説明

燃料タンクの燃料補充決定装置および燃料タンクの燃料補充決定方法

【課題】販売元が使用しているタンクローリーのハッチ構成のハッチに空が生じないよう
輸送能力を日々100%に限りなく近づける配送計画を作成する。
【解決手段】各燃料タンクの最大補充量と最小補充量とを計算して、各燃料タンクに最大補充量と最小補充量を設定し、在庫予測計算による任意燃料タンクの在庫量が発注点以下であると計算されたときに、一般受注量を優先補充することを決定し、タンクローリーの各ハッチを満杯にできるかを計算し、満杯にすることができない結果が出力された時に、タンクローリーの各ハッチを満杯にするに要する必要補充量を計算し、他の任意燃料タンクの最大補充量と最小補充量の範囲で、当該必要補充量になるように積み合せ補充することで任意燃料タンク及び他の任意燃料タンクの補充量を決定する補充量決定手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンク、例えばガソリンスタンドの燃料補充決定装置および燃料タンクの燃料補充決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガソリンスタンド、工場、事務所、あるいは一般家庭には石油、ガソリンなどの燃料としての液体、ガスを蓄えておく設備として燃料タンクが設置されており、その在庫量の管理は、ガソリンスタンド、工場、事務所の管理者または各家庭の家主または主婦が行っていた。管理者や家主、主婦は、随時タンクの液面をチェックし、一定量を下回ると販売元に電話やファックスで注文していた。注文を受けた販売元は、注文を受けた数量を指定された納入日に配送、補充するよう配送センターに指示していた。
【0003】
特許文献1には、工場、事務所、あるいは一般家庭のタンクの在庫量を販売元が監視する仕組みにすることにより、在庫量が一定量を下回ると販売元が一定量の液体またはガスの配送、補充を配送センターに指示し、持ち届け、後日補充量に応じて工場、事務所、あるいは一般家庭に、その代金を請求する方法が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、需要予測によってバルクガスローリー車を配車したときの充填可能量顧客サイトのバルク貯槽までの輸送距離、輸送単価、当該ガスのガス単価および充填量を含み、バルクローリー車の貯層容積と輸送距離とによって予め定めたバルクガスの蒸発量を入力してバルクガスローリー車の配送計画のコストを最小にする出力値を求め、最小にする出力値によって配車するバルクローリー車を決定するバルクガスローリー車による配送計画を立案する配送計画システムが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−186955号公報
【特許文献2】特許第3682876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ガソリンスタンド、工場、事務所あるいは一般家庭に設置される燃料タンクについて在庫切れが生じないように燃料の補充を行うことができるように燃料補充計画を行うと共に、販売元が使用しているタンクローリーのハッチ構成の荷台に空が生じないようにして輸送能力を日々100%に限りなく近づけて活用するように配送計画を作成し、配送ロスを少なく抑えることのできる燃料タンクの燃料補充決定装置および燃料タンクの燃料補充決定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、各燃料タンクを燃料の補充によって満杯にするまで補充する量を最大補充量とし、在庫予測計算から求められた在庫量と経過時間とから予め定められる発注点まで補充する量を最小補充量として記憶し、及びハッチ構成の各タンクローリーの各ハッチについて予め定められたハッチ容量及びハッチ数を記憶する記憶手段と、
燃料の在庫予測計算から各燃料タンクの在庫量を計算予測する在庫予測計算手段と、
各燃料タンクの在庫量に無関係に、優先して補充を行うことを示す一般受注量情報を入力する一般受注量情報入力手段と、
各燃料タンクの最大補充量と最小補充量とを計算して、各燃料タンクに最大補充量と最小補充量を設定し、在庫予測計算による任意燃料タンクの在庫量が発注点以下であると計算されたときに、一般受注量を優先補充することを決定した上で、該燃料タンクに最大補充量及び最小補充量の範囲で補充することとしたタンクローリーによる配送計画を立案し、設定した最大補充量及び最小補充量の範囲で補充したとした時にタンクローリーの各ハッチを満杯にできるかを計算し、満杯にすることができない結果が出力された時に、タンクローリーの各ハッチを満杯にするに要する必要補充量を計算し、他の任意燃料タンクの最大補充量と最小補充量の範囲で、当該必要補充量になるように積み合せ補充することで任意燃料タンク及び他の任意燃料タンクの補充量を決定する補充量決定手段と、を備えること
を特徴とする燃料タンクの燃料補充決定装置を提供する。
【0008】
上述の装置あるいは方法において、前記燃料タンクについての補充量の決定手段は、最小補充量の中の大きい順に最小補充量の補充の決定を行うことを特徴とする。
【0009】
上述の装置あるいは方法において、一般受注量情報が無の場合に、一般受注対応ハッチ数を零とすることを特徴とする。
【0010】
上述の装置あるいは方法のいすれかにおいて、設定最小補充量は、計測時にタンク在庫量と経過時間で定まるタンク在庫量に対する予め定めた発注点と予め定めた在庫許容限界値とで定まる補充量に設定され、最小補充量は、在庫許容限界値から発注点までの補充量または補充時点に予測される在庫量から燃料タンクの満杯までの補充量に決定されることを特徴とする。
【0011】
ここで、燃料タンクとはガソリンスタンド(ガソリンステーション)、工場、ビルなどの事務所あるいは一般家庭に設置される石油、ガソリンなどの燃料を保管する燃料容器を意味して使用され、燃料には液状のものあるいはガス状のものがある。また、燃料には同一種ばかりでなく類似の種類のものが含まれる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ガソリンスタンド、工場、事務所、あるいは一般家庭に設置される燃料タンクについて在庫切れが生じないように燃料の補充を行うことができるように燃料補充計画を立てることができると共に、販売元が使用しているタンクローリーのハッチ構成の荷台に空が生じないようにして輸送能力を日々100%に限りなく近づけて活用するように配送計画を作成し、配送ロスを少なく抑えることのできる燃料タンクの燃料補充決定装置および燃料タンクの燃料補充決定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例の概略構成を示す図。
【図2】本発明の実施例の構成を示すブロック図。
【図3】販売予測算出概念図。
【図4】販売実績及び販売数量積算値モデル図。
【図5】燃料タンク内在庫量増減モデル図。
【図6】タンクローリーハッチ割付概念図。
【図7】タンク補充量決定処理フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。以下の実施例では燃料に石油を、そして燃料タンクにガソリンスタンドの燃料タンク、すなわち通常の意味で使用されるガソリンスタンドを例にとって説明するが、これらの例には限定されない。
【実施例】
【0015】
図1は本発明の1実施例の構成を示すものであり、図中の1は石油元売会社の受注配送センターであり、ガソリンスタンドから注文を受付け、出荷現場へ配送指示を行っている。石油元売会社受注配送センター1には受付コンピュータ5、補充量計算コンピュータ6、配送計画コンピュータ7および配送指示コンピュータ8が設置されており、ガソリンスタンド3,4から送信されてくる石油タンクの在庫量とその販売実績は、補充量計算コンピュータ6によって補助記憶装置12に記憶し、蓄積した販売実績を基に未来の販売数量を予測し、同じく補助記憶装置12に蓄積されている燃料タンクの在庫量を勘案し、予め設定されている発注点を下回る予定日の前日となる配送予定日と、配送予定日にタンクを発注点まで回復させる最小補充量、及び燃料タンクを満杯にする最大補充量計算に適用する。配送計算コンピュータ8はガソリンスタンドから通常の発注行為によって受注コンピュータ5を介して受信した同一配送予定日の受注情報を優先して配送計画を立案した後、同一方面の任意のガソリンスタンド3,4の配送可能な数量、即ち、配送量を燃料タンクの発注点まで回復させる(後述する)最小補充量からタンクを満杯にする最大補充量までの間で変化させて積み合せ、タンクローリー64(後述)を満載にする数量の調整を行い、その結果確定した補充量および配送計画結果は、配送指示コンピュータ8へ送信し、出荷現場へ配送指示する。
【0016】
一方、受注配送センター1のタンク補充量計算の対象となるガソリンスタンド3や4は、石油を蓄える燃料タンク9を備え、燃料タンク9には在庫量を検出する液面計と在庫量測定装置10が装備されている。また販売実績を入力する販売実績入力装置13も設置されており、在庫量測定装置10が故障したような場合、在庫量についても入力を可能としている。
【0017】
尚、前記液面計は本実施例で石油を想定しているために在庫量検出時に適用しているものであり、ガスなどの場合は差圧計などの圧力計を適用すると良い。
【0018】
また、本実施例ではガソリンスタンド3または4からのタンク在庫量および販売実績は、在庫量測定装置10および販売実績入力装置13から広域エリアネットワーク11およびローカルエリアネットワーク2を介して補充量計算コンピュータ6に取込まれるが、伝送手段として公衆回線、専用回線、PHS回線または携帯電話回線を利用しても良い。
【0019】
また、本実施例ではガソリンスタンド3,4からのタンク在庫量および販売実績は、在庫量測定装置10および販売実績入力装置13から広域エリアネットワーク11およびローカルエリアネットワーク2を介して補充量計算コンピュータ6に取込まれる場合、在庫量測定装置10および販売実績入力装置13側から補充量計算コンピュータ6の補助記憶装置に送信する方法を採用しているが、補充量計算コンピュータ6からのリクエストによって、その応答として在庫量測定装置10および販売実績入力装置12側からタンク在庫量および販売実績を吸い上げる方法でもよい。
【0020】
図2は、受注配送センター1内に配設された各種コンピュータ(図の場合、受注コンピュータ5、補充量コンピュータ6、配送計画コンピュータ7、配送指示コンピュータ8)および各種通信手段によって構成される燃料補充決定装置(CPU)21を示すブロック図である。図1の例では複数のコンピュータを使用しているが、一台のコンピュータで構成されてもよい。
【0021】
図2において、燃料補充決定装置21は、在庫予測計算手段22、入力手段23、記憶手段24、燃料タンク(A)の特定手段25、燃料タンク(A)の補充量決定手段26、燃料タンク(B)の特定手段27、燃料タンク(B)の補充量決定手段28および画面表示手段29から構成される。
【0022】
在庫予測計算手段22は、後述するように、各燃料タンク9について石油の在庫予測計算を行う。
【0023】
入力手段23には、各種通信手段30を介して各ガソリンスタンド3,4の各燃料タンク9に関する在庫量および販売実績、並びに一般受注量についてのその他の情報が入力される。ここで、一般受注とは、燃料タンク9の在庫量とは無関係に優先して補充を行うことが求められた受注のことであって早急な補充にて対応を求められる。
【0024】
記憶手段24には、管理対象のガソリンスタンド3,4および燃料タンク9、発注点(発注日時を含み、発注に関連した特定点を含む)、設定最大補充量、設定最小補充量、在庫許容限界値、管理対象のタンクローリー、各タンクローリーについてハッチ数と各ハッチについての容量が記憶、格納される。ここで、設定最大補充量は、タンク満杯上限と在庫許容限界量内で在庫許容限界近く(在庫許容限界を含む)に可能な限り大きく、例えば燃料タンクの満杯になるように予め定めた第1のラインに依存して定まる設定最大補充量であり、在庫許容限界量は在庫下限を指し、配達日において在庫許容限界以上に在庫量が減少することは避けなければならない。設定最小補充量は、設定最大補充量に達しない範囲で予め定めた第のラインに依存して定まる設定最小補充量である。設定最小補充量の典型的な例は発注点と在庫許容限界値で定める補充量である。なお、在庫許容限界量以前であっても発注点を越えた量に可能な限り小さく(零を含む)して、発注点を越え、計測された時の発注点に対する補充量を以って予め定めた設定最小補充量を定めることができる。
【0025】
発注点は、タンク在庫量と経過時間との関係でタンク在庫量がある点に達した時に燃料の発注を行う点であり、典型的な例では予め定められる。この発注点を下回る予定日の前日を以って、配達予定日を設定することができる。このように配送予定日は発注点、すなわち発注日時に関連して想定され、定められる日である。この日には日時を含めることができるが、ここでは「日」で説明する。また、この発注日は在庫量との関係で予め定めておくことができ、このような場合は特定点であるが発注に関係するものであり発注点として取り扱うことができる。タンクローリー64の内部はハッチ76毎に区割され、分割されるが、タンクローリーによってハッチ数は定まり、各ハッチの燃料容量は同様に定まってくる。これらのデータは記憶手段24に予め格納される。
【0026】
燃料タンク(A)の特定手段25は、在庫予測計算手段22によって算出された在庫予測量に基づいて配送予定日を想定し、配送予定日までに設定最大補充量に達し、在庫許容限界量内にあって、最大補充量の補充を必要とする燃料タンク(A)あるいは/およびガソリンスタンド3,4の設定を行う。なお、配送予定日は前述の発送日時に加えて、経験則から予め一定の日時が設定最大補充量に達する日として定めてもよく、両者で組み合わせてもよい。
【0027】
燃料タンク(B)の特定手段27は、同様に算出された在庫予測量に基づいて配送予定日を想定し、設定最小補充量に達し、設定最大補充量内にあって、設定補充量の補充が可能である燃料タンク(B)あるいは/およびガソリンタンク3,4の設定を行う。
【0028】
燃料タンク(A)の補充量決定手段26は、一般受注量情報を入力し、特定のタンクローリーについて該一般受注量を確保するために必要十分な一般受注量対応ハッチ数を算出し、ハッチ数から一般受注量対応ハッチ数を減算して第一能力余裕ハッチ数を算出して特定された燃料タンク(A)の最大補充量を算出し、算出された最大補充量をまかなうに充分な第一能力余裕ハッチ数に対応する余裕ハッチ容量がある時、すなわち空のハッチが残っている時に特定された燃料タンク(A)について最大補充量の補充を行うことを決定する。
【0029】
燃料タンク(B)についての補充量決定手段28は、第一能力余裕ハッチ数から前記最大補充量をまかなうに必要十分なハッチ数を減算して第二能力余裕ハッチ数を算出し、第二能力余裕ハッチ数がある時、すなわち空のハッチ数が残っている時に特定された燃料タンク(B)の最小補充量を算出し、算出された最小補充量と最大補充量の範囲の補充を行うことを決定する。
【0030】
上述で使用する最大補充量および最小補充量は設定最大補充量および設定最小補充量に対応する概念で実際に補充される時に使用される量である。
【0031】
前述の例では、二つのラインで設定最大補充量および設定最小補充量を使用しているが、これを二つ以上のラインを使用し段階的なものとしてもよい。また、ハッチの単位は1であるが、空のハッチは「1」よりも小さな値、例えば0.5としてもよい。
【0032】
また、燃料タンク(B)についての補充量の決定手段28は、最小補充量の中の大きい順に最小補充量の補充を決定していくことが望ましいが、これに限定されない。一般受注量情報がない場合に、一般受注対応ハッチ数は当然零となる。また、第一能力余裕ハッチ数が零あるいは第二能力余裕ハッチ数が零になる場合があり得る。
【0033】
画面表示手段29は、燃料タンク(A)の特定手段によって特定された燃料タンク9あるいは/およびガソリンスタンド3,4(これは燃料タンク9をも意味する)、燃料タンク(A)の補充量決定手段26で決定された補充量、燃料タンク(B)の特定手段27によって特定された燃料タンク(B)および燃料タンク(B)の補充量決定手段28で決定された補充量を一画面に表示されるように構成し、表示することを行う。これらの生成された情報は記憶手段24に記憶、格納される。このようにして作成されたデータは外部の画面表示装置(図1参照)に伝達される。
【0034】
以上の構成によれば、次のような例を実現することができる。
【0035】
1つ以上の燃料タンク9には各在庫量を測定する在庫量測定装置と、該燃料タンク9を所有するガソリンスタンド3,4において販売数量を入力する入力装置を具備すると共に、該在庫量測定装置、販売実績の入力装置23をネットワークを介して石油元売会社の受注配送センター1の補充量計算コンピュータに接続し、在庫量測定装置によって、燃料タンク内の在庫量を定期的に取り込み、販売実績の入力装置23によって、販売の都度販売実績を入力し、取り込んだ在庫量、入力された販売実績はネットワーク11を介して受注配送センター1の補充量計算コンピュータ6に送信され、補助記憶装置12に蓄積されると共に、補充量計算コンピュータ6では蓄積された販売実績情報を基に未来の販売数量を予測し、同じく補助記憶装置に蓄積されている燃料タンク9の在庫量を勘案し、予め設定されている発注点を下回る予定日の前日である配送予定日と、配送予定日にタンクを発注点まで回復させる最小補充量、及び燃料タンクを満杯にする最大補充量の三つの情報を表示装置に出力するようにすることができるので、石油元売会社ではガソリンスタンド3,4の在庫が切れる日が予測でき、補充量も最小補充量から最大補充量まで示されているため、配送時点の配送能力に合わせて柔軟に補充量を決定でき、配送ロスを最小限に抑えることができる。
【0036】
また、補充量計算コンピュータ6から出力される配送予定日、配送予定日にタンク9を発注点まで回復させる最小補充量、及び燃料タンク9を満杯にする最大補量を配送計画コンピュータ7に送信し、他のガソリンスタンドから通常の発注行為によって受注コンピュータ5を介して受信した同一配送予定日の受注情報を優先して配送計画を立案した後、同一方面の任意のガソリンスタンドの配送可能な数量、即ち配送量を燃料タンク9の発注点まで回復させる最小補充量からタンクを満杯にする最大補充量までの間で変化させて積み合せ、タンクローリーを満載にする積載量に決定するようにしたので、通常の発注行為で受注した固定補充量の一般受注情報と積み合せた場合に、一般受注情報優先で、かつタンクローリーの空ハッチを満杯にするように補充量を最小配送量から最大配送量の範囲で調整し、積載率を限りなく100%に近づけることができる。
【0037】
また、同一方面の任意のガソリンスタンド3,4の配送可能な数量、即ち配送量を燃料タンク9の発注点まで回復させる最小補充量からタンクを満杯にする最大補充量までの間で変化させて積み合せ、タンクローリーを満載にする補充量に満たない場合、予定日が翌日または翌日以降補充を予定している情報を前倒しで積み合せ補充するようにしたので、当日配送しなければならないガソリンスタンド3,4への配送のみでは、まだタンクローリーに余力がある場合、翌日配送しないと在庫が切れるガソリンスタンドへの配送分も前倒しで、補充量を最小配送量から最大配送量の範囲で調整し配送することにより、日々の配送量のバラツキを平準化することができる。
【0038】
また、同一方面の任意のガソリンスタンドの配送可能な数量、即ち配送量をタンクの発注点まで回復させる最小補充量からタンクを満杯にする最大補充量までの間で変化させて積み合せ、タンクローリーを満載にする補充量に満たない場合、同一ガソリンスタンド3,4向けで種類の異なる発注点を下回っていない石油を補充可能な数量の範囲内で、かつ積載可能な範囲で積み合せるようにしたので、同一のガソリンスタンド向けの種類の異なる石油を纏めて積み合せて配送することにより、同一のガソリンスタンドへ補充に行く回数を削減することができ、顧客サービスの向上に繋げることができ、かつ配送効率も向上する。
【0039】
また、配送計画コンピュータ7では、発注点を下回る予定日の前日となる配送予定日と、配送予定日にタンクを発注点まで回復させる最小補充量、及びタンクを満杯にする最大補充量の三つの情報を基に、配送計画を立案し、補充量を確定すると共に該配送計画結果を配送計画コンピュータ7に送信し、該配送計画結果に基づいて石油を配送するようにしたので、通常のガソリンスタンド3,4からの発注行為によって受注した受注情報、補充量決定方法による配送情報の区別無く、効率よく積み合せて計画的な配送が可能になり、配送ロスが低減され配送効率が大幅に改善されることによって、顧客サービスの向上と配送コストの削減が図れる。
【0040】
上述の例では、設定最小補充量を、計測時にタンク在庫量と経過時間で定まるタンク在庫量に対する予め定めた発注点と予め定めた在庫許容限界値とで定まる補充量に設定し、最小補充量は、在庫許容限界値から発注点までの補充量としているが、当該最小補充量を、補充時点に予測される在庫量から燃料タンクの満杯までの補充量として決定することができる
【0041】
図3は、在庫予測計算手段22による販売予測算出概念を示す図である。図3において、補充量計算コンピュータ6の補助記憶装置12(図2の記憶手段24)に蓄えられたタンク在庫量および販売実績21は、補充量計算コンピュータ6内で(図2の在庫予測計算手段)過去のある一定期間の日毎の販売実績データ31から単純回帰式による予測値32を求め、過去のある一定期間の日毎の販売実績データ31を各月毎に集計し、その平均値を月毎の販売実績データとして算出した周期的変動値33を求める。次に過去のある一定期間の日毎の販売実績データを各月毎に集計し、その月毎の中央平均値34を求め、各月の平均値を中央平均値で除して月毎の季節比率36を求め、さらにその季節比率の平均値を求め各月を調整した数値を月毎の季節指数値38とする。次に過去のある一定期間の日毎の販売実績データを各曜日毎に集計し、その曜日毎の移動平均値35を求め、各曜日の平均値を移動平均値で除して曜日毎の季節比率37を求め、さらにその季節比率の平均値を求める各曜日を調整した数値を曜日毎の季節指数(曜日)39とする。最後に単純回帰式から求めた近似直線の傾きa43に季節指数(曜日)39、季節指数(月)38、さらにイベントなどによる特別な指数ランダム指数40を乗ずることにより未来複数日販売数量予測41を得る。
【0042】
図4は、販売実績及び販売数量積算値モデルを示す図である。図4において、販売予測数量41に対する1日当りの販売数量(販売実績)42を計測し、販売数量の平均値から販売数量近似直線の傾き“a”を得る(上図)。この“a”から下図に示す販売数量近似直線Y=ax+bが得られ(b:ある定数)、経過回数に対する販売数量積算値が得られる。これによって、ガソリンスタンド3,4における石油の販売量を予測することができ、従って、石油の在庫予測計算を行うことができることになる。
【0043】
図5は燃料タンク内在庫量増減モデルを示す図である。
【0044】
図5は、経過時間に対する燃料タンク在庫量を示す。尚、本図は実際の増減とは異なり、在庫量が増減していく様子を直線で近似表現している。この図でタンク上限はタンク満杯の状態を示し、タンク下限は在庫許容限界値を示し、第1の設定ラインとなる。第2の設定ラインである発注点はタンク在庫量が発注点になった時に自動あるいは手動で発注作業がなされることを示す。ジグザグ状の線はタンク在庫量52を示し、販売によって減じ、補充によって増える状態を示し、54は在庫測定点を示す。在庫測定点54で在庫量が計測される。図5は経過時間で示してあるが、経過回数の場合もある。図5において、ジグザグ点の最下位点である補充点53からタンク上限までの補充量が典型的な最大補充量を示す。また、ジグザグ線の発注点を越えた補充点から発注点までの補充量が典型的な最小補充量を示す。なお、図5にあっては発注点が1つの点線で表示されているが、最小補充量について他の発注点を設定することができる。この場合の発注点は図5に示す発注点の上側(燃料タンク在庫量多)になる。図5に示すように、本実施例は第1のラインと第2のラインとを設定して設定最大補充量および設定最小補充量を決め、これらに対応してそれぞれの補充量および統計した補充量をハッチ容量に対応して定めることに特徴がある。
【0045】
図6は、タンクローリーハッチ割付概念を示す図である。本例の場合、タンクローリー64は7つのハッチ76構成とされている。それぞれのハッチ76にはそれぞれ4,4,4,2,2,4,4klの石油を積載することができる例が示されている。この積載量がそれぞれハッチ容量となり、タンクローリーの容量は24klとなる。
【0046】
図6において、69は在庫許容限界線(タンク在庫許容下限)を示し、70は在庫切れ線を示し、はタンク上限満線を示し、65は在庫許容限界量を示し、66は発注点を示し、67は最小補充量を示し、68は最大補充量を示す。図6に示す側にあっては、燃料タンク9において、最大補充量68はタンク満杯線上限77と在庫許容限界線との間の補充量とされており、この場合、設定最大補充量はこの最大補充量に一致する。なお、実際の最大補充量は10kl以内であってもよい。そして、この例の場合、最大補充量は、10klとされる。最小補充量67は発注点66と在庫許容限界線69との間の補充量であり、この場合、設定最小補充量はこの最小補充量に一致する。なお、実際の最小補充量2kl以内であってもよい。そして、この例の場合、最小補充量は2klとされる。2,10klに設定した状態を補充情報61とする。
【0047】
販売数量予測値41とタンク在庫量52から将来のタンク在庫量予測を行い、タンク在庫量52と発注点66を下回る日を特定し、その前日を配送予定日とする。
【0048】
配送予定日にタンクを発注点まで回復させる最小補充量67、およびタンクを満杯にする最大補充量68の二つのタンク補充量を決定するタンク補充量生成を実行する。実行された結果、出力75(図7)に示す各ガソリンスタンド毎、燃料タンクの補充量、タンク在庫および販売実績が得られ、該情報は表示装置上に出力されると共に配送計画コンピュータ7に送信される。配送計画コンピュータ7は受信した配送予定日、最小補充量67、最大補充量68の各情報を方面別に纏めタンクローリーハッチ構成に示す7つのハッチ76に順次割付て行く。この場合、ガソリンスタンド3,4から通常の発注行為により受注した一般受注情報(固定)62が最優先で割付けられ、例えば7ハッチの内の5ハッチ16klが埋まったとすると、タンクローリー64の1車分を満載にできない。この場合、同一方面aのガソリンスタンド3,4の補充情報61を取り出し、最小補充量2klから最大補充量10klまでの間で積載量を変化させ、タンクローリー64の空ハッチ8klが満載になるように膨らませる処理63を行い、空気を運ぶような無駄なことが無いように処理している。本実施例では、一般受注情報(固定)62との積み合せを想定しているが、一般受注情報(固定)62を含まない場合、零として扱い、すべてが販売予測値とタンク在庫から決定する補充方法から生成された情報で処理されてもよい。
【0049】
図7は、タンク補充量決定処理フローを示す。
【0050】
図7において、入力手段23(図2)を介して販売実績(日毎)、タンク在庫量(CSVファイル)および一般受注量情報が入力71される。これに統計された報告販売数量が入力されてもよい。
【0051】
これらのデータを基に上述した手法に従って販売を基に将来の販売数量を予測し、販売数量予測72を行い、販売数予測手段値データとする。販売数量予測値と計測時点のタンク在庫量を基に将来のタンク在庫量を予測し(タンク在庫量予測73)、タンク在庫量予測値データとする。
【0052】
このタンク在庫量の予測値と発注点を基に上述した手法に従ってタンク補充量を生成し、タンク補充量生成データ74とする。この結果に基づいて上述した手法に従い、ガソリンスタンド毎、燃料タンク毎にタンク在庫、販売実績、補充量を得、更に補充量を決定し、対象のタンクローリーについての使用ハッチを決定(ハッチ割付け)し、画面に表示し、出力75する。この画面は図1に示す配送計画コンピュータ7の画面上に表示される。
【0053】
本実施例によれば、燃料タンク9の在庫切れが無いように任意のタイミングで補充することができると共に、従来一定量に固定していた補充量に幅を持たせ液体またはガス販売元が有している一定の輸送能力を日々100%に限りなく近く活用するためにタンクローリーのハッチに空が出来ないように配送計画を作成し、配送ロスを最小限に抑えた液体またはガスタンクの補充量決定方法を提供することができるようになる。
【符号の説明】
【0054】
1…受注配送センター、2…ローカルエリアネットワーク、3,4…ガソリンスタンド、5…受注コンピュータ、6…補充量計算コンピュータ、7…配送計画コンピュータ、8…配送指示コンピュータ、9…燃料タンク、10…在庫量測定装置、11…広域エリアネットワーク、12…補助記憶装置、13…販売実績入力装置、21…燃料補充決定装置、22…在庫予測計算手段、23…入力手段、24…記憶手段、25…燃料タンク(A)の特定手段、26…燃料タンク(A)の補充量決定手段、27…燃料タンク(B)の特定手段、28…燃料タンク(B)の補充量決定手段、29…画面表示指示手段、31…販売実績データ、64…タンクローリー、76…ハッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各燃料タンクを燃料の補充によって満杯にするまで補充する量を最大補充量とし、在庫予測計算から求められた在庫量と経過時間とから予め定められる発注点まで補充する量を最小補充量として記憶し、及びハッチ構成の各タンクローリーの各ハッチについて予め定められたハッチ容量及びハッチ数を記憶する記憶手段と、
燃料の在庫予測計算から各燃料タンクの在庫量を計算予測する在庫予測計算手段と、
各燃料タンクの在庫量に無関係に、優先して補充を行うことを示す一般受注量情報を入力する一般受注量情報入力手段と、
各燃料タンクの最大補充量と最小補充量とを計算して、各燃料タンクに最大補充量と最小補充量を設定し、在庫予測計算による任意燃料タンクの在庫量が発注点以下であると計算されたときに、一般受注量を優先補充することを決定した上で、該燃料タンクに最大補充量及び最小補充量の範囲で補充することとしたタンクローリーによる配送計画を立案し、設定した最大補充量及び最小補充量の範囲で補充したとした時にタンクローリーの各ハッチを満杯にできるかを計算し、満杯にすることができない結果が出力された時に、タンクローリーの各ハッチを満杯にするに要する必要補充量を計算し、他の任意燃料タンクの最大補充量と最小補充量の範囲で、当該必要補充量になるように積み合せ補充することで任意燃料タンク及び他の任意燃料タンクの補充量を決定する補充量決定手段と、を備えること
を特徴とする燃料タンクの燃料補充決定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−86986(P2012−86986A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−265983(P2011−265983)
【出願日】平成23年12月5日(2011.12.5)
【分割の表示】特願2006−188354(P2006−188354)の分割
【原出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【出願人】(000153443)株式会社日立情報制御ソリューションズ (359)