説明

燃料電池スタック

【課題】コンパクト且つ軽量な構成で、燃料電池に積層方向に荷重を確実に付与することを可能にする。
【解決手段】燃料電池スタック10は、荷重付与機構50を備えるとともに、前記荷重付与機構50は、一端が第1エンドプレート16の外表面16bに固定され、積層体14の一方の側部に沿って積層方向に延在し、第2エンドプレート18の外表面18bを周回した後、前記積層体14の他方の側部に沿って前記積層方向に延在し、前記第1エンドプレート16の前記外表面16bに他端が配置されるバンド部材52と、前記バンド部材52の他端に係合し、前記第1エンドプレート16の前記外表面16bに沿って伸縮可能なコイルスプリング62と、前記コイルスプリング62を前記第1エンドプレート16の前記外表面16bに保持する保持ブロック58とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解質膜の両側に一対の電極を設けた電解質膜・電極構造体とセパレータとが積層される燃料電池を備え、複数の前記燃料電池が積層される積層体の積層方向両端には、第1エンドプレート及び第2エンドプレートが設けられるとともに、前記第1エンドプレート及び前記第2エンドプレート間に前記積層方向に荷重を付与する荷重付与機構が設けられる燃料電池スタックに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる電解質膜の両側に、それぞれアノード側電極及びカソード側電極を配設した電解質膜・電極構造体(MEA)を、セパレータによって挟持した単位セルを備えている。この種の燃料電池は、通常、所定の数の単位セルを積層することにより、例えば、車載用燃料電池スタックとして使用されている。
【0003】
この種の燃料電池スタックでは、所望の発電性能を得るとともに、シール機能を発揮させるために、積層方向に対して所望の締め付け荷重を付与する必要がある。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1に開示されている固体高分子型燃料電池が知られている。この燃料電池では、図8に示すように、単位電池の積層体1の上下には、エンドプレート2、3が配設されている。エンドプレート2、積層体1及びエンドプレート3は、帯状のバンドからなる締結部材4により締結されている。
【0005】
締結部材4の端部は、エンドプレート2側で補助プレート5に固定されるとともに、前記補助プレート5に設けられたねじ穴には、ボルト6が螺合している。エンドプレート3側には、補助プレート7が配設されるとともに、前記補助プレート7には、凸部8が設けられている。この凸部8には、皿状のばね9が装着されている。
【0006】
そこで、ボルト6が補助プレート5に螺入されると、前記補助プレート5がエンドプレート2から離れる方向に移動する。このため、バンド4により補助プレート7がばね9を圧縮する方向に移動する。これにより、エンドプレート2、3を介して積層体1が締め付けられ、図示しないシール部や電極に必要な面圧が付与されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4083304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の特許文献1では、エンドプレート2の外側に、ボルト6が螺合された補助プレート5が配設されるとともに、エンドプレート3の外側に、凸部8にばね9を配して補助プレート7が配設されている。このため、燃料電池は、積層体1の積層方向に長尺化するとともに、部品点数及び重量が相当に増加するという問題がある。
【0009】
本発明は、この種の問題を解決するものであり、コンパクト且つ軽量な構成で、燃料電池に積層方向に荷重を確実に付与することが可能な燃料電池スタックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、電解質膜の両側に一対の電極を設けた電解質膜・電極構造体とセパレータとが積層される燃料電池を備え、複数の前記燃料電池が積層される積層体の積層方向両端には、第1エンドプレート及び第2エンドプレートが設けられるとともに、前記第1エンドプレート及び前記第2エンドプレート間に前記積層方向に荷重を付与する荷重付与機構が設けられる燃料電池スタックに関するものである。
【0011】
この燃料電池スタックでは、荷重付与機構は、一端が第1エンドプレートの外表面に固定され、積層体の一方の側部に沿って積層方向に延在し、第2エンドプレートの外表面を周回した後、前記積層体の他方の側部に沿って前記積層方向に延在し、前記第1エンドプレートの前記外表面に他端が配置されるバンド部材と、前記バンド部材の他端に係合し、前記第1エンドプレートの前記外表面に沿って伸縮可能な弾性部材と、前記弾性部材を、前記第1エンドプレートの前記外表面に保持する保持部材とを備えている。
【0012】
また、この燃料電池スタックでは、第1エンドプレート及び第2エンドプレートは、長方形状を有するとともに、複数本のバンド部材は、前記第1エンドプレート及び前記第2エンドプレートの長手方向に並列して設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、バンド部材の一端が第1エンドプレートの外表面に固定されるとともに、前記バンド部材は、積層体の一方の側部に沿って延在し、第2エンドプレートの外表面を周回した後、前記積層体の他方の側部に沿って延在し、さらに該第1エンドプレートの前記外表面に沿って伸縮可能な弾性部材を介して保持されている。
【0014】
このため、専用の押圧プレート(補助プレート)を用いる必要がなく、部品点数を有効に削減することができる。
【0015】
しかも、弾性部材は、第1エンドプレートの前記外表面に沿って伸縮可能に、すなわち、前記第1エンドプレートの前記外表面と平行に配設されている。これにより、コンパクト且つ軽量な構成で、燃料電池に対して積層方向に荷重を確実に付与することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃料電池スタックの概略斜視説明図である。
【図2】前記燃料電池スタックを構成する燃料電池の要部分解斜視説明図である。
【図3】前記燃料電池スタックの概略側面説明図である。
【図4】前記燃料電池スタックを構成する荷重付与機構の動作説明図である。
【図5】前記荷重付与機構にローラが配設された状態の説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る燃料電池スタックの概略斜視説明図である。
【図7】前記燃料電池スタックの概略側面説明図である。
【図8】特許文献1に開示されている固体高分子型燃料電池の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池スタック10は、複数の燃料電池12が矢印A方向(水平方向)又は矢印B方向(鉛直方向)に積層された積層体14を備える。積層体14の積層方向両端には、図示しないターミナルプレート及び絶縁プレートを介装して第1エンドプレート16及び第2エンドプレート18が配設される。
【0018】
第1エンドプレート16及び第2エンドプレート18は、横長の長方形状を有するとともに、長辺側の端部(上端部及び下端部)には、それぞれR部(湾曲部)16a及び18aが形成される。長辺側の端部は、積層体14の上下両側部よりも外方に突出する。なお、R部16a及び18aは、少なくとも後述するバンド部材52が接する側(外側)に設けられていればよい。
【0019】
図2に示すように、燃料電池12は、電解質膜・電極構造体20が、第1セパレータ22及び第2セパレータ24に挟持される。第1セパレータ22及び第2セパレータ24は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、あるいはめっき処理鋼板等の金属セパレータやカーボンセパレータにより構成される。
【0020】
燃料電池12の矢印C方向(図2中、水平方向)の一端縁部には、積層方向である矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス入口連通孔26a、冷却媒体を供給するための冷却媒体入口連通孔27a、及び燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出するための燃料ガス出口連通孔28bが、矢印B方向(鉛直方向)に配列して設けられる。
【0021】
燃料電池12の矢印C方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス入口連通孔28a、冷却媒体を排出するための冷却媒体出口連通孔27b、及び酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス出口連通孔26bが、矢印B方向に配列して設けられる。
【0022】
第1セパレータ22の電解質膜・電極構造体20に向かう面22aには、酸化剤ガス入口連通孔26aと酸化剤ガス出口連通孔26bとに連通する酸化剤ガス流路32が設けられる。
【0023】
第2セパレータ24の電解質膜・電極構造体20に向かう面24aには、燃料ガス入口連通孔28aと燃料ガス出口連通孔28bとに連通する燃料ガス流路34が設けられる。
【0024】
互いに隣接する燃料電池12を構成する第1セパレータ22の面22bと、第2セパレータ24の面24bとの間には、冷却媒体入口連通孔27aと冷却媒体出口連通孔27bとを連通する冷却媒体流路36が設けられる。
【0025】
第1セパレータ22及び第2セパレータ24には、それぞれシール部材38、40が、一体的又は個別に設けられる。シール部材38、40は、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコンゴム、フロロシリコンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン、又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材を使用する。
【0026】
電解質膜・電極構造体20は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜42と、前記固体高分子電解質膜42を挟持するカソード側電極44及びアノード側電極46とを備える。
【0027】
カソード側電極44及びアノード側電極46は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布されて形成される電極触媒層とを有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜42の両面に形成されている。
【0028】
図1に示すように、燃料電池スタック10は、第1エンドプレート16及び第2エンドプレート18間に積層方向に荷重を付与する荷重付与機構(面圧保持機構)50を設ける。荷重付与機構50は、複数本、例えば、3本のバンド部材52を備えるとともに、前記バンド部材52は、第1エンドプレート16及び第2エンドプレート18の長手方向に並列して設けられる。バンド部材52は、好ましくは、金属バンドやカーボンファイバー等の高分子材料の強化繊維により構成される。バンド部材52の本数は、燃料電池スタック10の寸法に応じて適宜設定可能である。
【0029】
バンド部材52の一端は、第1エンドプレート16の外表面(鉛直面)16bの下端側にねじ54を介して固定される。バンド部材52は、積層体14の一方の側部(下方側部)に沿って積層方向に延在し、第2エンドプレート18の外表面18bを周回した後、前記積層体14の他方の側部(上方側部)に沿って前記積層方向に延在し、第1エンドプレート16の外表面16bに前記バンド部材52の他端が配置される。
【0030】
図1及び図3に示すように、バンド部材52の他端には、ループ部56が設けられるとともに、前記ループ部56には、開口部56aが形成される。ループ部56は、バンド部材52の他端が前記バンド部材52に溶接やかしめ等によって一体に接合されることにより、構成される。
【0031】
第1エンドプレート16の外表面16bには、各バンド部材52のループ部56に近接して複数個、例えば、3個の保持ブロック(保持部材)58が設けられる。保持ブロック58は、断面三角形状の楔形状を有し、下面が水平方向に延在し且つ上面が下方に傾斜する。保持ブロック58には、鉛直方向に貫通する孔部58aが形成される。
【0032】
各バンド部材52のループ部56内には、荷重調整ロッド60の頭部60aが配置される。この頭部60aは、ロッド部60bに比べて大径な円柱形状を有し、前記頭部60aに前記ロッド部60bの一端が、ねじ締結や溶接により一体に設けられる。ロッド部60bは、保持ブロック58の孔部58aを貫通して下方に延在するとともに、下端部には、ねじ部60cが形成される。
【0033】
保持ブロック58の下面には、弾性部材、例えば、コイルスプリング62の一端(上端)が係合する。なお、コイルスプリング62に代えて、積層された皿ばね等を使用してもよい。
【0034】
荷重調整ロッド60は、コイルスプリング62内を貫通し、下端部に設けられたねじ部60cに締め付けねじ64が螺合する。この締め付けねじ64により、コイルスプリング62の他端(下端)が保持される。コイルスプリング62は、第1エンドプレート16の外表面16bに沿って伸縮可能であり、前記外表面16bに平行に配置される。
【0035】
第2エンドプレート18の外表面18bには、図示しないが、酸化剤ガス入口連通孔26a、酸化剤ガス出口連通孔26b、冷却媒体入口連通孔27a、冷却媒体出口連通孔27b、燃料ガス入口連通孔28a及び燃料ガス出口連通孔28bにそれぞれ連通するマニホールドが形成される。なお、第2エンドプレート18の外表面18bは、図4中、仮想線で示すように、外方に滑らかに繋がる凸状形状を有してもよい。
【0036】
このように構成される燃料電池スタック10の動作について、以下に説明する。
【0037】
先ず、図2に示すように、酸化剤ガス入口連通孔26aに酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給されるとともに、燃料ガス入口連通孔28aに水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。さらに、冷却媒体入口連通孔27aに純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。
【0038】
このため、酸化剤ガスは、酸化剤ガス入口連通孔26aから第1セパレータ22の酸化剤ガス流路32に導入される。酸化剤ガスは、矢印C方向に移動しながら、電解質膜・電極構造体20を構成するカソード側電極44に供給される。
【0039】
一方、燃料ガスは、燃料ガス入口連通孔28aから第2セパレータ24の燃料ガス流路34に導入される。この燃料ガスは、矢印C方向に移動しながら、電解質膜・電極構造体20を構成するアノード側電極46に供給される。
【0040】
従って、電解質膜・電極構造体20では、カソード側電極44に供給される酸化剤ガスと、アノード側電極46に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費され、発電が行われる。
【0041】
次いで、カソード側電極44に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口連通孔26bに沿って矢印A方向に排出される。一方、アノード側電極46に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス出口連通孔28bに沿って矢印A方向に排出される。
【0042】
また、冷却媒体入口連通孔27aに供給された冷却媒体は、第1セパレータ22及び第2セパレータ24間の冷却媒体流路36に導入された後、矢印C方向に流通する。この冷却媒体は、電解質膜・電極構造体20を冷却した後、冷却媒体出口連通孔27bから排出される。
【0043】
この場合、第1の実施形態では、燃料電池スタック10は、図1及び図3に示すように、バンド部材52の一端が第1エンドプレート16の外表面16bに固定されている。そして、バンド部材52は、積層体14の一方の側部に沿って延在し、第2エンドプレート18の外表面18bを周回した後、前記積層体14の他方の側部に沿って延在し、さらに第1エンドプレート16の外表面に沿って伸縮可能なコイルスプリング62を介して保持されている。
【0044】
このため、専用の押圧プレート(補助プレート)を用いる必要がなく、部品点数を大幅に削減することができる。
【0045】
しかも、コイルスプリング62は、第1エンドプレート16の外表面16bに沿って伸縮可能であり、前記外表面16bに平行に配置されている。これにより、燃料電池スタック10は、コンパクト且つ軽量な構成で、燃料電池12に積層方向に荷重を確実に付与することが可能になるという効果が得られる。
【0046】
さらに、バンド部材52は、コイルスプリング62に荷重調整ロッド60を介して係合している。従って、第1エンドプレート16と第2エンドプレート18との間に積層されている各燃料電池12に締め付け荷重を確実に付与することができる。
【0047】
図4に示すように、荷重調整ロッド60のねじ部60cに締め付けねじ64がねじ込まれると(図4中、螺回方向参照)、この締め付けねじ64と保持ブロック58との間でコイルスプリング62が収縮される。このため、荷重調整ロッド60の頭部60aは、バンド部材52のループ部56を下方に引張し、前記バンド部材52に付与される荷重が増加される。これにより、バンド部材52による燃料電池スタック10の締め付け荷重が調整され、前記締め付け荷重を所望の範囲内に確保することが可能になる。
【0048】
さらにまた、第1エンドプレート16及び第2エンドプレート18の各長辺側の端部には、それぞれR部16a及び18aが形成されている。従って、バンド部材52は、R部16a及び18aに沿って円滑且つ確実に摺動することができるという利点がある。
【0049】
その際、図5に示すように、バンド部材52の摺動部位にローラ70を配設することが可能である。ローラ70は、好適には、第1エンドプレート16及び第2エンドプレート18の各長辺側の端部に、各バンド部材52に対応して回転自在に設けられる。これにより、バンド部材52が一層円滑に摺動することができる。なお、第1エンドプレート16及び第2エンドプレート18の各長辺側の端部には、それぞれR部16a及び18aを設けなくてもよい。
【0050】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池スタック80の概略斜視説明図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池スタック10と同一の構成要素には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0051】
図6及び図7に示すように、燃料電池スタック80は、第1エンドプレート16及び第2エンドプレート18間に積層方向に荷重を付与する荷重付与機構(面圧保持機構)82を設ける。荷重付与機構82を構成する各バンド部材52は、一端が第1エンドプレート16の外表面16bに保持ブロック84を介して固定される。保持ブロック84は、保持ブロック58と同様に、断面三角形状の楔形状を有し、外表面16bに設けられるとともに、前記保持ブロック84にバンド部材52の一端が固着される。保持ブロック84は、第1エンドプレート16の外表面16bに固定されていてもよく、また、固定されていなくてもよい。固定されていない場合、第1エンドプレート16の上下方向からバンド部材52を締め上げることができる。
【0052】
バンド部材52の他端は、第1エンドプレート16の外表面16bに沿って延在し、ローラ86に摺接する。第1エンドプレート16の外表面16b上にブラケット87が固着されるとともに、前記ブラケット87には、ローラ86の軸86aが回転自在に装着される。バンド部材52の他端は、保持ブロック84を越えて下方に延在するとともに、前記他端には、略90°屈曲して支持板部88が溶接等により一体成形される。この支持板部88は、バンド部材52の他の部位に比べて肉厚に構成されるとともに、前記支持板部88には、ねじ孔88aが上下方向に貫通形成される。
【0053】
ねじ孔88aには、荷重調整ロッド90が螺合する。荷重調整ロッド90は、下端部に螺回部90aが設けられ、前記螺回部90aの端部から上方にねじ部90bが延在する。ねじ部90bの上端には、押圧部材92が設けられるとともに、前記押圧部材92と保持ブロック84の下面との間には、弾性部材、例えば、コイルスプリング94が介装される。コイルスプリング94は、第1エンドプレート16の外表面16bに沿って伸縮可能であり、前記外表面16bに平行に配置される。押圧部材92又は保持ブロック84からコイルスプリング94の中心部に向けてガイド部材(図示せず)を設けてもよい。
【0054】
このように構成される第2の実施形態では、コイルスプリング94は、第1エンドプレート16の外表面16bに沿って伸縮可能であり、前記外表面16bに平行に配置されている。このため、燃料電池スタック80は、コンパクト且つ軽量な構成で、燃料電池12に積層方向に荷重を確実に付与することが可能になる等、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0055】
さらに、第2の実施形態では、荷重調整ロッド90の螺回部90aが螺回されると、ねじ部90bが支持板部88のねじ孔88aにねじ込まれる。従って、ねじ部90bの上端に設けられている押圧部材92は、コイルスプリング94を保持ブロック84側に押圧する。これにより、コイルスプリング94が収縮され、支持板部88を介してバンド部材52に付与される荷重が増加される。
【0056】
このため、バンド部材52による燃料電池スタック80の締め付け荷重が調整され、前記締め付け荷重を所望の範囲内に確保することが可能になる。
【符号の説明】
【0057】
10、80…燃料電池スタック 12…燃料電池
14…積層体 16、18…エンドプレート
22、24…セパレータ 20…電解質膜・電極構造体
26a…酸化剤ガス入口連通孔 26b…酸化剤ガス出口連通孔
27a…冷却媒体入口連通孔 27b…冷却媒体出口連通孔
28a…燃料ガス入口連通孔 28b…燃料ガス出口連通孔
32…酸化剤ガス流路 34…燃料ガス流路
36…冷却媒体流路 38、40…シール部材
42…固体高分子電解質膜 44…カソード側電極
46…アノード側電極 50、82…荷重付与機構
52…バンド部材 54…ねじ
56…ループ部 58、84…保持ブロック
60、90…荷重調整ロッド 60a…頭部
60b…ロッド部 60c、90b…ねじ部
62、94…コイルスプリング 64…締め付けねじ
70、86…ローラ 88…支持板部
90a…螺回部 92…押圧部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質膜の両側に一対の電極を設けた電解質膜・電極構造体とセパレータとが積層される燃料電池を備え、複数の前記燃料電池が積層される積層体の積層方向両端には、第1エンドプレート及び第2エンドプレートが設けられるとともに、前記第1エンドプレート及び前記第2エンドプレート間に前記積層方向に荷重を付与する荷重付与機構が設けられる燃料電池スタックであって、
前記荷重付与機構は、一端が前記第1エンドプレートの外表面に固定され、前記積層体の一方の側部に沿って前記積層方向に延在し、前記第2エンドプレートの外表面を周回した後、前記積層体の他方の側部に沿って前記積層方向に延在し、該第1エンドプレートの前記外表面に他端が配置されるバンド部材と、
前記バンド部材の他端に係合し、前記第1エンドプレートの前記外表面に沿って伸縮可能な弾性部材と、
前記弾性部材を、前記第1エンドプレートの前記外表面に保持する保持部材と、
を備えることを特徴とする燃料電池スタック。
【請求項2】
請求項1記載の燃料電池スタックにおいて、前記第1エンドプレート及び前記第2エンドプレートは、長方形状を有するとともに、
複数本の前記バンド部材は、前記第1エンドプレート及び前記第2エンドプレートの長手方向に並列して設けられることを特徴とする燃料電池スタック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−20740(P2013−20740A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151410(P2011−151410)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】