説明

燃料電池システム

【課題】燃料電池システムの耐久性の低下を抑制すると共に、燃料ガスから除去した水分を効率よく処理することのできる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】再生用燃焼器22が乾燥器21を加熱することによって乾燥剤から水分を放出させることで、乾燥剤を再生させることができる。ここで、乾燥剤の再生処理時には、バイパスラインとして機能するラインL2によって乾燥器21と再生用燃焼器22とが脱硫部2をバイパスして接続され、再生用燃焼器22が乾燥器21の乾燥剤から放出された水分を燃焼処理することができる。乾燥剤から放出された水分は、脱硫部2を通ることなく再生用燃焼器22にて燃焼処理される。従って、乾燥剤から放出された水分に不純物が含まれていた場合であっても、燃料電池システム1の各要素の耐久性に影響を与えることなく、水分を燃焼処理することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の燃料電池システムとして、燃料ガス中に含まれる水分を除去するものが知られている。例えば、バイオガスを原燃料とする燃料電池システムであって、脱硫器の上流側において冷却器を用いて原燃料中の水分を除去するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この燃料電池システムでは、供給される水分によって脱硫触媒の耐久性が損なわれることを防止しており、更に、冷却器の冷却に燃料電池システムの排熱が利用されている。また、水素含有ガスの水分を除去する除湿装置がセルスタックの上流に設けられた燃料電池システムが知られている(例えば、特許文献2参照)。この燃料電池システムは、除湿効率を向上させるために、水素含有ガスの温度を選択的に下げる冷却装置を備えている。また、原燃料に含まれている水分を選択的に吸収する脱湿部、及び脱湿部を通過した炭化水素燃料に含まれている硫黄化合物を吸収する脱硫部を備えた燃料電池システムが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−198920号公報
【特許文献2】特開2007−042649号公報
【特許文献3】特開2008−277300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、脱硫部よりも上流側で水分除去を行った場合、回収された水分には不純物が含まれている可能性がある。このように不純物が含まれている水分を燃料電池システム内で使用した場合、燃料電池システムの耐久性が損なわれる可能性がある。不純物が含まれている水分を燃料電池システム内で利用せずに外部へ排出する場合も、排出の際に処理を行うための装置が別途必要となる。従来の燃料電池システムでは、回収された水分の不純物についての処理が考慮されていないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、燃料電池システムの耐久性の低下を抑制すると共に、燃料ガスから除去した水分を効率よく処理することのできる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る燃料電池システムは、燃料ガスを脱硫する脱硫部と、燃料ガスを用いて水素含有ガスを発生させる水素発生部と、水素含有ガスを用いて発電を行うセルスタックと、を備える燃料電池システムであって、脱硫部の上流に設けられて前記燃料ガス中の水分を吸収する乾燥剤を有する乾燥部と、乾燥部を加熱することによって乾燥剤から水分を放出させて当該乾燥剤を再生させる加熱部と、乾燥剤から放出された水分を燃焼処理する燃焼部と、乾燥剤の再生処理時に、脱硫部をバイパスして乾燥部と燃焼部とを接続するバイパスラインと、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る燃料電池システムによれば、脱硫部の上流に、燃料ガス中の水分を吸収する乾燥剤を有する乾燥部が設けられている。すなわち、燃料ガス中に水分が含まれている場合であっても、乾燥部にて水分を除去することができるため、脱硫部の脱硫触媒の劣化を防止することができる。更に、加熱部が乾燥部を加熱することによって乾燥剤から水分を放出させることで、乾燥剤を再生させることができる。ここで、乾燥剤の再生処理時には、バイパスラインによって乾燥部と燃焼部が脱硫部をバイパスして接続され、燃焼部が乾燥部の乾燥剤から放出された水分を燃焼処理することができる。すなわち、乾燥剤から放出された水分は、脱硫部を通ることなく燃焼部にて燃焼処理される。従って、乾燥剤から放出された水分に不純物が含まれていた場合であっても、燃料電池システムの各要素の耐久性に影響を与えることなく、水分を燃焼処理することが可能である。以上によって、燃料電池システムの耐久性の低下を抑制すると共に、燃料ガスから除去した水分を効率よく処理することができる。
【0008】
また、本発明に係る燃料電池システムにおいて、加熱部は、燃料ガスを燃焼させる燃焼器で構成されることが好ましい。これによって、発電に用いるための燃料ガスを流用して、再生のための加熱を行うことができる。
【0009】
また、本発明に係る燃料電池システムにおいて、加熱部を構成する燃焼器は、乾燥剤から放出された水分を燃焼処理する燃焼部として機能することが好ましい。このように、燃焼器に乾燥部を加熱する加熱部としての機能と、乾燥剤から放出された水分を燃焼処理する燃焼部としての機能との両方を持たせることにより、加熱部と燃焼部とで個別の装置を用いる必要がない。従って、燃料電池システム内の構成要素を減らし、配管も短くすることが可能となり、燃料電池システムの小型化を図ることができる。
【0010】
また、本発明に係る燃料電池システムにおいて、加熱部は、電気ヒータで構成されることが好ましい。電気ヒータは燃料ガスの供給無しに乾燥部を加熱することができるため、加熱部に対する燃料ガス用の配管を不要とすることができる。
【0011】
また、本発明に係る燃料電池システムは、乾燥部の温度を検出する温度検出部を更に有することが好ましい。これによって、乾燥部の温度を吸湿処理および再生処理に適した温度に管理することができる。
【0012】
また、本発明に係る燃料電池システムにおいて、複数の乾燥部が、脱硫部に対して並列に設けられていることが好ましい。これによって、一方の乾燥部の再生処理を行っている場合でも、他方の乾燥部にて燃料ガスの水分を除去することが可能となる。従って、燃料電池システムの発電のための運転を止めることなく、再生処理が可能となる。
【0013】
また、本発明に係る燃料電池システムにおいて、乾燥部の冷却を行う冷却部を更に備えることが好ましい。これによって、乾燥剤の吸湿による水分除去効率を高めることができる。
【0014】
また、本発明に係る燃料電池システムにおいて、乾燥剤は、A型シリカゲルであることが好ましい。A型シリカゲルは、表面吸着が強く、低湿度における吸着力が大きいという利点がある(コロイド粒子が密に凝集しており、表面積が大きいため)。また、A型シリカゲルは、低湿度においてB型シリカゲルよりも吸湿率が高いという利点がある。
【0015】
また、本発明に係る燃料電池システムにおいて、乾燥剤は、B型シリカゲルであることが好ましい。B型シリカゲルは、毛細管凝縮が強く、高湿度における吸着力が大きいという利点がある(凝集が疎であり、且つ、粒子径が大きく、細孔容積が大きいため)。また、B型シリカゲルは、高湿度においてA型シリカゲルよりも吸湿率が高いという利点がある。また、B型シリカゲルは、再生時にA型シリカゲルに比して高温処理が不要であり、再生処理が容易になるという利点がある。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、燃料電池システムの耐久性の低下を抑制すると共に、燃料ガスから除去した水分を効率よく処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック構成図である。
【図2】図2は、第一実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック構成図である。
【図3】図3は、第二実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック構成図である。
【図4】図4は、第三実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第一実施形態]
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1に示されるように、燃料電池システム1は、脱硫部2と、水気化部3と、水素発生部4と、セルスタック5と、オフガス燃焼部6と、水素含有燃料供給部7と、除湿部20と、水供給部8と、酸化剤供給部9と、パワーコンディショナー10と、制御部11と、を備えている。燃料電池システム1は、水素含有燃料及び酸化剤を用いて、セルスタック5にて発電を行う。燃料電池システム1におけるセルスタック5の種類は特に限定されず、例えば、固体高分子形燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)、固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)、リン酸形燃料電池(PAFC:Phosphoric Acid Fuel Cell)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC:Molten Carbonate Fuel Cell)、及び、その他の種類を採用することができる。なお、セルスタック5の種類、水素含有燃料の種類、及び改質方式等に応じて、図1に示す構成要素を適宜省略してもよい。
【0020】
本実施形態において、水素含有燃料は、気体状の燃料ガスである。なお、燃料ガスとは、常温・常圧下において気体状となる燃料である。水素含有燃料として、例えば、炭化水素系燃料が用いられる。炭化水素系燃料として、分子中に炭素と水素とを含む化合物(酸素等、他の元素を含んでいてもよい)若しくはそれらの混合物が用いられる。炭化水素系燃料として、例えば、炭化水素類、バイオ燃料が挙げられ、これらの炭化水素系燃料は従来の石油・石炭等の化石燃料由来のもの、合成ガス等の合成系燃料由来のもの、バイオマス由来のものを適宜用いることができる。具体的には、炭化水素類として、メタン、エタン、プロパン、ブタン、天然ガス、LPG(液化石油ガス)、都市ガス、タウンガスが挙げられる。バイオ燃料として、バイオガスが挙げられる。
【0021】
酸化剤として、例えば、空気、純酸素ガス(通常の除去手法で除去が困難な不純物を含んでもよい)、酸素富化空気が用いられる。
【0022】
脱硫部2は、水素発生部4に供給される水素含有燃料に係る燃料ガスの脱硫を行う。脱硫部2は、水素含有燃料に係る燃料ガスに含有される硫黄化合物を除去するための脱硫触媒を有している。脱硫部2の脱硫方式として、例えば、硫黄化合物を吸着して除去する吸着脱硫方式や、硫黄化合物を水素と反応させて除去する水素化脱硫方式が採用される。脱硫部2は、脱硫した水素含有燃料に係る燃料ガスを水素発生部4へ供給する。
【0023】
水気化部3は、水を加熱し気化させることによって、水素発生部4に供給される水蒸気を生成する。水気化部3における水の加熱は、例えば、水素発生部4の熱、オフガス燃焼部6の熱、あるいは排ガスの熱を回収する等、燃料電池システム1内で発生した熱を用いてもよい。また、別途ヒータ、バーナ等の他熱源を用いて水を加熱してもよい。なお、図1では、一例としてオフガス燃焼部6から水素発生部4へ供給される熱のみ記載されているが、これに限定されない。水気化部3は、生成した水蒸気を水素発生部4へ供給する。
【0024】
水素発生部4は、脱硫部2からの水素含有燃料を用いて水素リッチガスを発生させる。水素発生部4は、水素含有燃料を改質触媒によって改質する改質器を有している。水素発生部4での改質方式は、特に限定されず、例えば、水蒸気改質、部分酸化改質、自己熱改質、その他の改質方式を採用できる。なお、水素発生部4は、セルスタック5に要求される水素リッチガスの性状によって、改質触媒により改質する改質器の他に性状を調整するための構成を有する場合もある。例えば、セルスタック5のタイプが固体高分子形燃料電池(PEFC)やリン酸形燃料電池(PAFC)であった場合、水素発生部4は、水素リッチガス中の一酸化炭素を除去するための構成(例えば、シフト反応部、選択酸化反応部)を有する。水素発生部4は、水素リッチガスをセルスタック5のアノード12へ供給する。
【0025】
セルスタック5は、水素発生部4からの水素リッチガス及び酸化剤供給部9からの酸化剤を用いて発電を行う。セルスタック5は、水素リッチガスが供給されるアノード12と、酸化剤が供給されるカソード13と、アノード12とカソード13との間に配置される電解質14と、を備えている。セルスタック5は、パワーコンディショナー10を介して、電力を外部へ供給する。セルスタック5は、発電に用いられなかった水素リッチガス及び酸化剤をオフガスとして、オフガス燃焼部6へ供給する。なお、水素発生部4が備えている燃焼部(例えば、改質器を加熱する燃焼器など)をオフガス燃焼部6と共用してもよい。
【0026】
オフガス燃焼部6は、セルスタック5から供給されるオフガスを燃焼させる。オフガス燃焼部6によって発生する熱は、水素発生部4へ供給され、水素発生部4での水素リッチガスの発生に用いられる。
【0027】
水素含有燃料供給部7は、脱硫部2へ水素含有燃料に係る燃料ガスを供給する。水供給部8は、水気化部3へ水を供給する。酸化剤供給部9は、セルスタック5のカソード13へ酸化剤を供給する。水素含有燃料供給部7、水供給部8、及び酸化剤供給部9は、例えばポンプによって構成されており、制御部11からの制御信号に基づいて駆動する。
【0028】
パワーコンディショナー10は、セルスタック5からの電力を、外部での電力使用状態に合わせて調整する。パワーコンディショナー10は、例えば、電圧を変換する処理や、直流電力を交流電力へ変換する処理を行う。
【0029】
制御部11は、燃料電池システム1全体の制御処理を行う。制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び入出力インターフェイスを含んで構成されたデバイスによって構成される。制御部11は、水素含有燃料供給部7、水供給部8、酸化剤供給部9、パワーコンディショナー10、その他、図示されないセンサや補機と電気的に接続されている。制御部11は、燃料電池システム1内で発生する各種信号を取得すると共に、燃料電池システム1内の各機器へ制御信号を出力する。
【0030】
脱硫部2に供給される水素含有燃料に係る燃料ガスとして高露点のもの、すなわち水分を含んだものが適用される場合がある。水分を含んだ燃料ガスが供給された場合、脱硫触媒は水分の影響により劣化する場合がある。燃料電池システム1は、燃料ガスに含まれる水分を除去すると共に、当該除去した水分に含まれる不純物を系外に排出することなくシステム内で処理する機能を有している。ただし、燃料電池システム1には、水分を含まない水素含有燃料が供給されてもよい。図1及び図2に示すように、燃料電池システム1は、燃料ガスを除湿する除湿部20を備えている。
【0031】
除湿部20は、燃料ガスを供給する水素含有燃料供給部7として機能するポンプ31と、脱硫部2との間に設けられている。また、ポンプ31と除湿部20との間には燃料ガスの流量を測定する流量計32が設けられている。除湿部20は、脱硫部2の上流に設けられて燃料ガス中の水分を吸収する乾燥剤を有する乾燥器21と、乾燥部を加熱して再生させると共に乾燥剤から放出された水分を燃焼処理する再生用燃焼器22と、温度を検出する温度検出部23と、ガスの流れを変更する弁24と、乾燥剤を冷却する冷却部33を備えている。
【0032】
乾燥器21は、乾燥剤を有しており、通過する燃料ガスに含まれている水分を乾燥剤で吸収することによって、脱硫部2の上流側において除去する。乾燥器21には、熱電対やサーミスタなどの温度検出部23が取り付けられている。乾燥剤は、例えば、A型シリカゲル、B型シリカゲルなどを用いることができる。A型シリカゲルは、表面吸着が強く、低湿度における吸着力が大きいという利点がある(コロイド粒子が密に凝集しており、表面積が大きいため)。また、A型シリカゲルは、低湿度においてB型シリカゲルよりも吸湿率が高いという利点がある。B型シリカゲルは、毛細管凝縮が強く、高湿度における吸着力が大きいという利点がある(凝集が疎であり、且つ、粒子径が大きく、細孔容積が大きいため)。また、B型シリカゲルは、高湿度においてA型シリカゲルよりも吸湿率が高いという利点がある。また、B型シリカゲルは、再生時にA型シリカゲルに比して高温処理が不要であり、再生処理が容易になるという利点がある。
【0033】
再生用燃焼器22は、再生処理時に、燃料ガスを燃焼させることで乾燥器21を加熱する機能を有している。これによって、再生用燃焼器22は、乾燥器21を加熱することによって乾燥剤から水分を放出させて当該乾燥剤を再生する機能を有する。また、再生用燃焼器22は、乾燥器21の乾燥剤から放出された水分を燃焼処理する機能も有している。すなわち、乾燥剤から放出された水分を含む燃料ガスを燃焼させることで、不純物を含む水分を処理することができる。
【0034】
弁24は、乾燥器21の下流に配置されている。弁24は、乾燥器21を通過した燃料ガスを脱硫部2へ導くラインL1と、乾燥器21を通過した燃料ガスを再生用燃焼器22へ導くラインL2と、の間で切り替え可能である。弁24がラインL1側を開いてラインL2側を閉じた場合、燃料ガスはラインL1を通って脱硫部2へ供給される。弁24がラインL2側を開いてラインL1側を閉じた場合、燃料ガスはラインL2を通って再生用燃焼器22へ供給される。当該燃料ガスは再生用燃焼器22で燃焼され、排気ガスがラインL3を通って、セルスタック5からの排気ガスと共に系外へ排出される。このように、ラインL2は、再生処理時に、脱硫部2(更に、脱硫部2よりも下流にある水素発生部4やセルスタック5)をバイパスして乾燥器21と再生用燃焼器22とを接続するバイパスラインとして機能する。
【0035】
冷却部33は、乾燥剤を冷却することによって、乾燥剤での水分除去効率を高める機能を有している。このような冷却部33として、例えば、蒸気圧縮式冷却サイクル、スターリング冷凍サイクル、ペルチェ冷却器、その他の種類の冷却器が挙げられる。
【0036】
制御部11は、セルスタック5で発電を行う通常運転処理部110と、乾燥器21の乾燥剤の再生処理を行う再生処理部120と、を備えている。制御部11は、ポンプ31、再生用燃焼器22、弁24、温度検出部23、流量計32、冷却部33と電気的に接続されており、各要素との間で信号の送信または受信を行う。
【0037】
このとき、制御部11の通常運転処理部110は、温度検出部23からの検出結果に基づいて、乾燥器21の温度が吸湿処理に適した温度となるよう監視する。例えば、通常運転処理部110は、温度検出部23の検出温度が所定の閾値を超える場合、冷却部33を稼動させることで、乾燥剤を冷却する。燃料ガスに含まれている水分を、乾燥器21の温度が所定の閾値を超える状態で吸収した場合、乾燥剤での水分除去効率が低下する虞があるが、制御部11はこれを防止することができる。
【0038】
次に、燃料電池システム1の動作について説明する。
【0039】
まず、セルスタック5において発電を行う通常運転処理について説明する。制御部11の通常運転処理部110は、弁24を制御することでラインL1側の経路を開放すると共にラインL2側の経路を閉じておき、ポンプ31を作動させる。これによって、燃料ガスは、乾燥器21を通過することによって乾燥剤で水分を除去された状態で、ラインL1を通って脱硫部2に供給される。脱硫部2に供給された燃料ガスは脱硫された後、水素発生部4にて水素リッチガスの発生に用いられ、セルスタック5での発電に用いられる。このとき、制御部11の通常運転処理部110は、冷却部33を制御することで乾燥器21の乾燥剤を冷却する。
【0040】
次に、乾燥器21の乾燥剤を再生する再生処理について説明する。燃料電池システム1は、例えば、通常運転を所定時間行ったタイミングで定期的に再生処理を行ってもよく、連続運転を停止するための停止工程時に再生処理を行ってもよい。
【0041】
制御部11の再生処理部120は、ポンプ31及び冷却部33の運転を停止し、弁24を制御することでラインL2側の経路を開放すると共にラインL1側の経路を閉じる。再生処理部120は、ポンプ31を再び作動させることによって、ラインL2を介して再生用燃焼器22へ燃料ガスを供給し、再生用燃焼器22を着火することで、燃料ガスを燃焼させる。これによって、再生用燃焼器22は、乾燥器21を加熱することによって乾燥剤から水分を放出させて当該乾燥剤を再生する。乾燥剤から放出された水分は、燃料ガスと共にラインL2を介して再生用燃焼器22へ向かう。これによって、乾燥剤から放出された水分は再生用燃焼器22にて燃焼処理される。再生用燃焼器22からの排気ガスはラインL3を通って(脱硫部2、水素発生部4、セルスタック5は通らない)、系外へ排出される。すなわち、乾燥剤から放出された水分が不純物を含むものであったとしても、再生用燃焼器22にて燃焼処理されるため、特別な処理をする必要なく、排気ガスとして系外へ排出することができる。
【0042】
このとき、制御部11の再生処理部120は、温度検出部23からの検出結果に基づいて、乾燥器21の温度が再生処理に適した温度となるよう監視する。例えば、再生処理部120は、温度検出部23の検出温度が所定の閾値を超えた場合、再生用燃焼器22への燃料ガスの供給量を低減(または停止)させることで、過加熱を回避する。過加熱の状態で乾燥器21を加熱した場合、エネルギー効率が低下する虞や乾燥剤自体を劣化させる虞があるが、制御部11は過加熱を防止することができる。
【0043】
燃料電池システム1は、例えば、再生処理を所定温度にて所定時間行ったタイミングで再生処理を終了し、通常運転処理へ移行する。なお、通常運転処理部110は、温度検出部23の検出結果に基づき、乾燥器21が燃料ガスの除湿に適した温度になったことを確認した後に、通常運転を開始してもよい。
【0044】
以上により、本実施形態に係る燃料電池システム1によれば、脱硫部2の上流に、燃料ガス中の水分を吸収する乾燥剤を有する乾燥器21が設けられている。すなわち、燃料ガス中に水分が含まれている場合であっても、乾燥器21にて水分を除去することができるため、脱硫部2の脱硫触媒の劣化を防止することができる。更に、再生用燃焼器22が乾燥器21を加熱することによって乾燥剤から水分を放出させることで、乾燥剤を再生させることができる。ここで、乾燥剤の再生処理時には、バイパスラインとして機能するラインL2によって乾燥器21と再生用燃焼器22とが脱硫部2をバイパスして接続され、再生用燃焼器22が乾燥器21の乾燥剤から放出された水分を燃焼処理することができる。すなわち、乾燥剤から放出された水分は、脱硫部2(また、脱硫部2よりも下流にある水素発生部4やセルスタック5)を通ることなく再生用燃焼器22にて燃焼処理される。従って、乾燥剤から放出された水分に不純物が含まれていた場合であっても、燃料電池システム1の各要素の耐久性に影響を与えることなく、水分を燃焼処理することが可能である。以上によって、燃料電池システム1の耐久性の低下を抑制すると共に、燃料ガスから除去した水分を効率よく処理することができる。
【0045】
また、本実施形態に係る燃料電池システム1において、乾燥器21を加熱して再生する加熱部は、燃料ガスを燃焼させる再生用燃焼器22で構成されている。これによって、発電に用いるための燃料ガスを流用して、再生のための加熱を行うことができる。
【0046】
また、本実施形態に係る燃料電池システム1において、乾燥器21を加熱して再生する再生用燃焼器22は、乾燥剤から放出された水分を燃焼処理する燃焼部としても機能する。このように、再生用燃焼器22に乾燥器21を加熱する加熱部としての機能と、乾燥剤から放出された水分を燃焼処理する燃焼部としての機能との両方を持たせることにより、加熱部と燃焼部とで個別の装置を用いる必要がない。従って、燃料電池システム1内の構成要素を減らし、配管も短くすることが可能となり、燃料電池システム1の小型化を図ることができる。
【0047】
[第二実施形態]
図3は、第二実施形態に係る燃料電池システム200のブロック構成を示す図である。第二実施形態に係る燃料電池システム200は、乾燥器21を加熱するための加熱部として再生用電気ヒータ222を用い、乾燥剤から放出された水分を燃焼処理する燃焼部としてバックアップボイラ43を用いる点で、第一実施形態に係る燃料電池システム1と主に相違する。
【0048】
図3に示すように、燃料電池システム200は、ポンプ31からセルスタック5へ向かうラインとは別ラインとして、バックアップボイラ用ポンプ41と、バックアップボイラ用流量計42と、バックアップボイラ43と、を備えている。このバックアップボイラ43は、通常運転時には、セルスタック5の排気ガスなどの熱だけでは貯湯槽(不図示)に対する熱量が不十分な場合に、補助的に貯湯槽へ熱量を供給するための装置である。バックアップボイラ用ポンプ41が作動することにより、燃料ガスの供給源からラインL5を介してバックアップボイラ43へ燃料ガスが供給される。バックアップボイラ43は、弁24とラインL4を介して接続されている。また、バックアップボイラ43は、再生処理時には、ラインL4を介して、乾燥剤から放出された水分を燃料ガスと共に燃焼処理する機能を有する。バックアップボイラ用ポンプ41、バックアップボイラ用流量計42、及びバックアップボイラ43は制御部11と電気的に接続されている。
【0049】
除湿部220は、再生時に乾燥器21を加熱して乾燥剤を再生させる再生用電気ヒータ222を備えている。再生用電気ヒータ222は、制御部11と電気的に接続されている。また、弁24は、乾燥器21を通過した燃料ガスを脱硫部2へ導くラインL1と、乾燥器21を通過した燃料ガスをバックアップボイラ43へ導くラインL4と、の間で切り替え可能である。弁24がラインL1側を開いてラインL4側を閉じた場合、燃料ガスはラインL1を通って脱硫部2へ供給される。弁24がラインL4側を開いてラインL1側を閉じた場合、燃料ガスはラインL4を通ってバックアップボイラ43へ供給される。当該燃料ガスはバックアップボイラ43で燃焼され、排気ガスが系外へ排出される。このように、ラインL4は、再生処理時に、脱硫部2をバイパスして乾燥器21とバックアップボイラ43とを接続するバイパスラインとして機能する。
【0050】
次に、燃料電池システム200の動作について説明する。
【0051】
まず、セルスタック5において発電を行う通常運転処理について説明する。制御部11の通常運転処理部110は、弁24を制御することでラインL1側の経路を開放すると共にラインL4側の経路を閉じておき、ポンプ31を作動させる。これによって、燃料ガスは、乾燥器21を通過することによって乾燥剤で水分を除去された状態で、ラインL1を通って脱硫部2に供給される。脱硫部2に供給された燃料ガスは脱硫された後、水素発生部4にて水素リッチガスの発生に用いられ、セルスタック5での発電に用いられる。このとき、制御部11の通常運転処理部110は、冷却部33を制御することで乾燥器21の乾燥剤を冷却する。なお、通常運転処理部110は、貯湯槽の状況に合わせて、バックアップボイラ用ポンプ41とバックアップボイラ43を作動させる。
【0052】
次に、乾燥器21の乾燥剤を再生する再生処理について説明する。燃料電池システム200は、例えば、通常運転を所定時間行ったタイミングで定期的に再生処理を行ってもよく、連続運転を停止するための停止工程中に再生処理を行ってもよい。
【0053】
制御部11の再生処理部120は、ポンプ31及び冷却部33の運転を停止し、弁24を制御することでラインL4側の経路を開放すると共にラインL1側の経路を閉じる。一方、再生処理部120は、再生用電気ヒータ222を作動させる。これによって、再生用電気ヒータ222は、乾燥器21を加熱することによって乾燥剤から水分を放出させて当該乾燥剤を再生する。また、再生処理部120は、ポンプ31を再び作動させることによって、ラインL4を介してバックアップボイラ43へ燃料ガスを供給し、バックアップボイラ43を着火することで、燃料ガスを燃焼させる。このとき、乾燥剤から放出された水分も、燃料ガスと共にバックアップボイラ43へ向かう。これによって、乾燥剤から放出された水分はバックアップボイラ43にて燃焼処理される。バックアップボイラ43からの排気ガスは系外へ排出される。すなわち、乾燥剤から放出された水分が不純物を含むものであったとしても、システム内の既存の装置であるバックアップボイラ43にて燃焼処理されるため、特別な処理をする必要なく、処理のための特別な装置を設ける必要なく、排気ガスとして系外へ排出することができる。
【0054】
このとき、制御部11の再生処理部120は、温度検出部23からの検出結果に基づいて、乾燥器21の温度が再生処理に適した温度となるよう監視する。例えば、再生処理部120は、温度検出部23の検出温度が所定の閾値を超えた場合、再生用電気ヒータ222の出力を低減(または停止)させることで、過加熱を回避する。過加熱の状態で乾燥器21を加熱した場合、エネルギー効率が低下する虞や乾燥剤自体を劣化させる虞があるが、制御部11は過加熱を防止することができる。
【0055】
燃料電池システム200は、例えば、再生処理を所定温度にて所定時間行ったタイミングで再生処理を終了し、通常運転処理へ移行する。なお、通常運転処理部110は、温度検出部23の検出結果に基づき、乾燥器21が燃料ガスの除湿に適した温度になったことを確認した後に、通常運転を開始してもよい。
【0056】
以上により、本実施形態に係る燃料電池システム200によれば、脱硫部2の上流に、燃料ガス中の水分を吸収する乾燥剤を有する乾燥器21が設けられている。すなわち、燃料ガス中に水分が含まれている場合であっても、乾燥器21にて水分を除去することができるため、脱硫部2の脱硫触媒の劣化を防止することができる。更に、再生用電気ヒータ222が乾燥器21を加熱することによって乾燥剤から水分を放出させることで、乾燥剤を再生させることができる。ここで、乾燥剤の再生処理時には、バイパスラインとして機能するラインL4によって乾燥器21とバックアップボイラ43とが脱硫部2をバイパスして接続され、バックアップボイラ43が乾燥器21の乾燥剤から放出された水分を燃焼処理することができる。すなわち、乾燥剤から放出された水分は、脱硫部2(また、脱硫部2よりも下流にある水素発生部4やセルスタック5)を通ることなくバックアップボイラ43にて燃焼処理される。従って、乾燥剤から放出された水分に不純物が含まれていた場合であっても、燃料電池システム200の各要素の耐久性に影響を与えることなく、水分を燃焼処理することが可能である。以上によって、燃料電池システム200の耐久性の低下を抑制すると共に、燃料ガスから除去した水分を効率よく処理することができる。
【0057】
また、本実施形態に係る燃料電池システム200において、乾燥器21を加熱する加熱部は、再生用電気ヒータ222で構成されている。再生用電気ヒータ222は燃料ガスの供給無しに乾燥器21を加熱することができるため、加熱部に対する燃料ガス用の配管を不要とすることができる。
【0058】
[第三実施形態]
図4は、第三実施形態に係る燃料電池システム300のブロック構成を示す図である。第三実施形態に係る燃料電池システム300は、一つの脱硫部2に対して二つの除湿部20A,20Bが並列に設けられている点で第一実施形態に係る燃料電池システム1と主に相違している。
【0059】
図4に示すように、燃料電池システム300は、一つの脱硫部2に対して二つの燃料ガス供給ラインが設けられており、一方のラインにはポンプ31A、流量計32A、冷却部33A、除湿部20Aが設けられており、他方のラインにはポンプ31B、流量計32B、冷却部33B、除湿部20Bが設けられている。除湿部20Aは、乾燥器21A、再生用燃焼器22A、温度検出部23A、弁24Aを備えている。除湿部20Bは、乾燥器21B、再生用燃焼器22B、温度検出部23B、弁24Bを備えている。制御部11は、ポンプ31A,31B、再生用燃焼器22A,22B、弁24A,24B、温度検出部23A,23B、流量計32A,32B、冷却部33A,33Bと電気的に接続されており、各要素との間で信号の送信または受信を行う。
【0060】
弁24Aは、乾燥器21Aを通過した燃料ガスを脱硫部2へ導くラインL1Aと、乾燥器21Aを通過した燃料ガスを再生用燃焼器22Aへ導くラインL2Aと、の間で切り替え可能である。弁24AがラインL1A側を開いてラインL2A側を閉じた場合、燃料ガスはラインL1Aを通って脱硫部2へ供給される。弁24AがラインL2A側を開いてラインL1A側を閉じた場合、燃料ガスはラインL2Aを通って再生用燃焼器22Aへ供給される。当該燃料ガスは再生用燃焼器22Aで燃焼され、排気ガスがラインL3Aを通って、セルスタック5からの排気ガスと共に系外へ排出される。このように、ラインL2Aは、再生処理時に、脱硫部2をバイパスして乾燥器21Aと再生用燃焼器22Aとを接続するバイパスラインとして機能する。
【0061】
弁24Bは、乾燥器21Bを通過した燃料ガスを脱硫部2へ導くラインL1Bと、乾燥器21Bを通過した燃料ガスを再生用燃焼器22Bへ導くラインL2Bと、の間で切り替え可能である。弁24BがラインL1B側を開いてラインL2B側を閉じた場合、燃料ガスはラインL1Bを通って脱硫部2へ供給される。弁24BがラインL2B側を開いてラインL1B側を閉じた場合、燃料ガスはラインL2Bを通って再生用燃焼器22Bへ供給される。当該燃料ガスは再生用燃焼器22Bで燃焼され、排気ガスがラインL3Bを通って、セルスタック5からの排気ガスと共に系外へ排出される。このように、ラインL2Bは、再生処理時に、脱硫部2をバイパスして乾燥器21Bと再生用燃焼器22Bとを接続するバイパスラインとして機能する。
【0062】
次に、燃料電池システム300の動作について説明する。
【0063】
まず、除湿部20A側で通常運転処理を行い、除湿部20B側で再生処理を行う場合について説明する。制御部11の通常運転処理部110は、弁24Aを制御することでラインL1A側の経路を開放すると共にラインL2A側の経路を閉じておき、ポンプ31Aを作動させる。これによって、燃料ガスは、乾燥器21Aを通過することによって乾燥剤で水分を除去された状態で、ラインL1Aを通って脱硫部2に供給される。脱硫部2に供給された燃料ガスは脱硫された後、水素発生部4にて水素リッチガスの発生に用いられ、セルスタック5での発電に用いられる。このとき、制御部11の通常運転処理部110は、温度検出部23Aからの検出結果に基づいて、冷却部33Aを制御することで乾燥器21Aの乾燥剤を冷却する。
【0064】
一方、制御部11の再生処理部120は、弁24Bを制御することでラインL2B側の経路を開放すると共にラインL1B側の経路を閉じる。再生処理部120は、ポンプ31Bを作動させることによって、ラインL2Bを介して再生用燃焼器22Bへ燃料ガスを供給し、再生用燃焼器22Bを着火することで、燃料ガスを燃焼させる。これによって、再生用燃焼器22Bは、乾燥器21Bを加熱することによって乾燥剤から水分を放出させて当該乾燥剤を再生する。乾燥剤から放出された水分は、燃料ガスと共にラインL2Bを介して再生用燃焼器22Bへ向かう。これによって、乾燥剤から放出された水分は再生用燃焼器22Bにて燃焼処理される。再生用燃焼器22Bからの排気ガスはラインL3Bを通って(脱硫部2、水素発生部4、セルスタック5は通過しない)、系外へ排出される。すなわち、乾燥剤から放出された水分が不純物を含むものであったとしても、再生用燃焼器22Bにて燃焼処理されるため、特別な処理をする必要なく、排気ガスとして系外へ排出することができる。
【0065】
次に、除湿部20B側で通常運転処理を行い、除湿部20A側で再生処理を行う場合について説明する。制御部11の通常運転処理部110は、弁24Bを制御することでラインL1B側の経路を開放すると共にラインL2B側の経路を閉じておき、ポンプ31Bを作動させる。これによって、燃料ガスは、乾燥器21Bを通過することによって乾燥剤で水分を除去された状態で、ラインL1Bを通って脱硫部2に供給される。脱硫部2に供給された燃料ガスは脱硫された後、水素発生部4にて水素リッチガスの発生に用いられ、セルスタック5での発電に用いられる。このとき、制御部11の通常運転処理部110は、温度検出部23Bからの検出結果に基づいて、冷却部33Bを制御することで乾燥器21Bの乾燥剤を冷却する。
【0066】
一方、制御部11の再生処理部120は、弁24Aを制御することでラインL2A側の経路を開放すると共にラインL1A側の経路を閉じる。再生処理部120は、ポンプ31Aを作動させることによって、ラインL2Aを介して再生用燃焼器22Aへ燃料ガスを供給し、再生用燃焼器22Aを着火することで、燃料ガスを燃焼させる。これによって、再生用燃焼器22Aは、乾燥器21Aを加熱することによって乾燥剤から水分を放出させて当該乾燥剤を再生する。乾燥剤から放出された水分は、燃料ガスと共にラインL2Aを介して再生用燃焼器22Aへ向かう。これによって、乾燥剤から放出された水分は再生用燃焼器22Aにて燃焼処理される。再生用燃焼器22Aからの排気ガスはラインL3Aを通って(脱硫部2、水素発生部4、セルスタック5は通過しない)、系外へ排出される。すなわち、乾燥剤から放出された水分が不純物を含むものであったとしても、再生用燃焼器22Aにて燃焼処理されるため、特別な処理をする必要なく、排気ガスとして系外へ排出することができる。なお、図4では、除湿部20A側で再生処理を行い、除湿部20B側で通常運転処理を行っているときの様子を示している。
【0067】
なお、各除湿部20A,20Bにおける通常運転処理と再生処理の切り替えのタイミングは特に限定されず、どのように切り替えてもよい。
【0068】
例えば、除湿部20Aの乾燥剤の再生が必要になったとき、除湿部20Bの通常運転処理を開始すると共に除湿部20Aの再生処理を開始し、除湿部20Aの再生処理が終了したら除湿部20A側のラインの動作を休止しておき、引き続き除湿部20B側にて通常運転処理を続行してもよい。次に、除湿部20Bの乾燥剤の再生が必要になったとき、除湿部20Aの通常運転処理を開始すると共に除湿部20Bの再生処理を開始してもよい。
【0069】
あるいは、一方の除湿部をメインとして通常運転処理に用い、他方の除湿部は予備的なものとし、メインの除湿部にて再生処理しているときにのみ通常運転処理を行うようにしてもよい。例えば、除湿部20Aの乾燥剤の再生が必要になったとき、除湿部20Bの通常運転処理を開始すると共に除湿部20Aの再生処理を開始し、除湿部20Aの再生処理が終了したら、当該除湿部20A側にて再び通常運転処理を開始し、除湿部20B側のラインの動作を休止しておいてよい。この場合、除湿部20Bは除湿部20Aの予備として用いられるので、乾燥剤の量を除湿部20Aのものより減らすことも可能である。
【0070】
以上によって、本実施形態に係る燃料電池システム300によれば、複数の乾燥器21A,21Bが、脱硫部2に対して並列に設けられている。これによって、一方の乾燥部の再生処理を行っている場合でも、他方の乾燥部にて燃料ガスの水分を除去することが可能となる。従って、燃料電池システム300の発電のための運転を止めることなく、再生処理が可能となる。
【0071】
本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではない。例えば、第一実施形態に係る燃料電池システム1や第三実施形態に係る燃料電池システム300に、バックアップボイラ用ポンプやバックアップボイラを設けてもよい。また、第三実施形態では、二つの除湿部を並列に設けた構成について説明したが、更に多くの除湿部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1,200,300…燃料電池システム、2…脱硫部、4…水素発生部、5…セルスタック、20,220,20A,20B…除湿部、21,21A,21B…乾燥器(乾燥部)、22,22A,22B…再生用燃焼器(加熱部、燃焼部)、23,23A,23B…温度検出部、33,33A,33B…冷却部、43…バックアップボイラ(燃焼部)、222…再生用電気ヒータ(加熱部)、L2,L2A,L2B,L4…ライン(バイパスライン)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスを脱硫する脱硫部と、
前記燃料ガスを用いて水素含有ガスを発生させる水素発生部と、
前記水素含有ガスを用いて発電を行うセルスタックと、を備える燃料電池システムであって、
前記脱硫部の上流に設けられて前記燃料ガス中の水分を吸収する乾燥剤を有する乾燥部と、
前記乾燥部を加熱することによって前記乾燥剤から水分を放出させて当該乾燥剤を再生させる加熱部と、
前記乾燥剤から放出された水分を燃焼処理する燃焼部と、
前記乾燥剤の再生処理時に、前記脱硫部をバイパスして前記乾燥部と前記燃焼部とを接続するバイパスラインと、を備えることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記加熱部は、前記燃料ガスを燃焼させる燃焼器で構成されることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記加熱部を構成する前記燃焼器は、前記乾燥剤から放出された水分を燃焼処理する前記燃焼部として機能することを特徴とする請求項2記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記加熱部は、電気ヒータで構成されることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記乾燥部の温度を検出する温度検出部を更に有することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項記載の燃料電池システム。
【請求項6】
複数の前記乾燥部が、前記脱硫部に対して並列に設けられていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記乾燥部の冷却を行う冷却部を更に備えることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記乾燥剤は、A型シリカゲルであることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項記載の燃料電池システム。
【請求項9】
前記乾燥剤は、B型シリカゲルであることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項記載の燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−45756(P2013−45756A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185170(P2011−185170)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000004444)JX日鉱日石エネルギー株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】