説明

燃料用フィルター

【課題】濾過寿命が短くなることを抑えることとフィルター部材の内部に燃料を貯留することとを両立することが可能な燃料用フィルターを提供する。
【解決手段】互いに対向する上側シート部分23a及び下側シート部分23bが各々の縁で連結されて扁平袋状に形成されたフィルター部材と、フィルター部材の内側から上側シート部分23a及び下側シート部分23bの各々を支持するようにフィルター部材に内蔵される板状の支持フレームを備える燃料用フィルターであって、支持フレームは、上側シート部分23aと対向する第一面と、下側シート部分23bと対向する第二面と、第一面に凹設されて燃料を貯留する貯留部33と、第一面から第二面までを貫通する貫通孔と、第二面に凸設される複数のフレームリブと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンク内に配設される燃料用フィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1に記載のように、扁平袋状に形成されたフィルター部材によって燃料を濾過する燃料用フィルターが知られている。特許文献1に記載のフィルター部材には、該フィルター部材の内部空間を保つために、表側の濾材シートと裏側の濾材シートとを該フィルター部材の内側から支持する箱体状の支持フレームが内蔵されている。また、箱体状の支持フレームが有する底面には、該底面とフィルター部材との間隔を保つために、該底面からフィルター部材に向けて突出する複数のリブが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−139006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の支持フレームには、濾過済みの燃料が貯留されるように、平板状の底壁と該底壁の周縁に立設された周壁とによって貯留空間が構成されている。そして、濾過済みの燃料が貯留空間に貯留されるため、内燃機関に対する燃料供給の安定化を図ることが可能である。また、支持フレームの底壁とフィルター部材との間には、上述したリブによって隙間が形成されるため、支持フレームの底壁にフィルター部材が密着することも抑えられる。
【0005】
しかしながら、支持フレームの底面が閉ざされた平面である以上、こうした底面と対向するフィルター部材においては、少なからず燃料が流通し難くなる。また、上述したリブが底壁にのみ形成されているため、支持フレームの周壁においては、依然として支持フレームとフィルター部材とが互いに密着することになる。結局、支持フレームの底壁や周壁と対向しない部分のみにて、フィルター部材は燃料を濾過することになる。そして、支持フレームによって燃料を貯留することが可能であるものの、このような支持フレームがフィルター部材の多くに濾過機能を失わせる結果、燃料用フィルターの寿命が短くなっている。
【0006】
ちなみに、特許文献1には、支持フレームの底部に設けられた孔を介して支持フレームの底部から燃料を吸引する旨の記載もある。しかし、支持フレームの底部に孔が設けられる構成では、支持フレームに貯留された燃料が負圧の低下に伴って燃料タンク内に漏れてしまい、結局、貯留された濾過済み燃料を必要なときに使用できなくなってしまう。
【0007】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、濾過寿命が短くなることを抑えることとフィルター部材の内部に燃料を貯留することとを両立することが可能な燃料用フィルターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、互いに対向する一対のシート部分が各々の縁にて連結されて扁平袋状に形成されたフィルター部材と、前記フィルター部材の内側から前記一対のシート部分の各々を支持するように前記フィルター部材に内蔵される板状の支持フレームと、前記一対のシート部分のいずれか一方に形成されて前記フ
ィルター部材内の燃料を前記フィルター部材から導出する導出部とを備える燃料用フィルターであって、前記支持フレームは、一方の前記シート部分と対向する第一面に凹設されて燃料を貯留する貯留部と、他方の前記シート部分と対向する第二面に凸設される複数のリブと、前記第一面から前記第二面までを貫通する貫通孔とを備えることを要旨とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、互いに対向する一対のシート部分にて、濾過機能が発揮される。また、互いに対向する一対のシート部分の間隔は、フィルター部材に内蔵される支持フレームによって保たれる。そして、互いに対向する第一面と第二面との間を貫通する貫通孔が支持フレームに形成されるため、フィルター部材と支持フレームとが互いに貼り付くことが、貫通孔の領域において抑えられる。それゆえに、上述する貫通孔が支持フレームに形成されない構成と比較して、燃料用フィルターの濾過寿命が短くなることを抑えることが可能である。
【0010】
また、支持フレームの第一面に凹設された貯留部では、濾過済みの燃料を貯留することが可能である。そして、シート部分と支持フレームとが密着して貯留部の開口がフィルター部材で覆われる場合であっても、貯留部に貯留された燃料は、フィルター部材及び貫通孔を経由して導出部から導出され得る。それゆえに、濾過寿命が短くなることを抑えることとフィルター部材の内部に燃料を貯留することとを両立することが可能である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記支持フレームは、前記第一面に凹設されて前記貯留部と前記貫通孔とを接続する接続溝を備えていることを要旨とする。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、上記接続溝が形成されているため、シート部分と支持フレームとが密着して貯留部の開口がフィルター部材で覆われる場合であっても、貯留部と貫通孔との連通状態は、上記接続溝によって確保される。それゆえに、接続溝がない場合と比べて、貯留部に貯留された燃料は、導出部から導出されやすくなる。そして、燃料の吸引に要する力、すなわち燃料を吸引するために用いられる燃料ポンプにかかる負担を、軽減することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記支持フレームは、板状に形成された第一フレームと、板状に形成された第二フレームと、前記第一フレームと前記第二フレームとを接続するとともに可撓性を有した接続部とから構成され、前記第一フレームには、前記貯留部と前記貫通孔とが形成され、前記第二フレームには、前記貫通孔のみが形成されていることを要旨とする。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、第一フレームと第二フレームとが接続部で折り曲げられるため、燃料用フィルターそのものを折り曲げること、ひいては燃料用フィルターのサイズを維持しつつ、フィルター部材のサイズを大きくすることが可能である。それゆえに、燃料用フィルターのサイズを維持しつつ濾過面積を増やすことができるため、燃料用フィルターのサイズが制限される前提であれば、濾過寿命が短くなることをさらに抑えることが可能でもある。また、上述した構成においては、第一フレームにのみ貯留部が形成される。そのため、燃料タンクに設置された燃料用フィルターが折れ曲がった状態であっても、第一フレームにおける第一面が液面に対して傾くこと、すなわち貯留部の開口が液面に対して傾くことを抑えることが可能にもなる。それゆえに、貯留部に貯留された燃料が貯留部から漏れることを抑えることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記接続部の断面厚は、前記第一フレーム及び前記第二フレームの断面厚よりも薄いことを要旨とする。
請求項4に記載の発明によれば、接続部の断面厚が第一フレーム及び第二フレームの断
面厚よりも薄く形成されている。その結果、接続部の剛性が、第一フレーム及び第二フレームの剛性よりも低くなるため、接続部にて支持フレームを屈曲させやすくなる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の発明において、前記支持フレームは、複数の前記第一フレームを備え、前記複数の前記第一フレームの各々における第一面は、互いに平行であることを要旨とする。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、複数の第一フレームの各々における第一面が互いに平行であるため、複数の貯留部の各々における開口を燃料貯留に適した方向、例えば液面と平行に各第一面を配置することが可能である。そのため、複数の貯留部の各々が燃料の貯留機能を確実に発揮することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項3〜5のいずれか一項に記載の発明において、前記支持フレームは、複数の前記第一フレームと複数の前記第二フレームとを備え、前記第一フレームと前記第二フレームとが交互に接続されて、前記接続部において屈曲した階段状に配設されていることを要旨とする。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、第一フレームと第二フレームとを接続する接続部にて、一対のシート部分の内面が支持されるようになる。その結果、シート部分の内面と第一フレームの表面とが貼り付き難くなるため、一対のシート部分の各々の略全域にわたって濾過機能を発揮することが可能となる。それゆえに、濾過寿命が短くなることを効果的に抑えることができる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発明において、前記第一面には、複数の前記貯留部が形成され、前記複数の貯留部の各々は、該第一面と対向する前記第二面から突出する底部を有することを要旨とする。
【0021】
燃料用フィルター内において燃料の貯留量を高めるためには、貯留部が占める面積を拡大することと、貯留部における窪み量を大きくすることとが挙げられる。この際、貯留部が占める面積を拡大するとなれば、貯留部における底面が占める面積も拡大する。その結果、貯留部の底面とフィルター部材の内面とが密着する面積も拡大しやすくなるため、フィルター部材のうちで濾過機能を発揮することができない面積が拡大することになる。
【0022】
この点、請求項7に記載の発明によれば、複数の貯留部の各々の底部が第二面から突出する分だけ、貯留部における窪み量を大きくすることが可能である。それゆえに、燃料の貯留量を効果的に高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係る燃料用フィルターを用いた燃料供給装置の概略構成を模式的に示す図。
【図2】第1実施形態に係る燃料用フィルターを燃料ポンプと対向する側である表側から見た斜視構造を示す斜視図。
【図3】第1実施形態に係る燃料用フィルターをチャンバの底壁と対向する側である裏側から見た斜視構造を示す斜視図。
【図4】第1実施形態に係る支持フレームを表側から見た斜視構造を示す斜視図。
【図5】第1実施形態に係る支持フレームを裏側から見た斜視構造を示す斜視図。
【図6】図2のA−A断面構造を示す断面図。
【図7】本発明の第2実施形態に係る燃料用フィルターを用いた燃料供給装置の概略構成を模式的に示す図。
【図8】第2実施形態に係る燃料用フィルターを表側から見た斜視構造を示す斜視図。
【図9】第2実施形態に係る燃料用フィルターを裏側から見た斜視構造を示す斜視図。
【図10】第2実施形態に係る支持フレームを表側から見た斜視構造を示す斜視図。
【図11】第2実施形態に係る支持フレームを裏側から見た斜視構造を示す斜視図。
【図12】図8のB−B断面構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る燃料用フィルターの第1実施形態について図1〜6を参照して説明する。まず、燃料用フィルターが用いられる燃料供給装置について図1を参照して説明する。
【0025】
燃料供給装置10を構成する燃料タンク11の内部には、有底箱体状に形成されたチャンバ12が固定されている。チャンバ12の内部には、燃料タンク11内の燃料の一部が貯留されるとともに、該燃料Fを濾過するための燃料用フィルター20が収容されている。燃料用フィルター20の一端部には、燃料Fを吸引するための燃料ポンプ13が連結されている。燃料ポンプ13は、燃料タンク11のフランジ部14に固定された供給用配管15を介して内燃機関16に連結されている。そして、燃料ポンプ13が駆動されて燃料用フィルター20の内部に負圧が形成されると、チャンバ12内の燃料Fが燃料用フィルター20で濾過されるとともに、その濾過された燃料Fが供給用配管15を通じて内燃機関16へ供給される。
【0026】
次に、燃料用フィルター20の構成について図2〜図6を参照して説明する。
燃料用フィルター20は、一つの方向に延びるフィルター体21と、該フィルター体21の長手方向の一端に連結された連結部材22とから構成されている。フィルター体21を構成するフィルター部材24は、互いに対向する上側シート部分23a及び下側シート部分23bによって扁平な袋状に形成されている。そして、このフィルター部材24の内部には、フィルター部材24の内側から一対のシート部分23a,23bの各々を支持する支持フレーム25が内蔵されている。
【0027】
フィルター部材24は、複数のシート状の合成繊維が積層された1枚の濾材シート23から形成されている。フィルター部材24は、一つの折り目で二重に折り重ねられた上記濾材シート23を有し、該折り目で区画された上側シート部分23aと下側シート部分23bとが互いの縁で溶着されることにより袋状に形成されている。濾材シート23は、ポリプロピレン繊維で形成された不織布を最内層として有し、油と水とを分離可能な平織りのメッシュ織物を最外層として有している。これら不織布とメッシュ織物との間には、内側に位置するものほどメッシュのサイズが小さくなるように、不織布が積層されている。こうした濾材シート23で構成されるフィルター部材24においては、外側に位置する層で粒径の大きな異物が捕捉され、内側に位置する層で粒径の小さな異物が捕捉される。そして、サイズの異なる異物が互いに異なる層で捕捉されるため、各層における目詰まりを抑えることができる。なお、濾材シート23には、該濾材シート23の各層を超音波溶着法で互いに溶着させた複数の溶着部28が離散的に形成されている。このような溶着部28が濾材シート23に形成されることによって、該濾材シート23の各層が互いに固定される。そして、燃料用フィルター20の使用時には、これらの各層が互いにずれ難くなる。
【0028】
フィルター部材24に内蔵される支持フレーム25は、一列に並んだ3つのフレーム構成部材25a,25b,25cと、隣り合うフレーム構成部材を接続する2つの接続部30abj,30bcjとによって構成されている。なお、接続部30abjは、第一フレ
ーム構成部材25aと第二フレーム構成部材25bとを接続している。また、接続部30bcjは、第二フレーム構成部材25bと第三フレーム構成部材25cとを接続している。
【0029】
第一フレーム構成部材25aは、格子状に形成された矩形板状のベースフレーム30aを有している。ベースフレーム30aは、一つの方向に沿って延びる4つの第一フレーム31aと、該第一フレーム31aと直交する3つの第二フレーム32aとから構成されている。このベースフレーム30aは、上側シート部分23aと対向する面である第一面(表面30af)と、下側シート部分23bと対向する面である第二面(裏面30ab)とを有している。
【0030】
このベースフレーム30aの表面30afには、第二フレーム32aに沿って一列に並んだ3つの凹部である貯留部33が形成されている。各貯留部33の開口部は、隣り合う一対の第一フレーム31aと隣り合う一対の第二フレーム32aとによって囲まれている。また、各貯留部33の底面は、いずれもベースフレーム30aの裏面30abよりも下側シート部分23bに向けて突出している。そして、フィルター部材24の内部に燃料Fが吸入されると、3つの貯留部33の各々は、該貯留部33の容積に相当する燃料Fを貯留する。このような構成によれば、ベースフレーム30aの厚さに関わらず、各貯留部33の容積、すなわちベースフレーム30aに貯留される燃料Fの容積を確保することが可能である。
【0031】
またベースフレーム30aの表面30afには、第二フレーム32aに沿って一列に並んだ3つの貫通孔34ahが形成されている。各貫通孔34ahは、一つの第二フレーム32aを介して上記貯留部33に連設されている。貫通孔34ahの開口部は、貯留部33の開口部と同じく、隣り合う一対の第一フレーム31aと隣り合う一対の第二フレーム32aとによって囲まれている。そして、3つの貫通孔34ahの各々は、ベースフレーム30aにおける表面30af側の空間とベースフレーム30aにおける裏面30ab側の空間とを連通する。このような構成によれば、ベースフレーム30aにおける表面30af側とベースフレーム30aにおける裏面30ab側との間で燃料Fが流通するようになる。
【0032】
さらにベースフレーム30aの表面30afにおいて、上記貯留部33と上記貫通孔34ahとを隔てる一つの第二フレーム32aには、これら隣り合う貯留部33と貫通孔34ahとを接続する3つの接続溝35が凹設されている。そして、燃料ポンプ13が駆動されて燃料用フィルター20の内部に負圧が形成されると、上側シート部分23aが表面30afに密着して各貯留部33の開口部が上側シート部分23aによって覆われる。このような場合であっても、3つの接続溝35の各々は、該接続溝35に対応する貯留部33と貫通孔34ahとを連通する。すなわち、3つの接続溝35の各々は、各貯留部33の開口部が上側シート部分23aによって閉ざされることを抑える。
【0033】
一方、ベースフレーム30aの裏面30abには、第一フレーム31aと第二フレーム32aとが交差する部位から下側シート部分23bに向かって突出する複数のフレームリブ36aが凸設されている。これらフレームリブ36aが裏面30abから突出する突出量は、貯留部33の底面が裏面30abから突出する突出量と略同じである。また、上述した貯留部33における底部33bの大きさは、これらフレームリブ36aにおける先端の大きさと略同じである。このような構成によれば、下側シート部分23bと対向する貯留部33の大きさをフレームリブ36aと同じ程度にまで小さくすることが可能である。すなわち、貯留部33に貯留される燃料Fの容積を確保することと、下側シート部分23bにおいて広い濾過面積を確保することとを両立することが可能である。
【0034】
そして、燃料ポンプ13が駆動されて燃料用フィルター20の内部に負圧が形成されると、上側シート部分23aが表面30afに密着するとともに、下側シート部分23bが各フレームリブ36a及び底部33bに当接する。この際、各フレームリブ36a及び底部33bが下側シート部分23bをフィルター部材24の外側へ押し返すため、裏面30abと下側シート部分23bとの間隔は、各フレームリブ36aの突出量に保たれる。これにより、裏面30abと下側シート部分23bとの間には、燃料Fの流通可能な流路43が常に形成されることとなる。
【0035】
次に、第二フレーム構成部材25bの構成について説明する。なお、第二フレーム構成部材25bは、3つの貯留部33が形成されていないことにおいて、第一フレーム構成部材25aとは構成が異なる。そのため、以下では、こうした構成の差異について主に説明する。
【0036】
第二フレーム構成部材25bは、格子状に形成された矩形板状のベースフレーム30bを有している。ベースフレーム30bは、ベースフレーム30aと同様に、一つの方向に延びる4つの第一フレーム31bと、該第一フレーム31bと直交する4つの第二フレーム32bとから構成されている。
【0037】
ベースフレーム30bの第一面(表面30bf)には、第一フレーム31b及び第二フレーム32bに沿って並ぶ3行×3列の貫通孔34bhが形成されている。各貫通孔34bhの開口部は、隣り合う一対の第一フレーム31bと隣り合う一対の第二フレーム32bとによって囲まれている。そして、9つの貫通孔34bhの各々は、先の貫通孔34ahと同様に、ベースフレーム30bにおける表面30bf側の空間とベースフレーム30bにおける裏面30bb側の空間とを連通する。
【0038】
ベースフレーム30bの第二面(裏面30bb)には、第一フレーム31bと第二フレーム32bとが交差する部位から下側シート部分23bに向かって突出する複数のフレームリブ36bが凸設される。これらフレームリブ36bが裏面30bbから突出する突出量は、上述したフレームリブ36aの突出量と略同じである。そして、燃料ポンプ13が駆動されて燃料用フィルター20の内部に負圧が形成されると、裏面30bbと下側シート部分23bとの間隔は、各フレームリブ36bの突出量に保たれる。これにより、裏面30bbと下側シート部分23bとの間には、燃料Fの流通可能な流路43が常に形成されることとなる。
【0039】
次に、第三フレーム構成部材25cの構成について説明する。なお、第三フレーム構成部材25cは、導出部37を有することにおいて、第二フレーム構成部材25bとは構成が異なる。そのため、以下では、導出部37の構成について主に説明する。
【0040】
第三フレーム構成部材25cは、格子状に形成された矩形板状のベースフレーム30cを有している。ベースフレーム30cは、ベースフレーム30bと同様に、一つの方向に延びる4つの第一フレーム31cと、該第一フレーム31cと直交する複数の第二フレーム32cとから構成されている。
【0041】
ベースフレーム30cの第一面(表面30cf)には、多段円筒状の導出部37が形成されている。導出部37は、第一フレーム31c及び第二フレーム32cに支持される大径円筒状のフランジ部38を有している。図6に示されるように、フランジ部38における表面30cf側は、上側シート部分23aに形成された貫通孔41を通して、フィルター部材24の外側に露出している。上側シート部分23aから露出したフランジ部38には、該フランジ部38から突出する小径円筒状の吸込み部39が形成されている。一方、フランジ部38の裏面30cb側には、該裏面30cbから突出するよう4つの吸込み用
リブ40が、フランジ部38の周方向に等配されている。これら吸込み用リブ40の先端は、下側シート部分23bに当接してフランジ部38と下側シート部分23bとの距離を保つ。
【0042】
フランジ部38の上側には、上述した連結部材22の下端部46が連結され、連結部材22の上端部47には、上述した燃料ポンプ13が連結されている。連結部材22には、下端部46から上端部47までを貫通するように連絡通路45が形成されて、この連絡通路45には、その下端部46側において上記吸込み部39が挿入されている。また、連結部材22の下端部46は、フランジ部38と下端部46とによって上側シート部分23aが挟持された状態で、フランジ部38に連結されている。そして、燃料ポンプ13が稼動すると、吸込み部39に流入した濾過済みの燃料Fは、連結部材22の連絡通路45を通じて燃料ポンプ13に導入される。
【0043】
またベースフレーム30cの表面30cfには、ベースフレーム30bと同様に、表面30cfから裏面30cbまでを貫通する複数の貫通孔34chが形成される。複数の貫通孔34chの各々は、ベースフレーム30cにおける表面30cf側とベースフレーム30cにおける裏面30cb側との間で燃料Fを流通可能にする。
【0044】
ベースフレーム30cの第二面(裏面30cb)には、第一フレーム31cと第二フレーム32cとが交差する部位から下側シート部分23bに向かって突出する複数のフレームリブ36cが凸設される。これらのフレームリブ36cが裏面30cbから突出する突出量は、上述したフレームリブ36a,36bの突出量と略同じである。これにより、裏面30cbと下側シート部分23bとの間には、燃料Fの流通可能な流路43が常に形成されることとなる。
【0045】
そして、燃料ポンプ13が駆動されて流路43に負圧が形成されると、上側シート部分23aは、各ベースフレーム30a,30b,30cの各表面30af,30bf,30cfと密着する。また、下側シート部分23bは、フレームリブ36a,36b,36c、貯留部33の底部33b、及び吸込み用リブ40の先端と密着する。ただし、上述した支持フレーム25には、各表面30af,30bf,30cfと各裏面30ab,30bb,30cbとの間を貫通する複数の貫通孔34ah,34bh,34chが形成されている。そして、フィルター部材24の内面うちで、これら貫通孔34ah,34bh,34chと対向する領域では、フィルター部材24と支持フレーム25とが密着しない。それゆえに、フィルター部材24のうちで支持フレーム25に貼り付く領域は、これら貫通孔34ah,34bh,34chが形成される分だけ小さくなる。すなわち、フィルター部材24における濾過機能の偏在が軽減されるため、燃料用フィルター20の濾過寿命が短くなることを抑えることが可能である。
【0046】
この際、フィルター部材24の表面から吸い込まれた燃料Fは、貯留部33に貯留される、あるいは各貫通孔34ah,34bh,34chを通して支持フレーム25の裏面側である流路43へ流入する。また、フィルター部材24の裏面から吸い込まれた燃料Fは、直接、流路43へ流入する。そして、流路43へ流入した燃料Fは、導出部37を通してフィルター部材24から吸い出される。この間、上側シート部分23aが表面30afに密着して各貯留部33の開口部が上側シート部分23aによって覆われる場合であっても、貯留部33に貯留された燃料Fは、接続溝35と貫通孔34ahとを通じて流路43に流入する。それゆえに、濾過寿命が短くなることを抑えることとフィルター部材24の内部に燃料Fを貯留することとを両立することが可能である。
【0047】
以上説明したように、第1実施形態に係る燃料用フィルターによれば、以下列記するような効果が得られるようになる。
(1)表面30af,30bf,30cfから裏面30ab,30bb,30cbまでを貫通する貫通孔34ah,34bh,34chが支持フレーム25に形成される。そして、フィルター部材24と支持フレーム25とが互いに貼り付くことが、貫通孔34ah,34bh,34chの領域において抑えられる。それゆえに、上述する貫通孔34ah,34bh,34chが支持フレーム25に形成されない構成と比較して、燃料用フィルター20の濾過寿命が短くなることを抑えることが可能である。
【0048】
(2)第一フレーム構成部材25aの表面30afには、燃料Fを貯留する凹部である貯留部33と、該貯留部33と貫通孔34ahとを接続する接続溝35とが形成されている。そして、貯留部33の開口部が上側シート部分23aで覆われる場合であっても、貯留部33に貯留された燃料Fは、接続溝35及び貫通孔34ahを経由して導出部37から導出される。それゆえに、濾過寿命が短くなることを抑えることと燃料用フィルター20の内部に燃料Fを貯留することとを両立することが可能である。
【0049】
(3)複数の貯留部33の各々は、第一フレーム構成部材25aの裏面30abから突出する底部33bを有する。このような構成によれば、底部33bが裏面30abから突出する分だけ、貯留部33における窪み量を大きくすることができる。それゆえに、支持フレーム25の厚さに関わらず、燃料用フィルター20内における燃料Fの貯留量を確保することができる。
【0050】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る燃料用フィルターの第2実施形態について図7〜12を参照して説明する。なお、第2実施形態の燃料用フィルターは、支持フレーム25の構成において、第1実施形態の燃料用フィルターと異なる。そのため、以下では、支持フレーム25の構成について主に説明する。まず、燃料用フィルターが用いられる燃料供給装置について説明する。
【0051】
図7に示されるように、燃料用フィルター20における長手方向の一端部は、その裏面がチャンバ12の底壁と接触するように配設されている。また、燃料用フィルター20における同一端部には、連結部材22を介して燃料ポンプ13が接続されている。一方、燃料用フィルター20における長手方向の他端部は、その裏面がチャンバ12の底壁から離れるように配設されている。
【0052】
図8及び図9に示されるように、支持フレーム25は、合成樹脂によって一体成形されるフレームであって、5つのフレーム構成部材と4つの接続部とによって構成されている。
【0053】
支持フレーム25には、第一フレーム構成部材25aと第二フレーム構成部材25bとが一つの方向に沿って交互に配列されている。そして、隣り合う第一フレーム構成部材25aと第二フレーム構成部材25bとが、一つの接続部30abjによって接続されるとともに、この接続部30abjを挟む一組の第一フレーム構成部材25a及び第二フレーム構成部材25bによって、一つの段差フレームが構成されている。なお、第一段差フレーム1Gと第二段差フレーム2Gとは、一つの接続部30bajによって接続されている。また、第二段差フレーム2Gにおける第一段差フレーム1Gとは反対側には、第三フレーム構成部材25cが接続部30bcjを介して接続されている。
【0054】
図10及び図11に示されるように、第一段差フレーム1Gにて、第一フレーム構成部材25aと第二フレーム構成部材25bとは、接続部30abjで屈曲している。また、第二段差フレーム2Gにて、第一フレーム構成部材25aと第二フレーム構成部材25bとは、接続部30abjで屈曲している。そして第一段差フレーム1Gの表面30afと
第二段差フレーム2Gの表面30afとが互いに平行となるように、また第一段差フレーム1Gの表面30bfと第二段差フレーム2Gの表面30bfとが互いに平行となるように、第一段差フレーム1Gと第二段差フレーム2Gとが接続部30bajで屈曲している。すなわち、支持フレーム25では、一つの段差フレームが階段状に繰り返されている。なお、このような階段状の形状は、図12に示されるように、階段状に形成された支持フレーム25の全長がフィルター部材24の全長よりも長くなる構成において、上側シート部分23aの張力と下側シート部分23bの張力とにより維持される。
【0055】
また、各構成部材における表面と裏面との距離を断面厚とすると、各フレーム構成部材25a,25b,25cは、各々の断面厚が互いに等しくなるように形成されている。また、接続部30abj、30baj、30bcjは、各々の断面厚がこれもまた互いに等しく、且つ各フレーム構成部材25a,25b,25cの断面厚よりも小さくなるように形成されている。このような構成によれば、ベースフレーム30a,30b,30cの剛性よりも接続部30abj、30baj、30bcjの剛性が低くなる。それゆえに、第一フレーム構成部材25aと第二フレーム構成部材25bとを接続部30abj,30bajで折り曲げやすくすることができる。また、第二フレーム構成部材25bと第三フレーム構成部材25cとを接続部30bcjで折り曲げやすくすることもできる。そのため、燃料用フィルター20そのものを折り曲げること、ひいては燃料用フィルター20のサイズを維持しつつ、フィルター部材24のサイズを大きくすることができる。すなわち、燃料用フィルター20のサイズを維持しつつ濾過面積を増やすことができる。そして、燃料用フィルター20のサイズが制限される前提であれば、濾過寿命が短くなることをさらに抑えることができる。
【0056】
そして、上述した支持フレーム25がフィルター部材24に内蔵されると、図12に示されるように、上側シート部分23aの内面は、第一段差フレーム1Gのうち、第一フレーム構成部材25aのみによって支持される。また、上側シート部分23aの内面は、第二段差フレーム2Gのうち、接続部30abjのみによって支持される。すなわち、上側シート部分23aの内面は、支持フレーム25における表面の一部によって支持される。このような構成によれば、上側シート部分23aの内面と支持フレーム25の外面との接触面積を小さくすることが可能である。その結果、上側シート部分23aの内面と支持フレーム25の外面とが貼り付き難くなるため、上側シート部分23aの各々の略全域にわたって濾過機能を発揮させることができる。それゆえに、燃料用フィルター20の濾過寿命が短くなることを効果的に抑えることができる。
【0057】
また、第一段差フレーム1Gの表面30af、第二段差フレーム2Gの表面30af、及び第三フレーム構成部材25cの表面30cfは、チャンバ12の底面に対して互いに平行となる。そして、各表面30afに形成される貯留部33の開口部も、チャンバ12の底面に対して互いに平行となる。そのため、燃料タンク11に設置された燃料用フィルター20が折り曲げられた状態であっても、貯留部33の開口面が液面に対して傾くことを抑えることができる。それゆえに、貯留部33に貯留された燃料Fが貯留部33から漏れることを抑えることができる。
【0058】
また、第一段差フレーム1Gにおける第一フレーム構成部材25aの表面30afは、第二段差フレーム2Gにおける第一フレーム構成部材25aの表面30afよりも鉛直方向上方に配置されている。また、第二段差フレーム2Gにおける第一フレーム構成部材25aの表面30afは、第三フレーム構成部材25cの表面30cfよりも鉛直方向上方に配置されている。そして、全ての貯留部33の開口部が導出部37よりも鉛直方向上方に配置されている。このような構成によれば、貯留部33に貯留された燃料Fが燃料ポンプ13によって吸引されるときに、燃料ポンプ13の吸引力の他、貯留された燃料Fの自重によって該燃料Fを導出部37に導くことが可能である。それゆえに、貯留部33に貯
留された燃料Fを吸い出す際に、燃料ポンプ13にかかる負担、すなわち吸引力を軽減することができる。
【0059】
以上説明したように、第2実施形態に係る燃料用フィルターによれば、第1実施形態にて説明した効果に加えて、以下列記するような効果が得られるようになる。
(4)第一フレーム構成部材25aと第二フレーム構成部材25bとを接続部30abj,30bajで折り曲げることができる。また第二フレーム構成部材25bと第三フレーム構成部材25cとを接続部30bcjで折り曲げることもできる。そのため、燃料用フィルター20そのものを折り曲げること、ひいては燃料用フィルター20のサイズを維持しつつ、フィルター部材24のサイズを大きくすることができる。その結果、燃料用フィルター20のサイズを維持しつつ濾過面積を増やすことができる。それゆえに、燃料用フィルター20のサイズが制限される前提であれば、濾過寿命が短くなることをさらに抑えることができる。
【0060】
(5)第一フレーム構成部材25aにのみ貯留部33が形成されている。そのため、燃料タンク11に設置された燃料用フィルター20が折れ曲がった状態であっても、第一フレーム構成部材25aにおける表面30afが水平方向に対して傾くこと、すなわち貯留部33の開口面が水平方向に対して傾くことを抑えることができる。それゆえに、貯留部33に貯留された燃料Fが貯留部33から漏れることを抑えることができる。
【0061】
(6)接続部30abj,30bcjの断面厚が、第一フレーム構成部材25a、第二フレーム構成部材25b及び第三フレーム構成部材25cの断面厚よりも薄く形成されている。その結果、接続部30abj,30bcjの剛性が、各フレーム構成部材の剛性よりも低くなる。それゆえに、接続部30abj,30bcjにて支持フレーム25をさらに屈曲させやすくすることができる。
【0062】
(7)複数の第一フレーム構成部材25aの各々における表面30afが互いに平行となるように燃料用フィルター20が形成される。そのため、複数の貯留部33の各々における開口面を貯留に適した方向、例えば水平方向と平行となるように燃料用フィルター20をチャンバ12内に配置することができる。それゆえに、複数の貯留部33の各々が燃料Fの貯留機能を確実かつ最大限に発揮することができる。
【0063】
(8)上側シート部分23aの内面が支持フレーム25の屈曲部位にて支持される。その結果、上側シート部分23aの内面と第一フレーム構成部材25aの表面30af及び第二フレーム構成部材25bの表面30bfとが貼り付き難くなる。そのため、下側シート部分23bのみならず、上側シート部分23aの略全域に渡って濾過機能を発揮させることができる。それゆえに、燃料用フィルター20の濾過寿命が短くなることを効果的に抑えることができる。
【0064】
なお、上記各実施形態は、以下のような変更して実施することもできる。
・第2実施形態の支持フレーム25は、接続部30abj,30baj,30bcjにて屈曲可能である。これを変更して、支持フレーム25が階段状に形成される構成であれば、例えば、接続部30abj,30baj,30bcjが屈曲不能な構成であってもよい。また、このような構成に伴い、接続部30abj,30baj,30bcjの断面厚は、各フレーム構成部材の断面厚と同じであってもよい。このような構成であっても、上記(1)〜(5)、(7)、及び(8)に準じた効果を得ることが可能である。
【0065】
・上記各実施形態に支持フレーム25には、貯留部33を有しない第二フレーム構成部材25bが含まれる。これを変更して、支持フレーム25は、第一フレーム構成部材25aのみから構成されてもよい。このような構成であれば、貯留部33が増加されるため、
上記(1)〜(8)に準じた効果を得つつ、燃料Fの貯油量を増量することも可能である。
【0066】
なお、燃料用フィルター20が燃料Fを貯油しさえすればよいのであれば、支持フレーム25の構成部材として少なくとも一枚の第一フレーム構成部材25aが含まれるようにすればよいことは、いうまでもない。
【0067】
・上記第2実施形態において、第一段差フレーム1Gを構成する各フレーム構成部材と第二段差フレーム2Gを構成する各フレーム構成部材とは、貯留部33の配置や数量、貫通孔34ahの配置や数量等が互いに異なる構成であってもよい。このような構成であっても、上記(1)及び(3)〜(8)に準じた効果を得つつ、燃料用フィルター20の内部における燃料Fの貯油量を増量させることが可能である。
【0068】
・上記各実施形態において、貯留部33の底部33bが第一フレーム構成部材25aの裏面30abから突出する突出量は、同じく裏面30abから突出するフレームリブ36aの突出量と同じとしたが、これに限られない。ただし、フレームリブ36aの突出量よりも底部33bの突出量を大きくする方が望ましい。燃料用フィルター20の内部における燃料Fの貯油量を増量させることが可能となるためである。
【0069】
・貯留部33は、フレーム構成部材の他、各接続部30abj,30baj,30bcjに凹設されてもよい。特に、第2実施形態において上側シート部分23aと接触しない接続部30baj、30bcjに貯留部33を設けることが望ましい。なお、上側シート部分23aと接触する接続部30abjに貯留部33を設ける場合であれば、貯留部33に加えて、表面から裏面までを貫通する貫通孔と、該貫通孔と貯留部33とを接続する接続溝35とをさらに設けることが望ましい。このような構成であれば、上側シート部分23aが表面に貼り付く接続部30abjにおいて、上記(2)に準じる効果を得つつ、燃料用フィルター20の内部における燃料Fの貯油量をさらに増量させることが可能となる。
【0070】
なお、上述のように、接続部30abj,30baj,30bcjに貯留部33が凹設されれば、第一フレーム構成部材25aのすべてを第二フレーム構成部材25bに置換したとしても、燃料用フィルター20の内部に燃料Fを貯油させることができることは、いうまでもない。
【0071】
・接続部30abj,30baj,30bcjには、表面から裏面に向けて貫通する貫通孔が各々設けられるようにしてもよい。このような構成であれば、上記(1)に準じる効果を高めることが可能となる。
【0072】
・第一フレーム構成部材25aの他、第三フレーム構成部材25cにも貯留部33が形成されてもよい。これにより、燃料用フィルター20の内部における燃料Fの貯油量をさらに増量させることが可能となる。このとき、第一フレーム構成部材25aと同じく、第三フレーム構成部材25cには、貯留部33とともに貫通孔34chと、貯留部33と貫通孔34chとを接続する接続溝35を凹設することが望ましい。
【0073】
・上記各実施形態において、貯留部33の底部33bは、第一フレーム構成部材25aの裏面30abから突出するとしたが、これに限られない。貯留部33が第一フレーム構成部材25aの内部に包含されており、底部33bが表面30afと裏面30abとの間に位置していてもよい。このような構造であっても、貯留部33の形状を凹状とすることができるため、貯留部33に燃料Fを貯留させることは可能である。また、接続部30abj,30baj,30bcjに貯留部33を形成するときであっても、貯留部33が接
続部30abj,30baj,30bcjの内部に包含されるようにしてもよいことは、いうまでもない。
【0074】
・第一フレーム構成部材25aの表面30afにおける貯留部33及び貫通孔34ahの各配設位置及び各形状は、図4及び図10に示されるようにマトリクス状及び矩形状に限定されるものではない。また、第一フレーム構成部材25aの表面30afにおける貯留部33及び貫通孔34ahの個数も、図4及び図10に示されるように各々三個に限定されるものではない。そして、接続溝35の配設位置並びに形状は、図4及び図10に示されるように貯留部33及び貫通孔34ahの略中央部かつ矩形状に限定されるものではない。要は、貯留部33及び貫通孔34ahが何らかの開口形状を有しつつ表面30afに開口していればよい。また、これらの貯留部33及び貫通孔34ahを接続して貯留部33に貯留された燃料Fを貫通孔34ahにまで導くための接続溝35が、上記表面30afに凹設されていればよい。さらに、貯留部33の凹形状は、矩形状である底部33bを備える四角錘状に限定されるものではない。燃料Fを貯留させることができる機能を有する形状であればどのような形状でもよく、貯留部33の凹形状は、例えば三角錐、五角錐等の多角錘、円錐、多角柱、あるいは円柱等の形状であってもよい。
【0075】
・上記各実施形態において、第二フレーム構成部材25bの表面30bfにおける貫通孔34bhの各配設位置及び各形状は、図4及び図10に示されるようにマトリクス状及び矩形状に限定されるものではない。要は、貫通孔34bhが何らかの開口形状を有しつつ表面30bfに開口していればよい。
【0076】
・支持フレーム25を構成する第一フレーム構成部材25a、第二フレーム構成部材25b、及び第三フレーム構成部材25cの各枚数は、各々何枚であってもよい。特に、例えば第三フレーム構成部材25cの枚数は上記各実施形態におけるように、一枚のみではなく二枚以上としてもよい。
【0077】
また、上記各実施形態においては、第一フレーム構成部材25a、第二フレーム構成部材25b、及び第三フレーム構成部材25cを順に一直線をなす列状に接続したが、各フレーム構成部材の接続順や接続態様はこれに限られない。例えば、一枚の矩形状である第三フレーム構成部材25cの外周部における各辺と、第一フレーム構成部材25a及び第二フレーム構成部材25bの外周部における一辺とを互いに接続することによって、支持フレーム25を十字状としてもよい。
【0078】
このように支持フレーム25の形状、ひいては該支持フレーム25を内蔵する燃料用フィルター20の形状の自由度を増やすことによって、チャンバ12内における燃料Fを濾過するための最適位置に燃料用フィルター20を配設することが可能となる。
【0079】
・上記第2実施形態において、第一フレーム構成部材25aの表面30afの各々と第三フレーム構成部材25cの表面30cfとが互いに平行となるように支持フレーム25を折り曲げなくてもよい。要は、燃料用フィルター20をチャンバ12内に配設した際に貯留部33に燃料Fを貯留させることができればよい。
【0080】
また、燃料用フィルター20をチャンバ12内に配設する際に、第三フレーム構成部材25cを鉛直方向の最下位に位置するようにしなくてもよい。すなわち、導出部37が貯留部33よりも鉛直方向の上位に位置するようにしてもよい。そのような場合であっても、燃料ポンプ13によって燃料用フィルター20の内部は負圧とされるため、燃料ポンプ13にかかる負荷は増大するものの、貯留部33に貯留された燃料Fを吸い上げることができる。
【0081】
・貯留部33及び貫通孔34ahを接続して貯留部33に貯留された燃料Fを貫通孔34ahにまで導くための接続溝35が、第一フレーム構成部材25aの表面30afに凹設されていることが望ましいものの、接続溝35が割愛された構成であってもよい。接続溝35が凹設されていなければ、燃料ポンプ13の作動時、すなわちフィルター体21の内部に負圧が生じている時には、上側シート部分23aと表面30afとが密着する。しかし、貯留部33から貫通孔34ahに燃料Fが導かれる経路は、完全に閉塞されてはいない。貯留部33と貫通孔34ahとは、上側シート部分23aを介して、依然として連通しているからである。それゆえに、接続溝35が凹設されていないとしても、接続溝35が凹設されている場合に比べて燃料ポンプ13にかかる負担が大きくなるとはいえ、貯留部33に貯留された燃料Fを吸引することができる。
【符号の説明】
【0082】
F…燃料、1G…第一段差フレーム、2G…第二段差フレーム、10…燃料供給装置、11…燃料タンク、12…チャンバ、13…燃料ポンプ、14,38…フランジ部、15…供給用配管、16…内燃機関、20…燃料用フィルター、21…フィルター体、22…連結部材、23…濾材シート、23a…上側シート部分、23b…下側シート部分、24…フィルター部材、25…支持フレーム、25a…第一フレーム構成部材、25b…第二フレーム構成部材、25c…第三フレーム構成部材、30a,30b,30c…ベースフレーム、30af,30bf,30cf…表面、30ab,30bb,30cb…裏面、30abj,30baj,30bcj…接続部、31a,31b,31c…第一フレーム、32a,32b,32c…第二フレーム、33…貯留部、33b…底部、34ah,34bh,34ch…貫通孔、35…接続溝、36a,36b,36c…フレームリブ、37…導出部、39…吸込み部、40…吸込み用リブ、43…流路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する一対のシート部分が各々の縁にて連結されて扁平袋状に形成されたフィルター部材と、
前記フィルター部材の内側から前記一対のシート部分の各々を支持するように前記フィルター部材に内蔵される板状の支持フレームと、
前記一対のシート部分のいずれか一方に形成されて前記フィルター部材内の燃料を前記フィルター部材から導出する導出部と
を備える燃料用フィルターであって、
前記支持フレームは、
一方の前記シート部分と対向する第一面に凹設されて燃料を貯留する貯留部と、
他方の前記シート部分と対向する第二面に凸設される複数のリブと、
前記第一面から前記第二面までを貫通する貫通孔と
を備えることを特徴とする燃料用フィルター。
【請求項2】
前記支持フレームは、前記第一面に凹設されて前記貯留部と前記貫通孔とを接続する接続溝を備えている
請求項1に記載の燃料用フィルター。
【請求項3】
前記支持フレームは、
板状に形成された第一フレームと、
板状に形成された第二フレームと、
前記第一フレームと前記第二フレームとを接続するとともに可撓性を有した接続部と
から構成され、
前記第一フレームには、前記貯留部と前記貫通孔とが形成され、
前記第二フレームには、前記貫通孔のみが形成されている
請求項1又は2に記載の燃料用フィルター。
【請求項4】
前記接続部の断面厚は、前記第一フレーム及び前記第二フレームの断面厚よりも薄い
請求項3に記載の燃料用フィルター。
【請求項5】
前記支持フレームは、複数の前記第一フレームを備え、
前記複数の前記第一フレームの各々における第一面は、互いに平行である
請求項3又は4に記載の燃料用フィルター。
【請求項6】
前記支持フレームは、
複数の前記第一フレームと複数の前記第二フレームとを備え、
前記第一フレームと前記第二フレームとが交互に接続されて、前記接続部において屈曲した階段状に配設されている
請求項3〜5のいずれか一項に記載の燃料用フィルター。
【請求項7】
前記第一面には、複数の前記貯留部が形成され、
前記複数の貯留部の各々は、該第一面と対向する前記第二面から突出する底部を有する
請求項1〜6のいずれか一項に記載の燃料用フィルター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−110860(P2012−110860A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263531(P2010−263531)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】