説明

燃料電池システム

【課題】アイドルストップ中に再起動に備えて空気供給を行う際に、各セルに過不足なく空気を供給する。
【解決手段】燃料電池1と、燃料電池1に空気を供給するコンプレッサ6と、を備え、要求負荷が所定値以下になったときに燃料電池1の発電を停止するアイドルストップを実行し、アイドルストップ中に要求負荷にかかわらず燃料電池1の正極2、負極3間の電圧の状態に応じて空気供給を行う燃料電池システムにおいて、燃料電池1に供給した空気の積算量を検出する供給空気積算量検出手段9と、供給空気積算量検出手段9の検出値に基づいてアイドルストップ中の空気供給の終了タイミングを判断する終了判定手段9と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムの空気供給制御に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池と二次電池を搭載し、これらを適宜使い分けて走行用モータへ電力供給を行い走行する燃料電池車両が知られている。このような燃料電池車両において、燃料ガスを効率的に利用するために、例えば低負荷走行時等に、燃料電池による発電を停止して二次電池のみによってモータを駆動する、いわゆるアイドルストップを実行する場合がある。
【0003】
しかし、アイドルストップ中に燃料電池への空気供給を停止し続けると、燃料電池の電圧が低下する。電圧の低下代が大きいほど、負荷増大等により燃料電池を再起動する際に要求された電圧まで昇圧するのに時間を要することになる。
【0004】
そこで、特許文献1では、アイドルストップ中に燃料電池の電圧が所定値まで低下したら空気供給を行い、燃料電池の電圧を回復させている。この空気供給は、タイマ等により予め設定した期間だけ行う構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4182732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように空気供給期間を予め設定する構成では、フィルタ詰まりによる圧損増大等といった経時的な変化に対応できない。このため、アイドルストップ中の電圧回復に必要な空気量を流せなくなる場合が生じ得る。
【0007】
ところで、従来は、アイドルストップのために空気供給を停止した後の電圧低下速度のバラツキは、セル間の空気分配のバラツキが主な要因と考えられていた。しかし、実際には、空気供給量が不足している場合に電圧低下速度のバラツキが大きくなることが出願人らによって見出された。
【0008】
したがって、特許文献1のような構成により空気供給量が不足すると、空気供給停止後の、セル間の電圧低下速度のバラツキが大きくなる。そして、電圧が大きく低下したところで負荷増大に応じて再起動して、さらなる電圧低下を引き起こすと、特に電圧低下速度が大きなセルが過剰に電圧低下したと診断されてフェイルセーフモードに陥るおそれがある。
【0009】
一方、特許文献1のような構成では、製造工程でのバラツキ等による個体差によって過剰な量の空気を供給することになる場合も生じ得る。例えば上限電圧を超えないよう制御する場合には、上限電圧を維持するために電流が流れる時間が長くなる。その結果、余分に発電することになって、水素の消費量が無駄に増加する。一方、アイドルストップ中の電流値を一定に維持するよう制御する場合には、過剰に空気を流すことによって、総電圧が上昇し、または高電圧状態が長く続くので、高電位劣化が進行してしまう。
【0010】
そこで、本発明では、アイドルストップ中に再起動に備えて空気供給を行う際に、各セルに過不足なく空気を供給し得る制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の燃料電池システムは、水素と空気中に含まれる酸素との電気化学反応により発電する燃料電池と、燃料電池に空気を供給するコンプレッサと、を備える。そして、要求負荷が所定値以下になったときに燃料電池の発電を停止するアイドルストップを実行し、アイドルストップ中に要求負荷にかかわらず燃料電池の正極、負極間の電圧の状態に応じて空気供給を行う。さらに、燃料電池に供給した空気の積算量を検出する供給空気積算量検出手段と、供給空気積算量検出手段の検出値に基づいてアイドルストップ中の空気供給の終了タイミングを判断する終了判定手段とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、供給空気積算量検出手段の検出値に基づいてアイドルストップ中の空気供給の終了タイミングを判断するので、経年劣化等によりコンプレッサ駆動時の空気流量が変化しても、過不足のない空気量を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るシステムの構成図である。
【図2】アイドルストップ中に行う空気供給の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】空気供給量を検出する構成が異なるシステムの構成図である。
【図4】空気供給時間が固定されたシステムの、使用開始直後のタイムチャートである。
【図5】空気供給時間が固定されたシステムの、経年劣化後のタイムチャートである。
【図6】上限電圧制御を行う場合の本実施形態の効果を説明するためのタイムチャートである。
【図7】一定電流制御を行う場合の本実施形態の効果を説明するためのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1実施形態に係るシステムの構成図である。
【0016】
燃料電池スタック1は、直流電源であり、電解質膜4をアノード2とカソード3で挟持した単セルが複数積層された構造を有する。なお、図1では単セルのみを示している。
【0017】
アノード2には、水素供給通路7から燃料としての水素ガスが供給される。カソード3には空気供給通路8から酸化剤ガスとしての空気が供給される。
【0018】
水素供給通路7には、図示しない圧力調整弁が介装されている。これにより、水素タンク5内の高圧水素は、所定の圧力まで減圧されてからアノード2に供給される。
【0019】
空気は、コンプレッサ6により空気供給通路8からカソード3に供給される。なお、カソード3内の空気圧は、図示しない空気圧調整弁により制御される。
【0020】
コンプレッサ6の駆動は、コンプレッサ6の回転数を検出する回転数センサ10の検出値等に基づいて、コントローラ9により制御される。
【0021】
コントローラ9は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ9を複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。
【0022】
また、コントローラ9は、各セルに設けた電圧センサの検出値に基づいて、燃料電池スタック1の電圧及び単セルの平均電圧の算出、さらには最低電圧の特定等を行う。なお、電圧センサを各セルではなく、複数の単セルの集合であるセル群毎に設置し、セル群電圧に基づいて燃料電池スタック1の電圧及びセル群の平均電圧の算出、そして最低電圧の特定等を算出するようにしてもよい。
【0023】
上記のような構成の燃料電池システムを、電動モータを駆動源として走行する車両に搭載する。また、この車両には、燃料電池スタック1の他に二次電池も搭載する。燃料電池スタック1で発電した電力は、電動モータの駆動に用いられる他に、二次電池に充電される。そして、コントローラ9が、運転状態に応じて燃料電池システム又は二次電池から電動モータへの電力供給を制御する。
【0024】
コントローラ9は、例えば低負荷走行時のように要求電力が低い場合には、燃料電池スタック1の発電を一時的に停止して二次電池の電力だけで電動モータや補機類等を駆動する、いわゆるアイドルストップを実行する。アイドルストップは、二次電池の充電量が所定の閾値を下回った場合や、加速要求等によって要求電力が増大した場合に終了する。
【0025】
アイドルストップ中は、カソード3への空気供給が停止されるが、カソード3内に残留している酸素がカソード3に透過してきた水素と反応することで消費され、スタック総電圧は徐々に低下する。このため、アイドルストップ継続時間が延びるほど、アイドルストップからの復帰時にスタック総電圧が回復するまでに要する時間が長くなり、加速要求等に対する応答遅れが大きくなる。
【0026】
そこで、コントローラ9は、アイドルストップ中に燃料電池スタック1の電圧が予め設定した所定電圧まで低下したら、電圧を回復させるためにカソード3への空気供給を行う。
【0027】
図2は、アイドルストップ中にコントローラ9が実行する空気供給の制御ルーチンを示すフローチャートである。すなわち、本制御ルーチンは、要求負荷の低下等によりアイドルストップ状態となっていることが前提となる。なお、本制御ルーチンは例えば10ミリ秒程度の間隔で繰り返し実行する。
【0028】
ステップS100で、コントローラ9は空気供給を実行するか否かを判定する。具体的には、燃料電池スタック1の電圧が予め設定した空気供給開始電圧より低くなったら空気供給を実行し、高い場合には空気供給を実行しない。空気供給を実行しない場合は、今回のルーチンを終了する。空気供給を実行する場合は、ステップS110の処理を実行する。
【0029】
ステップS110で、コントローラ9は空気供給積算量が予め設定した所定値以上になったか否かを判定する。所定値以上の場合はステップS120で空気供給を停止し、そうでない場合は今回のルーチンを終了する。
【0030】
空気供給積算量は、コントローラ9が回転数センサ10の検出値と供給時間とをパラメータに含む関数を用いて算出する。例えば、回転数センサ10の検出値にコンプレッサ6の1回転あたりの吐出量を乗じることで単位時間当たりの吐出量を算出し、これにコントローラ9で計測した供給時間を乗じれば空気供給積算量となる。
【0031】
ここで、比較の為に空気供給時間をタイマで設定する場合を考える。コンプレッサ6の設計上の吐出量(m3/min)に基づいて、必要な空気量を供給するための時間を算出し、その時間をタイマに設定すれば、本実施形態のような空気供給積算量を算出する必要はないようにも思われる。
【0032】
しかし、空気供給系の圧損増大等があると、コンプレッサ6の吐出量が設計値より少なくなり、タイマに設定した時間では必要な空気量を供給することができなくなる。逆に流路抵抗が設計より小さければ、過剰な空気量を供給することになる。
【0033】
これに対して本実施形態では、コンプレッサ6の実際の回転数と供給時間に基づいて空気供給積算量を算出するので、圧損の変化等のように設計からのずれがあっても、必要な空気量を供給することができる。
【0034】
なお、図3に示すように、空気供給通路8に流量計20を設けて、流量を直接検出するようにしてもよい。
【0035】
予め設定した所定値とは、次の2つの条件を満たす値である。第1の条件は、燃料電池スタック1の電圧を、アイドルストップからの復帰時の応答遅れを抑制し得る電圧まで回復させるのに必要な空気量であることで、第2の条件は、単セル間の電圧低下速度のバラツキを抑制し得る空気量であることである。
【0036】
ここで、電圧低下速度のバラツキについて説明する。
【0037】
単セルの積層体である燃料電池スタック1では、単セル間でアイドルストップ開始後の電圧低下速度にバラツキが生じる。このバラツキが大きいと、電圧低下速度が相対的に大きい単セルの電圧は、アイドルストップから復帰する際の電圧低下によって大幅に低下し、フェイルセーフモードに切り替わるおそれがある。このため、電圧低下速度のバラツキは小さい方が望ましい。
【0038】
従来は、電圧低下速度のバラツキの大きさは、単セル間の空気供給量のバラツキに応じて決まると考えられていた。すなわち、燃料電池スタック1の総電圧が所望の電圧まで回復していれば、空気供給量が少ない単セルの電圧低下速度は大きくなるものの、燃料電池スタック1全体としてみれば空気供給量は充足しているものと考えられていた。
【0039】
しかし、実際には、単セル間の電圧低下速度のバラツキの大きさは、単セル間の空気供給量のバラツキよりも、燃料電池スタック1全体としての空気供給量に相関があることがわかった。つまり、燃料電池スタック1全体としての空気供給量が少ないと、単セル間の電圧低下速度のバラツキが大きくなる。
【0040】
したがって、燃料電池スタック1の総電圧が所望の電圧まで回復していても、単セル間の電圧低下速度のバラツキを抑制するためには、さらに空気を供給する必要がある。
【0041】
そこで、実験等により上記の2つの条件を満たす値を設定する。具体的には、例えば全セルのアクティブエリア容積以上となるように設定する。アクティブエリア容積とは、各単セルの発電に寄与する反応面の面積に、反応面に接する空気流路の高さを乗じ、これをセル積層数分だけ合計したものである。なお、アクティブエリア容積には、ガス拡散層の空孔容積も含む。
【0042】
このように、アクティブエリア容積以上の空気を供給すれば、全ての単セルに十分な量の空気が供給され、単セル間の電圧低下速度のバラツキを抑制することができる。その結果、特定の単セルの電圧低下によってフェイルセーフモードに切り替わる可能性を低減することができる。
【0043】
次に、上記制御ルーチンを実行した場合の効果について説明する。
【0044】
図4は、アイドルストップ中の空気供給を予め設定した時間t1だけ行う構成の、生産後に使用を開始した直後の状態のタイムチャートである。図5は、同構成の、経年劣化等によって系の圧力損失が増大した状態のタイムチャートである。
【0045】
平均セル電圧AveCVは、コントローラ9が各単セルのセル電圧検出値に基づいて算出した、セル電圧の平均値である。最小セル電圧MinCVは、同様にコントローラ9が算出した、セル電圧の最小値である。
【0046】
平均セル電圧AveCVがCV閾値まで降下したら、時間t1だけ空気供給を行う。時間t1はタイマでカウントする。図4、図5では、タイミングT1、T2、T3で空気供給を開始している。そして、タイミングT4で要求負荷の増大に応じてコンプレッサ6を駆動し、コンプレッサ回転数が要求負荷に応じた回転数まで上昇したタイミングT5でアイドルストップが終了している。
【0047】
図4に示すように、使用開始直後は平均セル電圧AveCVと最小セル電圧MinCVの電圧低下速度の差が小さい。これは、時間t1だけコンプレッサ6を駆動すれば、設計通りの空気量が各単セルに供給されており、単セル間での電圧低下速度のバラツキが小さいからである。このため、アイドルストップから復帰して負荷への電力供給を再開しても、最小セル電圧MinCVが大幅に低下することはない。
【0048】
一方、経年劣化等により系の圧力損失が大きくなると、図5に示すように、コンプレッサ6を時間t1だけ駆動しても、実際の空気流量は使用開始直後に比べて少なくなる。このため、タイマで設定した供給時間では電圧回復に必要な空気量が供給されなくなるおそれがある。空気供給量が不足すると、単セル間の電圧低下速度のバラツキが大きくなる。つまり、最低セル電圧MinCVと平均セル電圧AveCVの低下速度の差が大きくなる。
【0049】
このため、電圧が低下した状態でアイドルストップから復帰すると、負荷への電力供給再開による更なる電圧低下によって、最低セル電圧MinCVが大幅に小さくなる。セル電圧が大幅に低い単セルがあると、セルの診断装置によって異常ありと診断され、フェイルセーフモードに切り替わるおそれがある。
【0050】
これに対して本実施形態では、アイドルストップ中の空気供給を空気流量に基づいて制御しているので、系の圧力損失が増大しても、各単セルに電圧回復のために必要な空気量を供給することができる。
【0051】
ところで、アイドルストップ中の空気供給を、コンプレッサ6の作動時間で管理することの弊害は、上述した供給量不足だけではない。例えば、部品には寸法バラツキ等といった個体差があり、これにより空気流量が異なる。このため、設計時に電圧回復の為に必要な空気供給量に基づいて最適な供給時間を設定しても、過剰な空気を供給することになるおそれがある。
【0052】
図6は、燃料電池スタック1のスタック電圧が上限値を超えないように制御する場合のタイムチャートである。具体的には、電流の大きさを制御することにより、スタック電圧が上限値を超えないようにする。これを、上限電圧制御と呼ぶ。上限値は、高電位劣化を防止し得る値に設定する。図中の時間t1は、設計時に電圧回復の為に必要な空気供給量に基づいて算出した供給時間である。
【0053】
スタック電圧が下限電圧まで低下したタイミングT1で空気供給を開始し、タイミングT2でスタック電圧が上限電圧に達している。設計通りの空気流量であれば、タイミングT4まで空気供給を継続することで、電圧回復に必要な空気量が供給される。しかし、部品の個体差等の要因により設計よりも多くの空気が流れ、タイミングT3で電圧回復に必要な空気量の供給が終了すると、タイミングT3からタイミングT4までは、無駄に空気を供給して、無駄な発電を行うことになる。その結果、水素を無駄に消費することになる。また、生成水の量も増加し、水詰まりの可能性が高まってしまう。
【0054】
これに対して本実施形態では、アイドルストップ中の空気供給終了タイミングを空気流量に基づいて判断しているので、電圧回復に必要な空気量の供給が終了したタイミング、つまり図6のタイミングT3で空気供給を停止できる。したがって、上限電圧制御を行う場合に、無駄な水素消費や、余分な生成水による水詰まりの可能性増大といった問題が生じない。
【0055】
図7は、アイドルストップ中の電流値を一定に制御する場合のタイムチャートである。具体的には、発電の有無によらず電流値を一定に保持する。これを一定電流制御と呼ぶ。
【0056】
設計通りの空気流量であれば、タイミングT3まで空気供給を継続することで、電圧回復に必要な空気量が供給される。しかし、部品の個体差等の要因により設計よりも多くの空気が流れ、タイミングT2で電圧回復に必要な空気量の供給が終了すると、タイミングT2からタイミングT3までは、無駄に空気を供給することになる。そして、図7のようにタイミングT2で既に高電位劣化の進行が顕著になる電圧を超えている場合には、タイミングT2からタイミングT3までの空気供給は、燃料電池スタック1の高電位劣化を進行させるだけである。また、無駄な空気供給のためにコンプレッサ6での消費電力が増大してしまう。
【0057】
これに対して本実施形態では、アイドルストップ中の空気供給終了タイミングを空気流量に基づいて判断しているので、タイミングT2で空気供給を停止できる。したがって、高電位劣化の進行を抑制することができる。また、コンプレッサ6の消費電力の増大を防止できる。
【0058】
以上のように本実施形態によれば、次の効果が得られる。
【0059】
(1)アイドルストップ中に要求負荷にかかわらず燃料電池スタック1の正極、負極間の電圧の状態に応じて空気供給を行い、供給した空気の積算量を検出し、この検出値に基づいて空気供給の終了タイミングを判断するコントローラ9を備える。すなわち、実際に供給した空気量に基づいて空気供給の終了タイミングを判断するので、経年劣化や製品バラツキ等があっても空気を過不足なく供給することができる。
【0060】
(2)コントローラ9は回転数センサ10の検出値と供給時間とをパラメータに含む関数に基づいて供給空気積算量を検出するので、精度良く供給空気の積算量を検出することができる。
【0061】
(3)また、流量計20を設けて供給空気積算量を検出してもよい。
【0062】
(4)コントローラ9は、アイドルストップ中に供給した空気の積算量がアクティブエリア容積となったら空気供給を終了するので、設計値通りの空気供給量を保証できる。
【0063】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0064】
1 燃料電池スタック
2 アノード
3 カソード
4 電解質膜
5 水素タンク
6 コンプレッサ
7 水素供給通路
8 空気供給通路
9 コントローラ(供給空気積算量検出手段、終了判定手段、空気供給時間検出手段)
10 回転数センサ
20 流量計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素と空気中に含まれる酸素との電気化学反応により発電する燃料電池と、
前記燃料電池に空気を供給するコンプレッサと、
を備え、
要求負荷が所定値以下になったときに燃料電池の発電を停止するアイドルストップを実行し、前記アイドルストップ中に前記要求負荷にかかわらず前記燃料電池の正極、負極間の電圧の状態に応じて空気供給を行う燃料電池システムにおいて、
前記燃料電池に供給した空気の積算量を検出する供給空気積算量検出手段と、
前記供給空気積算量検出手段の検出値に基づいて前記アイドルストップ中の空気供給の終了タイミングを判断する終了判定手段と、
を備えることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記コンプレッサの回転数を検出する回転数センサと、
空気供給時間を検出する空気供給時間検出手段と、
を備え、
前記供給空気積算量検出手段は前記回転数センサの検出値と前記空気供給時間検出手段をパラメータに含む関数に基づいて燃料電池に供給した空気の積算量を検出する請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記コンプレッサから前記燃料電池までの流路に空気流量を検出する流量計を備え、
前記供給空気積算量検出手段は、前記流量計の検出値に基づいて燃料電池に供給した空気の積算量を検出する請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記終了判定手段は、前記アイドルストップ中に燃料電池に供給した空気の積算量が、燃料電池を構成するセル積層体の発電を行うアクティブエリアに面する空気流路の容積と、前記アクティブエリアのガス拡散層の空孔容積との和であるアクティブエリア容積となったら前記アイドルストップ中の空気供給を終了する請求項1から3のいずれかに記載の燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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