説明

燃料タンクの取り付け構造

【課題】簡単且つ経済的な構成で、燃料タンクからのノイズが車室内に伝達されることを可及的に阻止することを可能にする。
【解決手段】取り付け構造10は、車体フロア14の下方に燃料タンク16を取り付けるものである。この取り付け構造10は、車体フロア14に接するとともに、前記車体フロア14の下側に設けられる複数のクロスメンバー20と、前記クロスメンバー20間に連結され、前記車体フロア14から独立し且つ下方に離間して配設される支持フレーム22と、前記燃料タンク16を前記支持フレーム22に押し付けて保持するための押し付け部材26とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体フロアの下方に燃料タンクを取り付けるための燃料タンクの取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃エンジンに燃料を供給するために、燃料タンクが用いられている。この燃料タンクを車体に対して取り付けるために、従来より、種々の構造が採用されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されている車体構造は、図5に示すように、車体フロア1の下側に、燃料タンク2を配設するとともに、前記車体フロア1における前記燃料タンク2の上方位置に該車体フロア1を貫通する部品取り付けボルト3a、3bが配設されている。
【0004】
車体フロア1の下面には、部品取り付けボルト3a、3bの前記車体フロア1から突出する突出部4a、4bと、燃料タンク2との間に介在するカバー部材5が固定されている。
【0005】
カバー部材5は、車体フロア1のフロアパネル6に固着され、前記カバー部材5に燃料タンク2の当て面7a、7bが設けられている。当て面7a、7bは、燃料タンク2にゴム等からなるクッション部材8を接合するとともに、前記クッション部材8がカバー部材5に接合することにより構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−15798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記の特許文献1では、燃料タンク2の当て面7a、7bが接するカバー部材5は、車体フロア1のフロアパネル6に、直接、固着されている。このため、燃料タンク2に発生するノイズ、例えば、燃料の揺動音や燃料ポンプ音等が、この燃料タンク2からカバー部材5を介して車体フロア1に伝達されるおそれがある。
【0008】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、簡単且つ経済的な構成で、燃料タンクからのノイズが車室内に伝達されることを可及的に阻止することが可能な燃料タンクの取り付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、車体フロアの下方に燃料タンクを取り付けるための燃料タンクの取り付け構造に関するものである。この取り付け構造は、車体フロアに接するとともに、前記車体フロアの下側に設けられる複数の第1車体フレームと、前記第1車体フレーム間に連結され、前記車体フロアから独立し且つ下方に離間して配設される第2車体フレームと、燃料タンクを前記第2車体フレームに押し付けて保持するための押し付け部材とを備えている。
【0010】
また、この取り付け構造は、第2車体フレームが閉断面形状を有することが好ましい。
【0011】
さらに、この取り付け構造は、第2車体フレームと燃料タンクとの間に設けられる当て面を備え、前記燃料タンクは、前記当て面を介して前記第2車体フレームに押し付けられることが好ましい。
【0012】
さらにまた、この取り付け構造は、当て面が緩衝材により構成されることが好ましい。
【0013】
また、この取り付け構造は、当て面がゴム部材により構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、燃料タンクが第2車体フレームに押し付けて保持されるとともに、前記第2車体フレームは、車体フロアに直接接触することがない。このため、燃料タンクに発生するノイズは、車体フロアに伝達され難くなり、車室内に前記ノイズが伝わることを良好に抑制することができる。
【0015】
しかも、防振部材の形状が複雑化したり、追加の防振部材を用いたりする必要がない。従って、経済的であるとともに、タンク容量が減少することを阻止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る取り付け構造の概略斜視説明図である。
【図2】前記取り付け構造の一方の側面説明図である。
【図3】前記取り付け構造の底面説明図である。
【図4】前記取り付け構造の他方の側面説明図である。
【図5】特許文献1に開示されている車体構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜図4に示すように、本発明の実施形態に係る取り付け構造10は、車体12を構成する車体フロア14の下方に燃料タンク16を取り付けるための構造である。
【0018】
取り付け構造10は、車体フロア14を構成するフロアパネル18に接するとともに、前記フロアパネル18の下側に設けられる複数のクロスメンバー(第1車体フレーム)20を備える。複数のクロスメンバー20間には、支持フレーム(第2車体フレーム)22が溶接等により固着される。
【0019】
支持フレーム22は、複数設けられるとともに、クロスメンバー20に両端が直接接合されることにより、車体フロア14から独立し、且つ前記車体フロア14の下方に離間して配設される。
【0020】
各支持フレーム22は、閉断面形状を有しており、燃料タンク16の押し当て位置に対応して当て面24が設けられる。当て面24は、緩衝材により構成され、好適には、ゴム部材により構成される。
【0021】
燃料タンク16は、例えば、2つのタンク部を有する鞍型燃料タンクを構成しており、上面16aに当て面24が設けられる。なお、燃料タンク16は、鞍型燃料タンクに限定されるものではなく、種々の型に適用可能である。
【0022】
燃料タンク16の側面16b及び底面16cには、押し付け部材26が配設され、前記燃料タンク16は、前記押し付け部材26を介して支持フレーム22に、より具体的には、当て面24を介して前記支持フレーム22に、押し付けられる。
【0023】
押し付け部材26は、一対のバンド28を備え、前記バンド28は、両端に設けられた取り付け部28aに挿入されるボルト30を介してクロスメンバー20に固定される。バンド28は、断面コ字状に屈曲しており、燃料タンク16の側面16b及び底面16cに形成された取り付け用凹部32に配置される。
【0024】
バンド28の取り付け部28aが、ボルト30を介してクロスメンバー20にねじ止めされると、各バンド28は、一対の取り付け部28a間に所定の張力が付与される。燃料タンク16は、バンド28の張力により当て面24を介して支持フレーム22に押し付け保持される。
【0025】
このように構成される取り付け構造10では、燃料タンク16が一対のバンド28により下方から支持されるとともに、前記バンド28を介して支持フレーム22に押し付け保持されている。このため、燃料タンク16は、当て面24を介装して支持フレーム22に押し付けられることにより、車体12に固定されている。
【0026】
この場合、本実施形態では、燃料タンク16が押し付け保持される支持フレーム22は、クロスメンバー20に固着されることにより、この支持フレーム22が、車体フロア14に直接接触することはない。従って、燃料タンク16内に発生するノイズ、例えば、燃料の揺動音や燃料ポンプ音等が、車体フロア14に伝達され難くなり、車室内に前記ノイズが伝わることを良好に抑制することができるという効果が得られる。
【0027】
しかも、本実施形態では、燃料タンク16が当て面24を介して支持フレーム22に押し付け保持されるだけである。このため、例えば、防振部材の形状が複雑化したり、追加の防振部材を用いたりする必要がない。これにより、取り付け構造10全体を経済的に構成するとともに、燃料タンク16のタンク容量が減少することを良好に阻止することが可能になる。
【0028】
さらに、本実施形態では、燃料タンク16と支持フレーム22との間に、当て面24が設けられている。従って、燃料タンク16から支持フレーム22にノイズが伝達されることを、さらに低減することができる。その上、燃料タンク16と支持フレーム22との接触安定性が、一層向上するという利点がある。
【0029】
さらにまた、当て面24は、緩衝材で構成されている。このため、特に燃料タンク16内での振動等により発生するノイズの低減が容易に図られ、車室内に該ノイズが伝わることを抑制することができる。しかも、燃料タンク16から車室内への音の伝達自体も低減可能となる。
【0030】
また、当て面24は、ゴム部材で構成されている。従って、燃料タンク16からの音の伝達減衰が図られるとともに、接地力が向上し、前記燃料タンク16の縦方向及び横方向のずれを良好に防止することが可能になる。これにより、ノイズの発生要因を除去し、車室内に伝わるノイズを一層確実に低減することができるという利点がある。
【0031】
なお、当て面24の形状は、燃料タンク16の形状等に応じて種々、選択可能であり、四角形や丸形等、適宜設定することができる。
【0032】
さらに、支持フレーム22は、例えば、パイプ形状やアルミ押し出し製法等により閉断面形状に構成されている。このため、支持フレーム22自体の剛性が高く、車体12の剛性を向上させることができるとともに、燃料タンク16から伝わるノイズを吸収することが可能になる。従って、車室内に伝わるノイズを一層低減することが可能になる。
【符号の説明】
【0033】
10…取り付け構造 12…車体
14…車体フロア 16…燃料タンク
18…フロアパネル 20…クロスメンバー
22…支持フレーム 24…当て面
26…押し付け部材 28…バンド
28a…取り付け部 30…ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フロアの下方に燃料タンクを取り付けるための燃料タンクの取り付け構造であって、
前記車体フロアに接するとともに、該車体フロアの下側に設けられる複数の第1車体フレームと、
前記第1車体フレーム間に連結され、前記車体フロアから独立し且つ下方に離間して配設される第2車体フレームと、
前記燃料タンクを前記第2車体フレームに押し付けて保持するための押し付け部材と、
を備えることを特徴とする燃料タンクの取り付け構造。
【請求項2】
請求項1記載の取り付け構造において、前記第2車体フレームは、閉断面形状を有することを特徴とする燃料タンクの取り付け構造。
【請求項3】
請求項1又は2記載の取り付け構造において、前記第2車体フレームと前記燃料タンクとの間に設けられる当て面を備え、
前記燃料タンクは、前記当て面を介して前記第2車体フレームに押し付けられることを特徴とする燃料タンクの取り付け構造。
【請求項4】
請求項3記載の取り付け構造において、前記当て面は、緩衝材により構成されることを特徴とする燃料タンクの取り付け構造。
【請求項5】
請求項3又は4記載の取り付け構造において、前記当て面は、ゴム部材により構成されることを特徴とする燃料タンクの取り付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−195300(P2010−195300A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44380(P2009−44380)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】