説明

燃料電池セパレータ用ステンレス鋼の製造方法、燃料電池セパレータ用ステンレス鋼、燃料電池セパレータ、ならびに燃料電池

【課題】電気伝導性と耐久性に優れた燃料電池セパレータ用ステンレス鋼の製造方法、燃料電池セパレータ用ステンレス鋼、燃料電池セパレータ、ならびに燃料電池を提供する。
【解決手段】燃料電池セパレータ4,5用ステンレス鋼は、16mass%以上のCrを含有するステンレス鋼に対して、電解処理を施した後、フッ素を含有する溶液への浸漬処理を施すことで製造される。電解処理はアノード電解またはアノード電解とカソード電解の組み合わせにより施され、かつ、アノード電解量Qaとカソード電解量QcがQa≧Qcを満たすことが好ましい。前記フッ素を含有する溶液は、温度が40℃以上、フッ酸濃度[HF]および硝酸濃度[HNO3]が[HF]≧0.8×[HNO3]を満たすフッ酸または硝フッ酸であることが好ましい。なお、フッ酸濃度[HF]および硝酸濃度[HNO3]の単位は、mass%を意味する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気伝導性と耐久性に優れた燃料電池セパレータ用ステンレス鋼の製造方法、燃料電池セパレータ用ステンレス鋼、燃料電池セパレータ、ならびに燃料電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保全の観点から、発電効率に優れ、二酸化炭素を排出しない燃料電池の開発が進められている。この燃料電池は、水素と酸素を反応させて電気を発生させるもので、その基本構造は、サンドイッチのような構造を有しており、電解質膜(イオン交換膜)、2つの電極(燃料極と空気極)、水素および酸素(空気)の拡散層、および2つのセパレータから構成されている。そして、用いる電解質の種類により、リン酸形、溶融炭酸塩形、固体酸化物形、アルカリ形および固体高分子形などが開発されている。
【0003】
上記燃料電池の中で、固体高分子形燃料電池は、溶融炭酸塩形およびリン酸形燃料電池等に比べて、(1)運転温度が80℃程度と格段に低い、(2)電池本体の軽量化・小形化が可能である、(3)立上げが早く、燃料効率、出力密度が高いなどの特徴を有している。このため、固体高分子形燃料電池は、電気自動車の搭載用電源や家庭用、携帯用の小型分散型電源(定置型の小型発電機)として利用すべく、今日もっとも注目されている燃料電池の一つである。
【0004】
固体高分子形燃料電池は、高分子膜を介して水素と酸素から電気を取り出す原理によるものであり、その構造は、図1 に示すように高分子膜とその膜の表裏面に白金系触媒を担持したカーボンブラック等の電極材料を一体化した膜−電極接合体(MEA: Membrane-Electrode Assembly、厚み数10〜数100μm)1をカーボンクロス等のガス拡散層2、3およびセパレータ4、5により挟み込み、これを単一の構成要素 (単セル) とし、セパレータ4と5の間に起電力を生じさせるものである。このとき、ガス拡散層はMEAと一体化される場合も多い。この単セルを数十から数百個直列につないで燃料電池スタックを構成し、使用されている。
【0005】
セパレータには、単セル間を隔てる隔壁としての役割に加えて、(1) 発生した電子を運ぶ導電体、(2) 酸素(空気)や水素の流路(それぞれ図1中の空気流路6、水素流路7)および生成した水や排出ガスの排出路(それぞれ図1中の空気流路6、水素流路7)、としての機能が求められる。また、耐久性に関しては、自動車用の燃料電池では約5000時間、家庭用の小型分散電源などとして使用される定置型の燃料電池では、約40000時間と想定されている。
【0006】
現在までに実用化されている固体高分子形燃料電池は、セパレータとして、カーボン素材を用いたものが提供されている。しかしながら、このカーボン製セパレータは、衝撃により破損しやすく、コンパクト化が困難で、かつ流路を形成するための加工コストが高いという欠点があった。特にコストの問題は、燃料電池普及の最大の障害となっている。そこで、カーボン素材にかわり金属素材、特にステンレス鋼を適用しようとする試みがある。
【0007】
前述のように、セパレータには発生した電子を運ぶ導電体としての役割があるため、電気伝導性が必要となる。セパレータにステンレス鋼を用いた場合の電気伝導性に関しては、セパレータとガス拡散層の間の接触抵抗が支配的となるため、これを低減する技術が検討されている。
【0008】
例えば、特許文献1には、フッ素イオンを含有した溶液に、ステンレス鋼を溶解速度0.002g/m2秒以上0.05g/m2秒以下で浸漬して、表面の不動態皮膜にフッ素を含有させることによって接触抵抗を低減する技術が開示されており、この技術は接触抵抗低減には有効である。しかしながら、発明者らがさらに詳細な検討を加えたところ、フッ素イオンを含有した溶液への浸漬によりステンレス鋼が溶解して溶液に0.04g/l以上のFeイオンが混入すると、Feイオンがフッ素イオンと錯体を形成することにより有効フッ素量が減少し、所定の効果が得られなくなるという問題を発見した。すなわち、鋼板を処理する際には処理可能枚数が、鋼帯を連続処理する際には処理可能長さが制限されるという問題があることがわかった。また、その効果が弱まった場合には、燃料電池使用環境における耐久性が著しく低下する問題も発見した。
【0009】
従来、フッ素イオンを含有した溶液の酸洗力を維持する方法としては、例えば、特許文献2には、酸洗液中のトータルFeイオン濃度を50g/l以下とし、かつ2価のFeイオン(Fe2+)と3価の鉄イオン(Fe3+)の濃度比(Fe2+/Fe3+)を0.25〜2.0の範囲に制御することを特徴とする金属の酸洗方法が開示されている。しかしながら、この技術では、かなり高いFeイオン濃度範囲(実施例においては5〜25g/l)において単純に脱スケール力を維持することが目的とされており、接触抵抗を低減するような高度な表面処理の効果を維持することとは問題が大きく異なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−13684号公報
【特許文献2】特許第2827289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、従来の技術が抱えている、ステンレス鋼の接触抵抗低減のためにはフッ素イオンを含有した溶液への浸漬が有効であるものの、ステンレス鋼自体の溶解によりその効果を安定的に発現できないという問題点に鑑み、量産性を考慮し、電気伝導性および耐久性に優れた燃料電池セパレータ用ステンレス鋼の製造方法、燃料電池セパレータ用ステンレス鋼、燃料電池セパレータ、ならびに燃料電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、電気伝導性と耐久性に優れた燃料電池セパレータ用ステンレス鋼の製造方法について検討を行った。その結果、フッ素を含有する溶液への浸漬処理の前に電解処理を施すことによって、接触抵抗低減効果が発現しやすくなり、かつ、フッ素を含有する溶液にFeイオンが混入しても、その効果が消失しにくくなるという知見を得た。また、そうして得られたステンレス鋼は燃料電池環境における耐久性にも優れているという知見を得た。
【0013】
本発明は上記の知見に立脚するものである。
【0014】
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
[1]16mass%以上のCrを含有するステンレス鋼に対して、電解処理を施した後、フッ素を含有する溶液への浸漬処理を施すことを特徴とする燃料電池セパレータ用ステンレス鋼の製造方法。
[2]前記[1]において、前記電解処理が、アノード電解またはアノード電解とカソード電解の組み合わせにより施され、かつ、アノード電解量Qaとカソード電解量QcがQa≧Qcを満たすことを特徴とする燃料電池セパレータ用ステンレス鋼の製造方法。
ただし、アノード電解のみの電解処理の場合は、Qc=0とみなす。
[3]前記[1]または[2]において、前記フッ素を含有する溶液の温度が40℃以上であることを特徴とする燃料電池セパレータ用ステンレス鋼の製造方法。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかにおいて、前記フッ素を含有する溶液が、フッ酸濃度[HF]および硝酸濃度[HNO3]が[HF]≧0.8×[HNO3]([HNO3]は0を含む)を満たすフッ酸または硝フッ酸であることを特徴とする燃料電池セパレータ用ステンレス鋼の製造方法。
[5]前記[1]〜[3]のいずれかにおいて、前記フッ素を含有する溶液が、フッ酸濃度[HF]および硝酸濃度[HNO3]が[HF]≧1.7×[HNO3] ([HNO3]は0を含む)を満たすフッ酸または硝フッ酸であることを特徴とする燃料電池セパレータ用ステンレス鋼の製造方法。
[6]前記[1]〜[3]のいずれかにおいて、前記フッ素を含有する溶液が、フッ酸濃度[HF]および硝酸濃度[HNO3]が[HF]≧5.0×[HNO3] ([HNO3]は0を含む)を満たすフッ酸または硝フッ酸であることを特徴とする燃料電池セパレータ用ステンレス鋼の製造方法。
[7]前記[1]〜[6]のいずれかに記載の燃料電池セパレータ用ステンレス鋼の製造方法により製造された燃料電池セパレータ用ステンレス鋼。
[8]前記[7]に記載の燃料電池セパレータ用ステンレス鋼を用いた燃料電池セパレータ。
[9]前記[8]に記載の燃料電池セパレータを用いた燃料電池。
なお、本発明において、硝フッ酸とは、フッ酸と硝酸との混合液を示す。また、フッ酸濃度[HF]および硝酸濃度[HNO3]の単位は、mass%である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電気伝導性および耐久性に優れた燃料電池セパレータ用ステンレス鋼を、安価に安定的に得ることができる。
フッ素イオンを含有した溶液への浸漬によりステンレス鋼が溶解して溶液に0.04g/l以上のFeイオンが混入した場合でも、接触抵抗低減効果が消失することなく安定して得られる。
従来の高価なカーボンや金めっきに代わり、本発明のステンレス鋼をセパレータとして用いることで、安価な燃料電池を提供でき、燃料電池の普及を促進させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】燃料電池の基本構造を示す模式図である。
【図2】[HF]/[HNO3]と、浸漬処理後接触抵抗値および耐久性評価試験後接触抵抗値との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0018】
まず、本発明で対象とするステンレス鋼について説明する。
【0019】
本発明において、基材として使用するステンレス鋼については、燃料電池の動作環境下で必要とされる耐食性を有する限り鋼種等に特段の制約は無く、フェライト系であっても、オーステナイト系であっても、さらには二相系であってもいずれもが使用できる。ただし、最低限の耐食性を確保するために、Crを16mass%以上含有させる必要がある。好ましくは18mass%以上である。
【0020】
以下、フェライト系、オーステナイト系および二相系のステンレス鋼について、特に好適な成分組成を示すと、次のとおりである。なお、成分に関する「%」表示は特に断らない限りmass%を意味するものとする。
(1)フェライト系ステンレス鋼の好適な成分組成
C:0.03%以下
Cは、鋼中のCrと結合して、耐食性の低下をもたすため、低いほど望ましいが、0.03%以下であれば耐食性を著しく低下させることはない。このため、0.03%以下が好ましく、より好ましくは0.015%以下である。
【0021】
Si:1.0%以下
Siは、脱酸に用いる元素であるが、過剰に含有されると、延性の低下をもたらすため、1.0%以下が好ましい。より好ましくは0.5%以下である。
【0022】
Mn:1.0%以下
Mnは、Sと結合してMnSを形成し、耐食性を低下させるため、1.0%以下が好ましい。より好ましくは0.8%以下である。
【0023】
S:0.01%以下
上述したとおり、Sは、Mnと結合してMnSを形成し、耐食性を低下させるため、0.01%以下が好ましい。より好ましくは0.008%以下である。
【0024】
P:0.05%以下
Pは、延性の低下をもたらすため、低いほど望ましいが、0.05%以下であれば延性を著しく低下させることはない。このため、0.05%以下が好ましく、より好ましくは0.04%以下である。
【0025】
Al:0.20%以下
Alは、脱酸に用いられる元素であるが、過剰に含有されると延性の低下をもたらすため、0.20%以下が好ましい。より好ましくは、0.15%以下である。
【0026】
N:0.03%以下
Nは、鋼中のCrと結合して、耐食性の低下をもたらすため、低いほど望ましいが、0.03%以下であれば耐食性を著しく低下させることはない。このため、0.03%以下が好ましい。より好ましくは0.015%以下である。
【0027】
Cr:16%以上
Crは、ステンレス鋼が耐食性を保持するために必須の元素であるため、その効果を得るには16%以上含有させる必要がある。Cr含有量が16%未満では、セパレータとして長時間の使用に耐えられない。特に、使用中の環境の変化が問題となる場合には、18%以上とすることが好ましく、より好ましくは20%以上である。一方、Crを40%を超えて含有すると加工性が著しく低下するので、加工性を重視する場合には40%以下とすることが好ましい。より好ましくは35%以下である。
【0028】
Nb、Ti、Zrのうちから選んだ少なくとも一種を合計で:1.0%以下
Nb、Ti、Zrはいずれも、鋼中のC、Nを炭化物や窒化物、あるいは炭窒化物として固定し、耐食性を改善するのに有用な元素である。ただし、1.0%を超えて含有すると延性の低下が顕著となるので、これらの元素は単独添加または複合添加いずれの場合も1.0%以下に限定する。なお、これらの元素の添加効果を十分に発揮させるには、0.02%以上含有させることが好ましい。
【0029】
以上、必須成分について説明したが、本発明では、その他にも以下に述べる元素を適宜含有させることができる。
【0030】
Mo:0.02%以上4.0%以下
Moは、ステンレス鋼の耐食性、特に局部腐食性を改善するのに有効な元素であり、この効果を得るためには、0.02%以上含有させることが好ましい。一方、4.0%を超えて含有すると延性の低下が顕著となるので、上限は4.0%が好ましい。より好ましくは2.0%以下である。
【0031】
また、その他にも、耐食性の改善を目的として、Ni、Cu、V、Wをそれぞれ1.0%以下で、さらに熱間加工性の向上を目的として、Ca、Mg、REM(Rare Earth Metals)、Bをそれぞれ0.1%以下で含有させることもできる。
残部は、Feおよび不可避的不純物である。不可避的不純物のうちO(酸素)は、0.02%以下であることが好ましい。
【0032】
(2)オーステナイト系ステンレス鋼の好適な成分組成
C: 0.08%以下
Cは、セパレータ用オーステナイト系ステンレス鋼中のCrと反応して化合物を形成し、粒界にCr炭化物として析出するので、耐食性の低下をもたらす。したがって、Cの含有量は少ないほど好ましく、0.08%以下であれば耐食性を著しく低下させることはない。したがって、Cは0.08%以下が好ましい。より好ましくは 0.03%以下である。
【0033】
Cr:16%以上
Crは、オーステナイト系ステンレス鋼板としての基本的な耐食性を確保するために必要な元素であり、Cr含有量が16%未満では、セパレータとして長時間の使用に耐えられない。よって、16%以上とする。一方、Cr含有量が30%を超えると、オーステナイト組織を得るのが困難である。したがって、30%以下が好ましい。より好ましくは18%以上26%以下である。
【0034】
Mo: 0.1%以上10.0%以下
Moは、セパレータ用オーステナイト系ステンレス鋼の隙間腐食等の局部腐食を抑制するのに有効な元素である。この効果を得るためには、 0.1%以上含有させる必要がある。一方、10.0%を超えると、セパレータ用ステンレス鋼が著しく脆化して生産性が低下する。したがって、0.1%以上10.0%以下が好ましい。より好ましくは 0.5%以上7.0%以下である。
【0035】
Ni:7%以上40%以下
Niは、オーステナイト相を安定させる元素である。Ni含有量が7%未満では、オーステナイト相の安定化の効果が得られない。一方、Ni含有量が40%を超えると、Niを過剰に消費することによってコストの上昇を招く。したがって、7%以上40%以下が好ましい。
【0036】
本発明のセパレータ用オーステナイト系ステンレス鋼では、上記したC、Cr、Mo、Niに加えて、必要に応じて以下の元素を含有することもできる。
【0037】
N:2.0%以下
Nは、セパレータ用オーステナイト系ステンレス鋼の局部腐食を抑制する作用を有する効果がある。しかし、N含有量を2.0%を超えて含有させるのは工業的には困難であるので2.0%以下が好ましい。さらに通常の溶製方法では、 0.4%を超えると、セパレータ用ステンレス鋼の溶製段階でNを含有させるために長時間を要するので生産性の低下を招く。したがって、コストの面から0.4%以下がより好ましい。さらに好ましくは0.01%以上0.3%以下である。
【0038】
Cu: 0.01%以上3.0%以下
Cuは、セパレータ用オーステナイト系ステンレス鋼の耐食性を改善する作用を有する元素である。このような効果を得るためには、0.01%以上が好ましい。しかし、Cu含有量が 3.0%を超えると、熱間加工性が低下し、生産性の低下を招く。したがって、Cuを含有する場合は、 3.0%以下が好ましい。より好ましくは、0.01%以上2.5%以下である。
【0039】
Si:0.01%以上1.5%以下
Siは、脱酸のために有効な元素であり、セパレータ用オーステナイト系ステンレス鋼の溶製段階で添加される。このような効果を得るためには、Si含有量0.01%以上が好ましい。しかし、過剰に含有させるとセパレータ用ステンレス鋼が硬質化し、延性が低下する。したがって、Siを含有する場合は、1.5%以下が好ましい。より好ましくは、0.01%以上1.0%以下である。
【0040】
Mn:0.001%以上2.5%以下
Mnは、不可避的に混入したSと結合し、セパレータ用オーステナイト系ステンレス鋼に固溶したSを低減する効果を有するので、Sの粒界偏析を抑制し、熱間圧延時の割れを防止するのに有効な元素である。このような効果は、Mn含有量が0.001%以上2.5%以下で発揮される。したがって、Mnを含有する場合は、0.001%以上2.5%以下が好ましい。より好ましくは、0.001〜2.0%の範囲である。
【0041】
Ti、Nb、Vおよび、Zrのうちの少なくとも1種を合計で、0.01〜0.5%
Ti、 Nb、VおよびZrは、いずれもオーステナイト系ステンレス鋼中のCと反応して炭化物を形成する。Ti、 Nb、VおよびZrは、このようにしてCを固定するので、セパレータ用オーステナイト系ステンレス鋼の耐粒界腐食性を改善するのに有効な元素である。特に、Cの含有量が0.08%以下では、Ti、Nb、VおよびZrの少なくともいずれかを含有する場合の耐食性の改善効果は、Ti、Nb、VおよびZrの単独含有または複合含有いずれの場合も0.01%以上で発揮される。
【0042】
一方、Ti、Nb、VおよびZrは、単独含有または複合含有いずれの場合も0.5%を超えて含有させてもその効果は飽和する。したがって、Ti、Nb、VまたはZrを含有する場合は、これらの元素のうちの少なくとも1種を合計で0.01%以上0.5%以下が好ましい。
【0043】
本発明では、上記した元素の他に、セパレータ用オーステナイト系ステンレス鋼の熱間加工性を向上するために、Ca、Mg、B、希土類元素(いわゆるREM )をそれぞれ 0.1%以下、溶鋼段階での脱酸の目的でAlを 0.2%以下の範囲内で含んでも良い。
残部は、Feおよび不可避的不純物である。不可避的不純物のうちO(酸素)は、0.02%以下とすることが好ましい。
【0044】
(3)二相ステンレス鋼の好適な成分組成
C:0.08%以下
Cは、Crと反応して化合物を形成し、粒界にCr炭化物として析出するので、耐食性の低下をもたらす。したがって、Cの含有量は小さいほど好ましく、0.08%以下であれば耐食性を著しく低下させることはない。したがって、Cは0.08%以下が好ましい。より好ましくは 0.03%以下である。
【0045】
Cr:16%以上
Crは、二相ステンレス鋼板としての基本的な耐食性を確保するために必要な元素であり、Cr含有量が16%未満では、セパレータとして長時間の使用に耐えられない。よって、16%以上とする。一方、Cr含有量が30%を超えると、二相組織(以下、特に断りが無い限り、フェライト相およびオーステナイト相の二相組織を意味する)を得るのが困難である。したがって、30%以下が好ましい。より好ましくは20〜28%である。
【0046】
Mo: 0.1〜10.0%
Moは、隙間腐食等の局部腐食を抑制するのに有効な元素である。この効果を得るためには、 0.1%以上含有させる必要がある。一方、10.0%を超えると、ステンレス鋼が著しく脆化して生産性が低下する。したがって、0.1%以上10.0%以下が好ましい。より好ましくは 0.5%以上7.0%以下である。
【0047】
Ni:1〜10%
Niは、オーステナイト相を安定させる元素である。Ni含有量が1%未満では、オーステナイト相が生成し難くなり、二相組織を得にくくなる。一方、Ni含有量が10%を超えると、フェライト相が生成し難くなり、二相組織を得にくくなる。したがって、Niは、1%以上10%以下が好ましい。
【0048】
本発明のセパレータ用二相ステンレス鋼では、上記したC、Cr、Mo、Niに加えて、必要に応じて下記の元素を含有することもできる。
【0049】
N: 2.0%以下
Nは、セパレータ用二相ステンレス鋼の局部腐食を抑制する作用を有する元素である。しかし、N含有量を2.0%を超えて含有させるのは工業的には困難であるのでこれを上限とするのが好ましい。さらに通常の溶製方法では、 0.4%を超えると、セパレータ用ステンレス鋼の溶製段階でNを含有させるために長時間を要するので生産性の低下を招く。したがって、コストの面では0.4%以下が好ましい。より好ましくは、0.01〜0.3%の範囲である。
【0050】
Cu: 3.0%以下
Cuは、セパレータ用二相ステンレス鋼の耐食性を改善する作用を有する元素である。このような効果を得るためには、0.01%以上が好ましい。しかし、Cu含有量が 3.0%を超えると、熱間加工性が低下し、生産性の低下を招く。したがって、Cuを含有する場合は、3.0%以下が好ましい。より好ましくは0.01%以上2.5%である。
【0051】
Si: 1.5%以下
Siは、脱酸のために有効な元素であり、セパレータ用二相ステンレス鋼の溶製段階で添加される。このような効果を得るためには、0.01%以上が好ましい。しかし、過剰に含有させるとセパレータ用ステンレス鋼が硬質化し、延性が低下する。したがって、Siを含有する場合は、1.5%以下が好ましい。より好ましくは0.01%以上1.0%以下である。
【0052】
Mn: 0.001%以上2.5%以下
Mnは、不可避的に混入したSと結合し、セパレータ用二相ステンレス鋼に固溶したSを低減する効果を有するので、Sの粒界偏析を抑制し、熱間圧延時の割れを防止するのに有効な元素である。このような効果は、Mn含有量が0.001%以上2.5%以下で発揮される。したがって、Mnを含有する場合は、0.001%以上2.5%以下が好ましい。より好ましくは0.001%以上2.0%以下である。
【0053】
Ti、Nb、Vまたは、Zrのうちの少なくとも1種を合計で、0.01〜0.5%
Ti、 Nb、VおよびZrは、いずれも二相ステンレス鋼中のCと反応して炭化物を形成する。Ti、 Nb、VおよびZrは、このようにしてCを固定するので、セパレータ用二相ステンレス鋼の耐粒界腐食性を改善するのに有効な元素である。特にCの含有量が0.08%以下では、Ti、Nb、VおよびZrの少なくともいずれかを含有する場合の耐食性の改善効果は、Ti、Nb、VおよびZrの単独含有または複合含有いずれの場合も0.01%以上で発揮される。
【0054】
一方、Ti、Nb、VおよびZrは、単独含有または複合含有いずれの場合も0.5%を超えて含有させてもその効果は飽和する。したがって、Ti、Nb、VまたはZrを含有する場合は、これらの元素のうち少なくとも1種を合計で0.01〜0.5%の範囲内が好ましい。
【0055】
本発明では、上記した元素の他に、セパレータ用二相ステンレス鋼の熱間加工性を向上するために、Ca、Mg、B、希土類元素(いわゆるREM )をそれぞれ 0.1%以下、溶鋼段階での脱酸の目的でAlを 0.2%以下の範囲内で含んでも良い。
残部は、Feおよび不可避的不純物である。不可避的不純物のうちのO(酸素)は、0.02%以下とするのが好ましい。
【0056】
電気伝導性と耐久性に優れた燃料電池セパレータ用ステンレス鋼は、上記したステンレス鋼に、電解処理とフッ素を含有する溶液への浸漬処理を施すことによって得られる。
ここで、本発明では、電解処理がフッ素を含有する溶液への浸漬処理の前に施されることが重要である。電解処理によってステンレス鋼の製造工程において形成される皮膜が改質され、フッ素を含有する溶液への浸漬処理による接触抵抗低減効果が発現しやすくなる。かつ、フッ素を含有する溶液にFeイオンが混入した場合でも、接触抵抗低減効果が消失しにくくなる。電解処理と浸漬処理は連続して施されることが好ましいが、表面を著しく変質させない範囲の洗浄等を電解処理と浸漬処理の間で行うことは可能である。また、浸漬処理の後に、表面を著しく変質させない範囲の洗浄等を行うことも可能である。なお、ここで洗浄とは、アルカリや酸への浸漬を含む。
【0057】
電解処理は、アノード電解またはアノード電解とカソード電解の組み合わせで行うことが好ましい。また、アノード電解量Qaとカソード電解量QcがQa≧Qcを満たすことが好ましい。なお、アノード電解単独で電解処理を行う場合は、Qc=0とする。ここでQaはアノード電解における電流密度と処理時間の積、Qcはカソード電解における電流密度と処理時間の積である。本発明の電解処理はアノード電解を含むことが好ましく、その方法が限定されるものではない。交番電解も適用できるが、Qa<Qcでは、溶出成分の再付着等により、その後の浸漬処理による接触抵抗低減効果が不十分になりやすいため、好ましくはQa≧Qcである。
【0058】
浸漬処理において、フッ素を含有する溶液の温度は40℃以上であることが好ましい。40℃未満の場合には、接触抵抗低減効果が発現しにくく、十分な効果を得るための処理時間が増大する。溶液の温度の上限は特に限定する必要は無いが、安全性等を考慮すると90℃以下であることが好ましい。
【0059】
また、フッ素を含有する溶液は、その効果の大きさからフッ酸または硝フッ酸であることが好ましく、フッ酸濃度[HF]および硝酸濃度[HNO3]が[HF]≧0.8×[HNO3]を満たすことが好ましい。ここで、フッ酸濃度[HF]および硝酸濃度[HNO3]の単位は、mass%を意味する。
なお、硝フッ酸とは、フッ酸と硝酸との混合液を示し、フッ素を含有する溶液中に硝酸が含まれない場合は、[HNO3]は0とする。図2は[HF]/[HNO3]と、浸漬処理後の接触抵抗値および耐久性評価試験後の接触抵抗値との関係を示す図である。なお、図2において、浸漬処理後の接触抵抗値および耐久性評価試験後の接触抵抗値の測定方法および評価基準は、後述する実施例1と同様である。図2より、浸漬処理後の接触抵抗値および耐久性評価試験後の接触抵抗値は、[HF]≧0.8×[HNO3]の場合は、それぞれ○、○であり、[HF]≧1.7×[HNO3]の場合は、それぞれ○、◎であり、[HF]≧5.0×[HNO3]の場合は◎、◎となっているのがわかる。これは、[HF]<0.8×[HNO3]では、ステンレス鋼の不動態化が進み、接触抵抗低減効果が発現しにくくなるためと考えられる。
以上の結果より、 [HF]≧0.8×[HNO3]、好ましくは、[HF]≧1.7×[HNO3]、さらに好ましくは[HF]≧5.0×[HNO3]とする。
【0060】
上記以外の条件として、電解処理については、0.5mass%以上の硫酸を含有する酸中で行うことが好ましい。硫酸を含有する酸中での電解処理はステンレス鋼の皮膜を改質するのに有利であり、その濃度は0.5 mass %以上が好ましい。0.5 mass %未満ではステンレス鋼の皮膜の改質が不十分になりやすい。硫酸の濃度の上限は特に限定する必要は無いが、過剰に含有してもその効果が飽和するため、50 mass %以下とすることが好ましい。より好ましくは、1.0〜40mass%である。
【0061】
また、塩類を含有する溶液中での電解処理もステンレス鋼の皮膜を改質するのに有利であり、塩類を含有する溶液の濃度は5mass%以上であることが好ましい。5mass%未満では、皮膜の改質が不十分になりやすい。ここで、塩類とは、例えば硫酸ナトリウムが有利に適合するが、その他にも水に対する溶解度が高い塩類を使用することができる。塩類の濃度の上限は特に限定する必要は無く、溶解度上限まで含有させても良い。ただし、過剰に含有してもその効果が飽和するため、40mass%以下とすることが好ましい。より好ましくは8〜30mass%である。
【0062】
なお、本発明において、基材であるステンレス鋼の製造方法については、特に制限はなく、従来公知の方法に従えばよいが、好適な製造条件を述べると次のとおりである。
【0063】
好適成分組成に調整した鋼片を、1100℃以上の温度に加熱後、熱間圧延し、ついで800〜1100℃の温度で焼鈍を施したのち、冷間圧延と焼鈍を繰り返してステンレス鋼板とする。得られるステンレス鋼板の板厚は0.02〜0.8mm程度とするのが好適である。ここで、仕上焼鈍と電解処理、フッ素を含有する溶液への浸漬は連続的に施されることが効率的ではあるが、一方で、それらの一部、あるいは全ての工程が独立して行われ、その間や前後に洗浄が施されても良い。
【実施例】
【0064】
実施例1
表1に示す化学組成の鋼を真空溶解炉で溶製し、得られた鋼塊を1200℃に加熱したのち、熱間圧延により板厚5mmの熱延板とした。得られた熱延板を900℃で焼鈍したのち、酸洗により脱スケールを行い、次いで、冷間圧延と焼鈍酸洗を繰り返し、板厚0.7mmの冷延焼鈍板を製造した。その後、一部の試料については、2mass%、30℃の硫酸中において、+2A/dm2×1sec→−2A/dm2×1sec→+2A/dm2×1sec→−2A/dm2×1sec→+2A/dm2×1sec(+がアノード電解、−がカソード電解)の電解処理を行った後、0〜1.0g/lのFeイオンを含有させた、5mass%HF+1mass%HNO3、55℃の硝フッ酸への浸漬処理(処理時間:90sec)を行った。硝フッ酸中のFeイオン濃度を変化させることで、浸漬処理量の増加により溶液へのFeイオンの混入量が増加することを模擬している。
【0065】
試料の処理条件と浸漬処理後の接触抵抗の値を表2に示す。また、接触抵抗測定後の試料から30mm×30mmの試験片を切り出し、アセトンで脱脂した後、燃料電池の動作環境を模擬したClを2mass ppm含有するpH3の硫酸(80℃)中において、0.8V vs SHE(標準水素電極)で20時間保持する耐久性評価試験を行い、試験後の接触抵抗の値を評価した。得られた結果を表3に示す。
なお、接触抵抗は、試料をカーボンペーパー(東レ(株)TGP-H-120)で挟み、さらに、その両側から銅板に金めっきを施した電極を接触させ、単位面積あたり20kgf/cm2の圧力をかけて電流を流し、試料と一方の電極の電位差を測定し、電気抵抗を算出した。その測定値に接触面の面積を乗じた値を接触抵抗値とした。耐久性評価試験前においては、5mΩ・cm2未満を優良(◎)、5mΩ・cm2以上10mΩ・cm2未満を良(○)、10mΩ・cm2以上を不良(×)、耐久性評価試験後においては10mΩ・cm2未満を優良(◎)、10mΩ・cm2以上15mΩ・cm2未満を良(○)、15mΩ・cm2以上20mΩ・cm2未満を可(△)、20mΩ・cm2以上を不良(×)と判断した。
【0066】
【表1】

【0067】
【表2】

【0068】
【表3】

【0069】
本発明範囲においては、耐久性評価試験前(浸漬処理後)、耐久性評価試験後の何れにおいても接触抵抗が低く電気伝導性は良好であり、耐久性にも優れている。
表2に示した通り、電解処理を施さなかった試料は、硝フッ酸中のFeイオン濃度が0.04g/l以上の場合に接触抵抗が不良となった。
また、表3に示した通り、電解処理を施さなかった試料は、硝フッ酸中のFeイオン濃度が0.04g/l以上の場合に耐久性評価試験後においても、接触抵抗が不良となった。
【0070】
実施例2
表4に示す化学組成の鋼を真空溶解炉で溶製し、得られた鋼塊を1200℃に加熱したのち、熱間圧延により板厚5mmの熱延板とした。得られた熱延板を900〜1100℃で焼鈍したのち、酸洗により脱スケールを行い、次いで、冷間圧延と焼鈍酸洗を繰り返し、板厚0.7mmの冷延板を製造した。その後、種種の条件で電解処理を行った後、1.0g/lのFeイオンを含有させたフッ酸あるいは硝フッ酸への浸漬処理(処理時間:90sec)を行った。電解処理と浸漬処理の条件を表5に示す。
浸漬処理後の接触抵抗の値を表6に示す。
また、接触抵抗測定後の試料から30mm×30mmの試験片を切り出し、アセトンで脱脂した後、燃料電池の動作環境を模擬したClを2mass ppm含有するpH3の硫酸(80℃)中において、0.8V vs SHEで20時間保持する耐久性評価試験を行い、試験後の接触抵抗を評価した。得られた結果を表6に示す。なお、接触抵抗の測定方法は、実施例1と同様である。
【0071】
【表4】

【0072】
【表5】

【0073】
【表6】

【0074】
表5、6に示した通り、本発明範囲においては、耐久性評価試験前(浸漬処理後)、耐久性評価試験後の何れにおいても接触抵抗が低く電気伝導性は良好であり、耐久性にも優れている。
【符号の説明】
【0075】
1 膜−電極接合体
2 ガス拡散層
3 ガス拡散層
4 セパレータ
5 セパレータ
6 空気流路
7 水素流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
16mass%以上のCrを含有するステンレス鋼に対して、電解処理を施した後、フッ素を含有する溶液への浸漬処理を施すことを特徴とする燃料電池セパレータ用ステンレス鋼の製造方法。
【請求項2】
前記電解処理が、アノード電解またはアノード電解とカソード電解の組み合わせにより施され、かつ、アノード電解量Qaとカソード電解量QcがQa≧Qcを満たすことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池セパレータ用ステンレス鋼の製造方法。
ただし、アノード電解のみの電解処理の場合は、Qc=0とみなす。
【請求項3】
前記フッ素を含有する溶液の温度が40℃以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池セパレータ用ステンレス鋼の製造方法。
【請求項4】
前記フッ素を含有する溶液が、フッ酸濃度[HF]および硝酸濃度[HNO3]が[HF]≧0.8×[HNO3]([HNO3]は0を含む)を満たすフッ酸または硝フッ酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料電池セパレータ用ステンレス鋼の製造方法。
ここで、フッ酸濃度[HF]および硝酸濃度[HNO3]の単位は、mass%を意味する。
【請求項5】
前記フッ素を含有する溶液が、フッ酸濃度[HF]および硝酸濃度[HNO3]が[HF]≧1.7×[HNO3] ([HNO3]は0を含む)を満たすフッ酸または硝フッ酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料電池セパレータ用ステンレス鋼の製造方法。
ここで、フッ酸濃度[HF]および硝酸濃度[HNO3]の単位は、mass%を意味する。
【請求項6】
前記フッ素を含有する溶液が、フッ酸濃度[HF]および硝酸濃度[HNO3]が[HF]≧5.0×[HNO3] ([HNO3]は0を含む)を満たすフッ酸または硝フッ酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料電池セパレータ用ステンレス鋼の製造方法。
ここで、フッ酸濃度[HF]および硝酸濃度[HNO3]の単位は、mass%を意味する。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の燃料電池セパレータ用ステンレス鋼の製造方法により製造された燃料電池セパレータ用ステンレス鋼。
【請求項8】
請求項7に記載の燃料電池セパレータ用ステンレス鋼を用いた燃料電池セパレータ。
【請求項9】
請求項8に記載の燃料電池セパレータを用いた燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−93299(P2013−93299A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257007(P2011−257007)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】