冷却と併せて、熱風吹き出しダクト2を通過した後の冷却処理部のウェブBの合成繊維溶融部の固化が促進できる。よって、より一層の装置のコンパクト化が可能である。
【0054】
上記した熱風処理不織布加工装置を使用することによって、繊維ウェブ6は穴あき無端ベルト1と繊維搬送用無端ベルト3に挟まれ走行し、該繊維ウェブ6を構成する合成繊維の一部または全部が、熱風吹き出しダクト2からの熱風で溶解し(熱風処理部のウェブA)、冷却エア吸引ダクト5で固化する(冷却処理部のウェブB)。両ベルトに挟まれた状態で走行が終了する部分的に熱接着されたウェブCに至ったところでは、既に繊維が部分的に熱接着した不織布を形成しており、該装置と離脱してポイントスルーエア不織布7となる。
【0055】
(繊維ウェブ)
本願で用いる繊維ウェブ6は合成繊維であって、合成繊維の主原料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン66、ポリアクリロニトリル等の熱可塑性樹脂が例示される。また、熱可塑性であれば、生分解性樹脂といわれるもの、熱可塑性エラストマー樹脂といわれるもの、その他の共重合体樹脂であってもよい。
【0056】
合成繊維の断面における熱可塑性樹脂の構成は、特に限定するものではない。前記熱可塑性樹脂を主原料にした単一断面繊維、該熱可塑性樹脂に副原料物を混入してなる単一断面繊維、およびこれらの熱可塑性樹脂の少なくとも2成分からなる複合繊維等が例示できる。尚、2成分からなる複合繊維は、低融点成分と高融点成分からなり、且つ低融点成分の一部が繊維表面を形成するいわゆる熱接着性複合繊維が好適である。何れであっても断面形状、繊度などは、特に限定しない。
【0057】
繊維ウェブ6は、前記原料および前記断面からなる一種類の合成繊維で構成されていてもよく、二種類以上の合成繊維がほぼ満遍なく分散した状態で混じりあって構成されていてもよい。かかる合成繊維からなる繊維ウェブ6に対し、熱風吹き出しダクト2で貫通させる熱風の温度は、該合成繊維を構成する最も低い融点温度を超える温度であればよい。
【0058】
例えば、繊維ウェブ6が、前記複合繊維一種類の合成繊維で構成され、且つ熱風貫通温度が最低融点温度を超え、最高融点温度未満の場合、熱風処理部は低融点成分のみが溶融固化するため、繊維状として残った該繊維同士の交点において、低融点成分による熱接着構造が形成される。
【0059】
繊維ウェブ6が、前記熱可塑性樹脂を主原料にした単一断面繊維、該熱可塑性樹脂に副原料物を混入してなる単一断面繊維および前記複合繊維の内から少なくとも二種類以上の合成繊維で構成されて、且つ熱風貫通温度が、用いられている繊維群のうちの最低融点温度を超え、最高融点温度未満の場合も前記同様、繊維状として残った該繊維同士の交点において、低融点成分による熱接着構造が形成される。
【0060】
また、繊維ウェブ6を構成する合成繊維に対し、熱風温度が最も高い融点温度を超える場合、熱風処理部は繊維形状がなくなった状態で溶融熱接着する。例えば、熱風処理部の一部に溶融塊として熱接着構造が形成されるか、熱風処理部に穴を形成し、該穴の外周部にフィルム状として熱接着構造が形成される。
【0061】
繊維ウェブ6の製法としては、合成繊維をウェブ状に形成できる製法であれば、特に限定しない。例えば、短繊維からウェブを形成するカード法および乾式パルプ法、長繊維からウェブを形成するスパンボンド法、および溶融樹脂を熱風等で吹き飛ばして繊維状物にしたものからウェブを形成するメルトブローン法などが例示できる。これらの製法により得られたウェブを単層で加工してもよく、同種製法のウェブ同士または同種製法のウェブおよび異種製法のウェブを二層以上に積層した複層ウェブで加工してもよい。
【0062】
繊維ウェブ6の製造装置と本発明の熱風処理不織布加工装置の関係は、両装置が連続して配置されたいわゆるインラインでもよく、切り離されたいわゆるオフラインでもよい。二層以上を積層する場合は、全てがインラインでもよく、ウェブをあらかじめ積層したオフラインでもよい。また、インラインになったところとオフラインになったところが混在したラインでもよい。
【0063】
繊維ウェブ6の製法、繊維ウェブ6を構成する合成繊維の種類、前記した穴あき無端ベルト1と繊維搬送用無端ベルト3の間隔、穴あき無端ベルト1の穴の開口率、熱風温度、熱風速度および熱風処理部位の通過時間等の加工条件を選択することにより、様々な品種のポイントスルーエア不織布7が生産可能である。
【0064】
本発明において、熱風処理不織布加工装置の加工方法で行う熱風貫通処理時間は、特に限定されないが、0.1〜10秒、好ましくは0.3〜8秒とすればよい。該熱風処理時間は、繊維ウェブ6が熱風吹き出しダクト(熱風噴出装置)2を通過する時間であり、製造するポイントスルーエア不織布7の目付と密度の関係および熱風温度と接着状態の関係等を考慮した上で、調整が必要である。本願が意とするポイントスルーエア不織布7の柔軟性や二次加工性を維持するには、できるだけ短い時間で処理できる方が好ましい。0.1秒以上で熱風処理することで繊維ウェブ6に十分な熱量を付与することができ、10秒以下で熱風処理することで熱風処理部以外への熱の影響を抑えることができる。10秒を超えて熱風処理した場合、穴あき無端ベルト1自体の温度が高くなり、繊維ウェブ6の該穴あき無端ベルト1に接触している側が全体的に熱の影響を受け、ポイントスルーエア不織布7の表面が硬くなりやすく、また二次加工性が損なわれ易くなる。尚、熱風貫通処理時間は前記したように、熱風吹き出し面のMD長さと走行速度で設定することが出来る。
【0065】
上記したように、本発明の熱風処理不織布加工装置を用いることにより、繊維ウェブの点在領域に熱接着部を形成したポイントスルーエア不織布を生産することができる。また、本発明によれば、ベルトの所定位置でウェブを熱風処理することができるので、装置全体を熱雰囲気下に置く必要がない。したがって、熱接着部と非熱接着部の混在部の発生を抑えたポイントスルーエア不織布を生産することができる。また、穴あき無端ベルトと繊維搬送用無端ベルトが同一速度で回転走行するので、繊維ウェブに接触する穴あき無端ベルトの穴の位置がずれることなく、部分的な熱接着を確実に達成することができる。
【0066】
本発明の熱風処理不織布加工装置は、シート状物のポイントスルーエア加工も可能である。本願で言うシート状物は、前記ウェブを構成するような熱可塑性樹脂を原料として、あらかじめシート状に加工されたものである。構成する繊維の品種および混繊度合等は限定しない。また単層品および積層品等も限定しない。嵩密度も特に限定しないが、通気性が損なわれるほど嵩密度が高い場合は、熱風の貫通加工が難しくなるため、該嵩密度は、0.5g/cm3以下が望ましい。また本願の装置は、該シート状物と前記ウェブとの積層品のポイントスルーエア加工も可能である。
【0067】
本発明の加工装置で得られるポイントスルーエア加工不織布の特徴は、ウェブおよびシート状物を高応力で押圧することなく加工できるため、嵩高性および通気性を高くできる。尚、その厚みを調整することにより、嵩密度および通気度等を任意に調整することが可能である。また、熱風処理部のみが熱接着し、熱風処理部以外は左程熱の影響を受けることが無いため、合成繊維およびシート状物の機能を活かすことが可能であり、さらに二次加工への応用が可能である。
【実施例】
【0068】
更に、本発明の具体的な実施例について、詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0069】
〔実施例1〕
鞘成分が融点130℃の高密度ポリエチレン、芯成分が融点162℃のポリプロピレンからなり、繊度が3dtex/f、カット長が51mmの、偏心鞘芯型複合短繊維で構成されるウェブから、該繊維が部分的に熱接着したポイントスルーエア不織布を加工した。尚、実施例1のウェブは、前段工程(図示せず)のカード機を用いて連続的に加工され、図1の熱風処理不織布加工装置に供給される。該ウェブの目付けは30g/m2、幅は1mである。
【0070】
穴あき無端ベルト1はステンレス製であり、穴径がφ2.5mm、穴ピッチが5mm間隔の千鳥状配列で全面に開口している。開口率は22.7%である。繊維搬送用無端ベルト3はポリエステル製であり、使用するモノフィラメントの線径がφ1mm、経線ピッチが2.5mm、緯線ピッチが2.5mmの平織り状である。開口率は36%である。該穴あき無端ベルト1と繊維搬送用無端ベルト3とを間隔が2mmとなるようにセットした。また、双方の走行速度は50m/分にセットした。
【0071】
熱風吹き出しダクト2の熱風吹き出し面および熱風吸引ダクト4の吸引面は、MD長さが1m、CD長さが1mにし、それぞれの面が対面するようにセットした。ウェブがない状態で、穴あき無端ベルト1の穴から噴出する熱風は、温度が140℃、風速が2m/秒になるように熱風循環ファン8の回転数とエア加熱器9のヒーター温度を設定した。尚、熱風吹き出し面の風速のCV値は、事前に計測し、7.3%であることを確認した。冷却エア吸引ダクト5の吸引面は、MD長さが1mであり、CD長さは上流側の熱風吹き出しダクト2の吹き出し面と同等の1mにした。また、冷却エア吸引ダクト5の吸引面に接する網状ベルトの対面側の吸引風速が2m/秒になるように、冷却風排気ファン10の回転数を設定した。
【0072】
上記のように装置の条件をセットした後、カード機と熱風処理不織布加工装置を運転し、繊維ウェブ6を図1の熱風処理不織布加工装置に左側から供給した。ウェブ6は、穴あき無端ベルト1と繊維搬送用無端ベルト3に挟まれて、該ベルトからずれることなく左から右方向に、50m/分の走行速度で走行し、熱風で処理された部分が熱接着したポイントスルーエア不織布7を連続的に製造した。尚、この時の熱風貫通処理時間は、1.2秒となる。
【0073】
約6時間の連続運転を行い、装置上の問題、運転上の問題および製品上の問題を発生することなく運転可能であった。製造されたポイントスルーエア不織布7は、ほぼ2mmの厚みを維持し、かつ図2、図3および図4に示すような熱接着部11と非熱接着部12を有しており、嵩高性と柔軟性を兼ね備えていた。
【0074】
〔実施例2〕
鞘成分が融点100℃の直鎖状低密度ポリエチレン、芯成分が融点162℃のポリプロピレンからなり、繊度が2dtex/f、カット長が51mmの、鞘芯型複合短繊維で構成され、目付けが20g/m2のウェブを上層部に、融点130℃のエチレン−プロピレン共重合体(コポリマー)と融点160℃のポリプロピレンからなり、繊度が3dtex/f、カット長が51mmの、並列型複合短繊維で構成され、目付けが10g/m2ウェブを下層部に配した2層ウェブから、上層部を構成する複合繊維のみが部分的に熱接着したポイントスルーエア不織布を加工した。尚、本実施例2の2層ウェブは、前段工程(図示せず)の2台が連続して配されたカード機を用いて連続的に加工され、図1の熱風処理不織布加工装置に供給される。該2層ウェブの目付けは30g/m2、幅は1mである。
【0075】
熱風処理不織布加工装置は実施例1と同じものを使用した。但し、加工条件は以下のように、該穴あき無端ベルト1と繊維搬送用無端ベルト3の間隔が1mmとなるようにセットした。双方ベルトの走行速度は実施例1と同じ50m/分にセットした。ウェブがない状態で、穴あき無端ベルト1の穴から噴出する熱風は、温度が120℃、風速が2m/秒に設定した。冷却エアの吸引風速が2m/秒になるように設定した。
【0076】
上記のように装置の条件をセットした後、実施例1と同様に、カード機と熱風処理不織布加工装置を運転し、ウェブ6を図1の加工装置に左側から供給した。ウェブ6は、穴あき無端ベルト1と繊維搬送用無端ベルト3に挟まれて、該ベルトからずれることなく左から右方向に、50m/分の走行速度で走行し、熱風で処理された部位の上層部のみが部分的に熱接着したポイントスルーエア不織布7を連続的に製造した。
【0077】
約6時間の連続運転を行い、装置上の問題、運転上の問題および製品上の問題を発生することなく運転可能であった。製造されたポイントスルーエア不織布7は、ほぼ1mmの厚みを維持し、かつ図2、図3および図5に示すように、上層部13は熱接着部11と非熱接着部12を有しており、下層部14はすべて非熱接着部12であった。但し、下層部14の熱風が貫通した部分は、構成する並列型複合繊維が微細な捲縮を顕在化していた。尚、該ポイントスルーエア不織布7を後工程のフローティングドライヤー(図示せず)を用いて、120℃で熱処理した。該下層部の非熱接着部12の並列型複合繊維は、微細捲縮発現しながら収縮する特性を殆ど変化せずに残しており、該フローティングドライヤーの加工条件を駆使して、MDの収縮率が50%、CDの収縮率が40%となるように熱収縮加工した。該不織布は、目付けが100g/m2、厚みが約4mmとなり、嵩高性、柔軟性および伸縮性を兼ね備えていた。
【産業上の利用可能性】
【0078】
このような熱風処理不織布加工装置および加工方法は、嵩高性、柔軟性、通気性および強力を兼ね備えた不織布を製作するのに有効である。さらに、合成繊維の機能を損なうことなく加工できるため、この方法で製作した不織布は、合成繊維およびシート状物の機能を利用した二次加工が容易に可能である。
【0079】
そして、本発明の熱風処理不織布加工装置および加工方法で得られた不織布は、嵩高性、柔軟性、通気性に優れており、また強力を兼ね備え、且つ加工前のウェブを構成する合成繊維や加工前のシート状物の特性を活かせるため、使い捨てオムツ用表面部材、生理用品用部材等の衛生材料の表面部材、使い捨てオムツ用伸縮性部材、オムツ用伸縮性部材、生理用品用伸縮性部材、オムツカバー用伸縮性部材等の衛生材料の伸縮性部材、伸縮性テープ、絆創膏、衣服用伸縮性部材、衣料用芯地、衣料用絶縁材や保温材、防護服、帽子、マスク、手袋、サポーター、伸縮性包帯、湿布材の基布、プラスター材の基布、スベリ止め基布、振動吸収材、指サック、クリーンルーム用エアフィルター、血液フィルター、油水分離フィルター等の各種フィルター、エレクトレット加工を施したエレクトレットフィルター、セパレーター、断熱材、コーヒーバッグ、食品包装材料、自動車用天井表皮材、防音材、基材、クッション材、スピーカー防塵材、エア・クリーナー材、インシュレーター表皮、バッキング材、接着不織布シート、ドアトリム等の各種自動車用部材、複写機のクリーニング材等の各種クリーニング材、カーペットの表材・裏材、農業捲布、木材ドレーン材、スポーツシューズ表皮等の靴用部材、カバン用部材、工業用シール材、ワイピング材、シーツ等の物品に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0080】
1 穴あき無端ベルト
2 熱風吹き出しダクト(熱風噴出装置)
3 繊維搬送用無端ベルト
4 熱風吸引ダクト(熱風吸引装置)
5 冷却エア吸引ダクト(冷却装置)
6 繊維ウェブ
7 ポイントスルーエア不織布
8 熱風循環ファン
9 エア加熱器
10 排気ファン
11 熱接着部
12 非熱接着部
13 上層部
14 下層部
15 熱接着部と非熱接着部の混在部
A 熱風処理部のウェブ
B 冷却処理部のウェブ
C 部分的熱接着されたウェブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布を製作するための該不織布を構成する繊維の熱風処理加工装置および加工方法に関し、より詳しくは、いわゆる合成繊維からなるウェブまたはシート状物の点在領域に熱風を貫通させ、その貫通部位の繊維が熱処理もしくは熱接着したポイントスルーエア不織布を製作するための加工装置および加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不織布製法の繊維間結合方法は、一般的にサーマルボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法および水流絞絡法などが周知である。一般的なサーマルボンド法の加工方式としては、熱風スルーエア加工方式、熱ロール圧着加工方式が知られている。
【0003】
熱風スルーエア加工方式は、低融点成分と高融点成分からなる熱接着性複合繊維をウェブとし、その全面に低融点以上かつ高融点以下の温度の熱風を貫通する方法である。この方法で得られた不織布は、嵩高性と強力を兼ね備えているが、繊維絞絡点が全面的に熱接着するため、柔軟性が損なわれる欠点がある。
【0004】
熱ロール圧着加工方式は、2ケ1対の熱ロールで押圧加工する方法である。この方法で得られた不織布は、高強力となるが、嵩高性と柔軟性が損なわれる欠点がある。この欠点を補うため、一方のロールを彫刻エンボスロールにしたポイントボンド熱圧着加工方式がある。しかしこの方法でも十分な嵩高性を得ることは困難である。
【0005】
そこで、不織布に十分な強度を持たせつつ、嵩高性と柔軟性を備えるために、熱風スルーエア加工方式を用いて、熱接着性複合繊維ウェブに熱風を貫通させる領域と熱風に接触させない領域を混在させて加工するポイントスルーエア加工方式が用いられている。特許文献1に記載されているように、ポイントスルーエア不織布の加工方式は、熱風加工機(サクションバンドドライヤー)を利用した加工方法である。具体的には、熱風加工機のコンベアネットの上に熱接着性複合繊維ウェブを乗せ、ウェブの嵩をできるだけ潰さないためのスペーサーを入れてパンチングボードで挟み、低風速の熱風で処理する方法、熱風加工機のコンベアを多孔タイプにして、その上に繊維ウェブをのせて熱風で処理する方法、および多孔タイプコンベアを上下に配した熱風加工機とし、ウェブを挟んで熱風で処理する方法が例示されている。
【0006】
このようなポイントスルーエア加工方式で不織布を作成した場合、熱風がパンチングボードを通過して熱接着性複合繊維ウェブを貫通し、繊維同士が熱により接着した熱接着部が不織布に点在する。この熱接着部領域は熱接着性複合繊維が互いに接着しているので不織布に強度を持たせることができ、一方、熱風が当たらなかった非熱接着部領域により、嵩高性と柔軟性を備えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4206570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の熱風加工機は、いわゆるサクションバンドドライヤーであり、コンベアが熱処理室で囲まれた構造をしている。従って、必然的に熱処理室が大きくなるため、処理時間も長くなる。処理時間が長い場合や熱風温度が繊維の融点温度に対して高すぎる場合、図6および図7に示すように、熱風による影響とパンチングボードからの熱により、熱接着部11と非熱接着部12との境界に互いが混在する混在部15が発生する。熱風吹き出し速度が小さい場合、また加工する繊維ウェブの繊維密度が高い場合は、熱風の直進性が損なわれ、拡散することになる。つまり、図8および図9に示すように、熱風が拡散した状態でコンベアネットに到達し、コンベアネットに近接する部位は全面的に熱処理された状態になる。逆に、拡散した熱風がコンベアネットまで到達しない場合は、該コンベアネットに近接する部位は全面的に熱処理がされていない状態になる。さらにまた、過度に高温の場合は、図10および図11に示すように、コンベアネット側の不織布面が全面に亘って接着した状態になり、非熱接着部12が無くなる可能性がある。逆に熱風温度が合成繊維の融点温度とほぼ同じ場合は、コンベアネット側の不織布面が全面に亘って未接着の状態になりやすく、繊維の熱接着部が形成されたポイントスルーエア不織布を得ることが出来ないことがある。
【0009】
また、熱処理室が大きい場合、全面に亘って熱風の貫通速度を均一に保つことが困難であるため、これを生産機として使用した場合、品質を均一に保つことができないことがある。
【0010】
更に、従来のポイントスルーエア加工方式では、熱風加工の際に、コンベアネットの移動に合わせてパンチングボードを順次セットしなければならないため、手間がかかっていた。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑み、繊維が部分的に熱接着し、嵩高性と柔軟性を兼ね備え、熱接着部以外の繊維がその機能を損なうことのない不織布が製作可能であり、且つ生産機として利用できる熱風処理不織布加工装置および加工方法を提供することにある。さらに熱風を貫通する装置がコンパクトでありながら、得られる不織布の品質が安定的に連続して生産可能な装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、前記課題を解消するものであり、下記(1)〜(11)の手段により達成される。
(1)回転走行する穴あき無端ベルトと、該穴あき無端ベルトの内面側から外側に向かって熱風を吹き出す熱風噴出装置と、前記穴あき無端ベルトを挟んで前記熱風噴出装置の熱風吹き出し面と対面する側に前記穴あき無端ベルトと所定間隔を設けて配置され、前記熱風を通過させながら回転走行する繊維搬送用無端ベルトとを備えることを特徴とする熱風処理不織布加工装置。
(2)前記繊維搬送用無端ベルトの内面側に、前記熱風噴出装置から吹き出された熱風の一部または全量を吸引する熱風吸引装置が設けられていることを特徴とする上記(1)に記載の熱風処理不織布加工装置。
(3)前記穴あき無端ベルトと前記繊維搬送用無端ベルトとの間隔が、0.1〜20mmの間隔で自在に調整可能であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の熱風処理不織布加工装置。
(4)前記穴あき無端ベルトの開口率が、60%以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱風処理不織布加工装置。
(5)前記穴あき無端ベルトの開口率が、10〜40%であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱風処理不織布加工装置。
(6)前記熱風噴出装置の熱風吹き出し速度のCV値が12%以下であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の熱風処理不織布加工装置。
(7)前記穴あき無端ベルトを冷却する冷却装置が備えられることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の熱風処理不織布加工装置。
(8)少なくとも1種の合成繊維からなる、少なくとも1層のウェブまたはシート状物を、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の熱風処理不織布加工装置を用いて、熱風を部分的に貫通させて熱処理することを特徴とするポイントスルーエア不織布の加工方法。
(9)前記合成繊維のうち最も低い融点以上の熱風を、前記ウェブまたはシート状物に部分的に貫通させて熱処理することを特徴とする上記(8)に記載のポイントスルーエア不織布の加工方法。
(10)前記合成繊維の少なくとも1種が、融点差の異なる2成分以上からなる複合繊維であることを特徴とする上記(8)または(9)に記載のポイントスルーエア不織布の加工方法。
(11)前記ウェブまたはシート状物の熱風貫通処理時間が、0.1〜10秒であることを特徴とする上記(8)〜(10)のいずれかに記載のポイントスルーエア不織布加工方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の熱風処理不織布加工装置によれば、穴あき無端ベルトと繊維搬送用無端ベルトが合成繊維で構成されるウェブまたはシート状物を挟んで搬送し、熱風噴出装置からの熱風が穴あき無端ベルトの穴を通ってウェブまたはシート状物を貫通するので、繊維が部分的に熱接着したポイントスルーエア不織布が容易に製造できる。そして、穴あき無端ベルトと繊維搬送用無端ベルトは回転走行するので、連続的な生産が可能である。また、穴のあいた無端ベルトを用いることにより、パンチングボードを順次セットする必要がなく、作業効率を向上させることができる。更に、穴あき無端ベルトの内側面に熱風噴出装置を配置するので、コンベア全体を熱処理室で覆う必要がないため、熱風処理不織布加工装置をコンパクトにすることができる。
【0014】
また、穴あき無端ベルトと繊維搬送用無端ベルトのベルト面の間隔を任意に調整できるので、製造する不織布の厚みの調整が可能である。
【0015】
また、本発明の熱風処理不織布加工装置によれば、ウェブまたはシート状物を構成する合成繊維の融点以上の熱風を貫通させることにより、熱風が貫通した部分の合成繊維が当該貫通部の周辺に筒形フィルム状もしくは微小な塊状となって熱接着したポイントスルーエア不織布および繊維の交点が熱接着したポイントスルーエア不織布が製造可能である。
【0016】
また、本発明の熱風処理不織布加工装置は、ウェブまたはシート状物を構成する合成繊維の融点未満の熱風を貫通もしくは吹き当てることにより、アニーリングなどの熱処理機としての使用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の熱風処理不織布加工装置全体の側面概略図である。
【図2】実施例1または実施例2の加工方法で得られた不織布の全体平面図である。
【図3】図2の部分拡大図である。
【図4】図3の実施例1のX1−X1´断面図である。
【図5】図3の実施例2のX1−X1´断面図である。
【図6】不織布の接着状態を示す一例である。
【図7】図6のX2−X2´断面図である。
【図8】不織布の接着状態を示す一例である。
【図9】図8のX3−X3´断面図である。
【図10】不織布の接着状態を示す一例である。
【図11】図10のX4−X4´断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の熱風処理不織布加工装置を説明するために例示した装置全体の側面概略図である。本例の熱風処理不織布加工装置は、穴あき無端ベルト1、熱風吹き出しダクト(熱風噴出装置)2、繊維搬送用無端ベルト3、熱風吸引ダクト(熱風吸引装置)4、冷却エア吸引ダクト(冷却装置)5、熱風循環ファン8、エア加熱器9、排気ファン10で構成されている。
【0019】
図1に示したように、回転ロールに装着された穴あき無端ベルト1の内側面に熱風吹き出しダクト2が配置され、穴あき無端ベルト1を挟んで熱風吹き出しダクト2の熱風吹き出し面と対面する側に、回転ロールに装着された繊維搬送用無端ベルト3が前記穴あき無端ベルト1と所定間隔を設けて配置されている。そして、繊維搬送用無端ベルト3の内側面に、熱風吹き出しダクト2と対向する位置に熱風吸引ダクト4が配置され、この熱風吸引ダクト4の下流側、すなわちベルトの回転方向側に冷却エア吸引ダクト5が配置されている。そして、熱風循環ファン8とエア加熱器9が接続ダクトにより、熱風吸引ダクト4と熱風吹き出しダクト2に接続され、排気ファン10が接続ダクトにより冷却エア吸引ダクト5に接続されている。
【0020】
図1において、繊維ウェブ(熱接着性複合繊維ウェブ)6が左側から供給され、同じ速度で回転走行する穴あき無端ベルト1と繊維搬送用無端ベルト3に挟まれて右側に搬送され、搬送途中で熱風処理されてポイントスルーエア不織布7が形成される。つまり、熱風吹き出しダクト2から吹き出された熱風が穴あき無端ベルト1の穴を通して繊維ウェブ6に吹き付けられ、それを構成する合成繊維が、主に穴あき無端ベルト1の穴の位置で溶融し(熱風処理部のウェブA)、冷却エア吸引ダクト5において冷却され、冷却エア吸引ダクト5を通過するウェブ(冷却処理部のウェブB)は、その走行に従って溶融接着している繊維同士の交点が徐々に固化し、出口付近に達したウェブ(部分的に熱接着されたウェブC)は該繊維溶融部が完全に固化して、部分的に熱接着したポイントスルーエア不織布7となる。
【0021】
本発明の熱風処理不織布加工装置において、熱風処理部のウェブAを貫通した熱風は、熱風循環ファン8により、熱風吸引ダクト4から吸引され、連続的に熱風吹き出しダクト2に送られ、熱風が循環する仕組みになっている。さらに熱風の循環経路の途中にエア加熱器9が備えられており、熱風の温度を合成繊維の融点以上の温度に調整する。
【0022】
そして、熱風吸引ダクト4の下流側部位に備えられた冷却エア吸引ダクト5は、排気ファン10と接続しており、雰囲気エアが穴あき無端ベルト1、冷却処理部のウェブB、繊維搬送用無端ベルト3を貫通することによって各々の部位部材を強制冷却し、該吸引口から吸引され、外部に排気される仕組みになっている。
【0023】
次に各々の設備的条件とその作用について詳細に述べる。
穴あき無端ベルト1および繊維搬送用無端ベルト3は、各々回転ロールに装着されて連続的に回転走行するものである。各々の走行速度は、ほぼ同一にするものであって、同一に走行することによって、繊維ウェブ6を構成する繊維の横ズレが無く、また熱風処理部の位置ズレが無くなるため、安定的に熱風処理加工が可能である。更にまたポイントスルーエア不織布7を構成する熱接着部以外の繊維の品質変化を抑制できる。駆動源は、各々のベルトを装着しているロールに連結していてもよく、いずれか一方の駆動源から伝達してもよい。
【0024】
(穴あき無端ベルト)
穴あき無端ベルト1は、必要長さの板材が環状になったもの、もしくは両端部が接続加工され走行方向(以下、MDという)が無端状になったものに、ほぼ満遍なく小穴加工が施されたものである。該ベルトのMDの長さおよび幅方向(以下、CDという)の長さは特に限定されない。基本的には、本明細書で説明する機能を満足できれば、本発明の熱風処理不織布加工装置のコンパクト化を図る意味から小さい方が好ましい。すなわち、MDの長さは、本願で説明する個々の装置が組み込まれていればよく、CDの幅は、求める製品の最大幅が問題なく加工できればよい。
【0025】
本発明において、穴あき無端ベルト1の穴の開口率は60%以下であることが好ましく、より好ましくは10〜40%である。該開口率が60%以下である場合、ポイントスルーエア不織布7に占める繊維同士が接着した熱接着部の割合は多すぎず、逆に非熱接着部が少なすぎず、これらの割合が適度な範囲に保たれるため、ポイントスルーエア不織布7は柔軟性に富んだものとなる。また非熱接着部、すなわち熱接着部以外の繊維がその機能を十分に発揮できる。したがって、開口率を60%以下にすることによって、嵩高性と柔軟性および熱接着部以外の繊維の機能維持をバランス良く備えたポイントスルーエア不織布7とすることができる。
【0026】
また、機械的要素からも穴あき無端ベルト1の開口率は60%以下にすることが好ましい。該開口率が60%以下であると、ベルトの機能として必要な強力、耐久歪性を十分に備え、製造装置として長時間の使用に耐えうる装置にすることができる。
【0027】
本発明において、穴あき無端ベルト1の厚みは、特に限定はされないが、0.3〜2mmとすることが好ましい。穴あき無端ベルト1の厚みが0.3mm以上であれば、耐久歪性に優れ、該厚みが2mm以下であれば回転ロールに沿うための柔軟性を十分に備えることができる。
【0028】
また、本発明において、穴あき無端ベルト1の材質は、特に限定されないが、製造装置として機械的見地および不織布加工性見地から、強力、耐久歪性と併せ耐熱性、耐熱歪性、防錆性を備えている必要がある。またできる限り平滑性を備えている方が好ましい。代表されるベルト材料として、例えば、ステンレススチール板、ハードクロムメッキ処理を施した鉄板などが好適に使用できる。
【0029】
さらに、本発明において、穴あき無端ベルト1の穴の形状および一穴あたりの面積は特に限定されず、加工する繊維のウェブの厚さを考慮して適宜選択すればよい。また、穴の配置も特に限定されない。但し、一穴あたりの面積が極端に大きくなれば部分的熱接着という範疇から外れる。また、穴と穴の距離が大きい領域が存在すれば、その領域はウェブのまま残るため不織布にすることができない。すなわち、穴あき無端ベルト1の穴は、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、六角形、無定形など、またそれらが入り混じったものでよく、且つできるだけベルトの全面に亘ってほぼ均一に配されることが好ましい。
【0030】
(熱風吹き出しダクト)
熱風吹き出しダクト2は、本発明で言う熱風噴出装置である。熱風吹き出しダクト2は前記穴あき無端ベルト1の内面側に近接して配設され、熱風吹き出しダクト2の熱風吹き出し面が熱風処理部のウェブA側に位置している。穴あき無端ベルト1と熱風吹き出しダクト2の熱風吹き出し面との距離は5mm以内とするのが好ましい。この距離を5mm以内とすることにより、熱風処理部のウェブAに対して確実に熱風を貫通させることができる。尚、熱風吹き出しダクト2の熱風吹き出し面と穴あき無端ベルト1の内側面の距離は、穴あき無端ベルト1とそれを装着した回転ロール群を一体として支える躯体に熱風吹き出しダクト2を装着し、装着部と該躯体の距離が調整可能となる機構を設けることにより、任意に設定できる。また、熱風貫通の効率を高めるために、熱風吹き出し面の外枠に摩擦抵抗の小さい枠材を熱風噴出装置の一部として取り付け、且つ穴あき無端ベルト1の内側面に接触するように設置してもよい。
【0031】
熱風吹き出しダクト2の熱風吹き出し面のMDの長さは、特に限定するものではなく、熱風吹き出し速度の均一性や装置そのもののコンパクト性および生産性を考慮する必要がある。例えば、製造するポイントスルーエア不織布7の目付けが薄い場合は、穴あき無端ベルト1の走行速度を速くし、熱風処理部のウェブAが熱風吹き出しダクト2を通過する通過時間を短時間の処理とすればよい。逆に、製造するポイントスルーエア不織布7の目付けが厚い場合は、処理時間を長くし、穴あき無端ベルト1の走行速度を遅く設定すればよい。
【0032】
但し、繊維ウェブ6を構成する合成繊維の成分および求めるポイントスルーエア不織布7の目付、厚み、熱接着度合、強力、風合いなどの品質との関係で、前述したベルト走行速度、穴あき無端ベルト1と繊維搬送用無端ベルト3の間隔および後述する熱風噴出速度、熱風温度といった調整可能な加工条件に加え、該熱風吹き出し面のMDの長さも調整可能なようにするほうが好ましい。その方法は、例えば、熱風吹き出しダクト2の熱風吹き出し面の部位を分離可能に構成し、MDの長さの違う該部位を取り揃え、その都度必要な長さのものを取り付ける方法、または、熱風吹き出し面に上下流側もしくはその一方からスライド式ダンパーを取り付け、必要な任意の長さに調整する方法等がある。
【0033】
熱風吹き出しダクト2の熱風吹き出し面のCDの長さも特に限定するものではない。基本的には、製造するポイントスルーエア不織布7の最大幅に相当する長さとすればよい。但し、製造するポイントスルーエア不織布7の幅が小さい場合は、その幅にCD長さを合わせることが重要である。すなわち、熱風吹き出し面のCDの長さがその部位を通過する熱風処理部のウェブAの幅に対して大きすぎる場合、熱風はウェブAの存在しない両サイド側へ流れ易くなる。ひいてはウェブAを貫通する熱風速度に斑が生じる。この斑の発生は、製造するポイントスルーエア不織布7の目付や嵩密度が大きくなった場合に顕著になる。尚、CDの幅の調整方法は、前記したMDの長さ調整の方法をCDに応用展開した方法等で行えばよい。
【0034】
熱風吹き出しダクト2の熱風吹き出し面の熱風噴出速度は特に限定しないが、該速度のバラツキ範囲はCV値で12%以下に設定するのが好ましく、8%以下となるように設定するのがより好ましい。該CV値の定義は、風速の変動係数である。吹き出し面の全面に対し、中央部からMDとCDに10cm間隔の升目状に区切った交点部位の各風速の標準偏差を、その平均速度で除して百分率で現した値である。該CV値を12%以下にすることにより、品質的に安定した不織布の製造が可能となる。
【0035】
本発明において、熱風吹き出しダクト2のエア入口と熱風吹き出し面の間に、CDの熱風噴出速度の均一性を高めるためのエア流路調整装置およびエア内圧昇圧装置等を備えてもよい。前記エア流路調整装置およびエア内圧昇圧装置等はCV値を小さくするのに有効であり、製造する不織布のCDの長さが小さい場合や、嵩密度が小さい場合、および穴あき無端ベルト1の穴の開口率が小さい場合は、特に必要としないが、不織布のCDの長さが大きい場合や、嵩密度が大きい場合、および穴あき無端ベルト1の穴の開口率が大きい場合は、有効に作用する。
【0036】
(繊維搬送用無端ベルト3)
繊維搬送用無端ベルト3は、必要長さの板材が環状になったもの、もしくは両端部が接続加工されMDが無端状になったものに、熱風吹き出しダクト2から吹き出された熱風を通過させることのできる開口部を備えたものである。繊維搬送用無端ベルト3のMDの長さおよびCDの長さは特に限定されず、基本的には、本願で説明する機能を満足できれば、本発明の熱風処理不織布加工装置のコンパクト化を図る意味から小さい方がよい。
【0037】
本発明で例示する繊維搬送用無端ベルト3は、繊維状のものを織り加工または編み加工によって網状ベルトにしたものである。その開口部は、繊維ウェブ6を載置して搬送することができ、かつ、熱風吹き出しダクト2から吹き出された熱風を噴出方向、すなわち、熱風吹き出しダクト2を通過する熱風処理部のウェブAの厚み方向にその流路を遮ることなく貫通させることができれば、開口部の形状、大きさ、等は特に限定されない。
【0038】
繊維搬送用無端ベルト3に用いられる繊維状物は、材質、線径を特に限定しない。また、網状態は、織編の型式、開口率等を特に限定するものではない。但し、使用に耐えうる強力と耐熱性、ロール回転に沿う柔軟性、および熱風を効率よく通気する通気性等の性能が要求される。よって、これらを満足できるように前記繊維状物および網状態を選択する必要がある。
【0039】
例えば、繊維状物の材質は、使用温度が150℃程度までならポリエステル、150℃を超える高温の場合には芳香族ポリアミド、さらにはステンレス等が用いられる。線径および織編の型式は、強力、柔軟性、通気性の面から、直径0.5〜1.5mm程度を使用して、平織、綾織を施したものが好ましい。開口率は、熱風の通気性を確保する上で大きい方がよく、穴あき無端ベルト1の開口率とのバランスおよびベルト材の直径や織編の型式を考慮すると30〜80%が好適である。
【0040】
繊維搬送用無端ベルト3は、前記穴あき無端ベルト1を挟んで前記熱風吹き出しダクト2の熱風吹き出し面と対面する側に所定間隔を設けて配置される。穴あき無端ベルト1と繊維搬送用無端ベルト3の間隔は、搬送する繊維ウェブ6の厚みよりも小さい間隔とすればよい。例えば、該間隔は、0.1〜20mmの間隔で自在に調整ができるようにすることが好ましい。穴あき無端ベルト1と繊維搬送用無端ベルト3の間隔が0.1mm以上であれば、不織布の嵩高性が十分に得られるため好ましい。また、ベルトの間隔が20mm以下であれば、熱風が部分的に貫通するので、部分的な繊維ウェブの熱接着を行うことができる。
【0041】
このベルト同士の間隔の調整により、出来上がりのポイントスルーエア不織布7の厚みを任意に且つ容易に設定できる。調整方法としては、例えば、穴あき無端ベルト1とそれを装着した回転ロール群を一体として支える躯体と対面する繊維搬送用無端ベルト3とそれを装着した回転ロール群を一体として支える躯体を別々にし、双方の躯体もしくは一方の躯体が、各々対峙するベルト面に対して距離調整移動できる機構とし、且つその躯体の間隔を調整する機構とすることで実現できる。該距離調整移動の機構は、ジャッキモータ、油圧シリンダ、エアシリンダ方式等がある。間隔調整の機構は、長さの調整が自在になるセットピンストッパー方式、リミッター、光センサー等による位置制御方式等が考えられる。
【0042】
(熱風吸引ダクト)
熱風吸引ダクト4は、本願で言う熱風吸引装置である。熱風吸引ダクト4は前記繊維搬送用無端ベルト3の内面側に、熱風吸引ダクト4の熱風吸引面が熱風処理部のウェブAに向かい、且つ該熱風吸引面が繊維搬送用無端ベルト3の内側面に近接または接触するようにして配設されている。また、熱風吸引ダクト4は、その熱風吸引面が前記熱風吹き出しダクト2の吹き出し面とウェブAを挟んで対峙するように配置される。従って、熱風吸引ダクト4は、熱風吹き出しダクト2から吹き出され、且つ穴あき無端ベルト1、ウェブA、繊維搬送用無端ベルト3を貫通した熱風を吸引するものである。
【0043】
熱風吸引ダクト4の熱風吸引面のMDおよびCDの長さは、特に限定するものではない。後述するように、本発明で例示する熱風処理不織布加工装置は、熱風が循環する機構である。該熱風を効率的に使用するには、熱風風速と熱風温度の微調整に必要となる装置外エアの取り入れは最小限に留める方が好ましく、通常は熱風吹き出しダクト2の熱風吹き出し面の長さと同等かもしくは若干大きくする程度でよい。尚、MDおよびCDの長さの調整方法は、前記した熱風吹き出しダクト2熱風吹き出し面のMDおよびCDの長さ調整の方法を応用展開した方法でよい。
【0044】
(熱風循環ファン8およびエア加熱器9)
また、本発明で例示する熱風処理不織布加工装置は、熱風循環ファン8とエア加熱器9備えている。熱風循環ファン8は、熱風吹き出しダクト(熱風噴出装置)2の吹き出しエアの供給と熱風吸引ダクト(熱風吸引装置)4の吸引エアの強制吸引を行うものである。また、エア加熱器9は、吸引された熱風を加熱する装置である。熱風循環ファン8のエア吹き出し口と熱風吹き出しダクト2のエア入口は、途中にエア加熱器9を介して、専用の接続ダクトで繋がっている。また、熱風吸引ダクト4のエア出口と熱風循環ファン8のエア吸引口も専用の接続ダクトで繋がっている。
【0045】
熱風循環ファン8によって供給されるエアは、エア加熱器9によって所定の温度に加熱され、熱風吹き出しダクト2に供給される。次いで前記したように熱風エアは、熱風吹き出しダクト2の吹き出し面から吹き出し、熱風処理部のウェブAを貫通して熱風吸引ダクト4の吸引口から吸引される。その後、熱風吸引ダクト4のエア出口から熱風循環ファン8のエア吸引口に吸引され、この繰り返しによって該熱風エアは所定の温度を保ったまま循環する機構になっている。ここに繊維ウェブ6を連続的に供給することによって、部分的に繊維が熱接着したポイントスルーエア不織布7が生産可能となる。
【0046】
該熱風循環ファン8は、ファンの回転数を制御することにより、単位時間当たりの循環量が調整可能であり、必然的に熱風処理部のウェブAを通過する熱風通過量が調整できる。また、エア加熱器9は所定の温度に設定可能であり、繊維ウェブ6を構成する合成繊維の融点に応じて設定することが可能である。
【0047】
本発明の例示においては、熱風が循環するように接続ダクトを配しているが、必ずしも前記したような循環機構でなくてもよい。すなわち、熱風吹き出し専用ファンがエア加熱器を介して熱風吹き出しダクトに接続している熱風噴出機構と熱風吸引専用ファンが熱風吸引ダクトと接続している熱風吸引機構が各々独立していてもよい。また、該ウェブAに対して熱風を貫通する能力があれば、熱風噴出機構のみでよく、熱風吸引機構は無くてもよい。
【0048】
熱風の効率的使用という見地からは、熱風循環機構を用いることが望ましい。しかし、前記のように熱風噴出機構を独立させることにより、熱風エアの発生源である熱風吹き出し専用ファンをコンプレッサーなどによる圧縮エアにすることが可能である。場合によっては加圧蒸気などの使用も可能になる。これらの場合の熱風噴出速度は、エアの圧力調整、流量調整などで調整可能である。但し、これらの場合においても、エア加熱器9は温度調整、品質維持および安定製造の意味から必要である。
【0049】
(冷却エア吸引ダクト)
また、本発明で例示する熱風処理不織布加工装置は、熱風吹き出しダクト(熱風噴出装置)2の下流側に冷却エア吸引ダクト5を備えている。冷却エア吸引ダクト5は、上流側の熱風吹き出しダクト2により加熱された穴あき無端ベルト1を冷却する。穴あき無端ベルト1の冷却が不足した場合、該穴あき無端ベルト1そのものの余熱が、熱風吹き出しダクト2の熱風処理部のウェブAを構成する合成繊維の溶融状態の安定性に影響し、連続的に均一なポイントスルーエア加工ができなくなる。
【0050】
(排気ファン)
冷却エア吸引ダクト5のエア出口には、排気ファン10のエア吸引口が専用の接続ダクトで繋がっている。排気ファン10の運転により、冷却エアが、穴あき無端ベルト1の穴、冷却処理部のウェブB、および繊維搬送用無端ベルト3の開口部を貫通して、冷却エア吸引ダクト5の冷却エア吸引口より吸引され、排気ファン10の排気口より排気される。排気ファンの回転数を変更することにより、冷却風の速度を調整できる。
【0051】
本発明で例示する冷却エアは、強制的に冷却したものではなく、冷却エア吸引ダクト5の冷却エア吸引口の対面側、穴あき無端ベルト1のベルト面付近に存在する雰囲気エアである。該目的が達成できるのであれば、冷却エア吸引口のMDの長さは特に限定しない。また冷却箇所は穴あき無端ベルト1に近接したところであれば何処でもよい。尚、本例の冷却方式は冷却エア吸引方式であるが、冷却エア噴出方式でもあってもよい。
【0052】
尚、本発明において、ポイントスルーエア不織布7の生産に何ら影響が無ければ、本冷却装置は必ずしも必要ではない。例えば、ベルトの長さを長くすることによって、自然に冷却する方法を採用してもよい。しかし、装置のコンパクト化を図るため、より冷却効果を高めるために、雰囲気温度よりも低温のエアを供給するエア強制冷却装置を備えていることが望ましい。
【0053】
本例のように、冷却エア吸引ダクト5が熱風処理部の直近下流部に、かつ繊維搬送用無端ベルト3の内側に設置することにより、穴あき無端ベルト1の冷却と併せて、熱風吹き出しダクト2を通過した後の冷却処理部のウェブBの合成繊維溶融部の固化が促進できる。よって、より一層の装置のコンパクト化が可能である。
【0054】
上記した熱風処理不織布加工装置を使用することによって、繊維ウェブ6は穴あき無端ベルト1と繊維搬送用無端ベルト3に挟まれ走行し、該繊維ウェブ6を構成する合成繊維の一部または全部が、熱風吹き出しダクト2からの熱風で溶解し(熱風処理部のウェブA)、冷却エア吸引ダクト5で固化する(冷却処理部のウェブB)。両ベルトに挟まれた状態で走行が終了する部分的に熱接着されたウェブCに至ったところでは、既に繊維が部分的に熱接着した不織布を形成しており、該装置と離脱してポイントスルーエア不織布7となる。
【0055】
(繊維ウェブ)
本願で用いる繊維ウェブ6は合成繊維であって、合成繊維の主原料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン66、ポリアクリロニトリル等の熱可塑性樹脂が例示される。また、熱可塑性であれば、生分解性樹脂といわれるもの、熱可塑性エラストマー樹脂といわれるもの、その他の共重合体樹脂であってもよい。
【0056】
合成繊維の断面における熱可塑性樹脂の構成は、特に限定するものではない。前記熱可塑性樹脂を主原料にした単一断面繊維、該熱可塑性樹脂に副原料物を混入してなる単一断面繊維、およびこれらの熱可塑性樹脂の少なくとも2成分からなる複合繊維等が例示できる。尚、2成分からなる複合繊維は、低融点成分と高融点成分からなり、且つ低融点成分の一部が繊維表面を形成するいわゆる熱接着性複合繊維が好適である。何れであっても断面形状、繊度などは、特に限定しない。
【0057】
繊維ウェブ6は、前記原料および前記断面からなる一種類の合成繊維で構成されていてもよく、二種類以上の合成繊維がほぼ満遍なく分散した状態で混じりあって構成されていてもよい。かかる合成繊維からなる繊維ウェブ6に対し、熱風吹き出しダクト2で貫通させる熱風の温度は、該合成繊維を構成する最も低い融点温度を超える温度であればよい。
【0058】
例えば、繊維ウェブ6が、前記複合繊維一種類の合成繊維で構成され、且つ熱風貫通温度が最低融点温度を超え、最高融点温度未満の場合、熱風処理部は低融点成分のみが溶融固化するため、繊維状として残った該繊維同士の交点において、低融点成分による熱接着構造が形成される。
【0059】
繊維ウェブ6が、前記熱可塑性樹脂を主原料にした単一断面繊維、該熱可塑性樹脂に副原料物を混入してなる単一断面繊維および前記複合繊維の内から少なくとも二種類以上の合成繊維で構成されて、且つ熱風貫通温度が、用いられている繊維群のうちの最低融点温度を超え、最高融点温度未満の場合も前記同様、繊維状として残った該繊維同士の交点において、低融点成分による熱接着構造が形成される。
【0060】
また、繊維ウェブ6を構成する合成繊維に対し、熱風温度が最も高い融点温度を超える場合、熱風処理部は繊維形状がなくなった状態で溶融熱接着する。例えば、熱風処理部の一部に溶融塊として熱接着構造が形成されるか、熱風処理部に穴を形成し、該穴の外周部にフィルム状として熱接着構造が形成される。
【0061】
繊維ウェブ6の製法としては、合成繊維をウェブ状に形成できる製法であれば、特に限定しない。例えば、短繊維からウェブを形成するカード法および乾式パルプ法、長繊維からウェブを形成するスパンボンド法、および溶融樹脂を熱風等で吹き飛ばして繊維状物にしたものからウェブを形成するメルトブローン法などが例示できる。これらの製法により得られたウェブを単層で加工してもよく、同種製法のウェブ同士または同種製法のウェブおよび異種製法のウェブを二層以上に積層した複層ウェブで加工してもよい。
【0062】
繊維ウェブ6の製造装置と本発明の熱風処理不織布加工装置の関係は、両装置が連続して配置されたいわゆるインラインでもよく、切り離されたいわゆるオフラインでもよい。二層以上を積層する場合は、全てがインラインでもよく、ウェブをあらかじめ積層したオフラインでもよい。また、インラインになったところとオフラインになったところが混在したラインでもよい。
【0063】
繊維ウェブ6の製法、繊維ウェブ6を構成する合成繊維の種類、前記した穴あき無端ベルト1と繊維搬送用無端ベルト3の間隔、穴あき無端ベルト1の穴の開口率、熱風温度、熱風速度および熱風処理部位の通過時間等の加工条件を選択することにより、様々な品種のポイントスルーエア不織布7が生産可能である。
【0064】
本発明において、熱風処理不織布加工装置の加工方法で行う熱風貫通処理時間は、特に限定されないが、0.1〜10秒、好ましくは0.3〜8秒とすればよい。該熱風処理時間は、繊維ウェブ6が熱風吹き出しダクト(熱風噴出装置)2を通過する時間であり、製造するポイントスルーエア不織布7の目付と密度の関係および熱風温度と接着状態の関係等を考慮した上で、調整が必要である。本願が意とするポイントスルーエア不織布7の柔軟性や二次加工性を維持するには、できるだけ短い時間で処理できる方が好ましい。0.1秒以上で熱風処理することで繊維ウェブ6に十分な熱量を付与することができ、10秒以下で熱風処理することで熱風処理部以外への熱の影響を抑えることができる。10秒を超えて熱風処理した場合、穴あき無端ベルト1自体の温度が高くなり、繊維ウェブ6の該穴あき無端ベルト1に接触している側が全体的に熱の影響を受け、ポイントスルーエア不織布7の表面が硬くなりやすく、また二次加工性が損なわれ易くなる。尚、熱風貫通処理時間は前記したように、熱風吹き出し面のMD長さと走行速度で設定することが出来る。
【0065】
上記したように、本発明の熱風処理不織布加工装置を用いることにより、繊維ウェブの点在領域に熱接着部を形成したポイントスルーエア不織布を生産することができる。また、本発明によれば、ベルトの所定位置でウェブを熱風処理することができるので、装置全体を熱雰囲気下に置く必要がない。したがって、熱接着部と非熱接着部の混在部の発生を抑えたポイントスルーエア不織布を生産することができる。また、穴あき無端ベルトと繊維搬送用無端ベルトが同一速度で回転走行するので、繊維ウェブに接触する穴あき無端ベルトの穴の位置がずれることなく、部分的な熱接着を確実に達成することができる。
【0066】
本発明の熱風処理不織布加工装置は、シート状物のポイントスルーエア加工も可能である。本願で言うシート状物は、前記ウェブを構成するような熱可塑性樹脂を原料として、あらかじめシート状に加工されたものである。構成する繊維の品種および混繊度合等は限定しない。また単層品および積層品等も限定しない。嵩密度も特に限定しないが、通気性が損なわれるほど嵩密度が高い場合は、熱風の貫通加工が難しくなるため、該嵩密度は、0.5g/cm3以下が望ましい。また本願の装置は、該シート状物と前記ウェブとの積層品のポイントスルーエア加工も可能である。
【0067】
本発明の加工装置で得られるポイントスルーエア加工不織布の特徴は、ウェブおよびシート状物を高応力で押圧することなく加工できるため、嵩高性および通気性を高くできる。尚、その厚みを調整することにより、嵩密度および通気度等を任意に調整することが可能である。また、熱風処理部のみが熱接着し、熱風処理部以外は左程熱の影響を受けることが無いため、合成繊維およびシート状物の機能を活かすことが可能であり、さらに二次加工への応用が可能である。
【実施例】
【0068】
更に、本発明の具体的な実施例について、詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0069】
〔実施例1〕
鞘成分が融点130℃の高密度ポリエチレン、芯成分が融点162℃のポリプロピレンからなり、繊度が3dtex/f、カット長が51mmの、偏心鞘芯型複合短繊維で構成されるウェブから、該繊維が部分的に熱接着したポイントスルーエア不織布を加工した。尚、実施例1のウェブは、前段工程(図示せず)のカード機を用いて連続的に加工され、図1の熱風処理不織布加工装置に供給される。該ウェブの目付けは30g/m2、幅は1mである。
【0070】
穴あき無端ベルト1はステンレス製であり、穴径がφ2.5mm、穴ピッチが5mm間隔の千鳥状配列で全面に開口している。開口率は22.7%である。繊維搬送用無端ベルト3はポリエステル製であり、使用するモノフィラメントの線径がφ1mm、経線ピッチが2.5mm、緯線ピッチが2.5mmの平織り状である。開口率は36%である。該穴あき無端ベルト1と繊維搬送用無端ベルト3とを間隔が2mmとなるようにセットした。また、双方の走行速度は50m/分にセットした。
【0071】
熱風吹き出しダクト2の熱風吹き出し面および熱風吸引ダクト4の吸引面は、MD長さが1m、CD長さが1mにし、それぞれの面が対面するようにセットした。ウェブがない状態で、穴あき無端ベルト1の穴から噴出する熱風は、温度が140℃、風速が2m/秒になるように熱風循環ファン8の回転数とエア加熱器9のヒーター温度を設定した。尚、熱風吹き出し面の風速のCV値は、事前に計測し、7.3%であることを確認した。冷却エア吸引ダクト5の吸引面は、MD長さが1mであり、CD長さは上流側の熱風吹き出しダクト2の吹き出し面と同等の1mにした。また、冷却エア吸引ダクト5の吸引面に接する網状ベルトの対面側の吸引風速が2m/秒になるように、冷却風排気ファン10の回転数を設定した。
【0072】
上記のように装置の条件をセットした後、カード機と熱風処理不織布加工装置を運転し、繊維ウェブ6を図1の熱風処理不織布加工装置に左側から供給した。ウェブ6は、穴あき無端ベルト1と繊維搬送用無端ベルト3に挟まれて、該ベルトからずれることなく左から右方向に、50m/分の走行速度で走行し、熱風で処理された部分が熱接着したポイントスルーエア不織布7を連続的に製造した。尚、この時の熱風貫通処理時間は、1.2秒となる。
【0073】
約6時間の連続運転を行い、装置上の問題、運転上の問題および製品上の問題を発生することなく運転可能であった。製造されたポイントスルーエア不織布7は、ほぼ2mmの厚みを維持し、かつ図2、図3および図4に示すような熱接着部11と非熱接着部12を有しており、嵩高性と柔軟性を兼ね備えていた。
【0074】
〔実施例2〕
鞘成分が融点100℃の直鎖状低密度ポリエチレン、芯成分が融点162℃のポリプロピレンからなり、繊度が2dtex/f、カット長が51mmの、鞘芯型複合短繊維で構成され、目付けが20g/m2のウェブを上層部に、融点130℃のエチレン−プロピレン共重合体(コポリマー)と融点160℃のポリプロピレンからなり、繊度が3dtex/f、カット長が51mmの、並列型複合短繊維で構成され、目付けが10g/m2ウェブを下層部に配した2層ウェブから、上層部を構成する複合繊維のみが部分的に熱接着したポイントスルーエア不織布を加工した。尚、本実施例2の2層ウェブは、前段工程(図示せず)の2台が連続して配されたカード機を用いて連続的に加工され、図1の熱風処理不織布加工装置に供給される。該2層ウェブの目付けは30g/m2、幅は1mである。
【0075】
熱風処理不織布加工装置は実施例1と同じものを使用した。但し、加工条件は以下のように、該穴あき無端ベルト1と繊維搬送用無端ベルト3の間隔が1mmとなるようにセットした。双方ベルトの走行速度は実施例1と同じ50m/分にセットした。ウェブがない状態で、穴あき無端ベルト1の穴から噴出する熱風は、温度が120℃、風速が2m/秒に設定した。冷却エアの吸引風速が2m/秒になるように設定した。
【0076】
上記のように装置の条件をセットした後、実施例1と同様に、カード機と熱風処理不織布加工装置を運転し、ウェブ6を図1の加工装置に左側から供給した。ウェブ6は、穴あき無端ベルト1と繊維搬送用無端ベルト3に挟まれて、該ベルトからずれることなく左から右方向に、50m/分の走行速度で走行し、熱風で処理された部位の上層部のみが部分的に熱接着したポイントスルーエア不織布7を連続的に製造した。
【0077】
約6時間の連続運転を行い、装置上の問題、運転上の問題および製品上の問題を発生することなく運転可能であった。製造されたポイントスルーエア不織布7は、ほぼ1mmの厚みを維持し、かつ図2、図3および図5に示すように、上層部13は熱接着部11と非熱接着部12を有しており、下層部14はすべて非熱接着部12であった。但し、下層部14の熱風が貫通した部分は、構成する並列型複合繊維が微細な捲縮を顕在化していた。尚、該ポイントスルーエア不織布7を後工程のフローティングドライヤー(図示せず)を用いて、120℃で熱処理した。該下層部の非熱接着部12の並列型複合繊維は、微細捲縮発現しながら収縮する特性を殆ど変化せずに残しており、該フローティングドライヤーの加工条件を駆使して、MDの収縮率が50%、CDの収縮率が40%となるように熱収縮加工した。該不織布は、目付けが100g/m2、厚みが約4mmとなり、嵩高性、柔軟性および伸縮性を兼ね備えていた。
【産業上の利用可能性】
【0078】
このような熱風処理不織布加工装置および加工方法は、嵩高性、柔軟性、通気性および強力を兼ね備えた不織布を製作するのに有効である。さらに、合成繊維の機能を損なうことなく加工できるため、この方法で製作した不織布は、合成繊維およびシート状物の機能を利用した二次加工が容易に可能である。
【0079】
そして、本発明の熱風処理不織布加工装置および加工方法で得られた不織布は、嵩高性、柔軟性、通気性に優れており、また強力を兼ね備え、且つ加工前のウェブを構成する合成繊維や加工前のシート状物の特性を活かせるため、使い捨てオムツ用表面部材、生理用品用部材等の衛生材料の表面部材、使い捨てオムツ用伸縮性部材、オムツ用伸縮性部材、生理用品用伸縮性部材、オムツカバー用伸縮性部材等の衛生材料の伸縮性部材、伸縮性テープ、絆創膏、衣服用伸縮性部材、衣料用芯地、衣料用絶縁材や保温材、防護服、帽子、マスク、手袋、サポーター、伸縮性包帯、湿布材の基布、プラスター材の基布、スベリ止め基布、振動吸収材、指サック、クリーンルーム用エアフィルター、血液フィルター、油水分離フィルター等の各種フィルター、エレクトレット加工を施したエレクトレットフィルター、セパレーター、断熱材、コーヒーバッグ、食品包装材料、自動車用天井表皮材、防音材、基材、クッション材、スピーカー防塵材、エア・クリーナー材、インシュレーター表皮、バッキング材、接着不織布シート、ドアトリム等の各種自動車用部材、複写機のクリーニング材等の各種クリーニング材、カーペットの表材・裏材、農業捲布、木材ドレーン材、スポーツシューズ表皮等の靴用部材、カバン用部材、工業用シール材、ワイピング材、シーツ等の物品に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0080】
1 穴あき無端ベルト
2 熱風吹き出しダクト(熱風噴出装置)
3 繊維搬送用無端ベルト
4 熱風吸引ダクト(熱風吸引装置)
5 冷却エア吸引ダクト(冷却装置)
6 繊維ウェブ
7 ポイントスルーエア不織布
8 熱風循環ファン
9 エア加熱器
10 排気ファン
11 熱接着部
12 非熱接着部
13 上層部
14 下層部
15 熱接着部と非熱接着部の混在部
A 熱風処理部のウェブ
B 冷却処理部のウェブ
C 部分的熱接着されたウェブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転走行する穴あき無端ベルトと、
該穴あき無端ベルトの内面側から外側に向かって熱風を吹き出す熱風噴出装置と、
前記穴あき無端ベルトを挟んで前記熱風噴出装置の熱風吹き出し面と対面する側に前記穴あき無端ベルトと所定間隔を設けて配置され、前記熱風を通過させながら回転走行する繊維搬送用無端ベルト
とを備えることを特徴とする熱風処理不織布加工装置。
【請求項2】
前記繊維搬送用無端ベルトの内面側に、前記熱風噴出装置から吹き出された熱風の一部または全量を吸引する熱風吸引装置が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の熱風処理不織布加工装置。
【請求項3】
前記穴あき無端ベルトと前記繊維搬送用無端ベルトとの間隔が、0.1〜20mmの間隔で自在に調整可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱風処理不織布加工装置。
【請求項4】
前記穴あき無端ベルトの開口率が、60%以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の熱風処理不織布加工装置。
【請求項5】
前記穴あき無端ベルトの開口率が、10〜40%であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の熱風処理不織布加工装置。
【請求項6】
前記熱風噴出装置の熱風吹き出し速度のCV値が12%以下であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の熱風処理不織布加工装置。
【請求項7】
前記穴あき無端ベルトを冷却する冷却装置が備えられることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の熱風処理不織布加工装置。
【請求項8】
少なくとも1種の合成繊維からなる、少なくとも1層のウェブまたはシート状物を、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の熱風処理不織布加工装置を用いて、熱風を部分的に貫通させて熱処理することを特徴とするポイントスルーエア不織布の加工方法。
【請求項9】
前記合成繊維のうち最も低い融点以上の熱風を、前記ウェブまたはシート状物に部分的に貫通させて熱処理することを特徴とする請求項8に記載のポイントスルーエア不織布の加工方法。
【請求項10】
前記合成繊維の少なくとも1種が、融点差の異なる2成分以上からなる複合繊維であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載のポイントスルーエア不織布の加工方法。
【請求項11】
前記ウェブまたはシート状物の熱風貫通処理時間が、0.1〜10秒であることを特徴とする請求項8〜請求項10のいずれか1項に記載のポイントスルーエア不織布加工方法。
【請求項1】
回転走行する穴あき無端ベルトと、
該穴あき無端ベルトの内面側から外側に向かって熱風を吹き出す熱風噴出装置と、
前記穴あき無端ベルトを挟んで前記熱風噴出装置の熱風吹き出し面と対面する側に前記穴あき無端ベルトと所定間隔を設けて配置され、前記熱風を通過させながら回転走行する繊維搬送用無端ベルト
とを備えることを特徴とする熱風処理不織布加工装置。
【請求項2】
前記繊維搬送用無端ベルトの内面側に、前記熱風噴出装置から吹き出された熱風の一部または全量を吸引する熱風吸引装置が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の熱風処理不織布加工装置。
【請求項3】
前記穴あき無端ベルトと前記繊維搬送用無端ベルトとの間隔が、0.1〜20mmの間隔で自在に調整可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱風処理不織布加工装置。
【請求項4】
前記穴あき無端ベルトの開口率が、60%以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の熱風処理不織布加工装置。
【請求項5】
前記穴あき無端ベルトの開口率が、10〜40%であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の熱風処理不織布加工装置。
【請求項6】
前記熱風噴出装置の熱風吹き出し速度のCV値が12%以下であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の熱風処理不織布加工装置。
【請求項7】
前記穴あき無端ベルトを冷却する冷却装置が備えられることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の熱風処理不織布加工装置。
【請求項8】
少なくとも1種の合成繊維からなる、少なくとも1層のウェブまたはシート状物を、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の熱風処理不織布加工装置を用いて、熱風を部分的に貫通させて熱処理することを特徴とするポイントスルーエア不織布の加工方法。
【請求項9】
前記合成繊維のうち最も低い融点以上の熱風を、前記ウェブまたはシート状物に部分的に貫通させて熱処理することを特徴とする請求項8に記載のポイントスルーエア不織布の加工方法。
【請求項10】
前記合成繊維の少なくとも1種が、融点差の異なる2成分以上からなる複合繊維であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載のポイントスルーエア不織布の加工方法。
【請求項11】
前記ウェブまたはシート状物の熱風貫通処理時間が、0.1〜10秒であることを特徴とする請求項8〜請求項10のいずれか1項に記載のポイントスルーエア不織布加工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−219873(P2011−219873A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86394(P2010−86394)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(311002067)JNC株式会社 (208)
【出願人】(399120660)チッソポリプロ繊維株式会社 (41)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(311002067)JNC株式会社 (208)
【出願人】(399120660)チッソポリプロ繊維株式会社 (41)
【Fターム(参考)】
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