説明

燃料生成システム及び発電システム

【課題】液状油を搾った後の搾油残渣をガス化して燃料ガスを得るに際し、タールの発生を抑制する。
【解決手段】油分を含んだ油含有バイオマスから液状油を搾り出す搾油部20と、搾油部20によって液状油が搾り出された後の搾油残渣から燃料ガスを生成するガス化部60とを含んだ燃料生成システムであって、乾燥状態の乾燥バイオマスを搾油残渣に混合して圧縮することにより、ブリケットを作製するブリケット部30を備え、ガス化部60は、ブリケット部30で作製されたブリケットを、空気量を制限した状態で加熱することで、燃料ガスを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油を含有したバイオマスから燃料を生成する燃料生成システムに関する。また本発明は、油を含有したバイオマスから得られた燃料によって発電する発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
植物種子由来の燃料ガスと植物種子由来の燃料油とを混焼する燃焼システムが知られている。例えば、特許文献1には、植物種子から液状の燃料油を搾り出すとともに、搾油残渣をガス化炉にてガス化することで燃料ガスを生成し、これらの燃料油と燃料ガスとをエンジンで混焼させる燃焼システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−236472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の燃焼システムにおいて、搾油残渣には搾りきれなかった油分が相当量含まれている。このため、単にガス化炉でガス化してしまうと、油分がタールになってしまう。これにより、燃料ガスにタールが多く含まれることとなり、エンジン等の動力機関に付着し、空気吸入量の減少や燃焼させた際にカーボン量が増加してしまうという問題が生じる。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、搾油残渣から燃料ガスを得るに際してタールの発生を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、油分を含んだ油含有バイオマスから液状油を搾り出す搾油部と、前記搾油部によって前記液状油が搾り出された後の搾油残渣から燃料ガスを生成するガス化部とを含んだ燃料生成システムであって、乾燥状態の乾燥バイオマスを前記搾油残渣に混合して圧縮することにより、ブリケットを作製するブリケット部を備え、前記ガス化部は、前記ブリケット部で作製されたブリケットを、空気量を制限した状態で加熱することで、前記燃料ガスを生成することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、油分を含んだ油含有バイオマスから液状油を搾り出す搾油部と、前記搾油部によって前記液状油が搾り出された後の搾油残渣から燃料ガスを生成するガス化部と、前記液状油及び前記燃料ガスを燃料として発電を行う発電部とを含んだ発電システムであって、乾燥状態の乾燥バイオマスを前記搾油残渣に混合して圧縮することにより、ブリケットを作製するブリケット部を備え、前記ガス化部は、前記ブリケット部で作製されたブリケットを、空気量を制限した状態で加熱することで、前記燃料ガスを生成することを特徴とする。
【0008】
上記発明によれば、ブリケット部によって、乾燥状態の乾燥バイオマスを搾油残渣に混合して圧縮することでブリケットを作製するので、ブリケット中の油含有量を乾燥バイオマスの混合量によって調整することができる。このため、ブリケットをガス化炉にてガス化した際に、油分が適度に調整されてタールの発生を抑制することができる。
【0009】
前述のシステムにおいて、前記ガス化部がダウンドラフト型のガス化炉を有している場合には、生成ガス中のタール分をより抑制することができる。
【0010】
前述のシステムにおいて、前記ガス化部が、前記ガス化炉から排出された燃料ガスに対し、洗浄水をシャワー状に降り注ぐことで前記燃料ガスの除塵を行うスクラバーを有する場合には、生成された燃料ガスの除塵を少ないエネルギーで行うことができる。
【0011】
前述のシステムにおいて、前記ガス化部が、前記スクラバーから排出された洗浄後の燃料ガスに含まれるタール分を吸着するフィルタ部を有し、前記フィルタ部が、前記タール分を吸着するフィルタ材として乾燥バイオマスを用いている場合には、洗浄後の燃料ガスに含まれるタール分を簡易な方法で吸着させることができる。
【0012】
前述のシステムにおいて、前記ブリケット部が、前記フィルタ部で使用された乾燥バイオマスを前記搾油残渣に混合して圧縮する場合には、フィルタ材として用いられた乾燥バイオマスがブリケット作製時の油分調整材としても用いられるので、資源の有効活用が図れる。また、乾燥バイオマスに付着したタール分の再分解も期待できる。
【0013】
前述のシステムにおいて、前記油含有バイオマスは植物の種子であることが好ましい。また、前記乾燥バイオマスは、植物を乾燥させて得られたものであることが好ましい。いずれの発明でも植物資源の有効活用が図れる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、液状油を搾った後の搾油残渣をガス化して燃料ガスを得るに際し、タールの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】発電システムの構成を説明するブロック図である。
【図2】乾燥部を説明する概念図である。
【図3】搾油部を説明する概念図である。
【図4】ブリケット部を説明する概念図である。
【図5】油精製部(脱リン処理部及び濾過部)を説明する概念図である。
【図6】ガス化部を説明する概念図である。
【図7】バイオマスフィルタを説明する概念図である。
【図8】発電部を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。まず、図1を参照して発電システム1の構成について説明する。
【0017】
例示した発電システム1は、植物の種子から液体状の油を搾り出して燃料油とするとともに、搾油残渣をガス化して燃料ガスとし、かつ、燃料油と燃料ガスとを混焼することで発電を行うものである。この発電システム1は、乾燥部10と、搾油部20と、ブリケット部30と、脱リン処理部40と、濾過部50と、ガス化部60と、発電部70と、受電継電部80と、温水製造部90とを有している。
【0018】
これらの各部のうち、搾油部20と、ブリケット部30と、脱リン処理部40と、濾過部50と、ガス化部60とが、植物の種子から燃料油と燃料ガスとを生成する燃料生成システム100を構成する。また、脱リン処理部40と、濾過部50とが、租油を精製して燃料油(精製油)とする油精製部110を構成する。以下、各部について説明する。
【0019】
乾燥部10は、燃料油の基となる油含有バイオマスなどを乾燥させる部分である。図2に示すように、本実施形態の乾燥部10は、植物の種子を焙煎する焙煎装置11を含んで構成されている。この焙煎装置11は、発電部70が有するディーゼルエンジン(図8参照)からの排気ガスを熱源として利用している。例えば、焙煎用鉄板11aの下面を区画する断熱空間11bに排気ガスを導くことで鉄板を下方から加熱している。これにより、発電時に生じた熱の有効利用を図っている。なお、焙煎装置11から排出された排気ガスは、温水を製造する温水製造部90での熱源として利用される。
【0020】
焙煎装置11で焙煎される植物の種子は、油分を含有する油含有バイオマスの一種である。利用可能な植物の種子としては、例えばジャトロファ、パーム、大豆、菜種、ひまわり、ココナッツを挙げることができる。植物の種子を油含有バイオマスとすることで、植物資源の有効活用が図れる。本実施形態では、ジャトロファの種子を用いている。ジャトロファの種子を用いた理由は、食用に適さないこと、平均的な種子よりも油含有量が多いこと、酸性土壌でも生育できることがある。
【0021】
搾油部20は、乾燥状態の油含有バイオマスから油を搾り出す部分である。図3に示す油鬼、本実施形態の搾油部20は、搾油装置21と、租油容器22と、残渣容器23と、租油濾過器24とを含んで構成されている。
【0022】
搾油装置21は、油含有バイオマスを砕いて圧搾する装置であり、例えば油含油バイオマスが投入されるホッパー部21aと、ホッパー部21aから供給された油含油バイオマスを圧搾するスクリュー型の圧搾部21bとを有している。本実施形態では、焙煎後のジャトロファ種子をホッパー部21aに投入して油を搾っている。
【0023】
租油容器22は、圧搾部21bで搾り出された油(租油)が貯留される容器である。残渣容器23は、圧搾部21bで租油が搾られた後の搾油残渣を溜めておく容器である。租油濾過器24は、租油容器22から供給された租油を濾過する部分であり、租油に含まれている細かな残渣等を濾別する。
【0024】
ブリケット部30は、搾油残渣及び乾燥バイオマスを豆炭状のブリケットに成型する部分であり、例えば図4に示すように、ブリケット装置31を含んで構成されている。得られたブリケットは、燃料ガスの原料として、ガス化部60のガス化炉61(図6を参照)でガス化される。
【0025】
例示したブリケット装置31は、原料(搾油残渣及び乾燥バイオマス)が投入されるホッパー部31aと、ホッパー部31aから供給された原料を混合して豆炭状に圧縮する成型部31bとを有している。本実施形態では、ジャトロファ種子の絞りかす(搾油残渣)と乾燥状態の籾殻(乾燥バイオマス)とを原料としてブリケットを作製している。なお、乾燥状態の籾殻に関し、本実施形態では、ガス化部60が有するバイオマスフィルタ67(図6を参照)で使用済みとされた、タール分が付着した状態の乾燥籾殻も混ぜている。
【0026】
ブリケットの原料として用いられる乾燥バイオマスは、ブリケットにおける油分の調整材として用いられる。すなわち、搾油残渣には搾りきれなかった油分が残存している。このため、搾油残渣のみでブリケットを作製すると油分が過多となって、ガス化部60でガス化した際にタールの発生量が増えてしまう。そこで、搾油残渣よりも油含有量の少ない乾燥バイオマスを加えて成型することでブリケット中の油含有量を調整し、タールの過剰発生を抑制している。
【0027】
あくまで一例であるが、ジャトロファ種子の搾油残渣と乾燥籾殻をブリケットの原料とした場合、搾油残渣8割に対して乾燥籾殻2割程度の比率で混合すると、タールの発生を抑制できるという知見が得られている。
【0028】
このように、乾燥バイオマスは、ブリケットにおける油分の調整材であるため、搾油残渣よりも油含有量が少ない各種のバイオマスを用いることができる。例えば、籾殻や藁等の農業バイオマスであってもよいし、木の破砕片やおが屑であってもよい。また、古紙を用いることもできる。そして、籾殻、藁、木の破砕片、おが屑のように、植物を乾燥させて得られた植物由来のバイオマスを用いることにより、植物資源の有効活用が図れる。
【0029】
脱リン処理部40は、搾油部20からの租油からリン成分を除去する脱リン処理を行う部分であり、図5に示すように、沈降タンク41と脱リン装置42とを有する。沈降タンク41は租油濾過器24で濾過された租油が溜められる容器であり、租油を静置することで含有される粒子を沈降させる。脱リン装置42は、租油からリン成分を除去する装置である。この処理によって、発電部70が有するディーゼルエンジン74(図8参照)において運転の妨げとなるリン成分が除去される。
【0030】
濾過部50は、リン成分が除去された租油に対する濾過を行う部分であり、図5に示すように、加圧ポンプ51とフィルタープレス52とを有する。加圧ポンプ51は、租油を加圧してフィルタープレス52に送出する部分である。フィルタープレス52は、租油を濾過する部分である。フィルタープレス52で濾過することにより、不純物が除去された精製油が得られる。この精製油はディーゼルエンジン74の燃料油として用いられる。
【0031】
ガス化部60は、ブリケット部30で作製されたブリケットを加熱して燃料ガスを得る部分であり、図6に示すように、ガス化炉61と、スクラバー64と、フィルタ67,68とを含んで構成されている。
【0032】
ガス化炉61は、空気を制限した状態でブリケットを加熱することで、ブリケットが含有する有機物を分解して燃料ガス(H,CO,CH等)を生成する。本実施形態では、ダウンドラフト型の固定床ガス化炉が用いられている。ダウンドラフト型のガス化炉61を用いた理由は、炉内において気体が下方に流れることから、生成された燃料ガスに含まれるタール分も下に溜まりやすくなり、他の型式のガス化炉よりもタール分を少なくできるからである。
【0033】
また、ガス化炉61の下方に隣接してコンベア62が設けられている。このコンベア62は、ガス化後の灰を運搬するものである。この灰は、排水浄化用の吸着材として、或いは土壌改良材として再利用される。一方、ガス化炉61で生成された燃料ガスは、ガスサイクロン63に導入され、炭化物の粉塵等が除去される。
【0034】
スクラバー64は、ガスサイクロン63からの燃料ガスに含まれる粉塵をさらに除去する装置であり、メインスクラバー64aとサブスクラバー64bとを有している。メインスクラバー64aは、ガスサイクロン63からの燃料ガスに対して水をシャワー状に降り注いで接触させ、燃料ガスの除塵を行うと共に温度を低下させる。サブスクラバー64bは、メインスクラバー64aからの燃料ガスに対してシャワー状の水を降り注いで接触させ、燃料ガスの除塵を行うと共に温度を低下させる。そして、メインスクラバー64aでは燃料ガスの冷却と除塵が主に行われ、サブスクラバー64bではタール分の除去が主に行われる。
【0035】
メインスクラバー64a及びサブスクラバー64bで用いられた水は水タンク64cに貯留される。そして、水タンク64cに貯留された水は、メインスクラバー64a及びサブスクラバー64bにて再度使用される。このように、燃料ガスに対する除塵をスクラバー64で行うことにより、少ないエネルギーで除塵を行うことができる。
【0036】
スクラバー64の下流側には吸気ブロワ66が設けられており、サブスクラバー64bで除塵された燃料ガスは吸気ブロワ66によって吸い出される。本実施形態では、サブスクラバー64bと吸気ブロワ66との間に、サイクロン65及びバイオマスフィルタ67が設けられている。このため、吸気ブロワ66には、サイクロン65及びバイオマスフィルタ67で浄化された後の燃料ガスが導入される。
【0037】
バイオマスフィルタ67は、燃料ガスに含まれるタール分を吸着させるものである。本実施形態では、スクラバー64において燃料ガスを水と接触させて除塵を行っているため、スクラバー64を通過した燃料ガスにタール分が含まれている可能性がある。これは、燃料ガスを十分に低い温度まで冷却しきれないからである。そこで、バイオマスフィルタ67を設け、燃料ガスに含まれているタール分を除去するようにしている。
【0038】
バイオマスフィルタ67は、例えば図7に示すように、ハウジング内にフィルタ材FLが充填されたものである。ハウジングの上流側端部と下流側端部には配管が接続されており、サイクロン65から排出された燃料ガス(タール分を含んだ燃料ガス)は、上流側端部から導入されてフィルタ材FL同士の隙間を通って下流側へと流れる。このとき、タール分がフィルタ材FLに吸着されて燃料ガスから分離される。
【0039】
フィルタ材FLは、タール分を吸着可能な乾燥バイオマスが用いられる。本実施形態では、ブリケット部30で搾油残渣に混合される乾燥バイオマスと同じく籾殻を用いている。これは、使用済みのフィルタ材FL(籾殻)を、ブリケット作製用の油分調整材として再利用するためである。フィルタ材FLは、定期的に交換されるので油分調整材として再利用することで、資源の節約に寄与する。また、ブリケットのガス化時において、フィルタ材FLに付着したタール分の熱分解も期待できる。
【0040】
フィルタ材FLとして利用可能な乾燥バイオマスとしては、籾殻の他、藁、植物の葉の粉砕物、木の破砕片、おが屑、古紙などを挙げることができる。このように、フィルタ材FLとして乾燥バイオマスを用いることで、洗浄後の燃料ガスに含まれるタール分を簡易な方法で吸着させることができる。
【0041】
吸気ブロワ66よりも下流側には、ファブリックフィルタ68が設けられている。このファブリックフィルタ68は布を濾材としたフィルタであり、吸気ブロワ66から排出された燃料ガスに対してさらなる除塵等を行う。
【0042】
ファブリックフィルタ68の下流側にはフレアスタック69が設けられており、余剰ガスの無害化が図られている。そして、配管におけるフレアスタック69との分岐部よりも下流側の部分が、空気を導入するための導入管(エンジン空気ライン)に合流される。これにより、燃料ガスは導入管を流れる空気と混合され、燃料ガスが含まれた空気が発電部70のディーゼルエンジン74に供給される。
【0043】
発電部70は、精製油(燃料油)と混合ガスとから動力を取得し、発電する部分である。発電部70は、例えば図8に示すように、精製油貯留タンク71、軽油タンク72、オイル加熱装置73、ディーゼルエンジン74、発電機75を含んで構成されている。
【0044】
精製油貯留タンク71は、濾過部50から排出された精製油を貯留する容器である。軽油タンク72は、軽油を貯留する容器である。オイル加熱装置73は、ディーゼルエンジン74に供給する燃料油(精製油,軽油)を加熱するものである。本実施形態では、ディーゼルエンジン74用の冷却液を熱源として燃料油を加熱している。
【0045】
ディーゼルエンジン74は、燃料油を消費して発電機75を駆動するための動力を発生する部分であり、燃焼室74a、吸気マニホールド74b、排気マニホールド74c、過給器74d、及びラジエータ74dを有している。
【0046】
本実施形態では、過給器74dを通じて吸気マニホールド74bに導入された混合ガスとポンプ76cによって吸い上げられた燃料油とを燃焼室74aに導入し、ピストンで圧縮することで燃焼させている。すなわち、油含有バイオマスから得られた燃料油と、搾油残渣から得られた燃焼ガスとを混焼させている。これにより、油含有バイオマスからより多くのエネルギーを得ることができ、有効活用が図れる。また、燃焼ガスを含ませているので、燃料油のみで燃焼させるよりも発火温度を低くすることができる。なお、燃料油については、フィルタ76a,76bで濾過された清浄なものを導入している。
【0047】
燃焼室74aでの燃焼によって熱が生じるが、前述したように冷却液はオイル加熱装置73の熱源として用いられ、その後ラジエータ74dで冷却されてディーゼルエンジン74に戻される。また、排気ガスは、排気マニホールド74cから過給器74dを経て焙煎装置11に送られる。さらに、焙煎装置11から排出された排気ガスは温水製造部90に送られて水を加熱する際の熱源として用いられる。これにより、動力の発生に伴う熱の有効活用が図れる。
【0048】
発電機75は、エンジンで得られた動力で回転し、交流電力を発生させる。発生された交流電力は、受電継電部80に供給されて外部(例えば配電線)に供給される。
【0049】
<まとめ>
以上説明した発電システム1において、ブリケット部30は、乾燥状態の籾殻を搾油残渣に混合して圧縮することによってブリケットを作製し、ガス化部60は、ブリケット部30で作製されたブリケットを空気量を制限した状態で加熱することで燃料ガス(H,CO,CH等)を生成している。このため、ブリケット中の油分が適度に調整されて、タールの発生を抑制した状態でガス化を行うことができる。
【0050】
ブリケットをガス化するガス化部60は、ダウンドラフト型のガス化炉61を有しているので、生成された燃焼ガスのタール含有量を抑制できる。
【0051】
またガス化部60は、ガス化炉61から排出された燃料ガスに対し、洗浄水をシャワー状に降り注ぐことで燃料ガスの除塵を行うスクラバー64を有しているので、少ないエネルギー消費で除塵を行うことができる。
【0052】
さらにガス化部60は、スクラバー64から排出された洗浄後の燃料ガスに含まれるタール分を吸着するフィルタ部を有しており、このフィルタ部は、タール分を吸着するフィルタ材FLとして乾燥状態の籾殻を用いている。これにより、廃棄されている籾殻を有効活用できる。加えて、フィルタ材FLとして使用済みの籾殻を、ブリケットを作製する際に搾油残渣に混合しているので、籾殻をより有効に活用できる。
【0053】
以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれる。例えば、次のように構成してもよい。
【0054】
まず、乾燥部10に関し、油含有バイオマスを乾燥できれば焙煎装置11に限られない。例えば乾燥室であってもよい。この場合、熱交換用の蛇行パイプを断熱性の室内に配置することで乾燥室を構成できる。油含有バイオマスに関し、植物の種子に限られない。油を搾ることのできる有機物であれば油含有バイオマスとなり得る。例えば、植物の樹皮を用いてもよい。また、乾燥部10で乾燥させる対象は、油含有バイオマスに限られない。例えば、バイオマスフィルタ67のフィルタ材FLである籾殻を乾燥部10で乾燥させてもよい。
【0055】
ガス化部60が有するガス化炉61に関し、ダウンドラフト型のガス化炉でなくてもよい。例えば流動床式のガス化炉であってもよい。また、スクラバー64bに代えて、冷媒によって低温まで冷却された水でタールを除去するチラーを用いてもよい。
【0056】
発電部70に関しては、混合ガスを燃焼させるガスタービンや燃料油で蒸気を発生させる蒸気ボイラーを用いてもよい。ガスタービン等の混合ガスを燃焼させる動力機関を用いた場合、燃料生成システム100で得られた燃料油(精製油)は、他の動力機関用の燃料として用いることができる。
【符号の説明】
【0057】
1…発電システム,10…乾燥部,11…焙煎装置,11a…焙煎用鉄板,11b…断熱空間,20…搾油部,21…搾油装置,21a…ホッパー部,21b…圧搾部,22…租油容器,23…残渣容器,24…租油濾過器,30…ブリケット部,31…ブリケット装置,31a…ホッパー部,31b…成型部,40…脱リン処理部,41…沈降タンク,42…脱リン装置,50…濾過部,51…加圧ポンプ,52…フィルタープレス,60…ガス化部,61…ガス化炉,62…コンベア,63…ガスサイクロン,64…スクラバー,64a…メインスクラバー,64b…サブスクラバー,64c…水タンク,65…サイクロン,66…吸気ブロワ,67…バイオマスフィルタ,68…ファブリックフィルタ,69…フレアスタック,70…発電部,71…精製油貯留タンク,72…軽油タンク,73…オイル加熱装置,74…ディーゼルエンジン,74a…燃焼室,74b…吸気マニホールド,74c…排気マニホールド,74d…過給器,74d…ラジエータ,75…発電機,76a…フィルタ,76b…フィルタ,76c…ポンプ,80…受電継電部,90…温水製造部,100…燃料生成システム,110…油精製部,FL…フィルタ材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油分を含んだ油含有バイオマスから液状油を搾り出す搾油部と、前記搾油部によって前記液状油が搾り出された後の搾油残渣から燃料ガスを生成するガス化部とを含んだ燃料生成システムであって、
乾燥状態の乾燥バイオマスを前記搾油残渣に混合して圧縮することにより、ブリケットを作製するブリケット部を備え、
前記ガス化部は、前記ブリケット部で作製されたブリケットを、空気量を制限した状態で加熱することで、前記燃料ガスを生成することを特徴とする燃料生成システム。
【請求項2】
前記ガス化部は、ダウンドラフト型のガス化炉を有することを特徴とする請求項1に記載の燃料生成システム。
【請求項3】
前記ガス化部は、前記ガス化炉から排出された燃料ガスに対し、洗浄水をシャワー状に降り注ぐことで前記燃料ガスの除塵を行うスクラバーを有することを特徴とする請求項2に記載の燃料生成システム。
【請求項4】
前記ガス化部は、前記スクラバーから排出された洗浄後の燃料ガスに含まれるタール分を吸着するフィルタ部を有し、
前記フィルタ部は、前記タール分を吸着するフィルタ材として乾燥バイオマスを用いていることを特徴とする請求項3に記載の燃料生成システム。
【請求項5】
前記ブリケット部は、前記フィルタ部で使用された乾燥バイオマスを前記搾油残渣に混合して圧縮することを特徴とする請求項4に記載の燃料生成システム。
【請求項6】
前記油含有バイオマスは、植物の種子であることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の燃料生成システム。
【請求項7】
前記乾燥バイオマスは、植物を乾燥させて得られたものであることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の燃料生成システム。
【請求項8】
油分を含んだ油含有バイオマスから液状油を搾り出す搾油部と、前記搾油部によって前記液状油が搾り出された後の搾油残渣から燃料ガスを生成するガス化部と、前記液状油及び前記燃料ガスを燃料として発電を行う発電部とを含んだ発電システムであって、
乾燥状態の乾燥バイオマスを前記搾油残渣に混合して圧縮することにより、ブリケットを作製するブリケット部を備え、
前記ガス化部は、前記ブリケット部で作製されたブリケットを、空気量を制限した状態で加熱することで、前記燃料ガスを生成することを特徴とする発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−1892(P2013−1892A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137641(P2011−137641)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(000001812)株式会社サタケ (223)
【出願人】(504147287)株式会社広島環境研究所 (1)
【Fターム(参考)】