説明

燃料電池システム及びその運転方法

【課題】簡潔な構成で燃料ガス及び改質ガスの少なくとも一方を加湿する。
【解決手段】燃料ガス流路28と酸化剤ガス流路17との間に高分子電解質膜が配置された構造を有するセルが複数積層されたスタック101を備え、スタック101において、高分子電解質膜が劣化しやすい部位が鉛直方向下側に配置され、燃料ガス流路28及び酸化剤ガス流路17の少なくとも一方の流路において、スタック101内部で発生する液水が流路の内部をガスの流れの上流方向へ重力により流下して滞留する貯水部が、劣化しやすい部位に対しガスの流れの上流側に隣接した部位及び劣化しやすい部位の少なくとも一方に形成されている、燃料電池システム100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システム、及びその運転方法に関する。より詳しくは、相対湿度の低いガスを利用して発電を行う燃料電池システムと、その運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、一般的には燃料ガスと酸化剤ガスとを用い、電気化学的な反応により電気を発生させるものであって、発電効率が高い一方、排出ガスがクリーンで環境に対する影響が極めて少ない。そのため、近年では、発電用電源や低公害の自動車用電源など種々の用途への燃料電池の利用が期待されている。このような燃料電池は、構成部材の一つである電解質の種類によって複数に分類されており、例えば、リン酸型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、固体酸化物型燃料電池、及び高分子電解質形燃料電池などが知られている。これらの中でも高分子電解質形燃料電池(PEFC:polymer electrolyte fuel cell)は、80℃程度の低温で作動させることができるため、他の種類の燃料電池と比較して取扱いが容易であり、また、出力密度が極めて大きいことから、その利用が大きく期待されるものである。
【0003】
一般に、高分子電解質形燃料電池は、プロトン導電性のある高分子電解質膜を備えており、該高分子電解質膜の両主面に対向するようにして、一対の電極を成す燃料極と酸化剤極とが高分子電解質膜を挟んで設けられる。高分子電解質膜とこれを挟む一対の電極とによって膜電極接合体(MEA:membrane electrode assembly)が構成される。該MEAを、例えばセパレータで挟持して成る単セルが、燃料電池における最小の発電単位となっている。この単セルを直列に配列させたスタックを構成することで高い出力の外部に供給している。
【0004】
MEAでは、発電運転の際、例えば、燃料極側のセパレータに形成された燃料ガス流路に水素を含む燃料ガスが供給されると共に、酸化剤極側のセパレータに形成された酸化剤ガス流路に酸素を含む酸化剤ガスが供給される。すると、燃料極側では、供給された水素が電子とプロトンとに変換される。燃料極側で発生した電子は、燃料電池システムに接続された外部負荷を経由して、酸化剤極に到達する。又、燃料極側で発生したプロトンは、高分子電解質膜を通過して酸化剤極に到達する。高分子電解質形燃料電池の酸化剤極では、外部負荷を経由して到達する電子と、高分子電解質膜を通過して到達するプロトンと、酸化剤極側に供給される酸化剤ガス中の酸素とが用いられて、水が生成する。これらの一連の機序により、高分子電解質形燃料電池から電力が出力され、外部負荷が駆動される。
【0005】
ところで、高分子電解質形燃料電池を備える燃料電池システムでは、燃料極側から酸化剤極側へのプロトン伝導度を確保するために、高分子電解質膜を湿潤状態に維持する必要がある。そのため一般に、加湿された燃料ガス及び加湿された酸化剤ガスが、燃料極側及び酸化剤極側に各々供給され、電解質膜が加湿される。
【0006】
燃料ガス及び酸化剤ガスを加湿するために、燃料電池から排出される燃料オフガス及び酸化剤オフガスから反応で発生した水を回収し、その水で燃料ガス及び酸化剤ガスを加湿する加湿器が設けられている場合もある。
【0007】
特許文献1には、発電時に燃料ガスの露点を燃料電池の温度以上とし、かつ、酸化剤ガスの露点を燃料電池の温度未満とし、燃料電池と負荷との電気的な接続を切断する前に燃料電池の温度と酸化剤ガスの露点とを少なくとも一致させるように制御する方法が開示されている。
【0008】
特許文献2には、カソード入口空気を加湿するため水蒸気輸送装置により使用されるカソード排気ガスの相対湿度を増大させることが必要となるとき、スタック冷却流体温度を低下させる工程、カソード圧力を増大させる工程、及び/又は、カソード化学量論係数を減少させる工程のうち1つ以上を実行することによって、カソード入口空気の相対湿度制御を所定のパーセンテージより高く維持する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第08/132783号
【特許文献2】特開2007−335409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の燃料電池システムでは、燃料ガス及び改質ガスを加湿する構成が複雑であり、装置の大型化と高コストとをもたらしていた。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するものであり、簡潔な構成で燃料ガス及び改質ガスの少なくとも一方を加湿することが可能な燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、燃料電池システムにおいて、簡潔な構成で燃料ガス及び改質ガスの少なくとも一方を加湿すべく、鋭意検討した。その結果、以下の知見を得た。
【0013】
加湿器を保有しない燃料電池システムでは起動時に高分子電解質膜を加湿することが困難であり、高分子電解質膜が乾いた状態で発電を開始すれば急激な膨潤収縮による機械劣化、またヒドロキシラジカル等の影響により高分子電解質膜が劣化し、さらにはプロトン伝導律速により性能低下を引き起こすなどの課題がある。
【0014】
ヒドロキシラジカルは、高分子電解質膜が乾燥している場合に生じやすい。高分子電解質膜が乾燥しやすい部位としては、具体的には、例えば、酸化剤ガスがセル内部に導入される入口部位や、燃料ガスの相対湿度がセル内部において相対的に低くなる部位等が挙げられる。また、発生したヒドロキシラジカルは、水分の移動と共に拡散するが、かかる水分の移動が制限されると、ヒドロキシラジカルの濃度が上昇し、膜が劣化しやすくなる。そのような部位としては、具体的には、例えば、セル内部において、酸化剤ガスの相対湿度よりも燃料ガスの相対湿度が低くなる部位が挙げられる。
【0015】
このような、乾燥等によって生じるラジカルの影響を低減するためには、膜を加湿することが有効である。本発明者らは、この加湿に、燃料電池内部で発生する液水を利用することができることに気付いた。すなわち、燃料電池内部では、ガス中の水分の凝縮及び電極反応等により、液体の水が発生する。この液水を重力により流下させて貯溜する貯水部を設け、その近傍に劣化しやすい部位を配置することで、簡潔な構成であっても、燃料ガス及び改質ガスを加湿することができる。
【0016】
貯水部が、劣化しやすい部位に対しガスの流れの上流側に隣接した部位に形成される場合には、ガスが貯水部を通過した後で劣化しやすい部位に供給される。貯水部で加湿されたガスが劣化しやすい部位に供給されるため、劣化しやすい部位の高分子電解質膜を効果的に加湿できる。
【0017】
貯水部が、劣化しやすい部位に形成される場合には、貯水部に滞留する液水により、劣化しやすい部位の高分子電解質膜を直接かつ効果的に加湿できる。
【0018】
膜の乾燥は、特に起動時に生じやすいことから、起動時及び停止時の少なくとも一方において、液水の発生を促す運転を行うことで、起動時により効果的にガスの加湿を行うことができる。
【0019】
すなわち上記課題を解決するために、本発明の燃料電池システムは、燃料ガス流路と酸化剤ガス流路との間に高分子電解質膜が配置された構造を有するセルが複数積層されたスタックを備え、前記スタックにおいて、高分子電解質膜が劣化しやすい部位が鉛直方向下側に配置され、前記燃料ガス流路及び前記酸化剤ガス流路の少なくとも一方の流路において、スタック内部で発生する液水が前記流路の内部をガスの流れの上流方向へ重力により流下して滞留する貯水部が、前記劣化しやすい部位に対しガスの流れの上流側に隣接した部位及び前記劣化しやすい部位の少なくとも一方に形成されている。
【0020】
かかる構成では、簡潔な構成で燃料ガス及び改質ガスの少なくとも一方を加湿することができる。
【0021】
上記燃料電池システムにおいて、前記劣化しやすい部位は、前記酸化剤ガス流路の前記スタックへの入口部位であってもよい。
【0022】
上記燃料電池システムにおいて、前記劣化しやすい部位は、運転時の前記スタック内部の前記燃料ガス流路において、燃料ガスの相対湿度が相対的に低くなる部位であってもよい。
【0023】
上記燃料電池システムにおいて、前記劣化しやすい部位は、運転時の前記スタック内部の前記燃料ガス流路における燃料ガスの相対湿度が、運転時の前記スタック内部の前記酸化剤ガス流路における酸化剤ガスの相対湿度よりも低い部位であってもよい。
【0024】
上記燃料電池システムにおいて、前記劣化しやすい部位は、運転時の前記スタック内部の前記燃料ガス流路において、燃料ガスの相対湿度が29%以下となる部位であってもよい。
【0025】
上記燃料電池システムにおいて、前記劣化しやすい部位は、運転時の前記スタック内部の前記燃料ガス流路における燃料ガスの相対湿度をA[%]、運転時の前記スタック内部の前記酸化剤ガス流路における酸化剤ガスの相対湿度をB[%]とするとき、(B−A)≧5.5[%]となる部位であってもよい。
【0026】
上記燃料電池システムにおいて、前記貯水部が、前記劣化しやすい部位に形成されていてもよい。
【0027】
上記燃料電池システムにおいて、前記スタックの内部の前記燃料ガス流路には燃料ガス供給マニホルドが形成され、前記貯水部が、前記燃料ガス供給マニホルドに形成されていてもよい。
【0028】
上記燃料電池システムにおいて、前記スタックの内部の前記酸化剤ガス流路には酸化剤ガス供給マニホルドが形成され、前記貯水部が、前記酸化剤ガス供給マニホルドに形成されていてもよい。
【0029】
上記燃料電池システムにおいて、前記貯水部が、前記スタックの外部に形成されていてもよい。
【0030】
上記燃料電池システムにおいて、前記貯水部が、前記流路が鉛直下向きに凸となるU字形に形成された部位であってもよい。
【0031】
上記燃料電池システムにおいて、前記貯水部の下側に前記貯水部にガスを導入するガス入口が形成され、前記貯水部の上側に前記貯水部からガスを排出するガス出口が形成されていてもよい。
【0032】
上記燃料電池システムにおいて、さらに、起動時及び停止時の少なくともいずれか一方において高出力での発電を行う制御器を備えてもよい。
【0033】
上記燃料電池システムにおいて、前記スタックに冷却水流路が形成されており、さらに、前記冷却水流路に冷却水を供給する冷却水循環器と、起動時及び停止時の少なくともいずれか一方において前記冷却水循環器による冷却水の供給量を増加させる制御器を備えてもよい。
【0034】
上記燃料電池システムにおいて、さらに、起動時及び停止時の少なくともいずれか一方において酸化剤ガスの流量を低下させながら発電を行う制御器を備えてもよい。
【0035】
また、本発明の燃料電池の運転方法は、燃料ガス流路と酸化剤ガス流路との間に高分子電解質膜が配置された構造を有するセルが複数積層されたスタックにおいて、高分子電解質膜が劣化しやすい部位を鉛直方向下側に配置し、前記劣化しやすい部位に対しガスの流れの上流側に隣接した部位及び前記劣化しやすい部位の少なくとも一方に貯水部を配置し、前記燃料ガス流路及び前記酸化剤ガス流路の少なくとも一方の流路において、起動時及び停止時の少なくともいずれか一方において、スタック内部で発生する液水を、前記流路の内部をガスの流れの上流方向へ重力により流下させて前記貯水部に滞留させる。
【0036】
かかる構成では、簡潔な構成で燃料ガス及び改質ガスの少なくとも一方を加湿することができる。
【0037】
上記燃料電池システムの運転方法において、前記劣化しやすい部位は、前記酸化剤ガス流路の前記スタックへの入口部位であってもよい。
【0038】
上記燃料電池システムの運転方法において、前記劣化しやすい部位は、運転時の前記スタック内部の前記燃料ガス流路において、燃料ガスの相対湿度が相対的に低くなる部位であってもよい。
【0039】
上記燃料電池システムの運転方法において、前記劣化しやすい部位は、運転時の前記スタック内部の前記燃料ガス流路における燃料ガスの相対湿度が、運転時の前記スタック内部の前記酸化剤ガス流路における酸化剤ガスの相対湿度よりも低い部位であってもよい。
【0040】
上記燃料電池システムの運転方法において、前記劣化しやすい部位は、運転時の前記スタック内部の前記燃料ガス流路において、燃料ガスの相対湿度が29%以下となる部位であってもよい。
【0041】
上記燃料電池システムの運転方法において、前記劣化しやすい部位は、運転時の前記スタック内部の前記燃料ガス流路における燃料ガスの相対湿度をA[%]、運転時の前記スタック内部の前記酸化剤ガス流路における酸化剤ガスの相対湿度をB[%]とするとき、(B−A)≧5.5[%]となる部位であってもよい。
【0042】
上記燃料電池システムの運転方法において、前記貯水部を、前記劣化しやすい部位に配置してもよい。
【0043】
上記燃料電池システムの運転方法において、前記貯水部を、前記スタックの内部の前記燃料ガス流路に形成された燃料ガス供給マニホルドに配置してもよい。
【0044】
上記燃料電池システムの運転方法において、前記貯水部を、前記スタックの内部の前記酸化剤ガス流路に形成された酸化剤ガス供給マニホルドに配置してもよい。
【0045】
上記燃料電池システムの運転方法において、前記貯水部を、前記スタックの外部に配置してもよい。
【0046】
上記燃料電池システムの運転方法において、前記貯水部を、前記流路が鉛直下向きに凸となるU字形に形成された部位に配置してもよい。
【0047】
上記燃料電池システムの運転方法において、前記貯水部の下側に前記貯水部にガスを導入するガス入口を配置し、前記貯水部の上側に前記貯水部からガスを排出するガス出口を配置してもよい。
【0048】
上記燃料電池システムの運転方法において、起動時及び停止時の少なくともいずれか一方において高出力での発電を行ってもよい。
【0049】
上記燃料電池システムの運転方法において、前記スタックに冷却水流路を配置し、起動時及び停止時の少なくともいずれか一方において前記冷却水流路への冷却水の供給量を増加させてもよい。
【0050】
上記燃料電池システムの運転方法において、起動時及び停止時の少なくともいずれか一方において酸化剤ガスの流量を低下させながら発電を行ってもよい。
【発明の効果】
【0051】
本発明の燃料電池システム及び燃料電池システムの運転方法によれば、簡潔な構成で燃料ガス及び改質ガスの少なくとも一方を加湿することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、第1実施形態にかかる燃料電池システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図2は、第1実施形態にかかる燃料電池システムに含まれる燃料電池の概略構成の一例を示す斜視図である。
【図3】図3は、図2のIII−III平面に沿った断面図である。
【図4】図4は、第1実施形態におけるカソード側セパレータの正面図である。
【図5】図5は、第1実施形態におけるカソード側セパレータの背面図である。
【図6】図6は、第1実施形態におけるアノード側セパレータの正面図である。
【図7】図7は、第1実施形態におけるアノード側セパレータの背面図である。
【図8】図8は、第1実施形態における燃料ガス流路内のガスの露点及び酸化剤ガス流路内のガスの露点と、入口からの流路長との関係を模式的に示す図である。
【図9】図9は、第1実施形態にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。
【図10】図10は、第1実施形態の第1変形例にかかる燃料電池システムに含まれるスタックと貯水部の概略構成の一例を示す模式図である。
【図11】図11は、第1実施形態の第2変形例にかかる燃料電池システムに含まれるスタックと貯水部の概略構成の一例を示す模式図である。
【図12】図12は、第1実施形態の第3変形例にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
(第1実施形態)
[ハードウェア構成]
第1実施形態の燃料電池システムは、燃料ガス流路と酸化剤ガス流路との間に高分子電解質膜が配置された構造を有するセルが複数積層されたスタックを備え、スタックにおいて、高分子電解質膜が劣化しやすい部位が鉛直方向下側に配置され、燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路の少なくとも一方の流路において、スタック内部で発生する液水が流路の内部をガスの流れの上流方向へ重力により流下して滞留する貯水部が、劣化しやすい部位に対しガスの流れの上流側に隣接した部位及び劣化しやすい部位の少なくとも一方に形成されている。
【0054】
高分子電解質膜は、好ましくは、水素イオン伝導性を有する高分子膜である。高分子電解質膜は、本実施形態では、略矩形状である。高分子電解質膜の材料は、水素イオンを選択的に移動させるものであれば特に限定されない。高分子電解質膜は、例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸からなるフッ素系高分子電解質膜(例えば、米国DuPont社製のNafion(登録商標)、旭化成(株)製のAciplex(登録商標)、旭硝子(株)製のFlemion(登録商標)など)や各種炭化水素系電解質膜を使用できる。
【0055】
「劣化しやすい部位」とは、高分子電解質膜において、例えば、酸化剤ガス流路のスタックへの入口部位、運転時のスタック内部の燃料ガス流路において、燃料ガスの相対湿度が相対的に低くなる部位、及び、運転時のスタック内部の燃料ガス流路における燃料ガスの相対湿度が、運転時のスタック内部の酸化剤ガス流路における酸化剤ガスの相対湿度よりも低くなる部位、からなる群より選ばれた少なくとも一つの部位である。
【0056】
「劣化しやすい部位」とは、高分子電解質膜において、例えば、酸化剤ガス流路のスタックへの入口部位、運転時のスタック内部の燃料ガス流路において、燃料ガスの相対湿度が相対的に低くなる部位、及び、運転時のスタック内部の燃料ガス流路における燃料ガスの相対湿度が、運転時のスタック内部の酸化剤ガス流路における酸化剤ガスの相対湿度よりも低くなる部位、運転時のスタック内部の燃料ガス流路において、燃料ガスの相対湿度が29%以下となる部位、運転時のスタック内部の燃料ガス流路における燃料ガスの相対湿度をA[%]、運転時の前記スタック内部の酸化剤ガス流路における酸化剤ガスの相対湿度をB[%]とするとき、(B−A)≧5.5[%]となる部位、からなる群より選ばれた少なくとも一つの部位である。
【0057】
「劣化しやすい部位」とは、高分子電解質膜において、例えば、運転時のスタック内部の燃料ガス流路において、燃料ガスの相対湿度が29%以下となる部位、運転時のスタック内部の燃料ガス流路における燃料ガスの相対湿度をA[%]、運転時の前記スタック内部の酸化剤ガス流路における酸化剤ガスの相対湿度をB[%]とするとき、(B−A)≧5.5[%]となる部位、からなる群より選ばれた少なくとも一つの部位である。
【0058】
かかる部位を劣化しやすい部位とすることは、空気を酸化剤ガスとして利用し、水蒸気改質反応を利用して水素を含有する燃料ガスを生成する水素生成器を水素源として利用する燃料電池システムにおいて特に好ましい。空気は燃料電池の運転温度に加熱されると相対湿度が低くなりやすい一方で、水素生成器から供給される燃料ガスは燃料電池の運転温度においても十分な相対湿度を有する場合が多いからである。
【0059】
なお、水素源として、水素ボンベ等、乾燥した燃料ガスを用いる等の場合に、燃料ガス流路のスタックへの入口部位等、他の部位が劣化しやすい部位とされてもよい。
【0060】
「鉛直方向下側に配置され」とは、劣化しやすい部位が配置される場所が、スタック全体において、相対的に下側に存在することをいう。より具体的には、例えば、スタックの重心を通る水平面よりも鉛直方向下側に配置されることをいう。
【0061】
「ガスの流れ」とは、燃料ガス流路においては燃料ガスの流れであり、酸化剤ガスにおいては酸化剤ガスの流れであって、燃料電池の設計上一意に定まるものである。
【0062】
以下、燃料電池101の構造を詳しく説明する。なお、以下では、劣化しやすい部位が酸化剤ガス流路のスタックへの入口であり、酸化剤ガス供給マニホルド7に貯水部が設けられている例について説明する。
【0063】
図2は、第1実施形態にかかる燃料電池システムに含まれる燃料電池の概略構成の一例を示す斜視図である。図3は図2のIII−III平面に沿った断面図である。
【0064】
図2においては、設置された燃料電池における鉛直上下方向を、図における上下方向として表している。
【0065】
図2に示すように、燃料電池101はセルスタック1を有している。セルスタック1は、板状の全体形状を有するセル2がその厚み方向に積層されてなるセル積層体201と、セル積層体201の両端に配置された第1の端板3A及び第2の端板3Bと、セル積層体201と第1の端板及び第2の端板3Bとをセル2の積層方向において締結する図示されない締結具とを有している。また、第1の端板3A及び第2の端板3Bには集電端子がそれぞれ配設されているが図示を省略している。板状のセル2は、鉛直面に平行に延在しており、従って、セル2の積層方向は水平方向となっている。
【0066】
セル積層体201の一方の側部(以下、第1の側部という)の上部には、該セル積層体201を積層方向に貫通するように酸化剤ガス排出マニホルド4が形成されている。酸化剤ガス排出マニホルド4の一端は第1の端板3Aに形成された貫通孔に連通し、この貫通孔の外側開口(酸化剤ガス出口404)に図1の酸化剤ガス排出路111を構成する酸化剤ガス排出配管51が接続されている。酸化剤ガス排出マニホルド4の他端は第2の端板3Bによって閉鎖されている。
【0067】
セル積層体201の他方の側部(以下、第2の側部)の下部には、該セル積層体201を積層方向に貫通するように酸化剤ガス供給マニホルド7が形成されている。酸化剤ガス供給マニホルド7の一端は第1の端板3Aによって閉鎖されている。酸化剤ガス供給マニホルド7の他端は第2の端板3Bに形成された貫通孔に連通し、この貫通孔の外側開口(酸化剤ガス入口)に図1の酸化剤ガス供給路107を構成する酸化剤ガス供給配管52が接続されている。
【0068】
セル積層体201の第2の側部の上部には、セル積層体201を積層方向に貫通するように燃料ガス排出マニホルド5が形成されている。燃料ガス排出マニホルド5の一端は第1の端板3Aに形成された貫通孔に連通し、この貫通孔の外側開口(燃料ガス出口403)に図1の燃料ガス排出路110を構成する燃料ガス排出配管53が接続されている。燃料ガス排出マニホルド5の他端は第2の端板3Bによって閉鎖されている。
【0069】
セル積層体201の第1の側部の下部には、該セル積層体201を積層方向に貫通するように燃料ガス供給マニホルド6が形成されている。燃料ガス供給マニホルド6の一端は第1の端板3Aによって閉鎖されている。燃料ガス供給マニホルド6の他端は第2の端板3Bに形成された貫通孔に連通し、この貫通孔の外側開口(燃料ガス入口)に図1の燃料ガス供給路109を構成する燃料ガス供給配管54が接続されている。
【0070】
酸化剤ガス排出マニホルド4の上部の内側には、セル積層体201を積層方向に貫通するように冷却水排出マニホルド8が形成されている。冷却水排出マニホルド8の一端は第1の端板3Aに形成された貫通孔に連通し、この貫通孔の外側開口(冷却水出口401)に冷却水排出配管30が接続されている。冷却水排出配管30は、図1の冷却水循環流路112の、循環ポンプ106の吸入ポート(図示せず)と燃料電池101との間の部分を構成している。冷却水排出マニホルド8の他端は第2の端板3Bによって閉鎖されている。
【0071】
また、酸化剤ガス供給マニホルド7の下部の内側には、セル積層体201を積層方向に貫通するように冷却水供給マニホルド9が形成されている。冷却水供給マニホルド9の一端は第1の端板3Aによって閉鎖されている。冷却水供給マニホルド9の他端は第2の端板3Bに形成された貫通孔に連通し、この貫通孔の外側開口(冷却水入口402)に冷却水供給配管31が接続されている。冷却水供給配管31は、図1の冷却水循環流路112の、循環ポンプ106の吐出ポートと燃料電池101との間の部分を構成している。
【0072】
図3に示すように、セル2は、板状のMEA43と、MEA43の両主面に接触するように配置されたカソード側セパレータ10及びアノード側セパレータ20とで構成されている。そして、互いに隣接するセル2、2において、一方のセル2のカソード側セパレータ10の背面と他方のセル2のアノード側セパレータ20の背面とが接触するようにして、セル2が積層されている。MEA43、カソード側セパレータ10、及びアノード側セパレータ20は、互いに同じ大きさの同じ形状(ここでは矩形)に形成されている。そして、MEA43、カソード側セパレータ10、及びアノード側セパレータ20には、互いに対応する所定の箇所に、これらを厚み方向に貫通する、酸化剤の入口マニホルド孔、酸化剤の出口マニホルド孔、燃料の入口マニホルド孔、燃料の出口マニホルド孔、冷却水の入口マニホルド孔、及び冷却水の出口マニホルド孔が形成され、全てのセル2におけるMEA43、カソード側セパレータ10、及びアノード側セパレータ20の、酸化剤の入口マニホルド孔、酸化剤の出口マニホルド孔、燃料の入口マニホルド孔、燃料の出口マニホルド孔、冷却水の入口マニホルド孔、及び冷却水の出口マニホルド孔が、それぞれ繋がって、酸化剤ガス供給マニホルド7、酸化剤ガス排出マニホルド4、燃料ガス供給マニホルド6、燃料ガス排出マニホルド5、冷却水供給マニホルド9、及び冷却水排出マニホルド8が、それぞれ形成されている。
【0073】
カソード側セパレータ10の正面及び背面には、それぞれ、酸化剤ガス流路17及び冷却水流路19が形成されている。酸化剤ガス流路17は後述するように、酸化剤ガスの入口マニホルド孔と酸化剤ガスの出口マニホルド孔とを接続するように形成され、冷却水流路19は後述するように、冷却水の入口マニホルド孔と冷却水の出口マニホルド孔とを接続するように形成されている。そして、カソード側セパレータ10は、正面がMEA43に接触するように配置されている。
【0074】
アノード側セパレータ20の正面及び背面には、それぞれ、燃料ガス流路28及び冷却水流路29が形成されている。燃料ガス流路28は後述するように、燃料ガスの入口マニホルド孔と燃料ガスの出口マニホルド孔とを接続するように形成され、冷却水流路29は後述するように、冷却水の入口マニホルド孔と冷却水の出口マニホルド孔とを接続するように形成されている。そして、アノード側セパレータ20は、正面がMEA43に接触するように配置されている。
【0075】
各流路17、19、28、29はカソード側セパレータ10又はアノード側セパレータ20の主面に形成された溝で構成されている。また、各流路17、19、28、29は、図3では、それぞれ、2つの流路で構成されているが、多数の流路で構成されていてもよい。また、隣接するカソード側セパレータ10の冷却水流路19とアノード側セパレータ20の冷却水流路29とは、セル2が積層されたとき互いに合わさる(接合する)ように形成されており、両者で1つの冷却水流路が形成されている。
【0076】
また、カソード側セパレータ10の背面及びアノード側セパレータ20の背面には、冷却水の入口マニホルド孔及び出口マニホルド孔並びに冷却水流路と、酸化剤の入口マニホルド孔と、酸化剤の出口マニホルド孔と、燃料の入口マニホルド孔と、燃料の出口マニホルド孔とを、それぞれ、囲むようにOリング収容溝が形成され、その溝にOリング47がそれぞれ配置されている。これにより、前記のマニホルド孔等が互いにシールされている。
【0077】
MEA43は、高分子電解質膜41と、カソード42Aと、アノード42Bと、一対のガスケット46と、を有している。そして、高分子電解質膜41の縁部以外の部分の両面にそれぞれカソード42A及びアノード42Bが形成され、高分子電解質膜41の縁部の両面にカソード42A及びアノード42Bをそれぞれ囲むようにガスケット46が配置されている。一対のガスケット46、カソード42A、アノード42B、及び高分子電解質膜41は互いに一体化されている。
【0078】
高分子電解質膜41は、水素イオンを選択的に輸送可能な材料で構成され、例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸系の材料で構成される。カソード42A及びアノード42Bは、高分子電解質41の互いに反対の主面にそれぞれ形成された触媒層(図示せず)とこの触媒層の上に形成されたガス拡散層(図示せず)とで構成されている。
【0079】
触媒層は、好ましくは、水素または酸素の酸化還元反応に対する触媒を含む層である。触媒層は、本実施形態では、略矩形状である。触媒層は、導電性を有し、かつ水素及び酸素の酸化還元反応に対する触媒能を有するものであれば特に限定されない。
【0080】
触媒層は、例えば白金族金属触媒を担持したカーボン粉末とプロトン導電性を有する高分子材料とを主成分とした多孔質な部材から構成される。触媒層に用いるプロトン導電性高分子材料は、上記高分子電解質膜と同じ種類であっても、異なる種類であってもよい。触媒層は、高分子電解質膜の主面に触媒層形成用インクを塗工又はスプレーするなどして形成できる。
【0081】
ガス拡散層は、好ましくは、導電性を有する多孔質の部材である。ガス拡散層は、本実施形態では、板状で、略矩形状である。ガス拡散層は、導電性を有し、かつ反応ガスが拡散できるものであれば特に限定されない。
【0082】
ガス拡散層は、ガス透過性を持たせるために、カーボン微粉末、造孔材、カーボンペーパー、又はカーボンクロスなどを用いて作製された多孔質構造を有する導電性基材を用いることができる。また、ガス拡散層に排水性を持たせるために、フッ素樹脂を代表とする撥水性高分子などをガス拡散層の中に分散させてもよい。さらに、ガス拡散層に電子伝導性を持たせるために、カーボン繊維、金属繊維、又はカーボン微粉末などの電子伝導性材料でガス拡散層を構成してもよい。また、ガス拡散層の触媒層と接する面には、撥水性高分子とカーボン粉末とで構成される撥水カーボン層を設けてもよい。
【0083】
ガス拡散層は、例えば、基材として炭素繊維を用いず、導電性粒子と高分子樹脂とを主成分として構成された多孔質部材を用いてもよい。
【0084】
導電性粒子の材料としては、例えば、グラファイト、カーボンブラック、活性炭等のカーボン材料が挙げられる。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック(AB)、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、バルカン等が挙げられ、これらの材料を単独で使用してもよく、また、複数の材料を組み合わせて使用してもよい。ま、上記カーボン材料の原料形態としては、粉末状、繊維状、粒状等のいずれの形状でもよい。
【0085】
また、高分子樹脂としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等が挙げられ、耐熱性、撥水性、耐薬品性の観点からPTFEが好ましい。PTFEの原料としては、ディスパージョン及び粉末状の形状があげられるが、ディスパージョンが、作業性の点から好ましい。なお、高分子樹脂は、導電性粒子同士を結着するバインダーとしての機能を有する。また、高分子樹脂は、撥水性を有するため、燃料電池の内部にて水を系内に閉じ込める機能(保水性)も有する。
【0086】
また、ガス拡散層には、導電性粒子及び高分子樹脂以外に、該カソードガス拡散層の製造時に使用する界面活性剤及び分散溶媒などが微量含まれていてもよい。分散溶媒としては、例えば、水、メタノール及びエタノール等のアルコール類、エチレングリコール等のグリコール類が挙げられる。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のノニオン系、アルキルアミンオキシド等の両性イオン系が挙げられる。製造時に使用する分散溶媒の量及び界面活性剤の量は、導電性粒子の種類、高分子樹脂の種類、それらの配合比率などに応じて適宜設定すればよい。一般的には、分散溶媒量、界面活性剤量が多いほど、高分子樹脂(フッ素樹脂)と導電性粒子(カーボン)が均一分散しやすいが、流動性が高くなり、シート化が難しくなる傾向がある。なお、カソードガス拡散層には、導電性粒子と高分子樹脂と界面活性剤と分散溶媒以外の材料(例えば、短繊維の炭素繊維など)が含まれていてもよい。
【0087】
ガス拡散層は、カソード側及びアノード側において同じガス拡散層を用いても、異なるガス拡散層を用いてもよい。
【0088】
基材として炭素繊維を用いないガス拡散層は、高分子樹脂と導電性粒子とを含む混合物を混練して、押出し、圧延してから、焼成することにより製造することができる。具体的には、例えば、導電性粒子であるカーボンと分散溶媒、界面活性剤を攪拌・混錬機に投入後、混錬して粉砕・造粒して、カーボンを分散溶媒中に分散させる。ついで、高分子樹脂であるフッ素樹脂をさらに攪拌・混錬機に投下して、攪拌及び混錬して、カーボンとフッ素樹脂を分散する。得られた混錬物を圧延してシートを形成し、焼成して分散溶媒、界面活性剤を除去することでカソードガス拡散層3Bを形成するシートが製造される。このようにして製造されたシートの主面に、適宜な方法(例えば、プレス機等を用いた成型や、切削機等を用いた切削)により、酸化剤ガス流路9となる溝を形成して、カソードガス拡散層が得られる。なお、界面活性剤は、導電性粒子の材料(カーボン材料)、分散溶媒の種類により適宜選択でき、また、界面活性剤を使用しなくてもよい。
【0089】
また、カソード42Aと、アノード42Bと、カソード側セパレータ10における酸化剤ガス流路17が形成された領域及び冷却水流路19が形成された領域と、アノード側セパレータ20における燃料ガス流路28が形成された領域及び冷却水流路29が形成された領域とは、セル2の積層方向から見て、互いに、実質的に全体的に重なり合うように配設されている。
【0090】
ガスケットは、適度な機械的強度と柔軟性を有している合成樹脂であることが好ましい。ガスケットの形状は、例えば、環状で略矩形状である。
【0091】
ガスケットを構成する材料としては、例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、フルオロエチレン−プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルフィド、ポリイミド、及び、ポリイミドアミドからなる群より選択される少なくとも1以上の樹脂から構成される合成樹脂であることがより好ましい。
【0092】
ガスケットを構成する材料としては、例えば、ゴム材料や熱可塑性エラストマーや接着剤等の化合物を使用することができる。ガスケットを構成するシール材の具体例として、フッ素ゴム、シリコーンゴム、天然ゴム、EPDM、ブチルゴム、塩化ブチルゴム、臭化ブチルゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニルゴム、アクリルゴム、ポリイソプロピレンポリマー、パーフルオロカーボン、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系及びポリアミド系等の熱可塑性エラストマー、あるいはイソプレンゴム及びブタジエンゴム等のラテックスを用いた接着剤、液状のポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、シリコーンゴム、フッ素ゴム及びアクリロニトリル−ブタジエンゴム等を用いた接着剤等を挙げることができるが、これらの化合物に限定されない。また、これらの化合物を単体で用いても、あるいは2種類以上を混合もしくは複合して用いてもよい。
【0093】
セパレータは、好ましくは、MEAを機械的に固定するとともに、隣接するMEA同士を互いに電気的に直列に接続するための部材である。セパレータは、好ましくは、カーボンを含む材質や金属を含む材質で構成される。
【0094】
セパレータがカーボンを含む材質で構成される場合、セパレータは、カーボン粉末と樹脂バインダとを混合した原料粉を金型に供給し、金型に供給された原料粉に圧力と熱を加えることによって形成できる。
【0095】
セパレータが金属を含む材質で構成される場合、セパレータは、金属プレートからなるものであってもよい。セパレータは、チタンやステンレス鋼製の板の表面に金メッキを施したものを使用することができる。
【0096】
以下、カソード側セパレータ及びアノード側セパレータについて詳しく説明する。
【0097】
図4はカソード側セパレータの正面図、図5はその背面図、図6はアノード側セパレータの正面図、図7はその背面図である。
【0098】
図4に示すように、カソード側セパレータ10は、酸化剤ガスの出口マニホルド孔11及び入口マニホルド孔13、燃料ガスの出口マニホルド孔12及び入口マニホルド孔14並びに冷却水の出口マニホルド孔15及び入口マニホルド孔16を有する。セパレータ10は、さらに、カソードと対向する面に、マニホルド孔11と13とを接続するガス流路17を有し、背面には、冷却水のマニホルド孔15と16を接続する流路19を有する。
【0099】
図4において、酸化剤ガスの出口マニホルド孔11はセパレータ10の一方の側部(図面左側の側部:以下、第1の側部という)の上部に設けられ、入口マニホルド孔13はセパレータ10の他方の側部(図面右側の側部:以下、第2の側部という)の下部に設けられている。燃料ガスの出口マニホルド孔12は、セパレータ10の第2の側部の上部に設けられ、入口マニホルド孔14はセパレータ10の第1の側部の下部に設けられている。冷却水の出口マニホルド孔15は酸化剤ガスの出口マニホルド孔11の上部の内側に設けられ、入口マニホルド孔16は酸化剤ガスの入口マニホルド孔13の下部の内側に設けられている。酸化剤ガスの出口マニホルド孔11及び入口マニホルド孔13、燃料ガスの出口マニホルド孔12及び入口マニホルド孔14は、鉛直方向に長い長孔形状に形成されている。また、冷却水マニホルド孔15、16は、水平方向に長い長孔形状に形成されている。
【0100】
酸化剤ガス流路17は、本実施の形態では2つの流路(流路溝)で構成されている。もちろん、任意の数の流路で構成することができる。各流路は、水平方向に延びる水平部17aと、鉛直方向に延びる鉛直部17bとで実質的に構成されている。具体的には、酸化剤ガス流路17の各流路は、酸化剤ガスの出口マニホルド孔11の上部からセパレータ10の第2の側部まで水平に延び、そこから下方にある距離延び、そこから水平にセパレータ10の第1の側部まで水平に延び、そこから下方にある距離延びている。そして、そこから、上記の延在パターンを2回繰り返し、その到達点から酸化剤ガスの入口マニホルド孔13の下部に至るように水平に延びている。そして、各流路の水平に延びる部分が水平部17aを形成し、下方に延びる部分が鉛直部17bを形成している。これにより、酸化剤ガス流路17では、酸化剤ガスが、水平部17aと鉛直部17bとを交互に通過するようにして蛇行しながら重力に逆って流れ、その結果、酸化剤ガス流路内部で発生した液水は、重力の作用で、酸化剤ガスの流れと逆方向に流下する。
【0101】
なお、各流路は、ここでは水平部17aと鉛直部17bとで構成されているが、ガスの通流方向に向かって水平又は上り勾配(垂直を含む)となるように形成されていてもよい。但し、各流路を水平部17aと鉛直部17bとで構成すると、酸化剤ガス流路17を高密度で形成することができる。なお、液水の流下を円滑にするという意味では、水平部17aが完全に水平ではなく、ガスの流れに沿って上り勾配を有することが好ましい。
【0102】
図5において、冷却水流路19は、2つの流路(流路溝)で構成されている。各流路は、水平方向に延びる水平部19aと、鉛直方向に延びる鉛直部19bとで実質的に構成されている。具体的には、冷却水流路19の各流路は、冷却水の出口マニホルド孔15の、酸化剤ガスの出口マニホルド孔11に近い方の端部からある距離下方に延び、そこから、セパレータ10の第2の側部(図面左側の側部)まで水平に延び、そこから下方にある距離延び、そこから第1の側部(図面右側の側部)まで水平に延びている。そして、そこから、上記の延在パターンを2回半繰り返し、その到達点から冷却水の入口マニホルド孔16の、酸化剤ガスの入口マニホルド孔13に近い方の端部に至るように下方に延びている。そして、各流路の水平に延びる部分が水平部19aを形成し、下方に延びる部分が鉛直部19bを形成している。これにより、冷却水流路19では、冷却水が、水平部19aと鉛直部19bとを交互に通過するようにして蛇行しながら重力に逆って流れる。
【0103】
冷却水の出口マニホルド孔15と酸化剤ガスの出口マニホルド孔11とは近接して設けられ、冷却水の入口マニホルド孔16と酸化剤ガスの入口マニホルド孔13とは近接して設けられ、かつセパレータ10の厚み方向から見て、冷却水流路18が酸化剤ガス流路17と実質的に重なるように形成されている。その結果、冷却水と酸化剤ガスとはセパレータ10を挟んで実質的に同じ方向に流れる。
【0104】
なお、各流路は、ここでは水平部19aと鉛直部19bとで実質的に構成されているが、冷却水の通流方向に向かって水平又は上り勾配となるように形成されていてもよい。但し、各流路を水平部19aと鉛直部19bとで構成すると、冷却水流路19を高密度で形成することができる。なお、酸化剤ガス流路における液水の流下を円滑にするという意味では、酸化剤ガス流路に合わせて、水平部19aが完全に水平ではなく、ガスの流れに沿って上り勾配を有することが好ましい。
【0105】
図6に示すように、アノード側セパレータ20は、酸化剤ガスの出口マニホルド孔21及び入口マニホルド孔23、燃料ガスの出口マニホルド孔22及び入口マニホルド孔24並びに冷却水の出口マニホルド孔25及び入口マニホルド孔26を有する。セパレータ20は、さらに、アノードと対向する面に、マニホルド孔22と24とを接続するガス流路28を有し、背面には、冷却水のマニホルド孔25と26を接続する流路29を有する。
【0106】
図6において、酸化剤ガスの出口マニホルド孔21はセパレータ20の一方の側部(図面右側の側部:以下、第1の側部という)の上部に設けられ、入口マニホルド孔23はセパレータ20の他方の側部(図面左側の側部:以下、第2の側部という)の下部に設けられている。燃料ガスの出口マニホルド孔22は、セパレータ20の第2の側部の上部に設けられ、入口マニホルド孔24はセパレータ20の第1の側部の下部に設けられている。冷却水の出口マニホルド孔25は酸化剤ガスの出口マニホルド孔21の上部の内側に設けられ、入口マニホルド孔26は酸化剤ガスの入口マニホルド孔23の下部の内側に設けられている。酸化剤ガスの出口マニホルド孔21及び入口マニホルド孔23、燃料ガスの出口マニホルド孔22及び入口マニホルド孔24は、鉛直方向に長い長孔形状に形成されている。また、冷却水マニホルド孔25、26は、水平方向に長い長孔形状に形成されている。
【0107】
燃料ガス流路28は、本実施形態では2つの流路(流路溝)で構成されている。各流路は、水平方向に延びる水平部28aと、鉛直方向に延びる鉛直部28bとで実質的に構成されている。具体的には、燃料ガス流路28の各流路は、燃料ガスの出口マニホルド孔22の上部からセパレータ20の第1の側部まで水平に延び、そこから下方にある距離延び、そこから水平にセパレータ20の第2の側部まで水平に延び、そこから下方にある距離延びている。そして、そこから、上記の延在パターンを2回繰り返し、その到達点から燃料ガスの入口マニホルド孔24の下部に至るように水平に延びている。そして、各流路の水平に延びる部分が水平部28aを形成し、下方に延びる部分が鉛直部28bを形成している。これにより、燃料ガス流路28では、燃料ガスが、水平部28aと鉛直部28bとを交互に通過するようにして蛇行しながら重力に逆って流れ、その結果、燃料ガス流路内部で発生した液水は、重力の作用で、燃料ガスの流れと逆方向に流下する。
【0108】
なお、各流路は、ここでは水平部28aと鉛直部28bとで実質的に構成されているが、ガスの通流方向に向かって水平又は上り勾配(垂直を含む)となるように形成されていてもよい。但し、各流路を水平部28aと鉛直部28bとで構成すると、燃料ガス流路28を高密度で形成することができる。なお、液水の流下を円滑にするという意味では、水平部28aが完全に水平ではなく、ガスの流れに沿って上り勾配を有することが好ましい。
【0109】
図7において、冷却水流路29は、図5のカソードセパレータ10の背面に形成された冷却水流路19と図面における左右が反対になるように形成されている。すなわち、各流路は、水平方向に延びる水平部29aと、鉛直方向に延びる鉛直部29bとで実質的に構成されている。具体的には、冷却水流路29の各流路は、冷却水の出口マニホルド孔25の、酸化剤ガスの出口マニホルド孔21に近い方の端部からある距離下方に延び、そこから、セパレータ20の第2の側部(図面右側の側部)まで水平に延び、そこから下方にある距離延び、そこから第1の側部(図面左側の側部)まで水平に延びている。そして、そこから、上記の延在パターンを2回半繰り返し、その到達点から冷却水の入口マニホルド孔26の、酸化剤ガスの入口マニホルド孔23に近い方の端部に至るように下方に延びている。そして、各流路の水平に延びる部分が水平部29aを形成し、下方に延びる部分が鉛直部29bを形成している。これにより、冷却水流路29では、冷却水が、水平部29aと鉛直部29bとを交互に通過するようにして蛇行しながら重力に逆って流れる。
【0110】
冷却水の出口マニホルド孔25と燃料ガスの出口マニホルド孔22とは共にセパレータ20の上部に設けられ、冷却水の入口マニホルド孔26と燃料ガスの入口マニホルド孔24とは共にセパレータ20の下部に設けられ、かつセパレータ20の厚み方向から見て、冷却水流路29が燃料ガス流路28と実質的に重なるように形成されている。その結果、冷却水と燃料ガスとは水平方向においてはセパレータ20を挟んで互いに反対方向に流れるものの、鉛直方向においては、全体としては、共に、下から上へと同じ方向に流れる。
【0111】
なお、各流路は、ここでは水平部29aと鉛直部29bとで実質的に構成されているが、冷却水の通流方向に向かって水平又は上り勾配となるように形成されていてもよい。但し、各流路を水平部29aと鉛直部29bとで構成すると、冷却水流路29を高密度で形成することができる。なお、水平部19aと同様、水平部29aは完全に水平ではなく、水の流れに沿って上り勾配を有することが好ましい。
【0112】
既述のように、上記のカソード側セパレータ10とアノード側セパレータ20とによりMEAを挟むことによりセルが構成される。従って、隣接するセル間には、カソード側セパレータ10とアノード側セパレータ20とがそれらの冷却水の流路19と29を向き合わせて配置され、冷却部が構成される。複数セル毎に冷却部を設ける場合は、前記のような複合セパレータの代わりに、一方の面がカソード側セパレータ、他方の面がアノード側セパレータとして働く単一のセパレータが適宜用いられる。
【0113】
以上のように構成された燃料電池101では、燃料ガス、酸化剤ガス、及び冷却水が以下のように通流する。
【0114】
図1乃至図7において、燃料ガスは、燃料ガス供給配管43を通じてセルスタック1の燃料ガス供給マニホルド6に供給される。この供給された燃料ガスは、燃料ガス供給マニホルド6から、各セル2の入口マニホルド孔24に流入し、燃料ガス流路28を通流する。そして、この間に、アノード42B、高分子電解質膜41、及びカソード42Aを介して酸化剤ガスと反応して消費され、消費されなかった燃料ガスが出口マニホルド孔22から燃料ガス排出マニホルド5に流出し、燃料ガス排出配管53を通じてセルスタック1から排出される。
【0115】
一方、酸化剤ガスは、酸化剤ガス供給配管41を通じてセルスタック1の酸化剤ガス供給マニホルド7に供給される。この供給された酸化剤ガスは、酸化剤ガス供給マニホルド7から、各セル2の入口マニホルド孔13に流入し、酸化剤ガス流路17を通流する。そして、この間に、カソード、高分子電解質膜、及びアノードを介して燃料ガスと反応して消費され、消費されなかった酸化剤ガスが出口マニホルド孔11から酸化剤ガス排出マニホルド4に流出し、酸化剤ガス排出配管51を通じてセルスタック1から排出される。
【0116】
また、冷却水は、冷却水供給配管31を通じてセルスタック1の冷却水供給マニホルド9に供給される。この供給された冷却水は、冷却水供給マニホルド9から、各セル2の入口マニホルド孔16,26に流入し、冷却水流路19,29を通流する。そして、この間に、カソードセパレータ10及びアノードセパレータ20を介してカソード及びアノードを冷却するとともにこれらから熱を受け取って、出口マニホルド孔15,25から冷却水排出マニホルド8に流出し、冷却水排出配管30を通じてセルスタック1から排出される。
【0117】
そして、この過程において、燃料ガス及び酸化剤ガスは、それぞれ、燃料ガス流路28及び酸化剤ガス流路17を、重力に逆って流れ、それにより、ガス流路内部で生じた液水は、重力の作用により、ガスの流れと逆向きに流下する。
【0118】
なお、燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路の全部において、液水が重力の作用により流下できるように構成される必要はなく、ガス流路の一部においてのみ、液水が重力の作用により流下できるように構成されていてもよい。
【0119】
以上のような構成によれば、酸化剤ガス流路17において発生した液水は、酸化剤ガス流路17の内部を、酸化剤ガスの流れの上流方向へ、すなわち酸化剤ガスの流れと逆向きに、重力により流下する。流下した液水は、酸化剤ガス供給マニホルド7の下側部分に滞留する。つまり、酸化剤ガス供給マニホルド7の下側部分が、貯水部として機能する。起動時、酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路のスタックへの入口部位(劣化しやすい部位)に到達する前に、貯水部を通過する。貯水部に滞留する水により、酸化剤ガスが加湿され、酸化剤ガス流路のスタックへの入口部位(劣化しやすい部位)の高分子電解質膜をより迅速に加湿することができる。
【0120】
酸化剤ガスは、MEAに供給される前に、必ず酸化剤ガス供給マニホルドを経由するため、酸化剤ガスの入口部位を集中的に加湿することができる。
【0121】
なお、セパレータに燃料ガス、酸化剤ガス、及び冷却水の各マニホルド孔を設けて積層した際に燃料ガス、酸化剤ガス、及び冷却水の各供給マニホルドが形成されるように構成した内部マニホルド方式のものを例示して説明したが、スタックの側面に燃料ガス、酸化剤ガス、及び冷却水の各供給マニホルドを設けた、所謂、外部マニホルド方式のものにも、同様に適用でき、同様の効果を得ることができる。
【0122】
あるいは、セパレータを多孔状の導電材にて形成し、冷却流体の流路を通流する冷却水の圧力が、反応ガスの流路を通流する反応ガスの圧力よりも高くなるようにして、冷却水の一部を電極面側にセパレータを透過させて、高分子電解質膜を加湿する、所謂、内部加湿型に構成しても良い。
【0123】
なお、本実施形態の構成は、露点の低い燃料ガスが用いられる場合にも有効である。すなわち、燃料ガス供給マニホルド6に貯水部を形成し、該貯水部により燃料ガスを加湿することができる。これにより、燃料ガス流路のスタックへの入口部位が劣化しやすい部位である場合にも、該劣化しやすい部位を効果的に加湿できる。燃料ガス流路のスタックへの入口部位が劣化しやすい部位となる場合として、例えば、運転中のスタック内部の燃料ガス流路において燃料ガスの相対湿度が相対的に低くなる部位が、燃料ガス流路のスタックへの入口部位である場合が挙げられる。
【0124】
[劣化しやすい部位]
劣化しやすい部位の一例である、酸化剤ガス流路のスタックへの入口部位、運転時のスタック内部の燃料ガス流路において、燃料ガスの相対湿度が相対的に低くなる部位、及び、運転時のスタック内部の燃料ガス流路における燃料ガスの相対湿度が、運転時のスタック内部の酸化剤ガス流路における酸化剤ガスの相対湿度よりも低くなる部位について説明する。
【0125】
図8は、第1実施形態における燃料ガス流路内のガスの露点及び酸化剤ガス流路内のガスの露点と、入口からの流路長との関係を模式的に示す図である。この例では、水素生成装置から排出される湿度の高い水素含有ガスが燃料ガスに用いられ、室温の空気が酸化剤ガスに用いられる場合を示す。
【0126】
図に示すように、入口部位では、燃料ガスの露点(アノード露点)が高く、酸化剤ガスの露点(カソード露点)が低くなっている。このため、スタックにおける酸化剤ガス流路の入口付近では、露点の低い酸化剤ガスのために、高分子電解質膜が乾燥し、ラジカルが発生しやすくなる(カソード乾燥による劣化領域)。よって、かかる部位を劣化しやすい部位とすることができる。
【0127】
一方、入口からの流路長が増加するに従い、燃料ガス中の水分は、高分子電解質膜を介して酸化剤ガスへと移動する。また、カソードでは、電池反応によって水が発生し、この水により酸化剤ガスは加湿される。このため、燃料ガス流路中のガスの露点は入口からの流路長が増加するに従い低下する一方、酸化剤ガス流路中のガスの露点は入口からの流路長が増加するに従い増加する。
【0128】
燃料ガスの相対湿度が相対的に低くなる部位、すなわち図8において燃料ガス流路の出口付近もまた、乾燥によってラジカルが発生しやすく、劣化しやすい部位となる。
【0129】
さらに、運転時のスタック内部の燃料ガス流路における燃料ガスの相対湿度が、運転時のスタック内部の酸化剤ガス流路における酸化剤ガスの相対湿度よりも低くなる部位では、アノードで発生したラジカルが、水の流れに沿ってカソード側に拡散することができず、劣化が進行しやすい(カソード露点>アノード露点による劣化領域)。よって、かかる部位を劣化しやすい部位としてもよい。
【0130】
運転時のスタック内部の燃料ガス流路における燃料ガスの相対湿度が29%以下になると、特に劣化が進行しやすくなる。よって、かかる部位を劣化しやすい部位としてもよい。
【0131】
運転時のスタック内部の燃料ガス流路における燃料ガスの相対湿度をA[%]、運転時のスタック内部の酸化剤ガス流路における酸化剤ガスの相対湿度をB[%]とするとき、(B−A)≧5.5[%]となると、やはり、特に劣化が進行しやすくなる。よって、かかる部位を劣化しやすい部位としてもよい。
【0132】
上記の例では、燃料ガス流路と酸化剤ガス流路とが、セルの内部において、ほぼ平行に形成されている場合を典型例として説明したが、燃料ガス流路と酸化剤ガス流路とは必ずしも平行に形成される必要はなく、両者が直交していてもよいし、互いに流れが対向するように逆向きに形成されていてもよい。具体的な流路の構成に従って、内部のガスの露点及び相対湿度等を考慮することで、適宜に劣化しやすい部位を特定(identify)することができる。
【0133】
流路の途中に劣化しやすい部位が存在する場合には、かかる部位をスタックにおいて、鉛直方向下側に配置し、該劣化しやすい部位に対しガスの流れの上流側に隣接した部位及び該劣化しやすい部位の少なくとも一方に、貯水部を形成してもよい。この場合、セル内部のガス流路に貯水部が形成されることになる。貯水部は、ガス流路の他の部位よりも断面積が大きい等、水を滞留させるのに好適な形状を有するのが好ましい。
【0134】
[運転方法]
図9は、第1実施形態にかかる燃料電池システムの運転方法の一例を示すフローチャートである。該運転方法は、具体的には例えば、制御器108の制御により実行される。
【0135】
本実施形態の燃料電池システムの運転方法は、燃料ガス流路と酸化剤ガス流路との間に高分子電解質膜が配置された構造を有するセルが複数積層されたスタックにおいて、高分子電解質膜が劣化しやすい部位を鉛直方向下側に配置し(ステップS101)、劣化しやすい部位に対しガスの流れの上流側に隣接した部位及び劣化しやすい部位の少なくとも一方に貯水部を配置し(ステップS102)、燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路の少なくとも一方の流路において、起動時及び停止時の少なくともいずれか一方において、スタック内部で発生する液水を、流路の内部をガスの流れの上流方向へ重力により流下させて貯水部に滞留させる(ステップS103)。
【0136】
「停止時」とは、運転を停止させるための処理を行っている時をいう(以下同様)。
【0137】
[貯水部]
図10は、第1実施形態の第1変形例にかかる燃料電池システムに含まれるスタックと貯水部の概略構成の一例を示す模式図である。
【0138】
図に示すように、第1変形例では、貯水部61が、ガス流路65が鉛直下向きに凸となるU字形に形成された部位となっている。スタック1の内部で発生した液水は、ガス流路65を通じて流下し、U字形に形成された部位に液水60が貯溜される。ガス流路65は、スタック1にガスを供給するガス供給流路であり、ガスは、貯水部61を通ってから、スタック1に供給される。
【0139】
かかる構成では、ガス配管の形を変更するだけで新たな空間を設けることなく液水を貯蔵することができる。貯蔵された液水は、ガスの供給配管に貯蔵されるため、残留することなく、スタックに供給される。本変形例は、特に、ガス流路のスタックへの入口部位が劣化しやすい部位である場合に特に有効である。
【0140】
本変形例において、ガスは、酸化剤ガスでもよい。本変形例において、ガスは燃料ガスでもよい。
【0141】
図11は、第1実施形態の第2変形例にかかる燃料電池システムに含まれるスタックと貯水部の概略構成の一例を示す模式図である。
【0142】
図に示すように、第2変形例では、貯水部62の下側に貯水部62にガスを導入するガス入口63が形成され、貯水部62の上側に貯水部62からガスを排出するガス出口64が形成されている。スタック1へのガス流路の入口は、ガス出口64と略鉛直方向に延びる流路で連通されている。スタック1の内部で発生した液水は、該流路を通じて流下し、水タンクの内部に滞留する。ガス流路66を通じて供給されるガスは、ガス入口63から排出され、貯水部62の内部に滞留した液水と接触して加湿された後、ガス出口64を経由して、スタック1へと供給される。
【0143】
かかる構成では、貯水部の下部からガスを導入し上部からガスを排出することで、液水中をガスが流通し、加湿される。よって、加湿器が設けられた場合と同程度に効果的にガスを加湿することができる。本変形例は、特に、ガス流路のスタックへの入口部位が劣化しやすい部位である場合に特に有効である。
【0144】
本変形例において、ガスは、酸化剤ガスでもよい。本変形例において、ガスは燃料ガスでもよい。
【0145】
[液水作成工程]
図9において、燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路の少なくとも一方の流路において、起動時及び停止時の少なくともいずれか一方において、スタック内部で発生する液水を、流路の内部をガスの流れの上流方向へ重力により流下させて貯水部に滞留させる工程(ステップS103)は、例えば、以下のような工程とすることができる。なお、各工程は、具体的には例えば、制御器108の制御により実行される。
【0146】
第1に、起動時及び停止時の少なくともいずれか一方において高出力での発電を行う工程とすることができる。具体的には、例えば、起動時において高出力での発電を行う工程とすることができる。具体的には、例えば、停止時において高出力での発電を行う工程とすることができる。
【0147】
かかる工程では、高出力での発電により、電池反応によって生じる生成水の量を増加させることができる。よって、より大量の液水を貯水部に供給することができる。
【0148】
第2に、スタックに冷却水流路が形成されており、さらに、冷却水流路に冷却水を供給する冷却水循環器が配置されている場合に、起動時及び停止時の少なくともいずれか一方において前記冷却水循環器による冷却水の供給量を増加させる工程とすることができる。
【0149】
かかる工程では、冷却水による冷却効果で、スタック内部で生じる凝縮水等の液水の量を増加させることができる。よって、より大量の液水を貯水部に供給することができる。
【0150】
第3に、起動時及び停止時の少なくともいずれか一方において酸化剤ガスの流量を低下させながら発電を行う工程とすることができる。具体的には、例えば、起動時において高出力での発電を行う工程とすることができる。具体的には、例えば、停止時において高出力での発電を行う工程とすることができる。
【0151】
かかる工程では、高出力で発電することでガスの反応量が増加し、その結果反応で発生する生成水の量が増加する。よって、より大量の液水を貯水部に供給することができる。
【0152】
起動時、スタック内部の燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路に、それぞれ、燃料ガス及び酸化剤ガスが供給される。この時、スタックの温度は、発電時よりも低い。
【0153】
液水作成工程において、液水は、例えば、生成水で加湿されたガスの露点温度Tdcが燃料電池スタック温Tcellに対して、Tdc>Tcellの関係にあるとき発生する。加湿器を設けない場合、ガス入口部では乾燥ガスが供給されることから、上流部ではTdc<Tcellとなり液水は発生せず、生成水はTdc上昇に使用される。また下流に行くにつれTdcが上昇し、Tdc>Tcellとなった場所から液水が発生する。起動時に液水を発生させる工程では、スタックが低温となっている。これにより、Tcellが低下し液水が容易に発生する。またTcellを低下させることで容易に液水が発生させる手段として、燃料電池スタックの冷却水セパレータに流す冷却水量を増加することで燃料電池スタック温度を低下させる工程を加えてもよい。また、Tdcを効果的に上昇させる方法として、発電時の酸化剤ガスの流量を低下させること、高出力で発電を行うことが望ましい。効果的に液水を重力で移動させる方法として、液水作成工程の後、一旦発電およびガス流通を停止することが望ましい。
【0154】
液水作成工程は、停止時に行われてもよい。この場合には、停止時に作成された液水が貯水部に貯蔵され、次回の起動時に、ガスを加湿するために利用される。停止時に液水作成工程が行われる場合には、停止中の液水の蒸発を抑制し、液水を確実に貯蔵するために、スタック内部を封止してもよい。
【0155】
(第2実施形態)
第2実施形態では、貯水部の水量が所定量を超えたか否かの判定が行われ、判定結果がYESの場合には発電が開始される。判定及び発電開始は、例えば、制御器による制御により実行される。
【0156】
第2実施形態の燃料電池システムのハードウェア構成は、第1実施形態と同様とすることができる。よって、詳細な説明を省略する。
【0157】
本実施形態の燃料電池システムの運転方法は、燃料ガス流路と酸化剤ガス流路との間に高分子電解質膜が配置された構造を有するセルが複数積層されたスタックにおいて、高分子電解質膜が劣化しやすい部位を鉛直方向下側に配置し(ステップS101)、劣化しやすい部位に対しガスの流れの上流側に隣接した部位及び劣化しやすい部位の少なくとも一方に貯水部を配置し(ステップS102)、燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路の少なくとも一方の流路において、起動時及び停止時の少なくともいずれか一方において、スタック内部で発生する液水を、流路の内部をガスの流れの上流方向へ重力により流下させて貯水部に滞留させ(ステップS103)、貯水部に滞留する液水の水量が所定の水量を超えた場合には(ステップS104でYES)、発電を開始する(ステップS105)。
【0158】
かかる構成では、貯水部に十分な量の液水が貯まったことを確認してから、燃料電池システムの起動シーケンスであるステップS105を開始することができる。よって、高分子電解質膜の劣化をより効果的に抑制できる。なお、ステップS105における燃料電池システムの起動シーケンスは、低温高出力状態で液水を発生させるステップS103と比較して燃料電池の出力が低く、かつ、スタック昇温を伴うシーケンスである。
【0159】
ステップS104における判定は、例えば、スタックの内部に貯水部を配置する場合には、高分子電解質膜の抵抗を測定することにより行われてもよい。この場合、劣化しやすい部位に含まれる高分子電解質膜の両端面の間の抵抗を測定する抵抗測定器が設けられるのが好ましい。抵抗測定器としては、例えば、デジタル抵抗計などを用いることができる。
【0160】
ステップS104における判定は、例えば、スタックの外部に貯水部を配置する場合には、貯水部の水位を測定することにより行われてもよい。この場合、貯水部に水位計が設けられるのが好ましい。水位計としては、例えば、水位センサ及び重量センサ等を用いることができる。
【0161】
停止時に液水作成工程が実施される場合には、貯水部の水量が所定量を超えたか否かの判定が行われ、判定結果がYESの場合に運転を停止してもよい。この場合、貯水部に滞留する液水の水量が所定の水量を超えた場合には、燃料電池システムの運転が停止される。
【0162】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0163】
本発明の燃料電池システム及びその運転方法は、簡潔な構成で燃料ガス及び改質ガスの少なくとも一方を加湿できる燃料電池システム及びその運転方法として有用である。
【符号の説明】
【0164】
1 セルスタック
2 セル
3A,3B 端板
4 酸化剤ガス排出マニホールド
5 燃料ガス排出マニホールド
6 燃料ガス供給マニホールド
7 酸化剤ガス供給マニホールド
8 冷却水排出マニホールド
9 冷却水供給マニホールド
10 カソード側セパレータ
11、21 酸化剤ガスの出口マニホールド孔
13、23 酸化剤ガスの入口マニホールド孔
17 酸化剤ガス流路
20 アノード側セパレータ
12、22 燃料ガスの出口マニホールド孔
14、24 燃料ガスの入口マニホールド孔
15、25 冷却水の出口マニホールド孔
16、26 冷却水の入口マニホールド孔
19、29 冷却水流路
28 燃料ガス流路
30 冷却水排出配管
31 冷却水供給配管
41 高分子電解質膜
42A カソード
42B アノード
43 MEA
46 ガスケット
48 Oリング
51 酸化剤ガス排出配管
52 酸化剤ガス供給配管
53 燃料ガス排出配管
54 燃料ガス供給配管
60 液水
61 貯水部
62 貯水部
63 ガス入口
64 ガス出口
65 ガス流路
66 ガス流路
100 燃料電池発電システム
101 燃料電池
102 燃料ガス供給装置
103 酸化剤ガス供給装置
104 冷却システム
106 冷却水循環ポンプ
107 酸化剤ガス排出路
108 制御装置
109 燃料ガス排出路
110 燃料ガス供給路
111 酸化剤ガス供給路
112 冷却水循環流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガス流路と酸化剤ガス流路との間に高分子電解質膜が配置された構造を有するセルが複数積層されたスタックを備え、
前記スタックにおいて、高分子電解質膜が劣化しやすい部位が鉛直方向下側に配置され、
前記燃料ガス流路及び前記酸化剤ガス流路の少なくとも一方の流路において、スタック内部で発生する液水が前記流路の内部をガスの流れの上流方向へ重力により流下して滞留する貯水部が、前記劣化しやすい部位に対しガスの流れの上流側に隣接した部位及び前記劣化しやすい部位の少なくとも一方に形成されている、燃料電池システム。
【請求項2】
前記劣化しやすい部位は、前記酸化剤ガス流路の前記スタックへの入口部位である、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記劣化しやすい部位は、運転時の前記スタック内部の前記燃料ガス流路において、燃料ガスの相対湿度が相対的に低くなる部位である、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記劣化しやすい部位は、運転時の前記スタック内部の前記燃料ガス流路における燃料ガスの相対湿度が、運転時の前記スタック内部の前記酸化剤ガス流路における酸化剤ガスの相対湿度よりも低い部位である、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記劣化しやすい部位は、運転時の前記スタック内部の前記燃料ガス流路において、燃料ガスの相対湿度が29%以下となる部位である、請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記劣化しやすい部位は、運転時の前記スタック内部の前記燃料ガス流路における燃料ガスの相対湿度をA[%]、運転時の前記スタック内部の前記酸化剤ガス流路における酸化剤ガスの相対湿度をB[%]とするとき、(B−A)≧5.5[%]となる部位である、請求項4に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記貯水部が、前記劣化しやすい部位に形成されている、請求項1乃至6のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記スタックの内部の前記燃料ガス流路には燃料ガス供給マニホルドが形成され、
前記貯水部が、前記燃料ガス供給マニホルドに形成されている、請求項1乃至6のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項9】
前記スタックの内部の前記酸化剤ガス流路には酸化剤ガス供給マニホルドが形成され、
前記貯水部が、前記酸化剤ガス供給マニホルドに形成されている、請求項1乃至6のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項10】
前記貯水部が、前記スタックの外部に形成されている、請求項1乃至6のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項11】
前記貯水部が、前記流路が鉛直下向きに凸となるU字形に形成された部位である、請求項10に記載の燃料電池システム。
【請求項12】
前記貯水部の下側に前記貯水部にガスを導入するガス入口が形成され、前記貯水部の上側に前記貯水部からガスを排出するガス出口が形成されている、請求項10に記載の燃料電池システム。
【請求項13】
さらに、起動時及び停止時の少なくともいずれか一方において高出力での発電を行う制御器を備える、請求項1乃至12のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項14】
前記スタックに冷却水流路が形成されており、
さらに、前記冷却水流路に冷却水を供給する冷却水循環器と、
起動時及び停止時の少なくともいずれか一方において前記冷却水循環器による冷却水の供給量を増加させる制御器を備える、請求項1乃至12のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項15】
さらに、起動時及び停止時の少なくともいずれか一方において酸化剤ガスの流量を低下させながら発電を行う制御器を備える、請求項1乃至12のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項16】
燃料ガス流路と酸化剤ガス流路との間に高分子電解質膜が配置された構造を有するセルが複数積層されたスタックにおいて、高分子電解質膜が劣化しやすい部位を鉛直方向下側に配置し、
前記劣化しやすい部位に対しガスの流れの上流側に隣接した部位及び前記劣化しやすい部位の少なくとも一方に貯水部を配置し、
前記燃料ガス流路及び前記酸化剤ガス流路の少なくとも一方の流路において、起動時及び停止時の少なくともいずれか一方において、スタック内部で発生する液水を、前記流路の内部をガスの流れの上流方向へ重力により流下させて前記貯水部に滞留させる、
燃料電池システムの運転方法。
【請求項17】
前記劣化しやすい部位は、前記酸化剤ガス流路の前記スタックへの入口部位である、請求項16に記載の燃料電池システムの運転方法。
【請求項18】
前記劣化しやすい部位は、運転時の前記スタック内部の前記燃料ガス流路において、燃料ガスの相対湿度が相対的に低くなる部位である、請求項16に記載の燃料電池システムの運転方法。
【請求項19】
前記劣化しやすい部位は、運転時の前記スタック内部の前記燃料ガス流路における燃料ガスの相対湿度が、運転時の前記スタック内部の前記酸化剤ガス流路における酸化剤ガスの相対湿度よりも低い部位である、請求項16に記載の燃料電池システムの運転方法。
【請求項20】
前記劣化しやすい部位は、運転時の前記スタック内部の前記燃料ガス流路において、燃料ガスの相対湿度が29%以下となる部位である、請求項18に記載の燃料電池システムの運転方法。
【請求項21】
前記劣化しやすい部位は、運転時の前記スタック内部の前記燃料ガス流路における燃料ガスの相対湿度をA[%]、運転時の前記スタック内部の前記酸化剤ガス流路における酸化剤ガスの相対湿度をB[%]とするとき、(B−A)≧5.5[%]となる部位である、請求項19に記載の燃料電池システムの運転方法。
【請求項22】
前記貯水部を、前記劣化しやすい部位に配置する、請求項16乃至21のいずれかに記載の燃料電池システムの運転方法。
【請求項23】
前記貯水部を、前記スタックの内部の前記燃料ガス流路に形成された燃料ガス供給マニホルドに配置する、請求項16乃至21のいずれかに記載の燃料電池システムの運転方法。
【請求項24】
前記貯水部を、前記スタックの内部の前記酸化剤ガス流路に形成された酸化剤ガス供給マニホルドに配置する、請求項16乃至21のいずれかに記載の燃料電池システムの運転方法。
【請求項25】
前記貯水部を、前記スタックの外部に配置する、請求項16乃至21のいずれかに記載の燃料電池システムの運転方法。
【請求項26】
前記貯水部を、前記流路が鉛直下向きに凸となるU字形に形成された部位に配置する、請求項25に記載の燃料電池システムの運転方法。
【請求項27】
前記貯水部の下側に前記貯水部にガスを導入するガス入口を配置し、前記貯水部の上側に前記貯水部からガスを排出するガス出口を配置する、請求項25に記載の燃料電池システムの運転方法。
【請求項28】
起動時及び停止時の少なくともいずれか一方において高出力での発電を行う、請求項16乃至27のいずれかに記載の燃料電池システムの運転方法。
【請求項29】
前記スタックに冷却水流路を配置し、
起動時及び停止時の少なくともいずれか一方において前記冷却水流路への冷却水の供給量を増加させる、請求項16乃至27のいずれかに記載の燃料電池システムの運転方法。
【請求項30】
起動時及び停止時の少なくともいずれか一方において酸化剤ガスの流量を低下させながら発電を行う、請求項16乃至27のいずれかに記載の燃料電池システムの運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−89443(P2013−89443A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228612(P2011−228612)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】