説明

燃料電池用セパレータ

【課題】所望のシール性を確保するとともに、排ガスを円滑且つ確実に排出することを可能にする。
【解決手段】燃料電池用セパレータ38は、挟持部100を備え、この挟持部100には、橋架部102を介して燃料ガス用マニホールド部106と、橋架部104を介して酸化剤ガス用マニホールド部108とが連結される。挟持部100の周長R、橋架部102、104の幅H、前記橋架部102、104の長さL及びマニホールド部106、108の外径Dは、0.03≦H/R≦0.20、0.01≦L/R≦0.55、及び0.06≦D/R≦0.32の関係を有するように設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解質をアノード電極とカソード電極とで挟んで構成される電解質・電極接合体に積層される燃料電池用セパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、固体酸化物型燃料電池(SOFC)は、電解質に酸化物イオン導電体、例えば、安定化ジルコニアを用いており、この電解質の両側にアノード電極及びカソード電極を配設した電解質・電極接合体(単セル)を、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持している。この燃料電池は、通常、単セルとセパレータとが所定数だけ積層された燃料電池スタックとして使用されている。
【0003】
この種の燃料電池として、例えば、特許文献1に開示されている固体電解質型燃料電池が知られている。この燃料電池は、図35に示すように、ドーナツ形状のセパレータ1と、ドーナツ形状の単セル2とが交互に積層されるとともに、マニホールドである燃料ガス導入管3a及び酸化剤ガス導入管3bが、前記セパレータ1と前記単セル2との中央部を積層方向に貫通して設けられている。燃料電池の外周部には、燃料ガス排出口4aと酸化剤ガス排出口4bとが周方向に90°ずらして配設されている。
【0004】
また、特許文献2に開示されている固体電解質型燃料電池は、図36に示すように、図示しない円板状の固体電解質板と交互に積層される円板状のセパレータ5を備えている。セパレータ5の外周部には、1つの燃料ガス供給孔6aと酸化剤ガス供給孔6bとが180°ずれた位置に設けられるとともに、複数の燃料ガス排出ノズル7及び酸化剤ガス排出ノズル(図示せず)が、周方向に所定の間隔ずつ離間して設けられている。
【0005】
セパレータ5の面内には、7個の凹部8が設けられ、各凹部8を接続するようにして円環状燃料ガス用配管9が配設されている。配管9と燃料ガス供給孔6aとは、互いに連通している。セパレータ5の面内には、各凹部8を中心として螺旋状の燃料ガス用凹溝10が設けられている。
【0006】
さらにまた、非特許文献1に開示されているスタックユニットアセンブリは、図37に示すように、正方形状のセパレータ12を備えている。このセパレータ12は、3枚のプレート14a、14b及び14cにより構成されている。セパレータ12の対角部には、燃料マニホールド15aと空気マニホールド15bとが積層方向に貫通して設けられるとともに、前記燃料マニホールド15a及び前記空気マニホールド15bは、スリットが形成されたフレキシブルアーム16a、16bの端部に設けられている。
【0007】
プレート14bには、燃料チャネル17a及びエアチャネル17bが螺旋状に形成されている。プレート14aには、燃料チャネル17aに連通する燃料出口18aが設けられる一方、プレート14cには、エアチャネル17bに連通するエア出口18bが設けられている。
【0008】
【特許文献1】特開平3−129675号公報(図1)
【特許文献2】特開2002−8682号公報(図3)
【非特許文献1】2005 Fuel Cell Seminar. November14-18, 2005. Palm Springs, CA.“Development of High-Efficiency SOFC Module”
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の特許文献1では、燃料電池の外周部に燃料ガス排出口4a及び酸化剤ガス排出口4bが設けられており、反応後の燃料ガス及び酸化剤ガス(以下、排ガスともいう)は、前記燃料ガス排出口4a及び前記酸化剤ガス排出口4bからのみ排出されている。このため、単セル2からの排ガスの不均等排出、偏流、充満又は滞留により反応が促進されず、前記単セル2の発電出力が低下するという問題がある。
【0010】
さらに、セパレータ1の中心軸近傍に、マニホールドである燃料ガス導入管3a及び酸化剤ガス導入管3bが一体に設けられている。従って、燃料ガス及び酸化剤ガスのシール性を確保するために、単セル2とセパレータ1との積層方向に締付荷重を付与する際、前記単セル2に許容応力以上の大きな荷重が付与されてしまい、該単セル2が破損するおそれがある。
【0011】
また、上記の特許文献2では、反応後の燃料ガス(排ガス)は、セパレータ5の外周部に設けられた燃料ガス排出ノズル7からのみ排出されるため、このセパレータ5からの排ガスの不均等排出、偏流、充満又は滞留により反応が促進されず、単セルの発電出力が低下するという問題がある。しかも、燃料ガス及び酸化剤ガスのシールを行うために、セパレータ5の積層方向に締付荷重を付与する際、単セルに許容応力以上の大きな荷重が作用し、該単セルが破損するおそれがある。
【0012】
さらにまた、上記の非特許文献1では、セパレータ12の外周部にスリットが入ったフレキシブルアーム16a、16bを設けるとともに、燃料マニホールド15a及び空気マニホールド15bから螺旋状の燃料チャネル17a及びエアチャネル17bが連通して設けられている。このため、セパレータ12の積層方向に対して燃料及びエアのシール性を確保するために締付荷重を付与すると、電解質・電極構造体の外周部から排出される排ガスが、フレキシブルアーム16a、16bに阻止されて前記排ガスの不均等排出、偏流、充満又は滞留により円滑な排出が遂行されないため、反応が促進されず、発電出力が低下するという問題がある。
【0013】
さらに、セパレータ12が正方形状に構成される一方、電解質・電極構造体が円形状に構成されている。これにより、電解質・電極構造体の反応面積に対してセパレータ12の占有面積が大きくなり、面積当たりの集電効率やスペース効率が低下するという問題がある。
【0014】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、所望のシール性を確保するとともに、排ガスを円滑且つ確実に排出することが可能な燃料電池用セパレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、電解質をアノード電極とカソード電極とで挟んで構成される電解質・電極接合体に積層される燃料電池用セパレータに関するものである。
【0016】
セパレータは、電解質・電極接合体を挟持するとともに、アノード電極の電極面に沿って燃料ガスを供給する燃料ガス通路及びカソード電極の電極面に沿って酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス通路が個別に設けられ、使用済みの前記燃料ガス及び前記酸化剤ガスを前記電解質・電極接合体の周縁部から排出させる挟持部と、前記挟持部に連結され、前記燃料ガスを前記燃料ガス通路に又は前記酸化剤ガスを前記酸化剤ガス通路に供給するための反応ガス供給通路が形成される橋架部と、前記橋架部に連結され、前記燃料ガス又は前記酸化剤ガスを前記反応ガス供給通路に供給するための反応ガス供給連通孔が積層方向に形成されるマニホールド部とを備えている。
【0017】
そして、本発明では、挟持部の周長Rと橋架部の幅Hとは、0.03≦H/R≦0.20の関係を有している。
【0018】
また、本発明では、挟持部の周長Rと橋架部の長さLとは、0.01≦L/R≦0.55の関係を有している。
【0019】
さらに、本発明では、挟持部の周長Rとマニホールド部の外径Dとは、0.06≦D/R≦0.32の関係を有している。
【0020】
さらにまた、単一のマニホールド部には、複数の橋架部を介して複数の挟持部が連結されるとともに、前記マニホールド部の中心と各挟持部の中心に設けられた反応ガス導入口とは、同一距離に設定されることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、挟持部の周長Rと橋架部の幅Hとが、0.03≦H/R≦0.20の関係を有している。このため、電解質・電極接合体の周縁部から排出される排ガスを、円滑且つ確実に排出することができるとともに、所望の発電出力を得ることが可能になる。
【0022】
また、本発明では、挟持部の周長Rと橋架部の長さLとは、0.01≦L/R≦0.55の関係を有している。このため、電解質・電極接合体の周縁部から排出される排ガスを、円滑且つ確実に排出することができるとともに、所望の発電出力を得ることが可能になる。
【0023】
さらに、本発明では、挟持部の周長Rとマニホールド部の外径Dとは、0.06≦D/R≦0.32の関係を有している。このため、電解質・電極接合体の周縁部から排出される排ガスを、円滑且つ確実に排出することができるとともに、所望の発電出力を得ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池用セパレータを組み込む燃料電池20が、矢印A方向に複数積層された燃料電池スタック22の概略斜視説明図である。
【0025】
燃料電池20は、固体電解質(固体酸化物)型燃料電池であり、定置用の他、車載用等の種々の用途に用いられている。燃料電池20は、図2及び図3に示すように、例えば、安定化ジルコニア等の酸化物イオン導電体で構成される電解質(電解質板)30の両面に、カソード電極32及びアノード電極34が設けられた電解質・電極接合体36を備える。電解質・電極接合体36は、円板状に形成される。
【0026】
燃料電池20は、第1の実施形態に係る一組のセパレータ38間に電解質・電極接合体36を挟んで構成される。セパレータ38は、第1及び第2プレート40、42と、前記第1及び第2プレート40、42間に配設される第3プレート44とを備える。第1〜第3プレート40、42及び44は、例えば、ステンレス合金等の板金で構成され、前記第3プレート44の両面に、前記第1プレート40と前記第2プレート42とが、例えば、ろう付けにより接合される。
【0027】
図2に示すように、第1プレート40は、積層方向(矢印A方向)に沿って燃料ガスを供給するための燃料ガス供給連通孔46が形成される第1小径端部48を備え、この第1小径端部48には、幅狭な第1板状部50を介して比較的大径な第1円板部52が一体的に設けられる。第1円板部52は、電解質・電極接合体36のアノード電極34と略同一寸法に設定されている。
【0028】
第1円板部52のアノード電極34に接触する面には、燃料ガス通路54を形成するための多数の第1凸部56aが外周縁部近傍から中心部にわたって設けられるとともに、前記第1円板部52の外周縁部には、略リング状凸部56bが設けられる。第1凸部56a及び略リング状凸部56bは、集電部を構成する。第1円板部52の中央には、アノード電極34の略中央部に向かって燃料ガスを供給するための燃料ガス導入口58が形成される。なお、第1凸部56aは、略リング状凸部56bと同一平面内に複数の凹部を形成することによって構成してもよい。
【0029】
第2プレート42は、積層方向(矢印A方向)に沿って酸化剤ガスを供給するための酸化剤ガス供給連通孔60が形成される第2小径端部62を備える。この第2小径端部62には、幅狭な第2板状部64を介して比較的大径な第2円板部66が一体的に設けられる。
【0030】
第2円板部66は、電解質・電極接合体36のカソード電極32に接する面に、酸化剤ガス通路68を形成するための複数の第2凸部69が面内全面にわたって形成される。第2凸部69は、集電部を構成する。第2円板部66の中央部には、酸化剤ガスをカソード電極32の略中央部に向かって供給するための酸化剤ガス導入口70が形成される。
【0031】
第3プレート44は、燃料ガス供給連通孔46が形成される第3小径端部72と、酸化剤ガス供給連通孔60が形成される第4小径端部74とを備える。第3及び第4小径端部72、74は、幅狭な第1及び第2板状部76、78を介して比較的大径な第3円板部80と一体的に構成される。第3円板部80は、第1及び第2円板部52、66と同一直径に設定される。
【0032】
第3プレート44の第1プレート40に向かう面において、第3小径端部72には、燃料ガス供給連通孔46に連通する複数のスリット状通路82が放射状に形成される。燃料ガス供給連通孔46から通路82を介して第1板状部76及び第3円板部80の面内に燃料ガス供給通路86が形成される。第3円板部80には、複数の第3凸部88が形成され、この第3凸部88は、燃料ガス供給通路86の一部を構成する。
【0033】
第3プレート44の第2プレート42に接する面において、第4小径端部74には、酸化剤ガス供給連通孔60に連通する複数のスリット状通路90が放射状に形成される。酸化剤ガス供給連通孔60から通路90を介して第3円板部80には、酸化剤ガス供給通路94が形成され、この酸化剤ガス供給通路94は、前記第3円板部80の周縁部によって閉塞される。
【0034】
第1プレート40が第3プレート44の一方の面にろう付けされることにより、第1及び第3プレート40、44間には、燃料ガス供給連通孔46に連通する燃料ガス供給通路86が設けられる。この燃料ガス供給通路86は、第1及び第3円板部52、80間に該第1円板部52を挟んでアノード電極34の電極面を覆い、且つ燃料ガスが供給されることにより前記第1円板部52を前記アノード電極34に圧接可能な燃料ガス圧力室96を構成する(図4参照)。電解質・電極接合体36の外周外方には、使用済みの燃料ガス及び酸化剤ガスを排出する排ガス通路97が設けられる。
【0035】
第2プレート42が第3プレート44にろう付けされることにより、第2及び第3プレート42、44間には、酸化剤ガス供給連通孔60に連通する酸化剤ガス供給通路94が形成される。この酸化剤ガス供給通路94は、第2及び第3円板部66、80間に該第2円板部66を挟んでカソード電極32の電極面を覆い、且つ酸化剤ガスが供給されることにより前記第2円板部66を前記カソード電極32に圧接可能な酸化剤ガス圧力室98を構成する(図4参照)。
【0036】
セパレータ38は、第1プレート40の第1円板部52と、第2プレート42の第2円板部66と、第3プレート44の第3円板部80とが接合されることにより、円板状の挟持部100を構成する。挟持部100には、第1板状部50、76が接合されて構成される橋架部102と、第2板状部64、78が接合されて構成される橋架部104とが連結される。
【0037】
橋架部102には、第1小径端部48と第3小径端部72とが接合されて形成される燃料ガス用マニホールド部106が連結される。橋架部104には、第2小径端部62と第4小径端部74が接合されて形成される酸化剤ガス用マニホールド部108が連結される。
【0038】
図5に示すように、セパレータ38では、挟持部100の周長R(π・D0)と、橋架部102、104の幅Hとが、0.03≦H/R≦0.20の関係を有するように設定される。
【0039】
挟持部100の周長Rと橋架部102、104の長さLとは、0.01≦L/R≦0.55の関係を有するように設定される。
【0040】
挟持部100の周長Rとマニホールド部106、108の外径Dとは、0.06≦D/R≦0.32の関係を有するように設定される。
【0041】
図2に示すように、各セパレータ38間には、燃料ガス供給連通孔46をシールするための絶縁シール109aと、酸化剤ガス供給連通孔60をシールするための絶縁シール109bとが設けられる。絶縁シール109a、109bは、例えば、マイカ材やセラミック材で形成されている。
【0042】
図1に示すように、燃料電池スタック22は、複数の燃料電池20の積層方向両端にエンドプレート110a、110bを配置する。エンドプレート110aもしくはエンドプレート110bは、締付手段112と電気的に絶縁される。エンドプレート110aには、燃料電池20の燃料ガス供給連通孔46に連通する第1配管114と、酸化剤ガス供給連通孔60に連通する第2配管116とが接続される。エンドプレート110a、110bには、電解質・電極接合体36よりも燃料ガス供給連通孔46及び酸化剤ガス供給連通孔60に近接する位置に、矢印A方向に積層された電解質・電極接合体36とセパレータ38とに積層方向に締付荷重を付与する締付手段112が配設される。
【0043】
締付手段112は、燃料ガス供給連通孔46の両側及び酸化剤ガス供給連通孔60の両側に位置してエンドプレート110a、110bに形成されるボルト孔118を備える。各ボルト孔118に締付ボルト120が挿入されるとともに、各締付ボルト120の先端にナット122が螺合することによって、燃料電池スタック22が締め付け保持される。挟持部100は、橋架部102、104を介してマニホールド部106、108に連結されており、締付手段112により前記マニホールド部106、108近傍にシール用の締付荷重が付与される際、前記挟持部100に挟持されている電解質・電極接合体36に必要以上に大きな締付荷重が付与されることがない。
【0044】
このように構成される燃料電池スタック22の動作について、以下に説明する。
【0045】
図1に示すように、エンドプレート110aに接続されている第1配管114から燃料ガス供給連通孔46に燃料ガス(例えば、水素含有ガス)が供給されるとともに、前記エンドプレート110aに接続された第2配管116から酸化剤ガス供給連通孔60に酸化剤ガスである酸素含有ガス(以下、空気ともいう)が供給される。
【0046】
燃料ガス供給連通孔46に供給された燃料ガスは、図4に示すように、積層方向(矢印A方向)に移動しながら、各燃料電池20を構成するセパレータ38内の燃料ガス供給通路86に供給される。燃料ガスは、燃料ガス供給通路86に沿って第1及び第3円板部52、80間に形成された燃料ガス圧力室96に導入され、複数の第3凸部88間を移動して第1円板部52の中央部に形成される燃料ガス導入口58に導入される。
【0047】
燃料ガス導入口58は、各電解質・電極接合体36のアノード電極34の中心位置に対応して設けられている。このため、燃料ガスは、燃料ガス導入口58から燃料ガス通路54に供給され、アノード電極34内を中心部から外周部に向かって流動する。
【0048】
一方、酸化剤ガス供給連通孔60に供給される酸化剤ガスは、セパレータ38内の酸化剤ガス供給通路94を移動し、第2及び第3円板部66、80間に形成された酸化剤ガス圧力室98に供給される。さらに、酸化剤ガスは、第2円板部66の中心位置に設けられる酸化剤ガス導入口70に導入される。
【0049】
酸化剤ガス導入口70は、各電解質・電極接合体36のカソード電極32の中心位置に対応して設けられている。このため、酸化剤ガスは、酸化剤ガス導入口70から酸化剤ガス通路68に供給され、カソード電極32の中心部から外周部に向かって流動する。
【0050】
従って、各電解質・電極接合体36では、アノード電極34の中心部から外周部に向かって燃料ガスが供給されるとともに、カソード電極32の中心部から外周部に向かって酸化剤ガスが供給され、発電が行われる。そして、発電に使用された燃料ガス及び酸化剤ガスは、排ガスとして挟持部100の外周部から排気される。
【0051】
この場合、第1の実施形態では、図5に示すように、セパレータ38を構成する挟持部100の周長Rと橋架部102、104の幅Hとは、0.03≦H/R≦0.20の関係を有している。
【0052】
ここで、H/Rが0.020を超えると、すなわち、挟持部100の周長Rに対して橋架部102、104の幅Hが、比較的幅広に設定されていると、前記挟持部100に保持されている電解質・電極接合体36の周縁部から排出される使用済みの燃料ガス及び酸化剤ガス(以下、排ガスともいう)は、前記橋架部102、104に阻止されて前記排ガスの不均等排出、偏流、充満又は滞留により、円滑な排出が遂行されないという問題がある。このため、反応が促進されず、電解質・電極接合体36による発電出力が低下するおそれがある。
【0053】
一方、H/Rが0.03未満であると、すなわち、挟持部100の周長Rに対して橋架部102、104の幅Hが、相当に幅狭に構成されていると、排ガスの排出性は向上するものの、燃料ガス供給通路86を流れる燃料ガスの流量及び酸化剤ガス供給通路94を流れる酸化剤ガスの流量が、著しく低下してしまう。従って、電解質・電極接合体36に供給される燃料ガス及び酸化剤ガスの供給量が不足し、反応が促進されず、発電出力が低下するという問題がある。
【0054】
これにより、0.03≦H/R≦0.20の関係を有することによって、良好な発電出力を確実に得ることができるという効果が得られる(図6参照)。
【0055】
さらに、セパレータ38自体の柔軟性及び剛性に着目すると、H/Rが0.20を超えると、橋架部102、104の幅Hが大きくなって柔軟性が低下する(図6参照)。このため、燃料ガス供給連通孔46及び酸化剤ガス供給連通孔60のシール性を維持するために、締付手段112を介して締付荷重を付与する際に、挟持部100に必要以上の締付力が付与されるおそれがある。これにより、電解質・電極接合体36の破損が懸念される。
【0056】
一方、H/Rが0.03未満であると、橋架部102、104の幅Hが相当に小さくなる。従って、橋架部102、104の剛性が低下してしまい、締付荷重により許容応力を超えて破損し易いという問題がある。このため、セパレータ38自体の柔軟性及び剛性を維持するためには、0.03≦H/R≦0.20の関係を有することが必要である。
【0057】
また、第1の実施形態では、挟持部100の周長Rと橋架部102、104の長さLとは、0.01≦L/R≦0.55の関係を有している。
【0058】
ここで、L/Rが0.55を超えると、すなわち、橋架部102、104の長さLが、挟持部100の周長Rに対して相当に長尺化すると、燃料ガス供給通路86を流れる燃料ガスの流量、及び酸化剤ガス供給通路94を流れる酸化剤ガスの流量が低下し易く、反応が促進されず、電解質・電極接合体36の発電出力が低下するおそれがある(図7参照)。
【0059】
一方、L/Rが0.01未満であると、すなわち、挟持部100にマニホールド部106、108が近接していると、電解質・電極接合体36の周縁部から排出される排ガスの流れが妨げられ、前記排ガスの不均等排出、偏流、充満又は滞留により、反応が促進されず、発電出力が低下するという問題がある。
【0060】
さらに、橋架部102、104の長さLが長尺化すると、この橋架部102、104の剛性が低下するとともに、前記橋架部102、104の長さLが短尺化すると、該橋架部102、104の柔軟性が低下する(図7参照)。従って、0.01≦L/R≦0.55の関係を有することにより、所望の発電出力を得るとともに、セパレータ38自体の柔軟性及び剛性を確保することができるという効果が得られる。
【0061】
さらにまた、第1の実施形態では、挟持部100の周長Rとマニホールド部106、108の外径Dとは、0.06≦D/R≦0.32の関係を有している。
【0062】
ここで、D/Rが0.32を超えると、すなわち、マニホールド部106、108の直径Dが、挟持部100の周長Rに対して相当に大径に設定されると、前記挟持部100間に挟持されている電解質・電極接合体36の周縁部から排出される排ガスの流れが阻止され、前記排ガスの不均等排出、偏流、充満又は滞留により、反応が促進されず、電解質・電極接合体36の発電出力が低下する場合がある。
【0063】
一方、D/Rが0.06未満であると、すなわち、マニホールド部106、108の直径Dが、相当に小径に設定されると、前記マニホールド部106から供給される燃料ガス、及び前記マニホールド部108から供給される酸化剤ガスは、所望の流量を維持することができず、反応が促進されずに電解質・電極接合体36の発電出力の低下が惹起され易い(図8参照)。
【0064】
また、D/Rが0.32を超えると、セパレータ38の柔軟性が低下する一方、D/Rが0.06未満になると、前記セパレータ38の剛性が低下してしまう。従って、0.06≦D/R≦0.32の関係を有することにより、所望の発電出力を得るとともに、セパレータ38自体の柔軟性及び剛性を確保することが可能になる。
【0065】
さらに、第1の実施形態では、挟持部100は、円板状の電解質・電極接合体36と略同形の円板状に設定されており、前記電解質・電極接合体36の反応面積に対して前記挟持部100の占有面積が小さくなる。これにより、面積当たりの集電効率及びスペース効率が向上するという利点がある。
【0066】
さらにまた、挟持部100とマニホールド部106、108とを連結する橋架部102、104は、直線状に構成されている。従って、燃料ガス及び酸化剤ガスは、燃料ガス供給通路86及び酸化剤ガス供給通路94を介して円滑且つ確実に流動し、ガスの詰まりを可及的に阻止することができる。しかも、電解質・電極接合体36から排出される排ガスは、例えば、屈曲する橋架部に比べて流れを阻害されることがない。
【0067】
図9は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池用セパレータを組み込む燃料電池130の分解斜視説明図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池20と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3〜第8の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
【0068】
燃料電池130は、2個の電解質・電極接合体36を挟持する第2実施形態に係る一組のセパレータ132を備える。セパレータ132は、セパレータ38と同様に3枚のプレート(図示せず)により構成される。セパレータ132は、図9及び図10に示すように、それぞれ電解質・電極接合体36を挟持する円板状の第1挟持部100aと第2挟持部100bとを備える。
【0069】
第1挟持部100a及び第2挟持部100bには、橋架部102a、102bを介してマニホールド部106が連結されるとともに、橋架部104a、104bを介してマニホールド部108に連結される。橋架部102a、102b内には、燃料ガス供給通路86a、86bが形成されるとともに、橋架部104a、104b内には、酸化剤ガス供給通路94a、94bが形成される。
【0070】
第1挟持部100aと電解質・電極接合体36との間には、燃料ガス通路54a及び酸化剤ガス通路68aが形成される一方、第2挟持部100bと前記電解質・電極接合体36との間には、燃料ガス通路54b及び酸化剤ガス通路68bが形成される。
【0071】
図10に示すように、第1挟持部100a及び第2挟持部100bの周長Rと、橋架部102a、102b及び橋架部104a、104bの幅Hとは、0.03≦H/R≦0.20の関係を有するように設定される。
【0072】
第1挟持部100a及び第2挟持部100bの周長Rと、橋架部102a、102b及び橋架部104a、104bの長さLとは、0.01≦L/R≦0.55の関係を有するように設定される。
【0073】
第1挟持部100a及び第2挟持部100bの周長Rと、マニホールド部106、108の外径Dとは、0.06≦D/R≦0.32の関係を有するように設定される。
【0074】
このように構成される第2の実施形態では、上記の第1の実施形態と同様の効果を有する。さらに、セパレータ132は、2つの電解質・電極接合体36を挟持し、且つ、各電解質・電極接合体36に燃料ガスを供給する燃料ガス供給通路86a、86b及び酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給通路94a、94bが、全て同一の長さに設定されている。このため、各電解質・電極接合体36に対して燃料ガス及び酸化剤ガスを均等に配分することができるとともに、発電出力を高めることが可能になる。
【0075】
図11は、本発明の第3の実施形態に係る燃料電池用セパレータを組み込む燃料電池140が複数積層された燃料電池スタック142の概略斜視説明図である。
【0076】
燃料電池スタック142は、外周波形円板状の複数の燃料電池140を矢印A方向に積層するとともに、その積層方向両端には、エンドプレート144a、144bが配置され、複数本、例えば、8本の締め付け用ボルト146及びナット148を介して一体的に締め付け保持されている。
【0077】
燃料電池スタック142の中心部には、円形の燃料ガス供給連通孔46がエンドプレート144aを底部として矢印A方向に形成される(図12及び図13参照)。燃料ガス供給連通孔46の周囲には、複数、例えば、4つの排ガス通路97が、エンドプレート144bを底部として矢印A方向に形成される。エンドプレート144a、144bからそれぞれ出力端子150a、150bが設けられている(図11参照)。
【0078】
図12及び図13に示すように、複数、例えば、16個の電解質・電極接合体36を挟んで第3の実施形態に係る一組のセパレータ152が配設されることにより、燃料電池140が構成される。
【0079】
セパレータ152の面内には、このセパレータ152の中心部である燃料ガス供給連通孔46と同心円上に8個の電解質・電極接合体36が配列される内周側配列層P1と、この内周側配列層P1の外周に8個の電解質・電極接合体36が配列される外周側配列層P2とが設けられる(図12参照)。
【0080】
セパレータ152は、互いに積層される複数枚、例えば、2枚のプレート154、156を備える。プレート154、156は、例えば、ステンレス合金等の板金で構成されており、それぞれ波形外周部154a、156aを設ける。
【0081】
プレート154、156の中央側には、燃料ガス供給連通孔46を形成する小径端部158a、158bが設けられる。小径端部158a、158bには、4つの排ガス通路97を設けるためにそれぞれ4つの板状部160a、160bが連結されるとともに、前記板状部160a、160bは、後述する挟持部174a、174bに連結される。
【0082】
図12及び図14に示すように、プレート154、156には、燃料ガス供給連通孔46に対して放射状に突起部162a、162bが設けられるとともに、前記突起部162a、162b間には、前記燃料ガス供給連通孔46に連通する燃料ガス供給通路86が形成される。
【0083】
図14に示すように、突起部162a、162bは、先端を結ぶ仮想円が内周側配列層P1の中心線と、外周側配列層P2の中心線とを形成する。内周側配列層P1に沿って8個の電解質・電極接合体36が配列される一方、外周側配列層P2の中心線に沿って8個の電解質・電極接合体36が配列される。
【0084】
突起部162aの先端側周囲には、それぞれ3個の酸化剤ガス導入口70がプレート154を貫通して形成される。プレート154には、内周側配列層P1及び外周側配列層P2に沿って配列される各電解質・電極接合体36に向かって突出し、各電解質・電極接合体36に接する第1ボス部164が膨出成形される。
【0085】
プレート156には、内周側配列層P1及び外周側配列層P2に沿って配列される各電解質・電極接合体36に向かって突出し、各電解質・電極接合体36に接する第2ボス部166が膨出成形される。第2ボス部166は、第1ボス部164よりも径方向及び高さ方向の各寸法が小さく設定されている(図15参照)。プレート156には、燃料ガス供給通路86に連通する燃料ガス導入口58が貫通形成される。この燃料ガス供給通路86は、燃料ガス導入口58から燃料ガス通路54に連通する。
【0086】
プレート154とプレート156との間には、突起部162a、162bとの間に対応して燃料ガス供給通路86が形成されるとともに、前記突起部162a、162bの外方に対応して酸化剤ガス供給通路94が形成される。この酸化剤ガス供給通路94は、プレート154に形成された酸化剤ガス導入口70から酸化剤ガス通路68に連通する。
【0087】
図16に示すように、セパレータ152は、小径端部158a、158bが接合されることによりマニホールド部170を形成するとともに、板状部160a、160bが接合されることにより橋架部172を構成する。このセパレータ152の面内には、内周側配列層P1に沿って配列される8個の電解質・電極接合体36を挟持する8つの挟持部174aと、外周側配列層P2に沿って配列される8個の電解質・電極接合体36を挟持する8つの挟持部174bとが構成される。
【0088】
各挟持部174a、174bの周長Rと、各橋架部172の幅Hとは、0.03≦H/R≦0.20の関係を有するように設定される。
【0089】
各挟持部174a、174bの周長Rと、各橋架部172の長さLとは、0.01≦L/R≦0.55の関係を有するように設定される。
【0090】
各挟持部174a、174bの周長Rと、マニホールド部170の外径Dとは、0.06≦D/R≦0.32の関係を有するように設定される。
【0091】
一方のセパレータ152を構成するプレート154と他方のセパレータ152を構成するプレート156とにより、電解質・電極接合体36が挟持される。具体的には、図15に示すように、電解質・電極接合体36を挟んで互いに対向するプレート154、156には、第1ボス部164及び第2ボス部166が膨出成形されており、前記第1ボス部164と前記第2ボス部166とによって前記電解質・電極接合体36が挟持される。
【0092】
電解質・電極接合体36と一方のセパレータ152を構成するプレート156との間には、燃料ガス供給通路86から燃料ガス導入口58を介して連通する燃料ガス通路54が形成される。電解質・電極接合体36と他方のセパレータ152を構成するプレート154との間には、酸化剤ガス供給通路94から酸化剤ガス導入口70を介して連通する酸化剤ガス通路68が形成される。
【0093】
このように構成される燃料電池スタック142の動作について、以下に説明する。
【0094】
図11に示すように、燃料電池スタック142を構成するエンドプレート144bの燃料ガス供給連通孔46に燃料ガスが供給されるとともに、前記燃料電池スタック142の外周部側から加圧された酸化剤ガスである酸素含有ガスが供給される。燃料ガス供給連通孔46に供給された燃料ガスは、積層方向(矢印A方向)に移動しながら、各燃料電池140を構成するセパレータ152内の燃料ガス供給通路86に導入される(図13参照)。
【0095】
図13及び図15に示すように、燃料ガスは、突起部162a、162b間に形成された燃料ガス供給通路86に沿って移動し、各燃料ガス導入口58を介して燃料ガス通路54に導入される。燃料ガス導入口58は、各電解質・電極接合体36のアノード電極34の中心位置に対応して設けられており、燃料ガス通路54に導入された燃料ガスは、前記アノード電極34の中心部から外周に向かって流動する。
【0096】
一方、各燃料電池140の外周側から供給される酸化剤ガスは、各セパレータ152のプレート154、156間に形成されている酸化剤ガス供給通路94に供給される。この酸化剤ガス供給通路94に供給された酸化剤ガスは、酸化剤ガス導入口70から酸化剤ガス通路68に導入され、電解質・電極接合体36のカソード電極32の中心部から外周に沿って流動する(図13及び図15参照)。
【0097】
従って、各電解質・電極接合体36では、アノード電極34の中心部から外周に向かって燃料ガスが供給されるとともに、カソード電極32の中心部から外周に向かって酸化剤ガスが供給される。その際、酸素イオンが電解質30を通ってアノード電極34に移動し、化学反応により発電が行われる。
【0098】
各電解質・電極接合体36の外周に移動した反応後の燃料ガス及び酸化剤ガス(排ガス)は、セパレータ152の中心部側に移動する。セパレータ152の中心部近傍には、排ガスマニホールドを構成する4つの排ガス通路97が形成されており、排ガスがこの排ガス通路97から外部に排出される。
【0099】
この場合、第3の実施形態では、上記の第1及び第2の実施形態と同様の効果が得られる。しかも、セパレータ152の中央に設けられているマニホールド部170から内周側配列層P1に沿って配列される8個の電解質・電極接合体36に供給される燃料ガスの経路長さを等しくするとともに、外周側配列層P2に沿って配列される8個の電解質・電極接合体36に供給される燃料ガスの経路長さを等しくすることができる。これにより、各電解質・電極接合体36の発電状態を均一に維持することができ、良好な発電出力が効率的に得られるという効果が得られる。
【0100】
さらに、第3の実施形態では、一段のセパレータ152に16個の電解質・電極接合体36が配列されるため、発電出力を高めるためにセパレータ152の設置総数を増加させる必要がなく、燃料電池スタック142全体を有効に小型化することができる。その上、各セパレータ152に多数の電解質・電極接合体36が配列されるため、数個の電解質・電極接合体36に発電不良が発生しても、燃料電池スタック142全体の発電出力を良好に維持することができ、発電不良を回避することが可能になる。
【0101】
図17は、本発明の第4の実施形態に係る燃料電池用セパレータ180の正面説明図である。
【0102】
セパレータ180は、例えば、セパレータ152と同様に2枚のプレートにより構成されており、中央部には、燃料ガス供給連通孔46を形成するマニホールド部182が設けられる。マニホールド部182には、4つの橋架部184が連結されるとともに、前記橋架部184が挟持部186に実質的に連結される。
【0103】
挟持部186は、燃料ガス供給連通孔46を中心にする仮想円周上に、例えば、8個の電解質・電極接合体36を配列する際、各電解質・電極接合体36を挟持する領域である。
【0104】
各挟持部186の周長Rと橋架部184の幅Hとは、0.03≦H/R≦0.20の関係を有するように設定される。
【0105】
各挟持部186の周長Rと橋架部184の長さLとは、0.01≦L/R≦0.55の関係を有するように設定される。
【0106】
各挟持部186の周長Rとマニホールド部182の外径Dとは、0.06≦D/R≦0.32の関係を有するように設定される。
【0107】
このように構成される第4の実施形態では、上記の第1〜第3の実施形態と同様の効果が得られる。なお、第4の実施形態では、単一のセパレータ180に8個の電解質・電極接合体36を配列しているが、周長R、幅H、長さL及び外径Dが上記の関係を有する範囲であれば、前記電解質・電極接合体36の個数は、種々設定可能である。
【0108】
例えば、図18に示す本発明の第5の実施形態に係る燃料電池用セパレータ190は、このセパレータ190に4個の電解質・電極接合体36が配列される。なお、セパレータ190は、波形外周部192を設けていてもよい。従って、第5の実施形態では、上記の第4の実施形態と同様の効果が得られる。
【0109】
図19は、本発明の第6の実施形態に係る燃料電池用セパレータを組み込む燃料電池200が積層された燃料電池スタック202の概略斜視説明図である。
【0110】
図20及び図21に示すように、燃料電池200は、第6の実施形態に係る一組のセパレータ204間に複数、例えば、8個の電解質・電極接合体36を挟んで構成される。セパレータ204間には、このセパレータ204の中心部である燃料ガス供給連通孔46と同心円上に8個の電解質・電極接合体36が配列される。
【0111】
セパレータ204は、例えば、金属プレート等で構成される。セパレータ204は、中央部に燃料ガス供給連通孔46を形成するマニホールド部206を有する。このマニホールド部206から外方に等角度間隔ずつ離間して放射状に延在する複数の橋架部208が設けられるとともに、各橋架部208には、円板状の挟持部210が一体的に設けられる。
【0112】
各挟持部210は、電解質・電極接合体36と略同一寸法に設定されており、燃料ガスを供給するための燃料ガス導入口58が、例えば、前記挟持部210の中心又は中心に対して酸化剤ガスの流れ方向上流側に偏心した位置に設定される。挟持部210同士は、切り欠き212を介して分離している。
【0113】
各挟持部210のアノード電極34に接触する面210a上には、前記アノード電極34の電極面に沿って燃料ガスを供給するための燃料ガス供給通路86を形成する複数の突起部214が設けられる。各挟持部210のカソード電極32に接触する面210b上に、前記カソード電極32の電極面に沿って酸化剤ガスを供給するための酸化剤ガス供給通路94を形成する複数の突起部215が設けられる。
【0114】
セパレータ204のカソード電極32に対向する面には、通路蓋部材216が、例えば、ろう付けやレーザ溶接等により固着される。通路蓋部材216は、平板状に構成されるとともに、中央部に燃料ガス供給連通孔46を形成する小径端部218を備える。小径端部218から放射状に8本の橋架部220が延在するとともに、各橋架部220は、セパレータ204の橋架部208から挟持部210の面に燃料ガス導入口58を覆って固着される。
【0115】
図22に示すように、各挟持部210の周長Rと橋架部208の幅Hとは、0.03≦H/R≦0.20の関係を有するように設定される。挟持部210の周長Rと橋架部208の長さLとは、0.01≦L/R≦0.55の関係を有するように設定される。挟持部210の周長Rとマニホールド部206の外径Dとは、0.06≦D/R≦0.32の関係を有するように設定される。
【0116】
図23に示すように、各セパレータ204間には、燃料ガス供給連通孔46をシールするための絶縁シール222が設けられる。燃料電池200には、挟持部210の外方に位置して酸化剤ガス供給通路60aが設けられる一方、マニホールド部206の周囲には、排ガス通路97が形成される。
【0117】
図19に示すように、燃料電池スタック202は、複数の燃料電池200の積層方向両端にエンドプレート224a、224bを配置する。エンドプレート224aは、略円板状を有しており、中央部には、燃料ガス供給連通孔46に対応して孔部226が設けられる。孔部226の周囲には、排ガス通路97に対応して複数の孔部228が設けられる。エンドプレート224a、224b間は、ねじ孔230に螺合する図示しないボルトにより矢印A方向に締め付けられている。
【0118】
このように構成される燃料電池スタック202の動作について、以下に説明する。
【0119】
図19に示すように、エンドプレート224aの孔部226から燃料ガスが供給されるとともに、燃料電池200の外周側に設けられた酸化剤ガス供給通路60aから酸化剤ガスが供給される。
【0120】
燃料ガスは、図23に示すように、マニホールド部206から橋架部208内の燃料ガス供給通路86に沿って移動し、挟持部210に形成された燃料ガス導入口58から複数の突起部214により形成された燃料ガス通路54に導入される。燃料ガス導入口58は、各電解質・電極接合体36のアノード電極34の略中心位置に設定されている。このため、燃料ガスは、燃料ガス導入口58からアノード電極34の略中心に供給され、燃料ガス通路54に沿って該アノード電極34の外周部に向かって移動する。
【0121】
一方、酸化剤ガスは、電解質・電極接合体36の外側周端部と挟持部210の外側周端部との間から矢印B方向に流入し、酸化剤ガス通路68に送られる。酸化剤ガス通路68では、電解質・電極接合体36のカソード電極32の外側周端部(セパレータ204の外側周端部)側から内側周端部(セパレータ204の中央部)に向かって酸化剤ガスが流動する。
【0122】
従って、電解質・電極接合体36では、アノード電極34の電極面の中心側から周端部側に向かって燃料ガスが供給されるとともに、カソード電極32の電極面の一方向(矢印B方向)に向かって酸化剤ガスが供給される。その際、酸化物イオンが電解質30を通ってアノード電極34に移動し、化学反応により発電が行われる。なお、各電解質・電極接合体36の外周部に排出される排ガスは、排ガス通路97を介して積層方向に移動し、燃料電池スタック202から排出される。
【0123】
このように構成される第6の実施形態では、上記の第1〜第5の実施形態と同様の効果が得られる。また、以下に説明する第7及び第8の実施形態でも、同様の効果が得られる。
【0124】
図24は、本発明の第7の実施形態に係る燃料電池用セパレータを組み込む燃料電池240の分解斜視図である。なお、第6の実施形態に係る燃料電池200と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0125】
図24及び図25に示すように、燃料電池240は、例えば、8個の電解質・電極接合体36を挟む第7の実施形態に係る一組のセパレータ242を備える。セパレータ242の中央部には、燃料ガス供給連通孔46を形成するマニホールド部244が設けられるとともに、このマニホールド部244には、前記燃料ガス供給連通孔46を周回して複数の連通孔246が形成される。
【0126】
セパレータ242のカソード電極32に対向する面には、通路蓋部材248が、例えば、ろう付けやレーザ溶接等により固着される。通路蓋部材248を構成する小径端部218には、燃料ガス供給連通孔46を囲繞してリング状凸部250が設けられる。この凸部250は、燃料ガス供給連通孔46を燃料ガス供給通路86に対してシールする。
【0127】
図26に示すように、各挟持部210の周長Rと橋架部208の幅Hとは、0.03≦H/R≦0.20の関係を有するように設定される。挟持部210の周長Rと橋架部208の長さLとは、0.01≦L/R≦0.55の関係を有するように設定される。挟持部210の周長Rとマニホールド部244の外径Dとは、0.06≦D/R≦0.32の関係を有するように設定される。
【0128】
図24及び図27に示すように、各セパレータ242間には、連通孔246を囲繞するとともに、燃料ガス供給連通孔46をシールするための絶縁シール252が設けられる。燃料電池240が積層される際に、各セパレータ242間には、燃料ガス供給連通孔46から分岐してセパレータ面方向(矢印B方向)へ向かう分岐通路254が設けられる。分岐通路254と燃料ガス供給通路86とは、積層方向(矢印A方向)に連通する連通孔246を介して連通する。
【0129】
このように構成される燃料電池240の動作について、以下に説明する。
【0130】
図27に示すように、燃料ガスは、燃料電池240の燃料ガス供給連通孔46に沿って積層方向(矢印A方向)に移動しながら、各燃料電池240に設けられる分岐通路254に分岐供給される。このため、燃料ガスは、積層方向からセパレータ面方向(矢印B方向)に分岐した後、連通孔246を通って一旦前記積層方向に向かい、さらに前記連通孔246に連通する燃料ガス供給通路86に沿って前記セパレータ面方向に移動する。燃料ガスは、燃料ガス導入口58から燃料ガス通路54に導入される。
【0131】
一方、酸化剤ガスは、電解質・電極接合体36の外側周端部と挟持部210の外側周端部との間から矢印B方向に流入し、酸化剤ガス通路68に送られる。従って、電解質・電極接合体36では、化学反応により発電が行われる。
【0132】
図28は、本発明の第8の実施形態に係る燃料電池用セパレータを組み込む燃料電池260が、矢印A方向に複数積層された燃料電池スタック262の概略斜視説明図であり、図29は、前記燃料電池スタック262の、図28中、XXIX−XXIX線断面図である。
【0133】
燃料電池260は、図30に示すように、一対のセパレータ264間に複数(例えば、4個)の電解質・電極接合体36を挟んで構成される。セパレータ264間には、このセパレータ264の中心部である燃料ガス供給連通孔46を中心にして等角度間隔ずつ離間し且つ前記燃料ガス供給連通孔46と同心円上に4個の電解質・電極接合体36が配置される。
【0134】
セパレータ264は、例えば、ステンレス合金等の板金で構成される第1プレート266及び第2プレート268を有する。第1プレート266及び第2プレート268は、互いに拡散接合、レーザ溶接又はろう付け等により接合される。第1プレート266及び第2プレート268は、金属プレートに代えて、例えば、カーボンプレート等(接合方法は省略する)で構成してもよい。
【0135】
図30〜図32に示すように、第1プレート266は、中央部に積層方向(矢印A方向)に沿って燃料ガスを供給するための燃料ガス供給連通孔46が形成される第1小径端部270aを有する。この第1小径端部270aから外方に等角度間隔ずつ離間して放射状に延在する4つの第1板状部272aを介し、比較的大径な第1円板部274aが一体に設けられる。第1円板部274aは、電解質・電極接合体36と略同一寸法に設定されるとともに、各第1円板部274aには、短尺な第2板状部276aを介して環状の第1筐体部278aが一体に設けられる。
【0136】
第1円板部274aのアノード電極34に接触する面には、前記アノード電極34の電極面に沿って燃料ガスを供給するための燃料ガス通路54を形成する複数の突起部280が設けられる。突起部280は、集電部を構成する。第1円板部274aの略中央には、燃料ガス供給連通孔46側に偏心しアノード電極34の略中央部に向かって燃料ガスを供給するための燃料ガス導入口58が形成される。
【0137】
第1筐体部278aは、酸化剤ガスを酸化剤ガス供給通路94に供給するための酸化剤ガス供給連通孔60が積層方向に形成される酸化剤ガス用マニホールド部282を有する。第1筐体部278aには、複数のボルト挿入用孔部284が所定角度間隔ずつ離間して設けられる。燃料ガス供給連通孔46、第1板状部272a、第1円板部274a、第2板状部276a及び酸化剤ガス供給連通孔60は、セパレータ面方向に沿って直線上に配置される。
【0138】
図30及び図33に示すように、第2プレート268は、中央部に燃料ガス供給連通孔46が形成される第2小径端部270bを有する。この第2小径端部270bから外方に等角度間隔ずつ離間して放射状に延在する4つの第1板状部272bを介して比較的大径な第2円板部274bが一体に設けられる。第2円板部274bは、第1円板部274aと同様に、電解質・電極接合体36と略同一寸法に設定されるとともに、各第2円板部274bには、短尺な第2板状部276bを介して環状の第2筐体部278bが一体に設けられる。
【0139】
第2小径端部270bの第1小径端部270aと接合される面には、燃料ガス供給連通孔46に連通する複数の溝部296が、前記燃料ガス供給連通孔46を中心にして放射状に形成される。各溝部296は、周溝298に一体に連通するとともに、前記周溝298には、4本の燃料ガス供給通路86が連通する。各燃料ガス供給通路86は、各第1板状部272bから各第2円板部274bの中央部近傍に延在し、第1プレート266の燃料ガス導入口58に対応して終端する。
【0140】
第2筐体部278bには、酸化剤ガス供給連通孔60が積層方向に形成されるマニホールド部282と、ボルト挿入用孔部284とが設けられる。この第2筐体部278bの第1筐体部278aに接合される面には、酸化剤ガス供給連通孔60から供給される酸化剤ガスを充填するための充填室300が形成される。
【0141】
充填室300は、各第2板状部276bから各第2円板部274bの中央部近傍まで延在する酸化剤ガス供給通路94に連通する。酸化剤ガス供給通路94の先端には、第2円板部274bを貫通する酸化剤ガス導入口70が連通する。
【0142】
第1プレート266には、複数の突起部280が、例えば、エッチングにより形成されるとともに、第2プレート268には、溝部296、周溝298、燃料ガス供給通路86、充填室300及び酸化剤ガス供給通路94が、例えば、エッチングにより形成される。
【0143】
図32に示すように、セパレータ264は、第1プレート266の第1円板部274aと、第2プレート268の第2円板部274bとが接合されることにより、円板状の挟持部274を構成する。挟持部274には、第1板状部272a、272bが接合されて構成される第1橋架部272と、第2板状部276a、276bが接合されて構成される第2橋架部276とが連結される。
【0144】
第1橋架部272には、第1小径端部270aと第2小径端部270bとが接合されて形成される燃料ガス用マニホールド部270が連結される。第2橋架部276には、第1筐体部278aと第2筐体部278bとが接合されて形成されるマニホールド部282が連結される。
【0145】
挟持部274の周長Rと第1橋架部272の幅Hとは、0.03≦H/R≦0.20の関係を有するように設定される。挟持部274の周長Rと第1橋架部272の長さLとは、0.01≦L/R≦0.55の関係を有するように設定される。挟持部274の周長Rとマニホールド部270の外径Dとは、0.06≦D/R≦0.32の関係を有するように設定される。
【0146】
図30に示すように、第2プレート268のカソード電極32に向かう面には、変形可能な弾性通路部、例えば、導電性フェルト部材(金属フェルト等の導電性不織布)302が配設される。このフェルト部材302により、第2円板部274bとカソード電極32との間には、酸化剤ガス通路68が形成される。なお、フェルト部材302に代えて、メッシュ部材(金属メッシュ等の導電性織布)、発泡金属、エキスパンドメタル、パンチングメタル又はプレスエンボスメタル等を採用してもよい。電解質・電極接合体36の外周部には、反応後の燃料ガス及び酸化剤ガスを排ガスとして排出するための排ガス通路97が設けられる。
【0147】
図34に示すように、各セパレータ264間には、燃料ガス供給連通孔46をシールするための第1絶縁シール303aと、酸化剤ガス供給連通孔60をシールするための第2絶縁シール303bとが設けられる。第1絶縁シール303a及び第2絶縁シール303bは、シール性が高く、硬質で潰れ難い、例えば、地殻成分系素材、硝子系素材、粘土とプラスチックの複合素材等が使用される。また、第2絶縁シール303bは、熱エネルギの拡散を阻止する断熱部材であることが好ましい。
【0148】
図28及び図29に示すように、燃料電池スタック262は、複数の燃料電池260の積層方向一端に、略円板状の第1エンドプレート304aが配置されるとともに、積層方向他端に、隔壁305を介装して小径且つ略円板状の複数の第2エンドプレート304bと、大径且つ略リング状の固定リング304cとが配置される。隔壁305は、排ガスが燃料電池260の外部に拡散することを阻止する機能を有する一方、第2エンドプレート304bは、各電解質・電極接合体36の積層位置に対応して4つ配設される。
【0149】
第1エンドプレート304a及び固定リング304cは、セパレータ264のボルト挿入用孔部284に連通する複数の孔部306を有する。孔部306からボルト挿入用孔部284に挿入されるボルト308及び前記ボルト308に螺合するナット310を介し、セパレータ264の第1筐体部278a及び第2筐体部278bが第1エンドプレート304aに締め付け固定される。
【0150】
第1エンドプレート304aには、燃料ガス供給連通孔46に連通する単一の燃料ガス供給パイプ312と、各酸化剤ガス供給連通孔60に連通する4本の酸化剤ガス供給パイプ314と、排ガス通路97に連通する4本の排ガス排出パイプ315とが設けられる。
【0151】
第1エンドプレート304aは、複数のボルト308、ナット318a、318b及び板状カラー部材320を介して支持プレート322が固定される。支持プレート322と第1エンドプレート304aとの間には、マニホールド部270に締め付け荷重を付与する第1荷重付与部324と、マニホールド部282に締め付け荷重を付与する第2荷重付与部326と、各電解質・電極接合体36に締め付け荷重を付与する第3荷重付与部328とが設けられる。
【0152】
第1荷重付与部324は、燃料ガス供給連通孔46から燃料ガスが漏れることを阻止するために燃料電池260の中央部(マニホールド部270の中央部)に配置される押圧部材330を備え、この押圧部材330は、4つの第2エンドプレート304bの配列中心近傍に位置して前記燃料電池260に隔壁305を介して押圧する。押圧部材330には、第1受け部材332a及び第2受け部材332bを介して第1スプリング334が配置される。第2受け部材332bには、第1押圧ボルト336の先端が当接する。第1押圧ボルト336は、支持プレート322に形成された第1ねじ孔338に螺合するとともに、第1ナット340を介して位置調整可能に固定される。
【0153】
第2荷重付与部326は、孔部306からボルト挿入用孔部284に挿入されるボルト308と、前記ボルト308に螺合するナット310とを備え、酸化剤ガス供給連通孔60から酸化剤ガスが漏れることを阻止する機能を有する。
【0154】
第3荷重付与部328は、第2エンドプレート304bに各電解質・電極接合体36に対応して配置される第3受け部材342aを備える。第3受け部材342aは、ピン344を介して第2エンドプレート304bに位置決め支持される。第3受け部材343aに第2スプリング346の一端が当接する一方、前記第2スプリング346の他端が第4受け部材342bに当接する。第4受け部材342bには、第2押圧ボルト348の先端が当接する。第2押圧ボルト348は、支持プレート322に形成された第2ねじ孔350に螺合するとともに、第2ナット352を介して位置調整可能に固定される。
【0155】
このように構成される燃料電池スタック262の動作について、以下に説明する。
【0156】
図28に示すように、第1エンドプレート304aに接続されている燃料ガス供給パイプ312から燃料ガス供給連通孔46には、燃料ガスが供給されるとともに、酸化剤ガス供給パイプ314から酸化剤ガス供給連通孔60には、酸素含有ガスである空気が供給される。
【0157】
燃料ガス供給連通孔46に供給された燃料ガスは、図31及び図34に示すように、積層方向(矢印A方向)に移動しながら、各燃料電池260を構成するセパレータ264の第2プレート268に形成された溝部296から周溝298を介して各燃料ガス供給通路86に供給される。燃料ガスは、燃料ガス供給通路86に沿って移動した後、第1プレート266に形成された燃料ガス導入口58から燃料ガス通路54に導入される。
【0158】
燃料ガス導入口58は、各電解質・電極接合体36のアノード電極34の略中心位置に対応して設けられている。従って、燃料ガスは、燃料ガス導入口58からアノード電極34に供給され、このアノード電極34の略中心部から外周部に向かって燃料ガス通路54を流動する。
【0159】
一方、酸化剤ガス供給連通孔60に供給される空気は、第1プレート266の第1筐体部278aと第2プレート268の第2筐体部278bとの間に設けられる充填室300に一旦充填される。この充填室300には、酸化剤ガス供給通路94が連通しており、酸化剤ガスは、各酸化剤ガス供給通路94に沿って挟持部274の中心側に移動する。
【0160】
第2円板部274bの中心近傍には、酸化剤ガス導入口70が連通するとともに、前記酸化剤ガス導入口70は、電解質・電極接合体36のカソード電極32の略中心位置に対応して設けられている。これにより、空気は、図34に示すように、酸化剤ガス導入口70からカソード電極32に供給され、このカソード電極32の略中心部から外周部に向かってフェルト部材302に形成された酸化剤ガス通路68を流動する。
【0161】
従って、各電解質・電極接合体36では、アノード電極34の略中心部から外周部に向かって燃料ガスが供給されるとともに、カソード電極32の略中心部から外周部に向かって空気が供給され、発電が行われる。そして、発電に使用された燃料ガス及び空気は、排ガスとして各電解質・電極接合体36の外周部から排ガス通路97に排気される。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃料電池用セパレータを組み込む燃料電池が複数積層された燃料電池スタックの概略斜視説明図である。
【図2】前記燃料電池の分解斜視図である。
【図3】前記燃料電池のガス流れ状態を示す一部分解斜視説明図ある。
【図4】前記燃料電池の動作を説明する概略断面説明図である。
【図5】前記セパレータの説明図である。
【図6】挟持部の周長と橋架部の幅との関係による発電出力及びセパレータの良否を説明する図である。
【図7】前記挟持部の周長と前記橋架部の長さとの関係による発電出力とセパレータとの良否を説明する図である。
【図8】前記挟持部の周長とマニホールド部の外径との関係による発電出力及びセパレータの良否を説明する図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る燃料電池用セパレータの分解斜視説明図である。
【図10】前記セパレータの説明図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る燃料電池用セパレータを組み込む燃料電池が複数積層された燃料電池スタックの概略斜視説明図である。
【図12】前記燃料電池の分解斜視図である。
【図13】前記燃料電池のガス流れ状態を示す一部分解斜視説明図である。
【図14】前記セパレータの分解斜視説明図である。
【図15】前記燃料電池の動作を説明する概略断面説明図である。
【図16】前記セパレータの説明図である。
【図17】本発明の第4の実施形態に係る燃料電池用セパレータの正面説明図である。
【図18】本発明の第5の実施形態に係る燃料電池用セパレータの説明図である。
【図19】本発明の第6の実施形態に係る燃料電池用セパレータを組み込む燃料電池が複数積層された燃料電池スタックの概略斜視説明図である。
【図20】前記燃料電池の分解斜視図である。
【図21】前記燃料電池のガス流れ状態を示す一部分解斜視図である。
【図22】前記セパレータの説明図である。
【図23】前記燃料電池の動作を説明する概略断面説明図である。
【図24】本発明の第7の実施形態に係る燃料電池用セパレータを組み込む燃料電池の分解斜視図である。
【図25】前記燃料電池のガス流れ状態を示す一部分解斜視図である。
【図26】前記セパレータの説明図である。
【図27】前記燃料電池の動作を説明する概略断面説明図である。
【図28】本発明の第8の実施形態に係る燃料電池用セパレータを組み込む燃料電池が複数積層された燃料電池スタックの概略斜視説明図である。
【図29】前記燃料電池スタックの、図28中、XXIX−XXIX線断面図である。
【図30】前記燃料電池の分解斜視説明図である。
【図31】前記燃料電池のガス流れ状態を示す一部分解斜視説明図である。
【図32】セパレータの説明図である。
【図33】前記セパレータを構成する第2プレートの説明図である。
【図34】前記燃料電池の動作を説明する概略断面説明図である。
【図35】特許文献1の説明図である。
【図36】特許文献2の説明図である。
【図37】非特許文献1の説明図である。
【符号の説明】
【0163】
20、130、140、200、240、260…燃料電池
22、142、202、262…燃料電池スタック
30…電解質 32…カソード電極
34…アノード電極 36…電解質・電極接合体
38、132、152、180、190、204、242、264…セパレータ
40、42、44、154、156、266、268…プレート
46…燃料ガス供給連通孔 54…燃料ガス通路
58…燃料ガス導入口 60…酸化剤ガス供給連通孔
68…酸化剤ガス通路 70…酸化剤ガス導入口
86、86a、86b…燃料ガス供給通路
94、94a、94b…酸化剤ガス供給通路
97…排ガス通路
100、100a、100b、174a、174b、186、210、274…挟持部
102、102a、102b、104、104a、104b、172、184、208、272、276…橋架部
106、108、170、182、206、244、270、282…マニホールド部
112…締付手段 246…連通孔
278a、278b…筐体部 302…フェルト部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質をアノード電極とカソード電極とで挟んで構成される電解質・電極接合体に積層される燃料電池用セパレータであって、
前記電解質・電極接合体を挟持するとともに、前記アノード電極の電極面に沿って燃料ガスを供給する燃料ガス通路及び前記カソード電極の電極面に沿って酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス通路が個別に設けられ、使用済みの前記燃料ガス及び前記酸化剤ガスを前記電解質・電極接合体の周縁部から排出させる挟持部と、
前記挟持部に連結され、前記燃料ガスを前記燃料ガス通路に又は前記酸化剤ガスを前記酸化剤ガス通路に供給するための反応ガス供給通路が形成される橋架部と、
前記橋架部に連結され、前記燃料ガス又は前記酸化剤ガスを前記反応ガス供給通路に供給するための反応ガス供給連通孔が積層方向に形成されるマニホールド部と、
を備え、
前記挟持部の周長Rと前記橋架部の幅Hとは、0.03≦H/R≦0.20の関係を有することを特徴とする燃料電池用セパレータ。
【請求項2】
請求項1記載の燃料電池用セパレータにおいて、前記挟持部の周長Rと前記橋架部の長さLとは、0.01≦L/R≦0.55の関係を有することを特徴とする燃料電池用セパレータ。
【請求項3】
請求項1又は2記載の燃料電池用セパレータにおいて、前記挟持部の周長Rと前記マニホールド部の外径Dとは、0.06≦D/R≦0.32の関係を有することを特徴とする燃料電池用セパレータ。
【請求項4】
電解質をアノード電極とカソード電極とで挟んで構成される電解質・電極接合体に積層される燃料電池用セパレータであって、
前記電解質・電極接合体を挟持するとともに、前記アノード電極の電極面に沿って燃料ガスを供給する燃料ガス通路及び前記カソード電極の電極面に沿って酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス通路が個別に設けられ、使用済みの前記燃料ガス及び前記酸化剤ガスを前記電解質・電極接合体の周縁部から排出させる挟持部と、
前記挟持部に連結され、前記燃料ガスを前記燃料ガス通路に又は前記酸化剤ガスを前記酸化剤ガス通路に供給するための反応ガス供給通路が形成される橋架部と、
前記橋架部に連結され、前記燃料ガス又は前記酸化剤ガスを前記反応ガス供給通路に供給するための反応ガス供給連通孔が積層方向に形成されるマニホールド部と、
を備え、
前記挟持部の周長Rと前記橋架部の長さLとは、0.01≦L/R≦0.55の関係を有することを特徴とする燃料電池用セパレータ。
【請求項5】
請求項4記載の燃料電池用セパレータにおいて、前記挟持部の周長Rと前記橋架部の幅Hとは、0.03≦H/R≦0.20の関係を有することを特徴とする燃料電池用セパレータ。
【請求項6】
請求項4又は5記載の燃料電池用セパレータにおいて、前記挟持部の周長Rと前記マニホールド部の外径Dとは、0.06≦D/R≦0.32の関係を有することを特徴とする燃料電池用セパレータ。
【請求項7】
電解質をアノード電極とカソード電極とで挟んで構成される電解質・電極接合体に積層される燃料電池用セパレータであって、
前記電解質・電極接合体を挟持するとともに、前記アノード電極の電極面に沿って燃料ガスを供給する燃料ガス通路及び前記カソード電極の電極面に沿って酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス通路が個別に設けられ、使用済みの前記燃料ガス及び前記酸化剤ガスを前記電解質・電極接合体の周縁部から排出させる挟持部と、
前記挟持部に連結され、前記燃料ガスを前記燃料ガス通路に又は前記酸化剤ガスを前記酸化剤ガス通路に供給するための反応ガス供給通路が形成される橋架部と、
前記橋架部に連結され、前記燃料ガス又は前記酸化剤ガスを前記反応ガス供給通路に供給するための反応ガス供給連通孔が積層方向に形成されるマニホールド部と、
を備え、
前記挟持部の周長Rと前記マニホールド部の外径Dとは、0.06≦D/R≦0.32の関係を有することを特徴とする燃料電池用セパレータ。
【請求項8】
請求項7記載の燃料電池用セパレータにおいて、前記挟持部の周長Rと前記橋架部の幅Hとは、0.03≦H/R≦0.20の関係を有することを特徴とする燃料電池用セパレータ。
【請求項9】
請求項7又は8記載の燃料電池用セパレータにおいて、前記挟持部の周長Rと前記橋架部の長さLとは、0.01≦L/R≦0.55の関係を有することを特徴とする燃料電池用セパレータ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータにおいて、単一の前記マニホールド部には、複数の前記橋架部を介して複数の前記挟持部が連結されるとともに、
前記マニホールド部の中心と各挟持部の中心に設けられた反応ガス導入口とは、同一距離に設定されることを特徴とする燃料電池用セパレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2008−4532(P2008−4532A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−75596(P2007−75596)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】