説明

燃料電池およびその製造方法

【課題】 金属基材の異常酸化が抑制されかつ電解質層のひび、剥がれ等が抑制された、燃料電池およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 燃料電池は、ガス透過性を有する金属基材と、金属基材上に設けられ触媒活性を有する電極と、電極上に設けられ、固体酸化物電解質と補助材料とを含み、補助材料の融点またはガラス転移点が固体酸化物電解質の焼結開始温度以下である電解質層と、電解質層と電極との間に補助材料の金属基材側への移動を抑制する移動抑制層と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、一般的には水素および酸素を燃料として電気エネルギを得る装置である。この燃料電池は、環境面において優れており、また高いエネルギ効率を実現できることから、今後のエネルギ供給システムとして広く開発が進められてきている。
【0003】
固体酸化物型燃料電池(SOFC)は、固体酸化物電解質が燃料極と酸素極とによって挟持された構造を有する。固体酸化物電解質を薄膜化するために、例えば、支持基板としての多孔質金属基材上に、燃料極、固体酸化物電解質、および酸素極が成膜された構造を有する固体酸化物型燃料電池が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平04−160761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に係る燃料電池において、固体酸化物電解質を焼成する際に、固体酸化物電解質と金属基材との間の熱収縮率差に起因して、固体酸化物電解質にひび、剥がれ等が生じるおそれがある。そこで、固体酸化物電解質の焼成時に液体となる材料を加えることも考えられる。しかしながら、この場合、多孔質金属基材の表面に形成された酸化皮膜が腐食するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、金属基材の異常酸化が抑制されかつ電解質層のひび、剥がれ等が抑制された、燃料電池およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る燃料電池は、ガス透過性を有する金属基材と、前記金属基材上に設けられ触媒活性を有する電極と、前記電極上に設けられ、固体酸化物電解質と補助材料とを含み、前記補助材料の融点またはガラス転移点が前記固体酸化物電解質の焼結開始温度以下である電解質層と、前記電解質層と前記電極との間に、前記補助材料の前記金属基材側への移動を抑制する移動抑制層と、を備えることを特徴とするものである。本発明に係る燃料電池においては、補助材料の融点またはガラス転移点が固体酸化物電解質の焼結開始温度以下であることから、固体酸化物電解質の焼成の際の応力が緩和される。それにより、電解質層のひび、剥がれ等が抑制される。また、補助材料の金属基材側への移動が抑制されることから、金属基材の異常酸化が抑制される。
【0008】
前記移動抑制層は、前記固体酸化物電解質および前記補助材料を含み、前記移動抑制層における前記固体酸化物電解質の前記補助材料に対する重量比率は、前記電解質層における前記固体酸化物電解質の前記補助材料に対する重量比率よりも高くてもよい。前記移動抑制層は、固体酸化物電解質および補助材料を含み、前記電解質層の補助材料と、前記移動抑制層の補助材料とは、異なる性質を有していてもよい。
【0009】
前記移動抑制層の補助材料は、前記電解質層の補助材料と比較して、高い融点、高いガラス転移点、高い粘度、および固体酸化物電解質との低い濡れ性の少なくともいずれかの性質を有していてもよい。前記移動抑制層は、固体酸化物電解質および補助材料を含み、前記電解質層の固体酸化物電解質と、前記移動抑制層の固体酸化物電解質とは、異なる性質を有していてもよい。
【0010】
前記移動抑制層の固体酸化物電解質は、前記電解質層の固体酸化物電解質と比較して、補助材料との低い濡れ性、小さい平均粒径、および高い焼結性の少なくともいずれかの性質を有していてもよい。前記移動抑制層は、前記補助材料との濡れ性が前記固体酸化物電解質との濡れ性よりも低い材料からなるものであってもよい。
【0011】
前記電極と前記金属基材との間に設けられ、前記補助材料との濡れ性が前記固体酸化物電解質と前記補助材料との濡れ性よりも低い材料からなる低濡れ性層をさらに備えていてもよい。前記電極と前記金属基材との間に設けられ、前記補助材料との濡れ性が前記電極と前記補助材料との濡れ性よりも低い材料からなる低濡れ性層をさらに備えていてもよい。
【0012】
前記金属基材において、前記電極側の耐食性は、前記電極と反対側に比較して高くてもよい。前記金属基材は、フェライト系ステンレスであってもよい。前記固体酸化物電解質は、安定化ジルコニア、安定化セリア、およびランタンガレート類(ドープランタンガレート)の少なくとも1つであってもよい。前記補助材料は、炭酸塩、塩化物塩、フッ化物塩、およびガラスの少なくとも1つであってもよい。
【0013】
本発明に係る燃料電池の製造方法は、ガス透過性を有する金属基材上に、固体酸化物電解質と補助材料とを含む電解質層を焼成によって形成する燃料電池の製造方法であって、前記電解質層と前記金属基材との間に、前記補助材料の前記金属基材側への移動を抑制する移動抑制層を配置する工程と、前記電解質層を焼成する工程と、を含み、前記補助材料の融点またはガラス転移点は、前記固体酸化物電解質の焼結開始温度以下であることを特徴とするものである。本発明に係る燃料電池の製造方法においては、補助材料の融点またはガラス転移点が固体酸化物電解質の焼結開始温度以下であることから、固体酸化物電解質の焼成の際の応力が緩和される。それにより、電解質層のひび、剥がれ等が抑制される。また、補助材料の金属基材側への移動が抑制されることから、金属基材の異常酸化が抑制される。
【0014】
前記移動抑制層は、前記固体酸化物電解質および前記補助材料を含み、前記移動抑制層における前記固体酸化物電解質の前記補助材料に対する重量比率は、前記電解質層における前記固体酸化物電解質の前記補助材料に対する重量比率よりも高くてもよい。前記移動抑制層は、固体酸化物電解質および補助材料を含み、前記電解質層の補助材料と、前記移動抑制層の補助材料とは、異なる性質を有していてもよい。
【0015】
前記移動抑制層の補助材料は、前記電解質層の補助材料と比較して、高い融点、高いガラス転移点、高い粘度、および固体酸化物電解質との低い濡れ性の少なくともいずれかの性質を有していてもよい。前記移動抑制層は、固体酸化物電解質および補助材料を含み、前記電解質層の固体酸化物電解質と、前記移動抑制層の固体酸化物電解質とは、異なる性質を有していてもよい。
【0016】
前記移動抑制層の固体酸化物電解質は、前記電解質層の固体酸化物電解質と比較して、補助材料との低い濡れ性、小さい平均粒径、および高い焼結性の少なくともいずれかの性質を有していてもよい。前記移動抑制層は、前記補助材料との濡れ性が前記固体酸化物電解質と前記補助材料との濡れ性よりも低い材料からなるものであってもよい。
【0017】
前記金属基材において、前記電極側の耐食性は、前記電極と反対側に比較して高くてもよい。前記金属基材は、フェライト系ステンレスであってもよい。前記固体酸化物電解質は、安定化ジルコニア、安定化セリア、およびランタンガレート類(ドープランタンガレート)の少なくとも1つであってもよい。前記補助材料は、炭酸塩、塩化物塩、フッ化物塩、およびガラスの少なくとも1つであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、金属基材の異常酸化が抑制されかつ電解質層のひび、剥がれ等が抑制された、燃料電池およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例1に係る燃料電池の製造方法を説明するための製造フロー図である。
【図2】実施例2に係る移動抑制層および電解質層を示す図である。
【図3】実施例3に係る移動抑制層および電解質層を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は、実施例1に係る燃料電池の製造方法を説明するための製造フロー図である。図1(a)に示すように、金属基材10上に、塗布等によって電極20を配置する。金属基材10は、ガス透過性を有するとともに、電解質層30を支持可能な金属材料である。また、金属基材10は、表面に保護酸化皮膜が形成される金属からなる。金属基材10として、例えば、多孔質金属材料を用いることができる。具体的には、金属基材10として、ステンレス等の鉄基合金、ニッケル基合金、コバルト基合金等を用いることができる。ただし、金属基材10と電解質層30との熱膨張率差が小さいことが好ましいことから、金属基材10としてフェライト系ステンレスを用いることが好ましい。
【0022】
電極20を構成する材料は、アノードとしての電極活性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、Ni/YSZ(イットリア安定化ジルコニア)サーメット(50/50wt)、Ni/GDC(Gadolinium Doped Ceria)サーメット(50/50wt)等である。
【0023】
次に、図1(b)に示すように、電極20上に塗布等によって移動抑制層25および電解質層30を順に配置する。移動抑制層25および電解質層30は、固体酸化物電解質31および補助材料32を含む。固体酸化物電解質31は、酸素イオン電導性を有していれば特に限定されるものではないが、3YSZ(3mol% Yttrium Stabilised Zirconia)、6YSZ(6mol% Yttrium Stabilised Zirconia)、8YSZ(8mol% Yttrium Stabilised Zirconia)、10YSZ(10mol% Yttrium Stabilised Zirconia)、8ScSZ(8mol% Scandium Stabilised Zirconia)、8CaSZ(8mol% Calcium Stabilised Zirconia)等の安定化ジルコニア、Ce0.9Gd0.1、Ce0.8Gd0.2、Ce0.8Sm0.2、Ce0.9Sm0.1等の安定化セリア、ランタンガレート(La(1−x)SrGa(1−y)Mg(x:0.05〜0.2、y:0.05〜0.2)等である。
【0024】
補助材料32は、固体酸化物電解質31の焼成時に液相化(流動化)を有するものであればよい。したがって、補助材料32として、固体酸化物電解質31の焼結開始温度以下の融点またはガラス転移点を有するものを用いることができる。補助材料32として、例えば、NaCO、LiCO、KCO、LiCl、NaCl、KCl、MgCl、CaCl、NaF、AlF、LiCO/NaCO(2/1mol混合塩)、LiCl/KCl(59/41mol混合塩)、ホウケイ酸ガラス、ソーダガラス等を用いることができる。
【0025】
表1は、固体酸化物電解質31として用いることができる材料の例と、その焼結開始温度を示す。表2は、補助材料32として用いることができる材料の例と、その融点またはガラス転移点を示す。
【0026】
【表1】

【0027】
【表2】

【0028】
なお、補助材料32は、イオン伝導性を有することが好ましい。固体酸化物電解質31および補助材料32の両方をイオンが伝導可能になるからである。したがって、補助材料32は、O2−、H、およびOHの少なくとも1種のイオンを伝導できることが好ましい。塩(えん)は一般的にイオン伝導性を有するため、表2の中では塩(えん)を用いることが好ましい。特に、炭酸塩は、OHおよびHを伝導するため、補助材料32に適している。
【0029】
移動抑制層25における固体酸化物電解質31の補助材料32に対する重量比率は、電解質層30における固体酸化物電解質31の補助材料32に対する重量比率に比較して高くなっている。すなわち、移動抑制層25においては、相対的に固体酸化物電解質31が多く含まれている。
【0030】
次に、図1(c)に示すように、電解質層30に焼成処理を施す。焼成温度は、固体酸化物電解質31の焼結開始温度以上かつ固体酸化物電解質31の融点未満に設定される。固体酸化物電解質31が焼結することによって、固体酸化物電解質31が緻密化する。この場合、固体酸化物電解質31と金属基材10との間に応力が発生する。しかしながら、補助材料32の融点またはガラス転移点が固体酸化物電解質31の焼結開始温度以下であることから、焼成処理の際に、補助材料32は液相化する。液相化した補助材料32は、電解質層30において流動可能であることから、固体酸化物電解質31の熱収縮に伴う応力が緩和される。
【0031】
ここで、液相化した補助材料32は、流動によって金属基材10に到達することがある。液相化した補助材料32は、金属基材10に到達すると、金属基材10の表面に形成された酸化皮膜を腐食するおそれがある。例えば、液相化した炭酸塩は、Cr等の酸化皮膜を腐食する。この場合、金属基材10が酸化してしまうおそれがある。しかしながら、移動抑制層25においては相対的に固体酸化物電解質31が多く含まれていることから、補助材料32の金属基材10への移動が抑制される。それにより、金属基材10の異常酸化が抑制される。
【0032】
次に、図1(d)に示すように、電解質層30上に電極40を成膜する。電極40は、カソードとしての電極活性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、La0.8Sr0.2CoO、La0.8Sr0.2MnO、La0.8Sr0.2Co0.5Fe0.5等である。
【0033】
以上の工程を経て燃料電池100が完成する。燃料電池100は、以下の作用によって発電する。まず、金属基材10には、水素(H)が供給され、電極40には、酸素(O)が供給される。電極40においては、電極40に供給された酸素と、外部電気回路から供給される電子と、が反応して酸素イオンになる。酸素イオンは、電解質層30を伝導して電極20側に移動する。
【0034】
一方、金属基材10に供給された水素は、金属基材10を透過して、電極20に到達する。電極20に到達した水素は、電極20において電子を放出するとともに、電極40側から電解質層30を伝導してくる酸素イオンと反応して水(HO)になる。放出された電子は、外部電気回路によって外部に取り出される。外部に取り出された電子は、電気的な仕事をした後に、電極40に供給される。以上の作用によって、発電が行われる。
【0035】
本実施例に係る製造方法によれば、金属基材10と電解質層30との間の応力が緩和されることから、電解質層30のひび、剥がれ等を抑制することができる。それにより、電解質層30におけるガス透過に伴う発電不良等を抑制することができる。また、金属基材10の異常酸化を抑制することができることから、燃料電池100の劣化を抑制することができる。
【0036】
なお、移動抑制層25および電解質層30における固体酸化物電解質31の重量比率は一定でなくてもよい。例えば、補助材料32に対する固体酸化物電解質31の重量比率が、電解質層30から移動抑制層25にかけて連続的に高くなっていてもよい。この場合においても、移動抑制層25における固体酸化物電解質31の重量比率が相対的に高くなることから、補助材料32の金属基材10への移動が抑制される。
【0037】
また、本実施例においては、電極20上に移動抑制層25および電解質層30の2層が積層されているが、3層以上積層されていてもよい。この場合においても、電極20側から反対側にかけて補助材料32に対する固体酸化物電解質31の重量比率が連続的または段階的に高くなっていればよい。
【実施例2】
【0038】
移動抑制層25が電解質および補助材料を含み、電解質層30の補助材料32と移動抑制層25の補助材料とは異なる性質を有していてもよい。図2は、実施例2に係る移動抑制層25および電解質層30を示す図である。図2は、電解質層30の焼成処理後の断面を示す。図2に示すように、移動抑制層25は、固体酸化物電解質33および補助材料34を含む。移動抑制層25および電解質層30における電解質の重量比率は特に限定されるものではない。
【0039】
移動抑制層25の補助材料34は、電解質層30の補助材料32と比較して、高い融点、高いガラス転移点、高い粘度、および電解質との低い濡れ性の少なくともいずれかの性質を有する。この場合、電解質層30の焼成工程において、補助材料34の金属基材10への移動が抑制される。それにより、補助材料32の金属基材10への移動も抑制される。
【0040】
なお、表2で例示した補助材料32の粘度序列は、ソーダガラス>ホウケイ酸ガラス>AlF>NaF>KCO>NaCO>NaCl>CaCl>KCl>LiCO>MgCL>LiCl>(LiCO+NaCO)>(LiCl+KCl)である。
【0041】
また、移動抑制層25の固体酸化物電解質33は、電解質層30の固体酸化物電解質31と比較して、補助材料との低い濡れ性、小さい平均粒径、および高い焼結性の少なくともいずれかの性質を有していてもよい。この場合、電解質層30の焼成工程において、補助材料34の金属基材10への移動が抑制される。それにより、補助材料32の金属基材10への移動も抑制される。なお、表1で例示した固体酸化物電解質31の焼結性序列は、安定化セリア系材料>ランタンガレート類>安定化ジルコニアである。
【実施例3】
【0042】
移動抑制層25は、固体酸化物電解質および補助材料を含んでいなくてもよい。図3は、実施例3に係る移動抑制層25および電解質層30を示す図である。図3は、電解質層30の焼成処理後の断面を示す。例えば、移動抑制層25は、補助材料32との濡れ性が固体酸化物電解質31と補助材料32との濡れ性に比較して低い材料からなるものであってもよい。この場合の移動抑制層25として、例えば、グラファイト、窒化ホウ素、ニオブ、タングステン等を用いることができる。この場合、濡れ性の差に起因して、電解質層30の焼成工程において、補助材料32の金属基材10への移動が抑制される。それにより、金属基材10の異常酸化が抑制される。
【0043】
なお、移動抑制層25を構成する材料は、補助材料32との濡れ性が電極20と補助材料32との濡れ性に比較して低い材料であってもよい。また、併せて、電極20を構成する材料は、補助材料32との濡れ性が固体酸化物電解質31と補助材料32との濡れ性に比較して低い材料であることが好ましい。補助材料32の金属基材10への移動が抑制されるからである。
【0044】
なお、上記いずれかの実施例において、金属基材10は、電極20側の耐食性が電極20と反対側に比較して高くなるように構成されていることが好ましい。例えば、金属基材10の電極20側の表面が耐食コーティングされていることが好ましい。例えば、耐食コーティング材としては、貴金属(Pt,Au,Rh,Pd)、高耐熱性卑金属(Ni基耐熱金属、Co基耐熱金属、オーステナイト系ステンレス)等を用いることができる。この場合、金属基材10の異常酸化を抑制することができる。
【0045】
また、上記各実施例に係る燃料電池は、金属基材上にアノード、電解質膜、およびカソードが順に配置された構造を有するが、逆配置の構造を有していてもよい。この場合においても、電解質膜の焼成時に金属機材の酸化皮膜の腐食を抑制しつつ、電解質膜のひび、剥がれ等を抑制することができる。
【符号の説明】
【0046】
10 金属基材
20 電極
25 移動抑制層
30 電解質層
31,33 固体酸化物電解質
32,34 補助材料
40 電極
100 燃料電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス透過性を有する金属基材と、
前記金属基材上に設けられ、触媒活性を有する電極と、
前記電極上に設けられ、固体酸化物電解質と補助材料とを含み、前記補助材料の融点またはガラス転移点が前記固体酸化物電解質の焼結開始温度以下である電解質層と、
前記電解質層と前記電極との間に、前記補助材料の前記金属基材側への移動を抑制する移動抑制層と、を備えることを特徴とする燃料電池。
【請求項2】
前記移動抑制層は、前記固体酸化物電解質および前記補助材料を含み、
前記移動抑制層における前記固体酸化物電解質の前記補助材料に対する重量比率は、前記電解質層における前記固体酸化物電解質の前記補助材料に対する重量比率よりも高いことを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
【請求項3】
前記移動抑制層は、固体酸化物電解質および補助材料を含み、
前記電解質層の補助材料と、前記移動抑制層の補助材料とは、異なる性質を有することを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
【請求項4】
前記移動抑制層の補助材料は、前記電解質層の補助材料と比較して、高い融点、高いガラス転移点、高い粘度、および固体酸化物電解質との低い濡れ性の少なくともいずれかの性質を有することを特徴とする請求項3記載の燃料電池。
【請求項5】
前記移動抑制層は、固体酸化物電解質および補助材料を含み、
前記電解質層の固体酸化物電解質と、前記移動抑制層の固体酸化物電解質とは、異なる性質を有することを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
【請求項6】
前記移動抑制層の固体酸化物電解質は、前記電解質層の固体酸化物電解質と比較して、補助材料との低い濡れ性、小さい平均粒径、および高い焼結性の少なくともいずれかの性質を有することを特徴とする請求項5記載の燃料電池。
【請求項7】
前記移動抑制層は、前記補助材料との濡れ性が前記固体酸化物電解質との濡れ性よりも低い材料からなることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
【請求項8】
前記電極と前記金属基材との間に設けられ、前記補助材料との濡れ性が前記固体酸化物電解質と前記補助材料との濡れ性よりも低い材料からなる低濡れ性層をさらに備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の燃料電池。
【請求項9】
前記電極と前記金属基材との間に設けられ、前記補助材料との濡れ性が前記電極と前記補助材料との濡れ性よりも低い材料からなる低濡れ性層をさらに備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の燃料電池。
【請求項10】
前記金属基材において、前記電極側の耐食性は、前記電極と反対側に比較して高いことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の燃料電池。
【請求項11】
前記金属基材は、フェライト系ステンレスであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の燃料電池。
【請求項12】
前記固体酸化物電解質は、安定化ジルコニア、安定化セリア、およびランタンガレート類(ドープランタンガレート)の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の燃料電池。
【請求項13】
前記補助材料は、炭酸塩、塩化物塩、フッ化物塩、およびガラスの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の燃料電池。
【請求項14】
ガス透過性を有する金属基材上に、固体酸化物電解質と補助材料とを含む電解質層を焼成によって形成する燃料電池の製造方法であって、
前記電解質層と前記金属基材との間に、前記補助材料の前記金属基材側への移動を抑制する移動抑制層を配置する工程と、
前記電解質層を焼成する工程と、を含み、
前記補助材料の融点またはガラス転移点は、前記固体酸化物電解質の焼結開始温度以下であることを特徴とする燃料電池の製造方法。
【請求項15】
前記移動抑制層は、前記固体酸化物電解質および前記補助材料を含み、
前記移動抑制層における前記固体酸化物電解質の前記補助材料に対する重量比率は、前記電解質層における前記固体酸化物電解質の前記補助材料に対する重量比率よりも高いことを特徴とする請求項14記載の燃料電池の製造方法。
【請求項16】
前記移動抑制層は、固体酸化物電解質および補助材料を含み、
前記電解質層の補助材料と、前記移動抑制層の補助材料とは、異なる性質を有することを特徴とする請求項14記載の燃料電池の製造方法。
【請求項17】
前記移動抑制層の補助材料は、前記電解質層の補助材料と比較して、高い融点、高いガラス転移点、高い粘度、および固体酸化物電解質との低い濡れ性の少なくともいずれかの性質を有することを特徴とする請求項16記載の燃料電池の製造方法。
【請求項18】
前記移動抑制層は、固体酸化物電解質および補助材料を含み、
前記電解質層の固体酸化物電解質と、前記移動抑制層の固体酸化物電解質とは、異なる性質を有することを特徴とする請求項14記載の燃料電池の製造方法。
【請求項19】
前記移動抑制層の固体酸化物電解質は、前記電解質層の固体酸化物電解質と比較して、補助材料との低い濡れ性、小さい平均粒径、および高い焼結性の少なくともいずれかの性質を有することを特徴とする請求項18記載の燃料電池の製造方法。
【請求項20】
前記移動抑制層は、前記補助材料との濡れ性が前記固体酸化物電解質と前記補助材料との濡れ性よりも低い材料からなることを特徴とする請求項14記載の燃料電池の製造方法。
【請求項21】
前記金属基材において、前記電極側の耐食性は、前記電極と反対側に比較して高いことを特徴とする請求項14〜20のいずれかに記載の燃料電池の製造方法。
【請求項22】
前記金属基材は、フェライト系ステンレスであることを特徴とする請求項14〜21のいずれかに記載の燃料電池の製造方法。
【請求項23】
前記固体酸化物電解質は、安定化ジルコニア、安定化セリア、およびランタンガレート類(ドープランタンガレート)の少なくとも1つであることを特徴とする請求項14〜22のいずれかに記載の燃料電池の製造方法。
【請求項24】
前記補助材料は、炭酸塩、塩化物塩、フッ化物塩、およびガラスの少なくとも1つであることを特徴とする請求項14〜23のいずれかに記載の燃料電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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