説明

燃料液面測定装置

【課題】燃料液面測定装置を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの液面センサ(12)を備える自動車の燃料液面測定装置は、各液面センサ(12)が、燃料液面に対応する測定信号を燃料液面測定装置の評価部(13)に提供する燃料液面測定装置であって、評価部(13)が、機能検査のために、自動車が走行状態から停止状態になるときに、燃料スロッシングに起因する各液面センサ(12)の測定信号の振動を評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段による自動車の燃料液面測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
測定技術の面から、燃料タンク内の燃料液面を把握することができる燃料液面測定装置は、当技術分野で従来より知られている。すなわち、例えば(特許文献1)に、少なくとも1つの液面センサを備える燃料液面測定装置が開示されている。
【0003】
測定技術の面では既に、既知の燃料液面測定装置によって自動車の燃料タンク内の燃料液面を把握することができるにもかかわらず、これまでのところ、燃料液面測定装置あるいは燃料液面測定装置の各液面センサの妥当性検査または機能検査は難しい。
【0004】
したがって、燃料液面測定装置あるいは各液面センサを簡単に、高い信頼性で機能検査することができるようにする燃料液面測定装置が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許第102 07 278 B4号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したことをふまえて、本発明の目的は、自動車の新規の燃料液面測定装置を提供することである。この目的は、請求項1に記載の燃料液面測定装置によって解決される。本発明によれば、燃料液面測定装置の機能検査のために、評価部は、自動車が走行状態から停止状態になるときに、燃料のスロッシング(液面揺動)に起因する各液面センサの測定信号の振動を評価する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
機能検査のために、自動車がその走行状態から停止状態になるときに、燃料タンク内の燃料スロッシングに起因する各液面センサ測定信号の振動から、燃料液面測定装置が正常であるか故障しているかを結論付ける燃料液面測定装置が、本発明によって初めて提案される。
【0008】
これは、燃料液面測定装置あるいは各液面センサを簡単に、高い信頼性で機能検査することができるようにする燃料液面測定装置を実現する。
【0009】
有利な変形形態によれば、評価部は、自動車が走行状態から停止状態になるときに、まず第1の測定インターバルにわたって、各液面センサの測定信号の振動から、機能検査に関する少なくとも1つの基準値を決定する。各基準値の決定に続いて、評価部は、第2の測定インターバルにわたって、各基準値に関して、各液面センサの測定信号の振動から規定の数の測定値を求め、それらの測定値をそれぞれの基準値と比較する。この比較に基づいて、評価部は、燃料液面測定装置またはそれぞれの液面センサが故障しているか正常であるかを特定する。この機能検査手法は特に簡単であり、自動車がその走行状態から停止状態になるたびに自動的に行うことができる。
【0010】
本発明の好ましい変形形態は、従属請求項および以下の説明から明らかになる。本発明を限定することなく、図面に基づいて本発明の実施例をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】燃料液面測定装置の概略図である。
【図2】燃料液面測定装置の動作様式を説明するための信号のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、自動車の燃料液面測定装置に関する。図1に、燃料液面測定装置11を割り当てられた自動車の燃料タンク10を示し、燃料液面測定装置11のうち、2つの液面センサ12および評価部13が示されている。図示される実施例とは異なり、液面センサ12が1つだけであっても、または3つ以上であってもよいことに留意されたい。
【0013】
燃料液面測定装置11の液面センサ12は、例えばいわゆるレバーセンサである。
【0014】
各液面センサ12が、燃料タンク10内の燃料の燃料液面に関する測定信号を評価部13に伝送する。
【0015】
各液面センサ12によって提供される測定信号の妥当性検査のために、本発明による燃料液面測定装置11は、自動車がその走行状態から停止状態になるときに、評価部13によって自動的に機能検査を行う。すなわち、各液面センサ12から評価部13に提供される測定信号の振動を評価することによって機能検査を行い、ここで、測定信号のこの振動は、燃料タンク10内の燃料の燃料スロッシングによって引き起こされるものである。
【0016】
したがって、本発明による燃料液面測定装置は、自動車が走行状態から停止状態になるときに燃料タンク10内の燃料のスロッシングが生じることを利用する。この燃料スロッシングによって、各液面センサ12の測定信号に振動が引き起こされ、この振動が、燃料液面測定装置11または各液面センサ12の機能検査のために参照されて、評価部13によって評価される。
【0017】
燃料液面測定装置10の動作様式の詳細は、図2の信号のフロー図から分かる。図2の信号のフロー図のブロック14において、自動車が走行状態から停止状態になるかどうか検査される。そうならない場合、ブロック14に戻る。一方、ブロック14において、自動車がその走行状態から停止状態になると判断されると、ブロック15に進む。
【0018】
ブロック15において、すなわち自動車が走行状態から停止状態になったと判断されたとき、評価部13はまず、第1の測定インターバルにわたって、各液面センサ12の測定信号の振動から、機能検査に関する少なくとも1つの基準値を決定する。
【0019】
第1の測定インターバルは、規定の期間または規定の回数の振動でよい。
【0020】
ブロック15において、評価部13は、第1の測定インターバルにわたって獲得された各液面センサ12の測定信号の振動の振幅および/または周期から、それぞれの基準値を決定する。ここで、各基準値は、例えば、第1の測定インターバルにわたって獲得された各液面センサ12の振動の振幅および/または周期の最大値、最小値、または平均値でよい。
【0021】
ブロック15において機能検査に関する各基準値を決定した後、評価部13は、次いでブロック16において、好ましくは第1の測定インターバルの直後に続く第2の測定インターバルにわたって、各基準値に関して、各液面センサ12の測定信号の振動から規定の数の測定値を求め、ブロック17において、それぞれの基準値を、それぞれの基準値の測定値と比較する。
【0022】
このとき、ブロック18において、評価部13は、全ての測定値のうち規定の数よりも多くの測定値がそれぞれの基準値から規定値を超えて逸脱しているか検査する。これが当てはまるとき、すなわち、ブロック18において、全ての測定値のうち規定の数よりも多くの測定値がそれぞれの基準値から規定値を超えて逸脱していると評価部13が判断すると、ブロック19に進み、ここでブロック19において、評価部13は、燃料液面測定装置11が故障している、または液面センサ12が故障していると結論付ける。
【0023】
それに対し、ブロック18において、全ての測定値のうち規定の数未満の測定値がそれぞれの基準値から規定値を超えて逸脱していると評価部13が判断した場合には、ブロック20に進み、このとき評価部13は、燃料液面測定装置11が正常である、または液面センサ12が正常であると結論付ける。
【0024】
基準値が振幅から決定されたとき、好ましくは測定値も振幅である。正常に動作している液面センサ12では、振幅の測定値は、対応する基準値に比べて小さくなる傾向がある。基準値が周期から決定されたとき、好ましくは測定値も周期である。正常に動作している液面センサ12では、周期の測定値は、対応する基準値に比べて大きくなる傾向がある。
【0025】
評価部13は、ブロック15において各液面センサに関して個別の基準値を決定することができ、その場合、ブロック16においても各液面センサ12に関して個別の測定値を求め、次いでそれに続く比較に基づいて各液面センサ12を個別に検査し、すなわちそれぞれの液面センサ12が故障しているか正常であるかを特定する。
【0026】
これとは異なり、評価部13は、ブロック15において全ての液面センサ12に関して1つの共通の基準値を決定し、規定の数の共通の測定値と比較して、液面センサ12が全体として故障しているか正常であるかを検査することも可能である。
【0027】
液面センサ12が故障しているか正常であるかを個別に検査する手法の利点は、燃料液面測定装置に複数の液面センサ12が設けられており、例えばそれらの1つが故障していると判断されるときに、評価部13が、燃料液面を求める際に、その故障している液面センサ12を考慮に入れないでおくことができることである。この場合、燃料液面測定装置は、正常に動作している液面センサ12のみに基づいて、または正常に動作している液面センサ12によって提供される測定値のみに基づいて、燃料タンク10内の燃料液面を求める。
【符号の説明】
【0028】
10 燃料タンク
11 燃料液面測定装置
12 液面センサ
13 評価部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの液面センサ(12)を備える自動車の燃料液面測定装置であって、各液面センサ(12)が、燃料液面に対応する測定信号を前記燃料液面測定装置の評価部(13)に提供する燃料液面測定装置であって、前記評価部(13)が、前記燃料液面測定装置の機能検査のために、自動車が走行状態から停止状態になるときに、燃料スロッシングに起因する各液面センサ(12)の測定信号の振動を評価することを特徴とする燃料液面測定装置。
【請求項2】
前記評価部(13)が、前記自動車が走行状態から停止状態になるときに、まず第1の測定インターバルにわたって、各液面センサ(12)の測定信号の振動から、機能検査に関する少なくとも1つの基準値を決定することを特徴とする請求項1に記載の燃料液面測定装置。
【請求項3】
各基準値の決定に続いて、前記評価部(13)が、第2の測定インターバルにわたって、各基準値に関して、各液面センサ(12)の測定信号の振動から規定の数の測定値を求め、前記測定値をそれぞれの基準値と比較することを特徴とする請求項2に記載の燃料液面測定装置。
【請求項4】
前記評価部(13)が、全ての測定値のうち規定の数よりも多くの測定値がそれぞれの基準値から規定値を超えて逸脱しているときに、燃料液面測定装置が故障していると結論付けることを特徴とする請求項3に記載の燃料液面測定装置。
【請求項5】
前記評価部(13)が、全ての測定値のうち規定の数未満の測定値がそれぞれの基準値から規定値を超えて逸脱しているときに、燃料液面測定装置が正常であると結論付けることを特徴とする請求項3または4に記載の燃料液面測定装置。
【請求項6】
前記評価部(13)が、各液面センサ(12)に関して個別の基準値を決定し、個別の測定値と比較して、各液面センサ(12)ごとに、故障しているか正常であるかを個別に特定することを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の燃料液面測定装置。
【請求項7】
前記評価部(13)が、全ての液面センサ(12)に関して1つの共通の基準値を決定し、測定値と比較して、全ての液面センサに関してひとまとめに、液面センサが全体として故障しているか正常であるかを特定することを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の燃料液面測定装置。
【請求項8】
前記評価部(13)が、前記第1の測定インターバルにわたって獲得された各液面センサ(12)の測定信号の振動の振幅および/または周期からそれぞれの基準値を決定することを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載の燃料液面測定装置。
【請求項9】
前記評価部(13)が、基準値として、前記第1の測定インターバルにわたって獲得される各液面センサ(12)の測定信号の振動の振幅の最小値、最大値、もしくは平均値、および/または周期の最小値、最大値、もしくは平均値を求めることを特徴とする請求項8に記載の燃料液面測定装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−33047(P2013−33047A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−171560(P2012−171560)
【出願日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【出願人】(510238096)ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト (63)
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D−70435 Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】