説明

燃料電池により生成された温水を有効に活用することができる建物および温水供給システム

【課題】 水道管へ温水を供給することによって、燃料電池によって生成された温水を有効に活用することができる建物、および温水供給システムを供給する。
【解決手段】 本発明の建物は、燃料電池と、燃料電池により生成された温水を貯湯する貯湯漕と、供給される温水の温度を、予め設定された温度に維持するサーモ弁と、水が要求されたときに、貯湯漕に貯湯されている温水の熱量が基準値を超えていない場合には冷水を供給し、貯湯漕に貯湯されている温水の熱量が基準値を超えている場合にはサーモ弁を用いて予め設定された温度の温水を供給させる制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道管へ温水を供給することによって、燃料電池によって生成された、余った温水を有効に活用することができる建物、および温水供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅における電力系統の補助電源として燃料電池等が考えられている(例えば、非特許文献1参照)。この場合、燃料電池は、燃料電池の発電に伴う排熱を温水として貯湯槽に蓄積すると共に、電力を住宅へ供給する。
【0003】
【非特許文献1】石井弘毅著、燃料電池開発情報センター監修、「燃料電池がわかる本」、第一版、株式会社オーム社、平成13年9月25日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、温水の使用量に対して電力の使用量が多いと余分な温水が生じる場合があるが、このような余分な温水は利用されずに捨てられていた。また一方で、例えば住宅での温水の使用量が多い場合には、貯湯槽の温水量が不足することがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するために、本発明の第一の形態における建物は、燃料電池と、燃料電池により生成された温水を貯湯する貯湯漕と、供給される温水の温度を、予め設定された温度に維持するサーモ弁と、水が要求されたときに、貯湯漕に貯湯されている温水の熱量が基準値を超えていない場合には冷水を供給し、貯湯漕に貯湯されている温水の熱量が基準値を超えている場合にはサーモ弁を用いて予め設定された温度の温水を供給させる制御部とを備えた。このように、水道管へ温水を供給することにより、余った温水を有効に活用することができる。また、貯湯槽の温水が少ない場合には、水道管へ貯湯槽の温水ではなく冷水を供給するので、必要な温水量を貯湯槽に確保しておくことができる。
【0006】
サーモ弁は、洗濯機に水を供給する洗濯機用配管に、予め設定された温度の温水を供給してもよい。これにより、洗濯機における洗濯の効果を高めることができる。
【0007】
制御部は、洗濯機が洗濯用の水を洗濯機に給水していることを更に条件として、サーモ弁を用いて予め設定された温度の温水を洗濯機に供給させてもよい。このように、すすぎを行う場合には温水を供給せずに、洗濯を行う場合にのみ供給するので、本発明では、貯湯槽の温水を、より有効に活用することができる。
【0008】
制御部は、貯湯漕に貯湯されている温水の熱量が第一の基準値よりも大きい場合には、洗濯機が洗濯用の水を洗濯機に給水していることを条件として予め設定された温度の温水を洗濯機に供給させ、貯湯漕に貯湯されている温水の熱量が第一の基準値よりも大きい第二の基準値よりも更に大きい場合には、洗濯機が洗濯用の水を洗濯機に給水しているか否かに関わらずに予め設定された温度の温水を洗濯機に供給させてもよい。これにより、貯湯槽の余った温水を、有効に利用することができる。
【0009】
サーモ弁は、トイレに水を供給するトイレ用配管に、予め設定された温度の温水を供給してもよい。これにより、トイレにおける洗浄の効果を高めることができる。
【0010】
本発明の第二の形態における建物は、燃料電池と、燃料電池により生成された温水を貯湯する貯湯漕と、トイレと、貯湯漕に貯湯されている温水の熱量が基準値を超えている場合には貯湯漕から温水をトイレに供給するトイレ用配管とを備えた。
【0011】
本発明の第三の形態における温水供給システムは、燃料電池と、燃料電池により生成された温水を貯湯する貯湯漕と、供給される温水の温度を、予め設定された温度に維持するサーモ弁と、水が要求されたときに、貯湯漕に貯湯されている温水の熱量が基準値を超えていない場合には冷水を供給し、貯湯漕に貯湯されている温水の熱量が基準値を超えている場合にはサーモ弁を用いて予め設定された温度の温水を供給させる制御部とを備えた。
【0012】
なお上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションも又発明となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求にかかる発明を限定するものではなく、又実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の開発手段に必須であるとは限らない。
【0014】
図1は、本実施形態における温水供給システム100を備えた建物200の構成の一例を示す。温水供給システム100は、燃料電池40、貯湯槽42、2つのサーモ弁44、46、混合栓47、制御部48、洗濯機50、トイレ52、洗面所53、温度検出手段54、貯湯槽給水配管60、冷水供給配管62、温水供給配管64、洗濯機用配管66、およびトイレ用配管68を備える。
【0015】
ここで従来、燃料電池40は、電力の発電に伴う排熱を温水として貯湯槽42に蓄積すると共に、電力を建物200における電力負荷へ供給する。しかしながら、温水の使用量に対して電力の使用量が多いと、余分な温水が生じる。このような余分な温水は貯湯槽42に貯められるが、貯湯槽42に貯めきれなくなると、利用されずに捨てられていた。また、一方で、電力の使用量に対して温水の使用量が多い場合には、貯湯槽42の温水量が不足するという課題があった。そこで本発明の温水供給システム100は、このような課題を解決することを目的とする。
【0016】
燃料電池40は、例えば固体高分子形燃料電池(PEFC)である。燃料電池40は、電力を生成すると共に、熱を発生させる。本例の燃料電池40は、例えば、建物200へ供給される都市ガスやプロパンガスを改質して、燃料となる水素ガスを生成するものであってよく、また外部から供給される水素ガスを燃料とするものであってもよい。
【0017】
貯湯槽42は、貯湯槽給水配管60、および温水供給配管64と接続される。本例の貯湯槽給水配管60は、貯湯槽42に接続され、冷水を貯湯槽42へ供給する。そして貯湯漕42は、燃料電池40で生じる熱により生成された温水を貯湯する。
【0018】
2つのサーモ弁44、46および混合栓47のそれぞれは、温水供給配管64および冷水供給配管62に接続されている。冷水供給配管62は、サーモ弁44、46および混合栓47へ冷水を供給する。サーモ弁44、および46は、例えばサーモスタット混合弁であり、温水供給配管64によって排出された温水と、冷水供給配管62により供給される冷水とを混合し、予め設定された温度に、温水を維持する。尚、本例における冷水とは、外部から建物200へ供給された上水である。貯湯槽給水配管60および、冷水供給配管62のそれぞれは、建物200へ供給された上水を、貯湯槽42、サーモ弁44、46、および混合栓47へ、貯湯槽42に貯湯された温水よりも冷たい冷水として供給する。
【0019】
サーモ弁44は、洗濯機用配管66と接続されており、サーモ弁46は、トイレ用配管68と接続されている。サーモ弁44およびサーモ弁46は、制御部48からの信号に基づいて、予め定められた温度に維持された温水、又は冷水供給配管62により供給される冷水を、洗濯機用配管66およびトイレ用配管68へそれぞれ供給する。尚、サーモ弁44あるいは46が供給する温水の温度は、例えば制御部48により設定されてもよいし、利用者によって手動で設定されてもよい。
【0020】
洗濯機50は、供給された冷水または温水を用いて、衣服の洗濯を行う。トイレ52は、供給された冷水または温水を用いて、利用者の排泄物を洗浄する。尚、本例のトイレ52は、内部に貯水タンクを備えており、トイレ用配管68が給水する冷水または温水を、この貯水タンクに貯水する。
【0021】
混合栓47は、利用者が温水と冷水の水量を調整することのできる混合水栓であってもよいし、サーモスタット混合栓であってもよい。混合栓47は、利用者の要求に基づいて、温水、或いは冷水を、混合栓47が有する蛇口から、洗面所53へ供給する。
【0022】
ここで本例の制御部48は、貯湯槽42に貯湯された温水を有効に利用するために、洗濯機50、およびトイレ52への水の供給を制御する。温度検出手段54は、貯湯槽42の温水の温度を検出する。制御部48は、貯湯槽42に貯湯された温水の熱量を算出する。例えば制御部48は、貯湯槽42の温水の温度から、貯湯槽給水配管60から供給される冷水の温度を減じた値に、貯湯槽42に貯湯された温水の体積を乗じた値を、貯湯槽42に貯湯された温水の熱量として算出する。
【0023】
尚、本例の貯湯槽42は、下部には冷水を貯水し、より温かい温水を、より上部に貯湯する構造のものであってよい。この場合、温度検出手段54は、例えば貯湯槽42の複数の位置の温度を検出する。そして制御部48は、各温度から貯湯槽給水配管60により供給される冷水の温度を減じた値に、各温度の温水の水量を乗じた値を温度毎に算出し、温度毎に算出した値の総和を、貯湯槽42に貯湯された温水の熱量として算出する。
【0024】
ここで、洗濯機50と制御部48とは、電気的に接続されており、洗濯機50は、洗濯の開始を示す信号を制御部48へ出力する。尚、洗濯機50において衣服を洗濯する場合には、“洗い”、“すすぎ”、“脱水”等が行われる。本例の洗濯機50は、例えば、洗いやすすぎの開始を示す信号を、制御部48へ出力する。そして、洗濯機50が洗濯を行う場合に、貯湯槽42に貯湯されている温水の熱量が第一の基準値を超えない場合には、制御部48は、冷水を洗濯機50に供給させる。ここで、温水の熱量が第一の基準値を超えない場合とは、例えば、貯湯槽42に温水として貯湯されている供給可能な熱量が、洗面所53および洗濯機50における一般的な給湯需要量に相当する熱量を超えない場合であってよい。
【0025】
また、貯湯漕42に貯湯されている温水の熱量が第一の基準よりも大きい場合には、制御部48は、洗濯機50が洗濯用の水を洗濯機に給水していることを条件として、洗濯機50に温水を供給させる。これにより、洗濯機50における洗濯の効果を高めることができる。尚、本明細書において洗濯用の水とは、洗濯機50における“洗い”で使用される水である。
【0026】
また、貯湯漕42に貯湯されている温水の熱量が第二の基準値よりも更に大きい場合には、制御部48は、洗濯機50が洗濯用の水を洗濯機に給水しているか否かに関わらずに、温水を洗濯機50に供給させる。即ち、制御部48は、洗濯機50の洗濯用の水、およびすすぎ用の水として、温水を供給させる。ここで、温水の熱量が第二の基準値を超えた場合とは、例えば、貯湯槽42に温水として貯湯されている供給可能な熱量が、洗面所53および洗濯機50で一般的な給湯需要量に相当する熱量を、所定量だけ更に超えた場合であってよい。このように、すすぎ用に水に温水を供給するので、洗濯機50における洗濯の効果を更に高めることができる。
【0027】
尚、本例において、第一の基準値、および第二の基準値は、洗濯機50で温水を使用したと想定した場合に、貯湯槽42に残る熱量に基づいて定められてよい。例えば、第一の基準値は、貯湯槽42の熱量から、洗濯用の水に温水を用いた場合に使用される熱量を減じた値が、洗面所53で使用される熱量以上であるように定められる。また第二の基準値は、貯湯槽42の熱量から、洗濯およびすすぎの水に温水を用いた場合に使用される熱量を減じた値が、洗面所53で使用される熱量以上であるように定められる。
【0028】
この場合、洗面所53で使用される熱量とは、洗面所53で使用される温水の温度から冷水供給配管62により供給される冷水の温度を減じた値に、洗面所53で使用される水量を乗じた値であってよい。また、洗濯機50の洗濯で使用される熱量とは、サーモ弁44において維持された温度から、冷水供給配管62により供給される冷水の温度を減じた値に、洗濯機50の洗濯で使用される水量を乗じた値であってよい。
【0029】
同様に、洗濯機50の洗濯およびすすぎで使用される熱量とは、サーモ弁44において維持された温度から、冷水供給配管62により供給される冷水の温度を減じた値に、洗濯機50の洗濯およびすすぎで使用される水量を乗じた値であってよい。
【0030】
このように、本例においては、貯湯槽42の熱量の余りが少ない場合には、洗濯を行う場合にのみ供給し、貯湯槽42の熱量が多く余った場合には、洗濯およびすすぎに温水を利用するので、貯湯槽42の熱量を有効に利用することができる。
【0031】
尚、貯湯槽42に貯湯される温水の温度が、洗面所53で使用が想定される温水の温度よりも低い場合がある。このような場合、制御部48は、貯湯槽42の熱量が第1の基準値を超えたかどうかを判断する場合に、貯湯槽42の温度を更に参照してよい。例えば、制御部48は、洗面所53で使用が想定される温水の温度よりも高い温度であって、かつ貯湯槽42に貯湯された温水の熱量が第一の基準値を超えた場合に、洗濯機50が洗濯用の水を洗濯機に給水していることを条件として、洗濯機50に温水を供給させてよい。貯湯槽42に貯湯された温水の熱量が第二の基準値を超えたかどうかを判断する場合にも同様に、洗面所53で使用が想定される温水の温度よりも高い温度であるかを、更に加えて判断してよい。
【0032】
そして、貯湯漕42に貯湯されている温水の熱量が、第三の基準値を超えていない場合には、冷水をトイレ52に供給させる。ここで、温水の熱量が第三の基準値を超えない場合とは、例えば、貯湯槽42に温水として貯湯されている供給可能な熱量が、洗面所53およびトイレ52における一般的な給湯需要量に相当する熱量を超えない場合であってよい。また、貯湯漕42に貯湯されている温水の熱量が、第三の基準値を超えている場合には、貯湯漕42から温水をトイレ52に供給させる。これにより、トイレ52における洗浄の効果を高めることができる。ここで第三の基準値は、例えば、貯湯槽42の熱量から、トイレ52の洗浄用の水に温水を用いた場合に使用が想定される熱量を減じた値が、所定の熱量以上であるように定められる。ここで所定の熱量とは、例えば、洗面所53で使用される熱量、および洗濯機50で洗濯およびすすぎ用に温水が使用された場合の熱量を加えた熱量であってよい。そしてトイレ52で使用される熱量とは、サーモ弁46において予め維持された温度から、冷水供給配管62により供給される冷水の温度を減じた値に、トイレ52の洗浄に使用する水量を乗じた値であってよい。
【0033】
このように、本発明の温水供給システム100は、洗濯機50およびトイレ52に、水の代わりに温水を供給することによって、余った温水を有効に活用することができる。また、貯湯槽42の温水が少ない場合には、建物200のそれぞれの水道管へ、貯湯槽42の温水ではなく、冷水を供給するので、最低限必要な温水量を貯湯槽42に確保しておくことができる。また、貯湯槽42の熱量が少ない場合には、洗濯を行う場合にのみ温水を供給し、貯湯槽42の熱量が余った場合には、すすぎにも温水を利用するので、燃料電池40の排熱を有効に利用することができる。
【0034】
図2は、洗濯機50を使用する場合における温水供給システム100の動作の一例を示すフローチャートである。燃料電池40は、電力を生成すると共に、生じた排熱で温水を生成する(S100)。ここで、洗濯機50を使用しない場合には(S105:NO)、本フローチャートはS100へと戻る。この場合、貯湯槽42に貯湯される温度は、排熱の量に応じて上昇する。
【0035】
そして、洗濯機50を使用する場合(S105:YES)、制御部48は、洗濯機50から、洗濯を開始する旨を示す信号を受け取る。すると、制御部48は、温度検出手段54が検出した温度を参照し、貯湯槽42の熱量を算出する。ここで、貯湯槽42に貯湯された温水の熱量が、第一の基準値よりも小さい場合、例えば、貯湯槽42に温水として貯湯されている供給可能な熱量が、洗面所53および洗濯機50における一般的な給湯需要量に相当する熱量を超えない場合(S110:YES)、制御部48は、洗濯機50へ冷水を供給させる(S115)。この場合、制御部48は、サーモ弁44を動作させ、冷水供給配管62によって供給される冷水を、洗濯機用配管66へ排出させることにより、洗濯機50へ冷水を供給させる。
【0036】
ここで、貯湯槽42に貯湯された温水の熱量が、第一の基準値よりも大きい場合(S110:NO)、本フローチャートは、S120へ進む。この場合、更に、貯湯槽42に貯湯された温水の熱量が第二の基準よりも小さい場合、例えば、貯湯槽42に温水として貯湯されている供給可能な熱量が、洗面所53および洗濯機50で一般的な給湯需要量に相当する熱量を、更に所定量だけ超えてはいない場合(S120:YES)、制御部48は、洗濯時にのみ、温水を洗濯機50へ供給させる(S125)。この場合、制御部48は、サーモ弁44を動作させ、予め設定された温度に維持された温水を、洗濯機用配管66へ排出させる。洗濯機用配管66は、サーモ弁44により予め設定された温度に維持されている温水を、洗濯機50に供給する。
【0037】
また、貯湯槽42に貯湯された温水の熱量が第二の基準よりも大きい場合(S120:NO)、制御部48は、洗濯時およびすすぎ時に、温水を洗濯機50へ供給させる(S130)。この場合、制御部48は、サーモ弁44を動作させ、予め設定された温度に維持された温水を、洗濯機用配管66へ排出させる。洗濯機用配管66は、サーモ弁44により予め設定された温度に維持されている温水を、洗濯機50に供給する。尚、洗濯機50は、洗濯を開始する場合には、洗濯の開始を示す信号を、また、すすぎを開始する場合には、すすぎの開始を示す信号を、制御部48へ出力している。
【0038】
貯湯槽42の温水が供給されると、供給した温水の水量に相当する冷水が、貯湯槽42へ供給される。そして、洗濯が終了していない場合(S135:NO)、本フローチャートは、S110へ戻る。洗濯が終了すると(S135:YES)、本フローチャートは終了する。
【0039】
図3は、トイレ52を使用する場合における温水供給システム100の動作の一例を示すフローチャートである。燃料電池40は、電力を生成すると共に、生じた排熱で温水を生成する(S200)。
【0040】
ここで制御部48は、通常、サーモ弁46を開くことで、冷水供給配管62によって供給される冷水をトイレ52へ供給する。この場合、トイレ52が内部に有する貯水タンクへ、冷水は供給される。ここで、貯湯槽42に貯湯された温水の熱量が第三の基準値を超えた場合、例えば、貯湯槽42に温水として貯湯されている供給可能な熱量が、洗面所53およびトイレ52における一般的な給湯需要量に相当する熱量を超えた場合(S205:YES)、制御部48は、温水をトイレ52へ供給させる(S210)。この場合、制御部48は、サーモ弁46を動作させ、予め設定された温度に維持された温水を、トイレ用配管68へ排出する。これにより、トイレ用配管68は、サーモ弁46により予め設定された温度に維持されている温水を、トイレ52に供給する。
【0041】
貯湯槽42に貯湯された温水の熱量が第三の基準値を超えない場合(S205:NO)、制御部48は、冷水をトイレ52へ供給させる(S215)。このように、本例の建物200においては、トイレ用配管68へ温水を供給することにより、余った温水を有効に活用することができると共に、トイレ52における洗浄の効果を高めることができる。また、貯湯槽42の温水が少ない場合には、トイレ用配管68へ、貯湯槽42の温水ではなく冷水を供給するので、貯湯槽42の水量が不足することを防止できる。
【0042】
尚、他の例において第三の基準値は、貯湯槽42の熱量から、トイレ52の洗浄用の水に温水を用いた場合に使用される熱量を減じた値が、洗面所53で使用される熱量以上であるように定められてもよいし、或いは、貯湯槽42の熱量から、トイレ52の洗浄用の水に温水を用いた場合に使用される熱量を減じた値が、洗面所53で使用される熱量と、洗濯で使用される熱量とを加えた熱量以上であるように定められてもよい。
【0043】
また、本例の温水供給システム100は洗面所53に温水を供給したが、他の例においては、洗面所53に加えて、浴槽、床暖房、食器洗浄器など、家庭内で温水が使用される機器に温水を供給してもよい。
【0044】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることができることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施形態に係る温水供給システム100を備えた建物200の構成の一例を示す図である。
【図2】洗濯機50を使用する場合における温水供給システム100の動作の一例を示すフローチャートである。
【図3】トイレ52を使用する場合における温水供給システム100の動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
40・・・燃料電池、42・・・貯湯槽、44、46・・・サーモ弁、47・・・混合栓、48・・・制御部、50・・・洗濯機、52・・・トイレ、53・・・洗面所、54・・・温度検出手段、60・・・貯湯槽給水配管、62・・・冷水供給配管、64・・・温水供給配管、66・・・洗濯機用配管、68・・・トイレ用配管、100・・・温水供給システム、200・・・建物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池と、
前記燃料電池により生成された温水を貯湯する貯湯漕と、
供給される温水の温度を、予め設定された温度に維持するサーモ弁と、
水が要求されたときに、前記貯湯漕に貯湯されている温水の熱量が基準値を超えていない場合には冷水を供給し、前記貯湯漕に貯湯されている温水の熱量が基準値を超えている場合には前記サーモ弁を用いて前記予め設定された温度の温水を供給させる制御部と
を備えた建物。
【請求項2】
前記サーモ弁は、洗濯機に水を供給する洗濯機用配管に、予め設定された温度の温水を供給する請求項1に記載の建物。
【請求項3】
前記制御部は、前記洗濯機が洗濯用の水を当該洗濯機に給水していることを更に条件として、前記サーモ弁を用いて前記予め設定された温度の温水を前記洗濯機に供給させる請求項2に記載の建物。
【請求項4】
前記制御部は、前記貯湯漕に貯湯されている温水の熱量が第一の基準値よりも大きい場合には、前記洗濯機が洗濯用の水を当該洗濯機に給水していることを条件として前記予め設定された温度の温水を前記洗濯機に供給させ、前記貯湯漕に貯湯されている温水の熱量が第一の基準値よりも大きい第二の基準値よりも更に大きい場合には、前記洗濯機が洗濯用の水を当該洗濯機に給水しているか否かに関わらずに前記予め設定された温度の温水を前記洗濯機に供給させる請求項2に記載の建物。
【請求項5】
前記サーモ弁は、トイレに水を供給するトイレ用配管に、予め設定された温度の温水を供給する請求項1に記載の建物。
【請求項6】
燃料電池と、
前記燃料電池により生成された温水を貯湯する貯湯漕と、
トイレと、
前記貯湯漕に貯湯されている温水の熱量が基準値を超えている場合には前記貯湯漕から温水を前記トイレに供給するためのトイレ用配管と
を備えた建物。
【請求項7】
燃料電池と、
前記燃料電池により生成された温水を貯湯する貯湯漕と、
供給される温水の温度を、予め設定された温度に維持するサーモ弁と、
水が要求されたときに、前記貯湯漕に貯湯されている温水の熱量が基準値を超えていない場合には冷水を供給し、前記貯湯漕に貯湯されている温水の熱量が基準値を超えている場合には前記サーモ弁を用いて前記予め設定された温度の温水を供給させる制御部と
を備えた温水供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−40678(P2006−40678A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−217910(P2004−217910)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(399059496)コスモ石油ガス株式会社 (4)
【出願人】(000005854)丸紅株式会社 (11)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(302064762)株式会社日本総合研究所 (367)
【Fターム(参考)】