燃料電池ユニットおよび電子機器
【課題】電子部品を好適に収容できる内部空間を有する燃料電池ユニット、および、これを搭載した電子機器を提供する。
【解決手段】アノード11Bにメタノール水溶液が、カソード11Cに酸素が供給されることで発電し、発電によりカソード11Cで水蒸気が生成するMEA11と、燃料カートリッジに接続され、アノード11Bに対してメタノール水溶液を供給する燃料タンク14と、を具えるDMFC本体10と、制御基板51および蓄電器52を収容するための内部空間21aを有し、DMFC本体10を包み込むように収容すると共に、MEA11のカソード11Cで外部へ開放する開口部22aが形成された筐体21と、筐体21における開口部22aを取り囲む縁部22bとDMFC本体10との間をシールし、開口部22aと内部空間21aとを遮断するシール部材31と、を備えたDMFCユニットU1である。
【解決手段】アノード11Bにメタノール水溶液が、カソード11Cに酸素が供給されることで発電し、発電によりカソード11Cで水蒸気が生成するMEA11と、燃料カートリッジに接続され、アノード11Bに対してメタノール水溶液を供給する燃料タンク14と、を具えるDMFC本体10と、制御基板51および蓄電器52を収容するための内部空間21aを有し、DMFC本体10を包み込むように収容すると共に、MEA11のカソード11Cで外部へ開放する開口部22aが形成された筐体21と、筐体21における開口部22aを取り囲む縁部22bとDMFC本体10との間をシールし、開口部22aと内部空間21aとを遮断するシール部材31と、を備えたDMFCユニットU1である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直接メタノール型燃料電池(以下、DMFC(Direct Methanol Fuel Cell)という)等、液体燃料が供給されて発電する燃料電池ユニットおよびこれを搭載した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子技術の進歩によって、携帯電話機,ノートパソコン,オーディオ・ビジュア
ル機器、あるいはモバイル端末機器等の携帯電子機器の普及が急速に進んでいる。このよ
うな携帯電子機器は、一般に、二次電池によって駆動するシステムであり、新型二次電池
の出現、小型軽量化および高エネルギー密度化によって、シール鉛バッテリーからNi/
Cd電池,Ni水素電池、さらにはLiイオン電池へと発展してきた。いずれの二次電池
においても、そのエネルギー密度を高めるため、電池活物質の開発や高容量電池構造の開
発が行われ、より使用時間の長い電源を実現する努力が払われている。
【0003】
しかしながら、携帯電子機器において、各個の機能はより一層の低消費電力化への努力
がなされているが、今後もユーザニーズの向上のために新しい機能を追加する必要があり
、携帯機器トータルの消費電力は増加する傾向が予想される。そのため、より高密度の電
源、すなわち、連続使用時間の長い電源を必要とする方向に向かうことになる。
【0004】
そこで、連続使用時間の長い電源として、燃料電池が近年注目を集めている。燃料電池
は、アノード(燃料極)に燃料が、カソード(空気極)に酸素が供給されることで発電す
る。そして、この発電によって、燃料電池は、水(水蒸気),二酸化炭素等の生成物を生
成し、この生成物を排出する。
【0005】
さらに具体的には、水素を燃料とする固体高分子型燃料電池(PEFC:Polymer
Electrolyte Fuel Cell)等では、生成物として水が生成し、これが排出される。メタノール水溶液を燃料とする直接メタノール型燃料電池(DMFC)等では、生成物として水と二酸化炭素を生成し、これらが排出される。
【0006】
また、燃料電池への燃料(メタノール,水素)の供給、および、発電による生成物(水
,二酸化炭素)の排出に関しては、ポンプ,ファン,ブロア等の補機を使ったアクティブ
型(強制吸気型)の燃料電池や、メタノール水溶液や空気等の自然拡散を利用し、補機を
使わないパッシブ型(開放型)の燃料電池が提案されている。アクティブ型,パッシブ型
のいずれにおいても、水等の生成物は、最終的に空気中に排出される。
【0007】
そして、このように排出される水等によって、基板等の電子部品が劣化等しないように
、アクティブ型の燃料電池について、電子部品が収容された部屋に、水(水蒸気を含む)
等を浸入させない技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2004−71259号公報(段落番号0010〜0023、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1では、パッシブ型の燃料電池について、水等の浸入を防止す
る技術は何ら開示されていない。
【0010】
そこで、本発明は、電子部品を好適に収容できる内部空間を有する燃料電池ユニット、
および、これを搭載した電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、アノードに液体燃料が、カソードに
酸素が供給されることで発電し、当該発電により前記カソードで水が生成する膜電極接合
体と、燃料カートリッジに接続され、前記アノードに対して液体燃料を供給する燃料タン
クと、を具える燃料電池本体と、電子部品を収容するための内部空間を有し、前記燃料電
池本体を包み込むように収容すると共に、前記膜電極接合体のカソードで外部へ開放する
開口部が形成された筐体と、前記筐体における前記開口部を取り囲む縁部と前記燃料電池
本体との間をシールし、前記開口部と前記内部空間とを遮断するシール部材と、を備えた
ことを特徴とする燃料電池ユニットである。
【0012】
このような燃料電池ユニットによれば、液体燃料が燃料カートリッジからアノードに、
酸素が外部に開放された開口部を介してカソードに供給されることで、膜電極接合体が発
電する。そして、この発電によって、カソードで水(水蒸気)が生成し、生成した水が開
放部を介して外部に排出される。ここで、シール部材によって、開放部と内部空間とは遮
断されているため、水(水蒸気を含む)が筐体の内部空間に浸入することは防止される。
よって、水の影響を考慮することなく、筐体の内部空間に電子部品を好適に収容すること
ができる。
【0013】
また、燃料電池本体は、これを包み込むように収容した筐体によって、良好に保護され
る。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電子部品を好適に収容できる内部空間を有する燃料電池ユニット、お
よび、これを搭載した電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
≪第1実施形態≫
第1実施形態に係るDMFCユニット(燃料電池ユニット)およびDMFCユニットを
搭載したノートパソコン(電子機器)について、図1から図5を参照して説明する。参照
する図面において、図1は、第1実施形態に係るノートパソコンの全体斜視図である。図
2は、第1実施形態に係るノートパソコンの構成を模式的に示す図である。図3は、第1
実施形態に係るDMFCユニットの全体斜視図である。図4は、図3に示す第1実施形態
に係るDMFCユニットのX−X線断面図である。図5は、第1実施形態に係るDMFC
ユニットの分解斜視図である。
≪ノートパソコン≫
図1に示すように、第1実施形態に係るノートパソコン100(電子機器)は、本体部
101と、液晶パネル部110と、電源としてのDMFCユニットU1とを主に備えてい
る。DMFCユニットU1は、本体部101のスロット101aに収容されることで、ノ
ートパソコン100に搭載されている。
【0017】
図1に加えて図2に示すように、ノートパソコン100は、CPU102と、CPU
102を冷却するヒートシンク103とを主に備えている。そして、ノートパソコン100
が起動すると、ヒートシンク103のファン103aが回転し、本体部101の吸気口
101bから排気口101cに通じる空気の流路F1が形成されるようになっている。
【0018】
DMFCユニットU1は、この空気の流路F1上に配置されている。さらに説明すると
、後記する溝22dおよび溝23d(図3,図4参照)は、流路F1上に位置するように
設定されており、ファン103aが回転した際に、吸気口101bから排気口101cに
向かう空気の流れが、溝22dおよび溝22dを経由するようになっている。
【0019】
≪DMFCユニットの構成≫
次に、DMFCユニットU1について、図3から図5を主に参照して説明する。
【0020】
図3から図5に示すように、第1実施形態に係るDMFCユニットU1は、DMFC本
体10(燃料電池本体)と、DMFC本体10を包み込むように収容する筐体21と、シ
ール部材31と、燃料カートリッジ41と、制御基板51および蓄電器52を主に備えて
いる。また、DMFCユニットU1は、ポンプ,ファン,ブロア等の補機を使用せず、メ
タノール水溶液や空気等の自然拡散を利用したパッシブ型(開放型)の燃料電池である。
【0021】
<DMFC本体>
DMFC本体10は、MEA11(Membrane Electrode Assembly:膜電極接合体,膜電
極複合体)と、集電板12,13と、燃料タンク14と、二酸化炭素分離膜15と、挟持
板16,17(押さえ板,押圧板)とを主に備えている。そして、DMFC本体10は、
挟持板16,集電板13,MEA11,集電板12,燃料タンク14,二酸化炭素分離膜
15,挟持板17の順番で重ねられている。
【0022】
[MEA]
MEA11は、パーフルオロスルホン酸系の一価の陽イオン交換膜等の電解質膜11A
と、電解質膜11Aを挟むアノード11B(燃料極)およびカソード11C(空気極)と
を主に備えている。アノード11Bおよびカソード11Cは、例えば、白金等の触媒が担
持されたカーボンペーパによって構成される。
【0023】
[集電板]
集電板12(アノード集電板)および集電板13(カソード集電板)は、MEA11で
発生した電位差に基づいて、電力を効率的に取り出すための板であり、導電性および耐食
性を有する材料(例えばチタン等の金属)から形成されている。集電板12はアノード
11B側に、集電板13はカソード11C側に、それぞれ位置しており、集電板12と集電板13とは、MEA11を挟んでいる。
【0024】
集電板12には、複数の流通孔12aが形成されている。そして、流通孔12a内を、
アノード11Bに供給されるメタノール水溶液や、発電によりアノード11Bで生成した
二酸化炭素(ガス)が流通するようになっている。集電板13には、複数の流通孔13a
が形成されている。そして、流通孔13a内を、カソード11Cに供給される酸素を含む
空気や、発電によりカソード11Cで生成した水蒸気(水)が流通するようになっている
。
【0025】
また、集電板12および集電板13は、図示しない配線を介して、ノートパソコン100に取り付けられるコネクタ42と電気的に接続している(図3参照)。
【0026】
[燃料タンク]
燃料タンク14は、枠状を呈し、その内部にタンク室14aを有しており、燃料カート
リッジ41(一次タンク)からのメタノール水溶液(液体燃料)をタンク室14aに一時
的に貯溜すると共に、アノード11Bに対して、その全面にメタノール水溶液を供給する
ための二次タンクである。
【0027】
さらに説明すると、燃料タンク14は、燃料パイプ14b、チューブ(図示しない)を
介して筐体21外の燃料カートリッジ41に接続されている。そして、燃料カートリッジ
41からタンク室14aにメタノール水溶液が供給されるようになっている。また、燃料
タンク14は、集電板12を挟んで、アノード11Bに重ねられており、タンク室14a
のメタノール水溶液が、流通孔12aを通って、アノード11Bに供給されるようになっ
ている。
【0028】
[二酸化炭素分離膜]
二酸化炭素分離膜15は、発電によってアノード11Bで生成した後、燃料タンク14
内のメタノール水溶液に混入した二酸化炭素を分離するガス分離膜である。第1実施形態
に係る二酸化炭素分離膜15は、いわゆる板膜であり、例えば、ポリテトラフルオロエチ
レンを基材とした多孔質膜を使用できる。そして、二酸化炭素分離膜15は、枠状の燃料
タンク14におけるMEA11と反対側(図4の下側)の開口に蓋をするようにして、燃
料タンク14に重ねられている。
【0029】
これにより、発電によって、燃料タンク14内のメタノール水溶液に混入した二酸化炭
素が、二酸化炭素分離膜15を透過することで分離され、後記する筐体21の開口部23aを通って、外部に排出されるようになっている。よって、燃料タンク14内には、二酸化炭素が長時間に亘って滞留せず、燃料カートリッジ41からタンク室14aにメタノール水溶液が好適に供給されるようになっている。ゆえに、アノード11Bに供給されるメタノール水溶液が不足(いわゆる燃料不足)となりにくく、その結果として、MEA11が連続して良好に発電するようになっている。
【0030】
[挟持板]
挟持板16および挟持板17は、DMFC本体10において、両外側(挟持板16は集
電板13の外側(図4の上側)、挟持板17は二酸化炭素分離膜15の外側(図4の下側))にそれぞれ位置している。そして、後記する筐体21の縁部22b,縁部23bで、挟持板16,挟持板17を挟むことによって、DMFC本体10がその厚さ方向において挟持され、MEA11,集電板12,集電板13,燃料タンク14,二酸化炭素分離膜15等が重ねられた状態が保持されるようになっている。これにより、例えば、集電板12とアノード11Bとの密着性や、集電板13とカソード11Cとの密着性が高められ、MEA11で発生した電位差に基づいて、ロスを少なくして、電力が取り出せるようになっている。
【0031】
挟持板16には、集電板13の複数の流通孔13aに対応して、複数の流通孔16aが
形成されている。そして、流通孔13aおよび流通孔16aを通って、酸素を含む空気が
外部からカソード11Cに、発電によりカソード11Cで生成した水蒸気(水)が外部に
、それぞれ流れるようになっている。
【0032】
挟持板17には、挟持板16と同様に、複数の流通孔17aが形成されている。そして
、二酸化炭素分離膜15によって分離された二酸化炭素や、二酸化炭素分離膜15を浸透
・透過したメタノール水溶液(メタノール,水)が、流通孔17aを通って、外部に排出
されるようになっている。
【0033】
<筐体>
筐体21は、その外形が肉厚の板状体を呈し、上ハーフ22と下ハーフ23とが適宜な
手段(ボルト等)によって組み付けられることで構成されている。筐体21は、DMFC
本体10を包み込むように収容し、DMFC本体10を保護するための容器である。筐体
21は、その内部に、制御基板51(電子部品)や蓄電器52を収容するための内部空間
21aを有している。
【0034】
[上ハーフ]
上ハーフ22には、MEA11のカソード11Cに対応する挟持板16の部分を、外部
に開放する開口部22aが形成されており、この開口部22aを取り囲む縁部22bを有
している。開口部22aは、外部からカソード11Cへの空気や、カソード11Cから外
部への水蒸気(水)が流通するようになっている。また、上ハーフ22には、開口部22aに蓋をするメッシュ蓋22cが固定されており、DMFC本体10が保護されている。
【0035】
なお、上ハーフ22の縁部22bと、後記する下ハーフ23の縁部23bとで、DMFC本体10をその厚み方向で挟んでいる。
【0036】
また、上ハーフ22は、筐体21の両側面側(図3における右手前側と左奥側)の外部
から、開口部22aに連通する複数本(図1では4本)の溝22dを有している。これに
より、例えば、DMFCユニットU1が、ノートパソコンのDMFCを収容するスロット
101a(収容部、図1参照)に収容された場合に、スロット101aを取り囲む壁面と
、上ハーフ22の上面とが接近しても、前記空気や水蒸気が、筐体21の両側面側の外部
と開口部22aとの間において、溝22dを通って、流れるようになっている。
【0037】
さらに、溝22dは、その底面22eがMEA11に接近した状態で形成されている。
すなわち、底面22eと挟持板16との距離d1(図4参照)は、なるべく小さくなるよ
うに設定されている。これにより、カソード11Cで生成した水蒸気が、開口部22aか
ら溝22dに流れ込みやすくなっており、その結果として、水蒸気を外部に良好に排出可
能となっている。
【0038】
さらにまた、溝22dは、前記したように、ノートパソコン100の排気口101cに
通じる流路F1(図1参照)上に位置するように設定されている。そして、この流路を流
れる空気が溝22dを流通し、これに同伴して、カソード11Cへの空気や、カソード
11Cからの水蒸気が、良好に供給/排出されるようになっている。
【0039】
また、平面視における溝22dの配置は、流通孔13a,流通孔16aの位置に対応し
ている。これにより、溝22dと、流通孔13aおよび流通孔16aとの間で、空気,水
蒸気が良好に流通するようになっている。
【0040】
[下ハーフ]
下ハーフ23には、二酸化炭素分離膜15を部分的に外部に開放する開口部23aが形
成されている。そして、この開口部22aを、二酸化炭素分離膜15によって分離された
二酸化炭素や、二酸化炭素分離膜15を浸透・透過したメタノール水溶液等が流通するよ
うになっている。また、下ハーフ23には、開口部23aに蓋をするメッシュ蓋23cが
固定されている。
【0041】
なお、下ハーフ23は、開口部23aを取り囲む縁部23bを有している。
【0042】
また、下ハーフ23は、筐体21の両側面側(図3における右手前側と左奥側)の外部
から、開口部23aに連通する複数本(4本)の溝23dを有している(図3参照)。こ
れにより、例えば、スロット101aを取り囲む壁面と、下ハーフ23の下面とが接近し
ても、二酸化炭素等が、筐体21の両側面側の外部と開口部23aとの間において、溝
23dを通って、流れるようになっている。
【0043】
さらに、溝23dは、その底面23eがMEA11に接近した状態で形成されており、
前記二酸化炭素等が、開口部23aから溝23dに流れ込みやすくなっている。
【0044】
さらにまた、溝23dは、ノートパソコン100の排気口101cに通じる流路上に位
置するように設定されており、前記ファン103aの回転による空気が溝22dを流通し
、これに同伴して、前記二酸化炭素等が良好に排出されるようになっている。
【0045】
<シール部材>
シール部材31およびシール部材32は、リング状を呈している。シール部材31は、
上ハーフ22の縁部22bとDMFC本体10の挟持板16との間に位置している。シー
ル部材32は、下ハーフ23における開口部23aを取り囲む縁部22bと、挟持板17
との間に位置している。
【0046】
また、シール部材31,32は、弾性変形可能な材料(例えば、ポリテトラフルオロエ
チレン,SBR)から形成されている。シール部材31は、縁部22bと挟持板16とで
挟まれ弾性変形することによってシールしており、開口部22aと内部空間21aとを遮
断している。シール部材32は、縁部23bと挟持板17とで挟まれて弾性変形すること
によってシールしており、開口部23aと内部空間21aとを遮断している。
【0047】
さらに、シール部材31,32は、その表面に当接する部材(シール部材31において
は上ハーフ22と挟持板16,シール部材32においては下ハーフ23と挟持板17)と
粘着する粘着層を有しており、シール部材31,32は、前記部材と粘着しており、シー
ル性が高められている。
【0048】
このように、シール部材31により開口部22aと内部空間21aとが遮断されたこと
で、カソード11Cで生成した水蒸気が内部空間21aに浸入することは防止されている
。また、シール部材32により開口部23aと内部空間21aとが遮断されたことで、二
酸化炭素分離膜15を浸透・透過したメタノール水溶液およびその蒸気等が、内部空間
21aに浸入することは防止されている。
【0049】
すなわち、内部空間21aへの水蒸気等の浸入が防止されているため、内部空間21a
に制御基板51(電子部品)や蓄電器52を、水蒸気等の影響を考慮せずに収容可能とな
っている。すなわち、内部空間21aに制御基板51等を収容して、筐体21により、
DMFC本体10と制御基板51等とをパッケージ化しても、制御基板51等は水蒸気等により劣化しないため、DMFCユニットU1の信頼性・耐久性は高くなっている。
【0050】
<燃料カートリッジ>
燃料カートリッジ41は、図3に示すように、筐体21の右手前側に着脱自在に固定さ
れている。燃料カートリッジ41には、メタノール(燃料成分)濃度が例えば10質量%
のメタノール水溶液と、プロペラントガスが封入されている。そして、燃料カートリッジ
41は、配管(図示しない)を介して、燃料タンク14の燃料パイプ14bに接続してお
り、プロペラントガスによって、メタノール水溶液が押し出され、燃料タンク14に供給
されるようになっている。
【0051】
<制御基板>
制御基板51は、筐体21の内部空間21aに、ボス等を介して配置されている。また
、制御基板51は、MEA11の出力端子に接続しており、MEA11からの電力供給に
より動作し、例えば、DMFC本体10の出力電圧を昇降圧する電子部品である。このよ
うに、制御基板51を備えたことにより、例えば、ノートパソコン(電子機器)の定格出
力に対応して、DMFCユニットU1の出力を制御できる。
【0052】
<蓄電器>
蓄電器52は、筐体21の内部空間21aに、ボス等を介して配置されている。また、
蓄電器52は、MEA11の出力端子に接続しており、MEA11からの電力を充電可能
となっている。これにより、例えば、予め所定量の電力を蓄電器52に充電しておき、発
電初期等におけるMEA11の出力が不安定な場合に、蓄電器52からノートパソコンに
優先的に電力供給したり、過剰な電力を充電することができる。このような蓄電器52は
、電気二重層キャパシタおよび二次電池の少なくとも一方を含んで構成される。
【0053】
≪DMFCユニットの動作≫
次に、DMFCユニットU1の動作について、図4を主に参照して説明する。
【0054】
<DMFCユニット−アノード側>
まず、DMFCユニットU1のアノード11B側について説明する。
【0055】
メタノール水溶液(メタノール濃度は例えば10質量%)が、燃料カートリッジ41か
ら、タンク室14aに供給される。次いで、タンク室14aのメタノール水溶液は、集電
板12の流通孔12aを通って、アノード11Bの全面に供給される。
【0056】
メタノール水溶液が供給されたアノード11Bでは、ノートパソコン100の電力要求に応じて、次の式(1)に示すように、担持された白金等の触媒存在下で、メタノールと水とが反応し、プロトン(H+),二酸化炭素(CO2),電子(e-)が発生する。次いで、プロトン(H+ )は濃度勾配を駆動力として、電解質膜11A中をカソード11Cに向かって移動する。
【0057】
CH3OH+H2O→CO2+6H++6e- …(1)
一方、式(1)に示すように、アノード11Bで生成した二酸化炭素は、アノード11Bから流通孔12aを通って、タンク室14aのメタノール水溶液に混入する。この混入した二酸化炭素は、二酸化炭素分離膜15を浸透・透過し、流通孔17aを通って、開口部23aに排出される。この他、タンク室14aのメタノール水溶液が、若干ながらも、二酸化炭素分離膜15を浸透・透過する。ここで、シール部材32によって、縁部23bとDMFC本体10の挟持板17との隙間がシールされているため、透過した二酸化炭素やメタノール水溶液が内部空間21aに浸入するはない。
【0058】
<DMFCユニット−カソード側>
次に、DMFCユニットU1のカソード11C側について説明する。
【0059】
外部の酸素を含む空気が、開口部22aから、流通孔16a,流通孔13aを通って、
カソード11Cに供給される。カソード11Cでは、酸素と、電解質膜11Aを移動して
きたプロトン(H+)と、ノートパソコン100(外部負荷)を経由した電子(e-)とが
反応し、次の式(2)に示すように、水蒸気が生成する。
【0060】
O2+4H++4e-→2H2O …(2)
そして、生成した水蒸気は、流通孔13a,流通孔16aを通って、開口部22aに排
出される。このとき、シール部材31によって、縁部22bと挟持板16との隙間がシー
ルされているため、水蒸気が内部空間21aに浸入することはない。
【0061】
このようにDMFCユニットU1によれば、カソード11Cで生成した水蒸気や、二酸
化炭素分離膜15を透過したメタノール水溶液が、内部空間21aに浸入しないため、制
御基板51,蓄電器52は保護される。これにより、DMFCユニットU1の耐久性は高
くなっている。
【0062】
また、DMFC本体10は、発電により発熱し、この熱はシール部材31およびシール
部材32を介して、筐体21に伝達し、溝22dおよび溝23d内を流れる空気に放熱さ
れる。
【0063】
≪第2実施形態≫
次に、第2実施形態に係るDMFCユニットについて、図6を参照して説明する。図6
は、第2実施形態に係るDMFCユニットの断面図である。
【0064】
≪DMFCユニットの構成≫
図6に示すように、第2実施形態に係るDMFCユニットU2は、第1実施形態に係る
DMFC本体10に代えて、DMFC本体10Aと、二酸化炭素排出チューブ61(ガス
排出配管)を備えたことを主に特徴としている。
【0065】
<DMFC本体>
DMFC本体10Aは、2つのMEA11を備えている。MEA11,MEA11は、そのアノード11B,11B同士が対向しており、燃料タンク14を挟んでいる。すなわ
ち、2つのMEA11,MEA11は、燃料タンク14を中心として対称に配置されてい
る。
【0066】
<二酸化炭素分離膜チューブ>
また、DMFC本体10Aは、二酸化炭素を選択的に透過して分離する二酸化炭素分離
膜チューブ18(ガス分離膜チューブ)を備えている。二酸化炭素分離膜チューブ18は
、燃料タンク14のタンク室14aに蛇行状で配置されると共に、その一端側(図4の右
側)は、燃料タンク14の外に引き出されている。そして、発電により対向する各アノー
ド11Bで生成し、タンク室14aのメタノール水溶液に混入した二酸化炭素は、二酸化
炭素分離膜チューブ18の周壁を透過することで、分離され、燃料タンク14外に排出さ
れるようになっている。
【0067】
なお、二酸化炭素分離膜チューブ18を、第1実施形態に係る二酸化炭素分離膜15と
同様に、メタノール水溶液(メタノール,水)が若干ながらも浸透・透過してしまい、透
過したメタノール水溶液は、燃料タンク14の外部に排出される。
【0068】
<二酸化炭素排出チューブ>
二酸化炭素排出チューブ61は、二酸化炭素分離膜チューブ18と筐体21の外部とを
接続している。これにより、排出された二酸化炭素,メタノール水溶液が、二酸化炭素排
出チューブ61を通って、筐体21の外部に排出されるようになっている。したがって、
筐体21の内部空間21aに、二酸化炭素,メタノール水溶液が進入せず、制御基板51等が良好に保護される。
【0069】
≪第3実施形態≫
次に、第3実施形態に係るDMFCユニットについて、図7を参照して説明する。図7
は、第3実施形態に係るDMFCユニットの断面図である。
【0070】
≪DMFCユニットの構成≫
図7に示すように、第3実施形態に係るDMFCユニットU3は、DMFC本体10B
を備えている。DMFC本体10Bは、2つのDMFCパック71,71と、枠状のカソ
ード流路部材81と、リング状のシール部材33,33とを主に備えている。そして、
DMFC本体10Bは、DMFCパック71,シール部材33,カソード流路部材81,シール部材33,DMFCパック71の順で重ねられて構成されており、このように構成されたDMFC本体10Bは、その両外側(図7に示す上側と下側)から、筐体21を構成する上ハーフ22と下ハーフ23とで挟まれている。これにより、シール部材は33,
34はそれぞれ弾性変形し、図4における上側のシール部材33は上側のDMFCパック71とカソード流路部材81との間を、下側のシール部材33は下側のDMFCパック
71とカソード流路部材81との間を、それぞれシールしている。
【0071】
各DMFCパック71の構成は、第2実施形態に係るDMFC本体10A(図6参照)
の構成と同一である。したがって、DMFC本体10Bにおいて、カソード流路部材81
の両側で、上側のDMFCパック71のカソード11Cと、下側のDMFCパック71の
カソード11Cとは、集電板13,挟持板16,挟持板17等(図6参照)を介するもの
の、対向して配置されている。
【0072】
<カソード流路部材>
カソード流路部材81は枠状を呈している。そして、カソード流路部材81の中空部は
、前記対向したカソード11C,11Cに供給される空気の流路と、発電により対向した
カソード11C,11Cで生成した水蒸気(水)の流路として機能している。
【0073】
そして、カソード流路部材81には、カソード流路81aと筐体21の外部とを連通さ
せる連通チューブ81b(ガス排出配管)が適宜に設けられている。これにより、連通チ
ューブ81bを通って、発電に必要な酸素を含む空気が筐体21の外部からカソード流路
81aに、発電により生成した水蒸気がカソード流路81aから筐体21の外部に流れる
ようになっている。ゆえに、対向するカソード11C,11Cを含むMEA11は、酸素
不足とはならず、良好に発電するようになっている。
【0074】
ここで、前記したように、シール部材33,33によって、カソード流路部材81と、
これを挟むDMFCパック71,71の間はシールされているため、対向するカソード
11Cで生成した水蒸気が、カソード流路81aから内部空間21aに浸入することは防止される。これにより、内部空間21aに収容された制御基板51は保護される。
【0075】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は前記各実施形態に限定さ
れず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、例えば以下のように変更することができる。
【0076】
前記した第3実施形態では、制御基板51は単に内部空間21aに収容されたとしたが
、例えば、図8に示すように、片面に板状のシール部材34が設けられた制御基板51を
、DMFC本体10Bの左側面に配置して、シールするようにしてもよい。
【0077】
前記した第1実施形態では、溝22dおよび溝23dが、ノートパソコン100の排気
口101cに通じる空気の流路上に位置するように設定されているとしたが(図2参照)
、その他に例えば、図9に示すように、DMFCユニットU1はノートパソコン100の
液晶パネル部110の背面に搭載され、溝22dおよび溝23dが、DMFCユニットU
1が発電した際に生じる熱によって生じる空気の流れF2に沿うように、位置設定されて
もよい。
【0078】
前記した第1実施形態では、DMFCユニットU1が搭載される電子機器をノートパソ
コン100としたが、電子機器の種類はこれに限定されず、携帯電話,PDA等であって
もよい。
【0079】
≪第4実施形態≫
本発明の第4の実施例について図10から図13を用いて説明する。
【0080】
本実施例は前述の実施例と比較して、DMFCユニット(燃料電池ユニット)U1の空気極が片面のみの1層構造であり、携帯電話に内蔵して使用する形態に使用した場合を示している。この場合の燃料電池装置は単独で全電力を供給可能なメインバッテリでもよいし、Li電池や電気2重層キャパシタへ供給するサブバッテリとして使用してもよい。
【0081】
本実施例は、カソード(空気極)側だけでなく、燃料が供給される燃料供給口213やアノード(燃料極)からの2酸化炭素排出口214を気密可能なシール性能を有したシール部材203を備えたことが特徴である。シール部材203に用いられる部材としては、前述の実施例に挙げた部材でも用いることが出来るが、図12に示すように、DMFCユニット(燃料電池ユニット)U1の発電に伴う熱が裏側にある携帯電話基板215へ影響が及ばないようにシール部203に熱伝導性の良いものを選定し、DMFCユニット(燃料電池ユニット)U1の熱を筐体202で放熱する構造とすることが望ましい。現状の携帯電話は発熱の問題が大きく、このような構造とすることで燃料電池を携帯電話に搭載する際に問題となる液体のシール性と高放熱性を両方解決することができる。
【0082】
シール部材203のシール部材の一例としてはICなどに使われる熱伝導シートやグリスなどの熱抵抗の小さいものならば使用可能である。
【0083】
また、DMFCユニット(燃料電池ユニット)U1から筐体202への熱伝導性を上げるために図11及び図13に示すように、熱伝導シート等を使ったシール部材203の面積を可能な限り広げても良い。
【0084】
なお、本実施例の図は、既存の携帯電話に搭載されたメイン液晶の裏に燃料電池モジュール1を搭載しているが、もちろん反対側である操作キーの裏にDMFCユニット(燃料電池ユニット)U1を搭載しても良い。
【0085】
以上、複数の実施例を挙げたが、もちろん用途に応じて前記実施例のいくつかを組み合わせて使用しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】第1実施形態に係るノートパソコンの全体斜視図である。
【図2】第1実施形態に係るノートパソコンの構成を模式的に示す図である。
【図3】第1実施形態に係るDMFCユニットの全体斜視図である。
【図4】図3に示す第1実施形態に係るDMFCユニットのX−X線断面図である。
【図5】第1実施形態に係るDMFCユニットの分解斜視図である。
【図6】第2実施形態に係るDMFCユニットの断面図である。
【図7】第3実施形態に係るDMFCユニットの断面図である。
【図8】第3実施形態に係るDMFCユニットの変形例の断面図である。
【図9】第1実施形態に係るノートパソコンおよびDMFCユニットの変形例の全体斜視図である。
【図10】第4実施形態に係る携帯電話の分解斜視図である。
【図11】第4実施形態に係る携帯電話の分解斜視図である。
【図12】第4実施形態に係る携帯電話の断面図である。
【図13】第4実施形態に係る携帯電話の断面図である。
【符号の説明】
【0087】
U1…DMFCユニット(燃料電池ユニット)、10…DMFC本体(燃料電池本体)、11…MEA(膜電極接合体)、14…燃料タンク、15…二酸化炭素分離膜(ガス分離膜)、18…二酸化炭素分離膜チューブ(ガス分離膜チューブ)、21…筐体、21a…内部空間、22…上ハーフ、22a,23a…開口部、22b,23b…縁部、22d,23d…溝、22e,23e…底面、23…下ハーフ、31,32,33,34…シール部材、41…燃料カートリッジ、51…制御基板(電子部品)、52…蓄電器(電子部品)、61…二酸化炭素排出チューブ(ガス排出チューブ)、81…カソード流路部材、81a…カソード流路、100…ノートパソコン(電子機器)、101c…排気口、202…筐体、203…シール部材、213…燃料供給口、214…2酸化炭素排出口。
【技術分野】
【0001】
本発明は、直接メタノール型燃料電池(以下、DMFC(Direct Methanol Fuel Cell)という)等、液体燃料が供給されて発電する燃料電池ユニットおよびこれを搭載した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子技術の進歩によって、携帯電話機,ノートパソコン,オーディオ・ビジュア
ル機器、あるいはモバイル端末機器等の携帯電子機器の普及が急速に進んでいる。このよ
うな携帯電子機器は、一般に、二次電池によって駆動するシステムであり、新型二次電池
の出現、小型軽量化および高エネルギー密度化によって、シール鉛バッテリーからNi/
Cd電池,Ni水素電池、さらにはLiイオン電池へと発展してきた。いずれの二次電池
においても、そのエネルギー密度を高めるため、電池活物質の開発や高容量電池構造の開
発が行われ、より使用時間の長い電源を実現する努力が払われている。
【0003】
しかしながら、携帯電子機器において、各個の機能はより一層の低消費電力化への努力
がなされているが、今後もユーザニーズの向上のために新しい機能を追加する必要があり
、携帯機器トータルの消費電力は増加する傾向が予想される。そのため、より高密度の電
源、すなわち、連続使用時間の長い電源を必要とする方向に向かうことになる。
【0004】
そこで、連続使用時間の長い電源として、燃料電池が近年注目を集めている。燃料電池
は、アノード(燃料極)に燃料が、カソード(空気極)に酸素が供給されることで発電す
る。そして、この発電によって、燃料電池は、水(水蒸気),二酸化炭素等の生成物を生
成し、この生成物を排出する。
【0005】
さらに具体的には、水素を燃料とする固体高分子型燃料電池(PEFC:Polymer
Electrolyte Fuel Cell)等では、生成物として水が生成し、これが排出される。メタノール水溶液を燃料とする直接メタノール型燃料電池(DMFC)等では、生成物として水と二酸化炭素を生成し、これらが排出される。
【0006】
また、燃料電池への燃料(メタノール,水素)の供給、および、発電による生成物(水
,二酸化炭素)の排出に関しては、ポンプ,ファン,ブロア等の補機を使ったアクティブ
型(強制吸気型)の燃料電池や、メタノール水溶液や空気等の自然拡散を利用し、補機を
使わないパッシブ型(開放型)の燃料電池が提案されている。アクティブ型,パッシブ型
のいずれにおいても、水等の生成物は、最終的に空気中に排出される。
【0007】
そして、このように排出される水等によって、基板等の電子部品が劣化等しないように
、アクティブ型の燃料電池について、電子部品が収容された部屋に、水(水蒸気を含む)
等を浸入させない技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2004−71259号公報(段落番号0010〜0023、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1では、パッシブ型の燃料電池について、水等の浸入を防止す
る技術は何ら開示されていない。
【0010】
そこで、本発明は、電子部品を好適に収容できる内部空間を有する燃料電池ユニット、
および、これを搭載した電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、アノードに液体燃料が、カソードに
酸素が供給されることで発電し、当該発電により前記カソードで水が生成する膜電極接合
体と、燃料カートリッジに接続され、前記アノードに対して液体燃料を供給する燃料タン
クと、を具える燃料電池本体と、電子部品を収容するための内部空間を有し、前記燃料電
池本体を包み込むように収容すると共に、前記膜電極接合体のカソードで外部へ開放する
開口部が形成された筐体と、前記筐体における前記開口部を取り囲む縁部と前記燃料電池
本体との間をシールし、前記開口部と前記内部空間とを遮断するシール部材と、を備えた
ことを特徴とする燃料電池ユニットである。
【0012】
このような燃料電池ユニットによれば、液体燃料が燃料カートリッジからアノードに、
酸素が外部に開放された開口部を介してカソードに供給されることで、膜電極接合体が発
電する。そして、この発電によって、カソードで水(水蒸気)が生成し、生成した水が開
放部を介して外部に排出される。ここで、シール部材によって、開放部と内部空間とは遮
断されているため、水(水蒸気を含む)が筐体の内部空間に浸入することは防止される。
よって、水の影響を考慮することなく、筐体の内部空間に電子部品を好適に収容すること
ができる。
【0013】
また、燃料電池本体は、これを包み込むように収容した筐体によって、良好に保護され
る。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電子部品を好適に収容できる内部空間を有する燃料電池ユニット、お
よび、これを搭載した電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
≪第1実施形態≫
第1実施形態に係るDMFCユニット(燃料電池ユニット)およびDMFCユニットを
搭載したノートパソコン(電子機器)について、図1から図5を参照して説明する。参照
する図面において、図1は、第1実施形態に係るノートパソコンの全体斜視図である。図
2は、第1実施形態に係るノートパソコンの構成を模式的に示す図である。図3は、第1
実施形態に係るDMFCユニットの全体斜視図である。図4は、図3に示す第1実施形態
に係るDMFCユニットのX−X線断面図である。図5は、第1実施形態に係るDMFC
ユニットの分解斜視図である。
≪ノートパソコン≫
図1に示すように、第1実施形態に係るノートパソコン100(電子機器)は、本体部
101と、液晶パネル部110と、電源としてのDMFCユニットU1とを主に備えてい
る。DMFCユニットU1は、本体部101のスロット101aに収容されることで、ノ
ートパソコン100に搭載されている。
【0017】
図1に加えて図2に示すように、ノートパソコン100は、CPU102と、CPU
102を冷却するヒートシンク103とを主に備えている。そして、ノートパソコン100
が起動すると、ヒートシンク103のファン103aが回転し、本体部101の吸気口
101bから排気口101cに通じる空気の流路F1が形成されるようになっている。
【0018】
DMFCユニットU1は、この空気の流路F1上に配置されている。さらに説明すると
、後記する溝22dおよび溝23d(図3,図4参照)は、流路F1上に位置するように
設定されており、ファン103aが回転した際に、吸気口101bから排気口101cに
向かう空気の流れが、溝22dおよび溝22dを経由するようになっている。
【0019】
≪DMFCユニットの構成≫
次に、DMFCユニットU1について、図3から図5を主に参照して説明する。
【0020】
図3から図5に示すように、第1実施形態に係るDMFCユニットU1は、DMFC本
体10(燃料電池本体)と、DMFC本体10を包み込むように収容する筐体21と、シ
ール部材31と、燃料カートリッジ41と、制御基板51および蓄電器52を主に備えて
いる。また、DMFCユニットU1は、ポンプ,ファン,ブロア等の補機を使用せず、メ
タノール水溶液や空気等の自然拡散を利用したパッシブ型(開放型)の燃料電池である。
【0021】
<DMFC本体>
DMFC本体10は、MEA11(Membrane Electrode Assembly:膜電極接合体,膜電
極複合体)と、集電板12,13と、燃料タンク14と、二酸化炭素分離膜15と、挟持
板16,17(押さえ板,押圧板)とを主に備えている。そして、DMFC本体10は、
挟持板16,集電板13,MEA11,集電板12,燃料タンク14,二酸化炭素分離膜
15,挟持板17の順番で重ねられている。
【0022】
[MEA]
MEA11は、パーフルオロスルホン酸系の一価の陽イオン交換膜等の電解質膜11A
と、電解質膜11Aを挟むアノード11B(燃料極)およびカソード11C(空気極)と
を主に備えている。アノード11Bおよびカソード11Cは、例えば、白金等の触媒が担
持されたカーボンペーパによって構成される。
【0023】
[集電板]
集電板12(アノード集電板)および集電板13(カソード集電板)は、MEA11で
発生した電位差に基づいて、電力を効率的に取り出すための板であり、導電性および耐食
性を有する材料(例えばチタン等の金属)から形成されている。集電板12はアノード
11B側に、集電板13はカソード11C側に、それぞれ位置しており、集電板12と集電板13とは、MEA11を挟んでいる。
【0024】
集電板12には、複数の流通孔12aが形成されている。そして、流通孔12a内を、
アノード11Bに供給されるメタノール水溶液や、発電によりアノード11Bで生成した
二酸化炭素(ガス)が流通するようになっている。集電板13には、複数の流通孔13a
が形成されている。そして、流通孔13a内を、カソード11Cに供給される酸素を含む
空気や、発電によりカソード11Cで生成した水蒸気(水)が流通するようになっている
。
【0025】
また、集電板12および集電板13は、図示しない配線を介して、ノートパソコン100に取り付けられるコネクタ42と電気的に接続している(図3参照)。
【0026】
[燃料タンク]
燃料タンク14は、枠状を呈し、その内部にタンク室14aを有しており、燃料カート
リッジ41(一次タンク)からのメタノール水溶液(液体燃料)をタンク室14aに一時
的に貯溜すると共に、アノード11Bに対して、その全面にメタノール水溶液を供給する
ための二次タンクである。
【0027】
さらに説明すると、燃料タンク14は、燃料パイプ14b、チューブ(図示しない)を
介して筐体21外の燃料カートリッジ41に接続されている。そして、燃料カートリッジ
41からタンク室14aにメタノール水溶液が供給されるようになっている。また、燃料
タンク14は、集電板12を挟んで、アノード11Bに重ねられており、タンク室14a
のメタノール水溶液が、流通孔12aを通って、アノード11Bに供給されるようになっ
ている。
【0028】
[二酸化炭素分離膜]
二酸化炭素分離膜15は、発電によってアノード11Bで生成した後、燃料タンク14
内のメタノール水溶液に混入した二酸化炭素を分離するガス分離膜である。第1実施形態
に係る二酸化炭素分離膜15は、いわゆる板膜であり、例えば、ポリテトラフルオロエチ
レンを基材とした多孔質膜を使用できる。そして、二酸化炭素分離膜15は、枠状の燃料
タンク14におけるMEA11と反対側(図4の下側)の開口に蓋をするようにして、燃
料タンク14に重ねられている。
【0029】
これにより、発電によって、燃料タンク14内のメタノール水溶液に混入した二酸化炭
素が、二酸化炭素分離膜15を透過することで分離され、後記する筐体21の開口部23aを通って、外部に排出されるようになっている。よって、燃料タンク14内には、二酸化炭素が長時間に亘って滞留せず、燃料カートリッジ41からタンク室14aにメタノール水溶液が好適に供給されるようになっている。ゆえに、アノード11Bに供給されるメタノール水溶液が不足(いわゆる燃料不足)となりにくく、その結果として、MEA11が連続して良好に発電するようになっている。
【0030】
[挟持板]
挟持板16および挟持板17は、DMFC本体10において、両外側(挟持板16は集
電板13の外側(図4の上側)、挟持板17は二酸化炭素分離膜15の外側(図4の下側))にそれぞれ位置している。そして、後記する筐体21の縁部22b,縁部23bで、挟持板16,挟持板17を挟むことによって、DMFC本体10がその厚さ方向において挟持され、MEA11,集電板12,集電板13,燃料タンク14,二酸化炭素分離膜15等が重ねられた状態が保持されるようになっている。これにより、例えば、集電板12とアノード11Bとの密着性や、集電板13とカソード11Cとの密着性が高められ、MEA11で発生した電位差に基づいて、ロスを少なくして、電力が取り出せるようになっている。
【0031】
挟持板16には、集電板13の複数の流通孔13aに対応して、複数の流通孔16aが
形成されている。そして、流通孔13aおよび流通孔16aを通って、酸素を含む空気が
外部からカソード11Cに、発電によりカソード11Cで生成した水蒸気(水)が外部に
、それぞれ流れるようになっている。
【0032】
挟持板17には、挟持板16と同様に、複数の流通孔17aが形成されている。そして
、二酸化炭素分離膜15によって分離された二酸化炭素や、二酸化炭素分離膜15を浸透
・透過したメタノール水溶液(メタノール,水)が、流通孔17aを通って、外部に排出
されるようになっている。
【0033】
<筐体>
筐体21は、その外形が肉厚の板状体を呈し、上ハーフ22と下ハーフ23とが適宜な
手段(ボルト等)によって組み付けられることで構成されている。筐体21は、DMFC
本体10を包み込むように収容し、DMFC本体10を保護するための容器である。筐体
21は、その内部に、制御基板51(電子部品)や蓄電器52を収容するための内部空間
21aを有している。
【0034】
[上ハーフ]
上ハーフ22には、MEA11のカソード11Cに対応する挟持板16の部分を、外部
に開放する開口部22aが形成されており、この開口部22aを取り囲む縁部22bを有
している。開口部22aは、外部からカソード11Cへの空気や、カソード11Cから外
部への水蒸気(水)が流通するようになっている。また、上ハーフ22には、開口部22aに蓋をするメッシュ蓋22cが固定されており、DMFC本体10が保護されている。
【0035】
なお、上ハーフ22の縁部22bと、後記する下ハーフ23の縁部23bとで、DMFC本体10をその厚み方向で挟んでいる。
【0036】
また、上ハーフ22は、筐体21の両側面側(図3における右手前側と左奥側)の外部
から、開口部22aに連通する複数本(図1では4本)の溝22dを有している。これに
より、例えば、DMFCユニットU1が、ノートパソコンのDMFCを収容するスロット
101a(収容部、図1参照)に収容された場合に、スロット101aを取り囲む壁面と
、上ハーフ22の上面とが接近しても、前記空気や水蒸気が、筐体21の両側面側の外部
と開口部22aとの間において、溝22dを通って、流れるようになっている。
【0037】
さらに、溝22dは、その底面22eがMEA11に接近した状態で形成されている。
すなわち、底面22eと挟持板16との距離d1(図4参照)は、なるべく小さくなるよ
うに設定されている。これにより、カソード11Cで生成した水蒸気が、開口部22aか
ら溝22dに流れ込みやすくなっており、その結果として、水蒸気を外部に良好に排出可
能となっている。
【0038】
さらにまた、溝22dは、前記したように、ノートパソコン100の排気口101cに
通じる流路F1(図1参照)上に位置するように設定されている。そして、この流路を流
れる空気が溝22dを流通し、これに同伴して、カソード11Cへの空気や、カソード
11Cからの水蒸気が、良好に供給/排出されるようになっている。
【0039】
また、平面視における溝22dの配置は、流通孔13a,流通孔16aの位置に対応し
ている。これにより、溝22dと、流通孔13aおよび流通孔16aとの間で、空気,水
蒸気が良好に流通するようになっている。
【0040】
[下ハーフ]
下ハーフ23には、二酸化炭素分離膜15を部分的に外部に開放する開口部23aが形
成されている。そして、この開口部22aを、二酸化炭素分離膜15によって分離された
二酸化炭素や、二酸化炭素分離膜15を浸透・透過したメタノール水溶液等が流通するよ
うになっている。また、下ハーフ23には、開口部23aに蓋をするメッシュ蓋23cが
固定されている。
【0041】
なお、下ハーフ23は、開口部23aを取り囲む縁部23bを有している。
【0042】
また、下ハーフ23は、筐体21の両側面側(図3における右手前側と左奥側)の外部
から、開口部23aに連通する複数本(4本)の溝23dを有している(図3参照)。こ
れにより、例えば、スロット101aを取り囲む壁面と、下ハーフ23の下面とが接近し
ても、二酸化炭素等が、筐体21の両側面側の外部と開口部23aとの間において、溝
23dを通って、流れるようになっている。
【0043】
さらに、溝23dは、その底面23eがMEA11に接近した状態で形成されており、
前記二酸化炭素等が、開口部23aから溝23dに流れ込みやすくなっている。
【0044】
さらにまた、溝23dは、ノートパソコン100の排気口101cに通じる流路上に位
置するように設定されており、前記ファン103aの回転による空気が溝22dを流通し
、これに同伴して、前記二酸化炭素等が良好に排出されるようになっている。
【0045】
<シール部材>
シール部材31およびシール部材32は、リング状を呈している。シール部材31は、
上ハーフ22の縁部22bとDMFC本体10の挟持板16との間に位置している。シー
ル部材32は、下ハーフ23における開口部23aを取り囲む縁部22bと、挟持板17
との間に位置している。
【0046】
また、シール部材31,32は、弾性変形可能な材料(例えば、ポリテトラフルオロエ
チレン,SBR)から形成されている。シール部材31は、縁部22bと挟持板16とで
挟まれ弾性変形することによってシールしており、開口部22aと内部空間21aとを遮
断している。シール部材32は、縁部23bと挟持板17とで挟まれて弾性変形すること
によってシールしており、開口部23aと内部空間21aとを遮断している。
【0047】
さらに、シール部材31,32は、その表面に当接する部材(シール部材31において
は上ハーフ22と挟持板16,シール部材32においては下ハーフ23と挟持板17)と
粘着する粘着層を有しており、シール部材31,32は、前記部材と粘着しており、シー
ル性が高められている。
【0048】
このように、シール部材31により開口部22aと内部空間21aとが遮断されたこと
で、カソード11Cで生成した水蒸気が内部空間21aに浸入することは防止されている
。また、シール部材32により開口部23aと内部空間21aとが遮断されたことで、二
酸化炭素分離膜15を浸透・透過したメタノール水溶液およびその蒸気等が、内部空間
21aに浸入することは防止されている。
【0049】
すなわち、内部空間21aへの水蒸気等の浸入が防止されているため、内部空間21a
に制御基板51(電子部品)や蓄電器52を、水蒸気等の影響を考慮せずに収容可能とな
っている。すなわち、内部空間21aに制御基板51等を収容して、筐体21により、
DMFC本体10と制御基板51等とをパッケージ化しても、制御基板51等は水蒸気等により劣化しないため、DMFCユニットU1の信頼性・耐久性は高くなっている。
【0050】
<燃料カートリッジ>
燃料カートリッジ41は、図3に示すように、筐体21の右手前側に着脱自在に固定さ
れている。燃料カートリッジ41には、メタノール(燃料成分)濃度が例えば10質量%
のメタノール水溶液と、プロペラントガスが封入されている。そして、燃料カートリッジ
41は、配管(図示しない)を介して、燃料タンク14の燃料パイプ14bに接続してお
り、プロペラントガスによって、メタノール水溶液が押し出され、燃料タンク14に供給
されるようになっている。
【0051】
<制御基板>
制御基板51は、筐体21の内部空間21aに、ボス等を介して配置されている。また
、制御基板51は、MEA11の出力端子に接続しており、MEA11からの電力供給に
より動作し、例えば、DMFC本体10の出力電圧を昇降圧する電子部品である。このよ
うに、制御基板51を備えたことにより、例えば、ノートパソコン(電子機器)の定格出
力に対応して、DMFCユニットU1の出力を制御できる。
【0052】
<蓄電器>
蓄電器52は、筐体21の内部空間21aに、ボス等を介して配置されている。また、
蓄電器52は、MEA11の出力端子に接続しており、MEA11からの電力を充電可能
となっている。これにより、例えば、予め所定量の電力を蓄電器52に充電しておき、発
電初期等におけるMEA11の出力が不安定な場合に、蓄電器52からノートパソコンに
優先的に電力供給したり、過剰な電力を充電することができる。このような蓄電器52は
、電気二重層キャパシタおよび二次電池の少なくとも一方を含んで構成される。
【0053】
≪DMFCユニットの動作≫
次に、DMFCユニットU1の動作について、図4を主に参照して説明する。
【0054】
<DMFCユニット−アノード側>
まず、DMFCユニットU1のアノード11B側について説明する。
【0055】
メタノール水溶液(メタノール濃度は例えば10質量%)が、燃料カートリッジ41か
ら、タンク室14aに供給される。次いで、タンク室14aのメタノール水溶液は、集電
板12の流通孔12aを通って、アノード11Bの全面に供給される。
【0056】
メタノール水溶液が供給されたアノード11Bでは、ノートパソコン100の電力要求に応じて、次の式(1)に示すように、担持された白金等の触媒存在下で、メタノールと水とが反応し、プロトン(H+),二酸化炭素(CO2),電子(e-)が発生する。次いで、プロトン(H+ )は濃度勾配を駆動力として、電解質膜11A中をカソード11Cに向かって移動する。
【0057】
CH3OH+H2O→CO2+6H++6e- …(1)
一方、式(1)に示すように、アノード11Bで生成した二酸化炭素は、アノード11Bから流通孔12aを通って、タンク室14aのメタノール水溶液に混入する。この混入した二酸化炭素は、二酸化炭素分離膜15を浸透・透過し、流通孔17aを通って、開口部23aに排出される。この他、タンク室14aのメタノール水溶液が、若干ながらも、二酸化炭素分離膜15を浸透・透過する。ここで、シール部材32によって、縁部23bとDMFC本体10の挟持板17との隙間がシールされているため、透過した二酸化炭素やメタノール水溶液が内部空間21aに浸入するはない。
【0058】
<DMFCユニット−カソード側>
次に、DMFCユニットU1のカソード11C側について説明する。
【0059】
外部の酸素を含む空気が、開口部22aから、流通孔16a,流通孔13aを通って、
カソード11Cに供給される。カソード11Cでは、酸素と、電解質膜11Aを移動して
きたプロトン(H+)と、ノートパソコン100(外部負荷)を経由した電子(e-)とが
反応し、次の式(2)に示すように、水蒸気が生成する。
【0060】
O2+4H++4e-→2H2O …(2)
そして、生成した水蒸気は、流通孔13a,流通孔16aを通って、開口部22aに排
出される。このとき、シール部材31によって、縁部22bと挟持板16との隙間がシー
ルされているため、水蒸気が内部空間21aに浸入することはない。
【0061】
このようにDMFCユニットU1によれば、カソード11Cで生成した水蒸気や、二酸
化炭素分離膜15を透過したメタノール水溶液が、内部空間21aに浸入しないため、制
御基板51,蓄電器52は保護される。これにより、DMFCユニットU1の耐久性は高
くなっている。
【0062】
また、DMFC本体10は、発電により発熱し、この熱はシール部材31およびシール
部材32を介して、筐体21に伝達し、溝22dおよび溝23d内を流れる空気に放熱さ
れる。
【0063】
≪第2実施形態≫
次に、第2実施形態に係るDMFCユニットについて、図6を参照して説明する。図6
は、第2実施形態に係るDMFCユニットの断面図である。
【0064】
≪DMFCユニットの構成≫
図6に示すように、第2実施形態に係るDMFCユニットU2は、第1実施形態に係る
DMFC本体10に代えて、DMFC本体10Aと、二酸化炭素排出チューブ61(ガス
排出配管)を備えたことを主に特徴としている。
【0065】
<DMFC本体>
DMFC本体10Aは、2つのMEA11を備えている。MEA11,MEA11は、そのアノード11B,11B同士が対向しており、燃料タンク14を挟んでいる。すなわ
ち、2つのMEA11,MEA11は、燃料タンク14を中心として対称に配置されてい
る。
【0066】
<二酸化炭素分離膜チューブ>
また、DMFC本体10Aは、二酸化炭素を選択的に透過して分離する二酸化炭素分離
膜チューブ18(ガス分離膜チューブ)を備えている。二酸化炭素分離膜チューブ18は
、燃料タンク14のタンク室14aに蛇行状で配置されると共に、その一端側(図4の右
側)は、燃料タンク14の外に引き出されている。そして、発電により対向する各アノー
ド11Bで生成し、タンク室14aのメタノール水溶液に混入した二酸化炭素は、二酸化
炭素分離膜チューブ18の周壁を透過することで、分離され、燃料タンク14外に排出さ
れるようになっている。
【0067】
なお、二酸化炭素分離膜チューブ18を、第1実施形態に係る二酸化炭素分離膜15と
同様に、メタノール水溶液(メタノール,水)が若干ながらも浸透・透過してしまい、透
過したメタノール水溶液は、燃料タンク14の外部に排出される。
【0068】
<二酸化炭素排出チューブ>
二酸化炭素排出チューブ61は、二酸化炭素分離膜チューブ18と筐体21の外部とを
接続している。これにより、排出された二酸化炭素,メタノール水溶液が、二酸化炭素排
出チューブ61を通って、筐体21の外部に排出されるようになっている。したがって、
筐体21の内部空間21aに、二酸化炭素,メタノール水溶液が進入せず、制御基板51等が良好に保護される。
【0069】
≪第3実施形態≫
次に、第3実施形態に係るDMFCユニットについて、図7を参照して説明する。図7
は、第3実施形態に係るDMFCユニットの断面図である。
【0070】
≪DMFCユニットの構成≫
図7に示すように、第3実施形態に係るDMFCユニットU3は、DMFC本体10B
を備えている。DMFC本体10Bは、2つのDMFCパック71,71と、枠状のカソ
ード流路部材81と、リング状のシール部材33,33とを主に備えている。そして、
DMFC本体10Bは、DMFCパック71,シール部材33,カソード流路部材81,シール部材33,DMFCパック71の順で重ねられて構成されており、このように構成されたDMFC本体10Bは、その両外側(図7に示す上側と下側)から、筐体21を構成する上ハーフ22と下ハーフ23とで挟まれている。これにより、シール部材は33,
34はそれぞれ弾性変形し、図4における上側のシール部材33は上側のDMFCパック71とカソード流路部材81との間を、下側のシール部材33は下側のDMFCパック
71とカソード流路部材81との間を、それぞれシールしている。
【0071】
各DMFCパック71の構成は、第2実施形態に係るDMFC本体10A(図6参照)
の構成と同一である。したがって、DMFC本体10Bにおいて、カソード流路部材81
の両側で、上側のDMFCパック71のカソード11Cと、下側のDMFCパック71の
カソード11Cとは、集電板13,挟持板16,挟持板17等(図6参照)を介するもの
の、対向して配置されている。
【0072】
<カソード流路部材>
カソード流路部材81は枠状を呈している。そして、カソード流路部材81の中空部は
、前記対向したカソード11C,11Cに供給される空気の流路と、発電により対向した
カソード11C,11Cで生成した水蒸気(水)の流路として機能している。
【0073】
そして、カソード流路部材81には、カソード流路81aと筐体21の外部とを連通さ
せる連通チューブ81b(ガス排出配管)が適宜に設けられている。これにより、連通チ
ューブ81bを通って、発電に必要な酸素を含む空気が筐体21の外部からカソード流路
81aに、発電により生成した水蒸気がカソード流路81aから筐体21の外部に流れる
ようになっている。ゆえに、対向するカソード11C,11Cを含むMEA11は、酸素
不足とはならず、良好に発電するようになっている。
【0074】
ここで、前記したように、シール部材33,33によって、カソード流路部材81と、
これを挟むDMFCパック71,71の間はシールされているため、対向するカソード
11Cで生成した水蒸気が、カソード流路81aから内部空間21aに浸入することは防止される。これにより、内部空間21aに収容された制御基板51は保護される。
【0075】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は前記各実施形態に限定さ
れず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、例えば以下のように変更することができる。
【0076】
前記した第3実施形態では、制御基板51は単に内部空間21aに収容されたとしたが
、例えば、図8に示すように、片面に板状のシール部材34が設けられた制御基板51を
、DMFC本体10Bの左側面に配置して、シールするようにしてもよい。
【0077】
前記した第1実施形態では、溝22dおよび溝23dが、ノートパソコン100の排気
口101cに通じる空気の流路上に位置するように設定されているとしたが(図2参照)
、その他に例えば、図9に示すように、DMFCユニットU1はノートパソコン100の
液晶パネル部110の背面に搭載され、溝22dおよび溝23dが、DMFCユニットU
1が発電した際に生じる熱によって生じる空気の流れF2に沿うように、位置設定されて
もよい。
【0078】
前記した第1実施形態では、DMFCユニットU1が搭載される電子機器をノートパソ
コン100としたが、電子機器の種類はこれに限定されず、携帯電話,PDA等であって
もよい。
【0079】
≪第4実施形態≫
本発明の第4の実施例について図10から図13を用いて説明する。
【0080】
本実施例は前述の実施例と比較して、DMFCユニット(燃料電池ユニット)U1の空気極が片面のみの1層構造であり、携帯電話に内蔵して使用する形態に使用した場合を示している。この場合の燃料電池装置は単独で全電力を供給可能なメインバッテリでもよいし、Li電池や電気2重層キャパシタへ供給するサブバッテリとして使用してもよい。
【0081】
本実施例は、カソード(空気極)側だけでなく、燃料が供給される燃料供給口213やアノード(燃料極)からの2酸化炭素排出口214を気密可能なシール性能を有したシール部材203を備えたことが特徴である。シール部材203に用いられる部材としては、前述の実施例に挙げた部材でも用いることが出来るが、図12に示すように、DMFCユニット(燃料電池ユニット)U1の発電に伴う熱が裏側にある携帯電話基板215へ影響が及ばないようにシール部203に熱伝導性の良いものを選定し、DMFCユニット(燃料電池ユニット)U1の熱を筐体202で放熱する構造とすることが望ましい。現状の携帯電話は発熱の問題が大きく、このような構造とすることで燃料電池を携帯電話に搭載する際に問題となる液体のシール性と高放熱性を両方解決することができる。
【0082】
シール部材203のシール部材の一例としてはICなどに使われる熱伝導シートやグリスなどの熱抵抗の小さいものならば使用可能である。
【0083】
また、DMFCユニット(燃料電池ユニット)U1から筐体202への熱伝導性を上げるために図11及び図13に示すように、熱伝導シート等を使ったシール部材203の面積を可能な限り広げても良い。
【0084】
なお、本実施例の図は、既存の携帯電話に搭載されたメイン液晶の裏に燃料電池モジュール1を搭載しているが、もちろん反対側である操作キーの裏にDMFCユニット(燃料電池ユニット)U1を搭載しても良い。
【0085】
以上、複数の実施例を挙げたが、もちろん用途に応じて前記実施例のいくつかを組み合わせて使用しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】第1実施形態に係るノートパソコンの全体斜視図である。
【図2】第1実施形態に係るノートパソコンの構成を模式的に示す図である。
【図3】第1実施形態に係るDMFCユニットの全体斜視図である。
【図4】図3に示す第1実施形態に係るDMFCユニットのX−X線断面図である。
【図5】第1実施形態に係るDMFCユニットの分解斜視図である。
【図6】第2実施形態に係るDMFCユニットの断面図である。
【図7】第3実施形態に係るDMFCユニットの断面図である。
【図8】第3実施形態に係るDMFCユニットの変形例の断面図である。
【図9】第1実施形態に係るノートパソコンおよびDMFCユニットの変形例の全体斜視図である。
【図10】第4実施形態に係る携帯電話の分解斜視図である。
【図11】第4実施形態に係る携帯電話の分解斜視図である。
【図12】第4実施形態に係る携帯電話の断面図である。
【図13】第4実施形態に係る携帯電話の断面図である。
【符号の説明】
【0087】
U1…DMFCユニット(燃料電池ユニット)、10…DMFC本体(燃料電池本体)、11…MEA(膜電極接合体)、14…燃料タンク、15…二酸化炭素分離膜(ガス分離膜)、18…二酸化炭素分離膜チューブ(ガス分離膜チューブ)、21…筐体、21a…内部空間、22…上ハーフ、22a,23a…開口部、22b,23b…縁部、22d,23d…溝、22e,23e…底面、23…下ハーフ、31,32,33,34…シール部材、41…燃料カートリッジ、51…制御基板(電子部品)、52…蓄電器(電子部品)、61…二酸化炭素排出チューブ(ガス排出チューブ)、81…カソード流路部材、81a…カソード流路、100…ノートパソコン(電子機器)、101c…排気口、202…筐体、203…シール部材、213…燃料供給口、214…2酸化炭素排出口。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードに液体燃料が、カソードに酸素が供給されることで発電し、当該発電により前記カソードで水が生成する膜電極接合体と、燃料カートリッジに接続され、前記アノードに対して液体燃料を供給する燃料タンクと、を具える燃料電池本体と、
電子部品を収容するための内部空間を有し、前記燃料電池本体を包み込むように収容すると共に、前記膜電極接合体のカソードで外部へ開放する開口部が形成された筐体と、
前記筐体における前記開口部を取り囲む縁部と前記燃料電池本体との間をシールし、前記開口部と前記内部空間とを遮断するシール部材と、
を備えたことを特徴とする燃料電池ユニット。
【請求項2】
アノードに液体燃料が、カソードに酸素が供給されることで発電し、当該発電により前記アノードでガスが生成する膜電極接合体と、燃料カートリッジに接続され、前記アノードへの液体燃料が一時的に貯溜される燃料タンクと、前記アノードで生成し前記燃料タンク内の液体燃料に混入したガスを分離するガス分離膜と、を具える燃料電池本体と、
電子部品を収容するための内部空間を有し、前記燃料電池本体を包み込むように収容すると共に、前記ガス分離膜で外部へ開放する開口部が形成された筐体と、
前記筐体における前記開口部を取り囲む縁部と前記燃料電池本体との間をシールし、前記開口部と前記内部空間を遮断するシール部材と、
を備えたことを特徴とする燃料電池ユニット。
【請求項3】
前記筐体は、外部と前記開口部とを連通する溝を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池ユニット。
【請求項4】
前記溝は、その底面が前記膜電極接合体に接近した状態で形成されていることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池ユニット。
【請求項5】
排気口を有する電子機器に搭載され、
前記溝は、前記排気口に通じる空気の流路上に位置するように設定されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の燃料電池ユニット。
【請求項6】
前記溝は、発電した際に発生する熱によって生じる空気の流れに沿うように、その位置が設定されていることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の燃料電池ユニット。
【請求項7】
アノードに液体燃料が、カソードに酸素が供給されることで発電し、当該発電により前記カソードで水が生成する膜電極接合体を少なくとも2つと、前記カソードに供給される酸素および前記カソードで生成した水が流通するカソード流路を有するカソード流路部材と、を具える燃料電池本体と、
電子部品を収容するための内部空間を有し、前記燃料電池本体を包み込むように収容する筐体と、
を備え、
前記少なくとも2つの膜電極接合体は、そのカソード同士が対向すると共に、前記カソード流路部材を挟んでいる燃料電池ユニットにおいて、
前記対向する各カソードと前記カソード流路部材との間をシールし、前記カソード流路と前記内部空間とを遮断するシール部材を備えたことを特徴とする燃料電池ユニット。
【請求項8】
前記シール部材は弾性変形可能な材料から形成されており、弾性変形することでシールすることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の燃料電池ユニット。
【請求項9】
前記シール部材は、その表面に当接する部材と粘着する粘着層を有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の燃料電池ユニット。
【請求項10】
アノードに液体燃料が、カソードに酸素が供給されることで発電し、当該発電により前記アノードでガスが生成する膜電極接合体と、前記アノードに対して液体燃料を供給する燃料タンクと、前記燃料タンク内に配置されると共に、前記アノードで生成し前記燃料タンク内の液体燃料に混入したガスを、その内部に分離して前記燃料タンク外に排出するガス分離膜チューブと、を具える燃料電池本体と、
電子部品を収容するための内部空間を有し、前記燃料電池本体を包み込むように収容する筐体と、
当該ガス分離膜チューブと前記筐体の外部とを接続するガス排出配管と、
を備え、
前記アノードで生成したガスが、前記ガス分離膜チューブ、ガス排出配管を通って、外部に排出されることを特徴とする燃料電池ユニット。
【請求項11】
前記膜電極接合体からの電力供給により動作する電子部品を、さらに備え、
前記電子部品は、前記内部空間に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の燃料電池ユニット。
【請求項12】
前記膜電極接合体からの電力を充電可能な蓄電器を、さらに備え、
前記蓄電器は、前記内部空間に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項
11のいずれか1項に記載の燃料電池ユニット。
【請求項13】
前記蓄電器は、電気二重層キャパシタおよび二次電池の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項12に記載の燃料電池ユニット。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の燃料電池ユニットを搭載したことを特徴とする電子機器。
【請求項15】
前記請求項1から14のいずれか1項に記載の燃料電池ユニットであって、前記シール部材が熱伝導性を有し、前記燃料電池から前記筐体へ熱輸送が可能であることを特徴とする燃料電池ユニット。
【請求項16】
前記請求項1から14のいずれか1項に記載の燃料電池ユニットであって、少なくとも前記燃料電池の発電に必要な燃料を供給するために備えた前記燃料電池の燃料供給口と前記筐体との間に、少なくとも気体の移動を阻害することが可能なシール構造を有することを特徴とする燃料電池ユニット。
【請求項1】
アノードに液体燃料が、カソードに酸素が供給されることで発電し、当該発電により前記カソードで水が生成する膜電極接合体と、燃料カートリッジに接続され、前記アノードに対して液体燃料を供給する燃料タンクと、を具える燃料電池本体と、
電子部品を収容するための内部空間を有し、前記燃料電池本体を包み込むように収容すると共に、前記膜電極接合体のカソードで外部へ開放する開口部が形成された筐体と、
前記筐体における前記開口部を取り囲む縁部と前記燃料電池本体との間をシールし、前記開口部と前記内部空間とを遮断するシール部材と、
を備えたことを特徴とする燃料電池ユニット。
【請求項2】
アノードに液体燃料が、カソードに酸素が供給されることで発電し、当該発電により前記アノードでガスが生成する膜電極接合体と、燃料カートリッジに接続され、前記アノードへの液体燃料が一時的に貯溜される燃料タンクと、前記アノードで生成し前記燃料タンク内の液体燃料に混入したガスを分離するガス分離膜と、を具える燃料電池本体と、
電子部品を収容するための内部空間を有し、前記燃料電池本体を包み込むように収容すると共に、前記ガス分離膜で外部へ開放する開口部が形成された筐体と、
前記筐体における前記開口部を取り囲む縁部と前記燃料電池本体との間をシールし、前記開口部と前記内部空間を遮断するシール部材と、
を備えたことを特徴とする燃料電池ユニット。
【請求項3】
前記筐体は、外部と前記開口部とを連通する溝を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池ユニット。
【請求項4】
前記溝は、その底面が前記膜電極接合体に接近した状態で形成されていることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池ユニット。
【請求項5】
排気口を有する電子機器に搭載され、
前記溝は、前記排気口に通じる空気の流路上に位置するように設定されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の燃料電池ユニット。
【請求項6】
前記溝は、発電した際に発生する熱によって生じる空気の流れに沿うように、その位置が設定されていることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の燃料電池ユニット。
【請求項7】
アノードに液体燃料が、カソードに酸素が供給されることで発電し、当該発電により前記カソードで水が生成する膜電極接合体を少なくとも2つと、前記カソードに供給される酸素および前記カソードで生成した水が流通するカソード流路を有するカソード流路部材と、を具える燃料電池本体と、
電子部品を収容するための内部空間を有し、前記燃料電池本体を包み込むように収容する筐体と、
を備え、
前記少なくとも2つの膜電極接合体は、そのカソード同士が対向すると共に、前記カソード流路部材を挟んでいる燃料電池ユニットにおいて、
前記対向する各カソードと前記カソード流路部材との間をシールし、前記カソード流路と前記内部空間とを遮断するシール部材を備えたことを特徴とする燃料電池ユニット。
【請求項8】
前記シール部材は弾性変形可能な材料から形成されており、弾性変形することでシールすることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の燃料電池ユニット。
【請求項9】
前記シール部材は、その表面に当接する部材と粘着する粘着層を有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の燃料電池ユニット。
【請求項10】
アノードに液体燃料が、カソードに酸素が供給されることで発電し、当該発電により前記アノードでガスが生成する膜電極接合体と、前記アノードに対して液体燃料を供給する燃料タンクと、前記燃料タンク内に配置されると共に、前記アノードで生成し前記燃料タンク内の液体燃料に混入したガスを、その内部に分離して前記燃料タンク外に排出するガス分離膜チューブと、を具える燃料電池本体と、
電子部品を収容するための内部空間を有し、前記燃料電池本体を包み込むように収容する筐体と、
当該ガス分離膜チューブと前記筐体の外部とを接続するガス排出配管と、
を備え、
前記アノードで生成したガスが、前記ガス分離膜チューブ、ガス排出配管を通って、外部に排出されることを特徴とする燃料電池ユニット。
【請求項11】
前記膜電極接合体からの電力供給により動作する電子部品を、さらに備え、
前記電子部品は、前記内部空間に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の燃料電池ユニット。
【請求項12】
前記膜電極接合体からの電力を充電可能な蓄電器を、さらに備え、
前記蓄電器は、前記内部空間に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項
11のいずれか1項に記載の燃料電池ユニット。
【請求項13】
前記蓄電器は、電気二重層キャパシタおよび二次電池の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項12に記載の燃料電池ユニット。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の燃料電池ユニットを搭載したことを特徴とする電子機器。
【請求項15】
前記請求項1から14のいずれか1項に記載の燃料電池ユニットであって、前記シール部材が熱伝導性を有し、前記燃料電池から前記筐体へ熱輸送が可能であることを特徴とする燃料電池ユニット。
【請求項16】
前記請求項1から14のいずれか1項に記載の燃料電池ユニットであって、少なくとも前記燃料電池の発電に必要な燃料を供給するために備えた前記燃料電池の燃料供給口と前記筐体との間に、少なくとも気体の移動を阻害することが可能なシール構造を有することを特徴とする燃料電池ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−332025(P2006−332025A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−44685(P2006−44685)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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