燃料破損検出用採水装置
【課題】 燃料集合体チャンネルボックス上端が上部格子板上端と同じ高さかあるいは若干下方に位置する場合においても、チャンネルボックス内の冷却材を正確にかつ短時間で採取する。
【解決手段】 外キャップ10の切欠部に内接するエアバック25に給気し、外キャップ10の内外の冷却材や空気を分離し、長さの異なる水位検出管23a、23bから冷却材が吸水されるか空気が吸気されるかで冷却材の水位を判断する。またこの水位検出管の代わりに電気式水位計を設ける方法や、外キャップ10下端や内キャップ11の下端あるいは上方にエアバックを設ける方法も有効である。
【解決手段】 外キャップ10の切欠部に内接するエアバック25に給気し、外キャップ10の内外の冷却材や空気を分離し、長さの異なる水位検出管23a、23bから冷却材が吸水されるか空気が吸気されるかで冷却材の水位を判断する。またこの水位検出管の代わりに電気式水位計を設ける方法や、外キャップ10下端や内キャップ11の下端あるいは上方にエアバックを設ける方法も有効である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子炉燃料集合体チャンネルボックス内の冷却材を試料水として採取する際に用いる燃料破損検出用採水装置に関する。
【0002】
【従来の技術】以下従来の燃料破損検出用採水装置について図11及び図12を参照して説明する。図11は、一般的な原子炉圧力容器(図示せず)内における燃料集合体1とこの燃料集合体1の上部を被冠する燃料破損検出用採水装置2の断面図、図12は図11に示した燃料集合体1の上部と燃料破損検出用採水装置2の切欠断面図である。
【0003】燃料集合体1は、複数本の燃料棒3と、この燃料棒3を収めるチャンネルボックス4と、このチャンネルボックス4の上端と下端にそれぞれ取り付けられる上部タイプレート5及び下部タイプレート6とから構成される。燃料棒3は、核燃料の二酸化ウランペレットをジルコニウムライナ被覆管で覆ったものである。燃料集合体1は、図示しない原子炉圧力容器の冷却材7の充填された炉心内において、上部格子板9及び炉心支持板8によって多数個支持されている。すなわち、燃料集合体1のチャンネルボックス4は上部格子板9の開口部に一部間隙を保持しながら貫通しており、また下部タイプレート6は炉心支持板8の開口部に係合している。また従来の燃料集合体1においては、通常はチャンネルボックス4の上端は上部格子板9よりも上方に位置している。
【0004】一方、燃料破損検出用採水装置2は、炉内シッピング検査において用いられる。すなわち、何らかの原因で燃料棒3の被覆管に亀裂が生じ、この亀裂から過大な放射能が漏洩していないかを、炉内の全燃料集合体について検査する際に用いる装置である。この燃料破損検出用採水装置2を使用する場合は原子炉の運転を停止する。燃料破損検出用採水装置2は、外キャップ10と、この外キャップ10の中に収められる内キャップ11と、外キャップ10を燃料集合体1に被冠しあるいは燃料集合体1から取り外すときに用いられる把手16とを具備する。内キャップ11は、通常は縦横2個ずつ計4個が外キャップ10内に収められる。
【0005】この外キャップ10の下端部には、切欠部12が設けられる。さらに給気管13が外キャップ10を貫通しており、また採水管14が外キャップ10を貫通し、かつ内キャップ11を空隙15を保ちながら貫通して内キャップ11より下方へ延設されている。
【0006】この燃料破損検出用採水装置2を使用して燃料棒1の破損を点検する手順について説明する。まず燃料破損検出用採水装置2を採水位置に配置する。すなわち、内キャップ11の個数に合わせて通常は縦横2個ずつ計4個の燃料集合体1をひとまとめにし、これら4個の燃料集合体1に内キャップ11を被冠させながら、外キャップ10を上部格子板9に当接させる。内キャップ11は、被冠した燃料集合体1の各チャンネルボックス4の上端に、上部タイプレート5を囲繞しながら当接される。このとき採水管14はチャンネルボックス4内に挿入される。また外キャップ10内には冷却材7が充填される。
【0007】こうして燃料破損検出用採水装置2を採水位置に配置したら、次に給気管13を通じて内キャップ10内に圧縮空気を送る。この圧縮空気は外キャップ10内において冷却材7を押圧し、徐々に冷却材7の水位を下げる。その結果、冷却材7の水位が内キャップ11の上端より下がれば、内キャップ11に連なる燃料集合体1の内と外で冷却材は分け隔てられることになる。その後圧縮空気は、空隙15を介して内キャップ11の中にも入り込み同じように冷却材を押圧するため、内キャップ11の内と外で冷却材7の水位は変わらない。
【0008】こうして圧縮空気を送り続けると、やがて外キャップ10内の冷却材7の水位は、外キャップ10の切欠部12の上端位置まで下がる。すると、内キャップ11の外の冷却材を押し下げる圧縮空気の一部が、切欠部12から気泡17となって外キャップ10の外に出る。したがって、原子炉圧力容器の冷却材水面に気泡17が認められれば、燃料集合体1内の冷却材7が燃料集合体1外の冷却材7と完全に分離されていることが確認できる。この確認がなされたら、給気を止め、所定時間経過した後、今度は採水管14を通じてチャンネルボックス4内の冷却材7を試料水として採取する。
【0009】このような手順で試料水の採取を行えば、この試料水には燃料集合体1外から不純物が入り込むことがない。よって、この試料水の放射能濃度を調べることにより、何らかの原因で燃料棒3の被覆管に亀裂が生じて、その亀裂を通して放射性物質がチャンネルボックス4内に入り込んでいるかどうかを正確に診断することができる。
【0010】したがってこの燃料破損検出用採水装置2を用いることにより、もし燃料棒に破損があるときは、これを早期に発見して燃料集合体の健全性維持を図ることができる。
【0011】しかしながら、近年開発された新型の原子炉の中には、図11及び図12に示した燃料集合体1の支持構造を若干変形し、燃料集合体1のチャンネルボックス4上端の高さと上部格子板9上端の高さが等しいものがある。このような燃料集合体においては、その上部に上述の燃料破損検出用採水装置2を被冠し給気管13から圧縮空気を送り込んで、外キャップ10の切欠部12から気泡17がこぼれ出るのが観察されたとしても、冷却材7が燃料集合体1の内と外で分離されたと認めることはできない。よってこの場合に採取される試料水では、燃料棒の破損を正確に診断することができない。
【0012】このような課題を解決するために、特開平3−185399に開示されているような燃料破損検出用採水装置が考えられた。図13はかかる工夫がなされた燃料破損検出用採水装置の一例の断面図である。この燃料破損検出用採水装置38は、外キャップの下端部にシール材39を具備し、また外キャップを貫通しかつ内キャップの下方に延設されて外キャップ内の雰囲気を吸引する水位確認管23を具備したものである。
【0013】この構成による作用について説明する。シール材39によって外キャップ10内への冷却材7の流入を防ぎつつ、給気管13を通じて圧縮空気を外キャップ10内に送り込み、水位確認管23から外キャップ10内の雰囲気を吸引する。すると圧縮空気によって押圧された外キャップ10内の冷却材7は徐々に水位を下げるが、内キャップ11に設けた空隙15のため、内キャップ11の内外で冷却材の水位は変わらない。よって、水位確認管13が冷却材7でなく圧縮空気を吸引するようになったときには、冷却材が燃料集合体1の内と外で分け隔てられていることになるから、この後採水管14を通じて試料水を採取すれば、この試料水は燃料集合体1内の放射能濃度を正確に反映するものとなる。
【0014】また特開平3−185399においては、燃料破損検出用採水装置として、図13における水位確認管23の代わりに外キャップ10の内側に超音波測距装置を設けた装置や、外キャップ10から内キャップ11より下方へ延設されるレーザ発信器または伝導率測定器を設けた装置が開示されている。これらの装置によっても、冷却材がチャンネルボックスの内と外で分け隔てられているかどうかを判断することができる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、近年開発された新型の原子炉に代表されるように、燃料集合体チャンネルボックスの上端が上部格子板の上端と同じ高さにあるかあるいは少し下方に位置する場合に、正確に燃料集合体チャンネルボックス内の冷却材を試料水として採取する様々な方法が考えられてきた。
【0016】さらに、燃料集合体チャンネルボックス内の冷却材の水位に関してシッピング可能水位を設定し、水位をより正確に制御することが考えられている。上述した図13の水位確認管を用いた燃料破損検出用採水装置38では、外キャップ内の冷却材水位が上部格子板上端より下方にあることが確認できるが、冷却材水位が必要以上に下がり過ぎている場合を検出するのは難しい。例えば冷却材の水位が上部タイプレートのネットワーク部より下方にある場合、燃料棒の冷却効率が下がることも考えられるため、燃料集合体の健全性の面からも好ましくない。
【0017】また、こうした炉内シッピング検査を定期検査として行う場合には、検査時間の短縮が大きな課題である。作業を速やかに行うことで、検査開始前に停止させた原子炉を早期に立ち上げることが可能になる。そのためには、外キャップ内に充填される冷却材の水位が上部格子板上端位置まで下がったことの確認や、燃料集合体の内外で冷却材が分け隔てられたことの確認を、早く正確に行う必要がある。
【0018】よって本発明は、従来の水位確認管等を用いた方法を改良し、冷却材水位が予め設定したシッピング可能水位の範囲内に収まっていることを確認する手段を具備した燃料破損検出用採水装置を提供することを目的とする。また本発明は、こうした冷却材の水位の確認を短時間で行うことが可能な燃料破損検出用採水装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1記載の発明においては、燃料破損検出用採水装置の外キャップの切欠部に内接する伸縮可能なエアバックを具備することを特徴とする燃料破損検出用採水装置を提供する。
【0020】この構成により、外キャップが正しく装着されていることを確認した後、外キャップ内に収納されている伸縮可能なエアバックの内部に空気を送り込みエアバックを膨らませ、外キャップの切欠部を塞ぐものとする。
【0021】さらに請求項2記載の発明においては、燃料集合体内の冷却材の水位を確認する水位確認手段として、予め設定された冷却材のシッピング可能水位の上限の位置に開口部を有する水位確認管と、前記シッピング可能水位の下限の位置に開口部を有する水位確認管とを具備することを特徴とする請求項1記載の燃料破損検出用採水装置を提供する。
【0022】この構成により、各水位確認管がそれぞれ冷却材を吸水するかあるいは圧縮空気を吸気するかを確認し、冷却材水位がシッピング可能水位の範囲内にあるか否かを判断する。
【0023】また請求項3記載の発明においては、前記水位確認手段として、予め設定された冷却材のシッピング可能水位の上限及び下限の位置に電気式水位計を具備することを特徴とする請求項1記載の燃料破損検出用採水装置を提供する。
【0024】この構成により、各電気式水位計の入力信号の変化の有無を確認し、冷却材水位がシッピング可能水位の範囲内にあるか否かを判断する。さらに請求項4記載の発明においては、前記外キャップの下端の前記上部格子板と接触する部分及び前記内キャップの下端の前記チャンネルボックスと接触する部分にエアバックを設けたことを特徴とする燃料破損検出用採水装置を提供する。
【0025】この構成により、エアバックによって試料水採取時の外キャップのシール性や内キャップの密封性を高める。さらに請求項5記載の発明においては、前記内キャップの上方に伸縮可能なエアバックを設けたことを特徴とする燃料破損検出用採水装置を提供する。この構成により、内キャップ装着の際にこの伸縮可能なエアバックの中に空気を送り込み、試料水採取時の内キャップの密封性を高める。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。以下、近年開発された新型の原子炉について、すなわち、燃料集合体のチャンネルボックス上端の高さと上部格子板上端の高さが等しいものについて本発明を適用した場合を説明する。なお、上記従来の技術と同じ構成部分については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0027】図1は本発明の第1の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置20を燃料集合体1の上部格子板9上に設置して作動させたときの断面図、図2はこの燃料破損検出用採水装置20を炉心内で懸吊したときの断面図、図3は図1に示した燃料集合体1の上部と燃料破損検出用採水装置20の切欠断面図である。
【0028】この燃料破損検出用採水装置20は、外キャップ10と、この外キャップ10の中に収められる内キャップ11と、外キャップ10を燃料集合体1に被冠し、あるいは燃料集合体1から取り外す場合に用いられる把手16とを具備する。内キャップ11は、通常は縦横2個ずつ計4個が外キャップ10内に収められる。
【0029】図1及び図3に示すように、外キャップ10下端部には切欠部12が設けられ、この切欠部に内接するように伸縮可能なエアバック25が設けられる。このエアバック25には、必要に応じて原子炉圧力容器外の図示しない給気源から空気が送られ、またときにはエアバック25内の空気が給気源へと送られる。また給気管13が外キャップ10を貫通しており、採水管14が外キャップ10を貫通し、かつ内キャップ11を空隙を保ちながら貫通して内キャップ11より下方へ延設されている。
【0030】さらに、冷却材の水位確認手段として、燃料集合体1体につき2本の水位確認管23a、23bが外キャップ10を貫通し、かつ内キャップ11を空隙を保ちながら貫通している。炉内シッピング検査が可能な冷却材の水位は、チャンネルボックス4上端と上部タイプレートネットワーク部26の間である。そこで、上部水位確認管23aの開口先端部をチャンネルボックス4の上端より若干下方に配置し、また下部水位確認管23bの開口先端部を上部タイプレートネットワーク部26の直上に配置する。
【0031】また図2において燃料破損検出用採水装置20は、原子炉圧力容器21に収納された冷却材7中において、把手16を介して懸吊具22によって懸吊されながら所望の採水位置に移動される。外キャップ10内に接続される給気管13、採水管14及び水位確認管23a、23b及びエアバック25は、原子炉圧力容器21外において給気、吸気、給水及び吸水を制御するシッピング制御装置24に接続される。
【0032】この燃料破損検出用採水装置20を使用して燃料棒1の破損を点検する手順について、図3を参照して説明する。最初にエアバック25を収納された状態にしておく。燃料破損検出用採水装置20を採水位置に配置した後、給気管13を通して外キャップ10内に圧縮空気を送る。この圧縮空気は外キャップ10内において冷却材7を押圧し、徐々に冷却材7の水位を下げる。空隙を介して圧縮空気が内キャップ11の中にも入り込むため、内キャップ11の内と外で冷却材7の水位は変わらない。
【0033】こうして圧縮空気を送り続けると、やがて冷却材7の水位は外キャップ10の切欠部12の上端位置まで下がり、圧縮空気の一部が、切欠部12から気泡となって外キャップ10の外に出る。こうして原子炉圧力容器の冷却材水面に気泡が認められれば、外キャップ10が上部格子板9に装着されたことが確認できる。この装着性確認後、エアバック25に圧縮空気を給気し、切欠部12を塞ぐ。気泡が止まったことを確認し、今度は水位確認管23a、23bから冷却材7の吸水を開始する。圧縮空気が外部に漏れなくなったため、冷却材7の水位はさらに下がり、内キャップ11の内側の水位はチャンネルボックス4の上端より低く、また内キャップ11の外側の水位は上部格子板9上端より低くなる。さらに給水を続けると、上部水位確認管23aから冷却材7ではなく圧縮空気が吸気されるようになる。この吸気をもって内キャップ11の内側の冷却材7の水位がチャンネルボックス4上端より低くなったことが確認できる。この時点で上部水位確認管23aからの吸気を止める。これによって、燃料集合体1の内と外で冷却材7は分け隔てられることになる。また、冷却材7の水位が下がりすぎて、燃料棒3が気中に露出するかまたは冷却材7の量が少なくなることを防止するために、給気管13から送り出す圧縮空気の圧力を調節し、下部水位確認管23bから冷却材7が吸水されることを併せて確認する。このとき冷却材7の水位はシッピング可能水位の範囲内にあるといえる。所定時間経過後、採水管14を通じてチャンネルボックス4内の冷却材7を試料水として採取する。
【0034】このような手順で試料水の採取を行えば、燃料集合体1の外から不純物が入り込むことがない。よって、この試料水の放射能濃度を調べることにより、何らかの原因で燃料棒3の被覆管に亀裂が生じて、その亀裂を通して放射性物質がチャンネルボックス4内に入り込んでいるかどうかを調べることができる。
【0035】また、採水管14の開口先端部を下部水位確認管23bの開口先端部よりも下方に配置しておけば、下部水位確認管23bから冷却材7が吸水されているときには採水管14から冷却材7を確実に吸水できる。すなわち、下部水位確認管23bからの冷却材7の吸水を確認することで、採水管14から冷却材7ではなく空気が吸引されることを防止できる。
【0036】なお、燃料集合体のチャンネルボックス4上端が上部格子板9上端より若干下方に位置するような場合でも、上述の作用により、同様の効果が得られる。以下、本発明の第2の実施形態について説明する。図4は本発明の第2の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置27と燃料集合体1上部の切欠断面図である。
【0037】この燃料破損検出用採水装置27においても、第1の実施形態と同様に、外キャップ10下端部には切欠部12が設けられ、この切欠部12に内接するように伸縮可能なエアバック25が設けられる。また給気管13が外キャップ10を貫通しており、採水管14が外キャップ10を貫通し、かつ内キャップ11を空隙を保ちながら貫通して内キャップ11より下方へ延設されている。さらに、冷却材7の水位確認手段として、内キャップ11の内側上方から電気式水位計28が取り付けられている。この電気式水位計28は、上部電気式水位計28aと下部電気式水位計28bとからなる。
【0038】また、第1の実施形態について図2に示したものと同様に、給気管13、採水管14、エアバック25及び電気式水位計28は、原子炉圧力容器21外において給気、吸気、給水及び吸水を制御するシッピング制御装置24に接続される。またこの電気式水位計28の取付方法としては、例えば内キャップ11の内側上方に一端をもつパイプを下方に延設し、このパイプの下端に電気式水位計28を設け、またこのパイプの内部にケーブルを通し、このケーブルによって電気式水位計28からの信号をシッピング制御装置24へ伝えるといった方法が考えられるが、これに制限されるものではない。
【0039】炉内シッピング検査が可能な冷却材の水位は、チャンネルボックス4上端と上部タイプレートネットワーク部26の間である。そこで、上部電気式水位計28aをチャンネルボックス4の上端より若干下方に配置し、また下部電気式水位計28bを上部タイプレートネットワーク部26の直上に配置する。
【0040】この燃料破損検出用採水装置27を使用して燃料棒1の破損を点検する手順について説明する。最初にエアバック25を収納された状態にしておく。燃料破損検出用採水装置27を採水位置に配置した後、給気管13を通じて外キャップ10内に圧縮空気を送る。圧縮空気を送り続けると、やがて冷却材7の水位は外キャップ10の切欠部12の上端位置まで下がり、圧縮空気の一部が、切欠部12から気泡となって外キャップ10の外に出る。こうして原子炉圧力容器の冷却材水面に気泡が認められれば、外キャップ10が上部格子板9に装着されたことが確認できる。この装着性確認後、エアバック25に圧縮空気を給気し、切欠部12を塞ぐ。ここで気泡が止まったことを確認する。圧縮空気は継続して給気するため冷却材7の水位はさらに下がり、内キャップ11の内側の水位はチャンネルボックス4の上端より低くなる。このとき、水位が上部電気式水位計28aの位置より下がると、上部電気式水位計28aの入力信号が変化する。この信号の変化をもって、内キャップ11の内側の冷却材7の水位がチャンネルボックス4上端より低くなり、燃料集合体1の内と外で冷却材7は分け隔てられたことが確認できる。また、冷却材7の水位を適正に保つために、給気管13から送り出す圧縮空気の圧力を調節し、下部電気式水位計28bの入力信号に変化がないことも併せて確認する。この入力信号の変化がなければ、冷却材7の水位はシッピング可能水位の範囲内にあるといえる。所定時間経過後、採水管14を通じてチャンネルボックス4内の冷却材7を試料水として採取する。このような手順で試料水の採取を行えば、この試料水は燃料集合体1内の放射能濃度を正確に反映するものとなる。
【0041】また、採水管14の開口先端部を下部電気式水位計28bよりも下方に配置しておけば、下部電気式水位計28bの入力信号の変化がないときには採水管14から冷却材7を確実に吸水できる。すなわち、下部電気式水位計28bの入力信号の変化の有無を確認することで、採水管14から冷却材7ではなく空気が吸引されることを防止できる。
【0042】なお、燃料集合体のチャンネルボックス4上端が上部格子板9上端より若干下方に位置するような場合でも、上述の作用により、同様の効果が得られる。以下、本発明の第3の実施形態について説明する。図5は本発明の第3の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置29と燃料集合体1上部の切欠断面図である。
【0043】この燃料破損検出用採水装置29においても、第1の実施形態と同様に、外キャップ10下端部には切欠部12が設けられ、この切欠部に内接するように伸縮可能なエアバック25が設けられる。また給気管13が外キャップ10を貫通しており、採水管14が外キャップ10を貫通し、かつ内キャップ11を空隙を保ちながら貫通して内キャップ11より下方へ延設されている。さらに、第1の実施形態と同様に、燃料集合体1体につき2本の水位確認管23a、23bが外キャップ10を貫通し、かつ内キャップ11を空隙を保ちながら貫通している。上部水位確認管23aの開口先端部をチャンネルボックス4の上端より若干下方に配置し、また下部水位確認管23bの開口先端部を上部タイプレートネットワーク部26の直上に配置する。
【0044】さらに外キャップ10下端の上部格子板9と接触する部分にエアバック31を、内キャップ11下端のチャンネルボックス4と接触する部分にエアバック30を、それぞれ設置する。これらのエアバック30、31はキャップ10、11のシール性あるいは密封性を高め、キャップ装着後にキャップの内外での冷却材または空気の出入りを防止する機能を有する。
【0045】この燃料破損検出用採水装置29を使用して燃料棒1の破損を点検する手順について説明する。最初にエアバック25を収納された状態にしておく。燃料破損検出用採水装置29を採水位置に配置した後、給気管13を通じて内キャップ10内に圧縮空気を送る。圧縮空気を送り続けると、やがて冷却材7の水位は外キャップ10の切欠部12の上端位置まで下がり、圧縮空気の一部が切欠部12から気泡となって外キャップ10の外に出る。こうして原子炉圧力容器の冷却材水面に気泡が認められれば、外キャップ10が上部格子板9に装着されたことが確認できる。この装着性確認後、エアバック25に圧縮空気を給気し、切欠部12を塞ぐ。このとき、シール性を高めるため外キャップ10下端に取り付けられたエアバック31によって、外キャップ10内の空気が上部格子板9と外キャップ10下端の隙間から外へ漏れ出るのを防止できる。また、密封性を高めるため内キャップ11下端に取り付けられたエアバック30によって、内キャップ11の内側の水位と内キャップ11の外側の水位がほぼ同様に変化する。以降の手順は第1の実施形態と同様である。
【0046】この構成によって第1の実施形態と同様の効果が得られると同時に、外キャップ10のシール性や内キャップ11の密封性が高まり、より早く確実に試料水を採取することができる。
【0047】以下、本発明の第4の実施形態について説明する。図6は本発明の第4の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置32と燃料集合体1上部の切欠断面図である。
【0048】この燃料破損検出用採水装置32においても、第1の実施形態と同様に、外キャップ10下端部には切欠部12が設けられ、この切欠部に内接するように伸縮可能なエアバック25が設けられる。また給気管13が外キャップ10を貫通しており、採水管14が外キャップ10を貫通し、かつ内キャップ11を空隙を保ちながら貫通して内キャップ11より下方へ延設されている。さらに、第2の実施形態と同様に、内キャップ11の内側上方から、電気式水位計28が取り付けられている。電気式水位計28は上部電気式水位計28aと下部電気式水位計28bとからなる。上部電気式水位計28aをチャンネルボックス4の上端より若干下方に配置し、また下部電気式水位計28bを上部タイプレートネットワーク部26の直上に配置する。
【0049】さらに外キャップ10下端の上部格子板9と接触する部分にエアバック31を、内キャップ11下端のチャンネルボックス4と接触する部分にエアバック30を、それぞれ設置する。これらのエアバック30、31はキャップ10、11のシール性あるいは密封性を高め、装着後にキャップの内外での冷却材または空気の出入りを防止する機能を有する。
【0050】この燃料破損検出用採水装置32を使用して燃料棒1の破損を点検する手順について説明する。最初にエアバック25を収納された状態にしておく。燃料破損検出用採水装置32を採水位置に配置した後、給気管13を通じて内キャップ10内に圧縮空気を送る。圧縮空気を送り続けると、やがて冷却材7の水位は外キャップ10の切欠部12の上端位置まで下がり、圧縮空気の一部が、切欠部12から気泡となって外キャップ10の外に出る。こうして原子炉圧力容器の冷却材水面に気泡が認められれば、外キャップ10が上部格子板9に装着されたことが確認できる。この装着性確認後、エアバック25に圧縮空気を給気し、切欠部12を塞ぐ。このとき、シール性を高めるため外キャップ10下端に取り付けられたエアバック31によって、外キャップ10内の空気が上部格子板9と外キャップ10下端の隙間から外へ漏れ出るのを防止できる。また、密封性を高めるため内キャップ11下端に取り付けられたエアバック30によって、内キャップ11の内側の水位と内キャップ11の外側の水位がほぼ同様に変化する。以降の手順は第2の実施形態と同様である。
【0051】この構成によって第2の実施形態と同様の効果が得られると同時に、外キャップ10のシール性や内キャップ11の密封性が高まり、より早く確実に試料水を採取することができる。
【0052】以下、本発明の第5の実施形態について説明する。図7は本発明の第5の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置33と燃料集合体1上部の切欠断面図である。
【0053】この燃料破損検出用採水装置33においても、第1の実施形態と同様に、外キャップ10下端部には切欠部12が設けられ、この切欠部に内接するように伸縮可能なエアバック25が設けられる。また給気管13が外キャップ10を貫通しており、採水管14が外キャップ10を貫通し、かつ内キャップ11を空隙を保ちながら貫通して内キャップ11より下方へ延設されている。さらに、第1の実施形態と同様に、燃料集合体1体につき2本の水位確認管23a、23bが外キャップ10及び内キャップ11を貫通している。上部水位確認管23aの開口先端部をチャンネルボックス4の上端より若干下方に配置し、また下部水位確認管23bの開口先端部を上部タイプレートネットワーク部26の直上に配置する。
【0054】さらに内キャップ11の上方に伸縮可能なエアバック34を設置する。このエアバック34は、内部に適正な圧縮空気を送り込み、内キャップ11と外キャップ10との隙間をなくすことによって、外キャップ10の荷重を内キャップ11に上方から加えて、内キャップ11のチャンネルボックス4との密封性を向上させる機能を有する。
【0055】この燃料破損検出用採水装置33を使用して燃料棒1の破損を点検する手順について説明する。最初にエアバック25及びエアバック34を収納された状態にしておく。燃料破損検出用採水装置33を採水位置に配置した後、給気管13を通じて外キャップ10内に圧縮空気を送る。圧縮空気を送り続けると、やがて冷却材7の水位は外キャップ10の切欠部12の上端位置まで下がり、圧縮空気の一部が、切欠部12から気泡となって外キャップ10の外に出る。こうして原子炉圧力容器の冷却材水面に気泡が認められれば、外キャップ10が上部格子板9に装着されたことが確認できる。この装着性確認後、エアバック25に圧縮空気を給気し、切欠部12を塞ぐ。気泡が止まったことを確認し、水位確認管23a、23bから吸水を始める。やがて上部水位確認管23aから冷却材7ではなく圧縮空気が吸気されるようになるが、これにより内キャップ11の内側の冷却材7の水位がチャンネルボックス4の上端より低くなったことが確認できる。このとき上部水位確認管23aからの吸気を止め、同時にエアバック34に適正な圧縮空気を送り込む。これにより、エアバック34により外キャップ10の荷重が内キャップ11に上方から加わるから、内キャップ11のチャンネルボックス4との密封性が向上し、内キャップ11内の空気が外側に漏れ出すのを防止できる。以降の手順は第1の実施形態と同様である。
【0056】この構成によって第1の実施形態と同様の効果が得られると同時に、内キャップ11の密封性が高まり、より早く確実に試料水を採取することができる。以下、本発明の第6の実施形態について説明する。図8は本発明の第6の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置35と燃料集合体1上部の切欠断面図である。
【0057】この燃料破損検出用採水装置35においても、第1の実施形態と同様に、外キャップ10下端部には切欠部12が設けられ、この切欠部に内接するように伸縮可能なエアバック25が設けられる。また給気管13が外キャップ10を貫通しており、採水管14が外キャップ10を貫通し、かつ内キャップ11を空隙を保ちながら貫通して内キャップ11より下方へ延設されている。さらに、第2の実施形態と同様に、内キャップ11の内側上方から電気式水位計28が取り付けられている。この電気式水位計28は上部電気式水位計28aと下部電気式水位計28bとからなる。上部電気式水位計28aをチャンネルボックス4の上端より若干下方に配置し、また下部電気式水位計28bを上部タイプレートネットワーク部26の直上に配置する。
【0058】さらに内キャップ11の上方に伸縮可能なエアバック34を設置する。このエアバック34は、内部に適正な圧縮空気を送り込み、内キャップ11と外キャップ10との隙間をなくすことによって、外キャップ10の加重を内キャップ11に上方から加えて、内キャップ11のチャンネルボックス4との密封性を向上させる機能を有する。
【0059】この燃料破損検出用採水装置35を使用して燃料棒1の破損を点検する手順について説明する。最初にエアバック25及びエアバック34を収納された状態にしておく。燃料破損検出用採水装置35を採水位置に配置した後、給気管13を通じて内キャップ10内に圧縮空気を送る。圧縮空気を送り続けると、やがて冷却材7の水位は外キャップ10の切欠部12の上端位置まで下がり、圧縮空気の一部が、切欠部12から気泡となって外キャップ10の外に出る。こうして原子炉圧力容器の冷却材水面に気泡が認められれば、外キャップ10が上部格子板9に装着されたことが確認できる。この装着性確認後、エアバック25に圧縮空気を給気し、切欠部12を塞ぐ。ここで気泡が止まったことを確認する。やがて水位が上部電気式水位計28aの位置より下がり、上部電気式水位計28aの入力信号が変化する。これにより内キャップ11の内側の冷却材7の水位がチャンネルボックス4の上端より低くなったことが確認できる。このときエアバック34に適正な圧縮空気を送り込む。これにより、エアバック34により外キャップ10の加重が内キャップ11に上方から加わるから、内キャップ11のチャンネルボックス4との密封性が向上し、内キャップ11内の空気が外側に漏れ出すのを防止できる。以降の手順は第2の実施形態と同様である。
【0060】この構成によって第2の実施形態と同様の効果が得られると同時に、内キャップ11の密封性が高まり、より早く確実に試料水を採取することができる。以下、本発明の第7の実施形態について説明する。図9は本発明の第7の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置36と燃料集合体1上部の切欠断面図である。
【0061】この燃料破損検出用採水装置36においても、第1の実施形態と同様に、外キャップ10下端部には切欠部12が設けられ、この切欠部に内接するように伸縮可能なエアバック25が設けられる。また給気管13が外キャップ10を貫通しており、採水管14が外キャップ10を貫通し、かつ内キャップ11を空隙を保ちながら貫通して内キャップ11より下方へ延設されている。さらに、第1の実施形態と同様に、燃料集合体1体につき2本の水位確認管23a、23bが外キャップ10及び内キャップ11を貫通している。上部水位確認管23aの開口先端部をチャンネルボックス4の上端より若干下方に配置し、また下部水位確認管23bの開口先端部を上部タイプレートネットワーク部26の直上に配置する。
【0062】さらに外キャップ10下端の上部格子板9と接触する部分にエアバック31を、内キャップ11下端のチャンネルボックス4と接触する部分にエアバック30を、内キャップ11の上方に伸縮可能なエアバック34を、それぞれ設置する。これらのエアバック30、31、34は、第3及び第5の実施形態において説明したエアバックと同様の機能を有する。
【0063】この燃料破損検出用採水装置36を使用して燃料棒1の破損を点検する手順は、第5の実施形態と同様である。この構成によって第5の実施形態と同様の効果が得られると同時に、エアバック31によって外キャップ10のシール性が高まり、またエアバック30によって内キャップ11のシール性が高まるから、より確実に試料水を採取することができる。
【0064】以下、本発明の第8の実施形態について説明する。図10は本発明の第8の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置37と燃料集合体1上部の切欠断面図である。
【0065】この燃料破損検出用採水装置37においても、第1の実施形態と同様に、外キャップ10下端部には切欠部12が設けられ、この切欠部に内接するように伸縮可能なエアバック25が設けられる。また給気管13が外キャップ10を貫通しており、採水管14が外キャップ10を貫通し、かつ内キャップ11を空隙を保ちながら貫通して内キャップ11より下方へ延設されている。さらに、第2の実施形態と同様に、内キャップ11の内側上方から電気式水位計28が取り付けられている。この電気式水位計28は上部電気式水位計28aと下部電気式水位計28bとからなる。上部電気式水位計28aをチャンネルボックス4の上端より若干下方に配置し、また下部電気式水位計28bを上部タイプレートネットワーク部26の直上に配置する。
【0066】さらに外キャップ10下端の上部格子板9と接触する部分にエアバック31を、内キャップ11下端のチャンネルボックス4と接触する部分にエアバック30を、内キャップ11の上方に伸縮可能なエアバック34を、それぞれ設置する。これらのエアバック30、31、34は、第4及び第6の実施形態において説明したエアバックと同様の機能を有する。
【0067】この燃料破損検出用採水装置37を使用して燃料棒1の破損を点検する手順は、第6の実施形態と同様である。この構成によって第6の実施形態と同様の効果が得られると同時に、エアバック31によって外キャップ10のシール性が高まり、またエアバック30によって内キャップ11のシール性が高まるから、より確実に試料水を採取することができる。
【0068】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成されているため、以下に記載されるような効果を奏する。燃料破損検出用採水装置の外キャップの切欠部に内接する伸縮可能なエアバックを設置することにより、外キャップ内部に送り込む圧縮空気が外部に漏れ出るのを防止できるから、外キャップの密封性を向上させることができる。
【0069】さらに、水位確認手段として水位確認管を設け、この水位確認管の開口先端部を内キャップのシッピング可能水位の範囲に合わせて設定することにより、冷却材の水位がシッピング可能水位の範囲内にあるかどうかを容易に判断することができる。
【0070】また、水位確認手段として、内キャップのシッピング可能水位の範囲に合わせて電気式水位計を設置することにより、冷却材の水位がシッピング可能水位の範囲内にあるかどうかを容易に判断することができる。
【0071】さらに、外キャップの下端及び内キャップの下端にエアバックを設けることにより、外キャップのシール性や内キャップの密封性が高まり、より早く確実に試料水を採取することができる。
【0072】さらに、内キャップの上方に伸縮可能なエアバックを設けることにより、内キャップのシール性が高まり、より確実に試料水を採取することができる。従って、チャンネルボックス上端が上部格子板上端と同じ高さにあるかあるいは下方に位置するような場合においても、燃料集合体の外からの不純物を含まない冷却材を試料水として取り出し、この試料水の放射能濃度を調べることで燃料棒の破損を検出することができると同時に、燃料集合体内の冷却材の水位を早く確実に確認することができる。これにより、検査の精度の高さを保ちつつも検査時間を短縮する、すなわち燃料破損時もしくは健全性確認作業時の作業を速やかに実施することができ、原子炉の早期立ち上げが可能となるため、経済的効果も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置と燃料集合体の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置の炉心内における懸吊時の断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置と燃料集合体上部の切欠断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置と燃料集合体上部の切欠断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置と燃料集合体上部の切欠断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置と燃料集合体上部の切欠断面図である。
【図7】本発明の第5の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置と燃料集合体上部の切欠断面図である。
【図8】本発明の第6の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置と燃料集合体上部の切欠断面図である。
【図9】本発明の第7の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置と燃料集合体上部の切欠断面図である。
【図10】本発明の第8の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置と燃料集合体上部の切欠断面図である。
【図11】従来の燃料破損検出用採水装置と燃料集合体の断面図である。
【図12】従来の燃料破損検出用採水装置と燃料集合体上部の切欠断面図である。
【図13】従来の燃料破損検出用採水装置と燃料集合体の断面図である。
【符号の説明】
7 冷却材
9 上部格子板
10 内キャップ
11 外キャップ
12 内キャップ切欠部
13 給気管
14 採水管
17 気泡
20、27、29、32、33、35、36、37 燃料破損検出用採水装置
23a、23b 水位確認管
25、30、31、34 エアバック
26 上部タイプレートネットワーク部
28a、28b 電気式水位計
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子炉燃料集合体チャンネルボックス内の冷却材を試料水として採取する際に用いる燃料破損検出用採水装置に関する。
【0002】
【従来の技術】以下従来の燃料破損検出用採水装置について図11及び図12を参照して説明する。図11は、一般的な原子炉圧力容器(図示せず)内における燃料集合体1とこの燃料集合体1の上部を被冠する燃料破損検出用採水装置2の断面図、図12は図11に示した燃料集合体1の上部と燃料破損検出用採水装置2の切欠断面図である。
【0003】燃料集合体1は、複数本の燃料棒3と、この燃料棒3を収めるチャンネルボックス4と、このチャンネルボックス4の上端と下端にそれぞれ取り付けられる上部タイプレート5及び下部タイプレート6とから構成される。燃料棒3は、核燃料の二酸化ウランペレットをジルコニウムライナ被覆管で覆ったものである。燃料集合体1は、図示しない原子炉圧力容器の冷却材7の充填された炉心内において、上部格子板9及び炉心支持板8によって多数個支持されている。すなわち、燃料集合体1のチャンネルボックス4は上部格子板9の開口部に一部間隙を保持しながら貫通しており、また下部タイプレート6は炉心支持板8の開口部に係合している。また従来の燃料集合体1においては、通常はチャンネルボックス4の上端は上部格子板9よりも上方に位置している。
【0004】一方、燃料破損検出用採水装置2は、炉内シッピング検査において用いられる。すなわち、何らかの原因で燃料棒3の被覆管に亀裂が生じ、この亀裂から過大な放射能が漏洩していないかを、炉内の全燃料集合体について検査する際に用いる装置である。この燃料破損検出用採水装置2を使用する場合は原子炉の運転を停止する。燃料破損検出用採水装置2は、外キャップ10と、この外キャップ10の中に収められる内キャップ11と、外キャップ10を燃料集合体1に被冠しあるいは燃料集合体1から取り外すときに用いられる把手16とを具備する。内キャップ11は、通常は縦横2個ずつ計4個が外キャップ10内に収められる。
【0005】この外キャップ10の下端部には、切欠部12が設けられる。さらに給気管13が外キャップ10を貫通しており、また採水管14が外キャップ10を貫通し、かつ内キャップ11を空隙15を保ちながら貫通して内キャップ11より下方へ延設されている。
【0006】この燃料破損検出用採水装置2を使用して燃料棒1の破損を点検する手順について説明する。まず燃料破損検出用採水装置2を採水位置に配置する。すなわち、内キャップ11の個数に合わせて通常は縦横2個ずつ計4個の燃料集合体1をひとまとめにし、これら4個の燃料集合体1に内キャップ11を被冠させながら、外キャップ10を上部格子板9に当接させる。内キャップ11は、被冠した燃料集合体1の各チャンネルボックス4の上端に、上部タイプレート5を囲繞しながら当接される。このとき採水管14はチャンネルボックス4内に挿入される。また外キャップ10内には冷却材7が充填される。
【0007】こうして燃料破損検出用採水装置2を採水位置に配置したら、次に給気管13を通じて内キャップ10内に圧縮空気を送る。この圧縮空気は外キャップ10内において冷却材7を押圧し、徐々に冷却材7の水位を下げる。その結果、冷却材7の水位が内キャップ11の上端より下がれば、内キャップ11に連なる燃料集合体1の内と外で冷却材は分け隔てられることになる。その後圧縮空気は、空隙15を介して内キャップ11の中にも入り込み同じように冷却材を押圧するため、内キャップ11の内と外で冷却材7の水位は変わらない。
【0008】こうして圧縮空気を送り続けると、やがて外キャップ10内の冷却材7の水位は、外キャップ10の切欠部12の上端位置まで下がる。すると、内キャップ11の外の冷却材を押し下げる圧縮空気の一部が、切欠部12から気泡17となって外キャップ10の外に出る。したがって、原子炉圧力容器の冷却材水面に気泡17が認められれば、燃料集合体1内の冷却材7が燃料集合体1外の冷却材7と完全に分離されていることが確認できる。この確認がなされたら、給気を止め、所定時間経過した後、今度は採水管14を通じてチャンネルボックス4内の冷却材7を試料水として採取する。
【0009】このような手順で試料水の採取を行えば、この試料水には燃料集合体1外から不純物が入り込むことがない。よって、この試料水の放射能濃度を調べることにより、何らかの原因で燃料棒3の被覆管に亀裂が生じて、その亀裂を通して放射性物質がチャンネルボックス4内に入り込んでいるかどうかを正確に診断することができる。
【0010】したがってこの燃料破損検出用採水装置2を用いることにより、もし燃料棒に破損があるときは、これを早期に発見して燃料集合体の健全性維持を図ることができる。
【0011】しかしながら、近年開発された新型の原子炉の中には、図11及び図12に示した燃料集合体1の支持構造を若干変形し、燃料集合体1のチャンネルボックス4上端の高さと上部格子板9上端の高さが等しいものがある。このような燃料集合体においては、その上部に上述の燃料破損検出用採水装置2を被冠し給気管13から圧縮空気を送り込んで、外キャップ10の切欠部12から気泡17がこぼれ出るのが観察されたとしても、冷却材7が燃料集合体1の内と外で分離されたと認めることはできない。よってこの場合に採取される試料水では、燃料棒の破損を正確に診断することができない。
【0012】このような課題を解決するために、特開平3−185399に開示されているような燃料破損検出用採水装置が考えられた。図13はかかる工夫がなされた燃料破損検出用採水装置の一例の断面図である。この燃料破損検出用採水装置38は、外キャップの下端部にシール材39を具備し、また外キャップを貫通しかつ内キャップの下方に延設されて外キャップ内の雰囲気を吸引する水位確認管23を具備したものである。
【0013】この構成による作用について説明する。シール材39によって外キャップ10内への冷却材7の流入を防ぎつつ、給気管13を通じて圧縮空気を外キャップ10内に送り込み、水位確認管23から外キャップ10内の雰囲気を吸引する。すると圧縮空気によって押圧された外キャップ10内の冷却材7は徐々に水位を下げるが、内キャップ11に設けた空隙15のため、内キャップ11の内外で冷却材の水位は変わらない。よって、水位確認管13が冷却材7でなく圧縮空気を吸引するようになったときには、冷却材が燃料集合体1の内と外で分け隔てられていることになるから、この後採水管14を通じて試料水を採取すれば、この試料水は燃料集合体1内の放射能濃度を正確に反映するものとなる。
【0014】また特開平3−185399においては、燃料破損検出用採水装置として、図13における水位確認管23の代わりに外キャップ10の内側に超音波測距装置を設けた装置や、外キャップ10から内キャップ11より下方へ延設されるレーザ発信器または伝導率測定器を設けた装置が開示されている。これらの装置によっても、冷却材がチャンネルボックスの内と外で分け隔てられているかどうかを判断することができる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、近年開発された新型の原子炉に代表されるように、燃料集合体チャンネルボックスの上端が上部格子板の上端と同じ高さにあるかあるいは少し下方に位置する場合に、正確に燃料集合体チャンネルボックス内の冷却材を試料水として採取する様々な方法が考えられてきた。
【0016】さらに、燃料集合体チャンネルボックス内の冷却材の水位に関してシッピング可能水位を設定し、水位をより正確に制御することが考えられている。上述した図13の水位確認管を用いた燃料破損検出用採水装置38では、外キャップ内の冷却材水位が上部格子板上端より下方にあることが確認できるが、冷却材水位が必要以上に下がり過ぎている場合を検出するのは難しい。例えば冷却材の水位が上部タイプレートのネットワーク部より下方にある場合、燃料棒の冷却効率が下がることも考えられるため、燃料集合体の健全性の面からも好ましくない。
【0017】また、こうした炉内シッピング検査を定期検査として行う場合には、検査時間の短縮が大きな課題である。作業を速やかに行うことで、検査開始前に停止させた原子炉を早期に立ち上げることが可能になる。そのためには、外キャップ内に充填される冷却材の水位が上部格子板上端位置まで下がったことの確認や、燃料集合体の内外で冷却材が分け隔てられたことの確認を、早く正確に行う必要がある。
【0018】よって本発明は、従来の水位確認管等を用いた方法を改良し、冷却材水位が予め設定したシッピング可能水位の範囲内に収まっていることを確認する手段を具備した燃料破損検出用採水装置を提供することを目的とする。また本発明は、こうした冷却材の水位の確認を短時間で行うことが可能な燃料破損検出用採水装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1記載の発明においては、燃料破損検出用採水装置の外キャップの切欠部に内接する伸縮可能なエアバックを具備することを特徴とする燃料破損検出用採水装置を提供する。
【0020】この構成により、外キャップが正しく装着されていることを確認した後、外キャップ内に収納されている伸縮可能なエアバックの内部に空気を送り込みエアバックを膨らませ、外キャップの切欠部を塞ぐものとする。
【0021】さらに請求項2記載の発明においては、燃料集合体内の冷却材の水位を確認する水位確認手段として、予め設定された冷却材のシッピング可能水位の上限の位置に開口部を有する水位確認管と、前記シッピング可能水位の下限の位置に開口部を有する水位確認管とを具備することを特徴とする請求項1記載の燃料破損検出用採水装置を提供する。
【0022】この構成により、各水位確認管がそれぞれ冷却材を吸水するかあるいは圧縮空気を吸気するかを確認し、冷却材水位がシッピング可能水位の範囲内にあるか否かを判断する。
【0023】また請求項3記載の発明においては、前記水位確認手段として、予め設定された冷却材のシッピング可能水位の上限及び下限の位置に電気式水位計を具備することを特徴とする請求項1記載の燃料破損検出用採水装置を提供する。
【0024】この構成により、各電気式水位計の入力信号の変化の有無を確認し、冷却材水位がシッピング可能水位の範囲内にあるか否かを判断する。さらに請求項4記載の発明においては、前記外キャップの下端の前記上部格子板と接触する部分及び前記内キャップの下端の前記チャンネルボックスと接触する部分にエアバックを設けたことを特徴とする燃料破損検出用採水装置を提供する。
【0025】この構成により、エアバックによって試料水採取時の外キャップのシール性や内キャップの密封性を高める。さらに請求項5記載の発明においては、前記内キャップの上方に伸縮可能なエアバックを設けたことを特徴とする燃料破損検出用採水装置を提供する。この構成により、内キャップ装着の際にこの伸縮可能なエアバックの中に空気を送り込み、試料水採取時の内キャップの密封性を高める。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。以下、近年開発された新型の原子炉について、すなわち、燃料集合体のチャンネルボックス上端の高さと上部格子板上端の高さが等しいものについて本発明を適用した場合を説明する。なお、上記従来の技術と同じ構成部分については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0027】図1は本発明の第1の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置20を燃料集合体1の上部格子板9上に設置して作動させたときの断面図、図2はこの燃料破損検出用採水装置20を炉心内で懸吊したときの断面図、図3は図1に示した燃料集合体1の上部と燃料破損検出用採水装置20の切欠断面図である。
【0028】この燃料破損検出用採水装置20は、外キャップ10と、この外キャップ10の中に収められる内キャップ11と、外キャップ10を燃料集合体1に被冠し、あるいは燃料集合体1から取り外す場合に用いられる把手16とを具備する。内キャップ11は、通常は縦横2個ずつ計4個が外キャップ10内に収められる。
【0029】図1及び図3に示すように、外キャップ10下端部には切欠部12が設けられ、この切欠部に内接するように伸縮可能なエアバック25が設けられる。このエアバック25には、必要に応じて原子炉圧力容器外の図示しない給気源から空気が送られ、またときにはエアバック25内の空気が給気源へと送られる。また給気管13が外キャップ10を貫通しており、採水管14が外キャップ10を貫通し、かつ内キャップ11を空隙を保ちながら貫通して内キャップ11より下方へ延設されている。
【0030】さらに、冷却材の水位確認手段として、燃料集合体1体につき2本の水位確認管23a、23bが外キャップ10を貫通し、かつ内キャップ11を空隙を保ちながら貫通している。炉内シッピング検査が可能な冷却材の水位は、チャンネルボックス4上端と上部タイプレートネットワーク部26の間である。そこで、上部水位確認管23aの開口先端部をチャンネルボックス4の上端より若干下方に配置し、また下部水位確認管23bの開口先端部を上部タイプレートネットワーク部26の直上に配置する。
【0031】また図2において燃料破損検出用採水装置20は、原子炉圧力容器21に収納された冷却材7中において、把手16を介して懸吊具22によって懸吊されながら所望の採水位置に移動される。外キャップ10内に接続される給気管13、採水管14及び水位確認管23a、23b及びエアバック25は、原子炉圧力容器21外において給気、吸気、給水及び吸水を制御するシッピング制御装置24に接続される。
【0032】この燃料破損検出用採水装置20を使用して燃料棒1の破損を点検する手順について、図3を参照して説明する。最初にエアバック25を収納された状態にしておく。燃料破損検出用採水装置20を採水位置に配置した後、給気管13を通して外キャップ10内に圧縮空気を送る。この圧縮空気は外キャップ10内において冷却材7を押圧し、徐々に冷却材7の水位を下げる。空隙を介して圧縮空気が内キャップ11の中にも入り込むため、内キャップ11の内と外で冷却材7の水位は変わらない。
【0033】こうして圧縮空気を送り続けると、やがて冷却材7の水位は外キャップ10の切欠部12の上端位置まで下がり、圧縮空気の一部が、切欠部12から気泡となって外キャップ10の外に出る。こうして原子炉圧力容器の冷却材水面に気泡が認められれば、外キャップ10が上部格子板9に装着されたことが確認できる。この装着性確認後、エアバック25に圧縮空気を給気し、切欠部12を塞ぐ。気泡が止まったことを確認し、今度は水位確認管23a、23bから冷却材7の吸水を開始する。圧縮空気が外部に漏れなくなったため、冷却材7の水位はさらに下がり、内キャップ11の内側の水位はチャンネルボックス4の上端より低く、また内キャップ11の外側の水位は上部格子板9上端より低くなる。さらに給水を続けると、上部水位確認管23aから冷却材7ではなく圧縮空気が吸気されるようになる。この吸気をもって内キャップ11の内側の冷却材7の水位がチャンネルボックス4上端より低くなったことが確認できる。この時点で上部水位確認管23aからの吸気を止める。これによって、燃料集合体1の内と外で冷却材7は分け隔てられることになる。また、冷却材7の水位が下がりすぎて、燃料棒3が気中に露出するかまたは冷却材7の量が少なくなることを防止するために、給気管13から送り出す圧縮空気の圧力を調節し、下部水位確認管23bから冷却材7が吸水されることを併せて確認する。このとき冷却材7の水位はシッピング可能水位の範囲内にあるといえる。所定時間経過後、採水管14を通じてチャンネルボックス4内の冷却材7を試料水として採取する。
【0034】このような手順で試料水の採取を行えば、燃料集合体1の外から不純物が入り込むことがない。よって、この試料水の放射能濃度を調べることにより、何らかの原因で燃料棒3の被覆管に亀裂が生じて、その亀裂を通して放射性物質がチャンネルボックス4内に入り込んでいるかどうかを調べることができる。
【0035】また、採水管14の開口先端部を下部水位確認管23bの開口先端部よりも下方に配置しておけば、下部水位確認管23bから冷却材7が吸水されているときには採水管14から冷却材7を確実に吸水できる。すなわち、下部水位確認管23bからの冷却材7の吸水を確認することで、採水管14から冷却材7ではなく空気が吸引されることを防止できる。
【0036】なお、燃料集合体のチャンネルボックス4上端が上部格子板9上端より若干下方に位置するような場合でも、上述の作用により、同様の効果が得られる。以下、本発明の第2の実施形態について説明する。図4は本発明の第2の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置27と燃料集合体1上部の切欠断面図である。
【0037】この燃料破損検出用採水装置27においても、第1の実施形態と同様に、外キャップ10下端部には切欠部12が設けられ、この切欠部12に内接するように伸縮可能なエアバック25が設けられる。また給気管13が外キャップ10を貫通しており、採水管14が外キャップ10を貫通し、かつ内キャップ11を空隙を保ちながら貫通して内キャップ11より下方へ延設されている。さらに、冷却材7の水位確認手段として、内キャップ11の内側上方から電気式水位計28が取り付けられている。この電気式水位計28は、上部電気式水位計28aと下部電気式水位計28bとからなる。
【0038】また、第1の実施形態について図2に示したものと同様に、給気管13、採水管14、エアバック25及び電気式水位計28は、原子炉圧力容器21外において給気、吸気、給水及び吸水を制御するシッピング制御装置24に接続される。またこの電気式水位計28の取付方法としては、例えば内キャップ11の内側上方に一端をもつパイプを下方に延設し、このパイプの下端に電気式水位計28を設け、またこのパイプの内部にケーブルを通し、このケーブルによって電気式水位計28からの信号をシッピング制御装置24へ伝えるといった方法が考えられるが、これに制限されるものではない。
【0039】炉内シッピング検査が可能な冷却材の水位は、チャンネルボックス4上端と上部タイプレートネットワーク部26の間である。そこで、上部電気式水位計28aをチャンネルボックス4の上端より若干下方に配置し、また下部電気式水位計28bを上部タイプレートネットワーク部26の直上に配置する。
【0040】この燃料破損検出用採水装置27を使用して燃料棒1の破損を点検する手順について説明する。最初にエアバック25を収納された状態にしておく。燃料破損検出用採水装置27を採水位置に配置した後、給気管13を通じて外キャップ10内に圧縮空気を送る。圧縮空気を送り続けると、やがて冷却材7の水位は外キャップ10の切欠部12の上端位置まで下がり、圧縮空気の一部が、切欠部12から気泡となって外キャップ10の外に出る。こうして原子炉圧力容器の冷却材水面に気泡が認められれば、外キャップ10が上部格子板9に装着されたことが確認できる。この装着性確認後、エアバック25に圧縮空気を給気し、切欠部12を塞ぐ。ここで気泡が止まったことを確認する。圧縮空気は継続して給気するため冷却材7の水位はさらに下がり、内キャップ11の内側の水位はチャンネルボックス4の上端より低くなる。このとき、水位が上部電気式水位計28aの位置より下がると、上部電気式水位計28aの入力信号が変化する。この信号の変化をもって、内キャップ11の内側の冷却材7の水位がチャンネルボックス4上端より低くなり、燃料集合体1の内と外で冷却材7は分け隔てられたことが確認できる。また、冷却材7の水位を適正に保つために、給気管13から送り出す圧縮空気の圧力を調節し、下部電気式水位計28bの入力信号に変化がないことも併せて確認する。この入力信号の変化がなければ、冷却材7の水位はシッピング可能水位の範囲内にあるといえる。所定時間経過後、採水管14を通じてチャンネルボックス4内の冷却材7を試料水として採取する。このような手順で試料水の採取を行えば、この試料水は燃料集合体1内の放射能濃度を正確に反映するものとなる。
【0041】また、採水管14の開口先端部を下部電気式水位計28bよりも下方に配置しておけば、下部電気式水位計28bの入力信号の変化がないときには採水管14から冷却材7を確実に吸水できる。すなわち、下部電気式水位計28bの入力信号の変化の有無を確認することで、採水管14から冷却材7ではなく空気が吸引されることを防止できる。
【0042】なお、燃料集合体のチャンネルボックス4上端が上部格子板9上端より若干下方に位置するような場合でも、上述の作用により、同様の効果が得られる。以下、本発明の第3の実施形態について説明する。図5は本発明の第3の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置29と燃料集合体1上部の切欠断面図である。
【0043】この燃料破損検出用採水装置29においても、第1の実施形態と同様に、外キャップ10下端部には切欠部12が設けられ、この切欠部に内接するように伸縮可能なエアバック25が設けられる。また給気管13が外キャップ10を貫通しており、採水管14が外キャップ10を貫通し、かつ内キャップ11を空隙を保ちながら貫通して内キャップ11より下方へ延設されている。さらに、第1の実施形態と同様に、燃料集合体1体につき2本の水位確認管23a、23bが外キャップ10を貫通し、かつ内キャップ11を空隙を保ちながら貫通している。上部水位確認管23aの開口先端部をチャンネルボックス4の上端より若干下方に配置し、また下部水位確認管23bの開口先端部を上部タイプレートネットワーク部26の直上に配置する。
【0044】さらに外キャップ10下端の上部格子板9と接触する部分にエアバック31を、内キャップ11下端のチャンネルボックス4と接触する部分にエアバック30を、それぞれ設置する。これらのエアバック30、31はキャップ10、11のシール性あるいは密封性を高め、キャップ装着後にキャップの内外での冷却材または空気の出入りを防止する機能を有する。
【0045】この燃料破損検出用採水装置29を使用して燃料棒1の破損を点検する手順について説明する。最初にエアバック25を収納された状態にしておく。燃料破損検出用採水装置29を採水位置に配置した後、給気管13を通じて内キャップ10内に圧縮空気を送る。圧縮空気を送り続けると、やがて冷却材7の水位は外キャップ10の切欠部12の上端位置まで下がり、圧縮空気の一部が切欠部12から気泡となって外キャップ10の外に出る。こうして原子炉圧力容器の冷却材水面に気泡が認められれば、外キャップ10が上部格子板9に装着されたことが確認できる。この装着性確認後、エアバック25に圧縮空気を給気し、切欠部12を塞ぐ。このとき、シール性を高めるため外キャップ10下端に取り付けられたエアバック31によって、外キャップ10内の空気が上部格子板9と外キャップ10下端の隙間から外へ漏れ出るのを防止できる。また、密封性を高めるため内キャップ11下端に取り付けられたエアバック30によって、内キャップ11の内側の水位と内キャップ11の外側の水位がほぼ同様に変化する。以降の手順は第1の実施形態と同様である。
【0046】この構成によって第1の実施形態と同様の効果が得られると同時に、外キャップ10のシール性や内キャップ11の密封性が高まり、より早く確実に試料水を採取することができる。
【0047】以下、本発明の第4の実施形態について説明する。図6は本発明の第4の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置32と燃料集合体1上部の切欠断面図である。
【0048】この燃料破損検出用採水装置32においても、第1の実施形態と同様に、外キャップ10下端部には切欠部12が設けられ、この切欠部に内接するように伸縮可能なエアバック25が設けられる。また給気管13が外キャップ10を貫通しており、採水管14が外キャップ10を貫通し、かつ内キャップ11を空隙を保ちながら貫通して内キャップ11より下方へ延設されている。さらに、第2の実施形態と同様に、内キャップ11の内側上方から、電気式水位計28が取り付けられている。電気式水位計28は上部電気式水位計28aと下部電気式水位計28bとからなる。上部電気式水位計28aをチャンネルボックス4の上端より若干下方に配置し、また下部電気式水位計28bを上部タイプレートネットワーク部26の直上に配置する。
【0049】さらに外キャップ10下端の上部格子板9と接触する部分にエアバック31を、内キャップ11下端のチャンネルボックス4と接触する部分にエアバック30を、それぞれ設置する。これらのエアバック30、31はキャップ10、11のシール性あるいは密封性を高め、装着後にキャップの内外での冷却材または空気の出入りを防止する機能を有する。
【0050】この燃料破損検出用採水装置32を使用して燃料棒1の破損を点検する手順について説明する。最初にエアバック25を収納された状態にしておく。燃料破損検出用採水装置32を採水位置に配置した後、給気管13を通じて内キャップ10内に圧縮空気を送る。圧縮空気を送り続けると、やがて冷却材7の水位は外キャップ10の切欠部12の上端位置まで下がり、圧縮空気の一部が、切欠部12から気泡となって外キャップ10の外に出る。こうして原子炉圧力容器の冷却材水面に気泡が認められれば、外キャップ10が上部格子板9に装着されたことが確認できる。この装着性確認後、エアバック25に圧縮空気を給気し、切欠部12を塞ぐ。このとき、シール性を高めるため外キャップ10下端に取り付けられたエアバック31によって、外キャップ10内の空気が上部格子板9と外キャップ10下端の隙間から外へ漏れ出るのを防止できる。また、密封性を高めるため内キャップ11下端に取り付けられたエアバック30によって、内キャップ11の内側の水位と内キャップ11の外側の水位がほぼ同様に変化する。以降の手順は第2の実施形態と同様である。
【0051】この構成によって第2の実施形態と同様の効果が得られると同時に、外キャップ10のシール性や内キャップ11の密封性が高まり、より早く確実に試料水を採取することができる。
【0052】以下、本発明の第5の実施形態について説明する。図7は本発明の第5の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置33と燃料集合体1上部の切欠断面図である。
【0053】この燃料破損検出用採水装置33においても、第1の実施形態と同様に、外キャップ10下端部には切欠部12が設けられ、この切欠部に内接するように伸縮可能なエアバック25が設けられる。また給気管13が外キャップ10を貫通しており、採水管14が外キャップ10を貫通し、かつ内キャップ11を空隙を保ちながら貫通して内キャップ11より下方へ延設されている。さらに、第1の実施形態と同様に、燃料集合体1体につき2本の水位確認管23a、23bが外キャップ10及び内キャップ11を貫通している。上部水位確認管23aの開口先端部をチャンネルボックス4の上端より若干下方に配置し、また下部水位確認管23bの開口先端部を上部タイプレートネットワーク部26の直上に配置する。
【0054】さらに内キャップ11の上方に伸縮可能なエアバック34を設置する。このエアバック34は、内部に適正な圧縮空気を送り込み、内キャップ11と外キャップ10との隙間をなくすことによって、外キャップ10の荷重を内キャップ11に上方から加えて、内キャップ11のチャンネルボックス4との密封性を向上させる機能を有する。
【0055】この燃料破損検出用採水装置33を使用して燃料棒1の破損を点検する手順について説明する。最初にエアバック25及びエアバック34を収納された状態にしておく。燃料破損検出用採水装置33を採水位置に配置した後、給気管13を通じて外キャップ10内に圧縮空気を送る。圧縮空気を送り続けると、やがて冷却材7の水位は外キャップ10の切欠部12の上端位置まで下がり、圧縮空気の一部が、切欠部12から気泡となって外キャップ10の外に出る。こうして原子炉圧力容器の冷却材水面に気泡が認められれば、外キャップ10が上部格子板9に装着されたことが確認できる。この装着性確認後、エアバック25に圧縮空気を給気し、切欠部12を塞ぐ。気泡が止まったことを確認し、水位確認管23a、23bから吸水を始める。やがて上部水位確認管23aから冷却材7ではなく圧縮空気が吸気されるようになるが、これにより内キャップ11の内側の冷却材7の水位がチャンネルボックス4の上端より低くなったことが確認できる。このとき上部水位確認管23aからの吸気を止め、同時にエアバック34に適正な圧縮空気を送り込む。これにより、エアバック34により外キャップ10の荷重が内キャップ11に上方から加わるから、内キャップ11のチャンネルボックス4との密封性が向上し、内キャップ11内の空気が外側に漏れ出すのを防止できる。以降の手順は第1の実施形態と同様である。
【0056】この構成によって第1の実施形態と同様の効果が得られると同時に、内キャップ11の密封性が高まり、より早く確実に試料水を採取することができる。以下、本発明の第6の実施形態について説明する。図8は本発明の第6の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置35と燃料集合体1上部の切欠断面図である。
【0057】この燃料破損検出用採水装置35においても、第1の実施形態と同様に、外キャップ10下端部には切欠部12が設けられ、この切欠部に内接するように伸縮可能なエアバック25が設けられる。また給気管13が外キャップ10を貫通しており、採水管14が外キャップ10を貫通し、かつ内キャップ11を空隙を保ちながら貫通して内キャップ11より下方へ延設されている。さらに、第2の実施形態と同様に、内キャップ11の内側上方から電気式水位計28が取り付けられている。この電気式水位計28は上部電気式水位計28aと下部電気式水位計28bとからなる。上部電気式水位計28aをチャンネルボックス4の上端より若干下方に配置し、また下部電気式水位計28bを上部タイプレートネットワーク部26の直上に配置する。
【0058】さらに内キャップ11の上方に伸縮可能なエアバック34を設置する。このエアバック34は、内部に適正な圧縮空気を送り込み、内キャップ11と外キャップ10との隙間をなくすことによって、外キャップ10の加重を内キャップ11に上方から加えて、内キャップ11のチャンネルボックス4との密封性を向上させる機能を有する。
【0059】この燃料破損検出用採水装置35を使用して燃料棒1の破損を点検する手順について説明する。最初にエアバック25及びエアバック34を収納された状態にしておく。燃料破損検出用採水装置35を採水位置に配置した後、給気管13を通じて内キャップ10内に圧縮空気を送る。圧縮空気を送り続けると、やがて冷却材7の水位は外キャップ10の切欠部12の上端位置まで下がり、圧縮空気の一部が、切欠部12から気泡となって外キャップ10の外に出る。こうして原子炉圧力容器の冷却材水面に気泡が認められれば、外キャップ10が上部格子板9に装着されたことが確認できる。この装着性確認後、エアバック25に圧縮空気を給気し、切欠部12を塞ぐ。ここで気泡が止まったことを確認する。やがて水位が上部電気式水位計28aの位置より下がり、上部電気式水位計28aの入力信号が変化する。これにより内キャップ11の内側の冷却材7の水位がチャンネルボックス4の上端より低くなったことが確認できる。このときエアバック34に適正な圧縮空気を送り込む。これにより、エアバック34により外キャップ10の加重が内キャップ11に上方から加わるから、内キャップ11のチャンネルボックス4との密封性が向上し、内キャップ11内の空気が外側に漏れ出すのを防止できる。以降の手順は第2の実施形態と同様である。
【0060】この構成によって第2の実施形態と同様の効果が得られると同時に、内キャップ11の密封性が高まり、より早く確実に試料水を採取することができる。以下、本発明の第7の実施形態について説明する。図9は本発明の第7の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置36と燃料集合体1上部の切欠断面図である。
【0061】この燃料破損検出用採水装置36においても、第1の実施形態と同様に、外キャップ10下端部には切欠部12が設けられ、この切欠部に内接するように伸縮可能なエアバック25が設けられる。また給気管13が外キャップ10を貫通しており、採水管14が外キャップ10を貫通し、かつ内キャップ11を空隙を保ちながら貫通して内キャップ11より下方へ延設されている。さらに、第1の実施形態と同様に、燃料集合体1体につき2本の水位確認管23a、23bが外キャップ10及び内キャップ11を貫通している。上部水位確認管23aの開口先端部をチャンネルボックス4の上端より若干下方に配置し、また下部水位確認管23bの開口先端部を上部タイプレートネットワーク部26の直上に配置する。
【0062】さらに外キャップ10下端の上部格子板9と接触する部分にエアバック31を、内キャップ11下端のチャンネルボックス4と接触する部分にエアバック30を、内キャップ11の上方に伸縮可能なエアバック34を、それぞれ設置する。これらのエアバック30、31、34は、第3及び第5の実施形態において説明したエアバックと同様の機能を有する。
【0063】この燃料破損検出用採水装置36を使用して燃料棒1の破損を点検する手順は、第5の実施形態と同様である。この構成によって第5の実施形態と同様の効果が得られると同時に、エアバック31によって外キャップ10のシール性が高まり、またエアバック30によって内キャップ11のシール性が高まるから、より確実に試料水を採取することができる。
【0064】以下、本発明の第8の実施形態について説明する。図10は本発明の第8の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置37と燃料集合体1上部の切欠断面図である。
【0065】この燃料破損検出用採水装置37においても、第1の実施形態と同様に、外キャップ10下端部には切欠部12が設けられ、この切欠部に内接するように伸縮可能なエアバック25が設けられる。また給気管13が外キャップ10を貫通しており、採水管14が外キャップ10を貫通し、かつ内キャップ11を空隙を保ちながら貫通して内キャップ11より下方へ延設されている。さらに、第2の実施形態と同様に、内キャップ11の内側上方から電気式水位計28が取り付けられている。この電気式水位計28は上部電気式水位計28aと下部電気式水位計28bとからなる。上部電気式水位計28aをチャンネルボックス4の上端より若干下方に配置し、また下部電気式水位計28bを上部タイプレートネットワーク部26の直上に配置する。
【0066】さらに外キャップ10下端の上部格子板9と接触する部分にエアバック31を、内キャップ11下端のチャンネルボックス4と接触する部分にエアバック30を、内キャップ11の上方に伸縮可能なエアバック34を、それぞれ設置する。これらのエアバック30、31、34は、第4及び第6の実施形態において説明したエアバックと同様の機能を有する。
【0067】この燃料破損検出用採水装置37を使用して燃料棒1の破損を点検する手順は、第6の実施形態と同様である。この構成によって第6の実施形態と同様の効果が得られると同時に、エアバック31によって外キャップ10のシール性が高まり、またエアバック30によって内キャップ11のシール性が高まるから、より確実に試料水を採取することができる。
【0068】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成されているため、以下に記載されるような効果を奏する。燃料破損検出用採水装置の外キャップの切欠部に内接する伸縮可能なエアバックを設置することにより、外キャップ内部に送り込む圧縮空気が外部に漏れ出るのを防止できるから、外キャップの密封性を向上させることができる。
【0069】さらに、水位確認手段として水位確認管を設け、この水位確認管の開口先端部を内キャップのシッピング可能水位の範囲に合わせて設定することにより、冷却材の水位がシッピング可能水位の範囲内にあるかどうかを容易に判断することができる。
【0070】また、水位確認手段として、内キャップのシッピング可能水位の範囲に合わせて電気式水位計を設置することにより、冷却材の水位がシッピング可能水位の範囲内にあるかどうかを容易に判断することができる。
【0071】さらに、外キャップの下端及び内キャップの下端にエアバックを設けることにより、外キャップのシール性や内キャップの密封性が高まり、より早く確実に試料水を採取することができる。
【0072】さらに、内キャップの上方に伸縮可能なエアバックを設けることにより、内キャップのシール性が高まり、より確実に試料水を採取することができる。従って、チャンネルボックス上端が上部格子板上端と同じ高さにあるかあるいは下方に位置するような場合においても、燃料集合体の外からの不純物を含まない冷却材を試料水として取り出し、この試料水の放射能濃度を調べることで燃料棒の破損を検出することができると同時に、燃料集合体内の冷却材の水位を早く確実に確認することができる。これにより、検査の精度の高さを保ちつつも検査時間を短縮する、すなわち燃料破損時もしくは健全性確認作業時の作業を速やかに実施することができ、原子炉の早期立ち上げが可能となるため、経済的効果も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置と燃料集合体の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置の炉心内における懸吊時の断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置と燃料集合体上部の切欠断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置と燃料集合体上部の切欠断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置と燃料集合体上部の切欠断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置と燃料集合体上部の切欠断面図である。
【図7】本発明の第5の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置と燃料集合体上部の切欠断面図である。
【図8】本発明の第6の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置と燃料集合体上部の切欠断面図である。
【図9】本発明の第7の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置と燃料集合体上部の切欠断面図である。
【図10】本発明の第8の実施形態に係る燃料破損検出用採水装置と燃料集合体上部の切欠断面図である。
【図11】従来の燃料破損検出用採水装置と燃料集合体の断面図である。
【図12】従来の燃料破損検出用採水装置と燃料集合体上部の切欠断面図である。
【図13】従来の燃料破損検出用採水装置と燃料集合体の断面図である。
【符号の説明】
7 冷却材
9 上部格子板
10 内キャップ
11 外キャップ
12 内キャップ切欠部
13 給気管
14 採水管
17 気泡
20、27、29、32、33、35、36、37 燃料破損検出用採水装置
23a、23b 水位確認管
25、30、31、34 エアバック
26 上部タイプレートネットワーク部
28a、28b 電気式水位計
【特許請求の範囲】
【請求項1】 原子炉圧力容器の上部格子板に当接して燃料集合体の上部を被冠しかつ端部に切欠部を有する外キャップと、この外キャップの内部に収められて燃料集合体チャンネルボックスの上端に当接する内キャップと、前記外キャップを貫通し外キャップ内に空気を送り込む給気管と、前記外キャップを貫通しかつ前記内キャップを空隙を保ちながら貫通して燃料集合体内の冷却材中に挿入される採水管と、冷却材の水位を確認する水位確認手段と、前記給気管と前記採水管及び前記水位確認手段と接続されて燃料破損検出用の試料水を採取するシッピング制御装置とを具備する燃料破損検出用採水装置において、前記外キャップの切欠部に内接する伸縮可能なエアバックを具備することを特徴とする燃料破損検出用採水装置。
【請求項2】 前記水位確認手段として、予め設定された冷却材のシッピング可能水位の上限の位置に開口部を有する水位確認管と、前記シッピング可能水位の下限の位置に開口部を有する水位確認管とを具備することを特徴とする請求項1記載の燃料破損検出用採水装置。
【請求項3】 前記水位確認手段として、予め設定された冷却材のシッピング可能水位の上限及び下限の位置に電気式水位計を具備することを特徴とする請求項1記載の燃料破損検出用採水装置。
【請求項4】 前記外キャップの下端の前記上部格子板と接触する部分及び前記内キャップの下端の前記チャンネルボックスと接触する部分にエアバックを設けたことを特徴とする請求項2または請求項3記載の燃料破損検出用採水装置。
【請求項5】 前記内キャップの上方に伸縮可能なエアバックを設けたことを特徴とする請求項2乃至請求項4記載の燃料破損検出用採水装置。
【請求項1】 原子炉圧力容器の上部格子板に当接して燃料集合体の上部を被冠しかつ端部に切欠部を有する外キャップと、この外キャップの内部に収められて燃料集合体チャンネルボックスの上端に当接する内キャップと、前記外キャップを貫通し外キャップ内に空気を送り込む給気管と、前記外キャップを貫通しかつ前記内キャップを空隙を保ちながら貫通して燃料集合体内の冷却材中に挿入される採水管と、冷却材の水位を確認する水位確認手段と、前記給気管と前記採水管及び前記水位確認手段と接続されて燃料破損検出用の試料水を採取するシッピング制御装置とを具備する燃料破損検出用採水装置において、前記外キャップの切欠部に内接する伸縮可能なエアバックを具備することを特徴とする燃料破損検出用採水装置。
【請求項2】 前記水位確認手段として、予め設定された冷却材のシッピング可能水位の上限の位置に開口部を有する水位確認管と、前記シッピング可能水位の下限の位置に開口部を有する水位確認管とを具備することを特徴とする請求項1記載の燃料破損検出用採水装置。
【請求項3】 前記水位確認手段として、予め設定された冷却材のシッピング可能水位の上限及び下限の位置に電気式水位計を具備することを特徴とする請求項1記載の燃料破損検出用採水装置。
【請求項4】 前記外キャップの下端の前記上部格子板と接触する部分及び前記内キャップの下端の前記チャンネルボックスと接触する部分にエアバックを設けたことを特徴とする請求項2または請求項3記載の燃料破損検出用採水装置。
【請求項5】 前記内キャップの上方に伸縮可能なエアバックを設けたことを特徴とする請求項2乃至請求項4記載の燃料破損検出用採水装置。
【図1】
【図2】
【図11】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図2】
【図11】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開平9−189794
【公開日】平成9年(1997)7月22日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−2741
【出願日】平成8年(1996)1月11日
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【公開日】平成9年(1997)7月22日
【国際特許分類】
【出願日】平成8年(1996)1月11日
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
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