説明

燃料用フィルタ装置

【課題】フィルタ体の濾過精度をできるだけ高めながら、フィルタ体の目詰まりをできる限り生じさせないようにする。
【解決手段】フィルタ体1は、二層の不織布層12、12を有しており、一方の不織布層12の気孔の平均径と他方の不織布層12の気孔の平均径とが一致しないようにしてある。二層の不織布層12、12のうち、フィルタ体1のより内方に位置される不織布層12の気孔の平均径が、これよりも外方に位置される不織布層12の気孔の平均径よりも小さくなるようにしてあり、しかも、これらの不織布層12、12をメルトブローン法により形成させてろ過勾配が緩やかになるようにしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃料タンク内にある燃料吸い込み口に取り付けられて用いられる燃料用フィルタ装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料タンク内の燃料はこの燃料タンク内に配される吸い込みパイプなどを通じて内燃機関側に移送される。このように移送される燃料から水を取り除くと共に、異物がフューエルポンプに送り込まれないようにするために、かかる吸い込みパイプの燃料吸い込み口にはフィルタ装置が取り付けられる。こうしたフィルタ装置として、特許文献1に示されるものがある。
【0003】
かかるフィルタ装置は、燃料吸い込み口に内部空間を連通させた袋状のフィルタ体を有している。かかるフィルタ体は、押し出しメッシュの最外層の内方にスパンボンド法によって形成された不織布層を有し、さらに、その内方にメルトブローン法によって形成された不織布層を有している。
【0004】
しかるに、かかるフィルタ装置にあっては、スパンボンド法によって形成された不織布層の気孔の平均径とメルトブローン法によって形成された不織布層の気孔の平均径との差が大きくなりすぎる傾向があり、この傾向は、濾過精度を向上させようとすればするほど顕著となるものであった。すなわち、スパンボンド法では形成される不織布層を構成する繊維の線径を細めがたいため、(最小でも20μm程度)形成された不織布層の気孔の平均径、つまり、目を細かくするのに限界を有している。これに対して、メルトブローン法では形成される不織布層を構成する繊維の線径を適切に細めることが可能であることから、形成された不織布層の気孔の平均径を適切に小さくすることができる。よって、特許文献1のフィルタ体にあっては、濾過精度の向上のためにはメルトブローン法によって形成される不織布層の気孔の平均径を小さくして行くことになるが、これを小さくすればするほどスパンボンド法によって形成された不織布層の気孔の平均径との差が大きくなり捕捉しようとする燃料中に含まれる塵芥などの多くがメルトブローン法によって形成された不織布層によって捕捉されてしまうこととなる。(すなわち、濾過勾配が急峻となりスパンボンド法によって形成された不織布層がプレフィルタとしての役割を適切に果たさなくなってしまう。)
【0005】
このため、特許文献1にかかるフィルタ装置にあっては、濾過精度を高めれば高めるほど、つまり、燃料中に含まれるより細かな塵芥などを捕捉しようとすればするほど、メルトブローン法によって形成された不織布層の目詰まりを長期にわたり生じ難くしにくくなる。こうした目詰まりが増大して行くと、燃料吸い込みの圧力が高くなり(つまり、圧力損失が大きくなり)フューエルポンプの負荷増大を招くことになる。
【特許文献1】特開2000−246026号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、この種のフィルタ装置を構成するフィルタ体の濾過精度をできるだけ高めながら、フィルタ体の目詰まりをできる限り生じさせないようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、この発明にあっては、燃料用フィルタ装置が次の(1)〜(5)の要素を備えていることを特徴としている。
(1)袋状をなすフィルタ体を有し、燃料タンク内にある燃料吸い込み口にこのフィルタ体の内部空間を連通させるように取り付けられるフィルタ装置であって、
(2)フィルタ体は、二層以上の不織布層を有しており、
(3)ある不織布層の気孔の平均径と他の不織布層の気孔の平均径とが一致しないようにしてあると共に、
(4)この二層以上の不織布層のうち、フィルタ体のより内方に位置される不織布層の気孔の平均径が、これよりも外方に位置される不織布層の気孔の平均径よりも小さくなるようにしてあり、
(5)しかも、これらの不織布層をメルトブローン法により形成させてろ過勾配が緩やかになるようにしてある。
【0008】
かかる構成によれば、フィルタ体の前記外方に位置される不織布層によって比較的粒径の大きい塵芥などを捕捉し、フィルタ体のより内方に位置される不織布層によって比較的粒径の小さい塵芥などを捕捉することができ、フィルタ体の目詰まりを生じさせ難い状態で、吸引される燃料から塵芥などを適切に除去させることができる。
【0009】
また、メルトブローン法によれば、不織布層を構成する合成繊維の線径を効果的に細めることができ、これによりかかる不織布層の気孔の平均径を適切に小さく調整できることから、フィルタ体のより内方に位置される不織布層の気孔の平均径とこれより外方に位置される不織布層の気孔の平均径とに極端な差が生じないように、つまり、フィルタ体のろ過勾配が急峻にならないようにすることができる。これにより、フィルタ体の外方に位置される不織布層により内方に位置される不織布層に対するプレフィルタとしての機能を適切に付与させることができる。
【0010】
また、前記課題は、メルトブローン法により形成された二層以上の不織布層のうち、
フィルタ体の最も内方に位置される不織布層の気孔の平均径が5μmから10μmの範囲としてあると共に、
これら二層以上の不織布層のうち、フィルタ体のより内方に位置される一つの不織布層の気孔の平均径と、
これに隣り合い、かつ、これよりも外方に位置される一つの不織布層の気孔の平均径との差が、
40μm以下となるようにすることでより良く解決することができる。
【0011】
すなわち、燃料に通常含まれる塵芥などの性状などから、このようにすることによってフィルタ体による濾過を経た燃料中の塵芥などを適切に減少させることができ、また、フィルタ体の目詰まりを長期にわたり生じさせ難くすることができる。
【0012】
また、前記フィルタ体の最外層を、織物メッシュによって構成させておくこともできる。
【0013】
このようにした場合、かかる最外層によって燃料に含まれる水分と燃料とを分離させて水分がフィルタ体内に入り込まないようにすることができると共に、メルトブローン法によって形成された不織布層が直接燃料タンクの内壁などに接して摩耗してしまうといったことがないようにすることができる。
【0014】
また、前記フィルタ体の最内層を、スパンボンド法により形成された不織布層によって構成させておくこともできる。
【0015】
このようにした場合、かかる最内層によってフィルタ体に剛性(こわさ)を付与してフィルタ体を保形し易くできる。
【0016】
また、多層よりなるフィルタ体の各層を同一の合成樹脂材料によって構成しておくこともできる。
【0017】
このようにした場合、シート状ないしはマット状をなす各層の構成材料を積層状態にした後、これらを相互に溶着によって馴染み良く一体化させて袋状をなすフィルタ体を構成させることができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、フィルタ装置を構成するフィルタ体の濾過精度をできるだけ高めながら、フィルタ体の目詰まりを長期にわたりできる限り生じさせないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図1ないし図3に基づいて、この発明を実施するための最良の形態の一つについて説明する。
【0020】
なお、ここで図1は、燃料タンクT内にある燃料吸い込み口Pにフィルタ装置Fを取り付けた状態を示した構成図であり、また、図3は、かかるフィルタ装置Fを構成するフィルタ体1の断面構成の一例を示している。(図3においては、フィルタ体1の上面側と下面側の断面構成のみを表し、フィルタ体1内に納められる間隔形成部材3の記載を省略している。)また、図2は、メルトブローン法によって形成された三層の不織布層12…12を備えさせて構成されたフィルタ体1におけるこれら三層の不織布層12…12の性状を示したグラフである。
【0021】
この実施の形態にかかる燃料用フィルタ装置Fは、自動車や二輪自動車などの燃料タンクT内にある燃料吸い込み口Pに取り付けられて、かかる燃料吸い込み口Pを通じて内燃機関側に移送される燃料に水や異物を入り込ませないようにするためのものである。
【0022】
典型的には、かかるフィルタ装置Fは、燃料タンクT内に燃料吸い込み口Pを位置させた吸い込みパイプのこの燃料吸い込み口Pに取り付けられる。
【0023】
また、かかる燃料吸い込み口Pを通じた内燃機関側への燃料の移送は、燃料タンクT内に配されるフューエルポンプあるいは燃料タンクT外に配されるフューエルポンプによってなされる。
【0024】
かかるフィルタ装置Fは、袋状をなすフィルタ体1を有している。そして、かかるフィルタ装置Fは、この袋状をなすフィルタ体1の内部空間10を、前記燃料吸い込み口Pに連通させるように、この燃料吸い込み口Pに取り付けられるものとなっている。
【0025】
具体的には、図示の例にあっては、前記フィルタ装置Fが、一端部20を前記燃料吸い込み口Pへの接続端部とすると共に、他端部21を前記フィルタ体1に形成された連通穴11への接続端部としたプラスチック製の筒状ソケット体2を有しており、この筒状ソケット体2によってフィルタ体1の内部空間10が燃料吸い込み口Pに連通されるようにしてある。
【0026】
また、図示の例にあっては、かかるフィルタ装置Fは、前記フィルタ体1内に納められてこのフィルタ体1を常時膨らんだ袋状に保つ間隔形成部材3を有している。
【0027】
具体的には、図示の例にあっては、前記間隔形成部材3は、袋状をなすフィルタ体1の上部の内面にその上面を接しさせると共に、このフィルタ体1の下部の内面にその下面を接しさせる厚さを持つように構成されており、フィルタ体1の内部に入れ込まれてこのフィルタ体1を膨らんだ袋状に常時保つようになっている。この間隔形成部材3には、その上面と下面との間に亘る複数の燃料の通過部(図示は省略する。)が形成されている。
【0028】
また、前記フィルタ体1は、二層以上の不織布層12、12…を有している。
【0029】
それと共に、ある不織布層12の気孔の平均径と他の不織布層12の気孔の平均径とが一致しないようにしてあると共に、
この二層以上の不織布層12、12…のうち、フィルタ体1のより内方に位置される不織布層12の気孔の平均径が、これよりも外方に位置される不織布層12の気孔の平均径よりも小さくなるようにしてあり、
しかも、これらの不織布層12をメルトブローン法により形成させてろ過勾配が緩やかになるようにしてある。
【0030】
これにより、かかるフィルタ装置Fによれば、フィルタ体1の前記外方に位置される不織布層12によって比較的粒径の大きい塵芥などを捕捉し、フィルタ体1のより内方に位置される不織布層12によって比較的粒径の小さい塵芥などを捕捉することができ、フィルタ体1の目詰まりを生じさせ難い状態で、吸引される燃料から塵芥などを適切に除去させることができる。すなわち、不織布層12を一層にした場合は全ての粒径の塵芥などをこの不織布層12によって捕捉せざるを得ないためフィルタ体1の目詰まりが経時的に生じ易い。また、気孔をさほど異ならせない二層以上の不織布層12、12…によってフィルタ体1を構成させた場合には、全ての塵芥などがもっともフィルタ体1の外方に位置される不織布層12によって捕捉されてしまうため同様にフィルタ体1の目詰まりが経時的に生じ易いが、かかるフィルタ装置Fにあってはフィルタ体1の目詰まりを長期にわたり生じ難くさせることができる。
【0031】
また、メルトブローン法によれば、不織布層12を構成する合成繊維の線径を効果的に細めることができ、これによりかかる不織布層12の気孔の平均径を適切に小さく調整できることから、フィルタ体1のより内方に位置される不織布層12の気孔の平均径とこれより外方に位置される不織布層12の気孔の平均径とに極端な差が生じないように、つまり、フィルタ体1のろ過勾配が急峻にならないようにすることができる。これにより、フィルタ体1の外方に位置される不織布層12により内方に位置される不織布層12に対するプレフィルタとしての機能を適切に付与させることができる。すなわち、スパンボンド法によって形成された不織布層12をフィルタ体1の外方に位置させ、この内方にメルトブローン法によって形成された不織布層12を位置させるようにしてフィルタ体1を構成させた場合には、スパンボンド法では不織布層12を構成する合成繊維の線径を細め難いため不織布層12の剛性(こわさ)は確保できるものの不織布層12の気孔の平均径を小さくさせ難くメルトブローン法によって形成された不織布層12に塵芥などの捕捉の多くを委ねさせてしまい結果として内方に位置されるメルトブローン法によって形成された不織布層12の目詰まりを経時的に生じさせ易くしてしまうが、この実施の形態にかかるフィルタ装置Fにあっては、フィルタ体1のより内方に位置される不織布層12がその気孔の平均径によって捕捉が期待される比較的粒径を小さくする塵芥などのみを捕捉するようにそれよりも粒径を大きくする塵芥などをこれよりも外方に位置される不織布層12によって事前に適切に捕捉できることから、より内方に位置される不織布層12の目詰まりをできる限り生じさせ難くすることができる。
【0032】
かかるメルトブローン法により形成された二層以上の不織布層12、12…のうち、
フィルタ体1の最も内方に位置される不織布層の気孔の平均径が5μmから10μmの範囲としてあると共に、
これら二層以上の不織布層12、12…のうち、フィルタ体1のより内方に位置される一つの不織布層12の気孔の平均径と、
これに隣り合い、かつ、これよりも外方に位置される一つの不織布層12の気孔の平均径との差が、
40μm以下となるようにすることが、良好な効果をもたらす選択肢の一つである。
【0033】
燃料に通常含まれる塵芥などの性状などから、このようにすることによってフィルタ体1による濾過を経た燃料中の塵芥などを適切に減少させることができ、また、フィルタ体1の目詰まりを長期にわたり生じさせ難いことが認められた。
【0034】
図2は、メルトブローン法により形成された三層の不織布層12…12を備えさせてフィルタ体1を構成させた場合の例を示したグラフである。
【0035】
図2における横軸は不織布層12に備えられた気孔の径であり、また、縦軸は一つの不織布層12の全気孔面積に対する特定径の気孔の面積が占める割合である。
【0036】
図2においては実線でフィルタ体1の最も内方に位置される不織布層12の気孔の性状を表し、破線で中間に位置される不織布層12の気孔の性状を表し、さらに、一点鎖線で最も外方に位置される不織布層12の気孔の性状を表している。
【0037】
この例では、フィルタ体1の最も内方に位置される不織布層12の気孔の平均径は7.1μmであり、中間に位置される不織布層12の気孔の平均径は15.1μmであり、最も外方に位置される不織布層12の気孔の平均径は27.0μmとなつている。
【0038】
隣り合う不織布層12、12間の気孔の平均径の差は、40μm以下であり、濾過勾配は緩やかなものとなっている。
【0039】
また、かかるフィルタ装置Fのフィルタ体1の最外層を、織物メッシュ13によって構成させておくこともできる。
【0040】
このようにした場合、かかる最外層によって燃料に含まれる水分と燃料とを分離させて水分がフィルタ体1内に入り込まないようにすることができると共に、メルトブローン法によって形成された不織布層12が直接燃料タンクTの内壁Taなどに接して摩耗してしまうといったことがないようにすることができる。すなわち、かかるフィルタ装置Fにあっては、燃料タンクTの内圧の変化などによってこの燃料タンクTの下部内壁面Taが内外に移動することなどに伴なって(つまり、燃料タンクTの膨縮などに伴って)フィルタ体1の下面部12とこの燃料タンクTの下部内壁面Taとの間に擦れが生じても、不織布からなる内層部13がその影響を直接受けることがなく、こうした擦れによって内層部13を構成する不織布にほつれを生じさせることがない。
【0041】
かかる最外層を構成する織物メッシュ13は、典型的には、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維などの合成繊維を油水分離に十分な細かさの網目を持つように織り込むことによって構成される。かかる織物メッシュ13は、例えば、畳織、平織、あや織、朱子織などによって構成することができる。
【0042】
また、かかるフィルタ体1の最内層を、スパンボンド法により形成された不織布層14によって構成させておくこともできる。
【0043】
このようにした場合、かかる最内層によってフィルタ体1に剛性(こわさ)を付与してフィルタ体1を保形し易くできる。また、前記間隔形成部材3に、メルトブローン法によって形成された不織布層12を接しさせずに、これより剛性の高いスパンボンド法によって形成された不織布層14が接するようにすることができる。
【0044】
また、多層よりなるフィルタ体1の各層を同一の合成樹脂材料によって構成しておくこともできる。例えば、かかる各層をいずれもポリプロピレンによって構成したり、ナイロンによって構成したりする。
【0045】
このようにした場合、シート状ないしはマット状をなす各層の構成材料を積層状態にした後、これらを相互に溶着によって馴染み良く一体化させて袋状をなすフィルタ体1を構成させることができる。
【0046】
図3に示される例では、フィルタ体1の最外層を織物メッシュ13とし、最内層をスパンボンド法によって形成された不織布層14とすると共に、両者の間に二層のメルトブローン法により形成された不織布層12、12を挟み込むようにしてフィルタ体1を構成させている。かかる二層の不織布層12、12のうち、最外層に接している不織布層12の気孔の平均径よりも最内層に接している不織布層12の気孔の平均径が小さくなるようにしてある。
【0047】
かかるメルトブローン法によって形成された不織布層12を三層以上備えるようにしてフィルタ体1を構成するようにすることもできる。このようにした場合には、フィルタ体1の内方に位置される不織布層12ほど気孔の平均径が小さくなるように、フィルタ体1の外方に位置される不織布層12ほど気孔の平均径が大きくなるようにする。
【0048】
図示の例にかかるフィルタ体1は、織物メッシュとスパンボンド法によって形成された不織布との間に、メルトブローン法によって形成された二枚の不織布を挟み込んだようにして重ね合わせた後、これらをスパンボンド法によって形成された不織布を内方に位置させるようにして、かつ、前記間隔形成部材3を挟み込ませた状態で二つ折りにし、この後、折った辺部を除く辺部に亘って、あるいは、この折った辺部を除く辺部に沿ってこの辺部よりも内方に、二つ折りにされて重ね合わされた一方の側と他方の側とを一体化させる熱シール部15を形成させることにより、構成することができる。前記筒状ソケット体2への連通穴11は、かかる二つ折りを施すに先立って、前記のように重ね合わせた四枚の布に予め穿設させておく。
【0049】
あるいはまた、図示の例にかかるフィルタ体1は、織物メッシュとスパンボンド法によって形成された不織布との間に、メルトブローン法によって形成された二枚の不織布を挟み込んだようにして重ね合わせた第一の積層体と、織物メッシュとスパンボンド法によって形成された不織布との間に、メルトブローン法によって形成された二枚の不織布を挟み込んだようにして重ね合わせた第二の積層体とを、第一の積層体のスパンボンド法によって形成された不織布と、第二の積層体のスパンボンド法によって形成された不織布とが向き合わされるようにして、かつ、両者の間に前記間隔形成部材3を挟み込ませた状態で重ね合わせ、この後、挟み込まれた間隔形成部材3の外郭を巡るように第一の積層体と第二の積層体とを一体化させる熱シール部15を形成させることにより、構成することができる。前記筒状ソケット体2への連通穴11は、事前に第一の積層体又は第二の積層体に、穿設させておく。
【0050】
このように形成されるフィルタ体1にはさらに、その形成に先だってフィルタ体1を構成する各層を前記熱シール部15以外で一体化させるようにスポット的な溶着を適宜施すようにすることもある。
【0051】
また、前記熱シール部15よりも外方に位置される不要箇所は、必要に応じてカッティングして、フィルタ体1の形状を整えるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】フィルタ装置Fの使用状態を示す断面構成図
【図2】フィルタ体1を構成する不織布層12の組み合わせの一例を示したグラフ
【図3】フィルタ体1の構成例を示した拡大断面構成図
【符号の説明】
【0053】
F フィルタ装置
P 燃料吸い込み口
T 燃料タンク
1 フィルタ体
12 不織布層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋状をなすフィルタ体を有し、燃料タンク内にある燃料吸い込み口にこのフィルタ体の内部空間を連通させるように取り付けられるフィルタ装置であって、
フィルタ体は、二層以上の不織布層を有しており、
ある不織布層の気孔の平均径と他の不織布層の気孔の平均径とが一致しないようにしてあると共に、
この二層以上の不織布層のうち、フィルタ体のより内方に位置される不織布層の気孔の平均径が、これよりも外方に位置される不織布層の気孔の平均径よりも小さくなるようにしてあり、
しかも、これらの不織布層をメルトブローン法により形成させてろ過勾配が緩やかになるようにしてあることを特徴とする燃料用フィルタ装置。
【請求項2】
メルトブローン法により形成された二層以上の不織布層のうち、
フィルタ体の最も内方に位置される不織布層の気孔の平均径が5μmから10μmの範囲としてあると共に、
これら二層以上の不織布層のうち、フィルタ体のより内方に位置される一つの不織布層の気孔の平均径と、
これに隣り合い、かつ、これよりも外方に位置される一つの不織布層の気孔の平均径との差が、
40μm以下となるようにしてあることを特徴とする請求項1記載の燃料用フィルタ装置。
【請求項3】
フィルタ体の最外層が、織物メッシュであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の燃料用フィルタ装置。
【請求項4】
フィルタ体の最内層が、スパンボンド法により形成された不織布層であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の燃料用フィルタ装置。
【請求項5】
多層よりなるフィルタ体の各層が同一の合成樹脂材料によって構成してあることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の燃料用フィルタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−92756(P2007−92756A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−291496(P2006−291496)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【分割の表示】特願2003−283680(P2003−283680)の分割
【原出願日】平成15年7月31日(2003.7.31)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】