説明

燃料電池システム、燃料電池システム制御方法および建造物

【課題】蓄電池の蓄電容量を削減することができる燃料電池システムを提供すること。
【解決手段】燃料電池と、燃料電池の電力を消費する電力負荷と、燃料電池の電力を蓄電する蓄電池と、電力負荷の消費電力を増やす必要がある場合に、消費電力の増加量を示す電力要求情報を予め送信する要求制御部と、要求制御部から電力要求情報を受け取った場合に、燃料電池が電力負荷に更に電力を供給できることを条件として、電力要求情報で示される消費電力の増加量と蓄電池の蓄電量とに基づいて、電力負荷が消費電力を増加させるタイミングを、電力要求情報で示される消費電力の増加量に燃料電池から供給される電力の増加量が達する時刻よりも前のタイミングにスケジュールしスケジュールされたタイミングを示す許可通知を送信し、許可通知を受け取ったことを条件として、許可通知で示されるタイミングで電力負荷の消費電力を増加させる負荷制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システム、燃料電池システム制御方法および建造物に関する。特に本発明は、電力を負荷に供給する燃料電池システム、燃料電池システム制御方法および建造物に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池を利用した燃料電池システムとしては、住宅が備える負荷機器が消費する電力を燃料電池が提供し、燃料電池の発電に伴って生成される温水を、住宅が備える貯湯タンクに供給するシステムがある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003-199254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電力系統から供給される電力を用いて動作することを前提として設計された負荷機器は、10ミリ秒程度の時間で消費電力を変動させる場合がある。一方で、燃料電池の発電量を変動させるには一般に数百ミリ秒程度の時間が必要である。このため、負荷機器の消費電力と燃料電池の発電電力との間に、一時的に電力の過不足が生じてしまう場合がある。この場合、蓄電池を設けることによって電力の過不足を吸収させることができる。しかし、電力の過不足を十分に吸収すべくより蓄電容量の大きい蓄電池を設けると、蓄電池の設置コストが増加するので好ましくない。
【0004】
そこで本発明は、上記の課題を解決することができる燃料電池システム、燃料電池システム制御方法および建造物を提供することを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の形態における燃料電池システムは、燃料電池と、燃料電池が発電した電力を消費して動作する電力負荷と、燃料電池の発電電力が前記電力負荷の消費電力より大きい場合に、前記燃料電池の電力を蓄電し、前記燃料電池の発電電力が前記電力負荷の消費電力より小さい場合に、蓄電した電力を放電することによって前記電力負荷に電力を供給する蓄電池と、電力負荷の消費電力を増やす必要がある場合に、消費電力の増加量を示す電力要求情報を予め送信する要求制御部と、要求制御部から電力要求情報を受け取った場合に、前記燃料電池が前記電力負荷に更に電力を供給することができることを条件として、前記電力負荷が消費電力を増加すべきタイミングを示す許可通知を送信する燃料電池制御部と、燃料電池制御部から許可通知を受け取ったことを条件として、当該許可通知で示されるタイミングで前記電力負荷の消費電力を増加させる負荷制御部とを備え、燃料電池制御部は、前記要求制御部から受け取った電力要求情報で示される消費電力の増加量と前記蓄電池の蓄電量とに基づいて、前記電力負荷が消費電力を増加させるタイミングを、前記要求制御部から受け取った電力要求情報で示される消費電力の増加量に前記燃料電池から供給される電力の増加量が達する時刻よりも前のタイミングにスケジュールし、スケジュールされたタイミングを示す許可通知を送信する。
【0006】
前記燃料電池制御部は、前記蓄電池に更に蓄電することができる場合に、前記要求制御部から受け取った電力要求情報で示される消費電力の増加量に前記燃料電池から供給される発電電力量の増加量が達するまでの立ち上がり期間において、前記蓄電池に充電される電力量と、前記蓄電池から放電される電力量とが略同一になるよう、前記電力負荷が消費電力を増やすタイミングを前記立ち上がり期間内にスケジュールしてよい。
【0007】
前記燃料電池制御部は、前記蓄電池に更に蓄電することができる場合に、前記蓄電池に更に蓄電することができる蓄電可能電力量に更に基づいて、前記立ち上がり期間内において前記蓄電池が満充電に達するか否かを判断し、前記立ち上がり期間中に前記蓄電池が満充電に達すると判断される場合に、前記電力負荷が消費電力を増やすタイミングを、前記立ち上がり期間内における、前記蓄電池が満充電に達する時刻より前のタイミングにスケジュールしてよい。
【0008】
前記燃料電池制御部は、前記蓄電池に蓄電しておくべき目標蓄電量から、前記立ち上がり期間の開始時刻における前記蓄電池の蓄電量を引いた電力差の大きさが、予め定められた基準値を上回る場合に、前記立ち上がり期間内において前記蓄電池に充電される電力量から前記立ち上がり期間内において前記蓄電池から放電される電力量を引いた値が当該電力差に近づくよう、前記電力負荷が消費電力を増やすタイミングをスケジュールしてよい。
【0009】
前記要求制御部は、前記電力負荷の消費電力を増やす必要がある場合に、予め消費電力を増加させる期間を示す期間情報を電力要求情報とともに送信し、前記燃料電池制御部は、前記要求制御部から新たな要求情報を受け取った場合に、前記要求制御部から既に受け取った期間情報及び電力要求情報で示される消費電力の増加量、並びに既に送信した許可通知によって示される前記電力負荷が消費電力を増加すべきタイミングに基づいて時刻毎の消費電力の合計値を判断し、当該時刻毎の消費電力の合計値が、前記燃料電池から供給することのできる最大電力量をいずれかの時刻で上回らないことを条件として、前記燃料電池が前記電力負荷に更に電力を供給することができることを判断してよい。
【0010】
前記燃料電池制御部は、前記要求制御部から既に受け取った期間情報及び電力要求情報で示される消費電力の増加量、並びに既に送信した許可通知によって示される前記電力負荷が消費電力を増加すべきタイミングに基づいて、前記電力負荷の消費電力が減少するタイミング及び当該タイミングにおける消費電力の減少量を判断し、当該消費電力の減少量だけ前記燃料電池の発電電力が低下するまでの立ち下がり期間において、前記蓄電池に充電される電力量と前記蓄電池から放電される電力量とが略同一になるよう、前記燃料電池の発電電力を低下させるタイミングをスケジュールしてよい。
【0011】
前記燃料電池制御部は、前記燃料電池の発電電力を低下させるタイミングから前記電力負荷の消費電力が減少するタイミングまでの期間において前記蓄電池から放電される放電量が、前記燃料電池の発電電力を低下させるタイミングにおける前記蓄電池の蓄電量以下になるよう、前記燃料電池の発電電力を低下させるタイミングをスケジュールしてよい。
【0012】
前記燃料電池制御部は、前記蓄電池に蓄電しておくべき目標蓄電量から前記立ち下がり期間の開始時刻における前記蓄電池の蓄電量を引いた電力差の大きさが予め定められた基準値を上回る場合に、前記立ち下がり期間内において前記蓄電池に充電される充電電力量から前記立ち下がり期間内において前記蓄電池から放電される放電電力量を引いた値が当該電力差に近づくよう、前記電力負荷が消費電力を増やすタイミングをスケジュールしてよい。
【0013】
前記燃料電池の発電電力量及び前記電力負荷の消費電力量の履歴を管理する給電歴管理部を更に備え、前記燃料電池制御部は、前記給電歴管理部によって管理されている前記燃料電池の発電電力量及び前記電力負荷の消費電力量の履歴に基づいて、前記蓄電池に蓄電しておくべき蓄電必要量を算出し、算出した蓄電必要量がより大きい場合に、許可通知で示される消費電力を増加すべきタイミングからより早いタイミングで前記燃料電池の発電量を増加させてよい。
【0014】
在宅中であるか否かを判断する在宅判断部を更に備え、前記給電歴管理部は、前記在宅判断部によって在宅中であると判断されたときの前記燃料電池の発電電力量及び前記電力負荷の消費電力量、ならびに在宅中ではないと判断されたときの前記燃料電池の発電電力量及び前記電力負荷の消費電力量の履歴をそれぞれ管理し、前記燃料電池制御部は、前記在宅判断部によって在宅中であると判断された場合には、前記給電歴管理部に管理されている在宅中の履歴を用いて、前記蓄電池に蓄電しておくべき蓄電必要量を算出し、前記在宅判断部によって在宅中でないと判断された場合には、前記給電歴管理部に管理されている非在宅中の履歴を用いて、前記蓄電池に蓄電しておくべき蓄電必要量を算出してよい。
【0015】
前記燃料電池制御部は、許容することのできる消費電力の増加量を、前記負荷制御部へ通知し、前記負荷制御部は、前記燃料電池制御部から受け取った、許容された範囲内で消費電力を増加させてよい。
【0016】
前記電力負荷の動作モードに応じた、前記電力負荷の消費電力を示す動作モードテーブルを更に備え、前記負荷制御部は、許容された消費電力の範囲内で遷移することのできる動作モードを、前記動作モードテーブルを用いて判断し、当該動作モードに遷移してよい。
【0017】
前記要求制御部は、動作モードを遷移させようとする場合に現在の消費電力と比較して増加させる必要のある消費電力の大きさを、前記動作モードテーブルを参照して判断し、増加必要量を前記燃料電池制御部に送信してよい。
【0018】
本発明の第2の形態における燃料電池システム制御方法は、燃料電池が発電した電力を消費して動作する電力負荷の消費電力を増やす必要がある場合に、消費電力の増加量を示す電力要求情報を予め送信する要求制御ステップと、電力要求情報を受け取った場合に、前記燃料電池が前記電力負荷に更に電力を供給することができることを条件として、前記電力負荷が消費電力を増加すべきタイミングを示す許可通知を送信する燃料電池制御ステップと、許可通知を受け取ったことを条件として、当該許可通知で示されるタイミングで前記電力負荷の消費電力を増加させる負荷制御ステップとを備え、前記燃料電池制御ステップは、前記燃料電池の電力を蓄電し、蓄電した電力を前記電力負荷に供給する蓄電池の蓄電量と、電力要求情報で示される消費電力の増加量とに基づいて、前記電力負荷が消費電力を増加させるタイミングを、電力要求情報で示される消費電力の増加量に前記燃料電池から供給される電力の増加量が達する時刻よりも前のタイミングにスケジュールし、スケジュールされたタイミングを示す許可通知を送信する。
【0019】
本発明の第3の形態における建造物は、燃料電池と、燃料電池が発電した電力を消費して動作する電力負荷と、燃料電池の発電電力が前記電力負荷の消費電力より大きい場合に、前記燃料電池の電力を蓄電し、前記燃料電池の発電電力が前記電力負荷の消費電力より小さい場合に、蓄電した電力を放電することによって前記電力負荷に電力を供給する蓄電池と、電力負荷の消費電力を増やす必要がある場合に、消費電力の増加量を示す電力要求情報を予め送信する要求制御部と、要求制御部から電力要求情報を受け取った場合に、前記燃料電池が前記電力負荷に更に電力を供給することができることを条件として、前記電力負荷が消費電力を増加すべきタイミングを示す許可通知を送信する燃料電池制御部と、燃料電池制御部から許可通知を受け取ったことを条件として、当該許可通知で示されるタイミングで前記電力負荷の消費電力を増加させる負荷制御部とを備え、燃料電池制御部は、前記要求制御部から受け取った電力要求情報で示される消費電力の増加量と前記蓄電池の蓄電量とに基づいて、前記電力負荷が消費電力を増加させるタイミングを、前記要求制御部から受け取った電力要求情報で示される消費電力の増加量に前記燃料電池から供給される電力の増加量が達する時刻よりも前のタイミングにスケジュールし、スケジュールされたタイミングを示す許可通知を送信する。
【0020】
なお上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた発明となりうる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、蓄電池の蓄電容量を削減することができる燃料電池システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0023】
図1は、本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムの構成の一例を示す図である。本実施形態は、システム全体の電力消費の変動が小さくなる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0024】
燃料電池システム30は、例えば複数の住居(110a〜110c、以下110と総称する。)を含む建造物である集合住宅に電力および熱を供給する。ここで、集合住宅とは、一の建築物に複数の住居110を設けたものであってよく、異なる領域に設けられた複数の建築物のそれぞれを住居110としたものであってもよい。
【0025】
住居110bおよび住居110cは、住居110aと同一の構成要素を持つ。住居110bおよび住居110cが持つ各構成要素の符号の末尾にそれぞれbおよびcの符号を付けることにより、いずれの住居110の構成要素であるかを識別する。すなわち、燃料電池システム30は、複数の燃料電池(40a〜40c、以下40と総称する。)、複数の電力負荷(44a〜44c、以下44と総称する。)、複数の加温装置(48a〜48c、以下48と総称する。)、複数の主貯湯槽(42a〜42c、以下42と総称する。)、複数の熱負荷(54a〜54c、以下54と総称する。)、複数の給湯歴管理部(60a〜60c、以下60と総称する。)、および複数の在宅判断部(62a〜62c、以下62と総称する。)、ならびに、住居110が有さない単独の加温装置48dおよびサブ貯湯槽52、ならびに燃料電池制御部50を備える。
【0026】
以下、住居110aの各構成要素の動作について説明する。本実施形態においては、燃料電池40aは、住居110aに設けられ、加温装置48aに電力を供給する。また、燃料電池40aは、いずれの電力負荷44に対しても電力が供給可能に設けられている。したがって、一の電力負荷44の消費する電力を燃料電池40aが発電すると、燃料電池40aが部分負荷運転となるような場合でも、他の複数の電力負荷44に供給する電力をも燃料電池40aが発電することで、より高い運転効率で燃料電池40aを駆動することができる。また、燃料電池40aが電力を供給する必要がない場合でも、燃料電池40aを停止させずに、燃料電池40a自身の動作のための補機電力のみ発電するホットアイドリング状態で待機させておくことで、電力負荷44が必要とする電力が増加した場合に、燃料電池40aを起動する場合に比べて迅速に電力を供給できる。また、他の住居110の燃料電池40が故障した場合であっても、燃料電池40aから電力を供給することができる。このように、燃料電池40が、複数設けられているので、負荷の幅広い変動に対応することができる。
【0027】
また、燃料電池40aは、例えば固体高分子形燃料電池(PEFC)である。燃料電池40aは、例えば各住居に供給される都市ガス、プロパンガス等を改質して、燃料となる水素ガスを生成するものであってよく、また外部から供給される水素ガスを燃料とするものであってもよい。また、燃料電池40aはバッテリを備えており、当該バッテリを、非常時に燃料電池システム30を機能させるための電源として使用してよく、また、燃料電池システム30を立ち上げるときの電源として使用してもよい。
【0028】
主貯湯槽42aは、燃料電池40aで生じる熱によって加温された温水、および加温装置48aによって加温された温水を貯湯する。また、主貯湯槽42aは、熱負荷54aに熱を供給する。サブ貯湯槽52は、加温装置48dによって温められた温水を貯湯し、主貯湯槽42aが温水を供給する温水設備とは異なる温水設備に温水を供給する。
【0029】
在宅判断部62aは、在宅中であるか否かを判断する。在宅判断部62aは、例えば、住居110aのドアに設けられた錠の施錠情報を検知して、住居110aの外部から施錠された場合に非在宅中とし、施錠されていない場合または住居110aの内部から施錠された場合に在宅中とする。また、在宅判断部62aは、消費電力や消費熱量の変動量を検知して在宅中であるか否かを判断してもよい。例えば、消費電力の変動量が、予め定められた基準量より大きい場合に在宅中であるとし、消費電力の変動量が予め定められた基準量以下の場合に非在宅中としてもよい。また、在宅判断部62aは赤外線センサーを備え、人体から放出される赤外線のエネルギーを検出することによって在宅か否かを判断してよい。この場合、赤外線センサーは、例えば焦電型赤外線センサーであってよい。
【0030】
給湯歴管理部60aは、温水の消費量および燃料電池40aによる温水の生産量の履歴を管理する。本実施例では、給湯歴管理部60aは、主貯湯槽42aから供給される温水量を、温水の消費量として検出する。また、給湯歴管理部60aは、主貯湯槽42aに供給された温水量を、燃料電池40aおよび加温装置48aが生産する温水の生産量として検出する。さらに、1日を1時間ごとの時間帯に分割し、各時間帯における温水の消費量および生産された温水の量の履歴を管理する。
【0031】
また、給湯歴管理部60aは、温水の消費量、および、燃料電池40aと加温装置48aによる温水の生産量として、温水の量と温度を管理してもよい。すなわち、主貯湯槽42aの温水温度から給水温度を減じたものに、主貯湯槽42aから供給される温水の体積を乗じたものを、温水の消費量として検出する。
【0032】
また、燃料電池40aから主貯湯槽42aへ供給される温水の温度から、燃料電池40aに供給される冷却水による燃料電池40aの冷却前の温度を減じたものに、燃料電池40aから主貯湯槽42aへ供給される温水の体積を乗じたものを、燃料電池40aによる温水の生産量として検出してよい。また、加温装置48aから主貯湯槽42aへ供給される温水の温度から、加温装置48aに供給される加温前の温水の温度を減じたものに、加温装置48aから主貯湯槽42aへ供給される温水の体積を乗じたものを、加温装置48aによる温水の生産量として検出してよい。
【0033】
また、給湯歴管理部60aは、在宅判断部62aによって在宅中であると判断されたときの温水の消費量および生産量、ならびに在宅中ではないと判断されたときの温水の消費量および生産量の履歴を、それぞれ管理する。
【0034】
電力負荷44aは、燃料電池40が発電した電力により動作する。電力負荷44aは、電力を消費する前に、予め燃料電池制御部50に電力を要求する。燃料電池制御部50は、電力負荷44aから電力を要求されたとき、予め燃料電池40の発電電力を増加させる。
【0035】
以上、住居110aの各構成要素の動作について説明したが、住居110bおよび住居110cの持つそれぞれの各構成要素の動作は、住居110aの各構成要素の動作と同一であるので説明を省略する。
【0036】
図2は、加温装置48aの構成の一例を示す図である。加温装置48aは、燃料電池40aにより作られた余剰電力を用いて水を加温する。加温装置48aは、外部の熱量を水へ移動することにより水を加温するヒートポンプ46aである。ヒートポンプ46aが、外部の熱量を水へ移動することにより水を加温するので、少ない電力で多くの熱量を供給することができる。電力需要に対する熱需要の比が、燃料電池40aが発電する電力に対する、燃料電池40aが生産する熱量の比より大きいとき、余剰電力を用いてヒートポンプ46aを駆動することによって効率的に熱を供給できる。このため、電力の需要量と熱量の需要量とを適切に釣り合わせることができる。
【0037】
また、住居110bの加温装置48b、および住居110cの加温装置48cは、加温装置48aと同一の構成要素を有する。すなわち、加温装置48bおよび加温装置48cは、それぞれヒートポンプ46bおよびヒートポンプ46cを有する。また、ヒートポンプ46bおよびヒートポンプ46cの動作は、ヒートポンプ46aと同一であるので、説明を省略する。
【0038】
図3は、電力負荷44aの構成の一例を示す図である。電力負荷44aは、負荷部64a、動作モードテーブル56a、負荷制御部58a、および要求制御部66aを備える。また、住居110bの電力負荷44b、および住居110cの電力負荷44cは、電力負荷44aと同一の構成要素を有する。電力負荷44bの有する各構成要素の符号の末尾にbを、電力負荷44cの有する各構成要素の符号の末尾にcを付けることにより、いずれの電力負荷44の構成要素であるかを識別する。
【0039】
以下、電力負荷44aの各構成要素の動作について説明する。負荷部64aは燃料電池40から供給される電力を消費する。動作モードテーブル56aは、電力負荷44aの動作モードに応じた、電力負荷44aの消費電力を示す。動作モードテーブル56aは、消費電力情報を、動作モード情報に対応づけて格納する。例えば電力負荷44aが冷房機器であり、急速冷房と通常冷房の動作モードを持つとき、急速冷房と通常冷房のそれぞれの動作モードに対応づけて、それぞれの動作モードで動作するために必要な消費電力を動作モードテーブル56aに格納する。
【0040】
要求制御部66aは、電力負荷44aの消費電力を増やす必要がある場合に、予め燃料電池制御部50へ電力要求情報を送信する。このとき、増加させる必要のある消費電力を、動作モードテーブル56aを参照して判断し、増加必要量を燃料電池制御部50に電力要求情報として送信する。また、要求制御部66aは、電力を要求する期間を示す期間情報、および電力の消費を開始する期限を示す期限情報を、燃料電池制御部50に電力要求情報として送信する。このとき、要求制御部66aは、電力負荷44aを利用する使用者による指示等に基づいて期間情報および期限情報を決定してよい。例えば、電力負荷44aが冷房機器であるとき、電力負荷44aの使用者が、目標温度および当該目標温度に達する目標時刻を電力負荷44aに指示する。このとき要求制御部66aは、使用者から指示された目標温度、目標時刻、および現在の温度に基づいて、増加する消費電力、電力の消費を開始する期限、および電力を消費する期間とを計算して、それぞれを電力要求情報の消費電力、期限情報、および期間情報として、燃料電池制御部50に送信する。
【0041】
負荷制御部58aは、燃料電池制御部50から許可通知を受け取ったとき、許容された範囲内で電力負荷44aの消費電力を増加させる。このとき、負荷制御部58aは、許容された消費電力の範囲内で遷移することのできる動作モードを、動作モードテーブル56aを用いて判断し、負荷部64aを制御して当該動作モードに遷移する。負荷制御部58a、要求制御部66a、および燃料電池制御部50は、イーサーネット(登録商標)等の通信ネットワークによって結ばれている。また、他の方法としては、負荷制御部58a、要求制御部66a、および燃料電池制御部50との間のデータ通信信号を、電源の周波数より十分に高い高周波に変調し、電源ラインに重畳してもよい。
【0042】
以上、電力負荷44aの各構成要素の動作を説明したが、電力負荷44bおよび電力負荷44bの各構成要素は、電力負荷44aの各構成要素と同一の動作をするので、説明を省略する。
【0043】
本実施形態の燃料電池システム30では、燃料電池制御部50は、要求制御部66から要求情報を受け取ったとき、電力を供給することができる場合に、許容することのできる消費電力の増加量を、負荷制御部58へ許可通知として通知する。また、燃料電池制御部50は、燃料電池40の発電効率を、予め定められた発電効率よりも高くすることができる場合に、負荷制御部58へ許可通知を送信する。
【0044】
図4は、複数の燃料電池40における、発電電力と発電効率との関係の一例を示す図である。一般に、燃料電池40の発電効率は、燃料電池40の発電電力に依存する。このため、複数の燃料電池40を接続したシステムであっても、全体としての発電効率は図4に示すような発電電力に対する依存性をもつ。複数の燃料電池40を接続したシステムで、全体としての発電効率の下限となる基準効率を定めると、燃料電池40が発電すべき電力量の合計の範囲が定められる。例えば、燃料電池40が発電する電力の合計が、第一下限電力(P1)から第一上限電力(P2)の間、第二下限電力(P3)から第二上限電力(P4)の間、または第三下限電力(P5)と第三上限電力(P6)の間のいずれかであれば、発電効率が基準効率以上となる。
【0045】
したがって、燃料電池制御部50は、複数の燃料電池40が発電する電力の合計が予め定められた電力範囲内となるように、複数の燃料電池40の発電量を制御することで、全体としての発電効率を予め定められた発電効率以上にすることができる。すなわち、燃料電池制御部50は、要求される電力が、燃料電池40が発電できる最大発電電力を下回る場合であって、要求される電力を発電したときに燃料電池40の発電する電力量の合計が、予め定められた発電効率以上となる電力の範囲内である場合に、燃料電池制御部50は負荷制御部58へ許可通知を送信する。
【0046】
図5は、電力負荷44が電力を要求する通信シーケンスを示すシーケンス図である。要求制御部66bは、電力負荷44bの消費電力を増やす必要がある場合に、電力要求情報を燃料電池制御部50に送信する(S200)。
【0047】
燃料電池制御部50は、要求制御部66bからの電力要求情報に基づいて要求判定を行う(S202)。S202で、燃料電池40bの出力を増加する必要があると判断された場合は、燃料電池40bの出力を増加させる(S204)。燃料電池40bの出力が増加し、要求された電力を供給する準備が完了すると(S206)、消費電力を増加しても良い旨を示す許可通知を負荷制御部58bへ送信する(S208)。負荷制御部58bは、許可通知を受信した場合に、許容された範囲内の電力量を消費するよう負荷部64bを制御することで、電力負荷44bが電力消費を開始する(S209)。
【0048】
要求制御部66aは、電力負荷44aの消費電力を増やす必要がある場合に、電力要求情報を燃料電池制御部50に送信する(S210)。燃料電池制御部50は、要求制御部66aからの電力要求情報に基づいて要求判定を行う(S212)。S212で、燃料電池40aを起動する必要があると判断された場合は、燃料電池40aを起動させる(S214)。燃料電池40aが起動し、要求された電力を供給する準備が完了すると(S216)、消費電力を増加しても良い旨を示す許可通知を負荷制御部58aへ送信する(S218)。負荷制御部58aは、許可通知を受信した場合に、許容された範囲内の電力量を消費するよう負荷部64aを制御することで、電力負荷44aは電力消費を開始する(S219)。
【0049】
図6は、電力要求情報を受信した場合の、燃料電池制御部50の動作の詳細を示すフローチャートである。燃料電池制御部50は、要求制御部66からの要求情報に基づき、指定された期間、電力を供給できるかどうかを判定する(S230)。電力を供給できる場合、負荷制御部58に許可通知を送信し(S234)、処理を終了する。
【0050】
S230で電力を供給できない場合には、要求制御部66からの電力要求情報に基づき、消費開始期限までに予め定められた発電効率よりも高くなる発電電力で電力を供給する準備が整うか否かを判定する(S232)。S232において電力を供給する準備が整う場合、燃料電池40の出力を増加させる(S236)。なお、S236において燃料電池40を起動する必要がある場合は、燃料電池40を起動する。さらに、燃料電池制御部50は、燃料電池40の出力に基づいて、条件付きの許可通知を負荷制御部58に送信する(S238)。S238において送信する条件付きの許可通知は、燃料電池40が電力を供給できる時刻や電力量を表す情報を含んでよい。例えば、S236において燃料電池40を起動させた場合の条件付きの許可通知は、要求された電力を供給できる時刻を含むものであってよく、また、現時点で供給できる電力量を含むものであってもよい。
【0051】
S232において電力を供給する準備が整わない場合、要求された電力より少ない電力であっても電力負荷44が許容できるか否かを判定する(S240)。S240において、燃料電池制御部50は、要求制御部66からの電力要求情報に基づいて、要求された電力より少ない電力であっても電力負荷44が許容できるか否かを判断する。例えば、要求制御部66は、要求する電力より低い電力で電力負荷44が動作できるか否かを示す情報を、要求する電力とともに電力要求情報として燃料電池制御部50に送信する。また、要求制御部66は、動作モードテーブル56を参照して、電力負荷44が動作できる下限の電力を、要求する電力とともに電力要求情報として燃料電池制御部50に送信してもよい。これによって燃料電池制御部50は、要求された電力より少ない電力であっても電力負荷44が許容できるか否かを判定する。
【0052】
S240において、要求された電力より少ない電力を電力負荷44が許容できない場合は、S236の処理を行い、S238において条件付きの判断結果を示す許可通知、または条件付きの許可通知を負荷制御部58に送信し、処理を終了する。S238において送信する条件付きの判断結果を示す許可通知は、燃料電池40が電力を供給できる時刻や電力量を表す情報を含んでよい。例えば、条件付きの判断結果を示す許可通知は、燃料電池40が予め定められた発電効率よりも高くなる発電電力で発電しつつ要求された電力を供給するときに、電力の供給を開始できる時刻を含んでよく、また、現時点あるいは期限までに供給できる電力量を含んでもよい。また、S238において送信する条件付きの許可通知は、燃料電池40が電力を供給できる時刻や電力量を表すものを含んでよい。例えば、S236において燃料電池40を起動させた場合の条件付きの許可通知は、要求された電力を供給できる時刻を含むものであってよく、また、現時点あるいは期限までに供給できる電力量を含むものであってもよい。
【0053】
S240において要求された電力より少ない電力であっても電力負荷44が許容できる場合、S242において条件付きの判断結果を示す許可通知、または条件付きの許可通知を負荷制御部58に送信し、処理を終了する。S242において送信する条件付きの判断結果を示す許可通知は、燃料電池40が電力を供給できる時刻や電力量を表す情報を含んでよい。例えば、条件付きの判断結果を示す許可通知は、燃料電池40が予め定められた発電効率よりも高くなる発電電力で発電しつつ要求された電力を供給するときに、電力の供給を開始できる時刻を含んでよく、また、燃料電池40が予め定められた発電効率よりも高くなる発電電力で発電しつつ現時点あるいは期限までに供給できる電力量を含んでもよい。また、S242において送信する条件付きの許可通知は、燃料電池40が供給できる電力量を表すものを含んでよい。例えば、条件付きの許可通知は、燃料電池40が予め定められた発電効率よりも高くなる発電電力で発電しつつ現時点あるいは期限までに供給できる電力量を含むものであってよい。
【0054】
なお、負荷制御部58は、条件付きの判断結果を示す許可通知、または条件付きの許可通知を燃料電池制御部50から受け取った場合には、それら許可通知によって通知された許容される電力の範囲内で遷移することのできる動作モードを、動作モードテーブル56から判断して当該動作モードに遷移してよい。また負荷制御部58は、許可通知によって通知された、電力を受け取ることのできる時刻に基づいて、指定された時刻に電力の消費を開始するよう負荷部64を制御してもよい。
【0055】
図7は、燃料電池制御部50が管理する管理テーブルの一例を示す図である。管理テーブルには、電力負荷44に関する、状態情報と、時刻情報と、期限情報と、期間情報と、電力情報とを、電力負荷44に対応づけて格納する。状態情報には、電力負荷44の電力消費状態を示す、要求または消費のいずれかの状態を格納する。時刻情報には、電力負荷44へ電力の供給を開始した時刻、または電力負荷44から電力を要求された時刻を格納する。期限情報には、電力負荷44から電力を要求されたとき、電力の消費を開始する期限を格納する。期間情報には、電力負荷44が電力を消費する期間を格納する。電力情報には、電力負荷44が消費する電力を格納する。
【0056】
図8は、燃料電池40が発電する発電電力の時間発展の一例を示す図である。横軸に時刻、縦軸に燃料電池40が発電する発電電力の合計を示している。電力負荷44の要求制御部66は、消費電力を増加させる必要があるとき、消費電力を増加させる時刻よりも早い時刻(t0)に、電力を消費する旨の要求情報を燃料電池制御部50に送信する。電力負荷44の要求制御部66は、電力消費を開始する期限(時刻t1)と、電力を消費する期間(時刻t2と時刻t1を減じた期間)と、増加させる電力とを、要求情報として燃料電池制御部50に送信する。燃料電池制御部50は、要求制御部66aからの要求情報に基づいて、指定された期限(時刻t1)までに、指定された期間(時刻t2と時刻t1を減じた期間)、指定された電力を供給できるよう、燃料電池40の発電電力を増加させる。
【0057】
本実施形態の燃料電池システム30によれば、要求制御部66が、電力負荷44の消費電力を増やす必要がある場合に、予め電力要求情報を送信するので、電力負荷44は、消費電力を増加する前に、予め燃料電池40の発電量を増加させておくことができる。また、要求制御部66が、動作モードを遷移させようとする場合に現在の消費電力と比較して増加させる必要のある消費電力の大きさを、動作モードテーブル56を参照して判断し、増加必要量を燃料電池制御部50に送信するので、電力負荷44が必要とする消費電力の大きさ分だけ、予め燃料電池40の発電量を増加させることができる。また、要求制御部66が、電力を要求する期間を示す期間情報を、燃料電池制御部50に送信するので、電力負荷44の消費電力が増加した後に減少する時刻を燃料電池制御部50が予め知ることができる。このため、燃料電池40の発電量を増加または減少させるべきか否かを適切に判断することができる。
【0058】
また、負荷制御部58が、燃料電池制御部50から、消費電力を増加して良い旨の許可通知を受け取ったことを条件として、電力負荷44の消費電力を増加させるので、システム全体の消費電力の変動が小さくなる。このため、比較的小さな燃料電池40であっても安定して電力を供給することができる。また、負荷制御部58が、燃料電池制御部50から受け取った、許容された範囲内で消費電力を増加させるので、燃料電池40が増加することのできる発電量が小さい場合であっても、かかる発電量を有効に使用することができる。また、負荷制御部58が、許容された消費電力の範囲内で遷移することのできる動作モードを、動作モードテーブル56を用いて判断し、このとき、動作可能な動作モードに遷移するので、許容される電力の範囲内で、最も好ましい動作モードを選択することができる。
【0059】
さらに、本実施形態の燃料電池システム30では、燃料電池制御部50は、一つの電力負荷44の消費電力が下がるタイミングで他の電力負荷44の消費電力を増大させるべく、他の電力負荷44の負荷制御部58に対して許可通知を送信する。このとき、燃料電池制御部50は、消費電力が下がる旨の通知を、予め要求制御部66から受け取り、電力負荷44の消費電力が下がる時に他の電力負荷44の消費電力を増加させてもよい。また他の方法としては、燃料電池制御部50は、電力負荷44の消費電力が下がったことを、出力電圧または出力電流が低下したことによって検出し、その場合に他の電力負荷44に対して許可通知を送信してよい。これにより、システム全体の消費電力の変動を小さくすることができる。このため燃料電池40による発電量の変動が小さくなり、ひいては、発電量を変更するときに生じるエネルギーのロスを削減することができる。また、燃料電池40を高い効率で駆動し続けることができる。
【0060】
例えば、消費電力は10ミリ秒程度の時間で変化する場合があるが、燃料電池40の発電量を変動させるには、一般に数百ミリ秒程度の時間が必要である。したがって、燃料電池40の発電電力を変動させると、燃料電池40の発電電力値が需要電力値に達するまでの間に発電される電力が無駄になる。つまり、電力負荷44の消費電力の増加に対応すべく燃料電池40の発電する電力を増加させたとき、燃料電池40の発電する電力が、電力負荷44が必要とする電力に達するまでの間は、電力負荷44はその電力を有効に消費できないため、その間に燃料電池40が発電する電力が無駄になる。また電力負荷44の消費電力の低下に対応すべく燃料電池40の発電する電力を低下させたときにも、燃料電池40の発電する電力が、低下した消費電力に達するまでの間に発電される電力は、消費されずに無駄になる。また、電力需要の変動に合わせて燃料電池40を新たに起動する必要がある場合、改質器を有する燃料電池40が停止状態から起動するまでには、改質器を昇温するためのエネルギーが必要である。したがって、燃料電池40の発電量の変動が大きいと、エネルギーの無駄が生じることになる。これに対し、本実施形態によれば、予め定められた発電効率を上回るよう燃料電池40を制御しつつ、燃料電池40が発電する発電量の変動を小さくすることができるので、発電効率を高く保った状態で燃料電池40を運転できる。
【0061】
また、燃料電池制御部50は、要求制御部66から受け取った期間情報に基づいて、電力負荷44の消費電力が下がる時刻を予め計算し、この時刻に消費電力を増加させて良い旨を示す許可通知を、他の電力負荷44の負荷制御部58へ送信する。また、燃料電池制御部50は、複数の要求制御部66から電力要求情報および期間情報を受け取った場合に、出力電力の変動が小さくなるように、電力負荷44が消費電力を増加させるタイミングをスケジュールし、スケジュールされたタイミングで各電力負荷44が消費電力を増加させるように、負荷制御部58へ許可通知を送信する。このとき、燃料電池制御部50は、電力負荷44へ電力を供給することのできる時刻を示す情報を負荷制御部58へ通知する。
【0062】
例えば、燃料電池制御部50は、要求制御部66から受信した電力要求情報に基づいて、電力負荷44が消費する電力量、電力消費の開始時刻、および電力消費期間を、電力負荷44に対応づけて管理する。これにより、電力負荷44の消費電力が下がる時刻を予め計算することができるので、燃料電池制御部50は、出力電力の変動が小さくなるように、電力負荷44の消費電力を増加させるタイミングをスケジュールできる。スケジュールされたタイミングで各電力負荷44が消費電力を増加させるように、電力消費を開始する時刻を示す情報を、許可通知とともに負荷制御部58へ送信する。
【0063】
このようにして、燃料電池制御部50は、負荷が連続して電力を消費するよう制御することができる。このため、燃料電池システム30全体の消費電力の変動が小さくなる。また、消費電力が近似する負荷を連続して動作させることができるため、燃料電池システム30全体の消費電力の変動がいっそう小さくなる。
【0064】
また、燃料電池制御部50は、負荷制御部58へ許可通知を送信してから電力負荷44の消費電力が増加するまでの間、加温装置48を用いて電力を消費して水を加温する。また、燃料電池制御部50は、燃料電池40を起動し、実際に電力負荷44へ電力を供給することができるまでの間、加温装置48を用いて電力を消費して水を加温してよい。これにより、電力負荷44の応答が遅い場合であっても、その間に燃料電池システム30全体の電力消費量が変動することを防ぐことができる。
【0065】
また、燃料電池システム30の他の変形例は、上記実施形態における燃料電池40を、化石燃料や水素ガスを燃料として発電と熱供給を同時に行う機器としたシステムである。このような機器は、例えば、ガスエンジンやガスタービンである。この変形例においても、上記実施形態で述べた効果と同様の効果が得られることが明らかである。
【0066】
燃料電池システム30のさらなる他の変形例では、電力負荷44の要求制御部66は、電力負荷44が目的とする一連の動作を行うために必要とする電力を、燃料電池制御部50に要求する。このとき燃料電池制御部50は、電力負荷44の目的とする動作を行うために必要な電力を燃料電池40が供給できる場合に、負荷制御部58に電力を消費してもよい旨を示す許可通知を送信する。電力負荷44は、目的とする動作を行うために必要な電力の消費パターンを、期間および期間ごとの電力値として予め格納している。
【0067】
図9は、電力負荷44が消費する電力の消費パターンの一例を示す図である。図9に示される消費パターン1では、電力負荷44は、u0を基準時刻として、時刻u0から時刻u1までの期間、w2の電力を消費する。さらに時刻u1において消費電力を変更し、時刻u2までの期間、w4の電力を消費する。また、消費パターン2では、電力負荷44は、u3を基準時刻として、時刻u3から時刻u4までの期間、w3の電力を消費する。さらに時刻u4において消費電力を変更し、時刻u5まで、w1の電力を消費する。また、電力負荷44は、動作モードテーブル56に、各動作モードにおける、電力の消費パターンを格納してもよい。また、電力負荷44は、目的とする動作を行うために、一部の動作と他の動作とを、時間を隔てて行うことができる場合には、目的とする動作を行うための複数の消費パターンを格納してよい。例えば、図9に例示するように、目的とする動作を行うために、一部の動作および他の動作が、それぞれ消費パターン1および消費パターン2で示される電力を消費する場合に、一部の動作と他の動作が時間を隔てて行うことができる場合には、消費パターン1と、消費パターン2のそれぞれを格納してよい。
【0068】
電力負荷44が目的とする動作を行う場合に、要求制御部66は、目的とする動作に必要な消費パターンを選択して、電力の消費パターンを示す要求情報を予め燃料電池制御部50に送信する。また、要求制御部66は、消費パターンで示される電力の消費を開始するまでの期限を燃料電池制御部50に送信する。燃料電池制御部50は、複数の要求制御部66から要求情報を受け取った場合に、要求情報で示される期間ごとの消費電力量に基づいて、要求情報によって示される電力の消費パターンに沿って、要求された期限までに電力の供給を開始した場合に、要求情報によって示されるいずれかの時刻において、電力負荷44が消費する電力の合計量が、燃料電池40の供給できる最大の電力量を上回るか否かを判断する。電力負荷44が消費する電力の合計量が、燃料電池40の供給できる最大の電力量をいずれの時刻においても上回らない場合に、燃料電池制御部50は、消費パターンで示される電力の消費を開始させる時刻を定める。さらに燃料電池制御部50は、電力の消費を開始させる時刻を示す許可通知を負荷制御部58に送信する。電力負荷44が消費する電力の合計値が、燃料電池40の供給できる最大の電力量をいずれかの時刻において上回る場合には、燃料電池制御部50は、負荷制御部58に許可通知を送信しない。
【0069】
負荷制御部58は、燃料電池制御部50から許可通知を受け取ったことを条件として、電力の消費を開始する。このとき、燃料電池制御部50から受け取った、電力の消費を開始させる時刻に、消費パターンで示される電力の消費を開始する。このようにして、電力負荷44は、目的とする動作を行うための電力を消費することができる。
【0070】
また、電力負荷44が目的とする動作を行うために、一部の動作と他の動作を、時間を隔てて行うことができる場合には、要求制御部66は、一部の動作を行うために必要な電力の消費パターンを示す要求情報と、他の動作を行うために必要な電力の消費のパターンを示す要求情報を燃料電池制御部50に送信する。また、要求制御部66は、それぞれの消費パターンで示される電力の消費を開始するまでの期限を燃料電池制御部50に送信する。燃料電池制御部50は、要求制御部66から複数の消費パターンを示す要求情報を新たに受け取った場合に、要求制御部66から既に受け取っている要求情報に基づいて、要求情報で示される期間ごとの消費電力量を計算する。さらに燃料電池制御部50は、電力の消費を開始する期限までに、新たな要求情報によって示される複数の消費パターンに沿って電力の供給を開始した場合に、いずれの時刻においても、消費される電力の合計値が、燃料電池40の供給できる最大の電力量を上回らないよう、それぞれの消費パターンで示される電力の消費を開始させる時刻を定める。さらに燃料電池制御部50は、それぞれの消費パターンで示される電力の消費を開始できる時刻を示す許可通知を負荷制御部58に送信する。
【0071】
このようにして電力負荷44は、時間を隔てて実行できる一部の動作と他の動作のそれぞれで必要とする電力量を、燃料電池40が供給できる時間帯においてそれぞれ消費することで、目的とする動作を行うことができる。
【0072】
このような燃料電池システム30の変形例によれば、電力負荷44が目的とした動作を行っている期間に、燃料電池40の発電する電力が不足することによって、動作を停止することを防げる。
【0073】
燃料電池システム30のさらなる他の変形例では、燃料電池システム30は、燃料電池40が発電する電力を蓄積し、電力負荷44に電力を供給する蓄電池をさらに備える。集合住宅は一の蓄電池を備えてよく、複数の住居110のそれぞれが蓄電池を備えてもよい。また、それぞれの燃料電池40が蓄電池を備えてもよい。燃料電池制御部50は、電力負荷44の要求制御部66から要求情報を受け取ったとき、要求された電力量を燃料電池40が供給できない場合に、燃料電池40が供給できない電力量を、蓄電池が供給できることを条件として、許可通知を負荷制御部58に送信する。
【0074】
また、燃料電池制御部50は、電力負荷44が必要とする電力量を、要求制御部66から要求された期限までに供給できない場合に、蓄電池が、燃料電池40が電力を供給できるようになるまでの間の電力量を、期限内に供給できることを条件として、燃料電池40が電力を供給できるようになるまでの期間、蓄電池から電力を供給するよう制御する。さらに燃料電池制御部50は、電力を消費してよい旨を示す許可通知を負荷制御部58に送信する。
【0075】
また、蓄電池は要求制御部66および負荷制御部58を備え、蓄電池が蓄積した蓄電量が予め定めた蓄電量を下回る場合に、電力を要求する旨の要求情報を燃料電池制御部50に送信する。このとき、蓄電池が充電するために必要な電力量を燃料電池制御部50に送信する。燃料電池制御部50は、蓄電池の要求制御部66から要求情報を受け取った場合に、電力負荷44の要求制御部66から受け取った、電力負荷44が消費する電力量および電力を消費する期間に基づいて、電力負荷44の消費電力が減少する時刻を判断して、いずれの時刻に蓄電池に充電のための電力を供給するかを決定する。すなわち、燃料電池制御部50は、電力負荷44の消費電力が減少する時刻に、蓄電池に充電するための許可通知を送信する。また、燃料電池制御部50は、蓄電池の要求制御部66から要求情報を受け取った場合に、電力負荷44の要求制御部66から受け取った、電力負荷44が消費する電力量および電力を消費する期間に基づいて、電力負荷44の消費する電力が減少する時刻を判断し、電力負荷44の消費する電力が減少する時刻に蓄電池に充電を行うことによって燃料電池40の発電効率が予め定めた効率より高くなる場合に、蓄電池に電力を供給する旨の許可通知を蓄電池の負荷制御部58に送信する。このような制御によって、燃料電池40の発電する電力が時間的に略一定となるようスケジュールすることができるので、燃料電池40を効率良く運転することができる。また予め定めた効率よりも高い効率で燃料電池40を運転することができる。
【0076】
図10は、電力負荷44および蓄電池が消費する電力の時間発展の一例を示す図である。電力負荷44cは時刻u6において電力P7を消費している。また、電力負荷44bと電力負荷44cが、時刻u6において消費する電力量の合計値P8は、燃料電池40が発電することのできる電力量の最大値である。電力負荷44bは、時刻u6よりも後の時刻u7において、一旦電力の消費を停止して、その後の時刻u9から、時刻u7において消費していた電力量と同量の電力の消費を再開するようスケジュールされている。また、電力負荷44aは、時刻u6を期限として、電力負荷44bが時刻u6において消費している電力量と同じ量の電力を要求している。この場合、燃料電池40は、少なくとも時刻u6から時刻u7の期間、電力負荷44aに電力を供給することができない。このとき燃料電池制御部50は、蓄電池から電力負荷44aに電力を供給するよう制御する。また、燃料電池制御部50は、蓄電池が放電する電力量が最小となるよう、放電を開始する時刻を時刻u6に設定して、時刻u6から電力の消費を開始する旨を示す許可通知を負荷制御部58aに送信する。
【0077】
また、燃料電池制御部50は、要求制御部66aから受け取った要求情報に基づいて、電力負荷44aが時刻u9より以前の時刻u8に電力の消費を終了するよう予めスケジュールされているので、時刻u8から時刻u9の間に、蓄電池を充電するよう、蓄電池の負荷制御部58に電力を消費してよい旨を示す許可通知を送信する。このようにして、燃料電池40が発電する電力量を電力P8で略一定に維持させる。
【0078】
このような燃料電池システム30の変形例によれば、電力負荷44が必要とする電力を燃料電池40が供給できない場合であっても、蓄電池から電力を供給することで、電力負荷44は動作することができる。また燃料電池制御部50は、電力負荷44の必要とする電力を蓄電池が供給できるか否かを予め判断できるので、電力負荷44が無駄に蓄電池の電力を消費することを防げる。また、燃料電池制御部50が、蓄電池から電力負荷44に供給する電力量の合計値が最小となるよう、蓄電池から電力負荷44に電力を供給する時間を制御するので、蓄電池の容量を削減することができる。
【0079】
燃料電池システム30のさらなる他の変形例では、燃料電池制御部50が要求情報を受け取った場合に、燃料電池40から電力負荷44への電力経路での送電ロスが最小となるよう、燃料電池40が発電する電力量を決定する。
【0080】
図11は、電力経路の構成の一例を示す図である。燃料電池40および電力負荷44は、それぞれ電力線74に接続される。電力中継装置76は、複数の電力線74を接続する。また電力中継装置76は、接続された複数の電力線74の間で電力を伝達する。電力線74および電力中継装置76によって、燃料電池40からいずれの電力負荷44へも電力が供給できるよう電力経路が形成される。電力中継装置76は、例えばトランス等のように、複数の電力線74を接続するものである。また、電力中継装置76は、電力の損失率が異なる電力線74を接続するものである。
【0081】
燃料電池制御部50は、燃料電池40および電力中継装置76の電力経路上の位置情報を予め記憶する。すなわち、燃料電池制御部50は、それぞれの燃料電池40に接続された電力線74を識別する情報を燃料電池40に対応付けて記憶する。また燃料電池制御部50は、電力中継装置76に接続されている全ての電力線74を識別する情報と、電力中継装置76における電力の損失率とを、電力中継装置76に対応付けて記憶する。燃料電池制御部50は更に、全ての電力線74における電力の損失率を、電力線74に対応付けて記憶する。
【0082】
このように燃料電池制御部50は、燃料電池40および電力中継装置76の電力経路上の位置情報を予め記憶することによって、電力負荷44に接続された電力線74が与えられた場合に、燃料電池40から電力負荷44までの電力経路を知ることができる。例えばカーナビゲーションシステムの経路探索においては、周知のように、道路と道路の接続点を示すノード情報と、各ノード間を接続する道路を示すリンク情報に基づいて、出発点から目的地までの経路を検索する。同様に燃料電池制御部50は、燃料電池40(出発地)から電力負荷44(目的地)までの電力経路を、予め記憶した電力中継装置76(ノード)と、電力線74(リンク)を辿ることで検索できる。さらに燃料電池制御部50は、検索した電力経路上の電力線74と電力中継装置76における電力の損失率と、送電する電力量とから、送電ロスの量を計算することができる。
【0083】
電力負荷44は、自身の電力経路上の位置情報として、自身が接続された電力線74を識別する情報を格納する。要求制御部66は、電力負荷44の消費する電力を増加させる場合に、消費する電力の増加量を示す要求情報とともに、電力負荷44の電力経路上の位置情報を燃料電池制御部50に送信する。燃料電池制御部50は、要求情報および電力負荷44の位置情報を要求制御部66から受け取った場合に、それぞれの燃料電池40から、電力負荷44に電力を供給する電力経路を検索し、電力経路を形成する電力線74と電力中継装置76を判断することで、電力経路における電力の損失率を計算する。燃料電池制御部50は、電力経路における電力の損失率と、要求制御部66から受け取った電力の増加量に基づいて、電力経路における送電ロスの量を計算する。燃料電池制御部50は、電力経路上における送電ロスの量の総和が最も小さくなるように、複数の燃料電池40が発電する電力量を増加させる。
【0084】
また、燃料電池制御部50は、要求情報および電力負荷44の電力経路上の位置を示す位置情報を要求制御部66から受け取った場合に、要求制御部66から要求された電力量と、電力経路上の送電ロスとの合計量だけ、燃料電池40の発電する電力を増加させる。
【0085】
また、燃料電池制御部50は、燃料電池40から電力負荷44に電力を供給する複数の電力経路がある場合には、それぞれの電力経路を用いて送電した場合の送電ロスを計算して、送電ロスが最小となる電力経路を選択する。例えば、長距離を送電する場合などに、電圧の高い電力経路を用いて送電することによって送電ロスを最小にできる場合には、電圧の高い経路を使って送電する。
【0086】
このような燃料電池システム30の変形例によれば、燃料電池40から電力負荷44への送電ロスを削減できる。また、電力負荷44が受け取る電力量が、送電ロスによって不足することを防げる。
【0087】
図12は、本発明の第2実施形態に係る燃料電池システム30の構成の一例を示す図である。本実施形態の燃料電池システム30は、電力負荷44が電力を消費するタイミングをスケジュールする。本実施形態の燃料電池システム30は、例えば複数の住居(110a〜110c、以下110と総称する。)を含む建造物である集合住宅に電力および熱を供給する。なお、住居110bおよび住居110cは、住居110aと同一の構成要素を持つ。住居110bおよび住居110cが持つ各構成要素の符号の末尾にそれぞれbおよびcの符号を付けることにより、いずれの住居110の構成要素であるかを識別する。
【0088】
本実施形態の燃料電池システム30は、複数の燃料電池(40a〜40c、以下40と総称する。)、複数の電力負荷(44a〜44c、以下44と総称する。)、複数の加温装置(48a〜48c、以下48と総称する。)、複数の主貯湯槽(42a〜42c、以下42と総称する。)、複数の熱負荷(54a〜54c、以下54と総称する。)、複数の給湯歴管理部(60a〜60c、以下60と総称する。)、複数の在宅判断部(62a〜62c、以下62と総称する。)、複数の蓄電池(82a〜82c、以下82と総称する。)、複数の給電歴管理部(84a〜84c、以下84と総称する。)、および複数の電力計(86a〜86c、以下86と総称する。)、ならびに、住居110が有さない単独の加温装置48dおよびサブ貯湯槽52、ならびに燃料電池制御部50を備える。なお、本図に示した燃料電池システム30が備える要素のうち、図1に示した燃料電池システム30が備える要素と同一の符号を付した要素は、図1から図11にかけて説明した、対応する要素と略同一の機能及び構成を有するので、相違点を除き、説明を省略する。
【0089】
蓄電池82は、燃料電池40の発電電力が電力負荷44の消費電力より大きい場合に、燃料電池40の電力を蓄電し、燃料電池40の発電電力が電力負荷44の消費電力より小さい場合に、蓄電した電力を放電することによって電力負荷44に電力を供給する。蓄電池82は、燃料電池40毎に設けられている。蓄電池82は、例えば鉛蓄電池などの二次電池であってよく、キャパシタ、コンデンサ等の蓄電デバイスであってもよい。なお、蓄電池82は、いずれの燃料電池40からの電力によって充電されるように設けられている。なお、蓄電池82の蓄電量は、例えば蓄電池82の出力端子間の電圧に基づいて検出される。
【0090】
燃料電池制御部50は、要求制御部66から電力要求情報を受け取った場合に、燃料電池40が電力負荷44に更に電力を供給することができることを条件として、電力負荷44が消費電力を増加すべきタイミングを示す許可通知を送信する。具体的には、燃料電池制御部50は、電力負荷44が消費電力を増加すべき時刻を、許可通知に含めて負荷制御部58に送信する。このとき燃料電池制御部50は、要求制御部66から受け取った電力要求情報で示される消費電力の増加量と蓄電池82の蓄電量とに基づいて、電力負荷44が消費電力を増加させるタイミングを、要求制御部66から受け取った電力要求情報で示される消費電力の増加量に燃料電池40から供給される電力の増加量が達する時刻よりも前のタイミングにスケジュールし、スケジュールされたタイミングを示す許可通知を送信する。そして、負荷制御部58は、燃料電池制御部50から許可通知を受け取ったことを条件として、当該許可通知で示されるタイミングで電力負荷44の消費電力を増加させる。
【0091】
なお、燃料電池制御部50は、蓄電池82に更に蓄電することができる場合に、要求制御部66から受け取った電力要求情報で示される消費電力の増加量に燃料電池40から供給される発電電力量の増加量が達するまでの立ち上がり期間において、蓄電池82に充電される電力量と、蓄電池82から放電される電力量とが略同一になるよう、電力負荷44が消費電力を増やすタイミングを立ち上がり期間内にスケジュールする。これにより、蓄電池82の蓄電量の時間的な変動量を削減することができるので、蓄電池82の容量を削減することができる。したがって電力の供給コストを削減することができる。
【0092】
なお、燃料電池制御部50は、蓄電池82に更に蓄電することができる場合に、蓄電池82に更に蓄電することができる蓄電可能電力量に更に基づいて、立ち上がり期間内において蓄電池82が満充電に達するか否かを判断する。そして燃料電池制御部50は、立ち上がり期間中に蓄電池82が満充電に達すると判断される場合に、電力負荷44が消費電力を増やすタイミングを、立ち上がり期間内における、蓄電池82が満充電に達する時刻より前のタイミングにスケジュールする。この場合、蓄電池82が満充電近くに達した時刻の近傍で電力負荷44が電力の消費を開始することになるので、燃料電池40の発電電力が余剰になることを未然に防ぐことができる。
【0093】
燃料電池制御部50は、蓄電池82に蓄電しておくべき目標蓄電量から、立ち上がり期間の開始時刻における蓄電池82の蓄電量を引いた電力差の大きさが、予め定められた基準値を上回る場合に、立ち上がり期間内において蓄電池82に充電される電力量から立ち上がり期間内において蓄電池82から放電される電力量を引いた値が当該電力差に近づくよう、電力負荷44が消費電力を増やすタイミングをスケジュールする。この場合、蓄電池82の蓄電量を目標蓄電量の近くで時間的に推移させることができるので、蓄電池82の容量を削減することができる。したがって電力の供給コストを削減することができるとともに、適切な蓄電量を確保しておくことができる。
【0094】
要求制御部66は、電力負荷44の消費電力を増やす必要がある場合に、予め消費電力を増加させる期間を示す期間情報を電力要求情報とともに送信する。そして、燃料電池制御部50は、要求制御部66から新たな電力要求情報を受け取った場合に、要求制御部66から既に受け取った期間情報及び電力要求情報で示される消費電力の増加量、並びに既に送信した許可通知によって示される電力負荷44が消費電力を増加すべきタイミングに基づいて時刻毎の消費電力の合計値を判断し、当該時刻毎の消費電力の合計値が、燃料電池40から供給することのできる最大電力量をいずれかの時刻で上回らないことを条件として、燃料電池40が電力負荷44に更に電力を供給することができることを判断する。このように、燃料電池制御部50は、電力負荷44に許可した電力の消費量の合計値を各時刻で判断することができるので、新たに要求された電力要求に燃料電池40が応じることができるか否かを適切に判断することができる。
【0095】
そして、燃料電池制御部50は、要求制御部66から既に受け取った期間情報及び電力要求情報で示される消費電力の増加量、並びに既に送信した許可通知によって示される電力負荷44が消費電力を増加すべきタイミングに基づいて、電力負荷44の消費電力が減少するタイミング及び当該タイミングにおける消費電力の減少量を判断し、当該消費電力の減少量だけ燃料電池40の発電電力が低下するまでの立ち下がり期間において、蓄電池82に充電される電力量と蓄電池82から放電される電力量とが略同一になるよう、燃料電池40の発電電力を低下させるタイミングをスケジュールする。燃料電池制御部50は、電力負荷44の消費電力が低下するタイミングを判断することができるので、電力負荷44の消費電力が低下するタイミングを含む、燃料電池40の発電電力の立ち下がり期間の前後においても、蓄電池82の蓄電量を略同一にすることができる。
【0096】
また、燃料電池制御部50は、燃料電池40の発電電力を低下させるタイミングから電力負荷44の消費電力が減少するタイミングまでの期間において蓄電池82から放電される放電量が、燃料電池40の発電電力を低下させるタイミングにおける蓄電池82の蓄電量以下になるよう、燃料電池40の発電電力を低下させるタイミングをスケジュールする。このため、蓄電池82の蓄電量が下限値に近い場合でも、蓄電池82が放電を完了する時刻の近傍で電力負荷44が電力の消費を終了することによって、蓄電池82の充電が開始される。
【0097】
また、燃料電池制御部50は、蓄電池82に蓄電しておくべき目標蓄電量から立ち下がり期間の開始時刻における蓄電池82の蓄電量を引いた電力差の大きさが予め定められた基準値を上回る場合に、立ち下がり期間内において蓄電池82に充電される充電電力量から立ち下がり期間内において蓄電池82から放電される放電電力量を引いた値が当該電力差に近づくよう、電力負荷44が消費電力を増やすタイミングをスケジュールする。この場合、蓄電池82の蓄電量を目標蓄電量の近くで推移させることができるので、蓄電池82の容量を削減することができる。したがって電力コストを削減することができるとともに、適切な蓄電量を予め確保しておくことができる。
【0098】
電力計86は、それぞれの電力負荷44の消費電力量を測定する。そして、給電歴管理部84は、燃料電池40の発電電力量及び電力負荷44の消費電力量の履歴を管理する。そして、燃料電池制御部50は、給電歴管理部84によって管理されている燃料電池40の発電電力量及び電力負荷44の消費電力量の履歴に基づいて、蓄電池82に蓄電しておくべき蓄電必要量を算出し、算出した蓄電必要量がより大きい場合に、許可通知で示される消費電力を増加すべきタイミングからより早いタイミングで燃料電池40の発電量を増加させる。このため、将来より多い蓄電量が必要となると予測される場合に、蓄電池82の蓄電量を予め増加させておくことができる。
【0099】
給電歴管理部84は、在宅判断部62によって在宅中であると判断されたときの燃料電池40の発電電力量及び電力負荷44の消費電力量、ならびに在宅中ではないと判断されたときの燃料電池40の発電電力量及び電力負荷44の消費電力量の履歴をそれぞれ管理する。そして、燃料電池制御部50は、在宅判断部62によって在宅中であると判断された場合には、給電歴管理部84に管理されている在宅中の履歴を用いて、蓄電池82に蓄電しておくべき蓄電必要量を算出する。そして燃料電池制御部50は、在宅判断部62によって在宅中でないと判断された場合には、給電歴管理部84に管理されている非在宅中の履歴を用いて、蓄電池82に蓄電しておくべき蓄電必要量を算出する。このため、在宅時と非在宅時のそれぞれにおいて望ましい蓄電量を蓄電池82に確保しておくことができる。
【0100】
図13は、電力負荷44の消費電力、燃料電池40の発電電力、および蓄電池82の蓄電量の時間発展の一例を示す図である。燃料電池制御部50は、電力要求情報により要求された、電力負荷44が増加させる電力の増加量ΔP150を取得して、ΔP150の電力を増加させるのに要する燃料電池40の立ち上がり期間(t153−t151)を算出する。そして、燃料電池制御部50は、立ち上がり期間内において、蓄電池82への充電量と放電量が略同一になるよう、電力負荷44の消費させる時刻t152を決定する。
【0101】
また、燃料電池制御部50は、ΔP150の電力を低下させるのに要する燃料電池40の立ち下がり期間(t156−t154)を算出する。そして、燃料電池制御部50は、立ち下がり期間内において、蓄電池82への充電量と放電量が略同一になるよう、燃料電池40の発電電力の低下を開始させる時刻t154を決定する。なお、立ち下がり期間とは、燃料電池40に供給する水素の量が、燃料電池40が目標とする発電電力に応じた量に達するまでの期間であってよい。以上説明したように、燃料電池40の発電電力の立ち上がり期間および/または立ち下がり期間の前後において、蓄電池82の蓄電量を略同一にすることができる。
【0102】
なお、燃料電池制御部50は、燃料電池40の発電電力を増加させるときの発電電力の時間発展を、発電電力の増加量に対応付けて燃料電池40毎に予め格納しておいてよく、燃料電池40の発電電力を低下させるときの発電電力の時間発展を、発電電力の低下量に対応付けて燃料電池40毎に予め格納しておいてよい。他にも、燃料電池制御部50は、燃料電池40の発電量を増加させた場合の発電電力の時間発展を実測して、当該実測結果を発電電力の増加量に対応付けて燃料電池40毎に格納してもよい。これにより、燃料電池制御部50は、蓄電池82への充電電力と蓄電池82からの放電電力の時間発展を適切に見積もることができる。
【0103】
図14は、電力負荷44の消費電力、燃料電池40の発電電力、および蓄電池82の蓄電量の時間発展の他の一例を示す図である。本図では、燃料電池40の発電電力を立ち上げる時刻t161において蓄電池82の蓄電量が上限値Qmaxの近傍である場合、及び燃料電池40の発電電力を立ち下げる時刻t163において蓄電池82の蓄電量が上限値Qminの近傍である場合における燃料電池制御部50の動作について説明する。燃料電池制御部50は、燃料電池40の発電電力の立ち上がり期間内に、蓄電池82の蓄電量がQmaxに達すると判断される場合には、Qmaxに達すると予測される時刻t162の近傍で電力負荷44の消費電力を開始させるべく、許可通知を送信する。また、燃料電池制御部50は、燃料電池40の発電電力の立ち下がり期間内に、蓄電池82の蓄電量がQminに達すると判断される場合には、Qminに達すると予測される時刻t164の近傍で燃料電池40の発電電力の低下を開始させるよう、燃料電池40の発電電力を低下させる時刻t163を決定する。
【0104】
図15は、電力負荷44の消費電力、燃料電池40の発電電力、および蓄電池82の蓄電量の時間発展のさらなる他の一例を示す図である。本例では、燃料電池制御部50は、燃料電池40の発電電力を立ち上げる時刻t171における蓄電池82の蓄電量より、燃料電池40の発電電力が立ち上がった時刻t173における蓄電池82の蓄電量を目標蓄電量Qtに近づける。この場合、燃料電池制御部50は、時刻t171から時刻t172までの期間における蓄電池82への充電電力量から、時刻t172から時刻t173までの期間における蓄電池82からの放電電力量を引いた値が、目標蓄電量Qtから時刻t171における蓄電池82の蓄電量Q171を引いた値に近づくよう、電力負荷44の電力消費を開始する時刻t172を決定する。これにより、燃料電池制御部50は、蓄電池82の蓄電量を目標蓄電量Qtの近傍で推移させることができる。
【0105】
図16は、電力負荷44の消費電力、燃料電池40の発電電力、および蓄電池82の蓄電量の時間発展のさらなる他の一例を示す図である。本例では、燃料電池制御部50は、燃料電池40の発電電力を立ち下げる時刻t181における蓄電池82の蓄電量Q181より、燃料電池40の発電電力が立ち上がった時刻t183における蓄電池82の蓄電量を目標蓄電量Qtに近づけるべく、電力負荷44が電力消費を増加させる時刻t182をスケジュールする。この場合、燃料電池制御部50は、時刻t182から時刻t183までの期間における蓄電池82への充電電力量から、時刻t181から時刻t182までの期間における蓄電池82からの放電電力量を引いた値が、目標蓄電量Qtから時刻t181における蓄電池82の蓄電量Q181を引いた値に近づくよう、燃料電池40の発電電力を立ち下げる時刻181を決定する。これにより、燃料電池制御部50は、蓄電池82の蓄電量を目標蓄電量Qtの近傍で推移させることができる。
【0106】
図17は、給電歴管理部84が管理するデータの一例をテーブル形式で示す図である。給電歴管理部84は、1日を10分毎の時間帯に分割して、各時間帯における燃料電池40の発電電力および電力負荷44の消費電力の平均値を格納する。なお、給電歴管理部84は、燃料電池40の発電電力および電力負荷44の消費電力の、予め定められた日数における平均値を格納してもよい。そして、給電歴管理部84は、在宅判断部62によって在宅と判断された場合と、在宅でないと判断された場合のそれぞれの場合に分けて、燃料電池40の発電電力および電力負荷44の消費電力の履歴を管理する。
【0107】
そして、燃料電池制御部50は、給電歴管理部84に格納された時間帯毎の発電電力量と消費電力量との差と、蓄電池82の蓄電量とに基づいて、所定時間後の蓄電池82の蓄電量を予測する。そして燃料電池制御部50は、予測された所定時間後の蓄電池82の蓄電量から、予め定められた基準蓄電量を引いた値がより小さい場合に、より多くの蓄電量が必要であると判断する。この場合、燃料電池制御部50は、燃料電池40の発電電力の立ち上がり期間に蓄電池82に蓄電される正味の蓄電量をより大きくすべく、電力負荷44に電力消費を開始させるタイミングを決定する。また、燃料電池制御部50は、燃料電池40の発電電力の立ち下がり期間に蓄電池82に蓄電される正味の蓄電量をより大きくすべく、燃料電池40の発電電力量を低下させるタイミングを決定する。
【0108】
なお、燃料電池制御部50は、在宅判断部62によって在宅であると判断された場合には、給電歴管理部84が管理する在宅時の履歴データを用いて所定時間後の蓄電池82の蓄電量を予測してよく、在宅判断部62によって在宅でないと判断された場合には、給電歴管理部84が管理する非在宅時の履歴データを用いて所定時間後におおける蓄電池82の蓄電量を予測してよい。このため、燃料電池制御部50は、在宅の場合と非在宅の場合とで適切に蓄電池82の蓄電量を予測することができる。
【0109】
図18は、燃料電池制御部50、要求制御部66、および負荷制御部58のそれぞれが有するコンピュータ500の構成の一例を示す図である。本例において、コンピュータ500は、燃料電池システム30を図1から図17において説明した燃料電池システム30として機能させるプログラムを格納する。
【0110】
コンピュータ500は、CPU700と、ROM702と、RAM704と、通信インターフェース706と、ハードディスクドライブ710と、フレキシブルディスクドライブ712と、CD−ROMドライブ714とを備える。CPU700は、ROM702、RAM704、ハードディスクドライブ710、フレキシブルディスク720、及び/又はCD−ROM722に格納されたプログラムに基づいて動作する。
【0111】
例えば、燃料電池システム30を機能させるプログラムは、コンピュータ500を、図1から図17に関連して説明した燃料電池制御部50、要求制御部66、および負荷制御部58として機能させ、燃料電池システムを機能させる。また、燃料電池制御部50、要求制御部66、および負荷制御部58のそれぞれが有するコンピュータ500が、対応する燃料電池制御部50、要求制御部66、および負荷制御部58のそれぞれを機能させるプログラムを格納していてもよい。
【0112】
フレキシブルディスクドライブ712は、フレキシブルディスク720がプログラムを格納している場合、フレキシブルディスク720からプログラムを読み取りCPU700に提供する。CD−ROMドライブ714は、CD−ROM722がプログラムを格納している場合、CD−ROM722からプログラムを読み取りCPU700に提供する。
【0113】
また、プログラムは記録媒体から直接RAMに読み出されて実行されても、一旦ハードディスクドライブ710にインストールされた後にRAM704に読み出されて実行されてもよい。更に、上記プログラムは単一の記録媒体に格納されても複数の記録媒体に格納されても良い。また記録媒体に格納されるプログラムは、オペレーティングシステムとの共同によってそれぞれの機能を提供してもよい。例えば、プログラムは、機能の一部または全部を行うことをオペレーティングシステムに依頼し、オペレーティングシステムからの応答に基づいて機能を提供するものであってもよい。
【0114】
プログラムを格納する記録媒体としては、フレキシブルディスク、CD−ROMの他にも、DVD、PD等の光学記録媒体、MD等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、フラッシュメモリ、ICカード、ミニチュアーカードなどの半導体メモリー等を用いることができる。又、専用通信ネットワークやインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスクまたはRAM等の格納装置を記録媒体として使用してもよい。
【0115】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることができる。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の第1実施形態に係る燃料電池システム30の構成の一例を示す図である。
【図2】加温装置48aの構成の一例を示す図である。
【図3】電力負荷44aの構成の一例を示す図である。
【図4】複数の燃料電池40における、発電電力と発電効率との関係の一例を示す図である。
【図5】電力負荷44が電力を要求する通信シーケンスを示すシーケンス図である。
【図6】電力要求情報を受信した場合の、燃料電池制御部50の動作の詳細を示すフローチャートである。
【図7】燃料電池制御部50が管理する管理テーブルの一例を示す図である。
【図8】燃料電池40が発電する発電電力の時間発展の一例を示す図である。
【図9】電力負荷44が消費する電力の消費パターンの一例を示す図である。
【図10】電力負荷44および蓄電池が消費する電力の時間発展の一例を示す図である。
【図11】電力経路の構成の一例を示す図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る燃料電池システム30の構成の一例を示す図である。
【図13】電力負荷44の消費電力、燃料電池40の発電電力、および蓄電池82の蓄電量の時間発展の一例を示す図である。
【図14】電力負荷44の消費電力、燃料電池40の発電電力、および蓄電池82の蓄電量の時間発展の他の一例を示す図である。
【図15】電力負荷44の消費電力、燃料電池40の発電電力、および蓄電池82の蓄電量の時間発展のさらなる他の一例を示す図である。
【図16】電力負荷44の消費電力、燃料電池40の発電電力、および蓄電池82の蓄電量の時間発展のさらなる他の一例を示す図である。
【図17】給電歴管理部84が管理するデータの一例をテーブル形式で示す図である。
【図18】燃料電池制御部50、要求制御部66、および負荷制御部58のそれぞれが有するコンピュータ500の構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0117】
40・・・燃料電池、42・・・主貯湯槽、44・・・電力負荷、46・・・ヒートポンプ、48・・・加温装置、50・・・燃料電池制御部、52・・・サブ貯湯槽、56・・・動作モードテーブル、58・・・負荷制御部、60・・・給湯歴管理部、62・・・在宅判断部、66・・・要求制御部、82・・・蓄電池、84・・・給電歴管理部、30・・・燃料電池システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池と、
前記燃料電池が発電した電力を消費して動作する電力負荷と、
前記燃料電池の発電電力が前記電力負荷の消費電力より大きい場合に、前記燃料電池の電力を蓄電し、前記燃料電池の発電電力が前記電力負荷の消費電力より小さい場合に、蓄電した電力を放電することによって前記電力負荷に電力を供給する蓄電池と、
前記電力負荷の消費電力を増やす必要がある場合に、消費電力の増加量を示す電力要求情報を予め送信する要求制御部と、
前記要求制御部から電力要求情報を受け取った場合に、前記燃料電池が前記電力負荷に更に電力を供給することができることを条件として、前記電力負荷が消費電力を増加すべきタイミングを示す許可通知を送信する燃料電池制御部と、
前記燃料電池制御部から許可通知を受け取ったことを条件として、当該許可通知で示されるタイミングで前記電力負荷の消費電力を増加させる負荷制御部と
を備え、
前記燃料電池制御部は、前記要求制御部から受け取った電力要求情報で示される消費電力の増加量と前記蓄電池の蓄電量とに基づいて、前記電力負荷が消費電力を増加させるタイミングを、前記要求制御部から受け取った電力要求情報で示される消費電力の増加量に前記燃料電池から供給される電力の増加量が達する時刻よりも前のタイミングにスケジュールし、スケジュールされたタイミングを示す許可通知を送信する燃料電池システム。
【請求項2】
前記燃料電池制御部は、前記蓄電池に更に蓄電することができる場合に、前記要求制御部から受け取った電力要求情報で示される消費電力の増加量に前記燃料電池から供給される発電電力量の増加量が達するまでの立ち上がり期間において、前記蓄電池に充電される電力量と、前記蓄電池から放電される電力量とが略同一になるよう、前記電力負荷が消費電力を増やすタイミングを前記立ち上がり期間内にスケジュールする
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記燃料電池制御部は、前記蓄電池に更に蓄電することができる場合に、前記蓄電池に更に蓄電することができる蓄電可能電力量に更に基づいて、前記立ち上がり期間内において前記蓄電池が満充電に達するか否かを判断し、前記立ち上がり期間中に前記蓄電池が満充電に達すると判断される場合に、前記電力負荷が消費電力を増やすタイミングを、前記立ち上がり期間内における、前記蓄電池が満充電に達する時刻より前のタイミングにスケジュールする
請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記燃料電池制御部は、前記蓄電池に蓄電しておくべき目標蓄電量から、前記立ち上がり期間の開始時刻における前記蓄電池の蓄電量を引いた電力差の大きさが、予め定められた基準値を上回る場合に、前記立ち上がり期間内において前記蓄電池に充電される電力量から前記立ち上がり期間内において前記蓄電池から放電される電力量を引いた値が当該電力差に近づくよう、前記電力負荷が消費電力を増やすタイミングをスケジュールする
請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記要求制御部は、前記電力負荷の消費電力を増やす必要がある場合に、予め消費電力を増加させる期間を示す期間情報を電力要求情報とともに送信し、
前記燃料電池制御部は、前記要求制御部から新たな要求情報を受け取った場合に、前記要求制御部から既に受け取った期間情報及び電力要求情報で示される消費電力の増加量、並びに既に送信した許可通知によって示される前記電力負荷が消費電力を増加すべきタイミングに基づいて時刻毎の消費電力の合計値を判断し、当該時刻毎の消費電力の合計値が、前記燃料電池から供給することのできる最大電力量をいずれかの時刻で上回らないことを条件として、前記燃料電池が前記電力負荷に更に電力を供給することができることを判断する
請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記燃料電池制御部は、前記要求制御部から既に受け取った期間情報及び電力要求情報で示される消費電力の増加量、並びに既に送信した許可通知によって示される前記電力負荷が消費電力を増加すべきタイミングに基づいて、前記電力負荷の消費電力が減少するタイミング及び当該タイミングにおける消費電力の減少量を判断し、当該消費電力の減少量だけ前記燃料電池の発電電力が低下するまでの立ち下がり期間において、前記蓄電池に充電される電力量と前記蓄電池から放電される電力量とが略同一になるよう、前記燃料電池の発電電力を低下させるタイミングをスケジュールする
請求項5に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記燃料電池制御部は、前記燃料電池の発電電力を低下させるタイミングから前記電力負荷の消費電力が減少するタイミングまでの期間において前記蓄電池から放電される放電量が、前記燃料電池の発電電力を低下させるタイミングにおける前記蓄電池の蓄電量以下になるよう、前記燃料電池の発電電力を低下させるタイミングをスケジュールする
請求項6に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記燃料電池制御部は、前記蓄電池に蓄電しておくべき目標蓄電量から前記立ち下がり期間の開始時刻における前記蓄電池の蓄電量を引いた電力差の大きさが予め定められた基準値を上回る場合に、前記立ち下がり期間内において前記蓄電池に充電される充電電力量から前記立ち下がり期間内において前記蓄電池から放電される放電電力量を引いた値が当該電力差に近づくよう、前記電力負荷が消費電力を増やすタイミングをスケジュールする
請求項7に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
前記燃料電池の発電電力量及び前記電力負荷の消費電力量の履歴を管理する給電歴管理部
を更に備え、
前記燃料電池制御部は、前記給電歴管理部によって管理されている前記燃料電池の発電電力量及び前記電力負荷の消費電力量の履歴に基づいて、前記蓄電池に蓄電しておくべき蓄電必要量を算出し、算出した蓄電必要量がより大きい場合に、許可通知で示される消費電力を増加すべきタイミングからより早いタイミングで前記燃料電池の発電量を増加させる
請求項4に記載の燃料電池システム。
【請求項10】
在宅中であるか否かを判断する在宅判断部を更に備え、
前記給電歴管理部は、前記在宅判断部によって在宅中であると判断されたときの前記燃料電池の発電電力量及び前記電力負荷の消費電力量、ならびに在宅中ではないと判断されたときの前記燃料電池の発電電力量及び前記電力負荷の消費電力量の履歴をそれぞれ管理し、
前記燃料電池制御部は、前記在宅判断部によって在宅中であると判断された場合には、前記給電歴管理部に管理されている在宅中の履歴を用いて、前記蓄電池に蓄電しておくべき蓄電必要量を算出し、前記在宅判断部によって在宅中でないと判断された場合には、前記給電歴管理部に管理されている非在宅中の履歴を用いて、前記蓄電池に蓄電しておくべき蓄電必要量を算出する
請求項9に記載の燃料電池システム。
【請求項11】
前記燃料電池制御部は、許容することのできる消費電力の増加量を、前記負荷制御部へ通知し、
前記負荷制御部は、前記燃料電池制御部から受け取った、許容された範囲内で消費電力を増加させる
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項12】
前記電力負荷の動作モードに応じた、前記電力負荷の消費電力を示す動作モードテーブルを更に備え、
前記負荷制御部は、許容された消費電力の範囲内で遷移することのできる動作モードを、前記動作モードテーブルを用いて判断し、当該動作モードに遷移する
請求項11に記載の燃料電池システム。
【請求項13】
前記要求制御部は、動作モードを遷移させようとする場合に現在の消費電力と比較して増加させる必要のある消費電力の大きさを、前記動作モードテーブルを参照して判断し、増加必要量を前記燃料電池制御部に送信する
請求項12に記載の燃料電池システム。
【請求項14】
燃料電池が発電した電力を消費して動作する電力負荷の消費電力を増やす必要がある場合に、消費電力の増加量を示す電力要求情報を予め送信する要求制御ステップと、
電力要求情報を受け取った場合に、前記燃料電池が前記電力負荷に更に電力を供給することができることを条件として、前記電力負荷が消費電力を増加すべきタイミングを示す許可通知を送信する燃料電池制御ステップと、
許可通知を受け取ったことを条件として、当該許可通知で示されるタイミングで前記電力負荷の消費電力を増加させる負荷制御ステップと
を備え、
前記燃料電池制御ステップは、前記燃料電池の電力を蓄電し、蓄電した電力を前記電力負荷に供給する蓄電池の蓄電量と、電力要求情報で示される消費電力の増加量とに基づいて、前記電力負荷が消費電力を増加させるタイミングを、電力要求情報で示される消費電力の増加量に前記燃料電池から供給される電力の増加量が達する時刻よりも前のタイミングにスケジュールし、スケジュールされたタイミングを示す許可通知を送信する燃料電池システム制御方法。
【請求項15】
燃料電池と、
前記燃料電池が発電した電力を消費して動作する電力負荷と、
前記燃料電池の発電電力が前記電力負荷の消費電力より大きい場合に、前記燃料電池の電力を蓄電し、前記燃料電池の発電電力が前記電力負荷の消費電力より小さい場合に、蓄電した電力を放電することによって前記電力負荷に電力を供給する蓄電池と、
前記電力負荷の消費電力を増やす必要がある場合に、消費電力の増加量を示す電力要求情報を予め送信する要求制御部と、
前記要求制御部から電力要求情報を受け取った場合に、前記燃料電池が前記電力負荷に更に電力を供給することができることを条件として、前記電力負荷が消費電力を増加すべきタイミングを示す許可通知を送信する燃料電池制御部と、
前記燃料電池制御部から許可通知を受け取ったことを条件として、当該許可通知で示されるタイミングで前記電力負荷の消費電力を増加させる負荷制御部と
を備え、
前記燃料電池制御部は、前記要求制御部から受け取った電力要求情報で示される消費電力の増加量と前記蓄電池の蓄電量とに基づいて、前記電力負荷が消費電力を増加させるタイミングを、前記要求制御部から受け取った電力要求情報で示される消費電力の増加量に前記燃料電池から供給される電力の増加量が達する時刻よりも前のタイミングにスケジュールし、スケジュールされたタイミングを示す許可通知を送信する建造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−313671(P2006−313671A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−135410(P2005−135410)
【出願日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【出願人】(000174943)三井住友建設株式会社 (346)
【出願人】(592001975)株式会社CRCソリューションズ (20)
【出願人】(302064762)株式会社日本総合研究所 (367)
【出願人】(399059496)コスモ石油ガス株式会社 (4)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(000005854)丸紅株式会社 (11)
【Fターム(参考)】