説明

燃料電池システム用のセパレータ積層体装置および成形型装置

【課題】成形コストを低減させる燃料電池システム用セパレータ積層体装置および燃料電池システム用成形型装置を提供する。
【解決手段】中央セパレータ20は、第1マニホルド流入孔31と第1マニホルド流出孔32と第2マニホルド流入孔33と第2マニホルド流出孔34とをもつ。エンドセパレータ21は、中央セパレータ20の外輪郭と同一または酷似した外輪郭をもつ成形エンドセパレータである。型成形エンドセパレータは、中央セパレータ20の第1表面通路と整合する第1整合通路362と、中央セパレータ20の第2表面通路と整合する第2整合通路372と、中央セパレータ20の第1マニホルド流入孔31を閉鎖させる第1閉鎖壁51と、中央セパレータ20の第1マニホルド流出孔32を閉鎖させる第2閉鎖壁52と、中央セパレータ20の第2マニホルド流入孔33を閉鎖させる第3閉鎖壁53と、中央セパレータ20の第2マニホルド流出孔34を閉鎖させる第4閉鎖壁54とをもつ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池システム用のセパレータ積層体装置および成形型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システム用のセパレータ積層体装置として加湿器および燃料電池用スタック(以後、単にスタックともいう)が挙げられる。この積層体装置は、隣設する中央セパレータで膜を挟むように中央セパレータを厚み方向に積層させて形成された積層体と、積層体の積層方向の一端に配置された第1エンドセパレータと、積層体の積層方向の他端に配置された第2エンドセパレータとを備えている。ここで、中央セパレータは、第1流体が流れるように厚み方向に貫通する第1マニホルド流入孔と、第1流体が流れるように厚み方向に貫通する第1マニホルド流出孔と、第1マニホルド流入孔および第1マニホルド流出孔を連通させるように一方の表面に形成された第1表面通路と、第2流体が流れるように厚み方向に貫通する第2マニホルド流入孔と、第2流体が流れるように厚み方向に貫通する第2マニホルド流出孔と、第2マニホルド流入孔および第2マニホルド流出孔を連通させるように他方の表面に形成された第2表面通路とを有する。
【0003】
中央セパレータは中央セパレータ専用の成形型装置で型成形される。エンドセパレータはエンドセパレータ用専用の成形型装置で型成形される。このため製造コストのかなりを占める成形型コストが高くなる不具合がある。
【0004】
特許文献1,2には、スタックを構成する中央セパレータ専用の成形型装置で中央セパレータを成形する技術が開示されている。しかしこの成形型装置は、中央セパレータおよびエンドセパレータの双方を成形するものではない。このため製造コストのかなりを占める成形型コストが高くなる不具合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−203344号公報
【特許文献2】特開2006−286510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、中央セパレータおよびエンドセパレータを型成形させるための成形型を共用でき、中央セパレータおよびエンドセパレータの成形コストを低減させるのに貢献できる燃料電池システム用セパレータ積層体装置および燃料電池システム用成形型装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)第1発明に係る燃料電池システム用セパレータ積層体装置は、(i)第1流体が流れるように厚み方向に貫通する第1マニホルド流入孔と、第1流体が流れるように厚み方向に貫通する第1マニホルド流出孔と、第1マニホルド流入孔および第1マニホルド流出孔を連通させるように一方の表面に形成された第1表面通路と、第2流体が流れるように厚み方向に貫通する第2マニホルド流入孔と、第2流体が流れるように厚み方向に貫通する第2マニホルド流出孔と、第2マニホルド流入孔および第2マニホルド流出孔を連通させるように他方の表面に形成された第2表面通路とを備える型成形された中央セパレータを有し、隣設する中央セパレータで膜を挟むように複数個の前記中央セパレータを厚み方向に積層させて形成された積層体と、
(ii)積層体の積層方向の一端または両端に配置されたエンドセパレータとを具備する燃料電池システム用セパレータ積層体において、
(iii)エンドセパレータは、中央セパレータの外輪郭と同一または酷似した外輪郭をもつように型成形された型成形エンドセパレータであり、
(iv)型成形エンドセパレータは、型成形エンドセパレータの一方の表面に形成され中央セパレータの第1表面通路と整合する構造をもつ第1整合通路と、型成形エンドセパレータの他方の表面に形成され中央セパレータの第2表面通路と整合する構造をもつ第2整合通路と、中央セパレータの第1マニホルド流入孔に対面しつつ第1マニホルド流入孔を閉鎖させる第1閉鎖壁と、中央セパレータの第1マニホルド流出孔に対面する第1マニホルド流出孔を閉鎖させる第2閉鎖壁と、中央セパレータの第2マニホルド流入孔に対面しつつ第2マニホルド流入孔を閉鎖させる第3閉鎖壁と、中央セパレータの第2マニホルド流出孔に対面しつつ第2マニホルド流出孔を閉鎖させる第4閉鎖壁とをもつ。
【0008】
第1発明によれば、エンドセパレータは、中央セパレータの外輪郭と同一または酷似した外輪郭をもつように型成形された型成形エンドセパレータである。型成形エンドセパレータは、中央セパレータを成形させる成形型装置を用いて形成できる。この場合、型成形エンドセパレータと中央セパレータとが共通の成形型装置で型成形される。このため成形型装置の型コストおよび成形コストが低減される。型成形として射出成形または圧縮成形が例示される。
【0009】
ここで、型成形エンドセパレータは、中央セパレータと酷似した形状を有している。型成形エンドセパレータは、型成形エンドセパレータの一方の表面に形成され中央セパレータの第1表面通路と整合する構造をもつ第1整合通路と、型成形エンドセパレータの他方の表面に形成され中央セパレータの第2表面通路と整合する構造をもつ第2整合通路と、中央セパレータの第1マニホルド流入孔に対面しつつする第1マニホルド流入孔を閉鎖させる第1閉鎖壁と、中央セパレータの第1マニホルド流出孔に対面しつつ第1マニホルド流出孔を閉鎖させる第2閉鎖壁と、中央セパレータの第2マニホルド流入孔に対面しつつ第2マニホルド流入孔を閉鎖させる第3閉鎖壁と、中央セパレータの第2マニホルド流出孔に対面しつつ第2マニホルド流出孔を閉鎖させる第4閉鎖壁とをもつ。
【0010】
『整合する構造』とは、同一の構造または酷似した構造という意味である。酷似した構造とは、微小量(エンドセパレータの表面に対して垂直方向に投影した投影面積で例えば5/100以下)変形させているという意味である。『整合する構造』は、同一形状として型成形されているにも拘わらず、後処理で微小量変形させた構造を含む。加湿器に適用する場合には、第1流体はカソードガスおよびカソードオフガスのうちの一方にでき、第2流体はカソードガスおよびカソードオフガスのうちの他方にできる。燃料電池スタックに適用する場合には、第1流体はアノードガスおよびカソードガスのうちの一方にでき、第2流体はアノードガスおよびカソードガスのうちの他方にでき、場合によっては、第1流体および第2流体のうちの一方を冷却水等の冷却媒体にできる。この場合、中央セパレータの片面側を、アノード室およびカソード室のうちの一方とし、且つ中央セパレータの他の片面側を冷却媒体通路にできる。
【0011】
(2)第2発明に係る燃料電池システム用成形型装置は、第1流体が流れるように厚み方向に貫通する第1マニホルド流入孔と、第1流体が流れるように厚み方向に貫通する第1マニホルド流出孔と、第1マニホルド流入孔および第1マニホルド流出孔を連通させるように一方の表面に形成された第1表面通路と、第2流体が流れるように厚み方向に貫通する第2マニホルド流入孔と、第2流体が流れるように厚み方向に貫通する第2マニホルド流出孔と、第2マニホルド流入孔および第2マニホルド流出孔を互いに連通させるように他方の表面に形成された第2表面通路とを備える中央セパレータを成形するための燃料電池システム用成形型装置であって、
燃料電池システム用成形型装置は、(i)中央セパレータを型成形させるためのキャビティを形成させるための第1成形型面と、第1成形型面と共にキャビティを形成させる第2成形型面と、中央セパレータの第1マニホルド流入孔を型成形させるための第1凸型部と、中央セパレータの第1マニホルド流出孔を型成形させるための第2凸型部と、中央セパレータの第2マニホルド流入孔を型成形させるための第3凸型部と、中央セパレータの第2マニホルド流出孔を型成形させるための第4凸型部とを有し、且つ、
(ii)第1凸型部は、中央セパレータの第1マニホルド流入孔を型成形させるための貫通孔形成形態と、第1マニホルド流入孔の成形に代えて第1閉鎖壁を成形させるための閉鎖形態とに切り替え可能とされており、
(iii)第2凸型部は、中央セパレータの第1マニホルド流出孔を型成形させるための貫通孔形成形態と、第1マニホルド流出孔の成形に代えて第2閉鎖壁を成形させるための閉鎖形態とに切り替え可能とされており、
(iv)第3凸型部は、中央セパレータの第2マニホルド流入孔を型成形させるための貫通孔形成形態と、第2マニホルド流入孔の成形に代えて第3閉鎖壁を成形させるための閉鎖形態とに切り替え可能とされており、
(v)第4凸型部は、中央セパレータの第2マニホルド流出孔を型成形させるための貫通孔形成形態と、第2マニホルド流出孔の成形に代えて第4閉鎖壁を成形させるための閉鎖形態とに切り替え可能とされている。
【0012】
第2発明によれば、成形型装置は、中央セパレータの第1マニホルド流入孔を型成形させるための第1凸型部と、中央セパレータの第1マニホルド流出孔を型成形させるための第2凸型部と、中央セパレータの第2マニホルド流入孔を型成形させるための第3凸型部と、中央セパレータの第2マニホルド流出孔を型成形させるための第4凸型部とを有する。
【0013】
ここで、第1凸型部は貫通孔形成形態および閉鎖形態に切り替え可能とされている。貫通孔形成形態は、中央セパレータの第1マニホルド流入孔を型成形させる。閉鎖形態は、第1マニホルド流入孔の成形に代えて第1閉鎖壁を型成形させる。
【0014】
また第2凸型部は貫通孔形成形態および閉鎖形態に切り替え可能とされている。貫通孔形成形態は、中央セパレータの第1マニホルド流出孔を型成形させる。閉鎖形態は、第1マニホルド流出孔の成形に代えて第2閉鎖壁を型成形させる。第3凸型部は貫通孔形成形態および閉鎖形態に切り替え可能とされている。貫通孔形成形態は、中央セパレータの第2マニホルド流入孔を型成形させる。閉鎖形態は、第2マニホルド流入孔の成形に代えて第3閉鎖壁を型成形させる。第4凸型部は貫通孔形成形態および閉鎖形態に切り替え可能とされている。貫通孔形成形態は、中央セパレータの第2マニホルド流出孔を型成形させる。閉鎖形態は、第2マニホルド流出孔の成形に代えて第4閉鎖壁を型成形させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、中央セパレータおよびエンドセパレータを型成形させるための成形型を共用することができ、中央セパレータおよびエンドセパレータの成形コストを低減させるのに貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】加湿器を分解した状態を示す斜視図である。
【図2】加湿器を分解した状態を異なる方向から示す斜視図である。
【図3】中央セパレータの一方の表面を示す正面図である。
【図4】中央セパレータの他方の表面を示す正面図である。
【図5】第1エンドセパレータの一方の表面を示す正面図である。
【図6】第1エンドセパレータの他方の表面を示す正面図である。
【図7】中央セパレータを成形している成形型装置の概念を示す断面図である。
【図8】中央セパレータを成形している異なる方向で切断した成形型装置の概念を示す断面図である。
【図9】第1エンドセパレータを成形している成形型装置の概念を示す断面図である。
【図10】第1エンドセパレータを成形している異なる方向で切断した成形型装置の概念を示す断面図である。
【図11】第2エンドセパレータのうち中央セパレータに対面する側の表面を示す正面図である。
【図12】第2エンドセパレータのうち中央セパレータに背面する側を示す正面図である。
【図13】スタックに加湿器が取り付けられている状態を断面にして示す断面図である。
【図14】実施形態2に係り、中央セパレータを成形している成形型装置の概念を示す断面図である。
【図15】実施形態2に係り、中央セパレータを成形している異なる方向で切断した成形型装置の概念を示す断面図である。
【図16】実施形態2に係り、第1エンドセパレータを成形している成形型装置の概念を示す断面図である。
【図17】実施形態2に係り、第1エンドセパレータを成形している異なる方向で切断した成形型装置の概念を示す断面図である。
【図18】実施形態3に係り、スタックに加湿器が組み付けられている状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一視点によれば、好ましくは、積層体は、積層体の積層方向の一端に配置された第1エンドセパレータと、積層体の積層方向の他端に配置された第2エンドセパレータとを備えており、型成形エンドセパレータは第1エンドセパレータおよび第2エンドセパレータのうちの一方または双方である。型成形エンドセパレータが第1エンドセパレータおよび第2エンドセパレータのうちの一方のみである場合には、他方のエンドセパレータの構造を複雑にできる。型成形エンドセパレータが第1エンドセパレータおよび第2エンドセパレータのうちの双方である場合には、流路配管を第1エンドセパレータおよび第2エンドセパレータのうちのいずれか一方に装備できる。
【0018】
本発明の一視点によれば、好ましくは、型成形エンドセパレータにおいて、第1閉鎖壁および第2閉鎖壁の組は、第1整合通路および第2整合通路のうち中央セパレータに対向する一方に連通する連通凹部を有することができる。好ましくは、型成形エンドセパレータにおいて、第3閉鎖壁および第4閉鎖壁の組は、第1整合通路および第2整合通路のうち中央セパレータに対向する一方に連通する連通凹部を有することができる。
【0019】
本発明の一視点によれば、好ましくは、中央セパレータは、加湿器用の中央セパレータまたはスタック用の中央セパレータである。中央セパレータおよび型成形エンドセパレータの材料としては、樹脂材料、炭素と樹脂との混合材料が例示される。
【0020】
本発明の一視点によれば、好ましくは、第1凸型部および第2凸型部の組が成形型のキャビティに進入する進入量と、第3凸型部および第4凸型部の組が成形型のキャビティに進入する進入量とは、互いに異なるように設定可能とされている。この場合、連通凹部を形成させるのに有利である。
【0021】
加湿器の場合には、型成形エンドセパレータのうち中央セパレータに対向する側を吸湿室および加湿室のうちの一方として利用することができる。また、スタックの場合には、型成形エンドセパレータのうち中央セパレータに対向する側をカソード室およびアノード室のうちの一方として利用することができる。
【0022】
(実施形態1)
図1〜図13は実施形態1の概念を示す。積層体装置は、燃料電池システムに使用されるカソードガスを加湿させる加湿器1を構成する。図1は加湿器1の分解斜視図を示す。加湿器1は温度湿度交換型であり、スタックから排出された高温高湿のカソードオフガスを利用することにより、スタックのカソードに供給させる前のカソードガスを加湿加熱させる。図1に示されるように、加湿器1(積層体装置)は、同種および同サイズの複数個の中央セパレータ20をこれの厚み方向に積層させて形成された積層体2と、積層体2の積層方向(矢印A1、B1方向)の一端(例えば、スタックから遠ざかる側)に配置された第1エンドセパレータ21と、積層体2の積層方向(矢印A1、B1方向)の他端(例えば、スタックに近い側)に配置された第2エンドセパレータ22とを有する。隣設する中央セパレータ20は水分保持膜41(膜)を挟持する。水分保持膜41は、隣接する中央セパレータ20間の空間を加湿室23aと吸湿室23cとに仕切る。水分保持膜41は、互いに背向するように加湿面41aおよび吸湿面41cを有する。加湿面41aは、加湿用の第1表面通路36および加湿室23aに対面する。吸湿面41cは、吸湿用の第2表面通路37および吸湿室23cに対面する。
【0023】
図3は中央セパレータ20の一方の表面を示す。図4は中央セパレータ20の他方の表面(裏面)を示す。中央セパレータ20は成形材料(例えば樹脂)を型成形して形成されている。型成形は射出成形または圧縮成形が挙げられる。
【0024】
図3及び図4に示されるように、中央セパレータ20は長方形状をなしており、縦方向に延びる側面20a,20bと、横方向に延びる上面20uと、横方向に延びる下面20dとをもつ。中央セパレータ20のサイズはL1×L2とされている。
【0025】
図3及び図4に示されるように、中央セパレータ20は、カソードガス(第1流体,第1流体)が流れるように中央セパレータ20の厚み方向に貫通する第1マニホルド流入孔31と、カソードガス(第1流体)が流れるように中央セパレータ20の厚み方向に貫通する第1マニホルド流出孔32と、第1マニホルド流入孔31および第1マニホルド流出孔32を矢印U方向およびこれと逆方向に連通させるように一方の表面に形成された第1表面通路36と、カソードオフガス(第2流体,第2流体)が流れるように中央セパレータ20の厚み方向に貫通する第2マニホルド流入孔33と、カソードオフガス(第2流体)が流れるように中央セパレータ20の厚み方向に貫通する第2マニホルド流出孔34と、第2マニホルド流入孔33および第2マニホルド流出孔34を矢印D方向およびこれと逆方向に連通させるように他方の表面(裏面)に形成された第2表面通路37とを備えている。第1表面通路36は複数の溝突起360を有する。第2表面通路37は複数個の溝突起370を有する。
【0026】
ここで、図3に示されるように、中央セパレータ20の一方の表面において、第1マニホルド流入孔31および第1マニホルド流出孔32は、加湿室23aを形成する第1表面通路36を介して矢印U方向に連通する。第1表面通路36の全周には、中央セパレータ20の厚み方向に隆起する隆起シール部40が形成されている。隆起シール部40により、あるいは、隆起シール部40に装備される図略のシール部材により、中央セパレータ20の全周がシールされ、第1表面通路36(加湿室23a)を流れるガスが中央セパレータ20の外方に洩れないようにされる。なお、図3に示す中央セパレータ20の一方の表面において、第2マニホルド流入孔33および第2マニホルド流出孔34は、加湿室23aを形成する第1表面通路36を介して連通していない。従って、第2マニホルド流入孔33のガスは、第1表面通路36を介して第2マニホルド流出孔34に向けて流れることができない。
【0027】
図4に示されるように、中央セパレータ20の他方の表面において、第2マニホルド流入孔33および第2マニホルド流出孔34は、吸湿室23cを形成する第2表面通路37を介して矢印D方向に連通する。第2表面通路37の全周には、中央セパレータ20の厚み方向に隆起する隆起シール部40が形成されている。隆起シール部40により、あるいは、隆起シール部40に装備される図略のシール部材により、中央セパレータ20の全周がシールされ、第2表面通路37を流れるガスが中央セパレータ20の外方に洩れないようにされる。なお、図4に示す中央セパレータ20の他方の表面において、第1マニホルド流入孔31および第1マニホルド流出孔32は、吸湿室23cを形成する第2表面通路37を介して連通していない。従って、第1マニホルド流入孔31のガスは、第2表面通路37を介して第1マニホルド流出孔32に向けて流れることができない。なお、隆起シール部40でシールしている部分を破線MAで示す。
【0028】
カソードガスはスタックのカソードに供給される前のガスであり、加湿器1に供給される前の状態では相対的に低温低湿である。カソードオフガスはスタックのカソードから排出されたガスであり、スタックから温度および湿度を加えられているため、カソードから排出された直後では相対的に高温高湿である。
【0029】
なお、図3および図4に示されるように、中央セパレータ20において、第1マニホルド流入孔31および第1マニホルド流出孔32は、中央セパレータ20において互いに対向する上下の隅部に形成されている。第2マニホルド流入孔33および第2マニホルド流出孔34は、第1マニホルド流入孔31および第1マニホルド流出孔32に隣設されるように、中央セパレータ20の隅部において互いに対向するように上下に形成されている。
【0030】
本実施形態によれば、図3および図4に示されるように、中央セパレータ20において、第1マニホルド流入孔31は中央セパレータ20の下部に形成され、第1マニホルド流出孔32は中央セパレータ20の上部に形成されている。これにより相対的に低温低湿のカソードガスは、第1マニホルド流入孔31から加湿室23aおよび第1表面通路36に流れて水分保持膜41の加湿面41aにより加湿および加熱され、加湿室23aおよび第1表面通路36において斜め上向き(矢印U方向)に流れて第1マニホルド流出孔32からスタックのカソードに向けて流れる。
【0031】
図3および図4に示されるように、第2マニホルド流入孔33は中央セパレータ20の上部に形成され、第2マニホルド流出孔34は中央セパレータ20の下部に形成されている。スタックのカソードから排出された直後の高温高湿のカソードオフガスは、第2マニホルド流入孔33から吸湿室23cおよび第2表面通路37に流れ、第2表面通路37において斜め下向き(矢印D方向)に流れ、第2マニホルド流出孔34から外部に向けて吐出される。この場合、高温高湿のカソードオフガスは、水分保持膜41間の吸湿面41cに接触し、吸湿面41cに水分および熱を与えるため、吸湿および吸熱される。
【0032】
図5および図6は、第1エンドセパレータ21を示す。第1エンドセパレータ21は長方形状をなしており、中央セパレータ20の外輪郭と同一または酷似した外輪郭をもつように型成形された型成形エンドセパレータである。第1エンドセパレータ21は、縦方向に延びる側面21a,21bと、横方向に延びる上面21uと、横方向に延びる下面21dとをもつ。型成形エンドセパレータは、中央セパレータ20を成形する同一または同種の成形型装置を用いて型成形されたものであり、中央セパレータ20と同一の成形材料で形成されている。故に、第1エンドセパレータ21のサイズはL1×L2とされており、中央セパレータ20と同一のサイズ及び厚みを有する。
【0033】
図5および図6に示されるように、型成形エンドセパレータ(第1エンドセパレータ21)は、型成形エンドセパレータのうちの一方の表面に形成された第1整合通路362と、型成形エンドセパレータのうちの他方の表面に形成された第2整合通路372と、第1閉鎖壁51と、第2閉鎖壁52と、第3閉鎖壁53と、第4閉鎖壁54とをもつ。第1整合通路362は、中央セパレータ20の第1表面通路36と整合するように同一または酷似する構造をもち、複数個の溝突起363を形成している。第2整合通路372は、中央セパレータ20の第2表面通路37と整合するように同一または酷似する構造をもち、複数個の溝突起373を形成している。図5および図6に示されるように、第1閉鎖壁51および第2閉鎖壁52は、第1エンドセパレータ21において互いに対角する隅部に上下に形成されている。第3閉鎖壁53および第4閉鎖壁54は、第1エンドセパレータ21において互いに対角する隅部に上下に形成されている。
【0034】
図1に示されるように、複数の中央セパレータ20が積層されて積層体2が形成される。このとき図1から理解できるように、各中央セパレータ20の第1マニホルド流入孔31が積層方向(矢印A1,B1方向)に積層される。各中央セパレータ20の第1マニホルド流出孔32が積層方向(矢印A1,B1方向)に積層される。各中央セパレータ20の第2マニホルド流入孔33が積層方向(矢印A1,B1方向)に積層される。各中央セパレータ20の第2マニホルド流出孔34が積層方向(矢印A1,B1方向)に積層される。
【0035】
ここで、図1から理解できるように、第1エンドセパレータ21の第1閉鎖壁51は、積層方向(矢印A1,B1方向)の外端に位置する中央セパレータ20mの第1マニホルド流入孔31に対面しつつ、第1マニホルド流入孔31の積層方向の終端31yを閉鎖させる。第1エンドセパレータ21の第2閉鎖壁52は、積層方向の外端に位置する中央セパレータ20mの第1マニホルド流出孔32に対面しつつ、第1マニホルド流出孔32の積層方向の終端32yを閉鎖させる。第1エンドセパレータ21の第3閉鎖壁53は、積層方向の外端に位置する中央セパレータ20mの第2マニホルド流入孔33に対面しつつ、第2マニホルド流入孔33の終端33yを閉鎖させる。図1から理解できるように、第1エンドセパレータ21の第4閉鎖壁54は、中央セパレータ20mの第2マニホルド流出孔34に対面しつつ、第2マニホルド流出孔34の積層方向の終端34yを閉鎖させる。
【0036】
図6に示されるように、第1エンドセパレータ21である型成形エンドセパレータにおいて、第3閉鎖壁53は第3連通凹部530を形成する。第4閉鎖壁54は第4連通凹部540を形成する。図6に示されるように、第3連通凹部530および第4連通凹部540は、第1エンドセパレータ21の第2整合通路372(吸湿室23c)に連通する。この結果、カソードオフガスは、第3連通凹部530から第4連通凹部540に向けて矢印D方向に吸湿室23c内を移動することができる。図5及び図6に示されるように、なお、第1閉鎖壁51および第2閉鎖壁52には、連通凹部が形成されていないため、第1閉鎖壁51と第2閉鎖壁52との間において矢印U方向にガスが移動されない。従って図5に示されるように、第3閉鎖壁53および第4閉鎖壁54の厚みt3,t4は、第1閉鎖壁51および第2閉鎖壁52の厚みt1,t4よりも薄くされている。
【0037】
図1および図2から理解できるように、第3閉鎖壁53で形成されている第3連通凹部530は、積層方向(矢印A1,B1方向)の外端に位置する中央セパレータ20mの第2マニホルド流入孔33の終端33yに対面してこれに連通する。第4閉鎖壁54で形成されている第4連通凹部540は、積層方向の外端に位置する中央セパレータ20mの第2マニホルド流出孔34の終端34yに対面してこれに連通する。
【0038】
次に、第2エンドセパレータ22について説明を図1,図11,図12を参照して加える。第2エンドセパレータ22は、中央セパレータ20の外輪郭と同一または酷似した外輪郭をもつと共に、型成形された第3表面通路38を有する。第3表面通路38は複数個の溝突起380を有する。第2エンドセパレータ22は、縦方向に延びる側面22a,22bと、横方向に延びる上面22uと、横方向に延びる下面22dとをもつ。第2エンドセパレータ22のサイズは、第1エンドセパレータ21および中央セパレータ20と同様に、L1×L2とされている。第2エンドセパレータ22の厚みは中央セパレータ20、第1エンドセパレータ21よりも厚いため、中央セパレータ20および第1エンドセパレータ21よりも高い剛性とされている。この場合、厚肉の第2エンドセパレータ22の背面22k側がスタックに取り付けられる場合には、加湿器1をスタックに取り付ける取り付性が高められる。
【0039】
第2エンドセパレータ21のマニホルド孔には、『E』の符号を付して説明する。図1に示されるように、第2エンドセパレータ22は、カソードガス(第1流体,第1ガス)が流れるように且つ中央セパレータ20の第1マニホルド流入孔31に対面するように形成された第1マニホルド流入孔31Eと、カソードガス(第1流体)が流れるように且つ中央セパレータ20の第1マニホルド流出孔32に対面するように形成された第1マニホルド流出孔32Eと、カソードオフガス(第2流体,第2流体)が流れるように且つ中央セパレータ20の第2マニホルド流入孔33に対面するように形成された第2マニホルド流入孔33Eと、カソードオフガス(第2流体)が流れるように且つ中央セパレータ20の第2マニホルド流出孔34に対面するように形成された第2マニホルド流出孔34Eとを有する。
【0040】
図1に示されるように、第2エンドセパレータ22において、側面22aには、第1マニホルド流入孔31Eに連通する第1連通流入孔310が形成されており、且つ、側面22aには、第2マニホルド流入孔33Eに連通する第2連通流入孔330が形成されている。第1連通流入孔310および第2連通流入孔330は、短径および長径を有する長孔状とされている。長径により流路断面積が確保され、単位時間あたりのガス流量が確保されている。第2エンドセパレータ22の上面22uには、第1マニホルド流出孔32Eに連通する第1連通流出孔320が形成されている。第2エンドセパレータ22の下面22dには、第2マニホルド流出孔34Eに連通する第2連通流出孔340が形成されている。第1連通流出孔320および第2連通流出孔340は、短径および長径を有する長孔状とされている。短径は第2エンドセパレータ22の厚みに対応するように長径よりも短くされている。長径により流路断面積が確保され、単位時間あたりのガス流量が確保されている。
【0041】
なお、第2エンドセパレータ22において、第1マニホルド流入孔31Eおよび第1連通流入孔310、第1マニホルド流出孔32Eおよび第1連通流出孔320、第2マニホルド流入孔33Eおよび第2連通流入孔330、第2マニホルド流出孔34Eおよび第2連通流出孔340は、第2エンドセパレータ22を成形させるときに型成形で同時に形成しても良いし、あるいは、後処理として切削加工で形成しても良い。
【0042】
図1に示すように、第1エンドセパレータ21の隅部には貫通状の連結孔21hが形成されている。第2エンドセパレータ22の隅部には、雄螺子をもつ連結孔22hが形成されている。エンドセパレータ20の隅部には貫通状の連結孔20hが形成されている。連結具100を連結孔21h,20hに挿入し、連結具100の先端部の雄螺子100hを連結孔22hの雌螺子部に螺子込む。これにより第2エンドセパレータ22,中央セパレータ20,第1エンドセパレータ21,補強プレート290が積層状態に一体的に組み付けられる。これにより加湿器1が組み付けられている。この状態では、中央セパレータ20間には水分保持膜41が挟まれている。なお、第2エンドセパレータ22,中央セパレータ20,第1エンドセパレータ21,補強プレート290の境界面には、必要に応じて、接着材料またシール材料を介在させることも好ましい。
【0043】
次に、加湿器1の使用時について説明を加える。スタックのカソードから、発電反応後のカソードオフガスが排出される。カソードオフガスは発電反応を経ているため、スタックに供給される前のカソードガスに比較すると、高温高湿である。まず、カソードオフガスは、加湿器1の第2エンドセパレータ22の第2連通流入孔330から第2マニホルド流入孔33Eに流入し、更に、中央セパレータ20の第2マニホルド流入孔33に流れ、更に、積層体2の積層方向に沿って矢印A1方向に沿って第2マニホルド流入孔33を第1エンドセパレータ21の第3閉鎖壁53に向けて流れる。更にカソードオフガスは、積層体2の各中央セパレータ20の第2マニホルド流入孔33から中央セパレータ20の吸湿室23cに至り、第2表面通路37を下向き(矢印D方向)に流れる。このとき高温高湿のカソードオフガスは吸湿室23cに至ると、水分保持膜41を介して加湿室23aのカソードガスと熱交換するため、冷却されて凝縮水を生成させる。凝縮水は水分保持膜41の吸湿面41cに吸収されて保持され、加湿面41aに移動する。この結果、図1から理解できるように、熱交換されて冷却されたカソードオフガスは、中央セパレータ20の第2マニホルド流出孔34に至り、中央セパレータ20の第2マニホルド流出孔34を積層方向(矢印A2方向,第2マニホルド流入孔33の流れである矢印A1方向と反対方向)に沿って第2エンドセパレータ22に向けて流れ、更に、第2エンドセパレータ22の第2マニホルド流出孔34Eに流れ、その後、第2エンドセパレータ22の第2連通流出孔340から外部に排出される。このときカソードオフガスは冷却され且つ吸湿されている。
【0044】
これに対して、スタックのカソードに向かうカソードガス(外気)は、図略のポンプが作動すると、加湿器1の第2エンドセパレータ22の第1連通流入孔310から第2エンドセパレータ22の第1マニホルド流入孔31Eに流入し、更に、中央セパレータ20の第1マニホルド流入孔31に流れる。更に、カソードガスは、積層体2の積層方向に沿って矢印B1方向に第1マニホルド流入孔31を第1エンドセパレータ21の第1閉鎖壁51に向けて流れる。更にカソードガスは中央セパレータ20の第1マニホルド流入孔31から中央セパレータ20の加湿室23aにおいて第1表面通路36を上向き(矢印U方向)に流れる。これにより加湿室23aのカソードガスは、水分保持膜41の加湿面41aに接触して加湿されると共に、吸湿室23cのカソードオフガスと熱交換して加熱される。このように加湿加熱されたカソードガスは、中央セパレータ20の第1マニホルド流出孔32に至り、更に積層方向(矢印B2方向,第1マニホルド流入孔31の流れである矢印B1方向と反対方向)に沿って流れ、第2エンドセパレータ22の第2マニホルド流出孔32Eに流れ、第2エンドセパレータ22の第2連通流入孔320からスタックのカソードに向けて吐出され、スタックでの発電に使用される。
【0045】
上記したようにカソードガスおよびカソードオフガスが加湿器1の内部を流れるとき、図1及び図2に示されるように、第1エンドセパレータ21には第1閉鎖壁51、第2閉鎖壁52、第3閉鎖壁53、第4閉鎖壁54が形成されているため、カソードガスおよびカソードオフガスがセパレータ積層方向(矢印A1,B1方向)に抜けることが防止され、ひいては加湿器1の外方に排出されることが防止される。
【0046】
第1エンドセパレータ21の内面側を構成する吸湿室23c(第2整合通路372)では、図1および図2から理解できるように、第3閉鎖壁53の内面に第3連通凹部530が形成され、第4閉鎖壁54の内面に第3連通凹部530が形成されている。従って、矢印A1方向(図1参照)に流れたカソードオフガスは、第1エンドセパレータ21の第3閉鎖壁53に衝突し、その後、第1閉鎖壁53の内面の第3連通凹部530から吸湿室23cに流入し、更に、矢印D方向に流れ、第4連通凹部540に流れる。第4連通凹部540に至ったカソードオフガス(第2流体,第2ガス)は、終端34yから第2マニホルド流出孔34を第2エンドセパレータ22に向けて矢印A2方向に流れる。このように第1エンドセパレータ21の内面に第3連通凹部530および第4連通凹部540が形成されているため、第1エンドセパレータ21の内面側も、ガスが流れる通路として有効利用できる。
【0047】
さて、中央セパレータ20および第1エンドセパレータ21の製造について説明を加える。図7および図8は、加湿器1の中央セパレータ20を型成形するため成形型装置6の概念を示す。図7及び図8では流路は省略されている。成形型装置6は、中央セパレータ20の一方の表面を型成形させるための第1成形型面610をもつ第1成形型61と、中央セパレータ20の他方の表面を型成形させるための第2成形型面620をもつ第2成形型62とを有する。
【0048】
中央セパレータ20が射出成形で型成形されるときには、図7、図8に示されるように、第1成形型61の複数個の取付孔61pには第1凸型部71x、第2凸型部72x、第3凸型部73x、第4凸型部74xが脱着可能にそれぞれ嵌合される。この状態で、第1成形型61の背面61r側に第1保持部63が固定具63wにより保持されて組み付けられる。図7,図8に示されているように、凸型部71x〜74xの軸長寸法LAは同一である。中央セパレータ20が成形型装置6で成形される場合には、第1凸型部71xおよび第2凸型部72xの組が成形型装置6のキャビティ60に進入する進入量と、第3凸型部73xおよび第4凸型部74xの組が成形型装置6のキャビティ60に進入する進入量とは、互いに同一となるように設定されている。この状態で、第1成形型61と第2成形型62とで形成されるキャビティ60に、注入口6kから、流動性をもつ成形材料(樹脂材料)が射出されて固化され、中央セパレータ20が型成形される。成形されると、第1成形型61および第2成形型62が互いに離型され、中央セパレータ20が取り出される。
【0049】
第1凸型部71xは、中央セパレータ20を厚み方向に貫通する第1マニホルド流入孔31を成形させる。第2凸型部72xは、中央セパレータ20を厚み方向に貫通させる第1マニホルド流出孔32を成形させる。第3凸型部73xは、中央セパレータ20を厚み方向に貫通させる第2マニホルド流入孔33を成形させる。第4凸型部74xは、中央セパレータ20を厚み方向に貫通させる第2マニホルド流出孔34を成形させる。
【0050】
次に、中央セパレータ20に酷似する形状をもつ第1エンドセパレータ21が射出成形で型成形される場合について説明する。この場合、図9及び図10の概念図に示されるように、第1成形型61から第1凸型部71x、第2凸型部72x、第3凸型部73x、第4凸型部74xが取り外される。そして図9および図10に示されるように、第1凸型部71y、第2凸型部72y、第3凸型部73y、第4凸型部74yが第1成形型61の取付孔61pに嵌合される。この状態で、第1成形型61の背面61r側に第1保持部63が固定具63wにより保持されて組み付けられる。図9,図10に示されているように、第1エンドセパレータ210が成形型装置6で成形される場合には、第1凸型部71xおよび第2凸型部72xの組が成形型装置6のキャビティ60に進入する進入量α1は、第3凸型部73xおよび第4凸型部74xの組が成形型装置6のキャビティ60に進入する進入量α3とは、互いに異なるように設定されている(α3>α1)。この状態で、第1成形型61と第2成形型62とが型締めされたキャビティ60に注入口6kから成形材料が射出され、第1エンドセパレータ21が型成形され、第1エンドセパレータ21が取り出される。
【0051】
第1凸型部71yは、第1マニホルド流入孔31を成形する代わりに、第1閉鎖壁51を成形させるための第1キャビティ部分51cを形成する。第1キャビティ部分51cに成形材料が注入固化されて第1閉鎖壁51が形成される。第2凸型部72yは、第1マニホルド流出孔32を成形する代わりに、第2閉鎖壁52を成形させる第2キャビティ部分52cを形成する。第2キャビティ部分52cに成形材料が注入固化されて第2閉鎖壁52が形成される。第3凸型部73yは、第2マニホルド流入孔33を成形する代わりに、第3閉鎖壁53を成形させる第3キャビティ部分53cを形成する。第3キャビティ53cに成形材料が注入固化されて第3閉鎖壁53が形成される。第4凸型部74yは、第2マニホルド流出孔34を成形する代わりに、第4閉鎖壁54を成形させる第4キャビティ部分54cを形成する。第4キャビティ部分54cに成形材料が注入固化されて第4閉鎖壁54が形成される。ここで、第3閉鎖壁53は薄肉状であり、第3連通凹部530を形成している。第4閉鎖壁54は薄肉状であり、第4連通凹部540を形成している。第1閉鎖壁51および第2閉鎖壁52は厚肉状であり、連通凹部を形成していない。
【0052】
以上説明したように本実施形態によれば、第1エンドセパレータ21(型成形エンドセパレータ)および中央セパレータ20は、両者に共通する成形型装置6で成形される。このため中央セパレータ20用の成形型装置6を設ければ、第1エンドセパレータ21用の成形型装置を別途新設せずとも良い。よって、成形コストのかなりを占める成形型コストが低廉化し、成形コストが低廉化される。これにより加湿器1のコストを低廉できる。
【0053】
本実施形態によれば、図1に示されるように、第1マニホルド流入孔31E、第1マニホルド流出孔32E、第2マニホルド流入孔33Eおよび第2マニホルド流出孔34Eの全部を、第2エンドセパレータ22に集中させて形成している。このため上記した第1マニホルド流入孔31E等を第1エンドセパレータ21に形成せずとも良い。よって、第1エンドセパレータ21の構造をできるだけ薄肉で且つ単純にでき、中央セパレータ20の厚み、形状および構造に近づけることができる。よって、成形型装置6を共通させる中央セパレータ20の厚み、形状および構造に近づけることができる。従って、前述したように、中央セパレータ20を成形するための成形型装置6を有効利用して、第1エンドセパレータ21を型成形することができる。
【0054】
更に、第2エンドセパレータ22は前記したように4個のマニホルド孔を有するため、第1エンドセパレータ21よりも厚肉となり、高剛性を発揮できる。よって、第2エンドセパレータ22をスタックに近づけてスタック側に組み付けられるようにすれば、4個のマニホルド孔、すなわち、第1マニホルド流入孔31E、第1マニホルド流出孔32E、第2マニホルド流入孔33Eおよび第2マニホルド流出孔34Eとスタックとを接続させる配管通路の距離をできるだけ短縮させることができる。よって配管コストおよび配管流路抵抗を低減できる。
【0055】
図13はスタック8に加湿器1を組み付けたときの概念図を示す。第1エンドセパレータ21の外側には補強プレート290が取り付けられている。スタック8は発電反応により昇温される。熱源となり得るスタック8からの伝熱で、第2エンドセパレータ22は昇温され易い。熱源となり得るスタックから、第1エンドセパレータ21は、積層方向において遠ざかっている。このため第2エンドセパレータ21は、スタック8に近い第2エンドセパレータ22よりも外気により冷却され易い。故に、第1エンドセパレータ21のうち中央セパレータ20に対向する側の室を吸湿室23cにすれば、高温高湿のカソードオフガスを吸湿室23cに流すことができる。この場合、高温高湿のカソードオフガスを吸湿室23cにおいて効果的に冷却できるため、カソードオフガスを凝縮させて形成される凝縮水の生成量を増加できる。ひいては、水分保持膜41に保持する水分量を増加できる利点が得られる。かかる事情を考慮し、加湿器1において第1エンドセパレータ21の内面で形成される室を、加湿室23aではなく、ガスの冷却により凝縮水を生成させる吸湿室23cとして設定している。
【0056】
更に、前述したように、4つのマニホルド孔、すなわち、第1マニホルド流入孔31E、第1マニホルド流出孔32E、第2マニホルド流入孔33Eおよび第2マニホルド流出孔34Eの全部を、第2エンドセパレータ22に集中させて形成している本実施形態によれば、第1エンドセパレータ21の厚みを第2エンドセパレータ22よりも薄くできる。このため、第1エンドセパレータ21の内面で形成される吸湿室23cのカソードオフガスを効果的に冷却できる。よって、第1エンドセパレータ21の内面における凝縮水の生成効率を高めることができる。
【0057】
本実施形態によれば、図1に示されるように、4個のマニホルド孔31E,32E,33E,34Eが第2エンドセパレータ22にまとめて形成されている。加湿器1の加湿能力を高めるためには、第2エンドセパレータ22の第3表面通路38の流路長さを確保することが好ましい。このため、4個のマニホルド孔31E,32E,33E,34Eは、長方形状をなす第2エンドセパレータ22の隅部にそれぞれ形成されている。
【0058】
4個のマニホルド孔31E,32E,33E,34Eの配置にあたり、次の事項が考慮されている。すなわち、カソードガスは、加湿器1の内部において加湿加熱された後に、第2エンドセパレータ22の第1マニホルド流出孔32Eからスタックのカソードに供給される。このとき、何らかの事情により、万一、第2エンドセパレータ22の第1マニホルド流出孔32Eが過剰に低温化されると、加湿加熱されたカソードガスが第2エンドセパレータ22の第1マニホルド流出孔32Eにおいて冷却されて液相の凝縮水を生成させる。この場合、凝縮水を含むカソードガスがスタックのカソードに供給されるおそれがある。この場合、スタックの入口においてフラッディングが発生し易く、スタックの発電性能が充分に発揮されないおそれがある。
【0059】
そこで本実施形態は、スタックのカソードから排出された直後の高温高湿の暖かいカソードオフガスが、第2エンドセパレータ22の第2マニホルド流入孔33Eを流れることに着目した。そして図1に示されるように、第2エンドセパレータ22の上部において、暖かいカソードオフガスが流れる第2マニホルド流入孔33Eを第1マニホルド流出孔32Eに距離LCで接近させるように、つまり、他のマニホルド流入孔およびマニホルド流出孔よりも接近するように隣設させている。この場合、スタックから排出された直後の暖かいカソードオフガスがスタックのカソードから第2マニホルド流入孔33Eに供給される。このため第2エンドセパレータ22において第2マニホルド流入孔33Eは昇温されやすい。従って、昇温される第2マニホルド流入孔33Eから第1マニホルド流出孔32Eに伝熱され易い。よって、第2エンドセパレータ22において第1マニホルド流出孔32Eの過剰低温化が抑制され、スタックのフラッディングの抑制に有利である。
【0060】
ところで、カソードオフガスは、加湿器1の内部において冷却されて凝縮水を生成させることにより吸湿され、最終的には、加湿器1の第2エンドセパレータ22の第2マニホルド流出孔34Eから加湿器1の外部に排出される。この場合、第2マニホルド流出孔34Eから外部に排出されるカソードオフガスが保持する水蒸気量をできるだけ低下させることが好ましい。このため、第2マニホルド流出孔34Eがあまり昇温されないことが好ましい。この点本実施形態は、第2エンドセパレータ22において、外気であるカソードガスが加湿器1の内部に流入するにあたり、第1マニホルド流入孔31Eから流入されることに着目した。そして第2中央セパレータ22において、新鮮な外気が供給される第1マニホルド流入孔31Eを、他のマニホルド孔よりも第2マニホルド流出孔34Eに近づけるように隣設させている。これにより第2マニホルド流出孔34Eの過剰昇温化が抑制される。
【0061】
(実施形態2)
図14〜図17は実施形態2の概念を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を有する。図14および図15に示されるように、第1凸型部71はスペーサ71pをもつ。第2凸型部72はスペーサ72pをもつ。第3凸型部73はスペーサ73pをもつ。第4凸型部74はスペーサ74pをもつ。図14及び図15に示されるように、中央セパレータ20を成形型装置6で型成形させるときには、スペーサ71p〜74pを備える凸型部71〜74が第1成形型61の取付孔61pに嵌合されて取り付けられている。これにより中央セパレータ20を厚み方向に貫通する第1マニホルド流入孔31、第1マニホルド流出孔32、第2マニホルド流入孔33および第2マニホルド流出孔34が形成される。
【0062】
図16及び図17は、第1エンドセパレータ21を型成形させる状態を示す。図16及び図17に示されるように、スペーサ71p〜74pを分離させた凸型部71〜74が第1成形型61の取付孔61pに取り付けられる。これにより第1閉鎖壁51、第2閉鎖壁52、第3閉鎖壁53、第4閉鎖壁54が第1エンドセパレータ21に形成される。第3閉鎖壁53は薄肉状であり、第3連通凹部530を形成している。第4閉鎖壁54は薄肉状であり、第4連通凹部540を形成している。第1閉鎖壁51および第2閉鎖壁52は、厚肉状であり、連通凹部を形成していない。
【0063】
以上説明したように本実施形態においても、中央セパレータ20および第1エンドセパレータ21(型成形エンドセパレータ)は、共通する成形型装置6で成形されているため、成形コストのかなりを占める成形型コストが低廉化し、成形コストが低廉化され、ひいては加湿器1のコストを低減できる。
【0064】
(実施形態3)
図18は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態1,2と基本的には同様の構成および作用効果を有する。図18は、加湿器1を組み付けた燃料電池のスタック8の外観を示す。図18に示されるように、スタック8は、MEAを挟む複数の中央セパレータ207をスタック積層方向(矢印X方向)に積層した積層体2Sと、積層体2Sの積層方向の両端に配置されたエンドセパレータ203とをもつ。エンドセパレータ203に本発明を適用でき、エンドセパレータ203を型成形エンドセパレータにできる。よってスタック8において、エンドセパレータ203および中央セパレータ207は、共通の成形型装置で成形される。なお、エンドセパレータ203の外側には、特に図示しないものの、集電板、絶縁板、プレッシャープレートが設けられている。スタック8において、一方のプレッシャープレートと第2エンドプレート22Sとの間には、バネ等の付勢部材が設けられている。
【0065】
図18に示すように、スタック8の積層方向の両端には、加湿器1に近づく側にスタック8のセパレータ積層方向(矢印X方向)の一端側に形成された第1エンドプレート21Sが配置され、且つ、加湿器1から遠ざかる側にスタック8のセパレータ積層方向(矢印X方向)の他端側に形成された第2エンドプレート22Sが配置されている。更に、第1エンドプレート21Sと第2エンドプレート22Sとを接続して拘束させる第1テンション部材28および第2テンション部材29が装備されている。第1テンション部材28および第2テンション部材29は、矢印X方向および矢印H方向(スタック8の高さ方向)に交差する矢印Y方向である左右方向においてスタック8を挟むように設けられている。
【0066】
図18に示すように、第1エンドプレート21Sはほぼ四角形状であり、スタック8から遠ざかるように延設されたフランジ部215u,215dをもつ。第2エンドプレート22Sはほぼ四角形状であり、スタック8の積層体2Sから遠ざかるように延設されたフランジ部225をもつ。
【0067】
スタック8のうち第1エンドプレート21S側には、取付部材390を介して加湿器1が一体的に組み付けられている。取付部材390の取付具392はスタック8の第1エンドプレート21Sよりも外側の補強プレート290の側面292に固定されている。取付部材390の別の取付具391はスタック8の第1エンドプレート21Sに固定されている。
【0068】
加湿器1は、複数の中央セパレータ20をこれの厚み方向(矢印X方向)に積層して形成されている積層体2と、積層体2の積層方向の一端側に設けられた第1エンドセパレータ21と、積層体2の積層方向の一端側に設けられた第2エンドセパレータ22とをもつ。加湿器1の第2エンドセパレータ22は、スタック8の第1エンドプレート21Sに対向している。なお、加湿器1の中央セパレータ20の積層方向とスタック8の中央セパレータ207の積層方向とは、同一方向である。
【0069】
図18に示されるように、加湿器1上方に配置された第1弁装置91と、加湿器1の下方に配置された第2弁装置92とが設けられている。第1弁装置91の全部あるいはほとんど全部が、上部のフランジ部215uの下方の第1搭載空間216に配置されている。第2弁装置92の全部あるいはほとんど全部が、下部のフランジ部215dの上方の第2搭載空間217に配置されている。このため一方向(矢印H方向,高さ方向)におけるスタック8の全体のスペースを小さくすることができる。
【0070】
図18に示されるように、第1弁装置91および第2弁装置92は、加湿器1とスタック8とを接続させるように、スタック8に装備されている第1エンドプレート21Sの上部および下部に対面して設けられている。第1弁装置91は、これの開閉を行う第1駆動部91m(例えばモータ,流体圧シリンダ)を備えている。第1弁装置91は、スタック8の第1エンドプレート21Sの上部のフランジ部215uに覆われて保護されている。第1弁装置91が開弁するとき、加湿器1で加湿された発電反応前のカソードガスは、加湿器1の第2エンドセパレータ22の上面22uに形成されている第1連通流出孔320を介してスタック8のカソードの入口8iに供給される。
【0071】
第2弁装置92は、スタック8の第1エンドプレート21Sの端面と加湿器1の第2エンドセパレータ22の下面22dとの双方に取り付けられている。第2弁装置92は、これの開閉を行うように且つ、第1駆動部91mと独立して駆動するように、第2駆動部92m(例えばモータ,流体圧シリンダ)を備えている。第2弁装置92は、スタック8に装備されている第1エンドプレート21Sの下部のフランジ部215dに覆われて保護されている。第2弁装置92は接続管93および接続ボックス94を介して加湿器1の第2エンドセパレータ22の第2連通流入孔330に接続されている。従って、第2弁装置92が開弁しているとき、スタック8のカソードの出口から吐出された発電反応後の相対的に高温高湿のカソードオフガスは、第2弁装置92、接続管93および接続ボックス94を介して矢印R1,R2方向に流れ、加湿器1の第2エンドセパレータ22の第2連通流入孔330に供給される。
【0072】
本実施形態においても、中央セパレータ20と第1エンドセパレータ21(型成形エンドセパレータ)は、共通する成形型装置で成形されるため、成形コストのかなりを占める成形型コストが低廉化し、成形コストが低廉化される。
【0073】
(その他)
本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。カソードガスおよびカソードオフガスの流れは、図1に限定されるものではない。第1マニホルド流入孔31、第1マニホルド流出孔32、第2マニホルド流入孔33、第2マニホルド流出孔34は、図1に示す位置に限らず、他の場所に形成されていても良い。上記した実施形態では、第3閉鎖壁53は薄肉状であり、第3連通凹部530を形成している。第4閉鎖壁54は薄肉状であり、第4連通凹部540を形成している。これに限らず、第1閉鎖壁51は薄肉状であり連通凹部を形成していると共に、第2閉鎖壁52は薄肉状であり連通凹部を形成していても良い。この場合、第3閉鎖壁54および第4閉鎖壁54は厚肉状であり、連通凹部を形成していない。図13では、第1エンドセパレータ21は吸湿室23cを形成しているが、これに代えて、加湿室23aを形成しても良い。第2エンドセパレータ22の第3表面通路38は加湿室23aを形成しているが、これに代えて、吸湿室23cを形成しても良い。
【0074】
また上記した実施形態によれば、第1エンドセパレータ21は吸湿室23cを形成しているが、これに限らず、ガスが流れないようにしても良い。この場合、第3閉鎖壁53および第4閉鎖壁54は連通凹部530,540を形成せずとも良いため、第3閉鎖壁53および第4閉鎖壁54はガス閉鎖機能を発揮すれば足りる。連結具100を廃止し、接着剤のみで組み付けることにしても良い。
【0075】
上記した実施形態によれば、型成形エンドセパレータが第1エンドセパレータ21のみであるが、その他に第2エンドセパレータ22に適用してもよい。このように型成形エンドセパレータが第1エンドセパレータ21および第2エンドセパレータ22のうちの双方である場合には、流路配管を第1エンドセパレータ21および第2エンドセパレータ22のうちのいずれか一方に装備できる。
【0076】
更に上記した実施形態では、第1流体はカソードガスとされ、第2流体はカソードオフガスとされているが、これに限らず、第1流体はカソードオフガスとされ、第2流体はカソードガスとされていても良い。
【0077】
上記した実施形態1は加湿器に適用されているが、これに限らず、図18に例示されるように燃料電池スタックに適用しても良い。この場合、スタックは、カソードガスが流れるカソード室とアノードガスが流れるアノード室とを備える複数個の中央セパレータを厚み方向に積層させた積層体と、積層体の積層方向の一端側に配置された第1エンドセパレータと、積層体の積層方向の他端側に配置された第2エンドセパレータとを有する。この場合、第1エンドセパレータおよび第2エンドセパレータのうちの一方または双方を型成形セパレータにできる。この場合、第1流体はカソードガス、アノードガス、冷却媒体のうちの一方を構成する。第2流体はカソードガス、アノードガス、冷却媒体のうちの他方を構成する。図7および図8によれば、第1凸型部71x、第2凸型部72x、第3凸型部73x、第4凸型部74xの先端部が第2成形型62に面接触しているが、これに限らず、第2成形型62に凹部を形成し、当該先端部を凹部にインロー嵌合させても良い。図9,図10、図16、図17において、この凹部を塞ぐときには、凹部に嵌合材を嵌合させればよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は燃料電池システムに使用される加湿器およびスタックに利用することができる。
【符号の説明】
【0079】
1は加湿器、2は積層体、20は中央セパレータ、21は第1エンドセパレータ、22は第2エンドセパレータ、23aは加湿室、23cは吸湿室、31は第1マニホルド流入孔、32は第1マニホルド流出孔、33は第2マニホルド流入孔、34は第2マニホルド流出孔、310は第1連続流入孔、320は第1連続流出孔、330は第2連続流入孔、340は第2連続流出孔、36は第1表面通路、37は第2表面通路、41は水分保持膜(膜)、41aは加湿面、41cは吸湿面、51は第1閉鎖壁、52は第2閉鎖壁、53は第3閉鎖壁、54は第4閉鎖壁、530は連通凹部、540は連通凹部、6は成形型装置、60はキャビティ、61は第1成形型、610は第1成形型面、62は第2成形型、620は第2成形型面、63は保持部、71は第1凸型部、72は第2凸型部、73は第3凸型部、74は第4凸型部、8はスタック、100は連結具を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)第1流体が流れるように厚み方向に貫通する第1マニホルド流入孔と、第1流体が流れるように厚み方向に貫通する第1マニホルド流出孔と、前記第1マニホルド流入孔および前記第1マニホルド流出孔を連通させるように一方の表面に形成された第1表面通路と、第2流体が流れるように厚み方向に貫通する第2マニホルド流入孔と、第2流体が流れるように厚み方向に貫通する第2マニホルド流出孔と、前記第2マニホルド流入孔および前記第2マニホルド流出孔を連通させるように他方の表面に形成された第2表面通路とを備える型成形された中央セパレータを有し、隣設する前記中央セパレータで膜を挟むように複数個の前記中央セパレータを厚み方向に積層させて形成された積層体と、
(ii)前記積層体の積層方向の一端または両端に配置されたエンドセパレータとを具備する燃料電池システム用セパレータ積層体において、
(iii)前記エンドセパレータは、前記中央セパレータの外輪郭と同一または酷似した外輪郭をもつように型成形された型成形エンドセパレータであり、
(iv)前記型成形エンドセパレータは、
前記型成形エンドセパレータの一方の表面に形成され前記中央セパレータの前記第1表面通路と整合する構造をもつ第1整合通路と、前記型成形エンドセパレータの他方の表面に形成され前記中央セパレータの前記第2表面通路と整合する構造をもつ第2整合通路と、前記中央セパレータの前記第1マニホルド流入孔に対面しつつ前記第1マニホルド流入孔を閉鎖させる第1閉鎖壁と、前記中央セパレータの前記第1マニホルド流出孔に対面する前記第1マニホルド流出孔を閉鎖させる第2閉鎖壁と、前記中央セパレータの前記第2マニホルド流入孔に対面しつつ前記第2マニホルド流入孔を閉鎖させる第3閉鎖壁と、前記中央セパレータの前記第2マニホルド流出孔に対面しつつ前記第2マニホルド流出孔を閉鎖させる第4閉鎖壁とをもつ燃料電池システム用セパレータ積層体装置。
【請求項2】
請求項1において、前記積層体は、前記積層体の積層方向の一端に配置された第1エンドセパレータと、前記積層体の積層方向の他端に配置された第2エンドセパレータとを備えており、前記型成形エンドセパレータは前記第1エンドセパレータおよび前記第2エンドセパレータのうちの一方または双方である燃料電池システム用セパレータ積層体装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記型成形エンドセパレータにおいて、前記第1流体に係る前記第1閉鎖壁および前記第2閉鎖壁の組、または、第2流体に係る前記第3閉鎖壁および前記第4閉鎖壁の組は、前記第1整合通路および前記第2整合通路のうち前記中央セパレータに対向する一方に連通する連通凹部を有する燃料電池システム用セパレータ積層体装置。
【請求項4】
第1流体が流れるように厚み方向に貫通する第1マニホルド流入孔と、第1流体が流れるように厚み方向に貫通する第1マニホルド流出孔と、前記第1マニホルド流入孔および前記第1マニホルド流出孔を連通させるように一方の表面に形成された第1表面通路と、第2流体が流れるように厚み方向に貫通する第2マニホルド流入孔と、第2流体が流れるように厚み方向に貫通する第2マニホルド流出孔と、前記第2マニホルド流入孔および前記第2マニホルド流出孔を互いに連通させるように他方の表面に形成された第2表面通路とを備える中央セパレータを成形するための燃料電池システム用成形型装置であって、
前記燃料電池システム用成形型装置は、
(i)前記中央セパレータを型成形させるためのキャビティを形成する第1成形型面と、前記第1成形型面と共に前記キャビティを形成する第2成形型面と、前記中央セパレータの前記第1マニホルド流入孔を型成形させるための第1凸型部と、前記中央セパレータの前記第1マニホルド流出孔を型成形させるための第2凸型部と、前記中央セパレータの前記第2マニホルド流入孔を型成形させるための第3凸型部と、前記中央セパレータの前記第2マニホルド流出孔を型成形させるための第4凸型部とを有し、且つ、
(ii)前記第1凸型部は、前記中央セパレータの前記第1マニホルド流入孔を型成形させるための貫通孔形成形態と、前記第1マニホルド流入孔の成形に代えて第1閉鎖壁を成形させるための閉鎖形態とに切り替え可能とされており、
(iii)前記第2凸型部は、前記中央セパレータの前記第1マニホルド流出孔を型成形させるための貫通孔形成形態と、前記第1マニホルド流出孔の成形に代えて第2閉鎖壁を成形させるための閉鎖形態とに切り替え可能とされており、
(iv)前記第3凸型部は、前記中央セパレータの前記第2マニホルド流入孔を型成形させるための貫通孔形成形態と、前記第2マニホルド流入孔の成形に代えて第3閉鎖壁を成形させるための閉鎖形態とに切り替え可能とされており、
(v)前記第4凸型部は、前記中央セパレータの前記第2マニホルド流出孔を型成形させるための貫通孔形成形態と、前記第2マニホルド流出孔の成形に代えて第4閉鎖壁を成形させるための閉鎖形態とに切り替え可能とされている燃料電池システム用成形型装置。
【請求項5】
請求項4において、前記第1凸型部および前記第2凸型部の組が前記成形型の前記キャビティに進入する進入量と、前記第3凸型部および前記第4凸型部の組が前記成形型の前記キャビティに進入する進入量とは、互いに異なるように設定可能とされている燃料電池システム用成形型装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−60639(P2011−60639A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210237(P2009−210237)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】