説明

燃料劣化検出装置および燃料劣化検出方法

【課題】燃料の酸化劣化を検出して、ユーザに報知することが可能な燃料劣化検出装置および燃料劣化検出方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る燃料劣化検出装置は、ECU10は、バイオ燃料の燃料劣化指標値(酸化劣化度合い)Xを算出し、燃料劣化指標値Xが閾値Xfを超えた場合に、インパネ20の第1の警告灯21を点灯して、ユーザにバイオ燃料の酸化劣化を警告することにより、バイオ燃料の酸化劣化を検出して、ユーザーに報知することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料劣化検出装置および燃料劣化検出方法に関し、詳細には、バイオ燃料の酸化劣化度合いを検出することが可能な燃料劣化検出装置および燃料劣化検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、サトウキビ、とうもろこし、小麦、パーム椰子、菜種、ひまわり種、ココナッツ、大豆等の植物資源からなるバイオマス原料は、過去の石油危機時代を背景にして、代替燃料としての利用が期待されている。また、再生可能なエネルギーであるバイオマス燃料(以下、バイオ燃料という)は、二酸化炭素(CO2)の発生量を抑制する効果があるうえ、廃棄物としてのバイオマスを有効利用できることから、地球温暖化対策の一つとして注目されている。特に、自動車産業においては、バイオ燃料は石油燃料の代替として期待されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一般的に、バイオ燃料は、空気中の酸素によって酸化され易く、時間の経過に伴って酸化劣化するという問題がある。特に、パーム椰子、菜種、ひまわり種、ココナッツ、大豆等を原料とする脂肪酸メチルエステル(FAME)やメタノールなどのバイオ燃料は、酸化が起こると脂肪酸を生成し、車両の燃料供給系やエンジン部品の金属腐食や目詰まり等を引き起こし、車両性能・運転性・排気性能等を低下させるという問題がある。
【0004】
【特許文献1】特開2006−144736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかるバイオ燃料は、製造後に直ちに使用することが望ましいが、給油所や車両の貯蔵タンク内に長期間保管される場合があり、使用時には酸化劣化している可能性がある。また、高温になる季節や地域では、バイオ燃料の酸化劣化が促進される。このため、ユーザが酸化劣化したバイオ燃料を使用するのを避けるために、ユーザにバイオ燃料の酸化劣化を報知することが望まれる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、燃料の酸化劣化を検出して、ユーザに報知することが可能な燃料劣化検出装置および燃料劣化検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、燃料の劣化を検出する燃料劣化検出装置において、前記燃料の酸化劣化度合いを検出する検出手段と、前記検出手段で検出された前記燃料の酸化劣化度合いが閾値を超えた場合に、前記燃料の酸化劣化を警告する警告手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記検出手段は、所定時間間隔で前記燃料の酸化劣化度合いを検出することが望ましい。
【0009】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記警告手段は、前記検出手段で検出された前記燃料の酸化劣化度合いが、第1の閾値を超えた場合に当該燃料の劣化を報知し、さらに、前記第1の閾値より大きい第2の閾値を超えた場合に、内燃機関の動作を停止させることが望ましい。
【0010】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記酸化劣化度合いは、酸価または過酸化物価を指標とすることが望ましい。
【0011】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記燃料は、バイオ燃料であることが望ましい。
【0012】
また、本発明の好ましい態様によれば、燃料の劣化を検出する燃料劣化検出方法において、前記燃料の酸化劣化度合いを検出する検出工程と、前記検出工程で検出された前記燃料の酸化劣化度合いが閾値を超えた場合に、前記燃料の酸化劣化を警告する警告工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、燃料の劣化を検出する燃料劣化検出装置において、前記燃料の酸化劣化度合いを検出する検出手段と、前記検出手段で検出された前記燃料の酸化劣化度合いが閾値を超えた場合に、前記燃料の酸化劣化を警告する警告手段と、を備えているので、燃料の酸化劣化を検出して、ユーザに報知することが可能な燃料劣化検出装置を提供することが可能になるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるものまたは実質的に同一のものが含まれる。以下の実施例では、本発明に係る燃料劣化検出装置を車両に適用した場合について説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の実施例1に係る燃料劣化検出装置の概略構成を示す図である。燃料劣化検出装置は、同図に示すように、大別すると、ECU10、インパネ20、燃料タンク30、滴定液タンク40、溶剤タンク50、混合タンク60、廃液タンク70、劣化判定センサ80、経過時間カウンタ90等で構成されている。
【0016】
燃料タンク30は、燃料31を貯留するためのものである。燃料31は、バイオ燃料(例えば、脂肪酸メチルエステル、メタノール等)単体、または、バイオ燃料混合燃料(例えば、バイオ燃料混合軽油、バイオ燃料混合ガソリン等)である。燃料タンク30には、燃料31の液面レベルを検知するレベルセンサ32と、燃料31を外部に排出するための排出口37が配設されている。レベルセンサ32の検出結果はECU10に出力される。また、燃料タンク30には、燃料タンク30内の燃料31を、通路35を介して混合タンク60に供給するための燃料ポンプ33と、通路36を介して不図示のエンジンに燃料31を供給するためのエンジン供給用ポンプ34が接続されている。燃料ポンプ33およびエンジン供給用ポンプ34の開閉動作はECU10によって制御される。
【0017】
滴定液タンク40は、燃料劣化判定処理で使用する滴定液41を貯留する。滴定液タンク40には、滴定液41の液面レベルを検知するレベルセンサ45が配設されており、レベルセンサ45の検出結果はECU10に出力される。また、滴定液タンク40には、滴定液41を通路43を介して混合タンク60に供給するための滴定ポンプ42が接続されている。滴定ポンプ42の開閉動作はECU10によって制御される。また、滴定ポンプ42には、滴定ポンプ42の稼働時間を計測するポンプ稼働時間カウンタ44が接続されており、計測された滴定ポンプ42の稼働時間がECU10に出力される。
【0018】
溶剤タンク50は、燃料劣化判定処理で使用する溶剤51を貯留するためのものである。溶剤タンク50には、溶剤51の液面レベルを検知するレベルセンサ52が配設されており、レベルセンサ52の検出結果はECU10に出力される。また、溶剤タンク50には、溶剤51を通路54を介して混合タンク60に供給するための溶剤ポンプ53が接続されている。溶剤ポンプ53の開閉動作はECU10によって制御される。
【0019】
混合タンク60は、燃料劣化判定処理で燃料31のPHを測定する場合に使用されるものであり、燃料31、溶剤51、および滴定液41の混合液61を一時的に収納する。混合タンク60には、混合液61の液面レベルを検知するレベルセンサ62と、混合液61を攪拌するための攪拌子63と、劣化判定センサ80の電極81と、混合液61を通路65を介して廃液タンク70に排出するための排出弁64とが配設されている。レベルセンサ62の検出結果はECU10に出力され、また、攪拌子63の動作および排出弁64の開閉動作はECU10によって制御される。
【0020】
廃液タンク70は、混合タンク60の混合液61を廃液71として貯留する。廃液タンク70には、廃液71の液面レベルを検知するレベルセンサ72と、廃液71を外部に排出するための排出口73が配設されている。レベルセンサ72の検出結果はECU10に出力される。
【0021】
劣化判定センサ80は、電極81により混合タンク60内の燃料31のPHを測定し、PHに応じたセンサ指示電圧VをECU10に出力する。
【0022】
インパネ20は、第1の警告灯21、第2の警告灯22、スピードメータ等を備えている。経過時間カウンタ90は、経過時間をカウントして、その経過時間カウント値TをECU10に出力する。経過時間カウンタ90は、IGのOFF時でも経過時間をカウントする。
【0023】
燃料劣化検出装置1の各種制御は、ECU10により実施されている。ECU10は、燃料劣化検出装置1の制御に係る各種演算処理を実行するCPU、その制御に必要な制御プログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果等が一時記憶されるRAM、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等を備えて構成されている。
【0024】
ECU10の入力ポートには、レベルセンサ32、45、52、62、72、劣化判定センサ80、経過時間カウンタ90等が接続されている。また、ECU10の出力ポートには、インパネ20、燃料ポンプ33、エンジン供給用ポンプ34、滴定ポンプ42、溶剤ポンプ53、攪拌子63、排出弁64等の駆動回路が接続されている。
【0025】
ECU10は、上記各センサから検出信号が入力され、上記出力ポートに接続された各機器類の駆動回路に指令信号を出力する。ECU10は、CPUでROMに格納された制御プログラムを実行することにより、後述する燃料劣化検出処理を実行する。
【0026】
上記構成の燃料劣化検出装置1の燃料劣化検出方法を説明する。燃料劣化指標値(酸化劣化度合い)としては、例えば、酸価、過酸化物価等を使用することができ、ここでは酸価を測定する場合の一実施例について説明する。以下では、JIS規格「JIS K0070」で規定される方法で、燃料劣化指標値として酸価を測定する場合について説明する。
【0027】
溶剤51には、ジエチルエーテル・エタノール混合溶液、滴定液41には、水酸化カリウムエタノール溶液、測定判定センサ80の電極81にはPH測定用電極を使用する。
【0028】
まず、燃料ポンプ33、溶剤ポンプ53を、規定流量で規定時間稼働させ、規定量の燃料31(例:20g)、規定量の溶剤51(例:125mL)を混合タンク60に供給し、この混合液61を攪拌子63で混合する。つぎに、混合液61を攪拌子63で攪拌しながら、滴定ポンプ42を稼働して、混合タンク60の混合液61に滴定液41を滴下する。この場合、滴定ポンプ42の単位稼働時間当たりの滴定量が同じになるようにする。劣化判定センサ80の電極81が、目標のPHに相当する電位(目標電位Vt)を検知した時点で、滴定ポンプ42を停止させ、滴定液41の滴定を終了する。ECU10は、次式(1)に基づいて酸価を算出する。なお、ブランクの滴下量は予め既知であるものとする。
【0029】
酸価(mgKOH/g)=(D−B)×K×F×M/S・・・(1)
ここで、D:滴下量(mL)
B:ブランク(例:0.085mL)
K:KOHの分子量(例:56.1)
F:滴定液のファクタ(例:1.000)
M:滴定液のモル濃度(例:0.1mol/L)
S:試料採取量(例:20g)
【0030】
なお、燃料劣化指標値として、過酸化物価を使用する場合は、例えば、石油学会規格「JPI−5S−46−96」で規定される測定方法を使用することができる。
【0031】
図2および図3は、上記構成のECU10が実行する燃料劣化検出処理を説明するためのフローチャートであり、図2は、燃料劣化検出処理の全体の処理を説明するためのフローチャート、図3は、燃料劣化検出処理の燃料劣化判定処理(ステップS9)の詳細な処理内容を説明するためのフローチャートである。ECU10は、IGがONされている間に、所定周期で燃料劣化検出処理を実行する。IGがOFFされた場合は、燃料劣化検出処理を中断し、IGが再度ONされた場合には、中断した地点から燃料検出処理を再開する。
【0032】
図2において、ECU10は、まず、経過時間カウンタ90から入力される経過時間カウント値T<閾値Tfであるか否かを判断する(ステップS1)。ECU10は、経過時間カウント値T<閾値Tfである場合には(ステップS1の「Yes」)、燃料ポンプ33および溶剤ポンプ53を、規定流量で規定時間作動させ、燃料タンク30および溶剤タンク50から規定量の燃料31および溶剤51を混合タンク60に供給する(ステップS2)。
【0033】
ECU10は、燃料ポンプ33、溶剤ポンプ53を規定流量で規定時間稼働させた後、燃料ポンプ33、溶剤ポンプ53を停止し、混合タンク60内の攪拌子63を作動させ、燃料31と溶剤51の混合液61の攪拌を開始する(ステップS3)。
【0034】
ECU10は、混合液61を攪拌子63で攪拌させた状態で、滴定ポンプ42を稼働させて、滴定液タンク40から滴定液41を滴下させると共に、劣化判定センサ80を作動させる(ステップS4)。これにより、劣化判定センサ80の電極81で検出したセンサ指示電位VがECU10に出力される。
【0035】
ECU10は、センサ指示電位V=目標電位Vtであるか否かを判定し(ステップS5)、センサ指示電位V=目標電位Vtとなった場合には(ステップS5の「Yes」)、滴定液ポンプ42を停止して、滴定液41の滴下を停止させると共に、劣化判定センサ80を停止させ、滴定を終了する(ステップS6)。また、ECU10は、混合タンク60の排出弁64を開いて、混合液61を廃液タンク70に送液する(ステップS7)。混合液61の排出を完了後、排出弁64を閉じる。この後、ECU10は、経過時間カウンタ90の経過時間カウンタ値Tをリセットする(ステップS8)。これにより、経過時間カウンタ90は、経過時間のカウントを新たに開始する。この後、ECU10は、燃料劣化判定処理を実行する(ステップS9)。
【0036】
つぎに、図3を参照して、上記ステップS9の燃料劣化判定処理の詳細な処理内容を説明する。この燃料劣化判定処理では、燃料劣化指標値が閾値を超えた場合に、インパネ20の警告灯21を点灯させて、燃料の酸化劣化をユーザ(ドライバ)に警告する。
【0037】
図3において、まず、ECU10は、上記式(1)に従って、燃料劣化指標値Xを算出し(ステップS21)、燃料劣化指標値X>閾値Xfであるか否かを判定する(ステップS22)。ECU10は、燃料劣化指標値X>閾値Xfでない場合には(ステップS22の「No」)、インパネ20の第1の警告灯21が点灯されているか否かを判断する(ステップS23)。第1の警告灯21が点灯されていない場合には(ステップS23の「No」)、当該フローを終了する一方、第1の警告灯21が点灯されている場合には(ステップS23の「Yes」)、第1の警告灯21を消灯した後(ステップS24)、当該フローを終了する。
【0038】
他方、ステップS22において、ECU10は、燃料劣化指標値X>閾値Xfである場合には(ステップS22の「Yes」)、インパネ20の第1の警告灯21を点灯してユーザに、燃料が劣化している旨を警告する(ステップS25)。ユーザは、この第1の警告灯21を点灯しているのを見て、燃料を補給又は交換する。ECU10は、燃料タンク30のレベルセンサ32で燃料31の液面レベルの変化を検知して、燃料31の補給または交換を検出すると(ステップS26の「Yes」)、図2のステップS2に戻り、補給または交換された燃料31について、再度、燃料劣化指標値Xの算出を行い(ステップS2〜S9、S21)、燃料劣化指標値X>閾値Xfでなくなった場合に(ステップS22の「No」)、点灯されている第1の警告灯21を(ステップS23の「Yes」)、消灯する(ステップS24)。
【0039】
なお、上記ステップS26では、ECU10が、燃料タンク30のレベルセンサ32で燃料31の液面レベルの変化を検知して、燃料31の補給または交換を検出する構成としたが、インパネ20に燃料リセットボタンを設け、ユーザが燃料リセットボタンを押した場合に、ECU10が、燃料31の補給または交換が行われたと判断する構成としてもよい。
【0040】
以上説明したように、実施例1によれば、ECU10は、バイオ燃料の燃料劣化指標値(酸化劣化度合い)Xを算出し、燃料劣化指標値Xが閾値Xfを超えた場合に、インパネ20の第1の警告灯21を点灯して、バイオ燃料の酸化劣化を警告することとしたので、バイオ燃料の酸化劣化を検出して、ユーザに報知することが可能となる。
【0041】
また、実施例1によれば、ECU10は、所定時間間隔Tfでバイオ燃料の燃料劣化指標値(酸化劣化度合い)Xを検出することとしたので、所定時間間隔でバイオ燃料の酸化劣化を判定することが可能となる。
【0042】
また、実施例1によれば、燃料劣化指標値(酸化劣化度合い)として、酸価または過酸化物価を使用することとしたので、簡単な測定方法で高精度に燃料劣化指標値(酸化劣化度合い)を算出することが可能となる。
【実施例2】
【0043】
図4は、実施例2に係る燃料劣化判定処理(図2のステップS9)を説明するためのフローチャートである。実施例2では、燃料31の劣化判定の閾値を2段階に設定し(第1の閾値Xf1<第2の閾値(限度値)Xf2)、燃料劣化指標値Xが第1の閾値Xf1を超えた場合にユーザに警告を行って燃料の交換を促し、さらに、第2の閾値(限度値)Xf2を超えた場合に、この酸化劣化した燃料で運転することはエンジン等のハードウェアに支障をきたす可能性があるのでエンジンを停止させる。
【0044】
図4において、まず、ECU10は、上記式(1)に従って、燃料劣化指標値Xを算出し(ステップS31)、燃料劣化指標値X>第2の閾値(限度値)Xf2であるか否かを判定する(ステップS32)。ECU10は、燃料劣化指標値X>第2の閾値(限度値)Xf2でない場合には(ステップS32の「No」)、ステップS33に移行する一方、燃料劣化指標値X>第2の閾値(限度値)Xf2である場合には(ステップS32の「Yes」)、インパネ20の第2の警告灯22を点灯した後(ステップS38)、エンジンを停止させる(ステップS39)。これにより、燃料劣化指標値Xが、第2の閾値(限度値)Xf2を超えるような酸化劣化した燃料31が補給された場合でも、迅速にエンジンを停止させて、エンジントラブル等を回避することができる。
【0045】
ステップS33では、ECU10は、燃料劣化指標値X>第1の閾値Xf1であるか否かを判定する。ECU10は、燃料劣化指標値X>第1の閾値Xf1でない場合には(ステップS33の「No」)、インパネ20の第1の警告灯21が点灯されているか否かを判断する(ステップS34)。第1の警告灯21が点灯されていない場合には(ステップS34の「No」)、当該フローを終了する一方、第1の警告灯21が点灯されている場合には(ステップS34の「Yes」)、第1の警告灯21を消灯した後(ステップS35)、当該フローを終了する。
【0046】
他方、ステップS33において、ECU10は、燃料劣化指標値X>第1の閾値Xf1である場合には(ステップS33の「Yes」)、インパネ20の第1の警告灯21を点灯して、ユーザに燃料が酸化劣化している旨を警告し、燃料31の交換を促す(ステップS36)。この後、ECU10は、経過時間カウント値T>閾値Tf2であるか否かを判断する(ステップS37)。ここで、閾値Tf2<閾値Tfに設定されており、1段階目の警告(第1の警告灯21の点灯)後は、通常よりも燃料劣化指標値Xの測定頻度を増やすようにしている。
【0047】
ECU10は、経過時間カウント値T>閾値Tf2である場合には(ステップS37の「Yes」)、図2のステップS2に戻り、再度、燃料劣化指標値Xの算出を行う(ステップS2〜S9、S31)。ここで、酸化劣化のない燃料31に交換された場合は、燃料劣化指標値X>第1閾値Xf1でなくなり(ステップS33の「No」)、点灯されている第1の警告灯21が(ステップS34の「Yes」)、消灯される(ステップS35)。他方、燃料が交換されないで、さらに燃料31の酸化劣化が進んで、燃料劣化指標値X>第2の閾値(限度値)Xf2となった場合には(ステップS32の「Yes」)、インパネ20の第2の警告灯22が点灯された後(ステップS35)、エンジン停止となる(ステップS39)。
【0048】
以上説明したように、実施例2によれば、ECU10は、燃料31の燃料劣化指標値X(酸化劣化度合い)が第1の閾値Xf1を超えた場合に、インパネ20の第1の警告灯21を点灯させて、ユーザに燃料交換を促し、第1の閾値Xf1より大きい第2の閾値Xf2を超えた場合に、エンジンの動作を停止させることとしたので、燃料の酸化劣化の度合いに応じて、ユーザに段階的に警告を行うことが可能となる。
【0049】
なお、上記した実施例では、本発明に係る燃料劣化検出装置を車両に搭載した場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、給油所、燃料の保管所等に設置することにしてもよい。また、燃料として、バイオ燃料について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、酸化劣化し易い燃料であれば他の燃料についても適用することが可能である。また、燃料劣化を警告する場合に、警告灯を点灯させることとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、警告画面の表示、音声による警告等を行うことにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係る燃料劣化検出装置および燃料劣化検出方法は、燃料の酸化劣化を検出する場合に広く利用でき、例えば、車両に搭載したり、給油所や燃料製造メーカの燃料保管所等に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施例に係る燃料劣化検出装置の概略構成を示す図である。
【図2】燃料劣化検出処理の全体の処理を説明するためのフローチャートである。
【図3】図2の燃料劣化検出処理の燃料劣化判定処理の実施例1を説明するためのフローチャートである。
【図4】図2の燃料劣化検出処理の燃料劣化判定処理の実施例2を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
1 燃料劣化検出装置
10 ECU
20 インパネ
30 燃料タンク
31 燃料
32 レベルセンサ
33 燃料ポンプ
34 エンジン供給用ポンプ
35、36 通路
37 排出口
40 滴定液タンク
41 滴定液
42 滴定ポンプ
43 通路
44 ポンプ稼働時間カウンタ
45 レベルセンサ
50 溶剤タンク
51 溶剤
52 レベルセンサ
53 溶剤ポンプ
54 通路
60 混合タンク
61 混合液
62 レベルセンサ
63 攪拌子
64 排出弁
65 通路
70 廃液タンク
71 廃液
72 レベルセンサ
73 排出口
80 劣化判定センサ
81 電極
90 経過時間カウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料の劣化を検出する燃料劣化検出装置において、
前記燃料の酸化劣化度合いを検出する検出手段と、
前記検出手段で検出された前記燃料の酸化劣化度合いが閾値を超えた場合に、前記燃料の酸化劣化を警告する警告手段と、
を備えたことを特徴とする燃料劣化検出装置。
【請求項2】
前記検出手段は、所定時間間隔で前記燃料の酸化劣化度合いを検出することを特徴とする請求項1に記載の燃料劣化検出装置。
【請求項3】
前記警告手段は、前記検出手段で検出された前記燃料の酸化劣化度合いが、第1の閾値を超えた場合に当該燃料の酸化劣化を警告し、さらに、前記第1の閾値より大きい第2の閾値を超えた場合に、内燃機関の動作を停止させることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の燃料劣化検出装置。
【請求項4】
前記酸化劣化度合いは、酸価または過酸化物価を指標とすることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の燃料劣化検出装置。
【請求項5】
前記燃料は、バイオ燃料であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の燃料劣化検出装置。
【請求項6】
燃料の劣化を検出する燃料劣化検出方法において、
前記燃料の酸化劣化度合いを検出する検出工程と、
前記検出工程で検出された前記燃料の酸化劣化度合いが閾値を超えた場合に、前記燃料の酸化劣化を警告する警告工程と、
を含むことを特徴とする燃料劣化検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−281486(P2008−281486A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−127087(P2007−127087)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】