説明

燃料成分、燃料組成物、並びにこれらの製造方法、及び使用方法。

燃料組成物は、少なくともC5イソプレノイド化合物又はその誘導体及び従来の燃料添加物を含む。C5イソプレノイド化合物又はその誘導体は、燃料成分として、又は燃料組成物における燃料添加物として使用することができる。燃料組成物は、ディーゼル燃料、ジェット燃料、灯油又はガソリンから選択される従来の燃料成分を更に含んでいてもよい。また、燃料組成物の製造方法及び使用方法を開示する。また、(a)組換え宿主細胞で糖の醗酵反応を行うことよって少なくともC5アルコール又はその誘導体を含む生物燃料を得る工程であって、前記組換え宿主細胞が、C5アルコール又はその誘導体を産生する工程;及び(b)生物燃料を流通させ、市場に出し、又は販売する工程を含むビジネス方法を本明細書に開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(以前の関連出願)
本出願は、2006年5月26日に出願された米国仮特許出願第60/808,666号;2006年7月14日に出願された第60/872,411号;2006年7月14日に出願された第60/872,412号;2006年7月14日に出願された第60/872,413号;2006年12月6日に出願された第60/873,388号;及び2007年2月1日に出願された第60/887,604号の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、とりわけ、少なくともC5イソプレノイド化合物又はその誘導体を含む燃料組成物、並びに燃料組成物を製造し、及び使用する方法を包含する。特定の実施態様において、本発明は、3-メチル-1-ブタノール(すなわち、イソアミルアルコールである)、3-メチル-3-ブテン-1-オール、3-メチル-2-ブテン-1-オール又はこれらの誘導体を含む燃料組成物を包含する。特定の実施態様において、本発明は、少なくとも部分的に微生物から容易かつ効率的に産生される燃料成分を利用する燃料組成物を包含する。特定の実施態様において、本発明は、少なくとも生体工学によって作られた高濃度の燃料成分を含む燃料組成物を包含する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
生物燃料は、一般に、バイオマス、すなわち動物からの肥料などのごく最近まで生きている生物又はこれらの代謝副産物に由来する燃料である。生物燃料は、石油、石炭及び核燃料などのその他の天然資源と異なり、それが再生可能なエネルギー源であるため、望ましい。生物燃料には、とりわけ、メタノール、エタノール、プロパノール及びブタノールなどの生物学的に産生されたアルコールを含む。一般に、このような生物学的に産生されたアルコールは、バイオマスの発酵を介して、微生物及び酵素の作用によって形成することができる。例えば、メタノールは、木若しくはその他の有機物質の発酵から産生すること、又は多様な細菌の嫌気代謝において天然に形成することができる。同様に、エタノールは、サトウキビ、テンサイ及びトウモロコシなどの多種多様な作物において見いだすことができるデンプン又は糖の発酵によって大量生産することができる。更にまた、ブタノール及びエタノールは、A.B.E(アセトン、ブタノール、エタノール)プロセスにおいて市販の細菌であるクロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)からデンプンを使用して産生することができる。A.B.E.プロセスは、油がその低コストのために優れたエネルギー源になり始めたときである1940年代後期以前の業界基準であった。
【0004】
近年、地球温暖化、上昇する石油価格、並びに世界中の産油国における石油備蓄の減少及び政治的不安の増加に対する懸念のため、政府、産業及び研究者からの生物燃料、特に生物学的に産生されるアルコールへの関心が再び高まっている。しかし、メタノール、エタノール及びプロパノールは、十分に、これらがエンジン蒸気閉塞及び蒸発排出問題を生じさせ得る揮発性物質である。更に、メタノール、エタノール及びプロパノールは、水に対して高親和性を有し、従って、これらは、一般に望ましくない量の水を含み、これらを燃料として使用する内燃機関に対して腐食の問題を生じさせ得る。
【0005】
ブタノールは、あまり揮発性でなく、メタノール、エタノール及びプロパノールよりも疎水性であるので、前者は、生物燃料として、後者よりも適しているであろう。しかし、現在のブタノール生産方法は、経済的に実行可能かどうかは不明である。その結果、経済的に産生することができる生物燃料に対する需要が存在する。更に、水に対して低い親和性を有する生物燃料に対する需要も存在する。更に、ガソリン機関などの内燃機関に使用するための確実かつ再現的に作製することができる生物燃料に対する需要も存在する。
【発明の概要】
【0006】
(発明の要旨)
燃料成分、燃料組成物、並びにこれらを製造方法、及び使用方法が、本明細書に提供される。本明細書に開示した燃料組成物の実施態様は、上述の需要を満たすものと考えられる。一部の実施態様において、燃料組成物は、1つ以上のC5イソプレノイド化合物又はその誘導体を含む。その他の実施態様において、C5イソプレノイド化合物又はその誘導体は、燃料組成物自体、燃料組成物の主要成分又は燃料組成物の微量成分として使用することができる。特定の実施態様において、C5イソプレノイド化合物又はその誘導体は、生体工学によって作られた微生物を含む微生物から製造することができる。一部の実施態様において、本明細書に開示した燃料組成物は、ガソリンとして使用することができる。さらなる実施態様において、本明細書に開示した燃料組成物は、ガソリン機関などの内燃機関に動力を供給するために使用することができる。
【0007】
一つの態様において、本発明は、イソプレノイド化合物及び燃料添加物を含むか、又は含む混合物から得られる燃料組成物を提供する。一部の実施態様において、イソプレノイド化合物は、式(Ib)又は(Ic)によって表される:
【化1】

式中、Zは、H、OR、O-C(=O)R、0-PO(OR)2、0-SO2-OR、PO(OR)2又はSO2-ORであり;かつRは、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリル又はアラルキルである。特定の実施態様において、イソプレノイド化合物は、3-メチル-3-ブテン-1-オール、すなわちZがORであり、かつRがHである式(Ib)である。特定の実施態様において、イソプレノイド化合物は、3-メチル-2-ブテン-1-オール、すなわちZがORであり、かつRがHである式(Ic)である。その他の実施態様において、イソプレノイド化合物は、燃料組成物の総容量に基づいて、容量の2%〜95%の量である。さらなる実施態様において、イソプレノイド化合物は、燃料組成物の総容量に基づいて、容量の少なくとも2%の量である。
【0008】
別の態様において、本発明は、(a)燃料組成物の総重量に基づいて、重量の少なくとも35%の量のイソアミルアルコール;及び(b)燃料添加物を含むか、又は含む混合物から得られる燃料組成物を提供する。
【0009】
一部の実施態様において、イソアミルアルコールの量は、燃料組成物の総容量に基づいて、容量の少なくとも30%、容量の少なくとも40%若しくは容量の少なくとも50%であるか;又は燃料組成物の総重量に基づいて、重量の少なくとも40%若しくは重量の少なくとも50%である。
【0010】
一部の実施態様において、本明細書に開示した燃料組成物は、450℃未満の自然発火温度を有する有機化合物を含まないか、又は実質的に含まず、前記有機化合物は、(1)1つ以上の酸素原子を含むが、窒素原子を含まない化合物;又は(2)1つ以上のニトラート基及び1つ以上のエーテル結合を含む化合物;又は(3)アゾ化合物、テトラジン、ニトロソ化合物、ニトロ化合物、ニトレート化合物及びハイポニトライトからなる群から選択される窒素含有有機化合物である。さらなる実施態様において、有機化合物は、エーテル、ペルオキシド、ヒドロペルオキシド、アルデヒド、アシル化合物、環状エーテル、エステル、2-エトキシエチルニトラート、2-ブトキシエチルニトラート、2'-ブトキシ-2-エトキシエチルニトラート、2,2-ジエトキシエチルニトラート、1,3-ジオキサン-5-ニトラート、ニトロメタン、ジエチレングリコールジニトラート、トリエチレングリコールジニトラート又は400の平均分子量のポリエチレングリコールのジニトラートである。
【0011】
特定の実施態様において、本明細書に開示した燃料組成物は、第二のアルコールを含まないか、又は実質的に含まず、第二のアルコールは、3-メチル-3-ブテン-1-オール、3-メチル-2-ブテン-1-オール又はこれらの組み合わせではない。さらなる実施態様において、第二のアルコールは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソ-プロパノール、n-ブタノール、イソ-ブタノール、tert-ブタノール、n-ペンタノール、sec-ペンタノール、tert-ペンタノール、n-ヘキサノール、イソ-ヘキサノール、sec-ヘキサノール、tert-ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール誘導体、デカノール又はこれらの組み合わせである。一部の実施態様において、本明細書に開示した燃料組成物は、芳香族化合物を含まないか、又は実質的に含まない。その他の実施態様において、本明細書に開示した燃料組成物は、アルキルアミン、脂肪酸エステル又は脂肪酸塩を含まないか、又は実質的に含まない。
【0012】
特定の実施態様において、本明細書に開示した燃料組成物は、燃料組成物の総容量に基づいて、容量の1%〜95%の量の石油系燃料を更に含む。一部の実施態様において、石油系燃料は、ガソリンである。さらなる実施態様において、C5イソプレノイド化合物は、式(Ib)に記載されており、かつZは、OHであり、かつC5イソプレノイド化合物は、燃料組成物の総容量に基づいて、容量の約1%〜約5%、容量の約1%〜約10%、容量の約1%〜約12.5%、容量の約2.5%〜約12.5%又は容量の約5%〜約12.5%の量で存在する。
【0013】
特定の実施態様において、本明細書に開示した燃料組成物における燃料添加物は、酸素化物、抗酸化剤、熱安定性向上剤、セタン向上剤、安定剤、寒冷流動性向上剤、助燃剤、消泡剤、抗くもり添加物、腐食抑制剤、潤滑性向上剤、着氷阻害剤、噴霧器清浄添加物、煙抑制剤、抵抗減少添加物、金属不活性化剤、分散剤、洗浄剤、解乳化剤、色素、マーカー、静電気消散剤(dissipaters)、殺生物剤及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。さらなる実施態様において、燃料添加物の量は、燃料組成物の総重量又は容量に基づいて、重量又は容量の約0.1%〜約20%である。
【0014】
別の態様において、本発明は、内燃機関;内燃機関に接続する燃料タンク;及び燃料タンク内の本明細書に開示した燃料組成物を含む乗物を包含し、前記燃料組成物は、内燃機関に動力を供給するために使用される。一部の実施態様において、乗物の内燃機関は、ガソリン機関である。
【0015】
別の態様において、本発明は、本明細書に開示した燃料組成物を燃焼させる工程を含むエンジンを駆動する方法を包含する。
【0016】
別の態様において、本発明は、燃料成分及び生体工学によって作られたC5イソプレノイド化合物を含む燃料組成物を包含する。
【0017】
別の態様において、本発明は、微生物を使用して3-メチル-3-ブテン-1-オールを調製すること、及び燃料に3-メチル-3-ブテン-1-オールを組み込むことによって製造される燃料組成物を包含する。
【0018】
別の態様において、本発明は、微生物を使用して3-メチル-2-ブテン-1-オールを調製すること、燃料に3-メチル-2-ブテン-1-オールを組み込むことによって製造される燃料組成物を包含する。
【0019】
別の態様において、本発明は、微生物を使用して3-メチル-3-ブテン-1-オールを調製すること、3-メチル-3-ブテン-1-オールからイソアミルアルコールを調製すること、及び燃料にイソアミルアルコールを組み込むことによって製造される燃料組成物を包含する。
【0020】
別の態様において、本発明は、微生物を使用して3-メチル-2-ブテン-1-オールを調製すること、3-メチル-2-ブテン-1-オールからイソアミルアルコールを調製すること、及び燃料にイソアミルアルコールを組み込むことによって製造される燃料組成物を包含する。
【0021】
別の態様において、本発明は、単糖に由来する燃料成分又は燃料添加物を含む燃料組成物を包含する。一部の実施態様において、本発明は、単糖がグルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、リボース又はこれらの組み合わせである燃料組成物を包含する。
【0022】
別の態様において、本発明は、
a)C5イソプレノイド化合物を製造することができる細胞を、C5イソプレノイド化合物を製造するために適した条件下で、単糖と接触させる工程;及び、
c)C5イソプレノイド化合物を1つ以上の燃料成分又は燃料添加物と混合して燃料組成物を製造する工程、
を含む単糖から燃料組成物を製造する方法を包含する。
【0023】
別の態様において、本発明は、
a)C5イソプレノイド出発材料を製造することができる細胞を、C5イソプレノイド出発材料を製造するために適した条件下で単糖と接触させる工程;
b)C5イソプレノイド出発材料を水素付加して、水素付加されたC5イソプレノイド化合物を形成する工程;及び、
c)水素付加されたC5イソプレノイド化合物を1つ以上の燃料成分又は燃料添加物と混合して燃料組成物を製造する工程、
を含む単糖から燃料組成物を製造する方法を包含する。
【0024】
別の態様において、本発明は、
(a)組換え宿主細胞で糖の醗酵反応を行うことよって少なくともC5アルコール又はその誘導体を含む生物燃料を得る工程であって、該組換え宿主細胞が、C5アルコール又はその誘導体を産生する工程;及び、
(b)生物燃料を流通させ、市場に出し、又は販売する工程、
を含むビジネス方法を包含する。
【0025】
一部の実施態様において、組換え宿主細胞は、イソペンテニルピロホスフェート(IPP)、ジメチルアリルピロホスフェート(DMAPP)又はこれらの組み合わせのイソペンタノールへの酵素変換を増加させるように修飾されており、前記組換え宿主細胞がnudF又はyhfR遺伝子で形質転換されたpTRC 99A 大腸菌(E. CoIi)株ではない。
【0026】
その他の実施態様において、C5アルコール又はその誘導体は、ZがOR、O-C(=O)R、0-PO(OR)2、0-SO2-OR、PO(OR)2又はSO2-ORであり;かつRがH、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリル又はアラルキルである式(Ia)、(Ib)又は(Ic):
【化2】

を有するイソプレノイド化合物である。さらなる実施態様において、イソプレノイド化合物が、ZがOHである式(Ia)を有するときに、イソプレノイド化合物の量は、生物燃料の総容量に基づいて、容量の少なくとも30%である。
【0027】
さらなる実施態様において、C5アルコール又はその誘導体は、ZがOR、O-C(=O)R、0-PO(OR)2、0-SO2-OR、PO(OR)2、又はSO2-ORであり;かつRがH、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリル又はアラルキルである式(Ib)又は(Ic):
【化3】

を有するイソプレノイド化合物である。さらなる実施態様において、イソプレノイド化合物が、ZがOHである式(Ia)を有するときに、イソプレノイド化合物の量は、生物燃料の総容量に基づいて、容量の少なくとも30%である。
【0028】
さらなる実施態様において、C5アルコール又はその誘導体は、ZがOR、O-C(=O)R、0-PO(OR)2、0-SO2-OR、PO(OR)2又はSO2-ORであり;かつRは、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリル又はアラルキルである式(Ia):
【化4】

を有するイソプレノイド化合物である。さらなる実施態様において、イソプレノイド化合物が、ZがOHである式(Ia)を有するときに、イソプレノイド化合物の量は、生物燃料の総容量に基づいて、容量の少なくとも30%である。
【0029】
一部の実施態様において、イソプレノイド化合物の量は、生物燃料の総容量に基づいて、容量の少なくとも2%である。
【0030】
特定の実施態様において、生物燃料は、3-メチル-3-ブテン-1-オール、3-メチル-2-ブテン-1-オール、3-メチル-1-ブタノール又はこれらの組み合わせを含む。さらなる実施態様において、3-メチル-3-ブテン-1-オール、3-メチル-2-ブテン-1-オール又は3-メチル-1-ブタノールの量は、少なくとも約2%である。
【0031】
一部の実施態様において、生物燃料は、石油系燃料、燃料添加物又はこれらの組み合わせを更に含む。さらなる実施態様において、石油系燃料は、ガソリン、ジェット燃料、灯油、ディーゼル燃料又はこれらの組み合わせである。
【0032】
その他の実施態様において、燃料添加物は、酸素化物、抗酸化剤、熱安定性向上剤、セタン向上剤、安定剤、寒冷流動性向上剤、助燃剤、消泡剤、抗くもり添加物、腐食抑制剤、潤滑性向上剤、着氷阻害剤、噴霧器清浄添加物、煙抑制剤、抵抗減少添加物、金属不活性化剤、分散剤、洗浄剤、解乳化剤、色素、マーカー、静電気消散剤、殺生物剤及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0033】
特定の実施態様において、糖は、単糖である。さらなる実施態様において、単糖は、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、リボース又はこれらの組み合わせである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】イソペンテニルジホスフェート(「IPP」)の産生のためのメバロナート(「MEV」)経路の概略図である。
【0035】
【図2】IPP及びジメチルアリルピロホスフェート(「DMAPP」)の産生のためのDXP経路の概略図である。Dxsは、l-デオキシ-D-キシルロース-5-ホスフェートシンターゼであり;Dxrは、l-デオキシ-D-キシルロース-5-ホスフェートレダクトイソメラーゼ(IspCとしても知られる)であり;IspDは、4-ジホスホシチジル-2C-メチル-D-エリスリトールシンターゼであり;IspEは、4-ジホスホシチジル-2C-メチル-D-エリスリトールシンターゼであり;IspFは、2C-メチル-D-エリスリトール2,4-シクロジホスフェートシンターゼであり;IspGは、l-ヒドロキシ-2-メチル-2-(E)-ブテニル4-ジホスフェートシンターゼ(IspG)であり;及びispHは、イソペンテニル/ジメチルアリルジホスフェートシンターゼである。
【0036】
【図3】株DH1(形質転換されていない対照;白丸によって表した)、B286(白菱形によって表した)、B287(*によって表した)及びB291(白三角によって表した)による3-メチル-3-ブテン-1-オール又は3-メチル-2-ブテン-1-オールの産生レベルを示す。
【0037】
【図4】添加物なし及びそれぞれイソプレノール及びイソアミルアルコールの種々の量とCARBOBの混合物での、API比重値、リサーチ法オクタン価、モーター法オクタン価、アンチノックインデックス、蒸気圧データ、正味燃焼熱、水耐性データ及び酸素ブレンディングのためのカリフォルニア州改質ガソリンブレンドストック(California Reformulated Gasoline Blendstock for Oxygen Blending: CARBOB)の蒸気-液体比を示す。
【0038】
【図5】それぞれ1‐ブタノール(BuOH)、エタノール(EtOH)、メチル三級ブチルエーテル(MTBE)及びエチル三級ブチルエーテル(ETBE)の種々の量でのAPI比重値、リサーチ法オクタン価、モーター法オクタン価、アンチノックインデックス、蒸気圧データ、正味燃焼熱、水耐性データ及び酸素ブレンディングのためのカリフォルニア州改質ガソリンブレンドストック(CARBOB)の蒸気-液体比を示す。
【0039】
【図6】CARBOB(Xによって表した)並びにCARBOB及びそれぞれ約2.0〜2.3重量%酸素含量のイソプレノール(すなわち、3-メチル-3-ブテン-1-オール又は3-メチル-2-ブテン-1-オール;黒丸によって表した)、イソアミルアルコール(IAOH;白四角によって表した)、1-ブタノール(BuOH;白三角によって表した)、エタノール(EtOH;白菱形によって表した)、メチル三級ブチルエーテル(MTBE;*によって表した)及びエチル三級ブチルエーテル(ETBE;白丸によって表した)の混合物についての蒸留曲線を示す。
【0040】
【図7】CARBOB(Xによって表した)並びにCARBOB及びそれぞれ約2.8重量%酸素含量のイソプレノール(黒丸によって表した)、イソアミルアルコール(IAOHな;白四角によって表した)、1‐ブタノール(BuOH;白三角によって表した)及びエタノール(EtOH;白菱形によって表した)の混合物についての蒸留曲線を示す。
【0041】
【図8】CARBOB(Xよって表した)並びにCARBOB及びそれぞれ約3.6〜3.7重量%酸素含量のイソプレノール(黒四角によって表した)、イソアミルアルコール(IAOHな;白四角によって表した)、1‐ブタノール(BuOH;白三角によって表した)及びエタノール(EtOH;白菱形によって表した)の混合物についての蒸留曲線を示す。
【0042】
【図9】CARBOB並びにCARBOB及びそれぞれ約2重量%酸素含量のイソプレノール、イソアミルアルコール(IAOH)、1‐ブタノール(BuOH)、エタノール(EtOH)、メチル三級ブチルエーテル(MTBE)及びエチル三級ブチルエーテル(ETBE)の混合物の、リサーチ法オクタン価(RON;短い破線棒によって表した)、モーター法オクタン価(MON;白棒によって表した)、並びにアンチノックインデックス(四角棒によって表した)を示す。
【0043】
【図10】CARBOB及びそれぞれ種々の重量%酸素含量のイソプレノール(黒丸によって表した)、イソアミルアルコール(IAOH;白四角によって表した)、1‐ブタノール(BuOH;白三角によって表した)、エタノール(EtOH;白菱形によって表した)、メチル三級ブチルエーテル(MTBE;*によって表した)及びエチル三級ブチルエーテル(ETBE;白丸によって表した)の混合物のリサーチ法オクタン価(RON)を示す。
【0044】
【図11】それぞれ種々の重量%酸素含量のイソプレノール(黒丸によって表した)、イソアミルアルコール(IAOH;白四角によって表した)、1‐ブタノール(BuOH;白三角によって表した)、エタノール(EtOH;白菱形によって表した)、メチル三級ブチルエーテル(MTBE;*によって表した)及びエチル三級ブチルエーテル、(ETBE;白丸によって表した))のリサーチ法オクタン価(RON)を示す。
【0045】
【図12】CARBOB及びイそれぞれ種々の重量%酸素含量のイソプレノール(黒丸によって表した)、イソアミルアルコール(IAOH;白四角によって表した)、1‐ブタノール(BuOH;白三角によって表した)、エタノール(EtOH;白菱形によって表した)、メチル三級ブチルエーテル(MTBE;*によって表した)及びエチル三級-ブチルエーテル(ETBE;白丸によって表した)の混合物のモーター法オクタン価(MON)を示す。
【0046】
【図13】それぞれ種々の重量%酸素含量のイソプレノール(黒丸によって表した)、イソアミルアルコール(IAOH;白四角によって表した)、1‐ブタノール(BuOH;白三角によって表した)、エタノール(EtOH;白菱形によって表した)、メチル三級ブチルエーテル(MTBE;*によって表した)及びエチル三級ブチルエーテル、(ETBE;白丸によって表した)のモーター法オクタン価(MON)を示す。
【0047】
【図14】CARBOB及びそれぞれ種々の重量%酸素含量のイソプレノール(黒丸によって表した)、イソアミルアルコール(IAOH;白四角によって表した)、1-ブタノール(BuOH;白三角によって表した)、エタノール(EtOH;白菱形によって表した)、メチル三級ブチルエーテル(MTBE;*によって表した)及びエチル三級ブチルエーテル(ETBE;白丸によって表した))の混合物のアンチノックインデックスを示す。
【0048】
【図15】それぞれ種々の重量%酸素含量のイソプレノール(黒丸によって表した)、イソアミルアルコール(IAOH;白四角によって表した)、1‐ブタノール(BuOH;白三角によって表した)、エタノール(EtOH;白菱形によって表した)、メチル三級ブチルエーテル(MTBE;*によって表した)及びエチル三級ブチルエーテル(ETBE;白丸によって表した)のアンチノックインデックスを示す。
【0049】
【図16】CARB(四角棒によって表した)、EPA(白棒によって表した)及びASTM D 5191(斜線棒によって表した)法に従って測定した、それぞれ約2重量%酸素含量のCARBOB、イソプレノール、イソアミルアルコール(IAOH)、1‐ブタノール(BuOH)、エタノール(EtOH)メチル三級ブチルエーテル(MTBE)及びエチル三級ブチルエーテル(ETBE)の蒸気圧値を示す。
【0050】
【図17】CARB法によって測定した、CARBOB及びそれぞれ種々の重量%酸素含量のイソプレノール(黒丸によって表した)、イソアミルアルコール(IAOH;白四角によって表した)、1-ブタノール(BuOH;白三角によって表した)、エタノール(EtOH;白菱形によって表した)、メチル三級ブチルエーテル(MTBE;*によって表した)及びエチル三級ブチルエーテル(ETBE;白丸によって表した)の混合物の蒸気圧値を示す。
【0051】
【図18】EPA法によって測定した、CARBOB及びそれぞれ種々の重量%酸素含量のイソプレノール(黒丸によって表した)、イソアミルアルコール(IAOHな;白四角によって表した)、1-ブタノール(BuOH;白三角によって表した)、エタノール(EtOH;白菱形によって表した)、メチル三級ブチルエーテル(MTBE;*によって表した)及びエチル三級ブチルエーテル(ETBE;白丸によって表した)の混合物の蒸気圧値を示す。
【0052】
【図19】ASTM法によって測定した、CARBOB及びそれぞれ種々の重量%酸素含量のイソプレノール(黒丸によって表した)、イソアミルアルコール(IAOH;白四角によって表した)、1-ブタノール(BuOH;白三角によって表した)エタノール(EtOH;白菱形によって表した)、メチル三級ブチルエーテル(MTBE;*によって表した)及びエチル三級ブチルエーテル(ETBE;白丸によって表した)の混合物の蒸気圧値を示す。
【0053】
【図20】それぞれ約2重量%酸素含量の、CARBOB、イソプレノール、イソアミルアルコール(IAOH)、1‐ブタノール(BuOH)、エタノール(EtOH)、メチル三級ブチルエーテル(MTBE)及びエチル三級ブチルエーテル(ETBE)の正味燃焼熱を示す。
【0054】
【図21】CARBOB及びそれぞれ種々の重量%酸素含量のイソプレノール(黒丸によって表した)、イソアミルアルコール(IAOH;白四角によって表した)、1‐ブタノール(BuOH;白三角によって表した)、エタノール(EtOH;白菱形によって表した)、メチル三級ブチルエーテル(MTBE;*によって表した)及びエチル三級-ブチルエーテル(ETBE;白丸によって表した)の混合物の正味燃焼熱を示す。
【0055】
【図22】CARBOB並びにCARBOB及びそれぞれ9.8容量%(白四角によって表した)、13.2容量%(白三角によって表した)及び17.1容量%(白菱形によって表した)イソプレノールの混合物の蒸留曲線を示す。
【0056】
【図23】CARBOB、並びにCARBOB及びそれぞれ10.6容量%(白四角によって表した)、14.3容量%(白三角によって表した)及び18.6容量%(白菱形によって表した)のイソアミルアルコールの混合物の蒸留曲線を示す。
【0057】
【図24】CARBOB、並びにCARBOB及びそれぞれ8.9容量%(白四角によって表した)、12.0容量%(白三角によって表した)及び15.6容量%(白菱形によって表した)の1‐ブタノールの混合物の蒸留曲線を示す。
【0058】
【図25】CARBOB、並びにCARBOB及び5.7容量%(白四角によって表した)、7.7容量%(白三角によって表した)及び10.0容量%(白菱形によって表した)のエタノールの混合物の蒸留曲線を示す。
【0059】
(定義)
「燃料」は、1つ以上の炭化水素、1つ以上のアルコール、1つ以上の脂肪酸エステル又はその混合物をいう。好ましくは、液化炭化水素が使用される。燃料は、ピストンエンジン(例えば、ガソリン機関及びディーゼルエンジン)、ワンケルエンジン、ジェットエンジン、いくつかのロケットエンジン、ミサイルエンジン及びガスタービンエンジンなどの内燃機関に動力を供給するために使用することができる。一部の実施態様において、燃料は、典型的にはアルカン、シクロアルカン及び芳香族炭化水素などの炭化水素の混合物を含む。その他の実施態様において、燃料は、本明細書に開示したC5イソプレノイド化合物の1つ以上を含む。
【0060】
「燃料組成物」は、少なくとも2つの燃料成分を含む燃料である。
【0061】
「燃料成分」は、任意の化合物又は燃料組成物を開発するために使用される化合物の混合物である。「主要燃料成分」及び「微量燃料成分」がある。主要燃料成分は、容量の少なくとも50%まで燃料組成物に存在し;及び微量燃料成分は、50%未満まで燃料組成物に存在する。燃料添加物は、微量燃料成分である。本明細書に開示したイソプレノイド化合物は、それ自体によって、又はその他の燃料成分との混合物において、主要成分又は微量成分であることができる。
【0062】
「生体工学によって作られた化合物」は、任意の古細菌、細菌又は真核生物細胞又は微生物を含む宿主細胞よって製造された化合物をいう。
【0063】
「C5イソプレノイド出発材料」は、イソペンテニルジホスフェート(「IPP」)、ジメチルアリルピロホスフェート(DMAPP)又はIPP若しくはDMAPPに由来することができる不飽和化合物をいう。
【0064】
「イソプレノイド」及び「イソプレノイド化合物」は、本明細書において同義的に使用され、IPP、DMAPP又はこれらの組み合わせに由来する化合物をいう。
【0065】
「C5イソプレノイド」又は「C5イソプレノイド化合物」は、IPP又はDMAPPに由来することができるC5炭化水素をいう。特定の実施態様において、C5イソプレノイドは、3-メチル-1-ブタノール(イソアミルアルコール)又は3-メチル-3-ブテン-1-オール(イソプレノール)であることができる。
【0066】
「CARBOB」又は「酸素ブレンディングのためのカリフォルニア州改質ガソリンブレンドストック(California Reformulated Gasoline Blendstock for Oxygen Blending)」は、エタノール又は高級アルコールなどのアルコールが、完成した酸素化産物を作製するために添加される前に製造される基本のブレンドストックをいう。一部の実施態様において、アルコールは、2%の酸素必要量を満たす完成した酸素化産物を形成するように、CARBOBに添加される。一部の実施態様において、アルコールは、2.7%の酸素必要量を満たす完成した酸素化産物を形成するように、CARBOBに添加される。一部の実施態様において、アルコールは、3.5%の酸素必要量を満たす完成した酸素化産物を形成するように、CARBOBに添加される。
【0067】
「API比重」は、種々の石油液体の相対密度を測定するためのアメリカ石油協会(API)よって開発された比重スケールをいう。API比重は、ASTM D 1298又はD 4052に従って測定することができる。
【0068】
「リサーチ法オクタン価」又は「RON」は、一定条件下において可変圧縮比で特定の試験エンジンを介して燃料を流すこと、及びこれらの結果をイソオクタン及びn-ヘプタンの混合物についてのものと比較することによって決定される燃料のオクタン価をいう。RONは、ASTM D 2699に従って測定することができる。
【0069】
「モーター法オクタン価」又は「MON」は、RON試験に使用したものと同様の試験エンジンを介して、しかし予熱された燃料混合物、より高いエンジン回転数及び可変点火時期で、燃料を流して、更に燃料のノックレジスタンスを強調することによって決定される燃料のオクタン価をいう。燃料の組成物に応じて、現代のガソリンのMONは、一般にRONよりも約8〜10ポイント低い。MONは、ASTM D 2700に従って測定することができる。
【0070】
燃料の「アンチノックインデックス」は、燃料のRON及びMONの平均をいう。
【0071】
ガソリンの「蒸気圧」又は「リード蒸気圧」は、100°F(約37.8℃)におけるポンド/平方インチにおけるガソリンの蒸気圧の尺度である。これは、ガソリンの揮発性の指標である。ガソリンのリード蒸気圧は、ASTM D 5191に従って測定することができる。
【0072】
化合物の「燃焼熱」は、化合物が酸素で完全燃焼を受けたときに、熱として放出されるエネルギーである。液体燃料の燃焼熱は、ASTM D4809-95に従って測定することができる。
【0073】
ガソリンの蒸気-液体比(V/L)は、ガソリンが20(V/L = 20)の蒸気-液体比を形成する温度、すなわち気圧にて1体積の液体と平衡の際に20体積の蒸気として存在する温度をいう。V/L =20のための温度は、季節で変化し;有効通達距離は、約35℃(95°F)〜約60℃(140°F)である。一般に、値が高いほど、蒸気閉塞及び熱い燃料を取扱う上での問題に対してより優れた保護を提供する。液体燃料の蒸気-液体比(V/L)は、ASTM D 2533又はASTM D 5188に従って測定することができる。
【0074】
「10容量%エタノール試験での水耐性」は、ガソリン-10%アルコール混合物を2つの異なる相に分離する温度で測定する。酸素化された燃料の水耐性は、ASTM D 6422に従って測定することができる。
【0075】
「石油系燃料」は、石油の微小留出物を含む燃料を意味する。
【0076】
「ジェット燃料」は、ジェットエンジンに使用するために適した燃料をいう。
【0077】
「生体工学によって作られた燃料」は、任意の古細菌、細菌又は真核生物の細胞又は微生物を含む宿主細胞よって製造される燃料をいう。
【0078】
生物燃料は、バイオマス、すなわちウシからの肥料などのごく最近まで生きている生物又はこれらの代謝性副産物に由来する任意の燃料である。これは、石油、石炭及び核燃料などのその他の天然資源とは異なり、再生可能なエネルギー源である。
【0079】
「燃料添加物」は、燃料の特性を変化させるために、例えば性能、燃料処理、燃料の安定度を改善するために、又は混入物制御のために、燃料に添加される化学成分をいう。添加物のタイプには、抗酸化剤、熱安定性向上剤、セタン向上剤、安定剤、寒冷流動性向上剤、助燃剤、消泡剤、抗くもり添加物、腐食抑制剤、潤滑性向上剤、着氷阻害剤、噴霧器清浄添加物、煙抑制剤、抵抗減少添加物、金属不活性化剤、分散剤、洗浄剤、解乳化剤、色素、マーカー、静電気消散剤、殺生物剤及びこれらの組み合わせを含むが、限定されない。「従来の添加物」という用語には、本明細書に開示したC5イソプレノイド化合物ではない、上記のものなどの、当業者に公知の燃料添加物をいう。
【0080】
本明細書に使用される「実質的に純粋な」化合物である組成物は、1つ以上のその他の化合物を実質的に含まない、すなわち組成物が、組成物の総容量に基づいて、80容量%を上回る、90容量%を上回る、95容量%を上回る、96容量%を上回る、97容量%を上回る、98容量%を上回る、99容量%を上回る、99.5容量%を上回る、99.6容量%を上回る、99.7容量%を上回る、99.8容量%を上回る、若しくは99.9容量%を上回る化合物か;又は20容量%未満、10容量%未満、5容量%未満、3容量%未満、1容量%未満、0.5容量%未満、0.1容量%未満、又は0.01容量%未満の1つ以上のその他の化合物を含む。
【0081】
本明細書に使用され、及び特に明記しない限り、化合物を「実質的に含まない」とは、組成物が、組成物の総容量に基づいて、20容量%未満、10容量%未満、5容量%未満、4容量%未満、3容量%未満、2容量%未満、1容量%未満、0.5容量%未満、0.1容量%未満、又は0.01容量%未満の化合物を含むことを意味する。
【0082】
本明細書に使用される「基」という用語が化学物質又は置換基を記述するために使用されるときに、記述された化学物質には、基本の基及び従来の置換をもつその基を含む。「部分」という用語が化学物質又は置換基を記述するために使用されるときは、非置換の化学物質のみが含まれることが意図される。例えば、「アルキル基」には、メチル、エチル、オクチル、ステアリル、その他などのアルキル部分だけでなく、アルキル、シクロアルキル、アリール、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、アミン、カルボキシル、その他などの置換基を有するこのような部分も含む。一方、「アルキル部分」又は「アルキル」には、メチル、エチル、オクチル、ステアリル、シクロヘキシル、その他のみを含む。
【0083】
以下の説明において、本明細書に開示した全ての数は、「約」又は「およそ」という語がそれとともに使用されるか否かにかかわらず、近似値である。これらは、1パーセント、2パーセント、5パーセント又は時には10〜20パーセントまで異なっていてもよい。下限RL及び上限RUをもつ数値範囲が開示されるときはいつでも、範囲内に入っているあらゆる数が具体的に開示される。特に、範囲内の以下の数は、具体的に開示される:R=RL+k*(RU-RL)、式中kは、1パーセントの増分で1パーセント〜100パーセントの範囲の変数であり、すなわちkは、1パーセント、2パーセント、3パーセント、4パーセント、5パーセント、…、50パーセント、51パーセント、52パーセント、…、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセント又は100パーセントである。更に、上記において定義したような2つのR数によって定義される任意の数の範囲も、具体的に開示される。
【発明を実施するための形態】
【0084】
(本発明の実施態様の記述)
本発明の実施態様は、少なくともC5イソプレノイド化合物又はその誘導体を含む燃料組成物を提供する。特定の実施態様において、C5イソプレノイド化合物は、主要な燃料成分として使用される。その他の実施態様において、C5イソプレノイド化合物は、石油由来燃料成分を更に含んでいてもよい燃料組成物における微量燃料成分として使用される。更なる実施態様において、本明細書に開示した燃料組成物は、少なくとも従来の燃料添加物を更に含んでいてもよい。
【0085】
本明細書に開示した燃料組成物におけるC5イソプレノイド化合物又はその誘導体の量は、燃料組成物の総量に基づいて、0.5%〜99%、0.5%〜98%、1%〜97%、1%〜96%、2%〜95%、2%〜90%、3%〜85%又は5%〜80%あってもよい。特定の実施態様において、C5環状炭化水素の量は、燃料組成物の総量に基づいて、1%を上回り、2%を上回り、3%を上回り、4%を上回り、5%を上回り、10%を上回り、15%を上回り、20%を上回り、25%を上回り、30%を上回り、35%を上回り、40%を上回り、45%を上回り、50%を上回り、55%を上回り、60%を上回り、65%を上回り、70%を上回り、75%を上回り、80%を上回り、85%を上回り、90%を上回り又は95%を上回る。一部の実施態様において、量は、燃料組成物の総重量に基づいて、重量%のものである。その他の実施態様において、量は、燃料組成物の総容量に基づいて、容量%のものである。特定の実施態様において、燃料組成物は、ガソリン燃料組成物である。
【0086】
一部の実施態様において、燃料組成物には:
(a)燃料組成物の総容量に基づいて、少なくとも2容量%の量の式(Ia)、(Ib)又は(Ic):
【化5】

のイソプレノイド化合物であって、式中前記Zは、OR、O-C(=O)R、0-PO(OR)2、0-SO2-OR、PO(OR)2又はSO2-ORであり;かつRは、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリル又はアラルキルであり、ただし式(Ia)のZは、OHであることを条件とし、式(Ia)のイソプレノイド化合物の量は、燃料組成物の総容量に基づいて、容量の少なくとも30%である、イソプレノイド化合物;及び、
(b)燃料添加物、
を含むか、又はを含む混合物から得られる。
【0087】
一部の実施態様において、イソプレノイド化合物は、式(Ia)のものであり、かつ3-メチル-1-ブタノール(CAS 123-51-3;同義語:イソアミルアルコール及びイソペンチルアルコール)若しくは2-メチルブタン(CAS 78-78-4;同義語:イソペンタン)又はこれらの組み合わせを含む。特定の実施態様において、式(Ia)のイソプレノイド化合物は、3-メチル-1-ブタノールであるか、又は含む。その他の実施態様において、式(Ia)のイソプレノイド化合物は、2-メチルブタンであるか、又は含む。
【0088】
一部の実施態様において、イソプレノイド化合物は、式(Ib)又は(Ic)のものであり、かつ3-メチル-3-ブテン-1-オール、(CAS 763-32-6;同義語:3-イソペンチルアルコール及びイソプレノール)又は3-メチル-2-ブテン-1-オール(CAS 556-82-1;同義語:プレニルアルコール及びプレノール)又はこれらの組み合わせを含む。特定の実施態様において、式(Ib)のイソプレノイド化合物は、3-メチル-3-ブテン-1-オールであるか、又は含む。その他の実施態様において、式(Ic)のイソプレノイド化合物は、3-メチル-2-ブテン-1-オールであるか、又は含む。
【0089】
一部の実施態様において、本明細書に開示した燃料組成物は、2%〜95容量%間の量の式(Ia)、(Ib)又は(Ic)のイソプレノイド化合物を含む。その他の実施態様において、本明細書に開示した燃料組成物は、2%〜95容量%間の量の式(Ia)のイソプレノイド化合物を含む。一部の実施態様において、本明細書に開示した燃料組成物は、2%〜95容量%間の量の式(Ib)のイソプレノイド化合物を含む。一部の実施態様において、本明細書に開示した燃料組成物は、2%〜95容量%間の量の式(Ic)のイソプレノイド化合物を含む。
【0090】
本明細書に開示した燃料組成物の式(Ia)、(Ib)又は(Ic)のイソプレノイド化合物のそれぞれは、燃料成分又は燃料添加物として機能することができる。一部の実施態様において、燃料組成物は、後述する従来の燃料添加物を更に含んでいてもよい。その他の実施態様において、燃料組成物は、ディーゼル燃料、ジェット燃料、灯油又はガソリンなどの従来の燃料成分を更に含んでいてもよい。さらなる実施態様において、燃料組成物は、少なくとも式(Ia)、(Ib)又は(Ic)のイソプレノイド化合物、少なくとも従来の燃料成分及び少なくとも従来の燃料添加物を含むか、又は含む混合物から得られる。
【0091】
特定の実施態様において、式(Ia)、(Ib)又は(Ic)のイソプレノイド化合物は、生体工学によって作られた供与源から得られる。例えば、式(Ia)、(Ib)又は(Ic)の生体工学によって作られたイソプレノイド化合物は、容易に利用できる再生可能な材料から得ることができる。著しくは、本発明は、容易に利用できる再生可能なエネルギー源及びエネルギーの産生のためのこれらの使用方法を提供することができる。特定の実施態様において、式(Ia)、(Ib)又は(Ic)の生体工学によって作られたイソプレノイド化合物は、単糖類(単糖)、二糖及びこれらの組み合わせなどの糖から得ることができる。特定の実施態様において、生体工学によって作られた燃料成分は、単糖から得ることができる。特定の実施態様において、単糖は、本明細書に提供した細胞の1つ以上の増殖を補助することができる任意の単糖であることができる。単糖は、当業者に公知の任意の単糖であることができる。適切な単糖又は単糖のいくつかの非限定的な例には、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、リボース及びこれらの組み合わせを含む。適切な二糖のいくつかの非限定的な例には、スクロース、乳糖、マルトース、トレハロース、セロビオース及びこれらの組み合わせを含む。特定の実施態様において、生体工学によって作られた燃料成分は、多糖体から得ることができる。適切な多糖体のいくつかの非限定的な例には、デンプン、グリコーゲン、セルロース、キチン及びこれらの組み合わせを含む。
【0092】
式(Ia)、(Ib)又は(Ic)の生体工学によって作られたイソプレノイド化合物を製造するために適した単糖、二糖及び多糖体は、多種多様な作物又は供与源において見いだすことができる。適切な作物又は供与源のいくつかの非限定的な例には、サトウキビ、バガス、茅、テンサイ、モロコシ、穀実用モロコシ、スイッチグラス、オオムギ、大麻、洋麻、ジャガイモ、サツマイモ、カッサバ、ヒマワリ、果実、糖蜜、乳清又は脱脂乳、トウモロコシ、飼い葉、穀物、コムギ、木、紙、わら、ワタ、多くの型のセルロース廃棄物及びその他のバイオマスを含む。特定の実施態様において、適切な作物又は供与源には、サトウキビ、テンサイ及びトウモロコシを含む。
【0093】
特定の実施態様において、本発明は、本明細書に記述した方法よって産生される燃料組成物を包含する。特定の実施態様において、本発明は、微生物を使用して少なくとも式(Ia)、(Ib)又は(Ic)のイソプレノイド化合物を調製する工程、及び燃料組成物にイソプレノイド化合物を組み込む工程よって製造される燃料組成物を包含する。1つ以上の微生物を使用してイソプレノイド化合物を調製する方法は、下記に記述してある。特定の実施態様において、燃料組成物は、1つ以上の微生物を使用して3-メチル-3-ブテン-1-オールを調製すること、3-メチル-3-ブテン-1-オールから3-メチル-1-ブタノールを調製すること、及び燃料組成物に3-メチル-1-ブタノールを組み込むことによって製造される。その他の実施態様において、燃料組成物は、1つ以上の微生物を使用して3-メチル-2-ブテン-1-オールを調製すること、3-メチル-2-ブテン-1-オールから3-メチル-1-ブタノールを調製すること、及び燃料組成物に3-メチル-1-ブタノールを組み込むことによって製造される。
【0094】
その他の実施態様において、イソプレノイド化合物は、式(Ia)によって表され:
【化6】

式中、Zは、上記記載の通りである。
【0095】
一つの実施態様において、式(Ia)のイソプレノイド化合物は、式(IIa):
【化7】

を有する実質的に純粋な3-メチル-1-ブタノールであるか、又は含む。
【0096】
その他の実施態様において、イソプレノイド化合物は、式(Ib)によって表され:
【化8】

式中、Zは、上記記載の通りである
【0097】
一つの実施態様において、式(Ib)のイソプレノイド化合物は、式(IIb):
【化9】

を有する実質的に純粋な3-メチル-3-ブテン-1-オールであるか、又は含む。
【0098】
その他の実施態様において、イソプレノイド化合物は、式(Ic)よって表され:
【化10】

式中、Zは、上記記載の通りである。
【0099】
一つの実施態様において、式(Ic)のイソプレノイド化合物は、式(Ic):
【化11】

を有する実質的に純粋な3-メチル-3-ブテン-1-オールであるか、又は含む。
【0100】
任意に、本明細書に開示した燃料組成物は、従来のガソリン、灯油、ディーゼル燃料又はジェット燃料などの石油系燃料成分を更に含んでいてもよい。一部の実施態様において、本明細書に開示した燃料組成物における石油系燃料は、ガソリンである。特定の実施態様において、本明細書に開示した燃料組成物における石油系燃料は、ジェット燃料である。更なる実施態様において、本明細書に開示した燃料組成物における石油系燃料は、灯油である。
【0101】
本明細書に開示した燃料組成物における石油系燃料成分の量は、燃料組成物の総量に基づいて、0.1%〜99%、1%〜95%、2%〜90%、3%〜85%、5%〜80%、5%〜70%、5%〜60%又は5%〜50%まであってもよい。特定の実施態様において、石油系燃料成分の量は、燃料組成物の総量に基づいて、95%未満、90%未満、85%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満又は0.5%未満である。一部の実施態様において、量は、燃料組成物の総重量に基づいて、重量%のものである。その他の実施態様において、量は、燃料組成物の総容量に基づいて、容量%のものである。特定の実施態様において、燃料組成物は、ガソリン燃料組成物である。
【0102】
一部の実施態様において、燃料組成物は、少なくとも式(Ia)、(Ib)又は(Ic)のイソプレノイド化合物及びガソリンを含む。一部の実施態様において、ガソリンは、ガソリンに関するASTM D 4814(これは参照により本明細書に組み込まれる)で特定されるような、9つのガソリン特性の1つ以上を満たす。一般に、ガソリンは、石油の分留で得られる沸点が約200℃を下回る炭化水素の混合物である。ガソリンの沸点範囲の炭化水素成分は、一般にこれらの分子構造に4〜12炭素原子を有するものである。ガソリンは、組成物において広く異なり得るし;同じオクタン価をもつガソリンでさえ、全く異なるであろう。例えば、高(20%を上回る)芳香族含量の低沸点留出物は、いくつかの原油から得ることができる。芳香族含量の変動、並びに、直鎖パラフィン、分枝パラフィン、シクロペンタン及びシクロヘキサンの含量の変動は、石油供給材料の特徴に依存的であり、ガソリンのオクタン価に影響を及ぼす。
【0103】
ガソリンの組成物における相違により、一様な製品を製造するためには、数回の成分流からの生成物のブレンディングが必要であろうことが必要であろう。それぞれの流れの特性は、かなり変化しするであろうし、生成物ガソリンに著しい影響を及ぼす。ブレンディング工程は、比較的単純明快であるが、混合物に含めるためのそれぞれの成分の量の決定は、非常に困難である。
【0104】
揮発度は、ガソリンの重要な特性であり、寒空では機関始動を確実にする必要がある。冬には、揮発度が上昇し、引火点は、より揮発性のブタン及びペンタンを添加することよって低下する。暖かい天気では蒸気閉塞を防止するために、より揮発性成分の量を減少させて、燃料ラインにおいて蒸発しないであろう混合物が製造される。
【0105】
その他の実施態様において、燃料組成物は、少なくとも式(Ia)、(Ib)又は(Ic)のイソプレノイド化合物及び灯油を含む。一般の灯油は、炭化水素の混合物であり、285°F〜610°F(140℃から320℃まで)の沸点を有する。これは、ジェットエンジンのための燃料又は燃料成分として使用することができる。
【0106】
更なる実施態様において、燃料組成物は、少なくとも式(Ia)、(Ib)又は(Ic)のイソプレノイド化合物及びジェット燃料を含む。当業者に公知のジェット燃料を本明細書において使用することができる。米国材料試験協会(「American Society for Testing and Materials:ASTM」)及び英国国防省(「United Kingdom Ministry of Defense:MOD」)は、一般人の航空タービン燃料又はジェット燃料についての規格を設定し、及び維持する先導役をとってきた。これらの2つの組織によって発行たそれぞれの規格は、非常に似ているが、同一ではない。多くのその他の国も、ジェット燃料に関してそれ自体の国家規格を発行するが、ASTM又はMODの規格と非常に近いか、又は完全に同一である。ASTM D 1655は、航空タービン燃料(Aviation Turbine Fuels)のための標準仕様であり、Jet A、Jet A-1及びJet B燃料のための規格を含む。防御標準(Defence Standard)91-91は、Jet A-1のためのMOD規格である。
【0107】
最も一般的なジェット燃料は、Jet A-1として分類された灯油/パラフィン油に基づいた燃料であり、これは、国際的に標準化された規格のセットのために生産される。米国においてのみ、Jet Aとして知られるJet A-1のバージョンも使用される。一般人の航空に一般に使用される別のジェット燃料は、Jet Bと呼ばれる。Jet Bは、ナフサ-灯油領域のより軽い燃料であり、これは、その増強された寒冷-天候性能のために使用される。Jet A、Jet A-1及びJet Bは、ASTM規格D. 1655-68において特定されている。或いは、ジェット燃料は、世界中の軍隊よってJP数の異なる系統で分類されている。いくつかは、これらの一般人の対応物とほぼ同一であるし、わずかな添加物の量によってのみ異なる。例えば、Jet A1は、JP-8と同じであり、Jet Bは、JP-4と同じである。或いは、ジェット燃料は、灯油又はナフサ-型としても分類することができる。灯油-型ジェット燃料のいくつかの非限定的な例には、Jet A、Jet Al、JP-5及びJP-8を含む。ナフサ-型ジェット燃料のいくつかの非限定的な例には、Jet B及びJP-4を含む。
【0108】
Jet Aは、米国において使用されるが、世界の大部分の残りは、Jet A-1を使用する。Jet Aは、そのより高い-40℃の氷点を除いて、Jet-A1と同じである。Jet AとJet A1との間の重要な相違は、最大氷点である。Jet A-1は、-47℃のより低い最大凍結温度を有するが、Jet Aは、-40℃の最大凍結温度を有する。Jet A-1の様に、Jet Aは、最小38℃のかなり高い引火点を有し、210℃の自然発火温度をもつ。
【0109】
一部の実施態様において、燃料組成物は、少なくとも従来の燃料添加物を含む。燃料添加物のいくつかの非限定的な例には、酸素化物、抗酸化剤、熱安定性向上剤、セタン向上剤、安定剤、寒冷流動性向上剤、助燃剤、消泡剤、抗くもり添加物、腐食抑制剤、潤滑性向上剤、着氷阻害剤、噴霧器清浄添加物、煙抑制剤、抵抗減少添加物、金属不活性化剤、分散剤、洗浄剤、解乳化剤、色素、マーカー、静電気消散剤、殺生物剤及びこれらの組み合わせを含む。
【0110】
本明細書に開示した燃料組成物における従来の燃料添加物のそれぞれの量は、燃料組成物の総量に基づいて、0.1%〜50%未満、0.2%〜40%、0.3%〜30%、0.4%〜20%、0.5%〜15%又は0.5%〜10%であってもよい。特定の実施態様において、従来の燃料添加物のそれぞれの量は、燃料組成物の総量に基づいて、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満又は0.5%未満である。一部の実施態様において、量は、燃料組成物の総重量に基づいて、重量%のものである。その他の実施態様において、量は、燃料組成物の総容量に基づいて、容量%のものである。
【0111】
いくつかの従来の燃料添加物は、自動車技師協会によって「ガソリン:添加物、排気及び性能」、SAE International、1995(ISBN:156091645 1)に記述されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。更に、以下の米国特許第は、添加物として本発明の実施態様に使用することができる種々の燃料添加物を開示する:6,054,420;6,051,039;5,997,593;5,997,592;5,993,498;5,968,211;5,958,089;5,931,977;5,891,203;5,882,364;5,880,075;5,880,072;5,855,629;5,853,436;5,743,922;5,630,852;5,529,706;5,505,867;5,492,544;5,490,864;5,484,462;5,321,172;及び5,284,492。前述の米国特許の全ての開示は、これらの全体が本明細書に参照により組み込まれる。
【0112】
本明細書に開示した燃料組成物における酸素の重量%を増加させる任意の酸素化物を使用することができる。一般に、酸素化物は、有機化合物、すなわちアルコール及びエーテルの2つのクラスに分類することができる、炭素、水素及び酸素を含む引火性の液体である。適切な酸素化物のいくつかの非限定的な例には、エタノール、メチル三級ブチルエーテル(MTBE)三級アミルメチルエーテル(TAME)及びエチル三級ブチルエーテル(ETBE)を含む。
【0113】
燃料潤滑性を増加させる任意の潤滑性向上剤を使用することができる。一部の実施態様において、1つ以上の潤滑性向上剤を本明細書に開示した燃料組成物と混合される。典型的には、燃料における潤滑性向上剤の濃度は、1〜50,000ppm、好ましくは約10〜20,000ppm及びより好ましくは25〜10,000ppmの範囲に入る。潤滑性向上剤のいくつかの非限定的な例には、脂肪酸のエステルを含む。
【0114】
本明細書に開示した燃料組成物の貯蔵安定度を改善することができる任意の安定剤を使用することができる。安定剤のいくつかの非限定的な例には、三級アルキル一級アミンを含む。安定剤は、燃料組成物の総重量に基づいて、約0.001〜2重量%の濃度、及び一つの実施態様において0.01〜1重量%にて燃料組成物に存在してもよい。
【0115】
本明細書に開示した燃料組成物の質量燃焼速度を増加させることができる任意の助燃剤を使用することができる。助燃剤のいくつかの非限定的な例には、フェロセン(ジシクロペンタジエニル鉄)、鉄に基づいた助燃剤(例えば、Turbotect(USA)Inc., Tomball、TexasからのTURBOTECT(商標)ER-18)、バリウムに基づいた助燃剤、セリウムに基づいた助燃剤、並びに鉄及びマグネシウムに基づいた助燃剤(例えば、Turbotect(USA)Inc., Tomball、TexasからのTURBOTECT(商標)703)を含む。助燃剤は、燃料組成物の総重量に基づいて、約0.001〜1重量%、及び一つの実施態様において0.01〜1重量%の濃度にて燃料組成物に存在してもよい。
【0116】
一部の実施態様において、燃料組成物は、抗酸化剤を含む。貯蔵における燃料の酸化よって生じる燃料系統成分に対するゴム質沈殿の形成を防止すること、及び/又は特定の燃料組成物におけるペルオキシド化合物の形成を阻害することができる任意の抗酸化剤を本明細書において使用することができる。抗酸化剤は、燃料組成物の総重量に基づいて、約0.001〜5重量%、及び一つの実施態様において0.01〜1重量%の濃度にて燃料組成物に存在してもよい。
【0117】
その他の実施態様において、燃料組成物は、静電気消散剤を含む。静電気消散剤は、高流速燃料移送装置を介した燃料の移動よって発生する静電気の効果を減少させる。静電気消散剤は、燃料組成物の総重量に基づいて、約0.001〜5重量%、及び一つの実施態様において0.01〜1重量%の濃度にて燃料組成物に存在してもよい。
【0118】
更なる実施態様において、燃料組成物は、腐食抑制剤を含む。腐食抑制剤は、パイプライン及び燃料貯蔵タンクなどの燃料取扱設備における鉄合金を腐食から保護する。さらなる潤滑性が望まれる環境において、組成物の減摩性を改善する腐食抑制剤も使用することができる。腐食抑制剤は、燃料組成物の総重量に基づいて、約0.001〜5重量%、及び一つの実施態様において0.01〜1重量%の濃度にて燃料組成物に存在してもよい。
【0119】
特定の実施態様において、燃料組成物は、燃料系統着氷阻害剤(着氷防止添加物とも呼ばれる)を含む。燃料系統着氷阻害剤は、高い高度で冷えることによってジェット燃料から凝結する水の氷点を減少させ、エンジンへの燃料の流れを制限する氷晶の形成を防止する。特定の燃料系統着氷阻害剤は、殺生物剤としても作用することができる。燃料系統着氷阻害剤は、燃料組成物の総重量に基づいて、約0.001〜5重量%、及び一つの実施態様において0.01〜1重量%の濃度にて燃料組成物に存在してもよい。
【0120】
別の実施態様のセットにおいて、燃料組成物は、殺生物剤を更に含む。殺生物剤は、燃料組成物における微生物増殖と戦うために使用される。殺生物剤は、燃料組成物の総重量に基づいて、約0.001〜5重量%、及び一つの実施態様において0.01〜1重量%の濃度にて燃料組成物に存在してもよい。
【0121】
別の実施態様のセットにおいて、燃料組成物は、金属不活性化剤を更に含む。金属不活性化剤は、いくつかの金属、特に銅が燃料酸化させるという触媒効果を抑制する。金属不活性化剤は、燃料組成物の総重量に基づいて、約0.001〜5重量%、及び一つの実施態様において0.01〜1重量%の濃度にて燃料組成物に存在してもよい。
【0122】
別の実施態様のセットにおいて、燃料組成物は、熱安定性向上剤を更に含む。熱安定性向上剤は、航空燃料系の高温領域における沈着形成を阻害するために使用される。熱安定性向上剤は、燃料組成物の総重量に基づいて、約0.001〜5重量%、及び一つの実施態様において0.01〜1重量%の濃度にて燃料組成物に存在してもよい。
【0123】
(本発明の化合物を製造するための方法)
式(Ia)、(Ib)又は(Ic)のイソプレノイド化合物は、生物学的方法、化学合成(生物学的に基づく材料を使用せずに)及び生物学的及び化学的手段の両方を使用するハイブリッド法を含む、当該技術分野において公知の任意の方法を使用して製造することができる。
【0124】
一部の実施態様において、ハイブリッド法が使用される。C5イソプレノイド出発材料を生物学的に製造し、次いでこれを、化学合成を使用して、式(Ia)、(Ib)又は(Ic)の所望のC5イソプレノイド化合物に変換させる。
【0125】
(宿主細胞)
C5イソプレノイド化合物又は出発材料は、生物学的方法、化学合成及びハイブリッド法を含む、当該技術分野において公知の任意の方法を使用して製造することができる。C5イソプレノイド化合物又は出発材料が、生物学的に製造される場合、1つの方法は、所望の生成物を産生するように修飾された宿主細胞である。全てのイソプレノイド類と同様に、C5イソプレノイド化合物又は出発材料は、共通した中間体、イソペンテニルジホスフェート(「IPP」)、又はジメチルアリルピロホスフェート(「DMAPP」)を介して生物学的に製造される。
【0126】
任意の適切な宿主細胞を本発明の実施に使用してもよい。一つの実施態様において、宿主細胞は、所望のイソプレノイド化合物若しくは出発材料を産生するか、又は所望のイソプレノイド化合物又は出発材料の収量が増大されるように核酸分子が挿入され、欠失され、又は修飾された(すなわち、例えばヌクレオチドの挿入、欠失、置換及び/又は反転よって変異された)、遺伝子改変された宿主微生物である。別の実施態様において、宿主細胞は、液体増殖培地中で培養することができる。
【0127】
適切な宿主細胞の例示的な例には、任意の古細菌、細菌又は真核生物の細胞を含む。古細菌細胞の例には、以下の属に属するものを含むが、限定されない:アエロピルム属(Aeropyrum)、アーケオグロブス属(Archaeglobus)、ハロバクテリウム属(Halobacterium)、メタノコックス属(Methanococcus)、メタノバクテリウム属(Methanobacterium)、パイロコッカス属(Pyrococcus)、スルフォロブス属(Sulfolobus)及びサーモプラズマ属(Thermoplasma)。古細菌種の例示的な例には、以下を含むが、限定されない:超好熱性古細菌(Aeropyrum pernix)、アーケオグロブス・フルギダス(Archaeoglobus fulgidus)、メタン生成古細菌(Methanococcus jannaschii)、メタノバクテリウム・サーモオートトロピカム(Methanobacterium thermoautotrophicum)、パイロコッカス・アビシ(Pyrococcus abyssi)、パイロコッカス・ホリコシイ(Pyrococcus horikoshii)、サーモプラズマ・アシドフィルム(Thermoplasma acidophilum)及びサーモプラズマ・ボルカニウム(Thermoplasma volcanium)。
【0128】
細菌細胞の例には、以下の属に属するものを含むが、限定されない:アグロバクテリウム属(Agrobacterium)、アリサイクロバチルス属(Alicyclobacillus)、アナベナ属(Anabaena)、アナシスティス属(Anacystis)、アルトロバクター属(Arthrobacter)、アゾバクター属(Azobacter)、バシラス属(Bacillus)、ブレビバクテリウム属(Brevibacterium)、クロマティウム属(Chromatium)、クロストリジウム属(Clostridium)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、エンテロバクター属(Enterobacter)、エルウィニア属(Erwinia)、エシュリヒア属(Escherichia)、乳酸桿菌属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、メソリゾビウム属(Mesorhizobium)、メチロバクテリウム属(Methylobacterium)、ミクロバクテリウム属(Microbacterium)、フォルミディウム属(Phormidium)、シュードモナス属(Pseudomonas)、ロドバクター属(Rhodobacter)、ロドシュードモナス属(Rhodopseudomonas)、ロドスピリルム属(Rhodospirillum)、ロドコッカス属(Rhodococcus)、サルモネラ(Salmonella)、セネデスムス属(Scenedesmun)、セラチア属(Serratia)、赤痢菌属(Shigella)、ブドウ球菌属(Staphlococcus)、ストレプトマイセス属(Strepromyces)、シネコッカス属(Synnecoccus)及びザイモモナス属(Zymomonas)。
【0129】
細菌種の例示的な例は、以下を含むが、限定されない:枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefacines)、ブレビバクテリウム・アンモニアジェネス(Brevibacterium ammoniagenes)、ブレビバクテリウム・イマリオフィラム(Brevibacterium immariophilum)、クロストリジウム ベイエリンキイ(Clostridium beigerinckii)、エンテロバクター・サカザキ (Enterobacter sakazakii)、大腸菌(Escherichia coli)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、メソリゾビウム・ロティ(Mesorhizobium loti)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・メバロニイ(Pseudomonas mevalonii)、プチダ菌(Pseudomonas pudica)、ロドバクター・カプスラータス(Rhodobacter capsulatus)、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、ロドスピリラム・ラブラム(Rhodospirillum rubrum)、腸炎菌(Salmonella enterica)、チフス菌(Salmonella typhi)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)、フレキシナ赤痢菌(Shigella flexneri)、ソンネ赤痢菌(Shigella sonnei)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)及びその他。
【0130】
一般に、細菌宿主細胞が使用される場合、非病原性の株が好ましい。非病原性の株である種の例示的な例には、以下を含むが、限定されない:枯草菌(Bacillus subtilis)、大腸菌(Escherichia coli)、アシドフィルス菌(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・メバロニイ(Pseudomonas mevalonii)、プチダ菌(Pseudomonas pudita)、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、ロドバクター・カプスラータス(Rodobacter capsulatus)、ロドスピリラム・ラブラム(Rhodospirillum rubrum)及びその他。
【0131】
真核細胞の例には、真菌細胞を含むが、限定されない。真菌細胞の例には、以下の属に属するものを含むが、限定されない:コウジカビ属(Aspergillus)、カンジダ属(Candida)、クリソスポリウム属(Chrysosporium)、クリプトコッカス属(Cryotococcus)、フザリウム属(Fusarium)、クリベロマイセス属(Kluyveromyces)、ネオティホジウム属(Neotyphodium)、アカパンカビ属(Neurospora)、ペニシリウム属(Penicillium)、ピチア属(Pichia)、サッカロマイセス属(Saccharomyces)及びトリコデルマ属(Trichoderma)。
【0132】
真核生物の種の例示的な例には、以下を含むが、限定されない:アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、クロカビ(Aspergillus niger)、コウジカビ(Aspergillus oryzae)、鵞口瘡カンジダ(Candida albicans)、クリソスポリウム・ルクノエンス(Chrysosporium.lucknowense)、フザリウム・グラミネアラム(Fusarium graminearum)、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、アカパンカビ(Neurospora crassa)、ピチア・アングスタ(Pichia angusta)、ピチア・フィンランディカ(Pichia finlandica)、ピチア・コダメ(Pichia kodamae)、ピチア・メンブラネファシエンス(Pichia membranaefaciens)、ピチア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピチア・オプンチアエ(Pichia opuntiae)、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)、ピチア・ピジペリ(Pichia pijperi)、ピチア・クレルクウム(Pichia quercuum)、ピチア・サリクタリア(Pichia salictaria)、ピチア・サーモトレランス(Pichia thermotolerans)、ピチア・トレハロフィラ(Pichia trehalophila)、ピチア・スチピリス(Pichia stipilis)、ストレプトマイセス・アムボファシエンス(Streptomyces ambofaciens)、ストレプトマイセス・オーレオファシエンス(Streptomyces aureofaciens)、ストレプトマイセス・オーレウス(Streptomyces aureus)、サッカロマイセス・バヤヌス(Saccaromyces bayanus)、サッカロマイセス・ブラウディ(Saccaromyces boulardi)、サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)、ストレプトマイセス・フンギシジカス(Streptomyces fungicidicus)、ストレプトマイセス・グリセオクロモジェネス(Streptomyces griseochromogenes)、ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、ストレプトマイセス・オリボグリセウス(Streptomyces olivogriseus)、ストレプトマイセス・ラメウス(Streptomyces rameus)、ストレプトマイセス・タナシエンシス(Streptomyces tanashiensis)、ストレプトマイセス・ビナセウス(Streptomyces vinaceus)及びトリコデルマ・レッセイ(Trichoderma reesei)。
【0133】
一般に、真核細胞が使用される場合、非病原性の株が好ましい。非病原性の株である種の例示的な例には、以下を含むが、限定されない:フザリウム・グラミネアラム(Fusarium graminearum)、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)、サッカロマイセス・ブラウディ(Saccaromyces boulardi)及びサッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)。
【0134】
加えて、特定のの株は、GRAS又は一般に安全と認められると食品医薬品局によって指定された。これらの株には、以下を含む:枯草菌(Bacillus subtilis)、アシドフィルス菌(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)及びサッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)。
【0135】
(IPP経路)
IPP及びその異性体(ジメチルアリルピロホスフェート(「DMAPP」))を合成する2つの公知の生合成経路がある。植物以外の真核生物は、もっぱらアセチル補酵素A(「アセチルCoA」)をIPPに変換するメバロン酸依存的(「MEV」)イソプレノイド経路を使用し、これをその後にDMAPPに異性化させる。原核生物は、いくつかの例外があるが、メバロン酸非依存的経路又はデオキシ・キシルロース5-ホスフェート(「DXP」)経路を使用して、枝分れ点を介してIPP及びDMAPPを別々に産生する。一般に、植物は、IPP合成のためにMEV及びDXP経路を使用する。
【0136】
(MEV経路)
MEV経路の概略図を図1に記述してある。一般に、経路には、6つの工程を含む。
【0137】
第1工程では、アセチル補酵素Aの2つの分子を酵素的に結合させて、アセトアセチルCoAを形成させる。この工程を触媒することが知られている酵素は、例えばアセチルCoAチオラーゼである。ヌクレオチド配列の例示的な例には、以下のGenBankアクセッション番号及び配列が:(NC_000913 領域:2324131..2325315;大腸菌(Escherichia coli))(D49362;脱窒細菌(Paracoccus denitrificans))及び(L20428;サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae))に由来する生物体を含むが、限定されない。
【0138】
MEV経路の第2工程では、アセトアセチル-CoAをアセチル-CoAの別の分子と酵素的に縮合させて、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoA(HMG-CoA)を形成させる。この工程を触媒することが知られている酵素は、例えばHMG-CoAシンターゼである。ヌクレオチド配列の例示的な例には:(NC_001145. 相補19061..20536;サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae))(X96617;サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae))、(X83882;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(AB037907;キタサトスポラ・グリセオラ(Kitasatospora griseola))、(BT007302;ヒト)及び(NC_002758、座位タグSAV2546、遺伝子ID 1122571;黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus))を含むが、限定されない。
【0139】
第3工程では、HMG-CoAを酵素的にメバロナートに変換させる。この工程を触媒することが知られている酵素は、例えばHMG-CoAレダクターゼである。ヌクレオチド配列の例示的な例には:(NM_206548;キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)(NC_002758、座位タグSAV2545、遺伝子ID 1122570;黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、(NM_204485;ニワトリ(Gallus gallus))、(AB015627;ストレプトマイセス属種(Streptomyces sp. KO 3988)、(AF542543;ハナタバコ(Nicotiana attenuata)、(AB037907;キタサトスポラ・グリセオラ(Kitasatospora griseola))、(AX128213、切断されたHMGRをコードする配列を提供する;サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae))及び(NC_001145:相補115734..118898;サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae))を含むが、限定されない。
【0140】
第4工程では、メバロナートを酵素的にメバロナート5-ホスフェートにリン酸化させる。この工程を触媒することが知られている酵素は、例えばメバロン酸キナーゼである。ヌクレオチド配列の例示的な例は:(L77688;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))及び(X55875;サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae))を含むが、限定されない。
【0141】
第5工程では、第二リン酸基をメバロナート5-ホスフェートに酵素的に付加してメバロナート5-ピロホスフェートを形成させる。この工程を触媒することが知られている酵素は、例えばホスホメバロン酸キナーゼである。ヌクレオチド配列の例示的な例には:(AF429385;パラゴムノキ(Hevea brasiliensis)(NM_006556;ヒト)及び(NC_001145.相補712315..713670;サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae))を含むが、限定されない。
【0142】
第6工程では、メバロナート5-ピロホスフェートをIPPに酵素的に変換させる。この工程を触媒することが知られている酵素は、例えばメバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼである。ヌクレオチド配列の例示的な例には:(X97557;サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae))、(AF290095;エンテロコッカス・ヘシュウム(Enterococcus faecium))及び(U49260;ヒト)を含むが、限定されない。
【0143】
メバロン酸経路を用いてIPPがDMAPPに変換される場合、第7工程が必要とされる。この工程を触媒することが知られている酵素は、例えばIPPイソメラーゼである。ヌクレオチド配列の例示的な例は:(NC_000913, 3031087..3031635;大腸菌(Escherichia coli))及び(AF082326;ヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis))を含むが、限定されない。
【0144】
(DXP経路)
DXP経路の概略図を図2に記述してある。一般に、DXP経路は、7つの工程を含む。第1工程では、ピルベートをD-グリセルアルデヒド3-ホスフェートと縮合させて、1-デオキシ-D-キシルロース-5-ホスフェートを作製する。この工程を触媒することが知られている酵素は、例えば1-デオキシ-D-キシルロース-5-ホスフェートシンターゼである。ヌクレオチド配列の例示的な例は:(AF035440;大腸菌(Escherichia coli))、(NC_002947、座位タグPP0527;プチダ菌(Pseudomonas pudita)KT2440)、(CP000026、座位タグSPA2301;パラチフ菌(Salmonella enterica Paratyphi)、ATCC 9150を参照されたい)、(NC_007493、座位タグRSP_0254;ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)2.4.1)(NC_005296、座位タグRPA0952;ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)CGA009)、(NC_004556、座位タグPD1293;ピアス病菌(Xylella fastidiosa Temecula))及び(NC_003076、座位タグAT5G11380;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))を含むが、限定されない。
【0145】
第2工程では、1-デオキシ-D-キシルロース-5-ホスフェートが2C-メチル-D-エリスリトール-4-ホスフェートに変換される。この工程を触媒することが知られている酵素は、例えば1-デオキシ-D-キシルロース-5-ホスフェートレダクトイソメラーゼである。ヌクレオチド配列の例示的な例には:(AB013300;大腸菌(Escherichia coli))、(AF148852;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))、(NC_002947、座位タグPP1597;プチダ菌(Pseudomonas pudita)KT2440)、(AL939124、座位タグSCO5694;ストレプトマイセス・コエリカラー(Streptomyces coelicolor) A3(2))、(NC_007493、座位タグRSP_2709;ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides) 2.4.1)及び(NC_007492、座位タグPfl_1107;蛍光菌(Pseudomonas fluorescens)PfO-1)を含むが、限定されない。
【0146】
第3工程では2C-メチル-4-D-エリスリトール-4-ホスフェートが4-ジホスホシチジル-2C-メチル-D-エリスリトールに変換される。この工程を触媒することが知られている酵素は、例えば4-ジホスホシチジル-2C-メチル-D-エリスリトールシンターゼである。ヌクレオチド配列の例示的な例には:(AF230736;大腸菌(Escherichia coli))、(NC_007493、座位タグRSP_2835;ロドバクター・スフェロイデス(ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)2.4.1)、(NC_003071、座位タグAT2G02500;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))及び(NC_002947、座位タグPP1614;プチダ菌(Pseudomonas pudita)KT2440)を含むが、限定されない。
【0147】
第4工程では、4-ジホスホシチジル-2C-メチル-D-エリスリトールが4-ジホスホシチジル-2C-メチル-D-エリスリトール-2-ホスフェートに変換される。この工程を触媒することが知られている酵素は、例えば4-ジホスホシチジル-2C-メチル-D-エリスリトールキナーゼである。ヌクレオチド配列の例示的な例には:(AF216300;大腸菌(Escherichia coli))及び(NC_007493、座位タグRSP_1779;ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)2.4.1)を含むが、限定されない。
【0148】
第5工程では、4-ジホスホシチジル-2C-メチル-D-エリスリトール-2-ホスフェートが2C-メチル-D-エリスリトール2,4-シクロジホスフェートに変換される。この工程を触媒することが知られている酵素は、例えば2C-メチル-D-エリスリトール2,4-シクロジホスフェートシンターゼである。ヌクレオチド配列の例示的な例は:(AF230738;大腸菌(Escherichia coli))、(NC_007493、座位タグRSP_6071;ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)2.4.1)及び(NC_002947、座位タグPP 1618;プチダ菌(Pseudomonas pudita)KT2440)を含むが、限定されない。
【0149】
第6工程では、2C-メチル-D-エリスリトール2,4-シクロジホスフェートが1-ヒドロキシ-2-メチル-2-(E)-ブテニル-4-ジホスフェートに変換される。この工程を触媒することが知られている酵素は、例えば1-ヒドロキシ-2-メチル-2-(E)-ブテニル-4-ジホスフェートシンターゼである。ヌクレオチド配列の例示的な例には:(AY033515;大腸菌(Escherichia、coli)、(NC_002947、座位タグPP0853;プチダ菌(Pseudomonas pudita)KT2440)及び(NC_007493、座位タグRSP_2982;ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)2.4.1)を含むが、限定されない。
【0150】
第7工程では、1-ヒドロキシ-2-メチル-2-(E)-ブテニル-4-ジホスフェートがIPP又はその異性体であるDMAPPに変換される。この工程を触媒することが知られている酵素は、例えばイソペンチル/ジメチルアリルジホスフェートシンターゼである。ヌクレオチド配列の例示的な例は:(AY062212;大腸菌(Escherichia coli))及び(NC_002947、座位タグPP0606;プチダ菌(Pseudomonas pudita)KT2440)を含むが、限定されない。
【0151】
一部の実施態様において、宿主細胞の自体の代謝プロセスと本発明によって提供されるIPPの産生に関与するプロセスとの間の「クロストーク」(又は干渉)は、最小化され、又は完全に除去される。例えば、宿主微生物がIPPを合成するためのDXP経路のみに依存し、かつMEV経路がさらなるIPPを提供するために導入されるときに、クロストークは、最小化され、又は完全に除去される。このような宿主生物は、MEV経路酵素の発現を変化させ、又はMEV経路に関連した中間体をプロセスする能力がないであろう。単独又は主にDXP経路に依存する生物体には、例えば大腸菌(Escherichia coli)を含む。
【0152】
一部の実施態様において、宿主細胞は、単独で、又はDXP経路と組み合わせて、MEV経路を介してIPPを産生する。その他の実施態様において、宿主のDXP経路は、宿主細胞が異種性に導入されたMEV経路のみを介してIPPを産生するように、機能的に無能にされる。DXP経路は、遺伝子発現を無能にすること、又はDXP経路酵素の1つ以上の機能を不活性化することによって、機能的に無能にすることができる。
【0153】
その他の実施態様において、宿主細胞は、単独で、又はMEV経路と組み合わせて、DXP経路を介してIPPを産生する。その他の実施態様において、宿主のMEV経路は、宿主細胞が異種性に導入されたDXP経路のみを介してIPPを産生するように、機能的に無能にされる。MEV経路は、遺伝子発現を無能にすること、又はMEV経路酵素の1つ以上の機能を不活性化することによって、機能的に無能にすることができる。
【0154】
(C5イソプレノイド化合物又は出発材料)
次いでその後に、IPP又はDMAPPを下記のスキーム1に示したように1つ以上のホスファターゼを使用して種々のC5イソプレノイド化合物又は出発材料に変換させる。
【化12】

【0155】
上記のスキーム1に示したように、IPP又はDMAPPのそれぞれ3-メチル-3-ブテン-1-オール(化合物(IIb)CAS 763-32-6)又は3-メチル-2-ブテン-1-オール(化合物(IIc)CAS 556-82-1)への変換は、適切な酵素よる末端ピロリン酸基の除去を介して生じる。IPP又はDMAPPのそれぞれ化合物(IIb)又は(IIc)への変換を触媒するために適した酵素のいくつかの非限定的な例には、アリルジホスファターゼ(酵素委員会#3.1.7.1)、ADP糖ピロホスファターゼ(酵素委員会#3.6.1.21)、ADP糖ホスホリラーゼ、ヌクレオシド三リン酸ピロホスファターゼ(酵素委員会#3.6.1.19)、FADピロホスファターゼ(酵素委員会#3.6.1.18)、モノテルペニルピロホスファターゼ(酵素委員会#3.1.7.3)、グアノシン-3',5'-ビス(ジホスフェート)3'ジホスファターゼ(酵素委員会#3.1.7.2)、アルカリホスファターゼ(酵素委員会#3.1 .3.1)、酸性ホスファターゼ(酵素委員会#3.1.3.2)又は酵素委員会クラス3.6.1、3.1.7若しくは3.1.3の下に分類されたその他のホスファターゼを含む。この変換を触媒することができる酵素をコードする公知の遺伝子には、枯草菌(Bacillus subtilis)6051遺伝子nudF及びyhfRを含むが、限定されない。nudF遺伝子産物は、ADPリボースピロホスファターゼとして機能することが知られているのに対して、yhfR遺伝子産物は、ホスホグリセリン酸ムターゼと同様の配列を有する。両遺伝子は、PCT特許出願公開WO2005/033287(参照により本明細書に組み込まれる)において、基質としてIPPを利用することができる産物をコードすると記述されている。nudF及びyhjR遺伝子を含むゲノムの断片のためのヌクレオチド配列は、それぞれ配列番号:11及び配列番号:12に示してある。
【0156】
IPP及び/又はDMAPPの化合物(IIb)及び/又は(IIc)への変換を触媒するためのその他の適切な酵素は、候補酵素をコードする核酸を宿主試験細胞に導入すること、及び宿主試験細胞の培養に由来する細胞抽出物を、インビトロにおいてIPP及び/又はDMAPPを化合物(IIb)及び/又は(IIc)に変換する能力についてスクリーニングすることによって同定することができる。一部の実施態様において、核酸は、修飾される(例えば、関心対象の核酸がその後単離される細胞又は生物体を変異誘発することよって、又は公知の酵素のヌクレオチド配列と比較してヌクレオチド配列変化を含む核酸の化学合成よって)。一部の実施態様において、核酸は、複数の外来性核酸であり(例えば原核生物又は真核生物の細胞から単離されたcDNA又はゲノムDNAライブラリー;それぞれが異なるアミノ酸配列をもつ候補遺伝子をコードする核酸の集団、その他)、核酸は、複数の宿主細胞に導入されて、複数の試験細胞を形成する。或いは、PCT特許出願公報WO2005/033287に記載されているように、IPPの高レベル産生と関連する細胞毒性は、IPP及び/又はDMAPPを化合物(IIb)及び/又は(IIc)に変換する酵素を同定するために利用することができる。
【0157】
(化学変換)
Zが上記記載の通りである式(Ia)、(Ib)又は(Ic)のイソプレノイド化合物:
【化13】

は、当該技術分野において公知の生物学的方法若しくは化学合成(生物学的に基づかれた材料を用いずに)又はこれらの組み合わせを含む任意の方法によって調製することができる。一部の実施態様において、1つ以上の上述のC5イソプレノイド化合物又は出発材料は、天然に存在する供与源から単離され、その後に以下に示すように対応するC5イソプレノイド化合物に変換される。
【0158】
その供与源にかかわらず、C5イソプレノイド化合物又は出発材料のそれぞれは、水素化反応などの任意の公知の還元反応よって本明細書に開示した燃料成分に化学的に変換することができる。一部の実施態様において、C5イソプレノイド出発材料は、Pd、Pd/C、Pt、PtO2、Ru(PPh32Cl2、ラネーニッケル及びこれらの組み合わせなどの触媒と共に水素によって還元させることができる。一つの実施態様において、触媒は、Pd触媒である。別の実施態様において、触媒は、5% Pd/Cである。さらなる実施態様において、触媒は、高圧反応容器の10% Pd/Cであり、反応は、完成まで進行させることができる。一般に、完了後、反応混合物を、洗浄し、濃縮し、乾燥させて、対応する水素付加された産物を得ることができる。或いは、C=C結合をC-C結合に還元させることができる任意の還元剤を使用することもできる。C5イソプレノイド出発材料は、例えば対応する水素付加された産物を与えるO2雰囲気下で、過塩素酸5-エチル-3-メチルルミフラビニウムなどの触媒の存在下においてヒドラジンで処理することによって水素付加することができる。ヒドラジンでの還元反応は、Imadaらの論文、J. Am. Chem. Soc. 127, 14544-14545(2005)に開示されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0159】
一部の実施態様において、C5イソプレノイド出発材料におけるC=C結合は、室温で、触媒及び水素の存在下において、水素付加によって対応するC-C結合に還元される。特定の実施態様において、3-メチル-3-ブテン-1-オール(式IIb)又は3-メチル-2-ブテン-1-オール(式IIb)は、下記のスキーム2に示すように10%のPd/C触媒の存在下における水素よって3-メチル-1-ブタノール(式IIa)に還元される。
【化14】

【0160】
上記のスキーム2に従って得られた3-メチル-1-ブタノール(すなわち、イソアミルアルコール)は、一級アルコールを対応するアルカンに脱ヒドロキシル化する任意の公知の脱ヒドロキシル剤(dehydroxylating agent)によって脱ヒドロキシル化して、対応する2-メチルブタン又はイソペンタン(CAS 78-78-4)を形成することができる。一部の実施態様において、イソアミルアルコールは、下記のスキーム3に示すように少量のチオフェンの存在下においてニッケル-珪藻土触媒での水素付加よってイソペンタンに還元させることができる。この水素化反応は、Pinesら、J. Am. Chem. Soc 77、5099(1955)に記述されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施態様において、水素化反応は、高温にて実施される。その他の実施態様において、水素化反応は、オートクレーブにおいて40℃〜300℃までの温度にて実施される。
【化15】

【0161】
或いは、イソアミルアルコールは、カルボン酸、カルボン酸ハライド(例えば、フッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物)及びカルボン酸無水物などの任意の公知のエステル化剤によって、対応する飽和C5エステルを生成するように更に修飾することができる。エステル化反応は、当業者よって認識される任意の反応条件において実施することができる。一部の実施態様において、イソアミルアルコールは、酸若しくは塩基触媒の存在下において、又はFischer又はSteglichエステル化条件を使用して、所望のカルボン酸とそれを反応することよってエステル化される。その他の実施態様において、イソアミルアルコールは、アミン及びピリジン化合物などの塩基触媒の有無において所望のカルボン酸ハライドとそれを反応することよってエステル化される。その他の実施態様において、イソアミルアルコールは、下記のスキーム4にて図示するように、アミン化合物(例えば、トリエチルアミン)などの塩基触媒の存在下において、所望のカルボン酸無水物と反応することよってエステル化される。完了した反応混合物は、濃縮し、洗浄し、乾燥させて、対応するエステルを生成することができる。
【化16】

【0162】
或いは、飽和C5エステルは、下記のスキーム5に示したようにエステル転移反応を介してイソアミルアルコール及び所望のエステルから得ることができる。エステル転移反応は、当業者よって認識される任意の反応条件において実施することができる。一部の実施態様において、エステル転移反応は、アルカリ(例えば、Li、Na、K、Rb及びCs)若しくはアルカリ属(例えば、Mg、Ca、Sr及びBa)などの塩基触媒、水酸化物、カルボナート若しくはアセテート又はこれらの組み合わせよって触媒される。
【化17】

【0163】
一部の実施態様において、イソアミルアルコールは、Rがアルキルであり、かつXがハロ、スルホニル、硫酸基及びその他などの優れた脱離基であるR-Xなどの任意の公知のアルキル化剤によって対応するエーテルを生成するように更に修飾することができる。アルキル化剤のいくつかの非限定的な例には、アルキルハライド、アルキルスルホナート及びアルキルスルフェートを含む。一般に、イソアミルアルコールは、塩基によって最初に対応するアルコキシドに変換し、次いでその後に下記のスキーム6に示すようにXがCl、Br又はIであるR-Xと反応させて、対応するエーテルを形成してもよい。一部の実施態様において、塩基は、水素化ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム及び水素化ホウ素ナトリウムなどの金属ナトリウム又は金属水素化物などの活性金属であることができる。
【化18】

【0164】
一部の実施態様において、イソアミルアルコールは、YがH、アルキル、O-アルキル、シクロアルキル、O-シクロアルキル、アリール、O-アリール、アルカリル、O-アルカリル、アリアルキル及びO-アリアルキルであり;かつXがF、Cl、Br及びIなどのハライドであるX-S(=O)2Yなどの任意の公知の硫酸化剤又はスルホン化剤によって対応する飽和C5サルフェート又はスルホナートを生成するように更に修飾することができる。スルホン化剤のいくつかの非限定的な例には、メタンスルホニルクロリド、エタンスルホニルクロリド及び1-プロパンスルホニルクロリドなどのアルキルスルホニルハライド、シクロプロパンスルホニルクロリドなどのシクロアルキルスルホニルハライド、ベンゼンスルホニルクロリドなどのアリールスルホニルハライド、フェニルメタンスルホニルクロリドなどのアリアルキルスルホニルハライド及びこれらの組み合わせを含む。硫酸化剤のいくつかの非限定的な例には、クロロスルホン酸、メチルクロロスルホナート、n-ブチルクロロスルホナート及び2,2-ジメチルプロピルブロモスルホナートなどのアルキルクロロスルホナート、フェニルクロロスルホナートなどのアリールクロロスルホナートを含む。上述したスルホン化剤又は硫酸化剤の全ては、公知の方法よって調製することができ、又はAldrich、Milwaukee、WIなどの市販の供給元から購入することができる。任意に、反応は、塩基触媒(例えば、トリエチルアミンなどのアミン)などの触媒の存在下又は非存在下で実施することができる。
【0165】
特定の実施態様において、イソアミルアルコールは、下記のスキーム7にて図示するように、所望のスルホン化剤又は硫酸化剤と反応することよって硫酸化又はスルホン化される。
【化19】

【0166】
一部の実施態様において、イソアミルアルコールは、Y1がアルキル、O-アルキル、シクロアルキル、O-シクロアルキル、アリール、O-アリール、アルカリル、O-アルカリル、アリアルキル及びO-アリアルキルであり、Y2がO-アルキル、O-シクロアルキル、O-アリール、O-アルカリル及びO-アリアルキルであり、かつXがF、Cl、Br及びIなどのハライドであるXP(=O)Y1Y2などの任意の公知のリン酸化剤又はホスホン化剤によって対応する飽和C5ホスフェート又はホスホナートを生成するように更に修飾することができる。リン酸化剤のいくつかの非限定的な例には、ジメチルクロロホスフェート、ジエチルクロロホスフェート及びジペンチルクロロホスフェートなどのジアルキルクロロホスフェート、クロロリン酸ジフェニルなどのジアリールクロロホスフェート及びジ-p-トリルクロロホスフェートなどのジアルカリルクロロホスフェートを含む。ホスホン化剤のいくつかの非限定的な例には、ジメチルクロロホスホナート、ジエチルクロロホスホナート及びジイソプロピルクロロホスホナートなどのジアルキルクロロホスホナートを含む。上述したリン酸化剤若しくはホスホン酸化剤の全ては、公知の方法よって調製することができ、又はAldrich、Milwaukee、WIなどの市販の供給元から購入することができる。任意に、反応は、塩基触媒(例えば、トリエチルアミンなどのアミン)などの触媒の存在下又は非存在下で実施することができる。
【0167】
特定の実施態様において、イソアミルアルコールは、下記のスキーム8にて図示するように、所望のリン酸化剤又はホスホン酸化剤と反応することよってリン酸化又はホスホン酸化される。
【化20】

【0168】
或いは、3-メチル-3-ブテン-1-オール及び3-メチル-2-ブテン-1-オールC5イソプレノイド出発材料は、上記の通りに最初にアルキル化され、エステル化され、硫酸化され、リン酸化され、スルホン化され、又はホスホン化されて、次いでその後に、式中R'がR、C(=O)R、PL(OR)2、SO2-OR、PO(OR)(R1)又はSO2-ORであり;RがH又はアルキルであり、かつR1がアルキルである下のスキーム9に図示したように、水素付加することができる。
【化21】

【0169】
下記のスキーム10を参照し、3-メチル-3-ブテン-1-オール又は3-メチル-2-ブテン-1-オールのエステル化は、上に記述したのと同じ方法で実施することができる。その後の水素付加は、上に記述したのと同じ方法で実施することができる。代わりの、その後の二重結合の水素付加は、-O-C(=O)R基に影響を及ぼさないであろう任意の水素付加触媒を使用することにより選択的に行うことができる。一部の実施態様において、水素化触媒は、
Moriらの論文、Ore. Lett. 8, 3279-3281(2006)(これは、参照により本明細書に組み込まれる)に開示したように、O-C(=O)R基の水素化分解を伴わずにオレフィン官能性を選択的に減少させる触媒毒としてジフェニルスルフィドを使用するPd/Cである。その他の実施態様において、ポリ(エチレングリコール)及びAdams触媒、すなわちPtO2を溶媒として使用して1気圧にて水素で二重結合を選択的に水素付加することができる。Adams触媒の使用は、Chandrasekharらの論文、J. Org. Chem., 71、2196-2199(2006)に開示されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【化22】

【0170】
一部の実施態様において、3-メチル-3-ブテン-1-オール又は3-メチル-2-ブテン-1-オールは、本明細書に開示した任意のアルキル化剤によって対応するエーテルを生成するように更に修飾することができる。一般に、3-メチル-3-ブテン-1-オール又は3-メチル-2-ブテン-1-オールは、最初に塩基によって対応するアルコキシドに変換して、次いでその後に、下記のスキーム11に示すように、アルコキシドをXがCl、Br又はIであるR-Xと反応して対応するエーテルを形成してもよい。一部の実施態様において、塩基は、水素化ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム及び水素化ホウ素ナトリウムなどの金属ナトリウム又は金属水素化物などの活性金属であることができる。
【化23】

【0171】
特定の実施態様において、3-メチル-3-ブテン-1-オール又は3-メチル-2-ブテン-1-オールは、下記のスキーム12に図示するように、所望のスルホン化剤又は硫酸化剤と反応することよって硫酸化又はスルホン化される。
【化24】

【0172】
一部の実施態様において、3-メチル-3-ブテン-1-オール又は3-メチル-2-ブテン-1-オールは、下記のスキーム13にて図示するように、本明細書に開示した任意の公知のリン酸化剤又はホスホン化剤によって対応するホスフェート又はホスホナートを生成するように更に修飾することができる。任意に、反応は、塩基触媒(例えば、トリエチルアミンなどのアミン)などの触媒の存在下又は非存在下で実施することができる。
【化25】

【0173】
一部の実施態様において、C5イソプレノイド出発材料は、下記のスキーム14に示すように、少量のチオフェンの存在下においてニッケル-珪藻土触媒での水素付加よって一段階でイソペンタンに変換することができる。一部の実施態様において、水素化反応は、高温にて実施される。その他の実施態様において、水素化反応は、オートクレーブにおいて40℃〜300℃までの温度にて実施される。
【化26】

【0174】
本明細書に開示した燃料組成物は、ジェット燃料又はミサイル燃料などの燃料を必要とする、非常発電機又は内燃機関などの任意の設備に動力を供給するために使用することができる。本発明の態様は、燃料系統が本明細書に開示した燃料組成物を含む燃料タンクを含む、内燃機関に燃料を提供するための燃料系統を提供する。任意に、燃料系統は、再循環エンジン冷却剤を有するエンジン冷却システム、燃料タンクを内燃機関と接続する送油経路及び/又は送油経路に配置された燃料フィルタを更に含んでいてもよい。内燃機関のいくつかの非限定的な例には、ピストンエンジン(例えば、ガソリン機関及びディーゼルエンジン)、ワンケルエンジン、ジェットエンジン、いくつかのロケットエンジン及びガスタービンエンジンを含む。
【0175】
一部の実施態様において、燃料タンクは、再循環エンジン冷却液から燃料タンクに含まれる燃料組成物へ熱伝達させるように、前記冷却装置と共に配置される。その他の実施態様において、燃料系統は、ガソリン機関の第二の燃料を含む第二の燃料タンク及び第二の燃料タンクを内燃機関と接続する第二の送油経路更にを含む。任意に、第一及び第二の送油経路は、互いに独立に、又は同時に開閉することができる電磁的に作動する弁を提供することができる。更なる実施態様において、第二の燃料は、ガソリンである。
【0176】
本発明の別の態様は、内燃機関、本明細書に開示した燃料組成物を含む燃料タンク、燃料タンクを内燃機関と接続する送油経路を含むエンジン配置を提供する。任意に、エンジン配置は、再循環エンジン冷却剤を含む燃料フィルタ及び/又はエンジン冷却システムを更に含んでいてもよい。一部の実施態様において、内燃機関は、ガソリン機関である。その他の実施態様において、内燃機関は、ジェットエンジンである。
【0177】
本明細書に開示した燃料組成物を使用するときに、これをエンジンに注入する前に、燃料組成物から生じる粒子状物質を除去することが望ましい。従って、本明細書に開示した燃料系統に使用するために適した燃料フィルタを選択することが望ましい。内燃機関に使用される燃料における水は、少量でさえも、エンジンに対して非常に有害であり得る。従って、燃料組成物に存在する水をエンジンに注入する前に除去することができることが望ましい。一部の実施態様において、水及び粒子状物質は、タービン遠心機を利用する燃料フィルタを使用することによって除去することができ、水及び粒子状物質は、エンジンに対する損傷のリスクを伴わずに、エンジンへの濾過された燃料組成物の注入が可能な程度に燃料組成物から分離される。水及び/又は粒子状物質を除去することができるその他のタイプの燃料フィルタも、もちろん使用してもよい。
【0178】
本発明の別の態様は、内燃機関、本明細書に開示した燃料組成物を含む燃料タンク、内燃機関で燃料タンクを接続する送油経路を備えた乗物を提供する。任意に、乗物は、再循環エンジン冷却剤を含む燃料フィルタ及び/又はエンジン冷却システムを更に含んでいてもよい。乗物のいくつかの非限定的な例には、車、オートバイ、列車、船及び航空機を含む。
【0179】
本発明の別の態様は、本発明の燃料、生体工学によって作られた燃料成分又は生体工学によって作られた燃料添加物の製造のための施設を提供する。特定の実施態様において、施設は、C5出発材料の生物学的製造ができる。特定の実施態様において、施設は、更に出発材料からイソプレノイド燃料成分を調製することができる。
【0180】
施設は、微生物を使用してC5出発材料を調製するために有用な任意の構造を含むことができる。一部の実施態様において、生物学的機能は、本明細書に開示した細胞の1つ以上を含む。一部の実施態様において、生物学的機能は、細胞培養の総重量に基づいて、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%又は少なくとも約30重量%の量の、少なくともC5出発材料を含む細胞培養を含む。さらなる実施態様において、生物学的機能は、本明細書に記述した1つ以上の細胞を含む発酵槽を含む。
【0181】
細胞又は細菌に安定かつ最適な環境を提供することができ、その中でこれらが成長し、又は複製することができる任意の発酵槽を、本明細書に使用することができる。一部の実施態様において、発酵槽は、本明細書に開示した細胞の1つ以上を含む培養を含む。その他の実施態様において、発酵槽は、生物学的にIPPを製造することができる細胞培養を含む。さらなる実施態様において、発酵槽は、生物学的にDMAPPを製造することができる細胞培養を含む。特定の実施態様において、発酵槽は、細胞培養の総重量に基づいて、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%又は少なくとも約30重量%の量の、少なくともC5出発材料を含む細胞培養を含む。
【0182】
施設は、C5出発材料から燃料成分又は燃料添加物を製造することができる任意の構造を更に含むことができる。構造は、C5出発材料の水素付加のための水素化装置を含んでいてもよい。当業者に公知の条件下でC=C二重結合をC-C単結合に還元させるために使用することができる任意の水素化装置を、本明細書に使用してもよい。水素化装置は、本明細書に開示した水素化触媒を含んでいてもよい。一部の実施態様において、構造は、ミキサー、容器及び容器内の水素付加工程からの水素付加産物と従来の燃料添加物の混合物を更に含む。
【0183】
(ビジネス方法)
本発明の一つの態様は:(a)組換え宿主細胞で糖の醗酵反応を行うことよってC5アルコールを含む生物燃料又はその誘導体を得る工程であって、組換え宿主細胞がC5アルコール又はその誘導体を産生する工程;及び(b)前記生物燃料を市場に出し、又は販売する工程を含むビジネス方法に関連する。
【0184】
一部の実施態様において、本発明は、望ましい性能特性を持つ本明細書に開示した生物燃料を流通させ、販売し、又は販売の申出によって石油系燃料及びエタノールに基づいた生物燃料の製造業者と競合するための方法を提供する。本明細書に開示した生物燃料は、より高い潜在性の糖からの収量、減少した精製コスト及び/又は輸送の容易さにより、現在市場に出されたエタノール基づいた生物燃料よりも経済的であろう。更に、本明細書に開示した生物燃料は、潜在的により高いオクタン価及び増加したエネルギー蓄量により、現在市場に出された燃料及びエタノールに基づいた生物燃料よりも高い性能であろう。更に、本明細書に開示した生物燃料は、より低い蒸発ガスを生じるより低い蒸気圧のため、現在市場に出された燃料及びエタノールに基づいた生物燃料よりも環境にやさしいであろう。
【0185】
その他の実施態様において、本発明は、本明細書に開示した生物燃料を燃料のマーケター、提供者及び/若しくは使用者に対して、市場に出し、又は流通させるための方法であって、本明細書に開示した生物燃料を広告すること、及び/又は販売の申出をすること含む方法を提供する。さらなる実施態様において、本明細書に開示した生物燃料は、天然の燃料又はエタノール含む生物燃料対応物と比較して改善された物理的な又はマーケティング特徴を有するであろう。
【0186】
特定の実施態様において、本発明は、本明細書に開示した生物燃料をガソリン、ジェット燃料、灯油、ディーゼル燃料又はこれらの組み合わせなどの石油系燃料に混合するための既成の石油精油所と協力し、若しくは共同し、又はライセンスするための方法を提供する。別の実施態様において、本発明は、本明細書に開示した生物燃料を処理(例えば、水素付加する、水素化分解、分解、さらなる精製)して、これによりこれらを生物燃料に有益な特性を与えるような方法で修飾するための既成の石油精油所と協力し、若しくは共同し、又はライセンスするための方法を提供する。既成の石油精油所は、本明細書に開示した生物燃料は、さらなる化学修飾のための供給材料、燃料として使用することができる最終産物又は燃料組成物のブレンディング成分として使用することができる。
【0187】
さらなる実施態様において、本発明は、本明細書に開示した生物燃料の産生のためにこのような再生可能な糖供与源を利用するために、再生可能な資源(例えば、トウモロコシ、サトウキビ、バガス又はリグノセルロース材料)からの糖の生産者と協力し、若しくは共同し、又はライセンスするための方法を提供する。一部の実施態様において、糖の従来の供与源であるトウモロコシ及びサトウキビを使用することができる。その他の実施態様において、安価なリグノセルロース材料(農業廃棄物、トウモロコシ飼い葉又はスイッチグラス及びパンパスグラスなどのバイオマス作物)を糖の供与源として使用することができる。このような安価な供与源に由来する糖は、本発明の方法に従って、本明細書に開示した生物燃料の産生に入れることができる。
【0188】
特定の実施態様において、本発明は、本明細書に開示した生物燃料の産生のために再生可能な資源から得られる糖を利用する再生可能な資源(例えば、トウモロコシ、サトウキビ、バガス又はリグノセルロース材料)から糖を生成し、及び/又は使用する化学生産者と協力し、若しくは共同し、又はライセンスするための方法を提供する。
【実施例】
【0189】
以下の実施例は、説明の例示目的のみのために意図され、本発明の範囲をいかなる形であれ限定しない。
【0190】
(実施例1)
本実施例は、オペロン、すなわち、MevT66、MevB、MBI及びMBISオペロンに構築したサッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)からのMEV経路の酵素をコードする発現プラスミドを作製するための方法を記述する。
【0191】
MevT66オペロンを含む発現プラスミドpAM36-MevT66は、pAM36ベクターにMevT66オペロンを挿入することよって作製した。MevT66オペロンは、遍在性前駆体アセチルCoAを(R)- メバロナートに共に形質転換するMEV経路酵素のセット、すなわちアセトアセチルCoAチオラーゼ、HMG-CoAシンターゼ及びHMG-CoAレダクターゼをコードする。ベクターpAM36は、pACYC184ベクター(GenBankアクセッション番号XO6403)にAscI-SfiI-AsiSI-XhoI-PacI-FsIl-Pmel制限酵素部位を含むオリゴヌクレオチドカセットを挿入することよって、及びpACYC184のtet耐性遺伝子を除去することよって作製した。MevT66オペロンは、鋳型として配列番号:1を使用して合成的に作製した。ヌクレオチド配列は、大腸菌(Escherichia coli)(アセトアセチルCoAチオラーゼをコードする)における発現のためにコドン最適化した大腸菌(Escherichia coli)(GenBankアクセッション番号NC_0009 13領域:2324131..2325315)由来のatoB遺伝子、大腸菌(Escherichia coli)(HMG-CoAシンターゼをコードする)における発現のためにコドン最適化したサッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)由来のERG13遺伝子(GenBankアクセッション番号X96617、領域:220.. 1695)及び大腸菌(Escherichia coli)(切断されたHMG-CoAレダクターゼをコードする)のためにコドン最適化されたサッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)(GenBankアクセッション番号M22002、領域:1777..3285)由来のHGMl遺伝子の切断バージョンを含む。合成的に作製されたMevT66オペロンは、5'EcoRI及び3'HindIII制限酵素部位に隣接し、従って、標準的なpUC又はpACYC起源ベクターなどのクローニングベクターの互換性制限酵素部位にクローン化することができる。MevT66オペロンをSfiI及びAsiSI制限酵素部位に隣接してPCR増幅して、増幅されたDNA断片を、SfiI及びAsiSI制限酵素を使用して完成に消化し、反応混合物をゲル電気泳動よって分離して、およそ4.2kbのDNA断片を抽出し、単離されたDNA断片をpAM36ベクターのSfiI及びAsiSI制限酵素部位に挿入し、発現プラスミドpAM36-MevT66を得た。
【0192】
また、MevT66オペロンを含む発現プラスミドpAM25は、pAM29ベクターにMevT66オペロンを挿入することよって作製した。ベクターpAM29は、オリゴヌクレオチド発生lacUV5プロモーターをもつpZS24-MCS1(Lutz及びBujardの論文Nucl Acids Res. 25:1203-1210(1997))からp15A複製開始点及びkan耐性遺伝子を構築することよって作製した。MevT66オペロンを含むDNA合成構築物(上記のもの参照されたい)は、EcoRI及びHind HI制限酵素を使用して完了まで消化し、反応混合物をゲル電気泳動よって分離して、4.2kbのDNA断片を、Qiagenゲル精製キット(Valencia、CA)を使用して抽出して、単離されたMevT66オペロン断片をpAM29のEcoRI及びHindIII制限酵素部位に挿入して、発現プラスミドpAM25を得た。
【0193】
MevBオペロンを含む発現プラスミドpMevB-Cmは、pBBR1MCS-1ベクターにMevBオペロンを挿入することよって作製した。MevBオペロンは、(R)-メバロナートをIPPに共に変換する酵素のセット、すなわちメバロン酸キナーゼ、ホスホメバロン酸キナーゼ及びメバロン酸ピロリン酸カルボキシラーゼをコードする。MevBオペロンは、サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)ゲノムDNA由来のERGl2遺伝子(GenBankアクセッション番号X55875、領域:580.. 1911)(メバロン酸キナーゼをコードする)、ERG8遺伝子(GenBankアクセッション番号Z49939、領域:3363..4718)(ホスホメバロン酸キナーゼをコードする)及びMVD1遺伝子、(GenBankアクセッション番号X97557、領域:544..1734)(メバロン酸ピロリン酸カルボキシラーゼをコードする)を増幅するPCRによって、並びにオーバーラップ伸長(SOEing)を使用して遺伝子を共にスプライスすることよって作製した。適切なプライマー配列を選択することにより、ERG12及びERGSの終止コドンは、増幅の間にリボソーム結合部位を導入するようにTAAからTAGに変えた。3'Aオーバーハングの付加の後、MevBオペロンをTAクローニングベクターpCR4(Invitrogen、Carlsbad, CA)に結合した。MevBオペロンを、PstI制限酵素を使用して完了までクローン化する構築物を消化によって削除し、ゲル電気泳動によって反応混合物を分離して、4.2kbのDNA断片を抽出し、単離されたDNA断片をベクターpBBRIMCS-1(Kovachらの論文、Gene 166(1):175-176(1995))のPstI制限酵素部位に結合して、発現プラスミドpMevB-Cmを得た。
【0194】
発現プラスミドpMBIは、pBBR1 MCS-3ベクターにMBIオペロンを挿入することによって作製した。MBIオペロンは、MevBオペロン、並びにIPPのDMAPPへの変換を触媒するイソペンテニルピロホスファターゼイソメラーゼと同じ酵素をコードする。MBIオペロンは、これらの5'末端にXmaI制限酵素部位を含むプライマーを使用して大腸菌ゲノムDNAからidi遺伝子のコード配列(GenBankアクセッション番号AF 119715)をPCR増幅し、増幅されたDNA断片を、XmaI制限酵素を使用して完了まで消化し、ゲル電気泳動によって反応混合物を分離し、0.5kbの断片を抽出して、及び発現プラスミドpMevB-CmのXmaI制限酵素部位に単離されたDNA断片を結合し、これによりMevBオペロンの3'末端にidiを置くことによって作製した。MBIオペロンをベクターpBBR1- MCS-3のSalI及びSacI制限酵素部位にサブクローニングして、発現プラスミドpMBIを得た。
【0195】
MBISオペロンを含む発現プラスミドpMBISは、pMBIにispA遺伝子を挿入することによって作製した。ispA遺伝子は、IPPのDMAPPへの変換を触媒するファルネシルピロリン酸シンターゼをコードする。ispA遺伝子(GenBankアクセッション番号D00694、領域:484..1383)は、SacII制限酵素部位をもつフォワードプライマー及びSacI制限酵素部位をもつリバースプライマーを使用して大腸菌ゲノムDNAからPCR増幅した。増幅されたPCR産物をSacII及びSacI制限酵素で完了まで消化して、反応混合物をゲル電気泳動法によって分離し、0.9kbのDNA断片を抽出した。単離されたDNA断片をpMBIのSacII及びSadI制限酵素部位に結合し、これによりispA遺伝子をidiの3'及びMevBオペロンに置いて、発現プラスミドpMBISを得た。
【0196】
発現プラスミドpAM45は、pAM36-MevT66にMBISオペロンを挿入し、各オペロンの前にlacUV5プロモーターを付加することによって作製した。MBISオペロンは、5'XhoI制限酵素部位及び3'PacI制限酵素部位を含むプライマーを使用してpMBISからPCR増幅した。増幅されたPCR産物をXhoI及びPacI制限酵素を使用して完了まで消化し、反応混合物をゲル電気泳動によって分離して、5.4kbのDNA断片を抽出して、単離されたDNA断片をpAM36-MevT66のXhoI PacI制限酵素部位に結合し、プラスミドpAM43得た。lacUV5プロモーターをコードするヌクレオチド配列は、オリゴヌクレオチドから合成して、pAM43のAscI SfiI及びAsiSI XhoI制限酵素部位にサブクローニングして、発現プラスミドpAM45を得た。
【0197】
(実施例2)
本実施例は、オペロンにおいて構成した黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)からのMEV経路の酵素をコードする発現ベクターを作製するための方法を記述する。
【0198】
発現プラスミドpAM41は、HMG1ヌクレオチド配列をmvaA遺伝子のコード配列で置換することによって、発現プラスミドpAM25から導いた。mvaA遺伝子は、サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)HMG-CoAレダクターゼをコードする。mvaA遺伝子(GenBankアクセッション番号BA000017、領域:2688925..2687648)は、プライマー4-49 mvaA SpeI(配列番号:2)及び4-49 mvaAR XbaI(配列番号:3)を使用して黄色ブドウ球菌亜種アウレウス(Staphylococcus aureus subsp. aureus)(ATCC 70069)ゲノムDNAからPCR増幅し、増幅されたDNA断片を、SpeI制限酵素を使用して完了まで消化し、反応混合物をゲル電気泳動によって分離して、およそ1.3kbのDNA断片を抽出した。HMG1ヌクレオチド配列を、HindIII制限酵素でプラスミドを完了まで消化することによってpAM25から除去した。生じる直鎖状DNA断片の末端オーバーハングを、T4 DNAポリメラーゼを使用して平滑にした。次いで、DNA断片を、SpeI制限酵素を使用して部分的に消化し、反応混合物をゲル電気泳動によって分離して、4.8kbのDNA断片を抽出した。単離されたDNA断片をSpeI消化したmvaA PCR産物と結合し、発現プラスミドpAM41を得た。
【0199】
発現プラスミドpAM52は、ERGl3遺伝子配列をmvaS遺伝子と置換することによって発現プラスミドpAM41から導いた。mvaS遺伝子は、サッカロマイセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)HMG-CoAシンターゼをコードする。mvaS遺伝子(GenBankアクセッション番号BA000017、領域:2689180..2690346)をプライマーHMGS 5'Sa mvaS-S(配列番号:4)及びHMG 3'Sa mvaS-AS(配列番号:5)を使用して、黄色ブドウ球菌亜種アウレウス(Staphylococcus aureus subsp. aureus)ゲノムDNAからPCR増幅し、増幅されたDNA断片をGeiserらの論文(Bio Techniques 31:88-92(2001))の方法に従ってpAM41におけるHMG1遺伝子を置換するPCRプライマーとして使用して、発現プラスミドpAM52を得た。
【0200】
発現プラスミドpAM97は、MevT66オペロンを発現プラスミドpAM52の(atoB(opt):mvaA:mvaS)オペロンと置換することによって発現プラスミドpAM45から導いた。発現プラスミドpAM45を、AsiSI及びSfiI制限酵素を使用して完了まで消化し、反応混合物をゲル電気泳動によって分離して、MevT66オペロンを欠いている8.3kbのDNA断片を抽出した。pAM52の(atoB(opt):mvaA:mvaS)オペロンは、プライマー19-25 atoB SfiI-S(配列番号:6)及び19-25 mvaA-AsiSI-AS、(配列番号:7)を使用してPCR増幅し、PCR産物を、SfiI及びAsiSI制限酵素を使用して完了まで消化し、反応混合物をゲル電気泳動によって分離して、3.7kbのDNA断片を抽出した。単離されたDNA断片を発現プラスミドpAM45のAsiSI及びSfiI制限酵素部位に結合させ、発現プラスミドpAM97を得た。
【0201】
発現プラスミドpAM97-MBIは、pAM97のMBISオペロンをpAM45のMBIオペロンと置換することによって、発現プラスミドpAM97及びpAM45から導いた。MBIオペロンは、プライマー9-70C(配列番号:8)及び26-39B(配列番号:9)を使用して、pAM45からPCR増幅して、反応混合物をゲル電気泳動によって分離して、4.5kbのDNA断片を抽出して、単離されたDNA断片をSacI及びXhoI制限酵素を使用して完了まで消化した。発現プラスミドpAM97をSacI及びXhoI制限酵素を使用して完了まで消化し、反応混合物をゲル電気泳動によって分離して、7.6kbの断片を抽出して、単離されたDNA断片をMBIオペロンPCR産物と結合し、発現プラスミドpAM97-MBIを得た。
【0202】
発現プラスミドpAM97-MevBは、pAM97のMBISオペロンをpAM45のMevBオペロンと置換することによって、発現プラスミドpAM97及びpAM45から導いた。MevBオペロンは、プライマー9-70C(配列番号:8)及び26-39A(配列番号:10)を使用して、pAM45からPCR増幅し、反応混合物をゲル電気泳動によって分離して、3.9kbのDNA断片を抽出して、単離されたDNA断片を、SacI及びXhoI制限酵素を使用して完了まで消化した。発現プラスミドpAM97を、SacI及びXhoI制限酵素を使用して完了まで消化し、反応混合物をゲル電気泳動によって分離して、7.6kbの断片を抽出して、単離されたDNA断片をMevBオペロンPCR産物と結合し、発現プラスミドpAM97-MevBを得た。
【0203】
(実施例3)
本実施例は、3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール及び3-メチル-ブタ-2-エン-1-オールの産生のための大腸菌(Escherichia coli)宿主株の作製を記述する。宿主株B286は、発現プラスミドpAM97-MevB及びpC9で化学的にコンピテントな大腸菌(Escherichia coli)DH1細胞を形質転換することよって作製した。宿主株B287は、発現プラスミドpAM97-MevB及びpnudF-Hで化学的にコンピテントな大腸菌(Escherichia coli)DH1細胞を形質転換することよって作製した。宿主株B288は、発現プラスミドpAM97-MevB及びpyhfRで化学的にコンピテントな大腸菌(Escherichia coli)DH1細胞を形質転換することよって作製した。宿主株B291は、発現プラスミドpAM97-MBI及びpyhfRで化学的にコンピテントな大腸菌(Escherichia coli)DH1細胞を形質転換することよって作製した。
【0204】
発現プラスミドpC9は、nudF遺伝子及び上流のゲノムの配列(配列番号:11)のコード配列を含む枯草菌(Bacillus subtilis)6051のゲノムDNA断片をベクターpTrc99A(GenBankアクセッション番号H22744)に挿入することよって作製した。発現プラスミドpNudF-Hは、枯草菌(Bacillus subtilis)6051 nudF遺伝子のコード配列をベクターpTrc99Aに挿入することよって作製した。発現プラスミドpyhfRは、枯草菌(Bacillus subtilis)6051 yhfR遺伝子のコード配列(配列番号No:12)をベクターpTrc99Aに挿入することよって作製した。
【0205】
宿主細胞形質転換体は、100μg/mlのカルベニシリン及び34μg/mlのクロラムフェニコールを含むLuria-Bertoni(LB)培地上で選択した。上に詳述したように、単一のコロニーをLB寒天板から5mLのLB液体培地及び抗生物質を含む培養チューブに移した。培養を、増殖が定常期に到達するまで、37℃にて振動することによってインキュベートした。細胞を400μL 50%グリセロール及び600μL液体培養で構成される1mLの凍結一定分量において、寒冷バイアル中で-80℃にて貯蔵した。
【0206】
(実施例4)
本実施例は、実施例3の大腸菌(Escherichia coli)宿主株における3-メチル-ブタ-3-エン-1-オール及び3-メチル-ブタ-2-エン-1-オールの産生を記述する。
【0207】
3つの株のそれぞれについて、凍結した作業株を、100μg/mlのカルベニシリン及び34μg/mlのクロラムフェニコールを含むLB寒天板上に画線した。それぞれの株について、3つの独立したコロニーを採集して、それぞれのコロニーを使用して、抗生物質と共に7mLのLBブロスを含む培養チューブに播種した。培養は、250rpmにて回転シェーカーで37℃にて振盪することよって一晩培養した。0.2のOD600にて、培養を、上に詳述したように、40mlのM9-Mops、2%グルコース、0.5% 酵母抽出物及び抗生物質を含む250mLのフラスコに移した。培養を30℃及び250rpmにて72時間振盪することによって培養した。培養が0.35〜0.45のOD600に達したとき、これらを0.25mM IPTGで誘導した。1日2回、それぞれの培養のOD600を測定し、700μL試料を取り出した。それぞれの取り出した試料の300μLに、600μLの酢酸エチルを添加して、試料を15分間ボルテックスした。400μLの上の酢酸エチル相をガスクロマトグラフ質量分析法よって解析するために清潔なガラス小びんへ移した。
【0208】
試料をHewlett-Packard 6890ガスクロマトグラフ/質量分析計(GC/MS)で解析した。1μLの試料をDB-5カラム(Agilent Technologies、Inc., Palo Alto、CA)及びヘリウムキャリアガスを使用するGCで分離した。それぞれの試料のためのオーブン・サイクルは、60℃を3分間、60℃/分にて300℃の温度に温度を上昇及び300℃にて2分間保持とした。総実行時間は、9分とした。分離した試料をHewlett-Packardモデル5973質量波長選択性がある放射検出器よって解析した。以前の質量スペクトルでは、3-メチル-3-ブテン-1-オール及び3-メチル-2-ブテン-1-オールが、このGCプロトコルを使用して2.067分の保持時間を有することを示した。3-メチル-3-ブテン-1-オール及び3-メチル-2-ブテン-1-オールでの検出に焦点を当てるために、3-メチル-3-ブテン-1-オール及び3-メチル-2-ブテン-1-オールにおけるイオン56及び68のみをモニターする選択的イオンモニリング法を使用した。
【0209】
図3は、株DH1(形質転換されなかった対照)、B286、B287及びB291による3-メチル-3-ブテン-1-オール又は3-メチル-2-ブテン-1-オールの産生レベルを示す。
【0210】
3-メチル-3-ブテン-1-オール及びイソアミルアルコールをそれぞれ酸素ブレンディングのためのカリフォルニア州改質ガソリンブレンドストック(CARBOB)と混合し、2重量%、2.7重量%又は3.5重量%の酸素含量を有する種々の混合物を形成した。同様に、1-ブタノール、エタノール、メチル三級ブチルエーテル(MTBE)及びエチル三級ブチルエーテル(ETBE)もそれぞれCARBOBと混合して、2重量%、2.7重量%又は3.5重量%の酸素含量を有する種々の混合物を形成した。混合物のAPI比重値、リサーチ法オクタン価、モーター法オクタン価、アンチノックインデックス、蒸気圧データ、正味燃焼熱、水耐性データ及び蒸気-液体比を試験した。試験結果は、図4〜25に示してある。
【0211】
本明細書に開示した燃料組成物は、費用効果的であり、かつ環境にやさしい様式で産生することができる。好都合には、本明細書に提供したイソプレノイド化合物は、1つ以上の微生物よって産生することができる。、従って、これらのイソプレノイド化合物は、ガソリンなどの石油系燃料のための代用として再生可能なエネルギー源を提供することができる。更に、これらのイソプレノイド化合物は、燃料、燃料成分及び/又は燃料添加物の再生できない供与源に対する依存性を減少させることができる。特定の実施態様において、本発明は、生体工学によって作られた3-メチル-1-ブタノールを含む燃料組成物を包含する。
【0212】
上で証明したように、本発明の実施態様は、ジェット燃料又はミサイル燃料として特に有用な種々の燃料組成物を提供する。本発明は、限られた数の実施態様に関して記述してきたが、一つの実施態様の具体的特色は、本発明のその他の実施態様に起因しなくてもよい。単一の実施態様が、全ての本発明の態様を代表するというわけではない。一部の実施態様において、組成物又は方法は、本明細書において言及されていない多数の化合物又は工程を含んでいてもよい。その他の実施態様、組成物又は方法において、本明細書に列挙されていない任意の化合物又は工程を含まないか、又は実質的にない。記述された実施態様からの変更及び改変が、存在する。例えば、本明細書に開示したジェット燃料組成物は、3-メチル-1-ブタノール、2-メチルブタン又はこれらの組み合わせを含む必要はない。これには、ジェット燃料適用のために一般に適した炭化水素の任意のタイプを含むことができる。本明細書に開示した燃料組成物の適用は、ガソリン機関に限定されないことに留意すべきであり;これらは、ガソリンを必要である任意の設備において使用することができる。明細書が多くのガソリン組成物についての規格があるが、本明細書に開示した全てのガソリン組成物が、規格の全ての要求を満たす必要があるわけではない。本明細書に開示した燃料組成物を製作し、及び使用するための方法は、多数の工程に関して記述されることに留意されたい。これらの工程は、任意の順序で実践することができる。1つ以上の工程を省略しても、又は組み合わせられてもよいが、同じ結果を実質的に達成する。添付の特許請求の範囲は、本発明の範囲内のはいる全てのこのような変更及び改変を包含すること意図する。
【0213】
この明細書において言及した全ての刊行物及び特許出願は、あたかも個々の刊行物又は特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個々に示されたのと同じ程度に本明細書に参照により組み込まれる。前述の本発明は、理解の明快さのために図と例とをあげていくらか詳細に記述したが、添付の請求の範囲の精神又は範囲から逸脱することなく、特定の変更及び改変をそれに対して行ってもよいことが、本発明の教示を考慮して当業者に直ちに明らかだろう。
【化27】



【化28】

【化29】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含むか、又は以下を含む混合物から得られる燃料組成物:
(a)式(Ib)又は(Ic)のC5イソプレノイド化合物:
【化1】

式中、Zは、O-R、O-C(=O)R、0-PO(OR)2、0-SO2-OR、PO(OR)2又はSO2-ORであり;及びRは、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリル又はアラルキルであり;並びに、
(b)燃料添加物。
【請求項2】
前記C5イソプレノイド化合物の量が、燃料組成物の総重量又は容量に基づいて、重量又は容量の約1%〜約95%である、請求項1記載の燃料組成物。
【請求項3】
式(Ib)又は(Ic)のZがOHである、請求項1又は2記載の燃料組成物。
【請求項4】
前記C5イソプレノイド化合物が式(Ib)である、請求項1又は2記載の燃料組成物。
【請求項5】
ZがOHである、請求項4記載の燃料組成物。
【請求項6】
前記C5イソプレノイド化合物が式(Ic)である、請求項1又は2記載の燃料組成物。
【請求項7】
ZがOHである、請求項6記載の燃料組成物。
【請求項8】
前記燃料組成物が実質的に第二のアルコールを含まず、かつ前記第二のアルコールが3-メチル-3-ブテン-1-オール、3-メチル-2-ブテン-1-オール又はこれらの組み合わせではない、請求項3記載の燃料組成物。
【請求項9】
(a)燃料組成物の総重量に基づいて、重量の少なくとも35%の量のイソアミルアルコール;及び、
(b)燃料添加物、
を含むか、又は含む混合物から得られる燃料組成物であって、
該燃料組成物は、450℃未満の自然発火温度を有する第二のアルコール又は有機化合物を実質的に含まず、該第二のアルコールは、イソアミルアルコールではなく、かつ該有機化合物は、(1)1つ以上の酸素原子を含むが、窒素原子を含まない化合物;又は(2)1つ以上のニトラート基及び1つ以上のエーテル結合を含む化合物;又は(3)アゾ化合物、テトラジン、ニトロソ化合物、ニトロ化合物、ニトレート化合物及びハイポニトライトからなる群から選択される窒素含有有機化合物である、前記燃料組成物。
【請求項10】
前記燃料組成物が芳香族化合物を実質的に含まない、請求項9記載の燃料組成物。
【請求項11】
前記燃料組成物がアルキルアミン、脂肪酸エステル又は脂肪酸塩を実質的に含まない、請求項9記載の燃料組成物。
【請求項12】
前記第二のアルコールが、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソ-プロパノール、n-ブタノール、イソ-ブタノール、tert-ブタノール、n-ペンタノール、sec-ペンタノール、tert-ペンタノール、n-ヘキサノール、イソ-ヘキサノール、sec-ヘキサノール、tert-ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール誘導体、デカノール又はこれらの組み合わせである、請求項8又は9記載の燃料組成物。
【請求項13】
前記有機化合物がエーテル、ペルオキシド、ヒドロペルオキシド、アルデヒド、アシル化合物、環状エーテル、エステル、2-エトキシエチルニトラート、2-ブトキシエチルニトラート、2'-ブトキシ-2-エトキシエチルニトラート、2,2-ジエトキシエチルニトラート、1,3-ジオキサン-5-ニトラート、ニトロメタン、ジエチレングリコールジニトラート、トリエチレングリコールジニトラート又は400の平均分子量のポリエチレングリコールのジニトラートである、請求項9記載の燃料組成物。
【請求項14】
前記燃料組成物の総重量又は容量に基づいて、重量又は容量の約1%〜約95%の量の石油系燃料を更に含む、請求項1又は9記載の燃料組成物。
【請求項15】
前記石油系燃料がガソリンである、請求項14記載の燃料組成物。
【請求項16】
前記C5イソプレノイド化合物が式(Ib)であり、かつZがOHであり、かつ前記C5イソプレノイド化合物が燃料組成物の総容量に基づいて、容量の約1%〜約12.5%の量で存在する、請求項15記載の燃料組成物。
【請求項17】
前記燃料添加物が酸素化物、抗酸化剤、熱安定性向上剤、セタン向上剤、安定剤、寒冷流動性向上剤、助燃剤、消泡剤、抗くもり添加物、腐食抑制剤、潤滑性向上剤、着氷阻害剤、噴霧器清浄添加物、煙抑制剤、抵抗減少添加物、金属不活性化剤、分散剤、洗浄剤、解乳化剤、色素、マーカー、静電気消散剤、殺生物剤及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1又は9記載の燃料組成物。
【請求項18】
前記燃料添加物の量が、前記燃料組成物の総重量又は容量に基づいて、重量又は容量の約0.1%〜約20%である、請求項1又は9記載の燃料組成物。
【請求項19】
単糖から燃料組成物を製造する方法であって:
(a)ZがOHである式(Ib)又は(Ic)のC5イソプレノイド化合物:
【化2】

を製造することができる細胞を、C5イソプレノイド化合物を製造するために適した条件下で、単糖と接触させる工程;及び、
(b)該C5イソプレノイド化合物を1つ以上の燃料成分又は燃料添加物と混合して燃料組成物を製造する工程、
を含む、前記方法。
【請求項20】
ZがOHである式(Ib)又は(Ic)の前記C5イソプレノイドを、アルキル化剤、アシル化剤、リン酸化剤、ホスホン酸化剤、硫酸化剤又はスルホン化剤と反応させて、ZがO-R、O-C(=O)R、0-PO(OR)2、O-SO2-OR、PO(OR)2若しくはSO2-ORであり;かつRがH、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリル若しくはアラルキルである式(Ib)又は(Ic)のC5イソプレノイドを形成する工程を更に含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
単糖から燃料組成物を製造する方法であって:
(a)ZがOHである式(Ib)又は(Ic)のC5イソプレノイド化合物:
【化3】

を製造することができる細胞を、式(Ib)又は(Ic)のC5イソプレノイド化合物を製造するために適した条件下で、単糖と接触させる工程;
(b)式(Ib)又は(Ic)のC5イソプレノイドを水素付加してイソアミルアルコールを形成する工程;及び、
(c)該イソアミルアルコールを1つ以上の燃料成分又は燃料添加物と混合して燃料組成物を製造する工程、
を含む、前記方法。
【請求項22】
前記イソアミルアルコールをアルキル化剤、アシル化剤、リン酸化剤、ホスホン酸化剤、硫酸化剤又はスルホン化剤と反応させて、ZがOR、O-C(=O)R、0-PO(OR)2、0-SO2-OR、PO(OR)2又はSO2-ORであり;かつRがアルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリル又はアラルキルである式(Ia)
【化4】

のC5イソプレノイドを形成する工程を更に含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
内燃機関;該内燃機関に接続する燃料タンク;及び該燃料タンク内の請求項1〜18のいずれか記載の燃料組成物を含む乗物であって、該燃料組成物は、該内燃機関に動力を供給するために使用される、前記乗物。
【請求項24】
前記内燃機関がガソリン機関である、請求項23記載の乗物。
【請求項25】
エンジンにおいて請求項1〜18のいずれか記載の燃料を燃焼させる工程を含む、エンジンを駆動する方法。
【請求項26】
前記エンジンがガソリン機関である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
請求項19〜22のいずれか記載の方法よって製造される、燃料組成物。
【請求項28】
燃料成分及び生体工学によって作られたC5イソプレノイド化合物を含む、燃料組成物。
【請求項29】
微生物を含む混合物から3-メチル-3-ブテン-1-オールを調製すること、及び燃料に3-メチル-3-ブテン-1-オールを組み込むことによって製造される、燃料組成物。
【請求項30】
微生物を含む混合物から3-メチル-3-ブテン-1-オールを調製すること、3-メチル-3-ブテン-1-オールからイソアミルアルコールを調製すること、及び燃料にイソアミルアルコールを組み込むことによって製造される、燃料組成物。
【請求項31】
微生物を含む混合物から3-メチル-2-ブテン-1-オールを調製すること、3-メチル-2-ブテン-1-オールからイソアミルアルコールを調製すること、及び燃料におけるイソアミルアルコールを組み込むことによって製造される、燃料組成物。
【請求項32】
前記混合物が単糖を更に含む、請求項29〜31のいずれか記載の燃料組成物
【請求項33】
前記単糖がグルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、リボース又はこれらの組み合わせである、請求項32記載の燃料組成物。
【請求項34】
(a)組換え宿主細胞で糖の醗酵反応を行うことよって少なくともC5アルコール又はその誘導体を含む生物燃料を得る工程であって、該組換え宿主細胞が、該C5アルコール又はその誘導体を産生する工程;及び、
(b)該生物燃料を流通させ、市場に出し、又は販売する工程、
を含む、ビジネス方法。
【請求項35】
前記組換え宿主細胞がイソペンテニルピロホスフェート(IPP)、ジメチルアリルピロホスフェート(DMAPP)又はこれらの組み合わせのイソペンタノールへの酵素変換を増加させるように修飾されており、前記組換え宿主細胞がnudF又はyhfR遺伝子で形質転換されたpTRC 99A 大腸菌(E. CoIi)株ではない、請求項34記載のビジネス方法。
【請求項36】
前記C5アルコール又はその誘導体が、ZがOR、O-C(=O)R、0-PO(OR)2、0-SO2-OR、PO(OR)2又はSO2-ORであり;かつRがH、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリル又はアラルキルである式(Ib)又は(Ic):
【化5】

を有するイソプレノイド化合物である、請求項34記載のビジネス方法。
【請求項37】
前記生物燃料が3-メチル-3-ブテン-1-オール、3-メチル-2-ブテン-1-オール又はこれらの組み合わせを含む、請求項34〜36のいずれか記載のビジネス方法。
【請求項38】
前記生物燃料が、前記生物燃料の総容量に基づいて、容量の少なくとも約2%の3-メチル-3-ブテン-1-オールを含む、請求項37記載のビジネス方法。
【請求項39】
前記生物燃料が、前記生物燃料の総容量に基づいて、容量の少なくとも約2%の3-メチル-2-ブテン-1-オールを含む、請求項38記載のビジネス方法。
【請求項40】
前記C5アルコール又はその誘導体が、ZがOR、O-C(=O)R、0-PO(OR)2、0-SO2-OR、PO(OR)2、又はSO2-ORであり;かつRがH、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリル又はアラルキルである式(Ia):
【化6】

を有するイソプレノイド化合物である、請求項34記載のビジネス方法。
【請求項41】
前記生物燃料が3-メチル-1-ブタノールを含む、請求項34〜35及び40のいずれか記載のビジネス方法。
【請求項42】
前記生物燃料が、前記生物燃料の総容量に基づいて、容量の少なくとも約35%の3-メチル-1-ブタノールを含む、請求項41記載のビジネス方法。
【請求項43】
前記生物燃料が石油系燃料、燃料添加物又はこれらの組み合わせを更に含む、請求項34〜42のいずれか記載のビジネス方法。
【請求項44】
前記石油系燃料がガソリン、ジェット燃料、灯油、ディーゼル燃料又はこれらの組み合わせである、請求項43記載のビジネス方法。
【請求項45】
前記燃料添加物が酸素化物、抗酸化剤、熱安定性向上剤、セタン向上剤、安定剤、寒冷流動性向上剤、助燃剤、消泡剤、抗くもり添加物、腐食抑制剤、潤滑性向上剤、着氷阻害剤、噴霧器清浄添加物、煙抑制剤、抵抗減少添加物、金属不活性化剤、分散剤、洗浄剤、解乳化剤、色素、マーカー、静電気消散剤、殺生物剤及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項44記載のビジネス方法。
【請求項46】
前記糖が単糖である、請求項34〜45のいずれか記載のビジネス方法。
【請求項47】
前記単糖がグルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、リボース又はこれらの組み合わせである、請求項46記載のビジネス方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公表番号】特表2009−538373(P2009−538373A)
【公表日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512161(P2009−512161)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【国際出願番号】PCT/US2007/012468
【国際公開番号】WO2007/139925
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(508347649)アムイリス ビオテクフノロジエス,インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】