説明

燃料電池用電極触媒及びその製造方法、並びにそれを含んだ膜・電極接合体及び燃料電池

【課題】燃料電池用電極触媒及びその製造方法、並びにそれを含んだ膜・電極接合体及び燃料電池を提供する。
【解決手段】酸素還元活性を有する貴金属及び13族元素を含み、該13族元素が単位格子内に存在する結晶質触媒粒子を含んだ燃料電池用電極触媒、その製造方法及びそれを含んだ膜・電極接合体及び燃料電池である。前記貴金属が、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、金(Au)、白金(Pt)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)及び銀(Ag)のうち1種以上を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用電極触媒、その製造方法、並びにそれを含んだ膜・電極接合体及び該膜・電極接合体を含んだ燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、使われる電解質及び使われる燃料の種類によって、固形高分子形燃料電池(PEMFC:polymer electolyte membrane fuel cell)、メタノール直接型燃料電池(DMFC:direct methanol fuel cell)、リン酸形燃料電池(PAFC:phosphoric acid fuel cell)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC:molten carbonate fuel cell)、固体酸化物形燃料電池(SOFC:solid oxide fuel cell)などに区分可能である。
【0003】
高分子電解質型燃料電池及びメタノール直接型燃料電池は、一般的に、アノード、カソード及びアノードとカソードとの間に配置された高分子電解質膜を含む膜・電極接合体(MEA:membrane−electrode assembly)から構成される。燃料電池のアノード電極には、燃料の酸化を促進させるための触媒層が備わっており、カソード電極には、酸化剤の還元を促進させるための触媒層が備わっている。
【0004】
一般的に、アノード及びカソードの構成要素として、白金(Pt)を活性成分とする触媒が主に利用されているが、白金系触媒は、高価な貴金属であり、実際商業的に実行可能な燃料電池の量産のためには、電極触媒に使われる白金の要求量は相変らず多く、システムの費用節減が必要になっている。
【0005】
従って、白金使用量を減少させつつ、すぐれた電池性能を提供することができる電極触媒の開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、優秀な触媒活性を提供することができる燃料電池用電極触媒及びその製造方法を提供するものである。
【0007】
本発明はまた、前記電極触媒を含んだ膜・電極接合体及び燃料電池を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面によれば、酸素還元活性を有する貴金属及び13族元素を含み、前記13族元素が、単位格子(unit lattice)内に存在する結晶質触媒粒子を含んだ燃料電池用電極触媒が提供される。
【0009】
前記燃料電池用電極触媒は、下記数式1ないし3のうち一つ以上を満足することができる。
【0010】
【数1】

【0011】
【数2】

【0012】
【数3】

【0013】
前記数式1ないし3で、D(X)、D(Y)及びD(Z)は、前記結晶質触媒粒子の単位格子の互いに平行した結晶面間の距離のうち、X軸、Y軸とそれぞれ平行した距離を示したものであり、D(X)、D(Y)及びD(Z)は、前記13族元素を含まないという点を除いては、前記結晶質触媒粒子と同じ構成を有する第1触媒粒子の単位格子の互いに平行した結晶面間の距離のうち、X軸、Y軸、Z軸とそれぞれ平行した距離を示したものである。
【0014】
前記燃料電池用電極触媒は、下記数式4を満足することができる。
【0015】
【数4】

【0016】
前記数式4で、Aは、前記結晶質触媒粒子の格子定数であり、Aは、前記13族元素を含まないという点を除いては、前記結晶質触媒粒子と同じ構成を有する第1触媒粒子の格子定数である。
【0017】
前記燃料電池用電極触媒は、炭素系担体をさらに含んでもよい。
【0018】
本発明の他の側面によれば、酸素還元活性を有する貴金属の前駆体、及び13族元素の前駆体を含んだ混合物を提供する段階と、前記混合物中の前駆体を還元させ、酸素還元活性を有する貴金属及び13族元素を含み、前記13族元素は、単位格子内に存在する結晶質触媒粒子を含んだ燃料電池用電極触媒を形成する段階と、を含んだ燃料電池用電極触媒の製造方法が提供される。
【0019】
前記混合物は、炭素系担体をさらに含んでもよい。
【0020】
本発明のさらに他の側面によれば、カソード、前記カソードと対向して位置するアノード、及び前記カソードとアノードとの間に位置する電解質膜、を含み、前記カソード及びアノードのうち少なくとも一つが、前記電極触媒を含んだ燃料電池用膜・電極接合体が提供される。
【0021】
前記カソードは、前記電極触媒を含んでもよい。
【0022】
本発明のさらに他の側面によれば、前記膜・電極接合体を含む燃料電池が提供される。
【発明の効果】
【0023】
本発明の燃料電池用電極触媒は、優秀な酸素還元活性を有するが、それを利用すれば、低費用高品位の燃料電池を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】13族元素を含んでいない点を除いては、図1Bに図示された結晶質触媒粒子と同一の構造を有する第1触媒粒子の単位格子を概略的に図示した図面である。
【図1B】一実施例による電極触媒の結晶質触媒粒子の単位格子を概略的に図示した図面である。
【図2】本発明の燃料電池の一実施例を示す分解斜視図である。
【図3】図2の燃料電池を構成する膜・電極接合体(MEA)の断面模式図である。
【図4】実施例1及び比較例1から製造された触媒のX線回折パターンを示したグラフである。
【図5】実施例9及び比較例3から製造された触媒のX線回折パターンを示したグラフである。
【図6A】実施例2から製造された触媒の電子顕微鏡(TEM)写真を示した図面である。
【図6B】実施例2から製造された触媒の電子顕微鏡(TEM)写真を示した図面である。
【図7】実施例2及び比較例2から製造された触媒の酸素還元反応の評価結果を示したグラフである。
【図8】実施例9及び比較例3から製造された触媒の酸素還元反応の評価結果を示したグラフである。
【図9】実施例2及び比較例2から製造された触媒をそれぞれ採用した単位電池の電気的特性を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の燃料電池用電極触媒(以下、「電極触媒」ともする)は、酸素還元活性を有する貴金属及び13族元素を含んだ結晶質触媒粒子を含む。ここで、13族元素は、結晶質触媒粒子の単位格子内に存在する。
【0026】
結晶質触媒粒子は、貴金属及び13族元素が、触媒粒子合成過程で完全に還元された結晶質合金であってもよい。従って、結晶質触媒粒子には、貴金属の酸化物及び/または13族元素の酸化物が実質的に存在せず、優秀な酸素還元活性を有することができる。従って、結晶質触媒粒子は、燃料電池用電極触媒、例えば、カソード用触媒として有用に使われてもよい。
【0027】
貴金属は、酸素還元活性を有することができる。貴金属は、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、金(Au)、白金(Pt)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)及び銀(Ag)のうち1種以上を含んでもよい。例えば、貴金属は、パラジウム(Pd)を含む。または、貴金属は、白金(Pt)を含む。一方、貴金属は、パラジウム(Pd)及びイリジウム(Ir)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0028】
13族元素は、貴金属の結晶構造または電子構造を変化させることによって、結晶質触媒粒子の酸素還元反応活性を向上させる役割を行う。例えば、13族元素は、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)及びタリウム(Tl)のうち1種以上を含んでもよい。例えば、13族元素は、ホウ素(B)及びインジウム(In)のうち1種以上を含むが、これらに限定されるものではない。
【0029】
結晶質触媒粒子は、遷移金属をさらに含んでもよい。遷移金属は、貴金属と合金化され、貴金属の電子密度を変化させることによって、酸素との吸着結合を弱化させ、触媒活性を向上させることができる。
【0030】
遷移金属は、コバルト(Co)、銅(Cu)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、セリウム(Ce)及びチタン(Ti)のうち1種以上を含んでもよい。例えば、遷移金属は、コバルト(Co)、銅(Cu)及びマンガン(Mn)のうち1種以上を含むが、これらに限定されるものではない。
【0031】
燃料電池用電極触媒の結晶質触媒粒子は、前述のような13族元素を含むことによって、下記数式5ないし7のうち一つ以上を満足することができる。
【0032】
【数5】

【0033】
【数6】

【0034】
【数7】

【0035】
数式5ないし7で、D(X)、D(Y)及びD(Z)は、結晶質触媒粒子の単位格子の互いに平行した結晶面間の距離のうち、X軸、Y軸、Z軸とそれぞれ平行した距離を示したものであり、D(X)、D(Y)及びD(Z)は、13族元素を含まないという点を除いては、結晶質触媒粒子と同じ構成を有する第1触媒粒子の単位格子の互いに平行した結晶面間の距離のうち、X軸、Y軸、Z軸とそれぞれ平行した距離を示したものである。
【0036】
数式5ないし7は、一実施例による結晶質触媒粒子の単位格子20(以下、「単位格子20」とする)を概略的に図示した図1B、及び13族元素を含まないという点を除いては、結晶質触媒粒子の単位格子20と同じ構成を有する第1触媒粒子の単位格子10(以下、「単位格子10」とする)を概略的に図示した図1Aを参照しつつ、さらに容易に理解することができる。
【0037】
単位格子20及び単位格子10は、前述のような貴金属または遷移金属の原子22,12の規則的な配列によって構成される。単位格子20は、単位格子10とは異なり、単位格子20内に、13族元素の原子24をさらに含む。13族元素の原子24は、単位格子20をなす貴金属または遷移金属の原子22間に存在しうる。
【0038】
13族元素の原子24が、単位格子20内に挿入されることによって、単位格子20において互いに平行な結晶面間の距離D(X),D(Y)及びD(Z)は、単位格子10において互いに平行な結晶面間の距離D(X),D(Y)及びD(Z)より増大しうる。
【0039】
例えば、単位格子20において互いに平行な結晶面間の距離のうち、X軸に平行な距離D(X)は、単位格子10において互いに平行な結晶面間の距離のうち、X軸に平行な距離D(X)より長くともよい。すなわち、数式5を満足することができる。
【0040】
例えば、単位格子20において互いに平行な結晶面間の距離のうち、Y軸に平行な距離D(Y)は、単位格子10において互いに平行な結晶面間の距離のうち、Y軸に平行な距離D(Y)より長くともよい。すなわち、数式6を満足することができる。
【0041】
例えば、単位格子20において互いに平行な結晶面間の距離のうち、Z軸に平行な距離D(Z)は、単位格子10において、互いに平行な結晶面間の距離のうち、Z軸に平行な距離D(Z)より長くともよい。すなわち数式7を満足することができる。
【0042】
例えば、燃料電池用電極触媒は、数式5ないし7のうち2以上を同時に満足することができる。
【0043】
また、結晶質触媒粒子を含んだ燃料電池用電極触媒は、下記数式8を満足することができる。
【0044】
【数8】

【0045】
数式8で、Aは、結晶質触媒粒子の格子定数であり、Aは、13族元素を含まないという点を除いては、結晶質触媒粒子と同じ構成を有する第1触媒粒子の格子定数である。
【0046】
格子定数は、例えば、電極触媒に対して、CuのKa1で回折させたXRD(x−ray diffraction)パターンを評価して得ることができる。
【0047】
数式5ないし8のように、13族元素の原子が、結晶質触媒粒子の単位格子内に挿入されることによって、結晶質触媒粒子の結晶面間の距離及び格子定数が増大し、結晶質触媒粒子の結晶構造及び/または電子構造が変化する。具体的には、13族元素の原子が、結晶質触媒粒子の触媒粒子の単位格子内の貴金属原子の外殻電子の電子密度を変化させ、触媒粒子の酸素との反応性が変化しうる。従って、前述のような結晶質触媒粒子を含んだ電極触媒を採用した燃料電池は、優秀な電気的性能を有することができる。
【0048】
電極触媒は、前述のような結晶質触媒粒子以外に、炭素系担体をさらに含んでもよい。電極触媒が炭素系担体をさらに含む場合、結晶質触媒粒子は、炭素系担体に担持されてもよい。
【0049】
炭素系担体は、電気伝導性物質中から選択されてもよい。例えば、炭素系担体としては、ケッチェンブラック(登録商標)、カーボンブラック、グラファイトカーボン、カーボンナノチューブ(carbon nanotube)、カーボンファイバ(carbon fiber)などを使用することができるが、これらに限定されるものではなく、それらを単独で使用したり、あるいは2以上を混合して使用することも可能である。
【0050】
電極触媒が炭素系担体をさらに含む場合、結晶質触媒粒子の含有量は、炭素系担体を含んだ電極触媒100重量部当たり、10重量部ないし80重量部、例えば、30重量部ないし70重量部、具体的に、40重量部ないし60重量部であってもよい。結晶質触媒粒子と炭素系担体との比率が前述のような範囲を満足する場合、優秀な電極触媒粒子の比表面積及び高い担持量を達成することができる。
【0051】
第13族元素の含有量は、燃料電池用電極触媒100重量部当たり0.001ないし20重量部、例えば、0.01重量部ないし13重量部である。第13族元素の含有量範囲が、前述のような範囲を満足する場合、優秀な酸素還元活性を得ることができる。
【0052】
燃料電池用電極触媒の製造方法について詳細に説明すれば、次の通りである。
【0053】
まず、酸素還元活性を有する貴金属の前駆体、及び13族元素の前駆体を含んだ混合物を提供する。結晶質触媒粒子が2種以上の互いに異なる貴金属を含む場合、2種以上の互いに異なる貴金属の前駆体が使われてもよい。
【0054】
貴金属の前駆体は、前述のような貴金属を含んだ塩化物、窒化物、シアン化物、硫化物、臭化物塩、硝酸塩、アセテート、硫酸塩、酸化物(oxide)、水酸化物及びアルコキシド(alkoxide)のうち1種以上の化合物を含んでもよい。
【0055】
例えば、貴金属がパラジウムを含む場合、パラジウム前駆体は、窒化パラジウム、塩化パラジウム、硫化パラジウム、パラジウムアセテート、パラジウムアセチルアセテート、シアン化パラジウム、パラジウムイソプロピルオキシド、硝酸パラジウム及びパラジウムブトキシドのうち1種以上の化合物であるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
13族元素の前駆体は、前述のような13族元素を含んだ塩化物、窒化物、シアン化物、硫化物、臭化物塩、硝酸塩、アセテート、硫酸塩、酸化物、水酸化物、オキソ酸塩及びアルコキシドのうち1種以上の化合物を含んでもよい。
【0057】
例えば、13族元素の前駆体は、HBO、In(OH)及びInClのうち1種以上であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0058】
混合物は、前述のような貴金属の前駆体、及び13族元素の前駆体以外に、遷移金属の前駆体をさらに含んでもよい。電極触媒が2種以上の互いに異なる遷移金属を含む場合、2種以上の互いに異なる貴金属の前駆体が使われてもよい。
【0059】
遷移金属の前駆体は、前述の遷移金属を含んだ塩化物、窒化物、シアン化物、硫化物、臭化物塩、硝酸塩、アセテート、硫酸塩、酸化物及びアルコキシドのうち1種以上の化合物を含んでもよい。
【0060】
例えば、遷移金属前駆体は、チタン(Ti)・バナジウム(V)・クロム(Cr)・マンガン(Mn)・鉄(Fe)・コバルト(Co)・ニッケル(Ni)・銅(Cu)及び亜鉛(Zn)の窒化物・塩化物・硫化物・塩(例えば、銅アセテート、鉄アセテート、コバルトアセテート、ニッケルアセテート、銅アセチルアセテート、鉄アセチルアセテート、コバルトアセチルアセテート、ニッケルアセチルアセテートなど)・シアン化物・酸化物(例えば、銅イソプロピルオキシド、鉄イソプロピルオキシド、コバルトイソプロピルオキシド、ニッケルイソプロピルオキシドなど)及びアルコキシド(銅ブトキシド、鉄ブトキシド、コバルトブトキシド、ニッケルブトキシドなど)のうち1種以上の化合物を含むが、これらに限定されるものではない。例えば、遷移金属がCuである場合、遷移金属前駆体は、CuCl・2HOのようなCu塩化物であってもよい。
【0061】
混合物は、貴金属の前駆体、及び13族元素の前駆体(及び、選択的には、遷移金属の前駆体)以外に、炭素系担体をさらに含んでもよい。混合物が炭素系担体をさらに含む場合、炭素系担体及び炭素系担体に担持された結晶質触媒粒子を含んだ電極触媒を得ることができる。
【0062】
混合物は、貴金属の前駆体、及び13族元素の前駆体(及び、選択的には、遷移金属の前駆体)以外に、それらを溶解させることができる溶媒をさらに含んでもよい。溶媒としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパンなどのグリコール系溶媒、またはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、ブタノールなどのアルコール系溶媒を使用することができ、これらに限定されるものではなく、前駆体を溶解させることができる公知の溶媒であるならば、いずれも使用することができる。
【0063】
溶媒の含有量は、貴金属の前駆体100重量部当たり15,000ないし100,000重量部であってもよい。溶媒の含有量が前述のような範囲を満足する場合、混合物に含まれた前駆体の還元時、均一な金属合金が形成され、混合物が炭素系担体をさらに含む場合、炭素系担体中の結晶質触媒粒子の分散性が向上しうる。
【0064】
混合物は、貴金属の前駆体(及び、選択的には、遷移金属の前駆体)を同時に還元させるキレーティング剤(例えば、エチレンジアミンテトラアセト酸)(EDTA)など)、pH調節剤(例えば、NaOH水溶液など)などをさらに含んでもよい。
【0065】
次に、混合物中の前駆体を還元させ、酸素還元活性を有する貴金属及び13族元素を含み、13族元素は、単位格子内に存在する結晶質触媒粒子を含んだ燃料電池用電極触媒を形成する。ここで、混合物が炭素系担体を含む場合、結晶質粒子が炭素系担体に担持されている電極触媒を得ることができる。
【0066】
混合物中の前駆体を還元させる段階は、混合物に還元剤を付加することにより、遂行される。
【0067】
還元剤は、混合物に含まれた前駆体を還元させることができる物質から選択され、例えば、還元剤としては、ヒドラジン(NHNH)、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)、ギ酸などを使用することができるが、これらに限定されるものではない。還元剤の含有量は、貴金属の前駆体1モルを基準として、1ないし3モルを使用することができるが、還元剤の含有量が前述のような範囲を満足する場合、満足すべき還元反応を誘導することができる。
【0068】
混合物中の前駆体の還元反応は、前駆体の種類及び含有量によって異なるが、例えば、30℃ないし80℃、例えば、50℃ないし70℃の温度範囲で遂行される。
【0069】
本発明の他の側面による燃料電池用膜・電極接合体(MEA)は、互いに対向して位置するカソード、アノード、及びカソードとアノードの間に位置する電解質膜を含む燃料電池用膜・電極接合体であり、カソードが前述の燃料電池用電極触媒を含む。
【0070】
本発明のさらに他の側面による燃料電池は、膜・電極接合体を含む。膜・電極接合体の両側には、分離板が積層されて備わってもよい。膜・電極接合体は、カソード、アノード、及びカソードとアノードとの間に位置する電解質膜を具備し、カソード及びアノードのうち少なくとも一つは、前述の電極触媒を含む。
【0071】
燃料電池は、例えば、高分子電解質型燃料電池(PEMFC)、リン酸型燃料電池(PAFC)、またはメタノール直接型燃料電池(DMFC)として実施されてもよい。
【0072】
図2は、燃料電池の一実施例を示す分解斜視図であり、図3は、図2の燃料電池を構成する膜・電極接合体の断面模式図である。
【0073】
図2に示す燃料電池100は、2個の単位セル111が1対のホルダ112に挟持されて構成されている。単位セル111は膜・電極接合体110と、膜・電極接合体110の厚み方向の両側に配置されたバイポーラプレート20,120によって構成されている。バイポーラプレート20,120は、導電性を有した金属またはカーボンなどから構成されており、膜・電極接合体110にそれぞれ接合することにより、集電体として機能すると同時に、膜・電極接合体110の触媒層に対して、酸素及び燃料を供給する。
【0074】
一方、図2に示す燃料電池100は、単位セル111の数が2個であるが、単位セルの数は、2個に限定されるものではなく、燃料電池に要求される特性によって、数十ないし数百ほどまで増やすこともできる。
【0075】
膜・電極接合体110は、図3に示すように、電解質膜200と、電解質膜200の厚み方向の両側に配置され、そのうち一つに本発明の一実施例による電極触媒が適用された触媒層210,210’と、触媒層210,210’にそれぞれ積層された第1ガス拡散層221,221’と、第1ガス拡散層221,221’にそれぞれ積層された第2ガス拡散層220,220’と、から構成される。
【0076】
触媒層210,210’は、燃料極及び酸素極として機能するものであり、触媒及びバインダが含まれてそれぞれ構成されており、触媒の電気化学的な表面積を拡大させることができる物質がさらに含まれてもよい。
【0077】
第1ガス拡散層221,221’及び第2ガス拡散層220,220’は、それぞれ、例えば、カーボンシート、カーボンペーパーなどから形成され、バイポーラプレート20,120を介して供給された酸素及び燃料を、触媒層210,210’の全面に拡散させる。
【0078】
この膜・電極接合体110を含む燃料電池100は、100ないし300℃の温度で作動し、一方の触媒層側に、バイポーラプレート120を介して、燃料として、例えば、水素が供給され、他方の触媒層側に、バイポーラプレート120を介して、酸化剤として、例えば、酸素が供給される。そして、一方の触媒層において水素が酸化され、水素イオン(H)が生じ、この水素イオン(H)が、電解質膜200を伝導して他方の触媒層に達し、他方の触媒層において、水素イオン(H)と酸素とが電気化学的に反応し、水(HO)を生成すると同時に、電気エネルギーを発生させる。また、燃料として供給される水素は、炭化水素またはアルコールの改質によって生じた水素でもあり、また酸化剤として供給される酸素は、空気に含まれる状態で供給されてもよい。
【0079】
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げてさらに詳細に説明するが、以下の実施例は、本発明の明確な理解を助けるためのものであり、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【0080】
(実施例)
(実施例1:Pd−B/C触媒の製造)
0.1重量%Pd(NO水溶液50g、及び0.1重量%HBO水溶液50gを混合して前駆体混合物を準備した。
【0081】
一方、炭素系担体であるKB(ketjen−black(登録商標)、800m/g)0.5gをHO 100gに分散させ、炭素系担体混合物を準備した。
【0082】
前駆体混合物と担体混合物とを混合した後、1M NaOH水溶液10.5gを添加して30分間撹拌し、pHが10〜11に調節された混合物を準備した後、NaBH水溶液を添加し、炭素系担体上にPd−B触媒粒子を還元させた。これから得た結果物を濾過洗浄/乾燥させ、理論上50重量%のPd−B触媒粒子(Pd単位格子内にBが存在し、Pd:Bの原子比は、20:1である)が炭素系担体上に担持されたPd−B/C触媒を製造した。
【0083】
(実施例2:PdIr−B/C触媒の製造)
前駆体混合物の製造時、0.1重量%IrCl水溶液50gを追加したという点を除いては、実施例1と同じ方法を利用し、理論上50重量%のPdIr−B触媒粒子(Pd及びIrの単位格子内にBが存在し、Pd:Ir:Bの原子比は、2:1:3/20である)が炭素系担体上に担持されたPdIr−B/C触媒を製造した。
【0084】
(実施例3:PdIr−B/C触媒の製造)
前駆体混合物の製造時、0.1重量%IrCl水溶液20gを追加したという点を除いては、実施例1と同じ方法を利用し、理論上50重量%のPdIr−B触媒粒子(Pd及びIrの単位格子内にBが存在し、Pd:Ir:Bの原子比は、5:1:6/20である)が炭素系担体上に担持されたPdIr−B/C触媒を製造した。
【0085】
(実施例4:PdIrCo−B/C触媒の製造)
前駆体混合物の製造時、0.1重量%CoCl水溶液10gを追加したという点を除いては、実施例3と同じ方法を利用し、理論上50重量%のPdIrCo−B触媒粒子(Pd、Ir及びCoの単位格子内にBが存在し、Pd:Ir:Co:Bの原子比は、5:1:0.5:6/20である)が炭素系担体上に担持されたPdIrCo−B/C触媒を製造した。
【0086】
(実施例5:PdIrCo−B/C触媒の製造)
前駆体混合物の製造時、0.1重量%CoCl水溶液10gを追加したという点を除いては、実施例2と同じ方法を利用し、理論上50重量%のPdIrCo−B触媒粒子(Pd、Ir及びCoの単位格子内にBが存在し、Pd:Ir:Co:Bの原子比は、2:1:0.2:3/20である)が炭素系担体上に担持されたPdIrCo−B/C触媒を製造した。
【0087】
(実施例6:PdIrMn−B/C触媒の製造)
前駆体混合物の製造時、0.1重量%MnCl水溶液10gを追加したという点を除いては、実施例2と同じ方法を利用し、理論上50重量%のPdIrMn−B触媒粒子(Pd、Ir及びMnの単位格子内にBが存在し、Pd:Ir:Mn:Bの原子比は、2:1:0.2:3/20である)が炭素系担体上に担持されたPdIrMn−B/C触媒を製造した。
【0088】
(実施例7:PdIrCoCu−B/C触媒の製造)
前駆体混合物の製造時、0.1重量%CuCl水溶液5g及び0.1重量%CoCl水溶液5gを追加したという点を除いては、実施例3と同じ方法を利用し、理論上50重量%のPdIrCoCu−B触媒粒子(Pd、Ir、Co及びCuの単位格子内にBが存在し、Pd:Ir:Co:Cu:Bの原子比は、5:1:0.25:0.25:6/20である)が炭素系担体上に担持されたPdIrCoCu−B/C触媒を製造した。
【0089】
(実施例8:PdIr−In/C触媒の製造)
前駆体混合物の製造時、HBO水溶液の代わりに、0.1重量%In(OH)水溶液50gを使用したという点を除いては、実施例2と同じ方法を利用し、理論上50重量%のPdIr−In触媒粒子(Pd及びIrの単位格子内にInが存在し、Pd:Ir:Inの原子比は、2:1:0.2である)が炭素系担体上に担持されたPdIr−In/C触媒を製造した。
【0090】
(実施例9:PdIr−In/C触媒の製造)
前駆体混合物の製造時、HBO水溶液の代わりに、0.1重量%In(OH)水溶液0.5gを使用したという点を除いては、実施例3と同じ方法を利用し、理論上50重量%のPdIr−In触媒粒子(Pd及びIrの単位格子内にInが存在し、Pd:Ir:Inの原子比は、5:1:0.5である)が炭素系担体上に担持されたPdIr−In/C触媒を製造した。
【0091】
(比較例1:Pd/C触媒の製造)
前駆体混合物の製造時、HBO水溶液を追加しなかったという点を除いては、実施例1と同じ方法を利用し、理論上50重量%のPd触媒粒子が炭素系担体上に担持されたPd/C触媒を製造した。
【0092】
(比較例2:Pd2Ir/C触媒の製造)
前駆体混合物の製造時、HBO水溶液を追加しなかったという点を除いては、実施例2と同じ方法を利用し、理論上50重量%のPdIr触媒粒子(Pd:Irの原子比は、2:1である)が炭素系担体上に担持されたPdIr/C触媒を製造した。
【0093】
(比較例3:PdIr/C触媒の製造)
前駆体混合物の製造時、HBO水溶液を追加しなかったという点を除いては、実施例9と同じ方法を利用し、理論上50重量%のPdIr触媒粒子(Pd:Irの原子比は、5:1である)が炭素系担体上に担持されたPdIr/C触媒を製造した。
【0094】
(評価例1:誘導結合プラズマ(ICP:inductively coupled plasma)分析)
実施例1ないし9及び比較例1ないし3から製造された触媒の成分分析のために、ICP分析(ICP−AES、ICPS−8100、SHIMADZU(登録商標)/RF source 27.12MHz/sample uptake rate 0.8ml/min)を行い、その結果を表1(金属含有量は、触媒総量100重量%を基準に示したものである)に示した。
【0095】
【表1】

【0096】
表1から、実施例1ないし9から製造された触媒は、比較例1ないし3から製造された触媒とは異なり、13族元素を含むということを確認することができる。
【0097】
(評価例2:X線回折(XRD)分析)
実施例1、比較例1、実施例9及び比較例3の触媒に対して、X線回折(XRD)分析(MP−XRD、Xpert PRO、Philips(登録商標)/Power 3kW)を行い、その結果を図4及び5に示し、各触媒の格子定数を下記表2に整理した。
【0098】
【表2】

【0099】
図4によれば、実施例1の触媒の111ピークの回折角(2θ)は、比較例1の触媒の111ピークの回折角(2θ)より小さくなったということを確認することができるが、これは、実施例1の触媒に追加されたB原子が、実施例1の触媒の単位格子間に挿入され、実施例1の触媒の単位格子中で、互いに平行な結晶面間の距離が増大したためであると解釈される。その結果、表2のように、実施例1の触媒の格子定数は、比較例1の触媒の格子定数より大きくなっているということを確認することができる。
【0100】
図5によれば、実施例9の触媒の111ピークの回折角(2θ)は、比較例3の触媒の111ピークの回折角(2θ)より小さくなっているということを確認することができるが、これは、実施例9の触媒に追加されたIn原子が、実施例9の触媒の単位格子間に挿入され、実施例9の触媒の単位格子中の互いに平行な結晶面間の距離が増大したためであると解釈される。その結果、表2のように、実施例9の触媒の格子定数は、比較例3の触媒の格子定数より大きくなっているということを確認することができる。
【0101】
(評価例3:触媒観察)
実施例2から製造された触媒(PdIr−B/C)を電子顕微鏡(TEM)で観察し、その結果を図6A及び図6B(図6Bは、図6Aの10倍拡大写真である)に示した。図6Aから、実施例2から製造された触媒の触媒粒子は、炭素系担体に等しく分散されて担持されていることを確認することができ、図6Bから、実施例2から製造された触媒の触媒粒子には、格子フリンジ(lattice fringe)が明確に形成されているということを確認することができ、高い結晶性を有するということが分かる。
【0102】
(評価例4:酸素還元反応(ORR:oxygen reduction reaction)評価)
実施例2から製造された触媒(PdIr−B/C)0.02g及びエチレングリコール10gの混合物をカーボン回転電極(glassy carbon)内に、15μlをマイクロピペットで滴下させ、80℃で減圧乾燥させた後、エチレングリコール5重量%に分散されているNAFION(登録商標)溶液を、触媒が滴下された電極内に、15μlで滴下させ、同一過程で乾燥させて電極を準備した。
【0103】
電極(working electrode)をRDE(rotating disk electrode)装置に装着し、帯電電極(counter electrode)としては、白金線、標準電極(reference electrode)としては、Ag/AgCl(KClsat)を準備した。準備された3相電極を、0.1M HClO電解質に入れ、窒素で30分間バブリングし、溶液内の残存酸素を除去した。一定電位の電解装置及び一定電流の電解装置(potentiostat/galvanostat)を利用し、0.03〜1.2V(対NHE(normal hydrogen electrode))範囲で、電解溶液内に酸素を飽和溶解させた後、カーボン電極を回転させつつ、開放回路電圧(OCV:open circuit voltage)で、物質限界電流が起きる電位(0.4〜0.6V;対NHE)まで負の方向にORR電流を記録した。
【0104】
実施例2の触媒の代わりに、比較例2(PdIr/C)、実施例9(PdIr−In/C)及び比較例3(PdIr/C)の触媒を使用し、前述のような方法を利用してORR電流を記録し、その結果を図7及び図8に示した。
【0105】
実際の燃料電池の作動領域である約0.7Vでの酸素還元電流値を比較すれば、実施例2及び9の触媒の酸素還元活性は、比較例2及び3の触媒の酸素還元活性に比べ、優秀であるということを確認することができる。
【0106】
(評価例5:単位電池性能の評価)
[単位電池の製作]
実施例2から製造した触媒(PdIr−B/C)1g当たりポリフッ化ビニリデン(PVDF)0.03gと、適量の溶媒N−メチル−2−ピロリドン(NMP)とを混合し、カソード用スラリを製造した。カソード用スラリを、微細多孔層(microporous layer)がコーティングされたカーボンペーパー上に、バーコーター器(bar coater)でコーティングした後、常温から150℃まで段階的に温度を上げる乾燥工程を経てカソードを製作した。カソードでの実施例2の触媒のローディング量は、1.5mg/cmであった。
【0107】
これと別途に、PtRu/C触媒を使用してアノードを製作したが、アノードでのPtRu/C触媒のローディング量は、約0.8mg/cmであった。
【0108】
カソード及びアノード間に、電解質膜として、85重量%リン酸で含浸したポリベンズイミダゾール電解質膜を使用し、電極−膜接合体を製造した。
【0109】
次に、実施例2の触媒の代わりに、比較例2の触媒(PdIr/C)を使用し、電極−膜接合体を製造した。
【0110】
[単位電池テスト]
実施例2の触媒を含んだ電極−膜接合体、及び比較例2の触媒を含んだ電極−膜接合体の性能を、カソード用として、無加湿B空気(250cc/min)と、アノード用として、無加湿水素(100cc/min)とを使用し、150℃で評価した結果を図9に示した。
【0111】
図9から、実施例2の触媒を含んだ単位電池のOCV(open circuit voltage)が、比較例2の触媒を含んだ単位電池のOCVより高いということを確認することができる。OCVは、触媒の酸素還元反応の開始電圧(oxygen reduction reaction onset potential)と関連があるので、実施例2の触媒を含んだ単位電池の膜・電極接合体の性能は、比較例2の触媒を含んだ単位電池の膜・電極接合体性能に比べ、改善されているということを確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明の燃料電池用電極触媒及びその製造方法、並びにそれを含んだ膜・電極接合体及び燃料電池は、例えば、電源関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【符号の説明】
【0113】
10 第1触媒粒子の単位格子
12,22 遷移金属の原子
20 結晶質触媒粒子の単位格子
24 13族元素の原子
100 燃料電池
110 膜・電極接合体
111 単位セル
112 ホルダ
120 バイポーラプレート
200 電解質膜
210,210’ 触媒層
220,220’ 第2ガス拡散層
221,221’ 第1ガス拡散層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素還元活性を有する貴金属及び13族元素を含み、前記13族元素が単位格子内に存在する結晶質触媒粒子を含んだ、燃料電池用電極触媒。
【請求項2】
前記貴金属が、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、金(Au)、白金(Pt)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)及び銀(Ag)のうち1種以上を含んだことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用電極触媒。
【請求項3】
前記貴金属が、パラジウム(Pd)を含んだことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用電極触媒。
【請求項4】
前記貴金属が、白金(Pt)を含んだことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用電極触媒。
【請求項5】
前記13族元素が、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)及びタリウム(Tl)のうち1種以上を含んだことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用電極触媒。
【請求項6】
前記13族元素が、ホウ素(B)及びインジウム(In)のうち1種以上を含んだことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用電極触媒。
【請求項7】
コバルト(Co)、銅(Cu)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、セリウム(Ce)及びチタン(Ti)のうち1種以上を含んだ遷移金属をさらに含んだことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用電極触媒。
【請求項8】
前記遷移金属が、コバルト(Co)、銅(Cu)及びマンガン(Mn)のうち1種以上を含んだことを特徴とする、請求項7に記載の燃料電池用電極触媒。
【請求項9】
下記数式1ないし3のうち一つ以上を満足することを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用電極触媒:
【数1】

【数2】

【数3】

前記数式1ないし3で、
(X)、D(Y)及びD(Z)は、前記結晶質触媒粒子の単位格子の互いに平行した結晶面間の距離のうち、X軸、Y軸、Z軸とそれぞれ平行した距離を示したものであり、
(X)、D(Y)及びD(Z)は、前記13族元素を含まないという点を除いては、前記結晶質触媒粒子と同じ構成を有する第1触媒粒子の単位格子の互いに平行した結晶面間の距離のうち、X軸、Y軸、Z軸とそれぞれ平行した距離を示したものである。
【請求項10】
下記数式4を満足することを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用電極触媒:
【数4】

前記数式4で、
は、前記結晶質触媒粒子の格子定数であり、
は、前記13族元素を含まないという点を除いては、前記結晶質触媒粒子と同じ構成を有する第1触媒粒子の格子定数である。
【請求項11】
炭素系担体をさらに含んだことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用電極触媒。
【請求項12】
前記第13族元素の含有量が、前記燃料電池用電極触媒100重量部当たり0.001ないし20重量部であることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用電極触媒。
【請求項13】
酸素還元活性を有する貴金属の前駆体、及び13族元素の前駆体を含んだ混合物を提供する段階と、
前記混合物中の前駆体を還元させ、酸素還元活性を有する貴金属及び13族元素を含み、前記13族元素は、単位格子内に存在する結晶質触媒粒子を含んだ燃料電池用電極触媒を形成する段階と、を含んだ、燃料電池用電極触媒の製造方法。
【請求項14】
前記13族元素の前駆体が、13族元素を含んだ塩化物、窒化物、シアン化物、硫化物、臭化物塩、硝酸塩、アセテート、硫酸塩、酸化物、水酸化物、オキソ酸塩及びアルコキシドのうち1種以上の化合物を含んだことを特徴とする、請求項13に記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
【請求項15】
前記混合物が、炭素系担体をさらに含んだことを特徴とする、請求項13に記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
【請求項16】
前記混合物が、グリコール系溶媒及びアルコール系溶媒のうち1種以上をさらに含んだことを特徴とする、請求項13に記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
【請求項17】
カソードと、
前記カソードと対向して位置するアノードと、
前記カソードとアノードとの間に位置する電解質膜と、を含み、
前記カソード及びアノードのうち少なくとも一つが、請求項1ないし請求項12のうち、いずれか1項に記載の電極触媒を含んだ、燃料電池用膜・電極接合体。
【請求項18】
前記カソードが、前記電極触媒を含んだことを特徴とする、請求項17に記載の燃料電池用膜・電極接合体。
【請求項19】
請求項18に記載の燃料電池用膜・電極接合体を含む燃料電池。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−73940(P2013−73940A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−212035(P2012−212035)
【出願日】平成24年9月26日(2012.9.26)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】