説明

燃料電池システム

【課題】貯湯式排熱回収システムに係る排熱循環回路において排熱循環水をエアー噛み無く安定して循環でき、これにより制御が簡単で耐久性能を満たす排熱循環回路により安定した発電を実施することができる燃料電池システムを提供すること。
【解決手段】電力及び熱を供給する燃料電池1と、前記燃料電池1の熱を吸収する熱媒体が循環する循環経路2と、前記熱媒体の熱を蓄熱する蓄熱器4と、前記循環経路2に配置され、前記熱媒体を循環するポンプ71と、少なくとも前記ポンプ71を制御する制御器50とを有し、前記制御器50は、前記燃料電池1が発電を行っている場合に、前記ポンプ71の操作量を高操作量及びゼロより大きい低操作量の少なくとも二段階に断続的に変化させるように前記ポンプ71を制御する、燃料電池システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコジェネレーションシステム例えば燃料電池コジェネレーションシステムなどで排熱を離れた貯湯タンクに温水として蓄熱する排熱回収システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の貯湯式排熱回収システムとしては、燃料電池のコジェネレーションシステムに関するものがあった(例えば、特許文献1参照)。図4は、前記特許文献1に記載された従来の燃料電池のコジェネレーションシステムを示すものである。
【0003】
図5において、燃料電池101は余剰な熱を熱交換器102で熱回収水に受け渡すことで排出している。この熱回収水は、循環ポンプ103によって貯湯タンク104の下部から熱回収配管A105および熱回収配管B106を通じて搬送されたものである。熱交換器102で燃料電池101の余剰熱で加熱された熱回収水は熱交出温度センサー108で検出され、その温度が貯湯タンク104の上部の温度よりも高い時は熱回収配管C107によって貯湯槽104の上部に搬送される。ここで加熱された熱回収水の温度が貯湯タンク104の上部の温度よりも低い時は切替弁109によってバイパス回路110を通じて熱回収配管A105の合流部に搬送され回路内を循環する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−223385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、燃料電池101で発生する余剰な熱が小さい場合、高温の温水を貯湯槽104へ送るためには熱交換器102で熱回収水に受け渡し、循環ポンプ103により貯湯槽104へ送られる熱回収水の流量をきわめて小さくする必要がある。
【0006】
この場合、循環ポンプ103の循環流量が小さくなるため、循環ポンプ103内部にエア噛みが派生し、キャビテーションによる循環ポンプ103の破損、循環不良が発生するという課題を有していた。
【0007】
また、集合住宅等に設置された場合貯湯槽と燃料電池の設置により熱回収配管が長くなる場合が十分想定される。
【0008】
この場合、熱回収配管の放熱量が大きくなり貯湯槽に十分な蓄熱をすることができないという課題を有していた。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、排熱回収用循環ポンプの耐久性性能を向上させるとともに、設置余裕度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、貯湯式排熱回収システムは、電力及び熱を供給する燃料電池と、前記燃料電池の熱を吸収する熱媒体が循環する循環経路と、前記熱媒体の熱を蓄熱する蓄熱器と、前記循環経路に配置され、前記熱媒体を循環する循環ポンプと、少なくとも前記循環ポンプを制御する制御器とを有し、前記制御器は、前記燃料電池が発電
を行っている場合に、前記ポンプの操作量を高操作量及びゼロより大きい低操作量の少なくとも二段階に断続的に変化させるように前記ポンプを制御する、燃料電池システムである。
【0011】
本構成によって、循環ポンプのエア噛みを防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の貯湯式排熱回収システムによれば、単純な制御により熱回収配管の燃料電池ユニットと貯湯ユニットの間の熱回収水に用いられる循環ポンプのエア噛みを防止することができ、耐久性能を向上させることができると共に、熱回収配管を通して、貯湯槽に送られる高温回収水の量を多くすることにより熱回収配管の放熱量を少なくして前記熱回収配管の延長が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1における燃料電池システムを示す構成図
【図2】本発明の実施の形態1および2の循環ポンプの制御を示すタイムチャート
【図3】本発明の実施の形態3の循環ポンプの制御を示すタイムチャート
【図4】従来の燃料電池システムを示す構成図
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、水素と空気が供給されて発電を行う燃料電池と、前記燃料電池の発電時に発熱する前記燃料電池を冷却する冷却水を循環させる冷却水循環回路と、前記冷却水循環回路に配され冷却水を貯える冷却水タンクと、前記冷却水循環回路内の冷却水を循環させる冷却水循環ポンプと、貯湯槽と、前記貯湯槽から流出した熱回収水を前記貯湯槽に戻す熱回収水循環回路と、前記冷却水循環回路の冷却水と前記熱回収水循環回路の熱回収水とを熱交換させる冷却水熱交換器と、
熱回収水を貯湯槽と冷却水熱交換器との間で循環させる循環ポンプを備え、
前記燃料電池の排熱を回収する際に、循環ポンプの運転操作量を高操作量及びゼロより大きい低操作量の少なくとも二段階に断続的に変化させるように前記ポンプを制御する、燃料電池システムである。
【0015】
第2の発明は、水素と空気が供給されて発電を行う燃料電池と、前記燃料電池の発電時に発熱する前記燃料電池を冷却する冷却水を循環させる冷却水循環回路と、前記冷却水循環回路に配され冷却水を貯える冷却水タンクと、前記冷却水循環回路内の冷却水を循環させる冷却水循環ポンプと、貯湯槽と、前記貯湯槽から流出した熱回収水を前記貯湯槽に戻す熱回収水循環回路と、前記冷却水循環回路の冷却水と前記熱回収水循環回路の熱回収水とを熱交換させる冷却水熱交換器と、
熱回収水を貯湯槽と冷却水熱交換器との間で循環させる循環ポンプを備え、
前記燃料電池の排熱を回収する際に、循環ポンプの運転操作量を高操作量及び前記燃料電池が発電を行っている場合の最低操作量の少なくとも二段階に断続的に変化させるように前記ポンプを制御する、燃料電池システムである。
【0016】
第3の発明は、水素と空気が供給されて発電を行う燃料電池と、前記燃料電池の発電時に発熱する前記燃料電池を冷却する冷却水を循環させる冷却水循環回路と、前記冷却水循環回路に配され冷却水を貯える冷却水タンクと、前記冷却水循環回路内の冷却水を循環させる冷却水循環ポンプと、貯湯槽と、前記貯湯槽から流出した熱回収水を前記貯湯槽に戻す熱回収水循環回路と、前記冷却水循環回路の冷却水と前記熱回収水循環回路の熱回収水とを熱交換させる冷却水熱交換器と、
熱回収水を貯湯槽と冷却水熱交換器との間で循環させる循環ポンプを備え、
前記燃料電池の排熱を回収する際に、循環ポンプの運転操作量を複数の大きさの操作量に
区分されるように設定して断続的に変化させるように前記ポンプを制御する、燃料電池システムである。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における循環ポンプ71の操作量を制御する熱回収循環回路を包含する燃料電池システムの構成を示すものであり、図2は循環ポンプの操作量を制御する熱回収循環回路のタイムチャートである。
【0018】
以下、本発明の実施の形態の燃料電池熱回収循環回路の具体的な構成例および動作例について、燃料電池システムの構成例をもとに図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態の燃料電池システムの一構成例を示したブロック図である。図1に示すように、燃料電池システム100は、燃料ガス(水素ガス)を用いて発電および発熱する燃料電池1と燃焼ガス中のメタンと、改質反応を起こさせ、水素を発生させる燃料処理機10を備える。
【0020】
燃料電池1では、燃料電池1のアノード(図示せず)に供給された燃料ガスと、燃料電池1のカソード(図示せず)に供給された酸化ガス(例えば、空気)と、が電気化学的に反応(発熱反応)して、電力および熱が発生する。燃料電池1によって生成された電力は、例えば、様々な電気機器において利用できる。また、燃料電池1によって生成された熱は、様々な用途に利用でき、例えば、家庭の暖房や給湯などにおいても利用できる。
【0021】
なお、燃料電池1の内部構造は公知である。よって、その詳細な説明は省略する。燃料電池1の発電では、上述の電気化学反応(発熱反応)が進行するので、燃料電池1の発電中の運転温度が、その反応に適した温度(例えば、70℃〜80℃程度)に維持されるよう、燃料電池1の温度を一定に保つ機構が一般的に採用されている。
【0022】
まず燃料電池冷却回路について説明する。
【0023】
燃料電池冷却回路は、図1に示すように、燃料電池1の発電中に前記燃料電池1を冷却するための冷却水を循環する冷却水循環回路2(請求項1の「循環経路」に対応する)と、前記冷却水循環回路2に設けられた余剰ヒータ3を具備し冷却水を貯える冷却水タンク4と、前記冷却水循環回路2内の冷却水を循環させる冷却水循環ポンプ6と、前記冷却水循環回路2の廃熱を吸収して貯湯槽20内に蓄熱する冷却水熱交換器5と、燃料電池1の冷却水出口に設けられた温度検出器7を備えたものである。図1では、冷却水の流れの方向が実線の矢印によって示されている。前記冷却水循環回路2は冷却水タンク4と冷却水熱交換器5をつなぐ冷却水循環回路a21と、冷却水熱交換器5と燃料電池1をつなぐ冷却水循環回路b22と、燃料電池1と冷却水循環ポンプ6をつなぐ冷却水循環回路c23と、冷却水循環ポンプ6と冷却水タンク4をつなぐ冷却水循環回路d24で構成されている。
【0024】
つぎに、燃料電池1に都市ガス等を用いて燃料ガス(水素ガス)を供給する燃料処理機10に改質反応のための反応用の水を供給する改質水供給回路について説明する。
【0025】
改質水供給回路は前記冷却水循環回路2の冷却水循環回路d24から分岐した給水回路12と、燃料処理機に反応用の水を供給する供給ポンプ11と、燃料処理機10への反応用の水の入り切りを行う第1の燃料処理弁15aと、供給ポンプ11から分岐した凝縮水回路14と、第2の燃料処理弁15bと、給水タンク(凝縮水タンク)16と、冷却水の供給ポンプ13と、冷却水供給回路17bを備えている。図1では、冷却水の流れの方向が点線の矢印によって示されている。前記給水回路12は、燃料電池1と冷却水循環ポン
プ6をつなぐ冷却水循環回路c23から分岐して、供給ポンプ11をつなぐ給水回路12と、供給ポンプ11、第1の燃料処理弁15aをつなぐ給水回路b32と、第1の燃料処理弁15aと燃料処理機10をつなぐ給水回路c33と、前記給水回路b32の途中から分岐して第2の燃料処理弁15bをつなぐ給水回路d34と、第2の燃料処理弁15bと給水タンク(凝縮水タンク)16をつなぐ給水回路e35で構成されている。給水タンク16には、オーバーフローした場合に排水を行うための排水経路が接続されており、排水経路にはオーバーフロー弁16bが配置されている。
【0026】
また前記冷却水供給回路17bは冷却水供給回路c17c、冷却水供給回路d17d、冷却水供給回路e17e、で構成されている。また、冷却水循環回路e17eには、冷却水タンク弁4bが配置されている。
【0027】
また、循環ポンプ71を含む燃料電池システムの構成部品を制御する制御器50が配置されている。
【0028】
つぎに燃料電池の発電工程を通水、循環回路の循環水充填運転(以下初期水張り)燃料処理、燃料電池の発電の順に説明する。
【0029】
燃料電池システムの循環回路内へ水を充填するため、初期水張りを行う。
【0030】
まず、第1のバイパス回路60に設けられた第1の切り替え手段61の回路を「開」にする。これにより貯湯槽20内の補給水は、貯湯循環回路41、循環ポンプ71(請求項の「ポンプ」に対応する)、補給水回路51aを通り、第1のバイパス回路60を経て冷却水供給回路c17c、冷却水供給回路d17d、イオン交換樹脂18、冷却水供給回路e17e、を通り、冷却水タンク4に導かれる。これらの一連の動作は貯湯槽20にかかる水道の供給圧により行われる。
【0031】
冷却水タンク4内の水位が上昇すると冷却水タンクレベルスイッチ8が満水を検知して、1の切り替え手段61の回路を「閉」にする。
【0032】
また、前記初期水張りと同時に、給水タンク(凝縮水タンク)16への水の補給を行う。給水タンク弁72を「開」にして貯湯槽20内の貯水を貯湯循環回路41、循環ポンプ71、貯湯循環回路b42から分岐した補給水回路a51、補給水回路b52を介して給水タンク(凝縮水タンク)16に補給する。給水タンク(凝縮水タンク)16内の水位が上昇すると給水タンクレベルスイッチ17が満水を検知して、循環ポンプ71を停止するとともに給水タンク弁72を「閉」にする。
【0033】
前記操作は循環ポンプ71の運転有無に関らず行われる。
【0034】
前記の冷却水循環回路2内の冷却水の充填が完了すると燃料処理機10から燃料ガス(水素ガス)が燃料電池1に供給され酸化ガス(例えば、空気)と、反応して発電が開始される。そして、この発電により電力および熱が発生する。この電力は電気機器により消費され、発生した熱は冷却水熱交換器5により、貯湯槽20から循環ポンプ71により排熱循環回路40を循環する貯湯水により熱交換され貯湯槽20に蓄熱される。
【0035】
前記補給水循環回路は、貯湯槽20と循環ポンプ71をつなぐ貯湯循環回路41と、循環ポンプ71と冷却水熱交換器5をつなぐ補給水循環回路a42と、冷却水熱交換器5と貯湯槽20をつなぐ補給水循環回路c43から構成されている。
【0036】
また、前記燃料電池システムにおいて発電時に余剰電量が生じた場合は、その余剰電力
をヒータにより熱に変換し、貯湯槽20に蓄熱する。具体的には冷却水タンク4に設けられた余剰ヒータ3により余剰電力を温水に変換する。この冷却水タンク内の温水は冷却水循環ポンプ6により冷却水熱交換器5へ送られ、貯湯槽20から循環ポンプ71により排熱循環回路40を循環する貯湯水により熱交換され貯湯槽20に蓄熱される。
【0037】
つぎに、発電量が変化し、冷却水熱交換器5で熱交換されて、貯湯槽20に蓄熱される熱量が変化した時の循環ポンプ71の運転制御について図2を用いて説明する。
【0038】
図2は横軸を運転時間としたタイムチャートである。図1の上図は発電排熱量(発熱量)と運転時間の関係を示し、下図は循環ポンプ71の操作量(循環量)と運転時間の関係を示している。
【0039】
この場合、最大発電量で燃料電池1の発電排熱量(発電量)が最大の場合は循環ポンプ71の操作量(循環量)を最大(高操作量)にして前記冷却水熱交換器5により、貯湯槽20から循環ポンプ71により排熱循環回路40を循環する貯湯水により熱交換され貯湯槽20に蓄熱される。
【0040】
つぎに、燃料電池1の発電量が低下して発電排熱量(発電量)があらかじめ設定されたしきい値を下回った場合は循環ポンプ71の操作量(循環量)を最大発熱量時の操作量(循環量)より小さい低操作量にして前記冷却水熱交換器5により、貯湯槽20から循環ポンプ71により排熱循環回路40を循環する貯湯水により熱交換され貯湯槽20に蓄熱される。このとき、ポンプ操作量(循環量)を0にしてポンプ循環を停止してもかまわない。以降は燃料電池の発電排熱量に応じて前記動作を繰り返す。
【0041】
以上のように、制御器50により、構成された燃料電池システム等に利用される貯湯式排熱回収システムによれば、一定のしきい値を基準にポンプ操作量(循環量)が制御されるため、ポンプ操作量(循環量)に大きな差を設けることにより低操作量でポンプ内部に発生したエアー噛みを高操作量(循環量)時に排出することができる。
【0042】
(実施の形態2)
つぎに、本発明の第2の実施例について図2を用いて説明を行う。
燃料電池の発電工程、通水、循環回路の循環水充填運転、燃料処理、燃料電池の発電の順についての説明については(実施の形態1)と同様であるため省略する。
【0043】
本実施の形態は、第1の実施例で説明した低操作量を循環ポンプ71の最低操作量にすることを特徴とする。
【0044】
すなわち、最大発電量で燃料電池1の発電排熱量(発電量)が最大の場合は循環ポンプ71の操作量(循環量)を最大(高操作量)にして前記冷却水熱交換器5により、貯湯槽20から循環ポンプ71により排熱循環回路40を循環する貯湯水により熱交換され貯湯槽20に蓄熱される。
【0045】
つぎに、燃料電池1の発電量が低下して発電排熱量(発電量)があらかじめ設定されたしきい値を下回った場合は循環ポンプ71の操作量(循環量)を最大発熱量時の操作量(循環量)より小さい低操作量である循環ポンプの最低操作量にして前記冷却水熱交換器5により、貯湯槽20から循環ポンプ71により排熱循環回路40を循環する貯湯水により熱交換され貯湯槽20に蓄熱される。このとき、ポンプ操作量(循環量)を0にしてポンプ循環を停止してもかまわない。以降は燃料電池の発電排熱量に応じて前記動作を繰り返す。
【0046】
以上のように、構成された燃料電池システム等に利用される貯湯式排熱回収システムによれば、一定のしきい値を基準に制御されるため、ポンプ操作量(循環量)に大きな差を設けることにより低操作量でポンプ内部に発生したエアー噛みを高操作量時に排出することができる。
【0047】
(実施の形態3)
つぎに、本発明の第3の実施例について図3を用いて説明を行う。
【0048】
燃料電池の発電工程、通水、循環回路の循環水充填運転、燃料処理、燃料電池の発電の順についての説明については(実施の形態1)と同様であるため省略する。
【0049】
本実施の形態は発電排熱量の最大時から最小時において、複数の大きさの操作量に区分してポンプ循環量を制御することに特徴を有する。
【0050】
すなわち、最大発電量で燃料電池1の発電排熱量(発電量)が最大の場合は循環ポンプ71の操作量(循環量)を最大(高操作量)にして前記冷却水熱交換器5により、貯湯槽20から循環ポンプ71により排熱循環回路40を循環する貯湯水により熱交換され貯湯槽20に蓄熱される。
【0051】
つぎに、燃料電池1の発電量が低下して発電排熱量(発電量)があらかじめ設定されたしきい値を下回った場合は循環ポンプ71の操作量(循環量)を最大発熱量時の操作量(循環量)より小さい低操作量である循環ポンプの最低操作量にして前記冷却水熱交換器5により、貯湯槽20から循環ポンプ71により排熱循環回路40を循環する貯湯水により熱交換され貯湯槽20に蓄熱される。
【0052】
具体的には、図3に示すように、発電排熱量(発電量)が第1しきい値を下まわった時は循環ポンプ操作量(循環量)を第1操作量に低下させる。
【0053】
以後第2しきい値から第5しきい値に低下していくに従いそれに対応して循環ポンプ操作量(循環量)も第2操作量から第5操作量へ降下していく。発電排熱量(発電量)が最低になり第6しきい値以下になると循環ポンプ操作量(循環量)は低操作量で制御される。このとき、ポンプ操作量(循環量)を0にしてポンプ循環を停止してもかまわない。以降は燃料電池の発電排熱量に応じて前記動作を繰り返す。
【0054】
以上のように、構成された燃料電池システム等に利用される貯湯式排熱回収システムによれば、複数のしきい値を基準にポンプ操作量(循環量)が制御されるため、安定した排熱量を貯湯槽20へ蓄熱することができる。
【0055】
またリニアにポンプ操作量(循環量)を制御する場合に比べポンプ操作量(循環量)に大きな差を設けることにより低操作量でポンプ内部に発生したエアー噛みを高操作量時に排出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のように、本発明に係る燃料電池冷却装置に係る貯湯式排熱回収システムは、循環ポンプのエアー噛み無くすことができ、循環ポンプのエア噛みの無い制御が簡単で耐久性のある排熱循環回路を実現できる。これにより初期設定性能を満たす十分な熱交換性能を確保して、安定した発電を実施することができる燃料電池システムに係る貯湯式排熱回収システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 燃料電池
2 冷却水循環回路(循環経路)
3 余剰ヒータ
4 冷却水タンク(蓄熱器)
4b 冷却水タンク弁
5 冷却水熱交換器
6 冷却水循環ポンプ
7 温度検出器
8 冷却水タンクレベルスイッチ
10 燃料処理機
11 供給ポンプ
12 給水回路
13 供給ポンプ
14 凝縮水回路
15a 第1の燃料処理弁
15b 第2の燃料処理弁
16 給水タンク(凝縮水タンク)
16b オーバーフロー弁
17 給水タンクレベルスイッチ
17c 冷却水供給回路c
17d 冷却水供給回路d
17e 冷却水供給回路e
18 イオン交換樹脂
20 貯湯槽
21 冷却水循環回路a
22 冷却水循環回路b
23 冷却水循環回路c
24 冷却水循環回路d
32 給水回路b
33 給水回路c
34 給水回路d
35 給水回路e
40 排熱循環回路
41 貯湯循環回路
42 貯湯循環回路b
43 補給水循環回路c
50 制御器
51 補給水回路a
52 補給水回路b
60 第1のバイパス回路
71 循環ポンプ(ポンプ)
72 給水タンク弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力及び熱を供給する燃料電池と、
前記燃料電池の熱を吸収する熱媒体が循環する循環経路と、
前記熱媒体の熱を蓄熱する蓄熱器と、
前記循環経路に配置され、前記熱媒体を循環するポンプと、
少なくとも前記ポンプを制御する制御器と、
を有し、
前記制御器は、前記燃料電池が発電を行っている場合に、前記ポンプの操作量を高操作量及びゼロより大きい低操作量の少なくとも二段階に断続的に変化させるように前記ポンプを制御する、
燃料電池システム。
【請求項2】
前記低操作量は、前記燃料電池が発電を行っている場合の最低操作量である、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記高操作量は、複数の大きさの操作量に区分されるように設定されている、
請求項1又は2に記載の燃料電池システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate