説明

燃料電池システム

【課題】 熱交換手段におけるクロスコネクションの発生を検知して、異常な運転状態が継続することを防止可能な燃料電池システムを提供する。
【解決手段】 燃料電池1と、前記燃料電池の発電に関連する排熱を回収するための貯湯水を貯蔵する貯湯タンク6と、前記貯湯タンクからの貯湯水と前記排熱の媒介流体との間で熱交換させる熱交換器5と、前記熱交換器において前記貯湯水と熱交換した後の前記排熱の媒介流体中の水を貯蔵する水タンク2と、前記水タンク内の水位を検知する水位センサ9,12と、前記水位センサが検知する水位に基づき異常の発生を報知する異常報知器13aと、制御装置13とを備え、前記制御装置は、前記水位センサにより前記水タンク内の水位の異常な変化が検知されると前記異常報知器に異常の発生を報知させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池を備える燃料電池システムに関し、特に、燃料電池の排熱を用いて生成した貯湯水を貯湯タンクに貯蔵してそれを給湯や暖房等の用途に提供することが可能な燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高効率な小規模発電が可能である燃料電池システムは、発電運転の際に発生する熱エネルギーを利用するための構成が比較的簡易な構成であるため、高いエネルギー利用効率を実現可能な分散型の発電システムとして鋭意開発が進められている。
【0003】
燃料電池システムは、その発電部の本体として、燃料電池スタック(以下、単に「燃料電池」という)を備えている。この燃料電池では、発電運転の際、水素を含む燃料ガスがアノード側に供給されると共に、酸素を含む酸化剤ガスがカソード側に供給される。すると、この燃料電池では、燃料ガス及び酸化剤ガスが含む水素及び酸素が用いられて、所定の電気化学反応が進行する。このように、燃料電池において所定の電気化学反応が進行することで、燃料電池システムは負荷に向けて所望の電力を供給する。
【0004】
ところで、燃料電池システムの発電運転の際、その燃料電池では、所定の電気化学反応が進行することに伴う熱エネルギーが発生する。一方、燃料電池システムにおいて、燃料電池を好適に発電運転させるためには、燃料電池において所定の電気化学反応を好適に進行させるために、その燃料電池の温度が所定の温度範囲内の温度となるように制御する必要がある。そのため、燃料電池システムは、燃料電池を冷却するための冷却構成を備えている。この冷却構成は、例えば、金属イオン等の不純物が十分に除去された冷却水が燃料電池と放熱器との間で循環されるように構成されている。これにより、燃料電池で発生した熱エネルギーが冷却水及び放熱器を介して排出されるので、所定の電気化学反応の進行が好適に確保され、よって燃料電池システムの発電運転が好適に確保される。
【0005】
しかしながら、燃料電池で発生した熱エネルギーを冷却水及び放熱器を介して単に排出する構成とすると、燃料電池の運転温度を適切な運転温度に制御することはできるが、熱エネルギーを有効に利用することができないため、燃料電池システムのエネルギー利用効率が著しく低下する。
【0006】
そこで、発電運転の際に発生する熱エネルギーを積極的に利用して、高いエネルギー利用効率を実現するべく、発電運転の際に燃料電池から排出される熱エネルギーを熱交換器に供給することで生成した温水を貯湯タンクに貯蔵してそれを給湯や暖房等の用途に提供可能な燃料電池システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
図9は、従来の燃料電池システムの構成を模式的に示すブロック図である。
【0008】
図9に示すように、従来の燃料電池システム500は、発電ユニット101と、排熱回収手段106と、貯湯タンク104とを備えている。ここで、発電ユニット101は、改質器102及び燃料電池103を備えている。又、排熱回収手段106は、顕熱回収熱交換部109と、冷却水排熱回収熱交換部110と、潜熱回収熱交換部111とを備えている。顕熱回収熱交換部109は、改質器102から排出された水蒸気を含む排気ガスの顕熱を回収する。又、排熱回収手段106の冷却水排熱回収熱交換部110は、燃料電池103を冷却した後の冷却水の排熱を回収する。又、排熱回収手段106の潜熱回収熱交換部111は、顕熱回収熱交換部109において顕熱を回収した後の水蒸気の凝縮に伴う潜熱を回収する。
【0009】
そして、図9に示すように、この従来の燃料電池システム500では、貯湯タンク104の図9では下方と上方とを接続する循環配管105の一部が、排熱回収手段106の顕熱回収熱交換部109、冷却水排熱回収熱交換部110、潜熱回収熱交換部111の内部に配置されている。又、環状の循環配管112の一部が、燃料電池103及び冷却水排熱回収熱交換部110の内部に配置されている。
【0010】
ここで、図9では図示しないが、この従来の燃料電池システム500の冷却水排熱回収熱交換部110では、循環配管105を通流する水(以下、貯湯タンク104が貯蔵する水も含め、総称して「貯湯水」という)が循環配管112を通流する冷却水に混入すること(クロスコネクションの1つの形態)を防止するために、その貯湯水と冷却水とを伝熱可能な状態で離隔する熱交換壁が設けられている。又、顕熱回収熱交換部109及び潜熱回収熱交換部111においても、排気ガス及び水蒸気への貯湯水の混入を防止するための熱交換壁が設けられている。
【0011】
かかる従来の燃料電池システム500では、発電運転の際、循環配管105を通流する貯湯水が排熱回収手段106の潜熱回収熱交換部111、冷却水排熱回収熱交換部110及び顕熱回収熱交換部109において順次加熱される。そして、排熱回収手段106により加熱された貯湯水が、貯湯タンク104に貯蔵される。この貯湯タンク104に貯蔵された貯湯水が、給湯や暖房等の用途に提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−289213号公報(第2−3頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記提案された従来の燃料電池システム500の構成では、冷却水排熱回収熱交換部110の熱交換壁の一部に腐食によるクラックが生じた場合には、循環配管105を通流する貯湯水が循環配管112を通流する冷却水に混入する場合がある。この場合、金属イオン等の不純物を含む貯湯水(市水)が冷却水に混入するので、冷却水の導電率が上昇して、燃料電池103において漏電が発生する。尚、一般的に、鉛直方向に高い貯湯タンク104に接続された循環配管105内の水圧は比較的高いため、循環配管105から循環配管112に貯湯水が混入する危険性は高い。
【0014】
又、顕熱回収熱交換部109や潜熱回収熱交換部111の熱交換壁の一部に腐食によるクラックが生じた場合には、循環配管105を通流する貯湯水が改質器102から排出された排気ガスや顕熱回収熱交換部109から排出された水蒸気に混入する場合がある。この場合、貯湯水が排気ガスと共に潜熱回収熱交換部111に供給され、この潜熱回収熱交換部111から凝縮水と共に燃料電池システム500から廃棄される。
【0015】
つまり、上記提案された従来の燃料電池システム500の構成では、排熱回収手段106において熱交換壁の一部に腐食によるクラックが発生した場合、そのクラックの発生を検知する手段を備えていないため、燃料電池103における漏電や循環配管105からの貯湯水の漏出が継続する。
【0016】
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、熱交換手段におけるクロスコネクションの発生を検知して、異常な運転状態が継続することを防止可能な燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記従来の課題を解決するために、本発明に係る特徴的な燃料電池システムは、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電する燃料電池と、前記燃料電池の発電に関連する排熱を回収するための貯湯水を貯蔵する貯湯タンクと、前記貯湯タンクからの貯湯水と前記排熱の媒介流体との間で熱交換させる熱交換器と、前記熱交換器において前記貯湯水と熱交換した後の前記排熱の媒介流体中の水を貯蔵する水タンクと、前記水タンク内の水位を検知する水位センサと、前記水位センサが検知する前記水位に基づき異常の発生を報知する異常報知器と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記水位センサにより前記水タンク内の水位の異常な変化が検知されると前記異常報知器に異常の発生を報知させる。
【0018】
かかる構成とすると、制御装置が水位センサにより検知される水タンク内の水位の異常な変化に基づき異常報知器に異常の発生を報知させるので、熱交換器においてクロスコネクションが発生したことを検知することが可能になる。
【0019】
この場合、前記水タンクへの水供給及び前記水タンクからの水排出の少なくとも何れか一方により前記水タンク内の水位を変更する水位変更器を更に備え、前記制御装置は、前記水位変更器の動作停止中に前記水位センサにより前記水タンク内の水位の上昇が検知されると前記異常報知器に異常の発生を報知させる。
【0020】
かかる構成とすると、水位変更器の動作停止中に水位センサにより水タンク内の水位の上昇を検知するという簡易な構成により異常報知器に異常の発生を報知させるので、熱交換器においてクロスコネクションが発生したことを正確に検知することが可能になる。
【0021】
この場合、前記燃料電池を冷却する前記排熱の媒介流体としての冷却水との間で前記熱交換させる熱交換器と、該熱交換器において前記熱交換した後の前記冷却水を貯蔵する前記水タンクとしての冷却水タンクと、該冷却水タンクに対する前記水位変更器としての水補給器及び水排出器と、を備え、前記制御装置は、前記水補給器及び前記水排出器の動作停止中に前記水位センサにより前記冷却水タンク内の水位の上昇が検知されると前記異常報知器に異常の発生を報知させる。
【0022】
かかる構成とすると、貯湯タンクが貯蔵する貯湯水と燃料電池を冷却する冷却水との間で熱交換させる熱交換器、冷却水を貯蔵する冷却水タンク、冷却水タンクに水を補給する水補給器、冷却水タンクから水を排出する水排出器を備える一般的な燃料電池システムにおいて、熱交換器においてクロスコネクションが発生したことを検知することが可能になる。
【0023】
又、この場合、前記燃料電池を冷却する前記排熱の媒介流体としての冷却水との間で前記熱交換させる熱交換器と、該熱交換器において前記熱交換した後の前記冷却水を貯蔵する前記水タンクとしての冷却水タンクと、該冷却水タンクに対する前記水位変更器としての水補給器と、を備え、前記制御装置は、前記水補給器の動作停止中に前記水位センサにより前記冷却水タンク内の水位の上昇が検知されると前記異常報知器に異常の発生を報知させる。
【0024】
かかる構成とすると、冷却水タンクの水排出器としてオーバーフロー管を備える一般的な燃料電池システムにおいても、熱交換器におけるクロスコネクションの発生を検知することが可能になる。
【0025】
又、上記の場合、前記燃料電池から排出された前記排熱の媒介流体としての燃料ガス又は酸化剤ガスとの間で前記熱交換させる熱交換器と、該熱交換器において前記熱交換した後の前記燃料ガス又は前記酸化剤ガスからの凝縮水を貯蔵する前記水タンクとしての凝縮水タンクと、該凝縮水タンクに対する前記水位変更器としての水排出器と、を備え、前記制御装置は、前記水排出器が動作停止中であると共に前記燃料電池が運転停止中である時に前記水位センサにより前記凝縮水タンク内の水位の上昇が検知されると前記異常報知器に異常の発生を報知させる。
【0026】
かかる構成とすると、燃料電池から排出された燃料ガス又は酸化剤ガスと燃料電池を冷却する冷却水との間で熱交換させる熱交換器、熱交換器において熱交換した後の燃料ガス又は酸化剤ガスからの凝縮水を貯蔵する凝縮水タンク、凝縮水タンクから水を排出する水排出器を備える一般的な燃料電池システムにおいて、熱交換器においてクロスコネクションが発生したことを検知することが可能になる。
【0027】
又、上記の場合、前記燃料電池から排出された前記排熱の媒介流体としての燃料ガス又は酸化剤ガスとの間で前記熱交換させる熱交換器と、該熱交換器において前記熱交換した後の前記燃料ガス又は前記酸化剤ガスからの凝縮水を貯蔵する前記水タンクとしての凝縮水タンクと、を備え、前記制御装置は、前記燃料電池が運転停止中である時に前記水位センサにより前記凝縮水タンク内の水位の上昇が検知されると前記異常報知器に異常の発生を報知させる。
【0028】
かかる構成とすると、凝縮水タンクの水排出器としてオーバーフロー管を備える一般的な燃料電池システムにおいても、熱交換器におけるクロスコネクションの発生を検知することが可能になる。
【0029】
又、上記の場合、前記燃料電池から排出された燃料ガスを燃焼する燃焼器を更に備え、かつ、前記燃焼器から排出された前記排熱の媒介流体としての燃焼排ガスとの間で前記熱交換させる熱交換器と、該熱交換器において前記熱交換した後の前記燃焼排ガスからの凝縮水を貯蔵する前記水タンクとしての凝縮水タンクと、該凝縮水タンクに対する前記水位変更器としての水排出器と、を備え、前記制御装置は、前記水排出器が動作停止中であると共に前記燃料電池が運転停止中である時に前記水位センサにより前記凝縮水タンク内の水位の上昇が検知されると前記異常報知器に異常の発生を報知させる。
【0030】
かかる構成とすると、燃料電池から排出された燃料ガスを燃焼する燃焼器、燃焼器から排出された燃焼排ガスとの間で熱交換させる熱交換器、熱交換器において熱交換した後の燃焼排ガスからの凝縮水を貯蔵する凝縮水タンク、凝縮水タンクから水を排出する水排出器を備える一般的な燃料電池システムにおいて、熱交換器においてクロスコネクションが発生したことを検知することが可能になる。
【0031】
ここで、上記何れかの場合、前記燃料電池システムの運転を制御する運転制御器を更に備え、前記運転制御器は、前記制御装置が前記異常報知器に異常の発生を報知させる場合に前記燃料電池システムの運転を停止させる。
【0032】
かかる構成すると、制御装置が異常報知器に異常の発生を報知させる場合に燃料電池システムの運転を停止させるので、燃料電池において漏電が継続することや、貯湯タンクから熱交換器を介して水タンクに供給された貯湯水が継続的に廃棄されることを防止することが可能になる。
【0033】
又、ここで、上記何れかの場合、前記燃料電池システムの運転を制御する運転制御器を更に備え、前記運転制御器は、前記制御装置が前記水位センサにより前記水位の上昇を検知した場合に前記燃料電池システムの運転停止から運転起動への移行を許可しない。
【0034】
かかる構成とすると、運転制御器が、水位センサにより水位の上昇が検知された場合に燃料電池システムの運転停止から運転起動への移行を許可しないので、クロスコネクションが発生している状態で誤って燃料電池システムが起動又は再起動されることを防止することが可能になる。
【0035】
又、上記の場合、前記水タンク内の水を排出する水排出器と、前記水位センサの出力信号に基づき前記水排出器から水を排出させる水位制御器と、を備え、前記制御装置は、前記水位センサにより前記水タンク内の水位の上昇が検知され、前記水位制御器の制御により前記水排出器から水が排出される頻度が所定の排出頻度以上であると前記異常報知器に異常の発生を報知させる。
【0036】
かかる構成とすると、水排出器により水を排出して水タンク内の水位を規定範囲の上限以下となるように制御した頻度に基づくという比較的簡易な構成により異常報知器に異常の発生を報知させるので、熱交換器においてクロスコネクションが発生したことを正確に検知することが可能になる。
【0037】
又、上記の場合、前記水タンク内に水を補給する水補給器と、前記水位センサの出力信号に基づき前記水補給器から水を補給させる水位制御器と、を備え、前記制御装置は、前記水位センサにより前記水タンク内の水位の下降が検知され、前記水位制御器の制御により前記水補給器から水が補給される頻度が所定の補給頻度以下であると前記異常報知器に異常の発生を報知させる。
【0038】
かかる構成とすると、水補給器により水を補給して水タンク内の水位を規定範囲の下限以上となるように制御した頻度に基づくという比較的簡易な構成により異常報知器に異常の発生を報知させるので、熱交換器においてクロスコネクションが発生したことを正確に検知することが可能になる。
【0039】
この場合、前記燃料電池を冷却する冷却水を貯蔵する前記水タンクとしての冷却水タンクと、前記燃料電池に供給する燃料ガスを原料及び水を用いて生成する水素生成装置と、前記燃料電池に供給する燃料ガス及び酸化剤ガスの少なくとも一方を水を用いて加湿する加湿器と、を備え、前記冷却水タンクが貯蔵する冷却水を前記水として前記水素生成装置及び前記加湿器の少なくとも一方に供給するための冷却水流路を更に備えている。
【0040】
かかる構成とすると、冷却水タンクに貯蔵されている温度上昇した冷却水を必要に応じて水素生成装置及び加湿器の少なくとも一方に供給することができるので、低温状態の水を用いる場合と比べて、水素生成装置における燃料ガスの生成効率や加湿器における燃料ガス等の加湿効率を改善することが可能になる。
【0041】
ここで、上記何れかの場合、前記燃料電池システムの運転を制御する運転制御器を更に備え、前記運転制御器は、前記制御装置が前記異常報知器に異常の発生を報知させる場合に前記燃料電池システムの運転を停止させる。
【0042】
かかる構成とすると、上述したように、制御装置が異常報知器に異常の発生を報知させる場合に燃料電池システムの運転を停止させるので、燃料電池において漏電が継続すること等を防止することが可能になる。
【0043】
又、ここで、上記何れかの場合、前記燃料電池システムの運転を制御する運転制御器を更に備え、前記運転制御器は、前記水排出器による水排出頻度が所定の排出頻度以上である場合、又は、前記水補給器による水補給頻度が所定の補給頻度以上である場合に、運転停止から運転起動への移行を許可しない。
【0044】
かかる構成とすると、運転制御器が、前記水排出器による水排出頻度が所定の排出頻度以上である場合、又は、前記水補給器による水補給頻度が所定の補給頻度以上である場合に、燃料電池システムの運転停止から運転起動への移行を許可しないので、クロスコネクションが発生している状態で燃料電池システムが起動又は再起動されることを防止することが可能になる。
【0045】
又、上記の場合、前記異常報知器は、異常の発生を視覚情報として表示することにより報知する異常表示器である。
【0046】
かかる構成とすると、異常報知器が異常の発生を視覚情報として表示することにより報知する異常表示器であるので、水タンク内の水位の変化に異常が発生したことや次回起動を禁止する旨を使用者に向けて視覚的に告知することが可能になる。又、かかる構成とすれば、水タンク内の水位の変化に異常が発生したこと等の情報を遠隔地の使用者又は遠隔管理者に向けて報知することが可能になる。
【0047】
一方、上記の場合、水源から前記貯湯タンクに水を供給するための給水流路と、前記貯湯タンクから熱負荷に貯湯水を供給するための給湯流路と、流路遮断弁及び流路遮断弁制御器と、を更に備え、前記給水流路及び前記給湯流路の少なくとも一方に前記流路遮断弁が配設され、前記流路遮断弁制御器は、前記制御装置が前記異常報知器に異常の発生を報知させる場合に前記少なくとも一方に配設された前記流路遮断弁を閉鎖させる。
【0048】
かかる構成とすると、例えば、熱交換器においてクロスコネクションが発生した場合に市水の供給を遮断するための流路遮断弁が閉鎖されるので、熱交換器への市水の新たな流入を防止することが可能となり、その結果、冷却水への市水の混入による燃料電池における漏電を最小限に抑えることが可能になる。
【0049】
又、かかる構成とすると、例えば、熱交換器においてクロスコネクションが発生した場合に給湯を遮断するための流路遮断弁が閉鎖されるので、貯湯タンク内の貯湯水が熱交換器に流入することを防止することが可能になると共に、冷却水が貯湯水と共に給湯利用機器に供給されることを防止することが可能になる。これにより、燃料電池における漏電を最小限に抑えることが可能になると共に、人体等への悪影響を最小限に抑えることが可能になる。
【0050】
この場合、前記給水流路及び前記給湯流路の双方に前記流路遮断弁が配設され、前記流路遮断弁制御器は、前記制御装置が前記異常報知器に異常の発生を報知させる場合に前記双方の流路遮断弁を閉鎖させる。
【0051】
かかる構成とすると、熱交換器においてクロスコネクションが発生した場合に給水流路及び給湯流路の双方の流路遮断弁が共に閉鎖されるので、例えば、熱交換器への市水の流入と貯湯タンク内の貯湯水の熱交換器への流入との双方を防止することが可能になる。これにより、信頼性の高い燃料電池システムを提供することが可能になる。
【発明の効果】
【0052】
本発明に係る燃料電池システムの特徴的な構成によれば、熱交換手段におけるクロスコネクションの発生を検知して、異常な運転状態が継続することを防止可能な燃料電池システムを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る燃料電池システムの構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態2に係る燃料電池システムの構成を模式的に示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態2に係る燃料電池システムの特徴的な動作を模式的に示すフローチャートである。
【図4】図4は、本発明の実施の形態3に係る燃料電池システムの特徴的な動作を模式的に示すフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の実施の形態4に係る燃料電池システムの構成を模式的に示すブロック図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態4に係る燃料電池システムの特徴的な動作を模式的に示すフローチャートである。
【図7】図7は、本発明の実施の形態5に係る燃料電池システムの特徴的な動作を模式的に示すフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の実施の形態6に係る燃料電池システムの構成を模式的に示すブロック図である。
【図9】図9は、従来の燃料電池システムの構成を模式的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0055】
(実施の形態1)
先ず、本発明の実施の形態1に係る燃料電池システムの構成について説明する。
【0056】
図1(a)は、本発明の実施の形態1に係る燃料電池システムの構成を模式的に示すブロック図である。尚、図1(a)では、本発明を説明するために必要な構成要素のみを抜粋して図示しており、その他の構成要素については図示を省略している。
【0057】
図1(a)に示すように、本実施の形態に係る燃料電池システム100は、水素リッチな燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガス(空気)とを用いて発電する燃料電池1と、この燃料電池1の発電運転の際に発生する熱を回収してその温度制御を行なうための冷却水を貯蔵するための冷却水タンク2と、この冷却水タンク2と燃料電池1との間で冷却水を循環させるための冷却水流路3及び冷却水循環ポンプ4とを備えている。
【0058】
又、この燃料電池システム100は、冷却水循環ポンプ4により冷却水流路3に通流される温度上昇した冷却水を貯湯水との熱交換により冷却する熱交換器5と、この熱交換器5において冷却水との熱交換により温度上昇した貯湯水をその供給源から供給される市水と共に貯蔵する貯湯タンク6と、この貯湯タンク6と熱交換器5との間で貯湯水を循環させるための貯湯水流路7及び貯湯水循環ポンプ8とを備えている。
【0059】
更に、この燃料電池システム100は、冷却水タンク2における冷却水の水位を検知するための水位センサ9と、この水位センサ9が検知可能な水位よりも高い水位を検知するための水位センサ12と、冷却水タンク2に補給する冷却水を貯蔵するための補給水タンク10と、この補給水タンク10から冷却水タンク2への冷却水の補給及びその遮断を行うための補給水弁11aと、冷却水タンク2から冷却水を排出及びその遮断を行うための排出水弁11bと、この排出水弁11b及び補給水弁11aの開閉状態を水位センサ9が検知する水位に応じて各々制御することにより補給水タンク10から冷却水タンク2への冷却水の供給量及び冷却水タンク2からの冷却水の排出量を制御すると共に水位センサ12により冷却水タンク2における冷却水の水位の異常を監視する制御部13とを備えている。ここで、制御部13は、クロスコネクションの発生に起因する水位の異常な変化を報知するための異常表示器13aを備えている。又、制御部13は、水位センサ9及び水位センサ12の出力信号に基づき補給水弁11a及び排出水弁11bの動作を制御する水位制御器13bを備えている。
【0060】
そして、図1(a)に示すように、本実施の形態に係る燃料電池システム100では、燃料電池1、冷却水タンク2、冷却水循環ポンプ4、及び熱交換器5が冷却水流路3により環状に連結されている。又、この燃料電池システム100では、熱交換器5、貯湯タンク6、貯湯水循環ポンプ8が貯湯水流路7により環状に連結されている。一方、補給水タンク10と冷却水タンク2とが配管により連結されかつ冷却水タンク2には他の配管が接続され、これらの配管上に配設された補給水弁11aと排出水弁11bと水位センサ9及び水位センサ12とが配線により制御部13と電気的に接続されている。
【0061】
尚、本実施の形態に係る燃料電池システム100において、熱交換器5は貯湯タンク6が貯蔵する貯湯水と燃料電池1から排出された冷却水との間で熱交換させる熱交換器の具体的な実施の形態の一例であり、冷却水タンク2は熱交換器5において貯湯水と熱交換した後の冷却水を貯蔵する水タンクの具体的な実施の形態の一例であり、補給水弁11a及び排出水弁11bは冷却水タンク2への水の補給又は水の排出により冷却水タンク2における水位を変更する水位変更器の具体的な実施の形態の一例である。
【0062】
又、異常表示器13aは、クロスコネクションの発生に起因する異常の発生を視覚情報として表示することにより報知する異常報知器の具体的な実施の形態の一例である。
【0063】
又、本実施の形態において、燃料電池1の発電運転の際に発生する熱は、燃料電池1の発電に関連する排熱の一例である。一方、冷却水タンク2が貯蔵する冷却水は、燃料電池1の発電に関連する排熱の媒介流体の一例である。
【0064】
尚、本実施の形態では、制御部13に水位制御器13bを個別に設けることなく、制御部13が、水位センサ9,12の出力信号に基づき補給水弁11a及び排出水弁11bの動作を制御して冷却水タンク2の水位を制御する水位制御器としても機能するように構成してもよい。
【0065】
次に、本発明の実施の形態1に係る燃料電池システムの変形例について説明する。
【0066】
図1(b)は、本発明の実施の形態1に係る燃料電池システムの変形例の一部を抜粋して模式的に示すブロック図である。尚、図1(b)では、燃料電池システムの変形例における特徴的な構成(相違点)のみを抜粋して図示している。
【0067】
図1(b)に示すように、本実施の形態に係る燃料電池システム100の変形例では、図1(a)に示す排出水弁11b及びそれに接続された配線に代えて、オーバーフロー管2aが設けられている。このオーバーフロー管2aは、冷却水タンク2の側壁面における鉛直方向上方の所定の位置に設けられている。このオーバーフロー管2aは、冷却水タンク2内の冷却水の水位が上昇して、その水位がオーバーフロー管2aの連結位置にまで上昇すると、冷却水タンク2から冷却水を制御部13の水位制御器13bにより何ら制御されることなく自動的に排出させ、補給水タンク10に戻される。このオーバーフロー管2aと、水位センサ9と、補給水タンク10と、補給水弁11aと、制御部13の水位制御器13bとにより、冷却水タンク2における水位が一定又は所定の範囲内に適切に制御される。
【0068】
ここで、本実施の形態に係る燃料電池システム100及びその変形例では、図1(a)及び図1(b)では図示しないが、冷却水タンク2から排出水弁11b又はオーバーフロー管2aを介して排出された冷却水は、一旦、凝縮水タンクに貯蔵される。そして、この凝縮水タンクに貯蔵された冷却水は、イオン交換装置(図示せず)により浄化された後、補給水タンク10に供給される。この補給水タンク10に供給された冷却水が、補給水弁11aを介して冷却水タンク2に供給される。
【0069】
尚、本実施の形態では、補給水タンク10と凝縮水タンク(図示せず)とが別個に設けられている形態を例示しているが、このような形態に限定されることはない。例えば、冷却水タンク2から排出水弁11b又はオーバーフロー管2aを介して排出された冷却水が補給水タンク10に直接供給される形態としてもよい。つまり、補給水タンク10が凝縮水タンクとして機能する(又は、凝縮水タンクが補給水タンク10として機能する)ように構成してもよい。この場合、燃料電池1において漏電が発生すること等を防止するために、補給水タンク10に貯蔵された冷却水は、イオン交換装置(図示せず)により浄化された後、補給水弁11aを介して冷却水タンク2に供給される。
【0070】
次に、本実施の形態に係る燃料電池システム100の基本的な動作について説明する。
【0071】
本実施の形態に係る燃料電池システム100では、水素リッチな燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガスとが燃料電池1に供給されることにより発電運転が行われる。この際、燃料電池1からは、交流電力ではなく、直流電力が出力される。そこで、この燃料電池1から出力された直流電力は、インバータ(図示せず)に入力される。燃料電池1から出力された直流電力は、インバータにより交流電力に変換された後、燃料電池システム100から電力の供給を受ける電力負荷(図示せず)に供給される。
【0072】
この燃料電池システム100の発電運転の際、燃料電池1では、直流電力の生成と同時に熱が生成される。この燃料電池1において生成された熱は、冷却水循環ポンプ4を作動させることで冷却水流路3を循環する冷却水により逐次回収される。具体的には、冷却水を燃料電池1に通流させ、冷却水と燃料電池1との間で熱交換させることにより、燃料電池1で生成された熱が冷却水により逐次回収される。これにより、燃料電池1が冷却されるので、その温度が適切に制御される。尚、燃料電池1との熱交換により温度上昇した冷却水は、熱交換器5に通流される。そして、冷却水は、熱交換器5において貯湯水との熱交換により冷却された後、冷却水タンク2に戻される。尚、冷却水タンク2に戻された冷却水は、冷却水循環ポンプ4により再び送出され、燃料電池1に再び供給される。
【0073】
又、この発電運転の際、燃料電池システム100では、貯湯水循環ポンプ8を作動させることにより、貯湯タンク6に貯蔵されている貯湯水が貯湯水流路7に通流され、その貯湯水流路7において循環される。具体的には、貯湯タンク6から貯湯水流路7に供給された貯湯水は、貯湯水循環ポンプ8を通過した後、熱交換器5に供給される。すると、この熱交換器5では、冷却水流路3において循環される高温状態の冷却水との間で熱交換することにより、貯湯水が加熱される。この加熱され温度上昇した貯湯水は、貯湯水流路7を更に通過して貯湯タンク6に貯蔵される。尚、この貯湯タンク6に貯蔵された高温状態の貯湯水は、貯湯タンク6の上部より、必要に応じて、給湯や温水暖房等のための給湯利用機器(図示せず)に適宜供給される。
【0074】
一方、この燃料電池システム100の発電運転の際、冷却水の蒸発等により水位センサ9が冷却水タンク2における水位の低下を検知すると、その検知信号を受けて、制御部13の水位制御器13bは補給水弁11aを作動させる。これにより、補給水タンク10が貯蔵する冷却水が冷却水タンク2に供給される。尚、制御部13の水位制御器13bは、この冷却水の補給動作により水位センサ9が水位の復帰を検知すると、その検知信号を受けて、補給水弁11aを遮断させる。これにより、制御部13の水位制御器13bは、補給水タンク10から冷却水タンク2への冷却水の補給動作を停止させる。
【0075】
又、この燃料電池システム100の発電運転の際、補給水タンク10から冷却水タンク2に向けて冷却水が過剰に供給され、水位センサ9が冷却水タンク2における水位の上昇を検知すると、その検知信号を受けて、制御部13の水位制御器13bは排出水弁11bを作動させる。そして、制御部13の水位制御器13bは、排出水弁11bによる冷却水の排出動作により水位センサ9が水位の復帰を検知すると、その検知信号を受けて、排出水弁11bを遮断させる。或いは、燃料電池システム100の発電運転時、補給水タンク10から冷却水タンク2に向けて冷却水が過剰に供給され、冷却水タンク2における冷却水の水位がオーバーフロー管2aの連結位置にまで到達した場合、補給水タンク10から更に供給される冷却水はオーバーフロー管2aを介して排出される。これらにより、冷却水タンク2における冷却水の水位が適切に調整される。
【0076】
次に、本実施の形態に係る燃料電池システム100の動作に関して、熱交換器5におけるクロスコネクションの発生を検知するための特徴的な動作について説明する。
【0077】
燃料電池システム100の正常運転時、制御部13は、水位センサ9、補給水タンク10、補給水弁11a、排出水弁11b又はオーバーフロー管2a等の構成要素を適切に利用することにより、冷却水タンク2における水位を一定又は所定の範囲内に適切に制御する。
【0078】
ところが、例えば腐食により、熱交換器5の熱交換壁(図示せず)の一部にクラックが生じて、このクラックの発生に起因して熱交換器5においてクロスコネクションが発生すると、貯湯水流路7を通流する貯湯水が熱交換器5に生じたクラックを通過して冷却水流路3に流入する。
【0079】
この場合、補給水弁11a及び排出水弁11bが遮断された状態(図1(a)参照)或いは補給水弁11aが遮断された状態(図1(b)参照)では、貯湯水流路7から冷却水流路3に貯湯水が継続して流入するので、冷却水タンク2の水位は水位センサ9を超える水位にまで上昇する。具体的には、補給水タンク10からの冷却水の補給及び冷却水タンク2からの冷却水の排出が一切無い状態では、冷却水タンク2における水位は、水位センサ9の水位検知範囲の上限を超えて水位センサ12の水位検知範囲内の水位にまで異常に上昇する。このような、冷却水タンク2における水位の異常な上昇(冷却水タンク2における水位の異常な変化)は、通常、熱交換器5においてクロスコネクションが発生した場合に特徴的に観察される現象である。
【0080】
そこで、本実施の形態では、燃料電池1と、貯湯タンク6と、熱交換器5と、冷却水タンク2と、水位センサ9及び水位センサ12と、補給水タンク10と、補給水弁11a及び排出水弁11bと、制御部13とを備える燃料電池システム100において、制御部13が、水位センサ12により検知される冷却水タンク2内の水位の異常な変化に基づき異常表示器13aにクロスコネクションの発生に起因する異常の発生を報知させる。
【0081】
具体的には、制御部13が、補給水弁11a及び排出水弁11bを遮断するように制御している際に水位センサ12により冷却水タンク2における水位の異常な上昇を検知すると、異常表示器13aにクロスコネクションの発生に起因する異常の発生を報知させる。
【0082】
或いは、制御部13は、冷却水タンク2の水排出器が上述のオーバーフロー管の場合、補給水弁11aを遮断するように制御している際に水位センサ12により冷却水タンク2における水位の異常な上昇を検知すると、異常表示器13aにクロスコネクションの発生に起因する異常の発生を報知させる。
【0083】
ここで、異常表示器13aは異常の発生を視覚的に報知するが、このような形態に限定されることはなく、例えば、異常の発生を音響的に報知する形態としてもよい。或いは、異常の発生を音響的に報知する形態に限らず、燃料電池システム100の冷却水タンク2において水位の異常な変化が発生した旨を監視センターに通報する形態としてもよい。
【0084】
又、本実施の形態では、制御部13が、異常表示器13aにクロスコネクションの発生に起因する異常の発生を報知させる場合に、燃料電池システム100の停止処理を実行して、燃料電池システム100の運転を強制的に停止させる。そして、制御部13は、燃料電池システム100の運転を停止させた後、燃料電池システム100の運転を停止状態から運転起動に移行させることを継続して許可しないこととする。このように、本実施の形態では、熱交換器5において発生したクロスコネクションが解消されるまで、燃料電池システム100の運転が停止される。
【0085】
このように、本実施の形態では、制御部13が、正常時には起こり得ない水位センサ12からの水位検知信号を受けて冷却水タンク2における水位の異常な変化を判定して、その旨を異常表示器13aにより視覚的に報知する。尚、このような、本実施の形態に係る特徴的な動作は、燃料電池システム100の制御部13が備える記憶部(図示せず)に予め記憶されている制御プログラムに基づき実行される。ここで、制御部13が補給水弁11a及び排出水弁11bを遮断する場合、制御部13は冷却水の補給及び排出を行わない旨の制御信号を出力する。
【0086】
尚、本実施の形態では、クロスコネクションの発生に起因する異常の発生を検知すると燃料電池システム100の停止処理が実行されかつその運転起動への移行が継続して許可されない形態を例示しているが、このような形態に限定されることはない。例えば、燃料電池システム100の発電運転の停止中にクロスコネクションの発生に起因する異常の発生が検知された場合でも、制御部13は、燃料電池システム100の運転を停止状態から運転起動に移行させることを継続して許可しない。このように、燃料電池システム100の運転状態に関係無く、クロスコネクションの発生に起因する異常の発生が検知された場合には燃料電池システム100の運転を運転起動に移行させることを許可しないことにより、燃料電池システム100の異常な運転状態が継続することを防止する。
【0087】
以上、本実施の形態に係る燃料電池システム100の構成によれば、熱交換器5においてクロスコネクションが発生して、冷却水タンク2において異常な水位の上昇が発生した場合、その異常な水位の上昇を水位センサ12が検知するため、制御部13は熱交換器5においてクロスコネクションが発生したことを異常表示器13aにより報知することが可能になる。これにより、熱交換器5におけるクロスコネクションの発生を検知することが可能となり、よって、異常な運転状態が継続することを防止可能な燃料電池システム100を提供することが可能になる。
【0088】
又、燃料電池に供給する燃料ガスを生成するための水として冷却水の一部を水素生成装置に供給する燃料電池システムにおいては、貯湯水(市水)が塩素成分を含有しているため、この塩素成分を含有する貯湯水が冷却水に継続して混入すると、水素生成装置の触媒が経時的に劣化して、燃料電池システムの発電性能が経時的に劣化するという課題が発生する。しかしながら、本実施の形態に係る燃料電池システム100の構成によれば、熱交換器5におけるクロスコネクションの発生を検知して、異常な運転状態が継続することを防止することができるので、燃料電池システム100の発電性能の劣化を最小限に抑えることが可能になる。
【0089】
又、燃料電池に供給する燃料ガスや空気の加湿用の水として冷却水の一部を加湿器に供給する燃料電池システムにおいては、貯湯水が含有する塩素成分により燃料ガスや空気に塩素成分が混入することで燃料電池の電極触媒が経時的に劣化して、燃料電池システムの発電性能が経時的に劣化するという課題が発生する。しかしながら、本実施の形態に係る燃料電池システム100の構成によれば、このような燃料電池1の電極触媒の劣化に関する課題も回避することが可能になる。
【0090】
(実施の形態2)
先ず、本発明の実施の形態2に係る燃料電池システムの構成について説明する。
【0091】
図2は、本発明の実施の形態2に係る燃料電池システムの構成を模式的に示すブロック図である。尚、図2では、本発明を説明するために必要な構成要素のみを抜粋して図示しており、その他の構成要素については図示を省略している。
【0092】
図2に示すように、本実施の形態に係る燃料電池システム200は、水素リッチな燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガスとを用いて発電する燃料電池1と、この燃料電池1の発電運転の際に発生する熱を回収して燃料電池1の温度制御を行なうための冷却水を貯蔵する冷却水タンク2と、この冷却水タンク2と燃料電池1との間で冷却水を循環させるための冷却水流路3と、この冷却水流路3に冷却水を通流させるための冷却水循環ポンプ4と、この冷却水循環ポンプ4により供給され燃料電池1において昇温された冷却水を冷却するための熱交換器5とを備えている。
【0093】
又、この燃料電池システム200は、市水が供給されてそれを内部に貯湯水として貯蔵すると共に、燃料電池1の発電運転の際に発生する熱を回収することにより温度上昇した貯湯水を給湯利用機器に向けて供給するための貯湯タンク6と、この貯湯タンク6と熱交換器5との間で熱交換による冷却水の冷却のために貯湯水を通流させるための貯湯水流路7と、この貯湯水流路7において貯湯タンク6が貯蔵する貯湯水を循環させるための貯湯水循環ポンプ8とを備えている。ここで、貯湯タンク6に接続された市水側の配管における所定の位置には、市水の供給を遮断するための市水遮断弁40が設けられている。
【0094】
又、この燃料電池システム200は、冷却水タンク2における水位を検知するための水位センサ9と、水位センサ9が検知可能な水位よりも低い水位を検知するための水位センサ15と、冷却水タンク2に補給する冷却水を貯蔵するための補給水タンク10と、この補給水タンク10から冷却水タンク2への冷却水の補給及びその停止を行うための補給水ポンプ14と、冷却水タンク2が貯蔵する冷却水を排出するための冷却水排出弁16とを備えている。
【0095】
一方、図2に示すように、本実施の形態に係る燃料電池システム200は、燃料電池1に供給する水素リッチな燃料ガスの供給源としての、炭化水素系の原料ガス(例えば、都市ガス等)を水蒸気改質する水素生成装置17と、この水素生成装置17の温度維持のために原料ガス又は生成した燃料ガスの一部を燃焼させるためのバーナ18と、水素生成装置17において生成した燃料ガスを燃料電池1に供給するための燃料ガス供給流路19とを備えている。
【0096】
又、図2に示すように、この燃料電池システム200は、燃料電池1から排出される残余燃料ガス中の水蒸気を貯湯水流路7に通流される貯湯水との熱交換により凝縮させて水分として分離するための凝縮器20と、この凝縮器20を通過させて燃料電池1が排出した残余燃料ガスをバーナ18に供給するための残余燃料ガス排出流路21と、この残余燃料ガス排出流路21から供給された残余燃料ガスが燃焼されてバーナ18から排出される燃焼排ガス中の水蒸気を貯湯水流路7に通流される貯湯水との熱交換により凝縮させて水分として分離するための凝縮器22と、この凝縮器22を通過させてバーナ18が排出した燃焼排ガスをその排気口から燃料電池システム200の外部に排出するための燃焼排ガス排出流路23と、燃料電池1から排出される残余酸化剤ガス(残余空気)中の水蒸気を貯湯水流路7に通流される貯湯水との熱交換により凝縮させて水分として分離するための凝縮器24と、この凝縮器24を通過させて燃料電池1が排出した残余酸化剤ガスをその排気口から燃料電池システム200の外部に排出するための残余酸化剤ガス排出流路25と、を備えている。
【0097】
ここで、図2に示すように、この燃料電池システム200は、凝縮器20,22,24から排出される凝縮水を貯蔵するための凝縮水タンク26,27,28と、貯蔵した凝縮水を排出するための凝縮水排出弁29,30,31と、凝縮水タンク26,27,28の水位を検知するための水位センサ32,33,34とを備えていると共に、これらの水位センサ32,33,34が検知可能な水位よりも低い水位を各々検知するための水位センサ35,36,37を更に備えている。
【0098】
そして、図2に示すように、この燃料電池システム200は、水位センサ9,15,32,35,33,36,34,37により冷却水タンク2、凝縮水タンク26,27,28における水位を監視すると共に、水位センサ9,32,33,34が検知する水位に基づき補給水ポンプ14、凝縮水排出弁29,30,31を作動させて冷却水タンク2、凝縮水タンク26,27,28における水位を制御する制御部38と、この制御部38を備える燃料電池システム200と利用者とのインターフェースとしてのリモコン39とを備えている。ここで、リモコン39は、異常表示器39aを備えている。
【0099】
又、実施の形態1に係る燃料電池システム100の構成と同様にして、この燃料電池システム200でも、燃料電池1、冷却水タンク2、冷却水循環ポンプ4、熱交換器5が冷却水流路3により環状に連結されている。一方、この燃料電池システム200では、熱交換器5、貯湯タンク6、貯湯水循環ポンプ8、凝縮器20,22,24が貯湯水流路7により環状に連結されている。又、補給水ポンプ14、冷却水排出弁16、凝縮水排出弁29,30,31、市水遮断弁40、水位センサ9,15、水位センサ32〜37が配線により制御部38と電気的に接続されている。
【0100】
尚、本実施の形態に係る燃料電池システム200において、熱交換器5は、貯湯タンク6が貯蔵する貯湯水と燃料電池1の発電に関連する排熱の媒介流体として冷却水との間で熱交換させる熱交換器の具体的な実施の形態の一例である。
【0101】
又、冷却水タンク2は、熱交換器5において貯湯タンク6が貯蔵する貯湯水と熱交換した後の排熱の媒介流体としての冷却水を貯蔵するための水タンクの具体的な実施の形態の一例である。又、補給水ポンプ14及び冷却水排出弁16は、冷却水タンク2への水の補給及び冷却水タンク2からの水の排出により冷却水タンク2における水位を変更するための水位変更器の具体的な実施の形態の一例である。更に、制御部38は、水位センサ9及び水位センサ15の出力信号に基づき補給水ポンプ14及び冷却水排出弁16の動作を制御して、冷却水タンク2における冷却水の水位を制御する水位制御器の具体的な実施の形態の一例である。
【0102】
一方、本実施の形態において、凝縮器20は、貯湯タンク6が貯蔵する貯湯水と燃料電池1の発電に関連する排熱の媒介流体として残余燃料ガスとの間で熱交換させる熱交換器の具体的な実施の形態の他の一例である。又、凝縮水タンク26は、凝縮器20において貯湯タンク6が貯蔵する貯湯水と熱交換した後の排熱の媒介流体としての残余燃料ガスから得られた凝縮水を貯蔵するための水タンクの具体的な実施の形態の他の一例である。一方、凝縮水排出弁29は、凝縮水タンク26からの水の排出により凝縮水タンク26における凝縮水の水位を変更するための水位変更器の具体的な実施の形態の他の一例である。又、制御部38は、水位センサ32の検出信号に基づき凝縮水排出弁29の動作を制御して、凝縮水タンク26における水位を制御する水位制御器の一例である。
【0103】
同様にして、本実施の形態において、凝縮器22は、貯湯タンク6が貯蔵する貯湯水と燃料電池1の発電に関連する排熱の媒介流体として燃焼排ガスとの間で熱交換させる熱交換器の具体的な実施の形態の他の一例である。又、凝縮水タンク27は、凝縮器22において貯湯タンク6が貯蔵する貯湯水と熱交換した後の排熱の媒介流体としての燃焼排ガスから得られた凝縮水を貯蔵するための水タンクの具体的な実施の形態の他の一例である。そして、凝縮水排出弁30は、凝縮水タンク27からの水の排出により凝縮水タンク27における凝縮水の水位を変更するための水位変更器の具体的な実施の形態の他の一例である。又、制御部38は、水位センサ33の検出信号に基づき凝縮水排出弁30の動作を制御して、凝縮水タンク27における水位を制御する水位制御器の一例である。
【0104】
又、同様にして、本実施の形態において、凝縮器24は、貯湯タンク6が貯蔵する貯湯水と燃料電池1の発電に関連する排熱の媒介流体として残余酸化剤ガスとの間で熱交換させる熱交換器の具体的な実施の形態の他の一例である。又、凝縮水タンク28は、凝縮器24において貯湯タンク6が貯蔵する貯湯水と熱交換した後の排熱の媒介流体としての残余酸化剤ガスから得られた凝縮水を貯蔵するための水タンクの具体的な実施の形態の他の一例である。そして、凝縮水排出弁31は、凝縮水タンク28における凝縮水の水位を変更するための水位変更器の具体的な実施の形態の他の一例である。又、制御部38は、水位センサ34の検出信号に基づき凝縮水排出弁31の動作を制御して、凝縮水タンク28における水位を制御する水位制御器の一例である。
【0105】
尚、本実施の形態において、水位センサ15及び冷却水排出弁16は、燃料電池システム200における冷却水の排水機構の具体的な実施の形態の一例である。又、水位センサ35及び凝縮水排出弁29、水位センサ36及び凝縮水排出弁30、水位センサ37及び凝縮水排出弁31は、各々、燃料電池システム200における凝縮水の排水機構の具体的な実施の形態の他の一例である。つまり、本実施の形態に係る燃料電池システム200では、冷却水排出弁16、凝縮水排出弁29、凝縮水排出弁30、凝縮水排出弁31は、燃料電池システム200の水位変更器と排水機構とを兼ねている。
【0106】
又、上述したように、本実施の形態に係るリモコン39は、異常表示器39aを備えている。この異常表示器39aは、実施の形態1の場合と同様、クロスコネクションに起因する異常の発生を報知する異常報知器の具体的な実施の形態の一例である。
【0107】
次に、本実施の形態に係る燃料電池システム200の基本的な動作について説明する。
【0108】
本実施の形態に係る燃料電池システム200では、都市ガス等の炭化水素系の原料ガスと水とを用いる水蒸気改質反応が水素生成装置17において進行することにより、水素リッチな燃料ガスが生成される。水素生成装置17において生成された燃料ガスは、燃料ガス供給流路19を介して燃料電池1に供給される。一方、燃料電池1には酸化剤ガスとしての空気が供給される。すると、燃料電池1からは、水素を含む燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガスとしての空気とを用いる電気化学的な反応が進行することで発電が行われて、直流電力が出力される。ここで、燃料電池1から出力された直流電力は、インバータ(図示せず)により交流電力に変換された後、電力負荷(図示せず)に向けて供給される。
【0109】
この際、燃料電池1からは、燃料ガス及び酸化剤ガスの一部が、残余燃料ガス及び残余酸化剤ガスとして、残余燃料ガス排出流路21及び残余酸化剤ガス排出流路25に排出される。ここで、残余酸化剤ガス排出流路25を介して凝縮器24に導入された残余酸化剤ガスは、貯湯水流路7を通流する貯湯水との熱交換により冷却されて、残余酸化剤ガスが含有する水蒸気は凝縮水として分離される。この分離された凝縮水は、凝縮水タンク28に貯蔵される。尚、凝縮器24により除湿及び冷却された残余酸化剤ガスは、排気口を通じて燃料電池システム200の外部に排出される。一方、残余燃料ガス排出流路21を介して凝縮器20に導入された残余燃料ガスは、貯湯水流路7を通流する貯湯水との熱交換により冷却されて、残余燃料ガスが含有する水蒸気は凝縮水として分離される。この分離された凝縮水は、凝縮水タンク26に貯蔵される。ここで、凝縮器20により除湿された残余燃料ガスは、水素生成装置17の温度状態を高温状態に保持するためのバーナ18に供給される。バーナ18で燃焼された残余燃料ガスは、高温状態の燃焼排ガスとしてバーナ18から燃焼排ガス排出流路23に排出される。燃焼排ガス排出流路23を介して凝縮器22に導入された燃焼排ガスは、貯湯水流路7を通流する貯湯水との熱交換により冷却されて、燃焼排ガスが含有する水蒸気は凝縮水として分離される。この分離された凝縮水は、凝縮水タンク27に貯蔵される。尚、凝縮器22により除湿された燃焼排ガスは、排気口を通じて燃料電池システム200の外部に排出される。
【0110】
一方、燃料電池1では、その発電運転の際に直流電力の生成と同時に熱が生成される。この燃料電池1において生成した熱は、冷却水循環ポンプ4を作動させ、冷却水流路3を循環する冷却水を燃料電池1に通流させてそれと熱交換させることにより、その冷却水により逐次回収される。このように、燃料電池システム200では、燃料電池1の排熱が冷却水により逐次回収されるので、燃料電池1の温度が適切な温度に制御される。
【0111】
ここで、燃料電池1との熱交換により温度上昇した冷却水は、その後、熱交換器5に供給され、そこで貯湯水流路7を通流する貯湯水との熱交換により冷却された後、冷却水タンク2に戻される。この冷却水タンク2に戻された冷却水は、冷却水循環ポンプ4により冷却水タンク2から再度排出されて、燃料電池1に再び供給される。この際、貯湯水循環ポンプ8を作動することにより、貯湯タンク6に貯蔵されている貯湯水を貯湯水流路7に供給して、その貯湯水流路7において循環させる。
【0112】
貯湯タンク6から貯湯水流路7に供給された貯湯水は、貯湯水循環ポンプ8を通過した後、貯湯水流路7を通流しながら凝縮器20,24,22に供給される。そして、貯湯水は、凝縮器20,24,22において熱交換により昇温された後、熱交換器5に供給される。すると、熱交換器5では、冷却水流路3から供給された高温状態の冷却水と熱交換することにより、貯湯水が更に昇温される。この更に昇温された貯湯水は、その後、貯湯水流路7を通過して高温状態の貯湯水として貯湯タンク6に貯蔵される。尚、この貯蔵された高温状態の貯湯水は、貯湯タンク6の図2では上方から必要に応じて給湯や温水暖房等のための給湯利用機器(図示せず)に向けて供給される。
【0113】
一方、燃料電池システム200の発電運転の際、冷却水の蒸発等により水位センサ9が冷却水タンク2における水位の低下を検知すると、制御部38は、その検知信号を受けて補給水ポンプ14を作動させて、補給水タンク10に貯蔵されている冷却水を冷却水タンク2に供給する。その後、冷却水の補給により水位センサ9が冷却水タンク2における水位の復帰を検知すると、制御部38は、その検知信号を受けて補給水ポンプ14の動作を停止させて、補給水タンク10から冷却水タンク2への冷却水の補給を停止させる。又、この際、凝縮水の貯溜により水位センサ32,33,34が凝縮水タンク26,27,28における水位の上昇を検知すると、制御部38は、その検知信号を受けて凝縮水排出弁29,30,31を作動させて、凝縮水タンク26,27,28に貯蔵されている余剰の凝縮水を排出する。その後、凝縮水の排出により水位センサ32,33,34が凝縮水タンク26,27,28における水位の復帰を検知すると、制御部38は、その検知信号を受けて凝縮水排出弁29,30,31を遮断させて、これにより、凝縮水タンク26,27,28からの凝縮水の排出を停止させる。
【0114】
次に、本実施の形態に係る燃料電池システム200の動作に関して、熱交換器5におけるクロスコネクションの発生を検知するための特徴的な動作と検知後の具体的な動作とについて説明する。
【0115】
図3は、本発明の実施の形態2に係る燃料電池システムの特徴的な動作を模式的に示すフローチャートである。尚、本実施の形態において、燃料電池システム200の水位センサ9,15,32〜37は、その水位検知位置に水面が到達している場合にはON信号を出力し、到達していない場合にはOFF信号を出力する。
【0116】
先ず、冷却水タンク2における水位の変化の異常検知及びその後の具体的な動作ついて説明すると、制御部38は、燃料電池システム200の運転中における補給水ポンプ14の作動頻度を演算するための作動回数カウンタN1とタイマT1とを共にゼロに設定した後、タイマT1をスタートさせる(ステップS101)。
【0117】
次いで、制御部38は、燃料電池1の運転状態が運転中であるか停止中であるかを判定する(ステップS102)。ここで、燃料電池1が運転中であると判定した場合(ステップS102でYES)、制御部38は、タイマT1が所定の時間Tcを経過したか否かを判定する(ステップS103)。そして、タイマT1が所定の時間Tcを経過している場合(ステップS103でYES)、制御部38は、所定の時間Tc以上の時間における補給水ポンプ14の作動回数カウンタN1が制御部38に予め設定されている所定の作動回数Nc以下であるか否かを判定する(ステップS104)。具体的には、このステップS104では、制御部38は、水位センサ9により冷却水タンク2における水位が所定の下限値以下になったことを検知して補給水ポンプ12によりその水位が所定の下限値を超えるよう冷却水タンク2に冷却水を補給した所定の時間における作動回数カウンタN1が予め設定されている所定の作動回数Nc以下であるか否かを判定する。換言すれば、制御部38は、水位センサ9により冷却水タンク2における水位が所定の下限値以下になったことを検知して補給水ポンプ14によりその水位が所定の下限値を超えるように冷却水タンク2に冷却水を補給した頻度が所定の補給頻度以下であるか否かを判定する。
【0118】
そして、この燃料電池システム200では、補給水ポンプ14の作動回数カウンタN1が所定の作動回数Nc以下である場合(ステップS104でYES)、制御部38は、冷却水タンク2における水位の異常な変化を検知して、実施の形態1の場合と同様、燃料電池システム200の運転を停止させ(ステップS115)、そして、燃料電池システム200の次回起動の禁止処理を行う(ステップS116)。次いで、制御部38は、市水遮断弁40の遮断を行う(ステップS117)。そして、燃料電池システム200の制御部38は、リモコン39の異常表示器39aに「冷却水タンクにおける水位の変化の異常検知」又は「次回起動の禁止」の旨を表示させる。
【0119】
一方、ステップS104にて作動回数カウンタN1が所定の作動回数Ncを超える場合には(ステップS104でNO)、制御部38は、冷却水タンク2における水位の変化は正常な水位の変化であると判定して、作動回数カウンタN1とタイマT1とを共にゼロに再設定した後、タイマTを再びスタートさせる(ステップS105)。
【0120】
ステップS105の実行後、及び、タイマT1が所定の時間Tcを経過してはいない場合(ステップS103でNO)、制御部38は、水位センサ9がOFF信号を出力しているか否かを判定する(ステップS106)。ここで、水位センサ9がOFF信号を出力せずON信号を出力している場合(ステップS106でNO)、制御部38は、制御ステップをステップS103に移行させる。
【0121】
これに対して、水位センサ9がOFF信号を出力している場合(ステップS106でYES)、制御部38は、補給水ポンプ14を作動させる(ステップS107)。そして、制御部38は、補給水ポンプ14の作動中に水位センサ9の出力信号を監視して(ステップS108)、水位センサ9の出力がOFF信号からON信号に切り替わると(ステップS108でYES)、補給水ポンプ14の動作を停止させて、作動回数カウンタN1をN1=N1+1と設定する(ステップS109)。尚、制御部38は、水位センサ9の出力がOFF信号からON信号に切り替わらない場合(ステップS108でNO)、制御ステップをステップS108に移行させる。
【0122】
その後、制御部38は、現在の燃料電池1の運転状態が運転中であるか停止中であるかを判定する(ステップS110)。ここで、制御部38は、現在の燃料電池1の運転状態が運転中であると判定する場合(ステップS110でNO)、制御ステップをステップS103に移行させる。しかしながら、制御部38は、現在の燃料電池1の運転状態が停止中であると判定する場合(ステップS110でYES)、冷却水排出弁16を作動させる(ステップS111)。これにより、制御部38は、冷却水タンク2に貯蔵されている冷却水を排出させる。
【0123】
次いで、制御部38は、冷却水排出弁16の作動中に水位センサ15の出力信号を監視して(ステップS112)、水位センサ15の出力がON信号からOFF信号に切り替わったことを検知すると(ステップS112でYES)、冷却水排出弁16を遮断させる(ステップS113)。これにより、制御部38は、冷却水タンク2に貯蔵されている冷却水の排出を停止させる。尚、制御部38は、水位センサ15の出力信号がON信号であることを検知する場合(ステップS112でNO)、制御ステップをステップS112に再び移行させる。
【0124】
その後、制御部38は、水位センサ9の出力信号を監視して(ステップS114)、水位センサ9の出力がOFF信号からON信号に切り替わったことを検知すると(ステップS114でYES)、冷却水タンク2における水位の異常な変化を検知して、燃料電池システム200の次回起動の禁止処理を行ない(ステップS116)、市水遮断弁40の遮断を行なう(ステップS117)。この際、燃料電池システム200の制御部38は、リモコン39の異常表示器39aに「冷却水タンクにおける水位の変化の異常検知」又は「次回起動の禁止」の旨を表示させる。尚、制御部38は、ステップS114において水位センサ9からOFF信号が検知され(ステップS114でNO)、かつ移行先であるステップS102において燃料電池1が停止中であると判定される場合には(ステップ102でNO)、その期間においてステップS102とステップS114とを繰り返し、水位センサ9の出力信号の監視(ステップS114)を継続する。
【0125】
以上、本実施の形態に係る燃料電池システム200の構成によれば、熱交換器5においてクロスコネクションが発生した場合、補給水ポンプ14の作動頻度(N1/Tc)が正常時の作動頻度よりも少ない作動頻度で冷却水タンク2における水位を一定に保つことができるが、この特徴的な現象を利用して、補給水ポンプ14の作動頻度が制御部38に予め設定されている所定の補給頻度(Nc/Tc)未満であることを検知すれば、制御部38は、熱交換器5においてクロスコネクションが発生したことを報知することが可能になる。
【0126】
又、本実施の形態によれば、制御部38が補給水ポンプ14の運転を停止させた際、冷却水排出弁16を作動させて冷却水タンク2における水位を水位センサ15がOFF信号を出力する水位とすることにより、熱交換器5においてクロスコネクションが発生した場合には、水位センサ9がON信号を出力する水位にまで水位が上昇するため、制御部38は、水位センサ9からのON信号を検知することにより、熱交換器5においてクロスコネクションが発生したことを報知することが可能になる。
【0127】
又、本実施の形態によれば、熱交換器5においてクロスコネクションが発生して、制御部38が異常表示器39aに異常の発生を報知させる場合、停止処理を実行して、燃料電池システム100の運転を強制的に停止させるので、燃料電池1において漏電が継続することや、貯湯タンク6から熱交換器5を介して冷却水タンク2に供給された貯湯水が継続的に廃棄されることを防止することが可能になる。この場合、制御部38は燃料電池システム100を停止状態から運転起動させることを継続して許可しないので、クロスコネクションが発生している状態で誤って燃料電池システム200が再起動されることを防止することが可能になる。
【0128】
又、本実施の形態によれば、熱交換器5においてクロスコネクションが発生した場合には、リモコン39の異常表示器39aに「冷却水タンクにおける水位の変化の異常検知」又は「次回起動の禁止」の旨が表示されるので、利用者は、熱交換器5においてクロスコネクションが発生したことを視覚的に認知することが可能になる。
【0129】
又、本実施の形態によれば、熱交換器5においてクロスコネクションが発生した場合には、制御部38により市水遮断弁40が遮断されるので、市水の供給源から貯湯タンク6への市水の新たな流入が防止される。これにより、冷却水流路3及び冷却水タンク2への市水の混入が防止されるので、燃料電池1における漏電を防止することが可能になる。
【0130】
尚、本実施の形態に係る燃料電池システム200の動作では、制御部38が水位センサ15の出力信号に基づき冷却水排出弁16を制御することで冷却水タンク2における水位を制御する形態を例示しているが、このような形態に限定されることはない。例えば、制御部38が、水位センサ15を用いることなく、冷却水排出弁16を所定の時間作動させることにより、冷却水タンク2における水位を制御する形態としてもよい。例えば、図3に示すステップS111〜ステップS113では、水位センサ15の出力信号に基づき冷却水排出弁16を停止させている。しかしながら、ステップS107〜ステップS109により、冷却水タンク2における水位は予め規定の水位に制御されている。従って、制御部38は、冷却水排出弁16を所定の時間作動させることにより、冷却水タンク2における水位を所望の水位にまで低下させることができる。
【0131】
又、本実施の形態に係る燃料電池システム200では、水位センサ15が設けられている。しかしながら、水位センサ9が出力するON信号/OFF信号にレファレンスがある場合は、水位センサ15を設けることなく、水位センサ9からのOFF信号を検知するまで、冷却水排出弁16を作動させてもよい。
【0132】
又、本実施の形態に係る燃料電池システム200では、補給水タンク10が貯蔵する冷却水を冷却水タンク2に供給するための補給水ポンプ14を設けているが、これに限定されることはない。例えば、補給水ポンプ14を設ける形態に代えて、補給水弁(例えば、図1に示す補給水弁11a)を設ける形態としてもよい。
【0133】
又、本実施の形態では、燃料電池システム200が凝縮水排出弁29,31を備えている形態を示しているが、このような形態に限定されることはない。例えば、実施の形態1に示す燃料電池システム100の場合と同様にして、凝縮水タンク26,28がオーバーフロー管を各々備えている形態としてもよい。
【0134】
尚、その他の点については、実施の形態1の場合と同様である。
【0135】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る燃料電池システムの構成及びその基本的な動作は、図2に示す実施の形態2に係る燃料電池システムの構成及びその基本的な動作と同様である。従って、本発明の実施の形態3に係る燃料電池システムの構成及びその基本的な動作に関する説明は省略する。
【0136】
以下、本実施の形態に係る燃料電池システムの動作に関して、図2に示す燃料電池システム200の凝縮器20におけるクロスコネクションの発生を検知するための特徴的な動作と検知後の具体的な動作とについて説明する。
【0137】
図4は、本発明の実施の形態3に係る燃料電池システムの特徴的な動作を模式的に示すフローチャートである。尚、本実施の形態において、燃料電池システム200の水位センサ32,35は、その水位検知位置に水面が到達している場合にはON信号を出力し、到達していない場合にはOFF信号を出力する。
【0138】
先ず、制御部38は、燃料電池システム200の運転中における凝縮水排出弁29の作動頻度を演算するための作動回数カウンタN2とタイマT2とを共にゼロに設定した後、タイマT2をスタートさせる(ステップS201)。
【0139】
次いで、制御部38は、燃料電池1の運転状態が運転中であるか停止中であるかを判定する(ステップS202)。ここで、燃料電池1が運転中であると判定した場合(ステップS202でYES)、制御部38は、タイマT2が所定の時間Tcを経過したか否かを判定する(ステップS203)。そして、タイマT2が所定の時間Tcを経過している場合(ステップS203でYES)、制御部38は、所定の時間Tc内の時間における凝縮水排出弁29の作動回数カウンタN2が制御部38に予め設定されている所定の作動回数Nc以上であるか否かを判定する(ステップS204)。具体的には、このステップS204では、制御部38は、水位センサ32により凝縮水タンク26における水位が所定の上限値以上であることを検知して凝縮水排出弁29によりその水位を所定の上限値未満に収めるように制御した所定の時間Tcにおける作動回数カウンタN2が予め設定されている所定の作動回数Nc以上であるか否かを判定する。換言すれば、制御部38は、水位センサ32により凝縮水タンク26における水位が所定の上限値以上であることを検知して凝縮水排出弁29によりその水位が所定の上限未満となるよう凝縮水タンク26から凝縮水を排出した所定の時間における作動回数カウンタN2が予め設定されている所定の作動回数Nc以上であるか否かを判定する。
【0140】
そして、凝縮水排出弁29の作動回数カウンタN2が所定の作動回数Nc以上である場合(ステップS204でYES)、制御部38は、凝縮水タンク26における水位の異常な変化を検知して、実施の形態1,2の場合と同様、燃料電池システム200の運転を停止させ(ステップS215)、そして、燃料電池システム200の次回起動の禁止処理を行う(ステップS216)。次いで、制御部38は、市水遮断弁40の遮断を行う(ステップS217)。そして、燃料電池システム200の制御部38は、リモコン39の異常表示器39aに「冷却水タンクにおける水位の変化の異常検知」又は「次回起動の禁止」の旨を表示させる。
【0141】
一方、ステップS204にて作動回数カウンタN2が所定の作動回数Nc未満である場合(ステップS204でNO)、制御部38は、作動回数カウンタN2とタイマT2とを共にゼロに再設定した後、タイマT2を再びスタートさせる(ステップS205)。
【0142】
ステップS205の実行後、及び、タイマT2が所定の時間Tcを経過してはいない場合(ステップS203でNO)、制御部38は、水位センサ32がON信号を出力しているか否かを判定する(ステップS206)。ここで、水位センサ32がON信号を出力せずOFF信号を出力している場合(ステップS206でNO)、制御部38は、制御ステップをステップS203に移行させる。
【0143】
これに対して、水位センサ32がON信号を出力している場合(ステップS206でYES)、制御部38は、凝縮水排出弁29を作動させる(ステップS207)。そして、制御部38は、凝縮水排出弁29の作動中に水位センサ32の出力信号を監視して(ステップS208)、水位センサ32の出力がON信号からOFF信号に切り替わると(ステップS208でYES)、凝縮水排出弁29の動作を停止させて、作動回数カウンタN2をN2=N2+1と設定する(ステップS209)。尚、制御部38は、水位センサ32の出力がON信号からOFF信号に切り替わらない場合(ステップS208でNO)、制御ステップをステップS208に移行させる。
【0144】
その後、制御部38は、現在の燃料電池1の運転状態が運転中であるか停止中であるかを判定する(ステップS210)。ここで、制御部38は、現在の燃料電池1の運転状態が運転中である場合(ステップS210でNO)、制御ステップをステップS203に移行させる。しかし、制御部38は、現在の燃料電池1の運転状態が停止中であると判定する場合には(ステップS210でYES)、凝縮水排出弁29を作動させる(ステップS211)。これにより、制御部38は、凝縮水タンク26に貯蔵されている凝縮水を排出させる。
【0145】
次いで、制御部38は、冷却水排出弁29の作動中に水位センサ35の出力信号を監視して(ステップS212)、水位センサ35の出力信号がON信号からOFF信号に切り替わったことを検知すると(ステップS212でYES)、凝縮水排出弁29を遮断させる(ステップS213)。これにより、制御部38は、凝縮水タンク26に貯蔵されている凝縮水の排出を停止させる。尚、制御部38は、水位センサ15の出力信号がON信号であることを検知すると(ステップS212でNO)、制御ステップをステップS212に再び移行させる。
【0146】
そして、制御部38は、水位センサ32の出力信号を監視して(ステップS214)、水位センサ32の出力がOFF信号からON信号に切り替わったことを検知すると(ステップS214でYES)、凝縮水タンク26における水位の異常な変化を検知して、燃料電池システム200の次回起動の禁止処理を行ない(ステップS216)、市水遮断弁40の遮断を行なう(ステップS217)。又、この際、燃料電池システム200の制御部38は、リモコン39の異常表示器39aに「凝縮水タンクにおける水位の変化の異常検知」又は「次回起動の禁止」の旨を表示させる。尚、制御部38は、ステップS214において水位センサ32からOFF信号が検知され(ステップS214でNO)、かつ移行先であるステップS202において燃料電池1が停止中であると判定されると(ステップ202でNO)、その期間においてステップS202とステップS214とを繰り返し、水位センサ32の出力信号の監視(ステップS214)を継続する。
【0147】
以上、本実施の形態に係る特徴的な動作によれば、凝縮器20においてクロスコネクションが発生した場合、凝縮水排出弁29の作動頻度(N2/Tc)が正常時の作動頻度よりも多い作動頻度で凝縮水タンク26における水位を一定に保つことができるが、この特徴的な現象を利用して、凝縮水排出弁29の作動頻度が制御部38に予め設定されている所定の補給頻度(Nc/Tc)以上であることを検知すれば、制御部38は、凝縮器20においてクロスコネクションが発生したことを報知することが可能になる。
【0148】
又、本実施の形態によれば、制御部38が燃料電池1の運転を停止させた際、凝縮水排出弁29を作動させて凝縮水タンク26における水位を水位センサ35がOFF信号を出力する水位とすることにより、凝縮器20においてクロスコネクションが発生した場合には水位センサ32がON信号を出力する水位にまで水位が上昇するため、制御部38は、水位センサ32からのON信号を検知することにより、凝縮器20においてクロスコネクションが発生したことを報知することが可能になる。
【0149】
又、本実施の形態によれば、凝縮器20においてクロスコネクションが発生して、制御部38が異常表示器39aに異常の発生を報知させる場合、停止処理を実行して、燃料電池システム200の運転を強制的に停止させ、その後、停止状態から運転起動させることを継続して許可しないので、燃料電池1における漏電の継続や、誤って燃料電池システム200が再起動されることを防止することが可能になる。
【0150】
又、本実施の形態によれば、凝縮器20においてクロスコネクションが発生した場合には、リモコン39の異常表示器39aに「凝縮水タンクにおける水位の変化の異常検知」又は「次回起動の禁止」の旨が表示されるので、利用者は、凝縮器20においてクロスコネクションが発生したことを視覚的に認知することが可能になる。
【0151】
更に、本実施の形態によれば、凝縮器20においてクロスコネクションが発生した場合には、制御部38により市水遮断弁40が遮断されるので、市水の供給源から貯湯タンク6への市水の新たな流入が防止される。これにより、燃料電池1における漏電を防止することが可能になる。
【0152】
ここで、本実施の形態では、凝縮器20においてクロスコネクションが発生した場合の特徴的な動作について説明したが、水位センサ32,35及び凝縮水排出弁29に代えて水位センサ33,34,36,37及び凝縮水排出弁30,31を用いることにより、凝縮水タンク26の場合と同様にして、凝縮水タンク27,28におけるクロスコネクションの発生を報知することが可能になる。つまり、本実施の形態に係る特徴的な動作に基づけば、燃料電池システム200の凝縮器20,22,24の全てにおけるクロスコネクションの発生を報知することが可能になる。
【0153】
尚、本実施の形態に係る燃料電池システム200では、凝縮水タンク26,27,28が各々独立して設けられているが、かかる形態に限定されることはなく、凝縮器20,22,24から排出された凝縮水を1つの凝縮水タンクに貯蔵する形態としてもよい。この場合、凝縮器20,22,24の何れかにおけるクロスコネクションの発生は、本実施の形態に係る特徴的な動作と同様にして、その1つの凝縮水タンクにおける水位の異常な変化に基づき検知することが可能である。
【0154】
又、これに関連して、燃料電池システム200では、凝縮水タンク26,27,28の内の2つ(例えば、凝縮水タンク26,27)から排出される凝縮水をその他の凝縮水タンク(例えば、凝縮水タンク28)に供給して、その他の凝縮水タンク(例えば、凝縮水タンク28)における水位の異常な変化に基づき凝縮器20,22,24の何れかにおけるクロスコネクションの発生を報知する形態としてもよい。かかる構成としても、本実施の形態により得られる効果と同様の効果を得ることが可能である。
【0155】
一方、本実施の形態に係る燃料電池システム200の動作では、制御部38が水位センサ35,36,37の出力信号に基づき凝縮水排出弁29,30,31を制御することで凝縮水タンク26,27,28における水位を制御する形態を例示しているが、このような形態に限定されることはない。例えば、制御部38が、水位センサ35,36,37を用いることなく、凝縮水排出弁29,30,31を所定の時間作動させることにより、凝縮水タンク26,27,28における水位を制御する形態としてもよい。例えば、図4に示すステップS211〜ステップS213では、水位センサ35の出力信号に基づき、凝縮水排出弁29を停止させている。しかしながら、ステップS207〜ステップS209により、凝縮水タンク26における水位は予め規定の水位に制御されている。従って、制御部38は、凝縮水排出弁29を所定の時間作動させることにより、凝縮水タンク26における水位を所望の水位にまで低下させることができる。
【0156】
又、本実施の形態に係る燃料電池システム200では、水位センサ35,36,37を設けている。しかしながら、水位センサ32,33,34が出力するON信号/OFF信号にレファレンスがある場合は、水位センサ35,36,37を設けることなく、水位センサ32,33,34からのOFF信号を検知するまで、凝縮水排出弁29,30,31を作動させてもよい。
【0157】
又、本実施の形態に係る燃料電池システム200では、貯湯タンク6から排出された貯湯水が凝縮器20,24,22及び熱交換器5をこの順序で通過するように構成されているが、このような構成に限定されることはない。凝縮器20,24,22及び熱交換器5の配設順序は、貯湯水と冷却水や燃料ガス及び酸化剤ガス等との熱交換が好適に可能であれば、如何なる配設順序であってもよい。又、本実施の形態では、凝縮器20,24,22及び熱交換器5が直列に配置される形態を例示しているが、このような形態に限定されることはなく、適宜並列に配置する形態としてもよい。
【0158】
(実施の形態4)
図5は、本発明の実施の形態4に係る燃料電池システムの構成を模式的に示すブロック図である。尚、図5では、本発明を説明するために必要な構成要素のみを抜粋して図示しており、その他の構成要素については図示を省略している。又、図5では、図2に示す燃料電池システム200の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、以下の説明ではそれらの構成要素に関する説明を省略する。
【0159】
図5に示すように、本発明の実施の形態4に係る燃料電池システム300の構成は、基本的には、図2に示す実施の形態2,3に係る燃料電池システム200の構成と同様である。しかしながら、本発明の実施の形態4に係る燃料電池システム300の構成は、以下に示す3点について、図2に示す燃料電池システム200の構成とは異なっている。
【0160】
先ず、第1の相違点について説明すると、本実施の形態に係る燃料電池システム300の構成は、冷却水タンク2及び凝縮水タンク26,27,28における水位を検知するための水位センサ9,32,33,34が検知可能な水位よりも更に高い水位を検知するための水位センサ12,41,42,43を更に備えている点で、図2に示す燃料電池システム200の構成とは異なっている。ここで、水位センサ12,41,42,43は、水位センサ9,15,32〜34,35〜37の場合と同様にして、配線により制御部38と電気的に接続されている。
【0161】
次いで、第2の相違点について説明すると、本実施の形態に係る燃料電池システム300の構成は、市水遮断弁40に代えて、給湯利用機器への高温状態の貯湯水の供給を遮断するための給湯遮断弁44を備えている点で、図2に示す燃料電池システム200の構成とは異なっている。ここで、給湯遮断弁44は、市水遮断弁40の場合と同様にして、配線により制御部38と電気的に接続されている。
【0162】
更に、第3の相違点について説明すると、本実施の形態に係る燃料電池システム300の構成は、図2に示す異常表示器39aに代えて、クロスコネクションの発生に起因する異常が発生した旨を音声又は警報音により報知するための警報器45を備えている点で、図2に示す燃料電池システム200の構成とは異なっている。尚、警報器45は、クロスコネクションに起因する異常の発生を報知するための異常報知器の具体的な実施の形態の一例である。
【0163】
尚、その他の点については、実施の形態2,3に係る燃料電池システム200の構成と本実施の形態に係る燃料電池システム300の構成とは同様である。
【0164】
又、本実施の形態に係る燃料電池システム300の基本的な動作は、実施の形態2,3に係る燃料電池システム200の基本的な動作と同様である。
【0165】
以下、本実施の形態に係る燃料電池システム300の動作に関して、図5に示す燃料電池システム300の熱交換器5におけるクロスコネクションの発生を検知するための特徴的な動作と検知後の具体的な動作とについて説明する。
【0166】
図6は、本発明の実施の形態4に係る燃料電池システムの特徴的な動作を模式的に示すフローチャートである。尚、本実施の形態においても、燃料電池システム300の水位センサ9,12,15は、その水位検知位置に水面が到達している場合にはON信号を出力し、到達していない場合にはOFF信号を出力する。
【0167】
図6に示すように、先ず、燃料電池システム300の制御部38は、現在の燃料電池1の運転状態が運転中であるか停止中であるかを判定する(ステップS301)。このステップS301で燃料電池1の運転状態が運転中であると判定すると(ステップS301でYES)、制御部38は、水位センサ12の出力信号がON信号であるかOFF信号であるかを判定する(ステップS302)。
【0168】
ここで、制御部38は、水位センサ12の出力信号がON信号であると判定すると(ステップS302でYES)、冷却水タンク2における水位の異常な変化を検知して、燃料電池システム300の運転を停止させ(ステップS312)、燃料電池システム300の次回起動の禁止処理を行う(ステップS313)。又、制御部38は、給湯遮断弁44の遮断を行う(ステップS314)。そして、燃料電池システム300の制御部38は、警報器45により「冷却水タンクにおける水位の変化の異常検知」又は「次回起動の禁止」の旨を音声又は警報音により報知する。
【0169】
一方、制御部38は、水位センサ12の出力信号がOFF信号であると判定すると(ステップS302でNO)、冷却水タンク2における水位は正常な水位であると判定して、水位センサ9の出力信号がON信号であるかOFF信号であるかを判定する(ステップS303)。ここで、制御部38は、水位センサ9がOFF信号を出力せずにON信号を出力している場合(ステップS303でNO)、制御ステップをステップS302に移行させる。
【0170】
これに対して、制御部38は、水位センサ9がOFF信号を出力する場合(ステップS303でYES)、補給水ポンプ14を作動させる(ステップS304)。そして、制御部38は、補給水ポンプ14の作動中に水位センサ9の出力信号を監視して(ステップS305)、水位センサ9の出力信号がOFF信号からON信号に切り替わると(ステップS305でYES)、補給水ポンプ14の動作を停止させる(ステップS306)。尚、制御部38は、水位センサ9の出力がOFF信号からON信号に切り替わらない場合(ステップS305でNO)、制御ステップを再びステップS305に移行させる。
【0171】
その後、制御部38は、現在の燃料電池1の運転状態が運転中であるか停止中であるかを判定する(ステップS307)。ここで、制御部38は、現在の燃料電池1の運転状態が運転中である場合(ステップS307でNO)、制御ステップをステップS302に移行させる。しかしながら、制御部38は、現在の燃料電池1の運転状態が停止中であると判定すると(ステップS307でYES)、冷却水排出弁16を作動させる(ステップS308)。これにより、制御部38は、冷却水タンク2に貯蔵されている冷却水を排出させる。
【0172】
次いで、制御部38は、冷却水排出弁16の作動中に水位センサ15の出力信号を監視して(ステップS309)、水位センサ15の出力信号がON信号からOFF信号に切り替わったことを検知すると(ステップS309でYES)、冷却水排出弁16を遮断させる(ステップS310)。これにより、制御部38は、冷却水タンク2に貯蔵されている冷却水の排出を停止させる。尚、制御部38は、水位センサ15の出力信号がON信号であることを検知すると(ステップS309でNO)、制御ステップをステップS309に再び移行させる。
【0173】
その後、制御部38は、水位センサ9の出力信号を監視して(ステップS311)、水位センサ9の出力信号がOFF信号からON信号に切り替わったことを検知すると(ステップS311でYES)、冷却水タンク2における水位の異常な変化を検知して、燃料電池システム300の次回起動の禁止処理を行ない(ステップS313)、給湯遮断弁44の遮断を行なう(ステップS314)。そして、制御部38は、警報器45により「冷却水タンクにおける水位の変化の異常検知」又は「次回起動の禁止」の旨を音声又は警報音により報知する。尚、制御部38は、ステップS311において水位センサ9からOFF信号が検知され(ステップS311でNO)、かつ移行先であるステップS301において燃料電池1が停止中であると判定されると(ステップ301でNO)、その期間においてステップS301とステップS311とを繰り返し、水位センサ9の出力信号の監視(ステップS311)を継続する。
【0174】
以上、本実施の形態に係る燃料電池システム300の特徴的な構成によれば、熱交換器5においてクロスコネクションが発生した場合、貯湯水流路7を通流する貯湯水が熱交換器5を介して冷却水流路3に流入して、冷却水タンク2における水位は水位センサ9の検知可能な水位を超えて上昇するが、この補給水タンク10から冷却水が補給されない状態での冷却水タンク2における正常時には起こりえない水位センサ12からのON信号を検知することより、制御部38は、冷却水タンク2における水位の異常な上昇を検知して、熱交換器5においてクロスコネクションが発生したことを警報器45により報知することが可能になる。
【0175】
又、本実施の形態では、制御部38が、燃料電池1の運転を停止させた際、冷却水排出弁16の状態を開放状態として冷却水タンク2から冷却水を排出させる。そして、制御部38は、冷却水タンク2における水位を水位センサ15がOFF信号を出力する水位にまで低下させる。これにより、制御部38は、熱交換器5においてクロスコネクションが発生して、冷却水タンク2における水位が水位センサ9からON信号が出力される水位にまで上昇した場合、その水位センサ9から出力されたON信号を検知することで、冷却水タンク2における水位の異常な上昇を検知して、熱交換器5においてクロスコネクションが発生したことを報知することが可能になる。
【0176】
又、本実施の形態に係る燃料電池システム300の構成によれば、熱交換器5においてクロスコネクションが発生して、冷却水タンク2における水位が異常に上昇した場合、制御部38は警報器45により「冷却水タンクにおける水位の変化の異常検知」又は「次回起動の禁止」の旨を音声又は警報音により報知するので、使用者に対してクロスコネクションの発生を聴覚的に告知することが可能になる。
【0177】
更に、本実施の形態に係る燃料電池システム300の構成によれば、熱交換器5においてクロスコネクションが発生して、冷却水タンク2における水位が異常に上昇した場合、制御部38が給湯遮断弁44を遮断するため、貯湯タンク6への市水の供給が遮断しているような状況下において給湯利用が発生する場合においても、貯湯タンク6に貯蔵されている貯湯水がヘッド圧により冷却水流路4に流入することを防止することが可能になる。
【0178】
尚、本実施の形態に係る燃料電池システム300の動作では、制御部38が水位センサ15の出力信号に基づき冷却水排出弁16を制御することで冷却水タンク2における水位を制御する形態を例示しているが、このような形態に限定されることはない。例えば、制御部38が、水位センサ15を用いることなく、冷却水排出弁16を所定の時間作動させることにより、冷却水タンク2における水位を制御する形態としてもよい。具体的には、図6に示すステップS308〜ステップS310では、水位センサ15の出力信号に基づき、冷却水排出弁16を作動及び停止させている。しかしながら、ステップS304〜ステップS306により、冷却水タンク2における水位は、予め所定の水位に制御されている。従って、制御部38は、冷却水排出弁16を所定の時間作動させることにより、冷却水タンク2における水位を所望の水位にまで低下させることができる。
【0179】
又、本実施の形態に係る燃料電池システム300では、水位センサ15が設けられている。しかしながら、水位センサ9が出力するON信号/OFF信号にレファレンスがある場合は、水位センサ15を設けることなく、水位センサ9からのOFF信号を検知するまで、冷却水排出弁16を作動させてもよい。
【0180】
又、本実施の形態に係る燃料電池システム300では、補給水タンク10が貯蔵する冷却水を冷却水タンク2に供給するための補給水ポンプ14を設けているが、これに限定されることはない。例えば、補給水ポンプ14を設ける形態に代えて、補給水弁(例えば、図1に示す補給水弁11a)を設ける形態としてもよい。
【0181】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係る燃料電池システムの構成及びその基本的な動作は、図5に示す実施の形態4に係る燃料電池システムの構成及びその基本的な動作と同様である。従って、本発明の実施の形態5に係る燃料電池システムの構成及びその基本的な動作に関する説明は省略する。
【0182】
以下、本実施の形態に係る燃料電池システムの動作に関して、図5に示す燃料電池システム300の凝縮器20におけるクロスコネクションの発生を検知するための特徴的な動作と検知後の具体的な動作とについて説明する。
【0183】
図7は、本発明の実施の形態5に係る燃料電池システムの特徴的な動作を模式的に示すフローチャートである。尚、本実施の形態において、燃料電池システム300の水位センサ32,35,41は、その水位検知位置に水面が到達している場合にはON信号を出力し、到達していない場合にはOFF信号を出力する。
【0184】
図7に示すように、先ず、燃料電池システム300の制御部38は、現在の燃料電池1の運転状態が運転中であるか停止中であるかを判定する(ステップS401)。このステップS401で燃料電池1の運転状態が運転中であると判定すると(ステップS401でYES)、制御部38は、水位センサ41の出力信号がON信号であるかOFF信号であるかを判定する(ステップS402)。
【0185】
ここで、制御部38は、水位センサ41の出力信号がON信号であると判定すると(ステップS402でYES)、冷却水タンク2における水位の異常な変化を検知して、燃料電池システム300の運転を停止させ(ステップS412)、燃料電池システム300の次回起動の禁止処理を行う(ステップS413)。又、制御部38は、給湯遮断弁44の遮断を行う(ステップS414)。そして、燃料電池システム300の制御部38は、警報器45により「凝縮水タンク26における水位の変化の異常検知」又は「次回起動の禁止」の旨を音声又は警報音により報知する。
【0186】
これに対して、制御部38は、水位センサ41の出力信号がOFF信号であると判定すると(ステップS402でNO)、凝縮水タンク26における水位は正常な水位であると判定した後、水位センサ32の出力信号がON信号であるかOFF信号であるかを判定する(ステップS403)。ここで、制御部38は、水位センサ32がOFF信号を出力せずにON信号を出力している場合(ステップS403でNO)、制御ステップをステップS402に移行させる。
【0187】
一方、制御部38は、水位センサ32がOFF信号を出力する場合(ステップS403でYES)、凝縮水排出弁29を作動させる(ステップS404)。そして、制御部38は、凝縮水排出弁29の作動中に水位センサ32の出力信号を監視して(ステップS405)、水位センサ32の出力信号がOFF信号からON信号に切り替わると(ステップS405でYES)、凝縮水排出弁29の動作を停止させる(ステップS406)。尚、制御部38は、水位センサ32の出力がOFF信号からON信号に切り替わらない場合(ステップS405でNO)、制御ステップを再びステップS405に移行させる。
【0188】
その後、制御部38は、現在の燃料電池1の運転状態が運転中であるか停止中であるかを判定する(ステップS407)。ここで、制御部38は、現在の燃料電池1の運転状態が運転中である場合(ステップS407でNO)、制御ステップをステップS402に移行させる。しかしながら、制御部38は、現在の燃料電池1の運転状態が停止中であると判定すると(ステップS407でYES)、凝縮水排出弁29を作動させる(ステップS408)。これにより、制御部38は、凝縮水タンク26に貯蔵されている凝縮水を排出させる。
【0189】
次いで、制御部38は、凝縮水排出弁29の作動中に水位センサ35の出力信号を監視して(ステップS409)、水位センサ35の出力信号がON信号からOFF信号に切り替わったことを検知すると(ステップS409でYES)、凝縮水排出弁29を遮断させる(ステップS410)。これにより、制御部38は、凝縮水タンク26に貯蔵されている凝縮水の排出を停止させる。尚、制御部38は、水位センサ35の出力信号がON信号であることを検知すると(ステップS409でNO)、制御ステップをステップS409に再び移行させる。
【0190】
そして、その後、制御部38は、水位センサ32の出力信号を監視して(ステップS411)、水位センサ32の出力信号がOFF信号からON信号に切り替わったことを検知すると(ステップS411でYES)、凝縮水タンク26における水位の異常な変化を検知して、燃料電池システム300の次回起動の禁止処理を行ない(ステップS413)、給湯遮断弁44の遮断を行なう(ステップS414)。そして、制御部38は、警報器45により「凝縮水タンク26における水位の変化の異常検知」又は「次回起動の禁止」の旨を音声又は警報音により報知する。尚、制御部38は、ステップS411において水位センサ32からOFF信号が検知され(ステップS411でNO)、かつ移行先であるステップS401において燃料電池1が停止中であると判定されると(ステップ401でNO)、その期間においてステップS401とステップS411とを繰り返し、水位センサ32の出力信号の監視(ステップS411)を継続する。
【0191】
以上、本実施の形態に係る燃料電池システム300の特徴的な構成によれば、凝縮器20においてクロスコネクションが発生した場合、貯湯水流路7を通流する貯湯水が凝縮器20を介して貯湯水流路21に流入して、凝縮水タンク26における水位は水位センサ32の検知可能な水位を超えて上昇するが、この凝縮器20(燃料電池1)から凝縮水が補給されない状態での凝縮水タンク26における正常時には起こりえない水位センサ41からのON信号を検知することより、制御部38は、凝縮水タンク26における水位の異常な上昇を検知して、凝縮器20においてクロスコネクションが発生したことを警報器により報知することが可能になる。
【0192】
又、本実施の形態では、制御部38が、燃料電池1の運転を停止させた際、凝縮水排出弁29の状態を開放状態として凝縮水タンク26から凝縮水を排出させる。そして、制御部38は、凝縮水タンク26における水位を水位センサ35がOFF信号を出力する水位にまで低下させる。これにより、制御部38は、凝縮器20においてクロスコネクションが発生して、凝縮水タンク26における水位が水位センサ32からON信号が出力される水位にまで上昇した場合、その水位センサ32から出力されたON信号を検知することにより、凝縮水タンク26における水位の異常な上昇を検知して、凝縮器20においてクロスコネクションが発生したことを報知することが可能になる。又、これにより、燃料電池システム300の次回起動を禁止することが可能になる。
【0193】
又、本実施の形態に係る燃料電池システム300の構成によれば、凝縮器20においてクロスコネクションが発生して、凝縮水タンク26における水位が異常に上昇した場合、制御部38は警報器45により「凝縮水タンク26における水位の変化の異常検知」又は「次回起動の禁止」の旨を音声又は警報音により報知するので、使用者に対してクロスコネクションの発生を聴覚的に告知することが可能になる。
【0194】
更には、本実施の形態に係る燃料電池システム300の構成によれば、凝縮器20においてクロスコネクションが発生して、凝縮水タンク26における水位が異常に上昇した場合、制御部38が給湯遮断弁44を遮断するため、貯湯タンク6への市水の供給が遮断しているような状況下において給湯利用が発生する場合においても、貯湯タンク6に貯蔵されている貯湯水がヘッド圧により凝縮水タンク26に流入することを防止することが可能になる。
【0195】
ここで、本実施の形態では、凝縮器20においてクロスコネクションが発生した場合の特徴的な動作について説明したが、水位センサ32,35,41及び凝縮水排出弁29に代えて水位センサ33,34,36,37,42,43及び凝縮水排出弁30,31を用いることにより、凝縮水タンク26の場合と同様にして、凝縮水タンク27,28におけるクロスコネクションの発生を報知することが可能になる。つまり、本実施の形態に係る特徴的な動作に基づけば、燃料電池システム300の凝縮器20,22,24の全てにおけるクロスコネクションの発生を報知することが可能になる。
【0196】
尚、本実施の形態に係る燃料電池システム300では、凝縮水タンク26,27,28が各々独立して設けられているが、かかる形態に限定されることはなく、凝縮器20,22,24から排出された凝縮水を1つの凝縮水タンクに貯蔵する形態としてもよい。この場合、凝縮器20,22,24の何れかにおけるクロスコネクションの発生は、本実施の形態に係る特徴的な動作と同様にして、その1つの凝縮水タンクにおける水位の異常な変化に基づき検知することが可能である。
【0197】
又、これに関連して、燃料電池システム300では、凝縮水タンク26,27,28の内の2つ(例えば、凝縮水タンク26,27)から排出される凝縮水をその他の凝縮水タンク(例えば、凝縮水タンク28)に供給して、その他の凝縮水タンク(例えば、凝縮水タンク28)における水位の異常な変化に基づき凝縮器20,22,24の何れかにおけるクロスコネクションの発生を報知する形態としてもよい。かかる構成としても、本実施の形態により得られる効果と同様の効果を得ることが可能である。
【0198】
一方、本実施の形態に係る燃料電池システム300の動作では、制御部38が水位センサ35,36,37の出力信号に基づき凝縮水排出弁29,30,31を制御することで凝縮水タンク26,27,28における水位を制御する形態を例示しているが、このような形態に限定されることはない。例えば、制御部38が、水位センサ35,36,37を用いることなく、凝縮水排出弁29,30,31を所定の時間作動させることにより、凝縮水タンク26,27,28における水位を制御する形態としてもよい。例えば、図7に示すステップS408〜ステップS410では、水位センサ35の出力信号に基づき、凝縮水排出弁29を停止させている。しかしながら、ステップS403〜ステップS405により、凝縮水タンク26における水位は予め規定の水位に制御されている。従って、制御部38は、凝縮水排出弁29を所定の時間作動させることにより、凝縮水タンク26における水位を所望の水位にまで低下させることができる。
【0199】
又、本実施の形態に係る燃料電池システム300では、水位センサ35,36,37を設けている。しかしながら、水位センサ32,33,34が出力するON信号/OFF信号にレファレンスがある場合は、水位センサ35,36,37を設けることなく、水位センサ32,33,34からのOFF信号を検知するまで、凝縮水排出弁29,30,31を作動させてもよい。
【0200】
又、本実施の形態に係る燃料電池システム300では、貯湯タンク6から排出された貯湯水が凝縮器20,24,22及び熱交換器5をこの順序で通過するように構成されているが、このような構成に限定されることはない。凝縮器20,24,22及び熱交換器5の配設順序は、貯湯水と冷却水や燃料ガス及び酸化剤ガス等との熱交換が好適に可能であれば、如何なる配設順序であってもよい。又、本実施の形態では、凝縮器20,24,22及び熱交換器5が直列に配置される形態を例示しているが、このような形態に限定されることはなく、適宜並列に配置する形態としてもよい。
【0201】
(実施の形態6)
図8は、本発明の実施の形態6に係る燃料電池システムの構成を模式的に示すブロック図である。尚、図8では、本発明を説明するために必要な構成要素のみを抜粋して図示しており、その他の構成要素については図示を省略している。又、図8では、図2に示す燃料電池システム200の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、以下の説明ではそれらの構成要素に関する説明を省略する。
【0202】
図8に示すように、本発明の実施の形態6に係る燃料電池システム400の構成は、基本的には、図2に示す実施の形態2,3に係る燃料電池システム200の構成と同様である。しかしながら、本発明の実施の形態6に係る燃料電池システム400の構成は、以下に示す3点について、図2に示す燃料電池システム200の構成とは異なっている。
【0203】
先ず、第1の相違点について説明すると、本実施の形態に係る燃料電池システム400の構成は、燃料電池1に供給する燃料ガス及び酸化剤ガス(空気)を加湿するための燃料ガス加湿器46及び空気加湿器47と、これらの燃料ガス加湿器46及び空気加湿器47に向けて冷却水タンク2が貯蔵する冷却水の一部を供給するための燃料側加湿水供給流路48及び空気側加湿水供給流路49と、冷却水タンク2が貯蔵する冷却水の一部を水素生成装置17に向けて水蒸気改質用水として供給するための改質水供給流路50とを更に備えている点で、図2に示す燃料電池システム200の構成とは異なっている。ここで、燃料側加湿水供給流路48、空気側加湿水供給流路49、改質水供給流路50は、配管により構成されている。
【0204】
次いで、第2の相違点について説明すると、本実施の形態に係る燃料電池システム400の構成は、市水遮断弁40に加えて、給湯利用機器への高温状態の貯湯水の供給を遮断するための給湯遮断弁44を備えている点で、図2に示す燃料電池システム200の構成とは異なっている。ここで、給湯遮断弁44は、市水遮断弁40の場合と同様にして、配線により制御部38と電気的に接続されている。
【0205】
更に、第3の相違点について説明すると、本実施の形態に係る燃料電池システム400の構成は、リモコン39及び警報器45に代えて、クロスコネクションの発生に起因する異常が発生した旨や次回起動を禁止する旨等を含む電気信号を接点出力又は電気出力として出力する信号出力器51を備えている点で、図2に示す燃料電池システム200の構成とは異なっている。尚、信号出力器51は、クロスコネクションに起因する異常の発生を報知するための異常報知器の具体的な実施の形態の一例である。
【0206】
尚、その他の点については、実施の形態2,3に係る燃料電池システム200の構成と本実施の形態に係る燃料電池システム400の構成とは同様である。
【0207】
次に、本実施の形態に係る燃料電池システム400の動作について説明する。
【0208】
本実施の形態に係る燃料電池システム400では、都市ガス等の炭化水素系の原料ガスと、改質水供給流路50を通過して供給された冷却水の一部を用いる水蒸気改質反応が水素生成装置17において進行することで、水素リッチな燃料ガスが生成される。この水素生成装置17において生成された燃料ガスは、燃料ガス供給流路19を通流されて燃料ガス加湿器46に供給され、燃料側加湿水供給流路48により供給された冷却水の一部が用いられてその湿度が調整された後、燃料電池1に供給される。
【0209】
一方、酸素を含む酸化剤ガスとしての空気は、空気加湿器47において空気側加湿水供給流路49により供給された冷却水の一部が用いられてその湿度が調整された後、燃料電池1に供給される。
【0210】
すると、燃料電池1は、その供給された燃料ガスと酸化剤ガスとを電気化学的に反応させることにより発電運転を行ない、これにより直流電力を出力する。この出力された直流電力は、インバータ(図示せず)により交流電力に変換された後、電力負荷装置(図示せず)に向けて供給される。
【0211】
この燃料電池システム400の発電運転の際、燃料電池1からは、供給された燃料ガス及び酸化剤ガスの一部が残余燃料ガス及び残余酸化剤ガスとして排出される。この排出される残余燃料ガス及び残余酸化剤ガスは、残余燃料ガス排出流路21及び残余酸化剤ガス排出流路25に通流される。ここで、残余酸化剤ガス排出流路25を介して凝縮器24に導入された残余酸化剤ガスは、貯湯水との熱交換により冷却された後、それが含有する水蒸気は凝縮水として分離される。この分離された凝縮水は、凝縮水タンク28に貯蔵される。又、凝縮器24により除湿及び冷却された残余酸化剤ガスは、その排気口を介して、燃料電池システム400の外部に排出される。一方、残余燃料ガス排出流路21を介して凝縮器20に導入された残余燃料ガスは、貯湯水との熱交換により冷却された後、それが含有する水蒸気は凝縮水として分離される。この分離された凝縮水は、凝縮水タンク26に貯蔵される。又、凝縮器20により除湿及び冷却された残余燃料ガスは、水素生成装置17を高温状態に保持するためのバーナ18に供給される。バーナ18において燃焼された残余燃料ガスは、高温状態の燃焼排ガスとして、バーナ18から燃焼排ガス排出流路23に排出される。この燃焼排ガス排出流路23を介して凝縮器22に導入された燃焼排ガスは、貯湯水との熱交換により冷却された後、それが含有する水蒸気は凝縮水として分離される。この分離された凝縮水は、凝縮水タンク27に貯蔵される。又、凝縮器22により除湿及び冷却された燃焼排ガスは、その排気口を介して、燃料電池システム400の外部に排出される。
【0212】
一方、燃料電池1では、その発電運転の際に直流電力の生成と同時に熱が生成される。この燃料電池1において生成した熱は、冷却水循環ポンプ4を作動させ、冷却水流路3を循環する冷却水を燃料電池1に通流させてそれと熱交換させることにより、その冷却水により逐次回収される。このように、燃料電池システム400では、燃料電池1の排熱が冷却水により逐次回収されるので、燃料電池1の温度が適切な温度に制御される。
【0213】
ここで、燃料電池1との熱交換により温度上昇した冷却水は、その後、熱交換器5に供給され、そこで貯湯水流路7を通流する貯湯水との熱交換により冷却された後、冷却水タンク2に戻される。この冷却水タンク2に戻された冷却水は、冷却水循環ポンプ4により冷却水タンク2から再度排出されて、燃料電池1に再び供給される。この際、貯湯水循環ポンプ8を作動することにより、貯湯タンク6に貯蔵されている貯湯水を貯湯水流路7に供給して、その貯湯水流路7において循環させる。
【0214】
貯湯タンク6から貯湯水流路7に供給された貯湯水は、貯湯水循環ポンプ8を通過した後、貯湯水流路7を通流しながら凝縮器20,24,22に供給される。そして、貯湯水は、凝縮器20,24,22において熱交換により昇温された後、熱交換器5に供給される。すると、熱交換器5では、冷却水流路3から供給された高温状態の冷却水と熱交換することにより、貯湯水が更に昇温される。この更に昇温された貯湯水は、その後、貯湯水流路7を通過して高温状態の貯湯水として貯湯タンク6に貯蔵される。尚、この貯蔵された高温状態の貯湯水は、貯湯タンク6の図8では上方から必要に応じて給湯や温水暖房等のための給湯利用機器(図示せず)に向けて供給される。
【0215】
一方、本実施の形態では、燃料電池システム400の発電運転の際、冷却水タンク2が貯蔵する冷却水は、水素生成装置17、燃料ガス加湿器46、空気加湿器47に向けて定常的に供給される。そのため、冷却水タンク2における水位は低下する。そこで、制御部38は、水位センサ9が冷却水タンク2における水位の低下を検知すると、その検知信号を受けて補給水ポンプ14を作動させて、補給水タンク10が貯蔵する冷却水を冷却水タンク2に供給させる。尚、補給水タンク10からの冷却水の補給により水位センサ9が冷却水タンク2における水位の復帰を検知すると、制御部38は、その検知信号を受けて補給水ポンプ14の動作を停止させて、補給水タンク10から冷却水タンク2への冷却水の補給を停止させる。
【0216】
又、この際、凝縮水の貯溜により水位センサ32,33,34が凝縮水タンク26,27,28における水位の上昇を検知すると、制御部38は、その検知信号を受けて凝縮水排出弁29,30,31を作動させて、凝縮水タンク26,27,28に貯蔵されている余剰の凝縮水を排出する。その後、凝縮水の排出により水位センサ32,33,34が凝縮水タンク26,27,28における水位の復帰を検知すると、制御部38は、その検知信号を受けて凝縮水排出弁29,30,31を遮断させて、これにより、凝縮水タンク26,27,28からの凝縮水の排出を停止させる。
【0217】
そして、この燃料電池システム400では、実施の形態2において具体的に説明した動作と同様にして、冷却水タンク2、凝縮水タンク26,27,28における水位の異常な変化に基づき、熱交換器5、凝縮器20,22,24におけるクロスコネクションの発生が検知及び報知される。
【0218】
以下、本実施の形態に係る燃料電池システム400の動作に関して、冷却水タンク2、凝縮水タンク26,27,28における水位の異常な変化が検知された後の特徴的な動作について説明する。
【0219】
燃料電池システム400の発電運転の際、制御部38は、冷却水タンク2又は凝縮水タンク26,27,28における水位の異常な変化を検知すると、燃料電池システム400の発電運転を停止させると共に、その次回起動を禁止する。そして、制御部38は、市水遮断弁40と給湯遮断弁44との双方を遮断することにより、貯湯タンク6への新たな市水の流入と、貯湯タンク6からの貯湯水の流出との双方を防止する。又、この際、制御部38は、信号出力器51により「冷却水タンク又は凝縮水タンクにおける水位の変化の異常検知」又は「次回起動の禁止」の旨を含む電気信号を接点出力又は電気出力として出力させる。
【0220】
一方、燃料電池システム400の発電運転の停止中、制御部38は、冷却水タンク2又は凝縮水タンク26,27,28における水位の異常な変化を検知すると、燃料電池システム400の次回起動を禁止する。そして、制御部38は、市水遮断弁40と給湯遮断弁44との双方を遮断することにより、貯湯タンク6への新たな市水の流入と、貯湯タンク6からの貯湯水の流出との双方を防止する。又、この際、制御部38は、信号出力器51により「冷却水タンク又は凝縮水タンクにおける水位の変化の異常検知」又は「次回起動の禁止」の旨を含む電気信号を接点出力又は電気出力として出力させる。
【0221】
以上、本実施の形態に係る燃料電池システム400の構成によれば、実施の形態2に係る燃料電池システム200の場合に加えて、以下に示す3つの付加的効果を更に得ることが可能になる。
【0222】
即ち、第1の付加的効果としては、制御部38が、クロスコネクションの発生に起因する冷却水タンク2、凝縮器20,22,24における水位の異常な変化を検知した場合には、信号出力器51により「冷却水タンク又は凝縮水タンクにおける水位の変化の異常の検知」又は「次回起動の禁止」の旨を含む電気信号を接点出力又は電気出力として出力させるので、遠隔の使用者又は遠隔管理者に向けて報知することが可能になる。
【0223】
又、第2の付加的効果としては、制御部38が、クロスコネクションの発生に起因する冷却水タンク2、凝縮器20,22,24における水位の異常な変化を検知した場合、市水遮断弁40と給湯遮断弁44との双方を遮断するので、貯湯タンク6への新たな市水の流入が防止されて冷却水流路4、凝縮水タンク26,27,28への貯湯水の流入を防止することが可能になると共に、貯湯タンク6への市水の供給が遮断している状況下において給湯の利用が発生する場合においても、貯湯タンク6に貯蔵されている貯湯水がヘッド圧により冷却水流路4、凝縮水タンク26,27,28に流入することを防止することが可能になる。
【0224】
又、第3の付加的効果としては、本実施の形態に係る燃料電池システム400の動作のように、冷却水タンク2が貯蔵する冷却水の一部を水素生成装置17、燃料ガス加湿器46、空気加湿器47に向けて定常的に供給する場合には、正常時においても、冷却水タンク2における水位の低下に伴う補給水ポンプ14の作動が頻繁に発生する。そのため、正常時においては、補給水ポンプ14の作動回数カウンタN1を一定回数以上確保することができる。従って、実施の形態2において説明したように、所定の時間Tc以上の時間における補給水ポンプ14の作動回数カウンタN1が所定の作動回数Nc以下であるか否かに基づく実施の形態では、クロスコネクションの発生をより一層明確にかつ正確に検知することが可能になる。
【0225】
尚、その他の点については、実施の形態1〜5の場合と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0226】
本発明に係る燃料電池システムは、熱交換手段におけるクロスコネクションの発生を検知して、異常な運転状態が継続することを防止可能な燃料電池システムとして、産業上の利用可能性を有している。
【0227】
又、本発明に係る燃料電池システムは、エンジン等を用いた発電と共に発生する熱を回収するコージェネレーションシステム等の用途にも応用することが可能である。
【符号の説明】
【0228】
1 燃料電池
2 冷却水タンク
2a オーバーフロー管
3 冷却水流路
4 冷却水循環ポンプ
5 熱交換器
6 貯湯タンク
7 貯湯水流路
8 貯湯水循環ポンプ
9,12,15 水位センサ
32〜37 水位センサ
41〜43 水位センサ
10 補給水タンク
11a 補給水弁
11b 排出水弁
13,38 制御部
13a 異常表示器
13b 水位制御器
14 補給水ポンプ
16 冷却水排出弁
17 水素生成装置
18 バーナ
19 燃料ガス供給流路
20,22,24 凝縮器
21 残余燃料ガス排出流路
23 燃焼排ガス排出流路
25 残余酸化剤ガス排出流路
26,27,28 凝縮水タンク
29,30,31 凝縮水排出弁
39 リモコン
39a 異常表示器
40 市水遮断弁
44 給湯遮断弁
45 警報器
46 燃料ガス加湿器
47 空気加湿器
48 燃料側加湿水供給流路
49 空気側加湿水供給流路
50 改質水供給流路
51 信号出力器
101 発電ユニット
102 改質器
103 燃料電池
104 貯湯タンク
105 貯湯水循環配管
106 排熱回収手段
109 顕熱回収熱交換部
110 冷却水排熱回収熱交換部
111 潜熱回収熱交換部
112 冷却水循環配管
100〜500 燃料電池システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電する燃料電池と、
前記燃料電池の発電に関連する排熱を回収するための貯湯水を貯蔵する貯湯タンクと、
前記貯湯タンクからの貯湯水と前記排熱の媒介流体との間で熱交換させる熱交換器と、
前記熱交換器において前記貯湯水と熱交換した後の前記排熱の媒介流体中の水を貯蔵する水タンクと、
前記水タンク内の水位を検知する水位センサと、
前記水位センサが検知する前記水位に基づき異常の発生を報知する異常報知器と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記水位センサにより前記水タンク内の水位の異常な変化が検知されると前記異常報知器に異常の発生を報知させる、燃料電池システム。
【請求項2】
前記水タンクへの水供給及び前記水タンクからの水排出の少なくとも何れか一方により前記水タンク内の水位を変更する水位変更器を更に備え、
前記制御装置は、前記水位変更器の動作停止中に前記水位センサにより前記水タンク内の水位の上昇が検知されると前記異常報知器に異常の発生を報知させる、請求項1記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記燃料電池を冷却する前記排熱の媒介流体としての冷却水との間で前記熱交換させる熱交換器と、該熱交換器において前記熱交換した後の前記冷却水を貯蔵する前記水タンクとしての冷却水タンクと、該冷却水タンクに対する前記水位変更器としての水補給器及び水排出器と、を備え、
前記制御装置は、前記水補給器及び前記水排出器の動作停止中に前記水位センサにより前記冷却水タンク内の水位の上昇が検知されると前記異常報知器に異常の発生を報知させる、請求項2記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記燃料電池を冷却する前記排熱の媒介流体としての冷却水との間で前記熱交換させる熱交換器と、該熱交換器において前記熱交換した後の前記冷却水を貯蔵する前記水タンクとしての冷却水タンクと、該冷却水タンクに対する前記水位変更器としての水補給器と、を備え、
前記制御装置は、前記水補給器の動作停止中に前記水位センサにより前記冷却水タンク内の水位の上昇が検知されると前記異常報知器に異常の発生を報知させる、請求項2記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記燃料電池から排出された前記排熱の媒介流体としての燃料ガス又は酸化剤ガスとの間で前記熱交換させる熱交換器と、該熱交換器において前記熱交換した後の前記燃料ガス又は前記酸化剤ガスからの凝縮水を貯蔵する前記水タンクとしての凝縮水タンクと、該凝縮水タンクに対する前記水位変更器としての水排出器と、を備え、
前記制御装置は、前記水排出器が動作停止中であると共に前記燃料電池が運転停止中である時に前記水位センサにより前記凝縮水タンク内の水位の上昇が検知されると前記異常報知器に異常の発生を報知させる、請求項2記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記燃料電池から排出された前記排熱の媒介流体としての燃料ガス又は酸化剤ガスとの間で前記熱交換させる熱交換器と、該熱交換器において前記熱交換した後の前記燃料ガス又は前記酸化剤ガスからの凝縮水を貯蔵する前記水タンクとしての凝縮水タンクと、を備え、
前記制御装置は、前記燃料電池が運転停止中である時に前記水位センサにより前記凝縮水タンク内の水位の上昇が検知されると前記異常報知器に異常の発生を報知させる、請求項2記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記燃料電池から排出された燃料ガスを燃焼する燃焼器を更に備え、かつ、
前記燃焼器から排出された前記排熱の媒介流体としての燃焼排ガスとの間で前記熱交換させる熱交換器と、該熱交換器において前記熱交換した後の前記燃焼排ガスからの凝縮水を貯蔵する前記水タンクとしての凝縮水タンクと、該凝縮水タンクに対する前記水位変更器としての水排出器と、を備え、
前記制御装置は、前記水排出器が動作停止中であると共に前記燃料電池が運転停止中である時に前記水位センサにより前記凝縮水タンク内の水位の上昇が検知されると前記異常報知器に異常の発生を報知させる、請求項2記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記燃料電池システムの運転を制御する運転制御器を更に備え、
前記運転制御器は、前記制御装置が前記異常報知器に異常の発生を報知させる場合に前記燃料電池システムの運転を停止させる、請求項3乃至7記載の燃料電池システム。
【請求項9】
前記燃料電池システムの運転を制御する運転制御器を更に備え、
前記運転制御器は、前記制御装置が前記水位センサにより前記水位の上昇を検知した場合に前記燃料電池システムの運転停止から運転起動への移行を許可しない、請求項3乃至7記載の燃料電池システム。
【請求項10】
前記水タンク内の水を排出する水排出器と、前記水位センサの出力信号に基づき前記水排出器から水を排出させる水位制御器と、を備え、
前記制御装置は、前記水位センサにより前記水タンク内の水位の上昇が検知され、前記水位制御器の制御により前記水排出器から水が排出される頻度が所定の排出頻度以上であると前記異常報知器に異常の発生を報知させる、請求項1記載の燃料電池システム。
【請求項11】
前記水タンク内に水を補給する水補給器と、前記水位センサの出力信号に基づき前記水補給器から水を補給させる水位制御器と、を備え、
前記制御装置は、前記水位センサにより前記水タンク内の水位の下降が検知され、前記水位制御器の制御により前記水補給器から水が補給される頻度が所定の補給頻度以下であると前記異常報知器に異常の発生を報知させる、請求項1記載の燃料電池システム。
【請求項12】
前記燃料電池を冷却する冷却水を貯蔵する前記水タンクとしての冷却水タンクと、
前記燃料電池に供給する燃料ガスを原料及び水を用いて生成する水素生成装置と、
前記燃料電池に供給する燃料ガス及び酸化剤ガスの少なくとも一方を水を用いて加湿する加湿器と、を備え、
前記冷却水タンクが貯蔵する冷却水を前記水として前記水素生成装置及び前記加湿器の少なくとも一方に供給するための冷却水流路を更に備えている、請求項11記載の燃料電池システム。
【請求項13】
前記燃料電池システムの運転を制御する運転制御器を更に備え、
前記運転制御器は、前記制御装置が前記異常報知器に異常の発生を報知させる場合に前記燃料電池システムの運転を停止させる、請求項10乃至11記載の燃料電池システム。
【請求項14】
前記燃料電池システムの運転を制御する運転制御器を更に備え、
前記運転制御器は、前記水排出器による水排出頻度が所定の排出頻度以上である場合、又は、前記水補給器による水補給頻度が所定の補給頻度以上である場合に、前記燃料電池システムの運転停止から運転起動への移行を許可しない、請求項10乃至11記載の燃料電池システム。
【請求項15】
前記異常報知器は、異常の発生を視覚情報として表示することにより報知する異常表示器である、請求項1記載の燃料電池システム。
【請求項16】
水源から前記貯湯タンクに水を供給するための給水流路と、
前記貯湯タンクから熱負荷に貯湯水を供給するための給湯流路と、
流路遮断弁及び流路遮断弁制御器と、を更に備え、
前記給水流路及び前記給湯流路の少なくとも一方に前記流路遮断弁が配設され、
前記流路遮断弁制御器は、前記制御装置が前記異常報知器に異常の発生を報知させる場合に前記少なくとも一方に配設された前記流路遮断弁を閉鎖させる、請求項1記載の燃料電池システム。
【請求項17】
前記給水流路及び前記給湯流路の双方に前記流路遮断弁が配設され、
前記流路遮断弁制御器は、前記制御装置が前記異常報知器に異常の発生を報知させる場合に前記双方の流路遮断弁を閉鎖させる、請求項16記載の燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−55065(P2013−55065A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−248852(P2012−248852)
【出願日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【分割の表示】特願2007−317083(P2007−317083)の分割
【原出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】