説明

燃料電池用電極触媒及び燃料電池

【課題】高価で資源量の少ないPtの使用量が少なく、高い触媒活性を示し、しかも、低コストな燃料電池用電極触媒及びこれを用いた燃料電池を提供すること。
【解決手段】金属ホウ化物からなる担体の表面に、1〜4原子層の白金原子層を形成する。金属ホウ化物には、EPt≦E≦EPt+0.9(eV)(Eは、金属ホウ化物の表面に形成された白金原子層を構成する最表面白金の電子状態である5dバンドの重心位置(結合エネルギー)、EPtは、バルクの白金を構成する最表面白金の電子状態である5dバンドの重心位置(結合エネルギー))の関係が成り立つものを用いる。また、前記担体の表面積に対する前記白金原子層の面積の割合(表面被覆率)は、80%以上とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用電極触媒及び燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池用電極触媒には、一般に、比表面積の高いカーボン粉末に、粒子径数ナノメートルのPtあるいはPt合金を担持した触媒(Pt担持カーボン(Pt/C))が利用されている。Pt/C触媒は、Pt粒子の表面近傍にある原子のみが触媒として機能するため、高価なPtの利用率が低いという問題がある。そのため、Ptの使用を粒子表面から数原子層に限り、粒子内部を別の材料で代替する技術が、いくつか提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、カーボンブラックの表面にルテニウムナノ粒子(コア)を担持させ、さらにルテニウムナノ粒子の表面に平均厚さが1.1層である白金原子層(シェル)を形成した白金含有触媒が開示されている。
同文献には、導電性担体表面に担持させる触媒として、ルテニウムナノ粒子/白金原子層からなるコアシェル粒子を用いると、Pt使用量を低減できる点が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、パラジウム、パラジウム合金、金合金、レニウム合金等からなるコアの表面に白金原子層で覆われた電極触媒が開示されている。
さらに、非特許文献1には、3d金属を含むPt合金(Pt3M合金、M=Ni、Co、Fe、Ti)からなる触媒が開示されている。同文献には、Pt3M合金は、表面のPt原子の電子状態が僅かに改良されるために、Ptよりも良好な触媒となる点が記載されている。
【0005】
電極触媒としてPtシェルを持つコアシェル粒子を用いると、Pt使用量を低減することができる。しかしながら、コア粒子としてパラジウムや金などの貴金属又はその合金を用いた触媒は、貴金属が高価であるため、価格面での優位性はない。
一方、電極触媒としてPt3M合金粒子を用いると、Pt粒子のみからなる触媒に比べてPt使用量を低減することができる。しかしながら、Pt3M合金の場合、3:1の割合で触媒粒子にPtが含まれているので、価格面での優位性はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−072981号公報
【特許文献2】米国特許第7,855,021号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】V.Stamenkovic, B.S.Mun, K.J.J.Mayrhofer, P.N.Ross, N.M.Markovic, J.Rossmeisl, J.Greeley and J.K.Norskov, Angew.Chem.Int.Ed., 45, 2897-2901(2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、高価で資源量の少ないPtの使用量が少なく、高い触媒活性を示し、しかも、低コストな燃料電池用電極触媒及びこれを用いた燃料電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明に係る燃料電池用電極触媒は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記燃料電池用電極触媒は、
金属ホウ化物からなる担体と、
前記担体の表面に形成された1〜4原子層の白金原子層と
を備えている。
(2)前記金属ホウ化物は、次の(a)式の関係が成り立つものからなる。
Pt≦E≦EPt+0.9(eV) ・・・(a)
但し、
Eは、前記金属ホウ化物の表面に形成された前記白金原子層を構成する最表面白金の電子状態である5dバンドの重心位置(結合エネルギー)、
Ptは、バルクの白金を構成する最表面白金の電子状態である5dバンドの重心位置(結合エネルギー)。
(3)前記担体の表面積に対する前記白金原子層の面積の割合(表面被覆率)は、80%以上である。
また、本発明に係る燃料電池は、本発明に係る燃料電池用電極触媒を用いたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る燃料電池用電極触媒は、安価な材料からなるコアの表面に1〜4原子層のPtからなるシェルが形成されたコアシェル触媒であるため、高価な白金の使用量が少ない。また、コアとして、特定の条件を満たす金属ホウ化物を用いているので、コアとシェルとの電子的な相互作用により、シェルの触媒活性が向上する。これは、特定の条件を満たす金属ホウ化物がその表面に付着した白金の最外殻電子状態を変化させ、これによって白金表面への酸素の吸着力が適度に弱くなり、触媒反応が効率良く行えるようになったためと考えられる。そのため、少ない白金使用量で従来と同等以上の電池性能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】TiB2(0001)単結晶基板のサイクリックボルタモグラム(CV)である。
【図2】表面にPt4層を蒸着したTiB2(0001)単結晶基板のサイクリックボルタモグラムである。
【図3】各種触媒の酸素還元反応(ORR)時のリニアスイープボルタモグラム(LSV)である。
【図4】各種触媒の0.9Vでの酸素還元反応(ORR)の重量活性を示す図である。
【図5】各種触媒の価電子帯の電子状態を示す図である。
【図6】TiB2とPt4ML/TiB2のTi3pの電子状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 燃料電池用電極触媒]
本発明に係る燃料電池用電極触媒は、以下の構成を備えている。
(1)前記燃料電池用電極触媒は、
金属ホウ化物からなる担体と、
前記担体の表面に形成された1〜4原子層の白金原子層と
を備えている。
(2)前記金属ホウ化物は、次の(a)式の関係が成り立つものからなる。
Pt≦E≦EPt+0.9(eV) ・・・(a)
但し、
Eは、前記金属ホウ化物の表面に形成された前記白金原子層を構成する最表面白金の電子状態である5dバンドの重心位置(結合エネルギー)、
Ptは、バルクの白金を構成する最表面白金の電子状態である5dバンドの重心位置(結合エネルギー)。
(3)前記担体の表面積に対する前記白金原子層の面積の割合(表面被覆率)は、80%以上である。
【0013】
[1.1. 担体]
本発明において、担体は、所定の条件を満たす金属ホウ化物からなる。金属ホウ化物は、具体的には、次の(a)式の関係が成り立つものである必要がある。
Pt≦E≦EPt+0.9(eV) ・・・(a)
但し、
Eは、前記金属ホウ化物の表面に形成された前記白金原子層を構成する最表面白金の電子状態である5dバンドの重心位置(結合エネルギー)、
Ptは、バルクの白金を構成する最表面白金の電子状態である5dバンドの重心位置(結合エネルギー)。
【0014】
(a)式は、金属ホウ化物の表面に形成された白金原子層の最表面白金と酸素との吸着力の大きさに関係する。(a)式を満たす金属ホウ化物を担体に用いたコアシェル触媒は、Ptのみからなる触媒と同等以上の活性を示す。
EがEPt未満となる金属ホウ化物を担体に用いた場合、白金原子層の最表面白金に酸素が強く吸着し、離れにくくなる。そのため、このような担体を用いたコアシェル触媒は、Ptのみからなる触媒に比べて活性が低下する。従って、Eは、EPt(eV)以上である必要がある。
一方、Eが大きくなるほど、白金原子層の最表面白金と酸素との結びつきが弱くなるので、白金原子層の活性が向上する。しかしながら、Eが大きくなりすぎると、最表面白金に酸素が全く吸着しなくなり、反応が起きなくなる。従って、Eは、EPt+0.9(eV)以下である必要がある。
なお、EPtは、計算又は実験により求めることができるが、計算方法や実験方法により値が異なる。EPtは、一般に、2.3eV(計算値)〜3.2eV(実測値)程度と言われている。
【0015】
(a)式を満たす金属ホウ化物としては、具体的には、TiB2、CrB2、NbB2などがある。これらの中でも、TiB2は、安価であり、高い触媒活性が得られるので、担体として特に好適である。
担体には、これらのいずれか1種を用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0016】
[1.2. 白金原子層]
白金原子層は、酸素還元反応の触媒であると同時に、担体を腐食環境から保護するための保護膜としても機能する。担体を腐食させることなく、高い触媒活性を得るためには、白金原子層は、1原子層以上であれば良い。
一般に、白金原子層の原子層数が多くなるほど、担体が腐食しにくくなる。しかしながら、白金原子層を必要以上に厚くすると、バルクの白金に近づき、重量活性が低下する。従って、白金原子層は、4原子層以下である必要がある。
なお、白金原子層の層数は、担体の全表面において一定である必要はなく、場所によって層数が異なっていても良い。
【0017】
担体の表面全体が白金原子層で覆われていない場合であっても、白金原子層は、触媒として機能する。しかしながら、触媒の使用環境によっては、担体表面の露出面積が大きくなるほど、担体が腐食しやすくなる。
担体を腐食させることなく、高い触媒活性を得るためには、担体の表面積に対する白金原子層の面積の割合(表面被覆率)は、80%以上である必要がある。表面被覆率は、さらに好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。表面被覆率は、理想的には100%である。
【0018】
[2. 燃料電池]
本発明に係る燃料電池は、本発明に係る燃料電池用電極触媒を用いたことを要旨とする。本発明に係る燃料電池用電極触媒は、アノード側又はカソード側のいずれに用いても良いが、特にカソード側に用いると高い効果が得られる。
【0019】
[3. 燃料電池用電極触媒の製造方法]
本発明に係る燃料電池用電極触媒の製造方法は、コア作製工程と、シェル形成工程とを備えている。
【0020】
[3.1. コア作製工程]
コア作製工程は、上述した条件を満たす金属ホウ化物からなるコア(担体)を作製する工程である。
金属ホウ化物からなるコアの製造方法は、特に限定されるものではなく、目的とする粒径や粒子形状を製造可能な種々の方法を用いることができる。
金属ホウ化物からなる微粒子を得る方法としては、例えば、
(1)金属酸化物・ホウ素・炭素を混合し、熱処理を施す方法(カーボサーマル反応を利用する方法)、
(2)金属と硼素とを直接反応させる方法(例えば、L.Brewer, D.L.Sawyer, D.H.Templeton and C.H.Dauben, J.Am.Ceram.Soc., 34, 173-179(1951)参照)、
(3)CVDや熱プラズマなどの気相成長法(例えば、B.Armas, C.Combescure and F.Trombe, J.Electrochem.Soc., 123, 308-310(1976)参照)、
などがある。
【0021】
こうして調製される粒子の表面構造は、一般的には、表面エネルギーの小さい低指数面となる。また、そうでない場合も、合成時の温度や雰囲気ガスなどの条件を変化させることにより、所望の表面構造を持つように制御することができる。
例えば、カーボサーマル法によるホウ化物の合成では、金属酸化物・ホウ素・炭素を混合し、熱処理を施すことで、金属ホウ化物が得られる。この熱処理の際の温度や雰囲気ガスなどを変化させることにより、表面構造や粒子形態を制御することが可能である。
【0022】
[3.2. シェル形成工程]
シェル形成工程は、コアの表面にPt原子からなるシェル(白金原子層)を形成する工程である。
コアの表面に1〜4原子層からなるシェルを形成する方法としては、例えば、
(1)真空蒸着法によりPtをコアに蒸着させる方法(例えば、J.G.Chen, G.A.Menning and M.B.Zellner, Surf.Sci.Rep., 63, 201-254(2008)参照)、
(2)UPD(Under Potential Deposition)という現象を利用して、コア材にCu1原子層を形成し、CuをPtで置換する方法(例えば、J.Zhang, M.B.Vukmirovic, Y.Xu, M.Kavrikakis and R.Adzic, Angew.Chem.Int.Ed., 44, 2132-2135(2005)参照)、
などがある。
【0023】
[4. 燃料電池用電極触媒及び燃料電池の作用]
本発明に係る燃料電池用電極触媒は、安価な材料からなるコアの表面に1〜4原子層の白金からなるシェルが形成されたコアシェル触媒であるため、高価な白金の使用量が少ない。また、コアとして、特定の条件を満たす金属ホウ化物を用いているので、コアとシェルとの電子的な相互作用により、シェルの触媒活性が向上するる。これは、特定の条件を満たす金属ホウ化物がその表面に付着した白金の最外殻電子状態を変化させ、これによって白金表面への酸素の吸着力が適度に弱くなり、触媒反応が効率良く行えるようになったためと考えられる。そのため、少ない白金使用量で従来と同等以上の電池性能を発揮することができる。
【実施例】
【0024】
(実施例1〜3、比較例1〜5)
[1. 試料]
試料には、
(1)TiB2(0001)単結晶上に白金を4層分真空蒸着させたもの(Pt4ML/TiB2)(実施例1)、
(2)NbB2(0001)単結晶上に白金を4層分真空蒸着させたもの(Pt4ML/NbB2)(実施例2)、
(3)CrB2(0001)単結晶上に白金を4層分真空蒸着させたもの(Pt4ML/CrB2)(実施例3)、
(4)TiB2(0001)単結晶(比較例1)、
(5)ZrB2(0001)単結晶上に白金を4層分真空蒸着させたもの(Pt4ML/ZrB2)(比較例1)、
(6)Ptバルク(Poly−Pt)(比較例2)、
(7)グラッシーカーボン(GC)上に白金を4層分真空蒸着させたもの(Pt4ML/GC(比較例3)、及び、
(8)アークプラズマガン(APG)を用いて、GC上に粒状の白金を3層分堆積させたもの(Pt/GC(APG))(比較例4)、
を用いた。
ここで、4層とは、Pt(111)面の一原子層量である1.5×1015atom/cm2を基準として用いている。
【0025】
[2. 試験方法]
[2.1. CV及びLSV]
蒸着後、試料を水中で保管・輸送し、回転ディスク電極法により電気化学活性評価を行った。電解液には、HClO4(0.1M)を用いた。また、参照極及び対極には、それぞれ水素/白金電極及び金シートを用いた。
電解質溶液をアルゴンガスで置換し、サイクリックボルタモグラム(CV)を測定した。この時、電位掃引範囲は、0.05Vを下限とし、上限は、0.4Vから1.0Vまで0.05V刻みで上げた。
また、電解質溶液を酸素ガスで置換し、リニアスイープボルタモグラム(LSV)を測定した。
[2.2. 光電子分光]
各種触媒の表面の光電子分光を行った。これには放射光を利用し、入射エネルギーは、90eVとした。これにより、最表面Ptの電子状態が得られる。
【0026】
[3. 結果]
[3.1. CV]
図1に、TiB2(0001)単結晶基板のみのCVを示す。また、図2に、Pt4ML/TiB2のCVを示す。
TiB2基板のみを評価した場合、図1に示すように、0.4Vから1.0Vまで上限電位を変化させたときに各高電位側で酸化電流が見られた。これは、基板が溶けていることを示すと推測された。
一方、Pt4ML/TiB2では、図2に示すように、Pt酸化に伴う酸化電流以外は観測されず、基板の溶出がないことがわかった。
【0027】
[3.2. LSV]
図3に、各種触媒の酸素還元反応(ORR)時のリニアスイープボルタモグラム(LSV)を示す。また、図4に、各種触媒の0.9Vでの酸素還元反応(ORR)の重量活性を示す。「重量活性」とは、0.9Vでの還元電流を重量で規格化した値をいう。なお、再現性を調べるために、Pt4ML/TiB2については2回の試験を行っており、図4には、2回分の試験結果が示されている。
図4より、Pt/C(Pt4ML/GC又はPt/GC(APG))の重量活性は300〜400A/gであるのに対し、Pt4ML/TiB2の重量活性は600〜700A/gであり、Pt/Cに比べて2倍程度性能が高いことがわかった。また、Pt4ML/TiB2の重量活性は、Pt4層の下がPtであるPtバルク(Poly−Pt)とほぼ同じ値であることがわかった。
【0028】
[3.3. 光電子分光]
図5に、光電子分光により得られた各種触媒の価電子帯の電子状態を示す。Pt価電子帯である5d帯の重心位置(dバンドセンター)は、Ptバルク(Poly−Pt)では約3.2eVであるのに対し、Pt4ML/TiB2では約3.8eV、Pt4ML/NbB2では約3.91eV、Pt4ML/CrB2では約3.26eV、Pt4ML/ZrB2では約4.62eVであることがわかった。
【0029】
ここで、dバンドセンター理論によると、
(1)dバンドセンターの値が大きくなるほど、酸素との結びつきが弱くなる、
(2)Auでは酸素が全く吸着しないため、反応が起きない、
(3)dバンドセンターの値が小さすぎると、酸素が強く吸着して離れないため、反応が阻害される、
と説明している。従って、Ptの酸素還元活性を向上させるためには、酸素との吸着力を適度に弱くする必要があると考えられる。
Pt4ML/TiB2の活性がPtバルクより向上し、かつ、Pt4ML/ZrB2の活性がPtバルクより低下した理由は、理論からも説明できる。図5より、dバンドセンターの値EがEPt〜EPt+0.9(eV)の範囲にある材料、すなわち、TiB2、NbB2及びCrB2は、Ptバルクと同等以上の活性が期待できることがわかる。
【0030】
図6に、TiB2とPt4ML/TiB2のTi3pの電子状態を示す。光電子分光測定を行ったところ、Pt4ML/TiB2のスペクトルに、本来見えないはずのTi3pのピークが見られた(図6中、斜線部)。これは、Ptに多少むらがあり、Tiが表面に露出していることを表す。ピーク面積は、表面に存在する原子割合に比例する。TiB2基板のTiピークとPt4ML/TiB2のTiピークの面積比を求めると、0.2であった。よって、Ptによる表面被覆率が80%でも、触媒活性効果が得られることがわかった。
【0031】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る燃料電池用電極触媒は、燃料電池用の電極触媒として使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構成を備えた燃料電池用電極触媒。
(1)前記燃料電池用電極触媒は、
金属ホウ化物からなる担体と、
前記担体の表面に形成された1〜4原子層の白金原子層と
を備えている。
(2)前記金属ホウ化物は、次の(a)式の関係が成り立つものからなる。
Pt≦E≦EPt+0.9(eV) ・・・(a)
但し、
Eは、前記金属ホウ化物の表面に形成された前記白金原子層を構成する最表面白金の電子状態である5dバンドの重心位置(結合エネルギー)、
Ptは、バルクの白金を構成する最表面白金の電子状態である5dバンドの重心位置(結合エネルギー)。
(3)前記担体の表面積に対する前記白金原子層の面積の割合(表面被覆率)は、80%以上である。
【請求項2】
前記金属ホウ化物は、TiB2、CrB2及びNbB2から選ばれるいずれか1以上からなる請求項1に記載の燃料電池用電極触媒。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の燃料電池用電極触媒を用いた燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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